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2009 年度 阪大英語

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2009 年度 阪大英語
2009 年度 阪大英語
1 外国語学部以外
■ 概要 ■
(1)試験時間/配点/問題数
試験時間:90 分(文学部は 105 分)/配点:学部によって異なる/問題数:4 題
(2)出題・解答の形式
ほとんど記述式(Ⅱの一部が記号選択式)
(3)分量/難易度の変化(昨年度比)
分量:減少/難易度:昨年度並み
■ 各問の分析 ■
大問
出題形式(テーマ)
Ⅰ(A)
下線部和訳
(学生の読み書き
能力低下について
の教員の見解)
総語数:78 語
下線部:43 語
下線部は 1 つの文で 4 行程度の長さ。構文は易しい。
they、this situation、them の指示内容をつかむことが
重要。語彙レベルは標準。perceive(d)、literacy などが
ポイント。wholeheartedly は見慣れない単語かもしれ 標準
ないが、その語義は whole と heart(edly) から推測で
きるだろう。ちなみに、point straight at の straight
(ずばり、迷わずに)がうまく訳せないかもしれない。
下線部和訳
(気候変動の予測
に関する社会の認
識)
総語数:94 語
下線部:48 語
下線部は 1 つの文で 4 行程度の長さ。構文は易しいが、
和訳しようとしてもうまく日本語に表現できない箇所が
あ る 。 前 半 は 主 語 ( involved ま で で 、 involved が
scientist を修飾している)がポイント。each sentence
and each probability estimate の和訳はやや難しい。後 やや難
半は as ∼ as anyone could hope to get の和訳が難し
い。また、few if any(そういう人がいたとしてもわずか
だろう)はきちんと訳しておきたい。語彙レベルは標準。
deliver は前後から推測できる。
Ⅰ(B)
Ⅱ
問題の内容・分析
難易度
英文は具体的な内容で読みやすい。設問(1)は単語の空所
補充問題。選択肢は基本的な副詞、接続詞、前置詞など。
「同じ語を二度選んではいけません」という条件付きな
ので比較的解きやすい。(2)は This の指示内容を問う問
題。前の内容を過不足なくまとめればよい。(3)は和訳問
長文読解
題。科学的な内容だが、構文は易しく、語彙は標準レベ
(クジラの鳴き声
ル。as を‘理由’として訳すとやや不自然になる。(4) やや易
の研究)
は特定の箇所の要約問題。該当箇所は問題指示文の「ク
総語数:552 語
ジラと鳥」から容易に探せる。
「
(クジラの歌が)変化す
る」だけでなく「進化する」という説明も入れると万全。
(5)は文脈の理解を問う問題。直訳では正解にたどり着け
ない。(6)は内容一致問題。選択肢の語句は該当箇所を言
い換えたもの。消去法を用いれば確実に正解できる。
2009 年度 阪大英語
Ⅲ
昨年度の「嘘は常に悪いか否か」というテーマ(二者択
一)よりも自由度が高いが、こういったテーマの自由英
自由英作文
作文は一度は演習しているはず。問題指示文には「条件」
(日本について紹
が示されている。これを手がかりにすると書きやすいだ 標準
介したいこと)
ろう。
「日本の野球」
「花見」というテーマで英文を書い
解答語数:約 70 語
た受験生がいた。そのテーマを選んだ理由、具体例を挙
げ、論理的にまとめるのがポイント。
Ⅳ
(A)
和文英訳
(自信をもつとい
うこと)
下線部:109 字(句
読点含む)
4 つの文で 3 行程度の長さ。英作文に使える基本例文を
覚えていれば英訳できる箇所が多い。
「自信がある」は訳
出できないと厳しい。ただし、
「堂々としている」
「落ち やや難
着きがある」
「余裕もある」
「少々のことで」
「大人として
(ふるまう)
」あたりの訳出がやや難しいかもしれない。
Ⅳ
(B)(イ)
3 つの文で 4 行程度の長さ。(A)とは異なり、英訳しにく
和文英訳
い日本語独特の表現が含まれる。
「ふと思いだされる」
「そ
(思い出)
れでなくとも」
「∼に刻み込まれた」
「閉じ込めようとし 難
下線部:136 字(句
ても」
「なにかの拍子に」
「触発されて」あたりは、日本
読点含む)
語の内容を英語らしい表現に言い換える必要がある。
Ⅳ
(B)(ロ)
和文英訳
(人間はきき方が
下手)
下線部:113 字(句
読点含む)
3 つの文で 3 行程度の長さ。(A)よりは易しいが、やや訳
しにくい部分がある。
「講演」
「講義」
「ききもらし」
「き
き流す」を訳し分けるのは難しいだろう。また、
「随分よ 標準
くきいているつもりでも」は簡潔に英訳してもよいし、
少し説明するように英訳してもよい。
※ 難易度は阪大受験生を母集団とする基準で判定しています。
■ 今年度の出題と傾向の変化の有無について ■
大阪外大との統合後 2 年目の入試であるが、今年度も昨年度と同じ構成であった。外国語学部以外で
は「大問Ⅰ:下線部和訳、Ⅱ:長文読解、Ⅲ:自由英作文、Ⅳ:和文英訳(一部、文学部とそれ以外の学部で
問題が異なる)」という構成。
Ⅰの下線部和訳は昨年度よりも分量が減った。また、昨年度と同じく構文は易しい(近年は過去の
出題に比べて、構文を把握するという点での難しさがなくなってきているようだ)。その分、自然な日本語に訳
す力、指示語の内容を把握する力が試されているようだ。
Ⅱの長文読解は、受験生にとってわかりやすい具体例が多く、非常に読みやすい英文である。設問
は 6 問、スタンダードな出題形式(単語の空所補充、指示語の内容説明、下線部和訳、日本語での内
容説明、内容一致など)である。昨年度の下線部の単語の意味にもっとも近い意味の表現を選ぶ問題
は出題されなかった。内容一致の選択肢は英語だった。
Ⅲの自由英作文は、日本語の問題指示文になった(昨年度は英語)
。また、昨年度のように二者択
一の問題ではなく、テーマに沿って自分の意見を自由に述べる問題となった。指定語数は例年通りの
「70 語程度」である。
Ⅳの和文英訳は、昨年度に比べると和文の総字数は減り、下線部の字数は同じくらいであった。英作文の
基本例文を用いれば解答できる箇所が増えたようだ。ただ、例年通り、和文には抽象的であったり、感覚的
であったり、日本語独特であったりする難解な表現が含まれている。和文の趣旨を崩さない範囲で、日本語
を英訳しやすい表現に言い換えたり、和文では省略されている主語を補ったりするなど、高度な英訳力が必
要である。
2009 年度 阪大英語
2 外国語学部
■ 概要 ■
(1)試験時間/配点/問題数
試験時間:120 分(リスニングテストの実施時間を含む)/配点:300 点/問題数:5 題
(2)出題・解答の形式
すべて記述式
(3)分量/難易度の変化(昨年度比)
分量:増加/難易度:やや難化
■ 各問の分析 ■
※ⅠとⅢは外国語学部以外と同じ問題。
大問
出題形式(テーマ)
問題の内容・分析
難易度
Ⅱ
英文はやや抽象的で読みにくい部分があるが、具体例を
読めば理解できるはず。設問(1)は和訳問題。1 つの文で
3 行程度の長さ。構文・語彙は標準レベル。(2)は下線部
の理由を説明させる問題。理由に該当する箇所を探すの
が難しい。(3)は下線部の指示内容(該当箇所は複数、解
答はその 1 つでよい)を説明させる問題。(4)は下線部の
長文読解
意図を説明させる問題。後ろの引用部分を日本語でわか
(加齢による変化)
やや難
りやくまとめる点が難しい。(5)は下線部の和訳問題。指
総語数:803 語
示語 This の内容も問われている。該当箇所を簡潔な日
本語にまとめる点と ; the compensation is that … の
訳出が難しい。語彙は標準レベル。(6) は下線部の和訳
と理由を書く問題。
〈和訳〉for all intents and purposes
の和訳が難しい。might as well は重要イディオム。
〈理
由〉該当箇所を簡潔にまとめるのが難しい。
Ⅳ
和文英訳
(出典:村上春樹『ノ
ルウェイの森』)
下線部(1):82 字
下線部(2):52 字
下線部(3):68 字
Ⅴ
放送は前半と後半に分かれていて、それぞれに関する問
題(A)(B)が問題冊子に掲載されている。問題はすべて日
本語。放送の指示も日本語。(A)は 5 問、それぞれ日本語
リスニング
で答える。(B)は放送を要約した文の空所に適当な日本語
(18 世紀の英国海
を書き入れる。予め問題冊子の指示文を読み、英文の概 標準
軍と規律)
要をつかんで放送を聞けば、該当箇所は探しやすい。放
総語数:約 400 語
送される英文には scurvy、dysentery、typhus などの難
しい単語が含まれるが、前後にある言い換えや説明、問
題冊子の問題指示文が手がかりになる。
昨年度に引き続き出典は文学作品。下線部は 3 箇所。1
∼3 つの文で、それぞれ 2∼3 行程度。平易な日本語なの
でシンプルな構文で書けるだろう。ただ、下線部(1)「さ
標準
っと歩きはじめた」
「仕方なく」
、(2)「詰めようと思えば
詰めることもできた」
「気おくれがして」
、(3)「言いたい
ことだけを」
「まあいいや」の訳出が難しい。
※ 難易度は阪大受験生を母集団とする基準で判定しています。
2009 年度 阪大英語
■ 今年度の出題と傾向の変化の有無について ■
大阪外大との統合後 2 年目の入試であるが、今年度も昨年度と同じ構成であった。外国語学部では「大
問Ⅰ:下線部和訳、Ⅱ:長文読解、Ⅲ:自由英作文、Ⅳ:和文英訳、Ⅴ:リスニング」という構成。ただし、「大問
Ⅰ:下線部和訳、Ⅲ:自由英作文」は全学部共通問題であった。
Ⅱは大阪外大時代の出題形式を引き継いだ長文読解である。設問は 6 問、すべて記述式の問題(選
択式の問題は一切ない)である。和訳が 3 問に増え、そのうち 1 問では内容説明も課している。内容
説明の問題は 4 問である。内容説明のうち 2 問は解答の字数が指定されている。
Ⅳは例年通り、有名な文学作品の一節が出題された。今年度の出典は村上春樹『ノルウェイの森』で、読
んだことのある受験生も多かっただろう。昨年度(夏目漱石『こころ』)よりも文体が易しいものの、曖昧な「まあ
いいや」などの心情表現は訳出が難しい。
Ⅴのリスニングは、昨年度と同様に「標準」レベルであった。約 400 語の英語が前半と後半に分けて放送さ
れる。放送はそれぞれ 2 回。前半と後半に関する問題はそれぞれ(A)と(B)である。放送される英語の総語数
が昨年度より約 50 語増えた。英文には難しい単語がいくつか登場する。
■ 阪大英語の傾向と対策 ■
阪大の英語は、語彙や構文に対する理解、文脈や論理展開の把握力、日本語と英語の双方による表
現力を試そうとする、バランスのとれた出題である。「設問の内容が多岐にわたり時間制限が厳しいこと」
「英作文の比重と難易度が高いこと」の 2 点が阪大英語の特徴である。下線部和訳や長文読解の英文の語
彙レベルは他大学の問題に比べてやや高いため、
阪大志望者には語彙の習得に力を入れてもらいたい。
下線部和訳では、基本的な語彙・構文の知識と文脈把握の力をつけることが必要である。こなれた
和訳文を作成するためには、国語力も求められる。
長文読解では、同意表現や反意表現、例示、補足説明など、文脈上のつながりに注意して英文を読
むこと。英文の語数が 600 語を超えることがあるため、パラグラフごとに要旨をメモしながら本文を読
み進めるとよい。指示語が指す内容を説明させる問題が毎年出題されているので、指示語については
内容をこまめに確認すること。
外国語学部の長文問題は、
字数指定のない内容説明が出題されるので、
解答欄の大きさを手がかりにして、解答に盛り込むべき要素を問題冊子の空白に列挙し、整理してか
ら答案を作成するとよい。
自由英作文の対策としては、日頃からさまざまなテーマについて、自分の考えを簡潔にまとめる訓
練をしておくこと。文章の構成力や意見の説明能力も試されるため、自由英作文は演習量によってか
なり得点差が開く問題である。他大学の自由英作文にも取り組み、演習量を増やしておくとよい。文
章の展開を示す語句や、意見を表明する表現をまとめておくことも効果的である。
和文英訳では、基本例文の暗記と日本文のパラフレーズの練習に力を入れてもらいたい。京大に近いレ
ベルの問題が出題されるため、阪大志望者は英作文対策に時間を十分かけるべきである。英作文は独学が
難しいので、必ず信頼できる指導者に解答をチェックしてもらうこと。
リスニングについては、今後難易度が上昇する可能性もあるので、外国語学部の志望者には、入念に対
策しておくことをすすめる。リスニングのトレーニングを行う際に大切なことは、「意識的に英語を聴く」というこ
とである。BGMのように英語を聞き流しても、リスニング力が向上することはない。TOEIC や TOEFL、英検
などのリスニング問題集もよい練習用の教材となる。問題を解くだけでなく、繰り返し英文を聞いて、ディクテ
ーション(書き取り)や内容要約の練習を積むのが効果的である。
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