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情報経済と文化 目次
16/01/22 情報経済と文化 第15回:文化経済学、文化政策 2016.1.20 立命館大学映像学部 宿南達志郎 前田耕作 目次 ① 文化経済学とは? ② 文化政策(文化庁) ③ 文化政策(経産省:クールジャ パン) 1 16/01/22 Part1:文化経済学とは? 1. 文化経済学の生成と発展 2. 文化経済学の拓く世界 (参考文献)池上・植木・福原編 『文化経済学』 有斐閣、1998年。序章および第2章 – 池上惇・・・マルクス経済学(財政学) – 福原義春・・・資生堂創業家 • 池上惇を中心に発展してきた日本の「文化経済学」におい ては、「複製芸術」を蔑視しているのか – (後藤和子他[2001]『文化政策学』有斐閣) – 文化市場を一次市場と二次市場に分類する。 • 一次市場 : 実演芸術や絵画などオリジナルな市場 • 二次市場 : 情報技術に媒介された複製芸術(コピー) – 二次市場の広がりによって一次市場の資金を賄う制度設計 – 複製芸術と言えども芸術に触れることで、本物の芸術に触 れたいという欲求を生成できる。 2 16/01/22 • テオドール・アドルノ『啓蒙の弁証法』(1947年) – 哲学者であり作曲家でもあるマルクス主義者のアドルノ は、ナチスの手を逃れて渡った米国においてジャズと映 画に遭遇 – 「文化産業 ―大衆欺瞞としての啓蒙」と題し、複製芸術 を蔑視する – 「文化産業の技術は、たんに平均化されて規格製品と大 量生産を生み出すに止まらない」ものであり、 – 映画は「観客たちが想像や思考を働かせる余地を奪う」も のであり、 – 否応なしに全文化産業が当てはめようとしてきた通りの 人間を再生産する。 • ヴァルター・ベンヤミン『複製技術時代の芸術』 (1935年) – ベンヤミンは、映画を「大衆運動のもっとも強力な担い手」 であるとして、その社会的重要性を見出す。 – そして映画は「文学が幾世紀をも要した数々の推移と変 化を、十年間で実現」するものであり、 – 「現代人がたえず直面している深刻な生命の危険にぴっ たり適合した芸術形式」であるがゆえに、 – 「映画をはじめとする複製芸術に支えられた芸術をプロレ タリアート(労働者)の側の武器」とするのであると論じて いる。 3 16/01/22 1.文化経済学の生成と発展 • 文化と経済は異質だが、相互依存関係もあ る。 • 異質性: – 「文化」は、創造性、美しさ、歴史など価格をつけ にくいものが多い – 「経済」は、量や機能など価格に基づく取引が前 提 • 相互依存性 – 経済が発展しないと文化も発展しない – 経済力のみでは生活や人生が魅力的にならない 文化経済学の先駆者たち • モリス(英) • ボウモル(米) • ピーコック(英) • ガルブレイス(米) 4 16/01/22 モリス(1834-‐1896) 装飾芸術論 • 詩人、デザイナー、マルクス主義者 • 芸術家による優れたデザインを、大産業 の中で、技術者や職人の力によってコ ピーされ、生活用品などに芸術性と機能 性を持ち込めれば、生活のあらゆる局面 で有効価値が浸透するはず。 – 生活の芸術化 • しかし現実は、大芸術家と職人との分離 – 大芸術家は大衆的な基盤を失い、金持ちの おもちゃに – 産業革命によって安物が量産され、職人は芸 術性やいきがいを剥奪される • そこで、職人が自ら経営者集団として機能す ることを期待。 – 事業者、芸術家、生産者、流通業者、消費者たち をコーディネート – ⇒アーツ・アンド・クラフツ運動から、アール・ヌー ボー運動として世界に広まる • 夏目漱石とモリス – ロンドン留学中に「生活の中の芸術」思想に共鳴。 – 東大での講義にも活用。 – 自著の公刊時に装丁に芸術性を持たせた 5 16/01/22 ピーコック(1922-‐) 創造活動論 • 実演芸術活動に着目。 – 雇用規模が農業・漁業に匹敵。 – 画期的な技術進歩・国際化 • コピー・再生技術の発展 • 放送や通信の進歩 – 実演活動の重層化 • 楽譜の印刷・販売 • 楽譜に基づく実演(創造の場) • 再生や放送による広範な伝達 • イギリスの作曲市場史から理論化 – 1次著作権:作曲家の創造した楽譜を印刷 • 人格権:作者の氏名を冠して敬意を表する • 財産権:著作権使用料を支払う – 2次著作権:演奏家が実演 • 単なるコピーではなく創造の基礎 – 3次著作権:演奏を録音・販売 – 著作隣接権:放送などを通じて広く提供 6 16/01/22 • 消費者に実演芸術を鑑賞する機会をバウ チャーなどの交付により保証する • その上で、芸術活動は不確実性が高い – 入場料だけでは賄えない – 公的な補助金 – 寄付金に対する減税 – 著作権の保護 – 著作権使用料の配分ルール • 著者、出版社、交響楽団、劇場など ボウモル(1922-‐) 実演芸術論 • Baumol and Brown 『舞台芸術ー 芸術と経済のジレンマ』 1966 – 交響楽団の事例により問題を解明 – 創造活動(人格性の強い問題)を産 出物の特徴や、生産過程における 技術と生産性の問題に読み替え 7 16/01/22 – 実演芸術サービスは観客以外の第三者 にも及ぶ(プラスの外部経済性) • 優れた実演サービスはその国の誇り、その 国のプレステージを高める • 録音したものを第三者が鑑賞できる • 実演芸術の感動をレストランで祝杯 – 自由市場では過小供給となる⇒公共政策が 必須(外部経済性の波及効果もあるから) • 補助金の支給あるいは免税つきの寄付金 Baumol’s Cost Disease 「ボウモル氏の発見によるコスト高騰病」 – 芸術サービス産業は労働生産性を上げる のが困難でコストが高騰し供給価格(チケッ ト価格)が上昇する。その結果、経営が危機 的状況になる。 – この種の産業は、芸術家の弱点である「芸 術のためなら犠牲も厭わぬ」という心理を利 用して、劣悪な待遇や赤字の経営体質を温 存する傾向あり。 8 16/01/22 公演経費の内訳 オーケストラは芸術家比率高い(64%) 芸術家 64% オーケストラ ホール 管理費 オペラ 巡業 41% 広告 制作 ブロードウェイ 30% 著作者 その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% ガルブレイス(1908-‐2006) • J.K. Galbraith • 『新しい産業国家』(1967) – 現代の経済と経営は「テクノストラクチャー」 (知的な頭脳集団や個人)によって支えられて いる。 • 科学技術や芸術文化に関する知的な能力 や財産権を生かさないとビジネスでの成功 はない。 – 企業は独自の創造的な文化を発展させ継承し ないと経済組織として成り立たなくなった。 9 16/01/22 • 『経済学と公共目的』(1975) – 「市場体制と芸術」を論じている。 • 消費生活の水準が上がるに連れて、芸術的 センスが重要となる。 – 家の建て方、室内装飾、家具や庭づくり、食事や 客のもてなしなど – センスを高める動機は、「自分自身の楽しみ」と 「世間から認められたい虚栄心」 • これから伸びる産業の一つは、 – 「製品の性能でなくデザインと結びついた芸術家 の腕に依存している」産業 • そのためには、次の事が必要。 – 「美」には目もくれない官僚層を説得し、芸術文化 と産業の進化の関係を認識させる。 – 芸術家自身が経済と芸術の関係を知り、「正当な 社会的待遇や公正な報酬」を求める。 10 16/01/22 クラマー &マックロスキ • “Economics in the Human ConversaLon” (1988) – 経済過程を対話の過程と把握しなお すことによって、通常の金銭的契約の 背景にある人類文化の継承の過程を 読み取ろうとした。 • 素晴らしいデザインの服の購入→背景に は美的な表現の蓄積 • 劇場や美術館でのチケット購入→過去の 知的な文化遺産との対話 2。文化経済学の拓く世界 • 芸術文化事業の私企業的性格と公共的性格の 両面を見つめるのが「文化経済学」 – 金銭的な利益の追求と人間的な価値や文化的な価 値の追求という2つの観点 • 家計も、消費の主体であると同時に、社会的な価値や文 化的な価値を確立する主体(ボランティアなど) – 両者の葛藤や矛盾や苦しみを正面から見つめる • 需要側にも供給側にも学習が重要 11 16/01/22 • 家計における文化ストックの蓄積と2つの文 化 – 大衆娯楽と本格的芸術という2つの文化 • 巨大なサービス市場(ディズニーなど) • 深く創造的なアート – 「サブ」や「ポピュラー」から「本格」へ視野を広げ る • ラスキン「輝きを絵画に加えることも大きな意義がある が、絵画が人生に輝きを加えることができれば、さらに 素晴らしい」 • 大衆芸術(娯楽)と本格的芸術の階層? • 「サブ」「ポピュラー」と「本格」の階層? • 複製芸術と実演芸術の階層? – 映画は「本格芸術」の複製か? – レコーディングを重視したカラヤンやG.グールド は複製芸術だから「本格ではない」? – ビートルズ「我々はベートーベンより偉大だ!」 12 16/01/22 コスト病に関する研究の発展 • 生産性の上昇は以下の場合などに起きる – 労働者ひとりあたりの資本 – 技術革新 – 労働者のスキルアップ – 経営管理のレベルアップ – 規模の経済 • 芸術のパフォーマンスは、生産性を上げることが 困難だ。 – ベートーベンが作曲した時も今も、弦楽四重奏曲を 演奏するには4人必要だ。 戦後の上演コストの増加率 1947年から1964年の17年間に、メトロポリタン・オペラと ブロードウェイは2.2倍、オーケストラは1.8倍に上昇 主要な交響楽団 メトロポリタン・オペラ シティ・オペラ シティ・バレー ブロードウェイ 地方の劇場 時期 上演費用 増加率/年 物価上昇 率/年 1947-‐64 1951-‐64 1958-‐63 1958-‐63 1950-‐61 1958-‐63 3.1% 4.4% 2.0% 2.3% 6.0% 11.2% 1.3% 0.3% 0% 0% 1.4% 0% Baumol and Bowen (1966 Table 8-‐3, p251) 13 16/01/22 ブロードウェイのコスト病対策 • 1公演あたりの配役数 を減らす(コスト削減= 質の低下)によって、経 営を維持している。 – Table Cast size of broadway plays – Source: Baumol and Baumol (1985), ‘The Future of the Theater and the Cost Disease of the Arts’, in Mary Ann Hendon, James F. Richardson and William S. Hendon (eds) ブロードウェイのCast人数 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 1946 1953 1957 1962 1967 1972 1977 Part2:文化政策 • 文化政策とは? – 芸術・文化を対象とする公共政策である。 – 狭義には芸術政策、 – 広義には文化人類学的意味での文化を対 象とした政策のことを指す。 • 言語政策・宗教政策も含まれることがある。 14 16/01/22 • 自治体の文化政策の課題 – (文化施設の政策評価) – 多目的ホールというハード導入が中心 • 使い勝手が良くない • ソフトが足りない – 指定管理者制度の文化施設への導入 – 文化施設・芸術団体への補助金削減・廃 止 十地 五方 年 間芸 術 三文 分化 経 一費 我が国の文化政策 平成24年度 P13(H25版も同じ図) 15 16/01/22 建 設 大 幅 支 出縮 小 続 経 費 我が国の文化政策 平成24年度 P13(H25版も同じ図) • 1990年代(H2〜H11)は途方もないハイペー スで全国各地に公立文化施設が整備された。 • • • • • ホールが10年間で1,122(1週間で2施設)建設 美術館が10年間で257(2週間で1施設)建設 合せて1790施設(1989年末)→3272施設(2004年末)へ倍増 以上の建設予算は3.8兆円 付随して増大した10年間の維持管理費は1.4兆円 – 10年間の地方自治体文化予算7.6兆円の70%が建設と維持管理 – 背景に1978年創設の「地域総合整備事業債」 • 元利償還金の一部が地方交付税で賄われた、 • バブル崩壊後の景気対策として競って文化施設建設に。 • 2001年に廃止される。 – 文化振興事業だったのか、公共事業(ダム、地方空 港・・・)だったのか。 16 16/01/22 • 文化政策に関する法的根拠なしの時代が長く続く – 文化庁のイニシアティブ – 文化庁に影響を与える政治家 – 文化庁に陳情・請願を行う文化団体 – など行政主導 – 全国に2000以上と言われる文化施設も法的根拠なし に自治体が整備。運営姿勢が不明確。 – 教育基本法の「伝統を継承し、新しい文化の創造を目 指す教育」「伝統と文化を・・尊重する態度を養う」だけ が根拠だった。 文化財保護法 • 昭和25年5月に成立し、同年8月に施行。 – 昭和24年1月の法隆寺金堂壁画の焼損が契機 • 文化財全般にわたって指定、管理、活用等の制 度を体系的に整備 – 戦前からの國寶保存法等の従来の法律を統一 • 文化財保護委員会(文化庁の前身)の設置 – 文化財保護行政の大幅な強化が図られた。 • 平成16年の改正 – 文化的景観や民俗技術の保護、登録制度の拡充が 行われた。 17 16/01/22 • (この法律の目的) • 第1条 この法律は、文化財を保存し、 且つ、その活用を図り、もつて国民の文 化的向上に資するとともに、世界文化の 進歩に貢献することを目的とする。 (文化財の定義) • 第2条 この法律で「文化財」とは、、、、 • 1.「有形文化財」 – 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書そ の他の有形の文化的所産 • 2.「無形文化財」 – 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所在 • 3.「民俗文化財」 – 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、 民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器 具、家屋その他の物件 18 16/01/22 • 4. 「記念物」 – 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡 で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高い もの、名勝地、動物、植物及び地質鉱物 • 5.「文化的景観」 – 地域における人々の生活又は生業及び当該地 域の風土により形成された景観地 • 6.「伝統的建造物群」 – 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成し ている伝統的な建造物群 文化芸術振興基本法 • 基本方針(第3次):2011年2月8日 – 【6つの重点戦略】 ① 文化芸術活動に対する効果的な支援 ② 文化芸術を創造し、支える人材の充実 ③ 子どもや若者を対象とした文化芸術振興策の充 実 ④ 文化芸術の次世代への確実な継承 ⑤ 文化芸術の地域振興、観光・産業振興等への 活用 ⑥ 文化発信・国際文化交流の充実 19 16/01/22 文化庁のH26年度予算 大項目 中項目 豊かな文化芸 術の創造と人 材育成 かけがえのな い文化財の保 存・活用 優れた文化の 国内外への発 信 予算額:億円 198 文化芸術創造活動への効果的支援 112 「想像量・創造力」豊かな子供の育成 63 444 文化財の保存修理・防災施設等の充実 124 文化財の整備・活用等の推進 320 367 文化芸術の発信と国際交流 28 文化発信を支える基盤整備 339 1036 合計 平成26年度予算 【芸術文化の振興は25%】 芸術文化の振興, 301, 25% 97 国立文化施設, 381, 31% 67 31 138 121 137 122 23 120 151 209 文化財保護の充 実, 503, 41% 20 16/01/22 H26予算(映画関連) • 文化芸術創造活動への効果的な支援(112億 円) – (4)日本映画の振興6.9億円(▼1.2億円) • 日本映画製作支援事業5.4億円( ▼0.9億円) • ロケーションDB、海外映画祭への出品、アジアでの日 本映画上映など • 芸術家等の人材育成(23.3億円) – (4)若手映画作家等の育成1.6億円( ▼0.1億円) • ①短編映画作品支援による若手映画作家の育成 • ②映画関係団体等の人材育成事業の支援 映画における文化庁と経済産業省の 振興政策 • 文化庁の振興政策 • 音楽・演劇など舞台芸術に対し映画(5.4億円)は少ない。 – 劇映画、記録映画、アニメーション映画に各年約50本に100万 円~2000万円助成。 • 他に映画振興政策としては – – – – – 日本映画情報システムの提供 全国ロケーションデータベースの提供 映画スタッフインターシップ制度 若手映画作家育成プロジェ 海外映画祭出品等支援 • メディア芸術振興政策として – メディア芸術祭 – メディア芸術コンソーシアム構築事業 – メディア芸術デジタルアーカイブ事業 21 16/01/22 • 経済産業省の振興政策 • 大量の調査報告書 • プロデューサー育成カリキュラム • コンテンツプロデューサー育成カリキュラムの策定 • MFAを取得可能な海外フィルムスクール への留学に一人3万ド ル支援(ユニジャパン)。 • 映像コンテンツの海外流通促進 – ローカライズ(字幕、吹き替え等)コストの補助 – プロモーション(PRイベントの開催、渡航費等)コストの補助 • 株式会社 All Nippon Entertainment Works • 日本の魅力あるストーリー/コンテンツを素材としながら、ハリウッ ドスタジオや 世界的な映画会社と協力して、 グローバル市場を ターゲットとしたエンタテインメン ト作品を企画開発する、世界的 なエンタテインメント企業を目指す。 • 産業革新機構が60億円を出資。 • 経済産業省の振興政策 • Japacon(コンテンツポータルサイト) – 映画、ドラマ、アニメを中心とした日本の最新コンテンツ情報や ニュースを発信する ポータルサイト • 地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海 外展開支援事業(J-‐LOP+) • クールジャパン政策 – 2010年、経産省に「クール・ジャパン室」開設 – 2012年「クールジャパン戦略担当」大臣設置 – 2013年クールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構) 22 16/01/22 H26予算(アニメ関連) • メディア芸術の人材育成(2.3億円) – アニメーション映画製作支援(1.2億円) – 若手アニメーター等人材育成 劇場法 • 「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」 (H24.6.27) • ≪現 状≫ – 劇場、音楽堂等の施設の多くは、多目的利用の文化 施 設である。 – また、貸館中心の文化芸術活動に留まっている。 • ≪主な課題≫ – 文化施設の劇場、音楽堂等としての機能が十分に発 揮されていない。 – 実演芸術団体の活動拠点が大都市圏に集中してお り、相対的に地方では多彩な実演芸術に触れる機会 が少ない。 23 16/01/22 (概要) • ① 劇場、音楽堂等を設置・運営する者、実演芸 術団体等、国、地方公共団体の役割 を明確にす るとともに、これらの関係者等が相互に連携協力 することを明確にする。 (第2条ー第8条) • ② 国及び地方公共団体が取り組むべき事項を 明確にし、劇場、音楽堂等を取り巻 く環境の整 備等を進める。(第9条ー第15条) • ③ 劇場、音楽堂等の事業の活性化に必要な事 項に関する指針を国が作成する。 (第16条) 日本の文化政策の課題 24 16/01/22 予算額も寄付額も少ない (米国の寄付は20兆円超だが、芸術文化以外も含む) 百 億 円 百 億 円 文化予算 寄付 50 2500 40 2000 30 1500 20 1000 10 500 0 0 日本 米国フラン イギリ ドイツ韓国 ス ス 日本米国 フラ イギ ドイツ韓国 ンス リス 金額で、フランスの1/4以下、韓国の3/4 文化庁「文化芸術関連データ集(平成25年版)」 予算、寄付の対GDP比も小さい 米:1.7%、仏:0.95%、英:0.97%、日:0.25% 予算対GDP 1.80% 1.60% 1.40% 1.20% 1.00% 0.80% 0.60% 0.40% 0.20% 0.00% 1.67% 寄付対GDP 0.14% 0.73% 0.81% 0.13% 0.12% 日本 0.03% 米国 0.24% フランス イギリス 0.22% 0.39% ドイツ 0.73% 韓国 文化庁「文化芸術関連データ集(平成25年版)」 25 16/01/22 国に力を入れて欲しい文化芸術振興策 • • • • • • 子どもたちの文化芸術体験の充実(49%) 文化芸術を支える人材の育成(44%) 文化財の維持管理に関する支援(42%) 舞台芸術・伝統芸能等への支援(30%) 文化施設の整備・充実(26%) 文化的行事(映画祭、音楽祭など)(25%) Part3:文化政策(経産省) ~クールジャパン戦略~ 26 16/01/22 Cool Japan • 1990年代に、イギリスのトニー・ブレア政権が推し進め たクール・ブリタニアを名称ごと模倣 • 当初は、コンテンツを中心にしていたが、食やファッ ションや日本製品を全てカバーするようになった。 – 海外では誰も使わない「内向きの」キャッチコピー • 「クールジャパン戦略担当」大臣(複数の担当と兼任) – 経済産業省製造産業局に「クール・ジャパン室」 – 商務情報政策局クリエイティブ産業課が「クール・ジャパ ン/クリエイティブ産業政策」を担当 • 「クールジャパン推進会議」 – 議長:クールジャパン戦略担当大臣 – 委員:プロデューサー秋元康など 「衣」「食」「住」やコンテンツをはじめ、日本の文化 やライフスタイルの魅力を付加価値に変える 27 16/01/22 日本ブーム創り CoFesta • コンテンツ産業(ゲーム、アニメ、マンガ、キャ ラクター、放送、音楽、映画など)およびファッ ション、デザイン等の産業に関わる各種イベ ントが連携する世界最大規模の統合的コンテ ンツフェスティバル。 • 【成果】 – 2007:動員80万人、成約15百万ドル – 2013:動員200万人(2.5倍)、成約65百万ドル(4.3 倍) 28 16/01/22 JAPANブランドプロデュース支援事業 「ARITA PORCELAIN LAB」を 世界的な ラグジュアリー ブランドに!(佐賀県) “Kawaii”をテーマとした服 飾・雑貨を世界に広げるプ ロジェクト!(東京都) 播州刃物を世界中の使い 手へ!(兵庫県) 国産最新バーツール 「BIRDY.」をカクテルの本 場ヨーロッパへ!(愛知 県) 29 16/01/22 (メディア・コンテンツ分野) • 【ジャパンチャンネル】 – 東南アジアにおけるメディア事業等展開の検討に関 する基本合意 • スカパーJSAT株式会社と共同で、東南アジア を中心とした地域におけるメディア事業及び付随 する各種周辺事業の具体化について、共同で検 討を開始する。 – ※スカパーJSATが展開する、日本のコンテンツを現 地語で24時間365日放送するチャンネル「WAKU WAKU JAPAN」を活用。 予算 • クールジャパン推進機構 – 社長:太田伸之氏(元松屋常務執行役員) – H25:500億円 – H26:300億円 – 民間企業15社から合計で75億円の出資 • 電通やANAホールディングス、LIXILなど – 年度内にも最初の出資案件を決める予定 30 16/01/22 機構の狙い • 機構は、民間部門では成し得なかった、海外 需要獲得の基盤となる「プラットフォーム」 (拠 点)や「サプライチェーン」(流通網)の整備な どを率先して展開する。 • 魅力ある財・サービスの海外展開の出口を拡 充し、企業のみならず、創造的なクリエイター、 デザイナー等が付加価値に見合うビジネスを 展開できる地盤を整える。 機構のユニーク性 31 16/01/22 • 【課題】 縦割りのままで推進されている。 – 総務省は放送関連、 – 経産省はプロデューサー関連、 – 文化庁はクリエーター関連、 – 外務省は海外PRなど、 参考文献 • 池上・植木・福原 『文化経済学』 有斐閣、 1998年.(第3章) • 「我が国の文化政策 平成25年度」平成25年 9月 – hjp://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/pdf/ bunkacho2013.pdf • 小林真理 『文化権の確立に向けて』 勁草 書房、2004年.(第1章~第4章) 32 16/01/22 今週のミニレポートテーマ • 文化経済学、文化政策について、以 下の論点から選択して下さい。 ① 文化経済学の重要性 ② 日本の文化政策(文化庁) ③ 日本の文化政策(経産省:クール ジャパン) 33