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光のトポロジー - 北海道大学トポロジー理工学教育研究センター

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光のトポロジー - 北海道大学トポロジー理工学教育研究センター
光のトポロジー
北海道大学大学院工学研究科
応用物理学専攻
森田 隆二
アウトライン
1. 光とは?
・ 光の性質
・ 光による現象
2. 光を支配する物理量
3. トポロジカルな光ー
・位相特異点を持つ光(光の渦 )
・偏光特異点を持つ光(径偏光モード)
1. 光とは?
1.1 光の歴史
「光あれ」 ― 聖書
宇宙のはじまり ― Big Bang
10-36 秒後 温度 1028 K
宇宙の大きさ 直径 1 cm
既にこのとき、
宇宙に光は満ちあふれていた
(光と物質との区別はつかない)
1.2. 光の本質
クォーク + 反クォーク 光子 + 光子
電子・陽電子の創成と対消滅を繰り返しながら伝わる
古典的には 電磁波 ―Maxwell の方程式に従う
量子論的には 光子 (photon)
1.3. 光による現象
光による主な現象
・反射
・屈折
・回折
・干渉
・散乱
・分散
・吸収
このような現象は何に支配されているのか? 1.4. 光の進み方
光の速さ v
v
= c/n
c: 真空における光の速さ
n: 媒質の屈折率
フェルマー(Fermat)の原理:
「光は、その伝播に要する時間が最小になる
ような経路を伝播する」
cf. 力学的運動、相対論 1.5.-1. 光による現象 ―屈折・反射
直進 屈折 反射
例 ―光ファイバー
光を屈折率の高い部分に閉じこめることができる
広がらずに伝播させることができる
コアに光が
集まる
長距離光伝送
フォトニック結晶
物質の変調による空間構造の変調
構造の変調サイズ・・・光の波長程度
フォトニック結晶
T. Tanabe et al.
Nature Photonics
1, 49 (2007).
NTT group
Thorlabs Inc.
フォトニック結晶
ファイバー
広帯域白色光の発生・
超短光パルス発生・
光ソリトン
ナノ共振器
光を閉じ込める
光の速度/ 105
6.1. 速い光・遅い光 ―速い光
光による物質の(電子状態の)変調
・・・電磁気的誘導透過(EIT)
L. J. Wang et al.
Nature 406, 277
(2000).
速い光
一見、真空中の光速を超えるような現象
6.2. 速い光・遅い光―遅い光
電磁気的誘導透過(EIT)
遅い光
光の速度を音速程度にするような現象
c/(2×107) ~17 m/s
光を止める
光の速度を 0 にするような現象
負の屈折率物質
物質の変調による空間構造の変調
構造の変調サイズ・・・光の波長程度
負の屈折率物質
V. M. Shalaev
Nature Photonics 1, 41(2007).
負の屈折現象
光学迷彩
もしくは
透明マント
ドラえもん
Harry Potter
1.5. – 2. 光による現象 ―回折・干渉
回折 干渉
位相(波の山・谷)
の重ね合わせ
1.5. – 3. 光による現象 ―散乱
散乱
白い水蒸気 青紫色の煙 小さな煙粒子
大きい水滴
粒子
短波長の光(青紫色)
がとくに反射される
すべての波長の
光が反射
Demonstration
例 ―青い空・夕焼け
散乱 回折 青い空 赤い夕焼け 長波長の赤い光
回折しながら透過する
短波長の青い光
散乱される
Demonstration
1.5. – 4. 光による現象 ―分散
プリズム 回折格子
波長により屈折率が異なる
光が分散
波長により干渉の
強め合う角度が異なる
光が分散
Demonstration
1.5. – 5. 光による現象 ―偏光
光 横波
進行方向と振動方向が垂直
2つの振動方向・・・光の偏り
光子 スピン1 偏光 (2自由度)
(光子の自転に対応)
Demonstration
2. 光を支配する物理量 屈折率
光を支配する物理量・・・屈折率
空間構造を反映
空間構造
光の進み方・振る舞いを決定する
光とトポロジー
3. トポロジカルな光1 ―光渦
位相の等しい面(等位相面) 螺旋(らせん)をなす
通常の光(平面波)
等位相面が平面
光渦
等位相面が螺旋
3. 1. 光渦の性質
位相の分布と光強度の分布
位相特異点
光強度・・・0 after M. J. Padgett
Univ. Glasgow
3.2. –4. 光渦の性質 ―干渉パターン
平面波 球面波
平面波
光渦
3.3. 光渦の性質 ―公転させる力
軌道角運動量 ・・・ 新たな光のパラメータ
cf. 偏光(スピン角運動量)
公転させる力 自転させる力
例 ―光トラップ・光ピンセット
軌道角運動量
偏光
(スピン角運動量)
ビーズの公転運動
ビーズの
自転運動
V. Garces-Chavez et al.
Phys. Rev. Lett. 91, 093602
(2003).
3.4. 光渦の作り方 I
平面波
光渦
3.4. 光渦の作り方 II
平面波
光渦
3.5. – 1. 光渦の位相― グイ(Gouy)位相
レンズによる像の反転
凸レンズ
この像の反転に関与する位相
グイ(Gouy)位相
3.5. – 2. 光渦の位相― グイ位相の直接観測
レンズによる像の反転
Opt. Express
14, 8382 (2006).
トポロジカルな光2 軸対称偏光モード
通常のレーザー光
一様な偏光分布
軸対称偏光モード
径偏光モード
方位偏光モード
中心に偏光特異点
軸対称モードの特徴
ドーナツ状の強度分布
径偏光モードの特徴
径偏光モード
応用
焦点付近で縦電場成分が発生
+通常の光よりも小さいスポット径
高分解能顕微分光、物質加工、光トラッピング
微粒子加速、プラズマ制御、・・・
本実験の特徴
OC
EM
CL1
CL2
Nd:YVO4
Pump-diode
•バウンス型レーザー配置
単純な配置・高増幅率
•自己クローニングフォトニック結晶ミラー
偏光分布の制御
自己クローニング
フォトニック結晶ミラー
イメージ図
 5 (mm)
http://www.photonic-lattice.com/jp/ASP_4.html より
自己クローニングフォトニック結晶ミラー(Phonic Lattice社:LCR1064)
実験系
OC
L1
EM
L2
QP
CL1
telescope
(4.5)
CL2
Nd:YVO4
Pump-diode
自己クローニングフォトニック結晶ミラー
(Phonic Lattice社:LCR1064)
励起用ダイオードレザー
出力 < 45W
YVO4発振波長 1.06 (um)
CL1, CL2:シリンドリカルレンズ
EM:エンドミラー
OC:アウトプットカップラー
QP: 波長板
 4
L1, L2:レンズ
出力光の偏光分布
OC
L1
EM
L2
QP
CL1
CL2
Nd:YVO4
telescope
(4.5)
Pump-diode
出力強度分布
Far-field pattern with a spatial filter
全偏光成分
縦偏光
横偏光
45度偏光
偏光方向が径方向になっていることを確認
まとめ
光の性質・光の示す現象 光を支配する物理量・・・屈折率
空間構造を反映
空間構造
光の進み方・振る舞いを決定する
位相特異点・偏光特異点を持つ光
トポロジカルな光
レポート 課題
・光の特異性に関して議論し、A4用紙 1枚以
内にまとめよ。
たとえば、キーワードとして
1. 位相特異性
2. 軌道角運動量
3. 偏光特異性
4. スピン角運動量
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