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第4章 まとめ (1)顔の見える関係の構築 近年の自然災害では、地域

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第4章 まとめ (1)顔の見える関係の構築 近年の自然災害では、地域
第4章
まとめ
(1)顔の見える関係の構築
近年の自然災害では、地域防災計画で避難所に指定されていない施設に
も被災者が自然発生的に集まって、避難所となった事例が数多く報告され
ている。災害の規模や避難所の立地条件、被災直後の混乱を考慮すると、
あらかじめ指定していた避難所以外の施設が避難所として利用されること
はやむを得ないが、こうした事例を抑制するひとつの方策として、あらか
じめ指定された避難所を可能な限り早期に開設することが望まれる。その
ために普段から避難所となる施設の管理者と避難所を主体的に運営するこ
ととなる地域の自主防災組織の代表者等が顔の見える関係を構築し、継続
することが重要である。
例えば、施設の管理者と地域の自主防災組織の代表等が(県が作成した
「避難所運営マニュアル」等を参考に)避難所の運営体制等を事前に検討
するための会合を設けたり、取決めに基づく訓練を実施することが挙げら
れる。こうした平常時からの取組が避難所の早期開設に資するだけでなく、
効率のよい運営にもつながる。
(2)避難者ニーズの把握
市町村の地域防災計画で指定されていない施設が避難所として利用され
るケースがあるということは、地域の住民が最寄りの避難場所と考えてい
る施設を当該市町村が把握してないことを示している。地域住民の意向を
踏まえた施設が避難所に指定されることが望ましい。
実際に避難所が開設されたときは、事前のルールに基づく対応はもとよ
り、避難者のニーズを踏まえた対応も必要となる。避難している住民等を
見極め(高齢者が多い、児童と母親が多い等)、刻々と変化する避難者のニ
ーズの把握に努めることが望まれる。
近年の被災地における避難所開設時の記録によると、普段から学校を利
用している子どもたちは学校のどこに何があるかを熟知しており、児童・
生徒の持っている知識や情報を活用することが効率のよい避難所運営につ
ながったとのことである。
また、避難している住民等に避難所の運営に欠かせない作業を任せたり、
高齢者へ一定の役割(決まった場所の清掃や整理作業等)を与えたり、避
難者が自らできる作業は、自ら行うように促すことが、避難者の自立や災
害時要援護者に対するケアの観点から有効であったとのことである。
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(3)人材の養成
避難所は、市町が開設し、地域の自主防災組織等が中心となって運営し
ていくこととなるが、運営にあたってはきめ細かな対応が求められる。例
えば、避難者の割振りや仮設トイレの設置、避難所運営本部や避難者とボ
ランティアとのつなぎ役、健康面への配慮等が考えられ、分野は多岐にわ
たる。
そのため、各分野に特化するまでもなく、避難者に的確なアドバイス等
ができる人材を養成しておくことが求められる。
県や市町で実施する研修会(地域防災指導員研修等)にて本報告書や県・
市町が作成した「避難所運営マニュアル」、県が作成した「災害時健康支援
ガイドライン」等を活用し、避難所のきめ細かな対応等について周知する
ことや避難所運営訓練を実施し、定着を図ることが望まれる。
(4)避難所へ行かなくてもよい対策の重要性
住民にとって最も安心して生活できる場所は自宅である。
大規模な自然災害によりライフライン機能が途絶した場合でも、自宅で
避難生活を送ることが可能であれば、避難生活の不自由さをある程度軽減
することができると考えられる。
避難所に指定されている施設について、生活するために必要な設備(防
災倉庫や屋内外トイレ、自家発電設備、浄水装置等)がどの程度備わって
いるかを調査した結果によると、①トイレが設置されていない施設がある
(トイレが設置されている施設のうち、洋式トイレの設置率は半数程度で
災害時に本当に利用可能かは不明)、②自家発電設備を設置している施設は
半数程度、③浄水装置及び井戸を設置している施設は半数程度ということ
が明らかになった。
言いかえれば、避難所に行けば食料や飲料水、情報等が必ず用意されて
いるというわけではなく、①トイレの備蓄、②懐中電灯や携帯ラジオの備
蓄(災害直後は電気不通を想定)、③飲料水の備蓄の必要性や重要性が改め
て裏付けられたと考えられる。
避難所のアメニティの向上について、日常生活との格差をいかに少なく
するかという観点から検討したが、地震対策の基本は自宅の耐震化と家具
類の固定、食料や飲料水等の備蓄を行い、どんな自然災害が起こっても自
宅で避難生活を送ることができるよう備えることが重要であることは言う
までもない。
そして、避難所の運営のための事前のルール作りや危険箇所の把握、周
辺の事業所との連携、防災訓練による実証・見直し等といった平常時から
の取組(地域との協働、コミュニケーション作り)が重要である。
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