Comments
Description
Transcript
平成 21 年度事業報告書
平成 21 年度事業報 告書 平 成 21 年 6 月 29 日 財団法人 中東協力センター 平成21年度事業報告書 平成21年度に実施した事業 I. 中東等産油国投資等促進事業(経済産業省補助事業) 1. 目的 現在中東等産油国は、炭化水素依存型の産業構造からの脱却を目指しており、人口急増 による自国民の雇用確保の点からも、産業の多角化が戦略的に重要となっている。このた め、我が国からの投資および技術移転に対する要望は、近年、加速度的に増大している。 本事業は、エネルギーの安定供給確保のために、我が国が原油供給の約 90%を依存して いる中東等産油国との協力関係を維持、拡大し、これら諸国から特に要請の強い、我が国 企業による直接投資を促進することを目的とする。 2. 事業内容 (1) 投資環境整備支援事業 ① 専門家派遣 本事業は、専門家を産油国駐在員として派遣し、日本からの投資を促進するため 駐在国の投資環境についての調査、情報収集、投資を検討する日本企業への各種 情報の発信、合弁事業化可能分野・合弁相手先企業の発掘等をおこなう事業で、 サウジアラビアに2名、クウェート、イラン、UAEアブダビに各1名、計5名の専門家 を派遣した。 ② 国内アドバイザー事業 産油国への投資を検討している国内企業に対し、各種アドバイザー事業を実施 した。 ③ 情報提供事業 【広報事業】 a) 「中東協力センターニュース」の発行(隔月) 中東等産油国の政治、経済、社会、文化のあらゆる面における最新の 関連情報を「中東協力センターニュース」として発行し、会員企業を はじめ中東等産油国への投資等に関心をもつ企業、団体等に配布した。 b) ホームページの更新・見直し 当センターホームページを通じ、投資関連情報をタイムリーに発信し、 対中東産油国投資に関する我が国民間企業の理解と関心を高めると同 時に、公募事業の広告等もホームページ上で行った。 - 1 - (2) 企業投資・人材育成等支援 ① 投資促進ミッション交流事業 【ミッション派遣事業】 近年益々期待の高まる日本から中東等産油国への投資要請に応え、我が国 企業のビジネスの発展に資するべく、投資促進ミッション 8 チームを中東産 油国へ派遣した。各ミッションは、それぞれ具体的なプロジェクト案件につ いて現地の関係企業・機関と協議、市場視察、立地調査等を通じ、投資環境 を実地で確認した。これらの結果、一部のプロジェクト案件については、企 業化可能性調査へとつながるなど、合弁事業の実現に向けて一定の成果を得 た。 事業名 プラント診断・ メンテナンスサポー ト事業 1次 2次 1次 ダクタイル鉄管 製造事業 2次 水資源ミッション 吸収体紙の製造・販売 工業都市省エネ型 排水再生事業 ロボットスーツ 開発・製造・販売事業 派遣先 サウジアラビア、 バーレーン、 カター ル 派遣期間 平成 21 年 6 月 27 日~7 月 11 日 平成 21 年 11 月 30 日~12 月 16 日 サウジアラビア、 平成 21 年 UAE、インド 7 月 23 日~8 月 8 日 平成 21 年 トルコ 10 月 11 日~23 日 平成 21 年 サウジアラビア 10 月 31 日~11 月 6 日 サウジアラビア、 平成 21 年 UAE、オマーン 10 月 9 日~19 日 平成 21 年 エジプト 10 月 2 日~10 日 平成 22 年 サウジアラビア 2 月 27 日~3 月 4 日 平成 22 年 バーレーン、UAE 2 月 20 日~25 日 バーレーン ② プロジェクト具体化支援事業 【企業化可能性調査事業】 中東産油国に対する我が国企業の具体的な投資案件として、本年度は下記 3 件について、経済、技術両面から企業化の可否を調査した。 事業名 実施国 期間 太陽熱/複合発電 クウェート 平成 21 年 7~12 月 吸収体紙の製造・販売事業 エジプト 平成 22 年 2~3 月 被覆植物の苗生産販売事業 UAE 平成 21 年 11 月~ 平成 22 年 2 月 - 2 - ③ 人材育成支援事業 【現地研修・現地派遣】 a) プラスチック加工研修所設立支援専門家派遣 期間 : 平成 21 年 4 月 1 日~平成 22 年 3 月 31 日 対象国 : サウジアラビア 実施内容 : 平成 19 年 10 月リヤドに新設されたプラスチック加工 研修所に、平成 21 年度も専門家(年度末現在 9 名)を 継続派遣して支援した。 b) 日本語教師派遣 期間 : 平成 21 年 4 月 1 日~平成 22 年 3 月 31 日 対象国 : UAE 実施内容 : アブダビの公立小学校に日本人教師 1 名を派遣し、日 本語等の指導、教育を行った。 c) Arabian Travel Market 2009 期間 : 平成 21 年 5 月 5 日~8 日 対象国 : UAE 実施内容 : ドバイで開催された中東で最大の旅行博「Arabian Travel Market 2009」に日本の観光・旅行関連企業・ 団体関係者 7 名を派遣し、中東地域から日本への観光 旅行促進のための PR を行った。 d) Gastech 2009 展示会への参加 期間 : 平成 21 年 5 月 25 日~28 日 対象国 : UAE 実施内容 : 中東に向けて現在多角的に取り組んでいる新規事業 (造水・発電・環境・新エネルギー・住宅)の PR なら びに投資や技術移転等のビジネス形成促進のため、ア ブダビにおいて開催された「Gastech 2009」へ関係者 6 名を派遣した。 e) 現地 KAIZEN セミナー(第 1 回) 期間 : 平成 21 年 6 月 28 日~7 月 5 日 開催地 : アルジェリア、モロッコ 実施内容 : アルジェリア経営者フォーラムとモロッコ中小企業促 進局を、それぞれ現地共催機関として実施した。セミ ナー参加者はアルジェリア約 100 名、 モロッコ約 40 名。 - 3 - f) アブダビにおける炭素繊維を活用した水質改善技術紹介ミッション 期間 : 平成 21 年 7 月 3 日~10 日 開催地 : UAE 実施内容 : 貯水池における藻類の繁殖といった水質悪化の問題に 対するソリューションとして、炭素繊維を活用した水 質浄化をアブダビ環境庁に提案するため、本邦企業に よるミッション(5 名)を派遣した。浄化技術のプレゼ ンを行うと共に、アブダビ湾および内陸貯水池の水質 調査を実施、同庁に対して調査結果の報告、提案を行っ た。 g) 中東産業事情視察ビジネスミッション 期間 : 平成 21 年 10 月 10 日~22 日 対象国 : サウジアラビア、カタール、UAE、エジプト 実施内容 : 中東各国の政治・経済・社会情勢・ビジネス環境等に 関する幅広い知識を習得すると共に、現地機関や企業 との人的関係の構築を図ることで将来のビジネス形成 に資することを目的に実施した。参加者は本邦企業 8 社から 9 名。 h) 現地 KAIZEN セミナー(第 2 回) 期間 : 平成 21 年 11 月 6 日~13 日 開催地 : クウェート、バーレーン 実施内容 : クウェートではクウェート石油公社会議室でのレク チャー方式、バーレーンにおいては Tamkeen(旧労働基 金)を現地共催機関として、それぞれ実施した。ク ウェートの参加者は 10 名、バーレーンセミナーの参加 者は約 150 名。 i) 省エネルギー新エネルギービジネス中東ミッション 期間 : 平成 22 年 1 月 15 日~22 日 対象国 : サウジアラビア、カタール、UAE 実施内容 : 我が国の環境先進技術・プロジェクト事例紹介を目的 と した 、参加 企業各 社の プレ ゼンに よるビ ジネ ス フォーラムを訪問先各国で開催し、さらにビジネス マッチングを実施した。サウジアラビアでは石油省、 カタールではカタール・ペトロリウム、アブダビでは 経済開発庁等を現地共催機関として実施した。また、 アブダビではワールド・フューチャー・エナジー・サ ミットの視察も合わせ実施した。ミッション参加者は 19 社 34 名。 - 4 - 【国内研修・国内受入】 a) ビジネスマンミッション受入(第 1 回) 期間 : 平成 21 年 6 月 1 日~5 日 対象国 : トルコ 実施内容 : トルコ首相府投資促進機関および企業関係者 3 名を受 け入れ、ICT 分野を中心とした投資セミナーを開催する と共に、日本企業 16 社を訪問し投資促進活動をおこ なった。セミナー参加者は約 70 名。 b) 起業家体験学習訪日研修 期間 : 平成 21 年 7 月 12 日~19 日 対象国 : サウジアラビア 実施内容 : ビジネスの中核を将来担う人材の育成を目的として、 サウジアラビアの私立男子高校生 14 名を受け入れ、東 京等にて研修を実施した。 c) ビジネスマンミッション受入(第 2 回) 期間 : 平成 21 年 7 月 27 日~8 月 2 日 対象国 : サウジアラビア、UAE 実施内容 : 下水道分野における日本からの技術移転や投資促進を 目的として、両国の民間企業、政府関係機関から 9 名 を受け入れ、我が国の下水処理の最新技術動向および 個別企業の製品やシステムについての講義および視察、 「下水道展 2009 東京」での出展企業との個別商談、広 島の関連施設の視察及び地元企業 8 社とのビジネス ミーティングを行った。 d) イラン IPHRD(注)向け Practical Corporate Management 研修 期間 : 平成 21 年 8 月 3 日~10 日 対象国 : イラン 実施内容 : IPHRD が募集したイランの企業経営層、マネージャーク ラス 14 名を対象に研修を行い、日本企業における経営 管理・工場管理、実践的な問題解決手法について、ケー ススタディを交えた講義を実施した。また、工場見学 (日清オイリオ、日産自動車、JFE スチール、東京電力) 、 グループ討議/発表等を通して理解の向上を図った。 (注)イラン産業開発革新公社傘下の生産性・人材資源開発協会 - 5 - e) UAE 高校生短期訪日研修 期間 : 平成 21 年 10 月 30 日~11 月 12 日 対象国 : UAE 実施内容 : 中東の若い世代の日本に対する理解を深め、ひいては 日本のプレゼンスを高めることを目的として、UAE の高 校生 6 名・教員 3 名を受け入れ、研修を行った。 f) クウェート電力・水省技術者向け浄水管理研修 期間 : 平成 21 年 11 月 11 日~12 月 2 日 対象国 : クウェート 実施内容 : 人口増加に伴う水需要増加への対応が喫緊の課題に なっているクウェートの浄水管理技術の向上を目指す ことを目的に、同国電力・水省職員(水事業部門)10 名を受け入れて研修をおこなった。 g) イラン IPHRD 向け Strategic HRM/ HRD and MBO 研修 期間 : 平成 21 年 11 月 30 日~12 月 5 日 対象国 : イラン 実施内容 : IPHRD が募集した企業経営幹部、人事管理・研修担当責 任者等 23 名を対象に研修を行い、日本企業における人 材マネジメント・人材開発に対する取り組み、目標管 理制度の効果的な活用について、ケーススタディを交 えた講義を実施した。また、工場見学(キャノン電子、 日産自動車、東芝、日鍛バルブ)、グループ討議/発表 等を通して理解の向上を図った。 h) サウジ・イマーム大学教員向け研修 期間 : 平成 22 年 2 月 15 日~26 日 対 象 国 : サウジアラビア 実施内容 :サウジ高等教育省の教職員研修強化事業の一環として、 イマーム大学教員 12 名を対象に、日本企業において適 用されている生産性向上のための経営手法についての 研修を行った。また、JFE スチール、富士電機システム、 松下エコシステムズ、トヨタ自動車の国内工場を訪問 し、日本企業が実際に取組んでいる生産性向上活動を 視察した。 3. 事業成果 上記のとおり、投資環境整備支援および企業投資・人材育成等支援事業を実施し、中東 等産油国の企業などと我が国企業との投資実現に必要な相互理解ならびに環境づくりに成 果をあげるとともに、投資の実行に必要となる諸条件の確認作業および投資実行に向けた 企業判断に大きく貢献した。 かかる状況下、我が国企業の具体的な直接投資案件が実現し、また企業数社が直接投資 に向けて事業化を検討中である。 - 6 - II. 中東産油国原油供給長期安定化事業(経済産業省受託事業) 1. 目的 新興国を中心に原油需要の拡大が予想され、原油供給に占める中東の比率は今後ますま す増大すると見込まれている。原油価格の高騰に伴い、中東産油国との協力のあり方は変 容してきており、いまや、中東の富を活用した新たなビジネス・パートナーシップを早急 に確立し、中東産油国との複合的な経済関係を構築することが、原油供給を長期にわたっ て安定化させるために必要である。 本事業では、当センターが有する日本企業および中東関係者との幅広いネットワークを 構築・活用して、各種調査、投資促進協議会の開催、展示会への出展、投資セミナー・シ ンポジウムの開催等の各事業を連携させて実施し、中東産油国との間で企業間の経済交流 の促進を図ることを目的とする。 2. 事業内容 (1) 投資等促進協議会 民間レベルでのビジネス交流促進に向けた対話を支援するため、日本側民間代 表および産油国側民間代表による投資促進協議会を以下の通り開催した。また、 学識経験者、経済産業省、外務省、各種政府関係機関が定期的に集まり、相互の 活動内容や収集した情報を共有し、各機関のより効果的なイラク関連事業の実施 を目指す、イラク委員会等の運営を行った a) 第11回日本・サウジアラビア ビジネスカウンシル(平成22年2月23日) リヤドにおいて、第 11 回日本・サウジアラビア ビジネスカウンシルを開 催し、日本側 108 名、サウジアラビア側約 80 名が出席した。 第 1 セッションでは、 「National Industrial Strategy」をサウジアラビ ア商工省が紹介し、引き続き、日サ産業協力タスクフォースの活動状況報告 と、日本とサウジアラビアの産業協力に関する具体的な動きとして平成 21 年 9 月に開校したサウジアラビア電子・家電製品研修所の現状について、日 本側が報告した。さらに、昨年 12 月の第 1 回日本アラブ経済フォーラムの 開催を経済産業省が紹介し、本年 12 月にチュニジアで開催予定の第 2 回 フォーラムへの参加を呼びかけた。 第 2 セッションでは、具体的投資につながる技術、案件の紹介を、また第 3 セッションでは、プロジェクトに対する政府による金融支援の枠組みにつ いて日サ双方が発表した。 - 7 - b) 第15回日本・クウェート民間合同委員会(平成22年2月21日) クウェートにおいて、第 15 回日本・クウェート民間合同委員会を開催し、 日本側約 60 名、クウェート側約 40 名が出席した。 第 1 セッションでは、クウェート側から、「新 4 カ年開発計画」と今後の 大型プロジェクトの計画、オフセットプログラムへの対処例についての報告 等、クウェートにおける今後のビジネス機会を紹介した。一方日本側からは、 中東におけるフランチャイズビジネスの展開が、クウェートにおける日本か らの新たなビジネスアプローチの一環として紹介された。 第 2 セッションでは、環境分野をとりあげ、第 3 セッションでは、電力と 水に関する発表が日ク双方からそれぞれ行われた。 クロージング・セッションでは、日本企業に対する「新 4 ヶ年開発計画」 への積極的参加を要請したクウェート側に対し、日本側は、引き続き投資、 技術移転等に積極的に協力し、クウェートに関する情報提供の拡大を要請し た。 c) 中東水資源協力推進会議 GCC 産油国から我が国への度重なる水資源問題に関する協力要請への対 応、民間企業のビジネスチャンス発掘を目的として、平成 13 年 9 月、中東 協力センターが事務局となり、官民で組織する「中東水資源協力推進会議」 を設立し、以来日本の最新技術を用いた技術協力、水分野での日本企業のビ ジネス機会の発掘などを行ってきた。平成 21 年度は、第 24 回全体会議を平 成 21 年 8 月に開催し、その後、中東水資源ミッションを派遣、既存のネッ トワークや新たに開発したネットワークを利用して、中東の官民トップに対 し日本企業の有する優れた水ビジネスに係る技術やノウハウを広くアピー ルした。 d) イラク委員会 イラク委員会の事務局として、同委員会を毎月または隔月に開催した。イ ラク委員会では、構成メンバーである 2 省 8 政府関係機関によるイラク関係 事業報告、イラク最新情報の交換、イラクデスク活動報告を通して情報共有 化を図った。 また、関係各方面より収集したイラク関連情報(イラク・日本・国際機関 等によるイラク情報や外務省 在イラク大使館からの現地報道情報等)を データベース化し、当事務局が作成したイラク委員会ホームページや各種イ ベントの企画、 月に 1 度のメールマガジンを通じて日本企業向けに発信した。 さらに、平成 21 年 11 月に開催した「ヨルダン・イラク・パレスチナ」展 にイラク情報コーナーを設置し、イラク関連情報の展示、配布を行い、来場 者の相談に応じた。 - 8 - e) 第2回日本イラク経済フォーラム(平成21年12月20日) バグダッド国際空港において開催された第 2 回日本イラク経済フォーラ ムに参加した。本フォーラムは、日本が、イラクとの関係を長期的・戦略的 観点から強化していく上で、両国経済・ビジネスの強化を主要な取組のひと つとし、官民双方が出席する形で開催されたものであり、JCCME がイラク国 家投資委員会(NIC)と協力し、投資・ビジネス促進の為、ワンストップ・ サービスを提供し、 「日イラク投資・ビジネスグループ」の設置・運営を行 うことを確認した。 (2) 投資促進展示事業 a) Saudi Water & Power Forum(平成21年10月11日~13日) 中東水資源協力会議によるサウジアラビア、UAE、オマーンへの水資源ミッ ション派遣の機会を捉え、サウジアラビアのジェッダで開催された「Saudi Water & Power Forum 2009」の展示会に出展し、日本企業および東京都水道 局とともに水関連技術の PR を行うと同時に、訪問者との商談を行った。 b) World Future Energy Summit(平成22年1月18日~21日) アブダビにおいて、同国 MASDAR 社(Abu Dhabi Future Energy Company) の主催で開催された The 3rd World Future Energy Summit 併催展示会にお いて、ジェトロが提供した日本パビリオンに出展し、中東協力センターの事 業を紹介するとともに、投資相談に応じた。 (3) 情報提供事業 ① 広報事業 a) クウェート オフセットプログラムガイドライン邦訳版作成 ナショナルオフセットカンパニーより入手した同プログラムのガイ ドラインを翻訳、これをセンターホームページおよびセンターニュース に掲載することにより、同プロプログラムに対する日本企業の理解の深 化と、クウェートへの投資促進に資することとした。 ② 投資促進セミナー等 中東各国との双方向の投資促進をはじめとするビジネス連携を目的としたセ ミナーを下記の通り開催した。 a) 第1回日本アラブ経済フォーラム(平成21年12月7日~9日、於:東京) アラブ連盟加盟 22 ヶ国の経済・外務・エネルギー関係閣僚、商工会 議所首脳、財界代表および同事務局を日本へ招聘し、貿易、投資、エネ ルギー、化学技術、人的資源開発などの幅広い分野での協力を通じて、 日本とアラブ諸国との相互の経済関係のを強化を目的とした本フォーラ ムを開催した。 日本側からは直嶋正行経済産業大臣、岡田克也外務大臣、 中東協力センター・根本二郎会長、経団連・御手洗冨士夫会長、JETRO・ - 9 - 林康夫理事長、その他日本の経済界代表が参加した。 初日の閣僚級会合では、 「人的つながり」、「エネルギー、水、そして 未来」 、 「貿易と投資」の三つのテーマの下、 教育、 人材開発、 エネルギー、 環境、科学技術、貿易、投資等の幅広い分野について議論が行われた。 2 日目のビジネスセミナーでは、民間が主体となり、金融、水ビジネ ス、新エネルギー、産業・貿易・環境・観光などの分野で分科会が開催 し、3 日目は都内関連施設の視察を行った。また、フォーラム期間中、 当センターの手配により、個別商談会を開催した。 参加者は、アラブ側 300 名、日本側 900 名、計 1,200 名に達した。 b) 第33回中東協力現地会議(平成21年8月27日~28日、於:ウィーン) 中東地域との関係を有する政府当局、日本大使、政府関係機関、民間 企業および内外の識者・専門家が一堂に会し、それぞれの意見や情報を 積極的に交換し、中東情勢への認識を高め、今後の中東地域への経済協 力の遂行や民間企業の同地域でのビジネス展開の促進に資することを目 的に 166 名が参加し、活発な議論・検討を行った。 会議後、会議での討議を踏まえ、今後の中東政策について総理大臣に 提言した。 1 日目は、経済産業省幹部による「今後の対中東政策について」の基 調講演、外務省幹部による「最近の世界経済情勢と中東経済について」 の講演、外務省幹部による「日本の対中東外交」についての報告、6 カ 国の日本大使によるカントリーレポート、内外有識者による講演を行っ た。 2 日目は、有識者による基調講演(「中東の政治・経済情勢」など)、 OPEC 関係者による「石油需給と価格動向」についての講演、中東経済の 専門家、中東駐在企業からのビジネスレポート、政府関係機関活動報告 などが行われた。 c) トルコ投資セミナー(平成22年1月27日、於:東京) トルコ首相府投資促進機関が「トルコ投資の近況、再生可能エネル ギー投資の事例」、トルコ・エネルギー市場規制局が「トルコのエネル ギー・セクター」 、そして三菱東京 UFJ 銀行が「トルコ経済の現状と見通 し」についてそれぞれ講演した。 d) イラク投資セミナー(平成21年7月10日、於:東京) イラク側の各大臣及び関係省幹部による、イラクでのビジネス展開に 関する情報提供に、日本企業約 300 名が参加した。また同日、日本企業 とイラク関係省大臣や要人との個別協議の機会も提供され、多数の日本 企業が参加した。 e) イラクビジネスセミナー(平成21年11月19日、於:東京) 内外有識者によるイラク全体情勢、治安、法律、税法関連の講演を行 い、約 240 名が参加した。 - 10 - (4) 調査事業 a) 米国・英国の対中東政策に関する調査 委託先 委託期間 調査内容 Conflict Securities Advisor Group 平成21年10月~ 平成22年3月 Strategic Energy and Global Analysis, LLC 平成21年10月~ 平成22年3月 Halper and Associates Virginia Corporation 平成21年11月~ 平成22年3月 MEC International Ltd 平成21年11月~ 平成22年3月 中東の政治経済情勢調査 MEED Insight 平成21年10月~ 平成22年3月 サウジ・ビジネス環境調査 中東問題に対する米国政治 状況についての調査 中東情勢調査 イラン情勢についての調査 中東情勢調査 米国政治状況調査 (5) 人材育成支援事業 a) 生産性向上研修(平成22年1月25日~2月5日、於:東京) 対 象 国 : イラン、エジプト、チュニジアの 3 カ国(計 20 名) 研修内容 : 対象国の製造業・関係政府機関の経営幹部および上級管理職 を対象に、日本企業において適用されている生産性向上のた めの経営手法(KAIZEN、5S、JIT、TQM、MOT、CS 等)について の研修を行い、JFE スチール、曙ブレーキ、東海製紙、トヨタ 自動車の国内 4 社の工場を訪問、日本企業が実際に取組んで いる生産性向上活動を視察した。 3. 事業成果 以上の通り、原油供給の長期安定を図ることを目的として、投資促進協議会等の開催、 調査の実施、展示会への出展、広報事業、投資促進セミナーの開催、日アラブ経済フォー ラムの開催、要人招聘の実施、研修生受け入れの実施、投資アドバイスの提供を実施した。 これらを通して、中東等産油国の企業等と我が国企業との投資実現に必要な相互理解なら びに環境づくりに一定の成果をあげたとともに、中東諸国の富を活用した日本との新たな ビジネスパートナーシップの形成に寄与した。また、重層的経済関係を構築するために必 要な中東諸国との新たなネットワークが形成され、さらに中東諸国と日本の企業との間の 経済交流が促進された。 - 11 - III. 産油国産業協力等事業(資源エネルギー庁補助事業) 1. 目的 本事業は、平成 20 年 1 月開催の「第 9 回日本・サウジアラビア ビジネスカウンシル」 における、電子・家電製品研修所(SEHAI : Saudi Electronics & Home Appliances Institute、 以下「研修所」 )設立に関するサウジ側協力要請を受け、具体化された。若年層の産業人材 育成・高度化、雇用促進に資することを目的とし、サウジアラビア独自による産業人材育 成の推進を可能とすることを目標とし、日本・サウジアラビア産業協力タスクフォース人 材育成支援案件の一つとしても認識されている。 2. 事業概要 平成 21 年度は産油国石油精製技術等対策事業補助金事業として、日本工学院専門学校及 び日本の電機メーカーの協力を得ながら、カリキュラム、シラバス、研修所教員用指導要 領、研修用機材リスト、第 1 年次用テキスト等を作成し、日本講座設立・開始の基盤を整 備した。 (1) 第2年次用テキスト等の作成 ① 第2年次テキスト原稿作成 経済産業省の協力の下、家電製品協会テキスト、日本側ワーキンググルー プ参加企業の製品マニュアル等の提供を受け、日本工学院専門学校による取 りまとめにあたり、随時サウジアラビア側ワーキンググループ(SWG)との 協議を実施し、平成 22 年 3 月にサウジ側に提出した。 ② 研修用機材リスト作成 財団法人日本国際協力システムの支援を得て、第 2 年次カリキュラム実 施に必要となる研修用機材リストを作成した。 ③ ワークショップレイアウト案の作成 本年秋よりより使用する研修所内ワークショップ(Electronics、Air Conditioner、Home Appliances、Computer and Office Equipment の各プロ グラム向け)のレイアウト案を作成した。今後、現地に派遣している 3 名の 日本人専門家が中心となり、実際の機材の据付工事等の助言を行う予定である。 (2) 日本講座教員に対する研修 ① 目的及び期間等 日本講座の第 1 年次を担当する 9 名の研修所教員の研修を、平成 21 年 6 月より約 2.5 ヶ月間、日本工学院八王子専門学校において実施した。 ② 研修内容 研修は、電子・電気技術に係る基礎理論・知識の習得を目的とした研修 所日本講座の理念に基づき、実際のサウジ人学生への授業を想定した訓練・ - 12 - 指導を行い、さらに国内電機メーカーのコールセンター、メンテナンスおよ びサービス部門の視察、講義等に参加した。 (3) 日本人専門家派遣 ① 長期派遣専門家 期間 : 平成 21 年 9 月より約 3 年間 人数 : 3名 主要業務 : 研修所教員、カリキュラム、教材準備、機材調達等の幅広い 面について、研修所の円滑な運営のため、研修所サウジ人校長 に対してアドバイスを行った。 ② 短期派遣専門家 期間 : 平成 21 年 9 月より約 1 ヶ月 人数 : 1名 主要業務 : 開校時支援 (4) 国内関係各社との定期会議 事業実施にあたり、国内関係各社との定期会議を開催し、参加国内企業 10 社からコメントやアドバイスを得た。 (5) サウジ側関係者との協議 サウジ側ワーキンググループとの協議を通じて業務の進捗等を確認・共 有した。 (6) 国内外メディア等を通した広報活動 国内外の官民関係機関に対して幅広く本事業を知らしめる目的で、積極 的に情報提供を行い、国内各紙に加え、現地各紙、テレビ等で紹介された。 3. 事業成果 開校を迎えた今回の補助事業期間においては、開校前の準備から開校後の運営サ ポートまで幅広く実施し、可能な限り円滑に事業が行われるよう支援した。補助事業 実施の成果として、以下の 2 点が挙げられる。 (1) 研修所開校 日本・サウジアラビア双方のワーキンググループが集中的に協議し、結果 を導き出してきた結果、平成 20 年 10 月の計画開始からわずか 1 年間の準備期 間で、当初の予定通り本研修所を昨年 9 月 26 日に開校する事ができた。 (2) サウジアラビア側からの評価 本事業に関しては、王族、政府要人(経済企画省、石油鉱物資源省、国家 産業クラスター計画庁、職業訓練公社)、駐日サウジアラビア王国大使館、民 間財界人等が、日本側の官民一体となった協力を高く評価し、謝意が表明され ている。 - 13 - IV. 中東交流事業(財団法人 JKA 補助事業) 1. 国際交流 a) 中東先端産業ビジネスフォーラム(平成 22 年 3 月 16 日、於:東京) バイオ・メディカルテクノロジーに関するセミナーを開催し、イスラエル側 から同分野の企業を紹介するプレゼンテーションが行われ、200 人を超える参 加者を集めた。また 3 月 17 日~18 日には、イスラエル企業と日本企業との個 別面談を実施した。 2. 調査・研究 【中東・北アフリカ経済情勢調査】 a) 「アラブ首長国連邦における「脱石油」への経済政策の検証」 b) 「サウジアラビアに於ける新エネルギー開発における本邦企業の役割の 検討」 【中東・北アフリカ政治経済情勢分析】 変動著しい中東情勢や石油市場動向を的確に把握するために、最新の論文 8 本を海外専門家に執筆を依頼し、会員企業他関係団体に配布した。 3. 研修 a) 中東講座(平成 21 年 10 月 8 日、於:東京) 会員各社の、主に中東業務経験の浅いあるいは今後精力的に取り組む予定 のある方を対象とし、中東におけるビジネス支援のためのセミナーを開催し た。中東ビジネスとの関わりにおける広範かつ偏りのない基礎知識を理解い ただき、中東地域との「親しみ」を深めるただくことを目的とした本セミナー に、約 90 名の参加者を得た。 V. 日本サウジアラビア産業協力タスクフォース事業(JOGMEC 受託事業) 安倍元首相とサウジアラビア・アブダッラー国王との 2007 年共同声明に基づく、日 本サウジアラビア産業協力タスクフォース業務を 5 年間事業として落札し、平成 20 年 度に続き独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)より同産業協力事 業に係る業務を受託し、下記事業を実施した。 (1) 日本企業のサウジアラビア進出のための具体的支援、サウジ側への働きかけ サウジアラビアへの製造業進出に関心をもつ約 30 余社を対象に、現地調査 ミッション派遣(29 件) 、詳細投資環境調査(5 件)、調査事業(1 件)等支援を 実施した。また、必要に応じて情報提供、パートナー企業の紹介や面談の設定、 MOU 締結の場の提供など、進出検討を促進するための支援・協力を行い、上記支 援企業を含め、新規企業や前年度からコンタクトを取り続けている企業等 184 件 の国内ヒヤリングを行った。 - 14 - また、現地調査ミッション派遣事業および詳細投資環境調査で現地に出張する 支援対象企業を中心に、39 件(30 社)のミッションが、サウジにおける日系企 業の活動を円滑にするために設置したビジネスサポートオフィス(以下 BSO)を、 リヤドでの活動拠点として活発に利用した。 以上の成果として、㈱ジェイ・パワーシステムズと丸紅メタル㈱が共同で、東 部州タナジブに、電力海底ケーブルの新工場を建設することが決定した。また、 東洋紡㈱が、伊藤忠商事㈱とサウジ側 ACWA Power Development Co.との合弁で、 海水淡水化用の逆浸透膜のモジュール生産拠点をラービグに建設することを決 定した。 なお 1 月には、サウジアラビアより、国家産業クラスター開発計画庁(NICDP) 事務局長以下 2 名、職業訓練公社(TVTC)より 1 名が来日し、2010 年度のジョ イントタスクフォースの活動計画について協議し、2010 年度も引き続き、タス クフォース本来のミッションである日本企業のサウジへの誘致活動に集中する ことを確認した。 また、NICDP の家電・ソーラー クラスター幹部 3 名が、3 月に来日し、サウジ 側の要望に基づき日本側がアレンジをした、家電・ソーラー関連の主要日本企業 7 社との面談を実施し、ソーラー関連事業の協議会メンバー企業を対象に勉強会 を開催した。 (2) サウジアラビアへの投資に関する情報収集・発信 ① 現地調査の実施 サウジ進出に興味を持つ日本企業の合弁パートナーになりうるサウジ企業 の発掘のため、製造事業に関心がありそうな民間企業 30 社、国営企業その他 5 社を対象としたヒヤリング調査を、主要 3 都市(リヤド(6 月)、東部州(6 月~7 月) 、ジェッダ(8 月))で実施し、多岐の事業分野について約 100 件の 日本企業との協業ニーズを掘り起こした。また、その協業ニーズ情報を基に、 日本企業を多数選定して、サウジ企業とのマッチングを試み、その成果として の現地調査ミッション派遣を実現したほか、日本企業とサウジパートナーとの 面談アレンジ、情報交換を行っている。 また、石油産業川下分野および高付加価値製品に更なる展開の余地・ポテン シャルが残されている現状に鑑み、サウジ国内で一層の発展を遂げている石油 化学産業に関して、中東の石化関連事業に関する調査・コンサルタント実績と 知見を有する㈱三菱化学テクノリサーチによる委託調査を実施した。本調査に より、サウジアラビアおよび周辺国で必要とされる石化関連の川下の有望製品 を網羅的に洗い出すと同時に、それら製品の製造技術・特許・ノウハウを保有 する日本企業を紐づける極めて有効な結果を得た。 - 15 - ② セミナー、フォーラム等 a) サウジアラビア・ビジネスセミナー開催(7 月 22 日、於:東京) サウジへの投資を促進すべく、同国の最新のビジネス・投資環境を日 本企業に紹介するセミナーを JETRO と共に開催した。本セミナーは 163 名の参加者を集め、NICDP シャラビ長官を始めとするサウジ関係機関のプ レゼンテーション、および既にサウジへの投資を決定した日本企業によ る最新のビジネス環境、具体的なビジネス事例の紹介を通じて、日本企 業のサウジへの関心、投資意欲を高めた。また、シャラビ長官は日本滞 在中に、企業面談や工場見学、JETRO 幹部との会談を行った。 b) サウジアラビアセミナー IN 福岡 講演(10 月 19 日、於:福岡) 中小企業基盤整備機構が主催した本セミナーにおいて、サウジのビジ ネス・投資環境、タスクフォースおよびその活動等について、タスク フォース事務局より紹介した。 c) 第 1 回 日本・アラブ経済フォーラム運営協力(12 月 7 日~8 日、於:東京) 本フォーラムの運営に協力し、日本企業およびサウジ企業への同 フォーラムへの参加を呼び掛けると共に、来日した NICDP シャラビ長官 以下と日本企業との面談を設定した。 d) 海外水循環システム協議会 運営委員会 講演(1 月 22 日、於:東京) サウジのビジネス・投資環境、タスクフォースおよびその活動等につ いて、タスクフォース事務局より紹介すると共に、10 数社の水関連企業 との新たな接点を得た。 ③ 冊子、ホームページの作成および情報更新、新聞掲載 具体的に現地進出を検討する段階の企業に対する便宜を図るべく、会社設立 準備や現地での業務遂行に関する許認可・法制・税制などの詳細情報が盛り込 まれた「サウジアラビア投資ハンドブック」を更新、発行した。また、サウジ アラビアの経済情勢、製造面・販売面での魅力等についての一般的な理解を深 めてもらう目的で作成したパンフレット「躍進するサウジアラビア」を更新・ 改訂した。 JETRO が出版する、サウジアラビアの最新経済情勢やビジネス関連制度、実 務の情報をとりまとめた「サウジアラビアビジネス ガイドブック」の作成に 協力した。 その他、7 月にタスクフォース事務局のホームページを開設し、活動紹介や、 サウジ進出を検討する日本企業に有用な情報の発信を行っている。 平成 21 年度を通じて積極的な活動を展開した結果、タスクフォース活動・ 関連事項が、日本およびサウジアラビアの主要新聞等にも取り上げられ、紹介 されている。 - 16 - VI. 中東協力センターの組織等に関する事業 (1) 組織・人員 平成 21 年度末の当センターの常勤役員数は 2 名、職員は 39 名、合計 41 名 である。合計の内、賛助会員各社からの出向者数は 22 名、海外在勤者数は 8 名である。このほかに非常勤嘱託 5 名を配置している。 (2) 賛助会員の動向 平成 21 年 3 月末現在の賛助会員数は 58 社(前年同期比 1 社増) 。 (3) 理事会・評議員会の開催 ① 平成 21 年 6 月 30 日、経団連会館「ダイヤモンドルーム」において開催、平 成 20 年度事業報告および収支決算・監事監査報告、平成 21 年度事業計画書 および収支予算書の変更、役員・評議員の選任の件についての審議が行われ、 それぞれ原案通り可決された。 ② 平成 21 年 12 月 17 日、東京會舘「シルバールーム」において開催、役員お よび会長・相談役の選任ならびに事務所移転についての審議が行われ、それ ぞれ原案通り可決された。 ③ 平成 22 年 3 月 23 日、経団連会館「ダイヤモンドルーム」において開催、平 成 22 年度事業計画、平成 22 年度収支予算、役員・評議員の選任についての 審議が行われ、それぞれ原案通り可決された。 - 17 -