星空プロムナード (作花一志)

星空プロムナード 暦惑星秋の星座案内
作花一志(京都情報大学院大学)
1年で最も空が澄んだ頃になりました。秋から年末にかけての主な天象です。
月
日
9月 29日
現象
備考
新月
10
月 41
'
l
初の人工衛星打ち上げ(
1
9
5
7
) スブートニック 1号
10
月1
5日
10
月 17日
10
月 29日
満月
1
1月 7日
立冬
3日
1
1月 1
満月
1
1月 1
7日
11月 28日
しし底流星群極大
新月
12
月
1日
金星・木星の最接近
日没直後西南の空
1
2月
6日
火星の合
太陽の背後
すばる食
新月
1
2月 1
3日
満月
1
2月 21日
冬至
太陽黄経 225
太陽黄緑 270
12月 27日 新月
金星
宵の明星として日没後に見えています。しし座からおとめ座てんびん座へ移り
太陽から離れて見やすくなってきます。 1
0月末から来年にかけて -4等昼で
輝きます。
火星
1
0月初には日没直後に商の空に見えますが，太陽の背後に回って見えなく
なりまT。
木星
天の川の東岸，南の低い空に輝き，ゆっくりといて座からやぎ座に向かってい
きます。 11 月末~12 月初には西の空で金星と並ぶのが鑑賞できます。
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土星
しし座レグノレスのそばで，明け方東天に見られます。
太陽
1
2月上旬に日の入りが最も早くなります。
しし座流星群
極大日に月齢 1
4ですが，流星群の見える早朝 3時ころには月は西に傾い
ています。
ベルセウスの冒険
秋の空には 1等星がなくてさびしいですが，有名なギリシアの星物語を
想い浮かべながら，ベノレセウス座・アンドロメダ~.カシオベア座・ケフェウ
ス座・ベガスス鹿・くじら座などをたどってみましょう。
昔，ギリシアのアルゴスという小さな国があり，アタリシオス王が治め
ていました。王にはダナエというひとり娘がいました。ある日「アタリシ
オスには息子は生まれず，孫によって殺されるだろう。 J という恐るべき神
託を受けました。恐れ驚いたアタリシオスはダナエに 切の男を近付けぬ
よう，青銅の塔に幽閉してしまいます。ところが好色の大神ゼウスは，な
んと金色の雨粒となって窓から塔に忍び込み，ダナエはみごもりやがて男
の子ベルセウスが生まれたのです。アタリシオスは嘆き怒り，娘孫とも箱
に詰めて海へ捨ててしまいました。しかし運良くその箱はセリポス島に漂
着し，親切な漁師ディタテュスに拾われ，ベノレセウスはこの離れ小島でた
くましく成長します。ところがディクテュスの兄でセリポス島の領主であ
るポリュデクテースがダナエに横恋慕するようになり、邪魔になるべノレセ
ウスを遠ざけようと画策します。そして言葉巧みに、髪の毛が蛇でその顔
を見たら石になってしまうという怪物メドウサの首と取ってくることをベ
ノレセウスに約束させてしまうのです。すなわち官険の旅に出発という名の
追放です。
それを見たぜウスは知恵の女神アテナと伝令の神へノレメス(マーキュリ)
に彼の援助を指示し，アテナは楯をへノレメスは翼のあるサンダノレを贈りま
した。ベノレセウスはメドウサの顔を見ないように，後ろ向きで接近し楯に
映っているメドワサを狙って、首尾よく首を取ることに成功しました。こ
のとき切り落とされたメドウサの首から生まれたのが翼を持ち天を駆ける
ベガススです。
メドワサの首を袋に納め天馬ベガススに乗って帰路エチオピアに立ち寄
ったベノレセウスは，美しい娘が海岸に鎖でつながれているのに出会いまし
3
1
た。わけをきくと，彼女は国王ケフェウスと王妃カシオペアの娘アンドロ
メダで，カシオペアが自分と娘の美しさは海の妖精にまさると自慢したた
め，ゼウスの弟である海の神ポセイドンの怒りを買って生費にされたとい
うことです。ペルセウスはアンドロメダ、を襲ってきたくじらの化物ケイト
スに全力を奮って挑戦し，ついにはメドウサの首を見せて石にしてしまい，
アンドロメダを救出したのです。そして二人はめでたく結ばれました。実
はアンドロメダにはピーネウスという婚約者がいたのですが，彼女はベル
セウスを選んでしまったのです...まあ仕方ないですね。
新妻と一緒にセリポス島に戻って来たところ，母ダナエはポリュデ、クテ
ースに捕らわれ明日にでも彼の寝所に連れて行かれそうなところでした。
ベルセウスはポリュデ、クテースを攻めメドウサの首を見せて石に変えてし
まい，母を救って義父ディクテュスを島の王位に就けます。
その後ペルセウスは生まれた国アルゴスに行ってみたくなってギリシア
に渡り，円盤投げの競技に出場します。彼の投げた円盤は勢い余って観客
席に飛び込み，ちょうどそこに居合わせた老人の頭に当ってしまいました。
命を落したその老人こそ祖父王アクリシオスだ、ったのです...。やはり神託
通り，運命は変えられませんでした。
アルゴスはペロポネソス半島に，セリポス島はエーゲ海に今も実在しま
す。今のエチオピアに海岸はありませんが，昔は紅海まで張り出していた
のでしょうか?それともエチアピアとは地中海沿岸のどこか別の国だ、った
のでしょうか?
アンドロメダ座には小望遠鏡観望にふさわしい大銀河 M31(
2
3
0万光年)
があります。 W 型のカシオペア座には淡い星雲がたくさんあり，過去 3 回
も超新星爆発が記録されています。大四辺形をもっぺガスス座の 5
1番星は
太陽以外で初めて「惑星 j が発見された星です。また，ベルセウス座。星
(アルゴノレ)，ケフェウス座 8星
， くじら座 O 星(ミラ)は有名な変光星で
す。アルゴルはメドウサの首に位置する青い 2等星で， 2
.
1
2等から 3
.
3
9等
まで正確に 2
.
8
6
7
3
9 日周期で変光します。その原因について「アルゴルは
連星でその軌道面がたまたま視線方向とほぼ重なっている(真横から見て
いる)ので，一方の星が他方の星を隠す食が起こるためだ。」というアイデ
アを出したのは約 200年前イギリスのグッドリクという天文少年でした。
彼は耳も口も不自由で 21才の若さで病死してしまいましたが，視力と頭脳
は抜群で綿密な観測の記録とすばらしいアイデアを残しています。現在で
はこの 2星からずっと離れたところに第 3の星が発見され，アルゴルは 3
重連星であることがわかっています。なお，食によって変光する星は「食
変光星」と言われ，非常にたくさん見つかっています。
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