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Cube-it: 複数のRFIDタグを用いたタンジブルインタフェース

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Cube-it: 複数のRFIDタグを用いたタンジブルインタフェース
WISS2007
Cube-it: 複数の RFID タグを用いたタンジブルインタフェース
Cube-it: A Tangible Interface using Multiple RFID Tags
吉田 諒
安村通晃∗
Summary.
In this paper, we propose a cubic object ”Cube-it” that contains 6 RFID tags. Usually,
one RFID tag is attached to one object. As a result, only two interactions could be used, to get the tag
close to the reader, or to get it away from the reader. By using multiple tags in one object, it is able
to use the physical condition of the object for interaction. Compared to sensors, the power supply isn’t
required for RFIDs and also they are considerably low cost. We have developed two types of applications
using Cube-it; one is to control the status of the MSN Messenger, and the other is to control the channels
of TV.
1
はじめに
一般的に RFID は,一つのオブジェクトに対して
一つの ID が付与されている.そのため,リーダー
に対してオブジェクトを近づける/遠ざけるという
2つのインタラクションのみが行なわれているケー
スがほとんどである.しかし,実世界においてはオ
ブジェクトを傾けたり回転させたり裏返したりする
ことにより,そのオブジェクトが持っている意味が
変化する場合が多いが,現状の RFID におけるイン
タラクションにはそのような空間的な情報が持つ意
味やユーザーによる操作がほとんど反映されていな
い.また,例えばトイレと書かれたカードとリビン
グや玄関と書かれたカードは,情報としては関連し
ているにもかかわらずそれぞれ別のオブジェクトと
して存在しているため,ユーザーが扱う情報が増え
るとともにオブジェクトの数が増えてしまい,複雑
さを伴う.複数の情報を一つのオブジェクトに統合
して整理することが必要になってくる.
そこで,本研究では一つのオブジェクトにおける
空間的な動きを考慮することによって,より触知的
な操作を行なうことができるインタフェースを提案
する.特に今回は,立方体型のオブジェクトの各面
にタグを取り付け,オブジェクトの回転状態によっ
て認識されるタグを変えることにより,オブジェク
トが持つ空間的な意味を利用したキューブ型タンジ
ブルインタフェース Cube-it を提案し,その試作を
行なった.
∗
Copyright is held by the author(s).
Ryo Yoshida, 慶應義塾大学政策・メディア研究科, Michiaki Yasumura, 慶應義塾大学環境情報学部
図 1. RFID スイッチの構造
2
2.1
Cube-it のプロトタイプ
コンセプト
タンジブルインタフェースでは加速度センサーな
どを用いることが多いが,Cube-it の実装において
は複数の RFID タグを一つのオブジェクトに内蔵す
るという手法を用いる.RFID タグはセンサーと比
べると非常に安価であるため,オブジェクト自体の
コストが少なくて済み,普及性の点において優れて
いると考えられる.また,センサー類と違って電源
が必要でないため,配線の問題や電池の内蔵や交換
といった問題が起きない.
2.2
RFID スイッチの試作
今回,RFID リーダーとして Texas Instruments
の Microreader S2000 とガラストランスポンダ(タ
グ)を用いてプロトタイプの試作を行なった.
実装の特徴として RFID タグが金属に触れると読
み取りが遮断される性質を利用し,立方体の各面に
埋め込んだタグのうち,底面のタグのみが反応する
ようにし,その他のタグは遮断するという仕組みを
用いた.タグを台形柱状の容器に入れ,その底面に
WISS 2007
だけアルミ箔で覆うことで,傾きに応じて実際にタ
グを動かし,アルミ箔側にタグが動いた場合は読み
取りが行なわれず,アルミ箔に覆われていない側に
動くと読み取りが行なわれる(図1).これを”RFID
スイッチ”として,立方体型の発泡スチロールの6
面に埋め込んだ(図2).
図 2. タグ,RFID スイッチ,立方体型への埋め込み
の主なチャンネル設定を基準とし,立方体の各面に
は 3,4,6,8,10,12 の6つのチャンネルを割り
当て,Cube-it をリーダーから外したデフォルトの
状態を1チャンネルとした.
3
今後は,今回の二つのアプリケーションに加えて,
他のアプリケーションの実装も行なっていく予定で
ある.また,Cube-it の有効性を検証するために認
識率,操作時間などの評価実験を行なう予定である.
さらに,一つの面における回転や,複数のオブジェ
クトを積み木のように積むというようなインタラク
ションまで考慮する場合,他のセンサーなどを併用
する必要性も考えられる.また,今回は同時に一つ
のタグの認識を行なっていたが,複数のオブジェクト
を同時に利用する際には,複数のタグ認識をする必
要があるため,アンチコリジョンつきの RFID リー
ダーとタグを使用する必要があり,実装の検討も進
めていきたい.
4
図 3. Cube-it プロトタイプ(左は TV チャンネル用,
右はメッセンジャー用
Cube-it を用いた応用的な使用方法として,メッ
センジャーのステータス制御とテレビのチャンネル
制御の二つのアプリケーションを試作した.立方体
を用いた場合,6つの面の各々と,リーダーからタグ
が外れた状態を会わせると7つの状態に対応できる.
2.3
メッセンジャーのステータス制御
1つ目のアプリケーションとして,Cube-it で認識
された面のタグに応じて,C#から MSN Messenger
API を通じて MSN Live Messenger のステータス
の制御を行なうアプリケーションを試作した.オン
ライン,オフライン,昼休み,退席中,一時退席中,
取り込み中の6つの状態に加え,Cube-it をリーダー
から外すことでオフラインに設定できるようにした.
2.4
テレビのチャンネル制御
2つ目のアプリケーションとして,PC に接続さ
れた学習リモコンクロッサム2+を通じて Cube-it
で認識された面のタグに応じたテレビチャンネルの
変更を行なうアプリケーションを試作した.首都圏
今後の展望
まとめ
既存の RFID によるインタラクションは一つの
オブジェクトに対して一つの ID が付与されており,
空間的な傾きや裏表などの情報が失われている.ま
た情報のグルーピングがなされていないことによ
りオブジェクトの数が増えることにより複雑化する
問題もある.そこで,本研究では傾きに応じて複数
の RFID を切り替える仕組みを用いキューブ型イン
タフェースとして Cube-it の試作とそのアプリケー
ションとして,メッセンジャーのステータスコント
ロールとテレビのチャンネル切り替えの2つを試作
した.今後は Cube-it の応用アプリケーションの試
作を進めるとともに,評価,改善を行なっていく予
定である.
参考文献
[1] S. Hinske and M. Langheinrich. RFIDice - Augmenting Tabletop Dice with RFID. In Proceedings of 4th International Symposium on Pervasive Gaming Applications, 2007.
[2] T. Masui, K. Tsukada, and I. Siio. MouseField:
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LNCS3205, pp. 319–328, 2004.
[3] T. Matsumoto, D. Horiguchi, S. Nakashima, and
N. Okude. Z-agon: mobile multi-display browser
cube. In CHI ’06 extended abstracts on Human
factors in computing systems, pp. 351–356, 2006.
[4] 石山琢子, 塚田浩二, 安村通晃. 想起将棋の提案
と試作. ヒューマンインタフェースシンポジウム
2005 論文集, pp. 483–486, 2005.
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