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日本人の 「異文化への適応 ・同化過程」の比較社会心理学的研究
7i ■モ ノ グ ラ フ ・シ リ ー ズ /No.7(CAP-#1) 日本 人 の 「 異 文 化 へ の適 応 ・同化 過程 」の 比 較社 会 心理 学 的研 究 − 文 化 的 同 化 訓 練 法(Culture Assimilator)の 開 発 を め ざ し て :タ イ 国 に お け る事 例1− ■ 担 当執 筆/佐 野 勝 男 ・萩 原 滋 ・高 根 定 信 ・南 隆男 四方 を 海 に 囲 まれ , 物 質 的 資源 に恵 まれ ぬ わが 東 南 ア ジア 諸 国 で , 激 しい 感 情 的 意 図 を もっ た反 国 は, と くに近 代 以降 そ の命 運 を つ ね に海 外 に お 日運 動 が 続 発 した 昭 和47∼49年 初 頭 が , 投 資 許 可 こ う として きた 。 戦 前 の軍 事 主 導 型 , 戦 後 に な る 額 約100億 ドル , 派 遣 企 業 人 員 約1万 人 で あ った こ とを 思 え ば , この 数 は 驚 異 的 です らあ る。 と同 と一 変 して 民 間 に よる経 済 主 導 型 と, い うなれ ば “跛 行 的 ” な軌 跡 を た ど って きた 海 外 策 で は あ っ 時 に この 予 測 は , 日本 お よび 日本 人 の急 速 な 「国 た が , 近 年 のわ が 国 の 「国除 的 伸 張 」 ぶ りには め ざ ま しい も のが あ る。 .一一 海 外 へ 出か け て ゆ く日本 『 人 の 数 は , 年 間300万 際 化 」 に 横 た わ る広 範 で 複 雑 な 諸 問題 に対 して , .一 一一 私 た ち の慎 重 で真 摯 な取 り 出 国 日本 人 数 統 計 くみ の必 要 性 も暗 示 し て い 人に 一ヒー 一 一 一. 一 『-目 一. 一}一 旧「.一「 一 一 置 一一}一 一.一一.一 一-.一 一 一 一一.一 一 一 一一一 .」 一 一 一 一 一一 『 π一 一.一〒一 一 . 出 国 日本 人 数(人) 対 前年増加比(%) 年 次(昭 和) = もの ぼ り, この10年 間 に10 一.- 一.一 『 』 二一 一7= __二 44 ,.二二 一一 一一 一=闇 τ 一; 492,880 一- .一 43.7 ..二 る, と言 え よ う。 = 本 稿 は, 上 述 の ご とき背 倍 もの 増 え よ うで あ る。 こ 45 663,467 34.6 景 ・情 況 を 踏 ま えて , 「日 の 日本 人 出 国 者 数 の 増 加 率 46 ,961,135 44.9 本 人 の異 文 化 へ の適 応 と 同 は , わ が 国 企 業 の “海 外進 47 1,392,045 44.8 化 」 の 過 程 を 探 索 し よ うと 出 ” の 伸 び 率 と きわ め て類 48 2,288,966 64.4 49 す る研 究 か らの 第 一 報 で あ 似 した傾 向を み せ て い る。 2,335,530 r一 2.0 一- 不 況 が 定 着 した と され る昨 る。 海 外 , こ とに 東 南 ア ジ ア諸 国 に進 出 した 日系企 業 今 は , わ が 国 企 業 の “海 外進 出 ” の 伸 び は鈍 化 し つ つ あ るが , 「 既 に進 出 をす ませ た」 企 業 お よび 内で の , 日本 人 と現 地 の人 々 との協 働 事 態 の分 析 に 研究 の 焦点 を絞 り, そ こで の両 者 の 「行 動 のや 「進 出 を計 画 中」 の企 業 を合 計 す る と, 全 体 の約 りと り」 を克 明 に理 解 す る こ とを め ざ し, 究 極 的 40%が 海 外 に “経 営 的 魅 力” を 感 じて い る, と も に は, デ ー タ の蓄 積 を ま って ,文 化 的 背 景 を 異 に 報 告 され て い る。 こ の よ うな 趨 勢 を うけ て , 通 産 す る人 々の間 の相 互 理 解 → 協 働 を 促 進 し得 る 「技 省 は , わ が 国 企 業 の国 際 的 拡 張 の 状 況 を ,「… … 昭 術 」(文 化 的 同 化 訓練 法)の 開 発 を 企 図す る も の 和60年 には 投 資 額 を807億 で あ る。 ドル ,海 外 派 遣 人 員 数 を9万 人 」 と予 測 ・発 表 して い る。 海 外 , と くに 72 目 I.は じめ に− II.異 III.日 IV.今 次 日本 人 の 国 際 化 '73 文 化 へ の 適 応 ・同 化 を 促 進 す る た め の 技 術− 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 ・74 1.「 内 在 的 文 化 」 と 「同 型 帰 因 」 ・75 2.「 文化的同化訓練法」 ・76 系 進 出企 業 と タイ文 化 79 1.階 層 社 会 ・身 分 主 義 ・権 威 主 義 ・80 2.ル ー ズ な 社 会 ・個 人 主 義 ・便 宜 主 義 ・81 3.威 光 社 会 ・形 式 主 義 93 後の研究課題 84 本 稿 は , 佐 野 勝 男 ・萩 原 滋 ・高 根 定 信 ・南 隆 男 に よ る 『日 本 人 の < 異 文 化 へ の 適 応 ・同 化 過 程 > の 比 較 社 会 心 理 学 的 研 究 』 プ ロ ジ ェ ク ト(Cultural 報 告(第1報)で 当 該 プ ロ ジ ェ ク ト(CAP)を お よ び1976年)よ Rioject;CAP)か らの 企 図 ・推 進 す る に あ た り, 財 団 法 人 日 本 証 券 奨 学 財 団(1975年 り援 助 を い た だ い た 。 ま た 現 在 , タ イ 国 で の フ ィ ー ル ド調 査 の 実 施 に 向 け て タ イ 国 Chulalonkorn大 Sri Assimilation あ る。 Nakharinwirot大 学 Social 学 の Science Weerayudth あ る。 記 して 感 謝 申 しあ げ る次 第 で す。 Research Instituteの Wichiarajote博 Patya Saihoo博 , 士 お よび 士 に は 格 別 の 援 助 を い た だ きつ つ 一r日 本 人 の 異 文 化 へ の 適 応 ・同 化 過 程 」 研 究 プ ロ ジ ェ ク トー.一 ?3 て の役 割 以 上 を 期 待 して い るわ け で は な い の で , 1.は じ め に 一一 日 本 人 の 国 際 化 観 光 を 目的 とす る海 外 渡 航 者 の問 題 は 国 際 化 に 関 す る真 に 重 大 な 研 究 課 題 とは な らな い で あ ろ う。 昭 和40年 代 の 中 頃 か ら 日本 文 化 や 日本 人 の 国 日本 人 の 国 際 化 が 要 請 され , 異 文 化 へ の 適 応 が 真 民性 に 対 す る一般 の 関心 が 高 ま り, 出版 界 は 日本 に 問 題 とな るの は , 現地 の 人 々 との 長 期 に 渡 る 文 化論 や 日本 人論 の ブー ム と もい うべ き状 態 を呈 「協 働 」 を 要 す る事 態 に お い て で あ る。 観 光 客 に して い る。 「恥 の文 化 」 と名 づ け よ うと, 「甘 え 比 べ れ ば そ の 数 は は るか に 少 な い が ,海 外 支店 勤 の構 造 」 に よ り説 明 し よ う と, 「タ テ社 会 」 あ る 務 , 業 務 や 役 務 提 供 を 目的 と して 渡航 す る 日本 人 い は 「人 間 教 の支 配 す る世 界 」 と特 徴 づ け よ う も, こ こ10年 の 間 に大 幅 に増 加 して い る。 と, 日本 文 化 や 日本 人 の特 殊 性 は 異 文 化 と対 比 し 周 知 の如 く日本 は経 済 立 国 で あ り, 戦 後 日本 が て は じめ て 明 らか に され る もので あ る。 こ う した 先 進 国 と して の 国際 的 評 価 を か ち得 た の も, ひ と 日本 人 論 ブ ー ムは , 決 して 日本 人 の国 際 化 の 傾 向 え に そ の経 済 的 発 展 に負 うと こ ろが 大 き い。 近 年 と無 縁 で は な い 。 戦 後 の 日本 経 済 の 急 速 な 発 展 , の 日本 企 業 の海 外 進 出に は ま こ とに め ざ ま しい も 海 外 市 場 へ の 進 出 が 世 界 の 関 心 を 集 め ,海 外 に お のが あ る。 昭 和49年 度 末 に お け る 日本 経 済 の 海 外 け る 日本 人 の オ ー ヴ ァ ・プ レ ゼ ン ス が 問題 とな 直 接 投 資 残 高 は 許 可 累 計 で 約122億 ドル , す で に り, 一 部 で 反 日的 な 気 運 が兆 して き た の も,や は わ が 国 に還 流 した 分 や 物価 変 動 を考 慮 す る と実 質 り,昭 和40年 残 高(資 本 ス トック)は 約84億 代 中頃 以 降 の こ とで あ る。 ど うや ドル とな って い ら海 外 に お け る 日本 人 が問 題 化 す る と共 に 「日本 る。 通 産 省 の 長期 見 通 しに よ る と, こ れ が10年 人 とは何 か」 が 今 日改 め て問 い直 され て い る, と 後 の昭 和60年 も言 え そ うで あ る。 には , なん と許 可 累 計 で 約807億 ドル, 資 本 ス トッ クに して約481億 ドル の多 きに 海 外 に 出 る 日本 人 は , こ こ10年 の 間 に 飛躍 的 に 増 大 し, そ の 数 は や が て 年 間300万 人 に達 し よ 登 る と予 測 され て い る。 つ ま り, 昭 和60年 うと して い る。 書物 や マ ス ・メデ ィア を通 じて の とに な る。 そ の投 資 形態 も,一 部 は 資 本 参 加 で あ が 国 は ,15兆 にわ 円に近い資本を海外に保有す るこ 間接 的 な外 国文 化 の輸 入 に は甚 だ熱 心 で あ っ て る が, 多 くは直 接 投 資 に よる企 業 進 出 か , 合弁 出 も,歴 史 的 に外 国人 や 異 文 化 との直 接 的 な接 触 経 資 に よる ジ ョイ ン ト ・ベ ソチ ャー で あ り, 当然 , 験 の乏 しい 同文 同種 の 日本 人 が 国外 に 出て 遭 遇 す 海 外 に派 遣 さ れ る 日本 人 社 員 の大 幅 な増 加 が見 込 る多 くの困 ま れ る。 そ の数 は昭 和60年 Yom.つ い ては , さ ま ざ まな 形 で 報 道 さ 末 には 約9万 人 に達 れ て い る。 実 際 , 日本 人 の国 際 性 の欠 如 は , 国際 す る と予 測 され て い る。 こ の9万 人 とい う数 字 は 化 す る現 代 社 会 に お い て , 早 急 な 対 策 を 要 す る重 案 外 少 な い よ うで あ るが , 現 在 の1万 人 余 の在 外 大 な 現 実 的 課 題 とな って い る。 日本 人 社 員 が す で に 目に つ く文 化 摩擦 を 起 こ して 法 務 省 の統 計 資 料 に よ る と海 外 へ 出 る 日本 人 の 約8割 は観 光 を 目的 と して お り,渡 航 先 別 に見 る い る現状 を 考 え併 せ れ ば , 今 後 , 日本 人 の 現地 へ と韓 国,台湾 ,香 港 を 中心 とす る ア ジ ア諸 国が 半 数 会 問 題 とな る で あ ろ うこ とは 容 易 に予 想 さ れ る。 を 占 め る ほか , ア メ リカへ の渡 航 者 が 全 体 の約3 の適 応 ,現 地 人 との対 人 関 係 が ます ます 重 要 な社 異 な る文 化 集 団が 交 錯 す る とこ ろで は , 元 来 , 分 の1を 構 成 して い る。 「ノ'一キ 。一」と い う言 葉 摩 擦 が 生 じや す い。 そ れ に は 多 くの原 因 が 考 え ら が や や ネ ガ テ ィブな 意 味 を も って 外 国 語 に 定 着 す れ るが , そ れ らを 大 き く二 つ に 分 け る こ と も可 能 るほ ど 日本 人観 光 客 の 数 は 多 くて 目立 ち, そ の異 で あ ろ う。 ひ とつ は , 集 団 間 の 目標 の違 い に基 づ 質 な 行動 や マ ナ ー は 国外 に お け るあ ま り好 ま し く く利 害 の 対 立 か ら生 じる事 実 上 の摩 擦 で あ る。 異 な い対 日 イ メー ジの形 成 に一・ 役 買 って い る。 しか な る文 化 集 団 は相 反 す る 目標 を もつ こ とが多 く, し観 光 客 は 滞 在 期 間 が 短 く, 現 地 の人 々 と の接 触 そ う した状 況 で の相 互 作 用 は不 可 避 的 に摩 擦 を導 も表 面 的 で 形 式 的 な もの で あ る。 ま た , 現 地 側 も く。 こ う した 種 類 の摩 擦 を解 消 す る為 に は あ る程 日本 人 旅 行 者 に 対 して 観 光 地 に お け る観 光 客 と し 度 外 部 条 件 を 変 え ざ るを 得 ず , そ れ に は 政 治 的 な 74 解 決 が 必 要 とさ れ る。 経 営 に現 地 人 登 用 を望 む受 運 動 が 問 題 化 して い る 「タイ国 」 を と り あ げ , け 入 れ 側 の要 望 と 日本 人支 配 を望 む進 出側 の要 望 「日本 人 の タ イ文 化 へ の適 応 ・同 化 過 程 」 か ら研 との 対 立 に基 づ く葛 藤 な どが そ の例 と して挙 げ ら 究 を 開 始 す る こ とに した 。 さ らに , そ の後 は , 石 れ る。 こ う した葛 藤 は ,勿 論 ,交 叉文 化 的 な状 況 油 資 源 に よ り世 界 経 済 へ の多 大 な 影 響 力 を もちは に限 られ る わ け で は な い が ,異 文 化 の成 員 が遭 遇 じめ て い るが , 同 時 に 日本 人 に とって 最 もな じみ す る場 面 で は利 害 の対 立 が 目立 ちや す く厄 介 な問 の薄 い文 化 圏 のひ とつ で あ る 「ア ラ ブ諸 国 」 に も 題 を提 起 す る。 研 究 の枠 組 み を 広 げ て い く予 定 で あ る。 本 稿 で も うひ とつ は ,文 化 の違 い の認 識 不 足 に起 因す は , 最 初 に , 異 文 化 へ の適 応 を 促 進 す る為 の訓 練 る摩 擦 で あ る。 利 害 の対 立 な ど事 実 上 の摩 擦 原 因 法 と して ,Triandisを 中 心 とす る米 国 イ リ ノイ大 が な い協 働 事 態 に お い て も, 交 叉 文 化 的 な対 人 関 学 社 会 心 理 学 グ ル ー プ の研 究 枠 組 み を 紹 介 す る。 係 で は相 互 の誤 解 に よ る不 必 要 な摩 擦 が 生 じや す 次 いで , 「日一 タイ」 関 係 に お け るTriandis達 い。 : 気候 , 風 土 , 習 慣 な どの違 いは 明示 的 で 理 解 の訓 練 法 の適 用 可 能 性 を 吟 味 し, タ イに お け る 日 しや す い と して も, 対 人 関 係 を支 配 す る価 値 観 , 系 企 業 の進 出 状 態 や タ イ文 化 に つ いて 概 観 し, 最 規 範 ,役 割 期 待 な どの文 化 差 は 容 易 に把 握 で き る 後 に , 今 後 の研 究 課 題 を 整 理 して み た い。 もの で は な い。 異 文 化 の相 互 理 解 の不 足 に起 因 す る葛 藤 は, 「事 実 上 の 摩擦 」 に 対 して , 「認 識 上 の II.異 摩擦 」 とで も呼 ぶ こ とがで き よ う。 こ う した 種 類 文 化 へ の 適 応 ・同 化 を 促 進 す る た め の 技 術 一一..「 文 化的 同化訓 練法」 の摩 擦 を解 消 す る には 文 化 の違 いを 正 し く認 識 す る為 の 「文 化 訓 練:(cluture training)」 が 必 要 と 異 な る文 化 圏 で 社 会 生 活 を 営 む 時 に , 現 地 の 人 され る。 ふ た つ の摩擦 の うち, 前 者 は 政 治 ・経 済 々 の 行 動 を 充 分 に 理 解 し, 現 地 文 化 に 適 応 ・同 化 の問 題 と よ り深 くか か わ って い るが , 後 者 は む し す る のは 容 易 な こ とで は な い 。 ま ず 言 語 の 障 壁 を ろ心 理 学 の寄 与 す べ き研 究 課 題 と言 え る で あ ろ 乗 り越 え ね ば な らな い 。 現 地 の 人 々 と 真 に 円 滑 な う。 対 人 関 係 を 結 ぶ に は , コ ミ ュ ニ ケ ー シ 。 ンの 手 段 そ こで 私 達 は 日本 人 , こ とに 日本 人 ビ ジ ネ ス マ と して の 現 地 語 の 修 得 が 必 要 と さ れ る 。 さ らに は ン, 大 き くは 「日本 的 マ ネ ー ジ メ ン ト」 が 海 外 に 相 手 文 化 の 歴 史 的 背 景 や 社 会 制 度 の体 系 的 な 知 識 出た 時 に 直 面 す る諸 問 題 , 特 に 異 文 化 へ の適 応 ・ も 必 要 と さ れ る 。 こ う した 条 件 を 充 た す こ と は 理 同 化 過 程 の解 明を め ざ して 研 究 を開 始 した 。 まず 想 的 で は あ るが , そ の 為 に は 多 大 の 労 力 と時 間 を は 日本 人 上 役 と現 地 人 部 下 な ど交 叉 文 化 的 な 状 況 要 す る 。 しか し, 実 際 に は , 国 外 に 出 る 人 々 の 多 で の さ ま ざ ま な対 人 関 係 に焦 点 を 合 わ せ , 文 化 の くは そ う した 準 備 を 行 な う余 裕 を も た な い の が 現 違 いに よ り生 ず る対 人 的 葛 藤 の具体 的 な 事 例 及 び 状 で あ る 。 そ れ でTriandis, そ の原 因 を 探 り出 す と共 に , そ こで の成 果 を踏 ま Osgoodら えて , 相 互 の文 化 を 理 解 し円 滑 な 「社 会 的 協 働 」 と の 違 い を 短 期 間 に 効 率 的 に 学 習 し, 現 地 へ 適 応 を促 進 す るの に 有 効 な訓 練 方 法 ・技 術(文 化 的 同 ・同 化 す る こ と を 促 進 す る 為 の 訓 練 法 を 開 発 し 化訓 練 法 ,culture assimilator)の 開 発 を 最終 的 「文 化 的 同 化 訓 練 法(culture , assimilator)」 と 名 づ け て い る。 そ の 内 容 に つ い て は 後 で 説 明 す な 研 究 目標 と した い 。 日本 の経 済 進 出(侵 略?)に それを Fiedler, Stolurow, は , 国 外 に 出 るア メ リカ人 が 自国 文 化 対 す る反 撥 は世 界 る が , 現 在 ま で の と こ ろ ,ア ラ ブ 諸 国 ,中 米 諸 国 , 各地 で 起 きて い る。 しか し,欧 米 諸 国 で の反 撥 は ギ リ シ ヤ ,タ イ ,及 び ア メ リ カ 国 内 に お け る 黒 人 の 主 に経 済 領域 に 限 定 され るの に対 して ,東 南 ア ジ 「下 位 文 化(sub-culture)」 ア諸 国 で は そ うした反 撥 に 強 い感 情 的色 彩 が伴 い 練 法 」 が既 に 開 発 され , そ の有 効 性 の検 証 も行 な 経 済 領域 を越 え た反 日運 動 に つ な が りや す い よ う わ れ て い る。 こ こ で は , ま ず ,Triandis達 に 対 す る 「文 化 的 同 化 訓 の研 に 思 わ れ る。 そ れ で 私 達 は ,東 南 ア ジ アの 中 で も 究 の 理 論 的 枠 組 み を 概 観 し た 後 で , 彼 等 の 「文 化 日本 との経 済 的結 び つ きが 強 く, ま たす で に反 日 的 同 化訓 練 法」 の 内 容 を紹 介す る こ とにす る。 な 「日本人 の異 文 化 へ の適 応 ・同 化 過 程 」 研 究 プ ロ ジ ェ ク トー 一 一 一 お ,Triandisは 75 ギ リ シ ヤ 生 れ の ア メ リ カ人 で あ す る よ うに な るの で あ る。 ま た , 「内 在 的 文 化」 り, 長 年 に 渡 る 態 度 研 究 の 成 果 を 交 叉 文 化 的 な 場 を 共 有 す る人 々の 間 の 対 人 関 係 は 円 滑 で 参 加 者 に 面 で の 対 人 関 係 に 応 用 して , こ う した プ ロ グ ラ ム 満 足 を 与 え る こ とが 多 い の で ,一 層緊 密 な相 互 作 が 開 発 され た もので あ る。 用 を 生 み ,文 化 集 団 の凝 集性 は 高 め られ る。 1・ Triandis達 「内 在 的 文 化 」 と 「同 型 帰 因 」 は 文 化 集 団(cultural group)を しか し異 な る文 化 に属 す る人 々が遭 遇 す る場 面 で は, 「内 在 的 文 化 」 が異 な る為 に状 況 の把 握 に 矛 盾 が 生 じ, 前 に述 べ た 「認 識 上 の摩 擦 」 が 生 じ 共有す る や す い。 相 手 と同 様 に 状 況 ・環境 を 把 握 しな け れ 人 々 の 集 団 」 と 定 義 し て い る 。 こ こ で 言 う 「言 葉 ば 相 手 の 行 動 の 意 図 や 原 因 を 正 し く認識 す るこ と (dialect)」 は い わ ゆ る 「国 語(language)」 とい った が で きず , 従 って相 手 の 行動 を うま くコ ン トロー 公 式 的 な 分 類 に 従 う も の で は な く, あ る 集 団 に 独 ルす る こ とが で き な くな る。 そ こ に交 叉 文 化 的 な 自 の 「言 葉 使 い 」と し た 方 が 適 切 で あ ろ う。同 じ英 状 況 で の対 人 関 係 の難 しさが あ る。 例 え ば, タ イ 「相 互 に 理 解 可 能 な 言 葉(dialect)を 語 国 で も イ ギ リス と ア メ リ カで は 異 な っ た 文 化 を の 日系 企 業 の現 地 女 子 事 務 職 員 に 対 して 来 客 の 際 保 有 す る し, ア メ リ カ 国 内 に お け る 白 人 と 黒 人 で に 茶 を い れ る よ う日本 人 上 司 が 依 頼 す る と反 撥 を は 異 な っ た 文 化 集 団 を 形 成 して い る 。 言 語 は 環 境 買 うこ とが あ る とい う。 日本 で は 女 子 社 員 が 茶 を や 経 験 を コ ー ド化 す る 手 段 で あ り, 人 間 の 認 知 体 い れ た りす る こ とは 日常 的 に 行 な わ れ て い る の で 系 と 密 接 に 関 連 し て い る 。 日常 用 い ら れ る 言 語 の 上 司 は 当然 の要 求 と思 って い て も, タイ の女 性 は 構造 や 表 現 様 式 が そ の 言 語 を 用 い る 文 化 圏 に 属 す 事 務 職 にあ る老 に対 して接 客 的 な仕 事 を 依 頼 す る る 人 々 の 意 識 や 感 じ方 , 思 考 形 態 を 規 定 し, 物 理 のは 不 当 な 要 求 だ と感 じる ら しい。 タ イ女 子 職 員 的 環 境 の 知 覚 さ え も 言 語 の 影 響 を 受 け る と い う考 が 日本 人 上 司 の そ うした 行 動 を タ イ文 化 に 無 知 な え はWhor丘an仮 為 に 生 じた もの と考 え れ ば , さほ ど大 きな 問題 に 1956参 説 と し て 知 られ て い る(Whorf, 照)。 は な らな い が, そ れ を悪 意 に基 づ く行為 とみ なす 環 境 ,特 に社 会 的 環 境 に 対す る特 定 の文 化 集 団 に 独 自 な 把 握 の 仕 方 をTriandis達 化(subjective culture)」 は 「内 在 的 文 と 呼 ん で い る 。 つ ま り, 「内 在 的 文 化 」 と は 文 化 集 団 の 成 員 に 固 有 の 認 知 ・思 考 体 系 と も 言 う こ と が で き る とす れ ば事 態 はや や 深 刻 に な る。 これ は, 職 務 あ る いは 女 性 の役 割 に 関 す る文 化 差 の無 理 解 に 起 因 す る事 例 と言 え るで あ ろ う。異 な った 文 化 に 属 す る人 々は そ れ ぞ れ異 な った 「内 在的 文 化」 を も っ 。集団の規則, て遭 遇 す るの で あ り, 同一 の状 況 に置 か れ て もそ 規 範 , 役 割 , 価 値 な ど の 認 知 の 仕 方 が 「内 在 的 文 の把 握 の仕 方 は必 ず し も等 しい とは限 らな い の で 化 」 の ひ とつ の 側 面 を な し て い る 。 勿 論 , 同 一 文 あ る。 化 の 成 員 の 中 に も個 人 差 は あ る 。 しか し, こ こ で は , 「文 化 内(intra-cultural)」 間(inter-cultura1)」 の 差 よ り も 「文 化 他 者 の行 動 を コ ン トロ ー ルす る こ とが 「対 人 的 能 力(interpersonal competence)」 だ とす れ ば,ま の 差 の 方 が 重 視 さ れ て い る。 ず他 老 に と って何 が望 ま れ て い る か を正 し く認 識 個 人 が 時 や 状 況 に よ り変 動 し な が ら も 自己 の 同 一 ・ す る必 要 が あ る。 相 手 と同様 に状 況 を把 握 し, 相 性 を保 つ よ うに, 文 化 もま た構 成 員 の変 動 を含 み 手 の行 動 の原 因 を 正 し く理 解 しな い限 り, 何 が他 な が ら そ の 同 一 性 一一 貫 性 を 保 っ て い る の で あ 者 の行 動 を 強 化(reinforce)す る。 従 って 相 手 の 行 動 を コ ソ トロー ル す る こ とが で き るか が わ か らず , 距 離 的 に 近 接 し, 同 じ言 葉 を 話 し , 類 似 した 活 な い。 異 文 化 の成 員 の 「内 在的 文 化」 を理 解 し, 動 に 従 事 す る 人 々 は , 共 通 の 「内 在 的 文 化 」 を 所 状 況及 び 行動 の原 因 を相 手 と同様 に認 識 す る こ と 有 す る こ と が 多 い 。 つ ま り, 距 離 が 近 く類 似 性 の をTriandis達 高 い 人 々 の 間 で は 緊 密 な 相 互 作 月1が 起 こ り や す bution)」 と名 づ け.交 叉 文 化 的 な 状 況 で の円 滑 な は 「同型 帰 因(isomorphic attri- く, 緊 密 な 相 互 作 用 は 共 通 の 価 値 , 規 範 , 役 割 な 対 人 関 係 を もた らす 上 で の 〈基 本 概 念(key ど を 生 み , 従 っ て 「内 在 的 文 化 」 を 集 団 内 で 共 有 cept)〉 と して い る。 異 文 化 の成 員 の態 度 ,価 値 , con・ 76 役 割 , 規 範 な ど の 認 知 構 造 , 即 ち 「内 在 的 文 化 」 わ さ れ , そ れ を 規 定 す る価 値 観 , 規 範 , 種 々 の 役 を 分 析 す る こ と に よ り, は じ め て 「同 型 帰 因 」 を 割 期 待 な ど に 関 す る す ぐに は 明 ら か に な りに くい も た らす 手 段 の 開 発 が 可 能 に な る 。 つ ま り, 基 礎 文 化差 の理 解 を め ざ して い る。 的 な 「内 在 的 文 化 」 の 分 析(Triandis,1972参 法 」 に 用 い ら れ る 実 際 の 事 例 を 図1に 照) と応 用 的 な 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 の 開 発(Triandis,1975参 照)と は相 互 補 完 的 な 関係 に あ る, と 「文 化 的 同 化 訓 練 例示 す る。 こ れ は ギ リ シ ャ に 出 か け る ア メ リ カ 人 の 為 の 「ギ リ シ ャ文 化 同 化 訓 練 法 (Greek culture assim- ilator)」 の 中 の 一 事 例 で あ る 。 言 え る。 「帰 因 理 論(Attribution Theory)J yこつ い て は 図1. 本 号 前 章 で 詳 し く述 べ られ て い る 。 次 に , ふ た つ の 文 化 の 成 員 間 の 「同 型 帰 因 」 を 効 率 的 に 増 加 す る よ う デ ザ イ ン さ れ たTriandis達 「文 化 的 同 文 訓 練 法 」 の事 例 (ア メ リカ人 の為 の 「ギ リシ ャ 文 化 同 化 訓練 法 」 よ り引 用) の 厂文 化 的 同 一1一 化 訓 練 法」 の具 体 的 内容 につ い て解 説 した い。 アテ ネ で 教 師 を して い る シ ャ ロ ソ ・ハ ヅ トフ ィー 2. ル ドは , ほ ん の 顔 見 知 りに す ぎ な い ギ リシ ャ人 達 の 文化的同化訓練 法 す る質 問 に 驚 か され た 。 彼女 が アパ ー トに 出 入 りす 異 文 化 へ の適 応 に関 す るTriandis達 の基 本 構 る際 に , 彼 等 は 「ど こへ 行 くの か 」, 「どこに 行 っ 想 は ,極 め て 単 純 明快 で あ る。 す な わ ち ,異 文 化 の て い た のか 」 な ど と 尋 ね る し, 彼 女 が 立 ち 止 ま っ 成 員 に特 徴 的 な認 知 ・思考 体 系(内 在 的 文 化)を て 話 を は じめ る と, 「月収 は ど の 位 か 」, 「そ の 洋 会 得 し,相 手 と同様 に環 境 を把 握 し行 動 の原 因 を 服 は ど こで 手 に 入 れ た か 」 な ど の質 問 を な げ か け 理 解(同 型 帰 因)す れ ば ,認 識 上 の摩 擦 は減 少 す る る。 ギ リシ ャ人 は 非 常 に 無 作 法 だ と シ ャaン は 思 っ の で異 文 化 へ の適 応 ・同化 は促 進 さ れ る , とい う た。 わ け で あ る。 む しろTriandis達 の研 究 の特 色 は , 同型 帰 因 を もた らす為 の 具体 的 訓 練 方 法(文 化 的 同 化訓 練法)に あ る, と言 え るだ ろ う。 そ の 特 徴 ー ソナ ル な質 問 を し た の で あ ろ うか 。 を 列挙 す れ ば 次 の よ うに な ろ う。 ① 一2一 一 シ ャ ロンに 対 し て ギ リシ ャ人 達 は何 故 そ うした パ あ る文 化 か ら特 定 の 異 文 化 へ の適 応 ・同 化 1. シ ャ ロン は気 づ い て い な い が , ギ リシ ャで は を め ざす もの で あ り, そ の 他 の 文 化 に そ の ま ま の ち ょっ とし た 顔 見 知 りで も友 人 の よ うに ふ る 形 で 応 用 は で きな い 。 例 え ば ア メ リカ人 の 為 に 作 ま うの で あ る。(3頁 られ た 「タイ文 化 同 化 訓 練 法(Thai cluture asSi- 2. の で あ る。(4頁 3 ② 海 外 へ 出 る時 の心 構 え とい った 一 般 的 ・抽 ③ 自国 と相 手 国 の文 化 差 を 短 期 間 の訓 練(普 通 は10時 間 以 内)で 効 率 的 に 自習 で き る よ うに 「プ 冒 グラ ム学 習 」 の方 法 を 利 用 して い る。 ④ へ 進 め) ギ リシ ャ人 達 は シ ャ ロ ンの 生 活 の仕 方 に 不 満 で あ り, 彼 女 の 習 慣 を 変 え させ よ うと して い 象 的 な も ので は な く, 特 定 の 文 化 に 焦 点 を 合 わ せ た 個 別 的 ・具 体 的 な 内 容 の もので あ る。 シ ャ ロ ンが ギ リシ ャ正 教 に 入 って い るか ど う か を 確 か め る為 に ギ リシ ャ人 達 は 質 問 を した milator)」 は, タイ に 出 か け る 日本 人 の訓 練 の為 に 用 い る こ とは で きな い。 へ 進 め) た の で あ る。(5頁 4. へ 進 め) 男 性 に 対 して は 不 適 切 だ が , ギ リシ ャで は 女 性 に そ うした 質 問 を す る こ とは 適 切 な こ とな の で あ る。(6頁 へ 進 め) 相 手 文 化 の特 徴 を 抽 象 的 な 形 で 概 説 す るの で は な く, 自国 の人 間 が 異 文 化 の 成 員 と遭 遇 した 一3一 あ な た は1を 選 び ま した 。 正 解 で す 。 際 に経 験 した で き ご との さ ま ざ ま な 事 例 を 通 じ 仲 間 同 志 で そ うした 質 問 を す る のは 不 適 切 で は あ り て, 帰 納 的 に , 自国 文 化 とは 異 な る相 手 文 化 の 特 ませ ん 。 こ うした 質 問 は , ギ リシ ャで は ア メ リカ よ 徴 を 学 習 す る よ うデザ イ ンされ て い る。 りも友 人 関 係 が 親 密 だ とい う事 実 を 反 映 し て い ま ⑤ 特 に 異 文 化 の成 員 との対 人 関 係 に 焦 点 が 合 す 。 ア メ リカ では パ ー ソナ ルに す ぎ る と思 わ れ る質 一 「日本人 の異 文 化 へ の適 応 ・同化 過 程 」 研 究 プ ロジ ェク トー 問 もギ リシ ャで はf`i由に行 なわ れ て い ます 。 一 77 る こ とに な る。 全 体 は異 文 化 の特 定 の側 面 に 関 す るい くつ か の エ ピ ソー ドの ブ ロ ックか らな り, 各 7頁 に進 み な さ い。 ブ ロ ックを終 了 す る こ とに ,例 え ば 相 手 文 化 に お 一4一 け る男 女 の 役 割 , あ るい は上 司 に対 す る社 会 規 範 な どに つ い て の総 括 的 な 原理(cultural principle) あ な たは2を 選 び ま した が , 誤 りです 。 ど うい うこ とが パ ー ソナ ル とみ な され るか は 文 化 に が説 明 され る。 こ う して エ ピ ソー ドを読 み 進 む に よ って 違 い ます 。 こ の場 合 に は , ギ リシ ャ人 達 は 自 つ れ ,学 習者 は相 手 の行 動 及 び状 況 の注 意 す べ き 分 達 の質 問 を パ ー ソナル に す ぎ る と は思 って い ませ 側 面 を弁 別 的 に学 習 し, 相 手 文 化 の成 員 と同様 の ん 。 何 故 で し ょ うか 。 帰 因(同 型 帰 因)を 行 な う程 度 が 増 加 し, それ に 1頁 に 戻 りな さい 。 よ り相 手 の行 動 を 予 測 す る力 を つ け て い く。Tri・ andis達 一5一 の 「文 化 的 同化 訓 練 法 」 の概 要 は 以 上 の 通 りで あ る。 あ な た は3を 選 び まし た が , 誤 りで す 。 「 文化的同化訓練 法」の ギ リシ ャ人達 が シ ャuン の 生 活 の 仕方 に不 満 だ と考 }xる根 拠 は あ りま せ ん 。 ギ リシ ャ人達 は シ ャ ロソ の 顔 見 知 りだ と書 か れ て い る だ け で す 。 作製及び有効性の検証 有 効 な 「文 化 的 同 化訓 練 法 」 を作 製 す る 為)'Tr 1頁 に 戻 りな さ い 。 は , ま ず相 手 文 化 を充 分 に理 解 し, 自国 との文 化 差 を 明 らか に しな け れ ば な らな い。 そ れ に は社 会 一6一 あ な た は4を 選 び ま した が , 誤 りです 。 あ る状 況 で は そ うした 質 問 が 適 当 だ とい うこ とは 正 しい の で す が , 性 別 とは 関 係 が あ りませ ん 。 ど うい う場 合 に そ うした 質 問 が 適 切 な の で し ょ うか 。 ギ リ シ ャで の 友 人 間 の 行 動 に つ い て 学 習 した こ とを あ て は め て考}て 学 , 民 族 学 , 文 化 人 類 学 な どの資 料 を検 討 す る と 共 に, 比 較 文 化 的 な調 査 を 通 じて 「内 在 的 文 化 」 の違 いを 広 範 に分 析 す る必 要 が あ る。 こ う した 基 礎 研 究 の重 要 性 は 否 定 で きな いが , 文 化 を 構 成 す る要 因 は 極 め て 多 岐 に 渡 り, そ れ らを 理 解 しつ く す こ とは ま ず 期 待 で きな い。 み な さい 。 そ れ でTriandis達 1頁 に戻 りな さ い 。 は , 「文 化 的 同 化訓 練 法」 を 作製 す る上 で の簡 便 法 と して 「 危機的 で きごと こ こ で は 自国 の 入 間 が 相 手 文 化 の 人 々 と遭 遇 し の収 集 に よ る方 法(critical incidents method)」 た際 に奇 異 に 思 わ れ た 相 手 の 行動 及 び そ の 状 況 が を 提唱 して い る。 こ こ で は , 日本 人 の為 の 「タ イ 簡 潔 な エ ピ ソー ドの形 で ま ず学 習 者 に 呈 示 さ れ 文 化 同化 訓 練 法 」 を 例 と して, そ の手 続 き を解 説 る。 次 に, 相 手 の行 動 の原 因 と して ひ とつ の正 解 して み よ う。 を 含 む4つ の異 な った説 明 が解 答 選 択 肢 の形 で与 こ の場 合 には , ま ず, タイ に滞 在 し タイ人 と接 え られ , 学 習 者 は 自分 が 正 しい と思 う解 答 を選 択 触 した 経 験 のあ る 日本 人 を 数 多 くイ ソタ ヴ ュー一し す る。 そ れ ぞれ の解 答 選 択 肢 には ペ ー ジ の指 定 が て , 特 に 文 化 の違 いを 感 じさせ られ た で き ご と あ り, 学 習 者 は 自分 の選 ん だ 解 答 に応 じて指 定 さ (criticalincidents),奇 異 に 感 じ られ た タ イ人 の 行 れ た ペ ー ジへ と進 む 。 も し学 習 者 の選 択 が 正 しけ 動 及 び そ の 状 況 を 聞 き出 し, そ れ らを エ ピ ソー ド れ ば , 指 定 に 従 って 次 の エ ピ ソー ドに 進 み , そ こ の形 に ま とめ あ げ る。そ して ,そ れ らの エ ピ ソー ド で ま た 同 じ手 続 きを く り返 す 。 誤 った 解 答 を選 ん を 日本 入 及 び タ イ人 に呈 示 して , そ れ ぞ れ の エ ピ だ場 合 は , も う一 度 も との 事例 を読 み直 す よ うに ソー ドに 記述 さ れ た 行為 者 の 行動 に対 す る理 由 づ 指 示 され ,正 解 す るま で解 答 の選 択 を く り返 す。 け を さ せ る。 そ れ に よ り タイ人 と 日本 人 とで異 な ひ とつ の 「文 化 的 同化 訓 練 法 」に は100か った理 由 づ け の さ れや す い エ ピ ソー ドを 選 び 出 ら200位 の エ ピ ソー ドが収 め られ て お り, 正 しい解 答 を選 し,さ らに そ れ らを 「日一 タ イ」間 の役 割 期 待 の違 ぶ こ とに よ り次 々 と進 み ,す べ て の訓 練 を終 了す い, 価 値 観 の違 い な どい くつ もの カ テ ゴ リーに 整 7s 理 し て , 最 終 的 な 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 の 形 に プ い るこ とが そ の最 大 の理 由で あ る。Triandis達 ロ グ ラ ム化 す る 。 こ れ が 「 危 機 的 で き ご との収 集 」 の 「文 化 的 同化 訓 練 法 」 の有 効 性 は 主 に慈 善 使 節 に よ る 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 の 作 製 手 続 き の 概 略 団や 軍 関 係 者 な どを対 象 に検 証 され て い るが , そ で あ る 。 前 に 挙 げ た ア メ リ カ の 既 存 の 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 の う ち 「ギ リ シ ャ文 化 同 化 訓 練 法 」 以 れ らの人 々 の現 地 滞 在 期 間 は 大 体 数 ケ月 の オ ー ダ ー で あ り, 現 地 の人 々 との接 触 も多 分 に表 面 的 で 外 は す べ て こ う した 手 続 に よ り作 製 さ れ て い る 。 あ る。 それ に対 し, 私 達 の研 究 対 象 とな る のは 主 は 異 文 化 を 理 解 す る為 に こ に在 外 日系 企 業 の人 々で あ り, 現 地 滞 在 期 間 も数 の 方 法 だ け で 充 分 だ と考 え て い る わ け で は な い 。 年 に渡 る のが 普 通 で あ る し, ま た 経 済 活 動 を 行 な 勿 論 ,Triandis達 言 語 訓 練 や そ の他 の訓 練 の必 要 性 は 充 分 に 認 め ら う組 織 内 で の対 人 関 係 とい う特 殊 性 も考 慮 され ね れ て い る。 た だ , 短 期 間 に 文 化 の違 いを 学 習 す る ば な らな いで あ ろ う。 異 文 化 の成 員 との比 較 的 短 には, 期 で 表 面 的 な 接 触 に 関 して は 効 果 の認 め られ た 方 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 が 最 も 効 率 的 だ と 主 法 が , は た して 長 期 に 渡 る緊 密 な 相 互 作 用 を 要 す 張 して い る の で あ る 。 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 の 有 効 性 は , 主 に る事 態 で も効 果 を あ げ 得 るか ど うか は 検 討 の 余地 海 外 に 派 遣 され る慈 善 使 節 団 や軍 関 係 者 な どを 用 を 残 して い る。 ま た , プ ログ ラ ム学 習 とい う方 法 い て フ ィー ル ドで 検 証 さ れ る と 共 に(Mitchell, の有 効 性 に つ い て も さ らに 検 討 す る必 要 が あ る。 Dossett, 実験 室 内 教 育 レベ ル も学 習 動 機 もそ れ ほ ど高 くな い 人 々に Lekhya- 対 して プ ログ ラ ム学 習 を利 用 す る こ とは 効果 が あ 既存の Fiedler,&Triandis,1972), で の 検証 も行 な わ れ て い る nanda, (Chemers, Fiedler,&Stolurow,1966;Mitchell &Foa,1969;Weldon, Slobodin,& Carlston, Triandis,1975)。 る と して も, 私 達 の 研 究 対 象 とな る人 々に そ れ が Rissman, 例 え ば0'Brien 適 当 か ど うか は 明 らか で な い。 新 た に 海 外 へ 出 る 日本 人 が 現地 文 化 に適 応 す る 達 は , 中米 の ホ ンデ ュ ラス で慈 善 的 な医 療 活 動 に こ とを促 進 す る為 の訓 練 と して どの よ うな方 法 が 従 事 す る プ ロ グ ラ ム に 参 加 を 希 望 し た ア メ リ カ人 適 当 か とい う問題 は な お検 討 を 要す る が , そ う し の 若 者 達 に 対 し て , 事 前 の 訓 練 に 「文 化 的 訓 練 法 」 た訓 練 の 必 要性 自体 に は疑 問 の余 地 は な い 。現 在 , を 用 い た 場 合 と授 業 形 式 の 普 通 の 訓 練 を 用 い た 場 日本 在 外 企 業協 会 な どに よる事 前 の研 修 制 度 は存 合 と を 比 較 し て い る 。 そ の 結 果 ,「文 化 的 同 化 訓 練 在 して い る。 しか し, そ の内 容 は簡 単 な語 学 研 修 法 」 に よる訓 練 を受 け た グル ー プ の方 が , 現 地 で と現 地 経 験 者 の講 話 に よ り構 成 さ れ て い る にす ぎ の ス タ ッ フ の 評 価 も現 地 適 応 に 関 す る 自 已 評 価 も ず, 体 系 的 な もの とは言 い が た い。 企 業 か ら海 外 良 好 で あ る こ と が 確 認 さ れ て い る 。 ま たWorchel に派 遣 さ れ る 日本 人 社 員 は相 手 文 化 に関 す る事 前 and , タ イ に駐 屯 す る軍 関 係 者 や 家 族 の準 備 を殆 ん ど しな い ま ま赴 任 して い くこ とが 最 に 対 し て , あ らか じ め 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 や 他 も多 い。 渡 航 先 につ い て の情 報 を入 手 す るに も, の方 法 に よる訓 練 を 与 え て, 帰 国 後 , 質 問 紙 に よ 現 地 経 験 者 に個 人 的 に接 触 す る以 外 に 良 い方 法 は る追 跡 調 査 を行 な っ て い るが , 他 の訓 練 を 受 け た な い のが 現 状 で あ る。 企 業 レベ ルで の 組織 的 な 指 者 よ り も 厂文 化 的 同 化 訓 練 法 」 を 受 け た 者 の 方 導 や 準 備 は 殆 ん ど行 な わ れ て いな い 。 現地 に 到 着 Mitchelは が , 現 地 で の タ イ人 と の接 触 も活 発 で , ま た タ イ して か ら試 行 錯 誤 で 文 化 の違 いを体 得 す れ ば よ い を 再 訪 す る希 望 も 強 い こ と が 確 か め ら れ て い る。 ので , 事 前 の準 備 は 必 要 な い とい う考 え 方 もあ る そ の 他 の 研 究 に お い て も 「文 化 的 同 化 訓 練 法 」 の か と思 う。 しか し, 交 叉 文 化 的 な状 況 で の 対 人 関 有 効 性 は , 概 ね 支 持 さ れ て い る。 係 は 大変 に 微妙 で あ り, 不 必 要 な摩 擦 や 感 情的 ゆ し か し , 海 外 へ 出 る 日本 人 の 訓 練 の 為 にTriandis達 の 方 法 を 援 用 す る場 合 に は , そ の 有 効 性 きち が い は 最初 か ら避 け るに越 す こ とは な い。 特 定 の異 文 化 に お い て 日本 人 が経 験 して きた 多 くの に 関 し て い くつ か の 疑 問 が 生 じ る。Triandis達 困難 を何 らか の形 で収 録 して共 有 の財 産 と し, 将 が 訓 練 対 象 と し て い る 人 々 と私 達 の 研 究 対 象 と な 来 そ の地 に赴 く人 々の役 に立 て る こ とは 大 変 に重 る 人 々 とで は , 渡 航 先 で の 活 動 形 態 が 全 く違 っ て 要 な意 味 を もつ は ず で あ る。 今 後 の研 究 方 向 につ 一 … 「日本 人 の異 文 化 へ の適 応 ・同化 過 程 」 研 究 プ ロジ ェ ク トー … 79 い て は 本 稿 の 最 後 の部 分 で ま とめ て検 討 す る こ と (当時)訪 タイ の際 の大 が か りな 「反 日デ モ」 とな に して ,次 に , 当 面 の研 究 課 題 で あ る 「日本 人 の っ て表 面 化 して い る。 反 日運 動 は タ イ に限 らず 他 タ イ文 化 へ の適 応 ・同化 」 に議 論 を進 め る こ とに の東 南 ア ジ ア諸 国 に も波 及 して い っ たが ,_¥1時の し よ う。 日本 の海 外 進 出 に対 す る非 難 の内 容 を 整 理 す る と 次 の よ うに な ろ う。 III. ① 日系 進 出 企 業 と タ イ 文 化 日本 の海 外 投 資 は 利 潤 を 求 め る のに 急 で あ り, 投 資 受 け 入 れ 国 の立 場 を 考 慮 して いな い 。 そ 海 外 へ 出 る 日本 人 の 大 幅 な 増 加 傾 向に伴 い タ イ の為 ,投 資 受 け 入 れ 国 の開 発 計 画 に か か わ り な を 訪 れ る 日本 人 の数 も こ こ5年 間 に 著 し く増 大 し く, 利 潤 の高 い業 種 に 殺 到 す る傾 向 が あ り, ま た て い る。 昭 和46年 短 期 間 に 資 金 を 回 収 しよ うと しす ぎ る。 に は年 間2万 人 足 らず で あ っ た訪 タ イ 日本 人数 は ,昭 和50年 に は年 間7万 人 に達 し よ うと して い る。 た だ し, 最 近 の不 安 定 な イ ン ドシナ情 勢 を反 映 して か,昭和48年 ② 日本企 業 の 進 出 目的 は , 従 来 ,設 備 ・原材 料 の 輸 出 な どを め ざ した 輸 出 補完 型 の も の が 多 以 降 は増 く, 現地 に 定 着 して 長 期的 な 発展 を め ざす もの が 加 の傾 向 に衰 え が見 られ る。 タイを 渡 航 先 とす る 少 な い。 い わ ば 「出稼 ぎ型 」 が 多 い。 そ の結 果 , 者 は海 外 へ 出 る 日本 人 総 数 の約3%を 国際 的 な競 争 力 の乏 しい小 規 模 企 業 の乱 立 を招 い 占 め てお り, そ の割 合 は ア ジア諸 国 の中 で 台 湾 , 香 港 , 韓: 国 , フ ィ リ ピ ンに 次 いで 大 き い。 こ こで もや は り て い る。 ③ 日本 企 業 の進 出 の仕 方 には , 現 地 企 業 を育 観 光 を 目的 とす る渡 航 老 が 圧 倒 的 に 多 く, タ イを 成 す る とい う基 本 思 想 を欠 い てお り, 周 辺 関 連 企 訪 れ る 日本 人 の85%近 業 の育 成 とい った 外 部 経 済 効 果 を もた らす ものが くを観 光 客 が 占 め て い る。 しか し, 周 知 の 如 く, 現 在 の タ イ経 済 の 対 日依 存 少 な い。 特 に タ イに お い て は , 第3次 産 業(レ ス は 極 め て 大 きい の で ,経 済 活 動 を 目的 と して 長期 トラ ン, 広 告 業 , 旅 行 案 内 業 な ど)に ま で 日本 が に 渡 り在 タ イす る 日本 人 の 数 も常 時3,000人 を越 進 出 して くる こ とに 対 して 強 い 反 撥 が み られ る。 す と言 わ れ て い る。 ま た在 タイ 日本 人 の 大 部 分 は バ ン コ ック地 域 に居 住 して お り, そ の凝 集 性 が ひ 地 の 人 々を あ ま り信 用 して い な い。 そ の為 ,重 要 とつ の特 徴 を な して い る。 ④ 日本 人 は 現 地 人 に 対 す る優 越 感 を もち , 現 な ポ ス トへ の現 地 人登 用 が少 な く, 欧米 企 業 に比 タイ に進 出 して い る 日系 企 業 数 は, 昭 和50年 の時 点 で, 通 産 省 に登 録 して あ る ものが218社 較 して: 賃 金 も低 い。 ま た , 日本 か ら派 遣 さ れ て く , 現 地 法 人 数 を入 れ る と272社 に登 っ て い るが , そ る社 員 の数 が 多 く, そ の人 達 と現 地 の人 々 との賃 金 格 差 が 大 きす ぎ る。 の半 数 以上 は最 近5年 間 に進 出 した もので あ る。 また , タ イ にお け る 日本 の投 資 残 高 は ア メ リカを 進 出 日本 企 業 の経 済 活 動 に起 因 す る上 記 の批 判 追 い越 して第1位 に な って い るほ か , 貿 易 面 で も とは 別 に, 現 地 にお け る 日本 人 の行 動 もま た 反 日 輸 出 ・輸 入 のい ず れ に お い て も,現 在 ,日本 が 最 大 的 な気 運 の醸 成 に寄 与 して い る よ うで あ る。 日本 の シ ェアを 占 め て い る。 経 済 的 巨 人 とな った 日本 人 は 自分 達 だ け の異 質 社 会 を つ く り, 現地 の 文 化 に と って は タ イで の こ うした経 済 活 動 の成 長 は そ を 積 極 的 に 理解 し よ うと も,現 地 語 を学 ん で現 地 れ ほ ど大 きな 比重 を 占 め る もの で は な い が , タ イ に 適応 し よ うと も しな い , とい った批 判 が 聞 か れ 側 か らは 自国 の経 済 を 日本 に 支配 され そ うだ とい る。 す な わ ち , 日本 人 は ゴル フ場 を独 占 し, 日本 う危 惧 や 不 安 が生 じて くる の も無 理 か らぬ とこ ろ 製 の タバ コをす い , 日本製 の備 品 を事 務 所 に持 ち で あ る。 込 み , 日本 食 堂 で食 事 を と り, 日本 の旅 行 代 理 店 そ う した タイ側 の不 安 や そ れ に伴 う反 日的 な気 運 は , 野 ロキ ッ クボ ク シ ソ グジ ム の開 設 や タ イ大 丸 の新 店 舗 移 店 に端 を 発 す る昭 和47年 貨排 斥 運 動 」 あ るい は 昭 和50年1, を利 用 し, 日本 人 の仲 間 だ け の閉 鎖 した 世 界 に 生 きて い る とい った批 判 で あ る。 末 の 「日 こ の他 に も, 日本 が 西 欧 で は な くア ジ アの 一 国 月 の 田中 首 相 で あ る とい う事 情 が , タイに お け る対 日感 情 を よ 80 り複 雑 な もの と して い る よ うに 思 わ れ る。 日本 と 同 様 , タ イに お い て も西 洋 文 明や 欧 米 人 を 自分達 タ イに滞 在 して帰 国 した 日本 人 社 員 の タ イ 観 は ,概 して ネ ガ テ ィ ブで あ る。 「タイ化 は 退 化 に よ りも上位 に置 く一 般 的 な傾 向 が 認 め られ る。 欧 通 ず」 とい う感 概 を も らす 人 もいた 。 在 タイ経 験 米 の 大 学 に留 学 して箔 を つ け よ う とす る意 欲 や 英 者 の タイ観 は さ ま ざ まで あ っ て も, 日本 人 に とっ 語熱 は ,特 に バ ン コ ッ クの若 者達 の 間 に顕 著 で あ て ネ ガ テ ィブ に映 る タイ人 の思 考 や 行 動 の特 徴 に る。 欧 米 人 が 自分 達 の上 に立 ち 自分 達 よ り も贅 沢 は い くつ か の共 通 した面 もあ る よ うに 思 え る。 例 な暮 しを す る こ とは許 容 で き て も, 同 じア ジ ア人 え ば, そ のひ とつ は 「不 正 に対 す る社 会 の許 容 度 で あ る 日本 人 が そ うす る こ とに対 しては 感 情 的 な が大 き い」こ とは 対 す る反 撥 で あ る。 いわ ゆ る 「テ 反 撥 が生 じや す い。 そ の反 面 , 欧 米 諸 国 に対 す る コ ソプ レ ック ス の裏 返 しと して, ア ジ ア の リー ダ 賂 を当 然 の こ と と して い る こ とに ,潔 癖 な 日本 人 ー と して の 日本 に 対 す る大 きな 期 待 も存 在 して い は 反 感 を 覚 え る よ うで あ る。 ま た , 盗 難 が 多 く, る。 しか し, 過 大 な 期 待 は そ れ が 充 足 され な い 不 日系 企 業 の 現地 人 社 員 や 日本 人 家庭 で 働 くメ イ ド 満 を 生 み や す く, そ の こ とが 反 日的 な 感 情 を 生 み 達 さ え も 信用 で きな い とい う声 が 聞 か れ る。 さ ら 出す ひ とつ の原 因 と もな って い る よ うで あ る。 に , 現 地 人 社 員 の 「企 業 に 対 す る忠 誠 心 の 欠 如」 ィー ・マ ネ ー」 が 横 行 し, 警 察 官 や 官 吏 さえ も賄 長 期 に 渡 りタ イに 滞 在 し, タ イ人 との 「協 働 事 が , 自分 の 会 社 に 対 す る忠 誠 心 が 極 め て 旺盛 な 日 態 」 に 直 面 して い る 日本 人 の 大 部 分 が経 済 活動 を 本 人 に は 許 しが た く感 じ られ る。 待 遇 の 良 い 職 場 目的 と して い る以 上 ,経 済的 要 因 を除 い て 「日… が み つ か れ ば 平 気 で 転 職 し,就 業 率 の低 い こ と, タ イ」 間 の 文 化摩 擦 を考 え るこ とは難 しい。 タ イ ま た 会 社 全体 よ りも 自已 を優 先 さ せ, 同 僚 が 休 に お け る反 日運 動 は , 日本 の経 済 進 出 に対 す る反 ん で仕 事 に 穴 が あ い て もそ れ を カバ ー し よ うと し 撥 を直 接 の契 機 と して生 じて い る。 しか し, 企 業 の経 営 方 針 や 日本 の経 済 政 策 に か かわ る問 題 とは な い こ とな どが ,特 に 日本 人 社 員 に は利 已 的 と映 別 に , 日本 と タ イの文 化 差 の無 理 解 に起 因す る摩 とは , 日本 とは異 な り, タイ で は必 ず し も美 徳 と 擦 も反 日的 な気 運 の醸 成 に寄 与 して い る こ とは確 は考 え られ な い の で あ ろ う。 「タイ人 は組 織 人 と か で あ る。 つ ま り, 「事 実 上 の摩 擦 」 の他 に 「認 して の資 質 を欠 く」 とい う声 も聞 かれ る 。 も うひ る よ うで あ る。 自己 を犠 牲 に して全 体 につ くす こ 識 上 の摩 擦 」 も存 在 して い る, と言 え そ う で あ とつ , タ イ人 の 「時 間 的 展 望(time る。 多 くの進 出 日本 企 業 は , 現 地 人 の登 用 や 日本 の短 さ」 が, 刻 苦 勉 励 型 の 日本 人 に は 「そ の 日暮 人 との賃 金 格 差 な ど経 営 や 経 済 に直 結 す る問 題 に し」 と映 り,物 足 りな さ を感 じさせ て い る。 貯 蓄 は注 意 を払 って も, 現 地 に 出 る 日本 人 の文 化 訓 練 をす る とか, 将 来 の為 に現 在 の苦 労 を 耐 え る と の問 題 を充 分 に は考 慮 して い な い の が 現 状 で あ か, 問 題 を深 く突 き詰 め る と い った 態 度 が タ イ人 る。 タイ人 と協 働 す るに 際 して, そ の行 動 を 規 定 に は乏 し く, 「マ イペ ン ラ イ(気 に しな い)」 と割 す る価 値 観 , 規 範 , 役 割 な どに 関 す る「日一 タイ」 り切 っ て現 実 を享 受 しよ うとす る, と い った批 判 の文 化 差 を 理 解 す る こ とは , 文 化 摘擦 の解 消 に 大 が 聞 か れ る。 「苦 あ れ ば 楽 あ り」, 「艱 難 な ん じを いに 役 立 つ は ず で あ る。 玉 に す 」 とい った 生 活 価 値 観 は , タ イ文 化 に は あ タ イ の文 化 と国 民 性 perspective) ま り適 用 しな い よ うで あ る。 特 定 の 文 化 の 特 徴 を簡 潔 に 記 述 す るの は 至難 の 日本 人 が 見 た タ イ文 化 の こ うした特 徴 は ,文 化 人類 学 者や 社 会学 者 に よ って どの よ うに位 置 づ け 業 で あ る。 タ イ の 文 化 や 国 民 性 に つ い て は , 専 門 られ るの で あ ろ うか。 前 記 の文 献 な どに基 づ き, 家 の す ぐれ た 著 述 が 既 に い くつ も 出 版 さ れ て い る 次 に , そ の こ とを少 し整 理 してみ よ う。 (綾 部 ,1971; 田 中 ,1975; 市 川 ,1976; 吉 岡 ,1976な 河 部 ・田 中 ,1970; ど)。 こ こ で は , 在 タ 1・ 階 層 社 会 ・身 分 主 義 ・権 威 主 義 イ経 験 者 の 面 接 調 査 に 基 づ き , 日本 人 の 見 た タ イ 工 業 化 ・都 市 化 の傾 向は 認 め られ るが , 現 在 の 文 化 の 特 徴 を 簡 単 に ス ケ ッチ す る に と ど め た い 。 タイ の就 業 人 口の8割 以 上 は 農 業 従 事 者 で あ り, 一一 一 「日 本 人 の 異 文 化 へ の 適 応 ・同 化 過 程 」 研 究 プ ロ ジ ェ ク トー 一 81 今 な お タイ文 化 には 農 村 社 会 の伝 統 が 色 濃 くと ど 考 え , 「マ イペ ソ ラ イ」 と割 切 って万 事 を あ き ら め られ て い る。 田中(1975)は , 封 建 時 代 の 「サ め る」 と言 わ れ て い る。 そ して, 現 世 で の功 徳 を ック デ ィ ・ナ ー 制(位 田制)」 の 影 響 を 特 に 重 視 し つ み来 世 で の 良 い応 報 を得 る為 に ,仏 寺 へ の供 物 て い る。 「サ ックデ ィ ・ナ ー 制 」 とは , 全 国 を 領 や 仏 僧 へ の托 鉢 が盛 ん に 行 な わ れ る。 有 す る国 王 が 平 民 個 々人 に 一 定 の土 地 の 耕 作 権 を 下 賜 し, そ の代 償 と して 賦 役 , 兵 役 , 納 税 な どの 現在 で は , 官吏: あ るい は軍 人 と農 民 大衆 との 間 に ,商 業 活動 に従 事 す る華 僑 が 入 り込 み階 層 は複 義 務 を課 し, そ れ ら平 民 を 貴 族 官 吏 に 人 格 的 に 従 雑 化 して い る が, タイ独 自の 労働 価 値 観 は今 で も 属 させ る こ と に よ っ て 全 国 を 支 配 した 制 度 で あ 維 持 され て い る。 日本 で は 労働 は徳 とみ な され , る。 この 制 度 下 で は , 支 配 階 層 で あ る 「貴 族 官吏 気 ま ま で安 易 な生 活 は不 徳 とみ な され る。 一 方 , (ナ ー イ)」 と被 支 配 階 層 で あ る 「平 民(バ ー ウ)」 タ イで は ,労 働 は 必 ず し も徳 で は な く,逆 に楽 しみ とに全 国民 は 大別 され る。 を もた らす もの に多 くの注 意 が払 わ れ , 楽 しみ を 現 在 , 法的 な 身 分規 定 は な い が ,主 観 的 基 準 で もた らす もの は本 質 的 に 良 い もの だ とい う考 え が の 「ナ ー イ」 と 「バ ー ウ」 の 区 別 は厳 然 と して 存 強 い。 激 しい 労働 よ りも机 上 の軽 労 働 に 高 い価 値 在 して い る。 「ナ ー イ」 の 中 で も上位 の人 に与 え を置 くこ と,現 状 を享 受 し進 取 の精 神 に乏 しい こ られ る呼称 で あ る 「チ ャオ ・ナ ー イ」 に な る こ と と(平 隠無 事 の生 活 哲 学)な が タ イ社 会 で の 最上 の 目標 と され て お り,現 在 で 上 心 の欠 如 と映 る よ うで あ る。 「タ イ人 は与 え ら は そ れ は 官 吏 と して の栄 達 を 求 め る形 で残 存 して れ た こ と以外 の仕 事 は しな い」 とい う不 満 の声 は い る。 官 吏 に な る こ とに今 な お高 い価 値 が置 か れ 日本 人 社 員 の 間 で しば しば耳 にす る。 て い る こ とは, タイ青 年 の多 くが技 術 系 へ の進 学 を嫌 い, 法 文 系 を め ざす こ とに よ って も例 証 さ れ 支 配 す る側 とさ れ る側 の分 離 の伝 統 は, タ イ人 に 「身 分 主 義 」 あ る い は 「権 威 主 義 」 的 な傾 向 を る。 肉体 労働 よ り も机 上 の軽 労働 に 高 い価 値 を置 残 して い る。 タ イで は , 今 な お , 国王 や 王 族 に 対 き, 官吏 は サ ー ビス を与 え る よ り もサ ー ビス を 受 す る尊 敬 , 一 般 の支 持 が極 め て高 い。 ま た, 特 に け る立 場 に 自己 を置 こ う とす る。 つ ま り, 国民 の 農 村 の家 族 で は父 親 の権 威 が 高 く, 子 供 が成 人 し 公 僕 で は な く, 支 配 者 で あ り,人 民 が奉 仕 せ ね ば た 後 で も, 両 親 は 子 供 と一 緒 に住 み , 子 供 に対 す な らな い権 力者 だ とい う考 え が 官界 に は強 く, 旧 る庇 護 を継 続 して行 な うこ とが多 い。 こ め こ と 社 会 同 様 , 現 在 の官 吏:も一 般 大 衆 と隔 絶 し, そ の は , 長 幼 の順 が 重 視 され , 年 少 者 は 年 長 者 を敬 わ 優 越 性 を保 つ こ とに腐 心 す る傾 向が あ る よ うで あ ね ば な らな い と い う社 会 規 範 を 生 み 出 して い る。 どは , 日本 人 に は 向 る。 都 会 に 住 み 旧来 の特 権 的地 位 を 守 る こ とが 官 従 って , 官 界 で あ れ , 実 業 界 で あ れ , 能 力 や 業績 吏: に と って の重 要 な価 値 とな る一 方 , 農 民 大 衆 は 「ク ワー ム ・ユ ー ・デ ィー ・ギ ン ・デ ィー(満 足 し よ りも年 令 や 長 幼 の序 に よ って 名 誉 ,褒 賞 の 決 定 て 生 き,満 足 に食 べ る)」,つ ま り一 日一 日が 平 隠 無 お い て も,意 見 や 命 令 は地 位 や 身 分 の 高 い 者 か ら 事 に過 ぎ行 くこ とに 重 要 な 価 値 を 見 出 して い る。 低 い者 へ と一 方的 に 流 れ ,地 位 や 身 分 の 下 の 者 は 支 配 者 層 と被 支配 者 層 の 分離 は , しか し, タ イ 目上 の機 嫌 を損 ね る こ とを恐 れ て, 自分 の意 見 を 農 民 や 大衆 一 般 の 「業」 の 観 念 に よ って ,階 層 間 述 べ る こ とを避 け る風 潮 が生 じて い る。 こ の こ と の対 立 に よる緊 張 を生 み 出 さず に い る。 つ ま り, は, タイ人 は責 任 感 や 自主 性 が な く, た だ命 令 通 貧 富 , 美 醜 な どは前 世 の 因果 で あ り, 自分 の貧 乏 りにす る だけ だ とい う印象 を 日本 人 に 与 え て い や 威 光 の な さ は他 人 や 社 会 のせ いで は な く, 自分 る。 され る傾 向 が 強 い 。 役所 に 限 らず ,企 業 や 家庭 に の業 で あ る とい う考 えが 強 く, 大 衆 は 支 配 者 に威 光 を感 じ, 政 府 や 社 会 を 責 め る こ とが 少 な い。 例 え ば, 「タ イ社 会 で は 貧 しい労 務 者 が 高 級 車 を 運 2・ ル ー ズ な 社 会 ・個 人 主 義 ・便 宜 主 義 Embree(1950)は 転 す る政 府 高 官 に よ って 不 注 意 に は ね とば され た も つ 社 会 体 系(aloosely と して も, そ れ が 前 世 の因 縁 に よ る 自分 の不 幸 と tem)」 , タ イを 「 弛 緩 した 構 造 を structured social sys- と 特 徴 づ け , 集 団 規 制 の 大 き い 日 本 社: 会の 82 緊 張 性 と対 比 して い る。 即 ち,Embreeは , タイ る。 そ の際 , イ ソ ドシナ 国境 領土 を フ ラ ンス に返 社 会 を 規 則 性 ,規 律 性 ,組織 性 を 欠 くル ー ズな構 造 還 した 代償 に 国連 加 盟 へ の フ ラ ンス の承 諾 を と り の社 会 と評 し, そ の 原 因 を 人 口過 疎 で 農 業 労 働 力 つ け , タ イ共 産党 を公 認 した 代償 と して 国連 加 盟 不 足 の生 活 環境 に 求 め , 人 口過 密 で 強 い 集 団 の 規 へ の ソ連 の承 諾 を と りつ け るな ど,変 幻 自在 な タ 制 を 必 要 とす る 日本 の よ うな タ イ トな構 造 の社 会 イ外 交 の成 果 を充 分 に 発揮 して い る。 と対照 を なす , と説 い て い る。 タ イに お い て個 人 的 行 動 の許 容 され る範 囲 が広 い こ とは ,卑 近 な例 を ひ け ば, 「列 をつ くる」, 「時 間 遵 守 」 な どの行 駒 井(1976)は , タイ の外 交 政 策 の特 徴 を 次 の よ うに整 理 して い る。 ① そ の とき に東 南 ア ジ アで 最 も勢 力 の強 い国 為 の規 則 性 の 欠 如 に 示 され る。 ま た そ れ は , 軍 隊 と結 合 す る 厂最 強 者 へ の加 担 の 原 則 」 が み ら れ の 伝 統 が 弱 く, 集 団 訓 練 を 嫌 うとい った タ イ人 の る。 す な わ ち, 最: 強 者 の 掲 げ る外 交 原 則 は 多 様 で 特 性 に よ って も例 証 され る。 確 か に 日本 人 の 几 帳 あ るの に そ の い ず れ に も加担 し うる こ とは , タ イ 面 さを現 地 の 人 々は欠 い て お り,細 か い規 則 に よ 外 交 が 観 念 的 理 想 に よ って動 くもの で は な い とい り拘 束 され るこ とを 嫌 う風潮 の強 い こ とは , 多 く うこ とを示 唆 す る。 も し最 強 国 が 存在 せ ず混 乱 状 の在 タイ 日本 人 が指 摘 して い る。 出社 の時 間 に遅 況 が あ る場 合 に は , タイ は慎 重 な待 機 静 観 策 を と れ た現 地 人 社 員 に注 意 を与 え る と, 「少 し遅 れ た ろ うとす る。 位 で 文 句 を言 わ れ る の な ら家 に帰 る」 と い う反 応 ② 最 強 国へ の加 担 が一 辺 倒 的 に行 な わ れ る の の生 じる こ とが あ る と い う。 また , 他 人 の こ とは で は な く, つ ね に二 面 性 が保 たれ て い る。 タ イ外 構 わ な い し, 他 人 に 自分 の こ とを 構 っ てほ し くな い と い った 個 人 主 義 的 な 態 度 は , 「タ イ人 は 組 織 交 の情 勢 の変 化 へ の適 応 は きわ め て早 くか つ敏 感 人 と して の 資 質 を欠 く」 と 日本 人 に 判 断 させ るひ お り, しか も逃 げ 道 が つ ね に 用 意 され て い る。 とつ の 原 因 とな って い る。 タ イ社 会 に : おけ る さま ざま な 「派 閥(clique)」 の存 在 は ,一 見 , こ う した個 人 主 義 的 な傾 向 と矛 で あ り, 逆 に 最 強 国 へ の 加担 は いつ も遅 々 と して ③ 実 際 的利 害 が重 視 され る。 そ れ が 領土 で あ れ ,援 助 で あ れ , タ イは 自已 の利 益 穫 得 を 最 大 に す る外 交 路 線 を つ ね に用 意 して い る。 盾 す る よ うに思 わ れ る。 しか し, タイ に お け る庇 護 従 属 の 関係 は 多分 に手 段 的 色 彩 を お び て お り, こ う した 国家 レベ ル で の便 宜 主 義 の特 徴 は ,勿 確 固 と した永 続 的 な関 係 や 組 織 が確 立 さ れ るわ け 論 , 日常 場 面 に も認 め られ る わ け で あ り, 在 タイ で は な い。 『タ イ人 は強 力 な親 分 の傘 下 で 「居 心 日本 人 は そ れ を 「タ イ人 の変 り身 の はや さ」 と表 地 よい」Saunkと い う語 で現 わす 物 質 的 快 楽 を 現 す る こ とが多 い。 例 え ば, 日本 人 家 庭 で 働 く現 追 求 し, 過 去 を 後 悔 せ ず 明 日を憂 え ず今 日を 楽 し 地 人 の メイ ドに 目を掛 け, 相 手 も 自分 達 に親 愛 の み , 居 心 地 よい平 隠 無 事 の事 な かれ 主 義 に走 る。 情 を示 して い た の に, 自分 達 の本 国帰 還 が 間 近 か よ り良 い職 場 が み つ か れ ば平 気 で 転 職 し, 上 司 へ に な る と, 相 手 の態 度 が 掌 を 返 す よ うに 変 った , の 義 理 人 情 や 忠 節 の念 な ど一 片 も持 ちあ わ さず , とい う苦 情 も聞 か れ る。 一 般 に タ イ人 は 日本 人 よ 離 合 集 散 の 時 流 に うま く乗 ろ うと計 り, 自身 の処 りも社 交 的 で は あ るが , 対 人 関 係 も多 分 に 便宜 的 世 策 を 打 算 す る』(市 川1976,p.23)。 で , 永 続性 が乏 しい と も言 わ れ る。Embreeは , タ イの こ うした便 宜 主 義 の伝 統 は ,特 に そ の柔 タ イで は うま く嘘 を つ くこ と, 人 を だ ま す こ とが 軟 で流 動 的 な 外交 政 策 に反 映 され て い る。 前 世 紀 賞 賛 され る傾 向 が あ る, と指摘 して い る。 嘘 が ば に お け る西 欧 帝 国主 義 の膨 張 に もか か わ らず ,東 れ て罰 せ られ る の は恥 さ ら しだ が, うま く言 い逃 南 ア ジ ア で唯 一 国 タイ のみ が植 民 地 化 す る こ とな れ て嘘 を隠 し通 す の は賢 い証 拠 とみ な され る。 も く独 立 を維 持 してお り, そ の こ とは タイ国 民 の大 め事 に対 して平 然 との ぞみ , 興 奮 した りあ わ てた き な誇 り とな って い る。 また 第2次 大 戦 で の 日本 りす る こ と な く危 機 に対 処 す る力 を も った 人 が タ の東 南 ア ジア侵 略 に際 しては , 連 合 国 に 宣 戦 布 告 イで は 尊 敬 され る, とい う。 を しな が ら も戦 勝 国 とな る奇 跡 を な し と げ て い 個 人 主 義 で 対 人 関 係 も多 分 に 便宜 的 な タ イ人 の 「日本 人 の異 文 化 へ の適 応 ・同化 過 程 」 研 究 プ ロジ ェク トー 一 83 間 には , 過 激 で 偏狭 な 愛 国 心 は乏 しい。 タ イ人 は わ る こ とは ,在 タ イ 日本人 の 多 く が 指 摘 して い 誇 りが 高 い とい わ れ るが , 民 族 中 心 主 義 的 な 考 え る。 綾 部(1971)は は む しろ弱 く, お もて だ った軋 轢 もな く多 くの華 よ うに 述 べ て い る。 僑 を タ イ社 会 に 定 着 させ る こ とに 成 功 して い る。 イ ン ドネ シ アや マ レー シ アに お け る現地 人 と華 僑 『タ イ人 に は カー イ ・ナ ー(Khai na)お よび シー ア ・ナ ー(Sia na)と 呼 ば れ る, 二種 類 の面 と の対 立 を 考 え併 せ れ ば , これ は 注 目に値 す る成 子 に類 す る もの が あ る。前 者 は 顔 を うる こ とで , , タイ人 の面 子 に つ い て次 の 果 と言 え るで あ ろ う。勿 論 ,タ イは 仏 教 園 で あ るの この場 合 は面 子 を 失 って も大 した 問 題 で は な い に 対 して , イ ン ドネ シ アや マ レー シ アは 回 教 が盛 が ,後 者 シー ア ・ナ ーに つ いて の感 情 は 強 く,特 ん だ とい う宗 教的 事情 も考 慮 す る心 要 が あ ろ う。 に 公 衆 の 面 前 で 面 目を失 った場 合 を さ し, 個 人 の しか し, タ イ人 の便 宜 主 義 の傾 向 が ,華 僑 の 受 け 威 信 を 著 し く傷 つ け る もの と され て い る。 タ イ人 入 れ ・同 化 を 容 易 に して い る面 も確 か に あ る よ う の 礼儀 正 しさの基 礎 に は , 自尊 心 と個 人 の 威厳 を に思 わ れ る。 現 在 の タ イ華 僑 数 は 約300万 人 で , 保 つ とい う観 念 が 横 た わ って い るが , この 観 念 は 人 口の約10%を 占 め て お り, タ イの経 済 活動 は専 裏 を 返 せ ば 他 人 の 自尊 心 を 傷 つ け た りは ず か しめ ら華 僑 の手 に委 ね られ て い る。 官吏 は ,華 僑 を政 た りして は な らな い と い う こ と に な ろ う』(P. 治 権 力 の枠 に 入 れ ,政 治的 保 護 ,特 権 を 提供 し, 330)o そ の見 返 り と して, 経 済 活 動 か らの利 益 の配 分 を タ イ人 は他 人 か らの非 難 や か げ 口を 恐 れ , そ の 受 け て い る。 一一方 , 農 民 は 自 らの価 値 か ら,経 済 日常 行動 は面 子 が保 て るか 否 か , 体 裁 が 良 い か 悪 的 保 護 者 と して華 僑 をみ てお り, 官 吏 と華 僑 の場 い か , 名誉 か 不 名誉 か な どの基 準 に よ って 決 ま る 合 と同 様 , 両 者 の利 害 関 係 が一 致 して共 生 関 係 が こ とが 多 い 。 大 声 で 部 下 や使 用 人 を 叱 責 す る こ 生 じて い る(田 中1975参 と,特 に 人前 で そ うす る こ とが タ イ人 の 心 情 を ひ 3. 照)。 威 光社 会 ・形 式主 義 ど く傷 つ け る こ とは ,在 タ イ経 験 者 の 誰 もが 等 し く指 摘 す る と ころ で あ る。 タ イ人 に望 ま れ る上 司 前 に も述 べ た 通 り, タ イで は 歴 史 的 に 支 配 層 と は ,喜 怒 哀 楽 の情 を面 に あ らわ さず ,平 然 と して 被 支 配 層 の 身 分 的 分 離 が 明確 で あ り, 今 で も支 配 危 機 に対 処 す る能 力 を も った人 で あ り,人 前 で 部 者 で あ る こ とに 威 光 を 感 じ, そ れ を 賞 賛 す る社 会 下 を 叱 責 す る こ とは ,部 下 の面 子 を 傷 つ け るだ け 的 価値 観 は 根 強 く残 って い る。 支 配 者 と して の 威 で な く, 上 司 と して の 資 質 の 欠 如 を 露 呈 す る こと 光 を 維 持 し よ うとす る傾 向 は , 本 質 よ りも形 を 重 に もな る。 また タイで は , 使 用 人 の間 に 友 情 が あ 視 す る形 式主 義 的 な 特 徴 を タ イ社 会 に 与 え て い り誰 もが うち とけ て 笑 い を か も しだ す 「サ ヌ ヅ ク る。 支 配 者 や権 力 者 が ど こか へ 出 か け た り,何 か (居心 地 よい)」 な 職 場 の 雰 囲 気 が 何 よ り も望 まれ を した りす る時 に は , そ の 威 光 を祝 福 す る為 の儀 るの で , 大 声 で どな る こ とは そ う した 雰 囲 気 を こ 式 や 多 くの従 者 が 必 要 とな る。 ま た, 結 婚 式 ,得 わ す こ とに もな る。 度 式 ,誕 生 日な どの儀 式 に は身 分 不 相 応 な 出費 の タイ の人 々 が 面 子 を 大切 に す る こ とは ,企 業組 な さ れ る こ とが多 い。 一 般 に タイ人 は 派 手 好 み 織 で の非 能 率 を生 み や す い。 例 え ば , タイ人 の管 で, 外 国へ 行 った り, 外 国風 の生 活 様 式 を と り入 理 職 員 は , 困難 が生 じて も, 自分 の上 司 に不 愉 快 れ て生 活 す る こ とを 好 む。 国外 ,特 に欧 米 諸 国へ な思 い を させ た くな い ので , そ れ を上 司 に報 告 し の留 学 は 社 会 的 上 昇 を め ざす 人 々の 最 大 の 希 望 と な い こと もあ る と い う。 ま た ,他 人 か ら悪 く思 わ な っ て い るが , その 目的 は , 教 養 を 身 につ け る と れ た くな い ので ,間 違 いを 見 つ け て も他 人 に 注 意 か ,知 識 を 職 業 に生 か そ うと い う よ り も, 帰 国 を与 え よ うと しな い と い う面 もあ る よ うで あ る。 後 , 良 い地 位 を 得 る為 に 外 国 滞 在 の 威 光 価 値 を 利 こ う した タイ人 の傾 向を 日本 人 は 利 己 主 義 と捉 え 用 しよ うとす る もの が 多 い。 る こ とが 多 い。 形 式 を 重 視 す る こ とは , す な わ ち名誉 や 体 面 に 価 値 を 置 くこ とに つ な が る。 タ イ人 が体 面Y'こ だ パ イ トゥー ン ・クル ア ケ オ(1970)は , タ イの 威 光 社 会 的 な特 徴 が 経 済 活 動 に及 ぼす 影 響 を次 の 84 よ うにi整理 して い る。 ① タイ人 は 威 光 を保 つ こ とに金 銭 を浪 費 し, Triandis達 の 研 究 枠 組 み で は , 認 知 ・思 考 体 系 に 関 す る文 化差 の解 明(内 在 的 文 化 の分 析)と 貯 蓄 を し よ う と しな い。 また , さ ま ざ ま な布 施 , 異 文 化 の成 員 に特 徴 的 な認 知 ・思 考 体 系 の理 解 を 冠 婚 葬 祭 ,接 待 な どの 出費 が 多 く, 資 本 形 成 が さ 促 進 す る為 の技 術(文 化 的 同化 訓 練 法)の 開 発 が れ に くい。 二 本 の柱 と な っ てお り,異 文 化 へ の適 応 ・同化 過 権 力 者 で あ る官 吏 に な る こ とが 威 光 を 得 る 程 の現 象 自体 に 対 す る興 味 は あ ま り強 くな い よ う 手 段 とな り, 軽 い仕 事 を 選 び , 個 人 の 能 力 に 依 存 ② に 思 われ る。 私 達 が 主 た る研 究 対 象 と して い るの す る商 業 や 実 業 を 好 まな い 。 従 って , タ イ人 に よ は 日系 進 出企 業 に 働 く人hで あ り, 経 済 活 動 を 目 る投 資 は 少 な い 。 的 とす る企 業 組 織 の 一 員 と して 現 地 に 派 遣 され る 乱 ③ タイ人 は仕 事 の実 質 よ りも, 業 務 運 営上 の と い う特 殊 事 情 を 無 視 す る こ とは で きな い 。 つ ま 威 光 や派 手 さを好 む為 ,効 率 は 悪 く,利 潤 の低 下 り,海 外 に 派遣 され る 日本 人 の 個 人 レベ ル で の 現 す る こ とが 多 い。 事 業 の効 率 や利 潤 よ り も, オ フ 地 適応 を 考 え る時 に も, そ の 人 の 属 す る 日本 の組 ィス や仕 事 の格 好 良 さ , ぜ い た くさ ,派 手 さを第 一 に 考 慮 す る ので , タイ人 が企 業 を マ ネ ー ジす る 織 との 関連 を考 慮 せ ざ るを 得 な い の で あ る。 のは 難iしい。 当 面 の課 題 で あ る 「日本 人 の タ イ文 化 へ の適 応 ・同化 」 に つ い て言 え ば , 厂日一 タイ」 の文 化 差 以外 に も多 くの要 因 を考 慮 す る必 要 が生 じる。 タ 以 上 , タ イ文 化 や 国 民 性 の特 徴 をr階 層 社 会 ・ イ に派 遣 され る 日本 人 社 員 は , タイ人 だ け と接 触 身 分 主 義 ・権 威 主 義 」, 「ル ー ズ な社 会 ・個 人 主 義 ・便宜 主 義 」, 「威 光 社 会 ・形 式 主 義 」 の 三 つ の 側 地 適 応 に 関 して, 現 地 の 日本 人 コ ミュニ テ ィー と 面 に分 け て 簡 単 に ス ケ ッチ して み た 。 これ は 在 タ の 関 係 や 欧 米 人 を 含 む 現 地 の ビジ ネ ス ・コ ミュニ イ経 験 者 の面 接 調 査 や タ イに 関 す る文 献 調 査 に 基 テ ィー との 関 係 , 及 び 日本 に あ る本 社 との関 係 な づ くもの で ,r日 一 タ イ」 の 文 化 差 に 関 す る体 系 どが 大 き な影 響 を 及 ぼ す で あ ろ う ことは 容 易 に 想 的 な調 査 は ま だ実 施 され て い な い。 像 され る。 ま た , 家 族 を 同 伴 す る場 合 に は , 妻 子 して い る わ けで は な い。 タイに お け る 日本 人 の現 私 達 の研 究 目的 は , 日本 人 が海 外 に 出 た時 に , の 適 応 の 問 題 も考 慮 す る必 要 が あ る。 日本 人 海 外 自国 と相 手 国 の文 化 の違 い を どの よ うに 把握 し対 滞 在 者 に と って , 子 弟 の 教 育 問 題 が 切 実 な現 実 課 処 して い くか , 「日本 人 の異 文 化 へ の適 応 ・同 化 題 とな って い る こ とは 周 知 の 事 実 で あ る。 現 地 の 過 程 」 の解 明 に あ り,相 手 文 化 の 理解 自体 が 目的 人 々 との 対 人 関 係 よ りも, む しろ家 族 の 問 題 の 方 で は な い。 相 手 文 化 へ の適 応 ・同化 を 促進 す る為 が , 日本 人 社 員 の 現 地 へ の 適 応 の 障 害 とな る こ と の事 前 の準 備 と して 自国 と相 手 国 の文 化 差 を効 率 が 多 い , と も言 わ れ る。 的 に学 習す る訓 練 法 を 開 発す る こ とは , い わ ば本 こ う した 事 情 を 考 え る と, 「日一 タ イ」 の 文 化 研 究 の実 利 的 応 用 と言 え る。 そ の為 に , 日本 と相 差 の解 明 や 文 化 訓 練 の技 術 の 開 発 を試 み る前 に , 手 国 の文 化 差 ,特 に対 人 関 係 に 関 す る価 値 や規 範 在 タ イ 日本 人 の 現地 で の 生 活 の 実 態 を よ り詳 細 に な どの文 化 差 を体 系 的 に理 解 す る必 要 が生 じて く 吟 味 す る必 要 が 痛感 され る。 つ ま り,Triandis る。 しか し,私 達 の研 究 対 象 の 大部 分 が ,経 済 活 達 が あ ま り重 視 して い な い 「現 地 へ の適 応 ・同化 」 動 を 目的 と して渡 航 す る 日系 企 業 の社 員 に限 られ とい う現 象 自体 に 対 す るア プ ロー チ が 必 要 と され て い る 以上 , 日本 と相 手 国 の文 化 差 以外 の要 因 も るわ け で あ る。 そ の 際 , 在 外 日本 人 の 多 くが 日本 現 地 へ の適 応 に 大 き く関 係 して くる もの と思 わ れ の企 業組 織 か ら派遣 され て い る事 情 を考 慮 し,組 る。 そ の こ とを踏 ま え て ,今 後 の研 究 課 題 を最 後 に ま とめ てみ よ う。 織 自体 に組 込 ま れ た制 度 の検 討 か ら研 究 を 開始 す る の が得 策 で あ ろ う。 以 下 に , 今後 の私 達 の研 究 方 向 を模 索 して み よ う。 IV.今 後 の 研究課 題 海 外 に派 遣 され る 日本 人 社 員 の現 地 活 動 を検 討 す る前 に , ま ず ,各 企 業 で 派 遣 社 員 を選 抜 す る人 一一 「凵 本 人 の 異 文 化 へ の 適 応 ・同 化 過 程 」 研 究 プ μ ジ ェ ク トー 一… 85 事 の 基 準 及 び 現地 赴 任前 の 教 育 ・訓 練 シス テ ムの 用 意 され て い な い ケー ス も多 い とい う。 ま た ,海 実 態 を よ り広 範 に 調 査 す る必 要 が あ ろ う。海 外 で 外 で の経 験 を つ ん だ 日本 人 社 員 が ,帰 国後 の好 待 の 事 業 や 現地 の 人hと の 関 係 が 成 功 を お さめ るか 遇 を得 られ ず ,現 地 の 欧米 系企 業 な どに移 籍 して 否 か は , 派遣 社 員 の 資 質 に 大 き く依 存 す る。 しか い くケー ス もあ る と聞 く。 こ う した状 態 が続 くと し,誰 を現 地 に 派 遣 す るか は , そ の す れ ば ,優 秀 な 日本 人 社 員 が海 外 に 出 る動 機 は必 hの 社 内 事 情 もあ り, そ れ ほ ど明 確 な 基 準 に 基 づ い て 決 定 さ 然的 に 弱 め られ る。 ま た ,海 外 の 日本 人 社 員 は 帰 れ て は い な い よ うで あ る 。 国 内 の管 理職 員 に要 求 巣 傾 向 が強 く,現 地 で の評 価 よ りも 日本 の本 社 で され る能 力 の 他 に , 本 人 及 び 家 族 の健 康 ,語 学 力 の評 価 に 余 計 な気 を使 いす ぎる , とい った批 判 も な どが海 外 派 遣 員 の 条件 と され るの が 一般 的 で あ あ る 。海 外 に 派遣 され る社 員 の 資質 だ け で は な ろ う。 た だ し,海 外 で の活 動 経 験 の 豊 富 な企 業 で く, 日本 企 業 の海 外 要 員 に対 す る 人事 政 策 ,処 遇 は ,過 去 に お け る失 敗 例 ,成 功 例 な どか ら独 自の な どの制 度 的 な 問題 の検 討 も今 後 の重 要 な研 究 課 基 準 を設 け て い る か も しれ な い。 そ の点 は検 討 を 題 とな る。 要 す る。 現 地 の 日本 人 とそ の 人達 が所 属 す る 日本 の組 織 現 地 赴 任前 の 教 育 ・訓 練 に つ い て は ,各 企 業 と も十分 に 力 を 注 い で い な い , と い う 印象 を受 け との結 び つ きに 関 す る上 記 の考 察 を踏 ま え て ,次 に , 日本 人 の現 地 で の活 動 や現 地 文 化 へ の適 応 ・ る。 辞 令 が 出 て か ら一 週 間 以 内 に 出 発 とい うケー 同 化 の過 程 の実 態 を 調 査 す る こ とに な る。 タイ に ス もか な り多 い。 タイ に進 出 して い る 日系企 業 に 派 遣 され る 日本 人 社 員 の場 合 に は ,2年 か ら5年 つ い て 言 え ば ,現 地 に 赴 任 後 タ イ語 の 個 人 教授 を 位 現地 に 滞 在 す る者 が 最 も多 い 。 他 の地 域 に 関 し 受 け る とい う形 が普 通 で あ り, 欧米 の タイ進 出企 て も,平 均 的 な 現地 滞 在 期 間 は 大 体 同 様 で あ ろ 業 に比 べ て , 相手 文 化 に 対 す る教 育 ・訓 練 の制 度 う。全 般 に , 欧 米 企 業 に 比 べ て 日本 企 業 の 派 遣 社 的 確 立 は不 十分 で あ る。 例 え ば , デ ン マ ー ク の 員 の 現地 滞 在 期 間 は , か な り短 い よ うで あ る。 East で は , タイ へ の派 遣 社 員 に対 し こ こで は , ま ず ,在 タ イ 日本 人 の 現地 へ の 適 応 て , ま ず文 化 や経 済 に つ い て の文 献 を与 え , さ ら Asiatic社 や タイ 人 や タ イ文 化 に 対 す る態 度 の 継 時 的 な変 化 に タイ 到着 後 , 「や って よい こ と, いけ ない こ と」 を捉 え る こ とが 必 要 とな ろ う。在 タイ期 間 が 長 く な どエ チ ケ ッ トと マ ナ ー に関 す る マ ニ ュア ル を渡 な る に つ れ 「タイ嫌 い」 の 日本 人 が ふ え て い くの し,上 司 が そ の理 解 度 を チ ェ ックす る。 そ して , で あ ろ うか。 あ る い は ,現 地 に 長 く滞 在 す る ほ ど 勤 務 時 間 中最 低 週4時 間 は会 社 負担 で タイ 語 の レ 適 応 ・同化 が進 み , タイ に対 して 好意 的 な態 度 を ッス ンを受 け させ ,着 任 後12ケ 月 以 内 に英 国商 もつ よ うに な る で あ ろ うか。 最 適 の現 地 滞在 期 間 工 会 議 所 主 催 の タ イ語 の 「初 級 試 験 」 , そ の後18 を設 定 す る上 で こ う した視 点 か らの研 究 が必 要 と ケ, 月以 内に 「上 級 試 験 」 に 合 格 す る こ とが 義 務 ず され るが ,今 迄 の と ころ ,現 地 適 応 に 関 す る「縦 断 け られ て い る, と い う。 海 外 に 派 遣 す る社 員 に 対 的(10ngituinal)」 な調 査 は 殆 ど行 なわ れ て いな い。 して 日本 企 業 が どの よ うな教 育 ・訓 練 を して い る た だ し, 留 学 生 の 異 文 化 へ の 適 応 と い うこ とに か とい う企 業 レベ ル で の 問題 と共 に ,海 外 出張 の 関 して は , ア メ リカを 中 心 に , い くつ か の 継 時 的 決 ま った社 員 が どの よ うに して赴 任 先 に つ い て の 情報 を 集 め て い るか とい う個 人 レベ ル で の準 備 の 調 査 が 行 な わ れ て い る(Coelho,1958;Lysgaard; 1955;Morris,1960;Smith,1955な ど)。そ れ 問 題 も今 後調 査 す べ き課 題 とな る。 に よ る と, 留 学 先 に対 す る留 学 生 の 好意 的 態 度 と 派 遣 社 員 の人 選 や赴 任 前 の準 備 の実 情 と共 に , 滞 在 期 間 の長 さの問 に はU字 型 の関 係 の あ る こ と 現 地 か ら帰 任 した後 の 日本 で の 待遇 の実 態 も詳 し が しば しば指 摘 され て い る。 留 学 生 の多 くは ,当 く調 べ て い く必 要 が あ ろ う。 国際 性 を身 に つ け た 初 ,留 学 先 に対 す る極 め て好 意 的 な態 度 を も って 日本 人 が国 際 性 の乏 しい 日本 社 会 に いか に 再 適 応 留 学 して くる が ,実 際 に留 学 先 で の社 会 生 活 に深 して い くか は ,興 味 深 い問 題 で あ る。 海 外 派 遣 社 く携 わ る に つれ 自国 文 化 との ギ ャ ッ プに よる不 満 員 に対 して ,帰 国後 の適 当 な ポ ジ シ ョンや仕 事 が や 失 望 を経 験 し,留 学 先 に対 す る好 意 的 な態 度 は 86 て ,接 触 相 手 の殆 どが華 僑 に限 られ て しま うこ と 悪 化 す る。 しか し, この 「文 化 シ ョ ック」 の時 期 を 乗 り越 え る と適 応 ・同化 が進 み , ま た適 応 に失 もあ る と い う。 恐 ら く, そ の場 合 に は , タ イ人 と 敗 した者 は 帰 国す る こ とが 多 い ので ,留 学 先 に 対 は 別 の対 人 接 触 の形 態 が 要 求 され るで あ ろ う。 華 す る好 意 的 な態 度 は 全 体 と して再 び 回 復 す る。 こ 僑 以 外 の タ イ人 の 場 合 で も, 日本 人 の接 触 相 手 は れ がU字 型 の 適 応 パ タ ー ンに つ いて の … 般 的 解 釈 で あ る。 都 市 生 活 者 に 限 られ て くる。 タ イ人 口の80%以 上 を 構 成 す る農 民 大 衆 との接 触 は殆 どな い の が実 情 しか し, 留 学 生 とは 異 な り,企 業 か ら海 外 へ 派 で あ る。 日本 人 の タ イ文 化 へ の適 応 の実 態 調 査 と 遣 され る社 員 の場 合 に は ,相 手 文 化 に対 す る興 味 共 に , 「日一 タイ」 の比 較 文 化 的 調 査 も予 定 され に基 づ き 自 ら渡 航 先 を選 ぶ こ とは稀 で あ り, ま た て い るが , そ の場 合 , タイ に お け る 「下 位 文 化 」 渡 航 目的 も自 ら決 定 した もので は な く, 自分 の属 の問 題 を どの よ うに 扱 うか は ,従 っ て ,慎 重 な検 す る企 業 か ら与 え られ て お り, 自分 の 意 志 だ け で 討 を 要 す る。 帰 国 す る こ とは 許 され て い な い。 従 って ,海 外 派 Triandis達 と同 じよ う に 比 較 文 化 的 調 査 を 進 め て い くこ とは ,結 局 , 相 手 文 化 と比 較 した 日本 遣 社 員 も留 学 生 と同様 のU字 型 の適 応 パ ター ンを 示 す こ とは ,必 ず し も期 待 で きな い。 留 学 生 の多 人 や 日本 社 会 の特 徴 を描 き出 す こ とに もな る。本 くが個 人 の資 格 で 渡 航 して い る の に対 して ,派 遣 稿 の 冒 頭 に 述 べ た 通 りわ が 国 で は 日本 人論 の ブー 社 員 は 本 社 の意 向に よ り, そ の組 織 の一 員 と して ム が続 い て い る。 日本 人 や 日本 文 化 の特 徴 は異 文 渡 航 して い るの で あ る。 この こ とは , 現 地 へ の 適 化 と対 比 しては じめ て 明 らか に され る も の で あ 応 を 考 え る上 で , 重 要 な違 い とな るは ず で あ る。 り, これ まで の 日本 人 論 の多 くは , 暗 に 明に 西 欧 日本 と現地 の 文 化 差 以 外 に も, 日本 人 派 遣 社 員 の 現地 生 活 へ の適 応 に 影 響 を 及 ぼ す 可 能性 の あ る 文 化 や 欧 米 人 との 比 較 を 基 礎 に 置 い て い る。 タ イ 要 因 は す べ て検 討 す る必 要 が あ る。 子 弟 の 教 育 問 て , 日本 文 化 を 対 比 した場 合 に は , これ まで とは 題 や 同伴 家 族 の適 応 の 問題 ,現 地 の 日本 入 や 欧米 違 った 日本 人像 が 浮 彫 りに され るか も しれ な い 。 人 との交 際 の 問題 ,及 び現 地 に対 す る本 社 の理 解 な どに つ い て も吟 味 す る必 要 のあ る こ とは 既 に 指 本 研 究 は ま だ探 索 的 な段 階 に あ り, これ ま で の と ころ 文 献 や海 外経 験 者 との面 接 に基 づ く予 備 調 摘 した。 現 地 の人hと 査 を終 了 した にす ぎ な い。Triandis達 を は じめ とす る東 南 ア ジ アや ア ラ ブ諸 国 を 鏡 と し の接 触 に して も,単 に 日本 と の文 化 差 だ けで は な く, よ り細 か な 「下 位 文 化 .(sub-culture)」 の 違 い まで 考 慮 す るべ き で あ ろ しな が ら, 今 度 の本 格 的 な調 査 を進 めて い く予 定 う。 在 タ イ 日本 人 社 員 の 場 合 に は , 業 種 に よ っ 引 の研 究 枠 組 み を敷 衍 し, ま た こ こで述 べ て きた課 題 を考 慮: で あ る。 用 文 献 綾部恒雄, タイ族一 その社会 と文化.東 京,弘文堂,1971年. 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