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同期クロックの設定
第4章 同期クロックの設定 Cisco MC3810マルチサービス・アクセス・コンセントレータは従来のデータ・ストリームに加えて、音声お よびビデオのストリームもサポートします。音声およびビデオのストリームはリアルタイム・ストリームであ り、同期装置から送信されるので、データの破壊や消失を防ぐためには、同期クロックを設定することが必 要です。 この章の内容は次のとおりです。 ● 同期クロックの概念(p.4-1) ● Cisco MC3810のクロック・ソースの設定(p.4-3) ● バックアップ・クロック・ソース階層の設定(p.4-10) 同期クロックの概念 音声およびビデオは遅延が許されないという特徴を持っています。そのため、これらのトラフィックに対して は、従来のデータ・トラフィックよりも設定やプランニングを入念に行う必要があります。音声やビデオのス トリームはリアルタイムで、しかも連続的であるため、通常は、送信元装置で生成され、宛先装置において 同期固定レートで受信されます。送信元と宛先のクロックが同期をとらないと、装置が異なるレートで情報 を生成することになります。一方の側では情報があふれ、もう一方の側では処理速度が速すぎて情報が不足 し、結局情報が失われてしまいます。 したがって、音声やビデオの設定では、マスタ・クロック・ソースを1つ指定し、ネットワーク全体がそれと 同期をとるようにします。たとえ音声トラフィックが圧縮されても、ネットワーク上のすべての装置のクロッ ク・ソースとしてマスタ・クロックが使用されるようにする必要があります。 クロックが一致しないと、さまざまな設定上の問題が生じる可能性があります。たとえば次のような場合に は、問題が生じるおそれがあります。 ● ネットワーク上に存在する複数のクロック・ソースが同期化されていない場合 バックツーバックの音声システムで、2つの装置が異なるクロック・ソースを使用し、それらが同期化され ていないと、一方の装置で音声ストリームがあふれ、もう一方の装置では音声ストリームが足りなくなり、 データ損失が発生する可能性があります。 クロックの不一致が小さい場合は、音声コーダがちょっとしたネットワーク遅延やジッタを処理するのと 同様に、Cisco MC3810の内部音声コーダで不一致を処理できることもあります。音声波形の品質は低下 しますが、多くの場合気づかない程度で済みます。 ただし、Cisco MC3810がビデオ・トラフィックの送信にCES(Circuit Emulation Services)を使用している場 合、CESは同期モードでなければならないので、上記のようなクロックの補正は行われません。したがっ て、ビデオ・トラフィックが非同期ネットワークに送信されると、データが破壊されることがあります。 同期クロックの設定 4-1 同期クロックの概念 このような場合、Cisco MC3810に接続されたビデオ装置はフレーム同期を失い、フレーム・サーチ・モー ドになるため、明らかなデータ損失が生じます。したがって、Cisco MC3810上でビデオ・トラフィックを 処理する場合はネットワーク・クロックの同期をとることが必要です。 ● レイヤ1の衝突 それぞれのクロックを使用する2つのT1またはE1ネットワークの境界に、DVM(ディジタル音声モジュール)と MFT(Multiflex Trunk)モジュールが両方搭載されたCisco MC3810が配置されると、Cisco MC3810はネット ワーク間のクロックの違いを解決しなければならなくなり、レイヤ1の衝突が生じる可能性があります。こ のような場合、DS1のクロックとフレームがずれて、フレームの再構築に時間がかかり、接続先のDS1装置 が回線切断であると認識してしまうこともあります。 同期クロック・ネットワークに対するCisco MC3810の同期化 システムが確実に同期化されるようにするには、ネットワークのどこかにマスタ・クロックを1つ設定し、ネッ トワーク全体でクロックの配信と回復が行われるようにしなければなりません。このようにすれば、ネットワー クの向こう側の装置も共通のクロック・ソースを参照できます。同期化されたシステムを構築できない場合は、 ネットワーク上の複数のクロック・ソースのクロックが一致するように設定するという方法もあります。ただ し、この場合はこれらのクロック・ソースが十分に正確でなければなりません。 Cisco MC3810は、次のどちらかの方法で、クロックの受信または生成を行うように固定的に設定することが できます。 ● コントローラのT1またはE1 0に接続されているネットワーク装置から同期クロックを獲得し、そのクロッ クを他のコントローラおよびUIO(Universal Input/Output)シリアル・ポートに配信する ● コントローラのT1またはE1 1に接続されているネットワーク装置から同期クロックを獲得し、そのクロッ クを他のコントローラおよびUIOシリアル・ポートに配信する ● シリアル・ポート0に直接接続されたネットワーク装置(DTEモードのみ)から同期クロックを獲得し、その 他のシリアル・ポートおよび両方のコントローラにクロックを配信する ● Cisco MC3810の内部でクロックを生成し、すべてのインタフェースにクロックを配信する ● T1またはE1モードでは、DVMおよびMFTから、回線または内部のどちらかのクロックを提供できます。1 つのコントローラを回線クロックに設定した場合(ネットワークからクロックを獲得する)、その他のコント ローラは内部クロック(その他のコントローラから内部でクロックを獲得する)に設定しなければなりません。 さらに、一度に1つのコントローラをloop-timedモードに設定できます。このモードのコントローラがクロッ ク・ソース階層のバックアップ・クロック・ソースとして設定されている場合、クロックがループされて ソースに戻ります。 (注) DVMをクロック・ソースに設定できるのは、搭載されているDVMがハードウェア・バージョン4.50 以上であり、SCB(システム・コントロール・ボード)がバージョン6.05以上である場合です。SCBのハード ウェア・バージョンを調べるには、show versionコマンドを入力し、Cisco MC3810 processor revisionの項 目を確認します。DVMのハードウェア・バージョンを確認するには、show controller T1/E1コマンドを入 力して、HW Versionの項目を確認します。 上記の各方法のクロック設定手順は、「Cisco MC3810のクロック・ソースの設定」(p.4-3)を参照してください。 また、クロック・ソース候補の階層を定義すれば、プライマリ・クロック・ソースが停止した場合、Cisco MC3810により自動的にバックアップ・クロック・ソースに切り替えられます。詳細は、「バックアップ・ク ロック・ソース階層の設定」(p.4-10)を参照してください。 4-2 Cisco MC3810マルチサービス・アクセス・コンセントレータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド Cisco MC3810のクロック・ソースの設定 Cisco MC3810のクロック・ソースの設定 PSTNのクロック提供方法およびデータ・ネットワークのクロック提供方法はさまざまなので、Cisco MC3810 を使用して音声ネットワークとデータ・ネットワークを統合すると、不整合が生じる可能性があります。そ のため、Cisco MC3810が異種クロックを同期化できるように、クロック・ソースの設定方法には十分注意す る必要があります。クロックは次のどちらかのソースから獲得できます。 ● PBX ● ATMまたはフレームリレーのWANキャリア ● Cisco MC3810の内部クロック ハードウェア構成に応じて、Cisco MC3810上のインタフェースのクロックを適切な方法で設定しなければな りません。各インタフェースは異なるクロックをサポートしているので、使用するインタフェースによって、 クロックの設定に必要なコマンドは異なります。また、Cisco MC3810のインタフェースがDCEとDTEのどち らに設定されているかも考慮しなければなりません。 ここでは、次の設定方法について説明します。 ● ネットワークからクロックを獲得する場合の設定(p.4-3) ● 内部クロック・ソースを使用する場合の設定(p.4-9) ネットワークからクロックを獲得する場合の設定 ここでは、Cisco MC3810上のクロックを固定的に設定する方法をいくつか説明します。取り上げる設定方法 は次のとおりです。 ● T1/E1コントローラに接続されたネットワーク装置から受信したクロックを回復する場合(p.4-3) ● T1/E1コントローラをloop-timedに設定してネットワーク・クロック・ソースにクロックを戻す場合(p.4-6) ● シリアル0に接続されたネットワーク装置からクロックを回復する場合(p.4-7) (注)ここで説明するのは、インタフェースのクロック・ソースを固定的に設定する手順です。クロック・ソー スに障害が発生した場合のバックアップ・クロック・ソースの設定については、ここでは説明しません。バック アップ・クロック・ソース階層の設定手順については、「バックアップ・クロック・ソース階層の設定」(p.4-10)を 参照してください。 T1/E1コントローラに接続されたネットワーク装置から受信したクロックを回復する場合 T1/E1コントローラに接続されたネットワーク装置から受信したクロックを回復する場合、コントローラ上の クロック・リカバリ・サーキットからネットワーク・クロックPLL(Phase-Lock-Loop)への共通サーキットに、 回復済みの2 MHzクロックが送出されます。ネットワーク・クロックPLLサーキットはコントローラから有効 な2 MHzクロックを受け取ります。ネットワーク・クロックPLLは回復されたクロックと同期をとり、そのク ロックを他のシステムに配信します。こうして、もう一方のT1/E1コントローラおよびCisco MC3810上のシリ アル・ポートはネットワーク・クロックPLLからクロックを獲得します。 T1/E1コントローラがネットワーク装置からのクロックを回復するように設定するには、clock-sourceコントロー ラ・コマンドでlineを指定します。 同期クロックの設定 4-3 Cisco MC3810のクロック・ソースの設定 (注) 両方のT1/E1コントローラをlineに設定することはできません。両方とも設定すると、両方のコントロー ラが同時にネットワーク・クロックPLLを送り出そうとし、クロックが衝突します。誤って、両方のコントロー ラをlineに設定しても、エラー・メッセージは表示されません。一方のコントローラを回線タイミングに設定 した場合は、もう一方のコントローラを内部またはループ・タイミングに設定してください。 ただし、プライマリ・クロックの障害時にバックアップ・クロックが動的に有効になるように設定する場合は 例外です。詳細は、「バックアップ・クロック・ソース階層の設定」(p.4-10)を参照してください。 図4-1に、Cisco MC3810がコントローラT1/E1 0に接続されたネットワーク装置(MFT)からクロック・ソースを 獲得する場合の例を示します。この図は、T1/E1コントローラの設定には該当するclock sourceコマンドを使 用し、シリアル・ポートの設定には、clock rate network-clockコマンドを使用することを表しています。矢印 は、クロック信号の伝播方向を示しています。 図4-1 コントローラT1/E1 0に接続されたネットワーク装置からクロック・ソースを獲得する場合 Cisco MC3810 clock source line T1 0 ネットワーク・ クロックPLL clock source internal T1 1 13103 ネットワーク装置 クロック・ソース S0 S1 DCE clock rate network-clock ネットワークを確実に同期化するためには、Cisco MC3810から(internalに設定されているT1/E1コントローラ のクロック・ソースから)クロックを獲得する側の接続ネットワーク装置も適切に設定し、Cisco MC3810が送出 したT1/E1信号からこれらの装置がクロックを抽出できるようにしなければなりません。接続されているネット ワーク装置から受信したT1/E1信号がCisco MC3810ネットワーク・クロックと同期でないと、T1/E1コントロー ラでフレームとクロックがずれて、データ損失が生じます。 Cisco MC3810がコントローラT1/E1 0に接続されたネットワーク装置からクロック・ソースを獲得するように 設定するには、グローバル・コンフィギュレーション・モードから開始して、次のコマンドを使用します。 ステップ コマンド 説明 1 router(config)# controller {T1 | E1} 0 ション・モードを開始します。 2 3 4 4-4 コントローラT1/E1 0のコントローラ・コンフィギュレー router(config-controller)# clock source line 接続先ネットワーク装置からCisco MC3810のクロック・ソー router(config)# controller {T1 | E1} 1 コントローラT1/E1 1のコントローラ・コンフィギュレー router(config-controller)# clock source internal スを獲得するようにコントローラT1/E1 0を設定します。 ション・モードを開始します。 コントローラT1/E1 1が内部のネットワーク・クロックPLL からクロックを獲得するように設定します。 Cisco MC3810マルチサービス・アクセス・コンセントレータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド Cisco MC3810のクロック・ソースの設定 ステップ コマンド 5 router(config)# network-clock base-rate {56k | 64k} 6 説明 シリアル0のインタフェース・コンフィギュレーション・ router(config)# interface serial 0 7 シリアル・ポートのネットワーク・クロック基本レートを 設定します。デフォルト値は56kです。 モードを開始します。 router(config-if)# clock rate network rate DCEモードのネットワーク・クロック速度を設定します。 速度は、network-clock base-rateコマンドで設定した値の 倍数でなければなりません。 8 シリアル・ポート1に対してもステップ6と7を行います。 9 router(config)# exit コンフィギュレーション・モードを終了します。 10 router# show network-clocks ネットワーク・クロックの設定を表示します。 図4-2に、Cisco MC3810がコントローラT1/E1 1に接続されたネットワーク装置(DVM)からクロック・ソース を獲得する場合の例を示します。 図4-2 コントローラT1/E1 1に接続されたネットワーク装置からクロック・ソースを獲得する場合 Cisco MC3810 T1 0 ネットワーク・ クロックPLL clock source line T1 1 ネットワーク装置 クロック・ソース 13104 clock source internal S1 S0 DCE clock rate network-clock Cisco MC3810がコントローラT1/E1 1に接続されたネットワーク装置からクロック・ソースを獲得するように 設定するには、グローバル・コンフィギュレーション・モードから開始して、次のコマンドを使用します。 ステップ コマンド 説明 1 router(config)# controller {T1 | E1} 1 ション・モードを開始します。 2 router(config-controller)# clock source line コントローラT1/E1 1のコントローラ・コンフィギュレー 接続されているネットワーク装置からCisco MC3810のク ロック・ソースを獲得するようにコントローラT1/E1 1を 設定します。 3 4 5 6 router(config)# controller {T1 | E1} 0 router(config-controller)# clock source internal router(config)# network-clock base-rate {56k | 64k} router(config)# interface serial 0 MFTのクロック・ソースを設定するために、コントローラT1/E1 0 のコントローラ・コンフィギュレーション・モードを開始します。 コントローラT1/E1 0が内部のネットワーク・クロックPLL からクロックを獲得するように設定します。 Cisco MC3810のネットワーク・クロック基本レートを設 定します。デフォルト値は56kです。 シリアル0のインタフェース・コンフィギュレーション・ モードを開始します。 同期クロックの設定 4-5 Cisco MC3810のクロック・ソースの設定 ステップ コマンド 説明 7 router(config-if)# clock rate network rate シリアル0について、DCEモードのネットワーク・クロック 速度を設定します。速度は、network-clock base-rateコマ ンドで設定した値の倍数にしなければなりません。 8 9 router(config)# interface serial 1 シリアル1のインタフェース・コンフィギュレーション・ router(config-if)# clock rate network rate シリアル1について、DCEモードのネットワーク・クロック モードを開始します。 速度を設定します。速度は、network-clock base-rateコマ ンドで設定した値の倍数にしなければなりません。 T1/E1コントローラをloop-timedに設定してネットワーク・クロック・ソースにクロックを戻す場合 T1/E1コントローラをloop-timedに設定して、ネットワーク装置にクロックを戻すようにするには、clocksourceコントローラ・コマンドでloop-timedを指定します。もう一方のT1/E1コントローラに対しては、clocksourceコマンドでinternalを指定しなければなりません。 コントローラのクロック・ソースがloop-timedに設定されている場合、内部ネットワーク・クロックPLLはフ リーランニング・モードになります。 (注) コントローラのクロック・ソースをloop-timedに設定する場合には注意が必要です。この設定は、マス タ・クロックが2つ存在し、一度に1つのマスタ・クロックからしかクロックを獲得できない場合など、特別 な場合にだけ使用するようにしてください。クロック・ソース階層の設定機能を使用すると、一方のコント ローラをloop-timedクロック・ソースに設定し、プライマリ・クロック・ソースの障害時に、このクロック・ ソースをCisco MC3810のクロック・ソースに切り替えることができます。クロック・ソース階層についての 詳細は、「バックアップ・クロック・ソース階層の設定」(p.4-10)を参照してください。 図4-3に、MFT上の入力クロック・ソースをloop-timedに設定して、クロック・ソース装置にクロックを戻す 場合の設定例を示します。 図4-3 T1/E1コントローラ上でクロックをソースに戻す場合 Cisco MC3810 clock source loop-timed T1 0 ネットワーク・ クロックPLL (フリーランニング) T1 1 clock source Internal 13105 ネットワーク装置 クロック・ソース S0 S1 DCE clock rate network-clock 4-6 Cisco MC3810マルチサービス・アクセス・コンセントレータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド Cisco MC3810のクロック・ソースの設定 コントローラT1/E1 0でloop-timedクロック・モードを使用するようにCisco MC3810を設定するには、グロー バル・コンフィギュレーション・モードから開始して、次のコマンドを使用します。 ステップ コマンド 1 router(config)# controller {T1 | E1} 0 2 3 4 router(config-controller)# clock source loop-timed router(config)# controller {T1 | E1} 1 router(config-controller)# clock source internal 説明 コントローラT1/E1 0のコントローラ・コンフィギュレー ション・モードを開始します。 受信回線からクロックを取り、そのクロックをソースに戻 すようにコントローラT1/E1 0を設定します。 コントローラT1/E1 1のコントローラ・コンフィギュレー ション・モードを開始します。 コントローラT1/E1 1が内部のネットワーク・クロックPLL からクロックを獲得するように設定します。 (注) コントローラT1 1をloop-timedモードに設定する場 合は、対象コントローラを変更して、同じ手順を使用し ます。 5 6 7 router(config)# network-clock base-rate {56k | 64k} router(config)# interface serial 0 router(config-if)# clock rate network rate シリアル・ポートのネットワーク・クロック基本レートを 設定します。デフォルト値は56kです。 シリアル0のインタフェース・コンフィギュレーション・ モードを開始します。 DCEモードのネットワーク・クロック速度を設定します。 速度は、network-clock base-rateコマンドで設定した値の 倍数でなければなりません。 8 シリアル・ポート1に対してもステップ6と7を行います。 シリアル0に接続されたネットワーク装置からクロックを回復する場合 シリアル・インタフェース0をDTEとして設定する場合、シリアル0は接続先のDCE装置からのクロックを受 け入れ、そのクロックをCisco MC3810のネットワーク・クロックPLLに送ります。そのクロックは、さらに T1/E1コントローラおよびシリアル・インタフェース1に配信されます。 ネットワーク・クロックPLLへの入力は2 MHzでなければならないので、シリアル0上の着信クロックはクロッ ク乗算サーキットで8 KHzずつ増加され、2 MHzになります。この乗算サーキットは、clock-rate lineシリア ル・インタフェース・コマンドを使用して設定します。このコマンドは、シリアル0がDTEに設定されている 場合にのみ有効です。 (注) シリアル・インタフェースでクロックを回復するためには、Cisco MC3810がDTEモードのシリアル0に 接続されている装置からのクロックだけを回復するように設定する必要があります。DCEモードのシリアル1 またはシリアル2に接続されている装置からはクロックを回復できません。 図4-4に、シリアル0に接続されているネットワーク装置からCisco MC3810がクロックを獲得する例を示します。 同期クロックの設定 4-7 Cisco MC3810のクロック・ソースの設定 図4-4 シリアル0に接続されているネットワーク装置をクロック・ソースとする場合 Cisco MC3810 clock source Internal T1 0 ネットワーク・ クロックPLL S0 clock source Internal S1 DTE DCE clock rate network-clock ネットワーク装置 クロック・ソース 13106 clock rate line T1 1 シリアル・インタフェース0に接続されているネットワーク装置をクロック・ソースとして使用するように Cisco MC3810を設定するには、グローバル・コンフィギュレーション・モードから開始して、次のコマンド を使用します。 ステップ コマンド 説明 1 router(config)# network-clock base-rate {56k | 64k} 設定します。デフォルト値は56kです。 2 3 4 router(config)# network-clock-select 1 serial 0 router(config)# interface serial 0 router(config-if)# clock rate line rate シリアル・ポートのネットワーク・クロック基本レートを ネットワーク・クロックPLLがシリアル0からのクロックを 乗じた2 MHzクロックを使用するように設定します。 シリアル0のインタフェース・コンフィギュレーション・ モードを開始します。 DTEモードで動作しているシリアル0のネットワーク・ク ロック回線レートを設定します。rateの設定値は着信クロッ クのレートです。この値には、8 KHzの倍数を設定しなけ ればなりません。 5 6 router(config)# interface serial 1 シリアル1のインタフェース・コンフィギュレーション・ router(config-if)# clock rate network-clock rate DCEモードで動作しているシリアル1のネットワーク・ク モードを開始します。 ロック回線レートを設定します。rateの設定値は、 network-clock base-rateコマンドで設定した値の倍数でな ければなりません。また、ステップ1で設定した値と一致 していなければなりません。 7 router(config)# controller {T1 | E1} 0 T1/E1 0のコントローラ・コンフィギュレーション・モー router(config-controller)# clock source internal コントローラT1/E1 0が内部のネットワーク・クロックPLL router(config)# controller {T1 | E1} 1 T1/E1 1のコントローラ・コンフィギュレーション・モー router(config-controller)# clock source internal コントローラT1/E1 1が内部のネットワーク・クロックPLL 11 router(config)# exit コンフィギュレーション・モードを終了します。 12 router# show network-clocks ネットワーク・クロック・コンフィギュレーションを表示 8 9 10 ドを開始します。 からクロックを獲得するように設定します。 ドを開始します。 からクロックを獲得するように設定します。 します。 4-8 Cisco MC3810マルチサービス・アクセス・コンセントレータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド Cisco MC3810のクロック・ソースの設定 内部クロック・ソースを使用する場合の設定 Cisco MC3810が内部クロック・ソースを使用するように設定するには、両方のT1/E1コントローラのクロック・ ソースをinternalに設定します。このようにすると、Cisco MC3810の2 MHzネットワーク・クロックPLLでマ スタ・クロックが生成されます。内部クロック・ソースの精度は、Stratum 4レベル(±0.01%)です。 図4-5は、Cisco MC3810が内部クロック・ソースを使用し、その内部クロックを接続先ネットワークに送出す る場合の設定例です。 Cisco MC3810内部クロック・ソースの使用 clock source internal T1 0 ネットワーク・クロック PLL (ネットワーク・クロック) S0 T1 1 clock source internal 13107 図4-5 S1 DCE clock rate network-clock Cisco MC3810が内部の2 MHzクロックをクロック・ソースとして使用するように設定するには、グローバル・ コンフィギュレーション・モードから開始して、次のコマンドを使用します。 ステップ コマンド 説明 1 router(config)# network-clock base-rate {56k | 64k} 設定します。デフォルト値は56kです。 2 3 router(config)# interface serial 0 router(config-if)# clock rate network rate シリアル・ポートのネットワーク・クロック基本レートを シリアル0のインタフェース・コンフィギュレーション・ モードを開始します。 DCEモードで動作しているシリアル0のネットワーク・ク ロック回線レートを設定します。rateの設定値は、 network-clock base-rateコマンドで設定した値の倍数でな ければなりません。 4 5 router(config)# interface serial 1 シリアル1のインタフェース・コンフィギュレーション・ router(config-if)# clock rate network rate DCEモードで動作しているシリアル1のネットワーク・ク モードを開始します。 ロック回線レートを設定します。rateの設定値は、 network-clock base-rateコマンドで設定した値の倍数でな ければなりません。また、ステップ1で設定した値と一致 していなければなりません。 6 7 8 9 router(config)# controller {T1 | E1} 0 T1/E1 0のコントローラ・コンフィギュレーション・モー router(config-controller)# clock source internal コントローラT1/E1 0が内部のネットワーク・クロックPLL router(config)# controller {T1 | E1} 1 T1/E1 1のコントローラ・コンフィギュレーション・モー router(config-controller)# clock source internal コントローラT1/E1 1が内部のネットワーク・クロックPLL ドを開始します。 からクロックを獲得するように設定します。 ドを開始します。 からクロックを獲得するように設定します。 同期クロックの設定 4-9 バックアップ・クロック・ソース階層の設定 (注) 内部のCisco MC3810クロック・ソースをマスタ・クロックとして使用する場合は、その他のネットワー ク装置がすべてCisco MC3810のT1/E1コントローラおよびシリアル・ポートに直接接続され、Cisco MC3810か らクロックを獲得していることを確認してください。 バックアップ・クロック・ソース階層の設定 ここまでは、1つのクロック・ソースを固定的にネットワーク・クロック・ソースに設定する場合の手順を説 明してきました。しかし、プライマリ・クロック・ソースの障害時にシステムが(前述の設定のように)内部ク ロックに切り替えるのではなく、セカンダリ・クロック・ソースを使用するように設定したい場合もありま す。このようにするためには、クロック・ソースの階層を定義します。 network-clock-selectコマンドを使用すると、プライマリ・クロック・ソースの障害時に使用されるクロック・ ソースの動的な階層を定義できます。階層を定義するためには、各クロック・ソースに優先度を指定します。 優先度の高いクロックほど、クロック階層内の上位に置かれます。 あるクロック・ソースに障害が発生すると、Cisco MC3810は階層内で次に優先度の高いクロック・ソースに 切り替えます。たとえば、優先度1(最も高い優先度)のクロック・ソースに障害が発生すると、Cisco MC3810 は優先度2のクロック・ソースに切り替えます。そして、優先度2のクロック・ソースに障害が発生すると、 Cisco MC3810は優先度3のクロック・ソースに切り替えます(優先度1のクロック・ソースはしばらくアクティ ブにならないと想定した場合)。 クロックを提供しているモジュールが障害を検出した場合(たとえば、T1/E1コントローラが信号損やフレーム 損を検出した場合)、クロック・ソースが切り替えられます。 (注) 現在クロック・ソースとなっているコントローラを停止しても、クロック・ソースの切り替えは行わ れません。 バックアップ・クロック・ソース階層を設定するには、グローバル・コンフィギュレーション・モードから開 始して、次のコマンドを使用します。 ステップ コマンド 説明 1 router(config)# network-clock-select 1-4 [serial 0 | system | controller] システム・バックプレーンのPCM(Pulse Code Modulation) にタイミングを提供する最高優先度のクロック・ソースを 指定します。1を入力してから最高優先度を与えるクロッ ク・ソースを指定してください。障害が発生しない限り、 このクロック・ソースがデフォルトのクロック・ソースとな ります。 2 下位の優先度の各クロック・ソースに対しても、ステップ1を行います。 最高優先度のクロック・ソースに障害が発生した場合、次 の優先度のクロック・ソースが使用されます。最大4つのク ロック・ソースを設定できます(プライマリ・クロック・ソース が1つとバックアップ・クロック・ソース3つまで)。 たとえば、シリアル0を優先度1、コントローラT1 0を優先 度2に設定した場合、シリアル0が停止すると、クロック・ ソースはコントローラT1 0に切り替えられます。 4-10 Cisco MC3810マルチサービス・アクセス・コンセントレータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド バックアップ・クロック・ソース階層の設定 ステップ コマンド 説明 3 router(config)# network-clock-switch [switch-delay | never] [restore-delay | never] ネットワーク・クロックが別のクロックに切り替えられる までの待機時間および現在のネットワーク・クロックが回 復するまでの待機時間を設定します。switch delayオプショ ンには、次の優先度のクロック(network-clock-selectコマ ンドで設定したクロック)に切り替えられる際にシステム が待機する時間を設定します。restore delayオプションに は、現在のネットワーク・クロック・ソースが回復される までの時間を設定します。 4 router(config)# controller {T1 | E1} {0 | 1} どちらかのコントローラを階層内のクロック・ソースとし て指定している場合は、T1/E1コントローラのコントロー ラ・コンフィギュレーション・モードにします。 5 6 router(config-controller)# clock source line そのコントローラが接続先のネットワーク装置からCisco MC3810のクロック・ソースを獲得するように設定します。 もう一方のコントローラが階層内のクロック・ソース候補に指定されている場合は、そのコントローラ に対してもステップ4と5を行います。 (注) クロック・ソースが衝突しないように、networkclock-selectコマンドを設定した後に必ず両方のコントローラ をclock source lineに設定してください。この機能を使用し たクロック・ソース衝突の解決方法については、次の「ク ロック・ソース階層の規則」を参照してください。 7 router(config)# interface serial 0 シリアル・インタフェース0が階層内のクロック・ソース 候補として設定されている場合は、シリアル0のインタ フェース・コンフィギュレーション・モードにします。 8 router(config-if)# clock rate line rate DTEモードで動作しているシリアル0のネットワーク・ク ロック回線レートを設定します。rateの値には、networkclock base-rateコマンドで設定した値の倍数を指定しなけ ればなりません。 クロック・ソースの階層を設定する場合、あらかじめ各クロック・ソース候補をCisco MC3810がそのソース からクロックを取り出せるようなモードにしておく必要があります。たとえば、一方のコントローラをクロッ ク・ソース候補にする場合は、そのコントローラのクロック・ソースをlineに設定しておかなければなりませ ん。そのコントローラのクロック・ソースがinternalに設定されている場合、network-clock-selectコマンドを 使用してそのコントローラをバックアップ・クロック・ソース候補に設定することはできません。 通常の設定では、両方のコントローラのクロック・ソースをlineに指定すると、クロックの衝突が生じます。 しかし、クロック・ソース階層を設定すれば、プライマリ・クロック・ソースとして使用されるコントローラ は一度に1つだけとなるので、衝突を回避することができます。 クロック・ソース階層の規則 クロック・ソース階層の設定には、次の規則が適用されます。 ● コントローラを階層内のクロック・ソース候補にする場合は、そのコントローラのクロック・ソースをline に設定しなければなりません。 ● 現在クロック・ソースとして使用されていないコントローラを階層内のクロック・ソース候補にする場合、その コントローラのクロック・ソース設定は自動的にloop-timedに切り替えられます。これは、クロックの衝突を 避けるためにソフトウェアが設定した一時的な状態です。他のクロック・ソースに障害が発生して、そのコン トローラがクロック・ソースになると、そのコントローラのクロック・ソース設定はlineに切り替えられます。 同期クロックの設定 4-11 バックアップ・クロック・ソース階層の設定 このような場合、そのコントローラのクロック設定がloop-timedに切り替えられても、実際の設定はlineの ままです。つまり、そのコントローラに対して事前設定された状態と「一時的に設定された状態」は異なる ことになります。 ● どちらかのコントローラがアクティブなクロック・ソースである場合、ネットワーク・クロックPLLのスイッ チはアクティブ・クロックの方向になります。システム・クロックはアクティブ・クロック・ソースに接続 されているコントローラで回復されます。 ● シリアル・インタフェース0がアクティブ・クロック・ソースである場合、両方のコントローラのクロック・ ソースは自動的にloop-timedに設定され、ネットワーク・クロックPLLスイッチはシリアル・インタフェー スの方向になります。DTEシリアル0インタフェースで回復されたクロックがシステム・クロックになりま す(n x 8000の乗算によって2 MHzになります)。 ● 内部システム・クロックがアクティブ・クロック・ソースである場合、両方のコントローラのクロック・ ソースは自動的にloop-timedに設定され、ネットワーク・クロックPLLスイッチは両方のコントローラの方 向になります。コントローラが両方ともloop-timed状態なので、どちらのクロックも回復クロックをPLLに 送出しません。そのため、システム・クロックはフリーランニングまたは内部タイミングとなります。 次に示すのは、クロック・ソース階層の設定例です。 network-clock-select network-clock-select network-clock-select network-clock-select network-clock-switch 1 t1 0 2 t1 1 3 serial0 4 system 10 10 controller t1 0 clock source line controller t1 1 clock source line interface serial0 clock rate line 64000 上記の設定例では、コントローラT1 0がプライマリ・クロック・ソースであり、このクロック・ソースはline に設定されています。コントローラT1 1はバックアップ・クロック・ソースなので、lineに設定されていても、 システムによって一時的にloop-timed状態にされています。 コントローラT1 0のクロック・ソースに障害が発生した場合、システムはコントローラT1 1をクロック・ソー スに切り替えます。一時的にloop-timed状態になっていたコントローラT1 1のクロック・ソース設定は、元の 設定どおりline状態に切り替えられます。 4-12 Cisco MC3810マルチサービス・アクセス・コンセントレータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド