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元気企業訪問シリーズVol.33

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元気企業訪問シリーズVol.33
元気企業
訪問シリーズ
Vol.33
そうしん元気発信
松 元 要 氏
社長
新洋水産有限会社
□所在地 いちき串木野市東島平町635
□設立 昭和57年2月
□資本金 500万円
□売上高 6億円
□従業員 45名
□電話 0996(32)2764
□F A X 0996(33)1243
新洋水産有限会社 超低温冷凍加工場
□電話 0996(33)1717
□F A X 0996(33)1771
□E-m ail [email protected]
新洋水産有限会社 薩摩串木野まぐろの館
□電話 0996(29)5515
□F A X 0996(29)5516
□E-m ail [email protected]
(串木野支店お取引先)
20
廃棄されていたマグロ部位を活用した商品開発と
マグロ専門の直売所&レストランで消費拡大図る
活気みなぎる企業を訪ねて
いちき串木野市東島平町の新洋水産本社
南アを基地にマグロ延縄漁業
生産から加工、
販売まで一貫
遠洋マグロ漁船は世界中に約1500隻。そのうち日本は
280隻で、
うち串木野は40隻と日本一を誇る。いちき串木
野市に本社を置く新洋水産は1983年の設立。当初、宮城
県の石巻、
女川を基地にイカ流し網漁業を行っていたが、
86年にイカ流し網漁業から撤退すると同時に冷凍マグロ
加工販売事業へ転換。89年に299トンの
「第3松栄丸」を
グループの島平第一漁業生産組合から購入し、遠洋マグ
ロ漁業に参入した。現在は400トンのマグロはえ縄漁船4
隻を所有し、
オーストラリアや南アフリカのケープタウン
を基地に、
ミナミマグロをメーンにメバチマグロ、キハダ
マグロなどを獲っている。
この間の91年には同市を流れる八房川河畔に、
当時九
州では唯一のマイナス60度の超低温冷凍能力を備えた
加工場が完成。2013年12月には加工場隣接地にマグロや
水産物に特化した直売所とマグロ料理専門のレストラン
などを備えた
「薩摩串木野まぐろの館」
を開設した。
新洋水産は2014年度そうしんビジネス・イノベーショ
ン大賞の優秀賞を受賞した。
「従来廃棄されていたマグロ
部位を活用し、
さまざまな商品を開発。地域資源の有効活
用による市場拡大を図っている。
また、
いちき串木野市に
マグロ専門物産館の建設・運営を行い、
串木野まぐろフェ
スティバルの立ち上げにも携わるなど、マグロを使って
地域貢献・地域浮揚に積極的に取り組んでいる」
というの
が受賞理由だ。
徹底して鮮度の維持に取り組む
船内急速冷凍や超低温加工場
新洋水産と島平第一漁業生産組合所属の4隻のマグ
ロはえ縄漁船では、
マグロの鮮度を維持するために甲板
で直ちに尾切りを行い、
血抜き、
内臓を取り除き、
海水で
洗浄し、船上で素早い解体処理を行った後、
マイナス60
度の凍結室で芯まで完全に急速冷凍し、
魚倉で日本に水
揚げされるまで保管する。
主に静岡県焼津に水揚げされ
たマグロは冷凍車で串木野まで運搬。
同社の超低温冷凍
加工場のマイナス60度とマイナス50度の冷凍室、
マイナ
ス30度の準備室で加工が始ま
るまで保管される。
生管理の行き届いた加工場
では頭を切り落として4つに
分解。
骨と皮をそぎ落として形
饅」
は水産庁長官賞を受賞。
マグロに新鮮な野菜を加え、
鍋物や
みそ汁に入れたり、
肉団子の代わりになる
「まぐろつみれ」
、
油っ
ぽくなくあっさりした味付けの
「まぐろウインナー」
などのほか、
「本まぐろの甘辛ホルモン」
「本まぐろのホルモン唐揚げ」
「まぐろ
ハンバーグ」
などもある。
を整え、
細かい部分まで削り落
超低温冷凍能力を備える加工場
とし、ブロックに分けた後、さ
まざまな商品に加工。
卸売市場やスーパー・量販店、
小売店、
卸問
屋、
自社直販などを通じて販売されている。
「おいしくて安全なマグロを食卓に届けるために、
手頃な価格
設定や漁獲証明書の掲載などに努力するとともに、
獲れたての鮮
度をそのまま保つため、
細心の配慮と最新の設備を図っている。
平成元年にヤマト運輸のクール宅急便を利用して、
まずはメバチ
マグロとキハダマグロの切り身の冷凍運送をテストした後、
問題
がないことが分かったためミナミマグロの運送も本格的に始め
た」
と松元社長。新洋水産ではホームページを開設し、
一般消費
者向けにマグロの切り身や加工品のインターネット通販にも力
「まぐろの館」
でヘルシー料理
機能性食品として研究開発も
実際にマグロ漁を行ってい
る400トン級の漁船をモチーフ
にした外観の
「薩摩串木野まぐ
ろの館」は、
1階がマグロの切
り身や水産加工品を販売する
物産館で、
2階がマグロ料理専
漁船を模した外観で話題の
薩摩串木野まぐろの館
門店
「松榮丸」
。
3階は串木野の
を入れている。
マグロ漁100年の歴史が分かる資料館となっている。
1階では毎
さまざまなマグロ加工品を開発
これまで捨てていた端材も活用
1年目で来館者は15万人を突破した。
月27日にマグロの解体ショーを行っており、来館者に好評。開館
「平成3年に加工場を造っ
た時、
同時においしいマグロ料
理を食べてもらう店を出した
新洋水産では早くから刺身用だけでなく、
マグロを使ったさ
かった。
その長年の念願がやっ
まざまな加工品の開発に取り組んできた。
「まぐろ生ハム」
は、
カ
とかなった。
リピーター客も増
ジキマグロをちょっぴり甘酸っぱく、
ほのかなスモークの香りと
魚のうまみが口いっぱいに広がるように加工した製品。鹿児島
マグロの切り身や水産加工品を販売
(薩摩串木野まぐろの館1階物産館)
えてきている」
( 松元社長)
。社
長の熱い思いが詰まった2階
県特産品協会会長賞を受賞するなど高い評価をえている。
「ま
のマグロ料理専門店では、
「まぐろあら煮定食」
「まぐろぶつ切り
ぐろ羊羹」
は、
ようかんの形をしたマグロの切り身を甘口ワイン
定食」
「まぐろ大カマ焼き定食」
「串木野まぐろ丼」
「まぐろカツカ
や調味料に漬け込んだもので、
高級感あふれる酒のつまみとし
レー」
「まぐろカツ丼」
などを提供している。
て好評。
マグロの刺し身のバジルオイル焼き・レモンペッパー焼
き・香味ガーリック焼きなどのほか、
総菜類も数多くある。
人気の
「まぐろ血合いステーキ」は、鉄分やミネラル豊富だが
独特の臭みがあるため食材としては敬遠されてきた血合い肉
を、
紅茶にも使われるカテキン豊富な県内のべにふうきの茶葉を
マグロの切り身をロースト
ビーフ風に仕上げた
「まぐろ赤
使って臭みを取っている。
血合い肉の持つ筋肉質の食感とうまみ
身ロースト」は、今年10月31日
を最大限に引き出し、
ヘルシーで高タンパクのステーキになって
から11月15日に県内一円で繰
いる。
マグロの皮に豊富に含まれる天然コラーゲンにフルーツ果
り広げられる国民文化祭に向
汁や野菜を加え、
じっくり凍らせたシャーベット
「ペンギンの秘
けた記念商品発表・商談会
(7
月28日、
鹿児島サンロイヤルホ
マグロ加工品のインターネット
通販にも力を入れている
氷」
も特に女性客に人気だ。
新洋水産では現在、
国や県の水産試験場と連携してマグロの
テルで開催)
に出品。
展示された85社197品目の中で、
県内外の流
血合い肉や心臓などの機能性について成分分析を進めている。
通関係者や一般消費者モニター 100人の審査で第1位の最優秀
マグロの心臓の白い部分に多く含まれるエラスチンは、
コラーゲ
賞に選ばれた。
ン同士を結び付ける働きを持つタンパク質で、
肌にはりや弾力を
「東京の百貨店などへ売り込みに行った際、冷凍物だけでな
く、
常温商品への要望が強かったため、
これに対応して総菜など
与えたり、血管や靭帯の柔軟性・伸縮性を維持し、
しわやたるみ、
動脈硬化を予防する働きがあるとされる。
加工品の開発に力を入れてきた」
(松元社長)
。
1尾のマグロのう
松元社長は
「マグロは高タンパク・低カロリーで、良質脂肪酸
ち刺し身などとして利用される歩留まりは45 〜 50%。残りの端
や鉄分、カリウムなどのミネラル、
さらにDHAやEPAを豊富に含
材のほとんどは肥料用の魚粉などに出されていたが、新洋水産
んだ機能性食品としても魅力的な食材。
まぐろの館のレストラン
では栄養価が高くておいしい端材も加工して商品化に力を入れ
では高齢の利用者も多い。今後は機能性をアピールするととも
ている。
マグロの栄養分がたっぷり詰まった
「まぐろ餃子」
は県漁業振
に、
高齢者向けを意識した商品開発、
販売方法にも力を入れて取
り組みたい」
と語る。
興大会の水産物品評会で県知事賞、豚まんのマグロ版
「まぐろ
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