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NO.3 VOL.37-3 - 神奈川県産業技術センター
神奈川県 産業技術センター 工芸技術所 19 NO.3 神奈川県産業技術センター 工芸技術所 第35回記念鎌倉彫創作展の結果 VOL.37 -3 2008.1.30 第5回 全国「木のクラフトコンペ」 作品募集のお知らせ 鶴岡八幡宮内の鎌倉国宝館特別展開催中の11 第5回目となる今回は、毎日の暮らし、季節 月20日∼25日の6日間、第35回記念鎌倉彫創作 毎の暮らし、晴の日の暮らし、それぞれの暮ら 展が開催されました。出品者62名、出展数68 しの場面で潤いや安らぎ、温かさや癒しを感じ 点の中から写真の創作大賞をはじめ、15作品が させてくれる、そのような『木』の暮らしの道 受賞されました。 具を広く公募しています。 ▲創作大賞 「いちょう文硯箱」 志知 勢次氏 ▲第4回大賞作品 「尺2寄木盛皿」 金指 勝悦氏 表彰式において、審査員から次のような講評 ●テーマ 「暮らしを創る」 がありました。『全体については、伝統的な彫 次代の心豊かな暮らしを求めて りと文様、そして造形に優れた作品が揃い踏み ●募集部門 した。創作大賞、準大賞に選ばれた優秀作品は 1 テーブルウェア部門 いうまでもなく、各所に伝統的な技と現代的な 2 インテリア部門 感性を見事に表現した作品に恵まれた。漆の表 3 観光工芸品部門 現にも新たな視点の作品が認められた。』 ●賞 ・大 賞 1点/副賞100万円 会期中の入館者数は3,368名でした。 ・金 賞 2点/副賞 20万円 創作展と同時開催で、鎌倉彫と世界遺産登録 ・審査委員賞 4点/副賞 に関する講演会が11月23日に鎌倉駅西口の御 ・特 別 賞 10点 成小学校講堂で開かれ、鎌倉国宝館館長の三浦 ●募集期間 勝男氏と元工芸指導所鎌倉支所長の岩下英夫氏 平成20年7月1日(火)∼7月31日(木) の講演があり、130名の参加がありました。 ●問合せ先 また、鎌倉工芸館では11月24・25日に工芸館 神奈川県産業技術センター 工芸技術所内 まつりが開かれ、体験教室、お茶会、掘出し市 (社)箱根物産連合会 などもあり、木工ロクロの実演を小田原の三浦 小田原・箱根「木製品フェア2008」事務局 義男氏と大川照夫氏が行い、延べ448名の来館者 TEL(0465)32-5252 FAX(0465)32-5253 がありました。 (デザイン技術チーム 渡辺) http://www.hakonebussan.com/ 5万円 技術を支える人々 その65 大石 辰雄 氏 昭和12年生まれ 70歳 製品で言いますと、平皿、角皿、 ペン皿、手鏡、角盆、 鎌倉市材木座在住 丸盆など、大きなものになると2尺位のものまで挽 きます。指物は小田原にも頼んでいます。30∼40 年前が仕事のピークで、その当時茶托は千枚単位 で他産地で加工していました。お客さんに仕上げ た注文品を納め、喜ばれる時が一番うれしいですね。 ●趣味については、 若い頃は、ボーリングを良くしました。ゴルフもし ましたけど、少しだけですね。一番続いているのは、 クレー射撃です。凝ってやっていた時は、神奈川県 のクレー協会の理事もしていました。旅行が好き でしたから、大会には毎回参加し、色々な県の射場 へ行きました。ここ15年間遠ざかっていましたが、 鎌倉生まれ。小学校から高校の途中までは横浜 最近またやり始め、楽しんでいます。 で育ちました。5人兄妹の長男として生まれ、家業 ●今後については、 であった鎌倉彫の木地製作を何の疑問も持たずに 仕事は、元気なうちはやっていたいですね。息子 継ぎました。 も一度は仕事を継ぎましたが、生活できるほどの仕 昭和28年、二代目の父に弟子入りし、この仕事 事量が無くて、サラリーマンになりました。 に就きました。雑用を1年ほど行った後、木地挽き 難しい仕事も色々とありましたが、良い思い出で の修行になりました。その当時は、 ロクロが4∼5台 す。定番の挽き物の仕事以外には、一品製作の木 あって、職人さんも7人ほどいました。弟が2人いま 地も作ります。こちらは面倒な仕事が多いし、図面 すが、木地師になったのは私だけです。 もしっかりしたものが出てきませんが、これはこれ 仕事場は鎌倉駅の傍にありましたが、現在は店 で自分の判断で決められる所があって工夫する楽 舗に使い、鎌倉彫の木地とおせんべいを売っていま しみがあります。 す。平成19年に店舗を改装後、木地販売だけにし 今、鎌倉で木地製作を行っている所は、うちを入 ていたら、おせんべいは止めてしまったの?という れて3ヶ所だと思います。私より年上の方々が、頑張っ 問合せが多くて復活しました。こちらは母の内職 ていますが、高齢化が進んで何時まで続けていられ ですが、ファンが多いようです。今年、鎌倉市商工 るかと問題を抱えています。 会議所で優良小売店舗表彰をしていただきました。 鎌倉彫の製品が、地元の料亭や料理店で使われ ●仕事場と仕事については、 るようになると良いんですが、なかなかそのような 現在の仕事場(大町)は、昭和30年に鎌倉彫協 お店がありません。地元で使われ、愛される地場産 同組合が作った作業場でした。組合が、鎌倉彫会 業になって欲しいものです。 (取材 林、渡辺) 館を造り移転する際に、今の工場を大石製作所が 購入し、そこで木地製作を行うようになりました。 鎌倉彫の木地は、イチョウやホウの材料を使うこ ともありますが、やはりカツラ材が主流です。 乾燥はすべて天然乾燥を行っています。一時期、 ドイツ製の乾燥機を導入したことがありましたが、 材がパサパサになってしまうので、天然乾燥に戻し ました。木地用カツラ材は、注文主が持ってくるこ ともありますが、碁盤、裁板(たちいた) 、印材やある 程度の厚板などは、 ストックを持っています。仕事は、 ロクロ物、ルータ物や指物を作っています。 ▲御成町の店舗内 技 術 情 報 当所の新しいNCルータについて(昨年10月導入) 情報セミナー要旨(平成19年11月13日開催) <RE-231P-1008 平安コーポレーション製> 1 モニター調査の必要性とその実際 前機種とは違う機能について3点ご紹介します。 当所デザイン相談員 西 正子氏 ●テーブルサイズ、加工範囲 ●モニター(アンケート)調査の必要性 テーブルサイズは、1,000mm×800mmで前機種 より若干大きくなった程度ですが、新機種の主軸は、 2軸ともテーブルの全面を移動することができます ので、2軸を使って加工できる範囲が、1,000mm× 800mmと前機種に比べかなり大きくなりました。 ●メモリ容量 内蔵メモリ容量は、前機種の4倍になりました。 フラッシュメモリーカードによるデータの授受及 びNCプログラムのダイレクト運転ができますので、 容量の大きいメモリーカードさえあれば、かなり長 時間の加工プログラムも対応可能です。従って3次 元CAD/CAMを利用して作成した、大容量のNCプ ログラムも運転することができるようになりました。 ●カスタムマクロ機能 新しく付加された機能として、カスタムマクロが あります。カスタムマクロは計算式によりプログラ ムを組む方法です。プログラム中に計算式を入れ ることで、NC装置がその式に従って加工軌跡を計 算しながら加工を行います。これにより、似たよう な形状でサイズが違ういくつかのものを1つのプロ グラムで加工したり、CADで図面化し難い形状も 加工したりすることができます。 例えば、下の写真にある3種類の部品は、カスタ ムマクロを利用して作成した1つのプログラムによ り加工したものです。この加工プログラムでは、直 径と高さを変数としてプログラムの始めのほうで 消費者の価値観は多様で、激しく変化しています。 また、本当に価値あるものが購入される時代になっ ており、いかに顧客満足度が高い商品を送り出せる かが利益につながっています。モニター調査は、こ の解決にとても重要な役割を果たしています。 ●モニター調査の企画 アンケート調査を行うことで何を知りたいか、そ の狙いを明確にすることが一番大切です。それに合っ た調査対象の選定や、予算に見合った調査方法、 集計・分析方法などを検討します。 ●アンケート表の作成 設問の組み立ては、意図した仮説を検証出来る かを考えて作成します。質問の文章は、 まぎらわし い言葉や専門用語は使わないことが大切です。また、 客観性を欠いた、自分の都合の良い回答を誘導す るような質問づくりは避けましょう。 (デザイン技術チーム 浅井) 2 食器塗膜と食品衛生法 (財) 日本塗料検査協会東支部 関根ゆかり氏 塗料・塗装分野での「安全」は、多岐に渡ります。 例えば、塗料やシンナーによる有機溶剤中毒や 燃焼・爆発に対しての安全などで、 これらはメーカー 側の塗装作業者の安全問題です。一方、最近の消 費者は、「食の安全」に対して敏感なため、塗装し た木製食器などに対する技術相談が増加していま す。これは、乾燥硬化した食器塗膜から、水や飲食 物などに塗膜成分が溶け出すなど、製品を使用す 設定するようにし、この設定値により加工軌跡を計 るお客様の安全問題です。 算で変化させています。このように、カスタムマク そこで、今回の講演では「食器塗膜等の安全」に ロを利用することで、プログラムの作成時間を短縮 ついての法規制、検査方法など、次のような詳細な するなど作業の効率化につながる可能性があります。 情報を得ることができました。①食品衛生法につ いて、②食品衛生法の試験方法、③食器の溶出試験、 新NCルータの機 ④溶出試験における試験溶液の調整法、⑤溶出試 器使用料は1時間 験測定結果の評価、⑥試料の準備方法、⑦食器の 1,830円です。多く 安全性対策、⑧玩具のおもちゃ又はその原材料の の方のご利用をお 規格、⑨おもちゃの製造基準、⑩おもちゃの化学的 待ちしております。 安全性確認、⑪おもちゃへの安全性対策。 (加工技術チーム 横田) (加工技術チーム 鈴木) お 知 第35回記念鎌倉彫創作展受賞者一覧 創作大賞 「いちょう文硯箱」 志知 勢次 準大賞 「叩き刀痕文軸入れ」 青山 常昭 準大賞 Tissues Box「ポピー」深谷 文敏 神奈川県知事賞 飾筥「煌く」 三橋 昌山 鎌倉市長賞 「神秘の卵」 奴田 伸宏 神奈川県県議会議長賞 「荒海や佐渡に…」 伊志良 博 鎌倉商工会議所会頭賞 尺6コンポート「朴文」 森本 勒弥 (社)鎌倉市観光協会会長賞 「盛皿」 原 貞子 大樹賞・叢紫 木内 伊作 ・椿文手ぐり小判箱 小園 敏樹 ・硯箱「瑞雲」 遠藤 英明 ・一輪差し 奴田不二夫 漆 賞 ・飾り丸皿「コデマリ」 今門 丹西 ・花器「野の花を…」 伊志良逸子 (財)伝統的工芸品産業振興協会会長賞 「牡丹文茶筒」 白日堂 アンケート賞 「椿文手ぐり小判箱」 小園 敏樹 テクニカルショー・ヨコハマ2008(第25回工業技術見本市) 「世界にはばたくオンリーワン技術」をテー マに、神奈川県下最大の工業技術・製品に関す る総合見本市として、最先端の技術・製品を一 堂に会するものです。県産業技術センターや工 芸技術所関連の事業、製品も出品されます。 会期:2月13日(水)∼2月15日(金) 10時∼17時 会場:パシフィコ横浜展示ホールC・D 関東経済産業局長の来所 去る12月14日、藤田昌宏関東経済産業局長一行 が箱根寄木細工の視察を目的に来所されました。 馬来産業技術センター所長から工芸技術所の 概要説明が行われ、伝統寄木協同組合金指勝悦 理事長、同露木清勝専務理事、同石川一郎理事 及び(社)箱根物産連合会古宮和幸専務理事が 同席し、産地業界現状について話し合いが持た れました。所内を視察後、午後からは箱根町畑 宿の寄木会館や参加企業を訪問されました。 ら せ 産地情報セミナーの開催 1 平成20年2月19日 (火) 14時∼16時 場所 鎌倉彫工芸館 ●「環境にやさしい漆」 講師 東京大学/愛媛大学名誉教授 熊野谿 從 氏 2 平成20年2月26日 (火)13時30分∼17時 場所 神奈川県産業技術センター 工芸技術所 ●「インターネットのノウハウ」 ―ホームページデザインの考え方― 講師 ケーアンドケーデザインルーム 森崎 清光 氏 ●「素材提供から製品提供へ」 ―金沢箔の特徴と応用― 講師 株式会社箔一東京営業所 古田 正仁 氏 (詳細は、渡辺、林までお問い合わせください) 表 彰 ○市民功労賞<小田原市> (社)箱根物産連合会 ○優良産業功労者<小田原市> (有)タクミ木工 所沢 務 杉山物産(株) 杉山 一秋 ○優秀技能者<鎌倉市> 鎌倉彫塗師 對馬 正紀 ○小田原箱根商工会議所 ・優良従業員表彰 (株)ビオリーノ 齋藤 司 (株)アルシェ 竹田 仁 (有)本間木工所 本間 忠男 ・優良産業人表彰 (有)萱沼木工製作所 萱沼 廣久 ・優良小売店舗表彰 クラフトえいと 露木 孝作 ○鎌倉商工会議所 ・優良小売店舗表彰 会頭賞(株)博古堂 後藤 圭子 奨励賞(株)大石製作所 大石 辰雄 ○日本伝統工芸士会 功労者 伊藤 民夫 ○関東伝統工芸士会 功労者 松永 新一 ○日本伝統工芸士会作品展 入賞 佐々木幸夫 入賞 大和 義文 ○経済産業省関東経済産業局長功労者表彰 伝統的工芸品産業功労者 当所デザイン技術チーム 浅井廣一郎