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自動車の開発ステップと提案時期

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自動車の開発ステップと提案時期
自動車の開発ステップと提案時期
1.要旨
自動車開発から生産開始までの、仕事の流れ、業務内容を把握する事で新規参入、提案活動
をどのタイミングで、実施すべきかを解説致します。
2.開発構想
•
モデルチェンジを検討する際、現在の車両のユーザーからの評価(満足点、不満点)
他社競合車との比較、モデルチェンジ発売時期での競合車のレベル予測、ユーザー
の動向、発売時点での世の中の状況、環境を予測して、どんな大きさ、どんな性能、
新機構を用意すべきかを構想としてまとめます。車両の販売価格目標、性能、品質、
コスト配分もほぼ方向付けがなされます。
•
新機構、新しい性能を付与出来る製品の採用を願うのであれば、構想をする断面以
前に関係部署(製品企画、デザイン、設計等〉への提案を終えておく必要がありま
す。
3.先行開発
•
開発構想を実現するために、時間が必要な開発項目は、先行開発項目として、選定
され、デザイン、設計の具体的展開の前に、ほぼ見通しを付ける事になります。デ
ザインモデルへの影響がある場合は、デザインモデル承認前に、先行開発を終了し
ておく必要があります。設計図に影響がある場合は、設計開始前には、見通しが出
来ていないと、先行開発結果より判断されて、不採用になります。
•
車に適用するのに必要な性能、形状、環境への対応が、確実に達成出来る事を報告
する、先行開発で問題点が無い事を報告出来ないと、不採用になります。
•
自動車メーカー毎に目標性能、試験条件が異なることもありますので、先行開発の
展開では、自動車メーカーと緊密な連携で、開発を推進する必要があります。
4.デザイン
•
開発構想を実現する外形、内装、インパネ、シートのデザインを実施します。開発
構想のイメージを具現化する、形にする作業ですが、設計条件、コスト制約等を満
足させて、更に新しさ、他社との差別化が要求されます。デザインの承認は、トッ
プ、設計、生産技術、工場、最終ユーザーとの接点である販売店の評価も得て、決
定されます。
•
デザイン、設計等の開発部署を保有している会社は、デザイン段階より開発業務を
受託して、自動車会社のデザイン部署からの仕様を入手して、具体的展開が開始さ
れます。自動車全体のデザイン審査は、デザインモック審査、一次審査、最終審査
の3回程で承認されます。デザイン承認時点で、性能、質量、コスト等の目標値達
成が基本になります。
•
デザイン、設計等の開発部署を保持していない会社は、ティア2としてティア1へ
条件を提示して、製造条件、コスト等目標達成のための提案を、ティア1と協業で、
実施します。
5.設計
•
デザイン承認前に、基本的な設計条件がデザインに盛り込まれているかを確認する
と共に、性能、コストを満足する部品、組み立ての図面化を行います。出図後の生
産準備を円滑に行うために、CADでの図面、デジタル情報での出図になります。
設計者は、図面出図後の設計変更が最小限で収まるように、生産準備、製造条件を
確実に図面に盛り込みます。正式出図前に、デザインレビューを実施して、関係部
署から、この図面で良いとの承認を得る事が、最近は実施されております。性能面
での合格不合格の判定では、評価部署、実験部署、CAEでの検証を実施して、合
格予測が出来た図面を出図する事になります。
•
設計を受託した会社は、自動車会社と同じタイミングで、仕事を遂行する事になり
ます。大切な事は、性能、コスト、生産準備、製造条件等を、会社全体の総力、知
恵を収集して、図面に織り込む事です。図面に全社の意見が集約出来て、完成度が
高ければ、その後の生産準備、製造準備、製造が円滑に進みます。
•
生産準備、製造からの分担会社は、ティア1へ生産技術者、製造技術者を派遣して
設計図面に自社の製造条件を確実に入れましょう。
6.生産準備
•
設計図面通りの製品を生産するための、必要な型、治工具、生産工場の配置等の準
備が、設計図面出図後の正式な活動開始になります。コストに占めます生産準備費
用が高い場合は、目標価格に如何に収めるかの方針を明確にして、準備を進める事
が必要です。型、治工具が自社生産で無い場合は、発注先との情報緊密化も必要に
なります。生産準備の納期管理が大変重要で、納期遅れは、その後の展開に大きな
支障を来します。特に次のステップである号口試作に繋げる事が重要です。
7.号口試作
•
生産準備をした型、治工具を使って、量産と同じ材料を使って、試作をします。出
来れば、生産する人も生産時と同じ人が望ましいのですが、出来るだけ、生産開始
時と同じ道具、方法、場所、同じ運搬方法で、実施する事が大切です。量産開始し
てから、新たな問題が発生しないように、問題点の総洗出しを致します。問題点は、
即断即決で解決、型、治工具への修正が発生すれば、即対策を致します。号口試作
で出来た製品、部品は、性能、図面目標を満たしているかを、確認致します。確認
結果で不具合が発生する事は無いはずですが、出た場合は、緊急対策が必須です。
トップを含めた全社を挙げた対策が必要になります。一番大切な事は量産開始と全
て、同じ生産(人、治工具、型等)トライをする事です。ここで、妥協をしてしま
いますと、量産開始後に大きな問題点対策をする事になります。生産準備日程や、
号口試作日程と、納期が適合しているか?を管理する事が如何に重要かが分かりま
す。
•
部品メーカーとしては、自動車会社への納入時、納入品が設計品質を満足している
事を証明した部品で納品が必要です。生産準備の日程では、自動車会社に何時納入
するか、それまでに一番長い評価期間は、時間はどのくらいかを、把握して、自動
車会社の号口試作よりも早く、自社の号口試作を完了する事が必要です。
8.量産開始
•
号口試作の問題点を全て解決して、目標コストで生産が出来る事が理想です。自動
車生産の場合は、発売開始時が一番売れる時期になりますので、生産のなれていな
い時に生産量の拡大が必要です。如何に早期に習熟して、目標コスト、目標品質不
良率で収めるかが重要な課題になります。特に人の作業による生産では、習熟度を
如何に早期に向上させるかを計画的に推進する必要があります。ロボット化、自動
化のラインでは、初期故障を事前に洗い出せたかどうかが決め手になります。
•
立ちあがり、量産開始時が一番生産量が多い事、その時に上手に生産しないと、利
益が確保出来ない事をしっかり認識して、最初から全力、総力生産の対応が大切で
す。
9.開発から立ちあがりまでの期間短縮
•
競争会社から、どんどん新しい車両が発売、お客様の好みも変化が激しい時代です
から発売時の計画が固まってから、発売までの時間を短縮する事が、お客様の満足
を得て、売れる車を生産出来る事になります。結局、デザインが最終決定を致しま
してから、発売までに何ヶ月で出来るかが勝負の分かれ目です。デザインが決まっ
てその時に、既にデザインを実現する方法、概略の設計、生産方法、準備の見通し
が立っておりますとデザイン承認後の活動が一斉スタートになります。即ち、デザ
イン承認までに、大きな枠「デザインが問題無く実現出来る事を」、証明出来ていな
いと間に合いません。いわゆる開発と生産準備、生産部門の同期活動が必須になり
ます。コスト、質量、品質を含め大きな課題を残さない状態まで、デザイン承認時
到達しておれば、その後の展開は人海戦術主体になりますが、良い立ちあがりが期
待出来ます。
•
部品メーカー、製品メーカーとしては、デザイン検討段階から、開発に参画して、
必要な自社の条件をデザイン、設計条件に入れて貰う事が重要になります。同期開
発に参画出来る人材の育成が必須になります。デザイン、図面の断面で、しっかり
検討が出来て、問題点が無くなっておれば、その後の展開は安心出来ます。万が一
問題点が残ったままデザイン承認、設計図面出図を行われた場合は、号口試作に間
に合わせるために、何時までに解決しておかないと間に合わないか、設計変更をど
うしてもお願いする場合は、代替案を持って、提案する事になります。承認、出図
後に検討が残る事は、日程的に厳しい準備になりますが、厳しい時程、自動車会社
と良い連携を図って進める事が、最後には良い成果を掴めます。
10.提案時期について
•
新しい魅力を付与する提案であれば、開発構想の断面で盛り込まれる必要がありま
す。提案時期としては、開発構想検討期間を何らかの情報で把握して、提案する事
です。
•
現状の延長上で、形状等の変更での対応の場合は、デザイン承認、設計出図前まで
に従来からの改善点、自社の他社との比較での優位性を明確化して、継続受注を確
保します。デザイン、設計に影響があれば、早期にその提案を受け入れてもらうよ
うに、お願いします。
•
図面製作時、必要な提案は実施しておかないと、効果的で、有利な開発、生産は出
来ません。図面出図後の提案は、その後の仕事に影響が大ですので、避けるように
致しましょう。
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