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〔日本機械工業連合会会長賞〕 トランスレス直並列変換方式ミニUPS
〔日本機械工業連合会会長賞〕 トランスレス直並列変換方式ミニUPS (デュアルコンバージョン方式GXシリーズ) 富士電機ホールディングス株式会社 東京都千代田区 1. 機器の概要 UPS(無停電電源装置、Uninterruptible Power System)の回路は、交流電力を 直流に変える電源側コンバータ(整流器)や、直流電力を交流電力に変えるインバー タ、電力を蓄えるバッテリなどから成り立っている。これらは、いざ停電が発生し たとき瞬時にバックアップできるように、運転または待機しているが、特に「常時 インバータ給電方式」UPSでは、コンバータでAC→DC、インバータでDC→ ACに常時変換しているため、電力ロスが比較的大きく、総合効率(AC-AC 変換効率) は、(小容量UPSの場合、)約 85%程度となる。効率が良い「常時商用給電方式」 UPSもあるが、停電時のバックアップ切換えの際に若干の瞬断が発生するなど、 出力安定性の面で劣り、使用場面は限られる。 今回開発したUPSの新回路方式である「デュアルコンバージョン方式」は、従 来の「常時インバータ給電方式」と同等の性能(出力安定性)を持ちながら、高効率 を実現し、総合効率は、 95%以上になる。従来の常時 インバータとくらべるとそ の電力ロスは約3分の1以 下に改善されることになり、 その省エネルギー効果は極 めて大きい。 写真 1 GXシリーズ 700VA∼3000VA (上段:自立タイプ、下段:ラックマウントタイプ) 図 1 従来の回路方式 常時インバータ給電方式 常時商用給電方式 常時 交流入力 常時 整流器 インバータ 充電器 交流入力 交流出力 インバータ 負 荷 交流出力 スイッチ 負 荷 バッテリ バッテリ 停電時 停電時 常時商用給電方式 常時 交流入力 VR 充電器 交流出力 インバータ バッテリ 負 荷 スイッチ 停電時 ラインインタラクティブ方式 2. 2.1 機器の技術的特徴および効果 技術的特徴 (1) 技術の独創性 従来と異なる発想の変換方式の採用した。従来(常時インバータ給電方式)は整 流器により直流に変換した後、インバータで交流に変換して負荷へ電力を供給す るが、本製品は、電源電圧を利用して、過不足分だけを補償し負荷へ電力を供給 する。さらに、このシステムを重たく大きな変圧器を用いずに実現している。こ れにより、高い変換効率(少ない損失)をもつ小形・軽量UPSを実現した。 図 2 デュアルコンバージョン方式の回路図 デュアルコンバージョン方式 ① 直列コンバータ PWM制御により出力電圧を制御し、常に安定した電圧を出力する。 バッテリへは常時浮動充電を行ない、停電時も無瞬断でバックアップする。 ② 並列コンバータ 入力電圧変動時は、並列コンバータより不足分のエネルギーを送り込む(過 剰なときは回生する) (2) 省エネルギー性 従来の常時インバータ給電方式に比べて、8 ポイント以上の効率改善効果(87%→ 95%)がある。これは、700VA の装置で年間約 380kWh である。容量毎の変換効率比較 と改善効果を下表に示す。 容量 700VA 1400VA 3000VA 従来方式 の効率 87% 86% 88% 開発方式 の効率 95% 96% 97% 比較 8pts 改善,381kWh/年低減 CO2 換算 45.7kg 10pts 改善,1188kWh/年低減 CO2 換算 143kg 9pts 改善,2217kW/年低減 CO2 換算 266kg 表 1 従来方式との効率の比較 2.2 効果 (経済性) デュアルコンバージョン方式の最大の長所はその高効率性にある。 従来の「常時インバータ給電方式」との電力ロスの比較を、UPSの使用期間を 6年として計算すると以下のようになる。 ◇UPS1kVA あたりの電力ロスの計算 [従来の常時インバータ給電方式(弊社 J シリーズ)] (電力ロスの計算) 1 (kVA)×0.8(力率)×{1/0.86(効率)-1}=130(W) (6 年間分を 1kWh=20 円で計算) 130(W)×24(H)×365(日)×20(円/kWh)×6(年)=137,000(円) [デュアルコンバージョン方式(GXシリーズ)] (電力ロスの計算) 1 (kVA)×0.8(力率)×{1/0.96(効率)-1}=33.3(W) (6 年間分を 1kWh=20 円で計算) 33.3(W)×24(H)×365(日) ×20(円/kWh)×6(年)=35,000(円) UPSの kVA 単価を 15 万円として 6 年間のライフサイクルコストを比較する。 (単位:円) 1kVA あたりの 従来システム イニシャルコスト 6 年間ランニングコスト 150,000 137,000 当装置 GXシリーズ 105,000 35,000 差異 削減率 45,000 102,000 30% 74% 表 2 従来方式との効率の比較 3. 用途 今年春の発売以来、コンピュータはもとより、半導体製造メーカを含めた幅広い 顧客層に対して実用化されており、1,500 台以上が使用されている。安定した電力 供給だけでなく高い変換効率による省エネルギー効果を発揮している。 また、7∼21kVA の並列冗長を可能とした高信頼タイプの新製品『RXシリーズ』 (2004 年 10 月発売)でもデュアルコンバージョン方式を採用して高効率化を実現し ており、本方式は高信頼UPSの進化形として期待されている。 図 3 GXシリーズの出荷実績 1500 台/月 累計 台数 400 1000 累計台数 300 500 200 100 1月 2月 ↑ 発売開始 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月