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小児救急シリーズ②
呼吸器の病気
監修 柏市立柏病院 小児科医師
鈴木 正敏
季節の変わり目には、お子さんが体調を崩すことがよくあります。発熱や鼻水、咳など
一般的にいう「風邪」の症状が出たとき、困った事はありませんか? 今回は風邪(感冒)
呼吸器症状について、当院の小児科 鈴木 正敏 医師に話を聞きました。
風邪症候群(感冒)とは?
●
鼻汁、鼻閉を主症状とする全身状態の良い急性疾患で咽頭痛、咳嗽、発熱を伴う症状が
あります。
原因は?
風邪の誘因には、乾燥や寒冷、温度変化などのほかに、疲労や睡眠不足などがあります。
つまり、体の免疫力が弱ってしまうことが誘因となるわけです。
●
ほとんどがウイルス感染によるもので、全部で400種類以上のウイルスが原因となります。
パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルス等があり種類
が多いので何度もかかります。その中でもアデノウイルスによるものが最も多く、次いで溶連
菌感染症が 1∼2割程度です。
●
「夏かぜ」と呼ばれる夏季に流行するかぜ症候群もあります。
原因となるウイルスはエコーウイルスやコクサッキーウイルス等であり、
これらも種類が多いので何度も繰り返しかかってしまいます。
(ヘルパンギーナ、手足口病もこの範疇に含まれます。)
●
風邪症候群と同じような症状から始まる病気は、急性気管支炎があります。
咳嗽を主症状とし、発熱・痰などを伴うことが多く、大半がウイルス性です。
対応は?
咳や痰、発熱はウイルスを体外へ排出しようとする正常な防御反応なので、むやみに解熱等は
しなくて良い。ただし、下痢や嘔吐など小さな子供の体力を弱らせる症状は抑える必要があり
ます。
●
積極的な治療は不要です。せいぜい対症療法のみで積極的な抗生物質は不要なことがほとんどで
す。症状としては咽頭・扁桃炎高熱とともに咽頭・扁桃の発赤腫脹、疼痛などがあります。
こんな呼吸器症状がでたら、病院へ急いでください!
・顔色や唇の色が悪い。
・浅い呼吸又は非常に苦しそうな呼吸をしている。
・呼吸回数がいつもよりずっと多い。
・ゼーゼー・ヒューヒューが強い。
・咳がひどくて眠れない。
・犬が吠えるような、またはオットセイの鳴き声のような変な咳がひどい。
・声がかすれて出ない、話ができない。
・ひどい咳が始まる前に何か食べていた、または口に加えて遊んでいた。
・胸痛が強い など
特に救急対応が必要な疾患
以下の疾患は救急対応が必要な病気です。すぐに病院へかかってください。
クループ症候群
気道異物
喘息
肺炎
急性細気管支炎
1、急性細気管支炎
急性の炎症が気管支の粘膜におこる病気を、急性気管支炎といいます。
ほとんどは RS ウイルス感染症によるもので、乳児で呼吸状態が悪ければ最初に考えるべき疾
患の一つであり、幼児でも見られることがあります。数日の潜伏期間があります。数日間のかぜ
症状に続いて、呼吸困難が急速に進行します。呼吸回数が増加し、ゼーゼー・ヒューヒューした
呼吸になり、特に呼気時の呼吸困難が強くなります。
重症になると入院が必要となる場合もあります。乳児の場合、最初は単なるかぜのようであって
も、上記のような症状悪化があれば、救急対応が必要になります。
2、喘息発作
喘息は気道の炎症で気管支が狭くなって、呼吸が苦しくなる病気です。原因はダニや花粉等の
アレルギーによるものが多く、咳がひどく苦しそうな状態が続きます。
顔色・口唇色不良
胸で「ゼーゼー・ヒューヒュー」音が聞こえる
(これを喘鳴(ぜんめい)という。
)
息を吐く時間が延長している
3、気道異物
異物を口に入れ、喉に詰まらせてしまった状態で、小児の場合は特にピーナッツ、大豆などが
多く見受けられます。誤飲、誤嚥の基本的な処置は吐かせることですが、誤飲物により対応が
異なるために、誤飲物や子どもの状態を確認し自己判断しないで医療機関を受診することが望
ましいです。(できれば耳鼻科対応が望ましい)
4、クループ症候群
声帯や喉が、ウイルスや細菌に感染し、気道の粘膜が腫れてしまう病気で、喉頭及びその近辺
に炎症が波及したものです。かぜ症状が数日続いた後、声がかすれ「犬が吠えるような」あるい
は「オットセイの鳴き声のような」咳が出るようになります。
特に夜間にひどく、非常に苦しそうな様子になり、息を吸う時に「ゼーゼー」音が聴かれます。
5、肺炎
肺炎は原因となる病原体が肺に入り炎症を起こす病気です。主に微生物の感染によって炎症を
起こしますが、重症度は微生物の種類により多様です。
症状としては発熱、呼吸状態が悪い、咳がひどいなどがあります。
6、気胸
気胸とは、胸膜に穴が開いて胸膜と胸膜の間にある胸腔に空気が入り込んだ状態です。突然
の胸痛や呼吸困難、ひどい咳が主な症状です。
7、その他の症状を伴うもの
『発熱が 38.5℃以上で、本人の具合が悪そうであれば、6 時間以上間隔を開け
て、1 日 2∼3 回は使用して構いません。』
しかし、あくまでも『本人の状態や気分を楽にさせ、体力の温存を図ること。』
が解熱剤使用の目的であることを忘れないでください。
小児科の診療時間・医師担当表は、当ホームページでご確認できます。
そちらをご覧ください。
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