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神戸大学管理会計研究会 品質マネジメント研修資料
神戸大学管理会計研究会 品質マネジメント研修資料シリーズ 世界一をめざす品質管理 • 目指すは「世界一」 – – – – – – – – – – – – 尊敬される企業 だれでも知っている企業 顧客から支持される企業 子供・孫をぜひとも就職させたいと思う企業 サプライヤーが一緒に仕事をしたいと思う企業 販売店がぜひ売りたいと思う製品を提供する企業 他部門の意見を尊重する企業 働きたいと思う企業 働き甲斐のある企業 顧客から信頼される企業 いつも顧客の幸せを考えながら(最優先で)働く従業員で構成されている企業 組織、戦略、財務、マーケティング、会計、物流、生産管理、品質管理、新製品開発マ ネジメント、HRMなどすべての経営面で#1である企業 1 お客様の幸せを保証する品質 • 高邁な思想、優れた人材、高い収益性 • よい会社をよりよくするのは難しい • 品質管理は、品質管理担当部門だけの仕事 ではない • すぐれた製品機能を十二分に発揮するには、 高い品質が不可欠 • 開発物語、生産物語、営業物語で顧客に高 い品質を感じてもらうことの重要性 2 世界一の品質水準とは何か • 欠陥ゼロ(理想だが・・・) • シックスシグマ(百万分の3.4) • 上記の状態を常に確保できる「仕組み」と「気概」をもつ • よい品質は、よい経営から生まれる (神話となった日本製品への品質信仰) – – – – – – – 繰り返される経営不祥事 外国人労働者への品質管理教育 すぐれた現場担当者の知恵の継承(2007年問題) 経営倫理の欠如 仕事に対する意欲、やる気 形骸化したデミング賞・日本品質管理賞 ISO9000認証取得の本当の意味 3 品質管理の歴史をおさらいする • 統計的品質管理 (SQC) – 欠陥は避けられない – 欠陥品を工場から外に出さ ない(検査) – 品質管理は専門家の仕事 – 統計学と確率の世界 – 品質しか見ない(会計がきら いだったデミング氏) • 日本的品質管理 (TQC,TQM) – 欠陥ゼロにするのが品質管 理 – 検査を最小限にとどめる努 力(全品良品) – 全員参加の品質管理(QC サークル、提案制度、ゼロ欠 陥運動、デミング賞の獲得) – だれにでもわかる統計学 (例:品質管理の七つ道具、 新七つ道具) – 品質管理部門の突出 4 Statistical Cost Control and Cost of Quality Unit Product Costs Failure Costs Total Quality Costs Prevention Costs and Evaluation Costs 0% (Defect Rate 100%) Quality Level Economical Quality Level 100% (Defect Rate0%) 5 これまでの品質管理活動の問題点:SQC • SQC – 欠陥(バラツキ)の存在を前提 – 欠陥品は工場から外に出さない • 検査コストの増大 • 製造工程のみで品質を考える • 品質管理は、品質管理マネジャーの仕事、作業者は 言われたとおりに作る(これも簡単ではないが) 6 日本的品質管理の貢献 • 日本企業・製品躍進の原動力の一つ – TQC、JIT生産システム、原価企画(新製品コストマネジメ ント) – 日本=高品質のイメージ定着(信仰) – 勤勉で優秀な労働力(先輩の背中を見て育つ人材、OJT が機能) – 品質は、製品開発プロセスで「作りこむ」 • 日本企業を世界一にしたのは日本的品質管理 7 Hypothetical or Perceived Cost of Quality Under Japanese Quality Control Unit Product Costs Failure Costs Total Quality Costs Prevention Costs and Evaluation Costs 0% (Defect Rate 100%) Quality Level 100% (Defect Rate 0%) 8 日本的品質管理の問題点 • • • • • 生産現場に有効な手法を経営全般のカイゼンに適用したこと (参考:分業による効率性をあらゆる分野に適用した西欧諸国) 「高品質」はもはや製品差別化要因ではない (高品質は基本要件、欠陥は企業へのダメージ:品質問題処理、PL訴訟に伴う外 部失敗コストの増大) 部分最適主義(品質管理部門の突出、形式的な全社品質重視経営) – コスト、スピード、機能性、環境配慮とのトレード・オフ 過剰品質 – – – – • • 取引先の無謀な要求 コストを軽視したリスク回避行動 More than betterを求める惰性的行動 顧客視点が欠落したエンジニアの自己満足 ゼロ欠陥を目指す活動は費用対効果が悪い(ROQ) 形骸化した品質管理活動 – 捏造データを用いた成果発表 – 数億かかるデミング賞取得 – デミング賞受賞企業の凋落(徳丸荘也『日本的経営の興亡ーTQCはわれわれになにをもたらした か』ダイヤモンド社、1999年) – 目的と手段を取り違えたISO9000の認証取得 9 #1の地位の再獲得に成功した世界企業 • なりふりかまわず – 「優れたものから学ぶ」(ベンチマーキング) • 日本企業実践から学ぶ • 日本企業の失敗から学ぶ – 国をあげての高品質の獲得(MB国家品質賞) • 優れた企業の成功例 – シックスシグマ(GE、シマノなど) • 「日本的経営を鍛える」 • 日本企業躍進に歯止めをかけるために作られた ISO9000シリーズ 10 世界の品質管理の最前線から学ぶ • • • • • • • 製品品質、プロセス品質から、経営品質へ 「測定しないと管理できない」 科学的アプローチの重要性 スピードと成果(vital fewという考え方) 財務成果と非財務指標との関連 ESなくしてCSなし 高品質は当たり前、当たり前のものでは顧客は満 足しない 11 続発する品質関連の諸問題 • • • • • • • • ソニー電源(「ソニー時計」) 三菱自動車リコール隠し 関西電力原子力発電所事故 東横イン不正改造 パロマ製品一酸化炭素中毒事件 トヨタ(リコール、整備士試験問題漏洩) シュレッダメーカー各社 耐震強度偽装事件(姉歯、フューザー、その他関連 企業) 12 検討すべき問題 • 品質が完璧だといわれてきた日本企業でな ぜ品質問題が多発するようになってきたの か? • どのように、品質問題を克服すればいいの か? • 品質、コスト、環境配慮、開発期間、機能の 間には、本当にトレードオフ関係にあるの か? 13 なぜ品質管理関連の不祥事が相次ぐのか – 日本学術振興会の研究プロジェクト 「日本的品質管理の検証」(詳細はHP参照のこと) • 高品質企業構築セミナー – 日本的品質管理の機能不全と逆機能 – 問題解決の手順 • • • • • 問題を認識する 数多くの問題発生原因の中からvital fewを抽出する 問題解決方法を検討する 変革プロセスを上手にマネジメントしながら、変革に取り組む 変革に「勢い」をつける 14 バランス・スコアカードからの教訓 • 持続的で高い財務業績を得るには、定石は ひとつしかない – (従業員、利害関係者の)学習と成長 – (組織、人事、戦略などの)ビジネスプロセス – CSとES • 上記の3つがそろって、好業績は持続する 15 世界最高の品質レベルを確保するためのツール 類(その1) • コンジョイント分析 • マーケティングとマーケ ティング・リサーチ • 原価企画 • ライフサイクルアセスメ ント • ライフサイクル原価計 算 • マテリアルフロー計算 • • • • • VE テアダウン コストテーブル VRP マイルストーン管理(デザイ ン、環境、コスト、機能、進 捗など) • コスト推定技法 • ベンチマーキング • 品質管理七つ道具・新七つ 道具 16 世界最高の品質レベルを確保するためのツール 類(その2) • ISO9000 • ISO14000 • 日本経営品質賞(日本 版マルコムボルドリッジ 国家品質賞) • デミング賞 • シックスシグマ 17 品質管理に関連した多様な知識の習得 • 管理会計 – 原価企画 – BSC – ABC/ABM – ミニプロフィットセンター – TOC – その他 • • • • • • • • 経営戦略 組織 リーダーシップ 組織学習・組織能力 ビジネスシステム HRM マーケティング 新製品開発マネジメント 18 挑戦 • • • • • 短期間で鉄壁の品質管理文化を定着させる 圧倒的な品質レベルへの到達(シックスシグマ) 高収益構造のより一層の強化 高度な問題発見・解決能力 高度な情報収集・情報処理能力 • 変革マネジメントの重要性を知る 19