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純Ti板におけるスプリングバックの時間依存性

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純Ti板におけるスプリングバックの時間依存性
純チタン板におけるスプリングバックの時間依存性
Time-dependent Springback of a Commercially Pure Titanium Sheet
平成24年度入学 資源エネルギープロセス学分野 堺 勇行
1. 研究目的
0.012
チタン(Ti)は高比強度, 高耐食性などの特性を持ち,
れている. 特に, 延性に優れる純Ti板は曲げ加工やプレ
ス加工に適用されている. 板材のプレス加工においては,
ρ / mm-1
0.011
軽量化材料や高耐食性材料として様々な分野で利用さ
0.01
0.009
離型時のスプリングバック特性を把握することが重要であ
1
10
る. 過去の研究により, 鋼板等では加工後に離型するま
0.012
バック量が変化する現象が報告されている. 一方純Ti
板では, 時間依存性について調査された例はほとん
0.011
ρ / mm-1
グバックの時間依存性について調査した.
1000 10000
図 1 曲率と保持時間の関係
での時間や離型後の経過時間に依存してスプリング
どない. そこで本研究では, 純Ti板におけるスプリン
100
Hold time / min
5min hold
60min hold
600min hold
4000min hold
0.01
2. 実験方法
本研究では純TiJIS2種材を用いた. 板厚は1mmで
0.009
1
10
100
ある. 引張曲げ試験を行い, 成形品側壁部の曲率を
410
時間(保持時間)を種々変化させてスプリングバックに及
3. 結果と考察
図1に曲率と保持時間の関係を示す. また, 図2に
種々の保持時間における離型後の曲率の時間変化を
示す. いずれも横軸は対数軸である. 曲率は保持時間
に対してほぼ線形に減少し, 一方離型後の時間に対して
390
True stress / MPa
率の変化を計測し, 離型後の時間依存性を調査した.
10000
図 2 離型後の曲率と時間の関係
用いてスプリングバック量を評価した. 離型するまでの
ぼす影響を調査した. さらに離型後も最大で4ヶ月間曲
1000
Time / min
370
350
330
310
290
270
0.01
1
100
10000
Time / min
図 3 応力緩和時の応力と時間の関係
ほぼ線形に増加する. 保持時間の違いは離型後の曲率変化に大きな影響を与えなかった. 定量的にみ
ると,保持時間4000分で曲率は保持時間5分の時に比べて約17%減少したのに対して, 離型後4000分
で曲率は離型直後の曲率に対して約3%~6%増加した.
保持時間に対して曲率が減少する要因の一つとして, 応力緩和が考えられる. そこで一軸引張試験
において約8%の変形を与えた後に応力緩和させた結果を図3に示す. 流動応力は緩和時間に対してほ
ぼ線形に減少しており, 図1における曲率の変化と同様の傾向を示している. 以上より, 保持時間に対
するスプリングバック量の変化は応力緩和時の流動応力の変化と強い相関があることが示唆された.
一方, 離型後のスプリングバックの時間依存性は, クリープなどの影響によると考えられている. 図1,
図2より, 離型後の曲率の変化量は離型後の時間と同じ保持時間に対する変化量と比べて半分以下の
大きさであることが分かる. このことから, クリープよりも応力緩和の方がスプリングバックに大きな影響を
与えると考えられる.
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