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学習メモ
政治・経済
学習メモ
「経済分野」オリエンテーション
第 18 回
あなたが経済を考えるために
講師:篠田健一郎
今回学ぶこと
高校講座「政治・経済」では、第 18 回から第 35 回は「経済分野」の学習を進めて
いきます。みなさんは「経済」について考えたことはあるでしょうか? 今回は経済を
考えるため、学習していくためには、どうすればいいのかを考えていきます。
なぜ経済分野を学ぶのか?
高校生の皆さんはやがて働くことになります。働くことはお金を稼ぐことを意味します。
▼
稼いだお金で生活に必要な物やサービスを買ったり、将来に備えて蓄えたりします。こうし
た経済活動は私たちの毎日の暮らしに欠かせない活動です。世の中を、人の動き、物やサー
ビスの動き、情報の動き、お金の動きからとらえることで、私たちが生きている現代の社会
を考えるのが「経済分野」の学習です。皆さんの行動はさまざまな形で経済にかかわってい
るんです。
このように経済を学ぶことで、私たちの日々の暮らしが「経済」に深くかかわっているこ
とを確認しましょう。
経済分野を学ぶと見えてくるもの
皆さんがもつ時間は無限ではありません。その限られた時間を働く時間と自由に過ごす時
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高校講座・学習メモ
政治経済
あなたが経済を考えるために
間とに分けていると考えることができます。
働けば収入は確保できますが、自由に過ごす時間は減ります。自分が仕事に費やせる時間
や能力などと比べて納得のいく給料を得られるので、私たちは自由な時間削って働くことに
します。働いて得たお金から生活に必要な物やサービスを買い、将来にそなえて蓄えたりし
ます。
* * * ほしい人がたくさんいるけど、ほしがるだけ提供できない物やサービスについて取り引き
が成り立ちます。皆が好きなだけ使ってしまうと足りなくなること「希少性」といいます。
「希
少性」があるので「交換」する必要が生じます。「交換」にあたっては正当な対価が必要と
なります。この「交換」の条件をお金であらわすと「価格」となります。「交換」によって
失うものを「費用」といい、得るものを「利益」いいます。私たちは最小の「費用」で最大
の「効果」を得られるように行動します。「Aを得るためにはBを失う」というとき「Aと
Bはトレード・オフの関係にある」といいます。世の中、AもBもほしいけれど、一度に両
方手に入れられないことは少なくありません。取り引きが成り立つというのは売り手も買い
手も「失われるものより得られるものが大きい」と考えているのです。
こうして「経済分野」を学習していきますと、ふだん、何気なく過ごしている毎日の生活
が新しく見えてきませんか。皆さんの社会を見る目がさらに鋭くなることでしょう。
▼
考えることは楽しい
私たちを取り巻く社会環境は複雑になり難しくなるばかりです。世の中のことに目を向け、
何が正しくて何が間違っているのか、私たちは何を求め、どう生きるべきなのかを自分で考
えて行動することが大切です。自分のことばで 1 つずつ考えを深めていければ、今まで見
落としてきたさまざまなことが見えてくるはずです。そうなると学ぶことは喜びになります。
知ることが楽しいと感じられることでしょう。
社会全体の豊かさや満足度を経済厚生といいます。取り引きは経済厚生を上昇させます。
取り引きは分業をもたらします。分業すれば、私たちは得意分野で力を発揮できますから、
社会全体とすれば物やサービスがたくさんつくりだされることになります。生産性を上げる
こともできます。
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高校講座・学習メモ
政治経済
あなたが経済を考えるために
経済を考えるときの課題は3つあります。
1 つ目は効率的な生産活動を展開するにはどうしたらよいかを考えることです。これは成長
政策を考えることです。2 つ目は私たちのもつ生産力と現実の経済活動のずれはなぜ起こるの
か、ずれを回避するにはどうしたらよいかを考えることです。これは景気対策とか安定化政策
を考えることです。3つ目は貧しい人と豊かな人の格差をどう縮めるかを考えることです。ど
の程度まで合理的な格差を受け容れるか、公平や公正を考えることです。これは再分配政策です。
経済政策ということになると「政治分野」で学んできたことともおおいに関連します。「政
治分野」で学んできたことと、これから「経済分野」で学ぶこととをあわせていろんな「発見」
ができることでしょう。
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