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Title 子宮体癌の糖鎖発現異常におけるフコース転移酵素の関与とその

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Title 子宮体癌の糖鎖発現異常におけるフコース転移酵素の関与とその
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子宮体癌の糖鎖発現異常におけるフコース転移酵素の関与とその転移能への影響
佐久間, 雄一
慶應医学会
慶應医学 (Journal of the Keio Medical Society). Vol.82, No.3 (2005. 9) ,p.14Journal Article
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN00069296-20050902
-0014
子 宮 体 癌 の糖 鎖発 現 異 常 にお け る フ コー ス 転移 酵 素 の 関与 と
その転移能への影響
佐 久 間
雄 一
内容の要 旨
諭 文審査の要 旨
近 年 、癌 化 に伴 う細 胞 膜 上の 血 液 型 関 遮 塘 鎖 の 発 現 異 常 と、患 者 の
癌 細 胞暎 上 の 糖 鎖発 現 異 常 が 、患 者 の 予 後 と関 連 す る事 が 綴 告 され
て い る。 当研 究 室 で は 抗 子 宮 体 癌 モ ノク ロー ナ ル 抗 体MSN-1を 作 成
予 後 との 関 連 が 轍 告 され て い る 。当研 究 室 で は す で に 、フ コ シル 化糖
鎖 で あ るMSN・1(主
と してkwisb型 糖 鎖)が 子 宮 体 癌 に特 異的 に 発現
し、臨床 統 計 上患 者の 予 後 と関 遮 ず る事 を明 ら かに してい る。 そ こで
本 研 究 で は 、まず 体 疵 にお け る フ コ シル 化 糖鎖 の発 現 異 奮の 機 序 を明
し、 そ の認 餓 抗 原(主
と してLc眺 り
型 糖 鎖)を 発 現 しな い 症 例 の 予 後
が 有 意 に不 良 で あ る事 を 明 らか に して い る。本 研 究 は この 様 な フ コ シ
ル 化 暗 鎖 の 発 現 機 序 と生 物 機 能 を解 明 す る事 を 目的 と した 。まず 子 宮
体 癌 由 来培 養 細 胞 株SNG・ ∬をMSN-1認
識 抗 原 強 発 現 擁(SNG・S}と
ら か に す る 目的 で 、 そ の 合 成 に 関 与 す る と 考 え ら れ るFucosyl
発 現 株{SNG-W)と
uansferase似
連 糖 韻 の発 裂 を 検 討す る と と もに フ コー ス転 移 酵 粟(町)活
下Frと 略 す)の 活 性 を測 定 す る と と も に、体 疫 由 来培 養
細 胞 株SNG。 皿をMSN・1認
臓 抗原 強 発現 株(SNG・S)と
弱 発 現棟(SNG
・W)と に 分 別 し、各 々 にお け るフ コ シル 化 糖 鎖 の発 現 とそ の細 胞 生物
学 的 特 性 へ の 関与 を 、特 に血 行 性 転 移能 を 中 心 に検atし 以 下 の 知 見 を
得 た。1,体
癌組 織 で は 正常 内膜 に比 ぺαト2,α1・3,al-tFー の す べ て
の活 性 が充 逃 して い た。 まr,体
癌 に 特 異的 に 発 現す るL¢wi5型 糖 鎖
の 免疫 組 織 化f的 反 応 性 とα1・z,1・4Ff7$性 に は 正 の 相 関 関係 を 認 め
た。つ い で、マ イ ク ロセ レク ター を 用 い て 分別 したSNG。SとSNG・Wの
α・
「r活性 を 測 定 した 結 果 、SNGS'で
はSNG・Wに
は1鴻wi58型Lewisー型 糖 鎖 の 強 い 発 現 が 見 られ た
の に対 しSNG-Wで
は 、【
編sb型 糖 鎖 の 前駆 糖鎖 で あ るH]型 糖 鎖 の強
い 発 現 が 見 られ た 。この 億 鎖 の 発 現 の差 は 、α1・4F「
居性 の 差 に よ り生
じ てい る と考 え られ た。以 上 よn.体
癌 に お け る血 液型 関連 糖 鎖 の発
現 異 常 の 槻 序 と して.01-2阿 、以1-4fif$性 が 強 く関 与 す る 事 が判 明 し
た。
2.SNG・SとSNG・Wの
性 を測 定
した 。そ の 結 果.SNG。Sで1#al-OFI活
性 が 著 明 に 高 い の に 対 し、
SNG
-wで は そ の 活 性 低 下 に よhLewisー型 糖 鎖 の前 駆 糖鎖 で あ るH・1型糖鎖
が 強 く発 境 して い る事 が 判 明 した。 次 い で 両 者 のIIIVIYOにお け る遠 隔
転 移 能 を ヌ ー ドvウ ス 肺 転 移 モ デ ル で 検 討 した と こ ろ 、SNG・Wは
SNG-Sに
比 べ 有 意 に 高 い 転 移 能 を有 して い た。 ま たin viwに お い て
も、SNG-Wは
血 管 内皮 細 胞 に対 し有 意 に高 い接 着能 を 認 め 、抗 働 韻抗
体 を用 い た接 蒋 阻 害 試 験 や 嘩 一 糖 鎖 付 着 ビー ズ を 用 い た フ ロー サ イ
トメ トリー に よ る検 討 の 結 果 、H・1型糖 顛が 接 着 因 子 と して 機 能 して
比 ぺa1一/F『活 性 が 箸
明 に冗 進 して いた 。ま た 、両 者 に お け る 血 液 型 関連 糖鎖 の発 現 の 蓮 を
検utし た所SNG-Sで
弱
に マ イ ク ロセ レク ター を 用 い て 分 別 し、血 液 型 関
い る事 が 明 らか とな った。以 上 よ り子 宮 体 癌細 胞 の 血 行性 転 移 に 、α巳
一4Fr活性 の 低 下 に よ るH・1型 講 鎖 の 発 現 が 強 く関 与 す る 事 が 判 明 し
た。
審 査 で は 、Lewげ 型 やH・i型 糖 鎖 の 発現 畏 常 と接 君 因 子 と して の機
能 が 体 癌 に特 異 的 で あ る か 否 か に つ い て質 問 が あ り、臆鎖 発 現 に は臓
器 特 異 性 が あ る 事 、複 数 の 撞 君 因 子 を 発 現 す る癌 細胞 で は 必 ず し もH
-1型 塘鎖 が 優 位 に機 能 す る とは限 らず 、体癌 に 特 異 的 な 現 象 で あ る 可
能 性 が 高 い と回 答 され た。ま た 接 着 阻 害 試験 に 用 い た 抗 体 の ブ ロ ッキ
ン グ抗 体 と して の 適 否 に つ い て 質問 が あn、 これ ま で援 着 因 子 と して
の 報 告 の な い 塘 鎖 に っ い て の 検 討 の た め ポ ジテ ィ ブ コ ン トロー ル を
細 胞 生 物 学 的 特 性 の差 を検 討 した 所 、
DNA
plaidyや増 殖 能 に は 差 が 見 られ な か っ たが 、 ヌー ドマ ウス肺 転 移 モ デ
ル を 用 い たIII VIVOで の 検 討 で は 、SNG・Wが 有 意 に 高 い 血行 性 転 移 能 を
と る事 は 困難 で あ り、複 数 の 抗 体 で の 検asを 行 う事 で 確 認 した と回 答
され た。つ い でH・1型 撞鎖 の リガ ン ドに つ いて の 質 問が あn,サ
イ トカ
イ ン で 血管 内 皮 上 に発 環 が 増強 す る物 質で あ る 事 は判 明 して い るが 、
有 して い た 。 また 、111VlhOにお け る 血管 内皮 細 胞 と の接 着 性 を検 討 し
特 定 に は至 っ て お らず 検 討 中 で あ る と回 答 され た。H・且型 糖鎖 を臨 床
た 所 、SNG・WはSNG・Sに
比 べ 有 意 に 高 い 血 管 内 皮 細 胞 へ の接 着 能 を
応 用 で き る か との 質問 に 対 して は 、予 後 判定 マ ー カ ーや 抗 イ デ ィオ タ
認 め た。 さ らに 、各 種 血 液 型 閲 連 糖鎖 に 対す る モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体 を
イ ブ モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体 に よ る 転 移 抑 制 な どの 可能 性 が あ る と回 答
用 い た 接 着 阻 害 試験 や 、ra一 付着 蛍 光 ビー ズ を用 い た フ ロー サ イ
トメ トリー に よ る 検 討 の 結 果 、SNG-Wの
血 管 内皮 細胞 に 対 す る高 い
接 着能 に は 、H1型 糖鎖 が 強 く関 与 す る 事 が 判 明 した。以 上 よ り、癌 細
され た。最 後 にH-1型 糖 鎖 が 接 着 だ け で な く、マ ク ロフ ァー ジな どの 免
疫 応 答 か らの 忌 避 に 関 与 して い る 可 能 性 の 検 討 も して み た ら ど うか
との 助aが な され た。
胞 膜 上 のHI型 糖 鎖 が 、 血 管 内皮 細 胞 に 対 す る接 着 因 子 の ひ とつ と し
以 上 の よ うに 、本 研 究 は 今 後 検 討 す べ き点 を残 して い る もの の 、H
・1型笛鎖 の 血 管 内 皮 細 胞 に 対 す る接 着 因 子 と して の 機 能 を初 め て明
て機 能 して い る事 が 明 らか とな っ た。そ してMSN-1認
議 抗原 を発 現
らか にす る と と もに 、そ の 発 現機 序 がal-OFC活 性 の 低 下 で あ る 耶 を示
しな い 体 癌 症 例 の 予 後 不 良 の 一 因 と して,at-4FT$性
の低下等に よる
し、子 實 体 癌細 胞 の 高転 移 能 獲 得の 一 因 を解 明 した 点 で 価 値 あ る研 究
HI型 塘 鎖 の 蓄 積 と。 そ れ に と もな う血 行 性 転 移 能 の充 進 が 示 唆 され
と評 価 され た。
艶 文審 査 担 当 者 主査 産婦 人 科 学 a# た。
泰典
病 理 学 坂 元 亨宇 医 化 学 末 松 識
先 端 医 科 学 河 上 俗
学 力確 認 担 当 者1北 島 政 樹 、 坂 元 亨 宇
審 査 委 員 艮:坂 元 亨宇
研 究 指 導者:野 澤 志 朗(産 婦 人 科 学)
試 問 日=平 成n年SR 一14一
24日
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