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車載用電池:トヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車が生産体制を

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車載用電池:トヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車が生産体制を
2016/4/5
車載用電池:トヨタ、ホン ダ、日産、三菱自動車が生産体制を 拡充 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
車載用電池:トヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車が生産体制を拡充
ソニーが車載用電池参入を検討、出光興産は全固体型電池を開発
2010.3.29 No.865
トヨタ/パナソニック:Prius PHEVを2年後に数万台規模で販売
三洋電機:2010年、加西事業所に新工場を建設し、リチウムイオン電池を増産
日産/NEC:2012年に、日米欧でEV 40万台分のリチウムイオン電池生産を計画
三菱自動車/GSユアサ:滋賀県栗東市に、本格量産工場を建設
ホンダ/GSユアサ:2010年秋にリチウムイオン電池の生産を開始
日立製作所:第4世代リチウムイオン電池とPHEV用電池を2013年から量産
東芝:柏崎市に第2量産工場を建設し、2011年春に生産を開始
三菱重工:2010年秋に量産実証工場を稼動、本格量産工場建設も計画
ソニー:車載用電池への参入を検討し、開発中
出光興産:全固体リチウムイオン二次電池を発表、2012年に商品化
要 約
以下は、日本の自動車メーカーおよび主要な車載用二次電池メーカーの、リチウムイオン電池とニッケル水素電池
の開発・生産体制確立に関する最近動向概要である。
トヨタ(パナソニックと提携)、日産(NEC)、三菱自動車(GSユアサ)が、急速に生産体制を強化している。
三洋電機と日立製作所は、特定の自動車メーカーと提携せず、独立路線で受注拡大を目指す。両社はPHEV用
電池の開発も発表した。
東芝と三菱重工は、リチウムイオン電池の量産工場建設計画を発表した。
ソニーは車載分野への参入を検討中と発表。出光興産は、全固体リチウムイオン二次電池の商品化を目指す。
日本の自動車メーカー、車載用二次電池メーカーの開発・生産計画
主な供給
計画の概要
先
PEVEは2010年に宮城新工場を稼動させ、ニッケル水素電池の年産能力を、2010
パナソニック
EVエナジー
トヨタ
年秋に 110万台分に拡大する。
トヨタは、リチウムイオン電池を搭載するPrius PHEVを、2012年から年間数万台規
(PEVE)
模で市販する計画。
ホンダ,
三洋電機
Ford, VW
VW
Energy
Supply
が2010年に発売するHEV への供給も開始。
リチウムイオン電池は、2009年末に徳島工場、2010年 に加西工場で生産を開始
し、2015年までに月産1,000万セルとする計画。
日産と NEC グループが共同設立したAESCは、2009年 7月、座間事業所でリチウ
AESC
(Automotive
2010年始めに、ニッケル水素電池生産体制を月産300万セルとした。VW /Porsche
ムイオン電池の試作を開始した。2011年度までに 65,000台分の年産体制を構築す
日
る。
産/Renault 日産/Renaultは、米国, 英国, ポルトガル、フランスにも リチウムイオン電池生産拠
点を設立し、2012年には世界でEV 40万台分の生産を計画している。(中国での生産
Corporation)
も検討中)
リチウムエナ
ジー
GSユアサ/三菱自動車/三菱商事が共同設立したリチウムエナジージャパンは、
三菱自動
2010年末の年産能力を i-MiEV 17,000台分に増強。さらに滋賀県栗東市に、本格
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ジャパン
車
量産工場を建設する。
GSユアサとホンダと共同設立したブルーエナジーの新工場 (京都市) が2010年秋
ブルーエナ
ホンダ
ジー
に稼動予定。2011年に全面改良予定の Civic HEV、Acuraブランドに設定するHEV
などにリチウムイオン電池を供給する。
商用車メー 日立製作所の第2世代、HEV 商用車向けリチウムイオン電池の月産規模を、4万セ
カー
日立製作所
GM
ルから 5万セルに拡大した (2010年初め)。
出力密度を 3,000W/kg に高めた第 3世代リチウムイオン電池の量産を2010年末
に開始する。GM の次世代マイルド HEV 用に、年産 10万台分供給を計画。
2008年3月に佐久工場を稼動させ、新型リチウムイオン二次電池SCiBの生産を開
始。さらに250億円を投資して柏崎市に第2量産工場を建設し、2011年春に生産開
始。
東芝
VW
三菱重工
ソニー
出光興産
HEV/EV用 SCiBを開発中。東芝は、リチウムイオン電池を含むEV の駆動システム
開発で VW と提携している (09年2月発表)。
約100億円を投資して、2010年秋までに量産実証工場を長崎造船所内に建設、稼
動させる。2012年度末にさらなる本格的量産工場を稼動予定。
2009年11月、リチウムイオン電池分野へ積極投資し、攻めの戦略に転じると発表し
た。車載用電池への参入も検討中。
全固体リチウムイオン二次電池を開発中。2010年に車載用電池の試作品を作り性
能評価し、2012年にも商品化を目指す。
資料:各社発表、各紙報道
(注)日立製作所と三洋電機は、PHEV用リチウムイオン電池の開発も発表した。
トヨタ/パナソニック:Prius PHEVを2年後に数万台規模で販売
トヨタ/パナソニック合弁のパナソニックEVエナジー(PEVE)は、2010年秋にニッケル水素電池の年産能力をHEV
110万台分に拡大する。
トヨタは2009年末に、リチウムイオン電池を搭載するPrius PHEV約600台を市場投入し、同時に2年後に年間数万
台規模で市販すると発表した。
PEVEは、次に能力増強をする場合どちらの電池にするかは、市場の趨勢を見極めながら決定するとしている。
PEVE:2010年秋に、ニッケル水素電池年産110万台分体制を確立
トヨタとパナソニック合弁のパナソニックEVエナジー(PEVE)の、2009年末のニッケル水素電池生産能力は80万
台相当分だったが、2010年 1月に宮城新工場の第 1ライン、4月に第 2ライン、10月に第 3ラインが稼動開始し(各
年産 10万台分)、年産能力は110万台に拡大する。
トヨタ:2年後に数万台規模でPrius PHEVを市販
トヨタは2009年12月、リチウムイオン電池(トヨタの貞宝工場で生産する)を搭載するPrius PHEV約 600台の、日
米欧市場の法人ユーザー向けリース販売を開始した。EV走行は、航続距離をHEV Priusの約 2kmから23.4km
に、最高速度を 55km/hから 100km/hに引き上げた。 同時に2年後に市販を開始し、年間数万台規模での市販
を目指すと発表した。
■トヨタ:PHEV/EV向け電池の量産技術担当部署を設置
トヨタは2010年 1月 1日付で組織を再編し、PHEV/EV用電池の量産技術を確立するための"電池生産開発
部"を設置した。電池研究部のある東富士研究所に置き、随時連携を図りながら、次世代電池の生産技術の開発
を進める。
資料:トヨタ広報資料 09.12.14/09.12.22、日刊工業新聞09.12.23/2010.3.1、日経産業新聞2010.1.5
(注) トヨタは2011年に、車室を広くとるためにリチウムイオン電池を搭載した 3列シートミニバンを、HEV専用モデル
1-1. として国内発売する計画とされる。
1-2.トヨタは、2012年に排ガス規制を強化する米国 California州に、小型EVを投入する計画。
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2-1.トヨタは、今後 5~10年は、車の性格に応じて、リチウムイオン電池とニッケル水素電池を使い分ける方針とさ
れる。
2-2.PEVEは、ニッケル水素電池は生産性や信頼性で 1日の長があり、性能をさらに高めればコスト面での優位もさ
らに引き立つようになり、外販の余地も大きいとしている。また次に能力増強をする場合にどちらの電池に傾斜
するかは、市場の趨勢を見ながら決定するとしている。
3. パナソニックは、2010年 4月に、住之江工場でリチウムイオン電池の生産を開始する。第1期として月産 2,500
万セルを生産、時期は未定だが、第2期では月産 5,000万セルに拡大する。将来EVへの供給も視野とされる。
三洋電機:2010年、加西事業所に新工場を建設し、リチウムイオン電池を増産
三洋電機は、2015年までに約800億円を投資し、リチウムイオン電池事業の展開を加速する計画。2020年の長期
目標は、車載用電池での世界シェア40%。
徳島工場のリチウムイオン電池量産第1号ラインに次いで、2010年 7月に加西事業所に建設している量産第 2号
ラインが竣工する。今後の需要を見ながら加西事業所の生産規模を拡大し、2015年に月産1,000万セルを目指す。
PHEV用電池の開発も加速し、2011年に量産を目指すとしている。
ニッケル水素電池については、2010年初めに月産300万セル体制に拡充した。
なお、パナソニックは、2009年12月9日をもって、三洋電機株式への公開買い付けが終了したと発表した。
三洋電機:リチウムイオン電池と、ニッケル水素電池の生産能力を増強
長期
目標
2020年に、車載用電池(HEV/PHEV/EV)世界市場でシェア 40%を目標とする。
三洋
電機
三洋電機は、二次電池で45年間の開発・生産実績がある。民生用二次電池でトップシェアを維持してい
の強
る品質のレベルを、車載用電池でも実現する。
み
販売
特定の自動車メーカーと提携するのでなく、全方位販売で数量を確保しコストダウンを目指す。複数カス
政策
タマーとの開発による技術の蓄積・商品への展開も期待できる。
リチウ 徳島工場では、2006年 3月からHEVリチウムイオン電池のパイロットラインを導入し、サンプル電池の試
ムイオ 作・出荷を行ってきた。徳島工場に量産第1号ラインを導入し、2009年末からHEV年間 15,000~20,000
ン
台分を生産する(高効率・省力化したラインの開発・導入の役割を担う)。
電池
の生
加西事業所に約 130億円を投資して、HEV用リチウムイオン電池の量産第2号ラインを導入し 2010年7
産体
月に竣工予定、当初月 100万セルを生産する。2010年に、大容量セル用の量産第 3号ラインも導入、順
制
次生産能力を増強し、2015年に月産 1,000万セルを目指す。
PHEV
用リチ
ウム
三洋電機は、PHEV用の 20Ah(HEV用電池の約 4倍)級リチウムイオン電池を開発中。今後、2011年の
量産に向け開発を加速する。
イオン
電池
を開
SOC(充電状態)0~100%のサイクルで、充放電 10,000回の耐久性を実証した(1回/日の充放電で 20
年以上)。深い深度での充電・放電の繰り返しでの長寿命を実現した。
発
ニッケ
ル水
素電
三洋電機は、ホンダInsight の販売好調を受け、洲本工場の生産能力を 2008年度の月産 100万セル
から、2009年度に月産 200万セルに引き上げた。
池の
生産
2009年10月に、加西事業所にニッケル水素電池の生産ラインを敷設し、当初月産 100万セルを生産す
体制も る。洲本工場と合わせて月産 300万セル体制に拡充した。
拡充
資料:三洋電機の車載用電池事業の説明会(2009.10.21)三洋電機広報資料 08.5.28/09.5.18/2010.3.15
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(注) 三洋電機は、EV用電池も開発しているが、開発課題が大きくブレークスルーが必要であり、当面はHEVと
1. PHEVがメインとなり開発と普及が進むと予測している(2009年10月発表)。
2.三洋電機は2008年5月、VWとHEV用次世代リチウムイオン電池システムの共同開発で合意している。VW 向け
も含め、将来は、リチウムイオン電池の海外生産を検討。その場合、政治的な制約がなければ素電池(電池の
基幹部分)は国内で大量生産し、システム組立を海外工場で実施したいとしている。
3.三洋電機は、VWと、2006年 1月からニッケル水素電池開発でも提携している。VWグループが 2010年に発売
するPorsche Cayenne HEV、VW Touareg HEVにニッケル水素電池を供給する。
4.三洋電機は、PSAが2011年に発売するディーゼルHEV(Peugeot 3008 Hybrid4と、Citroen DS5 Hybrid4)に
ニッケル水素電池を供給する。加西事業所で生産し、輸出する(2009年11月発表)。
5.パナソニックは、2009年12月、12月9日をもって三洋電機株式への公開買い付けが終了したと発表した(三洋
電機の議決権付き株式の 50.19%を取得し、子会社化した)。
日産/NEC:2012年に、日米欧でEV 40万台分のリチウムイオン電池生産を計画
日産は2010年度内に、日米欧市場にEV Leafを導入し、2012年から世界規模で量販する計画。
2009年7月に日本でリチウムイオン電池の試作を開始し、次いで米国、ポルトガル、フランス、英国でも生産し、
2012年には世界でEV 40万台分の電池を生産して、EVとリチウムイオン電池のリーダーを目指す。
日産/NEC:2012年、リチウムイオン電池を日米欧でEV 40万台分生産
日
日産・NEC合弁の AESC (Automotive Energy Supply Corporation) は2009年 7月、座間事業所でEV向
本
けリチウムイオン電池の試作を開始した。2010年後半にはEV 65,000台分の生産体制とする。
米
2012年までに、米国のSmyrna 工場に、リチウムイオン電池 20万台分の設備を構築する。(Smyrna工場
国
は、EVも最大 15万台生産する)
英
日産の車両工場がある Sunderland に、リチウムイオン電池を生産する新工場を建設する(年産能力は、
国
EV 6万台分)。(Sunderland工場は、2013年初頭から、EVも年間 5万台の規模で生産する)
ポ
ルト 2010年に新工場建設を開始し、2012年に生産を開始する。日産/Renaultは、160百万Euro を投資し、車
ガ
両 5万台分の年産能力を構築する。
ル
日産/Renault、フランス原子力庁 (CEA)、フランス国家戦略投資基金 (FSI) が、EV用電池の開発・生産を
フラ
ンス
行う合弁会社を設立する。初期段階における投資額は推定 600百万Euro。FSI や欧州投資銀行 (FIB) が
支援の融資を行う。
Renault のフラン工場で、2012年半ばから年間EV 10万台分のリチウムイオン電池を生産する。生産する
電池は、あらゆるメーカー向けに販売するとしている。
資料:日産広報資料 2009.7.16/2009.7.21/2009.11.5/2009.12.8、日刊自動車新聞 09.10.9
(注) AESC 製リチウムイオン電池は、NECグループが開発した熱安定性の良いマンガン系正極を使用し、放熱性の
1. 高い積層構造を採用している。実車走行試験で安全性が立証されたとしており、寿命も 10万km以上走行が可
能 (日産の Hybrid車のテスト走行結果)。
2.日米と欧州 3ヶ国での、既に発表したリチウムイオン電池の年産能力合計は、2012年にEV 47.5万台分。日産
は、Renault および他社向けを含め、2012年には 40万台分のリチウムイオン電池を生産し、コスト削減で他社
に先行する計画とされる。
3.日産は、電池生産工程を自動化し、できるだけ人手をかけないで品質を均一に安定させるとともに、海外工場
への展開を容易にする方針とされる。
4.日産は、上記に加えて、中国でもEV(車両)とリチウムイオン電池を生産する計画。
三菱自動車/GSユアサ:滋賀県栗東市に、本格量産工場を建設
三菱自動車、GSユアサ、三菱商事合弁のLithium Energy Japanは、リチウムイオン電池を生産し、三菱i-MiEV向
けに供給している。
三菱自動車は、i-MiEVを2009年度に1,400台販売した。2010年度販売計画は輸出を含め9,000台。2012年度に
30,000台販売し、EV事業を黒字化する計画。
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Lithium Energy Japanの2010年度末の年産能力はi-MiEV 17,000台分。さらにGSユアサが滋賀県栗東市に土地
を取得し、2010年10月に着工して今後のEV展開を見据えたリチウムウイオン電池の本格的量産工場を建設する。
三菱自動車/GSユアサ:三菱 i-MiEVへの電池供給体制を強化
■GSユアサ:滋賀県栗東市に、リチウムイオン電池の本格量産工場を建設
GSユアサは、2009年11月に滋賀県栗東市内の土地5.6haを選定し、栗東市と交渉し取得した。2010年10月に着
工して、Lithium Energy Japanの新工場を建設する。今後の展開を見据えた本格的量産工場とする。2012年春に
稼動し、年 10万台分強の電池を生産し、三菱自動車以外へも供給を目指すとされる。
■三菱自動車:2010年6月から、電池パックを内製化
三菱自動車は、2010年1月、i-MiEV用電池のパック化を、Lithium Energy Japanの滋賀事業所から、i-MiEVを
生産する水島製作所に移管すると発表した。電池生産過程での物流や管理を見直し適正化し、さらなる増産余地
を確保して、トータルの競争力を強化する。2010年6月から実施予定。
資料:GSユアサ広報資料 09.11.16、三菱自動車広報資料 2010.1.18/2010.3.8
(注) Lithium Energy Japanは、2010年度に滋賀事業所の生産能力を i-MiEV年間2,000台分から7,000台分に増
1. 強、京都工場でも生産を開始し(既存工場を改修し一時的に使用)、両工場合わせた2010年度末の年産能力
を17,000台分に増強するとされる。
2-1.2010年3月、三菱自動車は、i-MiEVをベースとする EVを PSAに供給する契約を締結した。2010年10月に生
産を開始し、2010年末からPSAが市場投入する。PSAは、官公庁や大企業向け中心に年間 25,000台、2010
年代半ばまでに累計で 10万台の販売を見込んでいる。
2-2.三菱自動車は、三菱ブランドでの i-MiEVの欧州販売を 2010年度末までに開始、北米販売を 2011年より開
始する。
ホンダ/GSユアサ:2010年秋にリチウムイオン電池の生産を開始
GSユアサとホンダの合弁会社Blue Energyは、2010年秋にリチウムイオン電池の生産を開始する。最終的にHEV
年間20~30万台分まで生産体制を増強するとされる。
ホンダは、2011年をめどに全面改良予定のCivic HEV、Acuraブランド車に設定するHEV、2010年代前半に米国
California州に投入する近距離コミューター型EVなどに搭載するとされる。
日立製作所:第4世代リチウムイオン電池とPHEV用電池を2013年から量産
日立製作所は、2000年以来のリチウムイオン電池生産実績と、エンジンや車体に関する制御技術のノウハウ、関
連するモーターやインバーター製造のノウハウがあり、特定の自動車メーカーと提携せず、独立路線をとり幅広い受
注を目指す。
2006年に発売した、日立が第2世代と呼ぶ商用車向けリチウムイオン電池の生産を、2010年初めに月産4万セル
から5万セルに拡大した。2010年末から、GMの次世代マイルドHEV向けに第3世代電池を量産する。
また出力密度を4,500W/kgに高めた第4世代と、エネルギー密度を120Wh/kgに高めたPHEV用電池を、2013年
をめどに量産する。
日立製作所の、リチウムイオン電池のスペック
第2世代
第3世代
第4世代
PHEV用
重量
0.3kg
0.26kg
0.24kg
0.75kg
平均電圧
3.6V
3.6V
3.6V
3.6V
容量
5.5Ah
4.4Ah
4.8Ah
25Ah
出力密度
2,600W/kg
3,000W/kg
4,500W/kg
2,400W/kg
エネルギー密度
66Wh/kg
61Wh/kg
72Wh/kg
120Wh/kg
資料:日立ビークルエナジーの、第1回国際二次電池展配布資料(2010年3月)
(注) 出力密度は単位重量あたりのパワーで、W(ワット)/kgで現し、瞬発力に寄与する。エネルギー密度は、単位重
1. 量あたりに蓄えられるエネルギーで、Wh(ワット・アワー)/kgで現し、持続力=航続距離に寄与する。
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2.HEV用電池で比較すると、リチウムイオン電池は、出力密度・エネルギー密度とも、ニッケル水素電池の 2.3倍
とされる。
日立製作所:HEV用第2世代~第4世代と、PHEV用リチウムイオン電池をラインアップ
日立製作所は、第2世代と呼ぶ商用車向けリチウムイオン電池を生産している。2005年に始まった米国
第2世 Eaton向けが中国向けを中心に急増し、2009年7月に月産 1万セルから 4万セルに引き上げた。2008年か
代電
池
らはハイブリッド車用モーター、インバーターも合わせて納入している。
2010年初めに、さらに月産 5万セル体制に引き上げた。Eaton社向けの電池搭載個数は車種により異な
るが、台数にして年間数千台規模。フル生産状態なため、ラインの増設も検討する。
第3世
代電
池
日立製作所は、2009年10月、日立ビークルエナジーに月産 30万セルの量産ラインを完成させた。新ラ
インは 2010年末から本格稼動し、出力密度を 3,000W/kg に高めた日立の第 3世代リチウムイオン電池
を生産して、GM の次世代マイルドHybrid車 (BAS+) に供給する。 日立製作所の車載用電池生産能力
は、第2世代と合わせて月産 35万セルとなり、年間 10万台以上の HEV に供給可能になったとしている。
第4世 日立製作所は、第4世代の角型リチウムイオン電池セルを開発中 (2009年 5月に初公開)。出力密度は、
代電
池
第3世代の 1.5倍の 4,500W/kg で、高出力アシストとエネルギー回生の効率アップが可能になる。2013
年から量産を目指す。
日立製作所は、日立ビークルエナジーと PHEV用リチウムイオン電池を共同開発し、2010年春より国内
PHEV 外の自動車メーカーにサンプル出荷を開始する。2013年から量産し、車載用途に加え、鉄道、建設・産業
用電
池
(注)
機械、スマートグリッド用などの分野での活用を目指す。
PHEV用電池として、EV走行 20kmを可能とした。そのために、電気容量を HEV用電池の4~5倍の
25Ahに高め(日立の HEV用電池の電気容量は5.0Ah前後)、エネルギー密度をHEV用電池の約 2倍の
120Wh/kgに高めた。
資料:日立製作所広報資料 09.5.19/09.10.19/2010.1.12、日刊工業新聞 2010.3.15
(注)PHEV用リチウムイオン電池においては、一定のEV走行を可能にするため、高いエネルギー密度が必要になる
(HEVでは、瞬発力を現す出力密度が重要)。日立製作所によると、高出力と高エネルギーは、電池設計にお
いて相反する性質があるが、電極活物質の組成と電極厚みの最適化等により、この2つを両立させる新たな電
極を開発した。
東芝:柏崎市に第2量産工場を建設し、2011年春に生産を開始
東芝が開発した新型二次電池SCiB(Super Charge ion Battery)は、長寿命(6,000回の充放電が可能)、5分で
90%急速充電が可能などの特徴がある。2008年 3月に、佐久工場で生産開始し、2011年春に第2量産拠点として、
柏崎市に新工場を稼動させる。
東芝は新工場建設により、電動車両やスマートグリッドなどに使用される電力貯蔵向けなどへ供給する体制を構築
し、2015年に売上高 2,000億円を目指すとしている。
東芝:柏崎市に、新型二次電池 SCiBの第2量産拠点を建設
東芝は新型 リチウムイオン電池の SCiB を開発した。一般の リチウムイオン電池の負極材は炭素系材料だが、
熱安定性の高い微粒子のチタン酸リチウムを負極に使用しているのが構造の特徴 (正極はマンガン材)。出力密度
3,250W/kg、長寿命 (約 6,000回の充放電後も容量低下は僅か)、低温特性 (マイナス 30℃ でも十分な放電が
可能)、50Aの大電流充電による急速充電 (5分で 90%) 等が性能面の特徴。
2010年3月、SCiBの第 2量産拠点として、柏崎市の柏崎 フロンティアパーク内に新工場建設を開始した。投資
額 250億円 で、10月に竣工予定。2011年春に当初月産 50万セルの生産能力で生産を開始し、車載用途向けの
市場が本価格化する 2011年度中に、生産能力を順次拡大する。
東芝は、SCiB事業を成長性の高い新規事業と位置づけている。柏崎市の新工場建設により、電動車両用途向
け、さらに将来的にはスマートグリッドなどで使用される電力貯蔵用など、新たな市場における需要急増にタイムリ
ーに対応できる体制が整うとし、2015年に売上高 2,000億円を目指すと発表した。
資料:東芝広報資料 09.8.7/09.10.28/2010.3.19、慶応大学広報資料 09.8.7
(注) 東芝は佐久工場に月産 15万セルの設備を設け、産業機器や電動自転車向け等の生産を2008年 3月に開始
1. http://www.marklines.com/ja/report/rep865_201004
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車載用電池:トヨタ、ホン ダ、日産、三菱自動車が生産体制を 拡充 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
した。
2. 東芝は2009年2月、リチウムイオン電池を含む、EVの駆動システム開発でVWと提携した。
3-1.東芝は、神奈川県、東京電力、いすゞ、慶応大学などが参画する"電動フルフラットバスの開発と実証プロジェク
ト"にSCiBを納入して、同研究に協力する(2009年8月発表)。開発するバスは、インホイールモーターを使用
し、低床化とフルフラット化を実現し、2010年末までに試作車を完成する。
3-2.東芝は、バスの 1日の走行距離である150km(実走、エアコン使用時)の容量の EV向け電池を供給する(充電
は 1日1回で済む)。
三菱重工:2010年秋に量産実証工場を稼動、本格量産工場建設も計画
三菱重工は、移動体用の中型電池と定置用の大型電池を開発。量産実証工場を長崎造船所内に建設し、2010年
秋までに稼動させる計画。2011年をめどに、さらなる本格的な量産工場着工を計画している。
三菱重工:2010年秋に量産実証工場を稼動、本格量産工場建設も計画
三菱重工は、1988年から九州電力と共同研究し、主に移動体用の中型電池(定格容量165Wh)と、定置用(電力
貯蔵用)の大型電池(同350Wh)の 2種類の電池を開発した。定置用電池は、風力発電設備や太陽光発電など自
社製品の蓄電装置に組み込んだり、電力会社の非常用電源として活用。移動体用は、自社開発したHybridフォー
クリフトに搭載する他、EV/HEV向けの納入を目指す。
リチウムイオン電池事業への本格参入に向け、約100億円を投資して、2010年秋までに量産実証工場を長崎造
船所内に建設し稼動させる計画。年間生産能力は 6万6,000kWh(中型電池換算で約 40万個)。 今後の市場動
向を踏まえ、2011年をめどに約 200億円を投資して、さらなる本格的な量産工場を着工し、2012年度末に生産開
始する計画。
資料:三菱重工広報資料 09.8.26、第1回国際二次電池展(2010年3月)配布資料
(注)三菱重工は、ベタープレイス社と日本交通が 2009年8月に開始したEVタクシーの実証実験に、
リチウムイオン電池を提供している。
ソニー:車載用電池への参入を検討し、開発中
ソニーは2009年11月、車載用電池への参入を検討中と発表した。
ソニー:車搭載用電池への参入を検討
ソニーは2009年11月、リチウムイオン電池を今後の成長分野の一つと位置づけ、この分野に今後数年で 1,000
億円規模の投資をして、攻めの戦略に転ずることを明らかにした。 自動車用電池分野への参入も検討し、開発を
進めている。将来は国内だけでなく、海外での新工場の建設も検討するとしている。
資料:ソニーのメディア・投資家向け経営説明会資料(2009.11.19)、日経産業新聞 2010.3.9
(注)ソニーは、日産Tino HEVの試作車に、正極にコバルト酸リチウムを使用する電池を供給した実績がある。しか
し製品化されたTino HEVは、正極にマンガン酸リチウムを使用する新神戸電機製(日立グループ)のリチウムイ
オン電池を搭載した。
出光興産:全固体リチウムイオン二次電池を発表、2012年に商品化
出光興産は、2010年 3月開催の第1回国際二次電池展に、全固体リチウムイオン二次電池を出展した。2010年中
に車載用の試作品をつくり、2012年の商品化を目指すとされる。
出光興産:高温での安定性が高い、全固体リチウムイオン二次電池を開発
出光興産が開発した全固体リチウムイオン電池は、従来の有機溶媒の電解質に替わり、無機材料である硫化リチ
ウムを固体電解質として使用する。現在リチウムイオン電池に使用されている有機系電解液と同等のリチウムイオン
伝導性を有し、かつ比類のない高温安定性が得られ、100℃の高温でも良好な充放電サイクルを有し、0℃以下の
低温でも作動が可能。
資料:出光興産の第1回国際二次電池展(2010年3月)配布資料
(注)トヨタも、2008年6月に新設した電池研究部で、次世代電池の一環として全固体リチウムイオン電池の
実用化を目指し開発中とされる。
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車載用電池:トヨタ、ホン ダ、日産、三菱自動車が生産体制を 拡充 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
出典:マークラインズ
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