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平成28年度版
北陸新幹線と
富山駅周辺の整備について
北陸新幹線の開業
2015年3月14日、北陸新幹線が開業しました。
富山・東京間を乗換なしで最速2時間8分で結び、
「富山」と「首都圏」がより
身近になりました。また雪の影響を受けにくいことなど、利便性の面でも多くのメ
リットがあります。
今後は、金沢・敦賀間の早期開業、さらに大阪までの全線整備の促進を図ります。
既営業区間
H27.3.14開業区間
金沢・敦賀間
(建設中)
(平成34年度末開業予定)
ルート未公表区間
北陸新幹線の概要
区 間/東京・大阪間
総 延 長/約700km(うち東京・高崎間約105kmは上越新幹線と共用)
速 度/最高設計速度260km/h
沿線都道府県/東京都、埼玉県、群馬県、長野県、新潟県、富山県、石川県、
福井県、京都府、大阪府の10都府県
(沿線人口 約4,000万人)
※敦賀・大阪間のルートについては、
整備計画
(S48.11)
に示された主要な経過地を通るルートを図示。
なお、
与党整
備新幹線建設推進プロジェクトチーム敦賀・大阪間整備検討委員会では、
敦賀・大阪間のルートが検討されている。
富山駅周辺整備の概要
富山駅周辺では、駅周辺の混雑緩和や南北一体のまちづくりを推進するため、在来線を高架化し、交差道路の拡幅や新設を行う「富
山駅付近連続立体交差事業」や駅周辺を整備する「富山駅周辺地区土地区画整理事業」等により、県都の玄関口にふさわしい機能の整
備や魅力づくり、景観の創出を推進します。
〈富山駅周辺整備の概要〉
■ 連続立体交差事業
事業主体/富山県
対象路線/あいの風とやま鉄道線、JR高山本線
富山地方鉄道本線
事業区間/富山市明輪町~曙町
延 長/あいの風とやま鉄道線 約1.8km
富山地方鉄道本線 約1.0km
ホーム面数、線数/あいの風とやま鉄道線 2面4線1切欠
富山地方鉄道本線 2面2線
■ 土地区画整理事業
事業主体/富山市
面 積/約10.4ha
整備内容/広場の整備(南口・北口駅前広場、西口交通広場)
道路の整備(富山駅南北線、富山駅横断東線など)
■ その他関連事業
交差道路の拡幅/牛島蜷川線、堀川線など
路面電車南北接続事業
富山駅付近連続立体交差事業について
富山駅付近では、駅周辺地区の交通渋滞の解消と鉄道によって分断された南北市街地の一体化を目的として、北陸新幹線の整備にあ
わせて平成17年度から連続立体交差事業を行っています。駅付近は、鉄道の両側に高層ビルやマンションが建つ狭い空間であり、限ら
れた用地の中で、北陸新幹線整備と同時に連続立体交差事業を行うため、新幹線開業時までにあいの風とやま鉄道線上り線を、その後、
南側
南口駅舎等
現 在
完成後
あいの風
新幹線下り
ホーム
とやま鉄道線上り・
H27.3.14
開業
新幹線下り
ホーム
高山本線ホーム
新幹線上り
ホーム
あいの風
新幹線上り
ホーム
とやま鉄道線上り・
自由経路
事業前
高山本線ホーム
北陸本線上り・
高山本線ホーム
あいの風
とやま鉄道線
下りホーム
路面電車
H27.4.20
高架切替
高山本線ホーム
北陸本線下りホーム
あいの風
とやま鉄道線
下りホーム
2
拡幅した交差道路
(
(都)
堀川線)
下り線
高架橋施工
北口駅前広場
富山港線ホーム
北口駅前広場
仮あいの風
北口仮
駅舎等
とやま鉄道線
■ 富山駅周辺整備事業 完成イメージ
下りホーム
あいの風とやま鉄道下り線の高架化を進め、富山市が行
う土地区画整理事業や路面電車南北接続事業とあわせ、
県都にふさわしい魅力ある都市づくりを目指します。
北側
北口駅舎
下り線を高架化する2段階での施工をしています。
あいの風とやま鉄道線上り線とJR高山本線について
は、平成27年4月に高架供用しており、引き続き、県では
南口
駅前広場
新しい 時 代 の 社 会 資 本 整 備
二つのフォローの風を
最大限に活かす
平成27年3月14日、県民の半世紀にわたる悲願だった北陸新
幹線が開業し、県内では期待以上の効果が現れているところです。
この効果を将来にわたって持続させ、富山県の限りない発展
につなげていくことが大切であり、「北陸新幹線開業」と「地
方創生」の二つのフォローの風を最大限に活かし、「とやま新
時代」にふさわしい、活力と魅力にあふれた未来を創生してい
多くの観光客でにぎわう おわら風の盆
かなければなりません。
高速道路の整備
北 陸 新 幹 線 開 業
県内の観光施地での観光客の増加などで新幹線効果が大きくあら
われています。
●ひみ番屋街
(4~2月) 約117万人
(対前年14%増)
●国宝瑞龍寺
(4~2月) 約24万人
(対前年72%増)
●富岩水上ライン
(3~11月) 約5万1,000人
(対前年比約2.4倍)
●黒部峡谷鉄道の乗降客数
(4~11月) 約80万4,000人
(対前年19%の増)
地
方
創
生
新幹線の開業を契機とした地方創生や災害に強い強靱な県土づく
りのための社会資本整備を着実に進めていく必要があります。
また強靱な国土づくりのための橋梁や海岸堤防の耐震化などの地
震や津波対策、社会インフラの老朽化対策も大切であります。
●東海北陸自動車道の全線4車線化などの骨格となる道路の整備
●庄川や黒部川等の河川改修
●伏木富山港のさらなる機能強化
日本海・太平洋
2面活用型の国土形成
北陸新幹線開業を転機に、富山県と三大都市圏が地理的だけ
でなく、時間的、心理的にも等距離となりました。
富山県と他圏域の対流や連携強化に大きな期待が寄せられ、
日本海側と太平洋側の2面活用型国土を形成するインフラ整備
に向け大きな前進が図られました。
一方で、「急速に進む人口減少・少子高齢化」や「加速する
インフラ老朽化、激甚化する気象災害や首都直下地震、南海ト
ラフ地震等の切迫」といった2つの大きな社会現象に向き合う
必要もあります。
日本海・太平洋2面活用型国土形成を牽引
日本海側の活用
●環日本海諸国と対面する地理的優位性
●活発化する東アジア諸国やロシアの経済活
動、ユーラシアダイナミズムにともない、
日本海側の貿易が拡大
●海洋エネルギー資源開発の可能性
環日本海諸国
日本海国土軸の
中枢圏域
北陸新幹線・東海道新
幹線・リニア中央新幹
線が環状で機能する広
域ネットワーク
太平洋側との連携
●三大都市園と等距離にある地理的優位性
これらの必要性から平成28年3月に新たな「北陸圏広域地方
計画」が策定され、
「日本海沿岸地域や太平洋側との連携強化」
や「北陸の魅力を活かした国内外との対流・交流の創出」を図
るため、社会資本整備を進めていく必要があります。
●日本海側と太平洋側を結ぶ高速道路や整備新
幹線の進展
●ネットワークの多重性・代替性を担い、国土
全体の安全を確保
【出典】北陸地方整備局
3
Ⅰ
は じ め に
Ⅰ はじめに
平成28年度 とやまの土木
特集
1. 北陸新幹線と富山駅周辺の整備について…… 2
2. 新しい時代の社会資本整備…………………… 3 Ⅰ はじめに
1. 富山県の概要……………………………………………… 5
2. 土木部の基本方針………………………………………… 5
3. 平成28年のトピックス…………………………………… 6
Ⅱ 活力どぼく
~活力あふれる地域づくり~
1. 港湾・空港の充実など交流・物流ネットワークの形成…… 7
2. 利便性の高い道路ネットワークの整備…………………10
3. 快適で活力ある魅力的なまちづくり……………………13
4. 下水道の整備………………………………………………15
Ⅲ 未来どぼく
~美しい県土づくり~
1.「立山・黒部」の世界文化遺産登録を目指して…………16
2. 県民の皆さんとの未来づくり……………………………17
3. 地域の個性を活かした景観づくり・まち並みづくり……19
Ⅳ 安心どぼく
~安全・安心な暮らしづくり~
1. 住生活の向上………………………………………………20
2. 治水対策の推進……………………………………………21
富山のシンボル
県花 チューリップ
3. 海岸保全対策の推進………………………………………23
昭和29年(1954年)3月22日制定
4. 土砂災害対策の推進………………………………………24
5. 地震防災対策の充実………………………………………25
6. 雪に強いまちづくり………………………………………26
7. 暮らしの安全・安心情報局………………………………27
8. 公共土木施設の計画的・効率的な維持管理の推進……28
9. 県有建築物の整備・保全…………………………………29
県鳥 ライチョウ
県木 タテヤマスギ
県獣 ニホンカモシカ
県のさかな ブリ
県のさかな シロエビ
県のさかな ホタルイカ
昭和36年(1961年)11月3日制定
昭和41年(1966年)10月1日制定
Ⅴ 施策推進のための取組み
1. 建設業の許可………………………………………………30
2. 建設産業の振興支援………………………………………30
3. 公共用地の取得……………………………………………31
4. 入札・契約制度……………………………………………31
5. 環境への配慮………………………………………………31
昭和50年(1975年)10月4日制定
平成8年(1996年)10月12日制定
Ⅵ 資料
1. とやまの土木小史…………………………………………32
2. とやまの土木遺産…………………………………………34
3. とやまの土木偉人ものがたり……………………………35
4
平成8年(1996年)10月12日制定
平成8年(1996年)10月12日制定
富山県は、明治16年に石川県から分県・誕生して以来、今年で133年を迎えました。私たちの先達は、この分県を契機と
した治水事業や砂防事業を積極的に進めるとともに、道路や港湾など様々な施設を整えてきました。このように土木の仕事
を不断に積み重ねてきた結果、現在では全国トップレベルの「住みよい県」という評価をいただいております。
この冊子は今、「とやまの土木」はどんなことをしているのかをご紹介するものです。本冊子を通して、わたしたちの行
う土木の仕事をご理解いただければ幸いです。
Ⅰ はじめに
1. 富 山 県 の 概 要
1 自然
富山県は、本州日本海側のほぼ中央部に位置し、東西90km、南北76km、面積は約
4,247k㎡で、国土の約1%を占めています。
蝶々が羽を開いたような形で、山と海に囲まれたまとまりのよい県土です。3,000m
級の山々が連なる立山連峰と、ここに源を発する黒部川、早月川、常願寺川などの急
かいていこく
流河川、その下流には、緑に包まれた扇状地平野、日本海側最大の外洋性湾で海底谷
が発達した水深1,000mを超える富山湾に至るまで、高低差4,000mのダイナミックで変
化に富んだ地形を有しています。
さらに県東部では、常願寺川流域の立山カルデラや弥陀ヶ原、地獄谷、五色が原
などからなる弥陀ヶ原火山があり、県西部にも白山火山が隣接する。
2 人口
富山県の人口は、
1,063,070人
(H28.4.1現在)
です。これは、
面積と同じく全国の約1%です。
人口が100万人台に達したのは昭和25年の国勢調査からで、
その後、
全国的な大都市への
人口流出や出生数の漸減により、
平成11年から人口は緩やかな減少傾向をたどっています。
2. 土 木 部 の 基 本 方 針
「新・元気とやま創造計画」に基づき「活力あふれる地域づくり(活力どぼく)」、
「美しい県土づくり(未来どぼく)」、
「安全・
安心な暮らしづくり(安心どぼく)
」を政策の柱とし、成熟した社会の形成に向けた良質な社会資本の整備を進めます。
活 力どぼく
未 来どぼく
安 心どぼく
富山駅付近連続立体交差事業
高岡市金屋町
地久子川 平成24年 出水状況
2021(H33)年度を目標とする指標
2021(H33)年度を目標とする指標
2021(H33)年度を目標とする指標
【北陸新幹線の整備促進と
新幹線駅を核とした交流拠点づくり】
【地域の個性を活かした
景観づくり・まち並みづくり】
【住生活の向上】
●富山駅周辺の歩行者通行量(休日)
現状値(H27)37,173人
目標値 32,000人
【港湾・空港の充実など交流・
物流ネットワークの形成】
●伏木富山港の外貿コンテナ取扱個数
現状値(H27)74,784TEU
▼
目標値 107,500TEU
●景観づくり住民協定の締結件数(累計)
現状値(H27)12地区
▼
目標値 12地区
●良好な景観形成が必要な道路の無電柱化率
現状値(H27)57.3%
▼
目標値 64%
●住宅の耐震化率
現状値(H20)68%
▼
目標値 85%
【県土保全の推進】
●土砂災害危険箇所の整備率
現状値(H27)33.5%
▼
目標値 36%
5
3. 平 成 28 年 のトピックス
県道高岡小杉線 五歩一交差点の立体化に着手
県道高岡小杉線は富山~高岡間を連絡する都市間交通を支え、国道8号
とともに、広域的な交通ネットワークを形成する重要な幹線道路となって
活力どぼく
Ⅰ はじめに
います。
平成28年度から、この県道高岡小杉線と国道472号との交差点である五
歩一交差点(射水市)において、立体交差化する事業に着手します。この
整備により、交差点における混雑の解消や交通事故の軽減が図られ、安全
で円滑な道路交通の確保に寄与するものと期待されます。
高岡小杉線
(五歩一交差点 混雑状況)
県内の幹線道路の開通(国道8号・魚津滑川バイパス、坂東立体、能越道・氷見南IC)
国道8号の魚津滑川バイパスが平成28年2月28日に全線4車線で開通し、
至 富山市
射水市の坂東交差点立体化が平成28年3月19日に開通しました。
早月川➡
また、能越自動車道の氷見南ICが平成28年3月27日に氷見市内4番目
のICとして開通しました。 延槻大橋
これらにより、交通渋滞の解消や安全で円滑な交通の確保はもとより、
新幹線開業によって新時代を迎えた本県の産業経済の活性化や観光振興、
至 新潟市
交流人口の拡大などに大きく寄与することが期待されます。
国道8号魚津滑川バイパス
新湊マリーナの拡張整備
未来どぼく
日本海側最大の保管可能隻数
466隻➡240隻増➡706隻
新湊マリーナでは、北陸新幹線開業及び「世界で最も美し
い湾クラブ」加盟を機に、国際的なブランド「富山湾」の活
用に向け、首都圏等の自家用船舶オーナーを誘致するため、
新たな係留施設の整備を行い、ベイエリアの賑わいづくりに
取り組んでいます。
陸上保管ヤード
(Ⅰ期)
+57隻
マリンカフェ
「Sazan」
クラブハウス拡張
バーベキュー広場新設
大型クレーンの整備
平成28年7月には、日本海側初となる50ft級のシングルバー
スを備えた桟橋が完成しました。さらに、大型クレーンやクラ
陸上保管ヤード
(Ⅱ期)
+146隻
水上桟橋+37隻
ブハウスの拡張、バーベキュー広場の新設などの整備を進め、
新湊マリーナの拡張整備
平成29年末には、日本海側最大の706隻の保管数を誇るマリーナとなる予定です。
「世界で最も美しい富山湾」
における釣り・クルージングの拠点として、愛され、楽しめるマリーナを目指します。
沖田川放水路の完成
安心どぼく
沖田川は、滑川市の市街地を流れ、中川に合
流し、富山湾に注ぐ延長約3.3㎞の二級河川で
す。本川は川幅が狭く、流下能力が小さいため、
平成13年など、これまでも多くの浸水被害が発
生しており、平成14年度より河川改修事業に着
手しました。
沿川には住宅等が密集しており、現川改修が
困難であることから、滑川市下島地内で分水し、
富山湾へ直接洪水を流す放水路を、市が整備す
る都市計画道路の下に整備しています。
道路の直下に函渠工
を設置しています。
洪水時に、放水路に
水が流れ込みます。
平成28年度には放水路の完成を予定しており、これにより沿川地域の治水安全度向上を図ります。
一般女性の目線で建設業の魅力をPR
パンフレット「TSUKURU」刊行!
一般女性3人に現場体験や建設業で働く女性との座談会を行ってもらい、女性
目線から発見した建設業の魅力をパンフレットにしました!
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1510/kj00016193.html
6
Ⅱ
活 力 ど ぼ く ~活 力あふれる地 域 づくり~
1. 港湾・空港の充実など交流・物流ネットワークの形成
港湾
富山県には、古くから栄えてきた伏木港(伏木地区)、富山港(富山地区)および戦後の新
産業都市建設の目玉として整備された富山新港(新湊地区)の3つの地区からなる国際拠点
港湾「伏木富山港」と、県東部の生活物資の流通拠点である地方港湾「魚津港」があります。
伏木富山港は、平成23年11月、日本海側拠点港として、日本海側の各港湾をけん引する「総
合的拠点港」に選定されたほか、「国際海上コンテナ」
「国際フェリー・国際RORO船」
「外
航クルーズ(背後観光地クルーズ)
」の3つの「機能別拠点港」にも選定されました。
今後、日本海側の「総合的拠点港」としてさらに発展するようハード・ソフトの両面から
Ⅱ 活力どぼく
伏木富山港の機能強化を図ることとしています。
1 日 本 海 側 の 「 総 合 的 拠 点 港 」 伏 木 富 山 港 の 特 色 ・ ポテンシャル
伏木富山港は、●環日本海の中央に位置し、世界の中で最も興隆している対岸諸国と近接していること
●三大都市圏のいずれともほぼ等距離で対岸諸国へのゲートウェイとして発展してきていること
●災害に強い港湾で太平洋側主要港湾の代替機能を果たすことができること
などの、特色・ポテンシャルを有しています。
ロシア極東
韓国
伏木富山港
ロシア極東航路
(月2便)
ボストーチヌイ
中国
富山(伏木富山港)
釜山
韓国航路
(週4便)
蔚山
東南アジア
光陽
寧波
ウラジオストク
上海
ロシア極東
RORO船航路
(月5便)
青島
大連
シベリア鉄道
中国・韓国航路
(週2便)
中国航路
(週1便)
天津
2 日 本 海 側 拠 点 港 の目 的
中国・韓国・ロシアなど日本海側対岸諸国の経済発展等を我が国の成長に取り込みつつ、日本海側各港湾の役割の明
確化と港湾間の連携を図ることにより、日本海側港湾全体の国際競争力を強化し、ひいては日本海側地域の経済発展に
貢献することとしています。
■ 3つの「機能別拠点港」
国際海上コンテナ
目的:環日本海・東アジア地域との
日本海側物流拠点の形成
現状
(2016.3):中国航路 週3便
ロシア極東航路 月2便等
国際コンテナ船での輸出入(新湊地区)
国際フェリー・国際RORO船
目的:極東ロシアを核とした物流拠点 形成による国際競争力の強化
現状(2016.3):ロシアとの月5便の
定期運航
国際RORO船での中古車輸出(富山地区)
外航クルーズ
目的:日本海側地域の経済成長と
観光立国の推進に貢献
現状
(2015)
:4回
(外国船2回、
日本船2回)
平成27年5月18日寄港
ボイジャー・オブ・ザ・シーズ
13万8千㌧、総乗客定員3,840人
7
3 伏木富山港の機 能の充 実
■ 伏木地区(伏木港)
伏木地区
万葉3号岸壁
船舶の大型化への対応や河口部の維持浚渫からの脱却を図るため、外港展
開を進めています。
また、港湾物流の円滑化を図るため、伏木外港と国道415号を結ぶ臨港道
路伏木外港1号線の整備や、災害時における海上輸送拠点となるよう、万葉
伏木外港
3号岸壁の耐震化を進めています。
今後、大型貨物船や国際フェリー・国際RORO船、大型クルーズ客船の
伏木外港1号線
拠点として機能強化を図ります。
■ 富山地区(富山港)
国際RORO船や2万トン級のクルーズ客船の寄港地として計画しており、
2号岸壁の老朽化対策などを進めることとしています。
Ⅱ 活力どぼく
また、潤いと活気に満ちた魅力ある水辺空間の創出を目的として運河沿いの
富山地区
2号岸壁
緑地整備を進めており、今後は中島閘門下流や住友運河の整備促進を図ります。
~ 富 岩 水 上 ラ イン 運 河 クル ーズ~
富岩運河環水公園から、国指定重要文化財「中
島閘門」や港町「岩瀬」
までを結ぶ富岩運河を、環
境にやさしい電気船で通航するクルーズです。
パ
ナマ運河式の中島閘門で、高低差2.5mを体感で
きる
「水のエレベーター」
が、最大の見どころです。
住友運河・富岩運河
fugan
中島閘門
■ 新湊地区(富山新港)
国際海上コンテナを取り扱う多目的国際ターミナルにおけるコンテナ取扱個数は順調に増加しており、増大する需要に対
応するため、コンテナヤードの拡張整備や、1.2万トン級コンテナ船の2隻同時接岸・同時荷役が可能となるよう、前面の
岸壁延伸を行っています。 港湾
地 域の基 幹産 業を支える物 流 拠 点!
コンテナ取扱個数が順調に増加!
平成27年は過去2番目の取扱個数を記録!
●港湾機能の充実(コンテナヤード拡張、ガントリークレーン増設、新湊大橋の開通)
90
新湊地区
80
70
新湊大橋
H22 ガントリークレーン増設
H19 ターミナル拡張
60
5
40
多目的国際
ターミナル
岸壁延伸中
30
20
38
36
38
46
53
56
62
63
60
54
4
4
4
4
78
75
3
H24 新湊大橋開通
3
50
ヤード拡張中
H26 過去最高
H23 岸壁延伸
外貿コンテナ取扱 内貿コンテナ
個数の推移(千TEU) 外貿コンテナ
64
69
65
73
10
0
H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
4 県東部の拠点「魚津港」
■ 北地区
新川地区において、物流の円滑な流通を確保し、中核的漁業基地の機能を配備す
魚津港北地区
るため、平成6年度から、北地区のふ頭用地の拡張や物揚場等港湾機能の強化と、
港湾利用者の休息の場である緑地整備を進めてきており、平成23年8月には災害時
の救援物資や応急復旧資材等の海上輸送の拠点として耐震強化岸壁が完成しました。
平成27年6月には、緑地の整備が完了し、魚津港の整備が概成しました。
5 伏 木 富 山 港 の 物 流 活 性 化に向 けたソフト施 策
船社や荷主等に対する各種PR活動の実施、鉄道輸送を利用した三大都市圏等からの集荷促進やクルーズ船の誘致活動の
強化・実施など集荷力向上や一層の利用促進などに取り組んでいます。
8
空港
1 環 日 本 海 ・ アジ ア 交 流 の 拠 点となる富 山きときと空 港
富山きときと空港は、富山県の中心を流れる神通川の
河川敷に1,200mの滑走路をもつ空港として、昭和38年8
月20日に開港しました。
開港当時はプロペラ機が就航していましたが、年々増
大する航空需要に対応するため、滑走路を2,000mに延長
し、昭和59年3月18日にジェット機が就航する空港に生
まれ変わりました。
現在、国内線は、東京、札幌の2路線に、国際線では、
ソウル、大連(北京(運休中))、上海、台北に定期便が就
航し、地方管理空港としてはトップクラスとなる4路線
Ⅱ 活力どぼく
が就航しています。
また羽田空港等を経由した乗継制度が全国各地に拡充
され、さらに、羽田空港の発着枠の拡大により東京便を
利用した海外との乗継ぎの利便性が向上するなど、富山
きときと空港は北陸・飛騨・信越地域の空の玄関口とし
て、また、環日本海・アジア交流の拠点空港としての役
富山きときと空港を中心とした空のネットワーク
(平成28年7月現在)
割が一層期待されています。
国 内 線
国 際 線
●富山 ~ 東京(1日4往復)
●富山 ~ 札幌(1日1往復)
■ 冬季の就航率向上に向けた取組み
1平成24年12月より、国土交通省富山河川国道事務所との
国内・国際チャーター便
の運航補助に活用する実証実験を行い、平成25年11月よ
●富山~ベトナムなど
(年間46便:平成27年度)
共同研究として、XバンドMPレーダーのデータを航空機
り本運用を開始しました。雪雲の動きを立体的に把握・
予測することで、高い精度で雲の切れ間を把握し、安全
に着陸することができる体制をとっています。
2平成26年12月から、GPS衛星等を利用した高精度の
RNP-AR飛行方式が導入されました。進入限界高度※が
従来よりも100ft(約30m)引き下げられ、370ft(約1
11m)となりました。平成27年3月末から、東京便や
札幌便で本飛行方式に対応したB737-800が就航し、悪
天候時でも着陸できる可能性が高くなり、就航率の向
上に寄与しています。
※進入限界高度:着陸の可否を最終的に判断する高度。この高さで
滑走路が確認できなければ、着陸できない。
●富山 ~ ソウル(週3往復)
●富山 ~ 大 連(週2往復)
【北京便は運休中】
●富山 ~ 上 海(週2往復)
●富山 ~ 台 北(週4往復)
※富山から全国各地に乗継割引が設定されています。(平成28年4月現在)
●東京(羽田)経由(37区間)
•北海道エリア
(9区間)
…札幌、稚内、紋別、女満別、旭川、函館、帯広、中標津、釧路
•東 北エリア
(3区間)
…大館能代、
秋田、
庄内
•関 西エリア
(3区間)
…関西、
伊丹、
神戸
•中 国エリア
(7区間)
…岡山、
広島、
岩国、
山口宇部、鳥取、
米子、萩・石見
•四 国エリア
(4区間)
…徳島、
高松、
松山、
高知
•九 州エリア
(8区間)
…福岡、北九州、佐賀、大分、熊本、長崎、宮崎、鹿児島
•沖 縄エリア
(3区間)
…那覇、
石垣、
宮古
●札幌(千歳)経由(4区間)…稚内、女満別、函館、釧路
※富山から羽田空港国際線乗り継ぎが毎日運航しています。(平成28年4月現在)
●フランクフルトなど18都市、25便運航
XバンドMPレーダ活用
RNP-AR飛行方式導入
富山空港 進入経路図
従来の進入限界高度
470ft
(≒143m)
引き返しも
雲低高:欠航時は400~500ft
進入限界高度が
100ft【約30m】
低 下
空港周辺の天候の
回復を確認
RNP-AR進入
参考
インテックビル
最頂部高
120.5m
進入限界高度
370ft
(≒113m)
進入経路
進入限界高度付近の
視界の回復を確認 滑走路
3°
着地点
※高度は全て標高
9
2. 利 便 性 の 高 い 道 路ネットワー クの 整 備
高速道路や地域高規格道路をはじめとした、県内道路網の体系的な整
至 新潟
至 一宮
至 輪島
至 米原
備を行うとともに、追加ICの設置等による利便性の向上を図ります。
また、身近な生活道路等の既存道路については、歩行者や自動車等が
安全で使いやすい道路となるように整備します。
1 高速道路網の整備
富山県の高速道路網は、日本海側を縦貫する北陸自動車道、中京圏
と結ぶ東海北陸自動車道、能登半島に伸びる能越自動車道で構成され
小矢部砺波JCT
ており、小矢部砺波JCTで相互に結ばれています。
至 高岡市街
庄川
■ 北陸自動車道
Ⅱ 活力どぼく
新潟県新潟市から滋賀県米原市までの全区間が完成4車線で供用され
ています。富山県内では、入善PA及び流杉PAにおけるスマートIC
至 金沢
に加え、平成27年3月に庄川左岸において高岡砺波スマートICが供用
至 富山
▲
北陸自動車道
され、高速道路の利便性が一層高まりました。
至 小矢部砺波JCT
小矢部川
至 砺波
▲
東海北陸自動車道
高岡砺波スマートIC
■ 東海北陸自動車道
平成20年の全線開通以降、観光、物流のほか、災害時の迂回路など防災面でも大きく
寄与しています。また、平成27年3月に南砺市福野地域において南砺スマートICが共
至 小矢部市街
至 福野市街
▲県道安居福野線
至 福光IC
用され、利便性も一層向上しています。
飛驒清見IC~小矢部砺波JCT間は、唯一の4車線事業化がされていない暫定2車
線区間であり、渋滞や事故などの課題が顕著となっており、早期の全線4車線化に向け、
取り組んでいく必要があります。
南砺スマートIC
■ 能越自動車道
至 高岡
至 七尾大泊IC
平成27年2月に、灘浦IC~石川県の七尾I
Cが開通し、県内区間が全て開通しました。
⬅鞍骨川
また、平成27年11月には能越県境PAが、平
▲
県道氷見惣領志雄線
能越県境PA
(仏島側)
▲
能越自動車道
▲
能越県境PA
(石動山側) ▲
成28年3月には氷見南ICが供用を開始し、利
便性が向上しました。
小矢部砺波JCT~高岡IC間
(約14km)
は4車線
の有料道路として、高岡IC~県境間
(約30km)
は
暫定2車線の無料区間として供用されています。
▲
能越自動車道
七尾氷見道路
至 七尾
至 灘浦IC
能越県境PA(平成27年11月8日供用)
氷見南IC(平成28年3月27日供用)
40
4
3
55
5
25
35
40
40
況)
(現
2時間50分
45
吹田
(H28.3現在)
北陸五道
10
富山からの所要時間(インターチェンジ間の所要時間)
2 地域高規格道路の整備
地域高規格道路は、北陸自動車道などの高規格幹線道路と連携して高速交通網を形成し、地域間交流の利便性を高め、
県土の均衡ある発展に寄与する道路です。サービス速度は、おおむね時速60km以上を提供するものであり、富山県では
「計画路線」の4路線のうち、現在の整備状況は下表のとおりです。
平成26年度には、富山高山連絡道路の富山市楡原から栗山間について、国において新たに事業着手されました。また、
北陸新幹線新高岡駅のアクセス道路となる高岡環状道路の高岡市佐野から六家間が平成26年11月に供用されました。
高岡環状道路
富山高岡連絡道路
Ⅱ 活力どぼく
富山外郭環状道路
凡 例
計画路線
整 備 中
供 用 中
富山高山連絡道路
県道高岡環状線【高岡市佐野~六家
(福田高架橋)
】(平成26年11月14日供用)
地域高規格道路の整備状況
富山県の地域高規格道路
路
線
名
起 点
終 点
計画路線指定年月 概略延長
富山高山連絡道路 高山市
富山市
平成 6年12月16日 80(20)km
富山高岡連絡道路 富山市
高岡市
平成10年 6月16日
10km
高 岡 環 状 道 路 高岡市
高岡市
平成 6年12月16日
20km
富山外郭環状道路 富山市
富山市
平成10年 6月16日
40km
※概略延長の( )書は、県内延長を表す。
路
線
名
起
点
富山市猪谷
富山高山連絡道路 富山市庵谷
富山市楡原
終
点
延長
整
備
状
況
富山市片掛 1.6km 整備中(平成9年度事業着手)
富山市楡原 3.0km 平成22年11月 供用開始
富山市栗山 12.0km 整備中(平成26年度事業着手)
平成15年3月 暫定供用開始(副道)
高岡市上伏間江 高岡市佐野 2.6km 整備中(平成27年度事業着手)
(本線)
高岡環状道路
高岡市佐野 高岡市六家 2.6km 平成26年11月 暫定供用開始(副道)
富山高岡連絡道路
高岡市石瀬
高岡市野村 1.0km 平成17年12月 供用開始
射水市沖塚原 射水市川口 1.1km 平成28年3月供用開始
富山外郭環状道路 富山市小西
富山市粟島町 2.9km 整備中(平成21年度事業着手)
3 地 域 の 活 力を育 む 幹 線 道 路 や 身 近 な 生 活 道 路 の 整 備
■ 幹線道路の体系的な整備
新幹線駅・IC・港湾など交通・物流拠点や主要観光地
へのアクセス道路をはじめ、市町村間を結ぶ幹線道路な
ど、体系的な整備を推進します。
富山県の幹線道路網
県道 富山立山公園線
【富山市藤木 ~ 立山町利田】
県道 宇奈月大沢野線
【魚津市青柳 ~ 大海寺野】
一般国道 415号
【富山市下飯野 ~ 森】
県道 小杉婦中線
【富山市平岡 ~ 婦中町新町】
県道 小杉婦中線
【射水市黒河 ~ 戸破】
県道 砺波福光線
【南砺市吉江中 ~ 遊部】
11
■ サイクリングコースの整備
1富山湾岸サイクリングコースの整備
「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟承認された富山湾の美しい景色を楽しみながらサイ
クリングを行えるように、
「富山湾岸サイクリングコース」として、海岸沿いの眺望のよい道
路に利用者の走行時の目印となるナビゲーターラインなどの整備を行っています。
2田園サイクリングコースの整備
立山連峰のパノラマ風景や沿線地域の観光施設を巡りながらサイクリングを楽しんで
ナビゲーターライン
もらえるように、「田園サイクリングコース」として、富山平野の眺望のよい道路に利用
者の走行時の目印となるナビゲーターラインなどの整備を行っています。
❶ナビゲーターラインによるルート案内
路側線の内側に、上下線両方向にサイクリング推奨ルートを
分かり易く明示。ライン設置間隔(3m有-7m無-3m有)
❷曲がり角誘導路面表示
Ⅱ 活力どぼく
曲がり角の交差点を分かり易くするため、曲が
り角の約40m手前から路面に矢印マークで明示
曲がり角 誘導路面表示
(矢印)
の設置
■ 無電柱化
■ とやまの名所再発見 案内標識の整備
電線類の地中化や、民家の軒下や裏道等のスペースを活用した軒下配
観光客に「隠れた
ひ 氷見海岸
名所」を訪れること
線・裏配線による無電柱化を推進し、都市景観の向上を図っています。
Himi Coast
二上山
万 葉 ラ イ ン 415
によって本県のさら
Futagamiyama
Manyo Line
なる魅力を実感して
もらうため、観光地
を結ぶ幹線道路沿い
勝興寺
に施設へ誘導する案
整備前
Shokoji Temple 500m
内標識を設置してい
整備後
国道415号(氷見市幸町地区)
ます。
案内標識整備イメージ
■ 道の駅
「道の駅」は、道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域の方々のための「情報発信機能」、そして「道の駅」をきっ
かけに町と町を結び、地域を活性化させるための「地域の連携機能」の3つのコンセプトを併せ持つ休憩施設です。
道の駅一覧(H27年度末時点)
番号
駅名
設置者
路線名
所在地
1
細入
富 山 市
国道41号
富山市片掛3-5
2
砺波 砺 波 市
国道156号
砺波市宮沢町3-9
3
上平
南 砺 市
国道156号
南砺市西赤尾72-1
4
利賀
南 砺 市
国道471号
南砺市利賀村高沼43-7
5
井波
南 砺 市
国道471号
南砺市北川730
6
福光
南 砺 市
国道304号
南砺市中ノ江16
たいら
南 砺 市
国道156号
南砺市東中江215
庄川
砺 波 市
国道156号
砺波市庄川町示野437
うなづき
黒 部 市
県道黒部宇奈月線
黒部市宇奈月町下立687
カモンパーク 新湊
射 水 市
国道8号
射水市鏡宮296
ウェーブパーク滑川
滑 川 市
県道富山魚津線
滑川市中川原410
氷見
氷 見 市
国道415号
氷見市北大町25-5
万葉の里 高岡
高 岡 市
国道8号
高岡市蜂ケ島131-1
メルヘンおやべ
小矢部市
国道8号
小矢部市桜町1535-1
7
8
9
10
11
12
13
14
道路
■ ストック効果事例
『橋の開通が商業・企業進出を促進!』
の企業立地、
商業施設進出が活性化。
地域の賑わいや雇用の創出!
県内の
「道の駅」
位置図
うなづき
ウェーブパーク滑川
カモンパーク 新湊
メルヘンおやべ
万葉の里 高岡
砺波
福光
庄川
井波
利賀
細入
「道の駅」供用箇所:14箇所 たいら
上平
駅
道の
駅
道の
※氷見は、所在地等全てH24.10.1に変更された。
富立大橋開通後の立地面積の推移
開通後10年で
343人の
雇用を創出
至 富山市街地
至 立山IC
▲
県道富山立山公園線
富立大橋
富立大橋開通により、県道沿線地区
12
氷見
平成17年3月
富立大橋の開通
開通前
(H17)
企業立地
57,584㎡
商業施設
61,323㎡
開通後
(H27)
立山
イノベーション
パーク
(スーパー銭湯、
アウトドアショップ、
大型スーパー)
商業施設立地
3. 快 適 で 活 力あ る魅 力 的 なまちづくり
本格的な少子高齢化・人口減少社会を迎え、
都市機能の適正な集積・配置、
道路・公園等の都市基盤整備、公共交通ネットワー
クの整備等による計画的で活力あるまちづくりがこれまで以上に必要となっています。
また、優れた水辺空間の活用や、歴史・文化のあるまち並みなど地域の個性を活かしたまちづくりが求められています。
私たちは、このような県民ニーズに応え、快適で活力ある魅力的なまちづくりを進めています。
1 都 市 計 画 区 域 マスタープランの 策 定
県では、各々の都市計画区域における都市づくりの基本的な方向性を示す「都市計画区域マスタープラン」を定め、富山
県の都市計画の方針として4つの基本理念を掲げ、総合的かつ計画的な都市づくりを進めます。
快 適で活力ある都 市 づ く り
安全で安心して暮らせる都市づくり
地 域の個性を活か し た 魅 力 あ る 都 市 づ く り
広域的な交流・連携を支える都市づくり
●優れた水辺空間や歴史・文化など、地域資源を活かし
た個性豊かなまちづくり
●豊かな自然環境の保全や都市公園の充実
●景観に配慮した美しいまちづくり
●都市基盤整備や密集市街地の改善など、災害に強いま
ちづくり
●災害危険箇所における市街化抑制
●地域の実情等に応じた津波防災地域づくり
Ⅱ 活力どぼく
●集約型都市構造への転換
●まちなか居住の推進と中心市街地の活性化
●公共交通の維持・活性化
●低炭素都市づくりの推進
●北陸新幹線など広域交通網の整備充実と有効活用
●交通結節点の整備充実による利便性の向上
●県内道路網の体系的な整備
2 市街地再開発事業
空洞化が進む中心市街地の活性化を図るため、まちなか居住の促進とあわ
せ、商業、業務、文化、福祉など多様な機能が都心部に集積された機能的で
魅力あるまちづくりを進めます。
また、低層の木造建築物が密集するなど、防災性や土地利用の効率が低い
市街地においては、細分化された敷地を統合し、新たに土地を高度利用した
耐火性の高い建築物を建築し、安全な都市環境の創出を目指します。
■ 総曲輪西地区市街地再開発事業
事業概要 所 在 地/富山市総曲輪三丁目他
総曲輪西地区(H28.5完成)
地区面積/約1.0ha 延べ面積/約26,911㎡
総事業費/約85億円
主な用途/映画館、ホテル、店舗、住宅、駐車場
■ 桜町一丁目4番地区市街地再開発事業(計画)
事業概要 所 在 地/富山市桜町一丁目
地区面積/約0.7ha 延べ面積/約23,166㎡
総事業費/約81億円
主な用途/ホテル、業務施設、住宅、駐車場
■ 総曲輪三丁目地区市街地再開発事業
(計画)
事業概要 所 在 地/富山市総曲輪三丁目
桜町一丁目4番地区完成予想図
地区面積/約0.5ha 延べ面積/約33,690㎡
総事業費/約156億円
主な用途/商業施設、業務施設、住宅、駐車場
総曲輪三丁目地区完成予想図
13
3 土地区画整理事業 ■ 杉木土地区画整理事業
事業概要 所 在 地/砺波市杉木
地区面積/約54.9ha 総事業費/約75億円
主な用途/住宅地、工業用地
JR城端線砺波駅の北西約0.8㎞、砺波市中心市街地北側に位置する砺
波市杉木地区において、公共施設を整備改善し、宅地利用増進と健全な市
街地の創出を目的として行いました。
4 都市計画道路の整備
■ 新幹線駅等へのアクセス道路の整備
新幹線駅等の交通拠点へのアクセス道路など、公共交通を支援する道路の整備を進めています。
Ⅱ 活力どぼく
整備後イメージ
(都)牛島蜷川線 整備前
5 都市公園の整 備
都市公園は、都市内のオープンスペースとして、スポーツやレクリエーションなどに利用され、人々の心にうるおいややすら
ぎを与えるとともに、災害の防止や避難地としての機能も果たしています。またその都市のシンボルとしての役割も担っています。
富山県の都市計画区域内人口1人当たりの都市公園面積は平成26年度末で、15.1平方メートルです。これは全国的に見て
も高い水準にあります。
これからの公園づくりでは、地域の自然や文化を生かした公園づくりに取り組むとともに、都市全体がうるおいのある環
境となるよう、公園緑地のネットワーク化を図り、優れた景観づくりを進めていきます。
県民公園太閤山ランド
公園
富岩運河環水公園
水 と 緑 を 活 かして 賑 わ い を 創 出!
運河クルーズ
(富岩水上ライン)
●運河の水面を残し、都市の水辺環境として
活用するため「富岩運河環水公園」を開園
富山駅北地区の新しい都市拠点の創造、
新たな賑わいの創出
公 園 利 用 者 の 推 移
➡
富山県美術館
【H29オープン予定】
公園内施設の誘致(スターバックスコーヒー)
富山県総合運動公園
至 中島閘門
小運河
レストラン・
ラ・シャンス
27
H
スターバックス
コーヒー
H23
全体開園
142万人
天門橋
H21
水上ライン
運航開始
H
富岩水上ライン
乗船場
H20
スターバックス
コーヒー営業開始
14
ち
川
➡
➡
至 富山駅
た
70万人
19
い
H25
いたち川より導水
イベント開催
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
4. 下 水 道 の 整 備
水は、人間が生きていくうえで、欠くことのできないものです。富山県には、清らかな水が豊富にあり、このことが、県
民の誇りとなっています。
この豊かで清らかな水を、県民共有の財産として守り、次の世代に引き継いでいくことが、私たちの責務です。県内の河川や海域
の水質は、
下水道の整備などにより、大幅に改善されてきており、中小の都市河川の水質も徐々に改善されています。
下水道は、この水質の汚濁を防ぎ、快適で衛生的な生活環境をつくるために、大きな役割を果たしています。
1 県 全 域 に下水 道を
汚水処理人口普及率の状況
汚れた水をきれいにする施設には、流域下水道、公共下水道、農村
(平成26年度末)
下水道、コミュニティプラント、合併処理浄化槽など、さまざまなも
入善町
氷見市
のがあります。
富山県では、県と各市町村が一体となって、下水道事業を実施して
朝日町
黒部市
想」を、平成24年度には「富山県全県域下水道化構想2012」を策定し、
高岡市 射水市
舟橋村
小矢部市
を策定しました。その後、平成12年度には「全県域下水道化新世紀構
滑川市 魚津市
砺波市
より効率的、より経済的な下水道の整備を積極的に進めています。
富 山 市
Ⅱ 活力どぼく
いくため、平成2年度に、全国に先駆けて、「全県域下水道化構想」
上 市 町
立 山 町
南砺市
■ 富山県全県域下水道化構想2012
市街地、農山漁村を問わず、全県域一体となった汚水処理施設整備
を進めていくための長期指針です。
平成33年度末の汚水処理人口普及率98%を目指します。
凡 例
整備率90%以上
注)
普及率は各種整備手法の総処理人口による。 整備率75%以上90%未満
2 流 域 下水 道 の 整 備
2つ以上の市町村の区域における下水を処理するために、
富山県では流域下水道を整備しています。昭和63年3月に
は小矢部川流域下水道、平成9年12月には神通川左岸流域
下水道を一部供用開始しました。また、平成13年7月には
県内流域関連全市町村で供用を開始しました。
小矢部川流域下水道 二上浄化センター
流域下水道の計画
小矢部川流域下水道
高岡市、砺波市、
関 係 市 町 村
小矢部市、南砺市、射水市
259,000人
計画処理人口
計画処理区域面積
10,755ha
神通川左岸流域下水道
富山市、高岡市、
射水市
200,100人
6,943ha
神通川左岸流域下水道 神通川左岸浄化センター
3 下水 道 資 源 ・ 施 設 の 有 効 利 用
下水道は、汚れた水をきれいにするばかりでなく、処理した水を消融雪用水に活用した
り、下水処理場から出る汚泥を肥料やブロック、マンホールなどの建設資材に活用したり
するほか、下水処理場の敷地の一部を、地域住民が親しみをもてる公園として整備するな
ど、いろいろな方面で下水道のもつ資源や施設がさまざまに活用されています。
平成25年2月には、二上浄化センターで下水処理水の放流する際の落差を利用した小水
力発電施設を整備しました。年間約8万キロワットアワーの発電能力があります。
小水力発電啓発表示板
15
Ⅲ
未 来 ど ぼ く ~ 美しい 県 土づくり~
1.「立 山・黒 部 」の 世界文化 遺 産 登 録 を目 指して
立山・黒部地域は自然災害から暮らしを守り続けてきた人間の営為を刻む資産が集約的に存在し、いわば自然災害に対す
る防災大国日本のモデルとして、世界でも類稀な山と水と人の織りなす文化的景観を有しています。
県は関係市町とともに平成19年9月末、「『立山・黒部』~防災大国のモデル-信仰・砂防・発電-~」として、文化庁に
世界文化遺産の提案を行い、平成20年9月に「世界遺産暫定一覧表候補の文化遺産」としての評価をうけました。
これをうけて、県では以下のような取組みを行っています。
Ⅲ 未来どぼく
H19
9月 「『立山・黒部』~防災大国のモデル-信仰・砂防・発電-~」として
文化庁に世界文化遺産の提案
H20
9月 「世界遺産暫定一覧表候補の文化遺産」に位置付け
H21
6月 白岩砂防堰堤の重要文化財指定(砂防施設として初めて)
10月 国際砂防フォーラム2009(富山市内)
H22
10月 国際砂防フォーラム2010(富山市内)
H23
10月 国際砂防フォーラム2011(富山市内)
H24
7月 世界遺産フォーラム2012(東京都内)
11月 世界遺産条約採択40周年記念富山会議(富山市内)
H25
9月 国際世界遺産セミナー2013(富山市内)
H26
11月 世界遺産登録推進国際フォーラム2014(富山市内)
11月 インタープリベント(国際防災学会)2014における発表(奈良市内)
3月 国連防災世界会議における発表(仙台市内)
H27
国際砂防フォーラム2011
8月 ワルストロム国連事務総長特別代表(防災担当)が立山カルデラを視察
9月 土木学会での発表(岡山市内)
9月 日本イコモス国内委員会富山会議開催(富山市内)
11月 世界遺産登録推進シンポジウム2015(富山市内)
ワルストロム国連事務総長特別代表
(防災担当)
来県
白岩砂防堰堤を視察
知事表敬
インタープリベント2014 ポスターセッション
世界遺産登録推進国際フォーラム2014
世界遺産登録推進シンポジウム2015
基調講演
パネルディスカッション
■ 新たな重要文化財指定に向けた取り組み
文化庁から示された世界文化遺産登録のための課題のひとつに、文化財指定の推進があ
ることから、富山県では、平成21年に指定された白岩砂防堰堤に続く重要文化財候補の選
定に向けて、常願寺川流域の砂防施設について歴史的・文化的価値の調査検討を進めてい
ます。
本宮堰堤
■ 県民意識の醸成
「立山カルデラ砂防博物館」と連携し、野外ゾーンでの体験学習会の充実を図り、県民意
識の醸成に努めています。体験学習会の開催を通して、立山カルデラの大自然の営み、そ
して、その大自然に挑んできた人間の英知を努力の結晶ともいうべき砂防事業の意義や高
い技術などを広く紹介しています。
立山カルデラ砂防博物館 ホームページ:http://www.tatecal.or.jp/tatecal/
16
体験学習会の様子
2. 県 民 の 皆 さんとの 未 来 づくり
私たちの生活を支える社会資本の整備や維持管理について、県民の皆さんと一緒に考え、取り組みます。
1 普及・啓発活動
■ 訓練(いざという時に備えて)
市町村などの関係機関、地域住民と密接に連携をとりながら、大規模地震災害を想定し
た実践的かつ広域的な災害応急活動等の防災訓練を実施し、防災計画等の円滑な運用に資
するとともに、防災思想の普及啓発を図ります。
■ 見学(社会資本に対する理解を深めるために)
防災訓練
「とやまの土木」を実際に見て頂く「県民見学会」や「県政バス」等の行事を実施する
ことで、社会資本整備の意義と重要性を県民の皆様にご理解頂けるよう努めています。
■ 教室(未来に向けて)
社会資本は、長期にわたり利用されるものです。「川を語る懇談会」や「子ども砂防教
室」
、
「こども雪教室」の開催をとおして、次世代の主役となる子供達と公共土木施設の役
割を共に考えています。
県政バス
子ども砂防教室(魚津市)
Ⅲ 未来どぼく
川を語る懇談会(谷内川)
こども雪教室(小矢部市)
2 県民提案型事業の推進
■ とやまのみちフレッシュアップ事業
とやまのみちフレッシュアップ事業実施例
道路を利用する県民の皆さんからご提案や
ご意見を取り入れながら、今あるみちに「ひ
と工夫」加えることにより、道路がより安全、
歩行空間
の整備例
対策前
便利で快適に利用できるようにしています。
歩道がなく、通行しにくく危険
見通し
改善例
対策前
右折する際に見通しが悪く、直進する
対向車が見えず危険
対策後
歩道を確保した安全・安心な道路
対策後
見通しが良くなるよう交差点形状を
変更し、円滑な交通を確保
■ 通学路合同点検における交通安全の確保
近年、登下校中の児童等の列に自動車が突入し、死傷者が多数発生する事故が相次いでおり、その対策が求められています。
このため、富山県では道路管理者、教育委員会、学校、警察、地域住民等が連携し、合同点検を実施し、その結果を踏ま
え、現地の状況に応じた交通安全の確保に取組んでいます。
通学路合同点検状況
対策実施例【立山町立高野小学校通学路
県道日中五百石線】
▲
射水市海老江練合地内
対策前
▲
立山町福田地内
対策後
●横断歩道の手前をカラー舗装化し、ドライバーの注意を喚起する。
●歩道の転落防止柵の高さを1.1mに更新する。
17
3 地 域 が 主 役となる事 業 の 推 進
■ 景観づくり住民協定
地域の景観をより良くしていくため
には、その地域の人たちの自主的・主
体的な景観づくりへの取り組みにより
進められることが望ましく、かつ、効
果的です。
富山県景観条例ではこのような景観
づくり活動を奨励するために「景観づ
くり住民協定」の制度を定めており、
協定締結者には、県から取り組みへの
支援を行っています。
景観づくり住民協定 八日町通り(南砺市)
4 協働
■ ふるさとリバーボランティア支援制度
■ 道路愛護ボランティア制度
県民の皆さんと一緒に、清掃などの美化活動、稚魚の放
歩道、路肩、植樹桝などの清掃、草むしり、水やり等の
進めています。
沿線の美化活動を進めています。
流や植栽等の河川愛護活動など川を守り育てていく活動を
ボランティア活動を支援し、県民の皆さんと一緒に、道路
Ⅲ 未来どぼく
河川美化活動
(いたち川)
道路愛護ボランティア(県道金山谷田方町線)
■ 雪と汗のひとかき運動
河川愛護活動(高橋川)
■ 砂防NPO協働支援事業
NPO法人砂防ボランティア協会と連携・協働して危険
箇所の点検、防災講習会などを実施し、危険箇所の周知や
防災知識の普及、土砂災害に対する共助、自助の意識を高
めます。
危険箇所の点検
18
県民との協働による除排雪を
推進する一環として、主要な交
差点やバス停等の歩道に除雪用
スコップを置き、地域住民の方
々や通行する方々に、信号の待
ち時間等を利用して、雪だまり
などをひとかき除雪してもらう
ものです。
県道富山戸出小矢部線 戸出西部小学校前交差点
3. 地 域 の 個 性を活かした 景 観 づくり・まち並みづくり
富山県の豊かで美しい自然景観や田園景観が守り育てられ、良好な都市景観づくりが行われるとともに、歴史や文化を活
かしたまち並みづくりが進められるよう、本県では、景観づくりに関する様々な施策を推進しています。
1 うるおいある景 観 づくり
■ 富山県の景観づくり施策
県では2002年(平成14年)に景観条例を制定しました。
平成15年9月に、景観づくりを総合的・計画的に推進するための基本となる「景観
づくり基本方針」を策定しました。
県民の皆さんに、景観に対する関心を一層高めていただき、県の景観づくりに関す
る取り組みを知っていただく機会として、景観づくりフォーラムを開催しています。
■ 景観づくり活動に対する支援や助言
景観づくり重点地域
立山博物館遙望館からの立山連峰
景観づくりをより一層推進するために、県民や事業者の皆さん、市町村などが行う
景観づくり活動を支援しています。
地域の景観に大きな影響を与える大規模な建築などの行為について、景観づくり基
準を定め、事前に届出をしていただき、必要な協議や指導、助言を行っています。
県民に親しまれ、県の顔となる地域を「景観づくり重点地域」として指定し、その
地域の特性に応じた景観づくり基準により、きめ細かい景観づくりを進めています。
Ⅲ 未来どぼく
■ すぐれた景観についての広報活動
ふるさと眺望点(都市の景観)
相倉集落(南砺市)
富山県は、立山連峰や黒部峡谷に代表される世界的な山岳景観、砺波平野等に広が
る美しい田園景観など、素晴らしい眺望景観に恵まれています。景観条例により、素
晴らしいこれらの優れた景観を眺望できる地点を「ふるさと眺望点」として指定して
います。
また、県民、事業者等の景観づくりに対する意識の高揚及び景観づくりの取組みの
奨励を目的とした「うるおい環境とやま賞」を設け、表彰しています。
平成27年度うるおい環境とやま賞
風の賞 立山町元気交流ステーション(立山町)
2 屋 外 広告 物 の 適 正 化
■ 富山県屋外広告物条例に基づく規制
良好な景観形成・風致維持、公衆への危害防止を図るた
景観づくりのイメージ
め、県条例により、屋外広告物の規制を行っています。
立山連峰をはじめとする優れた自然・眺望景観の保全と
良好な沿道景観の形成のため、許可基準等を改正した県条
例・同施行規則を平成22年7月より施行しています。
また、平成26年には北陸新幹線からの眺望景観保全のた
め、規制地域を見直しました。
■ 景観に調和した屋外広告物の普及
規制だけでなく、景観広告ガイドラインの発行や「景観
広告とやま賞」による顕彰等により、周辺景観に調和した
屋外広告物への誘導に取り組んでいます。
第8回景観広告とやま賞(平成27年)
大賞・富山県知事賞
株式会社アイザック環境事業本部(富山市)
19
Ⅳ
安 心 ど ぼ く ~安全・安心な暮らしづくり~
1. 住 生 活 の 向 上
富山県は持ち家率、床面積、畳数など、全国トップクラスの居住水準にあります。これからの住宅整備については、住宅
そのものの水準の向上はもちろん、多様なニーズに対応した住環境整備や周辺と一体となって良好なまちなみを形成するよ
うに誘導していく必要があります。
住宅持ち家比率
100
80
83
60
180
80
61
1住宅当たり延べ床面積(専用住宅)
79
79
60
61
78
62
150
62
88
90
40
152
149
148
92
90
94
92
60
20
0
152
150
120
30
H2
H7
H12
H17
0
H22
H5
H10
H15
H20
H25
1 住 宅 の 耐 震 化 、 省エネルギ ー 化 等 の 促 進
住宅の耐震化や省エネルギー化を推進するなど、多様な居住ニーズに対応した住まいづくりを促進しています。
■ 住みよい家づくり資金融資制度
住宅の耐震化、省エネ改修工事など、一定の条件を満たしたリフォーム工事や、子育て世帯や県外からの定住世帯向けの
住宅の新築・購入、リフォームに対して15年固定の融資(金利優遇、利子補給)を行っています。
■ 木造住宅の耐震化
Ⅳ 安心どぼく
住宅の耐震化促進のため、
支援制度を設け、
耐震化に取り組んでいます。
■ 大規模建築物の耐震化
耐震診断の義務化に伴う改修費用への補助制度を創設し、
耐震化を促進します。
■ 長期優良住宅認定制度及び低炭素建築物認定制度
長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅や、断熱
構造や設備が一定の省エネ基準を満たす建築物の認定をとおして、より高品
質の住宅の普及を促進しています。
耐久性等に優れた長期優良住宅
2 住 宅 市 場 の 環 境 整 備と住 宅セーフティネットの 充 実
暮らし方にあった住宅を安心して取得・改修できるよう、住宅市場の環境整備を図るとともに、全ての人が安心して暮ら
すことができる住宅セーフティネットの充実を図っています。
■ サービス付き高齢者向け住宅の供給促進
■ 安全・安心に暮らすための住宅相談体制
りサービス」などを提供する賃貸住宅の供給を促進し
応するため、建築関係団体と連携して「とやま住宅相談所」を
高齢者が安心して暮らせるよう「専門家による見守
県民からの住宅に関する様々なトラブルについての相談に対
ています。
運営し、また、住まいの情報について、情報提供を行っています。
3 まちなかや田 園 住 宅 の 住 環 境 整 備
人口減少社会の到来により、空き家が増加することで発生する景観・環境・防犯上の諸問題に対応するため、空き家対策
連絡協議会を設置し、また、空き家の適正管理などの普及啓発を行っています。
20
2. 治 水 対 策 の 推 進
富山県には多くの河川が流れており、県民の生活や産業に「恵み」をもたらしてくれます。しかし、ひとたび氾濫すると
「脅威」となり、幾度となく大きな災害を引き起こしてきました。河川が有する二面性をふまえ、水を治め、利用し、水と
親しむ川づくりを目指しています。
1 河川の概要
一級河川は、黒部川、常願寺川、神通川、庄川、小矢部
河川縦断概略図
川の5水系216河川からなり、その延長は1,171kmです。ま
た二級河川は、片貝川、早月川など、30水系101河川から
なり、その延長は478kmです。
県内の河川
県外・外国の河川
3000m級の北アルプス
から一気に富山湾に
流れこむ
小矢部川
庄川
神通川
常願寺川
黒部川
富山湾
海から見た富山県鳥瞰図
2 安 心で 安 全 な川づくり
富山県の河川は急流河川のため、堤防や護岸が決壊、損傷するなどの水害が毎年発生しています。
このため、各河川で堤防の強化、川幅の拡幅、放水路の整備などを計画的に進めるとともに、ソフト施策の充実を図り、
安心で安全な河川づくりを進めています。
平常時
■ 坪野川(富山市)
坪野川は、富山市婦中町の市街地を流れ、神通川支川の宮島川に合
Ⅳ 安心どぼく
平成20年7月
流する延長約2.3kmの一級河川です。坪野川沿川では、近年、住宅や
商業施設等の開発が進んでおり、局地的な集中豪雨により、平成16年
7月、平成20年7月に浸水被害が発生しました。
下流の宮島川の改修は、平成5年度に着手し、平成24年度までに坪
野川との合流点までの約1.6kmの整備が完了したところです。
今後は、坪野川のボトルネックとなっているJR高山本線橋梁の架
替工事を進め、浸水被害の軽減を図ることとしています。
平成26年7月
坪野川(富山市婦中町速星地区)
■ 鴨川(魚津市)
鴨川は、魚津市の市街地を流れ、富山湾に注ぐ延長約3.9
㎞の二級河川です。本川は川幅が狭く、流下能力が小さいた
め、平成10年など、これまでも浸水被害が発生しており、平
成13年度より河川改修事業に着手しました。
沿川には住宅等が密集しており、現川改修が困難であるこ
とから、魚津市相木地先で分水し、富山湾へ直接洪水を流す
放水路を、既設の道路下に整備することとしています。
平成26年7月19日~20日の豪雨では、魚津観測所(魚津市
六郎丸)で時間雨量83mm、降り始めからの総降水量280.5mm
という史上最多の猛烈な雨を観測し、鴨川があふれ、床上浸
北國新聞 撮影
平成26年7月20日(1:10頃)
あふれた水で濁流と化した道路(魚津市本江新地区の道路)
水4戸、床下浸水11戸の被害が発生しました。
このため、引き続き、放水路の整備を進め浸水被害の早期
解消を図ることとしています。
21
3 防 災 ・ 減 災の 取り組み
河川等の抜本的な改修には多くの費用と時間がかかり
平常時
ます。このため、ゲリラ豪雨等による浸水被害を早期に
軽減するため、以下のような対策に取り組んでいます。
■ グラウンド貯留
貯留時
学校のグラウンドに降った雨を一時的に貯留し、流出
する時間を遅らせることにより河川の負担を軽減する雨
水貯留施設の整備に取り組んでいます。
グラウンド貯留事業(富山西高校)
■ 緊急浸水対策の推進
河川、下水道及び用排水路等の早期の本格的な改修が
高岡市の浸水対策 雨 に強いまちづくり 高岡
困難な地区においては、各施設管理者や防災関係機関及
び地元等からなる協議会により、緊急浸水対策計画を策
定し、各施設管理者が計画に基づき浸水対策を実施する
ハード
対 策
ことで、浸水被害の軽減を図ります。
この内高岡市では、平成25年9月に全国で初めて国の
「100mm/h安心プラン」に登録された「高岡市緊急浸水対
ソフト
対 策
策行動計画」に基づき、ハード・ソフト両面での対策を
進めています。
Ⅰ.治 水 対 策
Ⅱ.流 域 対 策
Ⅲ.減災・水防対策
❶ 河川の改修・整備
❷ 下水道・雨水幹線の整備
❸ 排水路の改修・整備
❹ 雨水貯留・浸透施設の検討
❺ 流域の保水機能の保持
❻ 水防活動等の充実
❼ 水害意識の啓発及び避難対策
4 ダムの 効 果
洪水や渇水の被害を防ぎ、総合的な水利用を図るため、富山県では、
河川総合開発事業を進めており、これまで県営16ダム、国土交通省1ダ
富山県のダム事業位置図
ムが完成しています。
ダムの効果には洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水や消流
雪用水等の開発、発電などがあり、様々な恵みを私たちに与えてくれます。
Ⅳ 安心どぼく
■ 熊野川ダム(富山市)
熊野川ダムでは、熊野川沿川地域を洪水被害から守るため、ダムの
再開発を行っています。
3門あるダムの放流口を2.9m下方に付け替えることにより、未利用
となっていた水道容量を洪水調節容量等に振り替え、洪水調節機能が
向上しました。
工事中の写真
※国土交通省所管ダム
工事後の写真
洪水調節の事例
工事前
工事後
ダムのストック効 果 の 事 例 和田川ダム
(砺波市)
After
Before
約60cm
工業団地
新興住宅街
和田川
昭和40年 旧大門町
和田川
線
北陸新幹
平成27年 射水市
昭和42年のダム完成により下流域での洪水被害が減少したことにより、
市街地が発展しました。
22
平成20年7月28日に南砺市で集中豪雨が発
生しました。この時、小矢部川水系山田川の
城端ダムでは時間雨量112mmを記録しました
が、ダム地点において
160㎥/sを調節した結果、
下流の南砺市是安地点に
おいて水位を約60cm下げ
洪水時の城端ダム
る効果がありました。
ダムが無かったら、
堤防から
あふれ、
山田川の洪水被害は
拡大していました。
: ダムが無かった場合の推定水位
: 洪水時の水位
(堤防天端より20cm下方)
3. 海 岸 保 全 対 策 の 推 進
富山湾は、能登半島と広大な扇状地平野に縁取られた日本海側最大の湾であり、富山湾越しに望む立山連峰は世界に誇る
絶景と呼ばれ、多くの方々に親しまれています。
しかし一方では、富山湾特有の地形が原因となって「寄り回り波」などの高波が頻繁に発生することから、侵食が著しい
海岸となっています。
1 海岸の概要
富山県の海岸は、西部の能登半島から東に向かって南に大きく湾曲して富
山湾を形成しており、その延長は147.4kmです。海底の複雑な地形と富山湾
特有の「寄り回り波」や冬季風浪等の海象条件があいまって、過去幾度とな
く大災害が発生し、県民の生活や財産を脅かしてきました。
※「寄り回り波」とは、日本海の北部から富山湾にやってきたうねりが海岸近くで大きく
なり、沿岸各地に被害を与える高波のことで、主に、射水・滑川・入善などの各海岸
で 発 生 し ま す 。
富山湾の海底地形
2 海岸の保全
■ 整備状況
人 工 リ ーフ
波浪による被害から県土を保全
海辺の環境や景観に配慮し、水面下に捨石な
どによって、人工の浅瀬をつくり、海岸侵食を
防止する施設です。
し、県民の生命、財産を守るため、
富山海岸や宮崎海岸など8海岸で
は面的防護方式により護岸、離岸
堤、人工リーフなどの海岸保全施
設の整備を進めています。
寄り回り波(滑川市)
■ 今後の整備方針
県ではこれまで、寄り回り波な
Ⅳ 安心どぼく
面的防護方式
どによる甚大な被害を度々受けて
護岸、離岸堤、人工海浜などの海岸保全施設
を面的な広がりをもって適切に配置し、それら
の複合機能により背後地を防護する施設整備方
式です。
きたことから、高波対策を中心に
施設の整備を進めてきたところで
すが、引き続き災害に強く強靭な
県土づくりを推進するため、東日
本大震災を教訓として、地震・津
波対策も含めた施設整備に取り組
んでいくこととしています。
また、一部の海岸堤防や護岸は
築造後相当の年月が経過しており、
波力等の影響による損傷や経年変
海岸侵食対策事業を
進めている富山海岸(富山市)
化など、機能低下の進行により破堤等の被害の発生が懸念されることから、今後も、老朽化対策の計画的な推進など、海岸
保全施設の機能の維持、強化を図ることとしています。
3 海岸漂着物対策
これまで地域住民や海岸管理者等により、海岸漂着物の回収・処理な
どの取り組みが実施され、一定の成果が得られているところです。
更に、これらの取り組みを一層推進するため、県では、平成28年3月
に「富山県海岸漂着物対策推進地域計画」を改定し、今後も、関係機関
等と一体となって「美しく豊かで、県民が安全に気持ちよく利用できる
海岸」の実現に取り組んでいくこととしています。
ボランティアによる海岸清掃
23
4. 土 砂 災 害 対 策 の 推 進
富山県は、急峻な山岳地帯や急流河川などの険しい地形条件により、土石流や地すべり、がけ崩れなどが発生する恐れが
ある危険地帯が数多くあり、昔からこうした災害との闘いが繰り返されてきました。
私たちは、このような地形が持つ危険から、県民の生命と財産を守り、豊かで美しい県土の保全につとめています。
1 土 砂災 害 の 防 止
富山県には、土砂災害危険箇所が4,944箇所あり、そのうち人家5戸以上等ある箇所において、土砂災害が発生する恐れ
のある危険箇所が1,804箇所あります。(土石流危険渓流556渓流、地すべり危険箇所(国土交通省所管分)244箇所、急傾斜
地崩壊危険箇所1,004箇所)
■ 砂防事業
■ 急傾斜地崩壊対策事業
■ 地すべり対策事業
土砂災害から人命、人家、並びに道
がけ崩れ災害から人命を守るため、
地すべりの誘因となる地下水を排除
堰堤などの整備をおこなっています。
なっています。
し、地すべりを防止しています。 路などの公共施設を守るため、砂防
したり、押え盛土や鋼管杭などを施工
擁 壁 や 法 枠 などの対 策 工 事 をおこ
排土
⬆
砂防堰堤
押え盛土
ながびきのひがしだに
長引野東谷砂防改良事業(魚津市)
城光寺地区急傾斜地崩壊対策事業(高岡市)
胡桃地区地すべり対策事業(氷見市)
2 ソフト対 策 の 充 実
■ 土砂災害防止法について
土砂災害のおそれのある区域を指定し、危険の
周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の
抑制等のソフト対策を推進し、土砂災害から国民
Ⅳ 安心どぼく
を守るため、平成12年に定められた法律です。富
山県においては、土砂災害警戒区域等を指定する
ため、平成16年度から基礎調査を開始しており、
調査結果が得られた箇所から順次区域を指定し土
砂災害の防止に努めています。
また、高齢者・障害者・乳幼児などの特に防災
上の配慮を要する方々が利用される施設(要配慮
者利用施設)についての警戒避難体制の整備に関
するガイドラインを作成し、避難体制の強化を図
るソフト対策を進めています。
土砂災害警戒区域等の指定状況一覧(平成28年3月31日現在)
指
市町村名
急傾斜地の崩壊
うち特別
警戒区域
警戒区域
定
土 石 流
警戒区域
区
うち特別
警戒区域
域
数
地 滑 り
警戒区域
富 山 市
833
817
326
高 岡 市
160
148
151
77
魚 津 市
127
126
86
59
氷 見 市
848
838
241
144
155
213
計
うち特別
警戒区域
警戒区域
うち特別
警戒区域
1,030
0
1,327
24
0
335
34
0
247
185
1
1,244
983
168
225
滑 川 市
37
35
11
8
11
0
59
43
黒 部 市
116
114
74
48
20
0
210
162
砺 波 市
85
84
33
23
38
0
156
107
小矢部市
127
119
38
19
58
0
223
138
南 砺 市
265
260
208
161
87
0
560
421
射 水 市
27
26
9
5
1
0
37
31
上 市 町
67
65
70
39
19
0
156
104
立 山 町
86
85
67
35
17
0
170
120
入 善 町
21
21
0
0
2
0
23
21
朝 日 町
64
63
77
58
37
0
178
121
合 計
2,843
1,383
885
657
1
4,883
3,667
2,781
※複数の市町村に重複して存在する区間があるため、合計は内訳と一致しない。
3 インフラ施 設 のストック効 果 砂防堰堤が守る地域の物流・観光!
被災(平成20年7月)
完成(平成26年12月)
平成20年7月 豪雨による土石流で国道156号
が流出し、地域の物流、観光に多大な影響(約
41日間通行止)を与えたことから、国道の山側
国道156号
に新たな砂防堰堤を整備し、平成26年12月に完
成しました。
土石流捕捉
(平成27年8月)
平成27年8月 再び土石流が発生しました
が、新設堰堤により捕捉され、国道上の円滑
な交通は確保されました。
そやまだしたに
南砺市 祖山出谷砂防堰堤の整備(H20~26)
24
交通ネットワークを保全し、物流・観光を守る
5. 地 震 防 災 対 策 の 充 実
2011年に発生した東日本大震災は、地震・大津波により、未曽有の被害をもたらしました。地震などの大規模な自然災害
は発生そのものを防ぐことができないことから、被害を最小限に食い止める「減災」の考え方が重要となります。そこで、
県では、公共土木施設の耐震化などのハード整備や住宅の耐震化支援に引き続き取り組むとともに、津波避難の意識啓発
等のソフト対策も行っています。
1 公共土木 施 設の耐震化
■ 橋梁の耐震化の推進
大規模地震等の発生により、橋梁が落橋・倒壊など大きな損傷を受けた
場合、県民生活に多大な影響を与えることとなります。こうしたことを防
ぎ、安全で信頼性の高い道路ネットワークを確保するため、橋桁の落下防
止や橋脚の補強など、橋梁の耐震化を推進しています。
堤 防
薬液注入
橋桁の
落下防止
施工後
橋脚補強
(コンクリートによる巻立て)
施工前
小谷川橋(国道156号)
■ 河川堤防、海岸保全施設
地震の発生により河川堤防等の河川管理施設および海岸保全施設が著しい損傷を受けた
場合、浸水被害が発生するなど、県民生活に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、
基礎地盤
現在の施設における耐震性の有無について調査を行っています。今後はその結果に基づき、
地盤改良による堤防の耐震化(イメージ図) 所要の耐震性を有していない区間について、対策工の検討を進めていきます。
地盤改良
改良地盤
■ 港湾施設
伏木富山港(新湊地区)多目的国際ターミナルでは、北1号岸壁(L=280m)が耐震
強化岸壁として平成14年に供用開始しており、富山県地域防災計画においても海上輸送拠
点施設として位置づけられています。
また、
伏木外港の万葉3号岸壁
(L=280m)
や、
富山港の2号岸壁
(L=185m)
においても、
平成25
年度から耐震強化岸壁が事業化され、
大規模地震時における緊急物資輸送の確保を図ります。 伏木富山港(新湊地区)多目的国際ターミナル
■ 砂防関係施設
企業
下水道施設は都市の基幹施設であ
り、震災によってその機能が麻痺し
た場合、市民生活に大きな影響を及
ぼします。このため処理場について
は、個々の施設において構造面の耐
震化を図ることとし、管渠について
は、継手の強化を行っています。
病院
消防署 官公庁
都市機能がマヒ
水道水源の汚染
公共交通
住民
被害発生
トイレが使えない
Ⅳ 安心どぼく
地震等の発生により、砂防
関係施設に著しい損傷があっ
た場合、人命・家屋等への災
害防止機能が失われる恐れが
あります。そのため、耐震調
査を実施したところであり、
現在対策を進めています。
■ 下水道施設
2 住宅・建 築 物の耐震化
■ 木造住宅の耐震化
住宅の耐震化促進のため、支援制度を設け、耐震化に取組んでいます。
●木造住宅耐震診断支援事業【自己負担額 2千円~6千円】
●木造住宅耐震改修支援事業【補助率:2/3
(上限60万円)
】
■ 大規模建築物の耐震化
災害時の活用等の協定を締結する、民間の耐震診断義務付け大規模建築物の改
【補助率:改修費用の44.8%】
修費用への補助制度を設け、耐震化に取り組みます。
木造住宅の耐震改修工事
3 津波 避難の意識啓発
■ 津波ハザードマップ
浸水情報や防災情報を掲載した津波ハザードマップを県民に広く提
供することで、ソフト面での防災対策の充実を図り、県民の自衛力の
向上や被害の軽減を図ることとしています。
県では、津波ハザードマップの作成費用の一部を補助しており、H25
年度末までに沿岸9市町すべてで津波ハザードマップが作成されました。
■ 海抜表示の実施
津波ハザードマップイメージ
県民の防災意識を高め、津波発生時の避難に役立てるため、県管理道路上の既設の道路案内
標識柱等に、海抜及び海岸からの距離を表示したシートを設置しました。
既設道路標識柱への海抜等の表示
25
6. 雪 に 強 いまちづくり
富山県では「56豪雪」の厳しい経験を契機に、雪を克服すること、さらに雪を活用することに、本格的に取り組み始めました。
私たちは、降積雪時においても、県民生活に支障がなく、産業経済活動が円滑に進められるよう雪に強いまちづくりを進
めます。
1 県 民 の 皆 さんとの 協 働 による除 雪 の 推 進
車道ばかりでなく、通園・通学路や歩行者の多い駅及び主要なバス停の周
辺を中心とした歩道においても快適な歩行者空間を確保するための除雪を進
めています。
また、地域の除雪ボランティア団体への歩道除雪機械の貸出しや、「雪と
汗のひとかき運動」など歩道等において県民の皆さんとの協働による除雪も
実施しています。 快適な歩行空間の確保
2 除 雪 機 械 のオペレータ確 保 等 に関する取 組み
建設業を取り巻く環境が厳しくなる中、除雪機械を運転するオペレーターの後継者
不足や高齢化が進むとともに、若いオペレーターに運転技術がなかなか承継されず、
今後の安定的な除雪体制の維持に向けてオペレーターの育成が課題となっています。
このため、県では平成22年度からオペレーターの後継者の育成と技能向上を図るこ
とを目的に、
「除雪オペレーターの実地研修」を実施しています。
また、平成27年度から除雪作業に必要な大型特殊免許の取得費用等を補助する「富
山県除雪オペレーター育成支援事業」を実施しています。
熟練講師による指導(高岡市)
3 消雪施 設の整 備 等
冬期交通の確保のため、道路幅の狭い区間への堆雪帯※の設置
や人家が連たんしているため堆雪スペースが確保できない区間等
Ⅳ 安心どぼく
における消雪施設の整備、また古くなった消雪施設の更新を行う
とともに、国、県、市町村が連携し、県下全域の道路の除排雪を
進めています。 ※堆雪帯
道路の路肩を広くし、除雪した雪を堆雪しておくための場所です。
消雪施設の整備
4 雪崩防止 対 策の推 進
短期的・局地的な大雪が発生した場合など、雪崩等により
集落の孤立が懸念されることから、道路の安全な通行を確保
するため、スノーシェッド※や雪崩防止柵などの整備を進め
ています。 ※スノーシェッド
道路を雪崩からまもるために、道路上に設けられた屋根のような設備です。
国道471号スノーシェッド(南砺市)
■ 56豪雪時と平成27年度の雪対策の比較
道路の雪対策については数値で表されるもののほか、除雪の出動基準の見直し、水はね対策や路面情報の提供など、内容
面も充実してきており、56豪雪時(約35年前)と比べれば大きく進展しています。
除雪延長
(km)
除雪率
(%)
昭和55年度
2,065.9
86.9
41.0
92.8
5.8
4.2
41.7
125
5
0
平成27年度
2,299.1
93.1
1,035.9
733.3
13.7
18.9
74.5
436
140
43
233.2
6.2
994.9
640.5
7.9
14.7
32.8
311
135
43
伸 び
26
歩道除雪 消雪パイプ スノーシェッド 雪崩防止柵・壁 流雪溝
延長(km)
(km)
(km)
(km)
(km)
県保有除雪
機械(台)
うち歩道除雪機械 うち凍結抑止剤散布車
7. 暮らし の 安 全・安 心 情 報 局
大雨や大雪などによる災害に備えて頂くため、県民の皆さんにリアルタイムで防災情報を発信しています。ぜひご利用ください。
1 雨 量 や 河 川 の 水位 が 確 認で きます 。 ~河川情報システム~
河川情報システムは、県下全域に設置された雨量計や河川の水位計等のデータを
迅速に収集し、表示するとともに、市町村へ情報を提供することにより、速やかな
水防活動や適切な河川管理に役立てるものです。
雨量や河川水位の情報は、インターネットにより、県民の皆さんも閲覧すること
ができます。また、国土交通省のホームページ(川の防災情報、防災ネット富山)、
県防災・危機管理課のホームページ(富山防災WEB)及び県内全ケーブルテレビ
の防災番組においても確認することができます。
パソコン
富山県雨量水位情報
検索
携帯電話から http://www.ameinfo-toyama.jp/i/
河川情報システムのイメージ
2 土 砂災 害 発 生の 危 険 度 が 確 認で きます 。 ~土砂災害警戒情報支援システム~
県と富山地方気象台は、土砂災害による被害の防止・軽減のため、土砂災害が発
生するおそれが高まったときに市町村長が発令する避難勧告等の判断や県民の皆様
の自主避難の参考となるよう、「土砂災害警戒情報」を共同発表しています。
インターネットにて、「土砂災害警戒情報」の発表状況や土砂災害の危険性が高
まった区域などの詳細情報を確認できます。
また、事前登録いただくと、土砂災害警戒情報や大雨注意報等の情報が発表され
た際、携帯等にメールを受け取れるメール配信サービスも行っています。
パソコン
富山県 土砂災害
検索
携帯電話から http://www.sabo.pref.toyama.lg.jp/m/
土砂災害警戒情報支援システムの画面
3 冬 期 の 道 路 情 報 が 確 認で きます 。 ~除雪情報システム~
パソコン
富山県冬期道路情報
携帯電話から
スマートフォンから
スマートフォン用アプリ
「雪みち富山」のイメージ
検索
Docomo http://www.toyama-douro.toyama.toyama.jp/i/
Softbank http://www.toyama-douro.toyama.toyama.jp/y/
http://www.toyama-douro.toyama.toyama.jp/ez/
au
上記パソコン用のホームページからアプリケーションをダウンロードしてください。
Docomo
4 ハザードマップ が 確 認で きます 。
○:作成済
Softbank
au
土砂災害
内水
県民の皆さんが的確な防災行動をとれるよう市町
村に対して、ハザードマップの作成支援を行ってい
ます。
ハザードマップは、市町村から配布されており、
ホームページ等で確認することもできます。
市町村のハザードマップ作成状況
Ⅳ 安心どぼく
積雪センサーや凍結センサー、路面監視カメラの情報を一元的にとりまとめる除
雪情報システムを整備しています。
これらの情報をドライバーのみなさまの安全運転の支援を目的としてインター
ネット及びスマートフォン用のアプリケーションで提供しています。
提供期間は、11月15日~3月31日です。
また、5cm以上の降雪予測や、大雪注意報等の発表時には、メールでお知らせす
るサービスも行っています。
洪水
津波
ハザードマップ(高岡市)
各ハザードマップの範囲イメージ
ハザードマップ 富山市 高岡市 魚津市 氷見市 滑川市 黒部市 砺波市 小矢部市 南砺市 射水市 上市町 立山町 入善町 朝日町 舟橋村
洪 水
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
内 水
-
○
-
○
-
-
○
-
-
-
-
-
-
-
-
土砂災害
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
-
津 波
-
○
-
○
○
○
-
○
-
○
○
○
○
-
-
27
8. 公 共 土 木 施 設 の 計 画 的・効 率 的 な 維 持 管 理 の 推 進
1 公 共 土 木 施 設 の 長 寿 命 化 の 観 点に 立った計 画 的 な 維 持 管 理 ・ 更 新 の 推 進
■ 公共土木施設の老朽化の現状
県が管理する橋梁などの公共土木施設は、戦後の高度経済成長
建設後50年経過する公共土木施設の推移
期以降に整備されたものが多く、今後は高齢化した公共土木施設
の急速な増加に直面します。高齢化した施設の割合が増大してい
ことが懸念されます。
橋梁を例にとると、平成28年4月現在、県が管理する橋長15m
以上の道路橋は826橋あり、このうち建設後50年を経過する橋梁
30年後
30
20
現状
10
は全体の約18%を占めています。これが30年後には約85%になり、
老朽化した橋梁が急増するおそれがあります。
0
0
193
■「対症療法型管理」
から
「予防保全型管理」
への転換
高齢化した公共土木施設の急速な増加に対し、今後必要とされ
る維持管理、更新については、これまでの「対症療法型管理」から
「予防保全型管理」へと転換することで、致命的な損傷を事前に防
0
0
194
設備)、砂防設備等で計画策定を進めています。今後は計画を策定
した施設から順次、予防保全型管理を実施していく予定です。
予防保全型管理を適切に実施するため、各施設において、専門
家によるきめ細やかな点検・調査を実施しています。中でも、
橋、トンネル、シェッド、横断歩道橋等の主な道路施設について
は、5年に一度の頻度で近接目視により点検することを基本とす
る法令が平成26年7月に定められ、県では、路線の重要性(利
196
0
197
0
0
198
199
0
200
0
201
トンネル
現状 約31%
30年後 約90%
港湾の岸壁
現状 約19%
30年後 約77%
H27までに策定済
と予算の平準化を図る長寿命化対策を進めることとしています。
械設備)、港湾施設の長寿命化計画の策定を終え、ダム(電気通信
0
195
個別施設毎の長寿命化計画策定状況
止するとともに、施設の寿命を延ばしライフサイクルコストの低減
これまで、橋梁や公園、下水道(処理場)、河川管理施設、ダム(機
30年後 約85%
架設年次別橋梁数(15m以上)
40
橋梁数
くと、重大な事故や致命的な損傷などの発生するリスクが高まる
[H28.4現在]
橋梁(15m以上)現状 約18%
●富山県橋梁長寿命化修繕計画(H23.2)
●富山県立都市公園長寿命化
(更新・補修)計画
(H25.9)
●小矢部川・神通川左岸流域下水道
機械・電気設備長寿命化計画(H26.9)
●富山県水門等河川管理施設長寿命化計画(H27.2)
●富山県ダム長寿命化計画(機械設備編)
(H27.8)
●富山県港湾施設長寿命化計画(H28.3)
H28策定予定
●ダム
(電気通信設備)
Ⅳ 安心どぼく
用状況、緊急通行確保路線)等を踏まえ、優先順位を検討したうえで、計画的に点検や修繕を実施しています。また、平
成26年5月には、全ての道路管理者からなる「富山県道路メンテナンス会議」を設立し、道路施設の老朽化対策について
の情報交換や市町村への支援等を行う等の取組みを行っており、適切な施設管理に努めています。
橋梁の再塗装
電気防食
外壁の補修
部分取替
さびを確実に除去し、耐久
性に優れた塗料を使用
腐食しやすい環境にある鋼
矢板式岸壁のさびの発生を
抑制
劣化の要因となる水の侵入
防止(ひび割れ補修、塗膜
防水施工)
ポンプの一部(羽根車)を
鋼橋主桁等の防食機能維持
港湾岸壁の防食機能維持
公園施設の機能維持
下水道施設の機能維持
取替え、利用可能な部分を
引き続き使用
2 公 共 水 域 における 不法 係 留 船 対 策 の 推 進
公共水域における不法係留船は、違法に設置
される杭や桟橋による公共物の破損、違法駐車
や騒音による住民等とのトラブル、美しい景観
の破壊等、様々な問題発生の要因となっていま
す。こうしたことから、不法係留船の重点的撤
去区域を設定して規制強化に取り組むなど対策
を進めています。
28
不法係留の状況
対策後(白岩川)
9. 県 有 建 築 物 の 整 備・保 全
少子高齢化や地球温暖化などに対応した、人や地球にやさしい施設づくりが不可欠となっています。
また、通常の使用に加えて、災害時の施設の安全性の確保が強く求められています。
わたしたちは、機能的でうるおいがあり、安全で安心して使える、質の高い建築物の整備や保全を進めていきます。
1 誰もが使 いやすく
公共建築物には、必要とされる本来の機
能のほか、すべての人に優しく、使用に不
便がないことが求められており、バリアフ
リーやユニバーサルデザインに配慮した施
設づくりを行っています。
スロープ
多目的トイレ
2 より安 全 に
公共建築物は、多くの人が利用し、災害
時には復旧等の拠点となることから、定期
点検のほか、雪に強く、耐震性を備えた設
計や耐震診断・耐震改修、改修・補修等に
より、施設の機能保全や安全確保を図って
います。
広域消防防災センター
耐震改修(衛生研究所)
3 風 景になじむ
4 地 域 にやさしく 、 地 球 にやさしく
公共建築物は、街並み等の中で大きな比重を占
公共建築物には、地場産業の復興、地球温暖化対策などの先導的
指針に基づき、地域の景観や歴史的重要性などに
用のほか、省エネ・断熱対策自然エネルギーの活用など、先駆的な
めるものが多いことから、公共事業の景観づくり
Ⅳ 安心どぼく
配慮した施設整備に努めています。
な役割が期待されており、県産材を含めた木材リサイクル製品の利
工夫をしています。
高志の国文学館
(全建賞、中部建築賞、JIA優秀建築賞を受賞)
アルミ鋳物製ルーバー
(高岡工芸高校管理教室棟)
県産木材天井ルーバー
(高志の国文学館)
トピックス
富山県リハビリテーション病院・
こども支援センターが完成
高度・専門的なリハビリテーション医療を提供するとと
もに、重症の心身障害児等に対する支援体制を充実・強化
するための施設として平成27年10月に完成しました。
365日リハビリ訓練の実現に向けて、すべてが訓練の場
となる環境整備、また、明るく暖かみのある家庭的な雰囲
気の中で生活できるように配慮した施設となっています。
全景
交流ロビー
29
Ⅴ
施 策 推 進のための取 組み
目に見える仕事だけではなく、その他にもいろいろな取組みを行っています。建設産業の振興支援や公共事業のコスト縮
減対策など、社会資本整備を進める際に必要な取組みを、「縁の下の力もち」が推進しています。
1. 建 設 業 の 許 可
建設業は、社会生活の基盤となる道路、河川、港湾などの公共施設を建設し、国土の発展はもとより、健康で文化的な生
活環境を維持、向上させる産業として重要な役割を果たしています。
建設業の許可制は、昭和46年に、建設業の健全な発展と公共の福祉に寄与するために制度化されました。富山県内で建設
業を許可された業者数は、平成28年3月末で5,223者であり、業種別許可件数は15,846件となっています。
2. 建 設 産 業 の 振 興 支 援
建設産業は、県民の生活と雇用を支えるだけでなく、社会資本の整備や、除雪・災害復旧活動の担い手として地域に貢献
する重要な産業ですが、これまでの公共事業の減少や競争の激化などから、経営環境が悪化し建設業が疲弊してきています。
このため、地域に貢献し技術力と経営力に優れた建設業が発展するために、県のホームページに「とやま建設業の広場」
を開設し、広く行政等の情報を提供するとともに、「建設業経営基盤安定支援事業」を展開するなど富山県の将来を担う建
設業となるよう支援しています。
億円
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
富山県の元請完成工事高と建設業許可業者数の推移
者
7000
6000
5000
4000
3000
平成8年と比較して、
完成工事高は7割、
業者数は8割まで減少
2000
1000
H8
H9
H10
H11 H12
H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23
元請完成工事高:建設工事施工統計調査、建設業許可件数:建設技術企画課調べ
H24
H25
H26
0
県元請完成工事高
建設業許可業者数
■ 建設業経営基盤安定支援事業の概要
(1)若者と女性が輝く建設業支援事業
①建設業労働環境改善支援補助金
若手技術者や女性の入職・定着を図るため、労働環境の改善の取組みを支援
(2)地域創生人材育成事業
①建設人材確保育成事業
Ⅴ
新たに中途採用で女性や35歳未満の若者の技術者や技能者を雇用して人材育成を行
施策推進のための取組み
う建設企業に対し雇用型訓練を委託し、建設業で必要な知識、技術を習得させ建設
業界の人材確保につなげる。
②建設人材教育訓練等事業
建設業に係る資格取得やスキル習得、技能者の育成等
(3)建設業新分野進出等サポート事業
①新分野進出等支援事業費補助金
企業間の合併や連携、
新分野進出を支援
建設企業等の経営基盤を強化する取組みとして、
●プラン策定等 ●支援 ●定着支援
②新分野進出優良企業表彰
新分野進出による経営多角化で顕著な成績をあげた建設企業の表彰
③建設業経営マネジメント事業
建設業新分野進出
(植物工場での野菜生産)
ア 経験豊富なマネージャーを配置した建設業経営相談(定期相談)窓口
イ 経営革新等に取り組む建設企業からの要望に応じたアドバイザーの派遣
■ 土木新製品開発支援事業
建設業新分野進出
(竹パウダーを使った商品の開発・製造・販売)
新製品開発に強い意欲を持っている県内企業を対象に、開発の構想から実用化までトータルに支援する「土木新製品開発
支援事業」を展開しており、試験施行場所の提供などによって新しい製品が誕生しています。
30
3. 公 共 用 地 の 取 得
「日本国憲法第29条第3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」
道路、河川、下水道、公園などの公共事業を計画的に推進するためには、事業用地の安定的な確保が不可欠ですが、近年、
住民の権利意識の高まりや価値観の多様化とともに補償業務が複雑化するなど、公共用地の取得は年々厳しさを増してきて
います。県では、公共事業を円滑に進めるため、住民に事業への理解と協力を求めるとともに、適正な補償を行うことに
より、公共用地の早期取得に努めています。
平成27年度の実績は、公共、県単独事業合わせて取得面積が12.1ha、補償契約額が42億6,700万円でした。
4. 入札・契 約 制 度
1 一般競争入札の拡大、総合評価方式の導入
競争入札参加資格審査申請
企業の格付け(有資格者名簿)
建設業許可取得
経営事項審査
(一般競争入札)
入札
・
契約
(指名競争入札)
平成5年度から、これまでの指名競争入札に加え、設計額10億円以
上の工事において一般競争入札を導入し、平成19年10月には、設計額
2千万円以上の工事を原則として一般競争入札とするなど、順次、対
象範囲を拡大しています。
また、平成18年10月に価格と価格以外の要素(技術力等)を総合的
に評価し落札者を決定する「総合評価方式」を試行導入し、平成22年
度からは、原則全ての一般競争入札の工事において試行実施し、価格
と品質が優れた内容の契約に努めています。
資格
審査
利用
県では、公共工事の入札・契約制度の透明性を高め、公正な競争を
促進するとともに、工事の品質、安全性及び経済性をバランスよく確
保するため、一般競争入札の導入など制度の改善に取り組んでいます。
公 告
指名基準
参加資格確認
2 ダンピング受注の防止
指名業者の選定・通知
通 知
入 札
●総合評価方式
(一般競争入札)
●低入札価格調査
●最低制限価格制度
落札者決定
契約保証金
契約
施工
開 札
工事の着手
完 了
公共工事の入札及び適正化の促進に関する法律の改正に伴い、平成
27年度から、県が発注する建設工事の入札において、入札時の工事費
内訳書の提出を義務化し、見積能力のない不良不適格業者の排除や談
合等の不正行為の防止策の強化を図りました。また、建設工事におけ
る下請を含めた施工体制を適切に把握するため、県発注工事におけ
る施工体制台帳の作成とその写しの提出を義務化し、手抜き工事や
一括下請負の防止、公共工事の品質の確保に努めています。
検 査
引 渡 し
施策推進のための取組み
3 入札契約の適正化に向けた取組みの強化
Ⅴ
監 督
一括下請負禁止 技術者専任
公共投資が減少基調で推移していた時期に、調査基準価格(=発注
者が求める契約の内容に適合した履行がなされないおそれがある価
格)に満たない価格による受注が多発しました。
こうしたいわゆる「低入札」による受注は、労働条件の悪化や下請
企業へのしわ寄せなどのほか、工事の品質確保にも問題が生じるおそ
れがあります。
このため、県では下記のとおり、ダンピング受注の防止に取り組み、
工事の品質低下の防止や適正な履行、企業の適正な利潤の確保に努め
ています。
①低入札により落札した工事の監督・検査の強化、技術者の追加配置
の義務付け(平成19年10月)
②過去2年間に一度でも75点未満の工事成績の通知を受けた企業が低
入札により工事を落札した場合、落札日から6ヶ月間は再度の低入
札を無効とする入札参加制限制度の導入(平成24年7月)
③調査基準価格及び失格基準価格における現場管理費の算入率の引上
げ(平成28年4月)
④最低制限価格(=調査基準価格と同様の算定式で算出)を下回る入
札を一律に失格とする最低制限価格制度の導入(平成28年7月)
工事成績評定
富山県の公共工事における入札・契約事務等の流れ
5. 環 境 へ の 配 慮
建設廃棄物は、産業廃棄物の排出量の約2割を占めており、不法投棄や処分場問題の解決に、
リサイクル推進は大変重要な役割を担っています。
このため、循環型社会の形成を促進するため、建設資材の分別解体及び再資源化を図るととも
に、公共工事における「富山県リサイクル認定製品」の利用促進などに努めています。
富山県リサイクル認定マーク
31
Ⅵ
資 料
1. とやまの 土 木 小 史
神通川と常願寺川を中心に富山の土木小史を紹介します。
明治の治水
年(年号)
社会経済
1858 (安政5) 安政の大地震
じんずうがわはせこし
1883 (M16) 置県
■ 神通川馳越線工事と立山砂防工事
題をきっかけに石川県から分離独立して富山県が誕生しま
した。県では直ちに土木課を設け、治水、砂防事業にとり
かかりました。
明治年間の県の一般会計決算額に占める土木費の割合は
平均で45%(その大半が治水堤防費)、洪水の頻発した明
1891 (M24)
明 治
今から133年前、明治16年(1883年)5月9日、治水問
1896
1897
1899
1900
1901
1906
1908
(M29)(旧)河川法
(M30) 砂防法
(M32)
(M33)
(M34) 20世紀
(M39)
(M41)
とやまの土木史、主な災害
大鳶山、小鳶山崩壊、死者行方不明140人
土木課設置 庄川改修工事着手 富山県下河川調査
(オランダ人技師ルーエンホルスト・ムルデルによる調査)
常願寺川改修工事着手(白岩川分離)
(オランダ人技師ヨハネス・デ・レーケによる計画)
県治水同盟会設立
伏木港開港場指定
庄川第二次改修工事着手(小矢部川分離)
神通川馳越線工事着工
県営立山砂防事業着手
北陸線富山駅開業(現位置)
治24年
(1891年)
にはなんと87%にもなりました。
このように近代富山の土木史は「明治の治水」に始まりました。
この「明治の治水」を代表するものが神通川の馳越線工事(明治34年(1901年)
~36年(1903年))と常願寺川上流の立山
砂防(明治39年(1906年)
~今日)です。
じんずうがわはせこしせん
神通川馳越線工事
富山の中心部を流れる神通川は、当時、富山城の北側で
大きく蛇行していたため、大雨のたびに市街地で溢れてい
ました。県では、明治29年(1896年)の大水害をきっかけ
に神通川の本格的な改修に着手し、明治34年(1901年)か
はせこし
(注1)
しょうすいろ
(注2)
らの第二期工事では、馳越線工事を行い直線の捷水路を建
設しました。
はせこし
(注1)
馳越線工事
しょう すい
ろ
(注2)
捷 水 路
河川のU字型にカーブした部分に新しいまっすぐな水
路をつくり、洪水のときに古い川の堤防を馳せ越して
(乗り越えて)いく水の勢いで土砂を押し流し、水路
の幅を広げていくという手法で進められた河川工事。
神通川では、水かさが270cm以上になると古い川の堤
は
こ
防を馳せ越して、新しい水路に水が入り、工事直後に
は2mだった水路の幅が今の川幅になりました。
蛇行する河川の屈曲部を直線的に連絡するために開削し
た人工水路。洪水防止や土地利用を目的として行われる。
立山砂防工事
とんびやま
安政の飛越地震(1858年)により鳶山が崩れ、立山カルデラにたまった膨大な土砂が一気に富山平野に流れ出るのを防ぐ
ために、明治39年(1906年)に県営の砂防事業に着手しました。しかし、余りにも大変な工事であったために、国に砂防法
の改正を働きかけ、大正15年(1926年)からは、旧内務省の直轄事業として移管され、現在もカルデラ内に残るといわれる2
億㎥の土砂を安定させるために、営々と砂防事業が進められています。
泥谷砂防堰堤
Ⅵ 資 料
白岩砂防堰堤
立山カルデラ全景
32
立山カルデラは、立山黒部アルペンルートの途中、
弥陀ヶ原の南にあります。カルデラとは、ポルトガ
ル語で「大鍋」の意味で、一般的には、噴火により
陥没してできた地形をさしますが、立山カルデラは、
河川の侵食によってできた地形です。
安政5年(1858年)、飛越地震により立山の鳶山
が大崩壊し、この立山カルデラ内は、全国まれにみ
る大崩壊地となりました。4億㎥の土砂が発生した
といわれており、下流の常願寺川流域に甚大な被害
を与えました。
大 正
大正の発電
■ 県営水力発電
豊かな恵みを供給する一方でひとたび洪水に
なると暴れだす川の水を、一方でなだめつつ、
他方で生活や産業に利用すべく、富山県の先人
は知恵を絞りました。
その典型が、大正9年(1920年)に始めた県
明治32年(1899年)に富山電灯㈱が運転を始め
た大久保発電所ですが、この水力発電を県の事
昭 和
こう し
営発電事業です。北陸地方の水力発電の嚆矢は、
業として行ったもので、これにより、安くて豊
富な電力を供給し、産業を興し、県の苦しい財
政を賄ったのです。「禍を転じて福と為す」と
はまさにこのことです。
かくして、とやまの土木史の第二章は「大正
の発電」と称されます。
■ 運河・都心区画整理・街路事業
(注1)
はせこし
平 成
昭 和 の 都 市計画
しょう
明治期の神通川馳越線工事により開削した捷
すい ろ (注2)
水路は、大正10年(1921年)には本流となり、
その結果、かつての神通川はわずかに松川を残
はいせん ち
すのみで広大な廃川地となって富山駅前と旧来
年(年号)
社会経済
とやまの土木史、主な災害
1920
1924
1926
(T9)
(T13) 砂防法改正
(T15)
県営水力発電着手
1928
1933
1935
1936
1937
1939
1945
1946
1954
1958
1961
1963
1964
1965
1968
1969
1975
1983
1984
1985
1986
(S3)
(S8)
(S10)
(S11) 日満産業大博覧会
(S12)
(S14)
(S20) 戦災/終戦
(S21)
(S29) 富山産業大博覧会
(S33) 富山国体・地すべり等防止法
(S36)
(S38)
(S39)
(S40)(新)河川法施行
(S43) 都市計画法
(S44) 急傾斜地法
(S50)
(S58) 置県百年/にっぽん新世紀博覧会
(S59)
(S60)
(S61)
富山都心区画整理着手
富山飛行場開場(倉垣)
県庁舎、櫻橋完成
電気ビル、富山大橋完成
本宮砂防えん堤完成
白岩砂防えん堤完成、東岩瀬港開港場指定
1995 (H7) 兵庫県南部地震
1997 (H9) 河川法改正
1998 (H10)
1999 (H11)
2000 (H12) 2000年とやま国体
土砂災害防止法
2002 (H14)
2003 (H15)
2004 (H16) 景観法
2008 (H20)
2009 (H21)
2011 (H23) 東北地方太平洋沖地震
2015 (H27)
立山砂防事業直轄移管
戦災復興事業着手
富山市公会堂完成
室牧ダム完成
富山空港開港
氷見市胡桃地すべり災害、人家被災87戸
富山新港開港
集中豪雨災害、死傷者29人、人家被災149戸
北陸道富山IC開業(昭和63年県内全線開通)
県民公園太閤山ランド開園
富山空港ジェット化
とやま21世紀水公園プラン
とやま都市MIRAI計画
水と緑のネットワーク構想
中島閘門 重要文化財に、立山カルデラ砂防博物館開館
白岩砂防えん堤、本宮砂防えん堤、桜橋 登録有形文化財に
笹津橋 登録有形文化財に
牛島閘門、泥谷砂防えん堤、小牧ダム 登録有形文化財に
富山県景観条例施行
東海北陸自動車道の全線開通
白岩堰堤砂防施設 重要文化財に
富岩運河環水公園全面開園
北陸新幹線開業、能越自動車道 県内全区間供用開始
の市街地とを分断する形に残り、都市の発展に
大きな障害となっていました。
昭和3年(1928年)に、この障害を取り除き、近代都市富山にふさわしいまち
をつくろうと、県は三つの都市計画事業を決定しました。それは、第一に、富山
駅北から東岩瀬港(現在の富山港)まで5kmの運河を掘り、第二に、その掘った
土砂で神通川の跡地117haを埋め立てて区画整理し、第三に、関連する7本の街
路を建設するという、まことに壮大なものでした。
県が行った都心区画整理事業(全国初の公共団体施行区画整理)により、昔、
神通川だったところに新しくまちが生まれ、今日では、県庁や富山市役所などが
建ち並ぶ、富山の都心となっています。
この港とまちと道を都市計画事業により建設し、富山のまちの骨格が出来上
がったことから、とやまの土木史の第三章を「昭和の都市計画」と呼んでいます。
そして、この昭和初期の「都市計画=みなと・まち・みち」は、その後も戦災
復興土地区画整理事業や、富山新港の建設、富山駅北のとやま都市MIRAI事業な
どに引き継がれています。
ハジメニ 治
水 アリキ
■ とやまの土木の原点
このように富山県では、県の誕生以来、水と闘い・水を治めつつ、電気を起
こし・産業を興し、橋を架け・道をつけ、港を築き・まちを拓き、県土を整えて
Ⅵ 資 料
きました。
「ハジメニ治水アリキ」とは、歴史的時間の「ハジメ」であり、かつ、今と
いう時代にあっても「まず、はじめに」治水なのです。とやまの土木は、「ハジ
メニ治水アリキテ、而シテ常ニ治水アルベシ」を基礎としながら、さらに安全・
便利・快適なものとなるよう、努力し続けていきます。
都心の土地区画整理と富岩運河
出典:
『都市公論:昭和11年5月1日第19巻第5号 運河・街路及び土地区画整理事業の実施について』
33
2. とやまの 土 木 遺 産
とやまの歴史とともにできた土木文化財を紹介します。
しらいわ
ふ がんうん が なかじまこうもん
1白岩砂防堰堤
5富岩運河中島閘門
国指定重要文化財
平成21年6月30日指定
管理:国土交通省
国指定重要文化財
平成10年5月1日登録
管理:富山県
立山カルデラ内の土砂を
昭和3年(1928年)から
昭和14年(1939年)に完成
間に位置し、昭和9年(19
安定させるため、カルデラ
の出口に設けられたもので、
しました。この堰堤は、堤
高が63mと砂防堰堤では日本一の高さを誇っています。後に
「砂防の父」と呼ばれた赤木正雄博士の計画によるものです。
砂防施設としては全国初の重要文化財に指定されました。
の富山都市計画事業により
造られた富岩運河のほぼ中
34年)に完成しました。閘門は、上流と下流の水位を門扉の開
閉により調整し、船の運航を助ける施設です。閘室は、昭和初
ひ たい
期の土木技術を用いた石組み・鉄筋コンクリート造りで、扉体
は今では珍しいリベット(鋲)接合で造られています。昭和の
土木構造物としては全国初の重要文化財に指定されました。
ほんぐう
2本宮堰堤
国登録有形文化財
平成11年8月23日登録
管理:国土交通省
常願寺川河口より26.8㎞
地点に位置し、昭和12年
(1937年)に完成しました。
この堰堤の貯砂量は500
万立法メートルと砂防堰堤
けん ち いしばり
では日本一を誇っています。堰堤の表面は間知石貼で造られて
おり、周辺環境に調和した砂防堰堤となっています。
ふ がんうん が うしじまこうもん
6富岩運河牛島閘門
国登録有形文化財
平成14年6月25日登録
管理:富山県
富岩運河といたち川の水位
調節を行い、川船を運航させ
るために、昭和9年
(1934年)
に設けられた閘門です。閘室
の主要部分は鉄筋コンクリート造りで、木製合掌門扉を支える
部分は、石組み構造となっています。中島閘門とともに富山の
近代化を支えた富岩運河の代表的な土木構造物の一つです。
どろたに
3泥谷砂防堰堤群
国登録有形文化財
平成14年6月25日登録
管理:国土交通省
常願寺川支渓のうち、荒廃の
著しい泥谷の侵食防止のため
に旧内務省直轄で築かれた階
段式砂防堰堤で、昭和13年(19
38年)に完成しました。標高差
122m、延長467mの急傾斜面に、
台形の越流部を有する重力式
石張りコンクリート造堰堤20基、床固3基が連続的に築かれて
います。この堰堤は、白岩、本宮砂防堰堤とともに富山県の砂
防事業の基幹をなすものです。
(写真提供:国土交通省立山砂防事務所)
こ まき
4小牧ダム
国登録有形文化財
平成14年6月25日登録
管理:関西電力㈱
Ⅵ 資 料
庄川に築かれた堤長301
m、堤高79mの発電用ダム
で、昭和5年(1930年)
に完成しました。
アーチ 曲面 が美 し い 本
格的な重力式コンクリート造ダムで、地震力を考慮した設計に
より飛躍的に大型化した構造物で、建築当時「東洋一のダム」
と呼ばれました。中央部にゲート付越流部、右岸側に鮎の遡上
のためのエレベーター式魚道、左岸に木材の流送のための運材
設備を設けてあります。
34
さくら
ばし
7桜 橋
国登録有形文化財
平成11年11月18日登録
管理:富山県
富山市の中心部を流
れる松川に架かる橋で、
富岩運河と同じく県の
都市計画事業により建
設され、昭和10年(1935年)に完成しました。この桜橋は、シ
ルエットの美しいリベット打ちの鋼製アーチ橋で、都心部の歴
史的景観を示すものとして、桜の季節には遊覧船が橋下を通過
するなど、観光資源にもなっています。
ささ づ ばし
8笹津橋
国登録有形文化財
平成12年2月15日登録
管理:国土交通省
国道41号線が旧大沢
野町と旧細入村の境で
神通川を渡る箇所に架
かる橋で、昭和16年(1
941年)に完成しました。
現存する戦前の橋としては全国2番目の大スパンアーチ橋です。
神通峡の美しい周辺環境と調和し、
躍動感あるデザインが特徴です。
このほかに「とやまの近代歴史遺産」(富山県教育委員会、平成22年
3月)に選定された土木施設もあります。詳細はウェブサイト「富山
県デジタル文化財ミュージアム」をご覧ください。
アドレス http://www.pref.toyama.jp/sections/3009/3007/digital/index2.html
富山県デジタル文化財ミュージアム
検索
3. とやまの 土 木 偉 人もの がたり
■ 日本砂防の父
あか ぎ
まさ お
赤木 正雄 1887(明治20)年3月24日 - 1972(昭和47)年9月24日
正雄は、1887(明治20)年に兵庫県城崎郡中筋村(現豊岡市)の裕福な農家に生まれました。
暴れ川として知られる円山川の近くに中筋村があり、故郷は何度も水害に遭っていました。
正雄が県立豊岡中学校(現県立豊岡高校)から第一高校(現東京大学)へ進学していた1910
(明治43)年8月、東京周辺は大雨により大洪水に見舞われました。9月の高校始業式訓示で新
渡戸稲造校長が大洪水にふれ、「治水という仕事は地味な仕事であるが、人生は表に立つばかり
が最善ではない。諸君のうちで一人でも一生を治水に捧げ、水害をなくすことに志を立てるもの
がいないか」と話し、これを聞いた正雄は、治水に生涯をかける決意をしました。
赤木 正雄
((一社)全国治水砂防協会提供)
その後、東京帝国大学農学部林学科に進学し、卒業後は、内務省土木局に入りました。そこで、日本の砂防技術の遅れを
感じた正雄は、砂防事業の先進地オーストリアへ2年間自費留学し、最新の技術を学びました。
当時の富山県は、明治の後期から続けられている立山の砂防工事を行っていました。しかし、繰り返される洪水で砂防ダ
ムが壊されたため、国が工事に乗り出すことになり、正雄がその責任者となりました。正雄は1926(大正15)年に立山砂防
事務所の初代所長になり、1930(昭和5年)年に事務所を去るまで、立山の砂防事業に尽力しました。
1939(昭和14)年には白岩砂防堰堤が完成し、立山の砂防事業は「世界最大の砂防事業」といわれ、正雄は「日本砂防の
父」と呼ばれるようになりました。
■ 伏木港の発展
ふじ い
のうそう
藤井 能三 1846(弘化3)年11月9日 - 1913(大正2)年4月20日
能三は、江戸時代末期の1846(弘化3)年に射水郡伏木村(現高岡市)の回船問屋に生まれま
した。伏木には、北前船と呼ばれる帆船の船着き場があり、藤井家はこの北前船を何艘も持ち、
米などの品物を運ぶ商売に成功していました。
22歳のとき、仕事で神戸港に来た能三は、多くの汽船(蒸気船)で賑わう光景を見て「帆船し
か入れない伏木の港は、新しい時代から取り残されてしまう」とショックを受けました。伏木港
さらには富山県の産業を発展させたいという想いを抱いた能三は、荷物集めに奔走し、私費を投
藤井 能三
(藤井利美氏所蔵、
高岡市立博物館提供)
じて灯台を建てました。更には、「ロシアのシベリア鉄道を利用して、日本の産物を伏木港から
ヨーロッパへ運ぼう」という夢の実現に向けて、1891(明治24)年には『伏木築港論』を発刊し、
伏木港の振興を呼び掛けました。これらの努力が実り、1900(明治33)年には、ロシアのウラジ
オストク港との間に定期航路が開設され、大きな汽船が横付けできるようにする港の工事も始まりました。
能三の夢見た港が完成し、その祝賀会が開かれたのは、1913(大正2)年、能三が66歳で亡くなった半年後のことでした。
じゅう に
かん の
だい ち
■ 十二貫野台地の開拓
しい な
どうさん
椎名 道三 1790(寛政2)年3月 - 1856(安政5)年6月15日
道三は、江戸時代の1790(寛政2)年3月に、新川郡小林村(現滑川市)の村役人の家に生ま
れ、その後、大熊村(現魚津市)の椎名家の養子になりました。
当時の農村は、田が少ないうえ、天候の影響を受けることも多く、農民の多くは貧しい生活でした。
そこで、道三は土木・測量の技術を習得し、16歳の時に、養父の協力の元、雑木林を切り開き、水を
引き込み、3年がかりで4.5haの田を完成させ、田の調査に来た加賀藩役人を驚かせました。
1836(天保7)年頃、日本は大飢饉に見舞われました。これ
を契機に、藩は道三に黒部川左岸の十二貫野台地を切り開いて
田をつくることを命じました。
水を引き、いくつもの山を巡り、16箇所にトンネルを掘る難工
事でしたが、1841年9月、わずか2年4カ月で完成しました。
この工事では、サイホンの原理など、高い技術が使われました。
道三は、生涯に越中や加賀、能登で合わせて1,200haの田を
開発しました。これにより、1,400人あまりの農民が恩恵を受
けました。
引用・参考文献:
「ふるさととやまの人物ものがたり」
(富山県教育委員会編・発行,2011)
とやまの土木偉人・歴史をもっと知りたい方へ
「 ふるさととやまの 人 物も の がたり」
(富山県教育委員会編・発行,2011)
小学生のふるさと教育を目的に作成。土木のみならず
様々な分野で輝かしい業績を残してきた方や、郷土を発展
させてきた富山県の先人54人を紹介。
Ⅵ 資 料
工事は1839(天保10)年5月に始まり、宇奈月の谷の奥から
椎名 道三(西永寺提供)
(白井芳樹著、富山新聞社発行,2002)
「とやま土 木 物 語 」
物語としてのストーリ性を持たせながら、テーマごとに分か
り易くとやまの土木史を紹介。著者は元富山県土木部長。
※これらの書籍は、県内の図書館でもご覧になれます。
35
写真/白岩砂防堰堤
北陸新幹線 富山駅
富岩運河環水公園
海王丸パーク
※富山県刊行物センター、美術館・博物館ミュージアムショップ、
アンテナショップ等で販売中(B1版、1/450万、
1枚300円
[税込み・送料別])
〒930‒8501 富山市新総曲輪1‒7
☎076‒431‒4111
(代)
ホームページ http://www.pref.toyama.jp/
編集·発行/富山県土木部建設技術企画課
☎076‒444‒3313
ホームページ http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1510/index.html
平成28年8月発行 この冊子は再生紙を使用しています。
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