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経営者による財政状態及び経営成績に関する説明及び分析

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経営者による財政状態及び経営成績に関する説明及び分析
経営者による財政状態及び経営成績に関する説明及び分析
本項目に記載される全ての財務情報は、本アニュアルレポー
トに含まれる連結財務諸表に基づいています。同財務諸表は、
米国で一般に公正妥当と認められた会計原則に基づき作成され
ています。また、本項目に記載される金額は、全て1億円未満
を四捨五入したものとなっています。
概 観
トヨタの事業セグメントは、自動車事業、金融サービス事業及
びその他の全事業で構成されています。自動車事業は、最も重
要なセグメントで、2000会計年度においてトヨタの総収益(セグ
メント間収益控除前)の約86%、営業利益(セグメント間収益控
除前)の約92%を占めています。2000会計年度における車両販
売台数ベースによるトヨタの主要な市場は日本が42%、北米が
33%、ヨーロッパが12%となっています。
製品の品質、価格、デザイン、運転機能、安全性、信頼性、経
済性及び実用性により左右されます。また、時機を得た新車や
モデルチェンジ車の導入も、顧客の需要を満たす重要な要因で
す。変化し続ける顧客の嗜好を満たす能力も、収益及び利益に
大幅な影響をもたらします。
自動車事業の収益性は、多くの要因により左右されます。こ
れらには下記のような要因が含まれます。
●
車両販売台数
●
販売された車両モデルとオプションの組み合わせ
●
価格割引及びその他のインセンティブのレベル並びにマーケテ
ィング費
●
顧客の補償責任請求及びその他の賠償請求にかかる費用
●
研究開発費及び他の固定費用
●
コストの管理能力
●
生産能力の効率的な利用
●
円の為替相場の変動
自動車市場環境
世界の自動車市場は、非常に競争が激しく、また周期的な動
きをします。さらに、各市場における自動車の需要は年毎に大
きく変動します。すなわち、需要は各市場の全体的な経済状況、
車の購入価格及び維持費、クレジットや燃料の利用可能性及び
コストに大きく左右されます。
*
新車販売台数 (千台)
日本でのトヨタ車両販売台
数は2000
会計年度中に増加
6,000
5,182.8
しましたが、過去数年間にわ
4,695.1
4,456.3
たり日本に影響を与えてきた
4,000
経済の低迷により、トヨタの日
本市場における1 9 9 8 会計年
度、及び1999 会計年度の販
2,000
売台数は減少していました。
近年のアジアにおける経済危
機は東アジア及び東南アジア
0
会計年度
1998
1999
2000
市場における車両の需要を著
*販売台数には、連結対象外の事業体で組み立て
しく減少させました。その結
た車両は、含まれていません。
果、1998会計年度及び1999
会計年度の東アジア及び東南
アジア市場におけるトヨタの車両販売台数は連続して減少しまし
たが、2000会計年度の同市場におけるトヨタの車両販売台数は
増加しました。2000会計年度におけるトヨタの東アジア及び東南
アジアを除くその他の地域の車両販売台数は減少しました。日
本市場及びその他の市場とは対照的に、北米及びヨーロッパに
おけるトヨタの車両販売台数は、同地域の高い需要を受け、過
去数年間にわたり増加しています。
各市場における全車両販売台数に占めるトヨタのシェアは、
32
法律、規制、政策の変更及びその他の政府による措置につ
いても自動車事業の収益性に著しい影響を及ぼすことがありま
す。これらの法律、規制及び政策には、車両の製造コストを大
幅に増加させる環境問題、車両の安全性、燃費及び排ガスに
影響を及ぼすものが含まれます。現地調達部品を規定し、自動
車製造業者の事業を制限し、本国への利益の送還を難しくし得
る関税及びその他の貿易障壁を課し、価格管理もしくは為替管
理の法規定を行なう政府も多くあります。このような法律の変更
は、製品の生産、ライセンス、流通もしくは販売、原価、あるい
は適用される税率に影響を及ぼすことがあります。
世界の自動車産業は、グローバル化及び合従連衡の時期に
あり、この傾向は予見可能な将来まで続く可能性があります。そ
の結果、トヨタが事業を展開する競争的な環境は、さらに激化
する様相を呈しています。トヨタは一独立企業として自動車産業
において効率的に競争するための資源及び戦略を予見可能な
将来において有していると考えています。
1998年9月には軽車両、乗用車、商用車及び自動車部品の
製造業者であるダイハツ工業( 株) へ の 出資率を3 4 . 5 % から
51.2%まで引き上げました。ダイハツ工業(株)の業績は、1999会
計年度後期及び2000会計年度通期が連結されました。出資率
を引き上げる以前は、ダイハツ工業(株)の利益のトヨタの株主持
分が連結財務諸表に含まれていました。
金融サービス事業
自動車金融の市場は、自動車購入に際し融資を受ける消費
者数の増加( 特に北米及びヨーロッパにおいて増加)を受け、
拡大しました。トヨタは、金融サービス事業において、銀行、貯
蓄組合及びリース会社を含む 金融サービス事業の資産
金融機関による競争の激化に (配賦不能額の調整前)(億円)
47,523
直面しています 。リース会社 50,000
44,811
42,152
には、他の自動車製造業者、
40,000
特に米国の主要製造業者の
関連会社を含みます。競争が 30,000
激化するにつれ、融資取引の
利幅が減り、顧客がトヨタ車を 20,000
購入する際にトヨタ以外の金
融サービスを利用するようにな 10,000
れば、マーケット・シェアは低
0
会計年度
1998
1999
2000
下することも考えられます。
トヨタの金融サービスには
顧客及び代理店に対する貸付及びリースが含まれています。トヨ
タの顧客に対して資金を提供する能力は顧客に対する重要な付
加価値のあるサービスと考えています。また、トヨタは金融子会
社のネットワークを他の国へと広げることを考えています。2000
年7月にトヨタは全世界の金融会社を統括するために100%子会
社のトヨタファイナンシャルサービス(株)を設立しました。
トヨタは、トヨタの新車購入に対する融資のためのオペレーテ
ィング・リースの取扱いを続けてきました。当該リース事業により
トヨタは残存価値のリスクを負っています。これは車両リース利
用者が、リース終了時に車両を購入するオプションを行使しない
場合に発生する可能性があります。リース終了時に返却される
車両台数は近年増加しています。例えば、米国のファイナンス
子会社であるToyota Motor Credit Corporationによるリース車
両について、1996会計年度は返却の割合が20%以下でしたが、
2000会計年度中には返却の割合は50%以上にまで増加しまし
た。リース終了時に返却される車両から生じる損失を回避する
ためには、車両の残存価値以上の価格で再販売もしくは再リー
スしなければなりません。車両の残存価値をカバーできない場合
には、リース終了時に損失が生じます。このような損失は、リー
スによる収益を減らす要因になります。最近では、主に市場での
中古車供給の増加が市場価格を引き下げたことが原因で、返却
車両の再販価値が低下した状態となっています。
更に、資金調達コストは、金融サービス事業の収益性に影響
を及ぼす可能性があります。資金調達コストは、数多くの要因
により影響を受けますが、その中にはコントロールできないものも
あります。これには、全般的な景気、金利及びトヨタの財務力な
どが 含まれます 。主として米国における金利の上昇によって
2000会計年度におけるトヨタの資金調達コストは上昇しました。
その他の事業
その他の事業には、主に日本移動通信( 株)を通じて行われ
る通信事業、フォークリフトを含む産業機器の販売並びにプレハ
ブ住宅の設計及び製造が含まれます。
トヨタは1998年3月に日本の携帯電話サービスの提供者であ
る日本移動通信(株)への出資率を27.2%から62.8%に、また
2000会計年度には63.3%まで引き上げました。日本移動通信
(株)の業績は、1999及び2000会計年度の両年連結されました。
出資率を引き上げる以前は、日本移動通信(株)の利益のトヨタ
の株主持分が連結財務諸表に含まれていました。日本移動通
信( 株)は、日本の大手携帯電話サービス提供者で、主に首都
圏と中部圏において、約400万人に上る契約者に携帯電話サー
ビスを提供しています。
2000年4月に日本移動通信( 株)が日本の遠距離通信会社
である第二電電( 株)及びケイディディ
( 株)の2社と合併する契
約書に署名しました。この合併契約は2000年6月30日に開かれ
た日本移動通信( 株)の定時株主総会にて承認されましたが、
依然として規制当局による承認待ちの状況が 続いてい ます 。
2000年10月1日に予定されている合併完了後は、第二電電
( 株)
が存続会社となります。
規制当局により合併が承認された場合、トヨタは299,915株の
新第二電電( 株)株式を869,756株の日本移動通信( 株)株式
と引き換えに取得することになります。さらにトヨタは約1,200億
円の第二電電(株)の新株を合併直前である2000年9月30日に
引受ける計画です。合併及び新会社の新株購入の結果、トヨタ
の新会社に対する持分は現在の予想では約13%になり、トヨタ
は新会社に対して重要な影響を及ぼさないこととなります。その
結果、現在適用している日本移動通信( 株)の財務諸表の連結
処理に対して、 新第二電電( 株)株式を市場性ある有価証券と
して処理することになります。合併日には、トヨタは日本移動通
信( 株)株式の処分により、トヨタの合併日現在の日本移動通信
( 株)の薄価と新会社の299,915株の公正価額の差額を利益と
して認識することになります。
2000年7月下旬にトヨタと
( 株)豊田自動織機製作所は、両者
のロジスティクス&フォークリフト事業部門を統合し、強化するこ
とで合意しました。細部については今後両者で検討していく予
定ですが、
トヨタのロジスティクス&フォークリフト事業部門を
( 株)
豊田自動織機製作所に統合させることで合意しております。統
合日は2001年4月1日を目標としています。ロジスティクス&フォ
ークリフト事業はトヨタの財政状態及び経営成績に対して重要な
ものではありません。
現在のところ、産業機器事業、住宅事業は連結業績に大きな
影響を及ぼすものではありません。
33
為替の変動
トヨタは、為替レートの変動による影響を受けやすいといえま
す。日本円の他に主に米国ドル及びユーロ通貨の価額変動の
影響を受けています。日本円で表示された連結財務諸表は、換
算リスク及び取引リスクを通じて為替レートの変動による影響を
受けています。為替レートの変化はトヨタの収益、売上総利益、
営業費用、営業利益、当期利益及び剰余金に対して好影響も
悪影響も及ぼします。
換算リスクとは、特定期間もしくは特定日の財務諸表が、事
業を展開する国々の通貨の日本円に対するその時々の為替レ
ートの変動による影響を受けるリスクです。たとえ日本円に対す
る通貨の変動が大きく、前会計年度との比較において、また地
域ごとの比較においてかなりの影響を及ぼすとしても、換算リス
クは報告上の考慮事項に過ぎず、その基礎となる業績を左右す
るものではありません。トヨタは換算リスクに対してヘッジを行っ
ていません。 取引リスクとは、コスト及び債務の通貨体系が売
上及び資産の通貨体系と異なることによるリスクです。
トヨタは、生産施設が世界中に所在しているため取引リスクは
大幅に減少されていると考えています。グローバル化戦略の一
環として、車両販売を行なう主要市場において生産施設を建設
することにより、その大半の生産を現地化してきました。1999年
( 暦年)において、海外での販売台数の54%は、トヨタ子会社及
びその非連結関連会社により海外で生産されています。また北
米では、1999年( 暦年)の車両販売台数の62%は現地で生産
されています。ヨーロッパでは1999年( 暦年)の車両販売台数
の29%が現地で生産されています。現地の生産施設により、ト
ヨタは、生産過程に使用される供給品及び原材料の多くを現地
調達することができ、現地での収益と現地での費用の通貨のマ
ッチングを計ることができます。
トヨタは、取引リスクの一部に対処するための為替ヘッジを行
っています。これにより外国為替レート変動による影響は軽減さ
れますが、全て排除されるまでには至っておらず、年によってそ
の影響が大きい場合もあり得ます。一般的に、円安は、営業利
益及び当期純利益に好影響を及ぼし、円高は逆の効果を及ぼ
します。日本円は2000会計年度においては、1999会計年度に
比べ総じて円高となっています。
セグメンテーション
トヨタの最も重要な事業セグメントは、自動車事業セグメントで
す。トヨタは、世界の自動車市場においてグローバル・コンペテ
ィターとして自動車事業を展開しており、自動車事業の経営に
は世界的なアプローチを採用しています。それにより経営陣は、
世界全体の自動車事業を一つのセグメントとして資源の配分や
その実績の評価を行っています。トヨタは国内・国外または部品
34
等のような自動車事業の一分野を個別のセグメントとして管理し
ていません。
自動車事業セグメントの経営は、機能ベースで成り立っており、
管理職がそのセグメントにおける機能に対して監督責任をもって
います。経営陣は自動車事業セグメント内で資源を分配するた
めに、売上台数、生産台数、マーケット・シェア、車両モデルの
計画および工場のコストといった財務及びそれ以外に関するデ
ータの評価を行っています。
業績―2000会計年度と1999会計年度の比較
収益
2 0 0 0 会計年度の収益は、前会計年度と比較して5 6 6 億円
( 0.4% )減少し、12兆7,015億円となりました。この減少は主
に、為替換算レートによる悪影響を受けたことを反映しています
が、ダイハツ工業( 株)の業
績を2 0 0 0 会計年度に1 年間 収益(億円)
連結したこと、車両販売台数 150,000
127,581
の増加及び車両販売価格の
127,015
116,861
上昇により一部相殺されまし 120,000
た。為替レートの変動による
90,000
影響を除いた場合、2000会
計 年 度 の 収 益 は 約 1 4 兆 60,000
1,815億円で前会計年度と比
較して11.2%の増加であった 30,000
と考えられます。収益には製
0
1999
2000
品売上高及び金融収益が含 会計年度 1998
まれており、2 0 0 0 会計年度 自動車
105,593
111,992
111,355
金融サービス
5,334
5,947
5,342
において製品売上高は12兆 その他
7,777
11,848
12,229
118,704
129,787
128,925
1 , 7 3 2 億円とあまり変化はな
セグメント間
く、金融収益は9.5% 減少し 消去
(1,843)
(2,206)
(1,910)
116,861
127,581
127,015
て 5 , 2 8 3 億 円となりました 。 合計
日本円に換算する際の為替
レートの影響を除いた場合、製品売上高は11.6%増加し、金融
収益は2.5% 増加したと考えられます。収益は前会計年度と比
較して日本において3.8% 増加し、北米において2.2% 減少し、
ヨーロッパにおいて8.4% 減少し、その他の地域で10.4% 減少
しました。日本円に換算する際の為替レートの影響を除いた場
合、収益は前会計年度と比較して日本において3.8% 増加し、
米国において19.8%増加し、ヨーロッパにおいて20.3%増加し
その他の市場において7.2%増加したと考えられます。
以下は、各事業セグメントの収益に関する説明です。記載さ
れた収益額は、セグメント間収益控除前の数値です。
自動車事業セグメント
自動車事業からの収益は、トヨタの収益において最も高い割
合を占めています。2000会計年度における、自動車事業から
の収益は11兆1,355億円であり、前会計年度の11兆1,992億円
から0.6%減少しました。これは主に2000年会計年度において
為替換算レート変動の悪影響による1兆4,100億円の減少に起因
しており、 ダイハツ工業( 株)の業績を2000会計年度に1年間
連結したことによる4,875 億円の増加、販売台数の増加による
5,390億円の増加及び商品販売構成の変更及び販売価格の上
昇の合計で3,200億円の増加により一部相殺されました。為替レ
ートの変動による影響を除いた場合、2000会計年度における自
動車事業による収益は約12兆5,455億円で前会計年度と比較し
て12%の増加であったと考えられます。 日本、北米及びヨーロ
ッパにおける大幅な売上の増加は、長引く景気の低迷に起因し
たアジア市場の車両販売台数の減少により一部相殺されていま
す。日本、北米及びヨーロッパにおける売上高には、それぞれ
12.9%、13.8%、13.7%の車両販売台数の増加が反映されまし
た。日本での売上は日本でのトヨタブランド車両販売台数の
1.2%の増加によるものです。日本での売上の好影響の残りはダ
イハツ工業( 株)の1年間の連結によるものです。日本における
これらの販売台数の増加による収益の増加は、日本で継続する
低価格の車両への商品販売構成の変化により一部相殺されて
います。北米における収益は、2000会計年度の為替レートの変
動によりマイナスの影響を受けましたが、車両販売台数の増加
及び、販売価格の上昇の両方の影響により一部相殺されていま
す。さらに、ヨーロッパでの売上は、為替換算の影響によりマイ
ナスの影響を受けましたが、販売台数の増加、及びダイハツ工
業( 株)の2000会計年度1年間の連結によって一部相殺されまし
た。ダイハツ工業( 株)は主に軽自動車市場において事業展開
しており、従って、ダイハツ工業( 株)の車両一台あたりの収益
はトヨタより低くなっています。その他の全ての市場における販
売台数は、5.7%減少しており、これは東アジア及び東南アジア
を除くその他市場におけるトヨタ車両の販売台数の減少に起因
しています。その他の全ての市場における収益は、2000会計
年度の外貨換算レートの変動によるマイナスの影響、ダイハツ工
業( 株)の2000会計年度1年間の連結による好影響を上回るトヨ
タブランド車両の販売台数の減少、販売価格の上昇および売上
構成の変化により、マイナスの影響を受ける結果となりました。
金融サービス事業セグメント
2000 会計年度における金融サービス事業セグメントの収益
は、5,342億円で、前会計年度に比べて605億円( 10.2%) 減
少しました。この減少額は、主に2000会計年度の為替レート変
動による700億円のマイナスの影響を受けたものです。為替レー
トの変動による影響を除いた場合、2000会計年度における金融
サービス事業による収益は、約6,020億円で前会計年度と比
較して1.6%の増加であったと考えられます。
その他の全事業セグメント
2000会計年度におけるその他の全事業セグメントの収益は、
1兆2,229億円となり、対前会計年度比で381億円( 3.2%) 増
加しました。この増加は通信事業の549億円の収益増加による
ものですが、産業機器事業の収益の減少により一部相殺され
ました。
営業費用
2000会計年度における営業費用は、対前会計年度比で47億
円(0.04%)減少し、12兆30億円となりました。この減少は主に、
2000会計年度における1,020億円の為替レートの変動によるもの
ですが、ダイハツ工業( 株)の2000会計年度1年間の連結によ
る4,707億円の影響と、車両販売増加による4,250億円の売上
原価の影響、及び日本移動通信( 株)の継続的な拡大による
760億円のコスト増加などにより一部相殺されています。
また継続的なコスト削減努力により、2000会計年度の費用は
約1,500億円減少しました。このコスト削減は、継続的に実施さ
れている価値工学及び価値分析活動、部品種類の絞込み及び
共用化並びに車両生産コストの低減を目的としたその他の製造
活動に関連しています。追加的なコスト削減活動として、トヨタ
ブランド車両の国内生産能力を1999会計年度の400万台のレベ
ルから今後数年間にわたり300∼350万台程度へと縮小する予
定です。
2000会計年度における売上原価は、対前会計年度比で267
億円( 0.3%)増加し、9兆6,404億円となりました。この増加(セ
グメント間費用控除前)は、自動車事業セグメントにおける254
億円( 0.3%)の減少及びその他の全事業セグメントにおける88
億円( 1.0%)の増加を反映しています。自動車事業セグメントの
減少は、主として2000会計年度の為替レート変動に関連する低
コストの影響及び継続的なコスト削減努力の影響を反映してい
ます。これらの減少は、ダイハツ工業( 株)の2000会計年度の1
年間分の連結による3,800億円の影響及び車両販売台数増加に
関連するコスト増加による4,253億円などにより一部相殺されてい
ます。その他の事業セグメントにおける増加は、主に日本移動
通信( 株)の継続的な通信事業拡大による413億円の影響によ
るものです。
売上原価の収益に対する割合は、1999会計年度の79.0%か
ら、2000会計年度の79.2%に増加しました。この増加は主とし
て日本で生産された車両の海外売上にかかる為替レートの変動
の影響によるものですが、継続的なコスト削減努力により一部
35
相殺されています。
2000会計年度における金融費用は、対前会計年度比で548
億円( 12.0%)減少し、4,020億円となりました。この減少は主に、
2000会計年度の為替レート変動の影響及びリース車両の残存
価値損失引当金計上額の減少及び米国での金融損失の改善に
よるものです。この減少は米国での高金利及び借入の増加に起
因する金融費用の増加により一部相殺されました。2000会計年
度における金融費用の金融収益に対する比率は、1999会計年
度の78.3%から、2000会計年度の76.1%に減少しました。この
変化は主に、北米のリース返却車両の再販価値の減少の緩和
に起因しています。この減少は米国での高金利によっておこる
金融費用の増加により一部相殺されました。
2000会計年度の研究開発
研究開発費(億円)
費は前会計年度の4,873億円
4,873
から、研究開発活動の 効率
5,000
4,512
4,444
化により減少し 、 4 , 5 1 2 億円
4,000
となりました。
2 0 0 0 会計年度における販
3,000
売費及び 一般管理費は、対
前 会 計 年 度 比で 2 3 4 億 円
2,000
( 1.2%)増加し、1兆9,606億
1,000
円と なりました 。この 増 加
(セグメント間費用控除前)は、
0
会計年度
1998
1999
2000
自動車事業セグメントにおけ
る96億円( 0.6%)の増加、金
融サービス事業セグメントにお
ける10億円( 1.0%)の増加及びその他の全事業セグメントにお
ける319億円( 10.8%)の増加の結果であります。自動車事業セ
グメントにおける増加は主に、ダイハツ工業( 株)の2000会計年
度を1年間連結した906億円の影響によるものです。この増加は
2000会計年度の為替レート変動、販売促進費及び継続的なコ
スト削減努力により一部減少しています。金融サービス事業セグ
メントの増加は賃金引き上げ及び事業拡大に関連した労働コス
トの増加が影響していますが、2000会計年度の為替レート変動
により一部相殺されています。その他の全事業セグメントにおけ
る増加は、日本移動通信( 株)の継続的な事業拡大に関連した
コスト増加を反映しています。
2000会計年度における販売費及び一般管理費の収益に占め
る割合は、1999会計年度の15.2%から増加して2000会計年度
には15.4%となりました。販売費及び一般管理費の収益に占め
る割合の増加は、主に2000会計年度の自動車事業セグメントに
おける為替レートの変動の影響によるものです。自動車事業セ
グメントにおける販売費及び一般管理費の収益に占める割合は、
1999会計年度の14.4%から増加して2000会計年度には14.6%
36
となりました。金融サービスセグメントにおける販売費及び一般
管理費の収益に占める割合は、1999会計年度の16.6%から増
加して2000会計年度には18.7%でした。その他の全事業セグ
メントにおける販売費及び一般管理費の収益に占める割合は、
1999会計年度の25.0%から増加して2000会計年度には26.8%
となりました。
営業利益
2000会計年度における営業利益は6,986億円で、対前会計年
度比で518億円( 6.9%)減少しました。ダイハツ工業( 株)の連
結の影響を除けば 営業利益
は8 1 3 億円( 1 0 . 9 % )減少し 営業利益(億円)
て6,669億円であったと考えら 10,000
れます 。営業利益は日本円
8,290
7,504
の米ドル及びユーロに対する 8,000
6,986
円高の影響とそれに関連する
6,000
為替レートの変動によってマ
イナスの影響を受け、車両販 4,000
売台数の増加及び 販売価格
の上昇並びに売上構成の変 2,000
化によって一部相殺されまし
0
会計年度
1998
1999
2000
た。
自動車
8,070
6,870
6,390
2 0 0 0 会 計 年 度における
金融サービス
455
383
317
( 内部利益控除前)営業利益 その他
(240)
290
265
8,285
7,543
6,971
は、対前会計年度比で、日
セグメント間
本においては462億円の減少 消去
5
(39)
15
合計
8,290
7,504
6,986
( 7.9%)、ヨーロッパにおいて
は221億円の減少により99億
円の損失となりました。これら
の減少は、北米における営業利益の103億円( 6.9%)の増加及
びその他の市場における営業利益の20億円( 114.4%)の増加
により一部相殺されました。日本における減少は主に、米国ドル
及びユーロに対しての円高に関連するものですが、日本におけ
る車両販売台数の増加、北米及びヨーロッパへの輸出増加及
びコスト削減努力などによる好影響により一部相殺されました。
ヨーロッパにおける減少は主に、日本円に対するユーロの激し
い価値低下及び新しいフランス工場施設の立ち上げ費用による
ものですが、車両販売台数の増加及び販売価格の上昇により
一部相殺されました。北米における増加は主に、車両販売台数
の増加、販売価格の上昇及び新しい工場施設での生産拡大に
より好影響を受けました。この増加は日本円に対する米国ドルの
通貨安により一部相殺されました。その他の市場における増加
はアジア市場における車両販売台数の増加、販売価格の上昇
及び売上構成の変化の組み合わせによるものです。
以下は、各事業セグメントの営業利益に関する説明です。記
載された営業利益額は、セグメント間利益控除前の数値です。
の異なった税制の下での税引前利益の構成割合が変化したた
めに、対前会計年度比で31億円減少しました。
自動車事業セグメント
2000会計年度における自動車事業セグメントの営業利益は、
6,390億円となり、対前会計年度比で480億円( 7.0%)減少し
ました。営業利益は主に、米国ドル及びユーロに対する円高に
よりマイナスの影響を受けました。この減少は車両販売台数の
増加、販売価格の上昇及び継続的なコスト削減努力の影響によ
って一部相殺されました。
少数株主持分及び持分法投資損益
連結子会社の少数株主持分損益の減少は、主に日本移動通
信( 株)における2000会計年度の当期純利益の減少、トヨタの
持分の 変化及 び 利益の 変
当期純利益(億円)
動によるものです 。この 減
4,819
少はダイ ハツ工業( 株)の
5,000
4,516
4,369
業績を2000年会計年度に1
4,000
年間連結したことによる影響
金融サービス事業セグメント
と一部相殺されています 。
3,000
2000会計年度における金融サービス事業セグメントの営業利 2 0 0 0 会計年度における持
益は317億円となり、対前会計年度比で67億円( 17.4%)減少し 分法投資損益は、関連会社
2,000
ました。営業利益は主に、米国ドル及びユーロに対する円高、 の業績が、全般的に良好で
1,000
米国における高金利による利益幅の減少及び事業拡大費の増 あったため、対前会計年度
加などからマイナスの影響を受けました。この減少は、リース車 比で増加しました。
0
会計年度
1998
1999
2000
両残存価値の下落幅の改善により一部相殺されました。
当期純利益
その他の事業セグメント
2000 会計年度の当期純
2000会計年度におけるその他の事業セグメントの営業利益は 利益は4,819 億円で、対前
株主資本当期純利益率(ROE)(%)
265億円となり、対前会計年度比で25億円
( 8.7%)減少しました。 会 計 年 度 比 で 3 0 3 億 円
この減少は主に、事業拡大の費用による通信事業の106億円の (6.7%)増加しました。
10
営業利益減少の結果で、その他の事業の収益性の改善により
8
一部相殺されました。
その他の包括損失
7.1
6.7
2 0 0 0 会計年度における
6
営業外損益
その 他の 包括損失は 、対
2000会計年度における受取利息及び配当金は740億円とな 前 会 計 年 度 比で 4 7 5 億 円
4
り、同会計年度における日本での低金利が原因で対前会計年 ( 34.3%)増加しました。主
2
度比で139億円( 15.8%)減少しました。
に、1999会計年度における
2000会計年度における支払利息は473億円となり、対前会計 外貨換算調整損失が1,416
0
会計年度
1999
2000
年度と大きな変化はありません。
億 円で あった のに 対して
2000 会計年度における為替差損益は、対前会計年度比で 2 0 0 0 会計年度では外貨換
540億円増加しました。為替差損益は主に外国通貨建てによる 算調整損失が 1 , 8 1 3 億円に増加したことに起因していま す 。
売上を取引時の為替レートで換算した価格と、先物為替契約を 2000会計年度の外貨換算調整損失は、1999年3月31日と比べ
利用したものを含む同会計年度における決済金額との差額を示 た2000年3月31日の対米国ドル換算レートが円高に推移したこ
すものです。2000会計年度における為替差益は、主に同会計 とに起因しています。未実現有価証券評価益は、1999会計年
年度における円高傾向により前会計年度と比べて好影響を受け 度では101億円でしたが、2000会計年度では829億円となり、
ました。
2000会計年度におけるその他の包括損失を一部相殺しました。
2000会計年度におけるその他収益は170億円増加して642億
円になりました。
法人税
2000会計年度における法人税等は、主に同会計年度で各国
37
業績―1999会計年度と1998会計年度の比較
収益
1999会計年度の収益は、全ての事業セグメントにおいて収益
が増加し、前年度と比較して1兆720億円( 9.2% )増加し12兆
7,581億円になりました。この増加は主に、1999会計年度後期
からダイハツ工業( 株)の業績及び1999会計年度通期で日本移
動通信( 株)の業績を連結したこと( 9,177億円の収益が連結さ
れた)、為替換算レートによる好影響を受けたことを反映してい
ます。為替レートの変動による影響を除いた場合、1999会計年
度の収益は約12兆4,581億円であったと考えられます。収益に
は製品売上高及び金融収益が含まれ、1999会計年度において
製品売上高は9.1% 増加して12兆1,744億円となり、金融収益
は11.0%増加して5,837億円となりました。
以下は、各事業セグメントの収益に関する説明です。記載さ
れた収益額は、セグメント間収益控除前の数値です。
自動車事業セグメント
1999会計年度において、トヨタの自動車事業からの収益は、
11兆1,992億円であり、前会計年度の10兆5,593億円から6.1%
増加しました。これは、主に1999会計年度において初めてダイ
ハツ工業( 株)の業績を連結したことによる5,070億円の増加及
び為替換算レートの変動による2,800億円の増加に起因していま
す。この増加額は、日本における車両販売台数の減少及び商
品販売構成の変更による2,080億円の収益の減少により一部相
殺されました。為替レートの変動による影響を除いた場合、1999
会計年度における自動車事業による収益は10兆9,192億円であ
ったと考えられます。北米及びヨーロッパにおける大幅な売上の
増加は、長引く景気の低迷に起因した日本市場及びその他の
市場( 主に東アジア及び東南アジア)の収益の減少により一部相
殺されました。北米、ヨーロッパ及び日本の売上高には、それ
ぞれ14.8%、11.4%及び1.2%の車両販売台数の増加が反映
されました。その他の市場では車両販売台数の4.3%の減少が
反映されました。北米とヨーロッパにおける収益は、車両販売台
数の増加、為替レートの変動及び高価格帯の車両への商品構
成の変更により好影響を受け、また、ダイハツ工業( 株)の連結
によっても好影響を受けました。日本における収益は、低価格
帯の車両への市場の移行及びトヨタブランドの車両販売台数の
減少によりマイナスの影響を受けましたが、販売台数の減少は、
ダイハツ工業( 株)の連結によりその一部が相殺される形となり
ました。その他の全ての市場における収益合計は、車両販売台
数の減少によるマイナスの影響を受け、ダイハツ工業( 株)の連
結によるプラスの影響を上回る結果となりました。
38
金融サービス事業セグメント
1999会計年度における金融サービス事業の収益は5,947億
円で、前会計年度に比べて613 億円( 11.5% )増加しました。
為替レートの変動による影響を除いた場合、1999会計年度にお
ける金融サービス事業による収益は、約5,747億円であったと考
えられます。金融サービス事業の成長は、主に1999会計年度
における為替レートの変動による好影響及び北米での販売をサ
ポートする車両リースの増加によるものです。
その他の全事業セグメント
1999会計年度におけるその他の事業の収益は、1 兆1,848億
円となり、対前会計年度比で4,071億円
( 52.4%)増加しました。
この増加は主に、1999会計年度より日本移動通信( 株)の業績
約4,107億円を連結したことに起因しています。当該連結を除い
た場合の収益は、長引く日本の景気の低迷が原因で僅かなが
ら減少しました。
営業費用
1999会計年度における営業費用は、対前会計年度比で1兆
1,506億円( 10.6%)増加し、12兆77億円でありました。これは、
ダイハツ工業( 株)の連結による5,048億円及び日本移動通信
( 株)の連結による3,683億円の営業費用の増加、売上原価の
増加、金融サービス収益の増加に伴なう費用の増加及び販売・
一般管理費の大幅な増加に起因しています。
また、継続的なコスト削減努力により、1999会計年度の費用
は1,200億円減少しました。このコスト削減は、継続的に実施さ
れている価値工学及び価値分析活動、部品種類の絞込み及び
共用化並びに車両製造費の低減を目的としたその他の製造活
動に関連しています。
1999会計年度における売上原価は9兆6,137億円であり、対
前会計年度比で7 , 2 5 1 億円( 8 . 2 % )増加しました。この増加
(セグメント間費用控除前)は、自動車事業における5,437億円
( 6.5%)の増加及びその他の全事業セグメントにおける2,055億
円( 31.3% )の増加によるものです。自動車事業の増加は、ダ
イハツ工業( 株)の連結による4,229億円の増加、474億円に上
る無償修理費用の増加及び170億円に上る新工場の立ち上げ
費用の発生に起因しています。また、為替レートの変動による影
響も売上原価の増加に反映されています。これらの増加は、継
続的なコスト削減施策の結果、一部相殺されています。その他
の事業セグメントにおける増加は、主に日本移動通信( 株)の連
結による2,149億円の増加に起因しています。
売上原価の収益に対する割合は、1998会計年度の79.6%か
ら、1999会計年度の79.0%に減少しました。これは、主に日本
移動通信( 株)の粗利率がトヨタの粗利率と比較して高いことに
起因しています。日本移動通信( 株)の影響を除く売上原価の
売上収益に対する割合は、1998会計年度の79.6%から1999会
計年度には79.9%に増加しました。これは、無償修理費の増加、
北米の新工場の立ち上げ及びダイハツ工業( 株)の比較的低い
粗利率によるものです。この売上原価の増加は、為替レートの
変動の影響及び継続的なコスト削減施策の影響によって一部相
殺されています。
1999会計年度における金融費用は、主に同会計年度におけ
る融 資 活 動の 拡 大により、前 会 計 年 度と比 べ て 5 4 5 億 円
( 13.5%)増加して4,568億円となりました。1999会計年度にお
ける金融費用の金融収益に対する比率は、1 9 9 8 会計年度の
76.5%から増加し、78.3%となりました。これは主に、北米の市
場価格の下落をもたらした中古車供給の増加を主原因とする返
却車両の再販価値の減少に起因しています。
1999会計年度の研究開発費は、前会計年度の4,444億円か
ら増加し、4,873億円となりました。これは継続的な代替エネル
ギー動力システムの開発及び既存のパワー・トレインシステムの
改良への注力、並びにダイハツ工業( 株)及び日本移動通信
( 株)の連結による176億円の増加に起因しています。トヨタはま
た、開発期間を短縮して開発費を低減する製品開発活動も推進
しています。
1999会計年度における販売費及び一般管理費は、対前会計
年度比で3,710億円( 23.7%)増加し、1兆9,372億円に上りまし
た。この増加(セグメント間費用控除前)は、自動車事業セグメ
ントにおける2,162億円( 15.5%)の増加、金融サービス事業セ
グメントにおける158億円( 19.0%)の増加及びその他の事業セ
グメントにおける1,486億円( 102.8%)の増加の結果であります。
自動車事業セグメントにおける増加は、ダイハツ工業( 株)の連
結による819億円の増加、追加的な販売促進費用、賃金引き上
げ及び北米などにおける事業拡大に関連した労働コストの増加
による影響であります。金融サービス事業セグメントの増加は、
賃金引き上げ及び北米における事業拡大に関連した労働コスト
の増加が影響しています。その他の全事業セグメントにおける
増加は、主に日本移動通信( 株)の連結により増加した1,534億
円が影響しています。
1999会計年度における販売費及び一般管理費の収益に占め
る割合は、1998会計年度の13.4%から増加して15.2%となりま
したが、これは、主に販売費及び一般管理費の割合が比較的
高い日本移動通信( 株)の新規連結及び北米における販売促進
費の増加並びに事業拡大に関連した費用の増加に起因してい
ます。自動車事業セグメントにおける販売費及び一般管理費の
収益に占める割合は、1998会計年度の13.2%に対して1999会
計年度では14.4%でした。金融サービス事業セグメントにおけ
る販売費及び一般管理費の収益に占める割合は、1998会計年
度の15.6%に対して1999会計年度では16.6%でした。その他
の全事業セグメントにおける販売費及び一般管理費の収益に占
める割合は、1998会計年度の18.6%に対して1999会計年度で
は24.7%でした。
営業利益
1999会計年度における営業利益は、7,504億円で対前会計
年度比で786億円( 9.5%)減少しました。ダイハツ工業( 株)及
び 日本移動通信( 株)を除けば 営業利益は1 4 . 9 % 減少して
7,057億円であったと考えられます。
1999会計年度における( 内部利益控除前)営業利益は、対
前会計年度比で、日本においては655億円( 10.1% )、北米に
おいては256億円( 14.7%)、その他の市場においては65億円
( 79.3% )減少しました。これらの減少は、ヨーロッパにおける
営業利益の136億円の増加により一部相殺されました。日本に
おける減少は、国内売上台数の減少及び低価格帯の車両への
市場の移行が影響していますが、これらの減少は好調な輸出及
び日本移動通信( 株)の連結によって一部相殺されています。
その他の市場における減少は、主に長引く景気低迷の影響によ
ります。北米における減少は、主に582億円に上る販売促進費、
177億円に上る新工場立ち上げ費によるものであり、高い収益の
影響により一部相殺されています。ヨーロッパにおける増加は、
ヨーロッパで製造するモデルの変更及び1999年における年間を
通してのアベンシス・モデルの販売に関連した売上高の増加に
起因しています。
以下は、各事業セグメントの営業利益に関する説明です。記
載された営業利益額は、セグメント間利益控除前の数値です。
自動車事業セグメント
1999会計年度における自動車事業の営業利益は6,870億円
となり、対前会計年度比で1,200億円( 14.9% )減少しました。
営業利益は主に、日本、東アジア及び東南アジアにおける長引
く景気の低迷によりマイナスの影響を受けました。また営業利益
は、582億円の北米における販売促進費、472億円の無償修理
費用及び177億円の北米の新工場立ち上げ費によってもマイナ
スの影響を受けました。これらのマイナスの影響は、北米及び
ヨーロッパにおける高い収益により一部相殺されました。
金融サービス事業セグメント
1999会計年度における金融サービス事業の営業利益は383
億円となり、対前会計年度比で71億円( 15.7%)減少しました。
この減少は主に、北米の市場価格の下落をもたらした中古車供
給量の増加を主な原因とする返却車両の再販価値の低下によっ
てもたらされました。これらのマイナスの影響は、車両リース取
39
引の増加により一部相殺されました。
その他の全事業セグメント
1999会計年度におけるその他の事業の営業利益は290億円
となり、対前会計年度比で530億円増加しました。この増加は
主に日本移動通信( 株)の連結による424億円の増加に起因し
ています。
営業外損益
1999会計年度における受取利息及び配当金は878億円とな
り、同会計年度における低金利が原因で対前会計年度比で36
億円( 4.0%)減少しました。
1999会計年度における支払利息は471億円となり、ダイハツ
工業( 株)及び日本移動通信( 株)の連結により対前会計年度
比で103億円(28.1%)増加しました。
1999 会計年度における為替差損益は、対前会計年度比で
617億円増加しました。為替差損益は主に外国通貨建てによる
売上を取引時の為替レートで換算した価額と、先物為替契約を
利用したものを含む同会計年度における決済金額との差額を示
すものです。1999会計年度における為替差益は、主に同会計
年度の後半における円高傾向により前会計年度と比べて好影響
を受けました。
1999会計年度における営業外利益は売買目的有価証券の未
実現利益により335億円増加して473億円になりました。
会計年度における外貨換算調整利益額が507億円であったのに
対して、1999会計年度では外貨換算調整損失額が1,416億円
に上ったことに起因します。1999会計年度の外貨換算調整損失
は、1998年3月31日と比べた1999年3月31日の対米国ドル換
算レートが円高に推移したことに起因しています。未実現有価
証券評価損益は、1998会計年度では1,101億円の損失でした
が、1999会計年度では101億円の利益となり、1999会計年度
におけるその他の包括損失の増加を一部相殺しました。
流動性と資金の源泉
トヨタは、設備投資及び研究開発のための資金を主に事業収
入による現金により調達しています。リースプログラムを含めた顧
客やディーラーへの融資プログラムのための資金については、
営業活動からのキャッシュ・フロー及び金融子会社による借入金
によりまかなっています。金融子会社のネットワークを拡大するこ
とにより、世界中の現地市場で資金を調達する能力を向上させ
るよう努めています。
2000会計年度における営業活動から得た現金・預金( 純額)
は、1兆989億円で、1999会計年度における1兆7,420億円から
減少しています 。この減少
営業活動からのキャッシュ・フロー
は、主に1999会計年度及び
(億円)
2000会計年度における売掛
20,000
金の回収及び買掛金の支払
17,420
いの額及びタイミングに起因
16,000
法人税
しています。
1999会計年度における法人税等は、主に日本の法定税率が
投 資 活 動に 使 用した 現
12,000
10,989
10,475
引き下げられたために、対前会計年度比で331億円減少しま 金・預金( 純額)は、1999会
8,000
した。
計年度においては1兆9,360
億円でしたが、2000会計年
4,000
少数株主持分及び持分法投資損益
度においては1兆3,885億円
連結子会社の少数株主持分損益の増加は、主に1999会計 でした。 この減少は、主に
0
会計年度
1998
1999
2000
年度に新規に買収した会社を連結したことを反映しています。 工場及び設備に対する支出
1999会計年度における持分法投資損益は、主に日本の自動車 の減少に起因しています。
産業の不振により関連会社の純利益が減少したため、前会計
財務活動から得た現金・預金( 純額)は、2000会計年度にお
年度に比べ減少しました。
いては5,503億円で、1999会計年度は3,306億円でした。投資
活動に使用した現金・預金が、営業活動から得た現金・預金より
当期純利益
多額であったため、追加の資金が財務活動から供給されました。
1999会計年度の当期純利益は4,516億円で、対前会計年度 短期借入金の増加は長期の社債の減少( 返済額控除後)により
比で147億円(3.4%)増加しました。
一部相殺されています。
2000会計年度における、オペレーティング・リースの対象とな
その他の包括損失
る車両及び設備を除く設備投資は8,383億円で、1999会計年度
1999会計年度におけるその他の包括損失は、対前会計年度 における当該支出の1兆165億円に対し、17.5%の減少となりま
比で793億円( 133.4%)増加しました。この増加は、主に1998 した。設備投資の減少は、現地生産化の進展に合わせたいく
40
固定資産の購入(億円)
つかの 海外の大規模な 生産
拠点の拡張が1999会計年度
12,000
において完了したことによりま
10,165
す。2000会計年度において、
10,000
オペレーティング・リースの車
8,383
8,127
8,000
両及び 設備に対する支出合
計は5,384億円であり、1999
6,000
会計年度における7,148億円
4,000
と比べて24.7%減少しました。
2,000
2001会計年度においては、
リース車両を除く設備投資額
0
会計年度
1998
1999
2000
を約8,200 億円にまで減少さ
せる予定です 。設備投資予
定額には現地生産化の一環である継続的な海外投資の拡大に
必要な約900億円が含まれています。
現在入手可能な情報による限り、環境問題がトヨタの2001年
における財務状況、業績、資産の流動性もしくはキャッシュ・フ
ローに重大な影響を及ぼすとは考えておりません。
現金及び 現金等価物は 、
2 0 0 0 年3 月3 1 日時点で1 兆
現金・預金及び現金等価物期末残高
(億円)
5 , 2 9 3 億 円で した 。ま た 、
20,000
2 0 0 0 年3 月3 1 日時点におけ
る定期預金は928億円、市場
15,293
性のある有価証券は5,909億
15,000
13,341
12,265
円でした。
トヨタは、現金及び現金等
10,000
価物、定期預金、市場性の
ある負債証券及び信託ファン
5,000
ドへ の 投資を総資金量と定
義しており、2000会計年度に
0
会計年度
1998
1999
2000
おける総資金量は1,625億円
( 5 . 4 % )増加し、3 兆1 , 9 6 5
総資金量(億円)
億円となりました。
(現金及び現金等価物、定期預金、市場性の
2 0 0 0 会計年度における、
ある負債証券及び信託ファンドへの投資)
受取手形及び売掛金( 純額)
40,000
は、455億円(3.9%)増加し、
31,965
30,339
1兆2,192億円でした。
30,000
27,017
2000 会計年度における金
融債権( 純額)は、2 , 9 8 2 億
20,000
円( 1 1 . 1 % )増加しました。
これは、主に自動車リースの
10,000
オペレーティング・リースから
ファイナンス・リースへの移行
0
会計年度
に起因しています。2000年3
1998
1999
2000
(賃貸リース資産を除く)
月31日時点で、金融債権の地域別内訳は、北米66.4%、日本
19.7%、ヨーロッパ7.4%、その他の市場6.5%でした。特定目
的子会社を通じて金融債権を販売するプログラムを維持し、同
プログラムのもとで2000会計年度において1,258億円の金融債
権を売却しました。トヨタは定期的に国際資本市場において、
自動車の販売やリースの融資プログラムへの資金を調達してい
ます。
2000会計年度における有形固定資産は、主にリース車両の
減少及び為 替 換 算 損 失により3,014億円( 6.1% )減少してい
ます。
2 0 0 0 会計年度における支払手形及び買掛金は、5 9 5 億円
(4.8%)増加しました。
2000会計年度における借入金合計額は、3,034億円( 6.3%)
増加しました。2000会計年度における短期借入金は、2,461億
円( 22.1%)増加して1兆3,598億円になりました。2000会計年
度の1年以内に返済期限の到来する長期借入債務は、1,413億
円( 21.1%)増加して8,117億円となり、長期借入債務は840億
円( 2.8%)減少して2兆9,138億円になりました。2000年3月31
日時点で、長期借入債務の約37%は米国ドル建て、37%は日
本円建て、26%はその他の通貨によるものでした。
1999年3月31日時点におけるトヨタの自己資本に対する金融
負債比率は71.8%でしたが、2000年3月31日時点ではその比
率は73.6%となりました。
2000 年3 月31 日時点で、未積立年金債務は7,981 億円で、
これは主に親会社及びその日本の子会社に関連したものです。
未積立額は主に、対象従業員のそれぞれの退職日に積立てら
れます。2000会計年度における年金給付債務への支払い総額
は、841億円でした。トヨタは2000年9月30日までに年金基金を
受益者とした信託を設定し特定の市場性ある有価証券を当該信
託に拠出することを予定しています。これらの拠出は未積立て
年金債務を減少させる結果となります。それに加えて、トヨタは
この市場性ある有価証券の拠出により有価証券ポートフォリオに
おける未実現評価益の一部を実現させる結果となることを予想し
ています。
長期借入債務は、2 0 0 0 年3 月3 1 日時点で、S t a n d a r d &
Po o r ’s R a t i n g G r o u pによって「 A A A 」 、M o o d y ’s I n v e s t o r s
Serviceによって「Aa1」、と格付けされています。これらの格付
けは、Standard & Poor’sによる長期借入債務の最高格付けで、
Moody’s Investors Serviceによる二番目に高い格付けです。株
式の格付けは株式の購入、売却もしくは保有を推奨するもので
はありません。また、株式の格付けは何時においても撤回もしく
は修正され得ます。各格付けはその他の格付けとは個別に評価
されるべきです。
金融政策の主要な要素は、収益の短期的変動に左右されず
41
株主資本(億円)
費用効率の高いベースで
研究開発活動、設備投資
80,000
69,121
及び 金融事業に投資でき
66,553
65,449
るような、安定した財務ベ
60,000
ースを維持することです 。
トヨタは高い信用格付けを
40,000
維持することにより、引き
続き多額の 資金を比較的
20,000
安いコストで外部から調達
することができると考えて
0
会計年度
1998
1999
2000
います 。高い 格付けを維
持する能力は、数多くの要
因に左右され、その中にはコントロールできないものも含まれて
います。これらの要因には、日本及びトヨタが事業を行なうその
他の主要な市場の全体的な景気、並びにトヨタの事業戦略を成
功させることができるかなどが含まれています。
書第133号は、2001年4月1日以降適用されます。基準書第133
号は、すべてのデリバティブ商品を公正価額にて貸借対照表に
表示することを要求しています。デリバティブがヘッジ取引の一
部としての取引かどうか、またヘッジ取引の種類によって、デリ
バティブの公正価格の変更は各期間における当期利益もしくは
その他の包括利益として計上されます。ヘッジの無効となった部
分は収益として計上されます。現在基準書第133号の適用によ
る業績及び財務状況への影響を査定中です。
1 9 9 9 年1 2 月に、証券取引委員会が職員会計公報( S A B )
101 号「 財務諸表での収益認識」
( SAB101)を発行しました。
SAB101は、財務諸表での収益認識問題に関して一般に公正
妥当と認められた会計原則の適用の指針を規定します。トヨタは
規定に従い2001年3月31日に終了する会計年度の下半期より
SAB101を採用しますが、現在連結経営成績及び財政状態に与
える影響を評価中です。
市場リスクに関する定量および定性情報の開示
廃棄自動車に関する法律
トヨタは、為替相場、金利、特定の商品先物及び株価の変
動による市場リスクにさらされています。為替相場及び金利の変
動によるリスクを管理するために、トヨタは様々な派生金融商品
を利用しています。
デリバティブ商品に関するトヨタの会計処理の詳細は、当該
アニュアルレポートに含まれる連結財務諸表の注記2に記載され
ており、さらに同財務諸表の注記19に関連する情報が開示され
ています。
トヨタは、金融市場が予測不可能であることを認識した上で、
業績に悪影響を及ぼし得るリスクを軽減するための総合的リスク
管理プログラムを設け、その重要な一環として、このような財務
的リスクの監視及び管理にあたっています。
最近の米国会計基準に関する公表
市場リスク分析に含まれる金融商品は、全ての現金及び現金
等価物、市場性のある有価証券、金融債権、投資、短期・長期
1998年6月、米国財務会計基準審査会( FASB—Financial 借入債務、
及び全てのデリバティブ金融商品により構成されます。
Accounting St andards Board)は、
「デリバティブ商品及びヘ デリバティブ金融商品のポートフォリオには、金利スワップ、金利
ッジ 活 動 の 会 計 処 理 」
( A c c o u n t i n g f o r D e r i v a t i v e オプション、為替スワップ、先物取引及び為替オプション取引が
Instruments an Hedging Activities)に関する財務会計基準書 含まれます。デリバティブ・ヘッジの対象となる外国通貨建ての
第133号(基準書第133号)を公表しましたが、財務会計基準書 予定取引は市場リスク分析には含まれていません。オペレーティ
第137号「 財務会計基準書第133号の適用の延期」
( Deferral ング・リースを含めることは要求されていませんが、金利リスクの
of the Effective Date of FASB Statement No.133)を公表し、 評価にあたり同リースを含めています。
さらに「 特定のデリバティブ商品及び特定のヘッジ活動の会計処
理― 財 務 会 計 基 準 書 第 1 3 3 号の 修 正 」
( A c c o u n t i n g f o r 為替レート・リスク
トヨタは、事業を行なう現地の通貨以外の通貨による売買及
Cert ain Derivative Instruments and Cert ain Hedging
Activities-An Amendment to FASB Statement No.133)に関 び融資に関連して為替リスクを負います。すなわち、外国通貨
する財務会計基準書第138号を公表しました。修正された基準 建ての事業によるキャッシュ・フロー及び様々な金融商品を原因
ヨーロッパ議会は、各自動車メーカーが販売した自動車の解
体及びリサイクルを義務付ける廃棄自動車に関する法令化の審
議を行っており、1999年7月に議案書を発行しました。2000年5
月に同議案書は、各自動車メーカーは2002年7月1日からはそ
れ以後に販売した自動車を対象に、また2007年1月1日からは
販売した年に関わらず全ての販売した自動車を対象に各自動車
メーカーが廃棄費用を負担する旨に修正されました。この議案
書の法令化はEU内でのトヨタの自動車販売に影響を与えるもの
であり、トヨタは現在議案書の財政状態及び経営成績に与える
影響について検討を行なっています。
42
とする将来における収益もしくは資産及び負債に関連する為替
リスクにさらされています。最も影響を受ける為替リスクは、米
国及び西欧諸国に関連するものです。
トヨタは、為替相場の変動に対するリスクを評価する為、バリ
ュー・アット・リスク( value-at-risk)法を採用しています。合計し
た為替のバリュー・アット・リスクは税引前利益における潜在的損
失を示すものであり、1999年及び2000年の3月31日の時点で、
それぞれ114億円、67億円と予想されます。トヨタの総合的な為
替相場のエクスポージャー( デリバティブを含む )に基づき、
2000年3月31日に終了する一年間の為替変動による税引前キャ
ッシュ・フローに対するリスクは、最高109億円、最低67億円、
そして平均値は86億円でした。
バリュー・アット・リスクは分散・ 共分散モデルを利用して、10
日間の保有期間を想定した認識日における信頼レベルを95%と
して換算されたものです。トヨタは、分散・ 共分散モデルを利用
して算出されたバリュー・アット・リスクをリスク管理で使用するこ
とを決定したため、以前利用していたモンテ・カルロ・シュミレー
ションから分散・ 共分散モデルに変更しました。
211億円であると予想されます。
以上で言及した感応度分析( 金利・相場をシュミレーションす
る分析手法)には特定の欠点があります。同モデルは、金利が
イールドカーブと同時に平行して変動すると仮定しています。実
際には、変動が同時に起こることはほとんどありません。特定の
資産及び負債は同様の満期もしくは再値付け期間を有しても、
それらは市場金利の変動とは同様に対応しない場合もあります。
また、特定の資産及び負債に対する金利は市場金利レートの変
動に連動する場合もあれば、他の資産に対する金利は市場金
利レートの変動に遅れて変動する場合もあります。金融債権は、
金利が変動した場合の前払いリスクが少ないため、トヨタが採
用している同モデルでは、自動車関連の金融債権における前払
いリスクに言及していません。しかし、金利が変動した場合、
実際のローンの前払いがモデル上の仮定条件と大きく異なること
も考えられます。
金利リスク
株価リスク
トヨタは、融資活動、投資活動及びキャッシュマネジメント活
動において金利変動リスクにさらされています。金利変動リスク
を望ましいレベルに維持するため、また、利子を最小限に抑え
るために、トヨタは様々な金融商品取引を行っています。具体
的には、特定の先物為替取引及びオプション、金利キャップ及び
フロア、並びに様々な投資を行っています。金利が100ベース・
ポイント上昇したと想定した場合の金融商品の潜在的な減少額
は、1999年及び2000年3月31日の時点で、それぞれ156億円、
トヨタは、価格リスクの影響を受けやすい様々な売却可能証
券及び売買目的証券への投資を行っています。これらの投資の
公正価額は、1999年3月31日の時点で8,567億円、2000年3月
31日の時点で1兆298億円であります。これらの投資の公正価
額は、価格が10%変化したと過程した場合、1999年3月31日の
時点で857億円、2000年3月31日の時点で1,030億円変動し得
ます。
商品価格リスク
商品取引に関するリスクは微少です。
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