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ビジネスアナリシスを考える

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ビジネスアナリシスを考える
ビジネスアナリシスを考える
-あらゆる課題や問題解決を実現する効果的なアプローチ-
(第29回)
7.
ビジネスアナリシスの手法と技術
7.2
ビジネスアナリシスを構成する手法と技術
・多様な課題や問題を解決していくにはそれぞれの目的に応じて有効な解決プロセスとそれを構
成する最適な手段を選ばなければなりません。そのような手段は広くビジネスに共通な手法、技
法、技術などであって、ビジネスアナリシス特有な手段というものはないと考えて構いません。 多
くの手法を知ることは適用手段の選択肢を広めることから大切ですが、ただ知っているだけでなく
実務での利用経験を積んで、どのような場面でどのような効果があるのかを理解していくことが望
まれます。
・これらの手法、技法、技術などを理解するには、それらの特徴を理解して、位置づけを分類し整
理しておくことが重要で、自分の知識の整理にも、適用時の検討にも役立ちます。 手法は、日常
利用されている技術から、高度な手法までを含みますが、目的や機能に応じて使い分けることが
大切です。 このような概念や手法や技術を整理したものは知識体系と呼ばれ、ビジネスアナリシ
スを対象とした例としてBABOK®(Business Analysis Body of Knowledge)がありますが、これはビ
ジネスアナリシスを専門とする人たちを支援する目的を強く意識して作られたもので、ビジネスア
ナリシスの知識体系の標準化を目指しています。 このようなものを基本として、自分なりのアイ
デアで体系を作り整理していけば自分の財産にもなり適用戦略としても有効に利用できます。
■ビジネスアナリシスを構成する機能モジュールと技術
・ビジネスアナリシスを構成する技術を考える前に、ビジネスアナリシスの基本構造を再度認識し
ておきたいと思います。 すなわち、解決しようとする課題や問題とその周辺環境の現状認識を行
い、解決の目標を設定して、最適な解決プロセスとその手法、技術を選択し、実行に移すことです。
ここで、どのような手法や技術を選択するかがビジネスアナリシスの実行効率に大きな影響を与
えます。
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図7-2 ビジネスアナリシスの基本構造
・ビジネスアナリシスで実行しなければならない目的行動、例えば現状確認や
ネスアナリシスで実行しなければならない目的行動、例えば現状確認や原因追及などの業
原因追及などの業
務などは機能モジュールの集まりとして考えると実行プロセスを考えるために分かりやすく有効で
す。 モジュールの構成は二つの視点から見ると整理がしやすくなります。
・その第一は作業を一つの塊として何らかの結果を得ることを単位として考えることです。 例えば、
情報を集める、現状を調査する、調査情報を分析する、現状を理解する、原因を追究する、関係
者を抽出する、工程を管理する、結果を評価する、などという単位です。 このようなモジュールを
拾い上げていくと、ビジネスアナリシスで実行しなければならない業務プロセスの機能の全体を
拾い上げていくと、ビジネスアナリシスで実行しなければならない業務プロセスの機能の全体を構
成することができます。
・第二の視点は、それらのモジュールの部分を構成するサブモジュールともいうべき単位です。
複数のモジュールの構成要素としてどこでも利用できる単位機能の方法だと考えれば分かりやす
いでしょう。 単純な例では「議論する」という機能がありますが、それではあまりに一般的ですか
らそれに特徴のある方法をもった、ブレーンストーミング、KJ法、などというように具体的な手法を
集めます。 このような機能は第一の塊のあちこちで利用されます。 他に、フローチャートを作る、
スケジュールを作る、分類する、グラフ化する、など多くの基礎要素があります。
スケジュールを作る、分類する、グラフ化する、など多くの基礎要素があります。
・このような行動の要素、モジュールとサブモジュールの関係を考えて、それらをどのように組み
合わせていけば効果的なビジネスアナリシスができるかの構成を考えてゆきますが、その前に典
型的なビジネスアナリシスのプロセスを目的行動の組み合わせで描いておくことがその後の作業
の基本になります。
・そのプロセスは、ほとんどどのようなビジネスアナリシスの実行をもカバーするような一般化され
た業務要素、即ち業務モジュールの
た業務要素、即ち業務モジュールの組合せです。
その中のモジュールは、必要に応じて順序を
変えたり、利用しなかったりしてもかまいません。 そのような、標準的なプロセスをひな形としても
っていることにより、その後の計画を潤滑に進めることができます。 さらにこのような標準的なプ
ロセスを、課題や問題の現象のパターンによっていくつかのモデルに分類して複数作成しておくこ
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とも有効です。 類似するパターンの課題や問題の解決手順は類似しているからです。 このよう
なパターン化により、いろいろなビジネスアナリシスを実施していく積み重ねとして、どのようなパタ
ーンがあるかが判明してきます。
判明してきます。
図7-3 ビジネスアナリシスを構成する手法と技術
■ビジネスアナリシスの手法と問題解決の手法
・ビジネスアナリシスの実行において少々混乱するのは、ビジネスアナリシスを実行するための手
法と、課題や問題を解決するための手法との混在です。 例えば、ビジネスアナリシスをどのよう
な手順で実行しようとするかという計画を作成し、それらを具体的に展開し表示したりする手法は、
ビジネスの現場での課題や問題解決の直接の手法としても利用できます。 もっと具体的に言え
ば、プロジェクト管理の方法は、ビジネスアナリシス実行のプロジェクト管理手法として利用できる
ば、プロジェクト管理の方法は、ビジネスアナリシス実行のプロジェクト管理手法として利用できる
と同時に、解決をしようとしている実務の具体的手法としても利用されます。
・このような視点からビジネスアナリシスの手法や技術をとらえますと、ほとんどの手法や技術は、
ビジネスアナリシスの実行と、実務への適用の両者の側面をもっています。
■ビジネスアナリシスに利用可能な技術
・ビジネスアナリシスの実行に特有な技術的手法があるわけではないことを繰り返して述べてきま
したが、ビジネスアナリシスには多様な問題解決の手法が必要であって、適用可能な技術は多岐
にわたります。 それらの手法や技術は一般的に利用されているあらゆるものが利用できると考
れらの手法や技術は一般的に利用されているあらゆるものが利用できると考
えてください。 古くから利用されているだれでも知っているような基礎技術の利用は基本的であっ
古くから利用されているだれでも知っているような基礎技術の利用は基本的であっ
て、それらの組合せだけでも十分にビジネスアナリシスが実行可能です。
だけでも十分にビジネスアナリシスが実行可能です。 要するに難しい手法を
使うことではなく、簡素な方法をどう使いこなすかです。
・いろいろなビジネスの分析手法やビジネスモデルが提案されていますが、それらは一般的な思
・いろいろなビジネスの分析手法やビジネスモデルが提案されていますが、それらは一般的な思
考方法の組合せや、視点を変えた解釈などが多く、本質的な問題解決の側面からは古くから一般
的に実施されていることと大きく変わること
的に実施されていることと大きく変わることはありませんから、それら手法の性質を判断しながら
性質を判断しながら
利用可能な場面でうまく利用していくことによりビジネスアナリシスの効果的な実践が可能です。
うまく利用していくことによりビジネスアナリシスの効果的な実践が可能です。
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■手法と技術は目的と必要性から選ぶ
・数多くある手法や技術からどの手法や技術を利用するかは、目的と必要性から選ぶことが基本
です。 その中でも、単純なものから選ぶことがよいでしょう。 技術ありきで新しい技術をどこへ使
おうかということではなく、ビジネスアナリシスの各段階の目的として、何をしたいか、その時の周
囲環境や実施条件は何か、結果として何が得たいのか、などから最も適した方法を選ぶことが原
則です。 もちろん、必要な負荷や能力的な適用性の判断が必要ですから目的に合った手段の中
から最も目的に適した実行しやすい手法を採用するすることがよいでしょう。 実行組織の能力を
超えた難しい手法や規模の選択は避けるべきです。
■手法や技術の関係構造を考える
・ビジネスアナリシスを実行するときに、対象とする課題や問題に対して、やみくもにその手順を考
えたのでは全体の推進における相互連携の整合性が取れないうえ、状況の把握もできませんし、
検討事項に見落としが生じます。 したがって、実行プロセスを何らかの形で体系化して考えるこ
とが必要になります。
・システムや要素技術の体系的整理に用いられる構造には、階層型構造とネットワーク型構造と
があります。 組織構成の体系は一般に階層型であり、コミュニケーションの拠点間の関係は一
般にネットワーク型であることはその典型例です。 そのほかに何かを中心としたハブ・アンド・ス
ポーク型などもありますが、同じ対象でもこれらを複合的に使うことも可能です。 このような考え
は、ビジネスアナリシス全体のプロセスを考える上で、どのような形で問題解決をしていくかという
判断構造を考えるためにも基礎になる方法の一つです。
・ここでは、ビジネスアナリシスを構成する手法や技術の体系化が対象ですが、その目的や機能
を中心においた階層構造で考えることが分かりやすいと思います。 最上位にはビジネスアナリシ
スの推進という目的を設定し、その次の階層にそのために実行すべき業務領域の構成を置き、さ
らに次の階層にそれらの業務領域を実行するための手段、その次の層に実行手段を実現する手
法、そして最後の階層にそれら手法の実行のために利用される種々の要素技術があるという階
層です。 ここで、下位の階層に現れる具体的な手法や要素技術は上位層のあちこちで利用され
ることがありますので、その意味では、階層構造だけでなく、ネットワーク構造をも含んでいます。
ビジネスアナリシスの実行においては、作業の上流の結果をもって次の段階の条件とすることが
多いので、全体を階層構造で考えることは合理的です。
・これらの構造に付随して、まとまったビジネスモデルや、経営評価モデルなどを利用することも、
あるいは組織外のサービスやパートナーの利用など問題解決の一つの手段として利用することも
ありますので、問題解決の構造は柔軟に考えることが必要です。 なお、実行者の基礎能力、例
えば知識、経験、判断力、指導力、人間性などに関する条件は重要な構成要素の一つですが、こ
れらは階層構造の中に入れないで全体に影響する要件として別途分類したり、管理面の手法の
階層を考えたりするのがよいでしょう。
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■手法と技術の体系的理解
・ ビジネスアナリシスのプロセスを構成する種々な業務領域、例えば、ビジネスアナリシスの全
体実行計画策定、環境や現状の調査、分析評価、要求の収集分析、解決手段の選定、プロジェ
クトの実行管理、成果の測定、などでは それらの業務領域の実行には、具体的な手法を組み合
わせますが、それらには種々な分析法、評価法、解析法、モデリング技法、などが含まれ、多くの
汎用的な要素技術を活用します。 特定の経営分析モデルやビジネスモデルを適用することも可
能です。 それらの調査方法、分類法、表記法、議論の方法などは日常利用する汎用的な手法や
技術が殆どです。 利用される手法や技術をこのように階層的に考えて整理しておきますと理解し
やすく、どのような手法や技術がどのように利用できるかの理解が容易にできます。
・ビジネスアナリシスにおける手法や技術の体系は、実行プロセスの業務領域を第一階層に選択
して、階層展開をしていくと分かりやすいと思いますが、下位層になりますと適用先が重複します
ので、適用先と要素技術の関係をマトリックス表示すると効果的です。
・別の視点から見れば、業務内容により必要な処理機能、すなわち業務処理フローの体系と、処
理機能に関する体系的処理、すなわち類似な処理機能を持つ処理方法の体系との二つの視点
からの体系的整理をしておくことが利用面からも効果的です。
■
人間的基礎能力
・最後に、そして最も重要なのは、実行リーダーと主要メンバーの人間的基礎能力です。 業務や
技術に関する知識、理解力、意思判断の妥当性と迅速性、問題解決力、コミュニケーション能力、
調整力、などの他に大切なのは人間関係のマネジメント能力です。 ビジネスアナリシスは人と人
との関係のマネジメントが非常に大切な要素です。
・ビジネスアナリシスにおける課題や問題解決の方法は一つではありません。 多くの手法や技術
を組み合わせて、最も適切と思われるプロセスを組み立てなければなりません。 一つの方法でう
まくいかなければ他の方法を試みることも必要です。 そのためには発生した問題の正しい背景
や状況を捉え、真の原因を追究し、実行組織の解決能力を理解して、考えられる手法の適合性や
妥当性を評価しなければなりません。 プロセスが同じであっても、そこで適用できる技術には自
由度がありますので、最も適した方法であることを判断して、実行技術を選択する必要があります。
同じプロセスであっても、実行者の能力によってその結果には大きな差異が生まれます。 ただ、
論理的に高度な技術を用いればよい結果が得られるということではないという理解が大切であり、
いかにして簡素な方法を駆使するかが実行の効率を上げ、成功に導く鍵であることの認識が必要
です。 実行する人たちの人間的基礎能力は、手法や技術を活かす要です。
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