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環境経営報告書2006
S U S T A I N A B I L I T Y R E P O R T 環 境 経 営 報 告 書 2006 松下エコシステムズグループ 松下エコシ ステム ズグ ル ープの 事業領域 事業領域 事業内容 松下エコシステムズグループは、松下グループの ■換気事業 事業分野のうち、環境システム分野を担当してい ます。 環境システム分野として、換気事業、環境エンジ ニアリング事業、家電空質事業を事業領域とし、 同時給排 24 時間換気扇 (Q-hiファン) 機器・システムの開発、製造・販売およびサービ 天埋換気扇 全熱交換気ユニット スエンジニアリングを展開しています。 移動通信 固定通信 レンジフード カーエレクトロ ニクス AVC 全館換気システム ■環境エンジニアリング事業 システム AVCネットワーク分野 FA ア プ ラ イ ア ン ス 分 野 G&G本社 日本ビクター (グローバル&グループ) 松下電工 パナホーム 家庭電化/ 住宅設備/ 健康システム 産業用水処理装置 環境 システム ハイブリッドタワー 「風かもめ」 クリーンルーム機器 土壌・地下水浄化 半導体 ■家電空質事業 電池 電子部品 モータ 空気清浄機 デシカント方式除湿乾燥機 ハイブリッド方式除湿機 加湿機 会社概要 ■社 名 松下エコシステムズ株式会社 ■英 文 社 名 Matsushita Ecology Systems Co.,Ltd. ■本社所在地 〒486-8522 愛知県春日井市鷹来町字下仲田 4017 番 TEL 0568-81-1511 (代表) ■設 立 1956年 5月15日 ■社 名 変 更 2003年1月1日 ■資 本 金 120億 9,236万円 (2006年3月31日) 01 携帯基地局冷却 照明 デバイス分野 ディスプレイ デバイス 道路電気集塵 システム機器 天井扇 松 下エコシ ステム ズグ ル ープ 環境経営報告書 2006 編集方針 CONTENTS ■ 本報告書は、松下エコシステムズグループの目指す方向性および2005年度 の環境・社会に関する主な活動成果をご紹介しています。 トップメッセージ ■ 本報告書以外に、環境に関する詳細な情報を当社ホームページ上に掲載し 03 04 ていますので、併用してご覧ください。 http://panasonic.co.jp/mesc/environment/ ■ 松下エコシステムズグループは、松下グループの環境方針に沿って環境保 全活動を推進しています。本報告書では、松下エコシステムズグループ独自の 取り組みをご紹介します。 ビジョンと戦略 対象範囲 05 06 対象期間:2005 年度(2005 年 4 月∼ 2006 年 3 月) 対象組織:松下エコシステムズ株式会社と 国内・海外主要関係会社(主要データについて) ●松下エコシステムズ(株) ●松下環境空調エンジニアリング(株) ●大阪松下エコシステムズ(株) 特集:社内ワークショップ ●湘南松下エコシステムズ(株) 07 08 ●小矢部松下エコシステムズ(株) 09 ●松下エコシステムズ共栄(株) ● (株)ベンテック 10 ●松下ナベック(株) ●松下エコウェル(株) ●パナソニックエコシステムズ香港(株) 環境経営の実践 ●パナソニックエコシステムズ広東(有) 11 12 ●パナソニックエコシステムズ広東(有)北京分公司 ●パナソニックエコシステムズタイ(株) 13 参考にしたガイドライン 14 ●環境省「環境報告書ガイドライン 2003 年度版」 ●グローバル・リポーティング・イニシアティブ(GRI) 環境報告サマリー 15 16 社会性報告サマリー 17 補足情報について 18 「サステナビリティ・リポーティング・ガイドライン 2002」 【お問い合わせ先】 松下エコシステムズ株式会社 クオリティセンター 【発行人】クオリティセンター 所長 高橋 正雄 ●ご意見やご質問はこちらまでご連絡ください。 【担 当】クオリティセンター 清水 重文 〒 486-8522 愛知県春日井市鷹来町字下仲田 4017 番 TEL:0568-81-1511 FAX:0568-83-8422 ●インターネットでのお問い合わせは、当社ホームページよりお願いします。 https://sec.panasonic.co.jp/mesc/support/goiken.html 2006 年 9 月発行 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 02 トッ プ メッ セ ー ジ 環 境 技 術 で 持 続 可 能 な 社 会 を 築 い て い くこ と が 私 た ち の「 社 会 的 責 任 」で す 。 松下エコシステムズ株式会社 代表取締役社長 登山家にとっては憧れの山であるスイスにあるアイガー氷壁が崩落する というニュースを先日聞いて、大変ショックを受けました。私もこれまでに 二度訪れたことがあるのですが、原因は地球温暖化によるものと言われて います。何万年もかかってつくられた地球上の美しい光景が、産業革命以降 の人間の活発な経済活動により、無惨な姿へと変貌しています。 けれどもマスコミなどの影響もあり、最近では多くの人が地球環境問題 に関心を持ち行動を変え始めているように見受けられます。LOHAS(Lifestyle of Health and Sustainability)という、自分や家族の健康と同時に地球 環境にも配慮した暮らしを送ろうという生活スタイルが大きな注目を集め るようになってきていますが、この“LOHAS”の良いところは、肩ひじを 張らずに、できるところから、楽しみながら取り組めることです。小さなこと からでもまずは始めてみることが、第一歩になると信じています。地球環境 問題は、人類が一丸となって取り組まなければならない困難な課題ですが、 あきらめないこと、そして関心を持ち続けることが非常に重要だと考えます。 松下エコシステムズグループは、 2010年に向けて我々が目指す姿として 「2010 年ビジョン」を 2001 年 10 月に策定しました。 「環境技術立社の 確立」と「グローバル企業の実現」という中期経営目標で定めた考え方の もと、 「環境技術で社会生活の改善と向上を図り、地球環境と共存できる 社会づくりに貢献する」というビジョンを掲げ、その実現に向けて日々取り 組んでいます。 地球環境との共存を目指す当社グループにとって、持続可能性とは、すな わち地球環境の改善に尽くし、持続可能な社会づくりに寄与していくこと。 松 下 グ ル ー プ の 環 境 事 業 を 担 う 会 社 と し て 、環 境 負 荷 の 少 な い 製 品 や サービスを社会にご提供することこそ、私たちの「社会的責任」であると 認識しています。 03 2005年度の当社グループの大きな出来事として、 換気扇の国内生産累計が 1億台を達成しました。 これは1958年の発売以来、 約50年にわたる日々の社 員のたゆまぬ努力の積み重ねであると同時に、 お客さまのご要望にお応えし信 頼を得てきた証であると言えます。 けれども潜在的なニーズも含め、 お客様が本 当に必要としているもの、 ご要望はまだまだ数多く存在していると考えています。 例えば、 「汚泥削減装置」 「マイクロアレイ/アムテクリーン」などは、水や 2006年1月、株式会社イースクエア の社長であるピーター・D・ピーダーセ ン 氏 と の 対 談 が 行 わ れ ま し た 。ピーダ ーセン氏は2002年、LOHAS(Lifestyle of Health and Sustainability / 土壌の中に生きている有用な微生物を探し出し、活性化して働かせること 健康かつ持続可能な生活スタイル)の で、排水処理場の余剰汚泥を減らしたり、汚染土壌の有害物質を分解する 考え方を日本に初めて紹介した方で、 ことができます。自然をうまく利用することで、余分なエネルギーや薬品を 松下エコシステムズグループの事 業 使わないなど、環境に配慮した技術を開発しています。このように低コスト 領 域 で あ る「 空 気 、水 、土 の 浄 化 」が 、 で浄化技術を提供していくことが可能になれば、全国にある中堅・中小企業 LOHAS の思想と共通するということ の方々のお役に立てると考えています。本当に必要とされているところに で対談に至りました。 製品やサービスをお届けするという考え方は、松下グループに流れる精神 ピーダーセン氏からは、 「社名の “エコ そのものであり、当社グループとしても実践していきたいと考えています。 システムズ”は直訳すると “生態系”とい う意味にもなり、生態系の未来を担お うという企業姿勢がはっきりと伝わっ てくる良い名前だ」という言葉をいた 私は、社員との対話を業務に関する情報交換としてだけでなく、問題の 発見や解決の必要不可欠の手段として位置づけています。新入社員との 懇談会を催し、直接話をすることはもとより、社内イントラネットに設けた 社長ブログなど、さまざまなコミュニケーションの方法を取っています。 だきました。また、 「世界の人口は確実 に増加し、2050 年には 100 億人を超 えると言われている。人々の生活レベ ルも向上するため、地球への負荷はと てつもないものになる。それを解決し 「対話すれば必ず分かり合える」という信念のもとに、社員と同じ目線に立 ていく技術・商品は必須で、環境ビジネ っての意思疎通を心がけています。 スも大きく伸びる。松下エコシステム また、社員間の対話も問題提起や解決における重要な要素の一つです。 ズグループへの期待はとても大きい。 今年7月には 2030 年の地球環境および社会を想定し、2030 年に私たち 未来に向けて是非がんばっていただき ができることは何かを社内のワークショップとして討論しました。現在の たい」というエールをいただきました。 技術や事業といった固定観念にとらわれず、長期的な視点に立ち、本質が 何かを見極めた上で考え抜くことが、私たちの取り組むべき課題の最善の 解決方法だと思います。このワークショップからは、 「CO 2 固定」や 「自然 エネルギーの活用」など、たくさんのアイデアが発表されました。この議論 の過程や結果など内容については、本報告書でご紹介いたします。 本報告書は、私たちが環境に対して取り組んできた進捗状況を記載して います。今後も松下グループの環境ドメインを担う企業として、未来の社会 ピーダーセン氏との対談風景 に対して高い技術力でお役立ちできる企業を目指してまいります。 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 04 ビ ジ ョン と 戦 略 商業ビルに納品した屋上緑化 松下エコシステムズグループは、2010年に向けて「環境技術で社会生活の 改善と向上を図り、地球環境と共存できる社会づくりに貢献します」という ビジョンを掲げ、取り組んでいます。 このビジョンを実現するためには「環境技術立社の確立」と「グローバル企業 の実現」が必要と考えています。これを表現したスローガンが「G&ET(Global & Environmental Technology)」です。 松下エコシステムズグループは、会社は「社会の公器」であることを自覚し、 世界のお客様のために以下の4つの使命を果たしていきます。 会社は「社会の公器」と自覚し、世界のお客様のために ● 空気・水・土の浄化技術で社会に貢献します ● 環境に配慮した安全・安心な商品でお役に立ちます ● 従業員・関係先・地域とともに成長・発展します ● 真摯で公正な「スーパー正直」の事業運営を行います 05 環境技術立社を確立するためには、自社が強みとする技術を強化していくこと が不可欠です。松下エコシステムズグループは、 「空気・水・土の浄化」を軸に バイオ技術、触媒技術など10の技術をコアコンピタンスとして環境浄化技術 の研究開発を進めています。 また、2004年5月には、重点技術の開発推進を支える高度な設備を備えた 技術棟を本社に新設し、技術部門を集約しました。 バ イオ 技 術 空気質技術 除湿加湿技術 センシング&コントロール技術 触媒技術 環境技術 パワーエレクトロニクス技術 フィル タ ー 技 術 熱交換技術 換気技術 送風技術 2006年4月に、環境事業の拡大を加速していくための体制として松下エコシ ステムズグループと松下環境空調エンジニアリングが一体となり、開発専任部隊 である「環境開発グループ」を発足させました。また同時に当社グループの環 境システムビジネスユニット、研究所、営業本部と松下環境空調エンジニアリン グが参画する組織横断的な仕組みとして「環境事業企画委員会」を設置しました。 さらに、2006年度からは、日本・中国・マレーシアを基本にグローバルな技術 開発体制を強化していく考えです。 環境事業企画委員会 営業本部 松下環境空調 エンジニアリング 研究所 環境システム ビジネスユニット 環 境 開 発 グ ル ープ ( タ ス ク フォ ー ス 推 進 体 制 ) 松下エコシステムズグループは、国内のみならず海外にも積極的に展開して います。世界6カ国・7カ所に生産拠点、4カ国・7カ所に販売拠点があり、世界 50数カ国で当社の製品が販売されています。 日本で培った技術を活かし海外へ積極的に展開していくことで、世界中の 「空気・水・土の浄化」に貢献していきます。例えば、スペインのマドリッド市 では高速道路電気脱硝システムによりトンネル周辺の排気ガスの浄化に貢献。 世界的に普及が進む携帯電話については、冷却装置により携帯電話基地局の省 エネルギーを実現。その他、家電製品なども各国の文化にあわせたデザインや 仕様で展開しています。 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 06 特 集:社 内 ワ ー クショップ 持続可能な社会に向けて 松 下 エ コシ ス テ ム ズ グ ル ー プ は 何 を す る べ き か 2030 年、世界は果たして持続可能な社会になっているのだろうか? 持続可能な社会とはどのような社会で、そこに辿り着くためには 何をすればよいのか? 持続可能な社会を実現するために、当社に何ができるだろうか? こうした疑問について、私たちは社内ワークショップを開催し、2030 年に 松下エコシステムズグル ープが事業を通じて何ができるかを話し合いました。 ワ ー クショップ の 概 要 参 加 者:全社員に対し参加と提案を募集。各職能・階層から幅広い年代の男女計18 名が参加。 実施方式:3 グル ープに分かれてディスカッション 今回のワークショップを行うにあたり、議論するテーマを“持続可能な社会 に向けて松下エコシステムズグループは何をするべきか”としました。ただ、 「持続可能な社会」というのは非常に漠然としています。 「持続可能な社会」を い つ 実 現 す る の か と い う 明 確 な 目 標 が 必 要 と 考 え 、議 論 す る 時 代 の 設 定 を 2030 年としました。 この 2030 年という設定には、いくつかの理由があります。今から約 20 年 間という期間は、ちょうど生まれた子が成人になる一つの世代に相当する期間 であること。技術の発展をある程度予測できるとともに、構造的変革を行う のに十分な時間であること。また、地球温暖化による気候変動の影響が高まる と予測されているのもこの時代であること。何より参加者が長期的な視野に 立って大局的に物事を見ることが大変重要だと考えたからです。 ここでは、当社グループの社員たちが、2030 年に向けて自分たちに何が で き る か を 真 剣 に 議 論 し た プ ロ セ ス と 結 果 を 掲 載 し て い ま す 。ま た 、こ の ワークショップで得られた結果は中期計画に反映させていきます。 ■ワークショップの流れ 2 0 3 0 年 の 地 球 環 境・ 社 会情勢はどのように なっているだろうか 持続可能な社会とは どのような 社 会 か 持続可能な社会において 必要とされるビジネスは 何か 取り組むべ きことの 優先順位付け 人口問題、地球温暖化、 食糧・水問題など、科学 持続可能な社会のイメ 現在の問題を解決する 各グル ープから出た意 ージを 参 加 者 全 員で ような製品やサービスを 的根拠に基づく将来予 見に対し、短期的に取り 共有 柔軟な発想で意見交換 組 む か 、長 期 的 に 取り 測からサステナビリティ 組むか優先順位を投票 について現状把握 空気・水・土の3グループ に分かれ、グループごと に具体的な事業を提案 07 中 期 計 画 に 反 映 ワークショップで最初に行ったことは、2030 年の地球環境や社会情勢は一体どのような状況になって いるのかを理解することでした。中でも科学的な根拠に基づいて起こる確率が高いと予想されている 「人口問題」 「地球温暖化」 「食糧・水問題」などを取り上げました。 1 * に達すると予想さ 例えば、世界の人口について国連によれば、2050 年までに約 89 億人(中位予測) れています。また、人口増加の多くはアジアやアフリカなど開発途上国が占めるということも予測され ており、こうした国々も含め地球上すべての人が現在の先進国と同じような生活を送りたいと思うよう になれば、地球の許容量を超えてしまうことは明らかです。また、近年、最も深刻な影響が懸念されている 地球温暖化。欧州連合(EU)では、気温上昇が工業化以前の平均気温と比較して 2℃を超えると、地球規模 2 での気候リスクが急激に増大するという研究結果 * から長期的な目標を定めていることなど、私たちも含 め世界全体で地球温暖化に早急に取り組む必要があることを再認識しました。 *1 出典:国連「世界人口白書」 *2 出典:「気候ターゲット+ 2℃」ダイヤモンド社 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 08 特 集:社 内 ワ ー クショップ STEP1.で現在の延長線上では持続可能な社会は不可能だということを認識した私たちは、次に「では、 どのような社会が持続可能な社会なのか」ということを考えました。この手法は“バック・キャスティング ” と呼ばれ、最初に望ましい未来を設定し、その未来を実現させる戦略を検討するというものです。望ましい 未来像を、ワークショップの参加者全員が思い描き、そして共有することが重要なポイントでした。 参加者から出た意見として、地球温暖化問題については、温室効果ガス(主に CO 2 )を排出しない再生 可能エネルギーへの転換の必要性が話題として多くあがり、 「燃料電池や太陽光発電、バイオマス発電 などの技術開発により水素燃料、再生可能エネルギー社会へ移行している」 「小規模発電所が主流となり、 エネルギーが地産地消されている」といった意見が出ました。また、食糧・水問題については、日本において は食糧自給率の低さに関する意見が多く「農業や漁業が見直され、自給自足のライフスタイルが実現して いる」、また世界全体でみると食糧の分配や先進国における食生活の見直しについて「肉中心から野菜中心 の食生活になっている」、また「海水から淡水化への技術が普及し、水不足が解消されている」といった意見 が出ました。そして、医療・介護の問題については「情報技術の発展により遠隔地での医療や健康管理が 可能となっている」 「予防医学が発達し病人自体が減る」 「高齢者の医療費負担がない社会」など技術的な ことから制度的なものまで幅広い意見が寄せられました。 この議論から分かってきたことは、技術革新といったハードの側面とともに、ライフスタイルや意識に かかわるソフトの側面の両面からのアプローチが重要であり、また現状から大きな転換が必要な場合もある ということでした。 持続可能な社会を描いた後、 「では、その社会を実現するにはどのような製品やサービスが必要なのか」 さらに、 「その中で松下エコシステムズグループとして貢献できる製品・サービスは何か」を考えました。 このテーマを考えるにあたっては、松下エコシステムズグループが得意とする空気・水・土というテーマで 3 つのグループに別れ、話し合いました。 参加者から出た意見として、 “空気”では、CO2 をうまく活用していこうという逆転の発想から「CO2 から エネルギーへ転換することはできないだろうか」、 「バイオ技術により CO2 を大量に吸収・固定できる植物 を手軽に栽培できないだろうか」などの意見が出ました。また、 “水”では世界的な水不足の危機を解消 できないかという視点から「海水を容易に淡水に変換できれば、利用できる水は飛躍的に増えるのでは ないか」、 「河川などの水を簡単にろ過でき、安全な飲み水を安価に提供できないか」 といった意見が出ました。 そして、 “ 土” では土壌が汚染されている場所を特定するための調査を行うにあたり、今後は土地の売買に からむ需要が増加することから「土壌汚染をシュミレーションできないか、簡易に調査できないか」、また 世界全体では砂漠化が進行していることから「バイオ等の自然の力を利用して緑化できないか」といった 意見が寄せられました。 09 最後に、参加者は各グループより発表された取り組み項目について、地球環境や社会の抱える課題の 重要性や緊急性などを踏まえて、松下エコシステムズグループが「今すぐ取り組むこと」と「長期的に取り 組むこと」に分けて投票による優先順位を付けていきました。 現在の松下エコシステムズグループが有している技術にさらに磨きをかけていくべきものは何か、提供 する市場を国内から世界全体へと広げて考えた場合に見込みのあるものはどれか、大きな技術革新が必要 だが時間をかけても社会・環境問題を解決していくために期待されているものは何か、さまざまな想いを 巡らしながら各人が投票を行いました。結果については、下記の表のとおりです。 ■取り組むべきことの優先順位付け 空 気 今すぐ取り組む 長期的に取り組む 水 土 環境技術を継承していくための人づくり 灌漑用水を循環させ再利用できる技術 工期・コストが低減できるオンサイトの 土壌浄化技術 エネルギー変換効率を高め、経済性ニーズ に合った再生可能な自然エネルギー技術 病原性微生物・有害物質をろ過し、安全な 飲み水を簡単・安価に提供できる技術 精度の高い土壌汚染シュミレーション 技術および簡易な調査技術 太陽光やバイオマス発電が標準装備されていると ともに、家庭内で利用されているエネルギーを循 環利用できる完全ゼロエネルギー住宅の共同開発 雨水・生活排水・結露などを水処理し、 家一軒分の生活用水がまかなえる技術 家庭でも利用できる小規模な地熱発電 技術 CO2をエネルギーに変換する技術 容易かつ小規模な設備で海水を淡水 に変換できる技術 バイオ等の自然の力を利用して不毛に なった土地を再び農地に再生する技術 松下エコシステムズグループは、事業領域そのものが地球環境と大きく関わっています。そのため、全ての従業員がこの美しい地球を 未来に残していくためにどうしたらよいかを考えながら仕事に携わっています。今回は、経験や知識を共有しながら互いに学び合う 「ワークショップ」という形式を用いて、松下エコシステムズグループが「持続可能な社会」の実現のためにできることを議論しました。 ワークショップの参加者が、実現可能な時期と具体性を踏まえて優先順位を付けた取り組み項目は今後、松下エコシステムズグループ が開発していく環境技術の参考とします。そして、短期的および長期的に取り組むと優先順位を付けたように、中・長期計画で2030年 の地球環境保護に貢献し持続可能な社会の実現に資することができるように、環境技術の研究開発に努め、安全で環境にやさしい商品や サービスで社会の要請にお応えしていきます。 環境技術研究所 経営企画グループ 健康空質 ビジネスユニット 岡 卓也 田中 玲子 松岡 俊介 子供の頃、21世紀になったらどんな世の中 私が参加した “土” をテーマにしたチームで になるか考える機会があり、わくわくした思 は「自然の力で」というキーワードが印象的 日頃は通常業務に追われがちになってしまい、地 球環境ならびに当社のあり方を考えることがで い出があります。 でした。例えば、砂漠化された土地の再生技 きていなかったように思います。そのような中で 今回のワークショップは、現在の地球環境を再認 今回のワークショップは、理想の社会へ向け 術というアイデアが出ましたが、人が力任せ た具体的な活動に取り組むための確かな歩 に行うのではなく、自然が本来持っている力 識することができ、また2030年の地球環境につ みになってくると思います。理想の社会づく を効率よく発揮させる手助けを私たちがで いて有識者ならびに当社の他部門の方々がどの りに仕事を通じて参加できる喜びは子供のこ きたら素晴らしいと思います。技術者の方が ように考えているかを知ることができ、とても有 ろとは違ったわくわく感があります。責任も 多く、専門的な技術には詳しくない私でした 意義な時間となりました。しかし、ワークショップ 感じますが、一歩一歩理想へ近づいてくため が、 「子孫に明るい地球環境を残したい」と での私の意見を思い返してみると、どこかで読み に、理想のイメージを常に持って仕事を通じ いう思いは皆共通で、いろんな職種 の方と 聞きした内容が多く、まだまだ考えが浅いのかな て社会に貢献していきたいと思います。 地 球 環 境 の 将 来 を 語り合った 時 間 は 大 変 と反省もしています。知識の習得とともに自分の 有意義で楽しかったです。 意見をしっかりと持っていきたいと思いました。 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 10 環境経営の実践 環 境 経 営 は 、環 境 事 業 を 推 進 す る 上 で の 基 本 姿 勢 と な る も の で す 。製 品 の 開 発 、製 造 段 階 か ら 従 業 員 の日々のライフスタイルまで、あらゆる側面で環境 への配慮を意識しています。 商 品 が 持 つ 便 利 さ や 快 適 さ に 加 え て 、環 境 効 率 や 特定化学物質を使用しない商品、環境問題が解決で グリーンプロダクツ 製品を通じて環境保護に 貢献します き る 商 品 が グ リ ー ン プ ロ ダ ク ツ( = G P )で す 。環 境 に配慮した製品をお客様に提供することを通じて環 境問題に貢献しています。 ま た 、こ れ ら グ リ ー ン プ ロ ダ ク ツ を 生 産 す る 工 場 において、生産工程におけるあらゆる資源の投入量 と 排 出 量 の 最 少 化 に 取 り 組 み 、C O 2 排 出 量 の 削 減 、 産 業 廃 棄 物 の 削 減 、水 使 用 量 の 削 減 、化 学 物 質 の 管 理などを追求するのがクリーンファクトリー(=CF) クリーンファクトリー 事業活動を通じて 環境保護に貢献します 地球を愛する市民活動 一人ひとりの従業員を 通じて環境保護に 貢献します です。 そして同時に、社員一人ひとりとその家族が、日々 の生活の中でも環境に配慮したライフスタイルを実 践 す る 地 球 を 愛 す る 市 民 活 動( = L E )に 取 り 組 ん で います。これら GP、CF、LE を全社員が一丸となっ て実践することで、環境負荷の低減を進めています。 11 GP CF LE 松下グループでは、省エネ・省資源・クリーンテクノロジーに配慮し、業界トップ レベルの環境性能をもつ商品を「グリーンプロダクツ(GP)」とよんでいます。 グリーンプロダクツには自己宣言型の環境ラベルをカタログなどに表示し、 環境面での製品の特徴を明示しています。 さらに業界No.1(オンリーワン)の環境性能を実現した商品を「ダントツGP」 、 持続可能な社会の実現に向けて新たなトレンドを創る商品を「スーパーGP」と 位 置 付 け 、そ の 創 出 を 目 指 し 製 品 の 開 発 を 行 う こ と を 目 的 と し て い ま す 。 2010年には、松下エコシステムズグループで開発する製品の90%をグリーン プロダクツが占めることを目標としています。 ■グリーンプロダクツ認定基準 スーパーGP 環境効率の飛躍的な進歩 持続可能な社会へ新トレンドを創る商品 ダントツGP (スーパーGP創出の基盤) 業界No.1の環境性能を実現した製品 下記独自基準を1項目以上クリア 温暖化防止効率 ※1 グリーンプロダクツ(GP) 環境効率を 向上した製品 資源効率 ※2 塩化ビニール樹脂の不使用 必須項目:特定6化学物質の不使用 ※1 温暖化防止効率=製品寿命×製品機能/ライフサイクルでの温室効果ガス排出量 ※2 資源効率=製品寿命×製品機能/ライフサイクルでの循環しない資源量 CA SE ST UDY 業界No.1の環境性能を実現した「ダントツGP」商品として、デシカント方式除湿乾燥機 が認定されました。消費電力を従来比で約20%(495W→395W)低減を実現したことに 加え、コンパクト設計により容積比 18%減の省スペース化、重さ 4.9kg という軽量化も 実現しました。これは、基幹部品である熱交換器に「シート積層直交流結露熱交換素子」を 採用することで、熱交換率の向上と薄型化、軽量化が可能となったものです。 このデシカント方式除湿乾燥機の開発の背景には、近年、共働き世帯の増加や大気の汚れ、 セキュリティ意識の高まりなどにより、洗濯物を室内で乾かす人が増えており、従来除湿機 に求められていた湿気対策だけではなく、衣類の部屋干しに対する衣類乾燥対応の商品が 求められていたことがありました。そこで、さまざまな洗濯物の干し方をしてもスピード 乾燥を可能にするため、業界初となる「3Dルーバー」の搭載や、アレル物質の抑制、部屋干し 時の洗濯物の臭いの原因の一つである空気中の雑菌やカビ菌も抑制する「メガアクティブ イオン」 と 「スーパーアレルバスター」など、さまざまな機能を備えた製品となっています。 デシカント方式除湿乾燥機 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 12 環境経営の実践 GP CF LE 松下グループでは、全工場における環境保全活動のレベルアップとパフォー マンスを向上させるため、一定基準をクリアした工場を「クリーンファクトリー (CF)」として社内認定しています。 2005 年度から認定を開始し、2010 年度には松下グループの 90%以上の 工場がクリーンファクトリーとなることを目指して、工場の環境パフォーマンス 向上に取り組んでいます。2005年度は、当社春日井工場が認定されました。 ■クリーンファクトリー認定制度 認 定 項 目 地球温暖化防止 クリーンファクトリー(CF)認定工場 ●継続的な環境負荷低減取組 ●特徴あるCF活動の展開 廃棄物削減 化学物質排出抑制 水資源有効活用 外部表彰 など 松下グループの必須基準 ISO14001の認証取得 CA SE STUDY 広東松下環境系統有限公司は、 2005年7月に広東省仏山市に新工場を建設した際に、使用 済みの水をろ過して再利用する中水再利用システムを導入しました。これにより、ろ過した 使用済みの中水を草花を育てる緑化用や汚水処理用薬品の調整用として再利用しています。 また、夏季には建設物に散水することにより、建物の表面温度を下げることができ、省エネル ギーにも役立てています。2005年度は、総排水量の10%相当の12,800m 3 を再利用しま した。このシステムは、春日井工場でもすでに導入しており、全体の水使用量は2004年度に 中水再利用 システム 比べ25%も削減することができました。 また、春日井工場では、工場排水の放流にあたっては、メダカが棲めるレベルまで浄化する ことを目指し、実際に施設の中でメダカを飼育して水質の監視を行っています。これからも 中水の再利用を積極的に進めていくとともに、地域に愛されるクリーンな工場を目指します。 中水を建物の表面温度を下げることにも利用 13 GP CF LE 松下グループの従業員とその家族が、家庭や地域・社会で積極的に環境活動 を行い環境に配慮したライフスタイルを実践する活動をLE活動と呼んでいます。 松下エコシステムズグループでは、 「全社員が LE ファミリー!」という目標 を掲げ、環境家計簿、エコバッグ、環境ボランティア、ノーマイカー通勤、自転 車(徒歩) 通勤、チームマイナス6%活動の「環境活動6項目」のうち、いずれか を選び、従業員自らが主体的に取り組んでいます。 ■地球を愛する市民活動が目指すもの 個人の意識、行動、ライフスタイルを変え、 企業や社会を変えること 社会人として 環境ボランティア活動への 積極的な参加 家庭人として 企業人として エコライフの実践 環境先進企業としての 取り組み 従業員と家族への啓発と活動支援 CA SE STUDY 春日井工場では、従業員とその家族が、毎日お世話になっている地域のゴミ を拾いながらウォーキングを楽しむイベント「ウォーク&クリーンフェスタ」 を毎年実施しています。開催から 20 回目を迎える今回は、社員とその家族約 215名が参加し、社内の緑地帯である「共存の森」で草取りを全員で行った後、 春日井工場から朝宮公園までの往復6kmをゴミを拾いながら、ウォーキング を楽しみました。拾い集めたゴミは、紙くず、空き缶、ビンなど約180kgとな りました。 このほかにも大東地区、湘南地区、小矢部地区それぞれで地域清掃活動を毎 年行っており、延べ約750名が参加しました。地道な活動ですが、継続的に行 うことで、従業員とその家族の環境意識の啓発や地域美化に貢献していきます。 親子で楽しみながらゴミ拾いとウォーキング 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 14 環 境 報 告 サ マリー CO2 排出量 デシカント方式除湿乾燥機を ダントツGPに認定 国内 1990 年度比 35% 削減(目標 30% 削減) 12.9 千トン -CO2 (前年度比 0.2千トン-CO2 排出削減) 2005年度の国内のCO2 排出量は、12.9千トン-CO2、 1990 年度比で 35%の削減となり、目標の 30%を 達成することができました。 CO2 排出量 25(千トン-CO2) 20 20 F-YZB60 15 13.1 13.2 13.1 02 03 04 12.9 10 GP開発率 70.5%(目標 70%) 2005 年度 の GP 開発率は 70.5% となり、目標 の 70% を達成することができました。また、段階的にラ 5 0 90 05(年度) イフサイクルアセスメント(LCA)およびファクターの 考えを取り入れて開発することにより、GP 開発レベル 省エネルギー削減率※ を向上しています。 グローバル 前年度比 5.3% 削減(目標 3.5%) グリーンプロダクツ開発率 100(%) 90 80 70.5 セルライン化、実験施設の拠点集約による効率的なエ ネルギー使用などの取り組みによるものです。 58 60 重油や灯油から LPG、LNG への燃料の転換、製造の ※当年度の対策によるエネルギー削減率(CO2 換算)÷前年度のエネルギー消 費量(CO2 換算) 。松下グループ独自の指標 46 40 22 20 化学物質使用量および排出・移動量 0 02 03 04 05 10 (年度) (目標) 特定の化学物質※の不使用対応が グローバルに全対象製品で完了 独自に十数万点に及ぶ部品・化学物質の特定化学物質※ 国 内 海 外 <削減ランク物質> 1998 年度比 <適正ランク物質> 1998 年度比 81% 削減 34% 増加 (ともに目標 56% 削減) <削減ランク物質> 2000 年度比 <適正ランク物質> 2000 年度比 49% 増加 約2倍 (ともに目標 45% 削減) 含有調査を実施しました。含有が確認された部品につ いては、2005 年 10 月までに代替化を完了し、対象と なる 4,500 機種すべての製品において対応を完了し ました。 廃棄物・有価物発生量 グローバル 前年度比 5.0% 削減(目標 2.0% 削減) ※鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、特定臭素系難燃剤2種 廃 棄 物 ゼロエミッション ※ を 国 内 で 5 年 連 続 達 成 ※リサイクル率(再資源化量÷(再資源化量+最終処分量) )が99%以上。 2006 年 4月から生産するGP 製品を中心に 塩ビ樹脂使用を制限 松下グループでは、塩化ビニール樹脂については、特 定の添加物(フタル酸エステル)を含有、または廃棄 15 水使用量 グローバル 前年度比 6.6% 削減(目標 2.5%) 物の回収システムがない製品のいずれかに該当する 2005 年度の水使用量は、413 千 m 3 、前年度比で 場合は使用を制限しています。松下エコシステムズグ 6.6% 削減(グローバル)となり、目標の 2.5% 削減 ループにおいても 2006 年 4 月から生産する GP 製 を達成しました。これは、中水の利用や水道設備等の 品を中心に塩ビ樹脂使用を制限する取り組みを進め 点検による漏水対策を施し、水使用の効率化を徹底し ています。 たことによるものです。 交通システムにおける電気脱硝システム事業 環境に対する取り組みについて情報を継続的に発信 2005年度は、首都高速道路環状新宿中央線の地下ト 当社グループの環境に対する取り組みや環境経営に ンネルに、当社グループが電気脱硝システム設計およ ついて分かりやすく説明するツールとして、環境経営 び機器の生産を担当することが決定しました。世界的 報告書を継続して発行しています。また、当社グルー に都市部の交通量増加の対策として、高速道路の地下 プのウェブサイトにおいても詳細なパフォーマンス 化が注目されており、このトンネル部分に当社グルー データをはじめ、環境への基本姿勢など環境情報を提 プで培われた換気のための大型の換気ファン、自動車 供しています。 排気ガスのばいじんを捕集する電気集じん機、窒素酸 化物(NOx)の除去(脱硝)装置など、最新鋭の設備 が導入されます。特に、当社グループは従来困難とさ れていた道路環境における NOx の中でも特に人体へ 換気塔 脱硝装置 電気集塵機 の直接的影響を持 制御盤類 換気ファン つ二酸化窒素(NO 2 )を除去する技 地上部 術を開発し、大気 環境の改善に貢献 補機類 車道 しています。 地下 車道 工場敷地の緑化を推進 春日井地区において植林活動「共存の森」を継続的に 育成しています。また、実験棟の建物には屋上緑化を 施すなどの取り組みを行っています。 超音波汚泥削減技術で環境負荷の 低減に取り組む生活排水処理事業 2005 年度は、新開発技術を用いた「超音波汚泥削減 装置」を、兵庫県丹波市棚原浄化センターをはじめ、 2件・ 6 ユニットの供給を実現しました。本装置により全国 小規模排水処理施設において課題となっている汚泥処 分の処理および維持コストを削減することができます。 さらに、従来の運搬・焼却 する方法と比較してエネル ギー量と二酸化炭素排出量 を約 70% 削減でき、自治 体の管理コスト低減と環境 超音波汚泥削減装置 保護対策に寄与しています。 グローバル全社の環境推進体制を強化 2005 年度は、EU における RoHS 指令や WEEE 指 令の発効に伴い、特定化学物質の使用を徹底的に管理 販売・物流時のCO2 排出量 国内 2004 年度比 22% 削減(目標 20% 削減) 4,618 トン -CO2 ( 前年度比 1,344トン-CO 2 排出削減) する必要があるため、環境推進体制の強化を図りまし た。グローバルで製造過程における有害物質の使用状 況の監査を実施しました。 製品や事業の環境負荷を業績評価に反映 2005年度の環境業績評価点は92点でした。この評価 2005 年度の物流における CO 2 排出量は、4,618 ト 点は、環境パフォーマンスの結果から環境負荷の削減率 ン -CO 2 、2004 年度比で 22% 削減となり、目標の を割り出し算出しています。2005 年度は、化学物質の 20%削減を達成しました。これは、製造から販売に 削減率が低下したことが大きな要因となっています。 至る物流において積載効率を向上させるように取り組 環境会計 んだためです。 低公害車の導入 当社のエコカーの導入台数は 7 台、低排出ガス車の台 数は 34 台となっています。 環境保全コスト 企業内経済効果 投資額:137 百万円(293 百万円) 費用額:592 百万円(794 百万円) 356 百万円(253 百万円) ( )内は2004年度実績 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 16 社 会 性 報 告 サ マリー 個人情報保護のため、 「プライバシーマーク」を取得 従業員の多様性の拡大 お客様からのお預かり情報など数多く情報を保有して 性別や年齢、国籍にかかわらず、多様な人材が持てる いることから、情報漏えい・流出には最大限の注意を 力を十分に発揮できる職場づくりに取り組んでいます。 払っています。2006 年 4 月には、個人情報保護およ 2005 年度の従業員の男女比率は、男性が 88.7%、 び管理強化のため、プライバシーマークを取得しました。 女性が 11.3%となっています。 お客様からのご相談 製品に関するあらゆるお問い合わせやご相談にお応え 障がい者雇用 できるように、365日体制で大阪地区と春日井地区に「お 身体の障がいの有無にかかわらず、能力と適性を活か 客様ご相談センター」を開設しています。2005 年度 し専門性を発揮できる会社を目指しています。2005 は 166,355 件のお問い合わせをいただきました。相 年度の障がいのある従業員の在籍人数は、重度障がい 談内容の内訳は、買い物相談 53%、使用相談 29%、 者 が 2 4 名 、軽 度 障 が い 者 が 1 2 名 で 、雇 用 率 は 修理相談10%、お客様からのご不満の問い合わせ1%、 3.24%となり、法定雇用率である1.8%を大きく上回 その他 7%でした。このように年間を通じていただくご っています。 相談やお問い合わせは、当社グループに対する強い期 待の現れであると考え、今後の製品づくりや経営に生 障がい者雇用率 かしていきます。 4.0(%) 0120-878-365 (受付時間)9時∼20時 3.58 3.0 3.43 3.32 3.02 3.24 2.0 法定雇用率 1.8 1.0 0 01 02 03 04 05(年度) 地域貢献活動 仕事と家庭の両立支援 本社のある愛知県春日井市を中心に、地域行事への協 従業員の仕事と家庭の両立を支援するために育児休 賛や工場見学などの受け入れを行っています。2005 業制度や介護休業制度の利用促進を図っています。 年度には、市内の小学校 5 校、計 265 名が工場が取 2005 年度の育児休業制度の利用者は、6 名でした。 り組んでいる環境対策を見学しました。また、春日井 また、介護休業制度の利用者はありませんでした。 工場を開放して行う納涼大会も 35 回目を迎え、約 3,500 人の参加者がありました。 労働安全衛生 地球を愛する市民活動 従業員の安全と健康を守ることは、企業の重要な責務 松下グループでは、家庭や地域社会でも積極的に環境 の一つであると考えます。2005 年度の休業災害数は 活動を行う「地球を愛する市民活動(LE 活動)」を推 2 件、不休業災害数は 1 件となっています。また、災 進しています。当社でも社員がLEファミリーに登録し、 害発生頻度は 0.43 となりました。 環境にやさしい活動に取り組んでいます。 災害発生頻度 LEファミリー登録数 2.0(件/100万時間) 250(登録数) 全産業 205 200 156 150 1.77 1.78 1.85 1.85 0.39 0.43 1.0 96 松下エコシステムズ 0.5 50 0.61 0.36 0.35 0 0 0.30 0 0 01 17 1.79 162 123 100 1.5 02 03 04 05(年度) 電気機械製造業 01 02 03 0 04 0.39 05(年度) 補 足 情 報 に つ い て 環 境 経 営 報 告 書( html 版 ) で の 情 報 開 示 松下エコシステムズグループのウェブサイトは、 環境経営報告書(冊子版)の内容を補完する役割を担っています。 詳細な環境パフォーマンスデータをはじめ、基本的に変わらない環境への考え方、 最新のニュースなどを掲載しています。 http://panasonic.co.jp/mesc/environment/ ウ ェ ブ サ イト 掲 載 項 目 の ご 案 内 トップメッセージ ビジョンと戦略 特集:社内ワークショップ グリーンプラン2010 グリーンプロダクツ ■グリーンプロダクツの新たな挑戦 ● グリーンプロダクツ認定基準 ● グリーンプロダクツの開発状況 ● 環境ラベル ■新たなくらしの価値を創造するプロダクツ ● 新たなくらしの価値の指標「ファクターX」 ● 松下エコシステムズグループが取り組む 家まるごとファクター 環境経営 ■環境経営と人づくり ● 環境経営の推進 ● 環境教育とeラーニング ● ISO14001認証取得状況 ● グリーン調達 ■環境会計 ● 環境会計の考え方 ■ISO14001認証取得サイト (サイトレポート) ● 大阪工場 ● 春日井工場 ● 藤沢工場 ● パナソニックエコシステムズ広東 ● パナソニックエコシステムズ広東‐北京分公司 ● パナソニックエコシステムズタイ クリーンファクトリー ■クリーンファクトリーの新たな挑戦 (環境パフォーマンスデータへリンク) ● CO2 排出量 ● エネルギー使用量 ● 水の使用量 ● 化学物質ー使用量 ● 化学物質ー排出・移動量 ● 産業廃棄物・有価発生物 環境コミュニケーション ■環境経営報告書 ● 環境情報の発信 ● 環境報告書バックナンバー ■環境コミュニケーション ● 地球を愛する市民活動(LE) ● 地域社会とのかかわり ● お客様とのかかわり ● 順守状況(環境法令等) ● 運輸分野のCO2 排出量 環境パフォーマンスデータ(全社版 日本語) ● エコカーの導入状況 ■松下グループ化学物質管理ランク指針対象物質 環境パフォーマンスデータ(全社版 英語) 松下エコシステムズグループ 環境経営報告書2006 18 Panasonic Center Tokyo 「ユビキタスネットワーク社会の実現」と「地球環境との共存」を2大テーマに した松下グループの総合情報受発信拠点です。 ご案内 風力と太陽光のハイブリッド発電による照明 システム「風かもめ」 開館時間:10:00∼18:00 お問い合わせ先:パナソニックセンター東京 月曜休館、ただし祝祭日および 東京都江東区有明2-5-18 振替休日の月曜日は開館、 TEL: 03-3599-2600 年末年始休館 URL: panasoni c. co. j p/center /tok y o Panasonic Center Osaka National Center Tokyo 開館時間:10:00∼19:00 (お盆・年末年始休館) 開館時間:10:00∼18:00 (水曜休館、ただし祝祭日の水曜日 は開館、 お盆・年末年始休館) お問い合わせ先: ナショナルセンター東京 東京都港区東新橋1-5-1 TEL:03-6218-0010 URL:national.jp/center/tokyo お問い合わせ先: パナソニックセンター大阪 大阪府大阪市中央区城見2-1-61 TEL:06-6949-2111 URL:panasonic.co.jp/ center/osaka National Center Osaka 開館時間:10:00∼18:00 (水曜休館、ただし祝祭日および振り 替え休日の水曜日は開館、 お盆・年 末年始休館) お問い合わせ先: ナショナルセンター大阪 大阪府大阪市中央区城見2-1-3 TEL:06-6943-9575 URL:national.jp/center/osaka 表紙メッセージ 松下エコシステムズグル ープは、この美しい地球を未来に残すために何ができるかを、 将来の主役である子供たちとともに考えていくことを目的に「 環境絵画コンク ール 」を行っています。 1 3 2 4 表紙 最優秀作品/「地球をダメにしない! !」 小学5年 吉田 剛樹さん 絵にこめた思い/ぼくにとってきもちのいいことが 鳥たちの住みかをなくしてしまう。ぼくにとって うれしいことがくじらを悲しませてしまう。ぼくに とって便利なことが草原をさばくにかえていく。 そうやって地球がだめになってしまうのかなぁ。 1.優秀作品/「いろいろなかぶとむし」 小学1年 西川 大久磨さん 2.優秀作品/「森のおく」 小学3年 冨田 依里さん 3.優秀作品/「こんな地球でくらしたい」 小学5年 加野 盟実さん 4.優秀作品/「快晴の青色」 小学6年 加藤 愛理さん 「G&ET(Global & Environmental Technology) 」は、松下エコシステムズグループ が環境技術でグローバルに貢献することを表現したスローガンです。地球上で起きて いる環境の変化は想像以上に深刻です。私たちが得意とする空気・水・土の浄化技術と 経験は、 これらの問題解決に大きな可能性を持っていると考えています。また、海外の深刻 な環境問題にも当社グループの技術と経験を活かした製品・システムで貢献していきます。 本報告書は、古紙含有率100%、白色度85%の再生紙を使用しています。石油資源保護とVOC(揮発性有機化合物)の発生を 減らすために、植物性の大豆インキを使っています。また、印刷はISO14001認証取得工場で行っています。 Printed on 100% recycled paper 2006年9月発行