...

Society5.0における パーソナルデータ活用とプライバシーの両立

by user

on
Category: Documents
22

views

Report

Comments

Transcript

Society5.0における パーソナルデータ活用とプライバシーの両立
Society5.0における
パーソナルデータ活用とプライバシーの両立
産業競争力懇談会(COCN)
安田 誠
(日立製作所 ICT事業統括本部 執行役員)
技術の進化によって次のステージに移行
狩猟社会
(1.0)
農耕社会
(2.0)
工業社会
(3.0)
情報社会
(4.0)
3.0→4.0の間に
起こった進化
4.0→5.0の間に
起こった進化
外燃機関:集中/大型
→内燃機関:分散/小型化
メインフレーム:集中/大型
→PC:分散/小型化
→スマホ:遍在/可搬
モノの製造:大量生産
→ヒトの支援:移動、増力
大量業務の処理
→ヒトの支援:UI,コミュニケーション
数値計算
→検索、解析、意味・知識
Society5.0
人間中心
AI
人間中心 =
ヒトとモノ、コトや何かの関係に、
情報を介して作用する
Info
Info
Info
Info
Info
Point to Point
→Many to Many、Cloud
ヒトに関る情報=パーソナルデー
タを取り扱うことが前提・必須
2
パーソナルデータを取り扱うことのトレードオフ
パーソナルデータ=個人情報やプライバシー情報を含む生活者由来の情報
Risk
 取得・蓄積されているパーソナルデー
タが漏洩してしまう
 行動のログや嗜好など、データが知
らないうちに集められてしまう
 大量・長期間に蓄積・解析することに
よってプライバシーが知られてしまう
Benefit
 手続きやデータが集約・整理されて、
生活や行動が効率化される
 個人のニーズあわせた/パーソナライ
ズされたモノやコトが提供される
 データが大量に集まることによって、
より正確な成果や知見が得られる
パーソナルデータの活用を進めるのと同時に、プライバシー・リスクとの折り合い、社会とし
てのコンセンサスを探ることが必要
→ プライバシーなどを保護するための規則や環境、習慣など整える必要がある
3
プライバシー、透明性への配慮がデータ流通・活用の条件
Q. 生活者情報が利活用されることで自分のプライバシーが侵害されることに不安を覚える理由は?
31%
規約と異なる目的で利活用される恐れがある
27%
利活用されたくない場合に、本人に拒否権が無い
15%
利活用の目的や内容の説明が不十分
9%
企業などが、プライバシーの保護対策に積極的で…
企業などが、自分に関する様々な情報を収集して…
5%
匿名化などの加工処理が十分に行われていない
4%
自分が得られるメリットが乏しい
4%
出所︓「第二回ビッグデータで取り扱う生活者情報に関する
意識調査」(日立製作所、博報堂︓2014年7月)
Q. どのようなプライバシー侵害への取り組みがおこなわれると不安が軽減されますか?
企業内規則の徹底
なくなる
減る
裁判所への提訴
やや減る
罰金や罰則を設定
変わらない
0%
20%
40%
60%
80%
100%
透明性、プライバシーの配慮がなされていれば、データ活用ビジネスに
対する生活者の理解が得られやすい。
4
EMC Privacy Index
EMCジャパン株式会社2014年7月2日公表資料より引用
http://japan.emc.com/collateral/brochure/privacy-index-global-in-depth-results.pdf
5
EMC Privacy Index
EMCジャパン株式会社2014年7月2日公表資料より引用
http://japan.emc.com/collateral/brochure/privacy-index-global-in-depth-results.pdf
6
EMC Privacy Index
EMCジャパン株式会社2014年7月2日公表資料より引用
http://japan.emc.com/collateral/brochure/privacy-index-global-in-depth-results.pdf
7
EMC Privacy Index
EMCジャパン株式会社2014年7月2日公表資料より引用・一部加工
http://japan.emc.com/collateral/brochure/privacy-index-global-in-depth-results.pdf
8
EMC Privacy Index
EMCジャパン株式会社2014年7月2日公表資料より引用・一部加工
http://japan.emc.com/collateral/brochure/privacy-index-global-in-depth-results.pdf
9
プライバシー保護に対する世界的潮流
▌米国消費者プライバシー権利章典(2012年)
▌EUデータ保護規則(2016年4月採択)
プライバシー・ポリシー明確化義務
プライバシー・バイ・デザイン(PbD)原則
自己データコントロール権の大幅な強化
• 自己データへのアクセス権
• 自己データ訂正権
• 自己データ消去権(忘れられる権利)
• データ・ポータビリティ権(データ還元・移転の権利)
• プロファイリング拒否権(異議申し立ての権利)
プライバシー強化技術(PET)の利用促進(33条)
監督機関の設置、認証制度の整備(46条他)
▌改正個人情報保護法(日本︓2016年1月)
個人情報保護委員会の設置
G7情報通信大臣共同宣言(2016年4月30日/於伊勢志摩サミット)
プライバシーをトリガーとした新たなパラダイムシフトが起きている
PbD原則
PbD=Privacy by Design
10
Society5.0での情報活用の仕組みとは
現状/Society 4.0では:
Society 5.0での To Be像
ビジネスに関る情報を企業が収集・活用
個人への意思確認は形式的
ビジネス側の意図主導の情報活用
複数の情報の掛け合わせには制限
よりよい生活のために個人が情報を収集
個人が意図を持って情報を活用
ビジネスでの利用は個人の意図主導
生活者基点で複数の情報の掛け合わせ
現状:企業中心の情報活用
¥
ポイント付与
ヒト
データ
企業・事業者
解析→
販売促進
他企業・
データ利用者
DB
データ
モ ノ
ベンダーが生活者にインセンティブを提供し、個人
の識別可能なデータを収集・解析して、自分のビジ
ネスのために活用する
統計的な情報以外、個人が識別可能
な情報は他企業などへの公開・共有
は制限されている
パーソナルデータが活用されるSociety5.0を実現するためには
そのデータは誰がどのように管理・運営維持すべきか?
11
データポータビリティ
事業者が収集しているパーソナルデータは、個人の
求めに応じマシンリーダブルな形で当該個人に還元
従来のデータの流れ
データポータビリティによる
新たなデータの流れ
銀行
銀行
EC事業者
小売業
通信
事業者
クレジット
カード
保険会社
交通事業者
エネルギー
事業者
EC事業者
小売業
通信
事業者
クレジット
カード
保険会社
交通事業者
エネルギー
事業者
分野横断のデータの個人名寄せと時系列な蓄積が促進
12
アテンション・エコノミー
CRM / Social CRM
レコメンド
広告
顧客
データ
Vendor
プロモーション
たまたまニーズに
合致して購入
Consumer
事業者(Vender)が消費者(Consumer)のデータを分析、
関係をコントロール
13
インテンション・エコノミー
VRM
(Vendor Relationship Management)
自分の意志の表明
パーソナル
データ
Consumer
信頼できる相手に
必要なデータを提供
ニーズに合致した
サービス、対価を提供
Vendor
消費者(Consumer)が事業者(Vendor)をコントロール
PDS(Personal Data Store)
データポータビリティにより個人に還元されたデータが時系列に、分野横断で蓄積
14
COCN提言
∼個人主導のパーソナルデータ流通に向けて∼
個人主導のデータ流通の実現には、スマートディスクロージャ制度とパーソナルデータス
トアという二つの仕組みが重要。
スマートディスクロージャ・・・事業者から個人への機械読取可能な形でのパーソナルデータの還元
パーソナルデータストア・・・個人が自分自身のデータを管理する基盤
個人が自身のパーソナルデータを蓄積、管理する仕組み
センシング
機器
現状
提供したパーソナルデータがど
こに流通しているか分からな
い。不安だ。
キャリア
鉄道
事業者X
?
購買データ
**データ
購買
・・・
パーソナル
データを提供
?
位置データ
・・・
顧客データ
?
パーソナルデータストア
スマートディスクロージャ
個人データ
取扱ルール
・提供先
・提供データ
・提供形式 等
便利な観光案内のために
位置情報を提供しよう。
医学の進展のために
診療データを提供しよう。
事業者A
事業者B
個人の意思(データ取扱ルー
ル)によるデータ流通・活用
15
課題解決に向けて
産業会と関連省庁が連携し、データ主体である生活者の信頼を獲得する
ための技術開発や制度検討に取り組み、更に生活者が自身のデータを活
用することのメリットを実感するような新サービスを創出する。
基盤技術の強化
制度検討
産の役割
官への期待
•データ流通のために共通化す
べき技術要件の具体化
•要件に基づく技術開発
•パーソナルデータ活用技術の
研究開発プロジェクト化による
技術開発の推進
•生活者が安心してデータを流通、提供するための、信頼性評価等、
第三者認証の仕組みの具体化
•産官学連携タスクフォースにて「データポータビリティ制度」を検討
社会受容性検証
•生活者が自らのデータを活用
したくなるような個人主導型
データ流通による新サービス
の創出
•パーソナルデータ利活用に関
する国の施策、実証事業への
「個人主導のデータ流通」の
組み込み
16
Fly UP