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平成19年度 「経済成長戦略推進要望」 補足説明資料

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平成19年度 「経済成長戦略推進要望」 補足説明資料
平成19年度
「経済成長戦略推進要望」
補足説明資料
平成18年12月
経済産業省
Copyright(c) 2006 Ministry of Economy, Trade and Industry All Right Reserved
1
目
次
Ⅰ.新たな市場を開拓するイノベーションの創出
1. 次世代ロボット知能化技術
2. がん対策等先進医療技術
3. 次世代航空機
4. 異分野異業種融合ナノテクチャレンジ
5. 循環社会構築型光触媒産業創成プロジェクト
6. 希少金属代替材料開発プロジェクト
7. 情報大航海プロジェクト
19億円(新 規)
28億円(新 規)
13億円(5億円)
18億円(新 規)
11億円(新 規)
11億円(新 規)
46億円(新 規)
Ⅱ.コンテンツ産業の国際展開とアジア等との連携強化
1. 国際コンテンツカーニバル(仮称)
2. 「アジア人財資金」構想
3. 東アジア版OECD構想
4. 国際版一村一品の推進
17億円(新 規)
31億円(新 規)
10億円(新 規)
2億円(他の関連予算あり)
Ⅲ.地域・中小企業の活性化と人材育成の強化
1. 中小企業地域資源活用プログラムの創設
101億円(新 規)
2. 企業立地促進等を通じた地域産業活性化への支援
44億円(新 規)
3. 産学連携による人材育成の強化
12億円(4億円)
合計
2
361億円
Ⅰ.新たな市場を開拓する
イノベーションの創出
3
1. 次世代ロボット知能化技術
19億円 (新規)
(1)
事業概要
現在のロボット技術は、二足歩行を行う、柔らかくモノを握り人に手渡すなど、高度
な動作を実現しつつある。しかし、動作指示自体は、今でも、人があらかじめプログラ
ミングしておく必要がある。今後、人間の作業員に指示するものと同程度の内容でロ
ボットが自律的に行動できるようになれば、ロボットの応用範囲も広がり、サービスの
生産性も向上することが期待できる。例えば、清掃ロボットが、清掃コースを識別する
ガイドレール設置や清掃内容のプログラミング無しでも、建物内部の大まかな見取り
図を与えるだけで、自分ら汚れのひどさを判断し最適なルートで清掃を行えるように
なれば、清掃ロボットの生産性も向上するし、清掃サービスにも新たなビジネスモデ
ルがもたらされるであろう。
本プロジェクトでは、5年間をかけて、ロボットの知能化に必要な要素技術とその統
合技術を開発し、その用途の飛躍的拡大を目指す。
(2)
スキーム
知能化に必要な要素技術について、テーマ毎に公募を行い、採択された民間企業
等のプロジェクトチームに対して開発委託を行う。例えば、①データへの意味づけ技
術、②ハンド制御技術、③人とロボットとの効率的なコミュニケーション技術、④これら
を統合的に組み込み知的機能を発揮させる技術など。
5年間プロジェクトで、初年度予算は合計で19億円。
(3)
目 標
ロボットの知能化により、その用途と生産性を飛躍的に高め、2025年に、ロボット
市場が約6.2兆円へと拡大させることを目標とする。
【参考:ロボット知能化のイメージ】
「ロボットの知能化」の概念図
高機能なロボットシステム
(知能ロボット)
用途に合った知能化技術を実装
限定的な環境にのみ
対応できるロボトシステム
画像認識
多指ハンド
作業教示
動作計画
生成
・・・
ロボットの制御システム
「ロボットの知能化」の効果
ビル内清掃ロボット
【オフィス清掃ロボットへの適用】
・大まかな指示を入力するだけで、最適な清
掃ルートを自動で計画。
・清掃作業現場の状況(床面状態、汚れの
ひどさ等に)応じた清掃を自律的に実行。
産業用ロボット
【組立セル・ロボットへの適用】
・それぞれの組立部品の形状をビジョンセ
ンサーにより認識し、適切に保持。
・最適な組立動作を選択し、組立作業を
実行。
4
2. がん対策等先進医療技術
26億円 (新規)
(1) 事業概要
i) 基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発
我が国のがん対策研究を含めた生命科学研究は、基礎科学の分野で論文数が
世界第4位と高い地位を占めながら、臨床研究では同14位と低迷している。また、
最近では、医薬品の開発には、平均で10∼15年、総額で約500億円の費用が必
要と言われている。今後は、質の面からも、コストの面からも、基礎と臨床の現場が
一体となって、効率的かつ集中的に創薬研究や診断ツール開発などがん対策研究
を進めなければならない。
このため、文部科学省、厚生労働省と連携しつつ、ベンチャー企業はじめ様々な
企業が持つバイオ技術シーズを臨床研究へと一挙に橋渡しをしていくよう、有望な
技術シーズと臨床現場が一体となって取り組む研究を支援するスキームを整備す
る。同時に、新薬の承認審査体制の強化等治験プロセスの改善や研究拠点の整備
に取り組む。
ii) インテリジェント手術機器研究開発
我が国が有する高度なものづくり技術や情報処理技術は、病巣部のみを精度高
く摘出し、患者負荷の非常に少ない手術を可能とする診断・治療一体型のがん手術
機器の開発など、機器の面からがん対策の促進に大きな可能性を持つ。また、高
度な手術機器開発が進めば、長時間の微細な作業を求められる執刀医等医療従
事者の負担の軽減や、医師不足・技量不足などによる治療レベルの地域間格差の
軽減にも繋がる。
このため、光ファイバーを利用した力触覚センサー、腫瘍を標識化する生体マー
カー、術前・術中生体情報重畳解析、力触覚フィードバック型マニピュレーターなど、
先端がん治療機器に必要な要素技術の開発と、これらを統合した先端医療機器の
開発を進める。
【参考:インテリジェント手術機器開発のイメージ】
★がん細胞の位置把握(光学的計測等)
★光ファイバー等を利用した力触覚センサー
〔情報処理系〕
〔精密駆動系〕
★術前・術中生体情報重畳解析
★3次元立体表示
★大容量データの遠隔送受信
5
★同期による体動キャンセレ−ション
★力触覚フィードバック
★小型細径化多自由度鉗子
(2) スキーム
ii) 基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発
大学等研究機関、民間企業、医療現場が一体となった創薬研究、診断ツール開
発、医療機器開発などのプロジェクトを厚生労働省、文部科学省と一体となって支
援する。具体的には、対象プロジェクトを、公募の上、3省庁協力の下、審査し、文
部科学省が大学病院等による研究拠点の整備を、厚生労働省が国立病院等の臨
床研究基盤を強化。当省が民間企業と臨床研究機関の一体的研究開発により技
術シーズを臨床研究に引き上げる開発段階の支援を行う。当省プロジェクト部分
については、NEDO からの委託事業とする。5年間プロジェクトで、初年度の予算は、
合計19億円。
iii) インテリジェント手術機器研究開発
主要テーマ毎に、民間企業等から公募を行い、採択プロジェクトについて NEDO か
ら委託を行う。5年間プロジェクトで、初年度の予算は、7億円。
(3) 目 標
画期的な創薬解析ツール、診断技術、医療機器等の開発を通じてがん患者の5年
生存率を20%向上させることにより、健康で長生き可能な社会を実現する。また、が
ん対策に関する地域間格差の是正を実現する。
【参考:橋渡し促進技術開発の実施スキーム】
−基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発−
関係省一体となって、臨床研究・臨床への橋渡し研究(TR)の強化・環境整備を実施
環 境 整 備 への取 組み
総合科学技術会議
・関係省庁の総合調整
経済産業省
文部科学省
・企業参加によるTR拠点化の
加速化
・多様な先端技術の融合促進に
よる先進医療技術の創出
・医療現場におけるニーズの具現
化及び普及
臨 床研 究 ・臨 床への橋 渡 し研 究 の強 化
・臨床への橋渡し研究支援拠点
の整備(生物統計家等支援
人材確保・育成等)
・同拠点での効率的な開発戦略
策定によりシーズ開発が加速
・試験物製造等に必要な研究費
の確保
・臨床研究基盤 (院内人材
育成・確保、データ管理
体制等)の整備
・臨床研究への研究費の重点化
関係省連携で推進
国立病院等
臨床研究・治験実施機関
大学病院等
橋渡し研究・支援機関
基礎・基盤研究
成果
厚生労働省
民間企業等
医療技術の高度化の実現
・抗体薬、分子標的薬等先進医薬品の開発
・革新的医療機器の開発
・個別化医療に向けた診断技術開発
・革新的DDS(ドラッグデリバリーシステム)の開発
・再生医療等先進医療技術の開発
・先進的治験を可能とする薬効等評価技術の開発
基礎・基盤研究へのフィードバック
6
臨床研究
治験
3. 次世代航空機
13億円(5億円)
(1)
事業概要
航空機分野は、ものづくり技術に長けた我が国において、完成品の国際競争力を
持たない数少ない分野であるが、他産業への波及効果などから我が国の経済成長
に欠かせない分野。我が国企業は、これまでの国際共同開発等を通じて、複合材成
形技術を始め、既に国際的にも高い水準の要素技術を蓄積している。また、今後、世
界的に小型ジェット旅客機の需要拡大が見込まれている。このため、我が国におい
て新たに完成機ビジネスを立ち上げるためには、絶好の機会。カナダやブラジルに
加えて、ロシア、中国が小型ジェット旅客機の開発を進める中、この機会は、我が国
にとって最後のチャンスとなる可能性が極めて大きい。
このため、この機会を活かし、我が国がこれまで培ってきた複合材成形技術などを
フル活用し、20%の燃費向上により環境負荷や運行コストの低減を可能とする国産
ジェット旅客機(70∼90席クラス)を開発し、我が国航空機産業の一層の発展を図
る。
(2)
スキーム
三菱重工業を中心とする民間事業者が、平成20年春頃の事業化決定、平成24
年度の市場投入を目指し、要素技術開発、需要確保、資金リスク低減等の各種課題
に取り組んでいる。平成20年の事業化決定後は、これらに加えて、設計、試作機製
作、地上試験、飛行試験に取り組むこととなる。
要素技術開発を支援するための19年度予算は13億円。また、本事業の円滑な
実施を目的として、経済産業省、防衛庁、文部科学省、国土交通省による関係省庁
協議会を設置、全体の進め方を討議する。
(3)
目 標
平成20年春頃の事業化決定、平成24年度の市場投入を目指す。
【参考:完成機のイメージ】
7
4. 異分野異業種融合ナノテクチャレンジ
18億円 (新規)
(1) 概 要
我が国の大学の研究所等では、ナノファイバー技術、ナノインプリント技術、薄膜
成長技術、精密ビーム加工技術など、革新的ナノ材料技術の集積が進みつつあるが、
これらと、産業界における、燃料電池、ロボット、情報家電、医療福祉機器、環境エネ
ルギー機器などキーデバイス技術の開発との融合が、なかなか進んでいない。
このため、川上・川下の垂直連携に加え異分野異業種の連携による先端的部材開
発への支援を第一段階の支援として行い融合研究の形成を促進する。さらにその中
でも3∼5年後の調達・実用化が見込まれる優れた革新的研究をステージゲート方
式により絞って第二段階の支援を行い、その実用化を加速化させる。
(2) スキーム
提案公募方式により採択された高度部材の先導的研究開発プロジェクトに対して、
ステージⅠの支援として一件当たり最大7000万円/年の委託開発をNEDOから行
う。また、その中でも特に革新的な内容を持ち、3∼5年後に実用化が見込まれる開
発課題には、ステージⅡの支援として、上限2億円、補助率2/3の条件で、その応
用・実用化に向けた支援をNEDOから行う。
(3) 目 標
異分野・異業種連携、川上・川下連携による研究開発を加速、かつ効果的に推進
することにより、我が国の優れたナノテクを活用した製品市場の拡大を図る。
【参考:異分野・異業種連携のイメージ】
異業種垂直連携 / 異分野融合ナノチャレ
従来のナノチャレ
世界最先端
治療薬
低消費電力型
情報家電
安全性の高い
燃料電池
DDS
放射線照射
応用
電子デバイス
(FED)
デバイス
電子放射源・
製造技術
材料
カーボンナノチューブ
フラーレン
電気電子
物理
燃料電池
システム化
薬効物質内包化
高分散化
薬効物質
金属ナノ粒子
有機化学
医療
物理
導電性高分子
電気化学
【参考:ステージゲート方式のイメージ】
ステージⅠ
ステージⅡ
革新的ナノ材
革新的ナノ材
料の先導研究
料の先導研究
実用化研究開発
実用化研究開発
ステージゲート方式による評価・絞り込み
8
有機化学
5. 循環社会構築型光触媒産業創成プロジェクト
11億円 (新規)
(1) 概 要
酸化チタン光触媒技術は、1972 年に本多・藤嶋効果の発見以来、我が国発の技
術として世界的に注目を浴びてきたが、さらに、2001 年には、従来の紫外光に対応し
た技術から、可視光でも反応する新たな光触媒技術が創出され、新たなビジネスチ
ャンスを作りつつある。本技術を使えば、室内光でも抗菌・浄化反応する壁紙・天井
のコーティング材や、光触媒シートによる土壌処理、紫外線不用の防曇ガラスや病院
内部の抗ウイルス効果のある床タイルなど、様々な、自然エネルギーを利用した安
心・安全技術への用途が考えられる。
他方、その実用化に向けては、材料加工等の共通基盤技術の開発、生産技術の
確立、用途に合わせた応用や安全・安心用途に応えるだけの触媒性能の向上が不
可欠である。
このため、光触媒の共通基盤技術やそれぞれの用途に向けた性能向上等の技術
開発を、産官学協同プロジェクトにより推進する。
(2) スキーム
広く関連民間企業等からの参加も募りつつ、東大先端研を中心とした産官学協同
プロジェクトにより、NEDOからの委託・助成事業として、関連技術開発を一体的に
推進する。5年間プロジェクトで、初年度の予算は11億円。
(3) 目 標
平成23年度までに、光触媒共通基盤技術を確立するとともに、UV照射条件で2
倍の性能向上、可視光条件で10倍の性能向上を実現する。これにより、2兆8千億
円とも言われる光触媒関連産業市場の確立を目指す。
【参考:光触媒関連市場の現状と今後の見通し】
光触媒関連市場の現状と将来見通し
わが国発祥の光触媒技術
光触媒基礎研究の歴史
1972年
1980年
1990年
1994年
1996年
本多・藤嶋効果Nature誌に発表
有機物分解と水分解(坂田、川合)
防汚抗菌(橋本、藤嶋)
抗菌タイル実用化(TOTO)
超親水性(橋本、藤嶋、TOTO)
市場規模(億円)
800
600
400
米国
EU
国内
市場急成長を開始
1000
国の主導で
発展の流れを
引き続き加速
する必要がある
2001年
可視光応答光触媒
の発見
200
出典:
光触媒製品フォーラム
資料(2004年実績)
0
'95 '96 '97 '98 '99 '00 '01 '02 '03 '04
(年度)
9
市場規模を
約3兆円に
拡大へ!
(経済的インパクト)
サイエンスと市場
の協同で新市場
の開拓・獲得
海外市場は
急拡大
(成長力は高い)
技術は着実に進歩し、
市場も拡大してきた。
しかしこのままでは
国内は1000億円。
もっと伸ばせるはず!
6. 希少金属代替材料開発
11億円 (新規)
(1) 概 要
薄型テレビに使う透明電極に不可欠なインジウム、世界随一の加工技術を支える
切削工具等超硬工具に不可欠なタングステンなど、我が国が得意とする多くの分野
で、希少金属への依存が進んでいる。しかも、約9割の生産・供給を中国に依存する
タングステンをはじめ、これらの多くは海外の特定国に供給を依存しており、価格も
近年激しく高騰しているため、今後、我が国産業のアキレス腱ともなりかねない。
このため、本プロジェクトでは、コンピュータによる最適制御設計による候補元素系
の探索、結晶粒界や界面の制御等マイクロ構造の制御技術などを活用し、希少金属
の新たな代替材料の開発、若しくは、使用量低減技術を開発する。
(2) スキーム
文部科学省と協同で、「元素戦略プロジェクト/希少金属代替材料開発プロジェク
ト合同戦略会議」を組織し、取り組むべき戦略研究領域や対策アプローチを示した代
替技術開発ロードマップを共有する。その上で、プロジェクト選定委員会や、推進運
営委員会を文科省と連携して行い、文科省は元素の特性理解と有効利用など基盤
技術を、当省・NEDOからは、具体的な鉱種を対象とした代替材料・使用量低減技術
の開発を、それぞれ、提案公募によって選ばれた民間企業等に対して委託する。
5年間プロジェクトで、初年度予算は11億円。
(3) 目 標
当面は、以下の3つの技術の実用化に向け開発に取り組む。
① 超硬工具におけるタングステンの使用量の2割削減
② 希土類磁石におけるディスプロシウムの使用量の5割削減
③ 透明電極におけるインジウムの使用量を3割削減する技術
その後も、レアメタル代替イニシアチブに従って、我が国の資源セキュリティ上重要
と思われる鉱種の代替材料開発・使用量低減技術の開発を継続し、我が国の高度
なモノ作りや情報産業の基盤を維持する。
【参考:タングステン鉱の価格推移】
10
7. 情報大航海プロジェクト
46億円 (新規)
(1) 概 要
今後、ITを通じたコミュニケーションは、テキスト情報から、個人の記録する動画像
や会話、放送映像や映画映像、商品情報やセンサー情報、生産履歴や交通履歴、
刻一刻と変化する地理・気候情報など様々な情報媒体に対象を広げ、その利用局面
も、情報家電、車載端末、電子タグや、公共交通機関、企業の生産・流通現場、市場
の店頭など様々な局面へとダイナミックに拡大する。その結果、現在のパソコンによ
るテキスト中心の情報検索ではなく、様々な属性の情報を生活やビジネスの様々な
局面で検索・解析できる、次世代の知的情報アクセス技術が必要となる。
このため、こうした新たなコミュニケーションニーズに応える情報検索・解析技術の
開発とそれを活用したサービスの普及に取り組む。実際の開発に当たっては、知的
情報アクセスに関し優れた技術シーズを持つ国内外のベンチャー企業等にも広く門
戸を開放するとともに、応用可能性の高い技術体系が作られるよう、最低限の基盤
技術については、関係者に広くオープンに共有されていく仕組みを整える。また、個
人情報や知的財産の適切な保護にも配慮した内容とし、必要な成果については、そ
の標準化提案活動を並行して行うこととする。
(2) スキーム
次世代検索・解析技術を利用して新たなサービスを展開する意思を有するユーザ
企業のニーズを実現するために、海外企業やベンチャー企業などにも広く門戸を開
放した提案公募等により、競争領域に属しない共通要素技術の開発・展開を行う。ま
た、このために必要となる大量の情報検索・解析技術に必要な研究・実証環境の整
備も行う。
国からの直接委託による3年間プロジェクトで、初年度予算は46億円。
(3) 目 標
3∼5年後に実用化が見込まれる、様々な情報媒体や端末で活用可能な次々世
代の情報検索・解析技術の実用化レベルでの完成を目指す。
【参考:次世代検索・解析技術と現在の検索サービスの違いに関するイメージ】
既存の検索サービスと次世代検索・解析技術の違い
■既存の検索サービス
■目指す次世代検索・解析技術
マルチメディア情報
放送
属性
ユーザーの性質を捉え・・・
WEBテキスト
検索
キーワード
入力
放送映像
(個人情報)
WEBテキスト
携帯サイト
話し言葉などを
意味的に解析
検索
検索
音楽配信
携帯サイト
統合的に
検索・解析
音楽配信
現在の状況
(周辺環境、
直近の行動
履歴など)
WEB静止画像
検索
多数のユーザーによる
評価(ランキング)
多数のユーザーによる
評価(ランキング)
WEB動画
像
センサー
現在置かれている状況を捉え・・・
ユーザーの特性や現在置かれている状況などを捉え、
マルチメディア情報の中から、必要な情報を適切なタイ
ミングで統合的に探し出し提示する。
テキスト情報の中からキーワードで該当する情報を探
し出し、多数のユーザーによる評価(ランキング)に基
づき順位付けして提示する。
11
Ⅱ.コンテンツ産業の国際展開と
アジア等との連携強化
12
1. 国際コンテンツカーニバル(仮称)
17億円 (新規)
(1) 概 要
東京国際映画祭等を積極的に拡大し、映画からアニメ、ゲーム、音楽など様々なコ
ンテンツを取り扱うイベントとして国際コンテンツカーニバル(仮称)を開催する。内容
も、アジアを始めとした世界の優秀なコンテンツ人材の育成・交流のためのセミナー
等の開催、国際共同製作への支援、ネット上の取引マーケットの構築、地域との連携
など、複合的なコンテンツ市場創出型イベントへと脱皮させる。
国際コンテンツカーニバル(仮称)の実施と様々な産業振興策を複合的に行い、ア
ニメ、ゲーム、映画など、それぞれの縦割り市場の中で伸び悩み状態にある国内コン
テンツ市場に刺激を与える。また、クリエーター個人や中小の制作会社が世界の市
場に自らの作品を直接アピールする機会を拡大することで、コンテンツ流通市場の現
状からの脱皮と、我が国ソフトパワーの海外への発信を目指す。
(2) スキーム
東京国際映画祭や東京ゲームショウ等を有機的に連携させ、国際コンテンツカー
ニバル(仮称)として総合的に設計・運用する。同時に、併設したコンテンツビジネス
取引市場の拡充、ワークショップと連動したコンテンツの国際共同製作への支援、コ
ンテンツ人材の交流や育成の推進、コンテンツポータルサイトを活用したネットマーケ
ットを通じた制作者によるコンテンツ直販への支援、国内におけるロケ地ビジネスの
支援など、イベントと連動したコンテンツ振興策を一体的に行う。その詳細は、今後、
各分野の代表者等を集めた実行委員会において、設計/検討を進める。
(3) 目 標
国際コンテンツカーニバルの開催による情報発信力の総合的強化、ネット上のコン
テンツマーケット等による力のあるクリエーターや中小の制作会社の作品の海外等
への発信強化など、一連の市場刺激策を講じることにより、我が国のコンテンツ産業
の市場規模を今後10年間で約5兆円拡大し、2015年には約19兆円市場とするこ
とを目指す。
国際コンテンツカーニバル(仮称)
各種フェスティバル等
アニメ・
コミック祭
キャラク
ター祭
東京国際映画祭
ゲーム祭
テレビ祭
音楽祭
・ライブ
国の事業
アジアとの連携強化
●アジアコンテンツ産業セミナー閣僚会議の枠組
を活用して、メンバー国から有力なコンテンツ専
門家などをカーニバルに招へいし、国際シンポジ
ウム等に参加。
●アジアの高校生等を含めた若手人材による映
像コンペ等の開催を検討。
●優れたアジアの各国間の共同製作作品を積極
的に上映。
●アジア各国のコンテンツや映画祭等をPRする
場所として、コンテンツマーケットに「アジアブー
ス」を設置。
●アジア映画上映会などの積極的実施(「アジア
の風」の拡大)。
マーケット機能強化、国際人材交流、国際共同製作、
ネットマーケットの構築、地域との連携
地域との連携強化
●海外に向けて地域のロケ情報を積極的に発信する場を
カーニバルに設け、地域のフィルムコミッション等と連携し
つつ、各国のプロデューサー等とのマッチングを促進。
●地域における映画祭・コンテンツイベント等とカーニバル
との積極的な連携を図る。
●各地方経済産業局において、カーニバル実施の際の地
域におけるサポートやロケ誘致支援誘致等を実施。
13
国際的な人材交流・
共同製作
●欧米や日本国内から著名なプロデューサー
や優れたクリエーターなどの専門家をパネリスト
として招へいしたシンポジウム、セミナーを開催
することにより、内外のクリエーター、プロデュー
サーの国際的ネットワーク作りを支援。
●国内外の大学、人材育成機関や学生相互の
連携を促進するための場の設定を支援。
●コンテンツの国際共同製作による海外展開促
進を図るため、内外のプロデューサーが共同で
コンテンツ企画開発を行うためのワークショップ
を開催。
2. 「アジア人財資金」構想
31億円 (新規)
(1) 概 要
欧米では、最先端のITビジネスや金融サービスなど、イノベーションの最先端の多
くの現場で、海外からの留学生出身者が活躍している。他方、我が国は、大学院や
大学における留学生の比率自体が欧米に比して低く、外国人留学生の国内企業へ
の就職も少ない。今後、中国、韓国などアジア諸国も含め、イノベーションサイクル確
立に向けた競争が世界的に激しさを増しつつある中、我が国でも、世界の優秀な頭
脳を活用する人材市場を国内に確立することが急務である。
このため、優秀な留学生を日本に呼び寄せ、日本企業での活躍を促進するため、
産業界と大学が一体となって、留学生の募集・選抜から専門教育・日本語教育、就職
活動支援まで含めて実施する人材育成プログラムの開発・実施を、文部科学省と共
同で支援する。
(2) スキーム
以下の具体的事業を運営する産学協同の運営管理法人等に対し、業務を委託す
る。IT、環境工学、製造技術、知財など分野毎に大学と産業界と教育・訓練プログラ
ムを作成するコンソーシアムで12事業、北海道、東北など各地域ブロックごとに地域
の産業界と地域の大学が教育・訓練プログラムを作成するコンソーシアムで8事業、
合計で、全国20プロジェクトのコンソーシアムに対して委託を行う。一コンソーシアム
当たりの平均助成金額は前者が1.3億円、後者が1.5億円程度を想定。
なお、本スキームの対象となる優秀な外国人留学生は、文部科学省の奨学金等
の支給対象者となる。
① 日本企業への就職意志を持ち、優秀な留学生の募集・選抜に向けたリクルー
ティング活動
② 産学で連携し開発した留学生向け教育プログラムの提供
③ 日本企業のニーズに合致した日本語教育
④ 日本企業文化の理解促進に向けた日本ビジネス研修
⑤ インターンシップ等の就職支援
企業
就 職 活 動
企業実習
日本ビジネス研修
通常の教育プログラム
日本語研修
産学で連携し開発した留学
生向け教育プログラム
︵インターンシップ︶
民間団体等
選考プロセス
奨学金等の支給
アジア等の優秀な学生
大学・(企業)
(3) 目 標
本事業では初年度千名程度の留学生を対象とし、将来的には、支援対象留学生
を二千人規模とすることを目指す。これにより、優秀な人材を我が国に惹きつけ、彼
らが我が国企業に就職し、活躍する実績・機運を醸成していくことで、我が国の大学
及び企業の魅力を高め、アジア地域からの優秀な人材の獲得・活用に繋がる好循環
を形成する。
14
3. 東アジア版OECD構想
10億円 (新規)
(1) 概 要
将来の東アジア経済統合を見通し、東アジア諸国間で、国際マクロ経済動向、貿
易、投資、産業政策、エネルギー、環境、人材育成、基準認証、知的財産、開発援
助、といった分野について、経済協力開発機構(OECD)のような政策提言・調整を
行うことを目的とした国際的体制の構築に着手する。
平成19年度は、その第一歩として、シンクタンク機能を有する「東アジア・アセアン
経済研究センター(ERIA)(仮称)」を設立し、域内の共通課題等に関する認識を共有
するとともに、政策提言をアセアン事務局等と協力して行うことを目指す。その研究セ
ンターの調査・研究活動に必要な資金を拠出する。
(2) スキーム
具体的な資金拠出スキームは、現在、財務省と調整中。
なお、国際的な合意形成の段取りは以下のとおり。既に東アジア16ヵ国全てから
賛同を得て、来年度のERIA設立に向け各国と協力して準備を進行中。
・2006年8月末 東アジア経済大臣会合 : 二階大臣から構想提案。
・2006年11月4日:東アジア16ヵ国の賛同を得て、16ヶ国全ての研究機関の代表者、
ASEAN 事務局及びアジア開銀の参加による事前準備会合を開催。
・2006年12月1、2日:ASEAN 事務局の主催により、16ヵ国の研究機関の代表及びアジ
ア開発銀行の参加による第2回事前準備会合を開催。11月及び12
月の準備会合により、各国研究機関と、同研究センター設立の趣旨
及び必要性について認識を共有。
・2007年1月(P):東アジア経済大臣会合において甘利大臣から改めて各国の協力を要
請し、東アジアサミット(16ヵ国)において首脳レベルでも設立が合
意・歓迎されることを目指す。
・2007年:「東アジア・アセアン経済研究センター(仮称)」設立
(3) 目 標
平成19年度中に、東アジア・ASEAN 経済研究センターを設立し、具体的な政策調
査・提言活動を開始する。その後、徐々に活動領域の拡大を図り、約10年程度かけ
て、東アジアにおけるOECDのような国際的体制の確立に結びつける。
【参考:東アジア・ASEAN経済研究センターのスキーム図】
東アジア経済統合
ASEAN+1
Intra ASEAN
A S E A N
¾ 共同研究等を実施
等
¾ 研究者を派遣
Cambodia:CICP
China:CASS
India:RIS
Indonesia:CSIS
Japan:IDE/JETRO
Korea:KIEP
Laos:NERI
Malaysia:MIER
Myanmar:YIE
New Zealand:NZIER
Philippine:PIDS
Singapore:SIIA/ISEAS
Thailand:TDRI
Vietnam:CIEM
Asian Development Bank
ASEAN+6
政策提言
東アジア域内の
研究機関との協力
(例)
¾
Australia:ANU
¾
Brunei:BDIPSS
ASEAN+3
¾ 駆動力(ドライビング・フォース)
¾
¾
調査分析報告書の提供
施策提言
¾調査分析課題について助言
開発途上国の
ための支援
東アジア・ASEAN経済研究センター
Economic Research Institute for ASEAN and East
Asia (ERIA)
•キャパシティー・
ビルディング
¾ アセアン域内に設立予定
•人材育成
¾ 拠出金等
日
本
政府
¾ 拠出金等
主に東アジア各国
研究機関
経済界
政府
研究機関
経済界
15
4. 国際版一村一品の推進
2億円
(その他に関連予算4億円)
(1) 概 要
世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド交渉の成功裡終結は、多角的貿易体制の恩
恵を享受する我が国にとって非常に重要であり、貿易を通じた開発の達成が今次ラ
ウンドの主な課題。途上国は、開発における成果を強く求めており、このような中、先
進国として、途上国に対し、貿易を通じた開発達成のための支援策を提示することは
ラウンド交渉上極めて有効である。
本事業は、以上のような背景から、小泉前総理のリーダーシップの下、平成17年1
2月「開発イニシアチブ」として公表された支援策の一環として、公表され、その中核
をなす事業のひとつとなっている。平成19年度においては、開発途上国の一村一品
運動を、さらに骨太の運動へ拡大し定着させていく必要があることから、展示会事業
等を実施する。
(2) スキーム
JETRO事業として、成田・羽田・関西空港での展示・販売ブースを設置するととも
に、途上国への商品専門家の派遣を合わせた商品改良型の展示事業を実施する。
その他に関連事業として、各国からの提案に応じ、研修や専門家派遣等の検討を
行うとともに、途上国への産業振興支援を充実する。
(3) 目 標
途上国産品の市場調査を行いつつ、これらの輸入ビジネスの増加を目指し、ひい
ては、開発ラウンドの成功に向けた材料とする。
【参考: 甘利経済産業大臣(左)、及びラミーWTO 事務局長(右)の成田空港展視察】
16
Ⅲ.地域・中小企業の活性化と
人材育成の強化
17
1. 中小企業地域資源活用プログラムの創設
101億円(新規)
(1) 概 要
地域間格差の拡大が懸念される中、地域がそれぞれの強みを活かして自立的・持
続的な成長を促すため、「中小企業地域資源活用プログラム」を創設し、地域中小企
業による特色ある地域資源(産地の技術、地域の農林水産品、観光資源)を活かし
た新たな事業の創出を支援する。具体的には、以下の4事業を行う。
① 地域資源活用売れる商品作り支援事業
41億円
i) 地域資源を活用して新規性の高い新商品開発等に取り組む中小企業等
に対し、試作品開発、デザイン改良、展示会出展等に係る費用を補助。
約 2,250 万円*200 件。補助期間3∼5年。 補助率2/3。
ii) 地域資源を活用した新商品、新サービスの販路開拓などに取り組む組合
等に対し、展示会出展等に係る費用を補助。
約 1,500 万円*150 件。補助期間1年。 補助率1/2。
②
市場指向型ハンズオン支援事業
20億円
全国9カ所に支援拠点を設置し、マーケティング等に精通した専門家が、
新商品・新サービスの開発・販売に取り組む地域中小企業の相談に応じ、市
場調査、商品企画、販路開拓、事業性の評価等に係るアドバイスなど徹底し
たハンズオン支援を行う。
専門家を集めた9拠点に対して、2億円程度ずつの予算で業務を委託。
③ 地域企業化力向上支援事業
20億円
i) 地域資源を活用して魅力ある製品等を開発する中小企業のビジネスチャン
スを拡大するため、展示会や商談会を開催するとともに、アンテナショップ
出店に対する支援等。中小企業基盤機構事業として、柔軟に実施。
ii) 地域資源を活用した新たな取組が多く創出されるよう、商工会、商工会議
所、中小企業組合、NPO等が市町村とも連携しつつ行う研究会など、地域
の中小企業と外部のビジネスパートナーとをつなぐ活動(コーディネート活
動)を支援するとともに、地域での取組を喚起するためのフォーラムの開催
等を行う。中小企業基盤機構の事業として柔軟に実施。
④ 地域資源研究開発支援事業
20億円
地域資源を活用した新商品を開発するために必要な企業と大学、公設試、
高専、産総研等との連携による研究開発であって、地域において事業化する
ことを念頭に置いた実用化研究開発を支援。
一件当たり、初年度 3,000 万円、2年度目 2,000 万円以内で産学連携コンソ
ーシアムに開発を委託。初年度 70∼80 件程度。
18
(2) スキーム
上記概要を参照。
(3) 目 標
人材育成等の自主的な努力をコミットしつつ、自らの強みをいかした産業集積の促
進に取り組む地域を支援することにより、特色ある多様な産業集積の形成と我が国
全体としての魅力ある企業立地環境の整備を図り、地域経済の活性化と我が国経済
の国際競争力強化に貢献する。
【参考:「中小企業地域資源活用プログラム」による支援の流れ】
中小企業地域資源活用プログラム
∼地域や中小企業の実情に応じた各種支援策∼
事業化の成功・ブランドの確立
低利融資、設備投資減税 等
新しい事業プランの具体化
試作品開発や展示会出展への補助
地域資源活用売れる商品づくり支援事業
41.3億円
商談会、アンテナショップの開催
(地域企業化力向上支援事業(中小機構交付金)
20.2 億円)
専門家によるきめ細かな支援
市場志向型ハンズオン支援事業
20.3億円
新たな事業の構想
地域発のブランド構築への支援
地域企業化力向上支援事業
(中小機構交付金) 20.2億円
外部人材とのネットワーク構築への支援
地域資源
研究開発への支援
産地の技術、地域の農林水産品、
観光資源など地域の強みとなりうるもの
19
地域資源活用型研究開発事業
19.6億円
【参考:地域資源を活用した取組の3類型】
地域資源を活用した取組の3類型
<産地技術型>
(株)白鳳堂、(株)竹宝堂、(有)竹田ブラシ製作所 等 (広島県熊野町)
・毛筆の伝統的な製造技法を用い、肌触りがなめらかで色の濃淡など微妙
な表現が可能な化粧筆を開発。
・国内外のトップメイクアップアーティストに使われるなど、高い評価を確立。
★ポイント
<農林水産型>
有名化粧品メーカーとの共同開発、マーケティング専門アドバイザーのノウハウも活用。
井原水産(株)(北海道留萌市)
<農林水産型>
井原水産(株)(北海道留萌市)
・コラーゲンを鮭の皮から抽出・精製する技術を実用化し、化粧品、食品、試薬品等
向けに加工販売。
★ポイント
大学や公設試との連携により、鮭皮からコラーゲンを抽出する技術を確立。
<観光型>
(株)指宿ロイヤルホテル(鹿児島県指宿市)
・黒豚、にがうり等を用いた食事、天然砂蒸し温泉、ウォーキングを組み合わせた健康
増進プログラム『スパドゥ』を実施。
★ポイント
大学、医師会等との連携で、医学的な検証と事業化のためのデータ収集 を実施。
【参考:検討中の「中小企業地域資源活用促進法(仮称)」のスキーム図】
中小企業地域資源活用促進法の概要
法目的
(暫定版)
国民経済の健全な発展
中小企業の新たな事業の創出
地域経済の活性化
基本方針の策定
主務大臣が策定
○地域資源の内容
○地域資源を活用した事業内容
○実施方法 等
基本構想の作成(地域資源の指定)
都道府県
認定
○地域資源活用の意義
○農林水産物・鉱工業品 ○技術 ○観光資源
地域資源活用事業計画の認定
中小企業による申請
地域資源を活用した商品開発による需要開拓等
・ ・ ・ ・ ・都道府県が意見
主務大臣が認定
地域産業資源活用事業の実施
国の支援措置
20
主務大臣
2. 企業立地促進等を通じた地域産業活性化への支援
44億円 (新規)
(1) 概 要
地域がそれぞれの強みを認識し、魅力的な産業立地環境を整備することにより、
戦略的な企業誘致を行う環境が整えば、地域における雇用創出や地域間格差是正
の解決に大きな効果が期待される。このため、複数の市町村又は都道府県等が行
う、地域の経済実態を踏まえた戦略的企業誘致に向けた基本計画の策定や企業立
地促進活動に対し総合的に支援する。具体的には、以下の3事業を行う。
① 地域産業立地推進委託事業
3億円
全国地域ブロック別(本部及び地域ブロック合計10か所)に、企業立地情
報・手続等に関するワンストップサービスを提供する総合的な企業立地支援
の窓口を設け、事業者や自治体の相談への対応や、関係行政機関等との
調整・連絡会議開催等を行う。一ブロック当たり 3,000 万円程度で、各窓口協
議会に業務委託する。
② 地域産業立地推進等補助事業
21億円
i)
地域産業活性化協議会活動支援
複数の市町村と都道府県等が、地域の経済界等と連携して協議会を設置
し、地域産業活性化法(仮称)に基づく基本計画を策定・運用するために必
要な事務局経費、調査分析費用等の経費への補助
40程度の協議会に対し、一件 400 万円程度の補助を想定。補助率2/3。
ii) 産業立地・人材養成等支援事業
基本計画の実施に向け、地域産業活性化協議会が行う以下の事業を支援
○ 企業誘致等の専門家を活用した情報発信や個別の誘致活動等
○ 誘致等対象産業のニーズを踏まえた人材養成や人材確保するため
のセミナーの開催等
前者は、40程度の協議会に対し、一件 1,600 万円程度の補助を想定。補
助率は2/3。後者は、一件 2,700 万円程度の補助を想定。補助率定額。
iii) 立地産業人材育成支援事業
法の承認を受けた事業計画に沿って新規立地等を行った企業が、新規
採用した社員等を研修する場合の研修費用等への補助
8程度の協議会に対し、一件 2,000 万円程度の補助を想定。補助率2/3。
③ 地域産業活性化共用施設整備費補助事業 20億円
地域産業活性化法(仮称)の規定に基づき国の同意を受けた「基本計画」
(仮称)の対象地域内において、当該計画に沿った企業立地等の円滑化に
資する基盤整備事業に対し補助を行う。具体的には、誘致対象企業が共用
出来る貸工場、貸事業場、物流施設、人材育成施設、試作・検査機器及びこ
れらの施設に付帯する施設が対象。
必要経費の1/2を国から補助。全国5∼7か所程度を想定。
21
(2) スキーム
上記事業概要を参照。
(3) 目 標
国がひな形を示して誘導する形ではなく、地域が自らの強みをいかして誘致対
象や誘致方法を絞り込む支援方式をとることにより、多種多様な産業集積を引き
出し、我が国経済の国際競争力極化と地域の活性化に貢献する。
「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案(仮称)」
企業立地の促進等による地域における産業集積の形成
及び活性化に関する法律案(仮称)の最終目的
これまでの経済産業省の地域活性化策
○工業再配置促進法−太平洋ベルト地帯から地方へ
○地域の活性化(多様性を持った産業集積による活性化)
○テクノポリス法・頭脳立地法−「シリコンバレーモデル」の追求
A:中核企業・外資系企業新規誘致型<三重県クリスタルバレー>
B:基盤的技術産業集積型<長野県諏訪地域>
C:地域産業集積発展型<徳島県LEDバレー>
D:サービス産業集積型<沖縄県コールセンター>
○地域産業集積活性化法−空洞化対策としての地域ものづくり集積の強化
1.新法の考え方
● グローバルなメガコンペティション
(大競争)時代に相応しい新しい
企業立地促進策を推進。
キーワードは「グローカル」
「グローカル」。
2.スキーム
①地域の強みを活かしたグランドデザイン
グランドデザイン
②広域連携をする関係者の強いコミットメント
コミットメント
による「地域独自の意欲的な取組」
「地域独自の意欲的な取組」を支援する
「多様な産業集積」を全国的に形成。
ことで「多様な産業集積」
①個性ある産業集積の形成・高度化
国:「基本方針」
各地域の多様性や創意工夫に基づき、
地域の強みを活かした産業集積を
3.支援措置
同意
協議
ジャストインタイムの時代だからこそ、
1時間前後の圏域で広域的な生活環
境・事業環境の一体的整備や人材育
成・供給が鍵。
③スピーディーな企業立地の実現
ヒト・ワザの強化とコスト低減を支援
○大学・高専等と連携した人材育成(文科省と連携)
○地域の雇用創出に向けた連携(厚労省と連携)
○人材育成のための研修費用等の補助
○研究開発費用支援
○貸工場・研修施設等への補助
○立地企業へ設備投資減税
② スピーディーでかゆいところに手が届く企業
立地のお世話
手続き等に関するワンストップサービスの提供
形成することが不可欠。
②広域連携による拠点整備
① 国際的な立地条件のハンディキャップを是正
○都道府県及び市町村
○地域産業活性化協議会: 「基本計画」
<地域産業集積形成・活性化や企業立地等について規定。>
(協議会は、都道府県・市町村等(※)で構成。
計画には関係地方自治体のコミットが必要。)
○総合的な企業立地支援窓口となる関係省庁連絡会議を
中央及びブロックごとに設置
○工場立地法の特例
○中小機構の工業団地等の用途規制の緩和
○農地転用の迅速化(農水省と連携)
※地方公共団体の長、地元商工団体、大学その他研究機関等を想定。
③ 頑張る地方自治体の支援
申請
承認
事業者:「企業立地計画」
「事業高度化計画」
22
○ 地方交付税に関する特例措置(総務省と連携)
○ 地域産業活性化協議会の運営費等の補助
(協議会の下に企業立地の専門家等を配置)
○ 基本計画の作成補助
3. 産学連携による人材育成の強化
12億円(4億円)
産学連携による実践的な人材育成を促進するため、以下の4プロジェクトを展開
○ 社会人基礎力の養成・評価手法開発事業
1億円
○ 地域自立・民間活用型キャリア教育プロジェクト
5億円
○ 高度金融人材育成事業
1億円
○ 中小ものづくり人材育成事業
5億円
(1) 社会人基礎力の養成・評価手法開発事業
1億円 (新規)
① 概 要
我が国の高等教育は、基礎学力、専門知識の習得には優れている反面、コミュニ
ケーション能力など、それらを職場や地域社会の中で活かしていく力(「社会人基礎
力」)の養成までは手が届いていないという現状がある。このため、大学教育におけ
るインターンシップの積極的活用や PBL(Project Based Learning)等の5つの実践
的教育プログラム導入の取組に着目しつつ各大学の社会人基礎力養成力の検証
を行うとともに、そのデータの収集・分析を通じ、企業側から見て、各大学の社会人
基礎力の養成力を判断するための「評価ガイドライン」を策定する。
また、策定された「評価ガイドライン」の継続的な改善を行うため、大学や企業の参
画を得て、社会人基礎力養成プログラムの改善プロセスを普及・定着させるための
産学連携パートナーシップを形成する。
② スキーム
全国5か所で、大学が企業と組み、大学における実践的教育プログラムの導入
効果分析を行う。これらの分析結果を踏まえながら、プロジェクト全体を束ねる産
学連携のコンソーシアムにおいて、評価ガイドラインの策定と改定に取り組む。コ
ンソーシアム運営事業に対しては 2,300 万円、大学毎の取組には、一件当たり
1,480 万円程度を費用の目安として、業務委託を行う。
社会人基礎力の養成・評価手法開発事業スキーム図
社会人基礎力の養成・評価手法開発事業スキーム図
コンソーシアム
民間企業等
委託
●「評価ガイドライン」の策定、普及・啓発
経済産業省
試行
フィードバック
大学・民間企業等
委託
●実践的教育プログラムの実施
23
× 5モデル
③ 目 標
策定された「評価ガイドライン」をもとに、「偏差値」に代わる新たな能力評価指標
としての「社会人基礎力」の定着を目指す。コンソーシアムに参加を呼びかけた大学
500校、企業500社での普及・定着を第一ゴールとする。
【社会人基礎力養成に向けた取組事例】
近年、企業における人材の採用・活用の基準は「学力」から「基礎学力、専門知識を活
かす実践的能力(「社会人基礎力」)」へと変化、「学歴不問採用」が広がっている。こうした
現状を踏まえ、以下のように、大学を中心とした数多くの教育機関において、地域と連携し
た「社会人基礎力」養成の取組が開始されている。
大学での社会人基礎力の養成(取組事例)
大学での社会人基礎力の養成(取組事例)
京都産業大学
「オン/オフ・キャンパス・フュージョン」
金沢工業大学
「工学設計」
公立はこだて未来大学
「システム情報科学実習」
東北芸術工科大学
「プロジェクト型演習」
同志社大学
「同志社ローム記念館プロジェクト」
関東学園大学
「コンピテンシー育成プログラム」
大阪経済大学
「基盤能力開発講座」
大阪産業大学
「ものづくりプロジェクト」
高崎経済大学
「地域づくりへの学生参加教育
プロジェクト」
岡山大学
「キャリア・デザイン2」
東京電機大学
「プロジェクト科目」
広島大学
「職業選択と自己実現」
千葉商科大学
「地域課題の政策実践教育」
熊本大学
「ものづくり創造融合工学教育」
工学院大学
「Engineering Clinic Program」
熊本大学大学院
「研究型インターンシップ」
高知工科大学
「フロンティア工学コース」
豊橋技術科学大学
「地域協働型工房教育プログラム」
豊田工業大学
「体験型教育プログラム」
湘南工科大学
「チームプロジェクト・ラーニング」
(2) 地域自立・民間活用型キャリア教育プロジェクト
慶應義塾大学
「産学学生連携教育&開発プロジェクト」
東海大学
「チャレンジセンター」
5億円 (4億円)
① 概 要
将来の産業を担う子ども達に対し、ものづくり等の働くことの面白さを体験・理解
を促すため、NPO・企業等の民間主体の経験やアイディアを活用し、地域に密着し
た体系的・効果的なキャリア教育の実現を図る。
平成19年度は、これまでの成果を踏まえ、全国29地域、約300校において、地
域における学校、企業、行政等のネットワークを強化する「コーディネータ」の有用性
に係るモデルを構築するとともに、そこで得られたノウハウについて、キャリア・スタ
ート・ウィークを展開する約1万校をはじめとした全国への普及・展開を図る。
同時に、「総合的な学習の時間」におけるキャリア教育の成果を活かしつつ、文
部科学省と連携の下、地元企業の技術者等を活用した「実社会と関連づけた理科
24
の授業」の実施を支援する(理科実験教室プロジェクト)。平成19年度は、全国10
地域、約100校において、地域のベテラン技術者等と学校の橋渡しをする「コーディ
ネータ」の有用性について検証するとともに、そこで得られたノウハウについて、全
国約3000校への普及・展開を図る。
② スキーム
事業については、以下のスキームに沿って、実際に地域でキャリア教育事業、及
び理科実験事業を実施するコーディネータを公募、選定し、約 1,000 万円を目安に
業務委託を行う。また、全国への波及、展開を目的として、中核的な役割を担うコ
ーディネータを1件ずつ公募・選定し、約 2,500 万円を目安に業務委託を行う。
地元産業界
公募・選定・委託
経済産業省
プログラム実施
コーディネーター
(NPO・民間企業等)
連携
文部科学省
実施校
連携
地域の教育委員会、
PTA、自治体など
③ 目 標
本事業で得られたキャリア教育のノウハウを、全国約1万校の小学校・中学校へ
普及させる。また、「理科実験教室プロジェクト」の成果を普及し、同様の事業の全
国約3000校の小学校への普及を目指す。
【理科実験プロジェクトの参考事例】
福井県では、 福井大学教育地域科学部が中心となって企業と学校が連携して「理科
好き」を育てる取組を実施している。例えば、ワイヤレスマイク等で世界トップクラスのシ
ェアを持つ企業の技術者がゲストティーチャーとして学校を訪れ、蓄音機が鳴る仕組み
やレコードに記録される仕組みを授業で取り上げることで音の振動に関する理解を深め
るとともに、理科の授業で学んだ知識や法則が実社会と結びついていることを学習し、
生徒の理科への興味・意欲の向上につなげている。
25
(3) 高度金融人材育成事業
1億円 (新規)
① 概 要
金融市場では、欧米発の金融手法の高度化に我が国企業がついていくのが精
一杯の状態にあり、我が国発の金融商品が世界的に展開するような状況とはなっ
ていない。国際競争力のある金融手法を我が国企業が持つためには、①プロジェク
ト・ファイナンス、②デリバティブなどの資産運用やリスク管理、③M&A等における
ファイナンス・スキームの構築などで活躍する「高度金融人材」の効果的な育成・活
用が不可欠である。
我が国でも金融工学・ファイナンス関係の大学院レベルの教育コースが設置され
始めたものの、企業が必要とする金融人材像についての大学側の認識が不足して
いること、企業側でも必要な金融人材像やその育成・活用方法に関する認識が深ま
っていないこと等から、適切な金融工学・ファイナンス人材育成に関する共通認識
が関係者間で醸成されていない。こうした産業界と大学側の情報格差を解消し、よ
り効果的な人材育成を促進するため、本事業においては、国内の企業・大学におけ
る実態調査や海外における現状の調査を行うとともに、大学・産業界・金融業界の
実務家・有識者をメンバーとする高度金融人材の育成・活用に関する研究会及び個
別の論点に関するワーキンググループを開催し、我が国に求められる金融人材像
やその育成・活用に向けた体制整備の方向性等について検討を行う。これを通じ、
金融分野におけるスキルスタンダード策定等の具体的取組や、「高度金融人材」に
関する教育・キャリアパスの抜本的な改革を促す。
② スキーム
国
(経済産業省)
大学関係者
調査委託
(2)研究会実施
(1)実態調査
民間団体等
事業会社
関係者
金融機関
関係者
○国内調査
○有識者研究会
○海外調査
○ワーキンググループ
民間団体等に対し、6,000 万円程度の業務委託を想定。
③ 目 標
金融分野におけるスキルスタンダード策定や教育・キャリアパス改革のための設
計図を提供し、今後の、金融工学等に関する専門人材育成の変革を迫るきっかけ
を作る。
(4) 中小企業モノ作り人材育成事業
① 概 要
26
モノ作りを支える中小企業において人手不足問題の深刻化が進みつつあると同
時に、工業高校や高専など、地域のモノ作りを支える重要な教育現場で、もの作り
を知る教員の高齢化や教員の現場離れによる技術不足への理解などから、工業高
校の教育現場と企業で求められる資質に乖離が生じ、「求める人材や必要な能力を
もった人材が少ない」との指摘が出ている。
このため、地域の中小企業と教育界(高専、工業高校)とのマッチングによる実践
的な教育プログラムを開発する(高専25件、工業高校20件)とともに、その成果を
学習指導要領へ反映させることなどにより、全国約1000の工業高校、約60の高
専へより実践的な教育プログラムの導入を図る。
なお、工業高校については、文科省との共同事業として行う。
② スキーム
高専25件、工業高校20件それぞれについて、学校と地元産業界、プロジ
ェクト管理法人の3者がコンソーシアムを組成し、国は、コンソーシアムに対
して、前者が1件当たり 1,000 万円程度、後者が1件当たり 1,300 万円程度を
目安に、実践的教育の実施を委託する。
③ 目 標
高専25件、工業高校20件で実践した成果を基に、その成果を学習指導要領へ
反映させることなどにより、全国約1000の工業高校等、約60の高専へより実践的
な教育プログラムの導入を図る。
【高専における事業実施例】
<具体例>都立産業技術高等専門学校
2006年度より、地元の中小企業の参加の下、高専が有する設備を活用し、高専の教
授や地元のベテラン技術者による、実践的ものづくり基盤技術に関する講座を実施。毎
年250人の電気・電子、振動と制振技術などの若手のものづくり基盤技術者を育成する
(3年プログラム)。
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