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小型SMを活性化しよう! - COOP
シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> 小型SMを活性化しよう! ∼各企業の都市型SMの挑戦から学ぶ リ エ ア (株)REA すず き てつ お 代表取締役 鈴 木 哲 男 氏 東日本大震災により被災された皆さまに 心よりお見舞いを申し上げます 今なお、大震災の全貌がつかめないほどに爪痕は深く、大きい。 被災地を現地で見ていない自分は「ガンバレ東北」などと言うのも おこがましい。今、していることは、義援金を送ることぐらいだ。 自分には何が出来るのか、自問自答する毎日です。 小売業のコンサルティングをなりわいにしている自分には、店を 鈴木哲男 氏 早く開けること、さらに魅力ある店をつくることでしか応援出来な い。 (1)被災地の産品や被災地の企業が作る商品を今まで以上にたくさ ん売ろう。 (2)思慮を欠いた言動で風評被害を少しでも起こすまい。 (3)計画停電があるなら、積極的にサマータイムを導入し、夜間の 電力供給に余裕があるのなら、夜遅くまで店を開けよう。 (4)自粛しても萎縮はすまい。節電はするけれど、世の中が暗くな るような節金?(行き過ぎた買い控え)はすまい。 (5)自主規制はしても、納得出来ない押しつけ規制には勇気を持っ て抵抗しよう。 「朝の来ない夜はない」し、全ては「無常」である。同じ状態は いつまでも続かないと、信じて励まし続けたい。 <著者プロフィール> (株)イトーヨーカ堂本 部 RE(リテイル・エン ジニアリング)部にて、 数多くの新店・改装店 等の店舗企画に携わる。 1990年3月、同社を退 社し、(株)リテイル・ エンジニアリング・アソ シエイツ(REA)を設立。 現在、流通業を中心と した企業コンサルティ ングで活躍中。著書に 『売場改革の処方箋』 『 攻 め の 店 舗 「 力 」』 (共に商業界)、『生協 「力」強化マニュアル』 『52週マーチャンダイ ジング』(コープ出版) など多数。 生協運営資料 2011.5 71 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> なぜ生協は、小型SMに興味を示さないのか? 小型SMとは、確固たる定義はないが、おそらく、規模でいうと コンビニエンス(約30坪。以下、CVS)以上300坪未満のSMで、商 品構成に農産・水産・畜産・惣菜などが含まれるものと考えてもよ いだろう。 2010年度より、流通各社による、この小型SMの都市部(市街地、 地方都市中心部)への出店が相次いでいる。今までの郊外出店の反 動で余計に目立つのだろうと思っていたが、11年1月以降の新店情 報を見ていると、郊外で450坪以上のSMと並んで、都市部での小 型SMの出店が多いのに気が付いた。大手SMチェーンでは東京23 区、大阪市、兵庫県宝塚市など人口が多い都市部への出店が目立つ が、地方のローカルチェーンでも都市部に出店している。 とはいえ各企業の出店規模で多いのは、今後も450坪から600坪で あろう。私もSMの適正規模は、300坪から550坪(最近は600坪) と言い続けている。古今東西の小売業の繁栄法則は、何度も言い続 けているが、大型化および専門化と郊外化、そして低価格化の歴史 をたどってきた。ただし都市部では、今までも小型SM(独立店、 チェーンを問わず)の出店は比較的多かった。その意味するとこ ろは、まさに“お客に近づく”歴史なのである。そう考えると昨 年来の小型SMブームは必然性があり、ブームで終わらないように 思う。 小売業の本質は、 “いかにお客に近づくか” 小型SMは、その選択肢の1つであるべきだ お客(組合員)の暮らし方が変われば、出店立地も出店規模も変 わらなければならない。過去、スーパーマーケットは、お客の郊外 移住に対応して郊外出店してきたし、お客の要望が多様化すること で、扱い商品や部門を拡大してきた(ラインロビング)。とすれば、 お客が都市部の、鉄道やバスなど交通機関の利用が便利なところに 移り住めば、当然、その周辺への出店も増えるはずである。もちろ ん、敷地や家賃などの制約条件によっては小型化するだろうし、競 争が激しければ惣菜を強化したり、逆に日用品の扱いを減らすなど、 専門特化することもありうる。 従って、仮に出店戦略(郊外立地や規模など)を決めていたとし ても、それを変更して対応するという柔軟性、あるいは選択肢を増 やすことがあってもよいはずだ。何度でも言う。小売業は、いかに 72 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> お客の求める商品やサービスを提供し、お客に近づくかという歴史 をたどってきたのだから。 生協の小型SMの実態はどうなっているのだろうか。『2008年度生 協店舗事業の概要』※1(2009年9月発行、日本生協連・会員支援本 部)によれば、303坪未満の店舗が全体の半数以上、供給高は全体 の4分の1以上を占める。しかも、299坪以下の店舗の65%は直接剰 余が出ている。今まで、生協店舗事業の赤字原因の一つは、店舗規模 ※1 最新の調査結果は、 『2009年度生協店舗事業 の概要』(2010年9月発 行)となるが、店舗規模 の集計区分が異なるため 旧版をもとに報告する。 が小さくて、品ぞろえに魅力がなく、競合店に対抗できる力がない ことだといわれていた。しかし、この調査結果からは、450坪だから業 績が良い、600坪だから競合店に勝っているかどうかは不明であり、 はっきりとした規模別の優位性は見えない。それ以上に生協間格差 や店舗間格差が大きく、単純に規模だけでは計れないことが分かる。 例えば、299坪以下の店舗の供給高は調査店舗の平均である年間 供給高6.5億円から、コープとうきょう・コープ小金井ぬくい坂下 店(297坪)の21億円まで、約3.2倍の差がある。また、1坪当たり 供給高は同222万円からコープとうきょう・コープ戸山店(165坪) の776万円まで、約3.5倍の差がある。 調べてみて驚いたことは、299坪以下の店舗の高効率(1坪当た り供給高)である。面積が狭いのだから当然ともいえるが、1位は 前述のコープ戸山店で776万円(165坪、12.8億円)、2位は同・コ ープ小金井ぬくい坂下店の624万円、3位はおおさかパルコープ・ コープながお店の600万円(250坪、15億円)、4位はコープこう べ・コープ福田店で570万円(298坪、17億円)、5位はこうち生協・ コープよしだ店の567万円(275坪、15.6億円)と続いている。これ らの店舗商圏は人口も多く、その分、家賃も高いだろうが、これだ け売っているのは立派である。逆に言うと、競合する他企業の出店 優先度№1地域でもあるだろうが。 出店規模が大きくなければ、 本当に、競合に勝てないのだろうか? 生協店舗の出店規模は08年度以降、299坪以下が減り、450坪以上 が一番多くなっている。それは、比較的、財務力・開発力・営業力 のある大手生協の出店が多いということもあるが、それ以外の要因 もあるのではないか。 つまり、① 優良店舗へのあこがれ、② チェーンストアとして家 賃が安い、競合が少ない、物件ありきという願望、③競合店に同じ 規模では勝てないというあきらめ、などである。 生協運営資料 2011.5 73 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> ① と ② と ③ は、相互につながっているが、① は、定期的にスト コンする店舗がヤオコーやヨークベニマル、サミットなどの店舗、 多くは600坪から800坪の規模が多いことがある。「品ぞろえはこう ありたい」「こんな店舗運営をしてみたい」「こんな売場をつくって みたい」−−−そのためには、小型SMの規模ではなく、大型化しな ければ実現できないと思っているのではないか。 ② は、郊外でしかも規模の大きいスーパーストア、できればNSC (近隣型ショッピングセンター)の開発・出店が、本来目指すべき 方向であるという呪縛にとらわれていることはないか。そのため、 「小型SMなどは時代遅れであり、家賃の高い都市部出店など間違っ ている。チェーンが目指す方向ではない」と考えてはいないか。 ③ は、同じ規模かそれ以上の規模でないと、競合店に負けると思 っていないか。生協は比較的、菓子・食品・日配・日用品に優位性 があり、一方、惣菜を含む生鮮食品に弱さがある。前者は売場面積 (ゴンドラ本数など)を広げて、扱い商品を増やすことで、品ぞろ えの豊富さを強調できる。従って、売場面積の大きさは競合店に勝 つ手段の一つになる。一方、後者は商品回転率を上げて鮮度を強調 するため、売場面積の大小というより販売方法や管理技術で差がつ く(もちろん、品ぞろえはどうでもよいわけではないが)。大型店 の近くにある青果店や鮮魚店、商店街の中にある精肉店や惣菜店が、 規模が小さくても頑張れるのは、以上のような理由もある。 社会環境の変化が、 都市型小型SMの出店を加速させている 都市型小型SMの出店が増えているのは、①商圏人口の割に店舗 が少ないこと(かつては、商店数は多かったが)。食品に限れば、 今では、デパ地下や商店街、CVSなどしかなく、ワンストップ・シ ョッピングできる店は少ない。結果、出店している既存SMは高効 率の店が多くなる。②リーマン・ショック以降、都市部(地方も) の地価が下がり(家賃も下がり)出店しやすくなったこと。③は、 ②とも関係するが、オフィスビルやマンションが多く建ち、人口が 都市部へ流入していることなどが考えられる。 資料1は、『激流』(国際商業出版株式会社)の11年4月号に掲載 された、流通各社の小型SMの出店戦略である。主だった動きでは、 イオンが「まいばすけっと」を14年2月までに1,000店に拡大する ことが挙げられる(11年2月末で既に180店)。売場面積は45坪から 75坪くらいで、生鮮食品あり、酒もあって、菓子・食品・日配・日 74 生協店舗、復活への道筋 <第7回> (『激流』2011年4月号より) シリーズ 生協運営資料 2011.5 75 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> 用品にはイオンのPBが入っている。価格政策はEDLPで、店長は エリア長が兼務するローコスト運営である。価格の高いCVSにはか なりの脅威になるであろう。 マルエツは超小型SM「マルエツプチ」(40坪から150坪くらい) を11年度中に約30店増やす予定とのこと。イトーヨーカ堂も昨年、 東急ストア跡地に300坪アンダーの規模で小型SM「食品館」を出店 し、首都圏で年間10店舗以上展開する予定である。 今、騒がれているのは、東京や大阪、名古屋の大都市圏であるが、 それ以外の都市では、既に300坪アンダーの小型SMの出店は地域に 浸透している。北海道のラルズ、東北のウジエやマエダ、オオバン、 関東でオータニ、フレッセイなど、中部でアオキスーパー、ナフコ、 ぎゅ∼とら、関西でサボイ味道館、コーヨー、万代、エース新鮮館、 トーホーなど。中四国のハローズ、フレスタ、ユアーズ、丸久、九 州で西鉄ストア、ハローディ、マルショク、エレナ、マルミヤ、タ イヨー、沖縄のサンエーなどなど。生協でも300坪を小型SMなどと 思わず、主戦場の一つとして、さらに磨きをかけなくてはならない と思う。 正しいストコンを通して “事実を探ること”が必要だ 実際、既存の300坪アンダー店舗をどのように活性化すべきか。もし くは、どのような業態で小型SMを出店するべきか。今話題の店をス トコンし、分析を行なった結果から、その方向性を提案してみたい。 調査店舗の概要は以下のとおりである。 ①マックスバリュエクスプレス・木月住吉店(神奈川県川崎市、 以下、MVと略す) ・10年6月29日開店 275坪 ・駅に近い住宅密集地(700m圏内に23,000人) 、競合店はなし ②マルエツ成増南口店(東京都板橋区、同、Mと略す) ・10年9月23日開店 300坪 ・駅前の市街地(700m圏内に28,500人)、競合店はダイエー、 西友、東武ストアなど ③イトーヨーカドー食品館・阿佐ヶ谷店(東京都杉並区、同、I Yと略す) ・10年10月1日開店 267坪 ・駅前のビルの地下1階(700m圏内に26,000人)、競合店は正 面に位置する西友 76 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> 各企業の小型SMでは、(1)商品構成、(2)価格、(3)店舗運営 でどのような特徴があるのか。以下で比較検討してみる。なお、ス トコンの時期は異なるが、コープさっぽろの小型SM2店 ※2 でも同 様の調査を行なったので、比較のために掲載する。 (1)商品構成について ※2 コープさっぽろ・ 中の島店(札幌市豊平区、 260坪)、同・菊水元町 店(札幌市白石区、212 坪)。 資料2は、主力商品の単品数を比較したものである。ここから分 かることは、MVは、「これだけはあるべき(なかったら困る)商 品」、つまり、毎日の食卓に欠かせない商品に絞っている。例えば トマトでは、バラ、袋入り、ミニトマトの3単品しかない。ギフト は未扱いだが、惣菜は逆に強化している(450坪の店舗に近い品ぞ ろえ)。 Mは、「あったらいいな(お客の要望に沿う)商品」をできる限 りそろえている(業界誌によると、取扱商品は7,660単品)。I Y は、 青果は絞り込んでいるが、その他は絞り込んでいない。特に納豆で は、こだわり商品も含めて33単品もあり、駅前立地に対応して惣菜 は強化している(同、6,500単品) 。 コープさっぽろは、その中間といってよく、あまり特徴が見えな い。なお、惣菜は午前中のストコンのためか、商品がまだ十分に出 ていなかった。 生協運営資料 2011.5 77 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> (2)価格について 資料3は、価格比較である。MVは、3店舗の中では高からず低 からず、いつもそこそこ安いEDLP政策でありチラシ広告は打って いない。ハーゲンダッツ「ミニカップ」やハウス「バーモントカレー」 、 「アタック」はイオングループ内の他の業態と同じ価格である。M とI Y は、チラシで低価格を強調するハイ&ロー政策をとっている。 Mの、ハウス「バーモントカレー」177円はMVより安い。しかし、 日ハム「シャウエッセン」は通常598円と高い。I Y の定番価格は都 心部の駅前立地とはいえ、極端に高い。I Y は、ハウス「バーモン トカレー」は288円と標準価格であるのに、「シャウエッセン」は 398円と特売価をつけており、商品間のバラツキがある。 78 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> (3)店舗運営について MVは、一番コストがかかっていないと思われる(業界誌による と、9時から22時の営業で、正社員6人+パート社員52人の計58人 で運営)。畜産商品と水産の塩干商品の99%はアウトパック。Mは 10時から25時の営業時間で、54人(8時間換算)で運営している。 1人当たり持ち売場面積は5.6坪と3店舗の中では一番広い(MVは 4.7坪。I Y は4.2坪) 。 I Y は逆に、一番コストがかかっていると思われる(10時から23 時の営業で、正社員13人+パート社員50人の計63人で運営)。こだ わり商品が多いことで、正社員の人数が多くなっているのだろうか。 コープさっぽろの詳細は不明だが、正規職員は店長1人で、あとは パート職員により運営されていると聞いているので、圧倒的にロー コスト運営だと思われる。 肝心の売上高(供給高)はどうだろうか。レジ台数とピークタイ ム・アイドルタイムのレジ稼働台数などから試算してみる。私の基 準では、レジ1台当たり年間3.3億円(売れている店)から2.5億円 (あまり売れていない店)の差があると考えている。 以下が私の試算である。 ①MV レジ1台当たり年間売上高3億円×6台=18億円(坪当 たり655万円) ②M レジ1台当たり年間売上高2.5億円×6台=15億円(同 500万円) ③I Y レジ1台当たり年間売上高2.5億円×6台=15億円(同 561万円) ④C レジ1台当たり年間供給高2.5億円×4台=10億円 なお、短時間のストコンではあるが、Cはレジ3台でも対応でき るように思われた。この場合、年間供給高は7.5億円(売場250坪と して、坪当たり300万円)くらいではないか。 以上から推測すると、①MVは、早期黒字化が確実であり、②M は、黒字化に時間がかかりそう、③I Y は、赤字状態が続く(高 級・高額商品の品ぞろえが売上高につながっていないと思われるし、 人手がかかりすぎている) 。 ④Cは、売場面積の割に供給高が低すぎる。これは、生鮮食品売 場に魅力がない、価格が高いことなどが要因と思われる。その理由 として、Cは600∼800坪(ドラッグストア含む)を標準規模と決め ていて、都市型300坪SMは別運営としていることがあるのかもしれ ない。 生協運営資料 2011.5 79 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> 業態ごとの立ち位置(コンセプト)を 明確にしよう! 小型SMを成功させるために、他企業の店舗から何を学ぶべきか。 学ぶべきは、①店の立ち位置(コンセプト)を明確にする、②具 体的なコンセプトをつくり、守り続ける、③全ての人に、全ての物 を売ることはできないと割り切る、④どんなに多くの商品を扱って も適正規模の店にはかなわないと知る、⑤ふだんの生活とは何なの か、非日常生活とは何なのかをあらためて調べる、⑥売場づくりの 工夫をする、などである。 ①は、例えば価格面でEDLPを徹底するのか、ハイ&ローを徹底 するのかを決める。決まったら、毎日、競合店の価格をチェックし て対応するぐらいでないと、コンセプトは認知されない。多くの生 協は、「EDLP」と言っている割には、中途半端な安さになってい る。買上点数増につながらず、無駄な値引きになることを恐れる。 ②は、当初のコンセプトが抽象的である上、具体的なコンセプト をつくったとしても、それを毎日意識し、守り続けることができる かどうかである。例えば、実際に各企業の「お客の声掲示板」を見 るとこんなことが分かった。お客の「○○を扱って欲しい」という 要望に対し、MVは「スペースに限りがあり、対応はできません」、 MとIYは「対応を検討します」との回答が目立っていた。生協の 人たちにとって、MVはお客に不親切であり、MとI Y は親切であ ると思うだろう。今までも、生協では後者の対応を方針に掲げてい る。だが、考えてみてほしい。MVは、全てのお客の声に対応して いないが、それは「EDLP」を明確に打ち出し、ローコスト運営を 維持するというコンセプトが組織風土になっているので、「対応で きません」と自信を持って言っているのではないか。 ③は、②と関係するが、おそらく、MとIYには、「お客さまニー ズにできる限り対応する」というコンセプトがあるのだろう。しか し、限りある売場面積の中で取扱商品をどのように決めるのかとい う基準は明確になっていないように思う。このことは生協でも同様 で、ケースやゴンドラ内から通路にはみ出して陳列されている商品 の多いことや、商品の陳列フェースが少ない(ピアノの鍵盤型)こ とと関係する。ただし、競合店がないと判断した場合は、商品があ れもこれもある「何でも屋さん」でもよいと思う。 ④は、前述したように、私は300坪から550坪(最近では600坪) を適正規模と考えている。その定義は「最大効果をもたらす施設面 80 シリーズ 生協店舗、復活への道筋 <第7回> もう 積の広さのこと」であるが、乱暴にいうと、「儲けやすい規模」の ことである。もちろん、立地によっても企業力によっても適正規模 は違ってくるが、大切なのは、地域のお客が「この規模の店」に期 待する、期待しないことをつかみ、(勇気がいるが)必然性のない ものは扱わないと割り切ることである。 ⑤は、基本的には小商圏であり、買い物頻度の高いふだんの商品 に絞る必要がある。ところが日常と非日常生活の違いだけでなく、 日常生活の中の違いも、私たちは気が付いていないかもしれない。 例えば「低価格」とは、何でもどこよりも安いことでお客の評価を 受けるのか、あるいは特定の商品がとてつもなく安いから低価格と 思われるのか。また、「値ごろ」とは、各々の商品でいくらぐらい を想定しているのか。「適量」とは、どのくらいの量をいうのか。 高齢者の来店が多いと、すぐ「小量」といい、ミニサイズやバラ売 りを想定するが、集まり(おばあちゃんの女子会?など)の時には 盛り合わせや箱売り商品も該当するのではないか。 ⑥は、小型SMというと、すぐローコスト運営の話になるが、「手 間がかかることはしないことがローコスト運営」と思っていないか。 どんなに規模が小さくても、CVSでもいろんな工夫がある店は、や はり楽しい。なのに生協では、ローコスト運営というと、つまらな い店が多くなる。ましてや、「ウチはローコスト運営をやっていま す」と、わざわざ組合員にアピールしなくてもよいのに。 最近のMVでは、「店長のおすすめ商品」を含めて、売りたい商 品が明確であり、POPや売場づくりでの工夫が多数見られる。これ により、今までの評価、「価格は安いけれど、売場はつまらない MV(特に生鮮食品売場は魅力なし)」がウソのようである。 正しいストコンを通して、世の中の事実や変化を絶えず見続ける とともに、その事実に則して売場を見直していくことが大切だ。素 直にスピーディーに、さらに一工夫を加えて対応できるようにしよ う。 生協運営資料 2011.5 81