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「ニューエコノミー下で中日ビジネスリーダーらが抱く新たな視野・思考と
「ニューエコノミー下で中日ビジネスリーダーらが抱く新たな視野・思考と戦略」
北京で「中国日本企業経営者意見交換会」
長江商学院・経済同友会が共同主催
【2016 年 8 月 1 日北京】
「中国はこの 10 年、目を見張るスピードで発展を遂げた。特に VR、
シェアリングエコノミー、IT イノベーション等のニューエコノミーの領域において、先進技
術をベースに、社会に大きな変革をもたらしただけでなく、今なおイノベーションを続けて
いる。『バイオスフィア』などの新たなコンセプトが、中国でどのように急速に浸透し、普及
していったかについて、私たちも皆さんのお話から学ばせて頂き、日本に持ち帰り、経営の
中に活かしていきたい」
。経済同友会代表幹事、三菱ケミカルホールディングス取締役会長小
林喜光氏は、北京で行われた「中国日本可企業経営者意見交換会」の席上、こう語った。長
江商学院次席学院長周立氏もまた挨拶の中で、「経済のグローバル化がますます進む中、長江
商学院が一貫して提唱する『グローバルな視点、ヒューマニズム、クリエイティブな意識』
はこれからのビジネスリーダーに欠かせないものとなる。日本企業のグローバリゼーション
は中国に先駆けること数十年、東洋の伝統文化が体現するヒューマニズムは日本において良
い形で保たれ、発揚されており、マネジメントの方法論やハイエンドな製造業の分野で様々
なイノベーションと発展が見られている。一方、中国の企業家らは今グローバリゼーション
に向けて闊歩しており、ヒューマニズムに再度光を当て、ビジネスモデルなどの方面で大胆
なイノベーションを行っている。両者には学び合うべきものがたくさんあると感じる」と指
摘する。
熱気に溢れる「中国日本起業経営者意見交換会」会場
「中国日本企業経営者意見交換会」は長江商学院と経済同友会が共同開催した討論会であ
り、中日の新興産業と伝統産業のリーダーとの交流のプラットフォームをめざしたもので、
ニューエコノミーの中国におけるスピーディな発展、日本でさらに開発の期待される分野・
モデルについて、そしてさらに中日間の経済協力についての討論を行おうとする試みだ。
経済同友会は日本の三大経済団体の一つであり、日本企業の経営者により構成される団
体であり、長期にわたり、日中経済協力と両国の友好交流に注力しており、日本の政府
と社会に広範な影響力を有している。
経済同友会が長江商学院を今回の訪中における最初の訪問先に選んだことについて、小林
氏は「長江商学院は、中国における企業家育成の分野で先頭を切って進む教育機関だと聞い
ている。その意味で、我々が中国について理解したり、その未来を予測しようとする場合、
まずは長江商学院の動きを観察すれば良い、ということだと考えた」と語る。
三菱ケミカルホールディングス取締役会長・経済同友会代表幹事小林喜光氏
今回の会合は、長江商学院次席学院長周立氏、易到ファウンダー兼 CEO 周航氏、Sensecape
ファウンダー兼 CEO 陸凡氏等の長江商学院卒業生、長江起業創新コミュニティーのスタート
アップ企業のファウンダーらと、経済同友会代表幹事の小林喜光氏を団長とし、ANA ホール
ディングス会長伊東信一郎氏、日産自動車副会長志賀俊之氏、日本航空会長大西賢氏ら約 20
名の日本の有名企業の経営陣を集めた経済同友会訪中団とが参加する座談会となった。
長江商学院次席学院長周立氏
「中国日本起業経営者意見交換会」の参加者の面々
インターネットブーム下のシェアリングエコノミー
長江商学院 EMBA 卒業生であり、易到のファウンダー兼 CEO である周航氏は、中国のインター
ネットブームについて、
「インターネットがシェアリングエコノミーを生んだ。これは疑う余
地のないものだ」という。周が創設した易到は中国のカーシェアリングサービスの開拓者の
一つだ。今日白熱化する競争の中、周航氏はカーシェアリング業界について一歩進んだ見識
を持つ。周氏は基調演説の中で「(中国の)カーシェアリング業界はすでに第三段階に入って
おり、業界の触覚は自動車産業全体に及んでいる。上流はオートパイロット、時には製造そ
のものに、下流は自動車保険、中古車市場にも伸びている。易到はすでにそうした準備を進
めている」とし、
「中国のインターネット業界の発展は極めて速く、競争も同様に異常な残酷
さを持っている。インターネットの影響は多くの業界に及んでおり、中国はともすれば高度
にインターネット化された社会へと発展するかも知れない」と言う。日産自動車副会長志賀
俊之氏もまた、インターネットが自動車業界を次の時代に進めるとし、
「カーシェアリングの
時代には、自動車メーカーのビジネスモデルも売り上げ台数を追うものから、提供するサー
ビスに課金するようになるだろう」とする。
長江起業創新コミュニティーに所属する談婧女史はウーバー中国のスタートアップメンバー
の一人であり、嘗ては中国地区の戦略運営責任者を務めていた。談はカーシェアリング業界
について、政府の役割に言及し、「中国のハイヤー業界の発展の速さは中国政府の監督態度と
関連がある。世界中の様々な国や都市はウーバーのような新しい業種には保守的態度をとっ
ているが、中国政府はそれとは逆で、非常にオープンな態度でイノベーティブな企業に成長
の土壌を提供している」とする。同時に、談女史は「市場の競争環境も重要であり、市場に
多くの競争相手が存在することが、その市場の成長速度を引き上げていく。それが中国(の
ライドシェア)マーケットの特殊性でもある」とする。
長江商学院卒業生・易到ファウンダー兼 CEO 周航氏
ウーバー中国スタートアップメンバー、ストラテジックオペレーションチーフ
家で食べようアプリ ファウンダー兼 COO 談婧女史
中国のライドシェア業界についての討論にあたり、長江商学院次席学院長周立氏は
「長江卒業生が創立者、もしくは経営陣に就いている企業は、中国のライドシェア業界
の 90%以上を占めていることになる。これは長江がこれまで提唱してきた企業家は時代
を書き換えるようなイノベーションや社会をリードするイノベーションを起こしていけ
という価値観を身を以て示すものだ」と指摘する。
インダストリー4.0 環境下の製造業
広く AI を利用してマンパワーへの依頼から脱却し、大幅に生産効率を上げることは、世界
の高齢化対策の共通認識となっている。日産自動車副会長、経済同友会副代表幹事志賀俊之
氏は、基調演説の際、自動車製造業の直面するチャンスと課題に言及し、「今後は AI を中心
とした IT 企業が自動車産業の競争相手となるのではないか」とし、自動車製造が往々にして
熟練工がもつ「コツ」によって部品装着の力加減などを調節していたのは、以前の AI の機能
がそれを模倣できなかったことが原因だが、現在の AI はすでに更に細やかな認知能力を持
ち、これまで以上の範囲でマンパワーに取って代わることができるようになっており、AI が
車両の組み立てからオートパイロットに至るまで、これまで以上の役割を果たすことができ
るようになるだろうとした。
日産自動車株式会社取締役副会長・経済同友会副代表幹事志賀俊之氏
長江商学院卒業生、Sensecape ファウンダー兼 CEO 陸凡氏は、AI 製品と最新の研究成果を
参加者に紹介、その中でもマシンビジョンテクノロジーは自動車運転の安全性を飛躍的に向
上させるとし、
「ドライバーの顔色や脈拍変化から、過労運転を予防することができるよう
になる」と語った。AI 業界の将来についても、陸氏はその広い応用範囲と社会生活への影響
度から、
「次の 1000 億ドル業界」になるだろうとの認識を示した。
長江商学院 OB・触景無限科技有限公司ファウンダー兼 CEO 陸凡氏
オープンイノベーション、そしてグローバルでグローバルに対応するということ
「グローバルな視野は新時代のビジネスリーダーに欠かせぬ素養だ。長江商学院が提唱する
グローバルな視野とは、世界中に輸出すると かいうレベルではなく、グローバルなリソース
でグローバルな市場に対応するということであり、世界中のリソースを統合して企業の発展
に関する問題を解決するということだ」。長江商学院次席学院長周立氏は、長江商学院の開学
の思想について、こう紹介する。周氏はさらに続けて、「我々はますますこうした傾向を強め
ており、グローバルな協働はまさに良い例だ。協働とシェアがベースとなる技術開発環境は
産業の成長を更に進めるはずだ」とする。志賀俊之氏もまた「現代の企業は、引きこもって
なんでも自分で解決しようと考えることをやめなければならない。如何にして世界中の知恵
を集中し、オープンイノベーションを通じて技術を確立するかが非常に重要だ」と述べる。
発言する長江商学院次席学院長周立氏
ニューエコノミー時代の企業家スピリット
起業したければ、技術だけでなく、勤勉さも必要であり、勇気とブレイクスルーの精神も求
められる。本当の意味での起業家は、自分が正しいと思うことをつらぬくものだ。これは欠
かしてはならぬ信念だ」
。周航氏は、このようにアントレプレナーシップを説明する。ANA ホ
ールディングス会長の伊東信一郎氏は、この観点に大いに賛同を示し、
「企業の舵取りをする
者であれば、障害を払いのけなければならない。でなければ、激しく変化する世界の中では
淘汰されてしまうだろう」と述べ、今回座談会に参加した中国の若手の企業家らから、前へ
前へと突き進む精神が企業家にどれほど大切かということを深く感じたとした。ブイキュー
ブ社長の間下直晃氏は、自らの企業の生い立ちから勇気とチャレンジャー精神が企業の成
長、特にスタートアップ企業にどれほど重要かを述べ、「コンプライアンスはすでにイノベー
ションを妨げる障害になっているが、社会がブレイクスルーのあるイノベーションに寛容で
あることも確かだ」と述べる。
ANA ホールディングス株式会社取締役会長・経済同友会副代表幹事、中国委員会委員長伊東信一郎氏
日本側ゲスト(左から) トランスコスモス会長船津康次氏、ブイキューブ社長間下直晃氏、東京海上ホールディ
ングス常務執行役員松原正浩氏
経済同友会とは
経済同友会は 1946 年に設立された、日本の大企業の経営者を中心とする会員組織であり、現
在 1400 人前後の会員を有しており、会員企業はケミカル、自動車製造、航空、IT、EC、金
融、保険等、様々な業界を網羅している。現在の代表幹事は株式会社三菱ケミカルホールデ
ィングス取締役会長小林喜光氏。今回の訪中団メンバーには、ANA ホールディングス株式会
社取締役会長伊東信一郎氏、日産自動車株式会社取締役副会長志賀俊之氏、トランスコスモ
ス株式会社取締役会長兼 CEO 船津康次氏、楽天株式会社副社長執行役山田善久氏ら 20 名ほど
の有名企業の経営者が含まれている。
長江商学院(Cheung Kong Graduate School of Business、略称:CKGSB)とは
長江商学院は、2002 年 11 月、北京に創立された中国初の非営利独立教育機関であり、国内
で最も早く「教授によるマネジメント」体制を実現したビジネススクール。創立以来、世界
レベルの新世代企業家の育成に注力し、新しい時代のグローバルなビジネススクールを目指
し、断えず探求と改革を続けている。中国経済の著しい成長の中、李嘉誠財団より多大な支
援の下、設立後 10 年あまりで、40 名以上の世界でもトップレベルの教授陣を擁し、中国お
よび世界のマネジメントの実践に大きな影響を与える独自の思想を生み出すビジネススクー
ルに成長している。
また、長江商学院は中国で最も影響力のある卒業生組織を持っており、9,000 人を越える卒
業生のうち、半数以上が CEO あるいは総裁などの役職に就いている。中国で最もグローバル
化したビジネススクールとして、長江商学院はかねてからヨーロッパやアメリカなどでも事
業を展開し、東洋と西洋におけるマネジメントとビジネスの思想面に関するインタラクティ
ブな交流と学習の促進に力を注ぎ、東洋と西洋を融合させ、且つ世界の優れたマネジメント
教育のリソースを統合させた、ハイクオリティな学習プラットフォームを形成している。
長江商学院は国際マネジメント教育協議会(AACSB)と欧州経営開発協会(EFMD)メンバー
であると共に、EQUIS の認証を受けており、また同時に国務院学位委員より批准された “経
営学修士(EMBA と MBA を含む)”学位を授与することのできる教育機関である。長江商学院
は MBA(経営学修士)コースのほか、職業人向け金融 MBA(FMBA)コース、エグゼクティブ
MBA(EMBA)コース(スイスの IMD との共同開設によるダブルディグリーEMBA、韓国のエグゼ
クティブの為の KEMBA、エグゼクティブ金融 MBA(FEMBA)コース、クリエイティブ EMBA、ヘ
ルスケア EMBA 等を含む)、DBA(経営学博士)コース、およびエグゼクティブ向け短期研修
(EE)等のオリジナルコースを開設している。※詳細は http://www.ckgsb.edu.cn/
のこと。
を参照
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