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南海トラフの巨大地震 建物被害・人的被害の被害想定項目及び

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南海トラフの巨大地震 建物被害・人的被害の被害想定項目及び
平成27年1月17日
首都直下地震対策シンポジウム
地震の防災・減災にむけて
新たな国の地震対策への取り組みと
首都直下地震の想定
東京管区気象台長
横田 崇
(併任)内閣府統括官(防災担当)付
阪神・淡路大震災以降
(東日本大震災まで)の
地震・津波対策の考え方
1
従来の国の大規模地震対策の概要
我が国は、4つのプレートに囲まれ、世界の地震(M6以上)の2割が発生するなど、地震の多発する国
東海地震
予知の可能性のある地震
いつ大地震が発生してもおかしくない
予知の可能性のある地震
(平成15年5月 大綱作成)
西日本全域に及ぶ超広域震災
東南海・南海地震
今世紀前半での発生が懸念される超広域地震
20mを超える大きな津波
(平成15年12月 大綱作成)
日本海溝・千島海溝
周辺海溝型地震
中部圏・近畿圏直下地震
切迫性の高い宮城県沖地震を
はじめとする8タイプの地震
老朽木造市街地や文化財の被災が
懸念される地震
(平成21年4月 大綱作成)
(平成18年2月 大綱作成)
東北地方太平洋地震の震源域
首都直下地震
我が国の中枢機能の被災が懸念される
ある程度の切迫性を有するM7クラスの地震
(平成17年9月 大綱作成、平成22年1月 大綱修正)
2
従来の中央防災会議が防災対策の対象とした地震の考え方
従来の中央防災会議が防災対策の
対象とした地震の設定の考え方
1.繰り返し発生している。
2.発生確率・切迫性が高い。
検討対象とした地震
海溝型地震
①東海地震(M8.0)
②東南海・南海地震(M8.6)
・今後100年間で発生の可能性がある。
・活断層地震が500年以内にあった場合は
対象としない。
3.発生が資料等で相当程度確認
されている。
③日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震
(M7.6~8.6)
直下型地震
4.想定地震の規模はM7~8クラス。
5.経済・社会情勢、中枢機能を考慮。
④首都直下地震(M6.9~7.5)
⑤中部圏・近畿圏直下地震(M6.9~
8.0)
平成23年3月11日東北地方太平洋沖地震
日本周辺では想定していなかった
M9.0の規模
過去資料では確認できない
広域の震源域・波源域
想定を大きく超えた
津波高
3
これまでの減災の柱(基本は現在も同じ)
膨大な人的・物的被害
建物の耐震化
人的物的被害軽減
火災の防止
人的被害
津波避難対策
人的被害軽減
政治、行政、経済の中枢への被害
被害が全国、海外へと広域的に波及
BCP(事業継続計画)の策定
被害が全国、海外へと広域的に
波及
中枢機能の
継続性確保
4
地震の特徴等
(東北地方太平洋沖地震を踏まえ)
○
○
○
○
○
○
○
阪神・淡路大震災の被害状況と震度7の分布
地震の発生する場所は?
津波は?
地震の規模の違いは?
揺れている時間は?
地盤の変化は?
余震の数は?
5
兵庫県南部地震の被害状況と
震度7の分布
神戸市中央区
気象庁 提供
1995年1月17日05時46分51.8秒
マグニチュード 7.3 最大震度 7
神戸市灘区
淡路島旧北淡町平林(断層)
出典:気象庁ホームページ
気象庁 提供
気象庁 提供
世界の超巨大地震
アリューシャン地震
マグニチュード
発生年
発生場所
Mw 9.5
1960
チリ地震
Mw 9.2
1964
アラスカ地震
Mw 9.1
1957
アリューシャン地震
Mw 9.0
2011
東北地方太平洋沖地震
Mw 9.0
2004
スマトラ島沖地震
Mw 9.0
1952
カムチャッカ地震
出典:東京大学地震研究所 2011年3月 東北地方太平洋沖地震 特集サイトをもとに作成
(http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/wordpress/wp-content/uploads/2011/03/WorldLargestEQ_v4.jpg)
宮
城
県
七
浸水範囲と痕跡
被害想定と今回の津波の浸水高、遡上高の比較
想定3地震と東北地方太平洋沖地震の津波高の比較
仙台
松島湾
万石湾
八戸
陸前高田
宮古
三陸沖北部
【想 定】
40
茨城県
福島県
宮城県
三陸沖北部
宮城県沖
岩手県
宮城県沖
三陸沖北部
明治三陸地震
明治三陸タイプ
宮城県沖
東北沖_遡上高
35
30
海岸の津波の高さ(m)
【今 回】
明治三陸地震
東北沖_浸水高
25
松
島
湾
20
万
石
湾
東北沖_遡上高
東北沖_浸水高
15
青森県
10
5
0
宮
城
県
塩
竈
宮
城
県
松
島
千
葉
県
蓮
沼
村
千
葉
県
旭
市
千
葉
県
銚
子
市
茨
城
県
波
崎
町
茨
城
県
神
栖
町
茨
城
県
神
栖
町
茨
城
県
鹿
嶋
市
茨
城
県
鉾
田
町
茨
城
県
大
洗
町
茨
城
県
ひ
た
ち
な
か
市
茨
城
県
日
立
市
茨
城
県
日
立
市
茨
城
県
高
萩
市
茨
城
県
北
茨
城
市
福
島
県
い
わ
き
市
福
島
県
い
わ
き
市
福
島
県
い
わ
き
市
福
島
県
広
野
町
福
島
県
楢
葉
町
福
島
県
大
熊
町
福
島
県
小
高
町
福
島
県
原
町
市
福
島
県
相
馬
市
福
島
県
新
地
町
宮
城
県
亘
理
町
宮
城
県
名
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市
宮
城
県
宮
城
野
区
宮
城
県
七
ヶ
浜
町
宮
城
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塩
竈
市
宮
城
県
松
島
町
宮
城
県
東
松
島
市
宮
城
県
東
松
島
市
宮
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県
矢
本
町
宮
城
県
石
巻
市
宮
城
県
女
川
町
宮
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県
石
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石
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女
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宮
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石
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宮
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県
志
津
川
町
宮
城
県
歌
津
町
宮
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津
町
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県
本
吉
町
宮
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県
気
仙
沼
市
宮
城
県
唐
桑
町
宮
城
県
唐
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町
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城
県
唐
桑
町
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手
県
陸
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高
田
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手
県
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大
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町
岩
手
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山
田
町
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山
田
町
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宮
古
市
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宮
古
市
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宮
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市
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手
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宮
古
市
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宮
古
市
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手
県
宮
古
市
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手
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岩
泉
町
岩
手
県
田
野
畑
村
岩
手
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普
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村
岩
手
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久
慈
市
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久
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市
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種
市
町
岩
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町
青
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青
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八
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百
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青
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三
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六
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所
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浦
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城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 城 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 手 森 森 森 森 森 森 森 森 森 森 森 森 森 森
(出典)・想定3地震の津波高:日本海溝・千島海溝周辺型地震対策に関する専門調査会想定結果
県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県
東 東 矢 石・2011年東北地方太平洋沖地震浸水高、遡上高:「東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ」による速報値(2011年5月9日)
田 普 久 久 種 種 八 八 百 三 六 六 東 東 東 東 む 風 大 佐
女 石 石 石 石 石 女 女 女 石 石 石 石 志 歌 歌 本 気 唐 唐 唐 陸 陸 大 大 大 大 大 大 大 釜 釜 釜 釜 釜 釜 大 山 山 山 宮 宮 宮 宮 宮 宮 岩 、注:使用データは海岸から200m以内で信頼度A(信頼度大なるもの。痕跡明
松 松 本 巻 川 巻 巻 巻 巻 巻 川 川 川 巻 巻 巻 巻 津 津 津 吉 仙 桑 桑 桑 前 前 船 船 船 船 船 船 船 石 石 石 石 石 石 槌 田 田 田 古 古 古 古 古 古 泉 野 代 慈 慈 市 市 戸 戸 石 沢 ヶ ヶ 通 通 通 通 つ 間 間 井
瞭にして、測量誤差最も小なるもの)を使用。
8
世界で観測された津波の高さ(最大値)
海外の検潮所で観測された津波の高さ
日本沿岸の津波観測施設で観測された
津波の高さ
アメリカ、チリで約2.5mの高さなど、太平洋沿岸の広い範囲で
津波が観測されました。
福島県相馬:9.3m以上
宮城県石巻市鮎川:8.6以上
岩手県宮古:8.5m以上
岩手県大船渡:8.0m以上 等
津
波
の
高
さ
(
m
)
アメリカ(ポートオーフォード)
震央
アメリカ(クレセントシティ)
アメリカ(ポートサンルイス)
アメリカ(カフルイ)
エクアドル(サンタクルーズ島)
出典:気象庁ホームページ(平成23年3月地震・火山月報(防災編)
矢印は、津波観測施設が津波により被害を受けたため
データを入手できない期間があり、後続の波でさらに高く
なった可能性があることを示す。
観測施設には、内閣府、国土交通省港湾局、海上保安
庁、国土地理院、愛知県、四日市港管理組合、兵庫県、
宮崎県、日本コークス工業株式会社の検潮所を含む。
チリ(アリカ)
津波の高さ(cm)
チリ(カルデラ)
チリ(コキンボ)
チリ(タルカワノ)
出典:気象庁ホームページ(平成23年3月地震・火山月報(防災編)
海外の観測値は米国地球物理学データセンター(NGDC)による読み取り値。
高さ200cm以上を観測した海外の観測点については観測点名を表記。
マグニチュードと地震のエネルギーの関係
球の体積が地震のエネルギーを表とすると、
Mが1大きくなると球の半径は約3.2倍大きくなる。
M7.0
M8.0
M9.0
地震の規模が大きくなると、揺れる時間が長くなる
兵庫県南部地震の際、神戸海洋気象台
では震度5弱以上の揺れは15秒ぐらい
東北太平洋沖地震の際、宮城県築館
では震度5弱以上の揺れは2分ぐらい
兵庫県南部地震の際、神戸海洋気象台
では震度3以上の揺れは40秒ぐらい
東北太平洋沖地震の際、宮城県築館
では震度3以上の揺れは4分ぐらい
本震の規模が大きいと、余震の規模も大きく、数も多くなる
○余震の数は時間とともに少なくなる
余震確率(M≧7.0)
余震回数予測図
3月13日から発生確率(3日間)を発表
確率値の推移
余震回数予測図(M≧5.0)
100
90
3月18日から余震回数予測図を発表
4/24以降の確率値が
10%未満となったため、
確率値の発表を終了
80
70
60
50
40
30
20
10
0
3/8
3/18
3/28
4/7
4/17
4/27
(気象庁資料を基に作成)
震央分布図(3/11~4/30)
矩形領域を余震域とした
(気象庁資料)
出典:気象庁ホームページ(平成23年 災害時地震・津波速報)
地殻変動状況(上下変動)
震源のほぼ真上の宮城県沖
の海底約3メートル隆起
上下
約1.5m
約1.5m
39°N
釜石沖2
約3m
釜石沖1
牡鹿
牡鹿
約1.2m
38°N
宮城沖2
3/11(M9.0)
約1.2m
約0.8m
宮城沖1
福島沖
約0.9m
37°N
km
0
140°E
141°E
50
100
142°E
143°E
144°E
牡鹿半島(電子基準点牡鹿)
では約1.2m程度沈下
(資料):国土地理院資料に内閣府追記
(資料):海上保安庁資料を基に内閣府作成
145°E
東北地方太平洋沖地震による液状化被害(千葉県、茨城県)
液状化による噴砂(千葉県浦安市)
浦安市提供
マンホールの浮き上がり(千葉県香取市)
香取市HP
建物への被害(千葉県我孫子市)
電柱の傾斜(茨城県潮来市)
我孫子市HP
内閣府撮影
14
東北地方太平洋沖地震による液状化被害の特徴(3)
(東京湾沿岸の液状化)
• 東京湾沿岸部の液状化範囲は世界最大の約42km2
• 浦安市の面積は16.98 km2 であり,そのうち74%が昭和40年以降に埋め立てられた所で
ある。そのほとんどの地区が液状化した。そしてこれらの多くは住宅地として利用されて
いたため,戸建て住宅やライフラインに膨大かつ甚大な被害が発生した。
 継続時間が長い(約2 分、主要動だけ
でも1 分程度)
 地盤内で生じた繰返しせん断力振幅
はそんなに大きくないものの、繰返し
回数が非常に多かったことで、激しい
液状化を生じた可能性
(出典)
・安田進ほか 「東京湾岸における液状化被害」地盤工学会7月号
・安田進「東京湾岸で液状化が発生した地区の概要(第2報)平成23年3月26日現在」
(独)防災科学技術研究所の公開データ
(http://www.k-net.bosai.go.jp/k-net/ )から気象庁作成
過去の地震と比べて揺れの継続時間が長く、約2分間にわたって繰り返し激し
15
く揺れたことが大規模な液状化発生につながった可能性がある。
東日本大震災を教訓とした
新たな地震・津波対策の考え方
16
東北地方太平洋沖地震時の揺れがおさまった後の避難行動
※N=870
地震の揺れがおさまった後の避難行動パターンは、以下のA~Dの4つに分類できる。
A. 揺 れ が お さ ま っ た 直 後 に す ぐ 避 難 し た :直 後 避 難
B. 揺れがおさまった後、すぐには避難せず
な ん ら か の 行 動 を 終 え て 避 難 し た :用事後避難
C. 揺れがおさまった後、すぐには避難せず
なんらかの行動をしている最中に津波が迫ってきた :切 迫 避 難
D. 避難していない(高台など避難の必要がない場所にいた)
496名
267名
94名
13名
地震の揺れがおさまった後の避難行動について、避難行動パターン別にみると、3県ともに「A:直後避難」が
最も多いが、「B:用事後避難」「C:切迫避難」のように、すぐには避難せずなんらかの行動をしている人が42%
みられる。
11%
31%
1%
全体
N=870
9%
30%
3%
岩手県
N=391
13%
B.揺れがおさまった後、すぐには避難し
なかった。なんらかの行動を終えて避難
した
58%
32%
10% 0%
1%
A.揺れがおさまった直後にすぐ避難した
宮城県
C.揺れがおさまった後、すぐには避難し
54%
N=385
なかった。なんらかの行動をしている最
中に津波が迫ったきた
25%
福島県
N=94
65%
D.避難していない
57%
A.揺れがおさまった直後にすぐ避難した
B.揺れがおさまった後、すぐには避難しなかった。なんらかの行動を終えて避難した
C.揺れがおさまった後、すぐには避難しなかった。なんらかの行動をしている最中に津波が迫ったきた
D.避難していない (高台など避難の必要がない場所にいた)
図 揺れがおさまった後の避難行動
17
避難行動パターンと津波との遭遇の関係
グラフ タイトル
※N=857(A+B+C)
避難のタイミングと津波との遭遇について、避難行動パターン別にみると、「C:切迫避難」
A:直後避難
は津波に巻き込まれた割合が高く、避難のタイミングが遅れるほど津波に遭遇している。
B:用事後避難
津波に巻き込まれ流された
安全に避難するには早期避難が重要である
途中で津波が迫り体がぬれたりした
C:切迫避難
津波に巻き込まれなかった
津波に遭っていない
0%
A:直後避難
N=496
B:用事後避難
N=267
C:切迫避難
20%
1%
4%
40%
0% 20% 40% 60% 80%100%
60%
56%
1%
54%
6%
28%
21%
その他
80%
100%
37%
2%
36%
41%
3%
0%
10%
N=94
図-2 避難行動パターンと津波との遭遇
18
交通政策審議会港湾分科会第1回防災部会資料
19
津波避難路
・避難路の取り組み
おもと
小本地区津波避難路(岩手県岩泉町)
・岩泉町小本小学校は背後に高く十数メートルの切り立ったがけが
あり、大きく迂回しなければ避難できない状況であった。町長が国
土交通省三陸国道事務所に掛け合い、津波時の避難場所である
高台への避難路を確保するため、2009年3月に長さ約30メートル
の避難階段を設置し、2010年には夜間の誘導灯も設置された。
・今回の津波で校舎、体育館、校庭とも浸水したが、この避難階段
により、児童は全員無事に避難した。
(出典)広報いわいずみ2010年4月号
設置された避難路と避難訓練時の様子
(出典)国土交通省三陸国道事務所宮古維持出張所
おおみさき
大水崎地区津波災害避難路(和歌山県串本町)
・串本町は南海地震が発生すれば5分~10分で津波が来襲する。そ
の中でも、大水崎地区はそのほとんどが海抜3メートル以下の土地
であるため、町内で津波被害が最も心配される地域である。
・自主防災組織が2年をかけて、海抜約10メートルの高台まで速やか
に避難できる避難路を完成させ、さらに高台へと避難できる避難路を
町が整備した。これにより、海抜37メートルの地点にある指定避難
場所(総合運動公園)まで約15分かかっていた時間が、約5分に短縮
された。
・また、夜間でも避難しやすいように、避難路沿いに停電しても2時間
避難路全景
は電気がついて足元を照らす蓄電池式の非常灯が5基整備されてい
(出典)消防防災博物館HP
る。平成15年防災まちづくり大賞(総務大臣賞)を受賞。
20
中央防災会議における地震対策の検討体制
中央防災会議
会長:内閣総理大臣
防災対策推進検討会議(終了)
防災対策実行会議
座長:内閣官房長官、 座長代理:防災担当大臣
平成25年6月、8月、12月 開催
平成24年3月7日第6回中央防災会議
「防災対策推進検討会議」WG設置決定
東北地方太平洋沖地震を教訓とした
地震・津波対策に関する専門調査会(終了)
座長:河田惠昭 関西大学社会安全学部長
平成23年9月 最終報告
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ(終了)
(主査:河田惠昭 関西大学社会安全学部長)
南海トラフの巨大地震モデル検討会(座長:阿部勝征 東京大学名誉教授)
南海トラフの巨大地震の地震像について科学的・技術的検討。震度分布・津波高について検討
を行い、ワーキンググループに報告、引き続き、長周地震動等について検討を行っている。
首都直下地震対策検討ワーキンググループ(終了)
(主査:増田寛也 (株)野村総合研究所顧問)
首都直下地震モデル検討会(座長:阿部勝征 東京大学名誉教授)
首都直下の地震像について、科学的・技術的検討を行い、ワーキンググループに報告、引
き続き、長周地震動等について検討を行っている。
津波避難対策検討ワーキンググループ(終了)
(主査:田中淳 東京大学情報学環総合防災情報研究センター長・教授)
中央防災会議のワーキンググループ
内閣府に設置の会議
21
防災対策の転換
東北地方太平洋沖地震を教訓とした
地震・津波対策に関する専門調査会
最終報告(H23.9.28)
⇒ 反省と教訓をもとに防災対策全体を再構築
津波対策を構築するにあたっての新たな想定津波の考え方
今後は、二つのレベルの津波を想定
発生頻度は極めて低いものの、甚大な被害をもたらす最大クラスの津波
住民等の生命を守ることを最優先とし、住民の避難を軸に、とりうる手段を尽くした総合的な津波対策を確立
発生頻度は高く、津波高は低いものの大きな被害をもたらす津波
人命保護に加え、住民財産の保護、地域の経済活動の安定化、効率的な生産拠点の確保の観点から、
海岸保全施設等を整備
22
津波被害を軽減するための基本的考え方
○最大クラスの津波に対しては、被害の最小化
を主眼とする「減災」の考え方に基づき、対
策を講ずることが重要である。
○このため、防波堤や防潮堤などのハード対策
により頻度の高い津波被害をできるだけ軽減
○それを超える津波に対しては、防災教育やハ
ザードマップの整備など、避難することを中
心とするソフト対策を重視
○「命を守る」ため、強い揺れや長い揺れを感
じた場合に、迷うことなく迅速かつ自主的に
できるだけ高い場所に避難することが基本
23
南海トラフの地震・津波対策
(東北地方太平洋沖地震を踏まえ)
24
防災対策を検討する対象地震・津波の設定について
強震断層域・津波断層域の広さをどう考えるのか?
(どこまでの領域の連動発生を想定するのか?)
・南海トラフ(東海・東南海・南海地震)
・東北地方太平洋沖地震
東海・東南海・南海地震が連動する場合に想定
する強震断層域・津波断層域をどこまで拡大する
のか?
東北地方太平洋沖地震は多くの領域が
連動して発生
さらに東へ?
破壊領域ではどこまで?
500年間隔地震
津波地震との連動は?
日向灘への拡大は?
強震断層域
津波断層域
東海・東南海・南海地震の強震断層域・津波断層域
(出典)
東海・東南海・南海地震の想定震源域:東南海、南海地震等に関する専門調査会(第16回 H15.12.16 )
東北地方太平洋沖地震
25
(出典)日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会報告(平成18年1月25日),
資料図表集P2 図1-1検討対象地域の領域区分に作図
南海トラフ巨大地震による最大クラスの地震・津波の考え方
○プレート境界面深さ約30kmから深部低周波地震
が発生している領域
○プレート境界面深さ30㎞の位置を修正し、内陸側
のさらに深い方に拡大
○震源分布から見てプ
レートの形状が明瞭で
なくなる領域
○九州・パラオ
海嶺付近で
フィリピン海
プレートが厚
くなっている
領域
○日向灘北部か
ら南西方向に
拡大
○トラフ軸から富士川河
口断層帯の北端
○富士川河口断層帯の領
域も対象
強震断層域(津波断層域の主部断層)
津波地震を検討する領域(津波断層域
に追加する領域)
○強震断層域:プレート境界面深さ約10㎞
○津波断層域:深さ約10kmからトラフ軸までの
領域に津波地震を引き起こすすべりを設定
地震の規模
南海トラフの巨大地震
南海トラフの巨大地震
中央防災会議(2003)の強震断層域、
津波断層域
トラフ軸
※海底地形図は海上保安庁
提供データによる
参考
津波断層モデル
(津波断層モデル)
強震断層モデル
(強震断層モデル)
2011年
東北地方太平洋沖地震
2004年
スマトラ島沖地震
2010年
チリ中部地震
面積
約14万km22
約11万km22
約10万km2
(約500㎞×約200㎞)
約18万km2
(約1200㎞×約150㎞)
モーメント
マグニチュード Mw
9.1
9.0
9.0
(気象庁)
9.1(Ammon et al., 2005)
[9.0 (理科年表)]
約6万km2
(約400㎞×約140㎞)
8.7(Pulido et al., in
press)
[8.8(理科年表)]
中央防災会議(2003)
強震断層域
約6.1万km2
8.7
26
南海トラフの巨大地震モデル検討会
平成24年8月29日公表(2次報告)
南海トラフ巨大地震による震度分布
強震波形計算による震度分布
東側ケース
基本ケース
36
36
陸側ケース
西側ケース
34
34
36
36
32
34
【震度の最大値の分布図】
強震波形4ケースと経験的手法の震度の最大値の分布
経験的手法による震度分布
該当面積
今回の震度分
布
中央防災会議
(2003)
震度6弱以上
約7.1万km2
約2.4万km2
震度6強以上
約2.9万km2
約0.6万km2
震度7
約0.4万km2
約0.04万km2
【参考】
中央防災会議(2003)の東海・東南海・南海地震の震度分布図
32
34
27
南海トラフ巨大地震による津波高分布
津波高(平均値)
市町村数
5m以上
124市町村(13都県)
10m以上
21市町村(5都県)
市町村数には政令市の区を含む
【ケース①「駿河湾~紀伊半島沖」に「大すべり域+超大すべり」域を設定】
28
防災対策の推進
第一次報告
H24.8.29公表
○耐震化の推進 (全壊建物棟数と死者を少なくする)
(現在の耐震化率79%) 627,000棟
(耐震化率90%) 361,000棟
4割減
(耐震化率95%) 240,000棟
6割減
○避難の迅速化 (津波による死者を少なくする)
(早期避難率が低い場合)
全員が直後に避難
+
津波避難ビル
約108,000人~約224,000人
約8,000人~ 約52,000人
最大9割減
29
強震動に対する防災対策の効果
第一次報告
H24.8.29公表
(1)建物の耐震性の強化
• 住宅の耐震化率の現状は全国平均で約79%(平成20年)
• 旧耐震基準の建物の建替や耐震補強等が行われ、現状よりも建物の耐震性が強化され
た場合の効果を推計
※地震動は基本ケース
700,000棟
50,000人
揺れによる全壊棟数
約627,000棟
45,000人
600,000棟
建物倒壊による死者数(冬・深夜)
40,000人
約38,000人
500,000棟
35,000人
約29,500人
400,000棟
30,000人
約361,000棟
25,000人
300,000棟
約21,000人
200,000棟
20,000人
約240,000棟
15,000人
約14,000人
約118,000棟
100,000棟
10,000人
約5,800人 5,000人
0棟
0人
耐震化率
約79%(現状)
耐震化率
約90%
耐震化率
約95%
耐震化率
約100%
30
津波に対する防災対策の効果
第一次報告
H24.8.29公表
(1)東海地方が大きく被災するケース
(地震動ケース(基本)、津波ケース(ケース①)、冬・深夜)
31
第二次報告
H25.3.18公表
経済的な被害 防災・減災対策の効果の試算
耐震化、火災対策等を推進することによる減災効果の試算
建物の耐震化率100%
火災対策(出火対策、消火対策) 等
○生産・サービス低下による影響
○資産等の被害
(兆円)
民間
200.0
準公共
公共
169.5
150.0
20.2
(兆円)
0.9
50.0
80.4
100.0
44.7
40.0
31.8
30.0
148.4
50.0
16.3
0.6
20.0
63.4
10.0
44.7
31.8
0.0
0.0
対策なし
対策あり
対策なし
対策なし
対策あり
対策あり
32
想定される首都直下地震への対策
33
モデル検討会
関東周辺のプレート境界と南関東地域で発生する地震のタイプ
関東周辺のプレート境界
南関東地域で発生する地震のタイプ
①
②
フ
ィリ
ピン
海
③
北米プレート
6
⑥
②
プレ
ート
④
洋
⑤
太
平
太
平
プ
洋
レ
プ
ー
レ
ト
ート
① 地殻内の浅い地震
② フィリピン海プレートと北米プレートの境界の地震
(相模トラフ沿いの地震)
③ フィリピン海プレート内の地震
④ フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界の地震
⑤ 太平洋プレート内の地震
⑥ フィリピン海プレート及び北米プレートと太平洋プレート
の境界の地震
34
新たな知見の収集・整理
首都直下地震防災・減災特別プロジェク 相模トラフ周辺の構造探査結果による
ト(2012)におけるフィリピン海プレート上 フィリピン海プレート上面深度
面の深さ
正井(1980)による
1460年頃の古地形
汎地球航法衛星システム(GNSS)データから推定さ
れる相模トラフとその周辺のカップリング分布(西村
(2012))
地形区分に関する資料の整理
左図:1460年頃の江戸の水系(正井(1980)
をもとに海岸・河川・池・湿地および台地をト
レースし作成)
中図:現在の地形(50mDEMより作成)
右図:地質区分による微地形区分(産総研
シームレス地質図を微地形に置き換えて作
成、50mメッシュを使用)
河川・海岸
湿地
台地
35
モデル検討会
南海トラフ沿いの最大クラス地震モデルと相模トラフ沿いの最大クラス地震モデルの震源断層域の比較
伊豆・小笠原海溝
南海トラフ沿いと相模トラフ沿いで想定される最大
クラスの震源断層域の比較
南海トラフ沿い
相模トラフ沿い
全域
約14万km2
約4万km2
10km以深
約11万km2
約3万km2
約8百km
約3百km
面積
想定震源断層域の全域
トラフ軸長さ
10km以浅の領域
トラフ軸・海溝軸
36
モデル検討会
関東平野北西縁断層帯
関東平野北西縁断層帯
立川断層帯
立川断層帯
新たな知見
伊勢原断層帯
・フィリピン海プレートの
深さ・形状
・ GNSS観 測 に よ る プ レ ー ト 運 動
など
三浦半島断層群主部
伊勢原断層帯
三浦半島断層群主部
神縄・国府津―松田断層
帯
西相模灘の地震
フィリピン海プレート上面形状⇒神縄・国府津―松田断層帯は、プレート境界の分岐断層である可能性が高いこ
とより活断層としての検討対象から除外
プレート間の運動に関するGNSS観測の解析結果⇒歪が蓄積している西相模灘(伊豆半島の東側)を震源断層域と
する地殻内の地震(Mw7.3)を検討対象とする。
最近の内陸で発生した地震についての調査結果⇒地表断層が不明瞭として想定する地震の規模の上限をMw6.8
(注:前回(2004年)はMw6.6)。
図48
検討対象とする首都直下のM7クラスの地震(地殻内の浅い地震の再検討)
37
モデル検討会
M8クラスの地震の発生間隔とM7クラスの地震
南関東では、200~400年間隔でM8クラスの地震が発生
M8クラスの地震の前にM7クラスの地震が複数発生
9.0
現
在
元禄関東地震
(1703)M8.5※
2000~3000年
大正関東地震
(1923)M8.2※
元
禄
関
東
地
震
タ
イ
プ
の
地
震
も
し
く
は
最
大
ク
ラ
ス
の
地
震
200~400年
220年
8.0
大正関東地震から
90年経過
2200
2000
1950
1900
1850
1800
1750
1700
1650
1600
現
在
2100
(1987)M6.7
)(1923)M7.3
(1853)M6.7
)(1921)M7.0
千
葉
県
東
方
6.0
※元禄関東地震と大正関東地震のマグニチュードは
本検討会で津波の再現計算から求めた値
M
発7
生ク
すラ
るス
可の
能地
性震
がが
高
い
2150
(1930)M7.3
丹
沢
(
大
正
関
東
龍 余
ヶ 震
崎
茨
城
県
南
部
(
浦
賀
水
道
(1922)M6.8
)(1895)M7.2
嘉
永
小
田
原
茨
城
県
南
部
霞
ヶ
浦
大
正
関
東
地
震
タ
イ
プ
の
地
震
北
伊
豆
(
(1782)M7.0
(1649)M7.0
6.5
東
京
湾
(1894)M6.7
(1633)M7.0
慶
安
武
蔵
(1855)M6.9
7.0
天
明
小
田
原
(1648)M7.0
寛
永
小
田
原
安
政
江
戸
(1894)M7.0
慶
安
相
模
明
治
東
京
2050
7.5
大正関東地震タイプの地震:今後30年間で、ほぼ0~2%
元禄関東地震タイプの地震:今後30年間で、ほぼ0%
2250
8.5
38
対策WG
地震動による被害想定の検討の対象とした地震
相模トラフ沿いの大規模地震
1 首都直下
2 大正関東地震タイプの地震
地震の規模
M7クラス
発生頻度
今後30年間に
約 70%
震度分布
震源域から一定の範囲
被害最大の地震を想定
津波
東京湾内は1m以下
3 最大クラスの地震
M8クラス
200~400年間隔
前回の発生から
約100年が経過
2000~3000年間隔
前回の発生から
約300年が経過
首都地域の広域にわたり大きな揺れが発生
東京湾内は2m程度以下
湾外の神奈川県、千葉県
6~8m
東京湾内は3m程度以下
湾外の神奈川県、千葉県
10mを超す場合がある
39
対策WG
首都直下で想定される地震と対策
M7クラスの首都直下地震
発生確率:約70%
総合的対策
(耐震化、火災対策)
東北地方
太平洋沖地震
(日本海溝沿い)
延宝房総沖地震(M 8.5)
東北地方太平洋沖地震に
誘発される可能性がある
発生確率:7%
津波対策
大正関東地震(M 8.2)
発生確率:0~2%
中長期対策
(街づくり、津波対策)
大正関東地震の割れ残り地震(M 8.2)
※ただし、津波ソフト対策はすぐにも実施
元禄関東地震(M 8.5)
発生確率は、わからない
津波対策
(相模トラフ沿い)
最大クラスの地震(M 8.7)
発生確率は、ほぼ0%
M8クラスの海溝型地震
40
防災対策の対象とする地震
対策WG
1 首都直下地震
今後30年間に約70%の確率で発生
防災対策の主眼とする
2 大正関東地震タイプの地震 (相模トラフ沿いのM8クラス)
当面発生の可能性が低い
長期的視野に立った対策の実施
(参考)
3 最大クラスの地震 (相模トラフ沿いのM8クラス)
今後、千数百年は発生が見込まれない
41
モデル検討会
延宝房総沖地震タイプの地震
立川市直下(Mw7.3)
さいたま市直下(Mw6.8)
茨城・埼玉県境(Mw7.3)
茨城県南部(Mw7.3)
関東平野北西縁
断層帯(Mw6.9)
立川断層帯
(Mw7.1)
都心西部直下(Mw7.3)
成田空港直下(Mw7.3)
都心東部直下(Mw7.3)
東京湾直下(Mw7.3)
千葉市直下(Mw7.3)
伊勢原断層帯
(Mw6.8)
市原市直下(Mw7.3)
羽田空港直下(Mw7.3)
都心南部直下(Mw7.3)
三浦半島断層群主部
(Mw7.0)
川崎市直下(Mw7.3)
大正関東地震タイプの地震
房総半島の南東沖で想定されるタイプの地震
大正関東地震で未破壊の領域を震源域とす
る地震を想定
横浜市直下(Mw6.8)
西相模灘(Mw7.3)
―
―
―
大正関東地震タイプの地震
延宝房総沖地震タイプの地震
房総半島の南東沖で想定されるタイプ地震
凡例
・
・
・
・
・
・
―:都区部のフィリピン海プレート内の地震
―:都心部周辺のフィリピン海プレート内の地震
震度
:北米プレートとフィリピン海プレートの境界地震
―:地表断層が不明瞭な地殻内の地震 7
6強
―:活断層の地震(地表断層が明瞭な地殻内の地震)
6弱
―:西相模灘の地震
5強
5弱
4
3以下
各地震による沿岸での津波高(市町村別)
各地震による沿岸での津波高
(太平洋側の沿岸部(島しょ部を除く)(50mメッシュ値))
(参考)
検討したM7クラスの19地震の位置図と震度分布
左:都心南部直下地震の震度分布
右:首都直下のM7クラスの地震の重ね合わせた震度分布
地殻内(Mw6.8)、フィリピン海プレート内(Mw7.3)に一律に震源を想定した場合の
震度分布及びM7クラスの19地震の震度分布を重ね合わせたもの
図
対策の対象としたM8クラスの海溝型地震
42
全国ゆれやすさマップ
【参考図】ゆれやすさマップ(全国一律に
M6.8の震源を想定した場合の震度分布)
山岳部も含めて全国を対象とし、断層
上端の深さは4㎞固定
対策WG
都区部直下地震の被害想定
防災対策の対象地震
都区部直下地震
* 東京湾内の津波は小さい(1m以下)
【 都心南部直下地震】 M7.3
被害想定(最大値、未対策(現状))
震度分布(都心南部直下地震)
- 全壊・焼失家屋
: 最大 約
- 死者
: 最大 約 2.3 万人
- 要救助者
: 最大 約 7.2 万人
- 被害額
: 約 95 兆円
※冬、夕方 風速8m/秒のケース
61万棟
(要救助者の最大は冬、深夜のケース)
44
被害の様相
対策WG
建物 : 木造住宅を中心に多くの建物が損壊する。
火災 : 火災が同時に多発し、延焼が2日程度続く。
電力 : 5割の地域で停電が発生し、
最悪の場合、1週間以上回復しない。
電話 : 携帯電話を含め不通の状態が1日程度続き、
停電が長期化すると携帯電話の使用も不安定となる。
道路 : 主要道路の開通には少なくとも1日~2日を要する。
一般道はガレキによる不通区間が大量に発生、
復旧には1カ月以上を要する
鉄道 : 運転再開には、地下鉄で1週間、
JRや私鉄では1カ月程度を要する。
45
対策WG
防災・減災対策とその効果
耐震化の推進による
建物被害の軽減
200,000棟
約175,000棟
約11,000人
180,000棟
160,000棟
揺れによる全壊棟数
約175,000棟
約8,550人
8,000人
120,000棟
約98,000棟
約6,100人
100,000棟
6,000人
約98,000棟
80,000棟
約3,800人
60,000棟
約63,000棟
耐震化率を 100%
全壊棟数 と 死者数
⇒ 約9割減
10,000人
建物倒壊による死者数(冬・深夜)
140,000棟
耐震化率を全国レベル90%
全壊棟数 と 死者数
⇒ 約5割減
12,000人
4,000人
約27,000棟
40,000棟
約1,500人
20,000棟
約27,000棟
0棟
2,000人
0人
耐震化率
約79%(全国、H20)
約87%(東京都、H20)
耐震化率
約90%(全国)
約94%(東京都)
耐震化率
約95%(全国)
約97%(東京都)
耐震化率
約100%(全国)
約100%(東京都)
46
対策WG
防災・減災対策とその効果
出火防止対策等の強化による
火災被害の軽減
かんしん
• 感震ブレーカー等の設置
電気出火の防止
焼失棟数 ⇒ 約 5割減
• 上記とあわせて
初期消火成功率の向上等
⇒ 9割以上減
(注) ガス供給からの出火防止については、
SUPREMEシステム※等により対応済み。
※ 管内4000箇所の地震データを数分で解析、
中央制御によりブロック停止するシステム
500,000棟
約430,000棟
450,000棟
約16,000人
400,000棟
約430,000棟
18,000人
16,000人
焼失棟数
14,000人
火災による死者数(最大)
350,000棟
12,000人
300,000棟
約3,800人
約239,000棟
10,000人
250,000棟
8,000人
200,000棟
約239,000棟
6,000人
150,000棟
100,000棟
4,000人
約21,000棟
50,000棟
約800人
2,000人
約21,000棟
0棟
現状
0人
電気関係の出火の防止 電気関係の出火の防止及
び初期消火成功率の向上
が図られた場合
47
対策WG
経済被害対策とその効果
建物の耐震化、火災対策の推進
により、経済被害の半減が可能
• 感震ブレーカー等の設置の電気出火
(兆円)
100
90
経済被害 ⇒ 約 3割減
• 上記とあわせて、建物の耐震化を
生産・サービス低下による影響(全国)
80
68兆円
70
の防止、初期消火成功率の向上
95兆円
48
60
50 兆円
45兆円
50
39
40
35
30
推進(100%)
経済被害 ⇒ 約 5割減
さらに、
資産等の被害(被災地)
20
30
47
29
10
0
減災なし
被災交通施設の早期復旧、
①電気関係の
出火の防止、
初期消火
成功率向上
15
15
② ①に加え、
耐震化率
100%
③ ②に加え、
BCP策定
サプライ
チェーン強化
電力供給の最適調整、瓦礫処理対策
⇒ 経済活動の早期再開、 早期本格活動復帰
が可能
48
対策WG
首都中枢機能の確保
一定の強靭性を持っているが、さらに強化を推進する
○ 政府機能
- 政府業務継続計画の策定
○ 金融決済機能 - 市場間の連携強化、情報発信
○ 企業活動
- (結果事象型)業務継続計画の策定推進
- 情報資産の保全、サプライチェーン等の強化
・ 危機管理体制の強化
・ 経済被害の拡大の防止
49
対策WG
復旧・復興の迅速化
深刻な道路交通麻痺の対策 : 早期の復旧・復興の大前提
消火活動、救命救助活動、膨大な物流、ライフラインの復旧、
経済活動の再開 等のあらゆる震災後対策の前提
道路交通の確保
早急な対策が必要
・ 放置車両対策: 内閣府、警察庁、国土交通省で処理方策を検討
・ 瓦礫処理対策: 広域調整
・ 沿道耐震化
50
対策WG
相模トラフ沿いの大規模地震
大正関東地震タイプの地震への対応
• 100年(3世代)先を見据えた
街の再構築
東京湾内
津波高
2m以下
津波高6~8m
• ロングスパンでの津波対策
• 長周期地震動に対応した
耐震化等の技術開発
【 参考 】 被害想定※
- 全壊・焼失家屋
: 最大 約 133 万棟
- 死者
: 最大 約
7 万人
- 要救助者
: 最大 約
18 万人
- 被害額
:
約 160 兆円
※ 現在の首都圏の姿を前提に試算
51
おわりに
(災害から命をまもるために)
⇒ 敵(自然現象のメカニズム)を知ること
⇒ いざというときに避難すること
⇒ 日頃からの備えと訓練が重要
52
最後にもう一度!
【 地震・津波で大切なこと 】
○日頃の備え、耐震化、家具の固定、
危険な場所、安全な場所、避難路等の確認
○地震を感じたら、身の安全を
○沿岸で、大きな揺れ或いは長い揺れを感じたら、
揺れが長く続いたら、すぐさま避難
○津波警報を見聞きしたら、すぐさま避難
⇒堤防等は、命を守るものではなく、避難をサ
ポートをしてくれるもの。直ぐさまの避難が大切
(横田 崇)
ご清聴ありがとうございました。
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