Comments
Description
Transcript
モバイル セキュリティ
モバイル セキュリティ モバイル PCを安全に活用するために必要 なセキュリティ対策を解説する本講座。今回 はセキュリティ対策の第一歩となる認証強化 について、 詳しく見ていく。認証強化といっ てもパスワードの設定や生体認証、ICカード を使った認証などさまざまな方法がある。各 方法がどういう場面に有効なのか解説する。 (中村 仁美=ライター、構成:アーキテクチャー) 第 2 回:認証強化がセキュリティの第一歩 業務の効率化やコスト削減に有効 証方法のメリットと設定方法を説明 への入り方は機種によって異なるし、 なモバイルパソコン。とはいえ、重 していく。 中には設定が変更できない機種もあ 要な情報が漏洩(ろうえい)したとあ OS起動前に侵入を防ぐ るので、パソコン付属のマニュアル かなものにするには、しっかりとし 最初に説明するのは BIOS パスワ つかのメニューに分かれているが、 たセキュリティ対策が不可欠となる。 ード。BIOS というのは、基本入出 BIOSパスワードの設定は「Security」 そこで、 まず取り組みたい対策が 力システムのことだ。電源を入れた などのメニューから行える。BIOS 段階で最初に起動するプログラムで パスワード設定項目は「Power-On 認証とはパソコンを操作しようと あり、OS が起動する前に各種ハー Password」という表現になっている している人にその権利があるかどう ドウエアをチェックするなどの機能 場合が多い。 か、正当性を検証する仕組みのこと。 を持つ。BIOS パスワードが設定で BIOS パスワードと同じくOS 起動 利用場所が限定されるデスクトップ きる機種では、電源オン時、つまり 前に認証を行うものに HDD パスワ パソコンと比べ、モバイルの場合は OS が起動する前にパスワード入力 ードがある。HDD パスワードは、ハ 周囲に第三者がいる状況が多く、そ が求められるようになる。パスワー ードディスクそのものに対してパス れだけ不正に使用されるリスクも高 ドを入力しない限り、Windows を ワードロックを掛ける。ハードディ い。不正使用されないために、使用 起動するプロセスに進むことができ スクの特殊な領域にパスワード情報 する人が誰なのか、認証するのだ。 ないため、第三者の不正利用を早い を保存するため、万が一ハードディ モバイルの認証強化と一口に言っ 段階で防ぐことができる。 スクだけを抜き出された場合でも正 ても、さまざまな方法がある。まず BIOS パスワードを設定するには、 しいパスワードを知らなければハー は最も基本的な方法として各種のパ パソコンに電源を入れてすぐ、ファ ドディスクのデータを読み出すこと スワードの設定から見ていこう。 ンクションキーなどを押して BIOS 設 ができない。つまり情報漏洩対策と 認証を強化するパスワードには、 定画面に入る(図 2) 。BIOS 設定画面 いう点では、より広いシーンで安全 っては逆効果だ。そのメリットを確 「認証」の強化だ。 電源オン時に有効なもの(BIOS パス ワードや HDD パスワード) 、OS ロ ●さまざまなパスワードで認証を強化できる 電源オン時 グオン時に有効なもの(Windows ロ グオンパスワード) 、OS ログオン後 に有効なもの(スクリーンセーバー パスワード)などがある(図1) 。より ハードウエアに近いところでパスワ ードを設定すればするほど、認証強 度が高くなる。では、それぞれの認 で確認しよう。設定画面は通常いく 基本的な 認証 高度な 認証 ・BIOS パスワード ・HDD パスワード ・生体認証 ・IC カードによる認証 Windows ログオン時 ・Windows ログオンパスワード Windows ログオン後 ・スクリーンセーバー パスワード ・ワンタイムパスワード 図 1 モバイルセキュリティにおいてはパスワードによる認証強化が対策の基本。電源オフ時から、 Windows 起動後まで、レベルに応じた認証を活用したい 日経パソコン 2010.1.25 113