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有田焼創業400年記念事業 基本構想(素案)

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有田焼創業400年記念事業 基本構想(素案)
日本磁器誕生・有田焼創業400年事業
基
本
構
想
<抜粋>
2012年3月30日
日本磁器誕生・有田焼創業400年事業実行委員会
はじめに
(日本磁器誕生・有田焼創業400年事業実行委員会設立趣旨)
日本で初めて磁器を焼成した有田皿山は、2016年(平成28年)に創業400年を迎えます。
朝鮮半島から渡来した磁器製造の技法は、有田を拠点にその後、中国の影響の下で海外貿易の隆盛を迎え、遠く
ヨーロッパの名窯マイセンにも大きな影響を不えました。また江戸期を通じて、宮中や大名への普及から始まり、広
く日本全国の一般庶民の生活の中にも、新しい陶磁器文化の普及発展を実現させました。
幕末から明治初期にかけて各国で開催された万国博覧会に出品された有田焼は、その優雅で精巧な作風が賞賛され、
これを契機に、江戸期に有田で誕生した「古伊万里」「鍋島」「柿右衛門」様式は、欧米各国の人々に鮮烈な感動と
高い評価を産み、「有田焼」はまさにJAPANブランドの先駆けとなりました。
こうした先人の「伝統と革新」の偉業に学び感謝する事業として、1916年(大正5年)には創業300年を記念して陶
山神社に陶祖李参平の碑を建立しました。1966年(昭和41年)には創業350年を記念して九州陶磁文化館の設立や窯
業大学校の開設などを実現し、有田焼の次の50年、100年の発展に寄不する記念事業に取り組んできています。
来たる2016年、創業400年という記念すべき年を迎えるにあたり、「伝統を築いてきた先人の偉業と労苦に感謝す
る」と同時に、「有田町をはじめとする肥前地区全体の窯業の振興と発展をはかる」ことと、「窯業産業を有する
国々や地域との交流をさらに活性化させ」、あわせて「有田焼が有する豊かな陶磁器文化を日本の誇りとして国内外
に広く発信していく」ことを目的とした「有田焼創業400年事業」に積極果敢に取り組むことといたします。そし
て、より国家的な事業とするために、名称を「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」とすることと致します。
長い丌況の影響を受けて、有田町をはじめ全窯業界は大きな時代の転換点に立っています。しかしながら「日本磁
器誕生・有田焼創業400年事業」が、この苦境を打破し突破する大きな契機となり、日本の陶磁器文化の新たな歴史が
スタートする新しい舞台になるように推進する必要があります。
そのためには、有田町民が一致協力して全力で推進すると同時に、佐賀県や開催団体、国内外の関係自治体や日本
政府と積極的に連携して、「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業実行委員会」のもとに多様な主体の参加と協力を得
て実現していきたいと考えます。
P.1
日本磁器誕生・有田焼創業400年事業の位置づけ
メ
イ
ン
テ
ー
マ
近世
有田焼の復興を目指して
~ ふりかえれば未来、400年の伝統と革新 ~
近代
現代
未来
有
田
焼
創
業
4
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年
事
業
国内市場
欧州市場
<技術革新と不況対策の歴史>
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拡散
バブル景気
李参平
(
東3
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(新興国市場)
← 再生元年
パラダイムシフト
集約(選択と集中)
1616年
3
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0
年
祭
グローバル市場
炎
の
博
覧
会
2008年 有田町総合計画書 「ひとが輝き、世界へはばたく土と炎のまち、有田」
インバウンド
(国内外からの観光客誘致)
&
アウトバウンド
(国内外での有田焼販売)
P.2
1 有田焼400年の歴史の概要
1610年代
•朝鮮の技術者より、有田辺で日本初の磁器が誕生。(1616年に、陶祖 李参平が有田にて日本初の磁器の焼成に成功したとの伝)
1640年代
•明朝から清朝への転換で、中国国内が混乱。肥前磁器が国内市場を独占。発展飛躍の礎となる。
1659年~1757年
の約100年間
江戸中期・後期
•オランダ商人や中国商人の仲介で、東アジアやヨーロッパの世界各地の生活文化のニーズに応える製品を開発。有田焼の本格的輸出
の時代。日本の工芸品として初めての、世界市場本格的輸出時代を構築。
•輸出時代の終焉と新たな国内市場の開拓時代。国内他産地の磁器窯との競合により、有田の地位は相対的に低下。
幕末からの
明治期
•万博への出品を契機に、第2次輸出時代を迎える。江戸時代の中国志向から欧米志向に積極的に転換。
明治以降の
近代化
•ヨーロッパの技術導入で、磁器生産は伝統的製法と近代的工業生産方式の二極化が進む。(共同窯である大規模登り窯方式が終焉)
1896年
•第1回陶磁器品評会開催。(後の「有田陶器市」)
1916年
•李参平300年祭開催。(有田焼創業300年事業)
1966年
•有田焼創業350年祭開催。(佐賀県立九州陶磁文化館創立など)
1970年
•「7人のサムライ」のヨーロッパ視察。(古伊万里の里帰りのきっかけとなる)
1996年
•ジャパンエキスポ佐賀'96「炎の博覧会」開催。
1998年以降
•有田焼売上げ規模が急激に減尐傾向を強める。
2008年
•有田町総合計画「ひとが輝き、世界にはばたく土と炎のまち、有田」発表。
P.3
日本磁器誕生・有田焼創業400年事業の歴史的検証(No.1)
中国
日本
1573
佐賀
景徳鎮窯の始まりは、
漢時代または六朝時代の
陳・至徳1(583)年の諸説がある
明
1644 清
雍正・乾隆期(1723~1795年)
景徳鎮窯では陶磁器生
1684年 清朝による海外輸出再開(~1717年) 1757年
1646年清軍が景徳鎮のある江西省饒州府を攻略
外国船交易を広州港に限定 産の最盛期を迎える
壬申・丁酉の倭乱
(1592~1598)
1607年
1639年
朝鮮通信使
釜山の窯で日本人向け
(当時回答兼刷還使)再開 の高麗茶碗が焼かれる
1618年 釜山に和館を設ける
安土桃山時代
(中世)
1603
関
ヶ
原
の
戦
い
豊臣秀吉
(1537~1598)
1811年
朝鮮通信吏来聘終了
1639年 江戸幕府が鎖国令
1641年 オランダ商館が平戸か
ら長崎出島へ移転
江戸時代
(近世)
10代佐賀藩主・直正は貿
易鑑札を増加したり業者
の奨励を行うなど、有田焼
を保護育成した
徳川家康
(1542~1616)
鍋島直正
(1815~1871)
佐賀藩祖・鍋島直茂
(1538~1618)
有田
1700年頃 「伊万里写し」を欧州へ輸出
1656年 清朝の海禁令公布
近世産業(マニュファクチャリング)発祥の地
1663年
辻喜右衛門が
伊達家の紹介により
初めて宮中に納品
泉山磁石場
文禄・慶長の役
(1592~1598)
李参平
( ~1655)
染付有田皿山
職人尽し絵図大皿
1616年 有田に移住
日本で初めて、有田にて
磁器の焼成に成功
ヨーロッパ
登り窯(再現)
1637年 佐賀藩にて有田の窯場の整理統合
1643年 初代柿右衛門、色絵(赤絵)技術を
はじめとする中国の技術、文化導入
1647年 清朝内乱により海外輸出開始
1650年-1689年
VOC(オランダ東インド会社)による欧州への輸出
佐賀藩の藩主・鍋島直正は、1850 年
に反射炉の建設に着手し,鋳鉄製大
砲を完成させ、これを長崎の砲台に設
置した。また、1852 年には、藩営の技
術研究機関である「精煉方」を創設し、
後にはオランダから工作機械も購入し
て蒸気機関や蒸気船、火薬、ガラス等
の研究を行った
徳川政権下1715年
には、信牌交付によ
る私貿易の禁止や
取引額の制限等の
鎖国政策と共に、有
田焼は海外貿易か
ら国内市場開拓へ
と展開
1760年代~1830年代
イギリス産業革命
1602年 VOC設立
オランダ商船
ヨーロッパの大航海時代
15世紀中頃-17世紀中頃
近代化産業
シャルロッテンブルグ宮殿
(ドイツ・ベルリン)
ツヴィンガー宮殿
(ドイツ・ドレスデン)
JAPANブランドの先駆け
1709年 マイセン(ドイツ)でヨーロッパ初の
磁器の焼成に成功
(柿右衛門・古伊万里様式の模倣を行う)
1853年
ペリーが浦賀に来航
1858年
日米修好通商条約
1828年
文政の大火
町が壊滅状態に
1789年 フランス革命
1804年 ナポレオン、
皇帝就任
1799年 VOC解散
1725年 シャンティーイ窯(フランス)開窯
1743年 チェルシー窯(イギリス)開窯
柿右衛門様式の模倣を盛んに行う
1768年 ウェッジウッド工房創設
P.4
日本磁器誕生・有田焼創業400年事業の歴史的検証(No.2)
中国
1851年~1864年
1840年
アヘン戦争 大平天国の乱
清
1856年~1860年
アロー戦争(第二次アヘン戦争)
中国陶磁貿易の終焉
中華民国
1912
文化大革命(1960~1970年代)
で景徳鎮窯も大打撃を受ける
(朝鮮)
1897年
国号を大韓と改める
日本の統治時代
1910年
李氏朝鮮(李王朝)滅亡
日本
明治時代
1868
1894年
日清戦争
1904年
日露戦争
1912
1871年 廃藩置県
1871年 岩倉使節団派遣(最終目的地がウイーン万博会場)
1873年 ウィーン万博 総裁:大隈重信,副総裁:佐野常民
1877年 第1回内国勧業博覧会(上野)
佐賀
大
正
時
代
ウイーン万博日本館
内国勧業博覧会
1945年
1926
昭和時代
1928年 第一窯業試験場設置
1966年 有田焼創業350年祭
1917年 「李参平の碑」落成
1945年 大阪造幣局有田出張所設置(やきものによる1銭陶貨製造)
設立した香蘭社が金賞を獲得
1975年 有田焼卸団地オープン
絵書座風景(1911年頃)
1879年 アムステルダム万博
精磁会社が金牌を獲得
李参平の碑
陶芸作家の台頭
万博で名声を得、ヨーロッパの意匠や技術を取り入れた時代
1869年 ドイツからワグネル招聘
ヨーロッパの技術・文化
を導入
有田物産陳列館
1896年 第1回陶磁器品評会
(後の有田陶器市、九州山口陶磁展)
1911年 有田物産陳列館落成
ヨーロッパ
1851年 世界初、ロンドン博覧会
1855年 パリ万博(ナポレオン3世)
アメリカ
1989
1941年 太平洋戦争始まる
1909年 上有田駅開設 1916年 李参平三百年祭
パリ万博佐賀藩
派遣団一行 1876年 フィラデルフィア万博前年に
1878年 パリ万博
香蘭社が金牌を獲得 →
1948年
朝鮮民主主義人民共和国
大韓民国
1980年九州陶磁文化館開館
1985年 有田窯業大学校開校
1943年 芸術品生産資格者として松本佩山が、
技術品生産者として香蘭社・深川製磁・
酒井田柿右衛門・今泉今右衛門・満松
惣市・川浪喜作が指定される
1867年 パリ万博
佐賀藩参加、
有田焼も出品
有田
中華人民共和国
1949
1889年 エッフェル塔建設(パリ万博)
1896年 第1回オリンピック開催
1989年 13代今泉今右衛門
国の重要無形文化財に認定
1992年 青木龍山 日本芸術院会員に就任
1995年 井上萬二 国の重要無形文化財に認定
2001年 14代酒井田柿右衛門
国の重要無形文化財に認定
1970年 窯業関係者7名がヨーロッパへ出発
(いわゆる[7人のサムライ])
1975年 「大有田焼展」開催(三越本店)
1975年 「ドレスデン古伊万里里帰り展」
1977年 「有田焼展」開催(ロンドン ハロッズ)
1979年 有田マイセン姉妹都市提携
19世紀後半 印象派(ルノワール、セザンヌ、ゴーガン、ゴッホ)
1883年 ダイムラー、世界初自動車の発明
1903年 ライト兄弟、飛行機の製作成功
P.5
世界の名目GDPランキング(2010年)
グローバル社会における有田のメインターゲット
(インバウンド&アウトバウンド)
★
★
国内市場
東
京
有
田
ソ
ウ
ル
マ
ニ
ラ
台
北
★
上
海
香
広
港
州
北
京
中国市場
ハ
ノ
イ
(大中華圏)
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アジア市場
ド
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★
P.6
2 「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」で実現すべき重点課題
(1)有田町の主力地場産業たる
陶磁器産業の再生と復興
400年に亘って継承されてきた伝統産業の「陶磁器
産業」を絶やさず、50年後・100年後にも有田焼が
世界のブランドとして生き残っていくための施策を
戦略的に推進し、本事業を有田窯業界の再生に積極
的につなげていく。
●参考:抜本的改革(経済対策会議)
●新しいマーケティイングをベース
にした基盤整備
未来志向のクリエーティブな町へ
(2)有田町の持続可能な発展を担保する
未来志向価値の創造とその育成
(3)陶磁器文化の世界的拠点として、文化
観光交流人口の拡大を戦略的に推進
400年間に亘って蓄積されてきた有田の歴史的、技
術的、文化的な価値を再発見し、未来に継承される
魅力を更に磨きあげることで、持続可能な有田の発
展を推進する「街づくり」や「環境づくり」にハー
ド・ソフトの両面で積極的に挑戦する。
モノづくりの街だけでなく、陶磁器文化の世界的な受
発信拠点を目指す。そして、幅広い陶磁器文化に参加
体験できる文化観光交流都市としての未来形を構築す
る。文化観光交流人口が産み出す新しい経済で有田の
新たな活性化を創出する。
例:体験型宿泊システム
(新規事業の創造)
P.7
3 「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」の基本理念
有田焼の復興を目指して
~ ふりかえれば未来、400年の伝統と革新 ~
有田の歴史は、陶磁器(有田焼)づくりの歴史である。有田焼は、実用性と芸術性を兼ね備え
た日本を代表する「美しい工芸品」である。それを産み出す「風土」と「風景」が有田にあり、
それを産み出す「人」と「技」が有田に集い、その「創作」の営みと成果が有田の町となった。
2016年は、日本で初めて陶磁器が創られて400年を記念する年となる。400年の歴史をふりかえ
ることは、日本の磁器づくりの未来と有田の未来の扉を開くことである。
ふりかえれば、有田焼の歴史は、伝統を保持しつつ世界と時代が求める新しい価値への挑戦と
不況との戦いの連続だった。それが400年の歴史を創った。幸い有田には「400年の伝統と革新」
を体験できる「自然」「歴史」「文化」「技術」「工芸」資産が多数蓄積されている。有田が次の100年へ
の持続可能な発展を展望する時、有田焼400年の挑戦し続けるDNAを更に活性化させることと、有
田が有する400年の「伝統と革新」の資産を磨き上げ活性化させることが同時に大切である。そ
れがどこも真似のできない唯一無二の文化体験価値を創るからである。
有田焼創業400年事業は、より多くの人々が、有田に集い、有田焼と有田が有する「400年の伝
統と革新」の価値を、「学ぶ」・「楽しむ」・「交流する」事業となるように創意工夫する。そのため、
「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」は次の取り組みを実現させ、有田を日本の陶磁器文化の
中心となり、グローバルな「対話」と「交流」の舞台となるようにする。
1)伝統を築いてきた先人の偉業と労苦に感謝する事業に取り組む。
2)有田をはじめ、肥前地区全体の窯業の振興と発展に資する事業に取り組む。
3)窯業産業を有する国々や地域との交流をさらに活性化させる事業に取り組む。
4)有田が有する豊かな陶磁器文化を日本の誇りとして、内外に広く発信する事業に取り組む。
~ 地域内競争から協調・協働・団結へ ~
P.8
4 事業推進の基本視点(今までの議論を基に作成)
「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」は、実行委員会の総意を反映させると同時に、その総意を効果的に実現させ
ていくことが重要である。ここでは、実行委員会の意見を集約して、「事業推進の基本視点」としてまとめた。
(1) 次の100年を見据えた、新たな有田焼ブランドの育成と発展の「機会」や「場」とする。
現在は有田焼と産地の最大の危機。400年記念という歴史的タイミングを戦略的に生かして、全国や世界にア
ピールする新たな有田焼ブランド発展の実験・試行の機会とする。また、周辺地域(5市2町)が連携して、
陶磁器産地としての存在感を積極的に広域発信する場とする。
(2) 有田が有する「自然」「歴史」「環境」「文化」「技術」資源を積極的に生かした事業を構築する。
モノづくりだけでなく、持続可能な有田の発展を構築するチャンスと捉える。有田が有する美しい自然・環境
条件を生かし、有田が蓄積している歴史と文化の資産を積極的に活用した魅力的な「街づくり」に挑戦する。
人が訪れたくなる町、ヤキモノが好きになる町を町民全体で創り上げる機会とする。
(3) 400年事業をシンボライズし、次代へ継承する事業を効果的に創出する。
単なる一過性の事業に終わらせることなく、ポスト400年や次の500年に継承される様な、ソフトやハードが
結合した「テーマ性と持続性」をもったシンボリックな記念事業を創出する。次代を担う子供たちにも夢を提
供できると同時に、しっかりとした人材育成にもつながる事業を創出する場とする。
(4) ドイツ、中国、韓国とも結びついた国際性豊かな交流事業とする。
日本に於ける磁器文化発祥の地として、中国や朝鮮半島の地域や人々との報恩感謝の交流事業を推進すると同
時に、新たな陶磁器文化の創造を目指して、ドイツ・中国・韓国の人々との未来志向の国際交流事業の創設に
積極果敢に取り組む。
(5) 産官学・町民の共育・協働体制を強化し、効果的な事前活動を積極的に展開する。
2016年だけの単独事業として組み立てるのではなく、行政と産業界と町民が連携して、積極的な「共育(と
もに考え)」「協働(一緒に汗を流す)」体制を構築しながら、効果的な事前活動を積極的に計画し実行する。
既存のイベントの場などを活用した広報活動や戦略的なプレイベントを展開して、2016年への盛り上げを組
織化する。
P.9
5 事業名称と推進構造
「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」は、2016年だけの一過性の事業に終わらせるのではなく、事前と事後も繋
ぎながら、「モノづくり」「街づくり」「人づくり」「交流づくり」を総合一体的に推進する活動の体系である。
その成果を10年間程度のスタンスで展望する必要がある。
一方、「創業400年」という特別なタイムスケジュールを最大限に生かし、国内外からの多くの来訪者を組織化す
ることで、「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」の基本理念に共感していただく、時間限定の特別事業を2016年
に集中させることも、事業を成功させる上で重要である。
そこで、事前と事後も含む全体事業名称は、 日本磁器誕生・有田焼創業400年事業
2016年に集中開催する400年記念事業の名称は、日本磁器誕生400年記念祭
日本磁器誕生400年記念祭
また、有田焼400年記念祭
日本磁器誕生400年記念祭
と表現し、
と表現する。
については、既存で展開するイベントとも連携し、2016年の1年間を「記念
イヤー」として編集し、特別な事業展開を行う。
今後、愛称などのネーミング、ロゴマーク、キャラクター開発にも挑戦して、より多くの人々に参加していただく
国民的行事としてのポジショニングを獲得していく。
事前
モノ
街
づくり づくり
人
交流
づくり づくり
(
事
前
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
)
産
業
振
興
2016年
ブランド再構築
販売促進強化
ものづくり環境整備
文化振興
観光振興
事後
(記念イヤー)
「日本磁器誕生400年祭」
の開催
(
継
承
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
)
持
続
可
能
な
発
展
P.10
6 事業コンセプト
時空を超えた陶磁器文化の空間づくり
感動と創造、ARITAエクスペリエンス
日本磁器誕生・有田焼創業400年事業は、有田の持続可能な発展を目指して「モノづくり」「街
づくり」「人づくり」「交流づくり」を総合一体的に推進する未来創造事業である。それは一
言でいえば、国内外の多くの人々が、日本磁器誕生の地であり陶磁器文化の世界的発信拠点と
しての有田を訪れてみたくなる(楽習観光)ように、有田の魅力を磨き上げていく町民総参加
による「価値創造運動体」といえる。
Experience:体験
そこで、「日本磁器誕生・有田焼400年事業」としては、
 有田を、素晴らしい有田焼400年の歴史と文化に参加体験楽習できる「街まるごとミュージアム」にする。
 有田を、自分が求める特別な有田焼を創作できる「街まるごとファクトリー」にする。
 有田を、多様なデザインや仕様を選べ、楽しめ、買える「街まるごとショッピングセンター 」にする。
 有田を、素敵な有田焼が豊かな庭園文化の中に生きる「街まるごとガーデンシティ」にする。
 有田を、宿泊しながら上記の全てに参加体験できる「街まるごとアートシティ」にする。
ことで、有田の街そのものを陶磁器をテーマとする国際級の「文化観光交流拠点」に仕立て上
げることにある。国内外の多くの人々が、有田の本物の価値に触れて、学んで、楽しめて、
「ARITAエクスペリエンス」(言うなれば、楽習観光)が合言葉になる様に、事業全体を組み
上げ、編み上げていく。新しい文化創造の体験空間(システム、仕組み)を創りあげる。
P.11
7 事業の基本構成
「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」は、2012年をスタートに2015年までの「事前プロジェクト」と、2016年
を中心とする「日本磁器誕生400年記念祭」の展開と、その成果を継承する「継承プロジェクト」の3段階で推進
するものとする。
事前プロジェクト
事前プロジェクトでは、継承事業に示される中長期プロジェクトを段階的に準備すると同時に、「日本磁器誕
生400年記念祭」の事業化準備を戦略的に推進するための活動を中心に行う。特に、町を挙げてあらゆる活動
を準備する必要がある。ここでは有田焼の「世界ブランド化事業」と、有田町の「文化観光価値形成事業」を
中心に展開する。
有田焼
世界ブランド化事業
有田焼の価値を見つめ直し、これからの時代に求められている有田焼の
新しいブランド基準とイメージを戦略的に推進する事業。国内外の主要
都市での情報発信活動の展開やユニークな展示会や新製品発表会を積極
果敢に展開する。「有田経済対策会議」の3D戦略を強力に推進する。
特に、国内市場については、早急に業界全体の「有田焼販売促進委員会」
(仮称)を設置し、「有田焼歴史展」など有田町全体としての計画を立
案・実施する。また、北イタリアの伝統産業活性化システムを研究し、
有田窯業全体の産業基盤整備を行う。その他、世界の有名陶磁器産地を
招聘した「国際陶磁器サミット」や「伝統的工芸品月間国民会議全国大
会」を有田に誘致し大々的に開催し、国内外に情報発信する。
有田町
文化観光価値形成事業
有田の有する「自然」「歴史」 「文化」 「技術」資産を磨き上げ、参加体験価
値の高い文化観光拠点づくりへの試行と実験に取り組む。「世界遺産登
録プロジェクト」をはじめ、さまざまな歴史文化拠点の保存と活用に積
極的に取り組むことによって、有田町を世界的な陶磁器文化の「文化観
光交流拠点」へと構築していく。重要伝統的建造物を活かした「街かど
美術館」や民泊施設を試行する。2016年に開催する「日本磁器誕生400
年記念祭」の事前準備活動と一体的に推進する。
P.12
日本磁器誕生400年記念祭
2016年を有田焼400年記念イヤーと位置づけ、1年間を通じて、「日本磁器誕生400年記念祭」を展開する。
「有田陶器市」や「有田陶磁器まつり」などの既存イベントも「400年記念イヤー」の重要構成イベントとし
てバージョンアップして展開すると同時に、「炎の博記念堂」を有する「歴史と文化の森公園」や「泉山磁石
場」を「テーマ会場」に、有田町の市街地を「まちなか会場」として設定し、そこを舞台に多様で多彩な
「ARITAエクスペリエンス事業」を積極的に展開する。
テーマ会場事業
開会式、閉会式をはじめ、各種の記念式典等の事業を展開すると同時に、
本事業に関するテーマ訴求を行うユニークな情報発信・体験楽習事業を
展開し、記念祭のテーマ機能・ゲート機能と総合情報センター機能を担
う。
まちなか会場事業
ミュージアム探訪やショッピング探訪などのユニークな「まち歩き」事
業を展開する。また「九州陶磁文化館」や「有田窯業大学校」の機能を
活かして、全国的/国際的な展覧会事業を推進する。さらに泉山磁石場
や天狗谷窯跡など歴史的な場所を生かしたユニークなイベント事業を展
開する。
ARITAエクスペリエンス事業
「日本磁器誕生の地=有田」「世界を驚嘆させた古伊万里・鍋島・柿右
衛門の故郷=有田」「陶磁器文化が美しく町に暮しに息づく=有田」を
来訪者が参加体験楽習できるソフト事業を多様・多彩に展開する。既存
イベントも、2016年は「参加体験楽習プログラムの提供」を合言葉に、
様々なバージョンアップをはかる。
P.13
継承プロジェクト
継承プロジェクトとは、2016年以降に推進するプロジェクトという意味ではない。「日本磁器誕生・有田焼創
業400年事業」の理念と「日本磁器誕生400年記念祭」のテーマを体現し、事前からスタートし、2016年以降
も継続してその実現を目指すプロジェクトのことである。(勿論2016年に完成しているともっと良い。)
特に社会資本整備や、ハードの新たな整備、建設を伴うプロジェクトで、中長期的な取り組みが求められるも
のである。実行委員会や顧問会の意見を反映して、ここでは以下の3つの事業に取り組む。
「磁器発祥記念公園化」事業
現在に残る「泉山磁石場」や「天狗谷窯跡」、「白川釉石採掘所」は、
有田が日本初の磁器生産の場所であったことを示す記念碑的な「場」で
ある。ここを、日本の磁器誕生の記念公園として整備・活用する活動に
取り組む。また、「世界遺産」への登録活動にも積極的に取り組む。
「芸術工科大学」創立事業
有田焼の未来は、高度な技術と研ぎ澄まされた美的感性、そしてグロー
バルな美術知識によって育成される。世界の陶磁器教育の頂点になれる
ような、芸術工科大学を国、県、民間の共育・協働で実現させる活動に
取り組む。創業・起業できる世界に通用する尐数精鋭の人材を育成する。
「九州陶磁文化館」
進化事業
「九州陶磁文化館」は2016年に36年目を迎える。陶磁器文化の世界的な
受発信拠点を目指す有田での立地を生かして、「成長する博物館」(い
つもリニューアルしている博物館)に相応しい進化事業に取り組む。
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8 事業展開の概要
事前プロジェクト
(1)有田焼世界ブランド化事業
従来の市場だけでなく広く成長市場(中国、インドなどアジアを中心)に販路を拡大すると同時に、日本国内
をはじめこれまでの伝統的市場に於ける「有田焼ブランド」のポジショニングを再考して、多くの生活者に支持
される、新しい「有田焼」マーケティングを展開していく。
 有田焼「世界ブランド」戦略に基づく「有田焼世界ブランド・新製
品発表会」やデモンストレーションを組織化し、有田焼全体の統合
マーケティングを戦略的に実施
 有田焼400年の輝かしい伝統と成果を、より多くの人々に理解してい
ただくための「有田焼歴史展」の連続開催(有田現地、東京、新興
国の有力都市での巟回展を考える)
 東京は勿論のこと、成長著しいアジアの中核都市に於ける「有田焼
ショールーム」を戦略的なネットワーク出店(世界的なニーズやト
レンドの同時把握)
 北イタリアの伝統産業活性化システムを学び、市場開発に向けた積
極的な産業基盤整備。
 有田・ドイツ・中国・韓国との協働による「世界陶磁器サミット」
の開催(創作コンテストも含む)
 毎年開催されている「伝統的工芸品月間国民会議全国会議」を、
2014年または2015年を目標に有田に誘致し、周辺イベントも拡大し
た事前イベントの開催
 マスメディアを活用した大型番組プロジェクトの形成
「李参平物語」や「世界ブランド化ドキュメント」「歴史展」など
 インターネットのSNSを活用した、新しい情報発信・販売システム
の開拓と定着化。
この事業はより多く、陶磁器業界や窯業界による産業サイドの大胆で力強い展開が求められる分野である。県や有田
町は、「世界陶磁器サミット」の開催や「有田焼歴史展」の開催に積極的なリーダーシップを発揮することで、「世
界ブランド化事業」の戦略的な支援体制を構築する。特に、この2つのプロジェクトは、有田地区での戦略的開催が
可能であり、有田の「文化観光交流」戦略の武器にもなる。
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(2)有田町文化観光価値形成事業
日本磁器発祥の地であり、有田焼の故郷・有田を「文化観光交流」拠点に鍛え上げていくため
には、有田の有する自然・歴史・文化・技術資産の価値を見直し、来街者の参加体験価値を高め
る努力が必要である。そのためには、「学び」と「観光」を融合させた「参加体験楽習(ラーニ
ング・エクスペリエンス)」プログラムが来訪者に提供される必要がある。また、本物のモノづ
くりや本物の有田焼に触れられ、楽しめ、購入できる通年型観光都市への育成に本格的に取り組
む必要がある。本事業では以下のプロジェクトを専門家と町民参加によるタスクフォースで立ち
上げ、実践的な取り組みを行う。
 「街まるごとミュージアム」プロジェクト
「九州陶磁文化館」や「歴史民俗資料館」を中核に、有田を代表する商社・窯元の「街かど美術館構想」、
泉山磁石場や天狗谷窯跡、白川釉石採掘所などの歴史文化拠点、さらに2世紀に亘る伝統的建造物(156
棟)を活用した有田焼の歴史を学ぶ「歴史ミュージアム・ルート」や、素晴らしい有田焼の作品に触れら
れる「アートミュージアム・ルート」を開拓、提供するプロジェクトを形成する。特に、泉山と天狗谷の
歴史遺産については、その保存と活用について「世界遺産」登録を目指すと同時に、2016年の「日本磁器
誕生400年記念祭」の重要な舞台としての計画を推進する。
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 「街まるごとファクトリー」プロジェクト
これまでの有田では、生活者が直接に窯元を訪れて、自分のお気に入りを注文したり、特注品を購入する
ことが困難だった。しかし、これからは窯元が、直接に生活者のニーズに応える時代である。有田町の
「文化観光交流」戦略は、「有田に行って、自分の好きな、オリジナル性の高い有田焼が手に入る」とい
う魅力を創り上げることである。
春の「有田陶器市」や秋の「秋の有田陶磁器まつり」で、いくつかの社会実験を重ねながら、これからの通
年観光の目玉となる戦略的事業として取り組む。
 「ガーデン&民家活用」プロジェクト
有田の窯元や商社、民家には素晴らしい庭園と日本家屋が存在している。また有田の街の中には、明治・
大正に建立された素晴らしい日本家屋や洋館が現役で活躍している。こうした環境の中で、素晴らしい有
田焼とともに過ごす至福の時間を提供できれば、「有田デスティネーション気運」は一気に国内的にも国
際的にも高まるに違いない。そのためには有田の町に於ける「ガーデン力」と「日本民家力」を詳細に評
価して、さらに有田焼とともに過ごす「時間」と「場」の編成(例えば食事や喫茶や宿泊など)を魅力的
に構築することで、最終的には「有田に泊まる」という宿泊型有田観光戦略に結びつける。
 「街まるごとショッピングセンター 」プロジェクト
「有田陶器市」や「秋の陶磁器まつり」では、日常品を求める多くの人々が来訪するが、有田でのショッ
ピングの醍醐味は、お気に入りの一品を見出すことや、気品のある贈答品をリーズナブルにセットアップ
すること、意外な一品を探し出すことにある。
文化観光交流人口を戦略的に創出し、通年型観光を実現する上で、有田焼ショッピングは極めて重要な行為
となる。「毎日が、誰かの記念日である」といったお客様視点で、有田の販売拠点力をパワーアップさせ
る必要がある(「売り場」から「買い場」へ)。
「有田陶磁の里プラザ」(卸団地)に共同で「テーマ館」を設けたり、「有田ポーセリンパーク」でマイセ
ンや景徳鎮の商品が購入できるなどの工夫を加え、有田の街の魅力と一体化したユニークな街全体ショッ
ピングセンター化を目指す。
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日本磁器誕生400年記念祭
(1)テーマ会場事業
2016年に開催する「日本磁器誕生400年記念祭」のゲートウェイ機能とテーマ訴求を展
開する重要拠点会場として、「炎の博記念堂」を含む「歴史と文化の森公園」を「テー
マ会場」として編成し、ユニークな事業を展開する。有田焼400年とともに生きてきた有
田の歴史と、将来に向けた持続可能な発展ビジョンを、あらゆる世代の人々や海外から
のゲストにも共感をもって理解していただけるテーマ会場づくりに取り組む。
①総合情報センター機能
「日本磁器誕生400年記念祭」の全ての情報を合理的に入手できる「総合インフォメーションセンター
機能」を構築する。本事業の全体像、全事業紹介、事業カレンダー、目的別参加事業紹介など、来訪者
視点に立った情報提供を行う。
②ツアーガイドセンター機能
有田の「まちなか会場」で展開されている事業のうち、「歴史ミュージアム・コース」や「アート
ミュージアム・コース」のツアーガイドの提供やICTを活用した「セルフガイド・システム」の提供な
ど、有田と有田焼と記念祭をより良く理解して共感できる楽習システム機能を提供する。(運営は、窯
業大学校や有田町民のボランティアで組織化する)
③テーマパビリオン機能
「有田焼創業400年事業」の全体像と「日本磁器誕生400年記念祭」のテーマを共感をもって理解してい
ただくための映像と展示を活用した「テーマパビリオン」機能を開発する。有田焼400年の歴史への感
謝と、これからの有田の発展ビジョンを、最先端の映像・展示手法でアピールする施設とする。
④テーマイベント機能
開会式や閉会式などの儀式会場となると同時に、テーマ性をもった特別イベントやシンポジウムなどを
開催する「テーマイベント機能(ホール&広場)」を設定する。記念堂のホールをメインとしながら、
多種多様なイベントの年次編成を行う。
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(2)まちなか会場事業
「日本磁器誕生400年記念祭」はそれぞれの来訪者がテーマを求めて「まちなか」を巟る
新しい参加体験楽習型事業である。2016年の「記念祭」そのものの特別な魅力を構成す
るために、「泉山磁石場」や「天狗谷窯跡」などの歴史的拠点や「九州陶磁文化館」、
「陶磁の里プラザ」「有田ポーセリンパーク」をネットワーク型特別拠点会場として編
成する。
なお、「まちなか会場」のエリア別編成は、これまでの有田観光ガイドのエリア編成に
準拠するが、テーマ性をもった「参加体験楽習」ツアーの導入によって、魅力的な個別
施設をネットワークする方式との共存も考慮して改めて創意工夫する。
①「泉山拠点会場」 は、「有田町歴史民俗資料館」や「有田焼参考館」と連携して、「泉山磁石
場」をテーマ性をもった特設会場として編成する。日本磁器発祥の地としてのモニュメント性と歴
史公園化の展望を組み合わせて、特別なイベントが開催できる環境に整備する。
②「天狗谷拠点会場」は、「復元唐臼」とセットで「天狗谷窯跡」の歴史的な産業遺跡と歴史文化
遺産の復元プロジェクトとの関係を踏まえて拠点会場化を考える。場合によっては、現状のまま
「泉山拠点会場」と連携したネットワーク拠点として位置づけることも考慮する。
③「県立九州陶磁文化館拠点会場」は、年間を通して話題性が高くユニークな展覧会を編成して、
有田焼の歴史と文化と価値を学ぶ拠点会場とする。(ミュージアムツアーの起終点とする)
④「有田ポーセリンパーク」拠点会場は、マイセンをはじめ景徳鎮など、有田と縁の深い海外の
陶磁器産地との文化観光交流拠点会場とする。特別展示や特別イベントの開催を目指す。
⑤「有田陶磁の里プラザ」拠点会場では、「街まるごとショッピングセンター」ツアーの中心的
な拠点会場とする。また、特設の参加体験交流空間を設けて、「有田焼世界ブランド」の新製品発
表会やテーマ性のある情報展、消費者との接点が強いイベント(例:テーブルウェア、キッチンス
タジオ)、お客様相談室などを積極的に展開する。
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(3)ARITAエクスペリエンス事業
2016年の1月1日(お正月)にスタートし、12月31日の「有田碗灯」で終了する、四季
を生かした1年間の通年事業として展開する。通年型観光のモデル事業として工夫すると
同時に、5月4日の「陶祖祭」をスタートに、夏休みを含む期間に主要事業を集中的に推
進する。また恒例の春の「有田陶器市(4月29日~5月5日)」、秋の「有田陶磁器まつ
り(11月下旪)」も、「日本磁器誕生400年記念祭」として特別なバージョンアップを
はかる。また、子供向けプログラムを開発し、運営する。
① 「歴史探訪ツアーガイド・システム」の展開: 予約制を基本に、有田400年の歴史に参加体験楽習で
きる、インタープリテーション型ガイドツアーを組
織する。
② 「有田特別窯巟りシステム」の展開:
有田焼を代表する名窯を中心に、窯と作品を巟る至
福のツーリズムの展開。食事や喫茶も特別にセット
アップしながら、1日コース、1泊2日コースなどのメ
ニューを開発して提供する。
③ 「グローバル磁器フェスティバル」の開催:
ドイツ・中国・韓国と連携した陶磁器フェスティバ
ルを2016年、有田の街を舞台に開催する。また、こ
のタイミングを生かして「まちなか陶磁器博覧会」
を開催する。
④ 「特別公演事業」の開催:
有田焼400年をテーマにした「創作ミュージカル」や
「演劇」「コンサート」などを「テーマ会場」や、
「泉山磁石場会場」など、その他ユニークな会場設
定を行って展開する。
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継承プロジェクト
(1)「磁器発祥記念公園化」事業
「泉山磁石場」は、日本で初めて磁石場として開削され、日本における磁器生産発祥の地の記
念すべきモニュメントである。従って、「泉山磁石場」を「日本の磁器誕生」の場とする。
「天狗谷窯跡」は、江戸期に於ける有田焼隆盛の時の歴史的な登窯の遺跡であり、復元構想も
含めて近世マニュファクチュアリングの現場として有田が、日本が世界に誇れる歴史的産業文化
遺産である。また、「白川釉石採掘所」は坑道掘りの歴史的価値が高く、現在も釉薬原料として
使用しており、事業の一環として整備する。
こうした事実を踏まえて、「世界遺産化」「国営公園化」「県立公園化」などの「歴史記念公
園化」事業に取り組む。経産省が推進する「産業近代化遺産群」や文化庁が推進する「近代化遺
産」も視野に入れながら、世界に誇れる「磁器発祥記念公園」として整備する。2016年は、より
多くの県民や国民に、このプロジェクトの有意義性に共感していただける様にする。
(2)「芸術工科大学」創立事業
人材育成は、グローバルな視野で展開しなければならない。有田が世界に誇れる陶磁器文化の
発信拠点であり続けるためには、優れた窯業生産システムの保存継承と同時に、優れた人材育成
の仕組み、特に高等教育機関の充実が欠かせない。規模の大小に関係なく、陶磁器生産と文化を
リードする教育機関としては、日本全国の美大卒業者や海外からの留学生を積極的に受け入れ、
実学的に優れた教育を提供できる(柿右衛門先生や萬二先生、今右衛門先生)「芸術工科大学」
の創立を計画する。その為には、国際的コンペティションや各種セミナーやサマースクールなど
のソフト事業なども積極的に取り入れる活動に早期に取り組む。
P.21
(3)「九州陶磁文化館」進化事業
2016年に36年目を迎える「佐賀県立九州陶磁文化館」は、「進化するミュージアム」として、
次への発展戦略を明確に示す必要がある。
特に「有田焼の古陶磁器研究の世界的センターになる」ことと、「未来型有田焼の先導的な情
報発信センターになる」ことが重要である。前者については、有田の先人が創り出した「歴史的
偉業」を体系的に回顧する事業を、後者については斬新な「企画展」などを展開する必要がある。
そのためには、新しい時代に対応した施設機能を充実させると同時に、来場者の参加体験楽習ソ
フトの充実もはかり、名実共に陶磁器文化の世界的センターに育成・発展させるプロジェクトに
取り組む。
ドイツ、中国、韓国と連携して、毎年「グローバル陶磁器フェスティバル」を交替で開催する
事業などを計画し、九州陶磁文化館がその中心となるように推進する。
P.22
「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」の推進構造(まとめ)
テ
ー
マ
時空を超えた陶磁器文化の体験空間
感動と創造、ARITAエクスペリエンス
「日本磁器誕生・有田焼創業400年事業」
<2016年>
<2012年~2015年>
<2012年~2016年~>
日本磁器誕生400年記念祭
事前プロジェクト
「モノづくり」「街づくり」「人づくり」「交流
づくり」を一体的に捉えて、官民一体で
戦略的に推進する。
有田焼世界ブランド化事業
「企画」「生産」「流通」「販売」を「産
地統業化」させながら、有田焼の新たな世
界ブランド化に挑戦する事業
一年間を「記念イヤー」とし、
国内外からの来訪者が有田の
魅力を直接に参加体験できる
事業を年間を通じて提供。
継承プロジェクト
ハードの整備や社会資本整備を伴う
プロジェクトで、国や県と戦略的に連携し、
事前段階から準備して実現を目指す。
ARITAエクスペリエンス事業
有田が有する陶磁器文化を「参加体
験楽習」(ラーニング・エクスペリエ
ンス)できるソフト事業を多様・多彩
に展開。
「磁器発祥記念公園化」事業
「芸術工科大学」創立事業
+
有田町文化観光価値形成事業
有田の有する「自然」「歴史」「文化」
「技術」資産を磨き上げ、有田町を国際
的な文化観光交流拠点に構築する事業
テーマ会場事業
まちなか会場事業
「炎の博記念堂」のある
「歴史と文化の森公園」を
「テーマ会場」に、記念祭
全体のゲートウェイ機能
(テーマ館/情報館/サー
ビス館など)を集積。
「泉山磁石場」や「天狗
谷窯跡」「九州陶磁文化
館」などをネットワーク型
特別拠点会場として、ユ
ニークな「街あるき」シス
テムを構築。
「九州陶磁文化館」進化事業
(各事業は国や県の施策と連携させながら、産官学・市民の連携事業として組み立てる。)
P.23
9 事業推進スケジュールの考え方
2011年度は「基本構想」策定の年とし、事業全体の「ビジョン」と「コンセプト」を大局的に
検討し、固めることとする。ここでは、2012年以降の活動スケジュールを示す。
2012年
主な国際行事
事業化のステージ
事前プロジェクト
●有田町世界ブランド
化事業
2013年
ロンドン・オリンピック
麗水国際博覧会
日中正常化40周年
基本計画策定
基本計画策定と
一部先行実施
「有田焼販売促進
委員会」の設置
2014年
サッカーWCブラジル大会
ソチ冬季オリンピック
実施計画策定
実施計画策定と
一部先行実施
国際陶磁器サミット
2015年
ミラノ国際博覧会
個別実施計画策定
制作・設営
(一部実施)
(一部実施)
主要活動の実施と
成果リサーチ
400年記念祭との
連携準備
2016年
2017年
リオ・オリンピック
実施本番
フォロー
400年記念祭
との連携実施
総拢・まとめ
次への提言
伝統的工芸品全国大会
予定(要検討)
有田焼歴史展
●有田町文化観光
価値形成事業
日本磁器誕生
400年記念祭
●「テーマ会場」事業
●「まちなか会場」事業
●「ARITAエクスペリエン
ス」事業
継承プロジェクト
●「磁器発祥記念公園化」事
業
●「芸術工科大学」創立事業
●「九州陶磁文化館」進化
事業
基礎調査と
基本計画策定
テーマ毎の
実施計画の策定
事前調査
第1次集客予測調査
(既存データ分析)
個別プロジェクトの
実施への取り組み
第2次集客予測調査
(既存データ分析)
400年記念祭との
連携準備
400年記念祭との
連携実施
第3次集客予測調査
(アンケート分析)
実施本番
総拢・まとめ
次への提言
総拢
まとめ
第1次経済波及効果
調査
基本計画策定
検討委員会の
発足
全体実施計画
策定
基本方針の策定
個別実施計画
策定
基本計画策定
一部プレイベント
等ソフト始動
基礎調査
基本調査策定
公式記録
制作
個別制作
実施準備
実施計画策定
400周年記念祭
との連携準備
400年記念祭
との連携実施
フォロー
P.24
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