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福
CONTENTS
福
福島の進路
2
2006.2
№282
【しんろ】
∼お客様はお値段にデリケート∼(割安は割得)
C
O
N
T
E
N
T
S
塩田博文歯科院長
4
塩
田
博
文
【マンスリーレポート】
緩やかな景気回復の動きをみせる県内経済
10
【トピックス】
都心部再生への提言
∼自分達で創るふくしまのこれから∼
16
【寄 稿】
地域経済における観光の役割
−飯坂、土湯、高湯温泉の経済的波及効果について−
福島学院大学教授
30
下平尾
勲
【トピックス】
八十里越
36
【美を訪ねて】
第39回
41
《栗子山昔時景》
福島県立美術館長
酒
井
哲
朗
福島学院大学短期大学部 講師
神
田
あづさ
渡
辺
健
寿
田
中
伸
一
【食べ物のちから】
第5回
44
高橋 由一
魚介類
【企業法務セミナー】
民事再生計画の不履行に対する対応
渡辺健寿法律事務所 弁護士
46
【税務É財務相談 Q & A 】
平成18年度税制改正大綱の内容について
田中伸一税理士事務所 税理士
49
地方経済天気図
51
主要経済指標
本誌は自然保護のため、
リサイクルペーパーを使用いたしております。
しんろ
∼お客様はお値段にデリケート∼
(割安は割得)
■
塩田
博文(しおだ
ひろふみ)
塩田博文歯科
院長
棚倉町
「 MILK (牛乳)より水のほうが高い」と言う
ないのかも知れない。でもこの事例は不景気のせ
と、たいがい「エー?」という反応である。割安
いもあってか、価格にデリケートな消費者心理が
な牛乳は1Æ(1000㏄)が200円位で買えるので、
働いていることは確かであるようだ。後日談にな
500㏄のペットボトルの水が140円であれば、水の
るが、どちらも満車率が以前より高くなり、結局
ほうが高いということになる。こういう現実を知
収益率は下がらなかったのかも。
ると酪農家が気の毒になる。駅のスタンド的喫茶
知っていると得をすることも紹介したい。ある
ではコーヒーと牛乳の料金が面白い。コーヒーが
とき旅行社にパック型の旅行日程をお願いした。
250円で牛乳が200円。ま、そんなもので牛乳のほ
金曜出発で、2泊3日の飛行機を利用した割安タ
うが少し安いというのは当たり前と思われるかも
イプであった。同行のセクレタリーは、土曜出発
知れないが、良く考えてみると原価は牛乳のほう
の1泊2日で同じホテルなのだが、なんと1泊少
が高いと思われる。コーヒーの場合、砂糖を使う
ないセクレタリーのほうが高いというから驚いて
と逆転するかも知れないが、いずれにしても嗜好
しまった。こう話すと信じていただけないかも知
品だからコーヒーが高くても仕方がない(?)とい
れないが、実体験なのである。平日の利用率をあ
うことなのか。
げるために月∼金は航空会社から格安で売り出さ
駅といえば、駅に最も近いところにある駐車場
れているためらしい。更にオドロクことは大手会
の料金が200円安くなった。私がいつも利用してい
社のパック商品だと、ホテルが角部屋で部屋その
る少し遠い駐車場より200円高かったのだが……。
ものが大きくて窓が2壁面だったりしたり、ダブ
しかし、いつも使っているところも、なんと200
ルのシングルユース使用もあり、とにかくリッチ
円安くなってしまったのである。結局200円の差
なのだ。それは、なぜこういう優遇をするかとい
は変わらないということになった。これは利用者
うと、お客様の評価をアンケートして、次回の紹
としてはありがたいことで、浮気をすることなく
介をする参考に、ということもあるらしい。ホテ
常連を続けることになる。といってもこの差は1
ルもこのパックについては、対応がデリケートに
日で800円と600円の差で、都会の方だと1日600
且つ慎重にならざるを得ないので、良いサービス
∼800円というのは驚きで「高い安い」の話では
を受けることができる。客としてはありがたいこ
2
■
福島の進路 2006.2
しんろ
布のこともあり8割の方は竹を選ぶ。こういうお
とだ。
割得でちょっと変というか不思議な話も。今は
客の心理を踏まえて、ある店主がどうせ売れない
違うのだけれど10年以上前、350Ç缶も200Ç缶も
松をとびっきり高くして、竹を普通より高くした
ジュースの値段が同じであった。俗説では350Çは
ところ、それでも竹の選択率はやはり8割で客単
薄いという定説(?)があったのでメーカーに尋ね
価を上げる効果があったというから面白い。
ると、「同じタンクから入れてますので、まったく
少し話が変わるが、北海道の帯広に有名な豚丼
同じもの」という答えを得た。最近では値段に差
屋さんがあって、そこのランクは華、梅、松、竹
があるので納得(?)して選んで買うことができる。
という順番でなんとも変なので尋ねると、もちろ
同様に量の話では信じられないことも。沖縄の
ん華が一番高く2番手は梅、そして竹が一番安い
A&WというファーストÉフードÉチェーンのこ
のである。どうして梅松竹なのかというと、初代
と。そのお店では「ルートビア」というノンアル
の奥さんが「梅」さん(カタカナの「ウメ」が正
コールの飲料があり(ビアでもノンアルコール)、
しい?)なので、「梅が一番下では」ということ
そこではお代わり自由なのだ。ここまでは普通な
になり、ランクアップしたとのことである。一番
のだが、ルートビアにはS.R.Lつまりスモー
売れているのはもちろん梅なので、なんとなく心
ル、レギュラー、ラージと3サイズあり、それぞ
温まる。こちらの場合、この梅は割得になってい
れ130円、180円、230円という値段なのだが、ど
るようだ。そんなこともあってか、お昼時は満席
れを注文してもお代わり自由なのだ。私などは
で店の前に並んでいるたくさんのお客さんがいて、
「Sサイズを頼んで何回もお代わり」などできな
い性格なので、やはり無難にRを注文してしまう
だろう。あなたなら何を選ばれますか。
「ウメ」さんも元気に働いている。
満席といえば、いつも満席でなかなか予約が取
れない座席指定がある。札幌千歳空港から札幌É
量の話だけでなく品質のことも。お寿司屋さん
小樽に行くJRのUシートである。300円の料金
や食堂などでは一般的には松が高く梅が安い。も
なのでグリーン車の廉価版といったところ。これ
ちろん松はぜいたく
(?)で美味しいのだが、お財
が本当になかなかとれない。ちょっと疲れた時な
どは、ひと汽車遅らせてもいいからUシートでゆっ
たり移動したくなる。もちろんお客様に切符を購
入して差し上げる場合などは、この配慮をしてあ
げると喜ばれるのは間違いない。
なかなか取れないといえば、JAL
(日本航空)
のJシートがある。1,000円ということもあって
割安で、以前のスーパーシート(JRでいえばグ
リーン車のようなもの)に比べて安いので、その
利用率は80%を超えて収益性もUPしたとのこと
である。
割安É割得というのが消費者心理の購買動機を
促すようだ。やはり、価格設定は売れ行きを大き
全国で若手を指導する塩田院長
く左右するのかも。
福島の進路 2006.2
■
3
マンスリーレポート
マンスリーレポート
緩やかな景気回復の動きをみせる県内経済
県内経済は、個人消費が依然として盛り上がりに欠けているものの、生産活動や雇用情勢、企業倒産等
の改善が進んでおり、緩やかな景気回復の動きが続いている。
個人消費をみると、11月の大型小売店販売額は、百貨店が6ヵ月ぶりに前年を上回ったものの、スー
パーが21ヵ月連続で前年を下回ったため、合計では10ヵ月連続の前年割れとなった。また、12月の乗用車
新車登録台数は、大型をはじめ全車種で前年実績を下回ったため、全体で8ヵ月ぶりに前年を下回った。
投資動向では、12月の公共工事前払保証取扱いでは、件数が前年を下回ったものの、保証金額、請負金
額は、ともに前年を上回った。一方、11月の県内新設住宅着工戸数は、分譲が大きく増加したことにより、
2ヵ月連続で前年を上回った。
12月の生産活動は、国内外の受注が好調であることなどから、精密機械、化学、鉄鋼É金属、電子部品É
デバイスなどの業種で好調な生産となった。一方、地場産業である清酒とニットの生産は前年と比べて減
少を続けており、低調な結果となっている。
12月の企業倒産は、倒産件数、負債総額とも3ヵ月連続で前年を下回った。また、11月の有効求人倍率
は、前月より0.02ポイント上昇して0.81倍となり、新規求人倍率(季節調整済、パート含)も1.30倍と前
月比で0.16ポイント上昇した。
個人消費
東北経済産業局の速報によると、11
月の県内大型小売店の販売額は186億14百万円
となり、前年同月比0.3%減と10ヵ月連続で前
年を下回った。12月の乗用車新車登録台数(軽
乗用車含)は、4,770台で前年同月比5.9%減と
2ヵ月連続で前年を下回った。また、1月の家電
生産活動
12月の精密機械、化学、鉄鋼É金属、
電子部品Éデバイスなどの業種については、国
内外の受注が好調であることなどにより、前年
に比べて生産が増加し、好調が続いている。一
方、地場産業である清酒とニットの生産は前年
量販店では、前月に比べると全体的に売れ行き
を下回っており、依然減少傾向にある。しかし、
は落ち着きをみせているが、地上波デジタル放
特定名称酒の移出数量が2ヵ月連続で増加する
送対応テレビなどは堅調な売上を維持している。
など明るい動きが出てきている。
企業経営
トピックス
県の発表によると、平成17年の県内
工場立地件数は、前年と比べて21件増加して合
計88件となり、新設、増設ともに3年連続で増
加となった。雇用計画人員も2,487人と前年より
760人増加と大きな伸びを示している。本社所
在地は、県外が53件、うち首都圏が46件となっ
平成17年の国勢調査速報によると、
10月1日現在の本県人口は2,091,223人で5年
前の前回調査より1.7%減少した。また、世帯
数を見ると、前回調査より3.1%増加している
ものの、一世帯当たりの人数は2.9人となり、
ている。製造業の設備投資が好調に行われてい
前回調査より減少している。これは、核家族化
ることと、本県が比較的首都圏に近いことが増
が進んでおり、特に単身、高齢者世帯が増加し
加の要因である。
ていることの表れと思われる。
4
■
福島の進路 2006.2
マンスリーレポート
―― 消 費 動
大型小売店
乗用車販売
向 ――
12月の乗用車新車登録台数(軽
乗用車含)は、4,770台で前年同月比5.9%減
東北経済産業局の速報によると、
と2ヵ月連続で前年を下回った。車種別でみ
11月の県内大型小売店の販売額は、186億14百
ると、軽乗用車が1,634台
(同3.9%減)と9ヵ
万円となり前年同月比0.3%減と10ヵ月連続で
月ぶりに前年を下回った。また、中小型乗用
前年を下回った。業態別にみると、百貨店で
車が2,517台(同2.2%減)と3ヵ月連続で、
は、気温の 低下によって冬物 衣料の売れ行
大型乗用車も619台(同22.0%減)と6ヵ月連
きが伸びたため、衣料品が同7.2%増加し、家
続で前年の実績を下回った。
具É家電É家庭用品も同27.1%増となり、合
消費者物価指数
計で40億92百万円(同3.7%増)と6ヵ月ぶり
総合指数(福島市、平成12年=100)が97.9で
に前年を上回った。一方、スーパーでは、衣
前月比で0.4ポイント下降し、前年同月比では
料品が同12.5%増となったものの、主力の飲
0.3ポイント下降した。10大費目の指数の動向
食料品が野菜の相場安などから同5.9%減と振
をみると、「住居」が105.0と前月と変わらず、
るわず、合計で145億22百万円(同1.4%減)
一方、「交通É通信」は100.6と前月比で0.3ポ
と21ヵ月連続で前年を下回った。1月の家電
イント減、「被服É履物」は92.8と同0.9ポイ
量販店では、前月に比べると全体的に売れ行
ント減、
「保険医療」は101.9と同0.2ポイント
きは落ち着きをみせているものの、地上波デ
減、「食料」は95.8と同0.4ポイント減、「教養
ジタル放送対応テレビは、堅調な売上が続い
娯楽」は90.0と同0.9ポイント減となった。
11月の消費者物価指数は、
ている。
大型小売店販売額(店舗調整済)
(%)
20
乗用車新車登録台数
(台)
15,
000
(前年同月比伸び率)
12,
000
10
(%)
30
20
前年同月比
(右目盛)
↓
9,
000
10
6,
000
0
3,
000
−10
0
↑
百貨店
−10
↑
スーパー等
−20
0
6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011
16年
(資料:経済産業省)
17年
−20
11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
16年
17年
(資料:県自動車販売店協会)
福島の進路 2006.2
■
5
マンスリーレポート
―― 交通・レジャー動向 ――
高速道路
日本道路公団によると、12月の磐越
―― 投
公共工事
資
動
向 ――
12月の公共工事前払保証取扱いは、
自動車道5料金所の通過台数は、合計で386,996
件数623件(前年同月比14.8%減)、金額60億
台(前年同月比1.3%増)
となり、7ヵ月連続で
62百万円(同17.2%増)
、保証対象である請負
前年を上回った。料金所別では、猪苗代磐梯
金額は153億16百万円(同13.9%増)となった。
高原78,505台(同5.6%増)、磐梯河東92,066
発注者別で請負金額をみると、国が25億98
台(同3.5%減)、会津若松159,657台(同2.1
百万円(同173.6%増)、県が65億78百万円
%増)、会津坂下35,100台(同3.7%減)、西会
(同15.9%増)、公団É事業団が27百万円(同
津21,668台(同10.2%増)となった。
67.2%減)、市町村が54億34百万円(同18.3%
福島空港
減)などとなった。
12月の福島空港の利用状況は、国
内便では、札幌便が7,315人(前年同月比4.1
住宅建設
%減)、大阪便が15,051人(同5.3%減)、福岡
家、貸家、分譲が増加したため、1,351戸と前
便が2,675人(同2.6%減)、沖縄便が5,976人
年同月比22.0%増となり、2ヵ月連続で前年
(同4.5%増)などとなった。国際便では、上
海便が1,477人(同29.1%増)、ソウル便が
11月の県内新設住宅着工戸数は持
を上回った。
また、利用関係別でみると、持家が613戸
(同9.1%増)、貸家が514戸(同1.6%増)とな
4,711人(同62.6%増)となった。
また 、12月 の搭乗率をみると、 国内便が
48.2%(同4.5ポイント増)、国際便が69.1%
り、分譲は、222戸(同469.2%増)と大きく
増加している。
(同3.8ポイント増)となった。
消費者物価指数
100.0
(%)
80
前年同月比→
(右目盛) 150
福島県
↓
99.0
公共工事前払金保証実績
(億円)
200
(総合指数 平成12年=100)
40
0
100
98.0
50
↑
全 国
97.0
16年
17年
情報統計領域)
※平成17年3月以降は福島市の消費者物価指数を福島県の消費者物価指数とみなす。
6
■
福島の進路 2006.2
−80
0
8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011
(資料:県企画調整部
−40
7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112
16年
株)
(資料:東日本建設業保証ò
17年
マンスリーレポート
―― 生 産 活
清酒
木材・木製品
動 ――
11月の県内木材6市場の製材品
入荷量は2,789Á(前年同月比24.0%減)
、販売
11月の清酒移出数量は2,144Å(前年同
量は2,332Á(同24.0%減)となった。また、県
月比0.2%減)と、2ヵ月ぶりで前年を下回っ
内9市場の素材入荷量は23,849Á(同9.0%減)、
た。内訳をみると、一般酒は1,566Å(同2.4
販売量は23,727Á(同7.0%減)となった。
%減)と2ヵ月ぶりに前年を下回り、特定名
紙・紙加工品
称酒は578Å(同6.2%増)と2ヵ月連続で前
用などの受注が確保されていることから、前
年を上回った。
年と比べて生産は増えている。インクジェッ
化合繊織物
12月の化合繊織物のうち、ポリ
ト紙は、プリンターの在庫調整が終了して受
エステルの受注は前年比で増加しているもの
注に回復の動きがみられたことから、生産は
の、ナイロンの受注は減少しており、総体で
前年を上回っている。
の生産レベルは前年と横這いになっている。
化学
原油高の影響が原材料価格と燃料の高騰に表
自動車、コンデンサー向けの塗料用などを中
れてきているが、価格競争のなか、価格転嫁
心に堅調な受注を確保しており、前年比で増
は依然として難しい状況にある。
産となっている。
ニット
12月のニットの生産は、厳冬のため、
12月の感熱紙は、 FAX 、レジ
12月の酸化チタンとバリウム化合物は、
ま た 、リ チウ ムイ オン 電 池正 極材 のセ ル
冬物の生産を続けた所も多かった。全体として
シード、コンデンサーの材料であるパルセラ
生産量は減少傾向にあるものの、春É夏物の
ムは、携帯電話、デジタル家電の受注が伸び
生産時期がずれ込み、在庫を抱える期間が例
たため、前年と比べて大きく生産が増加して
年より短くなるなどメリットも生まれている。
いる。
新設住宅着工
(戸)
2,
000
(%)
60
(季節調整済 平成1
2年=100)
40
前年同月比
(右目盛)
↓
1,
500
鉱工業生産指数(全国、東北との比較)
120
110
20
東 北
↓
1,
000
0
100
−20
500
↑
全 国
↑
福島県
90
−40
0
−60
11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
16年
(資料:国土交通省)
17年
80
9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
16年
(資料:県企画調整部
17年
情報統計領域)
福島の進路 2006.2
■
7
マンスリーレポート
鉄鋼・金属
12月の鋳造品のうち、トラック
輸送用機械
12月のブレーキ部品は、海外向
用は、排ガス規制への対応、海外向けの受注
けと国内向けの生産が小型部品を中心に前年
により前年を上回る生産となった。また、建
と比べて増加しているものの、自動車用オイ
機用は国内向け、米国向けともに建設需要の
ルシールは、海外向けと国内向けの生産がと
増加により前年を上回る生産となっている。
もに前年比で横這いとなっている。
電気機械
精密機械
12月の変圧器、配電盤の生産は、
12月の医療用内視鏡は、海外向け
電力、工場用などの好調な受注により、前年
が堅調な受注を確保していることや、県外か
比で増加している。電熱炉の生産も鉄鋼、鋳
らの生産部門の移管により前年比で生産が伸
造関連の受注増により生産レベルを上げてい
びている。今年度下期の生産見通しについて
る。
は、前年度と比較して、増加が予想されてい
情報通信機械
12月のマイクロ波通信機器の
る。
うち、主力の中小容量タイプが中国やインド
大口電力
などのアジア圏での堅調な受注が確保されて
万È/ h( 前年同月比7.1%増)
となり、27ヵ月
いるため、前年と比べて生産が上がっている。
連続で前年を上回った。業種別に、主な販売
また、産業オートメーション関連の生産も前
先をみてみると、「電気機械」が109百万È/ h
11月の大口電力販売量は、497百
(同5.1%増)、「非鉄金属」が76百万È/ h (同
年と比べてやや増加となった。
12月の LSI (大規模集
13.5%増)、「輸送用機械」が54百万È/ h (同
積回路)の生産は、テレビやビデオカメラな
11.4%増)、「一般機械」が29百万È/ h (同
どの AV 、ゲーム機、デジタル家電向けの受
9.8%増)、
「化学」が53百万È/ h (同6.1%減)
注が前月に引き続き好調であり、前年と比べ
などとなっている。
電子部品・デバイス
て堅調に推移している。
県内鉱工業生産指数
106kw/h
550
(季節調整済 平成1
2年=100)
130
120
機械
↓
大口電力使用量
(%)
15
500
110
10
100
450
90
↑
化学
80
繊維
↓
5
前年同月比
(右目盛)
↓
↑
食料品
400
0
70
60
350
9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
16年
(資料:県企画調整部
8
■
17年
情報統計領域)
福島の進路 2006.2
−5
9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
16年
(資料:東北電力福島支店)
17年
マンスリーレポート
―― 金 融 動
資金需要
向 ――
―― 企業動向・雇用動向 ――
県内金融機関(全国銀行、第二地
企業倒産
12月の企業倒産(負債総額10百万
銀、信用金庫、信用組合)の11月末の預金残
円以上)の件 数は5件となり、前 年同月比
高は6兆124億36百万円と前月比で33億33百万
△12件で64.3%減少し、負債金額が8億12百
円増加し、同0.1%増となった。また、前年同
万円となり同91.3%減少した(件数、金額共
月比では265億79百万円増加し、同0.4%増と
に3ヵ月連続の減少)。地区別では、多い順に、
なった。11月末の貸出金残高は、3兆8,663億
県北が2件で4億18百万円、会津が2件で3
7百万円と前月比で155億41百万円増加し、同
億34百万円、浜通りが1件で60百万円、県南
0.4%増となり、2ヵ月ぶりに前月を上回った。
が0件となった。業種的に見ると倒産企業す
また、前年同月比では304億25百万円増加し、
べてが建設業となっており、公共事業の減少
同0.8%増となり、2ヵ月ぶりに前年を上回っ
などの影響が大きい。
た。
雇用動向
保証協会
11月の有効求人倍率(季節調整済、
12月の保証承諾は、件数2,140件
パート含)は、前月より0.02ポイント上昇し
(前年同月比4.1%減)、保証金額188億6百万
て0.81倍となり、前年同月比では0.03ポイン
円
(同10.0%増)
となった。また、代位弁済は、
ト下降した。また、新規求人倍率(季節調整
件数63件(同110.0%増)、金額5億63百万円
済、パート含)も1.30倍と前月比で0.16ポイ
(同96.8%増)となった。12月末時点の保証債
ント上昇し、前年同月比では0.12ポイント上
務残高は、件数が42,756件(同7.3%増)、金
昇した。また、11月の雇用保険受給者実人数
額が3,109億59百万円(同7.4%増)となった。
は、10,068人(前年同月比3.1%減)と38ヵ月
連続で前年を下回った。
(百万円)
1,
000
不渡手形金額
(%)
300
(県内4手形交換所)
県内企業倒産
(億円)
600
(件)
30
(負債額1,000万円以上)
250
800
200
150
600
400
100
50
前年同月比
(右目盛)
↓
400
25
500
300
20
件 数
(右目盛)
↓
15
0
−50
−100
200
200
10
100
5
−150
−200
0
7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011
16年
(当研究所調べ)
17年
0
0
11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
16年
17年
(資料:帝国データバンク福島支店)
福島の進路 2006.2
■
9
トピックス
都心部再生への提言
∼自分達で創る
ふくしまのこれから∼
中心市街地の活性化については、国の重要な施策の一つになってきております。
昨年の12月に中心市街地の活性化について福島経済同友会が福島市に対し「自分達で創るふく
しまのこれから」と題し提言書を提出しております。
この提言書は、福島経済同友会の50周年を契機として委員会を立ち上げ、その委員会の報告書
に基づき昨年の9月に、お亡くなりになられました友田
昇氏(当時の代表幹事)が、提言書と
してまとめられたものです。
この提言書は、中心市街地活性化の仕組みづくりにまで言及しており、福島市のみならず各地
域にとっても参考になると考え、掲載することといたしました。
提言にあたって
福島経済同友会
代表幹事
友
田
昇
福島経済同友会における中心市街地活性化に
友会、福島商工会議所、福島経営者協会)によ
対する取り組みについては、平成10年4月に
る「福島経済3団体まちづくり協議会」を組織
『地方都市の都心部活性化に向けて』と題し、
し、福島学院大学の駅前キャンパス設置に関し
提言書としてまとめております。
その提言書において、『地方都市の顔という
福島市に対して要望書を提出し、補助事業とし
て予算化が決定いたしました。
べき中心市街地を楽しく魅力ある賑わい空間と
また福島市中心部に位置する「さくら野百貨
して形成すること』に的を絞り、中心市街地を
店」撤退に際し、当該跡に福島市役所の移転運
再生させるための究極の施策は、都心部の人口
動を(福島市当局É議会への要望、シンポジウ
(定住人口、交流人口)を増やすことであり、
ム、署名運動の実施など)展開し、移転そのも
その具体策について提言を行いました。
のの結果は得られておりませんが、まちづくり
さらに、もっとも大切なことが、まちづくりの
に関する市民意識の高揚、市当局から既存計画
計画段階からの情報公開と住民参加のシステム
の事業費の見直し、設計に関する積極的な情報
づくりで、市民と行政が対話を重ね、フィード
公開の回答を引き出す等の成果を見ております。
バックを繰り返し、計画を練り上げていく住民参
これに先だち平成16年3月に、当同友会設立
加による「まちづくり」を提言しておりました。
50周年を契機にこれからの「まちづくり」はど
平成10年10月に福島市で開催された経済同友
うあるべきか(特に提言をいかにして施策化す
会東北ブロック会議のテーマとして「地方都市
るか)を調査研究し具体的提言を行うことを目
の都心部活性化に向けて」と題してパネルディ
的として委員会を立ち上げました。
スカッションを開催し、各県の地方都市が抱え
る中心市街地の空洞化の問題について討議を行
今般、当該委員会の報告書を基に提言書をま
とめ発表することといたしました。
い、ブロック会議の共同アピールとして「地方
今後も、中心市街地活性化に積極的に取り組
都市ルネッサンス−地域社会の再生をめざし
み、また経済人É民間人の立場から積極的に発
て」を宣言しております。
言し地域経済の発展に積極的に取組んでいきた
平成16年8月には、経済3団体(福島経済同
10
■
福島の進路 2006.2
いと考えております。
トピックス
Ïõïñ‘
©ªBÅnéÓ­µÜ̱ê©ç
\uÁ­vsS”Ķð\
1.はじめに
とともに、郊外への大規模店舗の進出により市中
心部の商店街の空洞化がみられ、また、利便性と
21世紀を迎え、少子高齢化や国際化および情報
居住性の高くなった郊外団地への人口移動により
化など急速に時代が変化する中で、多くの地方都
都心部の人口は年々減少し、スプロール化が顕著
市は、都市中心部の空洞化、災害に対する脆弱な
になっています。
都市構造、都市景観の混乱等の「20世紀の負の遺
産」を抱えたままとなっています。
今後2006年をピークに日本の総人口は減少して
いくことが予想され、これまでの人口増加を前提
地方都市のひとつであり、福島県の県都でもあ
る福島市も、全国各地で直面している都心部衰退
の例にもれず古くて新しい難解な都市問題をかか
えたまま長い年月を経過させてきました。
とした都市政策は、抜本的な見直しが求められ、
福島市の都心部は昭和30年以降、居住者人口が
長期的には市街地の「コンパクト化」を視野に入
継続的に減少しております。当初は、福島大学や
れた施策が必要になってくるものと思われます。
福島医科大学等の公共施設の郊外移転をはじめと
また活力の源泉である都市の魅力や商業の活性
して、都心部の生活者や商業居住者自身も狭隘な
化を将来に引き継ぐことができるような、住民総
居住環境から快適な生活空間を求めて郊外に住居
参加による個性ある“まちづくり”に取り組んで
を求め、また、都心部の活力源である若い世代も
いかなければなりません。
郊外へ流出する等のマイナス現象が重なり、都心
このような現状に鑑み福島経済同友会では創立
部空洞化に拍車をかけてしまいました。それによ
50周年を契機に「ふくしま都心部再生まちづくり
り、都心部の公共施設や一部の小中学校が遊休化
委員会」を組織し、「これからのまちづくり」は
し、行政側もその対策に苦慮する社会問題の一つ
どうあるべきかを調査研究し、『自分達で創るふ
として大きく取り上げられました。
くしまのこれから―「特く」都心部再生を―』を
また、幅広い年齢各層の居住者に支えられてき
テーマとして具体的な提言を行うことを目的とし
た商店街も、都心部の空洞化により従来のような
発足しました。
商業の維持は困難となって、“まちの賑わい”は
(*「特区」ではなく「特く」としたのは、法的
なもので縛られない自由な考え、発想で議論をし
ていこうということで「特く」といたしました。
)
退潮の一途をたどったのであります。
最近では、民間資本によるマンションの建設な
どが順調に推移し、県や市で実施している「マン
ション型É借上げ公営住宅」などの都心部への居
2.福島市都心部の衰退の経緯
地方都市の多くは、モータリゼーションの進行
住促進が図られ、都心部の急激な人口減少傾向に
歯止めがかかったといわれておりますが、空洞化
を埋めるにはいたっておりません。
福島の進路 2006.2
■
11
トピックス
都市計画区域
3.まちづくりの現況と問題点
これまでの都市計画は行政の下で土地利用をコ
ントロールして都市施設である道路、橋及び公園
22,874×
市街化区域
5,030×
中心市街地活性化基本計画区域
約270×
TMO構想
約130×
商業区域
などをトップダウン的に建設してきた一面を持っ
ています。どの都市の風景も金太郎飴的な酷似性
いま福島市が進めている中心市街地活性化法に
の高い個性をなくした画一的な都市が多くのとこ
基づく基本計画は、「市街地の整備改善」と「商
ろに出現してしまいました。
業等の活性化」という二つの大きな柱からなる
福島市の都心部活性化のための中心市街地整備
「新しい風ふくしま計画」として実施されており、
は、「福島市24時間都市構想」で基本的に位置づ
平成12年度にはTMO構想(中小小売商業高度化
けられ平成10年度に策定された福島市中心市街地
事業構想)の認定から様々な国の補助メニューを
活性化基本計画(H15年2回目の変更)による区
活用しながら鋭意推進して今日に至っております。
域270×のエリアを各種の事業によって都市構造
しかしながら、市の都心部地域設定と一般市民
の改築や商業の活性化を図っております。
の描いている都心部イメージとに乖離があるので
はないかと思われます。それは、都心部再生とい
う喫緊の都市政策課題に対応して実施していくた
福島市
人
口
290千人
めには区域の広さに問題があったのではないかと
面
積
74,643×
思考されるからです。結果として活性化事業があ
福島経済同友会まちづくり委員会
12
■
福島の進路 2006.2
都心部区域
約75×
トピックス
まりにも点在化し、市民の眼に見えなかったこと
性に訴えるもの等、多くの付加価値をもった対応
が強く指摘されております。
を求めていると思われます。
また基本計画とTMO構想との間にも区域の設
今までの都市政策を反省し、ボトムアップのプ
定を始めとして必ずしも一体的に機能できている
ロセスにより都市生活者の立場からの視線による
とはいいがたいものも生じており、官と民の避け
個性ある「まちづくり」をする必要があります。
がたい体質の違いが融合化を阻んで、促進にブ
つまり地域内に居住する自分達が自ら行動し住
レーキをかけているともいわれております。
これらのことは福島市のみの現象ではなく全国
の各都市の多くに見られ、大なり小なりの
“ずれ”
民(自分達)のニーズを見つけ出し創り上げるボ
トムアップの過程が極めて重要であるということ
に帰するものです。
が生じているといわれております。
ただ小さな“ずれ”にとどまっている都市の共
通の特徴を集約するといずれも、その都市におけ
5.都心部再生の具体的提言
る目標やビジョンを事前に広く明らかにし、市民
との合意形成の過程で都心部再生と活性化を担う
上記、福島市及びまちづくりの現況、問題点を
踏まえて下記の通り提言いたします。
コミュニティの育成に、積極的であったところが
多かったと報告されております。
本委員会は、これらの問題点を踏まえ、またこ
{ÏõïÌܿíèÉηéO
『やすらぎと賑わいが共生する
カルチャーÉガーデンシティふくしま』
れからの都市市街地のコンパクト化の趨勢に沿っ
て、都心中心地区の商業核の部分を主体に、福島
駅に隣接する都心西と都心南の一部をとりこんだ
1
ò
区域エリアの約75×を主核都心部と設定し討議を
行いました。
まちづくりの組織体制に対する提言
従来の行政側が、主体となってきた「都市計画
によるまちづくり」から「住民参加によるまちづ
くり」に行政ルールを大きく転換すべきであると
4.自分達で創るまちづくり
都心部空洞化の問題は、わが国の大部分の都市
提言いたします。
上記提言を実現するために二つの組織を設置す
る。
が直面し解決を求められている課題でありながら、
<まちづくり実行委員会>
その対応策についてはそれぞれの都市が試行錯誤
目
の状況にあり、特効薬はそう簡単には見つからな
委員構成……学識経験者、NPOÉTMOに携わ
的……中心市街地活性化
る職員、各経済団体代表、公募によ
いのが現状です。
る市民代表者等
この問題はそこに居住する生活者それぞれが自
事務局:市役所職員及び経済団体事
ら立ち上り、協働して取り組む以外にはないとい
務局
われております。
まちづくりは今、新たな方向に歩み始めており
ますが、それはただ単に空洞化を埋める現状復元
««««
««««
ではなく、まちにうるおいややすらぎといった感
会の運営……
〇まちづくり実行委員会は、市民からの「まち
づくり」に関する提案等を誰からでも、いつ
福島の進路 2006.2
■
13
トピックス
でも、何についても、常時受け付ける。当該
②
学術研究文化のまち
提案等に対し、提案者と委員との意見交換を
駅周辺に市役所、博物館、歴史館、科学館、図
密にしながら「まちづくり」についての具体
書館、美術館、菜園館、アグリ大学
(花木、果樹)
策を関係者との協議の下に練り上げ、その協
等 PFI 等を活用してシンボリックな拠点作りを
議結果を公開する。
行う。
〇委員会は、当該協議内容及び結果に基づいて
市長に対し提言を行うものとする。
③
美しいまち、やすらぎのあるまち
都市景観を主体とした地区計画を定めて、個性
〇委員会は、提言した事項についての結果報告
をもたせたまちづくりを図る。景観条例を定めて
を市当局に対し請求できるものとし、結果を
建築物、屋外広告等の規制を行い、色彩等統一感
フォローする。
のある街並みの形成を図る。
〇委員会は、提言事項の結果についてホーム
ページ等で公開し、広く市民に結果について
告知するものとする。
<まちづくり対策本部の設置>
市役所内に第2助役、または部長相当職以上の
遊休地や屋上の緑化を積極的に進める。(都市
計画税の軽減を検討)
地区内にポケットパーク(小さな空き地として
トイレÉ休息ベンチ)を設置する。
④
賑わいの界隈づくり
者をトップとする「まちづくり対策本部」を設置
信夫通り(R13森合∼平和通りまで)を減速
し、まちづくりに関する諸問題への対応、特に提
(20㎞/h 程度に規制、ボンエルフ等)させ、2車
言に対する速やかで綿密な審査の促進を図る。
線(片側1車線)としてモール化を図る。両側サ
市当局は、審査過程を公開し、特に不採択となっ
イドの歩道部を駐車スペースに利用し、また中央
た場合、その理由について公開するものとする。
帯及び中央部2車線に遊歩道的な並木道をつくり
回遊性の高い界隈づくりを目指す。
上記二つの組織については、互いに連携し、ま
た提言等の情報を共有し中心市街地活性化に取り
組むものとする。
以上の仕組みづくりについて、
条例化することが望ましいと考
えております。
2
ò
まちづくりの具体的提言
①
山と川のあるまち
信夫山や阿武隈川等の拠点性
の高いスポットからロードグ
リーンベルト(ワンウェイ化し
て遊歩道を設置し植樹を行う)
ネットワークにより都心部への
導入を図る。
14
■
福島の進路 2006.2
⑤
鉄道による街並み分断対策
駅の東西を有機的に連結する地下街(歩É車道)
の構想も明示し地区の一体化を図る。
トピックス
中心部市街地では多数の住民が
生活をしていて、利害関係や価
値観が様々であり、このため住
民と行政が話合をしながら意見
をとり上げていく「住民参加型
まちづくり」が生まれました。
その後このまちづくりは92年に
都市計画法の改正により市町村
単位で都市計画のマスタープラ
ンに位置づけられ義務的なもの
として行政ペースにより行われ
地下街のイメージ図
⑥
中心市街地遊休地の活用
てきました。
97年にはNPO法が成立してこれまでの公益的
地区内の遊休地及び緑地等を活用して買物客の
な活動は全て行政が行うものという考え方から住
昼間の時間帯を無料駐車場とする。(遊休地の緑
民、企業、行政が分担して行う考え方に法的にも
化や緑地の無償利用提供等により固定資産税や都
認められ理論的には都市計画の大転換が行われま
市計画税の軽減を検討)
した。
⑦
安全É安心Éサスティナブル居住のまちづく
しかしながら地方においてはこの法律の精神が
り(中心市街地の医療É福祉拠点づくり)
十分に理解されず機能が果たされていないことか
中心市街地の空き店舗に地域密着型の横断的医
ら住民に参加してもらうための「仕組づくり」が
療É福祉の拠点を作り、子供から高齢者まで対応
できるデイサービスÉ短期入所施設É痴呆性高齢
極めて重要なものとなってきております。
地区住民自らの発意によって、自らが活動する
者グループホームを開設する。
まちづくりを導くことが本提言の主旨とするとこ
⑧
ろであります。
自転車活用による都心居住
盆地の底である福島市中心街の地形は他の都市
に比べ極端に平坦な地形であり、自転車の有効性
は特に大きいものです。したがって、街路整備の
中で市街地回遊の自転車専用レーンを作り利便性
を高め子供É老人にも安全で安心な中心市街地の
都心居住を可能とする。
委員名
役
職
委 員 長
副委員長
委
員
氏
江
名
花
企業É団体名/役職
亮
›福島県建設産業団体連
合会 元副会長
大
村 公 二
(故人)
大和自動車交通㈱
元代表取締役社長
林
由美子
タカラ印刷㈱
常務取締役
〃
博
多
義
雄
朝日システム㈱
代表取締役社長
〃
小
澤
徳
雄
小澤工業㈱
代表取締役社長
都市の拡大傾向がある程度収束し中心部市街地
〃
篠
木
雄
司
㈱アレックス
代表取締役専務
の改善に注目されはじめた80年代後半から住民が
〃
菅
野
日出喜
6.おわりに
菅野建設㈱
代表取締役
まちづくりに関わり始めたと言われております。
福島の進路 2006.2
■
15
寄
稿
地域経済における観光の役割
−飯坂、土湯、高湯温泉の
経済的波及効果について−
■
下平尾
勲(しもひらお
いさお)
福島学院大学教授
ふくしまふれあいカレッジ学長
Ⅰ.はじめに
ス代を支払ってくれるから、地域の経済からみる
と、地元で生産された農産物や工業製品を地域外
飯坂、土湯、高湯の三温泉地は、長い歴史と伝
に販売して貨幣収入を手に入れるのと同じ役割を
統をもち、昭和恐慌、世界大戦、戦後の荒廃、オ
果たしている。売上収入や地域への波及効果の大
イルショック、バブル経済の崩壊等において、幾
きさを考えると、三温泉地は地域の有力な産業で
多の困難を乗り越えてきた。それぞれの旅館やホ
もある。旅館やホテルや土産品店の観光収入(売
テルは、経営を維持し、繁栄を築きあげてきたが、
上高)が増加すれば、原材料等の仕入れや賃金支
その基盤となったのは、めぐまれた源泉、自然環
払いなどに充当され、貨幣収入は地域内を循環し、
境及びたゆまぬ努力と創造性の発揮によるもので
地域経済を潤すからである(注1)
。
ある。
今日、政府は交流人口の多いヨーロッパの状況
三温泉地は、源泉の効能が良く、湯治É慰安の
をみて国際観光政策重視を打ち出しているが、交
場として市民に広く親しまれてきた。さらに三温
流人口増加によってわが国の良さを発見し、諸外
泉地は、交通の便にめぐまれ、自然環境も豊富で
国へPRしていこうというのである。市内の三温
あるので、会議、研修、打合せ等にも使われ、交
泉地においてもイメージ戦略を重視し、優れてい
流の場所、文化施設でもあり、市民に愛され、市
ることを精力的にPRしていけばもっと成長でき
民の誇れる温泉地であった。同時に、県外から多
る条件を持っている。しかし現実には、地元では
くの客が訪れ、宿泊後県内の施設を利用し、地域
観光入込客数を少しでも増やすために、価格引下
の自然、歴史、文化にふれ、名所旧蹟を訪れ、さ
げ競争を行っている。逆発想に立って、地元の優
らに裏磐梯や会津地域への広域観光地域連携の拠
れている面を積極的に打ち出し、よりすばらしい
点となっている。
サービスを提供して社会的に妥当な利潤が得られ
観光客が増えてくると、顧客の支出額も増加し、
地域に対して経済的効果も大きい。顧客(消費者)
が、わざわざ交通費等を支払って三温泉地に宿泊
し、他の場所を訪れ地元産品の購入代金やサービ
16
■
福島の進路 2006.2
注1.三温泉地の経済的波及効果部分については、特定
非営利活動法人「超学際的研究機構」の平成17年度自
主研究『循環型地域経済の再構築に関する調査研究』
の分担執筆「観光業に着目した循環型地域経済」に加
筆訂正したものである。
福
寄
稿
る価格帯(プラスライン)を維持していけば、旅
くらい効果があるのかという調査研究は少ないの
館やホテルだけでなく観光地として信用が得られ、
である。三温泉地の経済的効果がどれくらいある
経営も安定するばかりか地域振興にもより貢献で
のか、1997年と今日とではどのように変化してい
きる。そのためには、旅館、ホテルのホスピタリ
るか、観光地の立地の性格とニーズの変化の要因
ティーの改善はいうまでもないが、さらに温泉地
は何かについて述べておきたい。
のまちづくりをはじめ、自然、景観、歴史や文化、
1.三温泉地は福島市の財宝
―2004年売上収入は211億円―
諸施設との連携が必要である。自然環境やまちづ
くりの中で観光地をとりあげ、差別化を図り、
ターゲットを絞り、PRし、温泉地の良さを生か
1
ò
観光が経済的にどのような波及効果をもつか
(図1−Ⅰ)にみられるように、福島市内に3
していけば、リピーターも増え、地場産業の振興、
つの温泉地(飯坂、土湯〔土湯峠を含む〕
、高湯)
交流人口の増加が期待できる。よく考えてみると、
がある。3つの温泉地の2004(平成16)年全体の
県庁から40∼50分で行ける温泉地が3つもある県
宿泊客は134.9万人(県内47.8万人〔35.5%〕
、県
は他にない。新幹線駅や高速道路のインターチェ
外87.0万人〔64.5%〕)であり、日帰り客49万人
ンジに近く、しかも国立公園の中に位置し、スカ
(県内28.9万人〔58.8%〕、県外20.2万人〔41.2%〕)
イラインも整備されているという恵まれた温泉地
である(表1−1)。2004年の3つの温泉地の宿
は全国的に類例が少ない。しかも温泉地の収入額
泊者の売上高は以下の推計により算出すると、201
は非常に大きいのである。しかし、三温泉地の経
億円に達する。これに日帰り客の売上高約10億円
済É文化的効果、さらに地域内循環の重要性につ
(旅館、ホテルの利用者1人当たり2千円)を加
いては多くの人によって指摘されているが、どれ
えれば、市内の温泉地の年間売上高は約211億円
図1−Ⅰ
飯坂É土湯É高湯温泉波及効果(2004年)
(単位:億円)
(宿泊客のみ)
図1−Ⅱ
飯坂É土湯É高湯温泉波及効果(1997年)
(単位:億円)
(宿泊客のみ)
基
本
料
金
追
加
料
金
売
店
館 内使
施用
設料
委
託
料
自機
動使
販用
売料
そ
の
他
合
計
基
本
料
金
追
加
料
金
売
店
館 内使
施用
設料
委
託
料
自機
動使
販用
売料
そ
の
他
合
計
154.8
17.1
12.6
3.8
0.5
2.3
4.3
201.4
192.2
22.0
21.9
10.9
17.0
7.3
7.8
279.0
付加価値
79.1
県外
県内
0.1
2.1
原材料・サービス購入
122.3
市内
市内
賃金 57.1
54.9
32.8
利益 6.2
6.2
県内
県外
調理費 36.7
1.9
2.0
14.6
営業費 19.2
1.8
2.8
0.5
1.0
利子 9.4
7.9
5.0
修繕費 5.7
0.7
0.3
0.2
税金 6.4
5.9
8.1
販売費 12.3
1.4
2.8
13.6
一般費 16.9
2.0
1.3
16.0
減価償却 16.2
0.1
0.1
6.7
土産品 9.5
1.8
1.0
5.1
その他 5.8
0.5
0.2
市内滞留 74.9
県内滞留 3.3
付加価値
114.7
(宿泊者地域構成比%)
北海道 0.6
宮 城 15.6
市内消費 101.9
県内
0.1
1.8
福 島 35.4
東 北 10.6
県外流出 0.9
県外
新 潟 2.9
原材料・サービス購入
164.3
市内
市内
賃金 76.8
74.9
46.4
利益 14.0
14.0
中 部 0.8
北 陸 0.4
県外
調理費 53.0
2.6
4.0
33.4
営業費 34.2
0.7
0.1
北海道 1.4
宮 城 10.8
福 島 30.3
1.8
0.3
利子 15.9
13.8
5.6
修繕費 8.0
2.1
0.3
0.8
1.1
税金 8.0
6.1
5.3
販売費 18.5
3.9
9.3
5.3
一般費 13.3
4.0
4.0
東 京*13.5
16.3
減価償却 16.9
0.3
0.3
関 東 20.8
11.1
土産品 15.9
4.0
0.8
中 部 1.6
3.9
その他 4.5
0.3
0.3
北 陸 0.9
東 京 11.4
関 東 21.1
(宿泊者地域構成比%)
県内
市内滞留 108.8
県内滞留
県外流出
3.2
2.7
市内消費 127.3
近 畿 0.5
東 北 9.3
新 潟 1.9
近 畿 2.1
中 国 0.1
県内消費 10.2
県内消費 17.9
中 国 0.7
県外消費 10.2
市内消費+市内滞留 176.8億円(87.8%)
県内消費+県内滞留 13.5億円(6.7%)
県外消費+県外流出 11.1億円(5.6%)
年間宿泊客数 134.9万人
注:三温泉地の実態を表すように、温泉地組合及び代表者が数社の旅館・ホテル(五、六社)
を選び、
それから平均値を算出した。その数字をもとに、筆者がヒヤリング等で補足し、推計したものである。
県外消費 19.1
市内消費+市内滞留 236.1億円(84.6%)
県内消費+県内滞留 21.1億円(7.6%)
県外消費+県外流出 21.8億円(7.8%)
年間宿泊客数 170.5万人
*東京都を除く
四 国 0.1
九 州 0.1
外 国 0
〔出所〕福島商工会議所、福島市三温泉地区活性化協議会『福島市における三温泉地の課題と今
後の振興のあり方について』1998年3月
福島の進路 2006.2
■
17
寄
稿
表1−1
と推定される。福島市の2003年の農業粗生産額
温泉地別É県内、県外構成比較(2004年)
(単位:人、%)
飯 坂
県 実 数
土 湯
土湯峠
高 湯
93,400 179,084
13,155
3,015
288,654
195.7億円の約1.1倍になる(表1−2)。2005年
計
度の福島市の当初予算は754億であるから、その
日 内 割 合
51.0
65.7
54.1
28.2
58.8
帰 県 実 数
89,735
93,586
11,162
7,665
202,148
客 外 割 合
49.0
34.3
45.9
71.8
41.2
183,135 272,670
24,317
10,680
490,802
90,872
43,191
24,590
478,357
30.2
50.5
18.5
35.5
ける。宿泊客の支出状況の内訳から推定した三温
42,394 108,036
870,461
泉地の収入状況は図1−Ⅰの通りであるが、基本
64.5
料金、売店収入、旅館施設使用料、委託料、自動
計
県 実 数 321,704
宿 内 割 合
38.8
泊 県 実 数 508,320 209,711
客 外 割 合
計
61.2
69.8
49.5
830,024 300,583
81.5
27.2%に相当する。
2
ò
推定の方法
客が宿泊する場合と日帰りの場合とでは、支出
金額が大きく異なるので、宿泊客と日帰り客に分
85,585 132,626 1,348,818
販売機使用料、その他でどれぐらい貨幣支出した
かを基礎データーとして宿泊
表1−2
福島市の農業粗生産額の推移
(単位:千万円、%)
豚
鶏
その他 合 計
客に乗じて計算した(表1−
区 分
米
果 実
野 菜
花 卉
養 蚕
乳用牛
肉用牛
1990
449
1,540
370
59
74
76
26
51
107
136
2,888
1991
407
1,432
387
79
64
68
31
51
137
100
2,756
ター及び、その収入のうち福
1992
455
1,379
311
90
39
64
24
39
118
89
2,608
島市内にどれくらいが支出さ
1993
334
1,099
356
102
27
61
23
24
90
101
2,217
1994
476
1,418
379
93
15
56
22
22
83
108
2,672
1995
427
1,261
359
98
9
56
20
20
80
101
2,431
るか等については(表1−4)
、
1996
430
1,366
327
94
4
63
19
19
73
97
2,492
2004年の三温泉地観光協会及
1997
359
1,308
346
106
2
64
18
18
72
90
2,383
1998
342
1,252
326
96
2
63
17
17
70
84
2,269
び代表者から提出された基礎
1999
341
1,297
284
85
1
58
16
16
78
77
2,253
調査データーを参考にしつつ
2000
320
1,193
280
81
1
59
17
17
87
71
2,126
推計を行った(以下同じ)
。
2001
317
1,254
257
85
1
55
15
15
76
72
2,147
2002
307
1,259
257
88
0.8
54
21
21
76
62
2,146
2003
326
1,085
249
88
0.8
42
17
17
58
74
1,957
03/90
72.6
70.5
67.3
149.2
1.1
55.3
65.4
33.3
54.2
54.4
67.8
1 Éò
2 )。その基礎デー
3−ò
れるか、どの地域から来てい
また、日帰客の推定は以下
の通りである。日帰り客は足
湯だけの人、入浴だけの客、
温泉に入って昼食をとって帰
1
表1−3−ò
る人、忘年会、新年会には参
飯坂É土湯É高湯温泉収入状況(2004年)(一企業平均)
飯
湯
土 湯 峠
湯
計(平均)
11,723円
10,500円
9,000円
13,800円
11,480円
1,604
600
600
1,100
1,270
店(土産品)
885
1,100
1,000
840
930
4.館内施設利用料
(クラブÉ喫茶ÉゲームÉソバ)
345
300
5.委託料(コンパニオンÉ芸者É
ショー)等の売上
693
200
6.自販機Éテレビなどの利用料
221
100
7.そ
他
362
200
計
15,833
13,000
1.基本料金
2.追加料理É飲食代
3.売
合
18
の
坂
土
高
280
後または夕食後帰る人など多
種多様である。帰る時に土産
品を買って帰る人もあるので、
100
10,700
480
110
170
550
320
16,450
14,930
するのが妥当であるというの
が温泉協会の代表者の意見で
83万人
30万人
8.6万人
13.3万人 134.9万人
支 出 合 計
131.4億円
39.0億円
9.2億円
21.8億円 201.4億円
■
客、会議のため出席し、昼食
50
宿 泊 客 数
福島の進路 2006.2
加するが、宿泊しないで帰る
日帰り客1人の支出額につい
ては一人平均2,000円で推定
ある。年間50万人の日帰り客
寄
2
表1−3−ò
飯坂É土湯É高湯温泉収入状況(2004年)
(全体)
飯
価値額(賃金、利益、利子、
湯
土 湯 峠
湯
計(平均)
31.5
7.7
18.3
154.8
2.追加料理É飲食代
13.3
1.8
0.5
1.5
17.1
店(土産品)
7.3
3.3
0.9
1.1
12.6
に分かれる。三温泉地に宿泊
4.館内施設利用料
(クラブÉ喫茶ÉゲームÉソバ)
2.9
0.9
3.8
することによって顧客が支払
5.委託料(コンパニオンÉ芸者É
ショー)等の売上
5.8
0.6
6.自販機Éテレビなどの利用料
1.8
0.3
7.そ
3.0
0.6
合
他
計
131.4
39.0
9.2
83万人
30万人
8.6万人
税金など)79.1億円(39.3%)
ったサービス及び商品購入代
0.1
6.5
0.1
2.3
0.7
4.3
必要な原材料や管理費に支出
21.8
201.4
される。とくに大きなウエイ
13.3万人 134.9万人
トを占めるのは調理費、営業
0.1
宿 泊 客 数
表1−4
高
122.3億円(60.7%)と付加
97.3
の
土
(単位:億円)
1.基本料金
3.売
坂
稿
金のうち60%は営業のために
費、一般費、減価償却、販売
地域別来客数比較 −宿泊客はどこから来ているか−(2004年)
費である。飯坂温泉では調理
飯
坂
土
湯
土 湯 峠
高
湯
合
計
万人
%
万人
%
万人
万人
%
万人
%
費、販売 費が相対的に 高く
1)
、土湯温泉で
(表1−5−ò
%
1.福
島
32.1
38.7
9.0
30.0
4.3
50.0
2.4
18.0
47.8
35.4
2.宮
城
12.7
15.3
6.0
20.0
0.8
9.0
1.6
12.0
21.1
15.6
3.2県を除く東北
8.8
10.6
4.5
15.0
0.6
7.0
0.4
3.0
14.3
10.6
営業費、減価償却のウエイト
2 )、高
が高く(表1−5−ò
4.新
潟
2.7
3.2
0.6
2.0
0.1
1.0
0.5
3.8
3.9
2.9
5.東
京
10.4
12.5
2.0
7.0
1.1
13.0
1.9
14.3
15.4
11.4
6.関東(東北を除く) 13.7
16.5
7.4
25.0
1.7
20.0
5.6
42.1
28.4
21.1
湯温泉では調理費、一般費及
び税金の構成比が高い(表1
7.中
部
0.7
0.9
0.1
0.3
0.3
2.2
1.1
0.8
8.北
陸
0.3
0.4
0.1
0.2
0.1
0.8
0.5
0.4
9.近
畿
0.3
0.4
0.1
0.3
0.2
1.5
0.6
0.5
10.中
国
0.7
0.8
0.1
0.1
0.2
1.5
1.0
0.7
11.北海道Éその他
0.6
0.7
0.1
0.1
0.1
0.8
0.8
0.6
計
83.0 100.0
30.0 100.0
8.6 100.0
13.3 100.0 134.9 100.0
3 )。付加価値につい
−5−ò
てみると圧倒的に多いのは賃
金であり総売上高の28%を占
める(表1−6)
。
があるので、その顧客支出金額は10億円と推定し
原材料等の購入(122.3億円)のうち、市内か
た。
らの購入(第1次波及)は、101.9億円(83.3%)
2.三温泉地の売上高の多くは市内の取引
である。付加価値の支払79.1億円のうち、市内滞
業者や人件費として支払われる
留は74.9億円(94.7%)である。総収入201.4億
農産物の売上高から種子代、肥料、農薬、農業
円のうち、第1次の市内消費または市内滞留は
用機器、設備代や人件費が支払われるのと同様に、
176.8億円(87.8%)である(1997年85.0%より
旅館、ホテルの宿泊者の売上高代金から料理材料、
も高く、地元からの代入割合が多くなっている)。
光熱費、畳などの修理費、建物、備品代、人件費
三温泉地は人口29万人の福島市内に立地している
や金利、租税が支払われる。
ので、市内の取引業、従業員、銀行との関連性が
宿泊者の支出の市内波及効果は第1次市内支出
としては市内からの原材料等の仕入れ額は101.9
億円、付加価値額の市内支払額74.9億円、合計
176.8億円(総収入額の87.8%)を占めている。
強く、市内の各関連産業に対する支払い波及効果
は大きい。
食料品や土産品の仕入代金の支出はもとより、
建物の修理、畳やふすまの張替、器具の購入のほ
宿泊者の観光収入201.4億円は、原材料Éサー
とんどは、市内の商工業者から仕入れを行ってい
ビス購入費(調理費、営業費、減価償却など)
る。旅館、ホテルの従業員は市内居住(一部伊達
福島の進路 2006.2
■
19
寄
稿
1
表1−5−ò
飯坂温泉支払額(2004年)
原価構成
(%)
売 上 高
100.0
計
賃
3
表1−5−ò
支 払 先 金 額(億円)
県 外
高湯温泉支払額(2004年)
原価構成
(%)
売 上 高
100.0
支 払 先 金 額(億円)
市 内
県 内
金
28.4
37.4
36.1
1.3
市 内
県 内
金
28.6
6.2
5.7
0.5
調 理 費
18.5
24.2
21.7
1.2
営 業 費
9.5
12.5
8.5
1.3
1.3
調 理 費
20.7
4.6
4.1
0.3
2.7
営 業 費
0.5
0.2
0.2
修 繕 費
3.4
4.4
3.8
0.6
修 繕 費
4.0
0.8
0.8
販 売 費
6.7
8.9
6.9
1.1
0.9
販 売 費
4.8
1.0
1.0
一 般 費
7.3
9.7
8.6
0.8
0.3
一 般 費
17.4
3.7
3.4
減価償却
7.3
9.7
9.7
減価償却
4.8
1.0
1.0
土 産 品
1.0
0.2
0.2
利
益
3.0
0.7
0.7
1.3
賃
0.2
0.3
4.8
6.3
4.4
利
益
3.4
4.4
4.4
利
子
4.6
6.0
4.7
0.8
利
子
5.8
1.3
税
金
2.6
3.3
3.2
0.1
税
金
7.5
1.6
1.6
そ の 他
3.5
4.6
4.4
0.2
そ の 他
1.9
0.5
0.2
0.2
0.1
100.0
131.4
116.4
8.4
6.6
100.0
21.8
20.2
1.3
0.3
合(%)
100.0
88.6
6.4
5.0
合(%)
100.0
92.7
6.0
1.3
計
割
2
表1−5−ò
0.9
県 外
土 産 品
合
1.0
計
0.5
土湯É土湯峠温泉支払額(2004年)
原価構成
(%)
売 上 高
100.0
計
賃
合
計
割
表1−6
支 払 先 金 額(億円)
飯坂É土湯É高湯温泉他支払額合計(2004年)
原価構成
(%)
売 上 高
100.0
計
支 払 先 金 額(億円)
市 内
県 内
県 外
市 内
県 内
金
28.0
13.5
13.1
0.3
0.1
賃
金
28.4
57.1
54.9
2.1
0.1
調 理 費
16.4
7.9
7.0
0.4
0.5
調 理 費
18.2
36.7
32.8
1.9
2.0
営 業 費
13.4
6.5
5.9
0.5
0.1
営 業 費
9.5
19.2
14.6
1.8
2.8
修 繕 費
1.1
0.5
0.4
0.1
修 繕 費
2.8
5.7
5.0
0.7
販 売 費
5.0
2.4
0.2
0.3
1.9
販 売 費
6.1
12.3
8.1
1.4
2.8
一 般 費
7.3
3.5
1.6
0.9
1.0
一 般 費
8.4
16.9
13.6
2.0
1.3
減価償却
11.3
5.5
5.3
0.1
0.1
減価償却
8.0
16.2
16.0
0.1
0.1
土 産 品
6.1
3.0
2.1
0.8
0.1
土 産 品
4.7
9.5
6.7
1.8
1.0
利
益
2.4
1.1
1.1
利
益
3.1
6.2
6.2
利
子
4.4
2.1
1.9
0.2
利
子
4.7
9.4
7.9
1.0
0.5
税
金
3.1
1.5
1.1
0.1
0.3
税
金
3.2
6.4
5.9
0.2
0.3
そ の 他
1.5
0.7
0.5
0.1
0.1
そ の 他
2.9
5.8
5.1
0.5
0.2
100.0
48.2
40.2
3.8
4.2
合
100.0
201.4
176.8
13.5
11.1
合(%)
100.0
83.4
7.9
8.7
合(%)
100.0
87.8
6.7
5.5
合
計
割
割
計
県 外
地域を含む)がほとんどであり、取引銀行は地元
宿泊者の構成比をみると、福島県内35.4%、関
銀行であり、納税も国税は別にして固定資産税、
東(東京を含む)32.5%、東北、新潟29.1%で全
市民所得税、自動車税、入湯税など一次的には地
体の97%を占めている(表1−4)。三温泉地は
元に支払われる。
福島県を中心に関東及び東北地域をエリアとする
3.県外客と観光収入
温泉地である。このことから地元よりも県外から
宿泊者134.9万人のうち県外客(87.0万人)は
多くの人たちが三温泉地を支えていることが分か
約64.5%を占め、日帰り客(49.1万人)において
る。東北及び関東地域に向けていかに販路拡大し
も、県外客(20.2万人)が41.2%を占めている。
ていくかが重要な観光戦略である。
県外客は宿泊及び日帰りを合計すると年間97万人
観光収入は、県内産品を県外へ販売したのと同
を占め、福島市人口29万人の3.3倍を占めており、
様の効果をもっている。県外からの観光客収入額
市内の交流人口の中では最大規模である。
は133.8億円(宿泊客129.8億円、日帰客4億円)
20
■
福島の進路 2006.2
寄
らない。
にのぼるが、農業を例にとれば、10a(1反)当
たり10俵の米を生産し、1俵当たり1万5千円で
稿
5
ò
三温泉地の宿泊者収入額(201.4億円)のう
販売するとすれば、10a当たり15万円、1×当た
ち、従業員の賃金28.3%(57.1億円)、原材料、
り150万円ということになるから133.8億円という
サービス購入60.7%(122.3億円)を支払って
収入は、8,920×の土地(水田)で、89.2万俵の
いること(合計179.4億円)。言い換えると三温
米を生産してそれを県外へ販売したのと同じ額で
泉地の旅館、ホテル経営者は、年間6.2億円の
ある(福島市の耕地面積8,800×のうち水田は
利益をあげるために、135万人の宿泊客を集め、
3,500×である)。
観光収入の中から原材料等に122億円、賃金57
4.全体の要約
億円É税金や利子に15億円支払っている。宿泊
客は旅館、ホテルの宿泊だけでなく、広範囲に
以上のことを要約すると次の通りである。
1
ò
2
ò
温泉地の観光収入(211億円)の方が市内農
行動するから、地元産の土産品、交通、運輸、
業の粗生産額(196億円)よりも多く、三温泉
旅行サービス会社への波及を計算するならば、
地は福島市の重要な地場産業である。
その波及効果はさらに大きいといえよう。この
売上金額のうち、商品Éサービスの購入先は
ように三温泉地は、地域経済への波及効果を考
市内の業者であり、支払われる賃金、利子、税
えると、いかに大きな貢献をしているかについ
も市内であり、地域内支出が(全体の87.8%)
て過少評価されてはならない。
を占め、観光収入は地域内で循環している。ま
3
ò
4
ò
6
ò
観光収入の増加は地域内の雇用、関連産業に
とまった大口の購入となると、二次的波及では
影響し、地域農産物や土産品生産者に対しても
市外流出が多くなるが、日常的な商品は地元か
市場を形成していることを考慮するならば、観
ら仕入れており、三温泉地は市内の巨大な消費
光業は販路拡大においても地域貢献の著しく大
市場である。
きい重要な地場産業である。観光地が顧客に良
観光業は県外客の占める割合が高く、県外か
いサービスを提供するだけでなく、市民もまた
らの観光収入は134億円となり、域際収支黒字
三温泉地の発展のために宿泊はもとより、その
の役割を果たしている。観光売上高は地域発展
良さをPRするなど支援することが大切である
の経済基盤として高く評価できる。
と考えられる。
宿泊客総収入201.4億円のうち企業の利益は、
3.1%(6.2億円)にすぎず、その額は利子支払
4.7%(9.4億円)や税金支払3.2%(6.4億円)
Ⅱ.1997年と2004年の比較
よりも少ない(図1−1)。温泉地の事業者は
1997年に三温泉地の調査が行われた。それは福
地域発展のための奉仕者である。三温泉95軒の
島商工会議所と福島三温泉地区活性化協議会が三
旅館やホテルの経営者は年間135万人の宿泊者
温泉地の旅館、ホテルを対象としてアンケートを
を集め、経営を行っており、年間売上高は宿泊
実施し、ヒアリング等で補足したものである(注
部門だけで201億円という重要な地域産業であ
2)。1997年調査と今回の調査を比較すると、7
る。95軒の旅館、ホテルは、売上高では農業生
年間に次のような大きな変化が生じている。
産物価格を上まわっており、規模も大きいので
1.三温泉地の宿泊客の支出額は280億円から201
あるが、企業利益6億円にすぎない。市民とし
て三温泉地の経営力の努力に感謝しなければな
億円へ28.2%減少している。
その理由は以下の通りである。
福島の進路 2006.2
■
21
寄
稿
1
ò
客数(宿泊者数)が170.5万人から134.9万人
へ21%減少していること。
2
ò
客単価の値引競争が激化し、一人当たりの客
4
ò
土湯温泉は、温泉地としてのまとまりの良さ、
積極的なPR、さらに交通条件がよくなり、東
北地域の宿泊客が増加している。
単価(基本料金、追加料金、売店収入、自販機
販売額等を含む)は、16,300円から14,900円へ
9%程度下落していること。
3
ò
長びく不況により、旅館Éホテルの客数が激
Ⅲ.観光地のニーズ変化の諸要因
1.農業と観光
減し、廃業により旅館Éホテル数は、97年から
観光ほど人々の受けとめ方を変えてきたものは
2004年にかけて三温泉地を合計すれば、118軒
少ない。戦後間もない頃、観光は「ぜいたく」
から95軒へ23軒減少し、収容人員約2,300人減っ
「もったいない」
「うらやましい」という言葉で捉
ていること(逆に言うとこのきびしい不況の中
えられたが、1960年代には、わが国の戦後の観光
で95軒の旅館Éホテルが経営を維持しているこ
形態は顕著な変化を示した。戦後においては高野
とは驚嘆すべきである)
。
山、熊野三山、身延山、伊勢、成田山、日光東照
2.関東圏の誘客能力が低下している。
宮など宗教と結びついたいわゆる社寺参詣、温泉
1
ò
1997年には関東圏の宿泊者は71万人(全体の
療養、自然景観、遊覧、新婚旅行など、信仰、保
41.6%)を占めていたが、2004年には43.8万人
養、遊覧、いわゆる物見遊山型の観光が支配的で
(同32.5%)へ27.2万人減少している。減少率は
あった。いまや信仰と慰安と遊覧とを目的とした
38.3%である。関東からの顧客はドル箱であっ
観光にとってかわって、質的内容のともなった文
たから、顧客が減少すれば、三温泉地にとって
化、スポーツ、教養、教育の側面が強まって、多
その影響は大きい。
様化の傾向を示し、観光地の立地条件も変化した。
2
ò
特に飯坂温泉の場合には、1997年には、関東
これには社会経済的な条件、とりわけ就業構造É
圏から40.1万人(全体の44.5%)を集客してい
都市構造の変化と交通の発達が大きく作用した。
たが、2004年には24.1万人(全体の29.0%)へ
かつて観光旅行の中で温泉が大きな地位を占め
16万人減少している。一日平均440人減ったこ
たのは、農業が支配的な産業であったからである。
とになる。関東圏の客が減少したので、結果と
農作業には農繁期と農閑期とが存在し、農繁期に
して飯坂温泉は県内のウエイトが高くなってい
は肉体的な限界に達する過度労働が強制されたか
る(18.7%から38.7%)。
ら、田植えや収穫が終わると、農民には、慰安、
3
ò
高湯温泉の2004年の宿泊者数のうち関東圏の
保養、療養などが必要であり、その重要な一環と
人数は10%程度増えている。このことが高湯温
して夏祭É秋祭や慰安旅行、湯治が存在したので
泉の宿泊客が旅館Éホテル8軒の合計で1997年
ある。つまり、農耕民族ということが宗教、温泉、
11.6万人から2004年13.3万人へ14.6%増える要
物見遊山という観光の需要を規定し、そうしたな
因となっている。関東圏で高い評価を得ること
かで特産物、土産品生産として地場産業が発達し
が地元における三温泉地の地名度を高める一つ
てきた。慰安É骨休めを目的とした温泉や神社É
の方法でもある。
仏閣É名所めぐりといった戦後の観光需要は、
1960年代に入ると、団体旅行É大型観光バスÉハ
注2.福島商工会議所、福島市三温泉地区活性化協議会
『福島市における三温泉地の課題と今後の振興のあり方
について』1998年3月
22
■
福島の進路 2006.2
イウエー時代を迎えたが、それは、地方から大都
市へ集中してきた新興サラリーマンを中軸とする
寄
稿
観光形態であった。スカイラインが有力な観光資
ら第二次、さらに第三次産業へ労働人口移動が進
源となり、スカイラインの観光と結びついて、飯
んだ。その後大学への進学率の向上によって大都
坂É土湯É高湯É裏磐梯の温泉地が発展した。大
市への人口集中が加速された。それも大都市の第
型観光バスを利用する団体客が旅館Éホテルの大
三次産業の就業を増加させた。その結果として、
型投資を促した。旅館Éホテルの大型化は大型観
都市企業や住民にとって大都市地域内部でのレク
光バス旅行を発展させた。
リエーションのみならず、数日間の宿泊型の観光
そこでは、新興企業の成長を反映し、農山村か
エリアが必要となった。都市住民は、学校及び大
らの若年労働力が集中したので、会社ぐるみ、男
学卒業後農林漁業以外の、自然や土地とはまった
性中心、大型バス利用形態が急増し、「飲んで騒
く切り離された職業につくことによって、人と人
いで歌って踊って」というように「旅の恥はかき
との間のストレスが高まる中で自然やふるさとや
捨て」「どんちゃん騒ぎ」という破廉恥イメージ
温泉への郷愁を強く感じたのである。交通混雑と
が支配した。1980年代には、観光は一時「自然、
騒音、鉄筋コンクリートの職場や住宅、人間を相
歴史回帰」「地場産業」などと結びついて発展し
手とする職業への就業、人間過多など精神的なス
ていたが、リゾート法制定以降87∼92年にはゴル
トレスが蓄積する生活の中で、自然を離れ、故郷
フ場、スキー場開発にみられるような乱開発、自
を離れ、賃金的É物資的関係に支配されているか
然破壊を引き起こした。観光Éリゾート開発とい
らである。突然人は自然と切り離されると、空に
うと大規模自然破壊という悪いイメージが支配す
飛ぶ鳥の歌を聞き、野に咲く花の美を知り、静か
るようになった。
に故郷の温泉につかり、人間性を取り戻したいと
このような観光形態や内容の変化が急速に進む
考えるものである。今でも毎日のように秘境地の
と、サービスの提供者である旅館、ホテル側でも
温泉、湯量の豊富な温泉、豪華な温泉旅館に関す
時代の変化に敏感に対応し、大型化、広いロビー、
るテレビ番組が報道されているのである。
露天風呂、いやし施設などを充実してきた。一定
数キロメートルにわたって建物の集積している
の投資をすれば、一挙に顧客が増え、営業成績が
大都市の住民にとっては、児童の遊び場も青少年
上昇したので、いずれの旅館Éホテルも地域の自
の運動場も、大人のスポーツ施設も少なく、緑地
然環境を生かす、地場産業との連携を図るという
も不足し、情のこもった人間関係も乏しいから、
独自性の追求はないわけではなかったが、大規模
地方の人たちとは異質の観光意識をもつものであ
投資に向かっていった。それぞれの地域の特殊性
る。
を生かすというよりも、どこへ行っても金太郎飴
大都市における驚くべき人口集中の結果として、
型の同じような旅館、ホテルが全国に拡大して
自然や歴史や伝統と結びついた観光地の形成は不
いった。その背景として、戦後の観光の性格変化
可避であった。温泉地のある地元住民ではなく大
を規定したものには、①大都市への人口集中、②
都市住民のための観光の立場から、一定規模の温
就業構造の変化、③交通É情報É通信の発達、④
泉、山岳É高原É湖沼、スキー場、海浜、ゴルフ
長びく不況という共通性がわが国の経済社会を支
場、ハイキング地、別荘地、遊園地、神社É仏閣
配したからであった。
等、数多くのバラエティーに富んだ観光レクリ
2.大都市への人口の集中と観光
エーション地が一定の空間的É時間的秩序をもっ
わが国の高度経済成長期は、多くの若年労働力
て配置されてきたのである。大都市を中心に半径
を農村地域から大都市へ集中させ、第一次産業か
50キロメートル以内には、手軽に出かけることの
福島の進路 2006.2
■
23
寄
稿
できる日帰り型の観光地、たとえば遊園地、海水
顧客をどこから集めるかを考えるとき地域の温泉
浴場、ハイキング地、サイクリングロードなどが
地も、どこに何があるというだけでなく温泉地の
配置された。巨大都市の中心から100∼300キロ
特色、得られるサービス内容について簡潔かつ大
メートルになると、高速バスや新幹線を利用し大
胆に示し、市場も焦点を絞ってPRしていくこと
規模の一度に多くの需要量に対応する宿泊型の観
が重要となった。
光地が発達した。大都市の奥座敷といわれる観光
3.内需拡大とリゾート開発
地があり、この中には、国立É国定公園を後背地
とした温泉観光集落地が多い。
観光地の配置は、もともと鉄道を利用した場合
の所要時間に規定された。観光が国土交通省の管
たとえば首都圏(東京都、神奈川県É千葉É埼
轄下におかれているのも、観光が鉄道の発展と結
玉県)は、面積では全国の面積の3.6%(1万
びついてきたからである。鉄道利用客を増やすた
3800平方キロメートル)にすぎないが、全人口の
めに、旧運輸省が温泉の進行に力を入れたことに
27%(3,300万人)が集中している。その首都圏
由来する。後になって、自然発生的な観光集落地
を中心としてみた場合、東京駅から100∼300キロ
の形成を前提として民間の観光デベロッパーが私
メートルの範囲内に熱海、箱根、伊豆をはじめ、
鉄と結びつき、1987年以降は、対米経常収支黒字
裏磐梯、磐梯熱海、会津、飯坂、土湯、高湯、鬼
削減の重要な方策として、リゾート開発=内需拡
怒川、塩原、那須、伊香保、水上、草津、諏訪、
大政策の一環として高級スキー場、ゴルフ場、宿
浅間、戸倉、山ノ内、妙高、赤倉、越後湯沢など
泊施設などを精力的に開発してきたのである。そ
がある。これらの観光地は首都圏への人口集中、
れは国民の要求というよりも米国の要求、しかも
自動車交通と団体旅行という管理システムの下で
経常収支を減らすという目先の目的により大規模
発達したのである。そのため、温泉集落は旧来の
投資を全体的に推進したのである。観光事情を調
療養É保養型の性格を捨てて、宿泊基地として歓
査研究せず、消費者がどこの誰であるかを検討す
楽型É野外レクリエーション型の温泉観光地へと
ることなく、大都市周辺地の大規模観光地の施設
変化したのである。観光地が湯治型と都市住民型
をはるかに上回る豪華施設を全国的に一挙に拡大
とに分かれ、旅館やホテルも同様の方向を歩んだ。
させてきた。内需拡大という目的での施設建設は、
大都市への人口の集中が近郊の温泉地の立地と性
リゾート開発だけでなく年金、共済、郵便貯金、
格を、さらに観光需要の多様化を規定した。
簡易保険等の資金をもって全国に研修、宿泊所の
また福島県内の主要な温泉地のいずれも、関東
建設を促したのである。それは国民のニーズから
圏の顧客を受け入れることによって大きく成長し
発生したのではなくて、経常収支の黒字は国内投
たのである。青森県、岩手県、秋田県の有力な温
資の不足にあるというIS投資バランス理論に基
泉地が低迷している時に、福島県の有力温泉地が
づく日米貿易摩擦解消のためであった。
活況を維持できたのは、高速交通の発達とともに
このことは、大都市周辺地を除けば地方におけ
関東圏の顧客に支えられたからである。大都市に
る観光開発、保養施設は過剰投資による破綻だけ
おける顧客層が、旧来型から多種類の旅行形態に
でなく既存の歓楽型、観光地を衰退に導いた。観
多様化したことが大歓楽地の観光地衰退と低迷の
光需要の増加は、大都市への人口集中、所得の増
原因である。長びく不況の中でも費用対効果をと
加を背景とした観光需要の高まりの中で、民間観
り込んだ行動形態は近くで、安く、良質のサービ
光資本や私鉄の営利政策として、空白地に観光施
スの得られる旅行へと変化してきたからである。
設を配置してきた。しかし鉄道に依拠した観光開
24
■
福島の進路 2006.2
寄
稿
発には制約があった。観光地の一定の配置を進め、
の増加によって規定された。収入増が期待できず、
鉄道を補完したのは道路交通であった。1970年以
雇用不安が支配すると、観光支出は減少する。こ
降、高速道路をはじめ観光道路の新設が一段と進
うした中から集団の観光形態から家族中心型へ、
み、また一般道路も舗装É拡幅され、さらに全国
遠い場所から近い場所へ、歓楽型から健康、いや
的な道路整備によって観光の立地に大きな変化が
し型へ、歓楽型から学習型へと変化し、観光の機
生じた。自動車交通のもつ高い機動性こそは、観
能と内容も質も高度化し多様化してきた。観光需
光に最も適した交通手段だったからである。大
要が、内容的に変化してきたことが景観、ストー
量É定時É集団的に一定地点へ人を移動させる鉄
リー性、話題性、学習性、総合性という、新しい
道輸送とは異なって、自動車交通は少人数を個別
評価の基準をつくってきたのである。
に任意に移動させることができたからである。山
2
ò
女性の観光客の増加
岳、海岸、温泉、湖沼をはじめスキー場、ゴルフ
一世帯当たりの収入の増大の中で決定的な役割
場、地場産業等の主要な観光施設や観光地は、比
を果たしたのは、女性の職場への進出である。女
較的交通の不便な地域に立地していることから、
性の観光客は1970年1,080万人から82年1,400万人
道路と駐車場さえあればどんな奥地へも人を運ぶ
に増え、2000年、1,600万人を超えているが、と
ことのできる自動車交通に依存しながら乱開発を
りわけ有配偶者は450万人から840万人、さらに、
進めてきた。したがって、リゾート開発、観光開
2000年、1,100万人に増えている。主婦の就業に
発というのは、自然破壊の代名詞のように取り扱
よる収入の増加につれて、1965年以降においては、
われ、観光政策というのは、県の総合計画の中か
女性が関心を示したものは、耐久消費財から教育、
ら姿を消していった。それだけでなく、観光業は
観光、文化、スポーツやレジャー等へと転化した
交流人口を増やし地域資源を堀りおこし、雇用を
のは、自然のなりゆきであった。人々の生活様式、
はじめ関連産業や地域商業への波及効果が大きい
交通手段の変化と同時に、学歴の高い教養ある女
にも関わらず、地域産業政策の重要な柱としての
性が観光にでかけるようになると、観光の内容は
評価さえ過少に取り扱われたのである。
美観、心くばりといった感性だけでなく、教養、
4.収入の増加と女性層の急増
文化的な側面が要求されるようになった。週休二
1
ò
日制の普及、長期休暇、家事労働からの解放、そ
収入の増加とニーズの変化
観光に出かけていくためには、まず、経済的É
れに情報や交通の発達によって観光の質的多様化
時間的に“余裕”というものがなければならない。
や高度化が進んだ。伝統的な観光地や施設が停滞
日常生活の維持を超える一定の収入がなければ、
しているのに対し、新たな企画がヒットしている
旅行には出られないとすれば、観光需要を増加さ
という現象は、行動する女性、サイレントマジョ
せたものは、まずは所得水準の上昇であった。
リティに支えられた。学歴の高い女性が進出する
1970年代以降の一人当たりの賃金水準の向上のみ
ことによって、湯治、慰安旅行とは別に、明るい
ならず、一世帯当たりの収入が増え、その収入の
雰囲気、歴史や伝統産業や、自然景観の再評価が
一部を観光に向けるようになった。このことが家
進んだ。子供の参加によって、観光需要の中に学
族そろっての観光形態が登場する条件であり、観
習、体験、体力養成など教育的要素が加わった。
光需要の量的拡大と質的多様化の背景でもある。
女性の観光ニーズの高まりの中で地場産業産地、
また広域観光、大型レジャー観光を支えたのも、
歴史や文化の豊かな地域が観光地として脚光のス
収入の増加であった。観光意識の高まりは、収入
ポットとして注目をあびてきたのである。中山間
福島の進路 2006.2
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地の温泉地にとっては、地域づくりの柱として観
きず、工業化の糸口もつかめず、放置しておけば
光振興が一つの柱となり得るようになったのは、
若年労働力が流出し、過疎化の波が押し寄せてく
女性の社会進出とマスコミ報道により、最初から
る地域では、高度経済成長にともなう所得の上昇、
遠くて不便であっても、そこへ行くという目的を
高速交通の発達や情報化を活用しながら、地元の
もった観光客を増加させ定着させたからである。
資源や産業を活用する道が選択され、それが一面
観光地におけるソフト事業の充実、すぐれた面を
では観光と深く結びついて登場してきた。この動
中心とするPR、情報の提供、柔軟な対応が重要
きは1970年代からはじまったが、地域政策の中で
性を増してきたのも観光の主導権を女性がにぎっ
は、それほど大きな勢力をもたなかった。
たからである。
5.地域振興と観光
国民の生活水準の向上、交通体系の整備、自動
車交通の発達、余暇時間の増加によって人々の生
今日過疎化、空洞化が中山間地から地方中小都
市、中心市街地にまで円弧を描きながら拡大して
くると、空洞化対策として交流人口の増加をいか
に図るかが重要な課題となった。
活の中でちょっと出かけて温泉につかったり、行
通常過疎化、空洞化は次の4つの段階を経過し
楽地を訪れて、日常生活の緊張をほぐしたり、新
ながら進行するからである。まず、①人口の空洞
たな刺激によって肉体的É精神的な憩いの目的を
化(減少)からはじまる。その理由は働く場所に
達成したりするのと同時に、職場、地域、家族ぐ
対して人口が過剰だからである。②人口が減少す
るみで日常生活とは異なった自然、文化、歴史、
れば、土地や建物が空洞化(未利用化)する。③
精神的なものや工芸などにふれるといった、多様
地域社会(コミュニティー)の維持と再生産が難
な欲求の充足が広範囲な国民層によって行われる
しくなり、そして④意識、意欲の空洞化
(無力感)
ようになった。ドライブに出かけるということも
へと発展していく。この4つの状況を総合して過
含め、人々の日常生活の中に“観光”という要素
疎化、空洞化という。
が入り込んできた。その結果、生産された富の分
そこで過疎化、空洞化対策には、それの進行と
配として観光業が一定のウエイトを占めてきたの
は逆に、①人々の意識意欲の向上(研修、交流、
である。
実践)を図り、②地域の住民相互の交流による新
このようにして観光事業も一部の旅館やホテル、
しいコミュニティを形成し、③歴史、自然、人材、
土産品店の営みだけでなく、波及効果の大きい重
技術や資金の活用や導入を図って土地、建物の有
要な産業に成長したのである。ゴミ、汚濁、車公
効利用を促す。④その結果人口が増える。
害、自然破壊などマイナス面もあるが、地域交通、
地域の活性化は目標であるよりも努力の結果現
宿泊施設、諸施設や用役等の利用収入、土産品や
象である。定住人口が増えないならば、交流人口
食事等の販売収入の面で大きな効果がある。観光
を増加させ、交流機会を増やし、他から訪れてく
地で消費者がホテルや旅館へ支払う金銭は、地域
る人たちの新しい視点、積極性、意欲を活用すれ
の農家や商業、製造業へ短期間のうちに支払われ
ば、地域に夢、目標と新たな活力が生まれると考
る。観光需要の増加は地域産業全体に波及し、そ
えられるのである。地域振興の柱として交流人口
の効果は広範囲、多様な業種に及ぶ。
を重視し、観光に力を入れる町や村はバブル経済
そこで地域振興という視点から、高度経済成長
崩壊後著しく増加しており、世論もそれを支持し
からとり残された地域の産業、文化、組織、地域
1 地域の人
ている。その場合注目されることは、ò
づくりの変革運動が登場してきた。企業誘致もで
2地
たちが結集し、自主性、自立性を促すこと、ò
26
■
福島の進路 2006.2
寄
稿
3 地域資源の有効利用
域の人材育成を図ること、ò
う商品は、通常の商品のように財貨やモノでは
4 観光事業の結果を地域の再生産と
を図ること、ò
なく(土産品とは別にして)、用役Éサービス
循環に向けることである。このような目的をもっ
である。観光という商品は生産と消費が同時に
た観光事業が地域活力増進の手段として一定の意
行われる。消費と同時に生産もできるものであ
義をもつのである。
る。祭りやイベントや観光資源は、消費地に移
1
ò
地域の自立性、創造性
動して行うわけにはいかない。消費者自身が移
地元に存在している観光資源を生かし、地域
動して、観光の用役Éサービスを消費するとこ
活性化を図ろうとすれば、既存の資源に何かを
2
ò
3
ò
ろに、観光という商品の特色がある。
付加して特色を出し、逆に複合化連携を図って
観光客が増えるということは、その消費が増
良い面を補完し合って、差別化、区別化を徹底
加し、観光商品の販売市場が拡大することであ
的に図る以外にはない。過当競争の激しい今日、
る。販売市場の拡大によって、観光を目的とし
すぐれている側面を評価し、ある程度選択と集
た商品の生産も増える。生産を増やすためには、
中を図る努力を行い、そこから新しいものを開
まず既存の地場産品や開発された資源を消費者
発し、それに磨きをかけることが必要である。
のニーズに合致させていちだんと高度化し、多
それによって独自性と自立の思想が確立できる。
様化を図ることである。観光ニーズの内容は多
このような差別化による自立化は、地域住民の
様で奥が深いから、料理、宿泊施設、土産品や
考え方を豊かにし、人々の実践能力の向上に役
種々なるサービスに関して、いっそう内容や形
立ち、さらに地域の活気や創造性や強調性を生
態の充実を図っていくならば、新しく展開でき
み出すからである。
る。観光もまた一つの商品であるから、ファッ
観光地の大きな特徴は、若い人が残り、いろ
ションÉ流行の影響を強く受ける。そのために
いろ工夫して事業を行い、地味ではあるが日々
考え方や行動が洗練されなければならない。観
活動していることである。地域活性化の担い手
光の振興のためには、現在利用されている資源
づくり、後継者育成の面では、観光は重要であ
をどのようにいっそう有効に利用するかを研究
る。旅館やホテルの後継者だという事情で若い
していくことであるが、その場合消費者ニーズ
人が地元に帰って活躍していることは、注目さ
は何かを把握することが、まず第一に重要であ
れるべきである。観光地は人材を育てるといわ
る。経費の面、宣伝の面、人的配置の面、これ
れている。自分の企業の事柄すべてに目配りを
までの経験、組織や経営面からみても、既存の
しているからだけでない。まちづくりの中で観
観光資源の活用を研究し、利用していくことが
光は考えねばならず、まちづくり計画や周辺に
最も有利であるが、ニーズと合致すれば、さら
ある施設やさまざまな遊休資源を活用し、産業
にその効果は大きい。観光施設やサービスに根
への波及、都市計画とうまく連携させていこう
本的にメスを入れ、今日の状況における観光の
と考えるからである。
本質について研究し、サービスの向上を絶えず
観光事業の発達は、地域の各種資源の販売市
心掛け、自信をもって宣伝し、推奨する。これ
場の拡大と結びついている。地元には利用され
こそが観光地の発展の基本である。良質のサー
ていない資源が豊富に存在しており、交通体系
ビスを安く提供し、結果として収益をあげるこ
の発達、市場までの距離が不便であっても、地
とを経営方針とすべきであって、その逆ではな
元に観光地があれば、商品化できる。観光とい
い。市場性のないものについては、市場性のあ
福島の進路 2006.2
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27
寄
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るサービスを提供するよう思い切って改める。
業はその意味では、原料から完成品までの生産
より安い良質の観光用役、楽しみや夢があり、
過程、手作りのよさ、種々なる工夫が一目でわ
ためになるサービスを消費者に提供し、他の観
かるので、生産工程を見学することによる教育
光地よりも絶えず一歩すぐれたものとして歓迎
的効果が期待できるし、商品それ自体のありが
されるように努め、その結果として利益をあげ
たさやよさが味わえる。このことから、地場産
るようにするべきであろう。
業ないしは伝統産業の生産過程それ自体が観光
①
資源化している。生産場所の見学だけでなく、
地元資源の活用
自然、資源、地域に雄大な、そして多用な資
自ら生産する機会が与えられ、さらに商品を自
源が豊富にある。地域の魅力に雄大な自然、河
分で選んで安く買えるとなると、ショッピング
川、山岳、渓谷などの自然の資源を楽しむ客を
の楽しみも加わって訪れる人が多い。農村ツー
集めることができるならば、リピーターも増え、
リズムも焼物づくりと結合させて急成長してい
口コミで顧客が増加する。地元の人たちにとっ
るところも増えてきた。他の地域では、お菓子
ては、それほど大きな魅力がなく、逆に生活を
の城をつくってどんどん見学者を取り入れてい
圧迫していると思われる自然環境が、自然とは
るところもある。三温泉地に存在する「こけ
遮断されて日々の生活を送っている都会の人に
し」「まんじゅう」「ゆべし」「蒟蒻 」を生産し
とっては、驚嘆すべきものである。桃や段々畑
ている企業は、生産しているところを見学させ
の花、春の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色など自
て販売するようにすれば、新たに観光資源にで
然をそのまま活用するのが一番良いが、すべて
きるのではないか。
そういうわけにはいかないから、道路や施設な
④
ど自然を活用しやすいように社会資本を充実す
る。
②
こん にゃく
スポーツ施設の活用
観光の形態が物見遊山、神社、仏閣の参拝か
ら次第に、学習体験É体力養成、健康づくりへ
歴史、伝統の活用
と移りつつある。高校の修学旅行についても、
地域には、広域的に考えると名所、旧蹟、施
奈良É京都É鎌倉等の歴史的に知名度の高い地
設、民俗、町並み等々、歴史的文化遺産が豊富
域から、スキー旅行、登山、各種のオリエン
である。神社、仏閣、祭、芸能に関連した豊富
テーリングなど多様化しており、沖縄県の修学
な資源がある。医王寺、松尾芭蕉、有名作家の
旅行のように年間2,200校約40万人(2004年)
宿泊などを含めて地域資源をどのように生かす
を受け入れている地域もある。自然、体力養成、
かという工夫(ソフト)と企画、実践、体制が
精神的なものが受容されており、健康づくりが
できれば、画期的となる。
再評価されているのであるが、同時に日本の歴
③
史、文化、地域づくりも高い評価を受けている
地場産業の活用
地場産業の観光化の動きは全国的な傾向であ
のである。過度の人口集中から発生したもので
るが、その主な理由は教育的効果に基づくもの
ある。緑や静かな河川につつまれて生活してい
である。今日のように、社会的分業が進められ、
るときは、人々はその価値を認めないが、ひと
さらに機械化されると、その製品がどのような
たびそれから遮断されると、これまで日常生活
過程を経て誰が生産したかが不明である。でき
の中で顧みなかったものに、大きな価値を見出
あがった産物においては、結果だけが存在し、
すのである。こうして、自然、歴史的なもの、
その製造の過程はすべて消滅している。地場産
伝統や風土、精神的なものが見直され、また汗
28
■
福島の進路 2006.2
寄
稿
をかく観光が重視されることとなった。
6.まちづくりと観光
観光地は一般的に知名度が高い。今後は交通
網の整備による広域観光化の中で、PRの重要
性が増すであろう。マスコミを通じた大規模な
宣伝だけでなく、着実な口コミ宣伝を行ってい
くことができれば、最も良い。観光施策は地域
づくり運動や産業活動の一環として地域の再生
産と循環に大きな役割を果たしている。しかし、
顧客からすれば、遊びÉ楽しみ、新鮮な驚きの
飯坂温泉
発見、交流というサービスを求め、それに代金
を支払っている。旅館、ホテルもサービスを提
供した結果として収益が得られる。地域が観光
地として脚光を浴びるにいたったのはなぜかに
ついて、十分な検討が必要であろう。
三温泉地には、一年間に137万人という観光
客が宿泊のために訪れている。裏磐梯まで含め
広域的にみれば観光資源が豊富であり、交通条
件についてもめぐまれている。景色のよい場所
は全国にたくさんあるから、景色だけでは観光
土湯温泉
にならず、どうしても施設やまち並み、地域の独
行政機関、自然豊かな景観、地域周辺の農業など
特の雰囲気が整備されねば人は集まらない。施設
多様性に富んでいるので、コンパクト温泉シティー
がよくても、もう一度行ってみようということに
として再生できれば魅力は増すであろう。環境整
はならない。観光地へ行って何が重要かというと、
備、まち並の形成が今始まったが、旅館、ホテル、
サービスとそのまちのもつ独特の雰囲気である。
各商店、さらに住民も心を一つに結集して循環型
雰囲気と施設とサービスの三拍子がそろうことが
のまちづくり、美しい観光地づくりを行う主体性
観光の発展の有力な条件である。ホテルや旅館の
がいっそう重要である。飯坂は、面積が広いから
経営者や従業員、観光土産品店や施設の経営者は、
4つぐらいのブロックに分け、それぞれ特色を出
絶えずその客になった気持ちでサービスを提供す
し、結果的に多様化と相互補完などにより新しい
ることが大切である。観光地として持続的に発展
温泉地形成が必要である。
していくうえで大切なことは、観光サービスとま
今日、消費者の需要に対して観光地の供給過多
ち並の向上及び観光地の知名度を高めていことで
であるから、産官民学を含め地域ぐるみで、総力
ある。
戦をあげて、基盤整備を行い、すぐれた資源、条
件を有効に活用する体制をつくり、人材育成を図
土湯温泉、高湯温泉は国立公園の中の温泉地と
して独自性を発揮しているが、とくに飯坂温泉は
り、相互連携により新しいものを創造し差別化し、
販路拡大に集中することが必要である。
旅館Éホテル、商店、住宅、歴史的建造物、銀行、
福島の進路 2006.2
■
29
トピックス
八十里越
八十里越は只見町と新潟県三条市(旧下田村)
捗にかかっているが、豪雪地帯のため、工期は一
とを結ぶ行程8里(32㎞)の山道で、県内では最
年のうち半分も確保できず、平成20年代後半の完
も長い峠道である。この峠道は境沢峠ともいう。
成を見込んでいる。
けわ
(新編会津風土
「道は極めて峻しく牛馬を通ぜず」
けわ
国の財政が逼迫し、公共事業関係予算が大幅に
記)とあるように、その険しく厳しい道は、1里
削られている現状ではやむを得ない面もあるが、
が10里にも感じられるところから、八十里越の名
時間も相当経過しているだけに、例えば、仮設道
がついたと伝えられている。また、古い坂東里を
路について緊急車輌だけは通行可能とするなど、
そのまま用いて八十里越としたとの説もある。
地元住民のニーズに早めに応える措置の検討が望
明治の世には、冬期間を除き、旅人や商人、
しょいこ
まれている。
背負子、馬方など大勢の人々が往来した。それに
全面開通すれば、只見∼三条間は、1時間前後
伴い、会津からも越後からも双方向にそれぞれの
で結ばれ、関越自動車道É上越新幹線にもアクセ
特産品や生活物資などの交易が盛んに行われた。
スできることになる。そのほか、経済活動の活性
八十里越は、古くには治承4年(1180年)高倉
化と輸送力の向上等による経済的波及効果、新た
もちひとおう
宮以仁王の峠越え伝説もあるなど歴史的に会津と
な広域的地域間の交流、新たな観光周遊ルートの
越後を結ぶ重要な峠道であった。しかし、大正時
形成、さらに災害時の幹線道路の確保等が開通効
代に磐越西線が全線開通してからは、次第に使わ
果として考えられ、地元では一日も早い開通を待
れなくなっていった。
ち望んでいる。
現在、その八十里越
(国道289号)のうち19.6㎞
このような状況から地元只見町では、平成5年
が車両通行不能区間となっており、冬期通行も可
に「希望と歴史の道É八十里越を歩く会」を結成
能な道路の開通に向けて工事が進められている。
し、毎年全コースを踏破して早期開通をアピール
その改良工事区間のうち、新潟県三条市塩野と
している。また、福島É新潟両県の小É中学校で
只見町叶津の約11.8㎞が国土交通省の直轄事業に
も、先人の足跡をたどり、会津と越後の歴史につ
編入され、昭和61年に着工している。着工当時は、
いての体験学習に取り組んでいる。
21世紀初頭には開通する予定であったため、大き
な期待とともに関心が高まった。
さらに只見町では、平成12年より「八十里越
フォーラム」を毎年開催しており、開通による新
工事は、福島県É新潟県両側から進められ、福
たな交流に大きな期待を寄せるとともに開通の早
島県側の県施工区間の工事は既に完了している。
期実現に向けて、住民参加により、真剣に取り組
全面開通は、残る国土交通省の直轄工事区間の進
んでいる。
30
■
福島の進路 2006.2
トピックス
本稿では、国道開通の工事概要とその期待され
一部車両通行不能区間が残っており、国土交通省
る効果を紹介するとともに、「八十里越フォーラ
(長岡国道事務所)
と福島県É新潟県が一体となっ
ム」を中心に只見町民の方々の積極的な取組み状
況についてレポートしたい。
1.工事の概要
É事業名
て工事をすすめている。
2.開通の効果
環境意識の高まりのなか、豊かな自然に配慮し
て工事を進めなければならないのは勿論であるが、
国道289号一次改築
É区間
福島県只見町と新潟県三条市との交流連携の促進、
県境を越えた新しい広域圏の形成および経済É産
(自)新潟県南蒲原郡下田村大字塩野淵字御所
(ただし、同村は、2005.5.1.三条市É
業活動の活性化など次のような効果が期待される。
①
栄町と合併)
広域幹線道路としての信頼性É安全性の確保
(至)福島県南会津郡只見町大字叶津字入叶津
É区間延長
É幅員
11.8㎞
9.0m
国道289号の開通により、日本でも有数の豪雪
地帯における交通が、一年を通じて安心かつ安全
に確保できる。
②
É経緯
経済活動への波及効果
新潟県内との距離É所要時間が大幅に短縮され
昭和61年
事業実施に着手
ることから輸送コストの削減、市場の拡大、輸送
平成元年
工事用道路の工事着手
力の向上、および経済活動の活性化が期待される。
平成9年
本線工事に着手
③
平成10年
8号トンネル完成
平成11年
1号橋É6号橋の橋下部工事完成
新たな広域的な地域間の交流や連携が期待できる。
平成14年
11号トンネル貫通
④
地域間の交流É連携
福島県南会津地方と新潟県下越地方を直結した
多様な観光ルートの創出
一般国道289号は、国
道49号と同様、太平洋と
日本海を一本で結ぶ数少
ない国道として、いわき
市と新潟市を結んで本州
を横断する重要な幹線道
路である。しかし、八十
里越と呼ばれる福島県と
新潟県の県境の区間では
地形が急峻であるうえ、
日本を代表する豪雪地帯
であることから、現在も
※未開通区間は、八十里越と甲子峠の2ヶ所となっている。
福島の進路 2006.2
■
31
トピックス
国道289号沿いの市町村は、美しい自然と独自
調査班」が活動している。福島県側でも只見町で
の歴史É伝統É文化É産業を有している。福島É
は、八十里越の開通まで毎年3月の第2日曜日を
新潟É栃木三県の観光資源が結びつくことで、回
「八十里越フォーラムの日」として、地域住民へ
廊型É滞在型の観光を創出することができる。
の周知と啓蒙を進めており、その中心である只見
⑤
地区センター運営委員会の活動を次に紹介する。
緊急車輌の搬送時間の大幅短縮
只見町には現在、総合病院がなく緊急医療を要
する場合、田島町もしくは会津若松市まで患者を
1
ò
平成15年3月のフォーラムには72名が参加し、
搬送している。八十里越が開通すると三条市の済
国土交通省長岡国道工事事務所、野沢調査課長
生会病院に1時間以内で搬送することが可能とな
による「新しい時代の八十里越整備に向けて」
り、迅速かつ的確な高度医療が受けられる。
と題した講演が行われた。
⑥
平成14年に区間内最長の9号トンネルが着工
災害時の幹線道路の確保
阪神淡路大震災や中越地震を教訓に交通路や情
し、八十里越開通の先が見えてきた現状におい
報網は各地に分散配置する必要がある。したがっ
て、今から開通後の状況を考えていかないと間
て、広域幹線道路となる国道289号は、太平洋側
に合わないということから始まり、工事現場の
と日本海側を貫く道路としての機能を災害時など
状況É事業効果の説明等があった。
只見町と新潟県三条市の所要時間は現在の六
に発揮することが期待できる。
3.「八十里越フォーラム」の開催状況
十里越(国道252号)では2時間7分、冬期間
は磐越道を通って2時間50分のところ、八十里
新潟県側では、早くから八十里越早期開通に取
越開通時には、1時間22分程度に短縮され、只
り組んでいる民間団体「八十里越(R289)促進
見町からの行動範囲も大幅に広がり生活圏が拡
<八十里越フォーラム開催状況>
開 催 日
H12.10
H13.3
H14.3
講 演 者
早乙女
貢氏
所
属
講 演 テ ー マ
作家
基調講演
会津文化と越後文化
平田
五男氏
長岡国道工事事務所長
八十里越を拓く
(工事概要について)
菅家
和人氏
運営委員会
各委員の活動報告
(ワークショップ)
田村
幸夫氏
まちづくり部会
馬場
惇氏
橋立
達夫氏
作新学院大学教授
八十里と町づくり
町民にとっての町村合併を考える
(ワークショップ)
H15.3
H16.3
玉木
誠氏
長岡国道工事事務所長
野沢
清氏
同
渡辺
季一氏
調査課長
八十里越促進調査班会長
新しい時代の八十里越整備に向けて
(工事概要と進捗状況)
八十里越の現在までの状況É推進運
動について
32
■
福島の進路 2006.2
備
考
只見町との共催
同
上
福
トピックス
大するとともに、三条市の高度医療施設へのア
今まで只見にあるものでここにしかないもの
クセス時間も短縮されるとの内容であった。
を見つけ出すべきである。
講演後の参加者との質疑応答は次の通りであ
る。
Q.豪雪の活用方法は?
A.冬の雪を夏場まで貯めておくことで収益に
Q.何年に開通予定か?
冬期通行は可能か?
A.豪雪Éイヌワシの繁殖などで年間4ヵ月∼
なる。
2
ò
平成16年3月のフォーラムには新潟県の民間
団体「八十里越(R289)促進調査班」の渡辺
半年程度しか工事ができない。
はっきり言えないが9号トンネルが開通す
季一会長を講師に、約70名が参加した。渡辺会
る頃には全線が通れるようになるものと思わ
長からは、平成4年に開催された只見町での住
れる。冬期も除雪等により交通できるように
民大会の様子や、通行できない国道があるとい
なる。
う驚きからこの活動が始まったことなど促進調
Q.東アジアへの物流などを考えた時、交通量
査班設立の経過、八十里越の歴史、法に基づく
開通の必要性、運動の状況などについての講演
はどのぐらいになるのか?
A.事業化当時は一日3,000台程度と見ていた。
Q.自然保護を重点に開通してもらいたい。
があった。
特に、促進調査班の活動の中で14万人余りの
A.「八十里越道路環境検討委員会」を設置し、
署名を集めたのは、行政への圧力としてではな
専門の先生に調査、指導をお願いしており考
く、八十里越の関心の高さや真剣に考えている
えられることは最大限対応している。
ことを後世に残すためのものであり、活動には
Q.甲子道路(同じ289号)との交通体系の考
ボランティアと関係団体の協力が不可欠である
こと等の指摘があった。
え方は?
A.白河É西郷と会津下郷をつなぐ甲子道路は、
八十里越と接続することで東西をつなぐ広域
講演後の参加者との質疑応答は下記の通りで
ある。
道路の軸として観光交流É経済
効果を期待している。
Q.どのくらいの経費がかかるの
か?
A.通常トンネルは、1メートル
あたり300万円程度の費用である。
Q.何をすべきか、何ができるの
かを考えるため具体的にどんな
活動をしていったらよいのか?
A.何もしなければ過疎化、地域
衰退は助長される傾向にある。
滞在型観光を推進するために
国道252号も冬期間は一部通行不能となる(JR只見線と鬼ガ面山)
福島の進路 2006.2
■
33
トピックス
Q.三条É下田の方々が八十里越開通に期待し
③
2
ò
ていることは?
悪くなる
(46)
開通に向けて「道の駅」を設置するとすれば、
どの地区がよいですか?
A.行動範囲が広くなる。どこかに行くという
(複数回答)
①
大字只見地区
(244)
Q.受け入れ態勢は?
②
蒲生É八木沢地区
(152)
A.遠い親戚より近くの他人、やがて隣町にな
③
黒谷É長浜地区
(132)
よりも来てもらう期待が大きい。
3
ò
るのだから。
八十里越開通に向けて期待するものは何です
Q.地域活性化É町おこしの対策は?
か?
A.開通により通過道路になる可能性が大きい。
①
新潟での買い物がしやすくなる
②
総合病院へ一時間あまりで到着できる
新潟市や長野に行って買い物をする人が多
(複数回答)
(302)
(293)
い。
③
これから考えなければならない問題である。
新潟が通勤圏となるため就業の幅が広がる
(201)
Q.開通までの期間はどれくらいと考える?
A.八里が八十里に感じ現代工法でも年間3∼
4
ò
八十里越開通で不安に思うことは何ですか?
(複数回答)
4ヵ月しか工事できない難所であるため、あ
①
と8∼10年はかかるだろう。
山菜や山野草の無断採取が横行し山や川が
荒らされる
Q.活動の最大の目的は?
②
A.昭和45年に国道の指定を受けてから30年あ
道路わきや空き地にゴミや汚物が散乱する
(338)
まり経っており、速やかに国道の機能を与え
③
るべき。
購買圏が都市部に移り、地元商店などの売
上が減る
Q.開通後はどうしたいか?
5
ò
A.次の世代が今から考えること。
(551)
(151)
八十里越開通に向けて必要なものは何だと思
Q.自然保護について?
いますか?
A.自然の恵みによって生かされていることを
①
川の駅É道の駅の整備
②
道路の拡幅(只見∼中の平トンネル整備)
自覚することが大切。
(複数回答)
(344)
(327)
4.町政意向アンケート
③
只見町では「八十里越開通に向けて」として町
6
ò
只見の魅力のPR
(310)
八十里越開通に向けての住民運動に参加É協
政意向アンケートを行っている。その結果を各項
力しますか?
目上位3番まで紹介する。
)内=回答数
①
できる範囲で協力したい
八十里越開通後の只見町はどのようになると
②
自分の立場É状況を考えるとなかなか難し
1
ò
(
思いますか?
い
①
わからない
(391)
②
よくなる
(382)
34
■
福島の進路 2006.2
③
(複数回答)
(435)
(178)
町主体での運営É活動を考えたほうがよい
(102)
トピックス
7
ò
八十里越開通に向けてどのような取組みが必
要だと思いますか?
(複数回答)
う時間的距離の短縮により、只見町からは日本海
①
工事進捗状況の公開
(339)
を囲む中国東北地方É韓国É北朝鮮ÉモンゴルÉ
②
開通後の影響調査(交通量ほか) (311)
ロシアそして日本からなる環日本海経済圏(構
③
新潟県側との交流イベント
想)É北東アジア経済圏(構想)にアクセス可能
(195)
という広がりを持つこととなる。
5.まとめ
すなわち、日本海側の新潟空港É新潟東É西港
昨年末のテレビ番組で越後長岡藩の河井継之助
のドラマが放映された。
司馬遼太郎著「峠」の主人公でもある河井継之
助が戊辰戦争で長岡城が落ちた後、親藩、会津に
逃れ再起を図るために藩士や一族郎党É千数百名
の人々とともに越えてきたのが、この「八十里越」
である。その時の無念の気持ちを継之助は「八十
里
が開通すれば、只見から新潟まで2時間以内とい
腰抜け武士の
と太平洋側の小名浜港É日立港をつなぐ幹線道路
の中継基地としての機能、そして、栃木É茨城な
ど北関東の生産製品の物流ルートとしての機能が
今後の可能性として考えられる。
また、前述したように北関東∼福島∼新潟を結
ぶ回廊型観光構想も具体性を帯びてくる。
只見町は、平成の大合併には手を上げることな
越す峠」と詠んだと言われて
く、独自路線で進む道を選択している。それだけ
いる。そして、再起はならず慶応4年(1868年)
に町民はじめ町を挙げて、八十里越開通に寄せる
8月16日只見町の塩沢で没、享年42歳であった。
期待は大きい。三位一体の改革で示されているよ
この歴史的にも意義ある八十里越(国道289号)
うに今後、全国的に地方公共団体は財政面をはじ
め厳しい舵取りを余儀なくされる。
いずれの地公体も例外なく身を切るような自助
努力と、県や市町村といった従来からの枠組みを
超越した経済合理性に則った形での新たな広域連
合を構築してゆく必要があろう。
そうした観点からも、八十里越(国道289号)
の早期開通を願いつつ、新たな時代の新たな地公
体の新たなモデルとして只見町の発展を期待する
とともに、今後の運動とその成果を注視していき
たい。
【本稿の執筆にあたり、只見町É只見地区セン
ター長兼只見公民館長の横山 平様に資料提供
を含めご協力いただきました。深く感謝申し上
げます。
】
浅草岳の山道
(担当:松野)
福島の進路 2006.2
■
35
美を訪ねて
第39回
高橋 由一
36.1×60.9㎝
《栗子山昔時景》油彩キャンバス
明治18年(1881)頃 福島県立美術館蔵
二つの視線
■
酒井
哲朗(さかい
てつを)
福島県立美術館長
福島市
明治11年(1978)に会津を旅行した英国人女性
たという。バードが、異文化として観察した会津
地方は、美しい風景とみじめな生活環境の中で、
イサベラÉバードの見聞記が、昨年赤坂憲雄氏に
醜いしかし勤勉な人々が生活するところであった。
よって本誌で紹介された。バードが難路を馬を乗
そして日本の奥地は、異国の女性がひとりで安全
り継いで越えた奥会津の山坂の風景は、明治16年
に旅行できるシステムをもっていた。
(1983)に福島É栃木の県令を兼ねた三島通庸に
バードの旅は、難渋したようである。会津坂下
よって、新道(会津三方道路)が開発されて変貌
では、馬が何度も滑って転び、日本の政府はイギ
していく。鬼県令といわれた三島は、人や物、そ
リスから軍艦を買ったり、西洋の高価な贅沢品に
して情報の流通が文明開化を進展させ、道路網の
夢中になって国を疲弊させるよりも、立派な道路
整備が、
「富国強兵」「殖産興業」を国是とする明
をつくるべきだ、と記している。バードは、新潟
治国家の基盤となることを確信し、強権的に土木
側から、玉川、小国、宇津峠を越えて米沢に入っ
事業を推し進めた。
たが、地図では副道となっていた米沢−赤湯間で、
画家の高橋由一は、三島の開化思想に共鳴した。
当時山形県令であった三島が造成中の新道に出た。
由一は、西洋画の写実技法が、国家有用の実用技
米沢から山形を通って新庄までの三島の道路を通
術として、また芸術表現としても新しい時代にふ
る数日間は、エデンの園やアルカディア
(桃源郷)
さわしいと考え、幕末以来、洋画の先駆者として
を引き合いに出して、この地域をほめている。
熱心に活動し、後年「洋画の志士」と呼ばれた画
高橋由一は、明治17年の8月から11月にかけて、
家である。由一は、この歴史的な大事業を絵画と
栃木、福島、山形3県の新道の写生旅行を行った
して記録すべきであることを三島に進言し、実行
が、栃木県から山王峠を越えて会津若松に向かう
されることになった。
バードと同じ経路をたどり、同行したのはバード
バードは、案内の伊藤という日本人の若者をし
の案内人と同姓の伊藤十郎平という福島県七等属
たがえただけの女ひとりの身軽な旅であった。そ
の身分をもつ、仙台出身の学者肌の人物だった。
のため、宿泊や食事などを通じて、行く先々で土
しかし、6年の時をへだてて同じ経路を歩いた
地の人々と身近に接することになった。英人女性
バードと由一は、それぞれに異なった視線で、そ
が見た会津地方の人々の生活の模様は、2年後に
の景観を見ていた。バードには異文化に対する好
出版された『日本奥地紀行』(邦訳高梨健吉É平
奇心と冷徹な観察の眼があり、由一には変わりゆ
凡社東洋文庫)の中で紹介され、本国で評判になっ
く日本への希望や絵画に対する野心があった。
36
■
福島の進路 2006.2
美を訪ねて
三県道路改修記念帖
道八景》(1985)を制作した(『福島の進路』247
高橋由一の旅程は、明治17年8月9日に栃木県
号)。第一景三川橋(鶴岡市)、第二景栗子山隧道
塩原で三島県令に謁見し、11日に山王峠を越えて
(山形市)、第三景片桐門(山形県小国町)、第四
田島に入り、会津若松をめざした。8月31に入田
景関山隧道(東根市)、第五景へつり岩(福島県
付村大峠の土木出張所に泊まり、9月2日米沢に
下郷町)
、第六景大峠(喜多方市)
、第七景男鹿川
向かった。山形県は、山形、天童、尾花沢、鶴岡、
(栃木県藤原町)
、第八景三島牧場(栃木県西那須
酒田、秋田県の新庄に足を伸ばし、10月20日関山
野町)。第二景から第七景までは、新道中壮大な
峠を越えて宮城県の作並温泉に泊まり、翌日仙台
景観を備えた名だたる難工事の場所だった。現在
に入った。10月30日再び福島県に来て桑折に宿泊、
それぞれに額装されて西那須野町郷土資料館に所
福島、飯坂、二本松、本宮、郡山、須賀川を経て
蔵されているが、三島家に伝来し、三島牧場が描
11月10日白河に泊まり、栃木県三島村に向かった
かれているところから、由一が三島通庸に献上し
(青木茂『油絵初学』筑摩書房1987)。
この間各所で写生し、おびただしい風景スケッ
たものとみられている。
石版画集をつくるに当たって、写生する場所
チを遺した。これだけ多く東北の風景を描いた画
150図はあらかじめ三島によって決められており、
家は希有である。それらの風景画の主題が、道路
それ以外の写生図は三島の判断を仰ぐことになっ
に限定されていた点でも珍しい。これらの写生画
ていたようであるが、最終的に128図となった。
が、3県ごとに3冊の画帖にまとめられ、手彩色
そこには名所や美人が描かれているわけではなく、
石版画集として明治18年(1885)に玄々堂から刊
険峻な東北の山野を切り開いた道路とトンネルや
行された。栃木県20図、福島県53図、(4図は栃
橋が描かれているだけである。それらは「地質学
木、1図は新潟、4図は当時福島現在新潟)、山
的絵画」あるいは「土木絵画」と呼ばれることも
形県55図(秋田1図、福島1図、宮城1図)、総
ある。
計128図である。現在の行政区分によると福島県
は46図となる。
しかし由一は、「行けども行けども見事なる新
道」を描いた石版画集を「日本未曾有の真景図譜
この画帖は、
『東北三県巡覧図』
『東北地方風景
なるべし」と自負した。明治実証精神の成果とい
図』『栃木É福島É山形三県下新道景色石版画』
うべきこの新風景画には、どの画面をとっても画
『新東北道百二十八景図』
『三島県令道路改修記念
家の清新な感受性が行きわたっている(図1)。
画帖』『三島通庸三県道路改修抄図』など、さま
画中の点景人物とともに、由一自身も新道を歩い
ざまな題名がつけられているが、いずれも
三島や由一が名づけたものではなく、いま
は『三県道路改修記念帖』が統一呼称とし
て使用されている。すべてのスケッチが石
版画にされたのではなく、《山形景観画集》
や《東北石版画下絵》などの下絵集があり、
また同じ下図による石版画の各種異本が存
在する。福島県立図書館に《福島道路風景
帖》と名づけられた福島県53図の石版画集
が所蔵されている。
由一は、これらの写生をもとに、記念す
べき状景8ヵ所を選んで油彩画の画帖《鑿
図1
信夫郡福島町酢川ニ架スル信夫橋ノ図
福島の進路 2006.2
■
37
美を訪ねて
ている。その道は、「画道拡充」と新しい時代に
ネル入口主上御休憩所に掛らる(是は新築なりし
向かっている。
館舎なり)栗子洞門内外の景一枚、栗子山昔時の
景。(大小二枚、一枚は宮内省へ御召上になりけ
栗子山昔時景
り)猿刎山より鳥海山を望むの図。猿刎新道の図。
高橋由一が、はじめて東北地方に来たのは明治
千人沢河童淵の図。千人沢白糸の瀧の図(後略)
」。
14年(1881)である。7月31日に山形に向かい、
維新の功労者大久保利通は、内務卿として三島
三島通庸に委嘱された《大久保甲東像》《上杉鷹
の上司だった。三島は、米沢の名君上杉鷹山とと
山像》(いずれも東京国立博物館蔵)、《栗子山隧
もに由一に描かせた油絵の遺影を式典の会場に掲
道図》(東京国立博物館蔵)《山形市街図》(山形
げた。三島が建設した「万世大路」のシンボルと
県蔵É山形美術館寄託)などの一連の風景画を描
なった栗子山トンネルを描いた油絵は、これまで
いた。《山形市街図》(図2)には、中央の道路の
4点確認されていた。《栗子山隧道図》(図3)、
正面に県庁、左右に警察署
や郡役所、勧業博物館など
の洋風建築が描かれ、三島
県令の開化思想とその業績
が象徴的に一望できる。山
形における三島の土木事業
が完成し、最大の難工事で
あった栗子山隧道の開通を
記念して、10月3日に明治
天皇を迎えて開通式が挙行
された。由一も開通式に列
席し、3日後宮城県令松平
正直に招かれて仙台に赴き、
20日程滞在し、帰京後《宮
図2
山形市街図
城県庁門前図》《松島大堂
図》《松島図》(いずれも宮
城県美術館蔵)を描いた。
明治14年10月25日付の
「東北毎日新聞」に次の記
事が掲載されている。
「高橋画伯
有名なる油
絵師高橋由一氏は山形県の
聘に応して同県下に滞在し
八月上旬より九月下旬まで
に油絵十枚を画る、上杉鷹
山公の肖像一枚故大久保右
府公の肖像一枚(各々丈五
尺幅三尺許り)右栗子トン
38
■
福島の進路 2006.2
図3
栗子山隧道図
美を訪ねて
図4
栗子山昔時景
《栗子山隧道西洞門É大》(宮内庁蔵)
、《栗子山隧
かと推測されていたが、それが裏付けられた。無
道西洞門É小》(三島家蔵É西那須野町郷土資料
署名だが、稜線にぽっこり突き出した特徴のある
館寄託)、《鑿道八景》(第二景)である。記事中
山頂は、まぎれもなく山形側から見た栗子山の山
にいう「内外の景」のうち内景が東京国立博物館
容である。筆致や彩色はどうみても由一のもので
(図3)のものであり、外景が宮内庁蔵の作品で
ある。明治14年に描かれた大小の作品のうち、小
ある。外景の「大小」の小は、西那須野町郷土博
にあたる西那須野町郷土資料館の《栗子山隧道西
物館で保管する作品に相当する。《鑿道八景》は、
洞門É小》の36.5×61㎝とサイズが同じだという
さきにのべたように、明治18年の制作である。
ことも信憑性を高める。この時集中的に描かれた
現在東京国立博物館で所蔵する由一の作品、
《栗子山隧道図》《酢川にかかる橋》
《最上川風景》
油絵のひとつであろう。
県内にもう1点興味深い由一の作品がある。平
は、三島家から国立国会図書館憲政資料室を経て
成5年に郡山市立美術館が収集した《風景(鳥海
移管されたものである。いずれも約105×151㎝の
山)》(図5)である。署名も年記も入っていない
同じ大きさの作品で「大小の景」の大と合致する。
が、由一とかかわりのあった旧津和野藩主亀井家
このうち《最上川風景》は、
《千人沢河童淵の図》
に所蔵されていたため、由一の作品であることに
であろうと推定されている。《山形市街図》や
は間違いない。亀井茲明宛の作品納入を通知した
《酢川にかかる橋》は、地元の写真家菊池新学が
由一の手紙があり、亀井はまた後に由一に《西周
撮影した写真に基づいており、河童淵も菊池の写
真がある。
「猿刎山より鳥海山を望む図」
「猿刎新
道」「千人沢白糸の瀧」の行方はわからない。
しげ
像》を描かせている。
由一は、明治14年の東北旅行の時、「猿刎山よ
り鳥海山を望む図」を描いたが、
《風景(鳥海山)
》
平成12年に《栗子山昔時景》(図4)が発見さ
が、この作品であるかどうか不明である。むしろ
れ、福島県立美術館に収蔵された。「昔時景」と
違う可能性が高い。この時、由一は実際に鳥海山
いうのであるから、トンネルのない風景ではない
が見える場所に行ってはいないようである。写真
福島の進路 2006.2
■
39
美を訪ねて
に向かって山道を下っ
ていく二人の点景人
物が描かれている。
バードは、明治33
年(1900)初版から
20年後の『日本奥地
紀行』新版の序に、
「農村では、人びと
の生活はほとんど変
わっていない」と書
いた。新道ができて
さらに数10年、昭和
の時代になっても東
北地方の人々の生活
は、ほとんど変わら
なかった。しかし、
図5
第二次大戦後、高度
風景(鳥海山)
成長下の列島改造の
に拠ったことも考えられるが、36.7×45.8㎝とい
なかで、日本の農村は変貌し、120年ほど前に高
う《風景(鳥海山)》のサイズは、新聞記事中の
橋由一が胸を躍らせてたどり、そして描いた新道
一連の小さい作品とサイズが異なる。
は廃道になってしまった。ただ、由一が描いたお
明治17年の東北旅行の時には、鳥海山の眺望を
びただしい風景画が遺った。それらは今なお私た
スケッチしたが、石版画集には収録されなかった。
ちの想像力をかきたてるのである。
この下図(「飽海郡三
崎新道中程ヨリ鳥海
山 ヲ 東 ニ 見 ル 」É 図
6)は、酒田からさ
らに北に上って山形
県の最北端有耶無耶
関の近くから見た鳥
海山の眺めであろう
と想像されている。
この図を反転すると、
《風景(鳥海山)》に
近似するため、鳥海
山であろうと推定さ
れている。油絵では、
前景の崖に薄が茂り、
中景に遠景の鳥海山
40
■
福島の進路 2006.2
図6
飽海郡三崎新道中程ヨリ鳥海山ヲ東ニ見ル
食べ物のちから
第5回
■
魚介類
神田
あづさ(かんだ
福島学院大学短期大学部
今回は魚介類を取り上げます。まず魚ですが、
あづさ)
講師
量に含んでいることも特徴のひとつです。
魚の中には、白身のタイ(鯛)や赤身のマグロ
(鮪)などいろいろあります。この季節、節分に
は豆をまき、イワシ(鰯)の頭を柊に刺し戸口に
あお
飾って邪気を払いますので、そのイワシを含む青
ざかな
魚を紹介します。
また、後半では、貝類の中からビタミンB12 の
宝庫であるアサリとシジミを取り上げます。
2.栄
養
青魚には、ビタミン(A、B1 、B2 、D)、ミ
ネラル、アミノ酸、タウリン、カルシウムなどが
含まれ、特にビタミンと鉄分は、タイ(鯛)、ヒ
ラメ(鮃)、スズキ(鱸)などの白身魚よりも多
量に含まれています。そのうえ、ビタミンDとカ
ルシウムも同時に摂取することから、先に上げた
<青魚>
栄養素の吸収率も良くなるという長所を持ってい
青魚とは、サバ(鯖)
、アジ(鯵)、イワシ、サ
ます。特に青魚の代表的であるイワシは、生のマ
ンマ(秋刀魚)などのように赤身で、背中の青い
イワシ(真鰯)で19.8g(100g中)、カタクチイ
魚を総称したもので、一般的には、安価で大衆的
ワシの煮干しで64.5g(100g中)と魚肉タンパ
な魚として、しかも体によい働きがある食べ物と
ク質の含有量が多いうえに、必須アミノ酸類のバ
いわれています。
ランスがよい良質なタンパク質となっています。
ち あいにく
また、青魚の血合肉には、不飽和脂肪酸を主な成
1.由
来
分とする脂肪が多く含まれていて、そのなかの成
日本は四方を海に囲まれ、海産物を海の幸とよ
分、 DHA(ドコサヘキサエン酸)と EPA(エイ
び、古来より重要な栄養源としてきました。しか
コサペンタエン酸)については次のような効果が
し近年、若者の魚離れが著しく肉食が主流となり
あるといわれています。 DHA という物質には、
つつあります。魚も肉も動物性タンパク質として
記憶É学習能力の向上、視力の改善、高血圧予防、
大別されますが、その脂肪成分には違いがあり、
コレステロールÉ中性脂肪減少などに効果があり、
肉類ではコレステロールが多く含まれる飽和脂肪
マグロ(鮪)やカツオ(鰹)などの目の回りにあ
酸が多く、魚類、特に青魚では、血清コレステ
る脂肪の約30%は DHA ですので、そのまま捨て
ロール低下作用のある不飽和脂肪酸を多く含んで
ずに栄養素として摂取したいものです。
います。また、青魚は、通常、動物性食品からは
ハマチ(›½)や、マイワシに多く含まれている
摂取しにくいといわれるビタミンA、D、Eを多
EPA には、中性脂肪およびコレステロールを減
福島の進路 2006.2
■
41
食べ物のちから
らす効果があり、その効果は、 DHA 以上ともい
干しも含めて、あまり保存は出来ません。早く食
われています。血液中のコレステロールを減少さ
べるように心掛けましょう。丸干しは、密閉容器
せ、血液をサラサラの状態にして動脈硬化や脳血
に入れて冷蔵します。乾燥剤を入れてもよいで
栓の予防をするという効果のためには、1日1g
しょう。
の EPA を摂取することが必要だといわれていま
す。その目安は、ハマチやブリ(鰤)の切り身1
4.調
理
切れ、マイワシ1匹、サバ半身、ニシン(鰊)半
イワシの骨は、手開きで簡単にとれます。最初
身のいずれかを摂取する必要があるということに
に、包丁で頭を落とし、腹を裂き、指で中骨を持
なりますので、小さくて安いマイワシは、その点
ち、もう一方の手の指でしごくようにして開きま
でお勧めかもしれません。
す。
煮魚にするときは、魚全体が浸るくらいの煮汁
3.選択と保存
を用意し、その煮汁が沸騰してから魚を入れます。
1
ò
盛り付けのときに表になる面を上にし、落し蓋を
選
択
魚選びに共通することですが、目が鮮やかで、
肌が光ったものがよいとされます。
また、青魚の旬は、それぞれ次の通りです。
して煮ます。切り身を煮るときは、皮の面を上に
して煮ます。
木製の落し蓋では重さでイワシの身がくずれる
Éイワシ……春といわれていますが、春は産卵が
こともありますので、パラフィン紙かアルミホイ
終わったばかりで、必ずしも美味し
ルに穴をあけたもので代用するとよいでしょう。
いとはいえません。また、脂肪酸は
生臭さを消すためには、必ず生姜を入れましょう。
漁期と漁場によって大きく変化しま
すが、マイワシは秋鰯ともいわれる
ÉCV̗ī¥iQlªj
ぐらいで、8∼10月が旬ですが、特
材料:イワシ(2尾)
、ご飯(160g)、
に美味しい季節は、脂が乗る5∼9
みりんÉ醤油É酒(大さじ2)、
月です。
Éサバ………晩秋から初冬にかけて脂がのってく
るので、旬は10∼3月頃といえます。
砂糖Éサラダ油(大さじ1)
作り方:
①
して骨を取り、たれ(みりん、醤油、
Éサンマ……その名の通り、9月から晩秋
(10月)
酒、砂糖を混ぜ合わせたもの)に20∼
25分漬けておく。
にかけてが旬です。
Éカツオ……「初鰹」は初春の風物詩として珍重
②
く、栄養価も高いようです。
焼く。
③
2
ò
保
存
②に①の残りのたれを加え水分がな
くなるまでフライパンを揺らしながら
Éアジ………春から初夏(5∼7月)にかけて脂
がのってきます。
フライパンにサラダ油をしき、イワ
シの皮目を先に焦げ目が付くまで両面
されていますが、実は、「下り鰹」
と呼ばれる秋のカツオの方が美味し
イワシは、頭、内臓を除き、手開き
照り焼きする。
④
ご飯を盛ったどんぶりに③を乗せて
出来上がり。
イワシの脂肪は不飽和脂肪酸ですので酸化しや
すく、しかも酸化すると悪臭が出て、黄色い脂が
出ます。イワシを含め青魚類は鮮度が重要で、生
42
■
福島の進路 2006.2
次に貝類のなかから馴染みの深いシジミとアサ
リについてお話します。
食べ物のちから
<シジミ、アサリ>
から貝を入れ、シジミのように汁の味をよくする
1.栄
ときには、水のときから貝を入れて加熱します。
養
冬は、シジミの美味しい季節です。成分の特徴
は、カルシウム、ビタミンB2 ,ビタミンB12 が
調理のワンポイント
多く含まれていることです。シジミのメチオニン
Éシジミやアサリなど貝類の嫌いな子ども(アレ
やシスチンという物質が肝機能を亢進することか
ルギーの人を除く)には、みじん切りにして肉
おうだん
ら、昔から「シジミ汁は黄疸によい」といわれて
と混ぜ、大好きなハンバーグにしてみましょう。
きました。シジミは、タンパク質のアミノ酸組成
É普段の味噌汁を、シジミを入れることにより、
がよく、鶏卵と同じぐらい良質のタンパク質をもっ
肝臓をやさしくいたわってくれる「シジミの味
ているということです。
噌汁」に変身させます。1.の栄養でも述べま
アサリの栄養成分もシジミとほぼ同様ですが、
したが、肝機能の低下にはシジミエキス(肝臓
栄養素の含有量がシジミより若干少ないようです。
によい働きをする良質タンパク質を含んでい
しかし、シジミとアサリの持っているビタミン
る。)が効くといわれ、ビタミンB群やミネラ
B12 という成分を含有している食品は、他には多
ル類を多量に含むシジミを味噌汁にするだけで
くありません。このビタミンB12 が不足すると消
も効果は得られますが、大豆タンパク質の豊富
化不良、下痢の症状が起き、中枢神経系にも障害
な油揚げを加えることにより、さらにその効果
が生じるともいわれます。そして、ビタミンB12
はアップします。是非、お試しください。
は体内では合成できないため、食べ物からの摂取
が不可欠です。その意味からも、シジミやアサリ
は、貴重な食品です。
ÉATŠÆPMÌhq|¡X ¦iQlªj
材料:アサリ(むき身50g)
2.保
存
酒(大さじ1/2)
少なめの水に入れておくと、多少は保存できま
ワケギ(1/4束)
すが、貝類は、買った日に食べるのが原則です。
辛子酢味噌「西京味噌Éみりん(大
さじ1)、味噌É酢(大さじ1/2)、
辛子(少々)
」
3.購入のポイント
アサリは4∼5月、10∼11月が美味しい季節で
す。6∼9月は産卵期にあたり、毒性が強くなる
作り方:
①
西京味噌、味噌、みりんをとろみが
出るまで弱火で煮詰め、火からおろし
時期でもあるので、注意も必要です。
酢と辛子を加え混ぜ辛子酢味噌を作っ
4.調
理
貝は生きていることが絶対の条件です。シジミ
ておく。
②
火で炒り、火が通ったらザルに上げて
は真水、アサリは塩水(水1リットルに塩20g)
につけ、口を開かないのは死んでいますので除き
ます。なお、貝類は意外と殻が汚れていますから、
ボウルに入れて塩をふり、殻をこすり合わせて洗
鍋によく洗ったアサリと酒を入れ中
冷ましておく。
③
②と①を混ぜ合わせ、器に盛って出
来上がり。
います。みそ汁を作るとき、アサリのように身に
も「うまみ」を残したいときには、湯が煮立って
福島の進路 2006.2
■
43
企業法務セミナー
民事再生計画の不履行に対する対応
■
質
問
1
渡辺
健寿(わたなべ
渡辺健寿法律事務所
弁護士
–ÐÌæøæ`ÐÍAðN¯–ĶÌ\§ðs¢Ä¶væªF³êܵ½B
ĶvæÉæêÎðNÌABŽAEúªæPñÚÌÙÏúúƳêĢܵ½ªAæ
øæ`ÐÍĶvæÊèÌx¥¢ðsí¸A»ÝÜÅs¥¢ÆÈÁĢܷB¡
ãA–ÐƵÄÍÇÌæ¤ÉΞ·êÎæ¢Ìŵ天B
監督委員の監督
民事再生事件において監督委員が選任されてい
る場合、再生計画認可の決定が確定した後3年間
は、再生手続を終結させないこととされており
(民事再生法188条2項)、監督委員が再生債務者
の再生計画の履行を監督するものとされています
(法186条2項)
。
したがって、再生計画が認可された後3年間は、
監督委員から再生債務者に対して再生計画どおり
に履行するよう監督していくことが予定されてい
ます。
2
再生債権表の記載に基づく強制執行
また、再生計画認可の決定が確定したときは、
各再生債権者は、再生計画において定められた履
行期が到来すれば、再生債権者表の記載により直
ちに強制執行を行うことができます(法180条1
項、3項)。
ですから、再生債務者が再生計画どおりに支払
う資金の余裕があるにも関わらず支払わないよう
な場合には、再生債権者は再生債務者に対し強制
執行を行うことにより直接的に再生債権の回収を
図ることができます。
このように、再生債権者表の記載により直ちに
強制執行を行うことができることは、再生債務者に
対して再生計画の履行を促す効果を持っています。
44
■
けんじゅ)
福島の進路 2006.2
3
再生計画の取消
しかし、再生計画認可の決定が確定した後も再
生債務者の経営が振るわず、再生計画どおりの履
行が資金繰り上困難なこともあり、このような場
合には監督委員の監督や、再生債権表の記載に基
づく強制執行をしても実効は得られず、そのまま
再生手続をいたずらに進行させても再生債務者の
財産を更に減少させるだけであり、再生債権者に
とって不利益な結果となります。
このような場合、再生債権者としては裁判所に
対して再生計画取消の申立をすることを検討すべ
きでしょう。
再生計画の取消とは、再生計画認可の決定が確
定した場合において、再生計画の取消事由がある
ときに、裁判所が再生債権者の申立てにより再生
計画取消の決定を行うことができるというもので
(法189条1項)、再生計画取消の決定が確定する
と、通常は、その後に裁判所が職権で破産宣告を
することになりますから(法250条1項)、再生債
務者の財産減少をとどめることができます。
また、再生計画取消の決定が確定すると、再生
計画によって変更された再生債権は原状に復する
ことになり(法189条7項)、また、再生債権届出
をしなかったために失権した再生債権も復活する
などの効果がありますので、再生債権者から再生
債務者に対して別の債務を負担しているような場
企業法務セミナー
合、それまで再生手続上相殺期間が制限されてい
るために相殺できなかったものが相殺可能となり、
実質的に回収を図ることが可能な場合があります。
なお、再生計画取消の決定がなされた場合でも、
再生計画によって受けた弁済は有効とされますし、
再生計画で新たに設定された物的担保及び人的担
保には影響を及ぼさないこととされています(法
189条7項但書)。
再生計画の取消事由は、再生計画が不正の方法
により成立したこと(法189条1項1号)
、再生債
務者等が再生計画の履行を怠ったこと
(同項2号)、
再生債務者が裁判所の許可または監督委員の同意
を得なければすることができない行為をその許可
または同意を得ないで行ったこと(同項3号)と
されており、再生計画どおりの履行がなされない
ことは再生計画の取消事由となっています。
ただし、この再生計画の不履行という事由に基
づく再生計画取消の申立ができるのは、①再生計
画の定めによって認められた権利の全部のうち未
履行部分の評価額の10分の1以上に当たる権利を
有する再生債務者であり、かつ、②当該再生債権
者の有する権利について履行期限に履行がなされ
ていないものに限定されています(法189条3項)。
ですから、全ての再生債権者が再生計画取消の
申立をできるものではなく、自己の再生債権が全
債権のうちどの程度の割合であるのかを検討した
上で、申立の可否を判断する必要があります。
4
再生手続の廃止
再生計画の取消と類似した制度に、再生手続の
廃止があります。
再生手続の廃止とは、再生手続の廃止事由があ
るときに、裁判所が、再生債務者または監督委員
からの申立により、または職権で廃止の決定をし
て、手続を将来に向かって終了させるというもの
です(法194条)。
再生計画認可後の手続廃止事由は、計画遂行の
見込みがないことが明らかであることです。再生
計画に定めた弁済期に債務の弁済ができず、その
後も速やかに弁済ができる状況にないときは、再
生計画遂行の見込みがないことが明らかであると
いえます。
再生手続の廃止決定がなされた場合も、取消の
場合と同様、通常は、裁判所が職権で破産宣告を
することになり(法250条1項)
、再生債務者の財
産減少をとどめることができるという点で取消の
場合と同一です。
また、再生手続の廃止決定は手続を将来に向
かって終了させるだけなので再生債権が原状に復
することはないという点で取消と異なりますが
(法195条6項)、廃止決定の後、職権で破産宣告
がされた場合には、再生計画によって変更された
再生債権は原状に復するとされており(法190条
1項)
、更に、再生債権は原状に復する場合であっ
ても再生債権者が再生計画によって得た権利に影
響を及ぼさないとされていますので(法190条1
項但書)、実務の運用上は取消とほぼ同一の効果
が期待できます。
再生債権者としては廃止の申立権はありません
が、裁判所及び監督委員に対し廃止を求める上申
書を提出し、監督委員による廃止の申立や、裁判
所の職権による廃止を促すことができます。
5
再生計画の変更
なお、再生計画認可の決定がされた後に、やむ
を得ない事由により再生計画の履行が困難となっ
た場合に、再生手続終了前に限り、再生債務者、
管財人、監督委員または届出債権者の申立により、
裁判所が再生計画の変更をすることがあります
(法187条1項)
。
本来、再生計画は安易に変更を許すべきもので
ないことは当然ですが、認可後再生計画の履行が
困難となった場合に、直ちに再生手続を廃止して
破産手続に移行するよりも、再生計画を変更する
ことにより再生手続を維持する方が経済的に有利
なことがあるので、一定の要件のもとに再生計画
の変更が認められるものです。
再生計画の変更についても再生債権者の議決を
要するので、再生債権者としては、再生計画の変
更に同意するか、再生計画の変更に反対して直ち
に破産手続に移行するよう促すかを判断しなけれ
ばなりません。
6
本件の場合
本件の場合、当社としては、これ以上取引先A
社の営業を継続させることが、単に取引先A社の
財産を更に減少させるだけの結果にならないかど
うかを検討する必要があります。
当社の取引先A社に対する対応としては、再生
債権表に基づいて強制執行手続をとること、当社
の債権割合からみて可能であれば再生計画取消の
申立をすること、裁判所及び監督委員に対して再
生手続廃止の上申を行うことが考えられます。
いずれにしても、取引先A社の財産減少を少し
でも抑制し、公正な解決を求めるため、当社とし
て早急に対応することが肝要です。
福島の進路 2006.2
■
45
税務・財務相談Q&A
!
税務・財務相談
平成18年度税制改正大綱の内容について
■
田中
伸一(たなか
しんいち)
田中伸一税理士事務所
税理士
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
P
R
P 昨年12月15日に、自由民主党は、平成18年度税制改正大綱を発表しました。
R
P
R
P 今回は、この税制改正大綱のポイントについて説明したいと思います。
R
P
R
QQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQ
〔質問2〕
〔質問1〕
定率減税については、どのようになるのでしょ
所得税の税率構造の見直しがあったそうです
うか。
が、どのようになるのでしょうか。
〔回
〔回
答〕
改正案については、平成19年分
以後の所得税について適用されま
す。
(現
定率減税は、所得税については平成18年分をもっ
て廃止とされます。
〔質問3〕
行)
課税所得
答〕
(改正案)
税率
課税所得
同族会社の留保金課税制度についての見直し
税率
330万円以下の金額 10% 195万円以下の金額 5%
があったそうですが、どのようになるのでしょ
うか。
900万円以下の金額 20% 330万円以下の金額 10%
1,800万円以下の金額 30% 695万円以下の金額 20%
〔回
答〕
1,800万円超の金額 37% 900万円以下の金額 23%
留保金課税制度については、中小企業者等につ
1,800万円以下の金額 33%
いては、ある一定の要件を満たす場合にはその適
1,800万円超の金額 40%
用がされないこととなっております(平成18年3
また、個人住民税においても、平成19年度分以
月31日までに開始する各事業年度に限る)。例え
後の住民税は一律10%とされます。
なお、現行における個人住民税は、下記のよう
ば、同族会社のうち各事業年度終了の時における
資本又は出資の金額が1億円以下のもので自己資
本比率が50%以下であるような法人に対しては留
になっています。
課税所得
標準税率
保金課税が見送られております。自分の会社が、
200万円以下の金額
5%
資本又は出資の金額が1億円以下であり、自己資
700万円以下の金額
10%
本比率つまり自己資本を総資産で除した金額が50
700万円超の金額
13%
%以下である法人については、平成15年4月1日
46
■
福島の進路 2006.2
税務・財務相談Q&A
て認められている交際費の損金算入特例
は、2年間延長されることとされました。
また、交際費の範囲については、会議費
等の隣接費用との区分が不明確であるこ
とから問題となるケースがありました。
実務上は、1人あたりおおよそ3千円が
交際費と会議費等の区分の目安とされて
いたようですが、今回の税制改正では交
際費とは別に、1人あたり5千円以下の
飲食費について損金算入が認められるよ
うになります。
この改正についても、今後公表される
法令等により詳細部分の確認が必要と思
われます。
から平成18年3月31日までの間に開始する事業年
〔質問5〕
度分については留保金課税が不適用になる可能性
中小企業者等の少額減価償却資産の特例につ
が大でありますので、確認してみてください。総
いても改正があったそうですが、どのようにな
資産に占める他者(金融機関等)からの借入が50
るのでしょうか。
%を超えているような法人である場合には、留保
金課税の不適用となる可能性が大であると思われ
答〕
現行法上では、中小企業者等で青色申告書を提
ます。
平成18年度税制改正では、
1
ò
〔回
出する法人が、平成15年4月1日から平成18年3
留保金課税の対象となる同族会社であるかど
月31日までの間に取得し、又は製作し若しくは建
うかの判定においては、3株主グループにおい
設し、かつ当該法人の事業の用に供した減価償却
てその判定をしていたのを1株主グループによ
資産の場合は、その取得価額が30万円未満であれ
る判定とすることになります。
ば、その事業の用に供した事業年度において全額
2
ò
留保金課税額を計算する上での留保控除額を
損金算入が認められております。今回の税制改正
次の金額のうち最も多い金額をその控除額とし
においては、この特例の期間を2年間延長としま
ます。
①
所得等×40%(資本の金額が1億円以下の
法人(中小法人という)の場合には、50%)
②
年2,000万円
③
資本金×25%−利益積立金額
④
自己資本比率30%までの額(中小法人のみ)
〔質問4〕
交際費の損金不算入制度について改正があっ
たようですが、どのようなものですか。
〔回
答〕
資本又は出資の金額が1億円以下の企業に限っ
福島の進路 2006.2
■
47
税務・財務相談Q&A
した。しかし、同一事業年度内の少額減価償却資
る当該給与の額の割合が50%以下である場合。
産の合計額に上限を設け、その上限を300万円と
なお、この改正点についても、今後公表され
しました。
〔質問6〕
同族会社の役員報酬の一部が損金とされない
と聞きましたが、どのようなことでしょうか。
〔回
答〕
同族会社役員報酬の一部損金不算入制度が新設
されました。業務を主宰する役員に対して支給す
る法令等により詳細が判明してくると思われま
す。これから個人事業の法人成りを検討してい
る方は、再度検討したほうがよいかもしれませ
ん。
〔質問7〕
役員報酬É賞与の取り決め事項に改正があっ
たと聞いたのですが、どのように変わるのでしょ
うか。
る給与のうち、給与所得控除に相当する部分とし
て計算される金額が、損金として扱われなくなり
〔回
答〕
ます。例えば、年収が1,200万円の社長さんの場
現行では、役員報酬については、定期É定額要
合には、給与所得控除が230万円/年となります
件が求められ、原則として役員賞与については、
ので、この部分が法人の所得計算上費用とならな
損金不算入として取り扱われてきました。
いことになります。
対象となる同族会社の範囲についてですが、業
務を主宰する役員及びその同族関係者等が発行済
改正後では、あらかじめ支給額と支給時期が定
められた役員報酬É役員賞与は原則として損金算
入されることになります。
株式総数の90%以上の数の株式を有し、かつ常務
また、上場企業等の非同族会社などでは、一定
に従事する役員の過半数を占める場合等になって
の要件を満たせば業績連動型役員報酬等について
おります。
も損金算入されることになります。
ただし、次のようなケースでは損金不算入の適
これらの改正については、会社法の改正によっ
用がなされません(損金不算入規定の例外)
。
て役員報酬É賞与報酬等として一本化される等の
①
理由により、税務上もこれらの改正を反映したも
同族会社の所得等の金額(所得の金額と、所
得の金額の計算上損金の額に算入された当該給
与の額の合計額をいう。以下同じ)の直前3年
のと考えられます。
〔質問8〕
以内に開始する事業年度における平均額が年
800万円以下である場合。
②
公示制度について改正があったそうですが、
どのようになるのでしょうか。
同族会社の所得等の金額の直前3年以内に開
始する事業年度における平均額が年800万円超
3,000万円以下であり、かつ当該平均額に占め
〔回
答〕
現行法上では、所得税É法人税É相続税等につ
いては、各税目ごとに定められた申告書
にかかる納税額等の基準を超えた場合に、
その納税者を公示することになっており
ます。
今回の改正では、所得税É法人税É相
続税É贈与税及び地価税の申告書に係る
公示制度を廃止されることになりました。
この公示制度の廃止は、平成18年4月1
日以後に公示する場合に適用されます。
48
■
福島の進路 2006.2
地方経済天気図
全国地方銀行協会
福
(平成18年1月発表分)から
設備投資、輸出の堅調に加え、個人消費にも
持ち直しの動きがみられ、緩やかな回復傾向
●回復…沖縄
É沖縄は、観光が好調、消費関連にも底固さがみられ、回復の動き。
●回復傾向、回復に向けた動き…東北、関東、甲信越、東海、近畿、中国、九州
É関東、東海、近畿、中国は、個人消費がやや持ち直し、設備投資や輸出が好調を持続し、生産活動も
改善しており、回復傾向。
É甲信越、九州は、住宅建築の持ち直しに加え、個人消費にも明るさがみられ、生産も改善傾向にあり、
回復に向けた動き。
É東北は、足踏み感は残るものの、設備投資は増加、生産も持ち直しつつあるなど、緩やかな回復に向
けた動き。
●持ち直しの動き…北海道、北陸、四国
É北陸、四国は、輸出が堅調、設備投資も回復基調にあるほか、生産も上向き、着実に持ち直し。
É北海道は、一部に持ち直しの動きがみられるが、全体としては依然低迷。
各 地 の 景 気
北海道
晴 :明るい
晴一部曇:一部に明るさ
曇 :停滞、持ち直し
曇一部雨:不振
東北
雨 :厳しい
中国
近畿
北陸
甲信越
関東
東海
九州
四国
沖縄
福島の進路 2006.2
■
49
地方経済天気図
東北経済抜粋
の投資計画が着実に実行されている。
●公共工事
11∼12月の公共工事請負額は、
個人消費は、家電品販売がデジタル家電や
前年を上回ったのが、青森と秋田だけであ
暖房器具などで引続き堅調なものの、大型
り、総じて低調。
小売店販売は一進一退、乗用車販売も不振
●輸出
11月の通関輸出額は、宮城と秋田が
が続くなど、低調。住宅建築は、依然低水
前年比で増加。宮城では事務用機器が増加
準ながら、分譲住宅の増加が続き足許では
し、4ヵ月連続で前年を上回る。秋田でも
前年を上回って推移。設備投資は、製造業
中国向け電子部品製造機器などの一般機械
が堅調、非製造業も小売や飲食店で新規出
が増加。
店などの動きがみられるなど、堅調。公共
●生産活動
工事は、低調だが、一部地域では下げ止ま
[食料品Éたばこ] 青森で、原材料確保のため、
り感もみられる。輸出は、一般機械、事務
水産加工関連が生産水準を引き上げ。
用機器、輸送用機器などが好調を持続し、
[電気機械] 宮城で前年を下回る。
引続き堅調。生産活動は、電子部品が増勢
[電子部品Éデバイス] 岩手、福島が好調。青
を持続、一般機械も好調で、持ち直しつつ
森、秋田で回復の動きが続く。
ある。観光は、盛り上がりを欠く。雇用は、
[精密機械] 福島でデジタル一眼レフカメラ用
北東北はやや上向くも依然厳しく、南東北
レンズが好調。
でも改善の動きが緩やか。先行きは、緩や
[化学] 山形で前年を上回る。福島は依然好調。
かながら回復に向かうとみられている。
[一般機械] 秋田と山形で生産水準が前月を下
持ち直しの動き。
回る。
(「曇」)
[情報通信機械] 山形で生産水準が低下。
●個人消費
11月の大型小売店販売額は、冬
[輸送機械] 秋田で生産水準上昇。
物衣料の好調から、秋田、福島を除いて、
[鉄鋼É非鉄金属] 山形、福島で好調。
前年を上回る。11∼12月の乗用車販売は、
●観光等サービス業
全ての県で前年比減少。
●住宅建築
11月の新設住宅着工戸数は、秋
田を除き前年を上回る。主に、分譲の増加
によるもので、持家が増加したのは宮城と
福島。
●設備投資
宮城は10月の建築物着工が2ヵ
業の一部で設備投資計画の下方修正の動き
が見られるものの、小売業を中心に高水準
■
やや低調。秋田では温泉宿泊施設の客入り
が豪雪の影響があり低調、スキー場も交通
事情の悪化から前年並み。
●雇用情勢
北東北はやや上向くも依然厳し
く、南東北でも改善の動きが緩やか。11月
月連続で前年比増加。福島は堅調、非製造
50
青森の観光客入込みは
福島の進路 2006.2
の有効求人倍率は、宮城を除いて前月比上
昇。
●景気の先行き見通し
緩やかながら回復に向かうとみられている。
福
主要経済指標
県 内
主要経済指標
¶YÖA
項目
年月
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
Pは速報、rは訂正、※は年度計
鉱工業生産指数
(季調済)
(総合)注1
12年=
100
93.0
95.0
99.5
98.6
99.1
104.9
102.9
97.7
102.1
99.5
103.7
101.9
106.8
104.8
P 104.7
―
前年比
%
▲ 1.0
2.2
4.7
5.7
1.5
1.1
5.9
0.4
2.9
2.0
4.9
▲ 0.8
7.3
3.0
6.0
―
製 造 工 業
生 産 指 数
機
12年=
前年比
12年=
100
%
100
▲ 0.9
93.0
92.1
95.0
2.1
95.4
99.5
4.7
104.3
98.5
5.5
102.7
99.1
1.5
101.8
105.0
1.0
112.6
102.8
5.8
112.5
97.7
0.4
106.2
102.1
2.9
109.8
99.5
1.8
106.8
103.8
5.0
108.9
▲ 0.7
101.9
111.1
106.8
7.2
118.4
104.7
3.0
116.2
P 104.8
6.1 P 116.9
―
―
―
県
企
画
調
主
要
化
12年=
100
94.6
98.4
98.0
91.2
103.0
101.9
99.6
96.6
95.6
92.9
105.7
90.0
87.4
87.8
P 87.7
―
部
械
前年比
%
1.1
3.6
9.3
5.4
0.5
2.9
9.0
3.5
5.1
3.0
6.3
6.1
11.2
7.0
14.6
―
整
業
学
前年比
%
▲ 2.7
4.0
▲ 0.4
▲ 0.1
2.6
▲ 4.5
▲ 2.4
▲ 1.3
2.4
▲ 4.6
3.9
▲ 13.1
▲ 9.8
▲ 4.0
▲ 5.4
―
情
種
別
繊
維
食料品Éたばこ
12年=
前年比
12年=
前年比
100
%
100
%
▲ 2.4
▲ 1.5
86.2
100.3
▲ 4.6
▲ 3.1
82.3
97.2
▲ 5.2
▲ 2.1
78.0
95.2
▲ 6.2
74.8
97.9
8.4
▲ 8.6
73.7
98.8
1.5
▲ 6.7
77.7
100.3
1.3
▲ 11.4
71.7
99.7
17.3
▲ 7.6
▲ 2.5
69.8
89.3
▲ 11.5
70.8
101.8
0.9
▲ 11.9
67.9
93.4
5.4
▲ 13.2
68.2
100.1
6.7
▲ 13.5
▲ 9.8
70.0
92.8
▲ 8.0
72.1
97.5
5.3
▲ 8.6
70.0
94.4
1.6
P 65.3
P 88.9
▲ 14.7
▲ 7.1
―
―
―
―
報
統
計
領
域
鉱工業出荷指数
(季調済)注1
12年=
100
94.3
99.1
104.5
104.3
104.9
108.6
107.8
104.2
111.1
105.8
107.4
110.6
114.0
112.6
P 111.5
―
前年比
%
0.3
5.1
5.4
7.3
2.0
▲ 0.3
6.6
1.2
3.5
3.7
4.7
3.1
10.2
5.6
8.3
―
注1.鉱工業生産É出荷É在庫指数の前年比は原指数の増減率。暦年の年平均値は原指数。
月別欄の前年比は前年同月比(以下同様)
¶YEšÝÖA
項目
年月
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
鉱工業在庫指数
(季調済)注1
12年=
100
117.6
124.4
126.9
124.2
122.8
134.1
136.5
128.7
120.9
117.1
129.6
131.2
129.9
134.0
P 128.4
―
使
用
総
電
量
力
量
清酒課税
移 出 量
うち大口電力使用量
前年比
前年比
前年比
103 È/h
103 È/h
%
%
%
0.3 ※13,800,034
3.2 ※5,230,342
5.1
5.8 ※13,924,496
0.9 ※5,423,509
3.7
2.0 ※14,483,706
4.0 ※5,661,429
4.4
2.7
1,138,012
3.3
464,018
2.9
▲ 2.7
1,169,748
0.5
459,380
1.2
5.7
1,335,799
1.8
460,436
2.0
7.7
1,279,570
2.7
452,036
1.3
2.2
1,314,805
4.4
489,695
2.4
▲ 3.9
1,241,811
1.3
481,603
0.1
▲ 10.4
1,116,375
2.1
446,258
0.2
▲ 1.9
1,141,190
2.0
492,645
2.1
▲ 0.4
▲ 2.9
1,193,162 505,200
0.6
1,263,589
2.9
479,528
3.8
1.9
7.8
1,245,471
4.4
500,745
4.4
3.6
1,180,081
1.9
503,346
4.3
―
1,180,828
3.8
497,034
7.1
県企画調整部
情報統計領域
前年比
%
▲ 5.3
▲ 3.5
▲ 11.6
▲ 9.9
▲ 12.4
▲ 9.4
▲ 6.3
▲ 9.4
▲ 2.9
▲ 3.8
▲ 4.7
▲ 1.5
0.3
▲ 15.4
3.1
▲ 0.2
kl
25,822
24,913
22,018
2,149
3,643
1,123
1,579
1,850
1,882
1,415
1,525
1,527
1,241
1,474
1,773
2,144
福島県酒造
組合連合会
東 北 電 力 福 島 支 店
公共工事前払金保証実績
公共工事着工
総 工 事 費
百万円
※ 289,409
※ 302,234
※ 170,123
6,218
14,926
5,601
6,542
25,078
4,615
5,439
21,781
22,397
26,309
17,995
26,089
―
発 生 件 数
前年比
%
▲ 20.4
4.4
▲ 43.7
▲ 76.0
▲ 11.1
▲ 41.4
▲ 42.1
51.9
▲ 35.9
▲ 20.3
▲ 1.1
5.6
70.3
▲ 15.6
47.1
―
件
※8,838
※7,443
※7,150
726
731
390
336
268
445
420
931
787
566
732
793
649
国土交通省
保 証 金 額
前年比
%
▲ 0.9
▲ 15.8
▲ 3.9
6.6
10.6
▲ 7.6
45.5
5.1
35.3
0.5
13.3
▲ 12.0
▲ 2.9
▲ 1.7
▲ 12.7
▲ 10.6
前年比
%
▲ 8.9
▲ 13.3
▲ 16.6
▲ 6.8
▲ 21.6
▲ 12.4
60.1
▲ 43.4
4.4
17.2
▲ 22.9
▲ 0.8
▲ 1.5
▲ 1.7
▲ 23.6
▲ 5.4
百万円
※128,717
※111,640
※ 93,140
6,718
5,172
3,751
2,809
3,685
11,094
7,220
11,442
11,345
7,867
8,693
8,495
6,354
株 福島支店
東日本建設業保証ò
注1.鉱工業生産É出荷É在庫指数の前年比は原指数の増減率。暦年の年平均値は原指数。
月別欄の前年比は前年同月比(以下同様)
šÝÖA
新
項目
総
年月
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
戸
14,322
13,741
13,481
1,107
965
786
1,088
897
1,074
1,154
1,137
1,165
1,026
910
1,209
1,351
計
前年比
%
▲ 4.6
▲ 4.1
▲ 1.9
▲ 0.8
▲ 17.1
▲ 4.3
22.9
▲ 8.5
▲ 6.6
▲ 12.7
▲ 29.8
1.6
▲ 20.2
▲ 14.6
6.7
22.0
国
設
利
持 家
住
用
関
係
貸 家
分 譲
戸
戸
戸
7,363
7,035
6,926
562
470
378
448
557
601
606
671
581
628
481
556
613
5,361
5,428
5,361
506
402
366
552
265
334
508
335
490
223
338
561
514
1,451
1,167
1,153
39
91
42
87
75
138
29
131
94
151
91
91
222
土
宅
別
給 与
戸
147
111
41
0
2
0
1
0
1
11
0
0
24
0
1
2
着
民
資
間
戸
10,572
10,894
10,917
905
813
680
936
717
789
865
950
922
809
745
1,026
1,059
交
工
金
資 金
前年比
%
9.7
3.0
0.2
9.4
▲ 8.9
6.6
27.7
▲ 12.2
▲ 13.8
▲ 17.0
▲ 27.4
0.0
▲ 28.3
▲ 8.7
16.6
17.0
公
的
戸
3,750
2,847
2,534
202
152
106
152
180
285
289
187
243
220
165
183
292
通
別
資 金
前年比
%
▲ 30.2
▲ 24.1
▲ 11.0
▲ 30.1
▲ 44.1
▲ 42.1
24.6
10.4
21.3
3.2
▲ 39.9
8.0
39.2
▲ 34.0
▲ 27.7
44.6
着
工
建築物
建
築
物
床 面 積 工事費予定額
むね
百㎡
百万円
13,243
12,699
12,647
1,077
914
733
842
977
1,017
1,078
1,161
1,102
1,172
983
1,160
1,216
25,816
25,388
25,271
2,272
1,801
1,253
1,712
1,875
1,997
2,515
2,814
2,654
2,283
2,919
2,698
2,385
369,259
360,693
344,956
29,767
23,804
16,056
21,558
23,506
26,485
29,140
33,475
33,876
30,090
45,537
35,304
33,327
省
福島の進路 2006.2
■
51
主要経済指標
県 内
ÁïÖA
項目
百貨店売上高
量販店売上高
注1
注2
年月
百万円
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
54,674
53,121
51,212
4,368
5,476
5,009
3,709
4,645
3,458
3,616
3,444
3,933
3,067
3,146
3,769
P 4,092
経
前年比
百万円
%
▲ 3.7
183,450
▲ 2.8
182,481
▲ 3.6
184,579
▲ 8.0
14,115
0.6
18,854
8.5
16,131
0.9
13,260
▲ 5.8
14,894
▲ 3.7
14,561
5.8
14,742
▲ 1.6
14,347
▲ 3.0
14,898
▲ 2.4
15,117
▲ 1.0
13,772
r 14,863
▲ 7.0
P 14,522
3.7
済
産
業
前年比
%
▲ 2.2
▲ 3.2
▲ 2.8
▲ 4.9
▲ 3.4
▲ 2.3
▲ 7.4
▲ 5.4
▲ 3.3
▲ 5.2
▲ 5.0
▲ 5.3
▲ 7.3
▲ 6.0
▲ 6.1
▲ 1.4
省
乗用車新車登録台数
温泉旅館(福島、
郡山、
会津若松)利用者
前年比
台
%
▲ 2.7
77,082
▲ 1.3
76,050
76,175
0.2
6,461
8.1
▲ 3.8
5,067 ▲ 1.3
5,512 ▲ 4.6
6,788 ▲ 4.0
11,929
5,290
3.4
5,605
11.0
6,506
10.5
6,304
1.4
4,522
1.1
7,298
1.0
5,611
1.3
▲ 7.7
5,964 県自動車販売店協会
前年比
人
%
▲ 2.1
※3,210,491
▲ 1.1
※3,175,007
▲ 5.8
※2,990,579
▲ 10.6
296,249
▲ 5.5
253,859
▲ 3.2
225,369
▲ 9.0
218,652
▲ 6.3
220,333
▲ 10.0
205,209
▲ 1.2
244,042
▲ 6.0
232,624
232,761
3.5
▲ 2.5
294,899
237,090
14.1
333,376
4.6
299,113
1.0
当 研 究 所
福 島 空 港 利 用 者 数
国
内
線
国
前年比
人
%
▲ 10.1
※ 512,272 ※ 517,263
1.0
▲ 3.6
※ 498,857 45,142
1.6
▲ 12.4
31,989 ▲ 5.8
30,671 ▲ 0.3
35,571 ▲ 4.0
42,247 44,264
4.3
▲ 7.0
38,516 ▲ 8.6
41,021 ▲ 6.5
42,328 44,695
2.0
▲ 6.8
45,502
▲ 8.0
42,818 ▲ 6.9
42,047 福
島
空
際
人
※ 64,795
※ 39,961
※ 57,108
5,361
4,042
3,973
4,938
5,423
3,925
3,555
3,392
4,741
5,593
5,196
6,386
7,105
港
ビ
線
前年比
%
▲ 16.6
▲ 38.3
42.9
35.8
▲ 0.8
1.7
9.9
60.2
▲ 4.2
▲ 4.7
▲ 12.7
▲ 5.8
▲ 14.3
7.7
21.0
32.5
ル
注1.前年
(同月)
比については店舗調整済
(平成17年10月時点5店舗)
。
注2.前年
(同月)
比については店舗調整済
(平成17年10月時点69店舗)
。
ÁïÖA
消
項目
総
合
12年=
100
98.2
97.8
98.3
98.8
98.4
98.2
97.9
97.5
97.9
98.4
98.0
97.6
97.6
98.3
98.3
97.9
年月
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
※
前年比
%
▲ 1.1
▲ 0.4
0.5
1.3
0.6
0.4
0.1
▲ 0.1
0.3
0.6
▲ 0.3
▲ 0.2
▲ 0.2
0.2
▲ 0.2
▲ 0.3
費
食
料
者
住
物
価
光熱É水道
居
12年=
前年比
12年=
前年比
100
%
100
%
▲ 1.0
98.2
102.0
0.4
▲ 0.6
97.6
102.0
0.0
98.5
0.9
104.3
2.3
99.0
3.0
104.9
2.2
98.0
1.2
104.8
1.6
99.6
0.8
104.7
1.8
▲ 0.7
98.6
105.2
2.6
98.4
0.2
105.0
1.2
98.1
0.3
104.8
1.2
98.6
0.6
105.1
1.3
▲ 1.8
▲ 0.2
97.4
105.1
▲ 0.9
▲ 0.8
96.6
104.5
▲ 1.5
▲ 0.7
95.8
104.5
▲ 0.7
▲ 0.6
97.2
104.6
▲ 3.1
▲ 0.1
96.2
105.0
▲ 2.9
▲ 0.2
95.8
105.0
県
企
画
調
整
12年=
100
98.8
98.9
100.0
102.7
102.9
100.7
100.7
101.1
102.0
104.8
104.8
105.0
105.1
105.3
106.1
106.4
部
前年比
%
▲ 1.9
0.1
1.1
3.5
3.8
2.0
1.9
1.5
2.8
5.6
5.1
5.2
5.3
4.9
4.8
4.5
情
指
被服及びはき物
12年=
100
93.0
91.7
91.3
94.7
92.6
88.9
87.7
84.4
89.3
90.7
91.1
86.8
83.5
91.4
93.7
92.8
報
教
数
育
教養É娯楽
前年比
12年=
前年比
12年=
%
100
%
100
▲ 3.0
101.4
0.4
95.0
▲ 1.4
102.4
1.0
92.6
▲ 0.4
103.0
0.6
91.1
0.2
103.1
0.4
90.1
0.1
103.1
0.4
90.4
0.3
103.1
0.4
89.0
0.8
103.1
0.4
89.5
▲ 0.6
102.9
0.1
90.8
0.6
103.0
0.1
90.8
▲ 0.1
103.0
0.1
91.3
1.0
103.0
0.1
91.0
0.7
103.0
0.1
92.1
1.6
103.0
0.1
94.3
0.9
103.0
0.1
92.0
1.7
103.0
0.1
90.9
0.2
103.0
0.1
90.0
統
計
領
域
前年比
%
▲ 2.8
▲ 2.5
▲ 1.6
▲ 1.2
▲ 1.4
▲ 1.9
▲ 1.1
▲ 1.0
▲ 0.2
0.0
▲ 0.4
▲ 0.3
▲ 0.4
0.3
▲ 0.2
▲ 0.2
平成17年3月以降は福島市の消費者物価指数を福島県の消費者物価指数とみなす。
J­sêÖA
項目
有 効求職 者数
有 効 求 人 数
注1
注1
人
年月
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
45,280
41,004
37,849
35,090
33,205
34,045
33,999
37,518
40,724
40,706
40,260
38,308
37,624
37,095
36,866
35,446
前年比
人
%
12.2 20,476
▲ 9.4
24,586
▲ 7.7
29,064
▲ 6.4
32,419
▲ 4.9
28,392
▲ 4.8
27,634
▲ 5.9
28,243
▲ 6.6
31,166
▲ 6.7
30,022
▲ 3.0
28,677
▲ 0.7
28,823
▲ 0.6
28,204
1.8 29,952
1.3 31,469
3.8 31,830
1.0 31,952
福
島
労
前年比
%
▲ 6.7
20.1
18.2
19.7
11.3
8.5
6.5
3.1
3.4
5.8
7.5
4.3
▲ 0.6
▲ 3.9
▲ 3.1
▲ 1.4
働
局
有効
求人
倍率
注2
倍
0.45
0.60
0.77
0.84
0.83
0.78
0.79
0.78
0.80
0.81
0.82
0.82
0.78
0.78
0.79
0.81
職
新規求人数
雇用保険受給者実人員
注1
注1
人
8,918
10,421
11,765
12,160
9,433
11,620
12,119
13,743
11,699
10,968
12,242
11,619
12,835
13,361
12,532
13,021
業
前年比
%
2.1
16.9
12.9
22.1
0.4
4.6
8.4
▲ 1.3
▲ 3.8
21.2
6.5
▲ 3.8
3.2
▲ 1.3
▲ 0.6
7.1
安
定
注1.各年の年計は月平均。
注2.季節調整値。
注3.調査対象事業所の抽出替えに伴い、前年比はギャップ修正されている。
52
■
福島の進路 2006.2
人
20,210
14,713
11,671
10,390
9,969
9,816
9,680
9,889
10,611
9,939
11,496
11,391
11,885
10,743
10,404
10,068
課
前年比
%
12.7
▲ 27.2
▲ 20.7
▲ 16.7
▲ 20.2
▲ 18.9
▲ 15.6
▲ 15.2
▲ 13.4
▲ 12.2
▲ 11.4
▲ 11.0
▲ 6.1
▲ 7.9
▲ 3.7
▲ 3.1
常用雇用指数
(産業計)
12年=
100
96.1
95.8
94.9
95.2
94.8
93.5
91.9
91.4
93.3
93.1
92.7
92.8
93.4
93.1
92.6
―
実質賃金指数
(産業計)
所定外労働時間
(産業計)
前年比 12年= 前年比
時間
%
100
%
▲ 1.0
▲ 4.2
96.2 10.3
▲ 0.3
97.2
1.0
10.9
▲ 0.9
99.7
2.5
13.6
▲ 0.9
86.1
3.0
14.2
▲ 0.8
189.2
5.6
13.5
▲ 0.8
▲ 1.7
81.7 13.3
▲ 2.0
83.3
1.8
14.1
▲ 2.0
85.7
1.8
13.2
▲ 1.4
85.1
2.9
14.0
▲ 2.0
▲ 1.8
82.4 13.1
▲ 3.0
153.1
7.0
13.7
▲ 3.0
▲ 1.3
109.7 13.4
▲ 2.7
86.6
3.6
13.8
▲ 2.3
▲ 0.6
82.1 14.2
▲ 2.6
▲ 1.1
82.9 14.7
―
―
―
―
県企画調整部情報統計領域 注3
前年比
%
▲ 11.2
5.8
24.8
23.5
8.9
▲ 2.9
1.4
▲ 6.4
4.5
0.0
3.8
▲ 3.6
7.0
1.4
6.5
―
主要経済指標
県 内
àZEà­ÖA
項目
日 銀 券
発行状況
▲ 発行超)
( 全
預
金
年月
億円
億円
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
▲ 515
▲ 1,384
▲ 1,151
▲ 304
▲ 814
452
▲
71
▲ 407
▲ 271
168
▲ 226
▲ 113
▲ 125
23
▲ 267
▲
53
32,546
32,357
32,434
32,005
32,434
31,810
31,890
32,007
32,717
32,447
32,832
32,541
32,135
31,797
31,822
31,928
調査機関
国
日本銀行
福島支店
前年比
%
▲ 0.3
▲ 0.6
0.2
▲ 1.1
0.2
▲ 0.7
▲ 0.4
0.1
0.9
▲ 0.5
0.5
▲ 0.1
▲ 1.0
▲ 0.8
▲ 0.6
▲ 0.2
東
銀
貸
行
出
金
預
前年比
%
▲ 10.1
▲ 1.5
▲ 0.4
▲ 0.7
▲ 0.4
▲ 1.7
▲ 2.5
▲ 2.7
▲ 0.4
▲ 1.0
▲ 0.2
0.0
▲ 1.9
0.4
0.0
1.7
億円
21,192
20,875
20,795
20,470
20,795
20,671
20,626
20,498
20,752
20,540
20,788
20,989
20,695
20,818
20,732
20,822
北
注1
財
第二地銀
金
信 用 金 庫
貸出金
預
金
信 用 組 合
貸出金
預
金
億
11,597
11,750
11,669
11,434
11,669
11,543
11,578
11,541
11,531
11,397
11,692
11,716
11,737
11,788
11,653
11,640
務
局
福
不
渡
手
信
貸出金
円
9,078
8,874
8,742
8,619
8,742
8,639
8,623
8,748
8,644
8,559
8,628
8,607
8,578
8,643
8,531
8,584
島
12,423
12,590
12,712
12,610
12,712
12,614
12,652
12,409
12,686
12,591
12,707
12,631
12,669
12,557
12,658
12,627
財
務
7,083
6,856
6,632
6,593
6,632
6,567
6,571
6,530
6,510
6,443
6,454
6,481
6,480
6,514
6,512
6,523
事
務
3,846
3,890
3,907
3,869
3,907
3,900
3,921
3,864
3,940
3,926
3,948
3,934
3,950
3,946
3,957
3,929
所
用
件
件
2,935 ※14,101
2,883 ※19,047
2,796 ※18,388
2,780
1,435
2,796
2,219
2,781
1,031
2,769
1,294
2,742
1,902
2,709
1,026
2,695
1,236
2,697
1,956
2,713
1,647
2,720
1,615
2,738
1,738
2,734
1,389
2,735
1,495
県
注2
保
証
数
前年比
%
▲ 3.3
35.1
▲ 3.5
14.3
▲ 5.7
▲ 2.3
▲ 35.6
▲ 21.4
▲ 5.3
7.9
24.3
▲ 3.4
▲ 4.8
▲ 3.6
▲ 7.5
4.2
信
用
申
込
金
額
百万円
※121,086
※176,752
※155,263
12,470
17,092
8,266
10,757
16,854
8,988
11,148
21,941
18,100
14,748
15,502
12,797
14,197
保
証
前年比
%
▲ 3.6
46.0
▲ 12.2
24.5
▲ 18.3
▲ 17.4
▲ 51.0
▲ 26.5
▲ 5.5
10.1
62.0
20.4
8.8
1.2
0.4
13.9
協
会
注1.第二地銀協加盟行
注2.各年の年計は12月の末残
éÆocÖA
県 内 4 市 手 形 交 換 高
項目
枚
年月
千枚
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
1,268
1,167
1,068
93
85
87
78
89
71
91
82
72
90
77
76
77
数
金
注1
額
前年比
前年比
百万円
%
%
▲ 8.4 1,123,674 ▲ 15.8
▲ 8.0 1,013,324 ▲ 9.8
▲ 8.4
▲ 5.9
953,080 20.7
80,647
46.7
▲ 18.1
▲ 15.1
80,037 0.4
82,575
11.6
▲ 14.0
▲ 7.7
69,443 ▲ 17.4
▲ 16.0
79,647 ▲ 21.4
▲ 18.8
69,059 3.4
95,846
16.5
▲ 8.9
▲ 1.2
92,973 ▲ 11.2
▲ 1.1
63,600 ▲ 7.2
91,489
0.4
▲ 8.8
70,853
1.1
3.2
70,772
15.3
▲ 17.3
▲ 17.6
66,433 当
研
枚
枚
4,829
4,594
2,485
293
191
222
117
149
43
211
91
43
137
100
143
100
究
数
形
金
企
注1
額
前年比
前年比
百万円
%
%
▲ 9.7
6,189
4.9
▲ 4.9
▲ 13.4
5,359 ▲ 45.9
▲ 34.0
3,535 ▲ 3.9
▲ 3.7
466 ▲ 40.3
▲ 61.8
296 ▲ 7.9
▲ 47.3
166 ▲ 45.8
▲ 60.9
101 ▲ 25.9
▲ 25.8
136 ▲ 71.7
▲ 67.0
44 ▲ 19.5
▲ 56.7
209 ▲ 57.7
▲ 58.8
120 ▲ 31.7
▲ 7.7
49 ▲ 57.8
▲ 73.2
127 ▲ 36.3
▲ 59.4
108 ▲ 15.4
▲ 66.7
105 ▲ 65.9
▲ 81.8
85 所
注1.県内4市手形交換所É累計
件
業
数
倒
産
金
信 用 保 証 協 会 代 位 弁 済
額
件
数
千
額
円
※8,207,769
※6,528,616
※4,512,169
260,528
285,885
223,808
498,474
790,928
165,369
530,102
97,359
316,712
636,443
410,999
360,115
384,961
保 証 協
前年比
%
22.0
▲ 20.5
▲ 30.9
▲ 58.0
▲ 32.9
▲ 45.8
161.9
▲ 17.6
260.9
▲ 8.8
▲ 71.4
12.9
112.8
20.5
▲ 36.1
47.8
会
※平成17年4月から任意整理を除く。
国 内
項目
金
前年比
前年比
前年比
件
百万円
件
%
%
%
▲ 16.3 176,624 ▲ 17.8 ※ 823
242 14.5
▲ 21.5 116,444 ▲ 34.1 ※ 678 ▲ 17.6
190 ▲ 15.8 105,577 ▲ 9.3 ※ 495 ▲ 27.0
160 ▲ 31.4
11
0.0
3,967
31.5
35 ▲ 15.1
▲ 37.5
14
0.0
9,364 30 ▲ 11.1
▲ 74.0
▲ 34.0
8 738 31 ▲ 43.8
▲ 6.6
9 3,805 39
25.8
▲ 47.4
▲ 1.3
▲ 16.8
10 2,565 79 ▲ 38.5 32,282
8 701.2
25
150.0
▲ 33.3
▲ 91.9
8 899 57
7.5
▲ 15.4
▲ 46.3
▲ 75.0
11 1,710 10 ▲ 2.9
9
12.5
1,652
89.2
34 ▲ 16.7
▲ 2.0
10 7,273
126.1
50 ▲ 10.4
16
0.0
9,481
250.4
43 ▲ 58.8
▲ 95.9
▲ 6.8
7 2,380 41 ▲ 18.2
▲ 52.5
9 1,886 49
40.0
帝国データバンク福島支店
県 信 用
P印は速報、r印は訂正
国庫対民間収
支尻(総計)
▲ 払超)
( 年月
億円
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
※645,134
※358,504
※653,173
69,690
4,131
121,798
51,008
▲ 13,648
44,636
71,800
▲ 40,109
109,367
26,495
▲ 6,901
14,055
25,937
財務省
マ ネ ー サ 日銀券
プ ライ残高
(M2+CD) 平均発
(平
残) 行 高
国内銀行勘定
実質預金
注1
貸出残高
前年比 前年比
前年比
百億円
百億円
%
%
%
3.3
13.1 50,163
3.2 43,164
1.7
5.5 51,168
2.0 41,385
1.8
2.0 51,868
1.4 40,400
2.0
3.6 52,024
1.9 40,058
2.0
2.4 51,868
1.4 40,400
2.0
2.6 51,632
1.6 40,032
1.9
2.5 51,712
1.2 40,046
2.1
3.7 52,546
1.2 40,196
1.9
4.5 52,540
1.4 39,893
1.5
4.0 52,512
1.0 39,558
1.6
3.5 52,383
1.0 39,547
1.7
3.4 52,360
1.2 39,879
1.7
3.1 52,348
1.5 39,847
2.1
2.6 52,777
2.2 40,412
2.0
2.9 52,107
1.0 40,195
2.2
1.1 52,736
1.4 40,419
日
本
銀
全国銀行 コ ー ル
手形交換高(全国)
貸出約定 レ ー ト
(有 担 保
金
額
平均金利 翌 日 物) 枚 数
前年比
年利% 年利%
%
▲ 3.7
1.834 0.0010
▲ 4.1
1.799 0.0010
▲ 2.4
1.732 0.0010
▲ 2.6
1.744 0.0010
▲ 2.4
1.732 0.0010
▲ 2.6
1.729 0.0010
▲ 2.3
1.724 0.0010
▲ 2.4
1.704 0.0010
▲ 1.4
1.699 0.0010
▲ 1.7
1.698 0.0010
▲ 1.6
1.687 0.0010
▲ 1.1
1.675 0.0010
▲ 0.9
1.666 0.0010
▲ 0.1
1.640 0.0010
0.2
1.645 0.0010
0.9
― 0.0010
行
企業倒産(負債総額千万以上)
件
前年比
%
▲ 19.6
187,080
7,053 ▲ 10.3
171,980
6,330 ▲ 4.7
159,169
6,034 14,041
489
21.8
▲ 10.3
13,169
492 ▲ 0.9
12,777
469 ▲ 7.2
11,551
427 ▲ 11.3
13,066
566 ▲ 19.6
10,518
430 ▲ 4.0
13,801
470 ▲ 10.8
12,345
485 ▲ 18.7
11,825
364 ▲ 14.1
13,655
448 ▲ 13.8
11,708
437 ▲ 11.4
11,498
388 ―
―
―
全国銀行協会
千
枚
千億円
件
19,087
16,255
13,679
1,064
1,109
1,022
1,014
1,140
946
1,072
1,207
1,024
1,152
987
1,171
1,114
数
金
前年比
億円
%
▲ 0.4 137,824
▲ 14.8 115,818
▲ 15.8
78,177
▲ 4.5
4,342
▲ 2.0
8,957
▲ 13.5
6,218
▲ 12.5
7,441
▲ 14.2
6,217
▲ 23.5
3,966
▲ 1.6
6,051
12.0
5,027
▲ 8.8
4,789
5.0
3,251
▲ 9.4
5,897
4.2
6,350
4.7
8,083
東京商工リサーチ
額
前年比
%
▲ 16.6
▲ 16.0
▲ 32.5
▲ 55.5
87.4
35.3
▲ 30.7
▲ 38.4
▲ 52.0
40.8
37.7
▲ 16.9
▲ 34.5
27.0
▲ 19.3
86.2
注1.国内銀行勘定の各指数は、オフショア勘定を含む数値。
福島の進路 2006.2
■
53
主要経済指標
国 内
企業物価指数
項目
(総平均)
年月
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
消費者物価指数
全国総合
(167都市町村)
輸出入物価指数
輸 出
12年= 前年同 12年= 前年比
100 月比%
100
%
▲ 2.0
▲ 0.9
95.7 98.4 ▲ 0.8
▲ 0.3
94.9 98.1 96.1
1.3
98.1
0.0
96.8
2.0
98.6
0.8
96.7
1.8
98.1
0.2
▲ 0.1
96.4
1.3
97.6 ▲ 0.3
96.5
1.3
97.4 ▲ 0.2
96.8
1.4
97.7 97.5
1.9
97.9
0.0
97.4
1.8
98.2
0.2
▲ 0.5
97.3
1.4
97.7 ▲ 0.3
97.9
1.5
97.6 ▲ 0.3
98.1
1.7
97.7 ▲ 0.3
98.3
1.7
98.0 r 98.6
▲ 0.7
2.0
98.1 P 98.6
▲ 0.8
1.9
97.8 日 本 銀 行
総務省統計局
鉱
輸 入
生
工
産
指
数
業
生産者出荷指数
(季調済)注1
生産者製品在庫指数
製造業
稼働率
指 数
機械受注(280社
分)
船舶«電力除
く民需(季調済)
12年=100
12年= 前年同 12年= 前年同 12年= 前年比 12年=
前期比
億円
(円ベース)
100 月比%
100 月比%
100
%
100
%
▲ 1.3
▲ 0.2
▲ 8.0
▲ 12.0
101.9
101.0
92.0 93.5 90.4 93.5 99,875 ▲ 2.4
97.8
100.1
95.0
3.3
97.2
4.0
88.2 97.3 110,545
10.7
▲ 0.3
96.4
104.3
100.2
5.5
102.4
5.3
87.9 102.0 115,442
4.4
▲ 0.3
96.1
106.1
100.2
4.4
102.3
5.1
90.8 103.0 10,555
11.2
▲ 0.3
▲ 7.1
95.5
104.5
100.0
1.9
102.0
1.1
89.5 101.6
9,804 ▲ 1.5
94.9
103.7
103.2
2.0
104.3
0.4
91.4
2.5
104.8
9,656 ▲ 0.1
96.3
106.6
100.8
1.0
101.3 92.6
3.3
103.0 10,121
4.8
96.9
108.5
100.6
1.2
102.0
1.4
92.3
2.7
101.8 10,311
1.9
▲ 1.0
97.9 r 116.4
102.5
0.3
104.8
0.6
92.3
1.1
106.2 10,207 ▲ 0.6
▲ 6.7
96.6 r 115.8
99.6
0.3
101.7 92.4
2.8
103.8
9,525 97.0 r 115.8
101.2
0.2
104.0
0.6
92.2
2.4
104.4 10,585
11.1
▲ 2.3
▲ 2.6
▲ 4.3
98.8
120.7
100.0 102.4 92.7
5.1
102.7 10,133 98.4
120.8
101.1
1.5
104.7
3.3
93.7
4.2
103.1 10,959
8.2
▲ 10.0
98.5
123.0
101.5
1.2
103.9
1.3
94.5
3.3
103.2
9,859 100.4
127.2
102.1
3.0 r 105.9
3.9
92.9
2.6
104.6 10,337
4.8
P 102.0 P 129.3 P 103.5
3.3 P 106.2
3.8 P 94.3
3.8
―
―
―
日 本 銀 行
経
済
産
業
省
内 閣 府
注1.鉱工業の各指数の前年比は原指数の増減率。
建設工事受注
(50社分)
(季調済)
項目
総
年月
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
額
前年比
億円
%
▲ 9.4
129,862 ▲ 3.5
125,346 130,611
4.2
9,199
3.5
10,984
1.4
9,157
15.8
▲ 14.8
7,565 28,900
22.8
7,938
7.5
7,071
0.5
▲ 5.1
10,464 11,348
20.8
▲ 0.4
9,830 17,164
0.6
8,382
0.6
―
―
国
土
民
大 型 小 売 店 販 売 額
新設住宅着工戸数
間
百
前年比
前年比
億円
千戸
%
%
▲ 10.7
▲ 1.9
80,979 1,151 83,651
3.3
1,160
0.8
92,008
10.0
1,189
2.5
6,602
4.8
99
0.2
▲ 2.0
8,113
12.4
99 6,510
30.5
95
6.9
▲ 15.6
4,826 85
0.4
▲ 2.7
16,277
5.5
91 6,566
11.9
97
0.6
5,231
1.1
102
3.0
▲ 1.9
7,729 109
2.4
6,949
6.8
115
8.3
7,234
5.3
109
7.0
▲ 4.6
▲ 0.2
12,623 108 ▲ 1.0
5,560 116
9.1
―
―
―
―
交
通
省
貨
億円
93,652
91,067
88,536
7,491
10,208
7,836
5,889
7,503
6,917
6,848
6,873
8,510
5,828
6,275
7,283
―
経
店
前年比
%
▲ 2.1
▲ 2.6
▲ 2.8
▲ 5.4
▲ 2.8
0.7
▲ 7.2
▲ 3.2
▲ 0.5
▲ 1.4
0.7
0.6
▲ 1.1
0.0
▲ 0.4
―
済
産
ス ー パ ー
億円
126,677
126,526
126,137
10,119
12,757
11,469
9,278
9,939
10,231
10,307
10,272
10,770
10,496
9,557
10,203
―
業
前年比
%
▲ 2.2
▲ 3.7
▲ 4.1
▲ 5.2
▲ 5.3
▲ 2.6
▲ 6.3
▲ 5.5
▲ 3.6
▲ 4.2
▲ 3.6
▲ 3.4
▲ 4.0
▲ 4.5
▲ 5.4
―
省
常用雇用 所 定 外 有 効 求 完全
指数 注 1 労働時間 人 倍 率
失業
乗用車新車登録台数 (製造業)
注2
(未季調)(製造業)(季調済) 者数
前年比 12年
時間
倍
万人
% =100
4,441
3.5 92.6 13.5 0.54
359
4,460
0.4 90.6 14.9 0.65
350
4,768
1.1 90.0 15.9 0.83
313
391
― 90.1 16.5 0.91
290
372
― 90.1 16.3 0.90
270
▲ 1.1 89.9 14.5 0.91
325 296
▲ 0.4 89.7 15.9 0.91
441 308
▲ 1.9 89.6 16.3 0.91
685 313
329
8.9 90.7 16.1 0.94
310
345
7.9 90.8 14.7 0.94
307
417
8.3 90.8 15.7 0.96
280
▲ 2.0 90.6 15.8 0.97
422 289
▲ 0.3 90.5 15.3 0.97
291 284
458
0.4 90.4 15.8 0.97
285
r 345 ▲ 1.6 r 90.4 r 16.3 0.98
304
P 366 ▲ 6.6
―
―
―
―
注3
注4
厚生労働省
千台
注1.従業員30人以上から5人以上、季調済から未季調に変更
注2.従業員30人以上から5人以上に変更
注3.日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会
平成15年12月までシャシーベース、平成16年以降登録車種(ナンバー)ベース。
注4.総務省統計局、各年の年計は月平均。
項目
通
輸
年月
平成14年
平成15年
平成16年
16年11月
12
17年1月
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
調査機関
関
出
輸
入
前年同
前年同
百万ドル
百万ドル
月比%
月比%
▲ 4.1
415,876
2.6
336,830
469,858
13.0
381,533
13.3
565,094
20.3
454,715
19.2
48,351
16.1
42,733
31.1
52,021
14.0
41,117
16.6
42,593
6.4
40,694
14.9
46,625
3.7
36,184
13.8
55,100
10.5
44,423
12.0
51,373
6.9
42,447
11.9
45,259
6.0
42,476
23.6
50,766
6.6
42,721
14.4
50,044
2.5
42,207
9.8
46,817
7.9
45,796
20.0
53,762
8.3
45,116
17.0
52,159
5.1 P 44,919
14.7
―
―
―
―
財
務
省
国 際 収 支 (I M F 方 式)注1
貿易Éサービス収支
所得収支
経常収支
投資収支
141,397
157,668
186,184
12,323
16,103
7,778
20,795
18,033
16,066
13,931
10,950
P 16,498
P 12,159
P 18,582
P 13,768
―
務
▲ 80,559
82,012
22,503
▲ 13,381
3,025
▲ 8,115
▲ 18,181
▲ 17,560
▲ 6,631
▲ 7,456
▲ 10,891
P ▲ 17,682
P ▲ 5,868
P ▲ 12,927
P ▲ 8,929
―
省
億
64,691
83,552
101,960
4,882
9,955
▲ 178
10,879
10,548
7,396
3,192
7,592
P 7,107
P
341
P 8,627
P 6,017
―
82,666
82,814
92,734
8,335
6,649
8,689
10,288
10,275
9,791
11,302
3,792
P 9,752
P 12,455
P 10,132
P 8,552
―
財
円
■
福島の進路 2006.2
直物終値
注2
月中最安値
百万ドル
▲ 84,775
77,341
17,369
▲ 13,697
1,756
▲ 8,511
▲ 18,321
▲ 18,245
▲ 6,697
▲ 7,941
▲ 11,051
P ▲ 17,779
P ▲ 6,002
P ▲ 13,074
P ▲ 8,995
―
注1.発表形式の変更により項目を改定。および単位を円ベースに変更。なお、計数はN及して変更済。
注2.平成7年2月以前は終値ないし15時30分時点の出来値、それ以降は17時時点の気配値ベース。
54
(東京市場)
外貨準備高 外貨1米ドルあたり
資本収支 (年月末)
469,728
673,529
844,543
840,087
844,543
840,966
840,564
837,718
843,601
842,468
843,537
839,378
847,766
843,563
841,792
843,268
財務省
月中最高値
円
119.37
106.97
103.78
103.17
103.78
103.20
105.26
106.97
105.87
108.17
110.37
112.18
111.42
113.28
115.67
119.46
日
本
135.04
121.48
114.80
107.13
105.74
105.06
105.87
107.70
108.90
108.40
110.57
113.19
112.77
113.41
116.24
119.88
銀
115.63
106.93
101.83
102.15
101.83
101.87
103.40
103.70
105.50
104.47
106.53
110.33
109.05
109.08
113.27
116.38
行
「新春講演会」のお知らせiü곿j
財団法人福島県産業振興センターとの共催で、アサヒビールの営業本部長として
「スーパードライ」で業界制覇を遂げた中條高徳氏をお招きします。
と
き
水
平成18年2月22日ò
午後1時30分より
ところ
テーマ
講
師
郡山市 ホテルハマツ
「小が大に勝つ経営」
アサヒビール株式会社
名誉顧問
中條 高徳 氏
■プロフィール
昭和2年5月
昭和27年3月
長野県に生まれ、陸軍士官学校(第60期)に学ぶ
終戦後、旧制松本高校から学習院大学へ
学習院大学文政学部政治学科卒業
アサヒビール株式会社入社
常務取締役営業本部長(アサヒビール生まれ変わり戦略を企画立案、実施の指揮をとる)
代表取締役副社長
アサヒビール株式会社 名誉顧問就任
昭和57年2月
昭和63年2月
平成10年3月
■現 職
アサヒビール株式会社 名誉顧問
œ日本青少年研究所 理事
œ民間放送教育協会 理事 ほか
■主な著書
「小が大に勝つ兵法の実践」(かんき出版)
「孫娘からの質問状」おじいちゃん戦争のことを教えて(到知出版社)
「勝つために為すべきこと―兵法に学ぶ」(経済界)
ほか
å
編 集 後 記
å
記録的な大雪で只見町、檜枝岐村の積雪は、昨年12月中に2mを超え、1月下旬に入ってからは
3m近くとなっている。仙台管区気象台1月20日発表の1ヵ月の予報でも、平年並み∼やや多めの
降雪量を予想しており、雪はまだ降り積もる。今冬、自然の猛威は凄まじく、人や家々を押しつぶ
し、交通網を寸断している。久々の豪雪が、生活に多大な影響を及ぼすことを再認識させてくれた。
燃料、食料、救急を運ぶ鉄道、道路など交通路の確保は、通信の確保とともに豪雪地帯にとって
は生命を守る重要なことであり、南会津にとって複数のアクセス路を確保することとなる八十里越
の開通は、観光も含めて重要な意味を持っている。……
……観光といえば温泉、観光資源の多い福島県をもっとアピールし、この観光資源を十分に活用
して地域経済を活性化させたいと今月号では、福島学院大学の下平尾教授に3温泉の経済波及効果
についてご寄稿いただきました。芦の牧、東山、磐梯熱海、岳、湯本と大きな温泉地を持つ福島県
は、いい資源を持っていることを全国へもっと発信していきたいものです。
(大槻)
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