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依 頼 情 報 収 集 準 備 搬 送

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依 頼 情 報 収 集 準 備 搬 送
診療看護師が実践した特殊搬送事例における役割
~医療依存度の高い患者を
大分県から東京都まで航空搬送した一例~
1)
○谷山尚子
1)
長松宜哉
1)
佐藤健誠
2)
甲斐誠司 平山匡史
1)社会医療法人 関愛会 佐賀関病院 2)社会医療法人 関愛会 津守クリニック
3)大分大学医学部 地域医療学センター
【COI開示】
1.背景
演題発表に関連し開示すべきCOI関係にある企業等はありません
H28年8月、医療依存度の高い患者を大分県から東京都まで民間航空機を使用して転院搬送を行うことになった。
対象は当病院(社会医療法人関愛会 佐賀関病院)以外の医療機関(Y病院)に入院中の患者で、Y病院の主治医は今回搬送に同行で
きない状況であった。そこで患者と関わったことがある当病院医師が搬送に同行することとなった。様々なプロブレムを抱える
患者を「安全にかつ少ないマンパワーで」搬送を行うためにも今回、当法人医師からNPに協力要請があった。
2.目的
1)搬送の経験を共有する
2)NPが実践した活動内容をもとに、NPが果たした役割について考察する
3.内容
・患者の娘(Key)から自分が暮らす東京都で患者を看たいと要望があった
・今回、Y病院医師は搬送に同行できない状況であった
・患者を安全に搬送するためには医師の同行が必要であり、かつ看護ニーズも高い患者であった
依
・関愛会医師は患者と関わった経験があり
搬送に同行することが可能であった
・搬送費用は患者家族負担になるため
最小限の人員が望ましい
頼
・関愛会には常勤NPがいる
84歳女性
(155cm/52.3㎏)
【既往歴】
☆急性上腸間膜動脈閉塞症術後(小腸人工肛門造設)、出血性脳梗塞、慢性心房細動
【現病歴】
情
平成28年1月、I病院に緊急搬送され蘇生処置実施、上腸間膜動脈閉塞症の診断で緊急手
術となった。術後DICによる出血性脳梗塞発症。その後リハビリ目的でY病院へ転院。
術後短腸症候群により現在はCVポートからの高カロリー輸液が不可欠な状態である。
【vital sign】
報
BP 80-90/50-60mmHg P80-90/min(af) BT36.0℃
【点滴】
SPO2 96%以上(室内気)
CVポートから高カロリー輸液中
収
【ADL】
集
明らかになった患者情報
基本動作全介助状態。移動はリクライニング車椅子使用。排尿はおむつ着用中。
栄養は経口摂取を併用している(5分粥 副食ミキサー 水分とろみ付)
【意思】
本人、娘とも東京での療養を望んでいる。娘から急変時はDNARを確認。
準
備
搬
Y病院到着
患者さんの状態確認
空港まで介護タクシーで移動
車中にはNP・娘が同乗、医師は後続車で追跡
介護タクシー内
NPによる患者管理
送
機内は後方3×3席を使用し簡易ベッドを設置して
くれた。運賃は3席分のみ請求された
機内での患者の状態。
上空ではSPO2が軽度低下した(96→92%)。
気圧によるバック類の変化は生じなかった。
4.結果
・患者はほぼ定刻通り無事に受け入れ先医療機関へ搬送することができた
・搬送中に生じた問題として、<①無尿、②上空でのSPO2低下、③搬送先
医療機関から空港までの帰路を想定していなかった>が挙げられた。
・事前準備においてNPとY病院MSWがプロジェクト運営の中核に存在した
・搬送中、NPは単独で患者管理を行う時間が存在したが著変なく経過した
無事に羽田空港着
患者状態は大きく変化ないが無尿の状態続く
5.考察
大分空港内の様子。羽田から
リクライニング車椅子を空輸。
尿量が100ml以下、補液継続
いざ、機内へ‼
羽田空港出発後、無事に搬送先
の病院に到着。
Vital sign著変なし、臨時薬剤
投与なし。
帰路に関して公共交通機関を乗
り合わせることを想定していな
かったが、持ち合わせのお金で
空港まで移動できた。
ご家族からは「安心して搬送に
同行できました」との言葉を頂
いた。
後日、膀胱留置カテーテル固定
の問題で多量の排尿がおむつ
パット内に出ていた事を搬送先
病院から伝えられた。
今回生じた膀胱留置カテーテル関連の問題においては確認すれば回
避できた問題であり今後の反省点とした。
今回NPが務めた役割としては<①医師不在時の患者管理 ②全身管
理 ③搬送プロジェクトにおけるマネジメント>が挙げられ、特殊症例においても医
師や多職種と連携・協同しながら、診療・看護・マネジメントを行うことが出来た
一例である。医学的・看護的管理において、どちらの役回りにおいても柔軟に対応
できるのはNPの強みである。一連の流れの中で、患者の医療ニーズに対し包括的な
判断を行い、必要とされる医療行為に対し予測/準備・タイムリーな実施を行うこと
で安全な搬送を行えたと同時に患者家族の不安軽減にも繋がったと考える。
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