大学教育推進プログラム 事業結果報告書

1 山形大学
大学教育・学生支援推進事業【テーマＡ】
大学教育推進プログラム 事業結果報告書
大
学
等
名
山形大学
取
組
名
称
到達目標を明確にした自己実現学習システム
取
組
期
間
平成２１年度 ～ 平成２３年度
（３年間）
取 組 学 部 等
全学
取組担当者
Ｗｅｂサイト
http://www.yamagata-u.ac.jp/ky-k/index.html
小山清人
学士課程教育において学生が身につけるべき能力という視点から科
取 組 の 概 要
目・カテゴリごとの目的・目標を設定し，達成度を明確にしたカリ
キュラムへと再編成する。この目的・目標をＷｅｂ上で学生に示す
学習ポートフォリオを新たに開発し，学生が自らの将来と学問の志
向を一致させることを常に意識しながら主体的に学習を進め，学士
課程修了者に相応しい知識・技能と「人間力」を備え，社会に有為
な人材として育つような新しい教育システムを構築する。
１．取組の実施状況等
①取組の実施状況
【２ページ以内】
(１ )取 組 の 実 施 体 制 に つ い て
取 組 の 推 進 と 実 施 を 担 当 す る た め 、学 長 直 属 の 組 織 で あ る 教 育 企 画 室 を 設 置 し ，専 任
教 員 と 事 務 ス タ ッ フ を 配 置 し た 。教 育 企 画 室 長 に は 副 学 長・理 事（ 教 育 ，学 生 支 援 担
当）が就任した。教育企画室は各学部や学内の各種委員会と連携して取組を進めた。
ま た 、学 長 が 毎 年 作 成 し て 公 表 す る「 結 城 プ ラ ン 」に 掲 載 す る こ と よ っ て 全 学 へ の 展
開 を 進 め た 。こ の よ う に 学 長 の リ ー ダ ー シ ッ プ の 下 、全 学 の 教 育 改 革 を 展 開 し て い く
体制が構築された。
(２ )取 組 の 実 施 内 容 に つ い て
平 成 ２ １ 年 度 に つ い て は 、プ ロ グ ラ ム 開 発 期 と し て 教 育 改 革 プ ロ ジ ェ ク ト チ ー ム（ リ
ーダー：副学長
理 事 （ 教 育 ， 学 生 支 援 担 当 ）・ 専 任 教 員 ・ 事 務 ス タ ッ フ ） を 結 成 し
た 。従 来 の 教 養 教 育 を 見 直 し「 基 盤 教 育 」と し て 新 た な 教 育 カ リ キ ュ ラ ム を 設 け 、平
成 ２ ２ 年 度 か ら 実 施 す る た め の 基 盤 整 備 を 行 っ た 。学 内 競 争 的 資 金 Ｙ Ｕ － Ｇ Ｐ 制 度 を
創 設 し 、試 行 を 行 っ た 。教 育 改 革 諮 問 会 議 を 開 催 し 、申 請 書 の 事 項 に つ い て 意 見 を い
た だ い た 。既 存 の 学 務 情 報 シ ス テ ム の 追 加 モ ジ ュ ー ル と し て 学 習 ポ ー ト フ ォ リ オ シ ス
テ ム の 要 件 定 義 を 行 い 、開 発 を 行 っ た 。ま た 、教 育 改 革 シ ン ポ ジ ウ ム や 各 種 学 会 で の
発表を通じて取組の内容を公表した。
平成２２年度については、学士課程教育編成期として基盤教育プログラムを開始し
た 。教 育 デ ィ レ ク タ ー 制 度 を 創 設 し 、各 学 部 の 教 員 に 参 加 い た だ い た 。納 入 さ れ た 学
習 ポ ー ト フ ォ リ オ シ ス テ ム に ダ ミ ー デ ー タ を 登 録 し 、有 志 の 教 員・学 生 に 利 用 し て い
た だ く 形 成 的 評 価 を 行 っ た 。そ の 結 果 を 教 育 デ ィ レ ク タ ー に 報 告 し た 。Ｙ Ｕ － Ｇ Ｐ 制
度 は 教 育 デ ィ レ ク タ ー を 申 請 者 と し て 引 き 続 き 実 施 し た 。ま た 、教 育 改 革 シ ン ポ ジ ウ
ムや各種学会での発表を通じて取組の進捗状況を公表した。
平 成 ２ ３ 年 度 に つ い て は 、シ ス テ ム 完 成 期 と し て 学 習 ポ ー ト フ ォ リ オ シ ス テ ム の 改 良
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を 進 め た 。教 育 デ ィ レ ク タ ー 会 議 を 実 施 し 、平 成 ２ ２ 年 度 に 行 っ た 形 成 的 評 価 の 結 果
と 各 学 部 の 要 望 を 基 に 学 習 ポ ー ト フ ォ リ オ シ ス テ ム の 開 発 項 目 を 決 定 し た 。完 成 し た
学 習 ポ ー ト フ ォ リ オ シ ス テ ム に 一 部 の 学 部 の デ ー タ を 登 録 し て 試 用 を 開 始 し た 。Ｙ Ｕ
－ Ｇ Ｐ 制 度 を 実 施 し た 。教 育 改 革 シ ン ポ ジ ウ ム を 開 催 し 、取 組 の 内 容 と 今 後 の 展 開 に
つ い て 公 表 し た 。最 後 に 、こ れ ま で の 活 動 と そ の 成 果 を ま と め て 最 終 成 果 報 告 書 を 執
筆し、発行した。
(３ )社 会 へ の 情 報 提 供 活 動 に つ い て
平成２１年度に教育企画室ホームページを作成して継続的に情報提供可能な体制を
整 え た 。３ 年 間 を 通 じ て 年 に １ 回 教 育 改 革 シ ン ポ ジ ウ ム を 開 催 し て 、開 催 時 点 で の 進
捗 状 況 及 び 今 後 の 展 開 に つ い て 公 表 し た 。な お 、教 育 改 革 シ ン ポ ジ ウ ム の 開 催 案 内 に
ついては学長定例記者会見でも発表した。
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②取組の成果
【１ページ以内】
本 取 組 で は ，学 士 課 程 教 育 全 体 を ，学 生 が 身 に つ け る べ き 能 力 と い う 視 点 か ら ，科 目・
カ テ ゴ リ ご と の 目 的・目 標 を 設 定 し ，達 成 度 を 明 確 に し た「 学 位 プ ロ グ ラ ム 」へ と 再
編 成 す る 。こ の 科 目・カ テ ゴ リ の 目 的・目 標 を Ｗ ｅ ｂ 上 で「 学 習 ポ ー ト フ ォ リ オ 」と
し て 学 生 に 示 す こ と で ，学 生 は ，将 来 の 希 望 と 学 位 プ ロ グ ラ ム 上 の 科 目 の 位 置 付 け を
理解し， 学習の動機付けとすることで能動的な学習が行われる。また、教育プログ
ラムを提供する側と，学習する学生への支援の改革を一体として進めることにより，
学生が自らの将来と学問の志向を一致させることを常に意識しながら主体的に学習
を進め， 学士課程修了者に相応しい知識・技能と「人間力」を備え，社会に有為な
人材として育つような新しい教育システムを構築することを目的としていた。
本 取 組 で は 、教 員・学 生 の 双 方 を 対 象 と し た 形 成 的 評 価 を 行 っ て 使 用 者 の 意 見 を 反 映
さ せ 、さ ら に 教 育 改 革 諮 問 会 議 で の 外 部 専 門 家 の 示 唆 を 受 け て 学 習 ポ ー ト フ ォ リ オ シ
ス テ ム を 開 発・改 修 し た 。そ の 結 果 、よ り 機 能 的 で 付 加 価 値 の 高 い シ ス テ ム と し て 学
生に提供することが可能となった。
形 成 的 評 価 に お い て は 教 員 ９ 名 学 生 １ ６ 名 の 計 ２ ５ 名 か ら 回 答 を 得 た 。そ の 結 果 を 以
下 の 表 に 示 す （ ５ 件 法 ）。
質問項目（ 学生の平均値 が高いもの）
到達度確認グラフで同学年の学生の平均値が
表示されるのは参考になる
学習目標到達チャートではレーダーチャートによって
到達度を一目で確認できる
到達度確認グラフはこれから取る科目の決定に役立つ
学習目標確認シートが提示されることは、科目ごとの
ねらいを理解するために有効である
全体的に表示されるグラフの意味は簡単に理解できた
自己評価記入シートの目標達成度が上書きされずに
保存されるのは振りかえりに活用できる
全体平均
差分
学 -教
学生
教員
4.63
4.00
0.63
4.31
3.78
0.53
4.19
2.56
1.63
4.06
3.11
0.95
3.88
3.50
0.38
3.81
3.22
0.59
総 合 的 に 学 生 か ら よ り 好 意 的 な 評 価 を 受 け て お り 、す べ て の 質 問 項 目 で 平 均 3.0 を 超
え て い る 。ま た 、否 定 的 な 質 問 項 目（ 逆 転 項 目 ）に つ い て は す べ て 3 未 満 で あ る 。な
お 、 教 員 と 学 生 と も に 平 均 4.0 以 上 で あ る の は 「 到 達 度 確 認 グ ラ フ で 同 学 年 の 学 生
の平均値が表示されるのは学生にとって参考になる」 であり、他の学生と比較でき
ることが評価されていることがわかる。
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③評価及び改善・充実への取組 【１ページ以内】
評 価 体 制 に つ い て は 、教 育 企 画 室 に 置 く「 教 育 改 革 プ ロ ジ ェ ク ト チ ー ム 」が ，年 度 末
の 年 間 評 価 に お い て 自 己 点 検 評 価 を 行 っ た 。各 学 位 プ ロ グ ラ ム の 評 価 は 教 育 デ ィ レ ク
タ ー が 行 う も の と し 、各 学 部 の 教 育 デ ィ レ ク タ ー が 学 部 固 有 の 事 情 を 踏 ま え て 自 己 評
価 を 行 っ た 。こ れ ら の 結 果 を 基 に ，学 外 の 高 等 教 育 の 有 識 者 に よ る「 教 育 改 革 諮 問 会
議 」に お い て ，事 業 全 体 の 目 標 達 成 状 況 や 評 価 指 標 の 設 定 等 に つ い て ，半 期 に １ 回（ 平
成 ２ １ 年 度 に つ い て は 年 に １ 回 ）の 外 部 評 価 を 受 け た 。な お ，本 諮 問 会 議 は 常 設 の も
の と し ，本 学 教 育 改 革 の シ ン ク タ ン ク と し て 本 取 組 の み に と ど ま ら ず 幅 広 い 指 導・助
言 を 受 け た 。本 取 組 の 成 果 及 び 評 価 結 果 は ，平 成 ２ ３ 年 度 に 最 終 成 果 報 告 書 と し て 取
り ま と め ，学 内 各 学 部 や セ ン タ ー 、他 の 高 等 教 育 機 関 に 送 付 し て 学 内 外 で の 成 果 の 共
有に努めた。
評 価 方 法 に つ い て は 、 評 価 の 指 標 と し て は ， 半 期 に 一 度 の 「 授 業 改 善 ア ン ケ ー ト 」，
年 一 度 の 基 盤 教 育 に 係 る 「 履 修 状 況 調 査 」， セ メ ス タ ー 毎 の Ｇ Ｐ Ａ 分 析 等 を 用 い た 。
ま た ，事 業 最 終 年 度 に は ，事 業 成 果 報 告 書 で 事 業 の 総 括 評 価 を 行 っ た 。教 育 改 革 諮 問
会議を開催し，本取組の成果について外部評価を受けるとともに重要な示唆を受け，
学 生 に 提 供 す る シ ス テ ム の 改 善 が 図 ら れ た 。ま た 報 告 書 の 発 行 を 通 じ て 本 事 業 の 成 果
を周知することで，学生が自立的学習を進めるための環境が整備された。
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④財政支援期間終了後の取組
【１ページ以内】
事 業 期 間 の ３ 年 間 で は ，「 学 位 プ ロ グ ラ ム 」 に 基 づ く 新 教 育 体 制 の 整 備 を 達 成 目 標 と
す る 。し か し ，事 業 期 間 内 で は ，新 体 制 に よ る 卒 業 者 が 出 な い こ と か ら ，財 政 支 援 期
間 終 了 後 も ，学 長 の マ ネ ジ メ ン ト の 下 ，以 下 の と お り ，引 き 続 き 責 任 を 持 っ て 本 事 業
を遂行・発展させる。本取組内容は学士課程教育の４ 年間を対象としていることか
ら ，４ 年 に 一 度 の カ リ キ ュ ラ ム 改 訂 を 行 う 等 ，真 に 社 会 に 求 め に 応 え 得 る 教 育 を 行 っ
ているのかの追跡調査と教育プログラムの改善を継続していく。
学習ポートフォリオシステムは学務情報システムの１モジュールとして開発したた
め 、運 用 に つ い て は 経 費 も 含 め て 学 務 情 報 シ ス テ ム の 担 当 部 署 で 措 置 す る こ と で 継 続
的 な 運 用 が 可 能 と な っ た 。学 習 ポ ー ト フ ォ リ オ シ ス テ ム の 改 修 に つ い て は 、軽 微 な も
の に つ い て は 運 用 費 の 範 囲 で ベ ン ダ ー の 対 応 を 受 け ら れ る 。大 規 模 な 改 修 が 必 要 に な
った場合は、学務情報システムのバージョンアップと同時に行う予定である。
ま た 再 編 成 さ れ た カ リ キ ュ ラ ム や 学 生 が 卒 業 時 に 身 に つ け る べ き 能 力 に つ い て は 、平
成 ２ ４ 年 度 に 外 部 の 有 識 者 を 加 え た 評 価 委 員 会 を 設 置 し 、Ｐ Ｄ Ｃ Ａ サ イ ク ル に 基 づ い
た 改 善 を 進 め て い く 。特 に 、平 成 ２ ５ 年 度 終 了 時 に は 本 取 組 に よ る 最 初 の 卒 業 生 が 出
ることから、企業人事担当者などによる「学士力」全体の評価を行う予定である。
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２．取組の全体像
【１ページ以内】