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416KB - 田辺三菱製薬 医療関係者サイト Medical View Point
2007 年 10 月改訂(第 5 版) 日本標準商品分類番号 876221 医薬品インタビュ-フォ-ム 日本病院薬剤師会の IF 記載要領(1998 年 9 月)に準拠して作成 処方せん医薬品 抗結核剤 アルミノニッパスカルシウム®顆粒99% ALUMINO NIPPAS CALCIUM® Granules 99% (アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム製剤) 剤 形 規 格・含 量 一 般 名 製造・輸入承認年月日 薬価基準収載 ・発売年月日 開発・製造・輸入 ・発売・提携・ 販売会社名 顆 粒 剤 1g 中 アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム 0.99g 含有 和名:アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム(JAN) 洋名:Calcium Alumino-p-aminosalicylate (INN) 製 造 承 認 年 月 日 : 2007 年 3 月 6 日 薬 価 収 載 年 月 日 : 2007 年 6 月 15 日 発 売 年 月 日 : 1956 年 8 月 10 日 製造販売元:田辺三菱製薬株式会社 担当者の連絡先・ 電話番号・FAX 番号 本IFは 2007 年 10 月改訂(第7版)の添付文書の記載に基づき改訂した。 IF 利用の手引きの概要-日本病院薬剤師会- 1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯 当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者(以下、MRと略す)等にインタ ビューし、当該医薬品の評価を行なうのに必要な医薬品情報源として使われてい たインタビューフォームを、昭和 63 年日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す) 学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォーム」(以下、IFと略す)とし て位置付けを明確化し、その記載様式を策定した。そして、平成 10 年日病薬学 術第 3 小委員会によって新たな位置付けとIF記載要領が策定された。 2.IFとは IFは「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとっ て日常業務に必要な医薬品の適性使用や評価のための情報或いは薬剤情報提供 の裏付けとなる情報等が集約された総合的な医薬品解説書として、日病薬が記載 要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼し ている学術資料」と位置付けられる。 しかし、薬事法の規制や製薬企業の機密等に関わる情報、製薬企業の製剤意図に 反した情報および薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等はIFの記載事項 とはならない。 3.IFの様式・作成・発行 規格はA判、横書きとし、原則として9ポイント以上の字体で記載し、印刷は一 色刷りとする。表紙の記載項目は統一し、原則として製剤の投与経路別に作成す る。IFは日病薬が策定した「IF記載要領」に従って記載するが、本IF記載 要領は、平成 11 年 1 月以降に承認された新医薬品から適用となり、既発売品に ついては「IF記載要領」による作成・提供が強制されるものではない。また、 再審査及び再評価(臨床試験実施による)がなされた時点ならびに適応症の拡大 等がなされ、記載内容が大きく異なる場合にはIFが改訂・発行される。 4.IFの利用にあたって IF策定の原点を踏まえ、MRへのインタビュー、自己調査のデータを加えてI Fの内容を充実させ、IFの利用性を高めておく必要がある。 MRへのインタビューで調査・補足する項目として、開発の経緯、製剤的特徴、 薬理作用、臨床成績、非臨床成績等の項目が挙げられる。また、随時改訂される 使用上の注意等に関する文書、緊急安全性情報、Drug Safety Update(医薬安全 性対策情報)等により薬剤師自らが加筆、整備する。そのための参考資料として、 表紙の下段にIF作成の基となった添付文書の作成又は改訂年月を記載してい る。なお適正使用や安全確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国 での発売状況」に関する項目等には承認外の用法・用量、効能・効果が記載され ている場合があり、その取扱いには慎重を要する。 目 Ⅰ.概要に関する項目 1.開発の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2.製品の特徴及び有用性・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 Ⅱ.名称に関する項目 1.販売名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2.一般名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3.構造式又は示性式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 4.分子式及び分子量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 5.化学名(命名法)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 6.慣用名、別名、略号、記号番号・・・・・・・・・・ 2 7.CAS 登録番号・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 Ⅲ.有効成分に関する項目 1.有効成分の規制区分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2.物理化学的性質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3.有効成分の各種条件下における安定性・・・・ 3 4.有効成分の確認試験法・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 5.有効成分の定量法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 Ⅳ.製剤に関する項目 1.剤形・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.製剤の組成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 3.製剤の各種条件下における安定性・・・・・・・・ 4 4.他剤との配合変化(物理化学的変化)・・・・ 4 5.混入する可能性のある夾雑物・・・・・・・・・・・・ 4 6.溶出試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 7.製剤中の有効成分の確認試験法・・・・・・・・・・ 4 8.製剤中の有効成分の定量法・・・・・・・・・・・・・・ 4 9.容器の材質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 10.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 Ⅴ.治療に関する項目 1.効能又は効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 2.用法及び用量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 3.臨床成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 Ⅵ.薬効薬理に関する項目 1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群・・ 7 2.薬理作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 2.薬物速度論的パラメーター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 3.吸収・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 4.分布・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 5.代謝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 6.排泄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 7.透析等による除去率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 次 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 1. 警告内容とその理由・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)・・・10 3. 効能・効果に関連する使用上の注意 とその理由・・・・・・・・10 4. 用法・用量に 関連する使用上の注意 とその理由・・・・・・・・10 5. 慎重投与内容とその理由・・・・・・・・・・・・・・10 6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法 10 7. 相互作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 8. 副作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 9. 高齢者への投与・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与・・・・・・・・・・11 11.小児等への投与・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 12.臨床検査結果に及ぼす影響・・・・・・・・・・・・11 13.過量投与・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 14.適用上及び薬剤交付時の注意(患者等に 留意すべき必須事項等)・・・・・・・12 15.その他の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 16.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 Ⅸ.非臨床試験に関する項目 1. 一般薬理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 2. 毒性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目 1. 有効期間又は使用期限・・・・・・・・・・・・・・・・14 2.貯法・保存条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 3.薬剤取扱い上の注意点・・・・・・・・・・・・・・・・14 4.承認条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 5.包装・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 6.同一成分・同効薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 7.国際誕生年月日・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 8.製造・輸入承認年月日及び承認番号・・・・14 9.薬価基準収載年月日・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 10.効能・効果追加、用法・用量変更追加等 の年月日及びその内容・・・・・・・・・・14 11.再審査結果、再評価結果公表年月日及び その内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 12.再審査期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 13.長期投与の可否・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 14.厚生労働省薬価基準収載医薬品コード・・・・15 15.保険給付上の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 ⅩⅠ.文献 1. 引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 2. その他の参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 ⅩⅡ.参考資料 主な外国での発売状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 ⅩⅢ.備考 その他の関連資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 Ⅰ. 概 要 に 関 す る 項 目 1.開発の経緯 p-aminosalicylic acid(PAS)は 1946 年 Lehmann によって、抗結核菌作用を有するこ とが発見された。その後、製剤化にあたりナトリウム塩、カルシウム塩、アルミニウ ム塩等が合成され、更に胃腸障害が緩和されるアルミノ PAS-Ca が開発された。 2.製品の特徴及び有用性 カルシウム塩は苦味がわずかであり、胃腸障害が少ないなどがその特徴である。 副作用(頻度不明)として、発熱、皮膚症状、白血球減少、血小板減少、甲状腺機能 障害又は甲状腺腫、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、蛋白尿、食欲不振、悪心、胃 部不快感、下痢が認められている。 重大な副作用として、無顆粒球症、溶血性貧血、肝炎、黄疸、低リン血症があらわれ ることがある。 1 Ⅱ. 名 称 に 関 す る 項 目 1.販 売 名 (1)和 名: アルミノニッパスカルシウム®顆粒 99% (2)洋 名: Alumino Nippas Calcium® Granules 99% (3)名称の由来: 2.一 般 名 (1)和 名(命名法):アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム(JAN) (2)洋 名(命名法):Calcium Alumino-p-aminosalicylate(INN) 3.構造式又は示性式 4.分子式及び分子量 C14H13AlCaN2O8・5H2O:494.40 5.化学名(命名法) Calcium monoaqua-monohydroxo-bis(4-amino-2-hydroxybenzoate)aluminate pentahydrate(IUPAC) 6.慣用名、別名、略号、記号番号 資料なし 7.CAS 登録番号 資料なし 2 Ⅲ.有 効 成 分 に 関 す る 項 目 1.有効成分の規制区分 処方せん医薬品 2.物理化学的性質 (1)外観・性状: 白色~灰褐色の粉末で、におい及び味はない。 (2)溶解性: 水、エタノール(95)、アセトン又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。 (3)吸湿性:資料なし (4)融点(分解点)、沸点、凝固点:資料なし (5)酸塩基解離定数:資料なし (6)分配係数:資料なし (7)その他の主な示性値:資料なし 3.有効成分の各種条件下における安定性 光によって徐々に着色する。 4.有効成分の確認試験法 日本薬局方外医薬品規格(1997)「アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム」 による。 5.有効成分の定量法 日本薬局方外医薬品規格(1997)「アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム」 による。 3 Ⅳ. 製 剤 に 関 す る 項 目 1.剤 形 (1)剤形の区別及び性状: 剤形:顆粒剤 成分:アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム 含量:1g 中 0.99g 性状:白~灰褐色 (2)製剤の物性:資料なし (3)識別コード:該当しない (4)pH、浸透圧比、粘度、比重、無菌の旨及び安定な pH 域等: 飽和水溶液の pH は 8.47 (5)酸価、ヨウ素価等:資料なし 2.製剤の組成 (1)有効成分(活性成分)の含量: アルミノニッパスカルシウム顆粒 99% 1g 中、アルミノパラアミノサリチル酸 カルシウム 0.99g を含有 (2)添加剤: 日薬連発第 712 号(平成 13 年 10 月 1 日付)に基づき、添加物全成分を記載。 カルボキシメチルセルロース-ナトリウムを含有する。 3.製剤の各種条件下における安定性 ・最終包装形態の室温・長期保存:24 カ月間で外観、含量に異常は認められなかった。 ・加湿(25℃/75%RH) :3 ケ月間の保存で、やや黒褐色に変色した。 ・室内散光下(60 万 lx・hr:6 ケ月保存に相当):やや黒褐色に変色した。 4.他剤との配合変化(物理化学的変化) 資料なし 5.混入する可能性のある夾雑物 資料なし 6.溶出試験 資料なし 7.製剤中の有効成分の確認試験法 ①塩化第二鉄反応による確認 ②芳香族第一アミノの定性反応による確認 ③アルミニウム塩の定性反応による確認 ④カルシウム塩に定性反応よる確認 8.製剤中の有効成分の定量法 アルミノパラアミノサリチル酸カルシウムの定量法を準用する。 4 9.容器の材質 ポリエチレン袋・鉄製缶 10.その他 資料なし 5 Ⅴ.治 療 に 関 す る 項 目 1.効能又は効果 <適応菌種> パラアミノサリチル酸に感性の結核菌 <適応症> 肺結核及びその他の結核症 2.用法及び用量 通常、成人には、アルミノパラアミノサリチル酸カルシウムとして 1 日量 10~15g を 2~3 回に分けて経口投与する。 年齢、症状により適宜増減する。 なお、他の抗結核薬と併用することが望ましい。 <用法・用量に関連する使用上の注意> 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を 確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。 3.臨床成績 (1)臨床効果: 結核菌の排菌検査、X線所見等により、効果判定がなされている。 (2)臨床薬理試験:忍容性試験 資料なし (3)探索的試験:用量反応探索試験 資料なし (4)検証的試験: 1)無作為化平行用量反応試験:資料なし 2)比較試験:従来使用されている薬物との比較臨床試験データ PAS は静菌作用を示すが、イソニアジドあるいはストレプトマイシンと の併用で、試験管内抗菌力、血中抗菌作用及び耐性上昇遅延の点で協力 効果が認められる。 (3) 治療的使用: 1)使用成績調査・特別調査・市販後臨床試験:資料なし 2)承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要:資料なし 6 Ⅵ. 薬 効 薬 理 に 関 す る 項 目 1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 パラアミノ安息香酸(p-aminobenzoic acid:PABA)等 2.薬理作用 (1)作用部位・作用機序: Para-aminosalicylic acid(PAS)の抗結核菌作用に、パラアミノ安息香酸(PABA) が拮抗することから、サルファ剤と同様 PAS も菌の PABA と競合し、葉酸代謝を 阻害するという考え方がある。 一方 PABA は抗菌スペクトルが著しく狭く、PABA と PAS の共存下で結核菌の発 育を抑制することから、PABA 競合説を否定する考え方もある。 ・ストレプトマイシンあるいはイソニアジドと併用すると、PAS の結核菌 抑制効果は増大する。しかも結核菌を in vitro あるいは in vivo でこ れらの薬物に同時にさらすと其々の薬物に対する耐性菌の出現を遅くす る。しかし、非感受性菌の出現は阻止できない。 ・PAS に静菌作用の拮抗物質として PABA、メチオニン、biotin、パントテ ン酸が報告されている 2)。 (2)効力を裏付ける試験成績(PAS): ・in vitro 静菌的で結核菌の大部分の株は 1μg/mL の濃度で感受性がある 1)。 培養法による抗結核剤の耐性獲得試験において PAS(パラアミノサリチル酸)は、 SM(ストレプトマイシン)、INAH(イソニアジド)と比較して耐性発現はゆるや かで、高度の耐性を得るには長期間を要した 13)。 ・in vivo 各種動物におけるヒト結核菌株による実験的感染の治療では、総体的に好影 響を及ぼすことが認められている。本剤の必要量はかなり多く、持続的に血 中濃度を維持しなければならない。本剤単独ではヒト結核治療の価値は小さ く、ストレプトマイシン、イソニアジドに比べると効果ははるかに劣る 1)。 ・耐性 結核菌の耐性株は本剤治療の患者で徐々に出現する。通常非感受性菌は本剤 が少なくとも 4 ケ月間与えられないと出現しない 1)。 ※なお、本剤の「用法・用量に関連する使用上の注意」は下記のとおりです。 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認 し、疾疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。 7 Ⅶ. 薬 物 動 態 に 関 す る 項 目 1.血中濃度の推移・測定法 (1)治療上有効な血中濃度: 臨床分離された結核菌の MIC によって異なる。 (2)最高血中濃度到達時間: ヒト成人に、4g を経口投与した場合の血中濃度のピークは、4 時間後に認め られた3)。(患者及び健康成人のデータ) (3)通常用量の血中濃度: 4g の単回投与で最高血中濃度は、遊離 PAS 37~67μg/mL、総 PAS では 39~ 69μg/mL であり、遊離 PAS 血中濃度は投与後 4 時間が最も高く、以後漸次 低下する。12 時間後でも 14μg/mL であった3)。(患者及び健康成人のデータ) (4)中毒症状を発現する血中濃度:資料なし 2.薬物速度論的パラメーター (1)吸収速度定数:資料なし (2)バイオアベイラビリティ: AUC:313.22μg・hr/mL (PAS-Ca 4g 健康成人経口投与時/外国人のデータ)12) (3)消失速度定数: 半減期: 0.91 時間(PAS-Ca の経口投与/外国人のデータ;Healthy Volunteers )4) (4)クリアランス: 11.0 ±1.92 L/hr(平均±S.D.)(PAS-Na 健康成人静注時/外国人のデータ)12) (5)分布容積: 6.86±1.4L(平均±S.D.)(PAS-Na 健康成人静注時/外国人のデータ)12) (6)血漿蛋白結合率:58~73%(PAS)6) 3.吸収 吸収部位:消化管(特定されていない) 4.分布 (1)血液-脳関門通過性:資料なし (2)胎児への移行性:資料なし (3)乳汁中への移行性:移行する(PAS)8)。 ※本剤は授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合 には授乳を避けさせること。 (4)髄液中への移行性:資料なし 8 (5)その他の組織への移行性:資料なし (参考) モルモットへの PAS-Ca の経口投与では、臓器内濃度は 1~2 時間以内に最高 濃度に達し、以後低下するが、全て 24 時間まで認められる。 臓器濃度は、肝、肺、腎、筋肉、血液及び副腎の順に高く、脳は他の臓器に 比べて著明に低値である 7)。 5.代謝 (1)代謝部位及び代謝経路: 部位:肝臓 経路:PAS-Ca でヒト尿中において、PAS、n-acetyl-PAS、p-aminosalicyluric acid sulfate conjugate PAS、及び 5 つの PAS 並びに n-acetyl PAS の glucuronide(ether 型と ester 型とを含む)の計 9 つの化合物が証明 されている 9)。 (2)代謝に関与する酵素(CYP 450 等)の分子種:資料なし (3)初回通過効果の有無及びその割合:資料なし (4)代謝物の活性の有無及び比率:資料なし (5)活性代謝物の速度論的パラメーター:資料なし 6.排泄 (1)排泄部位:尿中 (2)排泄率: 尿中に服用された PAS の 50%以上が排泄された。その 50%は遊離 PAS として 排泄された 3)。 (3)排泄速度: 24 時間までに遊離 PAS として、平均 33.5%、総 PAS として 平均 57.6%が 排泄された 3)。 7.透析等による除去率 (1)腹膜透析:資料なし (2)血液透析:透析される。(PAS-Na 健康成人・腎障害者/静注時)12) (3)直接血液灌流:資料なし 9 Ⅷ.安 全 性 (使 用 上 の 注 意 等)に 関 す る 項 目 1.警告内容とその理由 該当事項なし 2.禁忌内容とその理由 禁忌(次の患者には投与しないこと) 高カルシウム血症の患者 〔本剤はカルシウム塩であり、本剤投与により症状を悪化させるおそれがある。〕 3.効能・効果に関連する使用上の注意 該当事項なし 4.用法・用量に関連する使用上の注意 「Ⅴ.治療に関する項目」を参照のこと。 5.慎重投与内容とその理由 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) 1)肝障害、腎障害又は血液障害のある患者 〔肝障害、腎障害又は血液障害が悪化するおそれがある。腎障害の場合、排泄遅延 により本剤の作用が増強するおそれがある。また、「重要な基本的注意」の項を 参照。〕 2)薬物過敏症の既往歴のある患者 6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法 腎障害のある患者にアルミニウムを含有する製剤を長期投与することにより、ア ルミニウム脳症、アルミニウム骨症等があらわれたとの報告があるので、定期的 に血中アルミニウム、リン、カルシウム、アルカリフォスファターゼ等の測定を 行うこと。 7.相互作用 (1)併用禁忌とその理由: 該当事項なし (2)併用注意とその理由: 薬 剤 名 等 経口抗凝血剤 (ワルファリ ン、ジクマロー ル) フェニトイン 臨床症状・措置方法 抗凝血作用が増強するこ とがある。 異常が認められた場合に は、抗凝血剤を減量する など適切な処置を行う。 フェニトインの血中濃度 が上昇し、作用が増強す ることがある。 異常が認められた場合には フェニトインを減量するな ど適切な処置を行う。 10 機序・危険因子 本剤は肝のプロトロンビン形成 抑制作用がある。また、ワルフ ァリン、ジクマロールの血中濃 度を上昇させる。 フェニトインの代謝酵素(チト クローム P450)を阻害する。 8.副作用 (1)副作用の概要 : 本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。 1)重大な副作用と初期症状: ①無顆粒球症、溶血性貧血(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、 観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与中止すること。 ②肝炎、黄疸等(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十 分に行い、異常が認められた場合には投与中止すること。 ③低リン血症(頻度不明)があらわれることがある。持続的な低リン血しょう による骨症状(骨軟化症等)の報告があるので、観察を十分に行い、異常 が認められた場合には投与中止すること。 2)その他の副作用: 副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 頻度不明 過敏症 血液 甲状腺 肝臓 腎臓 消化器 発熱、皮膚症状 白血球減少、血小板減少 甲状腺機能障害又は甲状腺腫 AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇 蛋白尿 食欲不振、悪心、胃部不快感、下痢 (2)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧:資料なし (3)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度:資料なし (4)薬物アレルギーに対する注意及び試験法: 確立した方法はない。十分に問診を行ってから投与する。 9.高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。 10 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。 〔アミノサリチル酸製剤とイソニアジドを併用投与されている患者で、奇形児 の出現率が高いとする疫学的調査がある。〕 2)授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には 授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中に移行するとの報告がある。〕 11.小児等への投与 該当事項なし 12.臨床検査結果に及ぼす影響 本剤投与患者の約半数は、尿中ニーランデル反応陽性を示す(PAS 糖尿)ことがある。 これは真の糖でなく、グルクロン酸抱合体によるものとされている。2) 11 13.過量投与 資料なし 14.適用上及び薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項) 該当事項なし 15.その他の注意 資料なし 16.その他 資料なし 12 Ⅸ. 非 臨 床 試 験 に 関 す る 項 目 1.一般薬理 資料なし 2.毒性 (1)単回投与毒性試験: LD50 (mg/kg) マウス経口投与 4g/kg(PAS-Ca)5) (2)反復投与毒性試験:資料なし (3)生殖発生毒性試験: 鶏の胎児に及ぼす影響についての実験で、PAS は胎児の発育にほとんど影響を 及ぼさず、また奇形も全く認められない。(PAS-Na)10) (4)その他の特殊毒性:資料なし 13 Ⅹ. 取 扱 い 上 の 注 意 に 関 す る 項 目 1.有効期間又は使用期限 使用期間:缶 24 ケ月(使用期間) 使用期限:容器に使用期限を表示 2.貯法・保存条件 貯法 :室温保存 保存条件:開封後は湿気、光を避けて保存(気密容器) 3.薬剤取扱い上の注意点 処方せん医薬品(注意-医師等の処方せんにより使用すること) 4.承認条件 資料なし 5.包装 1kg 缶 6.同一成分・同効薬 同一成分:なし 同効薬 :ニッパスカルシウム顆粒 100%(田辺三菱) ニッパスカルシウム錠(0.25g)(田辺三菱) 7.国際誕生年月日 資料なし 8.製造・輸入承認年月日及び承認番号 承認年月日: 2007 年 3 月 6 日 〔販売名変更:アルミノニッパスカルシウム顆粒→アルミノニッパスカルシウム顆粒 99%〕 (旧承認年月日:1956 年 10 月 19 日) 承認番号:21900AMX00230 9.薬価基準収載年月日 2007 年 6 月 15 日 10.効能・効果追加、用法・用量変更追加等の年月日及びその内容 資料なし 11.再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容 再評価結果結果通知年月日 (その 6)昭和 50 年 10 月 17日付 12.再審査期間 資料なし 13.長期投与の可否 平成 14 年 3 月 8 日付厚生労働省令 第 23 号及び平成 14 年 3 月 18 日付厚生労働省告示 第 99 号に基づき、投薬期間に上限が設けられている医薬品に該当しない。 14 14.厚生労働省薬価基準収載医薬品コード 6221001 D 1036 15.保険給付上の注意 資料なし 15 ⅩⅠ. 文 献 1.引用文献 1)グッドマンギルマン薬理書(広川書店)P.1458(1970) 2)内藤益一 :臨床薬理体系 10 P.56 (1964) 3)早川保男ら:胸部疾患 3 622(1959) 4)Wan S H et al :J Pharm Sci 63 708 (1974) 5)鈴木郁生監修:常用医薬品辞典(広川書店)P.1370 (1985) 6)Kuninn C M et al:Ann Intern Med 67 151 (1967) 7)吉村正也ら:胸部疾患 1 236(1957) 8)くすりの副作用と臨床(広川書店)P.291(1974) 9)Makoto N :J Biochem 44 327 (1957) 10)掘 悦明 :昭和医学会雑誌 13 200(1953) 11)Wolinsky E:Med Clin N Amer 47 1271 (1963) 12)日本薬局方 医薬品情報(JP-DI)P.1075(1996) 13)今井節朗:結核菌の諸種抗結核化学治療剤に対する 耐性発現に関する研究(第 1 編)胸部疾患 1(1) 25(1956) 2.その他の参考文献 資料なし 16 [文献保管番号] [19901097] [19901098] [19901099] [19901100] [19901101] [19901102] [19901103] [19901104] [19901105] [19901106] [19901095] ⅩⅡ. 参 考 主な外国での発売状況 17 資 料 ⅩⅢ. 備 その他の関連資料 資料なし 18 考