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Title 久高島小中学校を訪問して(久高島(沖縄県南城市)訪問記) Author
Title 久高島小中学校を訪問して(久高島(沖縄県南城市)訪問記) Author(s) Citation へき地教育研究, 60: 147-148 Issue Date 2006-02 URL http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1198 Rights Hokkaido University of Education 久高島(沖縄県南城市)訪問記 久高島小中学校を訪問して 旭川校 松 社会科教育ゼミ 橋 絵梨子 久高島到着 沖縄本島からフェリーで 分ほどで久高島に到着した。島に降り立つとすぐに,島の人が祈るという神聖な場所があ った。この島には,そのような場所がたくさんあるそうだ。島には古くからの様々な伝統があり,島の人々はその伝統 を心から信じ,守り続けているという。島の人以外は入ることのできない神聖な場所があるというようなことも教えて いただいていた。 神聖な場所 イシキ浜 島に着いてはじめに,車で島を案内していただいた。島には,いくつもの浜があり,一番初めに, イシキ浜 うところにおりた。その砂浜に入る前に, 入らせていただきます 失礼致します とい というような思いを込めて,お祈 りをしてから入るように言われた。本当に神聖な場所なのだと思い,緊張して恐る恐る海辺に向かった。目の前には, 真っ白な砂浜とエメラルドグリーンの海が広がっていた。今まで見てきたものの中で,一番きれいな風景といっても大 げさではないくらい本当に美しい浜だった。砂浜の中心あたりに,石がたくさん積まれていた。それは,お正月に行わ れた伝統行事のあとだという。島の人たちが,自分の家から大切な石をひとつずつ持ち寄り,そこに重ねていき,浜辺 から新しい石を つ持ち帰るのだ。そこには,これまでの 年と新たな年へと向けた様々な思いや願いが集まるである。 その積み上げられた石から,形だけの伝統ではなく,本当に人々が心から伝統を信じ,守り続けている様子がうかがえ た。今思うと,本当に別世界にいってきたような,そんな雰囲気の島であった。 久高島小中学校の授業見学 島を一周案内していただいたあと,久高島小中学校へ行った。学校の前に着くと,校舎の前の広場を元気に駆け回る 子供たちの姿があった。子供たちの印象としては,本当に元気で明るいと感じた。授業の中でも,小学 年の子供たち は,紙芝居を読みあうという授業をしていた。私たちが教室に入ったとたん,紙芝居の途中だったのに, こんにちは と大きな声で挨拶をしてくれた。見られていることに少し照れながらも,元気に大きな声で紙芝居を読んでいた。小学 生は,他の学年も比較的進んで手を挙げたり,元気に発表したりする姿が多く見られた。対照的に中学生は,落ち着い て授業を受けている印象を受けた。中学校 年の数学では,角錐,円錐,多面体について授業をしていた。実際に一人 一人,立体の模型を使って,触って,数えて形や面の数を確かめたりしていた。実際に実物で確認するということを, 短時間で,授業の大まかな流れに支障を与えずにできるということも,少人数の授業の利点であるように感じた。中学 年生では卒業制作を行っていた。この活動も,本当に全員が協力し合って, つの物を作り上げることが出来ていた。 特色を生かした学校経営 授業のあと,久高小中学校の先生方が,学校経営につ いて説明してくださった。学校の紹介で目立ったのは, 学校の特色を生かすということと,地域とのつながりを 大切にしているということである。学校の特色を生かす という点では,行事や教育活動で小中併置校の長所を活 かし,教育活動の連携を図っていることや,異学年の交 流や協力があるということがいえる。また,地域とのつ ながりという点では,地域の人と 餅つき や 追い込 み漁 などの様々な行事を共にしたり,子供たちが地域 に貢献するというものもある。また,地域とのつながり を持つことで,子供たちの生活背景を踏まえた教育指導 ができるという。大きな学校では,難しいと思われるようなことが,久高島の小中学校では行われていた。 この学校では,学校,先生,児童生徒,保護者,地域というそれぞれの距離がとても近いように感じられた。大きな 学校では,保護者が先生について知らなかったり,子供について理解していなかったりということがあるように感じら れる。その点では,学校と家庭と地域とが一体となって子供を見守っていくような久高の学校の体制を見習っていくべ きだと感じた。生徒数が多いほど,困難であると思われるが,少しでもそのような体制を取り入れ,整えていければよ いと感じた。