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Ⅲ-2危機管理班
第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 教職員ハ ンドブック3b .pdf 危機管理班の人選 ◎危機管理担当:教務、総務、生徒指導などが担当するのが一般的です。中核メンバーを 2~3人確保しておきましょう。危機管理担当は、危機対応実務を担う要で、責任者とと もに危機対応全般の実務を扱います。また、ナンバー3として、校長や教頭が不在時に代 行したり、ブレイン(補佐役)となります。ハンドブックの全てに精通してください。 ◎情報担当:情報収集を行い、記録や記事などを管理し、保護者やマスコミへの公開情報 を文章化するなどします。教育委員会のサポートが必要と考えられます。 ◎ 庶 務 担 当 : 事 務 長 の い る 学 校 で は事 務 長 が 担 当す る の が 一般 的 で す 。庶 務 担 当 は事 務 職員を統括し、危機対応態勢をとらせます。初動ではコールセンターを統括するのが一般 的です。 ○事務職員:事務職員はここです。 ○その他教員:班の役割のない教師(担任を除く)は危機管理班を手伝うことにしておき ます。その時々の必要に応じて、他の班の役割も担います。 ※教育委員会職員は危機管理班(管理職は責任者)の役割を担います。特に情報担当が重 要です。必要に応じて他の班(報道対応班、保護者班、学校安全班)の役割を担います。 班 危機 管理班 担 当 役 割 危機管理担当 (2)危機対応態勢 (3)危機対応計画 情報担当 (1)状況把握と情報管理 庶務担当 (4)庶務の統括 ◎担当者(1~2人) ◎ 危機管理担当: ○ その他教職員: ◎ 情報担当: ◎ 庶務担当: ○協力教職員 ○事務職員 危機管理班のポイント ○責任者が本来の役割に集中しやすいように動きましょう。 初 動 で の ポ イ ン ト (Ⅱ-1参照 ) ●子どもの所在(校内、どの病院)と安否情報の把握が最優先です。コールセンターを置 き、統括者の元で一元対応しましょう。 ●事実関係等の把握に努めましょう。 ●子ども (校 内も 病院も) には必ず大人がついているか確認しましょう。 ●被害の重い子ども (含死亡 ) の保護者に連絡が行っているかどうかを確認しましょう。 ●CRTの派遣要請を校長に進言しましょう ( 1時間以内)。 ○以 下の記載が100%正 しいわけでは なく、また、 この通りに全 て実行できる 学校もありま せん。 ○私 学の場合には 、「教育 委員会」のと ころを私学の 経営母体と読 み替えてくだ さい。 ○ は、CRT との 協働でなく学 校(と教育委 員会)のみの 動きです。 - Ⅲ-2-1頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 状 況把握と情報管理 ア 情報管理 危機管理班 (情報担当) →Ⅰ-2 (3)ア c)情報管理 情報収集、整理、配付 ○何が起こったのかを早急に把握する必要があります。 ●情報担当は、責任者(校長、教頭)や危機管理担当にピッタリついて、時系列でメモし ていきます。会議や集会、会見には必ず顔を出します。 ●教職員からの報告が責任者や危機管理担当に上がってきますので記録・集計します。文 書やメモは(コピーをとって)ファイリングします。 ○ 情 報 ( information ) を 単 に 集 め る だ け で は な く 、 目 的 に 応 じ て 使 え る よ う に 適 切 に 整 理 し( intelligence)、適宜必要な相手に配付する必要があります。 ○多くの学校で、責任者(校長・教頭)自らがこの作業を行っているのをしばしば見受け ますが、この作業を手慣れた誰かにお願いできれば、責任者は本来の職務に集中できるよ うになります。 内部用事実 ○まずは 、「内部用事実」として①②③を収集します。 ○できれば、現地活動チームが共有する内部情報(①②③)を整理しましょう。 ①事故・事件の概要(できれば5W1H) ②対応経過 ③今後の計画 ①事故・事件の概要 ( 5W1H ; ただし 、 こだわらないこと ) ○これには「何が起こったのか」という事故・事件の事実と、どんな被害が出たのかとい うこと(→イ)が含まれます。 ○事故・事件の事実についても 、最初から全体像がつかめないことがあります 。それでも 、 対応しなければならないのが危機対応の難しさです。教職員などから情報収集を急ぎまし ょう 。「5W1H」が基本ですが、最初から細部にとらわれないようにしてください。 ○事件に関する情報は、警察の情報によるところが多く、緊密な連携が必要になります。 可能な限り教師が事情聴取に立ち会うことにより、子どもが何度も聴かれなくて済むよう にしましょう。 →Ⅲ-5(1)イ ○被害状況として、怪我人、救急搬送、入院などの氏名と人数なども必要になります。 →イ 被害状況把握 ●メモ書き程度でも構いませんから、○月○日○時時点の情報ということで箇条書きにし ておきましょう。そうでないと、その都度言うことが微妙に変わってしまって、混乱の元 になります。初日はこれにその都度情報を追加、あるいは、更新が必要になります。 ○ただし、直後には「2年2組の○○は今どうしているのか」という保護者からの個別の 安否の問い合わせに対して返答できることのほうが大切です。 →Ⅱ-1<2> - Ⅲ-2-2頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 ①事故・事件の概要 1)事故・事件の事実 2)被害状況 3)個別の安否情報(直後) ②対応経過 ○ 「 何 時 に何 が あ っ た 」「何 時 に どこ で 誰 が 何を ど う し た」 な ど を 、 メモ し て い きま す。 ③今後の計画 ○今後の計画が決まってきたら、箇条書きにまとめてください。 内部用事実を元に公表用事実 →Ⅰ-2(3)ア c)情報管理 ○情報管理の基本を理解してください。 ○「内部用事実」を元に「公表用事実」を文章化しましょう。 保護者向け文書 →Ⅲ-3保護者班 (1)ア 保護者への伝え方、文書 ○「公表用事実」を元に、保護者向けという形にまとめるのは「保護者班」の役割にして いますが、情報担当で一括しても良いでしょう。 マスコミ向け文書 →Ⅲ-4報道対応班 (2)ア、(3)ア マスコミへの伝え方、文書 ○「公表用事実」を元に、マスコミ向けという形にまとめるのは「報道対応班」の役割に しています。 報道に関係する情報の扱い ●記録係は後ろのほうで 、記者会見での発表と一問一答を 、可能な限り書き留めましょう 。 ○録画か録音ができるとなお良いです。 ●各ローカルニュースの時間帯を把握しておき、以下の情報を可能な限り入手します。 ・新聞 (地元と 他のエリアで は、県内でも 記事が異なり ます) ・ニュース録画 …職員の家族等いろんな人に頼みましょう ・インターネットのニュース ・その他 ● 集 め た 記事 等 は コ ピ ーし て 責 任 者( 校 長 、 教頭 、 教 育 委 員会 )、 危 機管 理 班 、 報道 対応 班、CRT等に渡してください。 インターネットの情報 ○インターネットへの書き込みのチェックが必要になります。プライバシーの侵害になる ような書き込みに対しては、学校または教育委員会から削除を要請することがあります。 もちろん、関係者の確認をとるのが基本です。 - Ⅲ-2-3頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 イ 被害状況把握 死亡(重体・行方不明を含む) ●病院や警察の発表を元に判断してください。可能な限り直接的な情報を得てください。 怪我 (身体面) ●怪我の程度は病院の情報によります。家族を通してになることもあります。 子どもの被害程度 (心理面) →Ⅲ-6ケア班 (1)イ 被害程度把握 ●以下の分類により、どの子どもがどの程度の被害を受けたのかを把握します。 ・直接被害 ・被害未遂 ・直接対応 ・目撃 ○情報は当初は不正確であることが多く、後から後から判明すると思っておきましょう。 全体として被害程度を低く見積もらないことが必要です。 ○詳細は、専門家を交えてケア会議やケア班で検討されます。 職員の被害程度 ●子どもだけではなく、職員の被害程度も把握しましょう。 推定レベル →Ⅰ-2(1)ア 学校危機とは ●とりあえずの情報から、レベルを推定しましょう。また、最悪の事態を想定したレベル も想定しておきましょう。 ○希望的観測で決めないことが大切です。当初は悪目に設定しておき、それに即した態勢 を組んでおくことが大切です。 ○レベルとはどの程度の態勢でのぞめば良いかの目安となるものですから、判定にこだわ らないようにしましょう。 ○CRTは出動要請があった時点でレベルを推定していますし、到着し状況を聴取した後 にレベルを推定します。幅をもたせることもあります。これを基に態勢を組んでいただき ます。撤収時に最終確定します。 - Ⅲ-2-4頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以下は、集計方法の例です・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 病院へ搬送状況 ●多くの生徒が病院に搬送されるような事案では、例えば以下のような集計表を作成する 必要があります。どこまで詳細を公表するかは、検討してください。 ○右の空欄は、ケガの重傷度などに使ってください。 年 月 日( ) : 現在 病院へ搬送 入 院 非入院 年 男 女 計 男 女 計 男 女 計 組 組 組 学年計 全校計 出欠席の集計 (2日目以降) ●多くの生徒が欠席するような事案では、例えば以下のような集計表を毎日作成する必要 があります。 ●この集計作業に一人役とられてしまいますので、教育委員会職員が担ってください。 ○「関係あり」というのは、今回の事件に関係がありそうな数です。 ○ 「 関 係 不明 」 と い う のは 、 今 回 の事 件 と 関 係が あ る と 言 えず 、 不 明 な数 で す 。「関 係な い 」 と 断 定す る の は 危 険な の で 、 この よ う に して い ま す 。 例え ば 、「 歯医 者 に 行 くか ら」 という理由で欠席した場合は関係なさそうですが、実は別の症状が出ていて、歯医者に行 かなかったとしても学校には行けなかったかもしれないからです。 ○ マスコ ミに公開 する場 合、クラ ス別ま で出す必要は無いと思われます(当該クラスは必要 かも しれませんが)。 ○レベルⅣ以上の事案では、昼前に一度仮集計で報告し、夜最終で報告するなどが必要に なるかもしれません。教育委員会からFAXで各マスコミに送ってもらいます。 ○ 最 初 の 何日 か は こ ま めに 報 告 が 必要 で す が 、1 週 間 も 経 てば 、「 翌 日最 終 集 計 結果 を送 る」でも構わないでしょう。段階的に簡略化し、終了しましょう。 年 月 日( ) : 現在 欠 席 遅 刻 早 退 入 院 年 定数 出席 関 係 関 係 遅刻 関係 関係 早退 関係 関係 入院 本日 男 女 計 あり 不明 人数 あり 不明 人数 あり 不明 継続 退院 組 組 組 学年計 全校計 - Ⅲ-2-5頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 学年集会 ●以下のような集計データを持っておきましょう。どこまで詳細に公表するかは、検討し てください。 参加せず別室へ 途中で退席 男子 女子 計 男子 女子 計 合 計 合 計 年生 年生 年生 計 ( 年生のみクラス別) 参加せず別室へ 途中で退席 年 男子 女子 計 男子 女子 計 組 組 組 組 組 組 計 保健室利用状況 ●以下のような集計データを持っておきましょう。どこまで詳細に公表するかは、検討し てください。 月 日 男子 女子 計 月 日 男子 女子 計 月 日 男子 女子 計 月 日 男子 女子 計 月 日 男子 女子 計 月 日 男子 女子 計 年生 年生 年生 計 ( 年生のみクラス別) 月 日 月 日 年 男子 女子 計 男子 女子 計 組 組 組 組 組 組 計 - Ⅲ-2-6頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 専門家からのデータ ○専門家から以下のようなデータをもらいましょう。ただし、専門家が集計に手をとられ てしまいます。元のデータだけもらって、集計は危機管理班で行う必要があるかもしれま せん。 ○どこまで詳細に公表するかは、専門家も交えて検討してください。 ■表 子どもへの個別相談状況 (学年別) 月 日 月 日 月 日 男子 女子 計 男子 女子 計 男子 女子 計 月 日 男子 女子 計 年生 年生 年生 計 ■表 保護者等の個別相談状況 (学年別) 月 日 月 日 月 日 月 年生 年生 年生 保護者計 教 職 員 日 月 日 月 日 合計 ※教職員と は随時協議し ているため、デ ータが出せな いかもしれま せん。 ■表 訪問相談の状況 月 日 月 日 月 日 月 日 月 日 月 日 電話相談の状況 月 日 月 日 月 日 月 日 月 日 月 日 計 ■表 計 - Ⅲ-2-7頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 ウ 背景の問題 背景情報 ○情報の中でも背景に関する情報は当初はつかめないのが一般的です。しかし、マスコミ や保護者からすぐに「真相究明」を求められるものです。 ○現在つかんでいることについても、確度がどれぐらいかの吟味が必要です。仮に事実だ としても、断片的な事実は真実ではありません。それを公表することにより、もっと重要 な事実が浮かび上がらないこともあります。慎重な対応が求められます。 とりあえずできること(最初の3日間) ● 校 長 を トッ プ と す る 「特 別 対 策 チー ム 会 議 」(仮 称 ) を立 ち 上 げ 、 取り 組 み を 始め たこ とを公表しましょう。 ○教職員からの聞き取り調査は急いで行う必要があります。 ○警察の事情聴取に可能な限り立ち会わせてもらうことで、背景情報がつかみ やすくなります。 1)6週間は心のケアを優先し、何でも話せる雰囲気を作る ○個別には状況を見ながら子どもから聴くこともあります。 ○ただし、一斉調査(生活調査アンケートや一斉聞き取り)は6週間控えることをお勧め します。 ○ も ち ろ ん、 生 徒 が 自 発的 に 話 そ うと す る こ とは し っか り 聞い てく ださ い ( た だ し 、 専 門 家 に だ け語 ら れた 内容 を 、本 人 の了 解 なし に学 校 へ伝 え るこ と には 制約 があ りま す)。何でも語れる雰囲気 を作ることが大切です。 2)調査結果の公表を急がない ○子どもが語ったことがすぐに公表されてしまうと、話したことを後悔し、その後口を閉 ざしてしまうかもしれません。もしかしたら、一番言いにくいことが語られないままにな る可能性があります。 ○誰かが何か語るとそれがすぐ報道されるという「衆人環視」の中で、子どもに本当のこ とを言えというのは無理な話です。 ○実は、もっと深刻な問題があります。いろんな断片的な噂や憶測や尾ひれのついた情報 がインターネットに書き込まれたり、携帯メールで配信されてしまう現実です。特定の誰 かがネットの中でいじめられるという、二次被害が起こってしまうわけです。このような 中で、学校でどう扱っていくか、大変難しい課題が突きつけられています。書き込みの削 除を要求する必要も出て来るでしょう。 ○調査結果の公開には関係者の同意が必要なことが多く、難しい問題を含んでいます。 3)事件とすぐに結びつけないこと ○いじめ等の事実がある場合、その生徒の責任はいじめた行為についてであり、事件の責 任そのものではありません 。「 原因 」、「 因果関係 」 という表現ではなく 、「 背景 」、「 動機 」 という表現にしてください。 ○いろいろな背景要因が複雑に絡まっており、1つではありません。単純化しないように 注意したいものです。 - Ⅲ-2-8頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 危 機対応態勢 ア 危機対応態勢の確保 危機対応本部 ○危機対応本部は右のような構成になりま す。一見、大所帯に見えますが、多くの学校 校長、教頭、危機管理担当、情報担当、庶務担当、保 護者担当、個別担当、報道対応担当、報道窓口担当、 では複数の担当を「かけもち」するため、そ 学校安全担当、本部付き職員、教育委員会職員等 れほどの人数にはなりません。 ○「 危機対応会議 」とせずに「 危機対応本部 」 危機管理班 保護者班 報道対応班 学校安全班 としたのは、全員が集まる機会はそれほどな ◆図 危機対応本部の構成(例) く 、これらの人が校長室に絶えず出入りして 、 「報告-協議-決定」が繰り返し行われるのが実態だからです。 ○学校職員による本部に、教育委員会職員が加わり、さらにCRTが協力するスタイルに な り ます ので 、図 示 すると 次の 学校 教育委員会 CRT ようになります。 校 長 管理職 隊 長 ○CRT隊長(と隊長付き隊員) は 本 部に かな りの 時 間いる こと 教頭、各担当 (ブレイン) (副 長) になります(レベルにもよります 本部付き職員 派遣職員 隊長付き隊員 が)。 ○ 危 機対 応に おい て は、情 報の ◆図 危機対応本部(拡大)の構成 伝 達 ・共 有、 協議 ・ 意思決 定、 教職員への伝達をスピーディーに行う必要があることから、部屋の物理的配置の影響を考 慮する必要があります。ご自分の学校の部屋の配置はどうでしょうか? 本部 事 務長、職員 電話受付 来校 受付 コールセンタ ー 校 長 、 教 育 委 員 教頭、 会、CRT隊長 等 教職 員 危機管理班 危機 対応本部 廊下 ○危機対応に比べれば、心のケアでは部屋の物理的配置による影響は少なくなります。以 下のように並んでいる必要はありません。 CRT隊員 教育相談 養護 教諭 (心のケア) - Ⅲ-2-9頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 教育委員会職員 ●レベルⅡ以上の事案は 、教育委員会による職員派遣が必要です 。人数の目安はⅠ-2(2) ウの通りです。職員の派遣がCRTによる支援の前提条件となります。 教職員の非常呼集 ○教職員の非常呼集の目安は既に示した通りです。 →Ⅱ-1 <3>ア ○無駄になることを覚悟で、大げさに対応しましょう。結果的に「無駄」になる部分は訓 練と思って動いてみてはどうでしょうか。 ●全教師を呼集する(または残らせる)場合、CRT到着前に解散しないようにしてくだ さい。 教職員ハンドブック ○CRTは教職員ハンドブックを使用します。 ○もちろん、マニュアルには限界がありますから、教職員ハンドブックの記述と反対の助 言をすることもあります。 イ チーム会議と職員会議 会議・協議の3層 ○全員が集まる「 職員会議 」、主要教職員が集まる「 校 内 危 機 管 理 チ ー ム 会 議 」、 そ れ に 各 班 レ ベ ル の 協 議 の 3 層が考えられます。目 的にあわせて開きましょう。 全 員 職 員 会 議 主要教職員 校内危機管理チーム会議 危機対応本部 ケア会議 各班レベル 協 議(随時) 職員会議 ◆図 会議・協議の3層構造 ●1日3回位は全員集まるようにしましょう。 ○短い会議と長目の会議をうまく組み合わせましょう。 ●毎回専門家(CRT等)にも出席してもらいましょう。一度、心のケアについてのレク チャー(心理教育)を受けましょう。 →Ⅲ-8(2)ア 校内危機管理チーム会議(危機対応本部+ケア会議) ○「チーム会議」は、校長、教頭、各班の担当者、必要に応じて当該クラス担任、スクー ルカウンセラーなどで構成します。これに教育委員会職員等が加わります。CRTも同席 します。 ○ 実 際 に は 、「 危 機 対応 本 部 」 と 「ケ ア 会 議 」に 分 け て 動く こ と が 多 く、 こ れ に 職員 会議 を組み合わせば、チーム会議はほとんど開かれないかもしれません。 ※PTA役員は危機管理チームの構成員ではありませんが、必要に応じて会議に出席して いただくなどします。 各班での協議 ○各班や学年別に随時協議してください。CRTもタスクフォース(任務班)に別れて協 働することになります。 - Ⅲ-2-10頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 ウ 関係機関・団体との連携 自治体への支援要請 →Ⅴ-2(3)自治体 ●レベルⅢ以上の事案では、自治体に職員派遣を要請してみてはどうでしょうか。今後の 連携のための情報共有のために 、チーム会議かケア会議に出席してもらうなどしましょう 。 ○レベルⅡでも、地域の衝撃度が高い事案では、自治体の関与が必要になります。 ○支援要請の決定と最初の連絡は責任者や教育委員会が行うことになります。 医療機関、相談機関との連携 →Ⅲ-6 ケア班 (2)エ 医療機関等 ○個別の連携はケア班(養護教諭等)が行いますが、多くの子どもが受診するなどした場 合、組織として連携が必要になります。その場合は危機管理班が窓口になるのが一般的で しょう (必要に応じ、 責任者や教育 委員会が対応)。 ○直後は病院に出向いて、子どもの安否確認を統括する場合もあります。 →Ⅱ-1<2>イ 民間被害者支援団体との連携 ○専門家による校内での支援とは立場が違いますが、民間被害者支援団体が学校外で支援 (電話相談等)を提供する場合は、可能な限りの連携を図る必要があります。 兄弟のいる学校等との連携 ○何らかの形で連携が必要になります。 CRTについて ○CRTチーム全体の窓口は校長です。 ○CRT隊員は班には所属せず 、その都度隊員2~3人からなるタスクフォースを編成し 、 このタスクフォースが班などと協働して活動することになります。 エ リーダーへの助言 責任者の仕事の分担 ○危機時には責任者である校長・教頭に仕事が集中します。これを各班に分担し、責任者 本来の職務に集中できるようにすることがポイントです。 責任者の補佐役(ブレイン) ○頭脳の部分で分担するのが補佐役(ブレイン)です。ブレインは、起こりうるいくつか の事態に対する複数の対応策(案)を用意し、リーダーが最終決断するのが理想です。 責任者の代行 ○ 危 機 管 理班 ( 危 機 管 理担 当 ) は 、校 長 、 教 頭に 次 ぐ ナ ン バー 3 と な りま す 。「 校長 が不 在で、教頭は初動でダメージを受けて責任者の役割を十分果たせない」という事態もあり 得るわけです。 専門家による助言 ○CRTは、危機対応と心のケアの両方について助言します。校長や教育委員会管理職に 助言するのは、主に隊長(指揮担当隊員)です。 ○スクールカウンセラーは、主に心のケアについて助言することになると考えられます。 - Ⅲ-2-11頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 危 機対応計画 ア 計画と行事調整 1)本日の検討事項 緊急記者会見 →Ⅲ-4 報道対応班 ○複数社から取材(の申し出)があった時は、開くつもりで準備を始めましょう。本部を 中心に取り組む行動計画の1つです。 緊急保護者会 →Ⅲ-3 保護者班 (2)保護者会とPTA ○原則として当日開催するつもりで準備を始めましょう。全校挙げて取り組む行動計画の 1つです。 ○小規模事案で関係者への配慮から開催を見合わせることや、時間的に当日無理なことも あります。 集会 →Ⅱ-1 初動での対応 <1>ウ 校内にいる子どもへの対応 ○当日、校内にいる子どもにどう伝えるかです。 一斉下校 →Ⅲ-6 学校安全班 (2)ウ 登下校時等の安全確保 ○当日の一斉下校等をどうするかです。 事情聴取対応 →Ⅲ-6 学校安全班 (1)イ 事情聴取 ○事情聴取にどのように教職員が立ち会うか、警察とも協議しましょう。 病院・遺族宅訪問 →Ⅱ-1 初動での対応 <3>ウ ○担任や管理職などの訪問がまだの場合、早めの訪問が必要でしょう。 電話連絡 →Ⅲ-7 子ども班 (5)イ 電話相談 ○緊急保護者会の開催や明日のことなどを伝えるのに、連絡網では不十分なので、必要が あれば教職員が手分けをして、電話連絡を入れる必要があります。 ○担任を通して、自宅での子どもの状況把握が必要なこともありますが、電話では難しい 場合があります。 通夜 →Ⅲ-3 保護者班 (3)イ 喪の過程(葬儀まで) ○希に当日通夜ということがあります。遺族の意向を伺い、学校の関わり方と保護者への 連絡方法などを至急決める必要があります。 電話・相談態勢 →(4)イ 電話対応、Ⅱ-1<2>コールセンター ○いわゆる「お客様窓口」の設置です。 職員会議 、 チーム会議、危機対応本部、ケア会議 →(2)イ ○本日の職員会議・チーム会議はだいたいの予定時刻を決めておきます。 - Ⅲ-2-12頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 全教師の心理教育 →Ⅲ-8教職員班 (2)ア 教職員の心理教育 ○CRTが展開中に 、教師全員への心理教育( レクチャー )を早めにしてもらいましょう 。 2)本日の予定(時刻) ●以上を、時間に沿って組み立ててみましょう。無理はありませんか? 3)休校にすべきかどうか ○事件発生が金曜日の場合にはすぐに決めなくて良いのですが、そうでない場合には、翌 日から学校をどうするかが大きな問題になります。 ●翌日休校にしなかったらどのような問題が起こるか。それに対してどのような対応が可 能か、あるいは困難なのかを書き出してみましょう。 メリット デメリット[対応策] 休校にする 休校にしない - Ⅲ-2-13頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 4)翌日以降の重要事項 以下の事項について計画を立てておきましょう。 登校時立哨 →Ⅲ-5 学校安全班 (2)ウ 登下校時等の安全確保 ●打ち合わせをし、人員を確保しましょう。 学年集会 →Ⅲ-7 子ども班 (1)イ 学年集会 ○周到な準備が必要です。保健室が子どもで溢れることもあります。別室と対応職員の用 意が必要になります。全校挙げて取り組む行動計画の1つです。 通夜・葬儀 →Ⅲ-3 保護者班 (3)イ 喪の過程(葬儀まで) ○2日目夜が通夜で、3日目の昼が葬儀というのが一般的ですが、そうでない場合もあり ます。 ○遺族の意向を伺いつつ、学校としての関わり方を決めていき、お知らせし、実施すると いう、全校挙げて取り組む行動計画の1つです。 保護者会 →Ⅲ-3 保護者班 (2)イ 保護者会 ○初日に緊急保護者会を開いた場合は、2回目は1週間後で十分でしょう。 ○初日に開かなかった場合には、2日目の夜は通夜があり、3日目の夜はCRTの協力が 得にくいなどの問題があります 。休日をはさむ場合には休日に開くという方法もあります 。 記者会見 →Ⅲ-4 報道対応班 ○ し な い つも り で も 、 せざ る を 得 なく な る こ とが あ り ま す ので 、「 す ると し た ら いつ どこ で行い、どんな準備が必要か」を心積もりしておく必要があります。 事情聴取・現場検証 → Ⅲ-5 学校安全班 (1)イ 事情聴取 ○二次被害を防ぐため、保護者や専門家と協議をし、警察と打ち合わせをしましょう。 学校の通常活動 ○翌日の授業はもちろんのこと、クラブ活動などをどうするのか決めておきましょう。 学校行事 ○大きな行事がある場合に、延期・変更するのかを決め、お知らせする必要があります。 主要行動計画 綿密な打ち合わせの元に全校挙げて取り組むべき主たる行動計画が5つあります。 もっとも、安全確保は初動での対応なので、計画を立てる時間がありません。 →Ⅰ-2(3)ウ 危機対応 心のケア 安全確保 記者会見 保護者会 喪の 過程 学年集 会 - Ⅲ-2-14頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 危機管理班 イ 特定対応 ○初日で警察で情報収集をし、家族とのコンタクトをとりましょう。 ○担任以外の連絡窓口が必要になることがあります。 ○被害者の心情を考慮し、慎重に行う必要があります。 ウ 継続的支援計画 教育委員会 CRT撤収後の支援計画のことです。 アフターケアの専門家確保 →Ⅰ-1(3)エ 中長期のケア ○CRTの支援は最大3日間です。アフターケアの専門家への引継は、CRTの活動期間 中に行う必要がありますから、すぐに手配する必要があります。 ○アフターケアの専門家の確保は、教育委員会の役割になります。 ○人数の目安はⅠ-1(3)エに示しましたが、レベル(衝撃度)は危機対応の衝撃度であっ て、必ずしも心のケアに連動しませんから、とりあえず最初の1週間の目安と思ってくだ さい。 ◆表 スクールカウンセラーの派遣人数 ○ はじめからきっちりした人数の計画を立てること (山口県立光高等学校爆発物事件,2006) 1週目 毎日7~8人 は 不可能です。やっていきながら必要人数の調整を 2週目 毎日3~4人 3週目 毎日2~3人 してください 。臨床心理士会の協力が得られるなら 、 4週目 毎日2人 5・6週目 毎日1人 人 選などの調整をお願いすると良いでしょう(県に 夏休み中 変則配置 よ り 異 な り ま す )。 表 は 、 2005年 に 起 き た 山 口 県 立 9月以降 週1.5人 光 高校爆発物事件におけるスクールカウンセラーの 派遣人数です。 ○レベルⅢ以上の場合、当該校のスクールカウンセラー1人では対応できないのが一般的 です。 ○教育委員会の専門家を派遣したり、自治体の保健師、相談員等の協力を得ることもあり ます。学校外に相談の場を持つ必要がある場合もあります。 危機対応の支援 ○教育委員会による集中的な人員派遣は、レベルⅢ弱で3日間、レベルⅣで1週間程度と 考えられます。 ○上記心のケア態勢を組むにあたっての支援の他に、危機対応、なかでも、背景調査や再 発防止などについて、支援が必要です。もちろん、これは教育委員会自らの課題でもあり ます。 教職員の臨時配置 ●当該クラス担任の授業代替えや 、教頭や主任等が危機対応にしばらく集中できるように 、 彼らの授業を代わりに受け持つ教師を臨時に派遣することを検討してください。 ○教師が休養せざるをえなくなった場合の補充は急ぎます。 - Ⅲ-2-15頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用 第Ⅲ章 班別マニュアル 2 庶 務の統括 危機管理班 事務長等 各学校でマニュアルを作成されることをお勧めします。 ア 庶務の統括 ○外部から支援や協議に来る人たちを可能な限り事前に把握し、受付で困らないように備 えましょう。 ○電話対応についてはイで簡単に説明します。 ○印刷(保護者向け、マスコミ向け、教職員向け、子ども向け)がいろいろとあります。 紙、インク、マスターなどは大丈夫ですか? イ 対応窓口 初動での電話対応 →Ⅱ-1<2> ○コールセンターを設置して対応します。 マスコミからの電話 →Ⅲ-4(4)ア ●マスコミからの電話は全て報道窓口担当へつないでください。 各方面からの電話 ○事件規模大きい場合、全国から励ましの電話や抗議の電話がかかってきます。fax、 メール 、手紙などもあります 。対応を誤ると新たな危機を作ってしまう可能性があります 。 ○電話に対応する職員は強いストレスに曝されますので、交替などの配慮が必要です。ま た、とても大切な役割を担っているのだと、責任者と全職員が共通認識を持っておく必要 があります。 保護者・子どもから学校への電話 →Ⅲ-3 保護者班 (5)イ 電話相談 ○保護者からの電話があった場合に、まず対応する窓口(いわゆるお客様窓口)があると 便利です。それなりの態勢が必要になります。 ○もちろん、担任、責任者、専門家等へ指定されればつなぎます。 ○事件規模が大きければ、保護者と子どもからの専用回線を敷きましょう。学年別など複 数必要な場合もあります。それまでは、既存の電話や携帯電話などを使います。 ○電話を受ける時間帯と 、誰が電話に出て 、どうつなぐのかを決めておく必要があります 。 ○文書等で保護者と子どもにお知らせしておく必要があります。 ○参考)高階玲治「見てわかる 学校危機管理マニュアル 」;p22.東洋舘出版社,2001. 専門家による電話相談 →Ⅲ-6 ケア (5)イ 電話相談 ○保護者や子どもが専門家に相談するための電話です。相談の時間帯や最初に誰が電話を とってどうつなぐのかなどの手順を決めておく必要があります。 ○事件規模が大きければ、専用回線を敷き、親子電話にして、子機を専門家の控室に置く などしてください。とりあえずは携帯電話を相談専用にしても良いでしょう。 ○ただし 、専門家( CRTやスクールカウンセラー )が対応できる時間帯に限定されます 。 ○文書等で保護者と子どもにお知らせしておく必要があります。 - Ⅲ-2-16頁 教職員ハンドブック 教職員、行政、精神保健専門家用