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平成24~26年度総合研究報告書はこちら
厚生労働科学研究費補助金
成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)
低出生体重児の予後及び保健的介入並びに
妊婦及び乳幼児の体格の疫学的調査手法に関する研究
(H24-次世代-一般-004)
平成24~26年度総合研究報告書
研究代表者
横山徹爾
(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
平成27(2015)年3月
目 次
I.総括研究報告書
・・・・・p. 3
II.研究分担者の報告書
<公的調査の解析>
1.出生体重の年次推移と発育値作成手法に関する検討
加藤則子、横山徹爾、瀧本秀美、吉田穂波
・・・・・p. 25
2.人口動態統計解析から見た出生時体重減少の要因
吉田穂波、横山徹爾、加藤則子
・・・・・p. 36
<コホート研究の解析とデータベースの拡充>
3.九州・沖縄母子保健研究、福岡小児健康調査、大阪母子保健研究のデータを
用いた出生時体格に関する疫学研究
三宅吉博、田中景子、大久保公美
・・・・・p. 59
4.周産期・出生後データベースを利用した早産児や低出生体重児の増加の
原因の検討と早産児の予後に関する研究
頼藤貴志
・・・・・p. 70
5.日本産科婦人科学会周産期登録データベースを用いた日本人の出生体重
ならびに新生児予後に関する疫学的検討
佐藤昌司、松田義雄、中井章人
・・・・・p. 80
6.既存コホートのプール解析、新規疫学研究手法の検討
栗山進一
・・・・・p. 90
<妊婦及び乳幼児コホート研究の手法整理>
7.「これから始める出生前コホート研究」作成
横山徹爾、加藤則子、栗山進一、佐々木敏、佐藤昌司、瀧本秀美、
土屋賢治、堀川玲子、三宅吉博、宮坂尚幸、吉田穂波、頼藤貴志、
磯島豪、石黒真美、峯岸直子、目時弘仁、大久保公美、松田義雄、
中井章人、NAY CHI HTUN、田中景子、佐藤憲子
・・・・・p. 99
8.わが国の出生前コホート研究における追跡調査、及び研究デザインに関する検討
(ワーキンググループ)
吉田穂波、横山徹爾、加藤則子、栗山進一、佐々木敏、佐藤昌司、
瀧本秀美、土屋賢治、堀川玲子、三宅吉博、宮坂尚幸、頼藤貴志、
目時弘仁、佐藤憲子
・・・・・p. 103
9.新規疫学研究における追跡方法の検討
土屋賢治
・・・・・p. 112
10.成育母子コホート研究における早産・低出生体重児の成長成熟予後・
代謝栄養要因調査の確立に関する研究
堀川玲子
・・・・・p. 120
11.出生前コホート研究で用いる質問票データベース開発
横山徹爾、加藤則子、栗山進一、佐々木敏、佐藤昌司、瀧本秀美、
土屋賢治、堀川玲子、三宅吉博、宮坂尚幸、吉田穂波、頼藤貴志、
磯島豪、石黒真美、峯岸直子、目時弘仁、大久保公美、松田義雄、
中井章人、NAY CHI HTUN、田中景子、佐藤憲子
・・・・・p. 130
<予備的研究の試行>
12.追跡率向上のための手法を活用した新規母子コホート研究の開始
宮坂尚幸、佐藤憲子
・・・・・p. 137
13.適正出生体重のための栄養・食生活介入研究
瀧本秀美、田尻下怜子、久保田俊郎、金子均、仁平光彦、猿倉薫子、
角倉知子、鈴木洋子
III.研究成果の刊行に関する一覧表
・・・・・p. 147
・・・・・p. 167
I.総括研究報告書
平成24~26年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 総括研究報告書
低出生体重児の予後及び保健的介入並びに
妊婦及び乳幼児の体格の疫学的調査手法に関する研究
研究代表者
横山徹爾
国立保健医療科学院生涯健康研究部
研究要旨
本研究では、【1】公的調査の解析および【2】既存のコホート研究の解析に基づいて妊娠
期からの母子の課題を明らかするとともに、【3】今後の妊婦及び乳幼児コホート研究におけ
る仮説設定から曝露情報収集・追跡にいたるまでの効率的な手法を開発し、【4】その手法を
組み入れて妊婦及び乳幼児コホート研究を予備検討(試行)することで、将来の大規模コホー
ト研究のための基礎を確立することを目的とする。3年間の研究成果は以下の通りである。
【1】公的調査の解析
人口動態統計特殊集計の解析から、1980→2010年の平均出生体重の減少に、妊娠期間の短縮
の寄与が示されたが、その寄与の大きさは0.04kg程度と部分的であった。乳幼児身体発育調査
データの再解析から、この20年間の間に妊娠37,38週を中心とした帝王切開分娩が急増し、1994
→2000年、2004→2010年では妊娠週数の短縮が出生体重減少の大きな要因である事が分かった。
2004→2010年では、妊娠期間の短縮が出生体重を小さくし、妊娠中の体重増加が出生体重を大
きくする方に大きく働いていた。2006年以降、我が国の平均出生体重の減少傾向が急速に鈍化
していた。
【2】コホート研究の解析
研究分担者が実施・関与するコホート研究のデータ用いて、出生時の体重に関連する要因、
および出生時の体重とその後の児の健康状態との関連を分析した。出生体重の減少に関与する
いくつかの要因が示され、自然推移のみでなく多胎、不妊治療等を含めた人為的要因も関与し
ていることがわかった。
【3】妊婦及び乳幼児コホート研究の手法整理
コホート研究の追跡手法の整理と、標準的な質問票データベース作成を行った。追跡手法の
整理については、研究分担者のコホート研究での追跡手法のノウハウも踏まえてワーキンググ
ループで高い追跡率を得るための要点を整理した。標準的な質問票データベース開発について
は、PhenX toolkitに含まれる質問票から、母子コホート研究で使用する可能性のある質問を選
択し、時期、対象者別に分類し、さらに日本の制度や習慣等に合わせて項目の追加・修正を行
った。【3】の研究成果は、医学研究者が広く活用できるマニュアル『これから始める出生前
コホート研究』に集約して公表した。
【4】予備的研究の試行
上記【3】で整理した手法を適用し、妊娠中の母胎環境が胎児および乳幼児の発育、発達に
及ぼす影響等を、母児のエピゲノム変化を含めて検討することを目的として東京医科歯科大学
病院での新規母子コホート研究を計画し、倫理委員会の承認を得た。間もなくリクルートを開
始する。
-3-
-3-
研究分担者
産婦人科
加藤
則子
国立保健医療科学院
仁平
光彦
栗山
進一
東北大学災害科学国際研究所
猿倉
薫子
佐々木
佐藤
瀧本
土屋
堀川
三宅
敏
昌司
秀美
賢治
玲子
吉博
東京大学大学院医学系研究科
尚幸
大分県立病院総合周産期
角倉
知子
〃
母子医療センター
鈴木
洋子
〃
独立行政法人国立健康・栄養
NAY CHI HTUN
研究所栄養疫学研究部
山本
晶子
浜松医科大学子どものこころ
穂波
貴志
独立行政法人国立成育医療研
の発達研究センター
内木
康博
〃
独立行政法人国立成育医療研
高橋
千恵
〃
究センター内分泌代謝科
内田
登
〃
愛媛大学大学院医学系研究科
田中
景子
愛媛大学大学院医学系研究科
統合医科学講座
東京医科歯科大学大学院
佐藤
憲子
東京医科歯科大学難治疾患研
究所
国立保健医療科学院生涯健康
A.研究目的
研究部
頼藤
〃
究センター
小児・周産期地域医療学講座
吉田
独立行政法人国立健康・栄養
研究所
公衆衛生・健康医学講座
宮坂
〃
岡山大学大学院環境生命科学
近年わが国では平均出生体重が減少し低
研究科
出生体重児の割合が増えていることが、乳
幼児身体発育調査や人口動態統計調査結果
研究協力者
磯島
豪
石黒
真美
峯岸
目時
直子
弘仁
大久保公美
から示されている。これには、早産の増加、
東京大学大学院医学系研究科
多胎児の増加、第1子の割合の増加、母親の
東北大学東北メディカル・
年齢の増加、妊娠糖尿病の減少による巨大
メガバンク機構
児の出生の減少などもあげられるが、それ
東北大学東北メディカル・
以外にも女性の体格が細身になっているこ
メガバンク機構
とや、妊娠中の体重増加が抑えられる傾向
東北大学東北メディカル・
になっていることなどが考えられている。
メガバンク機構
これらの実態を検証して行くためには、妊
国立保健医療科学院生涯健康
娠中から出生、その後の経過の医学的所見、
研究部
検査データ、観察記録を十分な量でプール
松田
義雄
国際医療福祉大学産婦人科
し検討することで、低出生体重児が実際に
中井
章人
日本医科大学多摩永山病院
どのような産科リスクを背負い、出生後ど
産婦人科
のような成長発達を遂げてゆくかを明確に
東京医科歯科大学大学院
する必要がある。
田尻下怜子
生殖機能協関学
久保田俊郎
金子
均
本研究では、【1】公的調査の解析およ
〃
び【2】既存のコホート研究の解析に基づ
日産厚生会玉川病院
いて妊娠期からの母子の課題を明らかする
-4-
-4-
とともに、【3】今後の妊婦及び乳幼児コ
なお、それぞれの研究方法の詳細は、分
ホート研究における仮説設定から曝露情報
担研究報告書を参照していただきたい。
収集・追跡にいたるまでの効率的な手法を
<倫理的配慮>
開発し、【4】その手法を組み入れて妊婦
本研究班では、いくつかの疫学調査を扱
及び乳幼児コホート研究を予備検討(試行)
うが、いずれも各所属施設における倫理審
することで、将来の大規模コホート研究の
査委員会の承認を得たうえで実施している。
ための基礎を確立することを目的とする。
C.結果
B.方法
【1】公的調査の解析
本研究班は研究代表者と11名の研究分担
(1)出生体重の年次推移と発育値作成手
者から構成される。研究の進め方は以下の
法に関する検討(加藤、他)
通りである。【1】は人口動態統計・乳幼
近年のわが国における出生体重の推移の
児身体発育調査のデータを用いて、近年の
要因を明らかにするために、平成2, 12, 2
平均出生体重および低出生体重児の割合の
2年(1990, 2000, 2010年)乳幼児身体発育
変化とその要因について検討する。これら
調査データを解析した。病院調査からは、
のデータの解析に詳しい加藤、吉田、瀧本、
この20年間の間に、妊娠37, 38週を中心と
横山が中心となって行う。【2】は実際に
した帝王切開分娩が急増していることが分
母子コホート研究等を運営している三宅、
かり、産科医療技術の進歩普及の影響が示
栗山、頼藤、佐藤、堀川が、出生体重およ
唆された。一般調査からは、1984→1990年、
びその後の児の成長・発達と関連する要因
1994→2000年、2004→2010年における出生
についてそれぞれ分析を行う。【3】のう
体重の変化に関連する要因を共分散分析等
ち追跡手法については疫学的調査手法に詳
で検討し、1994→2000年、2004→2010年で
しいメンバー(吉田、横山、加藤、瀧本、
は、妊娠週数の短縮が出生体重減少の大き
土屋、堀川、三宅)でワーキンググループ
な要因であるものの、妊娠中の体重増加が
を開催して検討し、追跡率を上げるための
この時期には調査されていないため調査対
工夫について整理する。曝露情報等収集の
象項目のみでは説明がつかず、2004→2010
ための調査票は、世界各国の疫学研究等を
年では、共変量による調整によって体重変
元にした調査票データベース(PhenX tool
化量は大きく変わらなかったが、妊娠中の
kit: 英語版)のうち母子疫学研究で必要な
体重増加が出生体重を小さくし、妊娠中の
項目を全員で分担して抽出・整理し、翻訳
体重増加が出生体重を大きくする方に大き
して日本語版の作成を行う。今後他の研究
く働いていることが分かった。
者がコホート研究を実施する際の参考にな
(2)人口動態統計解析から見た出生時体
るように、【3】の内容をまとめて、マニ
重減少の要因(吉田、他)
ュアル「これから始める出生前コホート研
近年、我が国では2500グラム未満で出生
究」を作成して公表する。【4】は研究班
した低出生体重児の割合が増加している。
メンバーから候補を出して、班会議で検討
出生体重の分布を経年的に比較したところ、
のうえフィールドを決定し、前述【3】を
出生体重は近年ほど小さい方にシフトして
踏まえて研究計画を立て、試行する。
いた。低出生体重(LBW)割合も増加している
-5-
-5-
が、2005年以降は横ばいである。妊娠期間
九州・沖縄母子保健研究では、1565名の
はより早い時期にシフトしているが、早産
内、7.7%がLBW、4.0%がPTB、7.8%がSGAであ
の割合の変化よりも、37週以降の週数間で
った。妊娠中全く喫煙歴しなかった母親に
の分布の変化が大きい。早産の割合はわず
比較し、妊娠中を通して喫煙をした母親で
かに増加しているが、2005年以降は変わっ
は、有意にSGAの子供を持つリスクが高まっ
ていない。37週出生例に限って出生体重の
た。妊娠中の母親の喫煙状況とPTBのリスク
分布の推移を見たが、2000年から2010年に
との間に有意な正の量・反応関係を認めた。
かけてほとんど変化が見られなかった。
妊娠中の母親の喫煙状況と出生時体重との
1980年~2010年の人口動態統計特別集計
間に有意な負の関連を認め、妊娠中を通し
データを用いて出生体重を児の性別、単産
て喫煙をした母親の子は、全く喫煙してい
/複産、母親の年齢、過期産/正期産/早
ない母親の子に比較して、補正後169.6 g
産、妊娠期間、出生順位の各要因で調整し、
出生時体重が低かった。アルコール非摂取
30年間の出生体重の減少に影響を与える要
に比較して、1日当たり1 g以上のアルコー
素について考察を行ったところ、妊娠期間
ル摂取では、PTBのリスクの高まりと有意な
の短縮が男女とも出生時体重0.04kgの減少
関連を認めた。
に寄与していると考えられた。性別、単胎・
福岡小児健康調査は2055名を対象とした
多胎、出生順位、母親の年齢は出生児体重
横断研究である。8.4%がLBW、4.7%がPTB、7.
に影響しているが、30年間の変化への寄与
1%がSGAであった。LBW、PTB、SGAとも喘鳴、
はごく小さかった。
喘息、アトピー性皮膚炎いずれとも関連を
認めなかった。PTBは乳歯齲蝕と負の関連を
【2】コホート研究の解析とデータベース
示す傾向を認めた。LBW及びSGAと乳歯齲蝕
の拡充
との間には有意な関連を認めなかった。
(1)九州・沖縄母子保健研究、福岡小児
② 妊娠中における母親のカフェイン摂取
健康調査、大阪母子保健研究のデータを
と出生時アウトカム
用いた出生時体格に関する疫学研究(三宅、
母親のカフェイン摂取と出生時アウトカ
他)
ムとの関連について、まだ統一した見解が
① 出生時体格とアレルギー疾患・齲蝕との
得られておらず、カフェインの摂取源とな
関連
る食品が欧米諸国と異なる日本では、これ
Low birth weight (LBW)、preterm birt
らの関連について検討されていない。そこ
h (PTB)、small-for-gestational-age (SG
で、大阪母子保健研究の既存データを活用
A)のリスク要因及びこれらを曝露要因とし
し、妊娠中における母親のカフェインなら
て3歳児におけるアレルギー疾患と齲蝕と
びにカフェインを多く含む飲料の摂取状況
の関連を調べた。出生時体重2500g未満をL
と出生時アウトカムとの関連を調べた。本
BW、出生時37週未満をPTBと定義した。201
研究の解析対象者は、単胎児を出産した母
0年の板橋らによる在胎期間別出生時体格
親とその児の858組である。妊娠中の母親の
標準値に従い、性別、初産経産別、在胎週
カフェインおよびカフェインを多く含む飲
別に出生体重が10パーセンタイル未満をSG
料の摂取状況は、自記式食事歴法質問票を
Aと定義した。
用いて評価した。出生時体重2500g未満をL
-6-
-6-
ow birthweight(LBW)、出生時37週未満を
関する検討を行った。結果として、早産児、
preterm birth(PTB)と定義した。また20
特に医療的介入を受けて産まれた早産児が
10年の板橋らによる在胎期間別出生時体格
増加しており、早産児の増加と低出生体重
標準値に従い、性別、初産経産別、在胎週
児の増加とも医療的介入の変化によって一
別に出生体重が10パーセンタイル未満をsm
番説明されていた。短期的予後は悪くなか
all-for-gestational -age(SGA)と定義し
ったものの、出生後データベースでの検討
た。これら3つの変数を本研究における出生
においては、一番増加していると考えられ
時アウトカムとした。
る32~36週の早産児でも健康・発達に影響
カフェイン摂取へ寄与の高い食品は、日
が見られており、今後32~36週の早産児の
本茶・中国茶(73.5%)、コーヒー(14.3%)、
増加には注意すべきであると考えられ、ま
紅茶(6.6%)、そして清涼飲料水(3.5%)
た医療的介入によって出生した児の予後の
であった。影響を及ぼすと考えられる種々
追跡が必要になると考えられる。
の交絡要因で調整したところ、妊娠中の母
親のカフェイン摂取量は、PTBと有意な正の
(3)日本産科婦人科学会周産期登録デー
関連を示した。この正の関連は、30歳以上
タベースを用いた日本人の出生体重ならび
の女性で顕著であった。一方、妊娠中の母
に新生児予後に関する疫学的検討(佐藤、
親のカフェイン摂取量とLBWおよびSGAとの
他)
関連は認められなかった。また、妊娠中の
日本産科婦人科学会周産期登録データベ
母親の日本茶・中国茶摂取とPTBとの間にも
ース(日産婦DB)をデータソースとして以
有意な正の関連が認められた。なお、カフ
下の研究を行った。
ェインを多く含む他の飲料と出生時アウト
I.本邦における出生体重の減少(約60
カムとの間に関連はみられなかった。
g)の要因を明らかにするため、日産婦DB
本研究から、妊娠中における、主に日本
に登録された妊娠37~41週の生産児(2006
茶・緑茶から由来する、カフェインの高摂
年:43,420例、2010年:56,099例)につい
取は、特に30歳以上の女性においてPTBのリ
て出生体重に影響のある交絡因子について
スク上昇と関連していることが示唆された。
検討した。出生体重の減少には胎児数、喫
煙、初産、性別が女児であることが関与し、
(2)周産期・出生後データベースを利用
増加には妊娠前の身長、体重、BMI、体外受
した早産児や低出生体重児の増加の原因の
精、妊娠週数が関与していた。さらに、抽
検討と早産児の予後に関する研究(頼藤)
出された交絡因子に関して共分散分析を用
昨今、早産児や低出生体重児が増加し、
いて出生体重を調整した結果、調整後の出
その後の予後が懸念されている背景を受け、
生体重差に差を認めなかった。以上から、
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センタ
年次推移上の出生体重の減少にはこれらの
ー・産科を受診した母体とその母体から出
諸要因が関与していること、体重減少の背
生した児からなる周産期データベースと厚
景には必ずしも自然推移のみでなく多胎、
生労働省が実施している21世紀出生児縦断
不妊治療等を含めた人為的要因が関与して
調査のデータを利用し、早産児や低出生体
いることがわかった。
重児の増加の原因の検討と早産児の予後に
Ⅱ.日産婦DBと新生児臨床研究ネットワ
-7-
-7-
ークDB(NRN-DB)のリンクを試み、DB連結
(4)既存コホートのプール解析、新規疫
の可否を明らかにするとともに、連結DBを
学研究手法の検討(栗山)
用いて硫酸マグネシウム(Mg)母体投与と
エコチル調査宮城ユニットセンターでは
極低出生体重(VLBW)児の3歳時予後との関
9,217名の妊婦の参加があり、追加調査には
連を検討した。2003~2007年の40施設のVL
3,795名が参加している。本研究では、グリ
BW児についてDB連結を行い、Mg使用群(Mg
コアルブミンの分析を行いえた2,384人に
+群)と未使用群(Mg-群)における3歳時
ついて、妊娠初期から中期ならびに中期か
予後項目を検討した結果、両DBのマッチン
ら後期のグリコアルブミン値と妊娠中の各
グデータは5,677例で、双方のDBからみたマ
種指標や乳児の体格との関連について検討
ッチング率は69.0%および76.6%であった。
を行った。エコチル調査の宮城県での参加
マッチング例のうち、致死的形態異常、重
者、ならびに、追加調査の参加者、採血検
篤な胎内感染などを除外したMg+群(1,375
体保管者の基礎特性は先行研究と大きく異
例)、Mg-群(2,254例)で、妊娠週数、出
なるものではなく、低出生体重児の予後及
生体重、Apgar値および臍帯動脈血pH、脳性
び保健的介入並びに妊婦及び乳幼児の体格
麻痺、低DQ値(<70)、運動障害、てんかん、
の疫学的調査としての基本的なコホートと
視力・聴力障害および予後良好例の頻度は
して利用できることを継続して確認した。
両群間に有意差を認めなかった。以上から、
今後も生後12か月ならびに18か月、24か月
個人情報を削除したDBであっても、周辺情
の追跡を行い、データベースを拡充する。
報を用いて高い回収率でデータ結合が可能
であること、およびMg使用の有無は児の長
【3】妊婦及び乳幼児コホート研究の手法
期予後に大きな影響を与えていないことが
整理
わかった。
(1)「これから始める出生前コホート研
Ⅲ.日産婦DBのさらなる活用を見据え、
究」の作成(全員)
本データベースの改変を行った。2012年ま
今後のわが国の母子コホート研究の推進
で使用された日産婦DBに関して、疫学的研
のために役立てられるように、コホート研
究の視点から追加項目等の変更をアンケー
究の概念や基礎知識、生体試料を用いた研
ト調査し改変DBを作成した結果、入力項目
究の意義、追跡率を高める工夫点、研究の
は2012年以前の121項目から230項目とほぼ
基本デザインの設計方法、および質問票デ
倍増した。主な改変点は、不妊治療の選択
ータベース等を系統的に整理して、マニュ
肢の細分化、既往妊娠分娩歴、喫煙・飲酒
アル「これから始める出生前コホート研究」
歴、陣痛誘発・促進、産科合併症の疾患名、
として取りまとめ、冊子および電子データ
胎児付属物所見、感染症、母体使用薬物お
としてインターネット上に公開し、研究者
よび胎児心拍数陣痛図所見である。今後、
が自由に利用できるようにした。
改変DBの活用および児のフォローアップデ
(http://www.niph.go.jp/soshiki/07shoug
ータとのリンケージ等により、母児情報を
ai/birthcohort)
統合した疫学的検討が可能となることが期
以下、
(2)~(5)を含めてテーマ【3】
待される。
の3年間の研究成果は全てこのマニュアル
に集約した。
-8-
-8-
運営し、脱落率を低く抑えるにあたっては、
(2)わが国の出生前コホート研究におけ
浜松母と子の出生コホートを含む先行出生
る追跡調査、及び研究デザインに関する検
コホートの手法を踏襲することが望まれる
討(ワーキンググループ)
ほか、低SESで早期に「脱落」しやすい一群
国内の母子コホート研究ではどのような
の参加者への支援・サポーティブな関わり
タイミングでどのような調査をしているの
を考慮する必要性が示唆された。
かを明らかにすることで、これまでの知見
や工夫を共有することを目的に、研究班の
(4)成育母子コホート研究における早
研究分担者が実施している母子コホート研
産・低出生体重児の成長成熟予後・代謝栄
究の調査内容とタイミングを整理した。項
養要因調査の確立に関する研究(堀川)
目は、欧米における母子コホート研究の一
生活習慣病をはじめとする成人期慢性疾
覧であるBirthcohort.netの内容と統一し
患の発症基盤が、受胎時から胎児期、出生
た。曝露要因と結果変数をはじめ、研究フ
後の環境と関連することが疫学研究や動物
ィールドや背景、条件等の要因を考慮しな
実験から推測されている。このメカニズム
がら最大限の研究結果を引き出す工夫が随
を明らかにする目的で、国立成育医療研究
所にみられた。すべて妊娠中から調査を開
センターでは平成22年より妊婦とその児を
始しており、胎内環境を曝露要因として利
対象として27ヶ月間のリクルートを行い、
用できるが、追跡期間は出産直後から18歳
妊娠期から(胎児期から)の母児の追跡調
まで幅がみられた。
査(質問紙調査・身体測定・面接等),およ
び早産・SGAやハイリスク妊娠より出生した
(3)新規疫学研究における追跡方法の検
児をケースとしたネステッド・ケースコン
討(土屋)
トロール研究及びケースコホート研究(成
今日ニーズが高まっている出生コホート
研究を新規に設営するにあたり、長期追跡
育母子コホート研究: Children and Mothe
中の脱落を減らすための手法を整備してお
rs' cohort Study (CHAMS))を開始した。本
くことはきわめて重要である。そこで、先
分担研究では、CHAMSにおける効率的調査方
行研究および浜松母と子の出生コホート研
法の確立を目的とし、その検討を行った。
究におけるそれらの手法について検討した
本研究初年度の時点で、CHAMSの月間参加
のち、浜松母と子の出生コホート(N=1042)
同意取得率は前年度に比し平均100.3%と
における脱落率、および脱落の背景を検討
なり、事務局におけるリクルート技術の進
した。その結果、2年間の追跡を行う間に生
歩が認められた。1300名が出産し、児の健
じた脱落は84例(8%)であり、低く抑えら
診・母児質問紙調査を実施、出生時コホー
れていた。すなわち、同出生コホートにお
ト継続参加の二次同意取得率は70%であっ
ける脱落を減らす手法が有効であったこと
たが、1歳健診時の追跡率は92%と高率であ
が示唆された。一方、脱落は低SES(Socio
った。SGA出生と母体要因の関連解析、妊婦
-economic status)の参加者に多く、また
及び臍帯血中25OHDの低値等をまとめ、報告
脱落のほとんどが出生後半年以内に生じて
した。2~3年度目は、CHAMSを進める上で重
いた。以上より、新規出生コホート研究を
要な追跡率向上に資する因子を解析した。C
-9-
-9-
HAMSでは最終的にセンター内全出産の54.
5%の参加同意を得、出産/出生後の父母子
【4】予備的研究の試行
コホート研究の再同意率は87.6%と、研究
(1)追跡率向上のための手法を活用した
新規母子コホート研究の開始(宮坂、他)
開始年度よりも向上した。2014組の父母子
本研究班ワーキンググループで検討され
が追跡調査の対象となった。1歳時の健診参
た、母子コホート研究追跡調査率向上のた
加率は67.9%であったが、質問紙のみの参
めの手法を適用しながら、東京医科歯科大
加も含めると75%の追跡率となった。コホ
学附属病院をフィールドとして新規母子コ
ート研究の参加中止理由として、里帰り分
ホート研究の計画を立案した。本研究は母
娩と転居が最も多かったが、煩雑な質問紙
体環境因子および胎児・新生児エピゲノム
や心理面に関する質問紙のために参加中止
変化と、その後の乳児発育・発達を評価す
やクレームを訴えるものがあり、個々の研
るコホート研究であり、退院後も定期的に
究の特性と、コホート研究全体としての参
研究参加者と接触することで、追跡率が向
加追跡率向上のバランスが必要であると思
上するよう計画を立てた。医学部倫理委員
われた。追跡率向上には様々な方策がある
会、難治疾患研究所での承認が得られ、間
が、参加者のコホート研究の意義の理解を
もなくリクルート開始予定である。
深め、社会貢献を実感してもらえるような
フィードバックを行うことで、モチベーシ
【4】予備的研究の実施
ョンを高め維持することが、長期コホート
(1)適正出生体重のための栄養・食生活
研究の成否を握るものと考えられた。
介入研究(瀧本、他)
コホート研究による曝露情報収集や追跡
(5)出生前コホート研究で用いる質問票
の方法論は介入研究にも応用できると考え
データベース開発(全員)
られるので、保健的介入を伴う追跡研究の
出生前コホート研究で利用可能な多分野
ノウハウを得るための予備的研究として介
の質問票をデータベースとして提供し、今
入研究も実施した。健康な妊婦に対し、妊
後、出生前コホート研究を実施する際に活
娠20週頃から出産まで、産科外来を中心に
用できる環境を作ることを目的とする。出
個別的な栄養・食生活介入を実施したとこ
生前コホート研究における曝露情報やアウ
ろ、低出生体重児出産リスクの高い「やせ」
トカム情報収集のための調査票データベー
妊婦の多い集団では、妊娠期間中の介入だ
スを構築するために、世界各国の疫学研究
けでは出生体重増加や低出生体重児減少な
等を元にした調査票データベース(PhenX
どのリスク低減が困難であることが示され
Toolkit: 英語版)のうち出生前コホート研
た。ただし、本介入によって極端な体重増
究で必要な項目を研究班として抽出して翻
加量の増大や帝王切開率の上昇などもまた
訳し、さらに翻訳の段階で明らかになった
みられなかった。
日本の制度や習慣等にそぐわない事項等を
修正し、日本語版があるものは差し替え、
D.考察
本研究事業では、
【1】公的調査の解析、
不足項目を追加したうえで、調査対象者の
分類等を加えて完成させた。
【2】コホート研究の解析とデータベース
- 10 -
-10-
の拡充、【3】妊婦及び乳幼児コホート研
から2000年までは、出生体重減少の年次推
究の手法整理、【4】予備的研究の試行、
移が急速であることと、その期間のデータ
それぞれのテーマについて研究を進めた。
には妊娠中の体重増加などの項目がない中
得られた結果の特徴や限界、進捗状況につ
で、調査された項目では、その年次変化の
いて考察を加える。
ごく一部しか説明されない事が分かった。2
【1】公的調査の解析
006年から2010年までは、出生体重のきわめ
わが国における出生体重の推移を把握す
る主要な公的調査として、人口動態調査と
乳幼児身体発育調査がある。前者は毎年デ
ータが得られる全数調査だが、出生時の体
重以外に得られる情報は、妊娠週数、出生
順位、単胎・多胎の別、母の年齢に限定さ
れている。乳幼児身体発育調査は現在10年
に1度行われている標本調査であり、調査
人数は限定的であるものの、上記項目以外
に、母の身長・体重および妊娠中の体重増
加量、喫煙の状況、帝王切開の有無などの
詳細な情報が得られる。両調査の特徴を踏
まえた上で、分析結果を組み合わせて見る
ことが、わが国における出生体重減少の推
移を理解するうえで必要と考え、研究を進
めた。
てわずかな増加が見られた。諸因子で調整
しても増加幅は調整前と大きな変化はなか
ったが、因子の中では、妊娠期間が短くな
ったことが出生体重を小さくする方に大き
く働き、妊娠中の体重増加が大きくなった
ことが、出生体重を大きくする方に大きく
働いていることが分かった。妊娠中の体重
増加など重要な情報が、2000年以前の調査
では分からないのが残念である。2006年か
ら2010年にかけてのわずかな出生体重増加
に対し、妊娠中の体重増加量が大きくなっ
ていることが寄与していることが明らかに
なり、ちょうど時期を一致して2006年に妊
娠中の適正体重増加量の指針がガイドライ
ンの効果が示されているが、その効果が現
れていると言うには、更に検討を加える必
人口動態統計特別集計のデータからは、
要があると言える。
妊娠週数の分布や出生体重の分布を詳細に
検討することで、その特徴が分かり易く示
【2】コホート研究の解析
された。特に、帝王切開率が、近年急増し
本研究班では、出生時の体重に関連する
ていることが、妊娠期間の分布や出生体重
要因の分析および疫学研究の手法開発のた
の分布の構造に影響を及ぼしていることが
めに、コホート研究や周産期データベース
分かった。
を運営している研究分担者が6名参画して
1990, 2000, 2010年の3回分の乳幼児身
いる。本年度は、九州・沖縄母子保健研究、
体発育調査データを用いて妊娠期間分布の
福岡小児健康調査、聖隷浜松病院の周産期
変化を調べたところ、年次を追って、37,
データベース、厚労省の21世紀出生児縦断
38週における分布の山が急増していること
調査のデータ、日本産科婦人科学会周産期
が分かり、帝王切開を行う上での産科的判
断と密接な関係を示唆し、医療技術進歩と
の強い関連がうかがえた。出生年が1984年
登録データベースと新生児臨床研究ネット
ワークDBを用いて、出生時の体重に関連す
る要因、および出生時の体重とその後の児
の健康状態との関連を分析した。
- 11 -
-11-
九州・沖縄母子保健研究では、妊娠中に
する交絡因子の抽出には限界がみられ、DB
おける母親のアルコール摂取と出生時アウ
の改変が喫緊の課題となっていた。今回の
トカムとの関連を調べ、本邦で初めて妊娠
改変によって、より詳細な疫学的研究原資
中におけるアルコール摂取がPTBのリスク
としての意義は高まるものと考えられる。
を高めたことを示した。妊娠中の飲酒の悪
影響に関する追加エビデンスとして注目す
【3】妊婦及び乳幼児コホート研究の手法
る必要があると思われる。また、妊娠中に
整理
おける母親のカフェインおよび日本茶・中
テーマ【3】の研究成果は全てマニュア
国茶の高摂取がPTBのリスク上昇に関係し
ル「これから始める出生前コホート研究」
ていることが示唆された。この結果は最近
としてまとめた。このマニュアルには、疫
のメタアナリシスの知見と一致しなかった
学研究の経験が少ない研究者でも、今後コ
が、民族、考慮した交絡要因、使用した食
ホート研究に取り組むことができるように
事調査法、そして何よりもカフェインの由
配慮して、コホート研究の概念や疫学に関
来食品の違いに由来するものかもしれない。
する基礎知識、研究の基本デザインの設計
福岡小児健康調査では、preterm birthは3
の例を示した。また、コホート研究で非常
歳児における乳歯齲蝕と負に関連する傾向
に重要な追跡率を高める工夫点を整理し、
を認めた。出生時体格と3歳児の齲蝕有症率
今後行われる研究での比較性が高まるよう
との間に有意な関連は認めなかったが、結
に標準的な質問票データベースを作成し、
論づけるためには、さらなる研究が必要で
自由に利用できるようにした。本マニュア
ある。聖隷浜松病院の周産期データベース
ルは今後のわが国の母子保健分野のコホー
の解析からは、地域レベルや個人レベルの
ト研究の推進に役立つと期待される。
社会経済的指標は早産や低出生体重児と関
連することが示され、健康格差の視点から
【4】予備的研究の実施
も注目すべき知見が得られた。21世紀出生
本研究班で行う予備的研究は、それによ
児縦断調査の解析からは、moderately pre
って何らかの仮説検証を行うというよりは、
termと呼ばれる32~36週の満期に近い早産
上記【3】で整理した手法を適用して調査
児でも6か月~2歳半の入院のリスクが高く、
研究計画を立て、実際に追跡を行うという、
今後、moderately preterm児の増加には注
一連のプロセスの確認が主目的である。東
意すべきであると考えられた。日産婦DBと
京医科歯科大学病院をフィールドとした新
新生児臨床研究ネットワークDBは、異なる
規母子コホート研究では、リクルート時の
背景で構築されたデータベースであるが、
研究参加同意率を高めるために、研究目的
周辺情報で比較的高い割合でデータ結合が
および研究の流れについてのわかりやすい
可能なことが分かった。既存データベース
説明を工夫すること、追跡率向上のために、
を活用する新しい効率的な方法と考えられ
丁寧な説明と育児に関するニュースレター
る。一方、日産婦DBは会員による学会発表
およびリマインダーを郵送すること等、
【3】
および論文執筆目的で数多く活用されてい
で検討した事項を踏まえた研究計画を立て
るが、本DBを用いた疫学的研究から見ても、
た。計画作成に時間をかけたことと、検体
従来のDB入力項目のみでは諸種の事象に対
や情報収集回数が多く研究全体の流れが複
- 12 -
-12-
雑であること等のため、倫理審査委員会で
3)
吉田穂波,横山徹爾,加藤則子.出生
時体重の低下は何が問題か 乳幼児身
体発育調査からみる要因と、効果的な
保健指導の方法を探る 特集 親子保
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9)
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徹爾.乳幼児身体発育調査・学校保健
統計調査. 特集:母子保健分野におけ
る調査統計の活用と疫学研究の推進.
保健医療科学2014(63)1.平成26年2月
p17-26.
承認を得るのに長時間を要し、これから対
象者のリクルートを開始する段階にまでし
か至らなかった。
E.結論
妊娠期からの母子の課題を明らかにし、
今後の母子保健分野の疫学を推進するため
に、以下の研究を行った。【1】1980~20
10年人口動態統計特別集計と1990~2010年
乳幼児身体発育調査(病院調査・一般調査)
の解析結果から、出生時の体重の長期変化
と直近5年間の変化に寄与する要因を定量
的に示した。【2】母子コホート研究によ
り、出生時の体重に関連する要因、および
出生時の体重とその後の児の健康状態との
関連を分析し、また、データベースの拡充
について検討した。【3】今後の母子保健
分野のコホート研究の推進のためのマニュ
アル「これから始める出生前コホート研究」
を完成させ公表した。【4】予備的追跡研
究の研究計画を完成させ倫理審査委員会の
承認を得た。
F.健康危機情報
なし
G.研究発表
1.論文発表
1) 加藤則子,瀧本秀美,横山徹爾.特別
特集 平成22年乳幼児身体発育調査結
果について 小児保健研究 2012(71)
5. 2012.09.30発行. p.671-80.
2)
加藤則子,横山徹爾.次世代の健康づ
くりと環境整備ー出世時の体重の低下
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本21(第2次)と社会環境の整備.保健
の科学 2012(54)10. 2012.10.01発
行. p.678-83.
10) 吉田穂波,加藤則子,横山徹爾.わが
- 13 -
-13-
国の母子コホートにおける近年の状況,
および母子保健研究から今後への展望.
特集 :母子保健分野における調査統計
の活用と疫学研究の推進.保健医療科
学 2014(63)1.平成26年2月 p32-38.
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とその活用.チャイルドヘルス 診断
と治療社.2013;(16)12: p3(827).
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ついて.特集 子どもと食2014.小児科
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モンと臨床59 特集小児内分泌学の進
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54) 島田由紀子,堀川玲子,有阪治 胎生
期性ホルモンの空間認知能への影響を
粘土の造形表現からみた検討 ホルモ
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-17-
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is in early onset renal insufficienc
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75) 堀川玲子: 性分化疾患診療ガイドラ
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76) 堀川玲子: 低血糖・代謝異常を疑う
子どもの観察と評価 小児看護ベスト
プラクティス フィジカルアセスメン
トと救急対応 (及川郁子監修 西海
真理・伊藤龍子責任編集) 中山書店
(2014.2.28 pp86-87)
77) 堀川玲子: さまざまな症状や検査異
常への対応と診断、治療 非典型的外
性器(外性器異常) ビギナーのため
の小児内分泌診療ガイド (有阪治編
集) 中山書店 (2014.3.31 pp140
- 18 -
-18-
-149)
78) 瀧本秀美,米澤純子, 島田真理恵, 加藤
則子, 横山徹爾. 日本助産師会会員に
おける妊婦への食生活支援に関する調
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用状況を中心に.日本公衆衛生雑誌.
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79) Sato Y, Nakanishi T, Chiba T, Yok
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80) 瀧本秀美、田尻下怜子.生活習慣病と母
乳栄養.小児科臨床2014;67:2449-24
54
アディポシティリバウンド及び6歳時
BMIに関する単胎双胎間の比較検討
第72回日本公衆衛生学会学術集会
東京 2013.10
5)
加藤則子,吉田穂波,瀧本秀美,横山
徹爾.2005年以降の我が国における出
生体重減少鈍化の要因に関する研究.
第73回日本公衆衛生学会総会;2014.1
1.5-7;宇都宮.日本公衆衛生雑誌.20
14(61)10.抄録集:220.
6)
Kato N, Noguchi-Yoshida S, Yoshid
a H, Yokoyama T. Perinatal mortal
ity risk for dizygotic twins remain
s consistent through artificial repr
oductive technology. 第25回日本疫学
会学術総会.名古屋.2015.1
7)
加藤則子,吉田(野口)都美,吉田穂
波,横山徹爾.異性双生児の周産期リ
スクは同性双生児より低いがその差は
縮まっている.第29回 日本双生児研
究学会学術集会.金沢.2015.1
8)
佐藤昌司、吉富智幸、他:産科-小児
科データベース連結の試み(第1報):
日産婦周産期登録と新生児臨床研究ネ
ットワークデータ連結. 第49回日本周
産期・新生児医学会学術集会, 横浜.
9)
吉富智幸、佐藤昌司、他:産科-小児
科データベース連結の試み(第2報):
極低出生体重児の母体MgSO4投与と3
歳時予後との関連. 第49回日本周産
期・新生児医学会学術集会, 横浜.
2.学会発表
1)
2)
3)
4)
衛藤隆,近藤洋子,松浦賢長,倉橋俊
至,横井茂夫,恒次欽也,加藤則子,
川井尚,竹島春乃,堤ちはる,高石昌
弘,平山宗宏,横山徹爾.幼児の保護
者の心身の健康と対児感情等に影響を
及ぼす要因に関する検討.第59回日本
小児保健協会学術集会 愛しい子ども
たちに~今、私たちにできること;20
12.9.27-29. 岡山 日本小児保健協会
学術集会講演集 01-039 p.113.
加藤則子,瀧本秀美,横山徹爾,最近
のわが国の乳幼児の身体発育状況につ
いて.第71回日本公衆衛生学会総会
;2012.10.24-26. 山口 日本公衆衛
生学会 学会総会抄録集 0508-70 p.
321.
加藤則子、吉田穂波、横山徹爾、瀧本
秀美、大木秀一.双胎児の出生体重、
アディポシティリバウンド及び6歳時
BMIに関する単胎双胎間の比較検討
第60回日本小児保健協会学術集会
東京 2013.9
加藤則子、吉田穂波、横山徹爾、瀧本
秀美、大木秀一.双胎児の出生体重、
10) 林昌子、松田義雄、佐藤昌司、中井章
人:周産期登録データベースからみた
生殖補助医療の現状とリスク.第49回
日本周産期・新生児医学会学術集会,
横浜.
11) 林昌子、桑原慶充、石川源、関口敦子、
松田義雄、佐藤昌司、他:日本産科婦
人科学会の単一胚移植提唱が本邦の周
産期医療に与えた影響. 第66回日本産
科婦人科学会学術講演会, 東京都
12) 佐藤昌司:周産期における超音波画像
診断. 第23回福岡母性衛生学会学術集
- 19 -
-19-
会, 福岡市
13) 佐藤昌司:産科と新生児のデータリン
ケージによる分析の先行例について.
第50回日本周産期・新生児医学会学術
集会, 浦安市
14) 佐藤昌司:産科ガイドライン2014につ
いて-2011版からの変更点を中心に.
平成26年度福岡県産婦人科医会臨時研
修会, 福岡市
15) 佐藤昌司:産科医療補償制度と学会・
医会の取り組み-再発防止へ向けて.
第9回医療の質・安全学会学術集会, 千
葉市
16) 妊娠時母体が甲状腺機能異常を指摘さ
れた児の6歳時の予後 内木康博,宮下
健悟,山本晶子,西垣五月,水野裕介,
荒田尚子,堀川玲子 第86回日本内分
泌学会学術総会(仙台,2013年4月26
日)
17) Molecular and clinical studies in 1
38 Japanese patients with Silver-R
ussell syndrome. Fuke T, Miuno S,
Nagai T, hasegawa T, Horikawa
R, Miyoshi Y, Muroya K, Kondoh
T, Numakura C, Sato S, Sano S,
Matsubara K, Kagami M, Yamaza
wa K, Ogata T. 9th Joint Meeting
of Paediatric Endocrinology (Mila
n Italy, 2013.9.19)
18) Maternal thyroid function during e
arly pregnancy and neurodevelopm
ental outcome at 6 years. Naiki Y,
Takahashi C, Miyashita K, Nishig
aki S, Mizuno Y, Horikawa R. 9t
h Joint Meeting of Paediatric End
ocrinology (Milan Italy, 2013.9.20)
19) Long-term metabolic effects of two
growth hormone (GH) doses in sh
ort Japanese children born small f
or gestational age (SGA). Horikaw
a R, Yokoya S, Tanaka T, Ogawa
Y, Kiyomi F, Kappelgaard A.M. 9t
h Joint Meeting of Paediatric End
ocrinology (Milan Italy, 2013.9.19)
20) 1歳児の脂質代謝マーカーと体格・乳児
期の栄養法についての検討-母子コホ
ート研究から 高橋千恵,服部淳,内
田登,山本晶子,内木康博,堀川玲子
第47回日本小児内分泌学会学術集会
(東京,2013年10月10日)
21) 日本人SGA性低身長症における長期成
長ホルモン治療の代謝への影響 堀川
玲子,田中敏章,横谷進,小川憲久,
清見文明,Kappelgaard Anne-Marie
第47回日本小児内分泌学会学術集会
(東京,2013年10月11日)
22) 本邦乳児におけるビタミンDの充足状
況とその影響 山本晶子,服部淳,高
橋千恵,内田登,内木康博,堀川玲子
第47回日本小児内分泌学会学術集会
(東京,2013年10月11日)
23) SGA性低身長症の成長ホルモン治療
堀川玲子 第85回日本内分泌学会学術
総会(名古屋、2012年4月19日)
24) 幼児期代謝指標と母体因子との関連
西垣五月,野田雅裕,水野裕介,山本
晶子,宮下健悟,内木康博,荒田尚子,
堀川玲子 第85回日本内分泌学会学術
総会(名古屋、2012年4月19日)
25) 血中IGF-Iと各種因子との相関 宮下
健悟,山本晶子,西垣五月,水野裕介,
野田雅裕,内木康博,堀川玲子 第85
回日本内分泌学会学術総会(名古屋、2
012年4月19日)
26) エコチル調査と小児内分泌・代謝疾患
堀川玲子 第115回日本小児科学会
学術集会(福岡、2012年4月21日)
27) 成育コホートによる母体と5歳児の代
謝マーカーとの相関の検討 内木康博,
野田雅裕,水野裕介,西垣五月,宮下
健悟,山本晶子,荒田尚子,堀川玲子
第115回日本小児科学会学術集会(福
岡、2012年4月21日)
28) 小児期から成人期を通して使用可能な
Insulin-like growth factor-I(IGF-I)
の基準値の設定 磯島豪,島津章,横
谷進,田中敏章,立花克彦,勝又規行,
- 20 -
-20-
堀川玲子 第46回日本小児内分泌学会
(大阪,2012年9月27日)
29) 周産期母体因子と出生児代謝指標の関
連 西垣五月,水野裕介,山本晶子,
宮下健悟,内木康博,荒田尚子,堀川
玲子 第46回日本小児内分泌学会(大阪,
2012年9月29日)
30) SGA性低身長症に対する成長ホルモン
投与におけるΔ身長SDSとΔIGF-I S
DSの相関 堀川玲子,田中敏章,横谷
進,清野佳紀,小川憲久,清見文明,A
nne-Marie Kappelgaard 第46回日本
小児内分泌学会(大阪,2012年9月29
日)
31) 本邦妊婦のビタミンD充足状況と胎児
発育の前方視的検討 山本晶子,西垣
五月,水野裕介,宮下健悟,内木康博,
堀川玲子 第46回日本小児内分泌学会
(大阪,2012年9月29日)
36) 田尻下怜子, 瀧本秀美, 佐田文宏, 仁
平光彦, 下地祥隆, 金子均, 久保田俊
郎:妊娠中の体重増加量と出生体重に
関する検討.第 64 回日本産科婦人学
会術講演会、 神戸、2012.4
37) 瀧本秀美、加藤則子、横山徹爾、田尻
下怜子、久保田俊郎: 肥満妊婦におけ
る適正体重増加量についての検討.第3
6回日本産科婦人科・栄養代謝研究会、
鹿児島、2012.8
38) 田尻下怜子、瀧本秀美、横山徹爾、仁
平光彦、下地祥隆、金子均、久保田俊
郎:28 週での適正体重増加量について
の検討.第36回日本産科婦人科・栄養
代謝研究会、鹿児島、2012.8
39) 瀧本秀美: 妊娠中の栄養のありかた:
第54回日本母性衛生学会総会: 2013.1
0.4: 大宮
40) 瀧本秀美:妊娠期・子育て期女性の栄養
摂取制限の課題: 第2回日本DOHaD研
究会年会: 2013.6.7: 東京
32) 妊娠時母体が甲状腺機能異常を指摘さ
れた児の6歳時の予後 内木康博,宮下
健悟,山本晶子,西垣五月,水野裕介,
伊藤裕司,中村知夫,荒田尚子,堀川
玲子 第46回日本小児内分泌学会(大阪,
2012年9月29日)
41) 瀧本秀美:母乳育児に対する国の考え
方と基本施策: 第28回日本母乳哺乳学
会: 2013.9.14: 長野県
33) 健常児と低出生体重児における臍帯血
および1歳児血中IGF-Iと成長 堀川玲
子,水野裕介,西垣五月,宮下健悟,
山本晶子,内木康博,荒田尚子,渡邊
典芳,伊藤裕司 第46回日本小児内分泌
学会(大阪,2012年9月29日)
42) 瀧本秀美、田尻下怜子、猿倉薫子、加
藤則子、横山徹爾、久保田俊郎: 2004
~10年出生児における出生体重に対す
る影響要因について: 第65回日本産科
婦人科学会学術講演会: 2013.5.10: 北
海道
34) Association of fetal IGF-I, leptin, a
nd adiponectin with fetal and earl
y postnatal growth in NCCHD coh
ort study. Miyashita K, Noda M,
Mizuno Y, Nishigaki S, Yamamoto
A, Naiki Y, Horikawa R., 52th ES
PE meeting (Leipzig, Germany, Set
20, 2012)
43) 田尻下怜子、瀧本秀美、猿倉薫子、横
山徹爾、仁平光彦、金子均、久保田俊
郎:肥満女性の妊娠中の体重増加量に
ついての検討: 第65回日本産科婦人科
学会学術講演会: 2013.5.11: 北海道
35) 瀧本秀美, 田尻下怜子,久保田俊郎,加
藤則子,横山徹爾:非肥満女性における
妊娠中の適正体重増加量区分について
の検討.第 64 回日本産科婦人学会術
講演会、 神戸、2012.4
44) 田尻下怜子、瀧本秀美、猿倉薫子、角
倉和子、鈴木洋子、横山徹爾、仁平光
彦、松原舞、金子均、久保田俊郎:妊婦
への食事調査および食生活指導につい
ての検討: 第37回日本産科婦人科栄
養・代謝研究会: 2013.8.29: 埼玉
45) 田尻下怜子、瀧本秀美、松原舞、仁平
- 21 -
-21-
光彦、金子均、久保田俊郎:非肥満妊
婦に対する食生活指導の効果について
の検討: 第66回日本産科婦人科学会学
術講演会: 2014.4.18: 東京
46) 瀧本秀美:DOHaD (Developmental
Origins of Health and Disease) :
第66回日本産科婦人科学会学術講演
会: 2014.4.19: 東京
47) 田尻下怜子、瀧本秀美、松原舞、仁平
光彦、金子均、久保田俊郎:やせ妊婦
に対する食生活指導についての検討:
第38回日本産科婦人科栄養・代謝研究
会: 2014.8.21: 広島
H. 知的財産権の出願・登録状況
なし
- 22 -
-22-
Ⅱ.研究分担者の報告書
-23-
-24-
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書
研究分担者の報告書
出生体重の年次推移と発育値作成手法に関する検討
研究分担者
加藤
則子
(国立保健医療科学院)
横山
徹爾
(国立保健医療科学院
瀧本
秀美
(国立健康・栄養研究所
吉田
穂波
(国立保健医療科学院
生涯健康研究部)
栄養疫学研究部)
生涯健康研究部)
研究要旨
出生体重の年次推移とその要因と、身体発育値作成法に関して、内外の論文レビューを
行い、日本における考察を行う上での指針とした。平成2,12,22年(1990,2000,2010年)乳
幼児身体発育調査データの再解析を行った。病院調査からは、この20年間の間に、妊娠37,38
週を中心とした帝王切開分娩が急増していることが分かった。一般調査からは、1984→1990
年、1994→2000年、2004→2010年における出生体重の変化に関連する要因を共分散分析等
で検討し、1994→2000年、2004→2010年では、妊娠週数の短縮が出生体重減少の大きな要
因である事が分かった。2004→2010年では、妊娠中の体重増加が出生体重を小さくし、妊
娠中の体重増加が出生体重を大きくする方に大きく働いていることが分かった。
LMSChartMaker による平滑化法を比較し
A.研究目的
わが国の平均出生体重は 1975 年から減
それぞれの特徴を明らかにする。
少の一途をたどっている。乳幼児身体発育
わが国の平均出生体重は 1975 年から減
調査結果について平成 12 年と平成 22 年を
少し 2005 年以降横ばいとなっている。この
比較検討したところ、妊娠期間、母の身長、
推移に影響を及ぼしている要因を明らかに
母の BMI,計算回数、胎児数によって、減少
するため、平成 2,12,22 年乳幼児身体発育
の約半分の説明がついた(平成 23 年度厚生
調査一般調査及び病院調査を用いてさらに
H23-次世代-指定 005)。要
解析を進める。データの使用にあたっては
因の解明をさらに進めるため、海外の文献
厚生労働省からの許可を得て(雇児発 0612
をレビューし、体重推移の現状、解析方法、
番 1 号)、国立保健医療科学院において解析
検討結果等についてまとめ、今後のわが国
作業を行った。
労働科学研究
の検討に資するための基礎資料とする。海
外各国の小児の身体発育値に関する文献を
B.研究方法
レビューし、平成 23 年度厚生労働科学研究
①出生体重の推移に関する要因を分析し
(H23-次世代-指定 005)によって作成された
た論文のレビュー研究においては、検索語
平成 22 年基準値の強み等を明らかにする。
を birth weight , secular trend として Pub
平成 22 年乳幼児身体発育値作成の方法と
Med で検索を行い、ヒットした文献の中か
- 25 -
-25-
ら必要な情報を含むものをピックアップし
記述統計や単変量解析から、一元配置分散
た。さらにそれらについて、資料の収集法、
分析さらに、多重線形回帰を用いたものも
サンプルサイズ、観察期間、解析方法、解
複数見られた。韓国と米国においては、近
析結果、結果の解釈等の比較検討を行った。
年出生体重が減少傾向にあった。米国では、
海外における身体発育値の現状について、
論文が 2 報発見され、減少の要因としては
検索語を growth chart , growth reference
っきりとした決め手がないとするものと、
として Pub Med で検索を行い、ヒットした
分娩誘発等を始めとした産科介入によると
文献の中から必要な情報を収集した。それ
するものの、二つに分かれた。
らを、作成された年齢層、基礎データの性
各国で作成された発育曲線を比較すると
格と規模、データ収集年次、データ処理法、
(表2)、様々な相違が見られた。複数のデ
平滑化法、身長の場合のゆがみ度の処理方
ータセットから作成された発育値もあった。
法等について表にまとめ、わが国と比較し
スウェーデンのものは縦断データから作成
てわが国の発育値の強みや特徴を明らかに
されていた。収集年次は、数年間か数十年
した。
間のものが多く、日本より長い。平滑化法
②平成 22 年身体発育調査の元データを
は LMS がほとんどだが、LMS と組み合わ
用いて LMSChartMaker による身体発育
せる平滑化法としては、最新といわれる
曲線作成を行い、公表された発育値作成に
penalized likelihood はすべてに用いられ
用いられた方法と比較検討した。
ているわけではなかった。
③平成 2,12,22 年乳幼児身体発育調査病
②平成 22 年身体発育調査の元データを
院調査を用いて帝王切開が出生体重推移に
用いて LMSChartMaker による身体発育
及ぼした影響を検討する。平成 2,12,22 年
曲線作成を行い、比較検討した結果(表3)、
乳幼児身体発育調査一般調査データを用い
LMSChartMaker は平滑化曲線を容易に得
て 21 年次にわたって出生体重変化の要因
ることが出来る反面、アルゴリズムが利用
に関して、共分散分析を行って検討した。
する側から見えないため、平成 22 年値の作
成に関して用いた方法の方が、数式を活用
して解析するのにはむしろ便利であること
C.研究結果
①海外の出生体重の推移とその要因分析
が分かった。
の研究論文に関して、資料の収集法、サン
③平成 2,12,22 年乳幼児身体発育調査病
プルサイズ、観察期間、解析方法、解析結
院調査データを用いて検討を行った結果、
果、結果の解釈等の比較検討を行った結果
妊娠期間分布のなかで、37 週と 38 週に限
を表1に示す。データ収集は、病院ベース
局して帝王切開例がどんどん大きくなって
のものと、行政的な出生登録によるものと
いることが分かった(図1,2,3)。平成
の二通りに分かれた。出生登録の全数を対
2,12,22 年乳幼児身体発育調査一般調査デ
象としたものは、サンプルサイズが極めて
ータを用いて、解析を行ったところ、出生
大きいものが多かった。観察期間は、長い
体重は平成 2,12 年調査対象出生年次では急
ものでは 20~30 年に及んだ。解析方法は、
速に減少していたが、平成 22 年調査対象出
- 26 -
-26-
生年次ではあまり変化がなかった (図4)。
ては、年次を追って、37,38 週における分
1984→1990 年、1994→2000 年、2006→
布の山が急増していることが分かり、帝王
2010 年(適正体重増加ガイドの出された
切開を行う上での産科的判断と密接な関係
2006 年を勘案しこの年次を観察の出発点
を示唆し、医療技術進歩との強い関連がう
とした)の出生体重の変化に関する共分散
かがえた。1984 年から 2000 年までは、出
分析を行った。各変数の変化を観察したい
生体重減少の年次推移が急速であることと、
前後の間の変化量に偏回帰係数を掛ける事
身体発育調査で調査された項目によっては、
によって、出生体重変化に対して、それぞ
その年次変化のごく一部しか説明されない
れの変数の変化がどのように寄与したかを
事が分かった。2006 年から 2010 年にかけ
推計した。結果を図5,6,7に示す。1984
てのわずかな出生体重増加に対し、妊娠中
→ 1990 年 で は 投入 した 共 変量 によ っ て
の体重増加量が大きくなっていることが、
49%が説明され、説明された中では妊娠期
大きく寄与していることが明らかになり、
間の短縮による影響が大きく、1994→2000
ちょうど時期を一致して 2006 年に妊娠中
年では投入した共変量によって 65%が説
の適正体重増加量の指針がガイドラインの
明され、説明された中では妊娠期間の短縮
効果が示されているが、その効果が現れて
による影響が大きく、2006→2010 年では、
いると言うには、更に検討を加える必要が
諸因子で調整しても調整結果(4.7g 増加)は
あると言える。
調整前(5.4g 増加)と大きな変化はなかった
が、妊娠期間の短縮が出生体重の減少に、
E.結論
妊娠中の体重増加が大きくなったことが、
出生体重減少研究をレビューしたところ、
出生体重の増加の方向に、それぞれ大きく
様々な解析方法が明らかになり、日本の出
働いていることが分かった。
生体重減少研究に応用してゆく基礎資料と
なった。わが国の身体発育値は、他国にな
い様々な特徴が明らかになった。
D.考察
出生体重減少が日本ほど急速な国はない
平成 2,12,22 年乳幼児身体発育調査デー
が、各国の解析方法は示唆に富むため、我
タの解析によって、37,38 週における帝王
が国の解析に応用を検討できる面が多かっ
切開出生数の増加が明らかになった。平成
た。
12 年(2000 年)までのデータで急速な出生
各国の発育値と比べ、平滑化に最新とい
penalized
likelihood
体重の減少がみられ、妊娠期間の短縮によ
を使ってい
りその一部が説明された。平成 16 年(2004
ないが、その代わり市町村現場で使えるビ
年)から平成 22 年(2010 年)までの出生体重
ジネスソフト対応の算出となっていのが強
の変化においては、妊娠中の体重増加によ
みである。身長の段差算出は、他の国が使
る影響が明瞭であることが特徴的であった。
える
っていない独自の方法であるといえる。
乳幼児身体発育調査データの再解析によ
F.健康危機情報
って、帝王切開例の妊娠期間の分布に関し
- 27 -
-27-
なし
Jun 2014;103(6):e251-e261.
G.研究発表
1.論文発表
1) 加藤則子,瀧本秀美,横山徹爾.特別
特集 平成 22 年乳幼児身体発育調査
結果について
小児保健研究
2012(71)5.
2012.09.30 発 行 .
p.671-80.
8)
吉田穂波,加藤則子,横山徹爾.人口
動態統計からみた長期的な出生時体重
の変化と要因について. 特集:母子保
健分野における調査統計の活用と疫学
研究の推進.保健医療科学 2014(63)1.
平成 26 年 2 月 p2-16.
2)
加藤則子,横山徹爾.次世代の健康づ
くりと環境整備ー出世時の体重の低下
に関する要因を中心にー特集 健康日
本 21(第 2 次)と社会環境の整備.保
健 の 科 学 2012(54)10. 2012.10.01
発行. p.678-83.
9)
加藤則子,瀧本秀美,吉田穂波,横山
徹爾.乳幼児身体発育調査・学校保健
統計調査. 特集:母子保健分野におけ
る調査統計の活用と疫学研究の推進.
保健医療科学 2014(63)1.平成 26 年 2
月 p17-26.
3)
吉田穂波,横山徹爾,加藤則子.出生
時体重の低下は何が問題か 乳幼児身
体発育調査からみる要因と、効果的な
保健指導の方法を探る 特集 親子保
健・母子保健の重点課題 保健師ジャ
ーナル 2012(68)11.p.942-55.
4)
加藤則子,横山徹爾. 新しい乳幼児
身体発育値 Q&A で学ぶお母さんと
赤ちゃんの栄養 周産期医学 (42)増
刊 号
東京医 学社
2012.11.1.
p.606-10.
10) 吉田穂波,加藤則子,横山徹爾.わが
国の母子コホートにおける近年の状況,
および母子保健研究から今後への展望.
特集 :母子保健分野における調査統計
の活用と疫学研究の推進.保健医療科
学
2014(63)1. 平 成 26 年 2 月
p32-38.
5)
6)
7)
Kato N ,Sauvaget C, Kato T. Large
summer Weight gain in relatively
overweight
preschool
Japanese
children.
Pediatr
Int.
2012
Aug;54(4):510-5
Noriko Kato, Hidemi Takimoto,
Takashi Eto. The regional difference
in
children's
physical
growth
between
Yaeyama
Islands
of
Okinawa Prefecture and national
survey in Japan. Journal of the
National
Institute
of
Public
Health.2012 October;61(5):448-53.
Kato N, Takimoto H, Yokoyama T,
Yokoya S, Tanaka T, Tada H.
Updated Japanese growth references
for infants and preschool children,
based on historical, ethnic and
environmental characteristics. Acta
Paediatrica DOI: 10.1111/ apa.12587
11) 加藤則子.特集 新しい母子健康手帳
とその活用.チャイルドヘルス 診断
と治療社.2013;(16)12: p3(827).
12) 加藤則子.新しい母子健康手帳の改正
点.特集 新しい母子健康手帳とその
活用.チャイルドヘルス 診断と治療
社.2013;(16)12: p10-13(834-7).
13) 加藤則子.子どもの発育・発達と食に
ついて.特集 子どもと食 2014.小児
科 臨 床 . 日 本 小 児 医 事 出 版
社;2014(67)12:p21-27(2301-2307).
14) 加藤則子,瀧本秀美,吉田穂波,横山
徹爾.成長曲線の作り方.チャイルド
ヘルス.2015;18(1):6-9.
2.学会発表
1) 衛藤隆,近藤洋子,松浦賢長,倉橋俊
至,横井茂夫,恒次欽也,加藤則子,
川井尚,竹島春乃,堤ちはる,高石昌
弘,平山宗宏,横山徹爾.幼児の保護
者の心身の健康と対児感情等に影響を
及ぼす要因に関する検討.第 59 回日本
小児保健協会学術集会 愛しい子ども
- 28 -
-28-
たちに~今、私たちにできること;
2012.9.27-29. 岡山 日本小児保健協
会 学術集会講演集 01-039 p.113.
2)
3)
4)
5)
加藤則子,瀧本秀美,横山徹爾,最近
のわが国の乳幼児の身体発育状況につ
いて.第 71 回日本公衆衛生学会総
会 ;2012.10.24-26. 山口 日本公衆
衛生学会 学会総会抄録集 0508-70
p.321.
加藤則子、吉田穂波、横山徹爾、瀧本
秀美、大木秀一.双胎児の出生体重、
アディポシティリバウンド及び 6 歳時
BMIに関する単胎双胎間の比較検討
第 60 回日本小児保健協会学術集会
東京 2013.9
加藤則子、吉田穂波、横山徹爾、瀧本
秀美、大木秀一.双胎児の出生体重、
アディポシティリバウンド及び 6 歳時
BMIに関する単胎双胎間の比較検討
第 72 回日本公衆衛生学会学術集会
東京 2013.10
誌.2014(61)10.抄録集:220.
6)
Kato N, Noguchi-Yoshida S, Yoshida
H, Yokoyama T. Perinatal mortality
risk for dizygotic twins remains
consistent
through
artificial
reproductive technology. 第 25 回日本
疫学会学術総会.名古屋.2015.1
7)
加藤則子,吉田(野口)都美,吉田穂
波,横山徹爾.異性双生児の周産期リ
スクは同性双生児より低いがその差は
縮まっている.第 29 回 日本双生児研
究学会学術集会.金沢.2015.1
H. 知的財産権の出願・登録状況
1.特許取得
なし
2.実用新案登録
加藤則子,吉田穂波,瀧本秀美,横山
徹爾.2005 年以降の我が国における出
生体重減少鈍化の要因に関する研究.
第 73 回 日 本 公 衆 衛 生 学 会 総 会 ;
2014.11.5-7;宇都宮.日本公衆衛生雑
- 29 -
-29-
なし
- 30 -
-30-
病院記録
Statistics Canada
3次病院
NCHS data
US vital statistics
カナダ
カナダ
USA
USA
ハノイの2つの産科施
ベトナム
カナダ
州データ
オーストラリア
クイーンスランド
Statistics Korea
1病院
パプアニューギニア
韓国
病院記録の掘り起こ
イスラエル
927
32,062
1174件
1980-1998
1988-2005
1969-1996
1991-1997
1981 233,954
1997 200,486
1990-2005
1992 2,074,590
1992-2003
2003 1,906,184
36,827,828
1978-1996
1978-1996
単胎 61,437
95,574
ANOVA
解析方法
満期産で出生体重不
変 早産で出生体重
増加 頭臀長などの
増加
トレンドに一定傾
向なし
結果の概略
Lahmann PH, Wills RA, Coory M. Trends in birth
size and macrosomia in Queensland, Australia, from
1988 to 2005. Paediatr Perinat Epidemiol. 2009
;23(6):533-41.
パラドキシカルトレン Wen SW, Kramer MS, Platt R, et al. Secular trends
of fetal growth in Canada, 1981 to 1997. Paediatr
ドと言われている
Perinat Epidemiol. 2003;17(4):347-54.
早産児の増加
満期産児で体重
増加
早産児で体重減
multivariate leniar
regression
妊娠期間減少
州単位のecological 出生体重減少
approach
解析の結果、原因
は分娩誘発である
と考えられる
Zhang X, Joseph KS, Kramer MS. Decreased term
and postterm birthweight in the United States:
impact of labor induction. Am J Obstet Gynecol.
2010;203(2):124.e1-7.
1990-2005.Obstet Gynecol. 2010;115:357-64.
Donahue SM, Kleinman KP, Gillman MW, Oken
決め手となる要因が E.Trends in birth weight and gestational length
among singleton term births in the United States:
見つからない
adjusted
regeression
analysis
妊娠期間減少
出生体重減少
診断技術の進歩、
産科介入、社会経
済状況の変化
カイ二乗検定
ロジスティック回帰 早産児の増加
多変量線形回帰
Kramer MS, Platt R, Yang H, et al. Secular trends
in preterm birth: a hospital-based cohort study.
JAMA. 1998;280(21):1849-54.
母のBMI,妊娠中の Kramer MS, Morin I, Yang H, et al. Why are babies
体重増加、身長、喫 getting bigger? Temporal trends in fetal growth and
its determinants. J Pediatr. 2002;141(4):538-42.
煙等で調整
満期産で出生体
重増加
調整で増加なし
multivariate leniar
regression
カイ二乗検定
ティ検定
元が大きかったの
で問題なし
Jae Woo Lim JW. The changing trends in live birth
statistics in Korea, 1970 to 2010. Korean J Pediatr.
2011; 54(11): 429–435.
妊婦の体格の改善 Hop le T. Secular trend in size at birth of
Vietnamese newborns during the last 2 decades
親の身長の増加
(1980-2000). Asia Pac J Clin Nutr.;12(3):266-70.
調整しても大きく
なっている
Ulijaszek SJ. Secular trend in birthweight among
the Purari delta population, Papua New Guinea.
Ann Hum Biol. 2001;28(3):246-55.
study. Isr Med Assoc J. 2007;9(9):649-51.
出生体重減少
出生体重増加
出生体重増加
Davidson S, Litwin A, Peleg D, et al. Are babies
Tretyak A, Godina E, Zadorozhnaya L. Secular
trends of sizes at birth in Russian infants born
between 1987 and 2002. J Physiol Anthropol Appl
Human Sci. 2005;24(4):403-6.
出典
カナダと違って、妊 getting bigger? Secular trends in fetal growth in
娠期間も増えている Israel--a retrospective hospital-based cohort
結果の解釈など
記述統計
単変量解析
multivariate leniar
regression
one-way, two-way,
出生体重改善
schefffe
3期のレジス
トリ
ANOVA
1986,1994,
2003
1987~2002
観察期間
1970 1,006,645
1970-2010
2010 470,171
586
単胎 831,375
外来診療
ロシア
サンプルサイズ
サンプリング
国名
表1 出生体重の推移に関する論文の整理
- 31 -
-31-
0歳~21歳
学童期以降
学童期以降
学童期以降
0歳~18歳
学童期以降
ベルギー
ポーランド
トルコ
パキスタン
中国
マレーシア
2歳~20歳
イタリア
0歳~18歳
6歳~20歳
イタリア
スウェーデン
0歳~20歳
英国
6歳~16歳
0歳~20歳
CDC
スウェーデン
0歳~5歳
対象年齢
WHO
国名
収集年次
平滑化値を計算
LMS
EMGF
1989-2000
男1,180
女1,020
14,360
94,302
1,860
2009
LMS
LOWESS
2005 LMS
2009 WHO Anthro
平滑化値を計算
-
LMS
L=1 に固定
penalized likelihood
LMS
L=1 に固定
penalized likelihood
15,989
発育障害を除い
2007-2009
た
-
17,578
1992
平均・標準偏差を
最終学年をリ
平滑化
クルート
LMS
L=1 に固定
penalized likelihood
平滑化値を計算
LMS
EMGF
LMS
L=1 に固定
penalized likelihood
縦断データ
1994-2004
1994-2004
フランダース地方
2002-2004
の代表性
5,111
1955年生まれ
縦断データ
740例 1967年生 スウェーデン全
まれ2907件
域から
70,000
男子27,374
女子27,421
Li H, Ji CY, Zong XN, Zhang YQ. Height and weight
standardized growth charts for Chinese children and
adolescents aged 0 to 18 years. Zhonghua Er Ke Za Zhi.
2009;47(7):487-92.
Bong Y, Shariff A, Majid A, et al. Reference charts for height
and weight of school children from west malaysia in
comparison with the United States centers for disease
control and prevention. Iran J Public Health. 2012;41(2):2738
Mushtaq MU, Gull S, Mushtaq K, et al. Height, weight and
BMI percentiles and nutritional status relative to the
international growth references among Pakistani schoolaged children. BMC Pediatr. 2012;12:31.
Neyzi O, Furman A, Bundak R, et al. Growth references for
Turkish children aged 6 to 18 years. Acta Paediatr.
2006;95(12):1635-41.
Kułaga Z, Litwin M, Tkaczyk M, et al. Polish 2010 growth
references for school-aged children and adolescents. Eur J
Pediatr. 2011;170(5):599-609.
Roelants M, Hauspie R, Hoppenbrouwers K. References for
growth and pubertal development from birth to 21 years in
Flanders, Belgium. Ann Hum Biol. 2009;36(6):680-94.
Wikland KA, Luo ZC, Niklasson A, et al. Swedish
population-based longitudinal reference values from birth to
18 years of age for height, weight and head circumference.
Acta Paediatr. 2002;91(7):739-54.
Lindgren G, Strandell A, Cole T, et al. Swedish population
reference standards for height, weight and body mass index
attained at 6 to 16 years (girls) or 19 years (boys). Acta
Paediatr. 1995;84(9):1019-28.
Cacciari E, Milani S, Balsamo A, et al. Italian crosssectional growth charts for height, weight and BMI (2 to 20
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Eur J Clin Nutr. 2002;56(2):171-80.
Freeman JV, Cole TJ, Chinn S, et al. Cross sectional
stature and weight reference curves for the UK, 1990. Arch
Dis Child. 1995;73(1):17-24.
長期にわたり LMS
平滑化値を計算
収集
penalized likelihood
英国計5つの
データセット
6カ国
Kuczmarski RJ, Ogden CL, Guo SS, et al. 2000 CDC growth
charts for the United States: Methods and development.
National Center for Health Statistics.
Vital Health Stat 11(246). 2002
出典
LMS法が基本。前
全米を代表する トータル数十
のバージョンからの 平滑化値を計算
人種構成
年間
改訂
身長のLの扱い
(LMSの場合)
米国計5つの
データセット
算出法・平滑化法
WHO Multicentre Growth Reference Study Group. WHO
Child Growth Standards based on length/height, weight and
age. Acta Paediatr Suppl. 2006;450:76-85.
社会経済的に恵
まれ母乳だけで 1997-2003
育った児
サンプル条件
LMS基本に適合を
平滑化値を計算
よくする手法を導入
サンプリング
表2 出生体重の推移に関する論文の整理
表3 身体発育曲線平滑化方法の比較
平成22年乳幼児身体発育値を
作成した方法
LMS ChartMaker®
作者
T Yokoyama とそのグループ
公開されているか
厚労科研報告書がweb上で公開され ソフトパッケージがweb上で公開されてい
ている
る 一部有料
論理背景
節点を設定した3次スプライン関数
Penalized Likelyhood
計算プログラム
SASのPROC TRANSREG
ソフトパッケージに組み込み
L,M,S値とパーセンタイ
L,M,Sがそれぞれ3次式で表されるた
ル値が式で表される
め、曲線が数式化できる
か
最適条件の定め方
TJ Coleとそのグループ
時間軸の刻みを任意の細かさにして
L,M,S及びパーセンタイル値を出力できる
L,M,Sそれぞれに付き節点の位置を調
L,M,Sそれぞれの自由度を適宜変更入力
整してできあがりの形を目で見て定め
してできあがりの形を目で見て決める
る
任意のパーセンタイル 数式に、パーセンタイルに対応するZ 必要とするパーセンタイルのレベルを入
値が算出できるか
値を代入することにより可能
力する(3とか、5とか、50とか)
任意の年月日齢にお
細かい年齢刻みでL,M,S値が出力できる
ける任意の計測値の 数式に必要事項を代入すれば算出が ので、必要な年月日齢に近いものを利用
パーセンタイルレベル 可能
することにより、数式に当てはめて算出
が計算できるか
することが出来る
- 32 -
-32-
図1
1990 年分娩法別妊娠期間分布
1400(件数)
1200
1000
800
all
600
nornal
400
cs
200
0
242526272829313233343536373839404142
図2
(週数)
2000 年分娩法別妊娠期間分布
1200 (件数)
1000
800
all
600
normal
cs
400
200
0
27 28 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42
図3
(週数)
2010 年分娩法別妊娠期間分布
1400 (件数)
1200
1000
800
all
600
normal
cs
400
200
0
242527282930313233343536373839404142
- 33 -
-33-
(週数)
図4 出生体重(g) M±SE
(g)
3200
3150
3100
3050
3000
出生年
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
2950
図5 出生体重増加に関する各因子の変化による寄与の状況(1984→1990)
出生体重増加(1984→1990)
への各因子の寄与
(g)
5
-25
-30
-35
-45
-50
-55
-60
-65
-70
- 34 -
-34-
妊娠週数
喫煙本数
胎児数
-40
出生体重変化(adj)
-20
母親年齢35以上=1 others 0
-15
出生順位
-10
母身長
-5
出生体重変化(crude)
0
図6 出生体重増加に関する各因子の変化による寄与の状況(1994→2000)
出生体重増加(1994→2000)
への各因子の寄与
(g)
-20
出生体重変化(adj)
妊娠週数
喫煙本数
胎児数
母親年齢35以上=1
-15
出生順位
-10
母BMI
-5
母身長
0
出生体重変化 (crude)
5
-25
-30
-35
-40
-45
-50
-55
-60
-65
図7 出生体重増加に関する各因子の変化による寄与の状況(2006→2010)
出生体重増加(2006→2010)
への各因子の寄与
(g)
10
- 35 -
-35-
出生体重変化(adj)
妊娠中体重増加
妊娠週数
喫煙本数
胎児数
母BMI
母親年齢35以上=1
others 0
-10
出生順位
-5
母身長
0
出生体重変化(cru)
5
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
人口動態統計解析から見た出生時体重減少の要因
研究分担者
吉田 穂波(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
加藤 則子(国立保健医療科学院)
研究要旨
近年、我が国では2500グラム未満で出生した低出生体重児の割合が増加している。そこで、人口動
態統計特別集計データを用いて出生体重を児の性別、単産/複産、母親の年齢、過期産/正期産/早
産、妊娠期間、出生順位の各要因で調整し、出生体重の減少に影響を与える要素について考察を行っ
た。
人口動態統計で把握できる要因では出生体重の減少における主な原因は明らかとはならなかった
が、近年の高齢出産、特に40歳以上の初産の増加、早産児の増加、過期産児の減少、多胎妊娠割合の
変動という興味深い結果が得られた。今後も、この現状をふまえながら出生体重の変化を慎重に見守
り、我が国を担う人材の健康課題を早期に発見し、対策を立てる必要がある。
A.研究の背景と目的
ることから、妊娠期を含めた母子コホート
近年、我が国では 2500 グラム未満で出生
から得られる知見の重要性は大きい。
1)、胎内に
世界中には数多くの出生コホート研究が
おける健康・疾病の発育起源説(DOHaD
あるが、特にイギリスでは各世代の出生コ
仮説)および中枢神経系の発達への影響が
ホートが存在し、様々な研究成果が発表さ
した低出生体重児の割合が増え
明らかになってきた
2)。我が国の平均出生
れている
3)。我が国においても環境省の事
体重は 1975 年から減少の一途をたどって
業として「子どもの健康と環境に関する全
いるが、これが国民の健康や人生にとって
国調査(エコチル調査)」4)、厚労省による
どのような影響があるのか、また、正さな
21 世紀出生児縦断調査 5)、富山県で出生し
ければならない問題であるのかについて、
た 1 万人の児を追跡する富山出生コホー
明らかなエビデンスに基づいた見解が必要
ト研究 6)、25 年間継続している母子保健縦
とされている。人の健康および疾患の素因
断調査(甲州プロジェクト(旧塩山プロジ
の多くは、遺伝要因のみならず、発生・発
ェクト)7)、などが行われている。
達期の環境要因にあるとされており、子ど
平成 23 年度厚生労働科学研究費補助
もにおける循環器疾患や代謝疾患、発達障
金・成育疾患克服等次世代育成基盤研究事
害、アレルギー疾患や悪性腫瘍などの検討
業 「乳幼児身体発育調査の統計学的解析と
の際には、胎児期の環境要因を十分に解析
その手法及び利活用に関する研究」 乳幼児
することが重要であると考えられる。出生
身体発育調査結果の評価及び活用方法に関
前後の成育状況が一生の健康状態を左右す
するワーキンググループで乳幼児身体発育
- 36 -
-36-
調査結果について平成 12 年と平成 22 年を
増え止まっていることがわかる。いくら低
1)、妊娠期間、母の身
出生体重児が増加していても、出生児の体
長、母の BMI、経産回数、胎児数によって、
重の低下はこれより進んでいないことがわ
減少の約半分の説明がついた(平成 23 年度
かる。
比較検討したところ
厚生労働科学研究
H23-次世代-指定 005)。
平成 23 年度厚生労働科学研究費補助
しかし、この乳幼児身体発育調査は出生児
金・成育疾患克服等次世代育成基盤研究事
の一部における傾向を示しているため、今
業 「乳幼児身体発育調査の統計学的解析と
回、全出生における解析を目的に、我が国
その手法及び利活用に関する研究」 乳幼児
の人口動態統計資料を用いて、出生体重減
身体発育調査結果の評価及び活用方法に関
少の要因解析を試みることとした。
するワーキンググループの報告では、 出生
出生体重推移の現状や要因分析について
時の体重減少の約半分は妊娠期間の短縮に
検討することで出生体重の変化の傾向を明
よって説明できたことから、人口動態統計
らかにし、その原因を探るとともに、それ
のデータを用いて妊娠期間(妊娠週数)の年
が憂うべきものなのか、是正されなければ
次推移を見たものが図 2 である。年代を追
いけないものなのか、是正されるべきであ
うごとに出生週数のピークが早い週数に移
ればどのようにしてそれが可能になるのか
動しているが、35 週を境に増加が止まって
ということを明らかにし、我が国の次世代
いる。
の健康を増進させるための方法や方向性に
そこで、この人口動態統計特別集計デー
ついて母子保健政策を検討するための基礎
タから得られる因子の平均体重に与える影
資料を得ることを目的とする。
響を見るため、1980 年から 2010 年まで 30
年間の出生児体重の変化を、①性別によっ
て調整(仮に 30 年間出生児の性別が変わら
B.方法
我が国の出生体重減少の要因に関する検
なかったとして、減少はどれだけと推計さ
討では、出生票に関する人口動態特別集計
れるか)し、さらに同様に②妊娠期間、③
(平成 24 年 3 月雇用均等・児童家庭局母子
単胎・多胎、④出生順位、⑤母親の年齢に
保健課)のデータを用いた。各年次区間の
よって調整した。
出生体重を、性別、妊娠週数、出生順位(第
まず、①性別による年齢調整の結果が図
一子、第二子、第三子)
、胎児数(単産、複
3 である。図 4 が出生児の性別割合の年次
産)、母親の年齢で順次調整していき、調整
推移に関する参考であり、30 年間、出生児
済みの平均体重の推移を求めた。
の性別はほとんど変わっておらず、性別に
統計解析には、SAS ver. 9.1 (Windows
よる出生体重への影響は見られない。
版)を用いた。
次に、②妊娠週数で調整した平均出生体
重の結果が図 5・図 6 である。仮に 30 年前
C.結果
が現在と同じ妊娠期間であるとすれば、出
全出生児を出生体重で分類し、その累積
割合を年ごとにグラフにしたものが図1で
生時体重は男女とも 0.04kg 小さかったと
考えられた。
ある。増加に伴う歪みが左方移動しており、
低出生体重児の増加が、1.5~2.0 ㎏の児で
次に考えられる調整要因として、37 週未
満の早産の割合が増加しており(図 11)、
- 37 -
-37-
全出生における過期産の割合の年次推移が
ており、仮に 30 年間出生児の母親年齢が変
減少している(図 12)ということの影響が
わらなかったとすると、児の出生体重は増
考えられる。
加する方向に向かうと推計される結果とな
妊娠 37 週未満の早産、妊娠 41 週以降の
った。もともと、出生体重は出生順位が進
過期産に分類し、出生体重への影響を見た
むとともに大きくなることが分かっており、
ものが図 7~10 であり、早産の増加や過期
それは年次推移で多少差が縮まるものの変
産の減少が出生体重減少に与える影響は
わらない傾向である(図 20)。昨今の晩婚
0.03 ㎏前後であることが、1980 年時点の粗
化・晩産化の影響で、30 年前であれば第三
平均値と調整値の差を見ることで明らかに
子を出産していた年齢の女性が第一子を出
なる。例えば図 7 では 1980 年時点の粗平
産するようになり、出生体重にプラスの影
均体重値は 3.18 ㎏であり、調整値は 3.15
響を与える結果となったことが推察される。
㎏である。これは、1980 年時に 2010 年と
同様に、順位別母親出産年齢(図 21)と母
同じ早産割合であったとしても平均体重の
親出産年齢の年次推移(図 22~25)、母親
減少は 0.03 ㎏しかないということを表して
の出産年齢の変化(図 26~29)からも、出
おり、早産割合の増加を調整しても出生体
産年齢が高齢化の方向へと進んでおり、晩
重に与える影響は 0.03 ㎏であることを示し
産化を裏付ける結果となった。
ている。
さて、昨今の晩婚化・晩産化に伴い、不
さらに、③単胎・多胎による年齢調整の
妊治療症例数が増加していることが知られ
結果が図 13・図 14 である。不妊治療の分
ており、その影響は看過することが出来な
野において、出生児への影響を考慮し、以
いほど大きなものとなっている。今回解析
前より多胎児を予防する方法がとられてい
した人口動態統計データからは不妊治療歴
るためか、妊娠期間ほどの出生体重減少に
や分娩方法(経腟分娩・帝王切開)を把握
与える影響は見られないものの(男児は、
することは出来ないものの、現在までの生
1980 年時点の単産・複産調整値が 3.226g、
殖医学研究より母体が 40 歳以上の場合に
粗平均が 3.231g とマイナス 0.005 ㎏)、女
自然妊娠する確率は極めて低い(0.001%)
児は 3.136g と 3.141g と同じくマイナス
ということが明らかになっているため、実
0.005 ㎏)であり、マイナスの方向への影
際に 40 歳以上の母親から出生した児の数
響がある。
を検証した。人口動態統計調査月報から、
④出生順位による年齢調整をした結果は
我が国の全出生における母親の平均年齢を
図 15・図 16 である。出生率低下に伴い一
示したものが図 30 であり、2008 年から
人の女性が産む子どもの数が減り、第一子
2014 年までの間に 1 歳上昇し、2014 年 7
の割合が増えるものの、全出生数に占める
月には平均年齢が 31.6 歳となった。40 歳
第三子の割合への変化はほとんど見られな
以上の母親における全妊娠数及び出生数全
かった(図 17)。
体における比率を求めたものは図 31~34
最後に、⑤母親の年齢による年齢調整を
である。40 歳以上の母親から出産した児は
行った結果が図 18・図 19 である。今回調
2005 年から 2010 年の間に急速に増加し、
整を行った因子の中で唯一、この調整にお
全出生数の 0.1%(1980 年)から 1.2%(2010
いて出生体重の変化がプラスの方向に働い
年)を占めるようになった。この場合、40
- 38 -
-38-
歳以降の第一子出産では年を経るにつれて
④出生順位、⑤母親の年齢)で調整してみ
出産週数が早まり、出生体重が減少する傾
たところ、結果として年齢調整した平均体
向がある(図 35~38)。
重の変化は少なく、例えば、この 30 年間に
晩産傾向を反映し、40 歳以上の母親にお
減少した平均出生体重 0.2 ㎏のうち妊娠期
ける第三子の出産割合は低下している(図
間の短縮で説明されるのは 0.04 ㎏であり、
39)。全体における複産の割合は 2005 年を
減少のかなりの部分がこれらの変数によっ
ピークに減少の方向に戻っており(図 40)、
ては調整されないことがわかった。
母親の年齢別に見ると、35~39 歳および
近年、周産期医療現場では不妊治療で成
40 歳以上の母親における多胎妊娠の割合
立した妊娠例の増加に伴う分娩の変化が明
が増加していたものが 2005 年を境に 2010
らかに見られ、例えば、不妊治療症例には
年にかけて再び減少している(図 41)。
多胎や母体合併症例、ハイリスク症例が多
いこともあって、より慎重で安全な分娩方
D.考察
法を選ぶ結果、帝王切開率が上昇する、早
低出生体重児には、早産のために出生体
い段階で妊娠中断や分娩を選択する、とい
重が小さくなる未熟児と、子宮内発育不全
う傾向が見られるようになってきた。また、
のために出生体重が小さくなる児とに分け
不妊治療後の妊娠には母体合併症が多く伴
られる。早産児の場合、特に妊娠 32 週未満
うため、子宮内胎児発育不全による低出生
の児では肺成熟不全による呼吸窮迫症候群
体重児が増加するという報告もある
や、脳室内出血、動脈管開存による循環不
回解析した人口動態統計では、不妊治療歴
全・肺出血など合併症をきたす可能性が高
や分娩方法(経腟分娩・帝王切開)を把握
くなる。また、子宮内発育不全の場合は胎
することは出来ないが、自然妊娠が稀であ
内でストレスがかかっているため妊娠週数
る 40 歳以降の出産において特に第一子、そ
に伴う胎児の成熟は見られるものの、出生
して多胎に絞り、その推移を観察した。そ
後の体格が小さいため過剰栄養となり、成
の結果、40 歳以上の出産は 2005 年から
人後の生活習慣病を引き起こすことが懸念
2010 年の間に急速に増加し、全出生数の
8)。このように、低出生体重児
0.1%(1980 年)から 1.2%(2010 年)を
は子どもの健康や発達における課題を抱え
占めるようになった。この場合、40 歳以降
ていることが多く、特に発展途上国では貧
の出産では出産週数が早まり、出生体重も
困や不十分な医療資源、性差別、低栄養な
減少する傾向があるため、全体の妊娠期間
どの指標として、この割合が増加している
の短縮、出生体重増加に与える影響を今後
場合はその原因を突き止め、是正する必要
も観察してゆく必要がある。
されている
9)。今
全体における複産の割合は 2005 年をピ
があると考えられてきた。
一方、世界の先進国ではおおむね平均出
ークに減少の方向に戻っており、35~39 歳
生体重が増加する傾向にあるにもかかわら
及び 40 歳以上の母親における自然妊娠で
ず、我が国の低出生体重が増加しているの
はない人為的な妊娠が影響しているものと
は何故なのか、その理由を検討するために、
考えられる。母親の年齢別に見ると、35~
人口動態調査票データを把握できる全ての
39 歳および 40 歳以上の母親における多胎
要因(①性別、②妊娠期間、③単胎・多胎、
妊娠の割合が減少していることから、産科
- 39 -
-39-
医療における不妊治療・多胎分娩の行き過
ぎに歯止めをかける動き 10)や、婚姻数の減
少、高齢化に伴う合併症増加(生活習慣病
ープの報告.2012 年
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Barouki R, Gluckman PD, Grandjean
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9)
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の進行)、経済面の負担など社会的な影響を
受けている可能性がある。
妊娠・出産・分娩というライフ・イベン
トには社会的要素が与える影響が大きく、
婚姻数の減少や晩婚化・晩産化に伴い、こ
の 30 年間で自然妊娠の推移では説明でき
ないような変化が観察されてきた。今回の
解析では晩婚化・晩産化に伴う出産年齢の
上昇、一人の女性が産む出産数の減少に伴
う第三子以降の児の減少などの要因、40 歳
以上の母親から生まれる児の増加に伴う妊
娠期間短縮、出生体重減少も全体の平均出
生体重を減少させる方向に向かわせること
が明らかになった。ほかには不妊治療の増
加にともなう多胎妊娠の増加・妊娠期間短
縮・分娩方法の変化や、周産期医療の進歩
による救命率の向上による影響も見過ごせ
ないものと思われる。
E.結論
今回、2010 年の最新データに基づく平均
出生体重の変化を見てきたが、出生体重の
減少という事実が持つ意味と今後への予測
をふまえながら、今後の変化を慎重に見守
り、我が国を担う人材の健康課題を早期に
発見し、早期に対策を立てるための一助と
なることを願う。
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- 40 -
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- 41 -
-41-
図表
図1 出生体重累積比率
年次推移
100.00%
90.00%
80.00%
70.00%
1980
60.00%
1985
50.00%
1990
40.00%
1995
30.00%
2000
20.00%
2005
10.00%
2010
0.00%
図 2 妊娠期間年次推移
35.00%
30.00%
1980
25.00%
1985
20.00%
1990
15.00%
1995
10.00%
2000
5.00%
2005
2010
0.00%
- 42 -
-42-
図 3 性別で調整した平均出生体重
(kg)
3.25
粗平均
性別調整
3.20
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
2.90
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010(年)
図 4 性別割合の年次変化
52.0%
51.5%
51.0%
50.5%
50.0%
49.5%
49.0%
48.5%
48.0%
47.5%
47.0%
女
男
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
(年)
図 5 妊娠週数で調整した平均出生体重(男児)
(kg)
3.25
粗平均
週数調整
3.20
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
2.90
1980
1985
1990
1995
2000
- 43 -
-43-
2005
2010(年)
図 6 妊娠週数で調整した平均出生体重(女児)
(kg)
3.20
粗平均
週数調整
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
2.90
2.85
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010(年)
図 7 早産(37 週未満)出生で調整(男児)
(kg)
3.20
粗平均
早産調整
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
1980
1985
1990
1995
2000
2005
(年)
2010
図 8 早産(37 週未満)出生で調整(女児)
(kg)
3.10
粗平均
早産調整
3.05
3.00
2.95
2.90
2.85
2.80
1980
1985
1990
1995
2000
- 44 -
-44-
2005
2010(年)
図 9 過期産(42 週~)出生で調整(男児)
(kg)
3.20
粗平均
過期産調整
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
1980
図 10
1985
1990
1995
2000
2005
2010(年)
過期産(42 週以上)出生で調整(女児)
(kg)
3.10
粗平均
過期産調整
3.05
3.00
2.95
2.90
2.85
2.80
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010(年)
図 11 全出生における早産(37 週未満)の占める割合
6.5%
6.0%
37週未満(早期)
5.5%
5.0%
女 37週未満(早期)
4.5%
4.0%
All 37週未満(早
期)
3.5%
3.0%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 (年)
- 45 -
-45-
図 12 全出生に占める過期産(42 週以上)の割合
5.0%
4.5%
4.0%
3.5%
男 満42週以上
(過期)
3.0%
2.5%
女 満42週以上
(過期)
2.0%
All 満42週以上
(過期)
1.5%
1.0%
0.5%
0.0%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 (年)
図 13
単産・複産で調整した平均出生体重(男児)
(kg)
3.25
粗平均
単産複産調整
単産複産
3.20
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
1980
図 14
1985
1990
1995
2000
2005
2010(年)
単産・複産で調整した平均出生体重(女児)
(kg)
3.20
粗平均
単産複産調整
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
2.90
2.85
1980
1985
1990
1995
- 46 -
-46-
2000
2005
2010
(年)
図 15
出生順位で調整した平均出生体重(男児)
(kg)
3.25
粗平均
順位調整
3.20
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
1980
図 16
1990
1995
2000
2005
2010(年)
出生順位で調整した平均出生体重(女児)
3.20
3.15
3.10
3.05
3.00
2.95
2.90
2.85
(kg)
粗平均
順位調整
1980
図 17
1985
1985
1990
1995
2000
2005
2010 (年)
全出生に占める出生順位別の割合
60%
50%
40%
第1子
30%
第2子
第3子~
20%
10%
0%
1980
1985 1990
1995
2000 2005
- 47 -
-47-
2010
(年)
図 18
母年齢で調整した平均出生体重(男児)
(kg)
3.25
3.20
粗平均
3.15
母年齢調整
3.10
3.05
3.00
2.95
1980
図 19
1985
1990
1995
2000
2005
2010
(年)
母年齢で調整した平均出生体重(女児)
(kg)
3.20
3.15
粗平均
3.10
母年齢調整
3.05
3.00
2.95
2.90
2.85
1980
図 20
1985
1990
1995
2000
2005
2010
(年)
出生順位別にみた平均体重の違い
3.3
3.25
3.2
1980
3.15
1985
3.1
1990
3.05
1995
3
2.95
2000
2.9
2005
2.85
2010
2.8
(kg)
第1子
第2子
第3子~
- 48 -
-48-
図 21
順位別にみた母親出産年齢の年次推移(単産、男女とも)
(歳)
34
33
32
31
30
29
28
27
26
25
第1子
第2子
第3子~
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 (年)
図 22
母親出産年齢の年次推移(単産、男女とも)
60.00%
50.00%
~19歳
40.00%
20~24歳
30.00%
25~29歳
20.00%
30~34歳
35~39歳
10.00%
40歳~
0.00%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 年
図 23
母親出産年齢の年次推移(単産、男女、第一子のみ)
60.00%
第一子年齢別割合
50.00%
~19歳
40.00%
20~24歳
30.00%
25~29歳
30~34歳
20.00%
35~39歳
10.00%
40歳~
0.00%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 年
- 49 -
-49-
図 24
母親出産年齢の年次推移(単産、男女、第二子のみ)
70.00%
第二子年齢別割合
60.00%
~19歳
50.00%
20~24歳
40.00%
25~29歳
30.00%
30~34歳
20.00%
35~39歳
10.00%
40歳~
0.00%
図 25
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 年
母親出産年齢の年次推移(単産、男女、第三子のみ)
60.00%
第三子年齢別割合
50.00%
~19歳
40.00%
20~24歳
25~29歳
30.00%
30~34歳
20.00%
35~39歳
40歳~
10.00%
0.00%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
- 50 -
-50-
年
図 26
母親の出産年齢の変化(単産・第一子)
60.00%
単産第一子
母年齢推移
50.00%
1980
40.00%
1985
30.00%
1990
20.00%
1995
2000
10.00%
2005
2010
0.00%
図 27
母親の出産年齢の変化(単胎、第一子)
60.00%
第一子年齢別割合
50.00%
1980
40.00%
1985
30.00%
1990
20.00%
1995
2000
10.00%
2005
2010
0.00%
- 51 -
-51-
図 28
母親の出産年齢の変化(単胎、第二子)
70.00%
単産第二子
母年齢推移
60.00%
50.00%
1980
40.00%
1985
1990
30.00%
1995
20.00%
2000
10.00%
2005
0.00%
2010
図 29
母親の出産年齢の変化(単胎、第三子)
60.00%
単産第三子
母年齢推移
50.00%
1980
40.00%
1985
30.00%
1990
20.00%
1995
2000
10.00%
2005
2010
0.00%
- 52 -
-52-
図 30
母の平均年齢の推移(全出生)(人口動態統計月報)
- 53 -
-53-
図 31
40 歳以上の母親から生まれた第一子出生数の推移(女児)
7000
6214
6085
6000
5000
女児40歳~第一子総
数
4000
3296
3180
3000
2000
1000
2079
2027
1537
1485
1517
833 963 1467
826 958
女児40歳~第一子複
産
0
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
図 32
女児40歳~第一子単
産
年
40 歳以上の母親から生まれた第一子の全出生数に占める割合(女児)
1.40%
1.20%
1.00%
0.80%
女児40歳~第一子総
数割合
0.60%
女児40歳~第一子単
産
40歳~第一子複産
0.40%
0.20%
0.00%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
- 54 -
-54-
年
図 33
40 歳以上の母親から生まれた第一子出生数の推移(男児)
7000
6391
6264
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
882
1031
879
1028
1522 1519
1508
男児40歳第一子単産
男児40歳第一子複産
2127
2085
1502
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
図 34
男児40歳第一子総数
3420
3303
年
40 歳以上の母親から生まれた第一子出生数の全出生数に占める割合(男児)
1.40%
1.20%
1.00%
男児40歳第一子総数
割合
0.80%
男児40歳第一子単産
0.60%
男児40歳第一子複産
0.40%
0.20%
0.00%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 年
- 55 -
-55-
図 35
40 歳以上の母親から生まれた第一子における分娩週数別の出生数(男児・単産)
1600
1400
1200
1980
1000
1985
800
1990
1995
600
2000
400
2005
200
2010
0
図 36
40 歳以上の母親から生まれた第一子における分娩週数別の出生数(女児・単産)
1600
1400
1200
1980
1000
1985
800
1990
1995
600
2000
400
2005
200
2010
0
- 56 -
-56-
図 37
40 歳以上の母親から生まれた第一子における平均出生体重(男児)
4
3.5
3
1980
2.5
1985
2
1990
1.5
1995
2000
1
2005
0.5
2010
23週
24週
25週
26週
27週
28週
29週
30週
31週
32週
33週
34週
35週
36週
37週
38週
39週
40週
41週
42週~
0
図 38
40 歳以上の母親から生まれた第一子における平均出生体重(女児)
4
3.5
3
1980
2.5
1985
2
1990
1.5
1995
2000
1
2005
0.5
2010
23週
24週
25週
26週
27週
28週
29週
30週
31週
32週
33週
34週
35週
36週
37週
38週
39週
40週
41週
42週~
0
- 57 -
-57-
図 39
40 歳以上の母親から生まれた児の出産順位(単産・複産、男女とも)
60.00%
40歳以上
順位別割合
年次推移
50.00%
40.00%
第1子
30.00%
第2子
20.00%
第3子~
10.00%
0.00%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
図 40
年
多胎妊娠割合の年次推移
2.5%
2.0%
1.5%
複産
1.0%
0.5%
0.0%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
図 41
(年)
年齢別多胎割合の年次推移
4.0%
3.5%
3.0%
~19歳
2.5%
20~24歳
2.0%
25~29歳
30~34歳
1.5%
35~39歳
1.0%
40歳~
0.5%
0.0%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
- 58 -
-58-
年
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
九州・沖縄母子保健研究、福岡小児健康調査、大阪母子保健研究のデータを
用いた出生時体格に関する疫学研究
研究分担者
三宅
吉博
(愛媛大学大学院医学系研究科
公衆衛生・健康医学)
研究協力者
田中
景子
(愛媛大学大学院医学系研究科
統合医科学)
大久保
公美(国立保健医療科学院
生涯健康研究部)
研究要旨
Low birth weight (LBW)、preterm birth (PTB)、small-for-gestational-age (SGA)のリスク要因
及びこれらを曝露要因として3歳児におけるアレルギー疾患と齲蝕との関連を調べた。出生
時体重2500g未満をLBW、出生時37週未満をPTBと定義した。2010年の板橋らによる在胎期
間別出生時体格標準値に従い、性別、初産経産別、在胎週別に出生体重が10パーセンタイ
ル未満をSGAと定義した。
九州・沖縄母子保健研究では、1565名のうち、7.7%がLBW、4.0%がPTB、7.8%がSGAで
あった。妊娠中全く喫煙しなかった母親に比較し、妊娠中を通して喫煙をした母親では、
有意にSGAの子供を持つリスクが高まった(adjusted OR = 2.87; 95% CI: 1.11−6.56)。妊娠
中の母親の喫煙状況とPTBのリスクとの間に有意な正の量・反応関係を認めた(P for linear
trend = 0.048)。妊娠中の母親の喫煙状況と出生時体重との間に有意な負の関連を認め、妊
娠中を通して喫煙をした母親の子は、全く喫煙をしていない母親の子に比較して、補正後
169.6 g出生時体重が低かった(P for trend = 0.005)。アルコール非摂取に比較して、1日当
たり1 g以上のアルコール摂取では、PTBのリスクの高まりと有意な関連を認め、補正オッ
ズ比は2.58 (95% CI: 1.004−5.80)であった。その量・反応関係はP値が0.03と有意であった。
福岡小児健康調査は2055名を対象とした横断研究である。8.4%がLBW、4.7%がPTB、7.1%
がSGAであった。LBW、PTB、SGAとも喘鳴、喘息、アトピー性皮膚炎いずれとも関連を
認めなかった。PTBは乳歯齲蝕と負の関連を示す傾向を認めた(adjusted prevalence ratio =
0.60; 95% CI: 0.36−1.02)。LBW及びSGAと乳歯齲蝕との間には有意な関連を認めなかった。
大阪母子保健研究では、858組の母子を対象とした。日本茶・中国茶とPTBとの間に有意
な正の関連が認められた[コップ1杯増に対し、補正オッズ比は1.14 (95% CI: 1.00-1.30), P
for trend = 0.04]。
さらなるエビデンスの蓄積が必要である。
A.研究目的
のリスク要因として妊娠中の喫煙及びアル
出生前コーホート研究である「九州・沖
コール摂取との関連を評価した。また、福
縄母子保健研究」のデータを用いて、出生
岡小児健康調査のデータを用いて、出生低
低体重、早産、small-for-gestational-age (SGA)
体重、早産、SGA と 3 歳児における喘鳴、
- 59 -
-59-
喘息、アトピー性皮膚炎、齲蝕有症率との
(測定)
関連を調べた。さらに、大阪母子保健研究
ベースライン調査、第 2 回調査とも自記
のデータを用いて、妊娠中カフェイン摂取
式質問調査票を用いて情報を得た。研究事
と出生低体重、早産、SGA との関連を調べ
務局スタッフは記入漏れや非論理的な回答
た。
について、電話等により確認した。
ベースライン調査では、母親の年齢、居住
B.方法
地域、子数、家族構成、教育歴、就業状況、
1.九州・沖縄母子保健研究
家庭及び職場での受動喫煙に関する情報を
(対象者)
九州・沖縄母子保健研究の研究対象候補者
は九州及び沖縄在住の妊婦である。2007 年 4
月から 2008 年 3 月まで、福岡県内 131 産科
医療機関に九州・沖縄母子保健研究に関する
リーフレット、調査説明受諾同意書、返信用
封筒から成る一式を可能な限り全ての受診
している妊婦に手渡して頂くよう、お願いし
た。2007 年 5 月から 2008 年 3 月まで、沖縄
県内 40 産科医療機関にも同様のお願いをし
た。さらに、2007 年 8 月から 2008 年 3 月ま
で、宮崎県、大分県、熊本県、長崎県、鹿児
島県、佐賀県内 252 産科医療機関にも一式の
手渡しを依頼した。
年に就業していた場合、雇用有りと定義した。
また、ベースライン調査では、食事歴法質問
調査票(DHQ)を用い、過去 1 ヶ月間のアル
コール摂取量を評価した。ビール、日本酒、
焼酎、酎ハイ、ウイスキー、ワインの摂取頻
度と 12 ポーションサイズから 1 日当たりの
アルコール摂取量を算出した。DHQ では、
身長と体重に関するデータを得ており、body
mass index を算出した。
第 2 回調査では、妊娠初期(妊娠 15 週ま
で)、妊娠中期(16~27 週)、妊娠後期(28
週以降)ごとの母親の喫煙状況に関する情報
と出生時妊娠週、出生時体重、子の性別に関
調査に興味を持った妊婦は調査説明受諾
同意書に氏名と住所、連絡先、電話による連
絡希望時間を記入し、福岡大学研究事務局に
返送した。研究事務局はその情報に基づき、
電話連絡し、調査の詳細な説明をした。最終
的に 1757 名の妊娠 5 週から 39 週までの妊婦
が調査参加に同意し、妊娠中のベースライン
調査を完了した。1757 名のうち、1590 名
(90.5%)が出生直後の第 2 回調査に参加し
た。このうち、多胎児であった母子 23 組と
生まれた子の性別の情報が欠損していた 2 組
を除き、1565 組の母子で解析を行った。
九州・沖縄母子保健研究は福岡大学医の倫
理審査委員会の承認を得ている。
得た。ベースライン調査時の年或いはその前
する情報を得た。
出生時体重 2500g未満を Low birth weight
(LBW)、出生時 37 週未満を preterm birth (PTB)
と定義した。2010 年の板橋らによる在胎期間
別出生時体格標準値に従い、性別、初産経産
別、在胎週別に出生体重が 10 パーセンタイ
ル未満を SGA と定義した。
(統計解析)
ベースライン時の母親の年齢、居住地域、
子数、家族構成、母親の教育歴、母親の雇用
状況、ベースライン調査前 1 ヶ月間のアルコ
ール摂取、body mass index、出生時妊娠週、
子の性別を交絡因子として補正した。
- 60 -
-60-
能動喫煙は以下の 4 カテゴリーに分類し
質問調査票には、International Study of
た:1)妊娠中を通して非喫煙; 2)妊娠初期のみ
Asthma and Allergies in Childhood (ISAAC)に
喫煙; 3)妊娠通してではないが、中期或いは後
基づくアレルギー疾患に関する質問を含ん
期に喫煙; 4)妊娠中通して喫煙。
だ。
「最近 12 ヶ月の間に、胸がゼイゼイまた
はヒューヒューしたことがありますか。」の
多変量ロジスティック回帰分析と共分散
質問に「はい」と回答した場合、喘鳴有りと
分析を用いた。
受動喫煙の解析では、母親が妊娠中に全く
定義した。さらに、「今までに喘息になった
喫煙しなかった 1427 組の母子を対象に解析
ことがありますか。」の質問にも「はい」と
を行った。
回答した場合、喘息有りと定義した。肘の内
アルコール摂取との関連については、ベー
側、膝の裏側、足首の前面、おしりの下、首
スライン時の母親の年齢、居住地域、子数、 や耳や眼のまわりにかゆみを伴う皮疹を過
家族構成、母親の教育歴、母親の雇用状況、 去 1 年の間に認めた場合、アトピー性皮膚炎
body mass index、妊娠中喫煙、出生時妊娠週、
有りと定義した。
母子健康手帳から、歯科健康診査及び出生
子の性別を交絡因子として補正した。
アルコール摂取は以下の 3 カテゴリーに分
時体格に関する情報を質問調査票に転記し
類した:1)非摂取; 2)1 日当たり 1 g 未満; 3) 1
た。処置歯、未処置歯、喪失歯のいずれかを
日当たり 1 g 以上。
1 歯以上有している場合、齲蝕ありと定義し
た。出生時体重 2500g未満を LBW、出生時
2.福岡小児健康調査
37 週未満を PTB と定義した。2010 年の板橋
(対象者)
らによる在胎期間別出生時体格標準値に従
研究対象候補者は 2006 年 6 月から 2007 年
1 月まで福岡市全 7 区で実施された 3 歳児健
い、性別、初産経産別、在胎週別に出生体重
が 10 パーセンタイル未満を SGA と定義した。
康診査を受診した全ての子供(8269 名)であ
る。健康診査会場で、研究スタッフが質問調
(統計解析)
査票と返信用封筒から成る調査キット一式
アレルギー疾患との関連については、性別、
を保護者に手渡し、8064 名が受け取った。最
兄弟数、母乳摂取期間、両親の教育歴、両親
終的に、2109 名の保護者が回答済み質問調査
のアレルギー疾患既往、妊娠中の母親の喫煙、
票を研究事務局に返送した(参加率:25.5%)。 出生後の家庭での受動喫煙、出生時の妊娠週
研究スタッフは電話で記入漏れや非合理的
を交絡因子として補正した。齲蝕との関連で
回答を確認した。本研究では、用いる変数に
は、性別、歯磨き頻度、フッ化物の使用、定
欠損のない 2055 名(24.9%)を解析対象とし
期的歯科健診、間食頻度、母乳摂取期間、両
た。
親の教育歴、母親の妊娠中の喫煙、家庭での
福岡小児健康調査は福岡大学医の倫理審
査委員会の承認を得ている。
受動喫煙及び出生時の妊娠週を交絡因子と
して補正した。
(測定)
- 61 -
-61-
3.大阪母子保健研究
各対象者のカフェイン摂取量を算出した。
(対象者)
なお、30-69 歳の日本人妊娠女性を対象に実
平成 13 年(2001 年)11 月から平成 15 年
施した妥当性研究において、16 日間食事記
(2003 年)3 月に大阪府寝屋川市において母
録と DHQ から推定したカフェインおよび
子健康手帳交付時に、全ての妊婦さんに調
各飲料の値の相関を調べたところ、カフェ
査の参加をお願いし、627 名(全妊婦の
インのスピアマン順位相関係数は 0.37、日
17.2%)の参加を得た。さらに、大阪府下 6
本茶・中国茶は 0.59、紅茶は 0.52、コーヒ
市町の妊婦教室への参加者、4産科医療機
ーは 0.75、清涼飲料水は 0.28、アルコール
関に通院している妊婦にも調査への参加を
は 0.84 であった。
お願いし、375 名が受諾した。最終的に 1002
第 2 回調査では、出産歴、妊娠中の喫煙
名の妊娠 5 週~39 週までの妊婦が本調査参
状況、妊娠中の食事の変化、妊娠中の医学
加に同意し、妊娠中のベースライン調査を
的健康所見および子どもの性別、出生時身
完了した。このうち、867 名が生後 4 ヶ月
体計測値に関する情報を得た。そして、出
時前後の第 2 回調査に参加した。そして、
生時体重 2500g 未満を LBW、出生時 37 週
多胎児であった母子 7 組、出生時体重の情
未満を PTB と定義した。2010 年の板橋らに
報が欠損していた 2 組を除き、858 組の母
よる在胎期間別出生時体格標準値に従い、
子で本解析を行った。
性別、初産経産別、在胎週別に出生体重が
10 パーセンタイル未満を SGA と定義した。
(測定)
ベースライン調査、第 2 回調査ともに自
(統計解析)
カフェイン摂取は、4 分位に分類した。
記式質問調査票を用いて、情報を収集した。
研究事務局スタッフは、記入漏れや非論理
カフェインを多く含む飲料は、以下の4カ
的な回答について、電話等により直接対象
テゴリーに分類した:日本茶・中国茶 0-1
者に確認した。
杯/日、2-3 杯/日、4-5 杯/日、6 杯/日以上;
ベースライン時に、母親の年齢、身長、
コーヒー、紅茶、清涼飲料水 0 杯/日、1 杯/
体重、妊娠週数、教育歴、職業、家族構成、
日、2 杯/日、3 杯/日以上。各飲料の 1 杯は、
葉酸・ビタミン B 群のサプリメントの使用
日本茶・中国茶、コーヒー、紅茶は 150 ml、
状況に関する情報を得た。また DHQ を用い
清涼飲料水は 200 ml である。
て過去 1 か月間のカフェインおよび飲料の
カフェインならびにカフェインを多く含
摂取状況を評価した。妊娠中におけるカフ
む飲料の摂取状況と出生時アウトカムとの
ェイン摂取量を推定するために、すでに論
関連を検討するために、ロジスティック回
文で公表されているカフェインデータを使
帰分析を用いた。この時に、母親の年齢、
用した。DHQ に掲載されているカフェイン
身長、ベースライン時の妊娠週数、BMI、
を多く含むであろうと思われる食品ひとつ
教育歴、職業、家族構成、出産歴、妊娠中
ひとつに対し、カフェイン値(mg/100g 食
の喫煙状況、妊娠中のアルコール摂取量、
品)を当てはめた。そして、各食品のカフ
エネルギー摂取量、葉酸・ビタミン B 群サ
ェイン含有量とその食品の摂取頻度とポー
プリメント使用の有無、食事の変化、妊娠
ションサイズを乗じ、すべての値を合計し、
中の医学的所見、児の性別を交絡要因とし
- 62 -
-62-
て補正した。
女間の交互作用は統計学的に有意ではなか
った。同様に、妊娠中の母親の喫煙状況と出
C.結果
生時体重との有意な負の関連も男児のみで
1.九州・沖縄母子保健研究
認めた。
母親の平均年齢は 31.3 歳であった。平均出
家庭或いは職場での妊娠中の受動喫煙は
生時体重は 3006.3 g であった。1565 名のうち、 いずれの出生時アウトカムとも関連を認め
120 名(7.7%)が LBW、62 名(4.0%)が PTB、 なかった。
122 名(7.8%)が SGA であった。
(妊娠中アルコール摂取との関連)
(妊娠中喫煙との関連)
非摂取に比較して、1 日当たり 1 g 以上の
妊娠初期、中期、後期に喫煙をした母親の
アルコール摂取では、PTB のリスクの高ま
平均喫煙本数は、それぞれ 10 本、5 本、5 本
りと有意な関連を認め、補正オッズ比は
であった。妊娠中全く喫煙歴のなかった母親
2.58 (95% CI: 1.004−5.80)であった。その
に比較し、妊娠中を通して喫煙をした母親で
量・反応関係は P 値が 0.03 と有意であった。
は、統計学的に有意に SGA の子供を持つリ
妊娠中におけるアルコール摂取と LBW、
スクが高まった(adjusted OR = 2.87; 95% CI:
SGA、出生体重との間に有意な関連を認め
1.11−6.56)。一方、妊娠初期のみの喫煙では、
なかった。
リスクが 47%低下したが、統計学的に有意な
関連は認めなかった。妊娠通してではないが、
2.福岡小児健康調査
13%の子供の母親が妊娠中に喫煙しており、
中期或いは後期に喫煙では、1.9 倍リスクが
44%で出生後に受動喫煙があった。平均出生
高まったものの統計学的に有意ではなかっ
た。その正のトレンドは有意であった(P for
linear trend = 0.04)。妊娠中の母親の喫煙状況
と PTB のリスクとの関連については、正のト
レンドは有意であったものの(P for linear
時体重は 3016.0 g であり、8.4%が LBW、4.7%
が PTB、7.1%が SGA であった。
(アレルギー疾患との関連)
過去 1 年における喘鳴、喘息、アトピー性
trend = 0.048)、いずれの補正オッズ比も統計
学的に有意ではなかった。妊娠中の母親の喫
煙状況と LBW との間には有意な関連は認め
皮膚炎の有症率はそれぞれ 22.1%、9.0%、
17.5%であった。
LBW、PTB、SGA とも喘鳴、喘息、アトピ
なかった。妊娠中の母親の喫煙状況と出生時
体重との間に有意な負の関連を認め、妊娠中
ー性皮膚炎いずれとも関連を認めなかった。
妊娠中の母親の喫煙状況により対象者を 2
を通して喫煙をした母親の子は、全く喫煙し
ていない母親の子に比較して、補正後 169.6 g
出生時体重が低かった(P for trend = 0.005)。
男女別に解析したところ、妊娠中の母親の
喫煙状況と SGA リスクとの有意な正の関連
は男児のみで認められた。しかしながら、男
群に分けて解析したところ、妊娠中に喫煙し
ていた母親の子供において、PTB と喘息との
正の関連が認められた一方(adjusted OR =
4.71; 95% CI: 0.97−21.39)、妊娠中に喫煙して
いない母親の子供においては、負の関連が認
められ(adjusted OR = 0.64; 95% CI:
- 63 -
-63-
0.22−1.49)、その交互作用は統計学的に有意
カムとの関連を調べたところ、日本茶・中
であった(P = 0.04)。
国茶と PTB との間に有意な正の関連が認め
られた[コップ 1 杯増に対し、補正オッズ
比は 1.14(95% CI:1.00−1.30)、傾向性の
(齲蝕との関連)
齲蝕有症率は 20.7%、一人平均齲蝕経験歯
P 値は 0.04]
。日本茶・中国茶を 1 日あたり
数は、0.70 であった。およそ 40%の子供達が
0-1 杯飲む女性に比べて、6 杯以上飲む人は
1 日 2 回以上の歯磨きをしており、44%の子
供達は、定期的な歯科健診を受診していた。
41%の子供達が 1 日 2 回以上の間食を摂って
いた。母乳摂取期間が 12 ヶ月以上の子供は
およそ 45%であった。13%の子供の母親が妊
PTB のリスクが約 4 倍も高い傾向が認めら
れた。なお、他の検討した飲料と出生時ア
ウトカムとの関連は認められなかった。
D.考察
1.九州・沖縄母子保健研究
娠中に喫煙しており、44%で出生後に受動喫
煙があった。
PTB は乳歯齲蝕と負の関連を示す傾向を
認めた(adjusted prevalence ratio = 0.60; 95%
CI: 0.36−1.02, P = 0.06)。LBW 及び SGA と乳
歯齲蝕との間には統計学的に有意な関連を
ギリシャの出生前コーホート研究では、妊
娠 12 週での母親の能動喫煙は LBW と SGA
のリスクの高まりと有意に関連し、PTB とは
関連がなかった。一方、妊娠 12 週までに禁
煙した場合、いずれのアウトカムとも関連が
なかった 1。ニュージーランドとオーストラ
認めなかった。
リアで実施されたコーホート研究では、妊娠
妊娠中の母親の喫煙状況により対象者を 2
群に分けて解析したところ、PTB と乳歯齲蝕
との負の関連は、妊娠中に喫煙していた母親
の子供(adjusted prevalence ratio = 0.84; 95%
CI: 0.33−2.15)より、妊娠中に喫煙していな
い母親の子供(adjusted prevalence ratio = 0.55;
95% CI: 0.29−1.01)で顕著であったが、その
交互作用は統計学的に有意でなかった(P =
0.42)。
15 週までに禁煙した場合に比べて、15 週に
喫煙している場合、PTB と SGA のリスクが
有意に高まった 2。オランダの Generation R
研究でも受胎後喫煙を持続すると PTB と
LBW のリスクが有意に高まり、受胎後禁煙
ではそれらアウトカムと関連を認めなかっ
た 3。ブラジルの回顧的コーホート研究では、
妊娠中通しての母親の喫煙は LBW と SGA の
リスクの高まりと有意に関連し、妊娠初期の
禁煙では有意な関連はなかった 4。米国の出
3.大阪母子保健研究
妊娠中における母親のカフェイ摂取と
生前コーホート研究でも妊娠中通しての母
PTB との間に有意な正の関連が認められた
親の喫煙は SGA のリスクの高まりと有意に
[100 mg カフェイン摂取増に対し、補正オッ
関連し、妊娠初期のみの SGA リスクと非喫
ズ比は 1.28(95% CI:1.03, 1.58)、傾向性
煙者の SGA リスクは同等であった 5。本研究
の P 値は 0.03]。一方、母親のカフェイン摂
の能動喫煙に関する結果はこれら過去の研
取と LBW および SGA リスクとの間に関連
究結果と部分的に一致する。
は認められなかった。続いて、カフェイン
ドイツの研究では妊娠中の母親の喫煙に
を多く含む飲料の摂取状況と出生時アウト
よる平均出生時体重や SGA リスクへの悪い
- 64 -
-64-
影響は男児より女児において大きかった 6。
供では、3000 g 未満の出生時体重と SGA で
本研究結果とは一致しなかった。
妊娠中の母親の受動喫煙と出生時アウト
は、有意に喘息の有症率が高かった 17。
カムとの間に関連がなかったという過去の
では LBW と喘息との間に有意な正の関連を
報告が有り、本研究結果と一致した
7-9
。し
かしながら、Generation R 研究では、妊娠
25 週以降に 1 日 3 時間以上の受動喫煙では、
有意に LBW のリスクの高まりと関連を認
めた 3。ニュージーランドの症例対照研究で
も、母親の受動喫煙と SGA リスクとの有意
な正の関連が報告されている
10
。前述のブ
ラジルの研究では、パートナーが妊娠中に
喫煙していた場合、SGA のリスクが有意に
1928-1952 年に生まれたスウェーデンの双子
認めた 18。スウェーデンの 2-11 歳では、LBW、
PTB、子宮内発育不全と喘息との有意な正の
関連を認めた 19。6-19 歳のスウェーデン人で
は、37 週未満及び 37-38 週の妊娠週で、喘息
有症率が有意に高まった 20。
11-12 歳のスウェーデンの子供で、喘息に
関し、LBW と妊娠中の母親喫煙との間に強
い交互作用を認めた 21。我々の研究では、妊
娠中の母親の喫煙が、PTB と喘息との関連に
上昇した 4。
米国の研究では、妊娠7ヶ月におけるアル
影響する可能性が示された。
本研究では PTB は乳歯齲蝕と負に関連す
コール量 0.10 oz 以下で定義される少量の摂
取が LBW と PTB リスクと有意な正の関連を
認めたが、0.10 oz より多く 0.25 oz 以下の中
等量アルコール摂取では PTB のみと有意な
正の関連を認めた 11。この結果は我々の結果
と部分的に一致する。別の米国の研究では、
る傾向を認めた。これは PTB と小児齲蝕との
正の関連を示した米国における 3-5 歳児を
対象とした横断研究の結果とは異なる 22。一
方、今回の解析では LBW 及び SGA と齲蝕と
の間には統計学的に有意な関連を認めなか
った。ブラジルの 6 歳児における横断研究で
妊娠中における中等量アルコール摂取は
PTB ではなく、LBW と子宮内発育不全リス
ク上昇との間に有意な関連を認めた 12。カナ
ダの研究では、少量のアルコール摂取と LBW、
PTB、SGA との間に有意な負の関連を認めた
13
。スペインの研究では、妊娠中における 1
日当たり 6 g 未満のアルコール摂取は LBW
のリスク低下と有意な関連を認めた 14。これ
も、LBW と重度の齲蝕との間に関連はなか
った 23。LBW と齲蝕との関連については、4
つの研究に基づく 2001 年のシステマティッ
ク・レビューで、LBW は乳歯齲蝕のリスク
要因であるというエビデンスは得られてい
ない 24。SGA に関しては、米国の 2-5 歳児
を対象とした横断研究で、統計学的に有意で
ないものの、齲蝕と負の関連を示した 22。
らの結果は本研究結果と矛盾する。
オーストラリアにおける縦断研究では、52
ヶ月の小児においてエナメル質形成不全や
2.福岡小児健康調査
米国の子供では、出生時体重、妊娠週、在
胎発育と 2 歳までの喘鳴、喘息との間に関連
はなかった 15。デンマークの新兵の研究でも、
LBW、PTB と喘息及びアトピー性皮膚炎との
間に関連はなかった 16。台湾の 13-16 歳の子
白斑のような enamel defects の有症率が、
full-term normal birth weight の子供達より、
PTB の子供達で高いことを示した 25。このよ
うな enamel defects は齲蝕のリスクを上昇さ
せそうであるが、これらの 2 グループ間で齲
- 65 -
-65-
蝕の有症率に差はなかった。さらにブラジル
去 1 か月間であり、妊娠 5 週から 39 週まで
の 0-3 歳児を対象とした横断研究では、一
の広い範囲にわたっているため、出生時ア
人平均齲蝕経験歯数は PTB よりもむしろ、
ウトカムに対する母親のカフェインの影響
full term birth の子供達で高かった 26。今回の
の”certain time window”を評価することがで
解析で認められた PTB が齲蝕と負に関連す
る傾向は、PTB の子供達は、full term birth の
子供達に比較すると、医療機関によるフォロ
ーアップの機会が多く、そのため口腔保健も
含め様々な健康関連情報に接する機会が多
きない。母親のカフェインの影響は妊娠期
間中通して続くことが先行研究で報告され
ているように
30
、妊娠週数によって対象者
を前半と後半の 2 つに分けて同様の解析を
行ったが、結果に違いは認められなかった。
いことによるのかもしれない。あるいは単に
E.結論
偶然によるものなのかもしれない。
1.九州・沖縄母子保健研究
本邦で初めて妊娠中を通した喫煙が SGA
3.大阪母子保健研究
のリスクを高め、出生時体重減少と関連す
15 のコーホート研究と 7 つの症例対照研
る一方、妊娠初期のみの喫煙はいずれのア
究からなるメタアナリシスでは、母親のカ
ウトカムとも関連がなかったことを示した。
フェイン摂取と PTB との関連は認められて
本邦で初めて妊娠中におけるアルコール
いない 27。また最近のメタアナリシスでは、
摂取が PTB のリスクを高めたことを示した。
1 日あたりのカフェイン摂取が 100 ㎎増加
するにつれ、LBW は 7%(相対危険度は 1.07、
2.福岡小児健康調査
95%CI:1.01、1.12)、SGA は 10%(相対危
本邦で初めて出生時体格と 3 歳児におけ
険度は 1.10、95%CI:1.06、1.14)増加する
るアレルギー疾患有症率との間に関連がな
28
。しかし、PTB リスク
かったことを示した。しかしながら、喘息
との関連は見られていない(相対危険度は
に関し、PTB と妊娠中の母親の喫煙との間
1.02、95%CI:1.06、1.12)。他のメタアナ
に有意な交互作用を検出した。
と推定されている
リシスにおいても、同様の推定値が得られ
29
本邦で初めて出生時体格と 3 歳児におけ
。これらの結果は、我々の結果と
る乳歯齲蝕有症率との関連を調べた。今回
は一致しなかった。その理由として、民族、
の解析では、出生時体格(LBW、PTB、SGA)
考慮した交絡要因、使用した食事調査法、
と 3 歳児における齲蝕有症率との間に、統
そして何よりもカフェインの由来食品の違
計学的に有意な関連は認めなかったが、
いに由来するものかもしれない。
PTB は齲蝕と負に関連する傾向を認めた。
ている
方法論的な課題として、本研究で使用し
た DHQ には、日本茶・中国茶、コーヒー、
3.大阪母子保健研究
紅茶については、それぞれ単一の質問から
本邦で初めて妊娠中における母親のカフ
なり、これらの抽出方法(抽出、缶/ボトル、
ェインおよび日本茶・中国茶の高摂取が
インスタント)や種類に関する情報が含ま
PTB のリスク上昇に関係していることを示
れていない。そのため、カフェインレスの
した。
飲料の影響を考慮できていない。また、カ
フェインや各飲料の摂取の評価期間は、過
- 66 -
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なし
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平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
周産期・出生後データベースを利用した
早産児や低出生体重児の増加の原因の検討と早産児の予後に関する研究
研究分担者
頼藤
貴志(岡山大学大学院環境生命科学研究科)
研究要旨
昨今、早産児や低出生体重児が増加し、その後の予後が懸念されている背景を受け、聖
隷浜松病院総合周産期母子医療センター・産科を受診した母体とその母体から出生した児
からなる周産期データベースと厚生労働省が実施している21世紀出生児縦断調査のデータ
を利用し、早産児や低出生体重児の増加の原因の検討と早産児の予後に関する検討を行っ
た。結果として、早産児、特に医療的介入を受けて産まれた早産児が増加しており、早産
児の増加と低出生体重児の増加とも医療的介入の変化によって一番説明されていた。短期
的予後は悪くなかったものの、出生後データベースでの検討においては、一番増加してい
ると考えられる32~36週の早産児でも健康・発達に影響が見られており、今後32~36週の
早産児の増加には注意すべきであると考えられ、また医療的介入によって出生した児の予
後の追跡が必要になると考えられる。
A.研究目的
まず、周産期データベースにおいては、
昨今、早産児や低出生体重児が増加し、
1997 年から 2012 年の間に聖隷浜松病院総
その後の予後が懸念されている背景を受
合周産期母子医療センター・産科を受診し
け、聖隷浜松病院総合周産期母子医療セン
た母体とその母体から出生した新生児を
ター・産科を受診した母体とその母体から
対象とした。合計、24,908 件の母児ペア
出生した児からなる周産期データベース
のデータベースが出来上がった。当該周産
と厚生労働省が実施している 21 世紀出生
期データベースは、母体の基礎的情報(年
児縦断調査のデータを取得し解析を行っ
齢、基礎疾患など)、母体の妊娠・分娩情
た。大きな目的としては、早産児や低出生
報、その母体より出生した児の体格・NICU
体重児の増加に寄与する要因の検討と早
入院歴などを継続的に記録しているもの
産児のその後の健康・発達に関する予後の
である。
検討を行うことである。その他、当該目的
に付随した仮説として、妊娠中や出生後の
本研究期間中は、当該周産期データベー
児の環境とその後の児の健康・発達に関す
スを用い、下記の仮説を掲げ、検証を行っ
る様々な研究に関し、両データベースを用
た。仮説①については後に詳述する。
いた検証を行った。
①早産児や低出生体重児の増加の原因の
B.方法
検討(平成 24 年度)
- 70 -
-70-
②妊娠中体重増加と出生児の状態評価の
ている背景を受け、早産児や低出生体重児
検討(平成 24 年度)
の増加の原因の検討を行った。
対象児を単胎の出生児に絞り、1997 年
③大気汚染と妊娠異常の関連の検討(平成
25 年度)
から 2010 年の間の、早産児(週数別、自
④社会的要因と母体年齢の早産・低出生体
発又は医療的介入の別)と低出生体重児
重児に与える影響の検討(平成 25 年度)
(全体と満期のみ)の経年変化を評価した。
⑤母体身長と低出生体重児の関連の検討
次に、期間を4つに分け(1997-2000、
(平成 25 年度)
2001-2003、2004-2006、2007-2010)、4つ
⑥妊娠中の両親の喫煙と出生児のアウト
の区間の間での属性と早産児・低出生体重
カムの関連の検討(平成 26 年度)
児の割合を比較した。
その後、1997-2000 年の期間をリファレ
次に、出生後のデータベースとして、厚
ンスとし、それぞれの期間で早産児・低出
生労働省が実施している 21 世紀出生児縦
生体重児がどれぐらい増えているのかの
断調査のデータを取得し、解析を行った。
指標としてオッズ比を推定した。その際、
当該調査は、2001 年 1 月 10 日~17 日、7
母体要因(年齢、経産回数、妊娠時 BMI、
月 10 日~17 日に国内で出生した児を対象
喫煙、職種、妊娠中の体重増加、飲酒)、
とし、縦断的に追跡を行ったものである。
産科的介入(帝王切開、誘発)、父親の喫
本研究期間中は、当該データベースを用
煙といった変数がどれだけ上記オッズ比
い、下記仮説を掲げ、検証を行った。仮説
を動かすかを評価した。
②については後に詳述する。
更に、新生児のアウトカム(アプガース
コア、血液ガス、NICU 入院)を上記4区
①出生児の身長とその後の健康状態の関
間で比較した。比較の際には、全対象児だ
連(平成 25 年度)
けでなく、早産児の種類別、低出生体重児
②出生時の週数とその後の疾病・発達の関
のみなどでの評価も行った。
連(平成 25 年度)
③母乳育児と肥満の関連(平成 25 年度)
【21 世紀出生児縦断調査データ】
④母乳育児と行動発達の関連(平成 25 年
早産児の増加を受け、早産児として出生
度)
してくる児のその後の健康や発達が懸念
⑤母乳育児と喘息による入院の関連(平成
26 年度)
されている(Boyle et al.,2012)。実際、
⑥睡眠と行動発達の関連(平成 26 年度)
早産児の割合が全世界的に近年増加して
⑦大気汚染と満期低出生体重児の関連(平
おり、特に moderate preterm と呼ばれる
成 26 年度)
32~36 週の満期に近い早産の割合が日本
および諸外国で増えている(Howson et
【聖隷浜松病院総合周産期母子医療セン
al.,2012)。これまで満期に近い早産児は、
ターデータベース】
健康及び発達に大きな影響がないと考え
最近の早産児や低出生体重児が増加し
られておりあまり研究はされていなかっ
- 71 -
-71-
た(Saigal et al.,2008)。その為、出生
飲酒なども幾分かは増加を説明していた
時週数と 2 歳半までの入院、2 歳半および
が、産科的介入、特に帝王切開を調整した
5 歳半時点での発達との関連を評価した。
時が、最もオッズ比が小さくなっていた。
解析の際は、新生児の要因(性別、単多胎
つまり、区間での早産児の割合の増加に寄
の別)、家族の要因(母親の年齢、喫煙状
与していた。同様な傾向は低出生体重児で
態、両親の教育歴)を調整した。また、公
も認められ、帝王切開が区間での割合の増
衆衛生学的なインパクトの大きさを示す
加を最も説明していた。
出生時の新生児のアウトカム(アプガー
指標である人口寄与危険度割合も推定し
スコア、血液ガス、NICU 入院)に関して
た。
は、どの指標も悪化しておらず、その傾向
C.結果
は医療的介入による早産児でも認められ
【聖隷浜松病院総合周産期母子医療セン
た(表3)。逆にアプガースコアや NICU
ターデータベース】
の入院の割合は改善していた。
当該データベースでも、早産児と低出生
例えば、NICU の入院に関して、様々な
体重児、特に医療的介入による早産児が、
変数を調整した後でも、1997-2000 年の期
2004-2006 年をピークに増加していた(表
間に比べ、2007-2010 年の期間は、オッズ
1)。一方、満期の低出生体重児や自発的
比 に し て 全 対 象 児 0.84 ( 95 % 信 頼 区
な早産児はあまり変化していなかった。す
間:0.75-0.95)、医療的介入による早産児
べての週数において早産児は増加してい
0.44(同:0.29-0.68)、28-33 週の早産児
たが、特に 34-36 週の早産児の増加が絶対
0.14(同:0.04-0.50)と改善していた。
数として著しかった。
医療的介入の早産児から陣痛を感じた
研究期間中、母親の平均年齢は上昇し、
対象者を除いても、また違う区間の区切り
35 歳以上の割合が 11.6%(1997-2000 年)
方を行ってみても、結果に大きな変化は認
から 23.0%(2007-2010 年)と増加してい
められなかった。
た。更に、妊娠前の BMI25 以上の母親の割
合も、妊娠中体重増加 10kg 以上の母親の
【21 世紀出生児縦断調査データ】
割合も増加していた。両親の喫煙割合は減
Moderate preterm と呼ばれる 32~36 週
少していたが、母親の喫煙歴がある割合は
の満期に近い早産児に着目して検討した
増加していた。産科的介入に関しては、不
ところ、32 週未満で生まれた子どもより
妊治療を受ける人、帝王切開を受ける人の
も入院のリスクは低かったものの、満期で
割合が増加していた。
生まれた子どもよりはリスクが高くなっ
1997-2000 年 と 比 較 し て 、 早 産 児 は
ていた(表4)。例えば、6 か月から 2 歳
2004-2006 年にはオッズ比で 1.37(95%信
半の入院に関しては、39-41 週をリファレ
頼 区 間 :1.20-1.56 )、 2007-2010 年 に は
ンスとすると、23-31 週出生でオッズ比は
1.20(同:1.06-1.35)と増加していた(表
3.6 (95%信頼区間:2.3-5.4)、32-36 週
2)。年齢、妊娠時の BMI、喫煙、職種、
出生で 1.4 (95%信頼区間:1.1-1.8)、37-38
- 72 -
-72-
週出生で 1.2 (95%信頼区間:1.0-1.3)と
り増加していなかった。このことは、最近
なっていた。人口寄与危険度割合でも、32
観測されている低出生体重児の増加は、早
週未満の早産児より大きくなっていた。
期の出生(早産)によるものと説明される。
妊娠前の痩せや妊娠中の少ない体重増
2 歳半および 5 歳半時点での発達に関し
加が低出生体重児のリスクファクターで
ても同様の傾向が見られた。2 歳半での発
あるため、最近の低出生体重児の増加には
達の結果を表5に示す。同じように、39-41
女性の痩せや妊娠中の不十分な体重増加
週に比べリスクは 23-31 週で最も高かっ
が寄与していると考えられているが、当該
たが、32-36 週でも上昇しており、人口
データベースでは逆に BMI25 以上の女性
寄与危険度割合では、23-31 週より 32-36
が増え、妊娠中の体重増加も十分確保でき
週の方が大きい傾向がみられた。
ており、これらの要因が増加を説明しては
いなかった。本当に痩せや妊娠中の少ない
D.考察
体重増加が、早産や低出生体重児の増加に
研究期間中、聖隷浜松病院総合周産期母
寄与しているのかの判断は長期的な視点
子医療センター・産科を受診した母体とそ
での検討が必要であると思われる。
の母体から出生した児からなる周産期デ
当該周産期データベースでは、早産児や
ータベースと厚生労働省が実施している
21 世紀出生児縦断調査のデータを取得し、
最近懸念されている、早産児や低出生体重
の予後について検討を主に行った。その他、
それに付随する、妊娠中や出生後の児の環
産科医が適切な時に介入していることが、
を行った。
NICU の発達とともに、日本の新生児・乳
結果として、当該周産期データベースに
児死亡率の改善に寄与していることが考
おいても、早産児や低出生体重児、特に医
えられる。しかしながら、これはあくまで
療的介入を受けて産まれた早産児が増加
も短期的なアウトカムに関したものであ
しており、自発的早産児より、医療的介入
り、長期的な早産児の予後に関する評価が
の早産児の方の増加が大きかった。この知
必要になると思われる。実際、海外では、
見は、海外の研究とも一致していた
Kramer
新生児死亡率の改善に寄与しているとい
研究結果を支持するものとなる。つまり、
な研究に関し、両データベースを用い検証
al.,1998;
の海外の研究でも、産科的介入が周産期・
う報告もあり、今回の結果はこれら過去の
境とその後の児の健康・発達に関する様々
et
の短期的アウトカム(アプガースコアや血
液ガスなど)は悪化していなかった。過去
児の増加の原因の検討と、早産児のその後
( Joseph
低出生体重児の増加にも関わらず、新生児
Moderate preterm と呼ばれる 32~36 週の
et
満期に近い早産児の将来的な予後は満期
al.,1998)。更に、医療的・産科的介入の
の児に比べて悪いことが報告されている。
中でも、帝王切開による増加がみられ、こ
その為、次に、21 世紀出生児調査デー
れは実際、国内での病院・診療所ともに帝
タを利用し、出生時の週数とその後の疾
王切開率が上昇していることとも一致し
病・発達の関連を検討した。上述したよう
ている(医療施設調査)
。
に、最近早産児、中でも moderate preterm
今回の研究では、早産児や低出生体重児
と言われる 32~36 週の早産児が世界的に
が増加する中、満期の低出生体重児はあま
- 73 -
-73-
増加している。今回の知見では、moderate
番増加していると考えられる 32~36 週の
preterm でも健康・発達に影響が見られて
早産児でも健康・発達に影響が見られてお
おり、人口寄与危険度割合で表される公衆
り、今後 32~36 週の早産児の増加には注
衛生へのインパクトの大きさでは 32 週未
意すべきであると考えら、また医療的介入
満の早産児より大きかった。これは海外の
によって出生した児の予後の追跡が必要
研究とも一致している。今後、moderate
になると考えられる。
preterm 児の増加には注意すべきである
F.健康危機情報
と考えられる。
なし
今回周産期データベースを利用した研
究で示された医療的介入が早産児や低出
生体重児を増加されているという知見は、
G.研究発表
総合周産期母子医療センターでの知見で
1.
Takashi Yorifuji, Hiroo Naruse, Saori
あり、一般人口と比べて、元々早産や低出
Kashima,
Takeshi
生体重児が多い集団である。その為、今回
Tsuguhiko
の知見が一般集団に外挿できるかという
Hiroyuki Doi, Ichiro Kawachi.
問題はあるが、海外の一般集団で行われた
Trends of Preterm Birth and Low
知見と同じ結果を示しており妥当な結果
Birth
ではないかと思われる。
Hospital-Based Study
Kato,
Weight
in
Murakoshi,
Sachiko
Japan:
Inoue,
A One
BMC Pregnancy and Childbirth 2012,
また、早産の予後をみた研究では、児が
12: 162
医療的介入で出生したのかの情報はなく、
2.
今後医療的介入によって生まれた児や早
Sachiko Inoue, Hiroo Naruse, Takashi
産児の将来的予後の追跡が必要になると
Yorifuji, Takeshi Murakoshi, Hiroyuki
思われる。
Doi, Ichiro Kawachi
周産期データベース、21 世紀出生児縦
Who is at risk of inadequate weight
断調査を用いたその他の仮説に関する記
gain during pregnancy? Analysis by
載は、各年度の報告書に詳述してある。
occupational status among 15,020
deliveries in a regional hospital in
Japan.
E.結論
周産期・出生後データベースを利用し、
Maternal and Child Health Journal
早産児や低出生体重児の増加の原因の検
2013; 17: 1888-1897
討と早産児の予後に関する検討を行った。
3.
Tsuguhiko Kato, Takashi Yorifuji,
結果として、早産児、特に医療的介入を受
Sachiko Inoue, Hiroyuki Doi, Ichiro
けて産まれた早産児が増加しており、早産
Kawachi. Association of Birth Length
児の増加と低出生体重児の増加とも医療
and Risk of Hospitalization among
的介入の変化によって一番説明されてい
Full-term Babies in Japan. Paediatric
た。短期的予後は悪くなかったものの、出
and Perinatal Epidemiology 2013; 27:
生後データベースでの検討においては、一
361-70
- 74 -
-74-
4.
Hiroyuki Doi. Outdoor Air Pollution
Hiroyuki
and Term Low Birth Weight in Japan.
Doi,
Ichiro
Kawachi.
Associations of Preterm Births with
Environment International 2015; 74:
Child
106-111
Health
The
6.
Takashi Yorifuji, Saori Kashima,
Sachiko Inoue, Michiyo Yamakawa,
Japanese
5.
9.
Tsuguhiko Kato, Takashi Yorifuji,
and
Development:
Study.
10. Michiyo Yamakawa, Takashi Yorifuji,
Pediatrics
Tsuguhiko Kato, Yoshitada Yamauchi,
Population-Based
Journal
of
163(6):1578-1584
Hiroyuki Doi. Breastfeeding and
Michiyo Yamakawa, Takashi Yorifuji,
Hospitalization for Asthma in Early
Sachiko
Inoue,
Tsuguhiko
Childhood: A Nationwide
Hiroyuki
Doi.
Breastfeeding
Kato,
Longitudinal Survey in Japan. Public
and
Obesity among Schoolchildren: A
Health Nutrition (published online)
Nationwide Longitudinal Survey in
11. Katsuhiro Kobayashi, Takashi Yorifuji,
Japan. JAMA Pediatrics 2013; 167:
Michiyo Yamakawa, Akiko Tokinobu,
919-25
Makio Oka, Sachiko Inoue, Harumi
Takashi Yorifuji, Toshihide Kubo,
Yoshinaga, Hiroyuki Doi. Poor
Michiyo Yamakawa, Tsuguhiko Kato,
toddler-age sleep schedules predict
SachikoInoue,
Akiko
school-age behavioral disorders in a
Hiroyuki
Breastfeeding
Behavioral
Doi.
Tokinobu,
longitudinal survey. Brain Dev.
and
Development:
(published online)
A
Nationwide Longitudinal Survey in
H. 知的財産権の出願・登録状況
Japan. The Journal of Pediatrics
なし
(published online)
7.
Takashi Yorifuji, Hiroo Naruse, Saori
Kashima,
Murakoshi,
Soshi
Takao,
Hiroyuki
Takeshi
Doi,
Ichiro
Kawachi. Residential Proximity to
Major Roads and Adverse Birth
Outcomes: A Hospital-Based Study.
Environmental Health 2013; 12: 34
8.
Takashi Yorifuji, Hiroo Naruse, Saori
Kashima, Takeshi Murakoshi,
Hiroyuki Doi. Residential Proximity
to Major Roads and Obstetrical
Complications. Science of the Total
Environment 2015; 508: 188-192
- 75 -
-75-
表1.両親と出生児の属性
出生児アウトカム (%)
早産児(37週未満)
34 - 36 週
28 - 33 週
22 - 27 週
医療的介入による早産児
自発的な早産児
低出生体重児
満期低出生体重児
性別、女児 (%)
両親の変数
母親の年齢、平均(歳)(標準偏差)
<25 (%)
25-35 (%)
>=35 (%)
妊娠時BMI、平均(標準偏差)
<=18.5 (%)
18.5-25 (%)
>=25 (%)
妊娠中体重増加、平均(kg)(標準偏差)
<5 (%)
5-10 (%)
10-15 (%)
>=15 (%)
母親の職業 (%)
専門的職業
会社員
自営業
パート
主婦
母親の飲酒習慣 (%)
母親の喫煙習慣 (%)
吸わない
喫煙歴あり
喫煙者
不妊治療
帝王切開
誘発
分娩数 (%)
第一子
第二子
三子以上
父親の喫煙 (%)
1997-2000
(n=5,515)
2001-2003
(n=3,927)
2004-2006
(n=4,025)
2007-2010
(n=5,754)
501 (9.1)
309 (5.6)
148 (2.7)
44 (0.8)
309 (5.6)
184 (3.3)
774 (14.0)
399 (7.2)
2607 (47.3)
412 (10.5)
256 (6.5)
124 (3.2)
32 (0.8)
256 (6.5)
150 (3.8)
601 (15.3)
292 (7.4)
1903 (48.5)
484 (12.0)
272 (6.8)
140 (3.5)
72 (1.8)
335 (8.3)
141 (3.5)
691 (17.2)
305 (7.6)
1909 (47.4)
614 (10.7)
367 (6.4)
181 (3.1)
66 (1.1)
398 (6.9)
212 (3.7)
908 (15.8)
417 (7.2)
2831 (49.2)
29.6 (4.4)
748 (13.6)
4128 (74.9)
637 (11.6)
20.6 (2.8)
1112 (20.2)
4021 (73.1)
371 (6.7)
8.8 (4.0)
700 (14.2)
2352 (47.6)
1632 (33.0)
260 (5.3)
30 (4.7)
514 (13.1)
2870 (73.1)
541 (13.8)
20.6 (3.0)
809 (20.7)
2820 (72.0)
287 (7.3)
8.8 (4.1)
538 (15.4)
1598 (45.8)
1140 (32.7)
212 (6.1)
30.5 (4.7)
486 (12.1)
2863 (71.1)
676 (16.8)
20.8 (3.2)
836 (20.9)
2829 (70.7)
334 (8.4)
9.2 (4.3)
543 (14.4)
1574 (41.7)
1380 (36.6)
278 (7.4)
31.2 (4.9)
616 (10.7)
3815 (66.3)
1323 (23.0)
20.9 (3.3)
1165 (20.3)
4056 (70.6)
524 (9.1)
9.6 (4.1)
573 (10.3)
2361 (42.5)
2141 (38.5)
481 (8.7)
408 (7.5)
1175 (21.6)
65 (1.2)
155 (2.9)
3627 (66.8)
384 (7.1)
337 (8.7)
905 (23.4)
46 (1.2)
177 (4.6)
2407 (62.2)
215 (5.6)
325 (8.4)
1005 (26.0)
39 (1.0)
136 (3.5)
2362 (61.1)
143 (3.6)
505 (10.1)
1548 (31.1)
45 (0.9)
213 (4.3)
2670 (53.6)
129 (2.3)
5210 (95.8)
54 (1.0)
176 (3.2)
597 (10.8)
1253 (22.7)
1637 (30.9)
3648 (94.4)
75 (1.9)
142 (3.7)
391 (10)
999 (25.4)
1020 (27.4)
3747 (94.5)
98 (2.5)
122 (3.1)
520 (12.9)
1170 (29.1)
927 (23.7)
5428 (94.7)
154 (2.7)
147 (2.6)
884 (15.4)
1648 (28.6)
1386 (24.7)
3023 (54.8)
1911 (34.7)
581 (10.5)
2696 (51.4)
2233 (56.9)
1282 (32.6)
412 (10.5)
1784 (48.2)
2280 (56.6)
1372 (34.1)
373 (9.3)
1656 (42.8)
3165 (55.1)
1924 (33.5)
651 (11.3)
1960 (35.6)
- 76 -
-76-
表2.早産児と低出生体重児の区間オッズ 比と95%信頼区間
1997-2000
2001-2003
早産児
素モデル
年齢を調整
分娩数を調整
BMIを調整
母親の喫煙を調整
母親の職業を調整
妊娠中の体重増加を調整
飲酒を調整
不妊治療を調整
帝王切開を調整
誘発を調整
父親の喫煙を調整
低出生体重児
素モデル
年齢を調整
分娩数を調整
BMIを調整
母親の喫煙を調整
母親の職業を調整
妊娠中の体重増加を調整
飲酒を調整
不妊治療を調整
帝王切開を調整
誘発を調整
父親の喫煙を調整
2004-2006
2007-2010
1
1.17 (1.02,1.35)
1.37 (1.20,1.56)
1.20 (1.06,1.35)
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1.17 (1.02,1.35)
1.17 (1.02,1.35)
1.17 (1.02,1.34)
1.16 (1.01,1.33)
1.17 (1.02,1.34)
1.26 (1.08,1.47)
1.17 (1.02,1.34)
1.16 (1.01,1.34)
1.13 (0.98,1.30)
1.16 (1.01,1.34)
1.21 (1.04,1.39)
1.36 (1.19,1.55)
1.37 (1.20,1.57)
1.33 (1.17,1.52)
1.34 (1.17,1.53)
1.34 (1.17,1.53)
1.53 (1.32,1.77)
1.35 (1.18,1.55)
1.36 (1.19,1.55)
1.24 (1.09,1.43)
1.33 (1.16,1.52)
1.43 (1.25,1.64)
1.18 (1.04,1.34)
1.19 (1.06,1.35)
1.19 (1.05,1.35)
1.19 (1.05,1.35)
1.23 (1.08,1.40)
1.52 (1.32,1.74)
1.19 (1.05,1.35)
1.19 (1.05,1.35)
1.09 (0.96,1.24)
1.17 (1.03,1.33)
1.25 (1.10,1.42)
1
1.11 (0.99,1.24)
1.27 (1.14,1.42)
1.15 (1.03,1.27)
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1.11 (0.99,1.24)
1.10 (0.98,1.24)
1.10 (0.98,1.24)
1.10 (0.98,1.23)
1.11 (0.99,1.24)
1.21 (1.07,1.38)
1.11 (0.98,1.24)
1.10 (0.98,1.24)
1.07 (0.95,1.20)
1.09 (0.96,1.22)
1.15 (1.02,1.29)
1.27 (1.13,1.42)
1.27 (1.14,1.42)
1.25 (1.12,1.40)
1.24 (1.11,1.39)
1.24 (1.11,1.39)
1.42 (1.25,1.60)
1.25 (1.11,1.40)
1.26 (1.13,1.41)
1.17 (1.04,1.31)
1.23 (1.10,1.38)
1.3 (1.16,1.46)
1.14 (1.03,1.27)
1.15 (1.03,1.27)
1.15 (1.03,1.27)
1.14 (1.03,1.27)
1.16 (1.04,1.29)
1.40 (1.25,1.57)
1.14 (1.02,1.26)
1.15 (1.04,1.28)
1.06 (0.95,1.18)
1.11 (1.00,1.24)
1.19 (1.07,1.33)
- 77 -
-77-
表3.アプガースコア、臍帯血pH、NICU入院
1997-2000
全対象児
7.8 (1.4)
アプガースコア1分、平均(標準偏差)
8.6 (0.9)
アプガースコア5分、平均(標準偏差)
7.30 (0.07)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
7.33 (0.07)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
809 (15.2)
NICU入院 (%)
早産児
タイプ別
医療的介入による早産児
5.3 (2.8)
アプガースコア1分、平均(標準偏差)
7.6 (1.8)
アプガースコア5分、平均(標準偏差)
7.29 (0.11)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
7.32 (0.10)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
256 (84.5)
NICU入院 (%)
自発的早産児
7.1 (1.9)
アプガースコア1分、平均(標準偏差)
8.1 (1.5)
アプガースコア5分、平均(標準偏差)
7.31 (0.08)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
7.34 (0.09)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
112 (62.6)
NICU入院 (%)
週数別
34 - 36週
7.1 (1.9)
アプガースコア1分、平均(標準偏差)
8.3 (1.2)
アプガースコア5分、平均(標準偏差)
7.3 (0.1)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
7.33 (0.09)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
191 (63.2)
NICU入院 (%)
28 - 33週
4.6 (2.8)
アプガースコア1分、平均(標準偏差)
7.4 (1.6)
アプガースコア5分、平均(標準偏差)
7.31 (0.09)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
7.33 (0.1)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
142 (97.3)
NICU入院 (%)
22 - 27週
2.7 (1.9)
アプガースコア1分、平均(標準偏差)
5.1 (2.4)
アプガースコア5分、平均(標準偏差)
7.28 (0.12)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
7.28 (0.11)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
38 (90.5)
NICU入院 (%)
低出生体重児
6.7 (2.4)
アプガースコア1分、平均(標準偏差)
8.2 (1.5)
アプガースコア5分、平均(標準偏差)
7.30 (0.09)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
7.33 (0.09)
臍帯動脈pH,、平均(標準偏差)
447 (59.4)
NICU入院 (%)
- 78 -
-78-
2001-2003
2004-2006
2007-2010
7.9 (1.3)
8.7 (0.9)
7.31 (0.07)
7.34 (0.08)
602 (15.8)
8 (1.2)
8.8 (0.8)
7.30 (0.07)
7.35 (0.07)
522 (13)
8 (1.2)
8.8 (0.7)
7.30 (0.07)
7.34 (0.07)
745 (12.9)
5.8 (2.7)
7.5 (2.1)
7.30 (0.09)
7.32 (0.09)
214 (85.3)
6.5 (2.4)
8.3 (1.7)
7.30 (0.10)
7.33 (0.1)
244 (72.8)
6.5 (2.4)
8.2 (1.6)
7.29 (0.09)
7.32 (0.10)
287 (72.1)
7.3 (2)
8.4 (1.2)
7.33 (0.08)
7.35 (0.09)
89 (59.7)
7.3 (1.8)
8.6 (1.1)
7.3 (0.10)
7.35 (0.13)
77 (54.6)
7.3 (2.1)
8.5 (1.4)
7.32 (0.08)
7.35 (0.10)
141 (66.5)
7.3 (1.9)
8.5 (1.1)
7.31 (0.08)
7.34 (0.09)
161 (63.6)
7.6 (1.6)
8.7 (1.1)
7.3 (0.08)
7.34 (0.1)
146 (53.7)
7.5 (1.7)
8.7 (1)
7.3 (0.07)
7.34 (0.08)
212 (57.8)
5.4 (2.6)
7.4 (1.9)
7.32 (0.09)
7.33 (0.09)
117 (95.9)
6.6 (2)
8.5 (1.4)
7.31 (0.1)
7.34 (0.1)
112 (80)
6.3 (2.5)
8.2 (1.5)
7.3 (0.11)
7.33 (0.12)
157 (86.7)
2.6 (2.1)
4.6 (2.5)
7.32 (0.07)
7.31 (0.08)
28 (90.3)
3.8 (2.3)
7.2 (2.6)
7.28 (0.14)
7.31 (0.15)
68 (94.4)
3.7 (2.5)
6.8 (2.4)
7.28 (0.12)
7.29 (0.14)
63 (95.5)
6.9 (2.3)
8.2 (1.6)
7.31 (0.08)
7.33 (0.09)
380 (64.3)
7.1 (2.1)
8.6 (1.4)
7.30 (0.09)
7.34 (0.10)
385 (55.7)
7.2 (2.1)
8.5 (1.3)
7.30 (0.08)
7.33 (0.09)
525 (57.8)
表4.週数と入院の関連
調整モデル*
OR (95%CI)
6か月から2歳半
3.6 (2.3-5.4)
23-31週
1.4 (1.1-1.8)
32-36週
1.2 (1.0-1.3)
37-38週
1 (ref.)
39-41週
人口寄与危険度割合
% (95%CI)
1.4 (1.1-1.6)
1.9 (0.7-2.8)
4.6 (1.1-7.6)
2歳半から5歳半
4.4 (2.8-7.0)
1.7 (1.4-1.9)
23-31週
1.6 (1.2-2.2)
2.5 (1.2-3.4)
32-36週
1.0 (0.9-1.2)
0.5 (-3.9-4.3)
37-38週
1 (ref.)
39-41週
*新生児の要因(性別、単多胎の別)、家族の要因(母
親の年齢、喫煙状態、両親の教育歴)を調整
表5.週数と2歳半での発達の関連
調整モデル*
OR (95%CI)
人口寄与危険度割合
% (95%CI)
走ることができない
31.6 (20.4-49.1)
12.4 (12.2-12.6)
23-31週
4.8 (3.2-7.1)
12.2 (10.6-13.2)
32-36週
1.1 (0.8-1.5)
2.2 (-6.1-8.2)
37-38週
1 (ref.)
39-41週
階段を上ることができない
12 (8.4-17.2)
4.6 (4.5-4.8)
23-31週
2.3 (1.7-3.0)
4.5 (3.4-5.4)
32-36週
1.4 (1.2-1.6)
8.7 (4.6-12.2)
37-38週
1 (ref.)
39-41週
意味のある言葉を言うことができない
11.4 (6.4-20.1)
5.2 (4.8-5.4)
23-31週
2.8 (1.8-4.3)
7.1 (5.0-8.5)
32-36週
1.3 (1.0-1.7)
8 (0.2-13.9)
37-38週
1 (ref.)
39-41週
2語文を言えない
5.7 (4.1-8.1)
2.3 (2.1-2.5)
23-31週
1.9 (1.6-2.4)
3.2 (2.3-4.0)
32-36週
1.1 (1.0-1.3)
3.9 (0.7-6.8)
37-38週
1 (ref.)
39-41週
自分の名前を言えない
11.4 (6.4-20.1)
5.2 (4.8-5.4)
23-31週
2.8 (1.8-4.3)
7.1 (5.0-8.5)
32-36週
1.3 (1.0-1.7)
8 (0.2-13.9)
37-38週
1 (ref.)
39-41週
スプーンを使って食べることができない
5.7 (4.1-8.1)
2.3 (2.1-2.5)
23-31週
1.9 (1.6-2.4)
3.2 (2.3-4.0)
32-36週
1.1 (1.0-1.3)
3.9 (0.7-6.8)
37-38週
1 (ref.)
39-41週
*新生児の要因(性別、単多胎の別)、家族の要因(母親の年齢、喫煙状態、両親
の教育歴)を調整
- 79 -
-79-
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
日本産科婦人科学会周産期登録データベースを用いた日本人の出生体重
ならびに新生児予後に関する疫学的検討
研究分担者
佐藤 昌司(大分県立病院総合周産期母子医療センター)
研究協力者
松田 義雄(国際医療福祉大学産婦人科)
中井 章人(日本医科大学多摩永山病院産婦人科)
研究要旨
日本産科婦人科学会周産期登録データベース(日産婦 DB)をデータソースとして以下の研究を行
った。
I.本邦における出生体重の減少(約 60g)の要因を明らかにするため、日産婦 DB に登録された
妊娠 37~41 週の生産児(2006 年:43,420 例、2010 年:56,099 例)について出生体重に影響のある交
絡因子について検討した。出生体重の減少には胎児数、喫煙、初産、性別が女児であることが関与し、
増加には妊娠前の身長、体重、BMI、体外受精、妊娠週数が関与していた。さらに、抽出された交絡
因子に関して共分散分析を用いて出生体重を調整した結果、調整後の出生体重差に差を認めなかっ
た。以上から、年次推移上の出生体重の減少にはこれらの諸要因が関与していること、体重減少の背
景には必ずしも自然推移のみでなく多胎、
不妊治療等を含めた人為的要因が関与していることがわか
った。
Ⅱ.日産婦 DB と新生児臨床研究ネットワーク DB(NRN-DB)のリンクを試み、DB 連結の可否
を明らかにするとともに、連結 DB を用いて硫酸マグネシウム(Mg)母体投与と極低出生体重
(VLBW)児の 3 歳時予後との関連を検討した。2003~2007 年の 40 施設の VLBW 児について DB
連結を行い、Mg 使用群(Mg+群)と未使用群(Mg-群)における 3 歳時予後項目を検討した結果、
両 DB のマッチングデータは 5,677 例で、双方の DB からみたマッチング率は 69.0%および 76.6%で
あった。マッチング例のうち、致死的形態異常、重篤な胎内感染などを除外した Mg+群(1,375 例)
、
Mg-群(2,254 例)で、妊娠週数、出生体重、Apgar 値および臍帯動脈血 pH、脳性麻痺、低 DQ 値
(<70)
、運動障害、てんかん、視力・聴力障害および予後良好例の頻度は両群間に有意差を認めな
かった。以上から、個人情報を削除した DB であっても、周辺情報を用いて高い回収率でデータ結合
が可能であること、および Mg 使用の有無は児の長期予後に大きな影響を与えていないことがわかっ
た。
Ⅲ.日産婦 DB のさらなる活用を見据え、本データベースの改変を行った。2012 年まで使用され
た日産婦 DB に関して、疫学的研究の視点から追加項目等の変更をアンケート調査し改変 DB を作成
した結果、入力項目は 2012 年以前の 121 項目から 230 項目とほぼ倍増した。主な改変点は、不妊治
療の選択肢の細分化、既往妊娠分娩歴、喫煙・飲酒歴、陣痛誘発・促進、産科合併症の疾患名、胎児
付属物所見、感染症、母体使用薬物および胎児心拍数陣痛図所見である。今後、改変 DB の活用およ
び児のフォローアップデータとのリンケージ等により、
母児情報を統合した疫学的検討が可能となる
ことが期待される。
- 80 -
-80-
A.研究目的
娠高血圧症候群、切迫早産治療例、胎児形
施設内全出産例を登録対象とした本邦で
態異常および胎児染色体異常を除外した
唯一のデータベースである日本産科婦人科
2006 年 10,861 例、および 2010 年 12,261 例
学会周産期登録データベース(日産婦DB)
を解析対象とした。両年における各々の症
を用いて、出生体重の年次推移に与える要
例に関して、出生体重、妊娠期間(週・日)、
因ならびに母体・胎児情報のリンケージを
妊娠前の母体身長および非妊時 BMI、妊娠
介した疫学的検討の可否を検討し、さらに、
中の体重増加、喫煙の有無、胎児数および
これらの成績を基礎に本DBの疫学的研究
経産回数、分娩様式ならびに体外受精施行
に即した改変を行う一連の目的を設定し
の有無をデータ抽出し、両年における出生
て、以下の検討を行った。
体重の推移ならびに出生体重に影響する交
Ⅰ.日産婦DBを用いて, 出生体重の年次推
絡因子の寄与率を検討した。統計学的解析
移と減少に関与する要因を明らかにする。
は、年次推移の検討には共分散分析、交絡
Ⅱ.日産婦DBと新生児臨床研究ネットワー
因子の検討には重回帰分析を用い、有意水
クDB(NRN-DB)の連結を試みることによ
準 5%未満を有意と判定した。
って、異なる背景および目的で構築された
Ⅱ.日産婦DBとNRN-DBの連結の可否ならび
日産婦DBおよびNRN-DBの両DBがどの程
に硫酸マグネシウム(Mg)母体投与と極低
度の回収率で情報連結が可能かを検討し、
出生体重児の3歳時予後との関連に関する
DB連結にあたっての問題点の抽出と解決
検討:2003年~2007年の5年間に両方のDB
方法を明らかにすること、さらに連結され
に参加している40施設を対象として、両DB
た両DBを用いて硫酸マグネシウム母体投
データ連結を行った。DB連結に先立って、
与と極低出生体重児の3歳時予後との関連
日産婦DB側では1,500g以下の出産例につい
を明らかにする。
てMg使用の有無に関する二次調査を行っ
Ⅲ.日本産科婦人科学会周産期登録システ
た。次に、出生(出産)年、児の性別、出
ム(日産婦DB)の拡充および出生児フォロ
産体重および分娩時妊娠週数(週数のみ)
ーアップ研究としての活用を見据え、高次
の4項目を連結キー項目として、両DBを連
産科医療施設における母体・新生児情報を
結(一次マッチング)した。さらに、4項目
改変・追加したデータベースを作成する。
に施設名と母体分娩時年齢を加えた二次マ
ッチング作業を行い、データ一致率および
B.方法
Ⅰ.出生体重の年次推移と減少に関与する
不一致の理由を検討した。本処理によって
要因に関する検討:日産婦 DB に登録され
連結可能であったデータのうち、母体への
た妊娠 22 週以降の全出産登録症例のうち、
Mg投与の有無が判明した症例を母体Mg使
2006 年および 2010 年に出産した妊娠 37~
用群(Mg+群)および未使用群(Mg-群)
41 週の生産児(2006 年 43,420 例、2010 年
の2つの群に分け、両群の3歳児健診時の予
56,099 例)の中で、不良データおよび出生
後項目(脳性麻痺、低DQ値(DQ<70)、運
体重に大きく影響すると考えられる母体・
動障害、てんかん、視力障害、聴力障害お
胎児要因として糖尿病合併妊娠、貧血、妊
よび予後良好例)の差異を検討した。統計
- 81 -
-81-
学的検討にはt検定、χ2検定を用い、5%未満
を示した。これらの有意な交絡因子に関し
の有意水準をもって有意差ありとした。
て、共分散分析により両群の出生体重を順
Ⅲ.日産婦DBの改変:2001年以降に使用さ
に調整した結果、15.1gの体重差は 1.95g
れている日産婦DBの入力項目に関して、①
に縮まり、有意な差は消失(p=0.443)した
学会周産期委員会委員を対象に、周産期領
(図1)。
域の疫学的研究ソースの視点から必要とさ
Ⅱ.日産婦DBとNRN-DBの連結の可否ならび
れる基本追加項目、詳細追加項目、削除希
に硫酸マグネシウム(Mg)母体投与と極低
望項目、入力形式の変更およびそれらの理
出生体重児の3歳時予後との関連に関する
由についてアンケート調査を行った。②得
検討:5年間に対象40施設から日産婦DBに
られた要望項目について、分担研究者を中
登録され、DB連結対象となり得るVLBW児
心とした検討委員により多施設集計項目の
は8,225例であった。一方、NRN-DBに登録
観点、周産期センターにおける各項目の診
されたVLBW児は7,413例であった。これら
療情報収集の可否ならびに入力・集計作業
の症例のなかで連結キー4項目が一致した
の煩雑さの点からみた妥当性の検討を行っ
データは5,825例あり、日産婦DBとNRN-DB
た。
双方からみた一次マッチング率は各々
70.8%(5,825/8,225)、78.6%(5,825/7,413)
C.結果
Ⅰ.出生体重の年次推移と減少に関与する
要因に関する検討:2006 年および 2010 年
における出生体重の平均値は各々2915.5g
および 2900.4gであり、15.1gの減少が認
められた(p<0.001)。2010 年は 2006 年に比
べて、妊娠期間は 0.088 週の短縮、胎児数
は 0.004 の 減 少 、 妊 娠 前 の 母 体 身 長 は
0.110cm の増加、非妊時 BMI は 0.037 の増
加、妊娠中の体重は 0.002kg の減少、体外
受精の比率は 1.6%の増加、初産婦の比率は
1.4%の増加、
妊娠中喫煙率は 0.8%の減少、
帝王切開率は 3.3%の増加、分娩時年齢は
0.865 歳の上昇、女児の割合は 0.1%の減少
であった。このうち、分娩様式(帝王切開
率)以外のすべての因子が出生体重に対し
て有意に影響し、妊娠期間、体外受精、非
妊時 BMI、妊娠中の体重増加、妊娠前の母
体身長、分娩時年齢は出生体重と正の相関
を、一方で女児の割合、初産婦の比率、妊
娠中喫煙率、胎児数は出生体重と負の相関
であった。ミスマッチの主な理由は、DBに
途中参加、脱退、未提出などによるデータ
欠損1,103例、マッチング項目の入力ミスあ
るいはデータ欠損720例、その他577例であ
った。二次マッチング作業を経た最終的な
マッチング症例数は5,677例であり、日産婦
DBとNRN-DB双方からみたマッチング率は
各々69.0%(5,677/8,225)、76.6%(5,677
/7,413)であった(図2)。5,677例のうち、
Mg使用の有無が不明、重篤な先天異常、双
胎間輸血症候群、明らかな胎内感染、高度
FGR(<3%ile)を除外した結果、Mg+群、
Mg-群は各々1,375例および2,254例であっ
た。妊娠週数、出生体重、Apgar score 1分値、
5 分 値 お よ び 臍 帯 動 脈 血 pH は Mg+ 群 で
27.7±2.6週、1,050±280g、5.5±2.3、7.4±1.8
および7.319±0.084、Mg-群では27.9±2.5週、
1,083±274 g 、 5.5±2.3 、 7.4±1.7 お よ び
7.306±0.101であり、いずれも有意差を認め
なかった。3歳時に検査がなされていた症例
- 82 -
-82-
のうち、脳性麻痺、低DQ値(DQ<70)、運
知の事実であり、先行研究として横山、松
動障害、てんかん、視力障害、聴力障害お
田らは、出生体重減少に妊娠期間の短縮が
よび予後良好例はMg+群で各々53(12%)、
大きく影響していること、さらに、その他
41(15%)、55(13%)、11(2.6%)、59(14%)、
の要因として母体身長、非妊時 BMI、妊娠
8(2%)および166例(72%)、Mg-群で117
中の体重増加、喫煙、胎児数、経産回数お
(12%)、66(12%)、102(11%)、16(1.7%)、
よび母体年齢も出生体重に影響する交絡因
106(11%)
、19(2%)および365例(74%)
子の可能性があることを報告した(平成 23
で、いずれも両群間に有意差を認めなかっ
年度厚生労働科学研究費補助金「乳幼児身
た。
体発育調査結果の評価及び活用方法に関す
Ⅲ.日産婦DBの改変:2012年まで(施設に
る研究-出生時の体重の低下に関連する要
より2013年まで)使用された前DBに対し
因-」分担研究報告書)。この報告を受けて、
て、各委員から指摘された主たる改変希望
本研究では日産婦 DB を用い、①‘早産児’
点は、不妊治療の選択肢、既往妊娠分娩歴、
を除いた群においても出生体重の変化が認
喫煙・飲酒、陣痛誘発・促進、帝王切開手
められるのか、②変化が認められるとすれ
技、胎児付属物、妊娠中薬物使用、感染症、
ばどのような背景因子が考えられるか、の
妊娠中薬剤使用、感染症の有無に関する詳
2点に主眼を置き、正期産児に関して出生
細入力欄、産科合併症の疾患名追加および
体重に影響する因子を検討した。その結果、
胎児心拍数陣痛図所見の入力項目訂正、な
まず正期産児においても 2006 年と 2010 年
どであった。これを基に改変入力項目を策
の両群間で出生体重は 15.1g の減少を認め、
定した結果、入力項目は2012年以前の121
先行研究と同様の結果であった。さらに、
項目から230項目とほぼ倍増し、画面レイア
諸項目のうち妊娠期間の短縮、体外受精比
ウト上2ページに拡がった(図3)。主な改
率の増加、非妊時 BMI の増加、妊娠中の体
変点は、不妊治療を細分化、流・早産、人
重増加の減少、妊娠前母体身長の増加およ
工妊娠中絶および帝王切開の詳細項目入
び分娩時年齢の上昇は出生体重を減少させ
力、喫煙・飲酒に能動・受動の別を作成、
る交絡因子であり、一方で多胎児数の減少、
陣痛誘発・促進ならびに帝王切開手技等に
初産婦比率の増加、妊娠中喫煙率の減少、
ついて、使用薬物および手技の詳細に関し
女児の割合の減少は出生体重を増加させる
て詳細入力、産科合併症の疾患名、感染症、
交絡因子であることがわかった。このこと
妊娠中の使用薬物、母体の産科既往症、胎
は、ひとつには、先行研究における本邦出
児付属物所見について新規の入力欄を作
生全例における解析から抽出された背景因
成、胎児心拍数陣痛図(CTG)所見の記載
子と同様の交絡因子が正期産例における出
を変更したこと、などである。
生体重減少にも寄与していること、さらに、
正期産児における出生体重変化の要因に体
D.考察
外受精の有無という人為的要因も関与して
Ⅰ.出生体重の年次推移と減少に関与する
いることを示している。
要因について:日本人の出生体重減少は周
- 83 -
-83-
今回抽出された交絡因子について、共分
散分析により 2006 年と 2010 年の両群にお
週数、出産(出生)体重、児性別などの基
ける出生体重を順に調整した結果、体重差
本的な周産期情報は保持されている。この
は 1.95gに縮まり、有意差が消失した。す
ことを利用して、本研究においては患者識
なわち、少なくとも正期産児においては、
別に適した出生(出産)年、児の性別、出
出生体重の減少に胎児数、喫煙、初産、性
産体重および分娩時妊娠週数(週数のみ)
別が女児であることが関与し、増加には妊
の4項目をDB連結に用いるキー項目として
娠前の身長、体重、BMI、体外受精、妊娠
選択した。
週数が関与することのみならず、これらの
今回の検討では、日産婦DBとNRN-DB双
要因で有意な体重差を生じる大部分が説明
方からみた一次マッチング率は各々70.8%
できることを示している。一方で、正期産
および78.6%であり、ミスマッチング症例
児といういわば‘純化’された母集団におい
の大半は連結項目のデータ欠損または原デ
ても先行研究と同様の交絡因子が抽出され
ータの入力ミスであった。個人情報項目の
たことは、本成績の客観性を示していると
制限されたDB連結作業において最も危惧
考えられる。
されることは、キー項目の偶然の一致によ
Ⅱ.日産婦DBとNRN-DBの連結の可否ならび
るミスマッチングによって異なる患者を関
に硫酸マグネシウム(Mg)母体投与と極低
連付けてしまうリスクであり、この危険性
出生体重児の3歳時予後との関連に関する
を評価するため、施設名および母体分娩時
検討:今回の検討を試みた背景には、日産
年齢に関して二次マッチング作業を行っ
婦DBが母体・新生児の周産期情報を包含す
た。二次ミスマッチと判断された148例は、
る詳細DBとなったこと、一方で新生児期以
いずれも母体年齢の入力欠損または誤入力
降の児の発達に関する情報は本DBに乏し
であり、今回選択した4つの連結キー項目は
く、新生児科側DBとのリンケージを図るこ
個人特定項目の消去された周産期データベ
とが喫緊の課題と考えられたことがある。
ース間の関連付けに有効と考えられる。
新生児科・小児科側におけるデータベース
DB連結によって調査可能な具体的課題
としては現在、1500g以下を対象とした新
として、母体への硫酸マグネシウム投与と
生児臨床研究ネットワーク(NRN-DB)が
極低出生体重児の3歳時予後との関連を検
本邦最大の規模を有しているものの、両DB
討した。硫酸マグネシウムは産科領域で使
の対象施設、対象例あるいは入力・集計形
用頻度が高く、また近年では児への短期・
式は異なっている。両データベースの独自
長期予後との関連に関して、妊娠期間の延
性を維持しつつ、効率的な連結の可否を明
長あるいは直接的な脳庇護作用を介した児
らかにし、将来的な日産婦DBの発展的応用
の長期予後改善の可能性が報告されている
を目指すべく本研究を行った。
一方、児の骨形成異常といった有害事象の
DB連結の足枷となるのが患者識別情報
リスクも指摘されている。今回の検討では、
の欠損である。幸いなことに、今回の両DB
重篤な先天異常、高度FGRなど児の予後に
への登録参加施設においては連結可能匿名
大きく影響する他の因子を除外した症例を
化処理がなされており、さらに分娩時妊娠
抽出した結果、硫酸マグネシウム使用例、
- 84 -
-84-
非使用例の両群における分娩時妊娠週数、
となる。④子宮収縮薬使用の有無ならびに
出生体重、Apgar score 1分値、5分値、臍帯
使用薬物と分娩時の母児合併症、および児
動脈血pH、さらに3歳時点における脳性麻
の長期予後との関連をみるための原資 DB
痺、低DQ値(DQ<70)、運動障害、てんか
となり得る。⑤分担研究者らが行った研究
ん、視力障害、聴力障害の頻度、ならびに
Ⅱにおいて、薬物使用に関する項目が無か
神経学的異常を認めない症例(予後良好例)
ったため、対象例に対する子宮収縮抑制剤
の頻度のいずれも統計学的有意差は認めら
の使用について広範な二次調査を必要とし
れなかった。今回の成績は、硫酸マグネシ
た。同様の研究について、今後は産科合併
ウム使用の有無が出産時プロフィールに影
症の疾患名、妊娠中の使用薬物、母体の産
響を及ぼしていないことを示している。
科既往症について DB 内に記述が可能であ
Ⅲ.日産婦 DB の改変:日産婦 DB は 2012
り、児の予後に影響する母体交絡因子の詳
年現在までに計 910,885 データが登録され
細な検討が期待される。⑥臨床的あるいは
ており、本邦における当該年全出産数の約
組織学的絨毛膜羊膜炎の有無と児の長期予
5%、全周産期死亡数の約 20%にあたる。
後との強い関連が指摘されている。今回、
前述したように、本 DB は周産期領域にお
胎児付属物に関して臍帯、胎盤、羊水の詳
ける疫学的、臨床的研究の重要なソースで
細入力欄を設け、とくに絨毛膜羊膜炎に関
あるが、研究Ⅰ、Ⅱを通じて、また、時代
する入力項目を充実させたことから、母体
的変遷を経て検査手技や疾患名にも再分類
感染と児の予後との関連が明らかになるこ
や細分化がなされており、DB の改訂が喫緊
とが期待される。⑦CTG に関して産科診療
の課題となっていた。今回の改変によって、
ガイドラインに即した判読項目を網羅した
具体的には以下のような利点が考えられる。
ことにより、児の短期・長期予後と分娩時
①不妊治療症例の増加に伴って、治療の有
CTG との関連がより明確になることが期待
無および治療法と児の短期・長期予後との
される。⑧新生児合併症および乳児・新生
関連が問題となっている。治療法の選択肢
児疾患の背景因子として報告されている主
について AIH、IVF-ET、ICSI 等を細分化し
な母体合併症を可及的に網羅していること
たことにより、児のフォローアップデータ
から、児側のデータとのリンケージを通じ
とのリンケージを介して詳細な検討が可能
て母体合併症の影響について多変量解析な
となる。②現妊娠歴のみならず、既往妊娠
どによる検討が可能である。
分娩歴(流産、早産、人工妊娠中絶および
帝王切開の有無および回数)と母児双方の
周産期予後との関連が認められる事象は多
岐に及ぶ。既往妊娠分娩歴の詳細入力によ
り、本視点からの疫学的検討が可能となる。
③喫煙、飲酒と周産期予後との関連は明ら
かである。この点に関して、能動・受動な
らびに習慣性の視点から疫学的検討が可能
E.結論
日本産科婦人科学会周産期委員会作成の周
産期登録データベース(日産婦 DB)を用い
て、①本邦における出生体重の減少に寄与
する因子として胎児数、喫煙、初産、性別
が女児、妊娠前の身長、体重、BMI、体外
受精、妊娠週数が関与し、さらに多胎、不
妊治療等を含めた人為的要因が関与してい
- 85 -
-85-
る可能性があること、②適切なキー項目を
singleton pregnancies. JOGR
設定することによって、産科側 DB(日産婦
2012;39(2):492-9.
DB)と新生児側 DB(NRN-DB)の連結が
[4] Morikawa M, Yamada T, Yamada T, Satoh S,
十分可能であり、産科情報とフォローアッ
Cho K, Minakami H: Prospective risk of
プ成績を比較検討するための手法となり得
stillbirth: monochorionic diamniotic twins vs.
ること、および連結された DB セットによ
dichorionic twins. J.Perinat.Med. 40:245-249,
る検討から、母体への硫酸マグネシウム投
2012.
与による児への有害事象は認められないこ
[5] Morikawa M, Cho K, Yamada T, Yamada T,
と、が明らかとなった。さらに、③日産婦
Satoh S, Minakami H: Risk factors for
DB の入力項目に関して、登録システムの拡
eclampsia in Japan between 2005 and 2009.
充および出生児フォローアップ研究として
Int.J.Gynecol.Obstet. 117:66-68,2012.
の活用を見据え、母体・新生児情報を改変・
[6] Morikawa M, Yamada T, Yamada T, Satoh S,
追加したデータベースを作成した。不妊治
Cho K, Minakami H: Prevalence of
療の選択肢、既往妊娠分娩歴、胎児心拍数
hyperglycemia during pregnancy to maternal
陣痛図(CTG)所見、胎児付属物の詳細な
age and pre-pregnancy body mass index in
どが含まれており、今後は児のフォローア
Japan, 2007-2009. Int.J.Gynecol. Obstet.
ップデータとのリンケージ等を行うことに
118:198-201,2012.
よって、母体-児の双方の情報を統合した
[7] 佐藤昌司:周産期領域におけるデータベ
疫学的検討が可能となることが期待される。
ースの構築:日本産科婦人科学会周産期登
録データベースの現状と問題点.
F.健康危機情報
なし
Neonatal Medicine
Fetal &
5:14-18,2013.
[8] 佐藤昌司:日本産科婦人科学会周産期登
G.研究発表
録データベース:現状と問題点. 周産期医
1.論文発表
[1] 佐藤昌司:日本産科婦人科学会周産期登
録データベースの現状と問題点. 第 30
回周産期学シンポジウム.30:23-28,2012.
[2] Hayashi M, Nakai A, Satoh S, Matsuda M:
Adverse obstetric and perinatal outcomes of
singleton pregnancies may be related to
maternal factors associated with infertility
rather than the type of assisted reproductive
technology procedure used. Fertil.Steril.
98:922-928,2012.
[3] Shiozaki A, Matsuda M, Satoh S, Saito S:
43:1221-1225,2013.
[9] 塩崎有宏、松田義雄、佐藤昌司、斎藤滋:
データベース利用の実例-妊娠高血圧症候
群. 周産期医
43:1235-1239,2013.
[10] Morikawa M, Yamada T, Cho K, Yamada T,
Satoh S, Minakami H: Prospective risk of
abruption placentae. JOGR, 40:369-374,2014.
[11] Morikawa M, Cho K, Yamada T, Yamada T,
Satoh S, Minakami H: Do uterotonic drugs
increase risk of abruption placentae and
eclampsia?
Arch.Gynecol. Obstet.,
289:987-991,2014.
Comparision of risk factors for gestational
hypertension and preeclampsia in Japanese
- 86 -
-86-
[12] Terada M, Matsuda Y, Ogawa M, Matsui H,
に与えた影響. 第 66 回日本産科婦人科学会
Satoh S: Effects of maternal factors on birth
学術講演会, 東京都
weight in Japan. J.Preg., 2013:172395 doi 10,
[5] 佐藤昌司:周産期における超音波画像診
2014.
断. 第 23 回福岡母性衛生学会学術集会, 福
[13] Matsuda Y, Umezaki H, Ogawa M,
岡市
Ohwada M, Satoh S, Nakai A: Umbilical
[6] 佐藤昌司:産科と新生児のデータリンケ
arterial pH in patients with cerebral palsy.
ージによる分析の先行例について. 第 50 回
Early Hum.Dev., 90:131-135, 2014.
日本周産期・新生児医学会学術集会, 浦安
市
2.学会発表
[7] 佐藤昌司:産科ガイドライン 2014 につ
[1] 佐藤昌司、吉富智幸、他:産科-小児科
データベース連結の試み(第1報):日産
婦周産期登録と新生児臨床研究ネットワー
クデータ連結. 第 49 回日本周産期・新生児
医学会学術集会, 横浜.
いて-2011 版からの変更点を中心に. 平成
26 年度福岡県産婦人科医会臨時研修会, 福
岡市
[8] 佐藤昌司:産科医療補償制度と学会・医
会の取り組み-再発防止へ向けて. 第 9 回
[2] 吉富智幸、佐藤昌司、他:産科-小児科
医療の質・安全学会学術集会, 千葉市
データベース連結の試み(第2報):極低
出生体重児の母体 MgSO4 投与と 3 歳時予後
H. 知的財産権の出願・登録状況
との関連. 第 49 回日本周産期・新生児医学
なし
会学術集会, 横浜.
[3] 林昌子、松田義雄、佐藤昌司、中井章人:
周産期登録データベースからみた生殖補助
医療の現状とリスク.第 49 回日本周産期・
新生児医学会学術集会, 横浜.
[4] 林昌子、桑原慶充、石川源、関口敦子、
松田義雄、佐藤昌司、他:日本産科婦人科
学会の単一胚移植提唱が本邦の周産期医療
- 87 -
-87-
図1
交絡因子の影響を除外した出生体重の比較(妊娠日数 2 日おき)
(g)
3400
3300
3200
3100
3000
2900
2800
2700
2600
2500
2006
2010
259- 263-267- 271-275- 279-283- 287-291-
(妊娠日数)
出生体重の 2006 年と 2010 年の出生体重の変化を共分散分析を用いて解析したところ、調
整前の有意な 15g の減少が調整後では 1.95g となり、有意差は消失した。交絡因子の影響
を除去し、2006 年と 2010 年の出生体重を妊娠日数2日おきに比較したグラフでも、出生体
重にはほぼ差がなくなっている。
図2
日産婦 DB および NRN-DB のマッチング手順と該当症例数
*:双方の DB に参加している 40 施設の登録症例数
1)の理由:途中参加・脱退・未提出年あり、による相手側のデータ欠損(1103 例)
連結項目の入力ミス・データ欠損(720 例)
その他の理由(577 例)
2)の理由:項目は 1)に同じ(例数は省略)
3)の理由:母体年齢が不明・空欄・不一致
- 88 -
-88-
図3
改変後の日本産科婦人科学会周産期登録データベース入力項目
- 89 -
-89-
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
既存コホートのプール解析、新規疫学研究手法の検討
研究分担者
栗山進一(東北大学
災害科学国際研究所災害公衆衛生学分野)
研究要旨
エコチル調査宮城ユニットセンターで管轄している当初の登録予定妊婦は3年間で9,000人で
ある。宮城ユニットセンターでは、平成23年2月末までに6,712人の妊婦の参加があり、追加調査に
は1,991人が参加した。平成24年2月27日までに9,181人の妊婦の参加となり、追加調査には3,723
人が参加した。最終的には、9,217人の妊婦の参加があり、追加調査には3,795人が参加してい
る。本研究では、グリコアルブミンの分析を行いえた2,384人について、妊娠初期から中期
ならびに中期から後期のグリコアルブミン値と妊娠中の各種指標や乳児の体格との関連に
ついて検討を行った。
A.研究目的
寄与する要因の大きさを定量的に推定でき
近年わが国では平均出生体重が減少し低
るように準備し、十分な規模を有すると知
出生体重児の割合が増えていることが、乳
られている妊娠期からリクルートした他の
幼児身体発育調査や人口動態統計調査結果
コホート研究データベースと突合できるよ
から示されている。これには、早産の増加、
うにし、考えられる仮説に従って解析する
多胎児の増加、第 1 子の割合の増加、母親
ことによって、妊娠期からの母子の様々の
の年齢の増加、妊娠糖尿病の減少による巨
問題を明らかにする。これらより、妊娠期
大児の出生の減少などもあげられるが、そ
からの母子の課題を明らかするだけでなく、
れ以外にも女性の体格が細身になっている
今後の妊婦及び乳幼児コホート研究におけ
ことや、妊娠中の体重増加が抑えられる傾
る仮説設定から曝露情報収集・追跡にいた
向になっていることなどが考えられている。
るまでの効率的な手法を開発し、将来の大
これらの実態を検証していくためには、妊
規模コホート研究のための基礎を確立する
娠中から出生、その後の経過の医学的所見、
ことを目的とする。
検査データー、観察記録を十分な量でプー
ルし検討することで、低出生体重児が実際
B.方法
にどのような産科リスクを背負い、出生後
エコチル調査は、特に化学物質の曝露や
どのような成長発達を遂げてゆくかを明確
生活環境が、胎児期から小児期にわたる子
にする必要がある。本研究では、エコチル
どもの健康にどのような影響を与えている
調査宮城ユニットセンターにおけるデータ
のかについて明らかにし、化学物質等の適
ー集積の精度を高め、平均出生体重の減少
切なリスク管理体制の構築につなげるため
および 6 歳までの発育値の長期的な変化に
に環境省が実施するコホート調査である。
- 90 -
-90-
追加調査は、コアセンター、メディカル
全対象者に対し、個別に十分な説明を行
サポートセンター、ユニットセンター等が
い、書面による承諾を得た上で実施してい
独自のあるいは共同した計画、予算に基づ
る。
いて、調査対象者の一部または全部を対象
本邦では、標準的な妊婦健診は、妊娠 23
として行う調査であり、全体調査・詳細調
週までは 4 週ごと、妊娠 35 週までは 2 週ご
査に影響を与えない範囲で、事前に環境省
と、妊娠 36 週以降は 1 週間に 1 度の間隔で
の承認を受けて実施するもので、追加調査
実施されている。本研究では診療録転記に
を計画した場合、環境省に対する承認申請
て妊婦健診のデーターを突合している。
に先立って、運営委員会委員長に事前審査
妊娠期間は、妊娠初期を 4 - 15 週(2 - 4
申請書を提出し、審査を受けることになっ
ヶ月)、妊娠中期を 16 - 27 週(5 - 7 ヶ月)、
ている。本研究では宮城ユニットセンター
妊娠後期を 28 - 40 週(8 - 10 ヶ月)と定義
におけるデーターならびに、追加調査課題
した。
「エコチル調査父母の空腹時採血・採血後
の速やかな遠心分離による栄養評価と子ど
C.結果
平成 25 年 2 月 28 日時点では、6,712 人
もの健康に関する前向きコホート研究」、
「エコチル調査父母の詳細な緑茶摂取効果
の妊婦が本研究に参加していた。追加調査
と子どもの健康に関するコホート研究」、
に対する同意者数は、平成 25 年 2 月 28 日
「エコチル調査における新生児血中アミノ
時点で、1,991 人であった。この時の全体
酸濃度と子どもの健康に関するコホート研
調査参加者の平均年齢は 30.1 歳、追加調査
究」、「エコチル調査対象者における家庭血
参加者の平均年齢も 30.1 歳であった。
圧測定及び環境化学物質の三世代効果の解
平成 25 年 2 月 28 日時点でのデータベー
明」、「エコチル調査祖父母の曝露因子が子
スに登録した妊婦 4,714 人について、中央
供の健康に与える影響の解明」、「妊娠糖尿
値 (四 分位 点) を示 すと 、身長
病や尿中微量アルブミンと児の発育との関
158.0(154.0-162.0)cm 、 非 妊 時 体 重 は
連についての研究」に基づき行った。
52.0(48.0-58.0)kg 、 妊 娠 前 BMI は 20.9
エコチル調査の実施方法、収集する個人
(23.1-19.3) kg/m2 であった。
データー、生体試料の取扱については「疫
妊娠期間中の項目は、平成 25 年 2 月 28
学研究に関する倫理指針」
(文部科学省・厚
日時点で 1,864 人についてデータベース化
生労働省)に基づき研究倫理審査申請書を
が終了しており、妊娠初期 12(11-14)週にお
作成し、環境省の開催する「疫学研究に関
いて、体重は 53.5(48.8-59.2)kg で、血圧は
する審査検討会」
(環境省倫理委員会)およ
112 (104- 121)/66(60-73)mmHg であった。
びコアセンター(国立環境研究所)の医学
妊
研究倫理審査委員会に諮り、承認を受けて
58.1(53.1-63.8)kg
いる。また、エコチル調査ならびに追加調
111(103-119)/64(58-70)mmHg であった。
査については、東北大学医学系研究科倫理
妊
委員会及び協力する医療機関の倫理委員会
61.9(56.9-68.1)kg 、 血 圧 は 113(106-121)
により承認されたプロトコールに基づき行
/67(62-73)mmHg であった。
娠
娠
24(23-26)
35(32-36)
週
、
週
の
体
血
の
重
圧
体
重
は
は
は
出生した児のうち、データー入力が終了
われている。
- 91 -
-91-
している分 2,476 人分について、出生体重
も身長は 158.0 (154.0-162.0)cm であった。
3,028(2,772-3,298)g、身長 49.5 (48.0-50.6)
妊娠期間中の項目は 8,388 人についてデ
cm 、 頭 位 33.0(32.1-34.0)cm 、 胸 囲
ータベース化が終了しており、妊娠初期
32.0(30.5-32.7)cm
量
12(11-13) 週 に お い て 、 体 重 は
557(490-644)g であった。児の入院期間は
53.3(48.8-59.3)kg で 、 血 圧 は 112(104-
5(5-6)日、母体の入院期間は 6(5-7)日であっ
120)/65(59-72)mmHg で あ っ た 。 妊 娠
た。母の分娩直前体重は 63.6(58.5-69.9)kg
24(23-25)週の体重は 58.2(53.4-59.3)kg、血
であった。
圧は 111(103-119)/63(57-69)mmHg であっ
、
胎
盤
重
平成 26 年 2 月 27 日時点では、9,181 人
た 。 妊 娠
34(33-36) 週 の 体 重 は
の妊婦が研究に参加した。追加調査に対す
62.0(57.1-68.2)kg 、 血 圧 は 113(105-119)
る同意者数は、3,723 人であった。
/66(60-72)mmHg であった。
データベースに登録した妊婦 9,181 人と
出生した児のうち、データー入力が終了
追加調査参加者 3,723 人における身長は、
している分 8,685 人分について、出生体重
どちらも 158.0 (154.0-162.0)cm であった。
3,048(2,788-3,310)g、身長 49.5 (48.0-51.0)
妊娠期間中の項目は 5,939 人についてデ
cm 、 頭 囲 33.0(32.0-34.0)cm 、 胸 囲
ータベース化が終了し、妊娠初期 12(11-13)
32.0(31.0-33.0)cm であった。母児ともに入
週において、体重は 52.8(48.0-58.7)kg で、
院期間は 6(5-7)日であった。母の分娩直前
血圧は 111(103- 120)/65(58-72)mmHg であ
体重は 63.8(58.5-70.1)kg であった。(表1)
っ た 。 妊 娠 中 期 24(23-25) 週 の 体 重 は
追加調査参加者のうち、2,069 人から妊
57.9(53.1-63.8)kg
は
娠初期の採血検査の試料を確保できた。採
111(103-119)/63(57-70)mmHg であった。
血検査の試料からは、グリコアルブミンを
妊 娠 後 期
、
血
圧
34(33-36) 週 の 体 重 は
追加的に検査した。
61.9(57.0-68.0)kg 、 血 圧 は 113(106-121)
/67(60-73)mmHg であった。
グリコアルブミンは 14.2(13.3-15.5)%で
あり、妊娠 30 週のグリコアルブミンは、
平成 26 年 2 月 27 日までにデーター入力
14.3(13.2-15.6)%であった。
が終了した、出生した児 6,783 人では、出
グリコアルブミンを測定した対象者の身長
生 体 重 3,034(2,770-3,302)g 、 身 長 49.5
や妊娠初期~後期の体重・血圧に追加調査
(48.0-50.6) cm、頭囲 33.0(32.0-34.0)cm、
参加者や全体調査参加者との差はなく、分
胸囲 32.0(30.5-33.0)cm であった。母児とも
娩時の記録も同等であった。産後 18 か月の
に入院期間は 6(5-7)日であった。母の分娩
データーに関しては現時点では 209 人にと
直前体重は 63.7(58.4-70.0)kg であった。
どまっている。
最終的に、宮城ユニットセンターでは
妊娠 16 週のグリコアルブミン値で均等
9,217 人の妊婦が研究に参加した。追加調
5分割して検討したところ、登録時の身長
査に対する同意者数は、3,795 人だった。
に有意な群間差を認めなかったが、妊娠初
データベースに登録した妊婦 9,181 人と
期・中期・後期の体重並びに血圧に関して
追加調査参加者 3,795 人、GA が実際に測
は有意な群間差を認め、グリコアルブミン
定された参加者 2,384 人について、中央値
値が小さいほど体重・血圧が高値であった
(四分位点)を示すと、どの集団において
(表 2)。
- 92 -
-92-
妊娠 30 週のグリコアルブミン値で均等 5
分割して検討したところ、妊娠 16 週とは異
は 14.3%となり、妊娠中期の 14.2%と同等
であった。
なり、グリコアルブミン値で妊娠中期の体
妊娠初期のグリコアルブミン値で均等5
重並びに血圧に有意な群間差を認めなかっ
分割して各パラメータとの関連の検討も試
た。分娩直前の体重に関しては有意な群間
みたが、記録の終了には未だ群間差が認め
差を認めるものの、グリコアルブミン値と
られ、結果の解釈には、今後の入力作業の
体重との間に U 型の関連を示した(表3)。
完了を考える必要があると考えられた。
グリコアルブミン値と児の体重との間には
有意な関連を認めなかったが、妊婦の身
E.結論
長・妊婦の分娩直前の体重・在胎期間で補
エコチル調査の宮城県での参加者、なら
びに、追加調査の参加者、採血検体保管者
の基礎特性は先行研究と大きく異なるもの
ではなく、低出生体重児の予後及び保健的
介入並びに妊婦及び乳幼児の体格の疫学的
調査としての基本的なコホートとして利用
できることを継続して確認した。
正した場合、6 か月健診時、12 か月健診時
の 体 重 に 群 間 差 を 認 め (p=0.0868 (0M),
0.0205 (6M), 0.0018 (12M))、グリコアルブ
ミン値が大きいほど児の体重は大きかった。
グリコアルブミン値と児の体重との間に
は有意な関連を認めなかったが、妊婦の身
長・妊婦の分娩直前の体重・在胎期間で補
F.健康危機情報
なし
正した場合、出生時のみの体重に群間差を
認め(p=0.0136 (0M), 0.7510 (6M), 0.6705
(12M))、グリコアルブミン値が大きいほど
G.研究発表
1.論文発表
なし
2.学会発表
なし
出生体重が大きかった。
D.考察
エコチル調査の宮城県での参加者の基礎
特性は先行研究の結果とほぼ同等であった。
H. 知的財産権の出願・登録状況
また、調査自体への同意率も説明者の 83%
1.特許取得
と高く、年齢構成・同意率の面から、対象
なし
2.実用新案登録
なし
3.その他
なし
地域の妊婦の代表性をほぼ有しているもの
と考えられた。
追加調査は、全体調査より1年遅く、検
体保管は2年遅く開始したこと、必ずしも
すべての参加者が追加調査に参加している
わけではないことから、何らかのバイアス
が生じている可能性はあるが、少なくとも
登録時の身長や妊娠期間中の情報では、全
体調査との間で大きな違いが生じているわ
けではなかった。また、採血検体の解析か
ら、グリコアルブミンの妊娠初期の中央値
- 93 -
-93-
表 1.追加調査参加者と基礎特性
C
登録時
人数(n)
身長(cm)
妊娠期間中
人数(n)
初期
測定週(week)
体重(kg)
収縮期血圧(mmHg)
拡張期血圧(mmHg)
中期
測定週(week)
体重(kg)
収縮期血圧(mmHg)
拡張期血圧(mmHg)
後期
測定週(week)
体重(kg)
収縮期血圧(mmHg)
拡張期血圧(mmHg)
分娩時の
人数(n)
記録
分娩直前の体重
母入院期間(日)
児入院期間(日)
在胎日数(日)
胎盤重量(g)
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
6か月
人数(n)
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
12か月
人数(n)
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
18か月
人数(n)
身長(cm)
体重(kg)
全体
9,217
158.0(154.0-162.0)
8388
12(11-13)
53.3(48.8-59.3)
112(104-120)
65(59-72)
24(23-25)
58.2(53.4-64.2)
111(103-119)
63(57-69)
34(33-36)
62.0(57.1-68.2)
113(105-121)
66(60-72)
8,685
63.8(58.5-70.1)
6(5-7)
6(5-7)
276(269-281)
554(495-640)
49.5(48.0-51.0)
3048(2788-3310)
33.0(32.0-34.0)
32.0(31.0-33.0)
7,011
63.0(61.5-64.7)
6875(6345-7445)
41.5(40.5-42.5)
42.0(40.6-43.5)
5,325
70.6(68.5-72.5)
8610(7980-9270)
44.5(43.3-45.5)
44.6(43.3-46.0)
4,140
78.0(75.2-80.5)
10.2(9.5-11.0)
- 94 -
-94-
追加調査
3,795
158.0(154.0-162.0)
3,408
12(11-13)
53.5(48.9-59.9)
112(104-120)
66(59-72)
24(24-26)
58.4(53.7-64.9)
112(104-120)
63(57-70)
34(33-36)
62.5(57.4-69.0)
113(106-121)
66(60-73)
3,388
64.0(58.7-70.7)
6(6-7)
6(5-7)
275(269-281)
550(490-630)
49.0(48.0-50.5)
3054(2786-3312)
33.5(32.5-34.2)
32.0(31.0-33.0)
2,726
63.0(61.4-64.6)
6880(6360-7435)
41.3(40.3-42.5)
42.0(40.5-43.3)
1,646
70.0(68.0-72.0)
8528(7900-9200)
44.5(43.3-45.5)
44.5(43.0-46.0)
836
77.4(74.8-80.0)
10.0(9.3-11.0)
検体保管
2,384
158.0(154.0-162.0)
2,373
12(11-13)
53.7(49.0-60.4)
112(104-120)
65(59-72)
24(24-26)
58.7(54.0-65.3)
113(104-120)
63(57-69)
34(33-36)
62.7(57.7-69.4)
113(106-121)
66(59-72)
2,356
64.3(58.9-71.3)
6(5-7)
6(5-7)
276(269-281)
550(490-630)
49.5(48.0-50.5)
3064(2798-3320)
33.5(32.5-34.4)
32.0(31.0-33.0)
2.002
63.0(61.4-64.5)
6882(6365-7430)
41.4(40.3-42.5)
42.0(40.5-43.5)
1,010
70.0(68.0-72.0)
8530(7925-9200)
44.4(43.1-45.5)
44.3(43.0-45.7)
209
77.0(74.4-79.8)
9.9(9.1-10.8)
表2. 妊娠初中期の GA による分類
Q1
Q2
Q3
Q4
Q5
P
396
449
406
411
407
登録時、人数(n)
158.0
158.0
158.0
158.0
158.0
身長(cm)
0.1648
(153.5-162.0) (154.0-162.0) (154.0-162.0) (155.0-162.0) (155.0-162.0)
16
17
17
16
16
GA 測定週(week)
0.4024
(12-20)
(15-19)
(15-19)
(15-18)
(15-19)
GA(%)
12.3
13.4
14.2
15.0
16.4
(11.8-12.6)
(13.2-13.6)
(14.0-14.4)
(14.8-15.3)
(15.9-17.2)
妊娠期間中の記録、
386
441
395
396
395
人数(n)
初期
12
12
12
12
12
測定週(week)
0.7118
(11-13)
(11-13)
(11-13)
(11-13)
(12-13)
56.8
53.6
53.3
52.9
53.7
体重(kg)
<0.0001
(50.9-66.3)
(49.3-61.7)
(48.7-58.3)
(48.6-58.1)
(49.1-58.5)
114
111
112
112
112
収 縮 期 血 圧
0.035
(104-123)
(104-120)
(103-119)
(103-119)
(104-120)
(mmHg)
67
65
65
65
65
拡 張 期 血 圧
0.015
(60-75)
(58-72)
(58-71)
(58-72)
(59-73)
(mmHg)
中期
24
24
24
24
24
測定週(week)
0.5750
(24-26)
(24-26)
(24-25)
(24-26)
(24-26)
62.5
58.8
58.0
57.7
57.9
体重(kg)
<0.0001
(56.0-71.5)
(54.3-65.5)
(53.6-63.6)
(53.4-63.6)
(53.5-63.4)
115
112
110
110
110
収 縮 期 血 圧
<0.0001
(107-123)
(104-119)
(103-119)
(103-118)
(102-118)
(mmHg)
64
62
62
62
62
拡 張 期 血 圧
<0.0001
(58-71)
(57-69)
(56-68)
(57-68)
(56-68)
(mmHg)
後期
34
34
34
34
34
測定週(week)
0.4702
(33-36)
(33-36)
(33-36)
(33-36)
(33-36)
66.2
63.1
62.0
61.6
61.8
体重(kg)
<0.0001
(59.9-75.3)
(58.1-69.6)
(56.0-68.0)
(57.1-67.6)
(57.1-67.1)
117
114
111
112
111
収 縮 期 血 圧
<0.0001
(110-126)
(107-121)
(104-121)
(104-120)
(105-118)
(mmHg)
68
66
65
65
65
拡 張 期 血 圧
<0.0001
(62-75)
(60-73)
(59-71)
(58-71)
(56-70)
(mmHg)
分娩時の記録、
396
449
406
411
407
人数(n)
67.9
65.0
63.4
63.1
63.4
分娩直前の体重
<0.0001
(661.4-76.3) (59.9-71.8)
(58.2-69.6)
(58.4-69.3)
(57.9-68.1)
6
6
6
6
6
母入院期間(日)
0.6901
(5-7)
(6-7)
(6-7)
(5-7)
(5-7)
6
6
6
6
6
児入院期間(日)
0.1056
(5-7)
(5-7)
(5-7)
(5-7)
(5-7)
277
275
276
276
275
在胎期間(日)
0.2988
(269-282)
(268-281)
(268-281)
(269-282)
(269-281)
- 95 -
-95-
胎盤重量(g)
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
6か月調査、
人数(n)
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
12か月調査、
人数(n)
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
Q1
550
(490-649)
50.0
(48.0-51.0)
3088
(2786-3335)
33.5
(32.5-34.2)
32.0
(31.0-33.0)
Q2
550
(497-629)
49.5
(48.0-50.5)
3038
(2784-3300)
33.3
(32.5-34.5)
31.5
(31.0-33.0)
Q3
550
(498-620)
49.5
(48.0-51.0)
3054
(2805-3312)
33.5
(32.5-34.2)
32.0
(30.7-33.0)
Q4
550
(490-618)
49.5
(48.0-51.0)
3088
(2820-3336)
33.5
(32.5-34.4)
32.0
(31.0-33.0)
Q5
547
(490-620)
49.5
(48.0-51.0)
3060
(2778-3320)
33.5
(32.5-34.2)
32.0
(31.0-33.0)
1304
362
346
352
351
63.0
(61.2-64.5)
6818
(6290-7460
41.4
(40.3-42.3)
41.6
(40.5-43.5)
63.0
(61.5-64.3)
6910
(6383-7425)
41.5
(40.5-42.7)
42.0
(40.7-43.5)
63.0
(61.5-64.7)
6920
(6345-7430)
41.5
(40.5-42.5)
42.0
(40.8-43.5)
136
134
183
70.0
(68.0-71.9)
8638
(7838-9278)
44.5
(43.2-45.5)
44.5
(43.2-46.0)
70.5
(68.2-72.6)
8628
(7955-9125)
44.5
(43.5-45.8)
44.5
(42.5-45.5)
70.1
(68.2-71.8)
8440
(8020-9050)
44.5
(43.3-45.4)
44.2
(43.0-45.5)
62.8
63.2
(61.3-64.4)
(61.4-64.8)
6835
6970
(6335-7440) (6395-7420)
41.3
41.5
(40.2-42.0)
(40.5-42.7)
42.0
42.0
(40.8-43.5)
(40.5-43.2)
74
113
69.6
70.0
(68.0-71.3)
(68.3-71.7)
8410
8505
(7870-9060) (7780-9100)
44.7
44.0
(43.3-46.0)
(43.0-45.5)
44.5
44.0
(43.0-45.6)
(43.0-45.6)
- 96 -
-96-
P
0.6901
0.3758
0.5642
0.9577
0.4804
0.4933
0.7244
0.2567
0.8404
0.3954
0.5766
0.9514
0.7823
表3. 妊娠中後期の GA による分類
Q1
Q2
Q3
Q4
Q5
P
424
409
392
426
416
登録時、人数(n)
30
30
30
30
30
GA 測定週(week)
(29-32)
(28-31)
(28-31)
(28-31)
(28-32)
GA(%)
12.4
13.5
14.3
15.2
16.9
(12.0-12.8)
(13.2-13.6)
(14.1-14.5)
(14.9-15.5)
(16.4-17.8)
妊娠期間中の記録、
412
404
384
418
406
人数(n)
158.0
158.0
158.0
158.0
158.0
身長(cm)
0.2195
(154.0-161.0) (154.0-162.0) (154.0-162.0) (155.0-162.0) (155.0-162.0)
12
12
12
12
12
初期、測定週(week)
0.0345
(11-13)
(11-13)
(11-13)
(11-13)
(12-13)
54.4
53.5
52.8
53.5
54.7
初期、体重(kg)
0.1023
(49.3-62.4)
(48.4-60.8)
(48.5-59.7)
(49.0-60.7)
(50.2-60.8)
113
111
112
112
112
初期、収縮期血圧
0.0092
(105-123)
(103-118)
(103-118)
(104-122)
(104-119)
(mmHg)
66
64.0
65
67
65
初期、拡張期血圧
0.0204
(59-73)
(58.0-71.0)
(58-71)
(59-72)
(58-72)
(mmHg)
24
24
24
24
24
中期、測定週(week)
0.4911
(23-25)
(24-26)
(24-26)
(24-26)
(24-26)
59.3
57.8
57.6
58.7
59.2
中期、体重(kg)
0.1204
(54.3-66.4)
(53.5-65.2)
(52.9-64.8)
(54.4-65.0)
(54.5-66.0)
113
112
111
112
111
中期、収縮期血圧
0.0844
(105-121)
(102-120)
(104-119)
(104-119
(103-118)
(mmHg)
64
62
62
62
62
中期、拡張期血圧
0.1645
(58-70)
(57-68)
(56-67)
(57-79)
(57-69)
(mmHg)
34
34
34
34
34
後期、測定週(week)
0.8164
(33-36)
(33-36)
(33-36)
(33-36)
(33-36)
63.7
62.0
61.9
62.7
63.0
後期、体重(kg)
0.0622
(58.2-71.1)
(57.0-68.0)
(56.8-68.9)
(57.8-69.3)
(58.3-69.2)
114
114
112
112
112
後期、収縮期血圧
0.0479
(107-122)
(106-122)
(105-120)
(106-120)
(105-121)
(mmHg)
67
65
65
65
67
後期、拡張期血圧
0.0369
(61-73)
(59-72)
(59-71)
(59-72)
(58-73)
(mmHg)
分娩時の記録、
424
409
392
426
416
人数(n)
65.8
63.5
63.4
64.3
64.5
分娩直前の体重
0.0244
(59.9-72.4)
(58.9-71.4)
(58.0-70.3)
(58.6-71.4)
(59.4-70.5)
6
6
6
6
6
母入院期間(日)
0.0322
(6-7)
(6-7)
(5-7)
(5-7)
(5-7)
6
6
6
6
6
児入院期間(日)
0.4264
(5-7)
(5-7)
(5-7)
(5-7)
(5-7)
277
276
276
276
275
在胎期間(日)
0.7891
(269-282)
(269-281)
(270-281)
(269-281)
(268-281)
560
557
550
550
550
胎盤重量(g)
0.5436
(500-630)
(492-648)
(500-619)
(495-620)
(496-633)
- 97 -
-97-
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
6か月調査、
人数(n)
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
12か月調査、
人数(n)
身長(cm)
体重(g)
頭囲(cm)
胸囲(cm)
Q1
49.5
(48.0-50.5)
3035
(2801-3296)
33.0
(32.5-34.0)
31.5
(31.0-32.8)
Q2
49.0
(48.0-50.5)
3064
(2796-3352)
33.5
(32.2-34.5)
32.0
(31.0-33.0)
Q3
49.5
(48.5-50.6)
3086
(2842-3338)
33.5
(33.0-34.5)
32.0
(31.0-33.0)
Q4
49.5
(48.0-50.5)
3116
(2836-3325)
33.5
(32.5-34.0)
32.0
(31.0-33.0)
Q5
49.5
(48.0-50.5)
3075
(2782-3340)
33.5
(32.4-34.5)
32.0
(31.0-33.0)
365
368
336
382
367
63.0
(61.2-64.5)
6700
(6250-7290)
41.0
(40.0-42.0)
41.5
(40.5-43.0)
63.0
(61.3-64.4)
6843
(6360-7410)
41.5
(40.5-42.5)
41.9
(40.8-43.5)
63.1
(61.6-64.4)
6840
(6373-7443)
41.5
(40.5-42.5)
42.0
(40.5-43.5)
63.0
(61.4-64.8)
6900
(6360-7420)
41.5
(40.5-42.8)
42.0
(40.5-43.5)
63.0
(61.5-65.0)
6940
(6420-7505)
41.0
(40.2-42.7)
41.5
(40.5-43.0)
163
174
167
226
263
69.4
(67.5-71.8)
8250
(7685-8995)
44.0
(43.0-45.0)
44.0
(43.0-45.3)
70.3
(68.0-72.2)
8610
(7955-9205)
44.4
(43.5-45.7)
44.6
(43.0-46.0)
70.1
(68.3-71.8)
8550
(7940-9160)
44.5
(43.2-45.4)
44.0
(43.0-45.5)
70.2
(68.0-72.0)
8495
(7960-9175)
44.1
(43.0-45.3)
44.0
(42.9-46.0)
70.0
(68.1-72.0)
8630
(8000-9320)
44.5
(43.1-45.5)
44.5
(43.2-46.0)
- 98 -
-98-
P
0.3850
0.7077
0.1059
0.0074
0.4802
0.0936
0.0271
0.4504
0.2136
0.0096
0.1095
0.2415
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
妊婦及び乳幼児コホート研究の手法整理
~「これから始める出生前コホート研究」作成~
研究代表者
横山
徹爾(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
研究分担者
加藤
則子(国立保健医療科学院)
栗山
進一(東北大学災害科学国際研究所)
佐々木
研究協力者
敏(東京大学大学院医学系研究科)
佐藤
昌司(大分県立病院
瀧本
秀美(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
土屋
賢治(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター)
堀川
玲子(独立行政法人国立成育医療研究センター内分泌代謝科)
三宅
吉博(愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学)
宮坂
尚幸(東京医科歯科大学大学院小児・周産期地域医療学)
吉田
穂波(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
頼藤
貴志(岡山大学大学院環境生命科学研究科)
磯島
総合周産期母子医療センター)
豪(東京大学大学院医学系研究科)
石黒
真美(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
峯岸
直子(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
目時
弘仁(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
大久保公美(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
松田
義雄(国際医療福祉大学産婦人科)
中井
章人(日本医科大学多摩永山病院産婦人科)
NAY CHI HTUN (独立行政法人国立健康・栄養研究所栄養教育研究部)
田中
景子(愛媛大学大学院医学系研究科統合医科学)
佐藤
憲子(東京医科歯科大学難治疾患研究所分子疫学)
研究要旨
今後のわが国の出生前コホート研究の推進のために役立てられるように、コホート研究
の概念や基礎知識、生体試料を用いた研究の意義、追跡率を高める工夫点、研究の基本デ
ザインの設計方法、および質問票データベース等を系統的に整理して、マニュアル「これ
から始める出生前コホート研究」として取りまとめ、冊子および電子データとしてインタ
ーネット上に公開し、研究者が自由に利用できるようにした 。今後のわが国における出生
前コホート研究の推進に役立つと期待される。
- 99 -
-99-
A.研究目的
るように、疫学についての必要な基礎知識
本研究班全体では、
【1】公的調査の解析
の解説も含める。全体の章立てと概要、担
および【2】既存のコホート研究の解析に
当者は以下の通りである。
基づいて妊娠期からの母子の課題を明らか
●序論
するとともに、
【3】今後の妊婦及び乳幼児
山、目時、吉田)
出生前コホート研究とは何か(栗
コホート研究(以下、出生前コホート研究
出生前コホート研究の定義・概念、何を
という)における仮説設定から曝露情報収
目的として行い、どのように役立つのかを、
集・追跡にいたるまでの効率的な手法を開
分かりやすく解説する。また、国内外で行
発して、
【4】予備的追跡研究を開始し、将
われてきた代表的な研究例についても紹介
来の大規模コホート研究のための基礎を確
し、出生前コホート研究の概要を理解でき
立することを目的としている。このうち、
るようにする。
【3】のテーマについては、今後行われる
●第一章
出生前コホート研究の推進を重要な目的と
ート研究の基礎(横山、吉田、栗山、目時)
していることから、研究成果を冊子および
コホート研究を行うにあたって、最低限
PDF ファイル等の電子データとして広く
知っておかなければならない疫学の用語や
研究者に公開することが望ましい。そこで、
考え方、研究の種類、および統計学的手法
関連分野の研究者が【3】に関する研究成
について解説する。特にコホート研究につ
果を活用しやすくなることを目的として、
いては丁寧に説明する。
マニュアル「これから始める出生前コホー
●第二章
ト研究」を作成した。
いた研究(栗山、峯岸、目時)
これだけは知っておきたいコホ
生体試料(ゲノムを含む)を用
出生前コホート研究においては、曝露と
B.方法
アウトカムの両方にとって生体試料は重要
前記【3】に関連する分担研究としてお
な役割を果たすことから、生体試料の収集
こなわれた、
「わが国の出生前コホート研究
方法やその在り方、および国内外の研究動
における追跡調査、及び研究デザインに関
向について解説する。
する検討」、「新規疫学研究における追跡方
●第三章 コホート研究は追跡率が命(三宅、
法の検討」、「出生前コホート研究で用いる
土屋)
質問票データベース開発」、「成育母子コホ
コホート研究において、高い追跡率を維
ート研究における早産・低出生体重児の成
持することが極めて重要であることとその
長成熟予後・代謝栄養要因調査の確立に関
理由について述べ、地域ベース、病院ベー
する研究」、「既存コホートのプール解析、
スのそれぞれで、高い追跡率を得るための
新規疫学研究手法の検討」の3年間の研究
工夫点等について解説する。
成果(内容の詳細は各分担研究報告書参照)
●第四章
に基づいて、今後、関連分野の研究者が出
ン(加藤、栗山、吉田)
出生前コホート研究基本デザイ
生前コホート研究を行う際に必要な情報を
実際に出生前コホート研究の研究計画を
整理し、マニュアル化する。また、これま
どのように作成していくのか、仮説の設定
で疫学研究の経験が十分にない研究者でも
や調査票の作成、対象の選定、曝露とアウ
出生前コホート研究に取り組むことができ
トカムの種類と調査タイミング、研究全体
- 100 -
-100-
の流れ等について具体例をあげて説明する。
うコホート研究は、対象者が親子2世代に
●第五章
渡ることや、転居等による異動が多いこと、
出生前コホート研究に有用な質
問票データベース(全員)
アウトカムが成長発達に関するものが主で
今後、出生前コホート研究を実施する際
あること等、中高年期を対象としたコホー
に活用できるように、世界各国の疫学研究
ト研究とは異なる特徴が多く、そのノウハ
等を元にした調査票データベース(PhenX
ウは十分に蓄積・公開されていない。その
Toolkit: 英語版)
のうち出生前コホート
ため、実際に出生前コホート研究を運営し
研究で必要な項目を抽出して翻訳し、日本
ている研究者が集まって研究方法を系統的
の制度や習慣等に合わせて追加修正し、多
に整理したマニュアル「これから始める出
分野の質問票をデータベースとして提供す
生前コホート研究」は、今後、わが国にお
る。
いて出生前コホート研究を推進していくた
1)
めに、大いに役立つことが期待される。ま
C.結果
た、本研究で作成した標準的な質問票デー
上記章立てで、約 420 ページからなる「こ
タベースを活用することで、調査票開発を
れから始める出生前コホート研究~君もや
省力化できるだけでなく、将来、異なるコ
ってみようバースコホート~」を完成させ、
ホート研究を統合した分析が可能になる可
冊子体だけでなく、電子データとしてもイ
能性もある。
ンターネット上に公開して研究者が自由に
利用できるようにした。
E.結論
(http://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/
birthcohort)
今後のわが国の出生前コホート研究の推
進のために役立てられるように、コホート
研究の概念や基礎知識、生体試料を用いた
D.考察
研究の意義、追跡率を高める工夫点、研究
欧米では、Birth Cohort Study(本報告
の基本デザインの設計方法、および質問票
書では「出生前コホート研究」)が盛んで、
データベース等を系統的に整理して、マニ
古くから大小様々な Birth Cohort Study が
ュアル「これから始める出生前コホート研
行われてきた。その理由として欧州では古
究」として取りまとめ、冊子および電子デ
くから登録システムが制度化され、大規模
ータとしてインターネット上に公開し、研
な疫学調査が行いやすい環境にあり、長期
究者が自由に利用できるようにした 。今後
間の追跡調査を継続することも比較的容易
のわが国における出生前コホート研究の推
であったことが挙げられる2)。日本でも近
進に役立つと期待される。
年いくつかの Birth Cohort Study が行われ
るようになってきているが2,3)、まだまだ
その数は少ない。
<謝辞>
一方、中高年期の人びとが対象の生活習
「これから始める出生前コホート研究」の
慣病等をアウトカムとしたコホート研究は
編集作業に多大なご尽力をいただいた管理
国内外で数多く行われており、そのノウハ
栄養士
4)
ウも蓄積・公表されてきているが 、妊娠
期から出生後にかけて調査・追跡をおこな
- 101 -
-101-
島村眞弓氏に感謝いたします。
<文献>
1) RTI international. PhenX toolkit.
https://www.phenxtoolkit.org/
2) 佐田文宏.日本の出生コホート研究.
DOHaD 研究.2013;1(1): 16-17.
http://square.umin.ac.jp/Jp-DOHaD/_s
rc/sc534/83V8393837C83W83E838082
P.pdf
3) 吉田穂波,加藤則子,横山徹爾.わが国
の母子コホートにおける近年の状況,お
よび母子保健研究から今後への展望.保
健医療科学.2014; 63(1): 32-38.
4) 日本疫学会.日本の大規模コホート研究.
http://jeaweb.jp/activities/cohort.html
F.健康危機情報
なし
G.研究発表
なし
H. 知的財産権の出願・登録状況
なし
- 102 -
-102-
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
わが国の出生前コホート研究における追跡調査、
及び研究デザインに関する検討
研究分担者
吉田
穂波(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
横山
徹爾(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
加藤
則子(国立保健医療科学院)
栗山 進一(東北大学災害科学国際研究所災害公衆衛生学分野)
佐々木
敏(東京大学大学院医学系研究科)
佐藤 昌司(大分県立病院総合周産期母子医療センター)
瀧本
秀美(国立健康・栄養研究所栄養疫学研究部)
土屋 賢治(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター)
堀川 玲子(国立成育医療研究センター内分泌代謝科)
研究協力者
三宅
吉博(愛媛大学大学院医学系研究科)
宮坂
尚幸(東京医科歯科大学大学院小児・周産期地域医療学)
頼藤
貴志(岡山大学大学院環境生命科学研究科)
目時
弘仁(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
佐藤 憲子 (東京医科歯科大学 難治疾患研究所 分子疫学)
研究要旨
一定の期間、人間集団を追跡してどのような健康事象(疾病、死亡など)が起こるかを
観察して要因との関連を明らかにしようとするコホート研究を用いて現在の低出生体重が
その後の健康にどのような影響を与えるのかを見るため、母子コホート研究における研究
手法の中でも重要なキーワードである①追跡手法②研究デザインの二点に焦点を当てて現
在の日本の母子コホート研究で行われている手法を整理した。
追跡調査の方法論に関しては、疫学研究の分野でもっとも重要な部分であるが、追跡方
法まできちんと解説された文献や著作は見当たらない。成人におけるコホート研究よりも
母子コホート研究においては追跡調査が難しいということが言われているが、その追跡率
を上げるための要因と課題に関して、本研究班のワーキンググループにおいて出生前コホ
ート研究の各段階で追跡率向上のために出来る取り組みを抽出し、規模や地域等の条件ま
で含めた実行可能性を検討した。
また、研究デザインの重要性については論を待たないが、実際に行われている母子コホ
ートではどのような研究デザインをもとに調査・研究が進められているのか、お互いに研
究者が知見や工夫を共有する機会は少ない。論文では主に研究で得られた結果や考察に終
始し、結果が得られるために必要な、ち密で戦略的な研究計画こそが後進のための貴重な
情報となる。今回、本研究班の研究分担者の協力を得、関与する出生前コホート研究では
- 103 -
-103-
どのようなタイミングでどのような調査をしているのかを明らかにすることで、これまで
の知見や工夫を共有することを目的に、出生前コホート研究のデザインをまとめた。曝露
要因と結果変数をはじめ、研究フィールドや背景、条件等の要因を考慮しながら最大限の
研究結果を引き出す工夫が随所にみられたので報告する。
A.研究目的
予想される差を検出するための研究デザイ
一般的に、ある特定の期間に出生した集
ン(サンプルサイズを設定し、対象集団を
団を、英語では Birth Cohort、日本語では
決定し、対象の代表性が保証されるように
出生コホートという。特定の期間の出生が
調査対象を設定すること)が、研究の成功
疾患罹患に影響を与えている場合には
を左右することは言うまでもない。分析的
Birth Cohort effect という。また、ある特
研究と実験的研究では、統計学的検定を行
定の期間に出生した集団を追跡するような
う前提として、予測因子とアウトカムの間
研究を Birth Cohort Study という。近年で
の関係について仮説をあらかじめ立ててお
は、妊娠中の胎内環境や母体の要因が生涯
く必要がある。項目の関連でどのようなこ
の健康に与えることが明らかになってきた
とを証明したいのか曝露要因と結果変数
ために、妊娠が判明した時点で妊婦さんに
(アウトカム)、交絡因子となりそうな要因
参加を呼びかけるスタイルの研究もなされ
を明らかにすることで、調査スケジュール
るようになってきた。英語ではこちらもま
の計画や標本サイズ設定も決まってくる。
とめて広義の Birth Cohort Study となるが、
また、地域、施設、研究対象集団、調査実
本書では、出生前のデータをコホート研究
施主体、追跡方法等の要因を考慮しながら
に生かすという意味を込めて、敢えて出生
最大限の研究結果を引き出すにはどのよう
前コホート研究という用語を使うこととし
な配慮が必要なのかを明らかにすることも
た。しかし、出生前のデータを取っている
必要である。
コホート研究でも、実施主体の研究チーム
本分担研究では、最後に次世代の出生前
が「母子コホート」と呼んでいる研究につ
コホート研究に資することを目的として、
いては、この報告書でも既存の表記通り母
研究分担者が関与する日本国内で行われて
子コホートと記載している。
きた 8 つの母子コホート研究について、そ
出生前コホート研究における方法論の中
の研究デザインをまとめた。
でももっとも重要なのが高い追跡率を保持
することであるが、追跡方法まできちんと
解説された文献や著作はわずかしかない
1)。
B.方法
(1)追跡率向上のための手法整理
本分担研究では、妊娠期から始まり一生を
文献レビューを行いながら、各分野の専
通じた疫学研究を国民の健康に活かす資料
門家からなる研究班ワーキンググループメ
とするために追跡率上昇に関する要因抽出
ンバーが集まり、既存の資料や出生前コホ
と議論および考察を行った。
ート研究の実際の事例に基づき追跡率の向
また、出生前コホートにおいて「何を明
上のための方法について議論した。
ワーキンググループでは、既存の母子コ
らかにしたいか」という問題意識や仮説を
用意し、測定項目(曝露要因や結果変数)と、
ホート研究の代表者、及び母子保健疫学専
- 104 -
-104-
門家や大型コホート研究経験者と共に、追
跡手法について、これまでの知見や海外で
3)調査項目
研究分担者および研究協力者に対し、以
の成功例を共有したうえで導入できる点、
下の項目について調査用紙を作成し、書面
課題についてまとめ、考察を行った。
で情報を返送いただいた。項目は、欧米に
<倫理面への配慮>
おける母子コホート研究の一覧表である
人を直接の対象とする調査は含まないた
Birthcohort.net2)の内容と統一した。
め、倫理指針は適応外である。また、個人
(a)コホート研究の組織概要(名称、対象人
情報などは扱わないため、必要なしと判断
数、追跡期間、研究母体、他部門連携、組
した。
織外連携)
(b)調査内容
(2)本研究班の研究分担者が関与した母
①分娩時アウトカム
子コホート研究デザインの整理・分析
②子どもの暴露要因
1)本研究班の研究分担者が関与した母子
③子どもの発育と健康
コホート研究の研究代表者、及び研究チー
④子どもの生体試料
ムのメンバーに調査を依頼した。
⑤今回の妊娠経過における母体の要因
【コホート研究の名称】
⑥母体の曝露要因
1.
聖隷浜松病院周産期母子医療センタ
⑦母体の健康状態
ー・産科の周産期データベース
⑧母体の生体試料
日本産科婦人科学会周産期登録データ
⑨今回の妊娠に関連する父親の性質
ベース
⑩父親側の曝露要因
大阪母子保健研究(Osaka Maternal
⑪父親の健康
and Child Health Study; OMCHS)
⑫父親の生体試料
2.
3.
4.
九 州 ・ 沖 縄 母 子 保 健 研 究 ( Kyushu
Okinawa Maternal and Child Health
(4)整理・分類
Study; KOMCHS)
5.
6.
7.
8.
Excel 表に以上の情報を整理し、分類し
浜 松 母 と 子 の 出 生 コ ホ ー ト ( HBS
た。また、これらの調査スケジュールを可
Study)
視化するために役立つと思われる参加者向
成育母子コホート研究(Children and
けと、研究メンバー向けの一覧表を作成し
mother's cohort study; CHAMS)
た。
子どもの健康と環境に関する全国調査
(エコチル調査)(Japan Environment
C.結果
and Children's Study)
(1)追跡率向上のための手法整理
妊婦様への食生活指導に関する研究
まず、海外の母子コホート研究について、
追跡方法の観点から要因を抽出し、そのう
2)同意の取得
えで、抽出した要因それぞれにつき、既存
回答していただく先生方には、本研究の
意義や内容について、口頭および文書にて
の母子コホートにおける具体的な追跡方法
についてまとめた(表 1~2)。
説明し、理解を得た。
追跡率向上を図るための主な要点は以下
- 105 -
-105-
のとおりである。
Generation R
Study4)」および「Lifelines
1.ベースライン調査
Cohort
1-1. リクルートの方法
Longitudinal
1-2. 同意を得る内容
Children(ALSPAC) 6) 」において方法論
1-3. 調査の運営
が確立されている。本研究でも日本の文化
1-4. 苦情やアクシデント対応
(里帰り分娩等)地域性、疫学研究におけ
1-5. データ入力の工夫
る社会的リソース(教育機関との連携、保
Study5) 」、 英 国 の 「 Avon
Study
of
Parents
and
健所や医師会、大学病院等との協力、研究
2.追跡調査
チームの人員、研究資金、親子のためのピ
2-1. 追跡調査のタイミング
アグループの場等)を俯瞰的に考慮しなが
2-2. 追跡調査の運営
ら、実行可能性のある追跡率向上のための
2-3. 郵送による質問調査票以外の情報
要因を抽出した。
今後の課題としては、追跡不可能例、消
3.追跡率向上のための工夫
息不明例の取り扱いがある。解決策の一つ
3-1. 参加率の想定
として、調査参加者の死亡(死因)
・転居等
3-2. ニューズレター
に関するフォローアップには、本人や受療
3-3. 督促の重要性
中の医療機関・主治医から情報を得ること
3-4. 研究事務局の体制
ができる体制を作ることが挙げられる。電
3-5. 対象者のモチベーション
話・郵便など通常の方法で連絡がとれなく
3-6. 後援名義取得
なった調査参加者に対しては、住民票また
は住民基本台帳、戸籍、人口動態統計、死
(2)本研究班の研究分担者が関与した母
亡小票、保険診療情報、カルテ情報の閲覧・
子コホート研究デザインの整理・分析
照会、乳幼児健診データ、介護保険情報、
対象人数は 425 名から 910,885 名まで幅
地域がん登録やその他の疾患登録も利用し
が見られた。すべて妊娠中から調査を開始
て可能な範囲で調査を継続することも検討
しており、胎内環境を曝露要因として利用
する。調査参加者が死亡した場合には調査
できるが、追跡期間は出産直後から 18 歳ま
の打ち切りとして取り扱い、以降のフォロ
で幅が見られた。組織外連携が確立してい
ーアップ調査を行わず、調査参加者との連
るものは 2 つのコホート研究にとどまった
絡がいかなる方法によってもとれなくなっ
(表 1~13)。
た場合には調査からの脱落として調査を打
ち切る。しかし、連絡が取れなくなった不
D.考察
明脱落例に関しては、辞めたい理由がリス
(1)追跡率向上のための手法整理
クファクターやアウトカムに関連していな
海外の文献において、追跡率向上の要因と
いかどうかよく調べる必要がある。
して重視されているのは、
消息不明のケースを減らすためにどうす
1.参加者の動機づけ
ればよいのか、住民基本台帳の利用や、地
2.参加しやすさ
域保健所で行われる健康診断結果の利活用
3.運営事務局のマネジメント
についても今後さらなる検討が必要である。
であり 1-3)、参考として、オランダの「The
- 106 -
-106-
(2)本研究班の研究分担者が関与した母
欧州を中心に 67 の Birth Cohort Study が
子コホート研究デザインの整理・分析
登録され、登録開始年月日、登録終了年月
日本における母子コホートには、大学や
日、参加人数のみならず、質問紙調査票及
学会団体が主な研究母体であり、主に疾患
び登録データ、生体試料の種類と採取時期、
の要因分析を目的としているものが多い。
さらには曝露要因、アウトカムが一覧表で
研究規模に応じて研究の質と対象とすべき
示され、全体像を把握するのに便利である。
疾患が決まってくるが、大規模出生前コホ
しかし、本研究の限界としてヨーロッパの
ート研究のみではなく、数百例~千例程度
調査結果を中心とした結果になる可能性を
までを対象とする出生前コホート研究には、
否定できない。今後は、世界のほかの地域
精緻な曝露とアウトカムの測定ができる一
での調査結果と比較検証することも必要で
という長所もある。今後は、国全体で研究
ある。
結果を統合できるように、研究計画の段階
から調査項目やタイミングを公開し、でき
E.結論
今回は国内外の母子コホートにおける追
るだけ共通のプロトコルを用い、調査票、
生体試料、及び追跡調査の各情報について、
跡率向上のための取り組みをまとめた、日
他施設のコホートとのデータ統合を見据え
本で初めてのワーキンググループによる課
ながら、精度管理方法を検討しておく必要
題抽出及び検討の機会を作ることが出来た。
がある。それが、少ないマンパワーでも大
母子コホートの研究方法論に関し解決すべ
きな成果を得られる研究に繋がると思われ
き課題が明らかになり、今後の日本の母子
る。その点を見据えて参加者に同意を頂き、
コホートを成功させるために重要な知見が
施設の倫理審査委員会等でも俯瞰的で長期
得られたと思われる。また、このワーキン
的な視点の元に承認を受け、調査を進めて
ググループが研究者同士の有益な情報交換
いく必要がある。
の場となり、既存の母子疫学研究にとって
今回調査した調査項目については、欧州
における母子コホート研究の一覧表である
相乗効果が得られたことも特筆すべきこと
である。
Birthcohort.net を参照した。その理由とし
国内で実施されている先行研究の工夫は、
て、欧州では、Birth Cohort Study が盛ん
疾患の診断や病状進行の評価に繋がるよう
で 、 古 く か ら 大 小 様 々 な Birth Cohort
な調査内容とタイミングを組み合わせるこ
Study が行われてきたことが挙げられる。
とにある。我が国において、今後母子コホ
米 国 で は 2014 年 に 終 了 し た National
ート研究を設計する際には今回の分析から
Children’s Study 以外には大規模なコホー
見えてきた知見を活かし、さらに良い研究
ト研究がなされていなかったが、欧州では
成果を生むために複数の研究を統合させて
古くから登録システムが制度化され、大規
いくなど、新たなアプローチの可能性が示
模な疫学調査が行いやすい環境にあり、1
唆された。
万人から 10 万人単位のコホート研究でも
長期間の追跡調査を継続することが比較的
F.謝辞
管理栄養士
容易であった。また、この Birthcohorts.net
に登録されている Birth Cohort Study では、
します。
- 107 -
-107-
島村眞弓氏のご協力に感謝
6)
<参考文献>
1)
2)
Tsuchiya KJ, et al.: Searching for
very early precursors of autism
spectrum disorders: the Hamamatsu
Birth Cohort for Mothers and
Children (HBC). Journal of
Developmental Origins of Health and
Disease. 1(3), 158–173, 2010
F.健康危機情報
なし
European Birth Cohorts.
http://www.birthcohorts.net/
3)
土屋 賢治.コホート研究から発達障
害を理解する.最新医学.
68(9):2068-79,2013
4)
Jaddoe VW et al. The Generation R
Study: design and cohort update
2012.Eur J Epidemiol. 27(9):739-56,
2012
5)
Abigail Fraser et al. Cohort Profile:
The Avon Longitudinal Study of
Parents and Children: ALSPAC
mothers cohort. Int. J. Epidemiol. 42
(1):97-110, 2013
G.研究発表
1. 吉田穂波、加藤則子、横山徹爾.我が
国の母子コホートにおける近年の状況、
及び母子保健研究から今後への展望.
保健医療科学.2014;63(1):32-38
H. 知的財産権の出願・登録状況
なし
de Jong K, et al. Pesticides and other
occupational exposures are
associated with airway obstruction:
the LifeLines cohort study. Occup
Environ Med. 71(2):88-96, 2014
- 108 -
-108-
表 1 追跡率向上のための工夫:抜粋(研究フィールドが地域ベースの場合)
出生前コホート研究の追跡率向上のための手法<地域ベース>
◎…必須手法
$ … 比較的費用・労力が少ない手法
$$… 多少費用・労力が必要な手法
$$$…かなり費用・労力がかかる手法
◇…参考情報
追跡率向上のためのポイントを表の形で整理した。
第三章本文と併せて参照して頂きたい。
1.リクルート時の注意点
項⽬
インフォームド・コン
セント
⼿法、例、注意点
◎
・インフォームド・コンセントを得る際には、研究目的と方法、参加することによる利益(ない場合も)・不利益(手
間も含む)等について十分に説明する。調査票の書き方、追跡調査の方法と時期、記入漏れ発覚時には事務
局からの問合せがあること、転居があった場合の連絡依頼等説明する。
・そのうえで、自分の意志で前向きに調査に参加していただける方をリクルートする。
研究参加率の設定
◎
・備考:研究参加率(実際の研究参加者/研究対象候補者)について、エコチルでは、50%を想定していた。こ
れとは対照的に、5~10%程度を想定することで研究全体の内容と意義を十分に理解し、積極的に調査にご協力
いただける方に限り調査参加者とすることで、コンプライアンスの高い研究対象者集団を設定でき、高い追跡率
の維持が期待される。
連絡方法
◎
・リクルートの時に、連絡先と連絡可能な曜日及び時間を確認する。これはあくまで、リクルート時の調査説明や
ベースライン調査の記入漏れ等確認作業のために行うものである。対象者においては、出産後、いずれかの段
階で職業に復帰するなど、妊娠中とは異なる生活環境となるため、追跡調査においては、適宜、対象者と接触
を図りながら電話で問い合わせができる連絡先と連絡可能な曜日及び時間を確認する必要がある。
表 2 追跡率向上のための工夫:抜粋(研究フィールドが地域ベースの場合)
出生前コホート研究の追跡率向上のための手法<病院ベース>
追跡率向上のためのポイントを表の形で整理した。
第三章本文と併せて参照して頂きたい。
◎…必須手法
$ … 比較的費用・労力が少ない手法
$$… 多少費用・労力が必要な手法
$$$…かなり費用・労力がかかる手法
◇…参考情報
1.出生前コホート研究継続のための体制
1-A.組織
項⽬
⼿法、例、注意点
研究母体
◎
・研究事務局(研究者、事務員)の設置と研究責任者の明示
関連する組織や個人
との連携
◎
・自組織他部門(他診療科など)、地域・関連組織との連携(行政-特に母子保健担当部署、医師会、他の医療機
関、教育委員会、保育園など)
◇
1.母子保健行政担当者は通常保健師であり、地域の母子保健システムの維持・管理から直接サービスの提供に
至る多様な業務を担っている。出生前コホート研究の運営によって保健師業務に支障をきたすことのないよう、母
子保健行政担当者にはコホートのあらましや運営方針について説明し了解を得ておくことが必要である。
2.調査地域の事情に合わせ医師会への事前挨拶を行う。医師会産婦人科医会、小児科医会、事務局などに早め
に連絡をとり、了解を得なければならない範囲を把握することが重要。
◇
・関係自治体や関係県医師会(産婦人科医会)の後援を受けると研究への信頼度が高まる。
◎
・行政/他組織との連携に際しては、連携組織に対するサポート体制(評価方法や事務処理に関する方法の統一、
参加者に対する関わり方の意思統一、リスクマネジメントなど)を築く。医療機関で行うコホートでは、外来主治医や
外来スタッフが調査の意義を認め、調査に協力的であることが重要。
$$$
アセスメントセンター(面接および評価を行う専用室)設置し、参加者に来所してもらう方式も考慮に値する。
*追跡率向上のための手法については、当該研究班成果物「これから始まる出生前コホ
ート研究」第三章 コホート研究は追跡率が命
- 109 -
-109-
p52~70 を参照されたい。
表 3.研究分担者が関与した出生前コホート研究の概要
聖隷浜松
名称
対象⼈数
追跡期間
⽇産婦DB
OMCHS
九州・沖縄⺟⼦保健研究
医療センター・産科の周産期 録データベース
Osaka Maternal and Child
Kyushu Okinawa Maternal and
データベース
Health Study
Child Health Study
1997年〜2012年に出⽣した N=910,885(2001-2012年) 2001年11⽉〜2003年3⽉まで
2007年4⽉〜2008年3⽉まで
N=24,908(⺟児ペア)
ベースライン調査に1,002名妊
ベースライン調査に1,757名妊婦
婦参加
参加
⽣まれた⼦が4歳半まで
2014年11⽉現在6歳時追跡調査
初診〜出⽣まで
各事例 初診時〜産褥1か⽉
その後の追跡はなし
研究⺟体
KOMCHS
聖隷浜松病院総合周産期⺟⼦ ⽇本産科婦⼈科学会周産期登 ⼤阪⺟⼦保健研究
及び7歳時追跡調査実施中
聖隷浜松病院総合周産期⺟⼦ ⽇本産科婦⼈科学会(DB利
研究責任者:三宅吉博
研究責任者:三宅吉博
医療センター・産科、岡⼭⼤ ⽤は学会員からの使⽤申請に
2014年9⽉まで福岡⼤学医学部
学⼤学院環境⽣命科学研究科 よる)
公衆衛⽣学
2014年10⽉以降愛媛⼤学⼤学院
医学系研究科公衆衛⽣・健康医
学
他部⾨連携 岡⼭⼤学⼤学院医⻭薬学総合 なし
⼤阪市⽴⼤学医学部公衆衛⽣学
研究科
ヘルスツーリズム研究センター
組織外連携 なし
なし
浜松
名称
対象⼈数
琉球⼤学⼤学院観光科学研究科
なし
成育
なし
エコチル
国⽴栄養研
浜松⺟と⼦の出⽣コホート
成育⺟⼦コホート研究
⼦どもの健康と環境に関する全
妊婦さまへの⾷⽣活指導に関す
(HBC Study)
(Children and mother's
国調査(Japan Environment
る研究
cohort study; CHAMS)
and Children's Study)
N=1,258名(児)、
N=2,014
N=103,106(妊婦)
N=457、
N=1,138組(両親)
Start: 2010年12⽉,
Start:2011年1⽉
Start: 2012年7⽉, End: 2014年
Start: 2007年11⽉, End:
End:2013年3⽉31⽇
4⽉
2011年3⽉
追跡期間
8年(予定)
研究⺟体
浜松医科⼤学⼦どものこころ 国⽴成育医療研究センター内 環境省
の発達研究センター
18歳まで,その後延⻑予定
⽣まれた⼦が13歳になるまで
分泌代謝科
国⽴健康・栄養研究所・東京医
科⻭科⼤学
他部⾨連携 浜松医科⼤学医学附属病院、 国⽴成育医療研究センター神 北海道⼤学、札幌医科⼤学、旭川
精神医学講座、産婦⼈科学講 経科、リハビリテーション
座、⼩児科学講座
妊娠16~20週から産後1カ⽉まで
⽟川病院産婦⼈科
医科⼤学、⽇本⾚⼗字北海道看護
科、産科、新⽣児科、アレル ⼤学、東北⼤学、福島県⽴医科⼤
ギー科、⺟性内科、研究所
学、千葉⼤学、横浜市⽴⼤学、⼭
梨⼤学、信州⼤学、富⼭⼤学、名
古屋市⽴⼤学、京都⼤学、同志社
⼤学、⼤阪⼤学、⼤阪府⽴⺟⼦保
健総合医療センター、兵庫医科⼤
学、⿃取⼤学、⾼知⼤学、産業医
科⼤学、九州⼤学、熊本⼤学、宮
崎⼤学、琉球⼤学
組織外連携 ⾏政機関として、浜松市保健 (東京医科⻭科⼤学)
所、浜松市⼦ども家庭部、浜
各地域の⾏政機関、分娩医療機
関
松市精神保健福祉センター、
その他地域の医療機関、療育
機関など。研究機関として、
⼤阪⼤学、福井⼤学、国⽴成
育医療研究センターなど
- 110 -
-110-
なし
表 4.研究分担者が関与した出生前コホート研究の調査内容(質問票または出生届けデ
ータ及び生体試料)と実施のタイミングに関する分類と整理
抜粋)
*調査内容(質問票または出生届けデータ及び生体試料)と実施のタイミングに関して
は、当該研究班成果物「これから始まる出生前コホート研究」第四章8.研究分担者が
関与した出生前コホート研究の調査内容と実施のタイミング(質問票または出生届けデ
ータ及び生体試料)p78~84 参照されたい。
- 111 -
-111-
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
新規疫学研究における追跡方法の検討
研究分担者
土屋
賢治(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター)
研究要旨
今日ニーズが高まっている出生コホート研究を新規に設営するにあたり、長期追跡中の
脱落を減らすための手法を整備しておくことはきわめて重要である。そこで、先行研究お
よび浜松母と子の出生コホート研究におけるそれらの手法について検討したのち、浜松母
と子の出生コホート(N=1042)における脱落率、および脱落の背景を検討した。その結果、
2年間の追跡を行う間に生じた脱落は84例(8%)であり、低く抑えられていた。すなわち、
同出生コホートにおける脱落を減らす手法が有効であったことが示唆された。一方、脱落
は低SES(Socio-economic status)の参加者に多く、また脱落のほとんどが出生後半年以
内に生じていた。以上より、新規出生コホート研究を運営し、脱落率を低く抑えるにあた
っては、浜松母と子の出生コホートを含む先行出生コホートの手法を踏襲することが望ま
れるほか、低SESで早期に「脱落」しやすい一群の参加者への支援・サポーティブな関わり
を考慮する必要性が示唆された。
A.研究目的
ロジェクトはかぞえるほどしかない。その
近年わが国では平均出生体重が減少し低
最大の理由は、手法のむずかしさ、とりわ
出生体重児の割合が増えていることが、乳
けサンプリングの方法と長期にわたる脱落
幼児身体発育調査や人口動態統計調査結果
の少ない追跡手法の確立のむずかしさにあ
から示されている。これには、早産の増加、
ると考えられる。
多胎児の増加、第 1 子の割合の増加、母親
長期追跡中の脱落を減らすことは、出生
の年齢の増加、妊娠糖尿病の減少による巨
コホート研究から得られる結果の正しさを
大児の出生の減少などの影響が考えられる
担保する上でもきわめて重要である。とく
が、それ以外にも国民健康・栄養調査等の
に、曝露因子と予後因子いずれにも関連の
経時的分析等から女性の体格が細身になっ
あ る 一 群 が 脱 落 す る missing not at
ていることや、妊娠中の体重増加が抑えら
random の場合、生じるバイアスは無視で
れる傾向になっていることの影響も考えら
きず[3]、疫学的手法から推定されるエフェ
れる[1,2]。
クトサイズが大幅に小さくなってしまうこ
このような現状から、いわゆる前向き研
とが知られている[4]。翻って、脱落を減ら
究、とくに出生コホート研究の必要性がク
せる、根拠のある手法を広めることができ
ローズアップされている。しかし、我が国
れば、出生コホート研究を始めるハードル
には長期の追跡を行う出生コホート研究プ
を少しでも下げることができるはずである。
- 112 -
-112-
分担研究者は、2007 年に運営を開始した
よび方法については、浜松医科大学倫理委
浜松母と子の出生コホートに関わってきた
員会の承認(医 20-82, 22-29, 24-67, 24-237,
実績がある。その実績と同出生コホートの
25-143, 25-283, E14-062)を得ている。
データを生かして、以下の目標をもって分
(3)測定
出産を前にした 1042 名の妊婦である被
担研究に取り組んだ。
(1)
浜松母と子の出生コホート研究におけ
検者に対して、分担研究者および協力者に
る「脱落」を防ぐ工夫とその根拠を提示す
よる面接を行うとともに、同数の新生児が
る。
登録された(周産期死亡の 2 名を含む)。ま
(2)
浜松母と子の出生コホート研究におけ
た、周産期の情報を診療記録から抽出する
る「脱落率」および「脱落」の背景を示す。
とともに、出産後 1~24 カ月までの追跡(直
(3)
接面接による繰り返し評価)を行った。
(1)(2)の結果をうけて、新しい出生コホ
(イ)妊婦への面接
ート研究の運営にあたって考慮すべき、
「脱
落」を防ぐための指針について検討する。
以下の項目について
調査用紙を作成し、一定の手順で面接し情
報を聴取した。
B.方法
(a)妊娠既往歴と今回の妊娠歴(妊娠中の
(1)対象
喫煙、飲酒、服薬歴)、育児歴
(b)教育歴と職業歴、居住地
浜松医科大学医学部附属病院産婦人科
(ロ)診療記録
(静岡県浜松市東区)および加藤産婦人科
分娩日時、在胎週数、胎位、
(静岡県浜松市浜北区)の 2 病院を 2007
帝王切開の有無、新生児身体計測値を抽出
年 11 月 19 日以降に妊婦検診を目的に受診
した。
し、2011 年 11 月 30 日までに分娩を終え、
(ハ)産後抑うつ
産後 2,4,8 週に
かつ研究への参加の同意が得られた全妊婦
Edinburgh Postnatal Depression Scale の
のうち、里帰り分娩のため当院への再訪が
自己記入を依頼し、返却された回答票を採
期 待 で き な い 106 名 の 妊 婦 を 除 外 し た
点した。このうち、一度でも産後抑うつの
1042 名とその児を解析対象者とした(なお、
存在(すなわち、EPDS の合計点が 9 点以
双胎や期間中の複数回の分娩については、
上)が認められるか否かについての判定を
児の登録は一方だけとし、先行して生まれ
行った。
た児のみを対象とした)
。
(4)解析
(2)同意の取得と情報の管理
すべてのデータを電子化、匿名化ののち、
本研究の意義や内容について、口頭およ
解 析 を 行 っ た 。 解 析 に Stata SE 12.1
び文書にて説明し、十分理解できる知能を
(Stata corp, College Station, TX) を用い
有する 18 歳以上の妊婦を対象とした。プラ
た。
イバシーの保護に留意し、得られたデータ
(イ)データのあらましおよび脱落率:24
や被験者情報についてはすべて情報コード
ヶ月齢までの追跡状況を記述統計によって
にて取り扱い、個人を特定できる情報を消
解析した。
去した上で統計処理を行った。研究内容お
- 113 -
-113-
(ロ) 脱落者および 24 カ月までの追跡継
続者を比較し、脱落を予測する危険因子を
に高まると考えられる。それをさらに高め
抽出した。
るのはフィードバックであり、わが国でも
すくすくコホートでその重要性が議論され
C.結果
たという(小枝達也博士、私信)。評価面接
(1)
「脱落」を防ぐための工夫:その根拠
後に結果を詳細に解説した手紙に写真をつ
と浜松母と子の出生コホートにおける展開
けて送るようにしているが、これは参加者
英国で行われ、世界でももっともアクテ
に非常に好評である。また、発達や小児医
ィ ブ な 発 信 を 続 け て い る Avon
学に精通した専門家を配置し、専門的な相
Longitudinal
and
談に乗れる体制を維持している。なお、今
Children(ALSPAC)の手法[5,6]、および
後、参加する児の年齢が上がるとともに、
英国で行われたさまざまな出生コホート、
児自身の内的動機づけが重要となってくる。
成人コホート、社会調査の追跡方法を網羅
幼児期では、帰り際のおやつ、検査者との
的に検討した Lynn の報告[7]をもとに以下
楽しい時間を過ごすこと、楽しいおもちゃ
の追跡指針をまとめた[8]。
があることで十分であるが、学童期になる
Study
①参加者の動機づけ
of
Parents
大きく分けて、謝
と検査者が検査者然としているばかりでな
礼による動機づけ、内的な動機づけを考慮
く、希望に満ちた態度を一貫させる、フィ
した。我々のコホート研究では、追跡期間
ードバックを親子共に分かる言葉で説明し
中の評価面接 1 回につき、2000 円の図書券
納得させることに努めた。
を支給している。評価面接は 1~1.5 時間を
②参加しやすさの確保
浜松母と子の出
要し、また本学に来ることを求められるた
生コホートは、すべての評価を Face-to-face
め、負担は小さくない。多くの参加母子は
で行う(このこと自体を参加者の内的な動
自家用車で来学するが、中には地方都市の
機づけとするよう努めている)。自宅訪問は
不便な公共交通機関を利用することもある。
スタッフ側の負担も大きいが、参加者の移
2000 円はそのような負担を考慮しても十
動の負担を減らせるため、2013 年 7 月に次
分な金額である可能性がある。実際に、20
のようなアンケートを行った。
「これからも
分あたり 5 米ドルが謝礼による動機づけか
発達検査を受けるに当たり、どの方法を希
ら捕捉率を高めるための分岐点であるとい
望しますか?(1)自宅近くの公民館などで、
われている(Lisa Croen 博士、私信)。
グループで発達検査をやってほしい。(2)今
内的な動機づけとしては、エントリー時
まで通り浜松医科大学で、個人面談方式で
の研究の主旨の徹底した説明がある。また、
やってほしい。」98%が選択肢(2)を選ん
研究に参加することで社会に貢献できるこ
だ。このことは、Face-to-face による評価
とをアピールすることも重要であると考え、
面接のよさが参加者の動機づけを高めてお
この点をエントリー時に加え、その後のニ
り、参加しやすさの優先順位は相対的に低
ューズレター配布時に繰り返して伝えた。
いことを示唆している。
我々のコホート研究がメディアで取り上げ
③スタッフの動機づけ
られることによって、この動機づけはさら
評価面接を繰り
返してデータを収集する作業、評価面接に
- 114 -
-114-
来学してもらうための予約取りの作業など
は、比較的単純かつ繰り返しの要素が大き
次に、2 年間の追跡継続が可能であった「脱
い。それを嫌って退職したスタッフがいた
落なし群」および何らかの事情で追跡不能
ことは否定できない。そこで、2013 年以降
となった「脱落群」の属性を比較した。表
は、各スタッフの動機づけに関する話し合
3 にそれを示す。
いや面談を頻繁にもつこととした。
(2)浜松母と子の出生コホート研究にお
表 3 2 年間の追跡継続が可能であった「脱
ける「脱落率」および「脱落」の背景
落なし群」と追跡不能となった「脱落群」
1042 組の母子を 2 年間追跡したところ、
うち 84 名が脱落した。脱落率は 8.1%であ
った。表 1 にその内訳を示す。
表 1
浜松母と子の出生コホートにおける
2 年間の追跡継続状況
2 年間の脱落なし
958 組(92%)
脱落あり
84 組(8%)
その内訳
継続拒否
37 組(4%)
明確な意思表明
27 組(3%)
のない脱落
対象児死亡
2 組(0%)
母死亡
3 組(0%)
15 組(1%)
転居
次に、2 年間の追跡が不能となった 84 名の
脱落のタイミングを示した(表 2)。
表 2 2 年間の追跡が途切れたタイミング
追跡不能であった母子
の属性の比較
脱落なし群
N=958 組
児の性別
474
(女児)
(49%)
分娩の既往
522
(初産)
(54%)
世帯年収
617
(平均:万円)
(SD 278)
母教育年数
13.8
(SD 2.0)
父教育年数
14.2
(SD 2.7)
居住地
210
(浜松市外)
(22%)
出生時体重
2951
(平均:g)
(SD 426)
出生時在胎週
39.0
数(平均:週)
(SD 1.5)
産後 2 ケ月まで
135
に抑うつあり
(14%)
産後 1 か月の運
動機能(Mullen
2.78
Scales of Early
(SD 0.54)
Leaning)にお
[N=794]
ける粗大運動
得点(平均:点)
脱落群
N=84 組
46
(55%)
47
(56%)
541
(SD 345)
13.5
(SD 2.9)
13.6
(SD 3.2)
47
(56%)
2916
(SD 418)
38.9
(SD 2.0)
10
(12%)
2.80
(SD 0.47)
[N=44]
(児の月齢)
N=84 組
0~1 か月
31
最後に、
「産後 1 か月の運動機能」を除くす
1~4 か月
26
べての要因が「2 年間の脱落」にもたらす
4~6 か月
13
6~10 か月
13
10~18 か月
0
18~24 か月
1
効 果 を 検 証 す る た め 、 Multiple logistic
regression 解析を行った(表 4)。
- 115 -
-115-
表 4
浜松母と子の出生コホートにおける
2 年間の脱落に影響を与える要因
のうち 8 割以上が出生後 6 か月後の脱落で
Odds ratio (95%CI)
児の性別
(女児)
(男児)
分娩の既往
(初産)
(経産)
世帯年収
(400 万円未満)
(400-499 万円)
(500-599 万円)
(600-749 万円)
(750 万円以上)
母教育年数
(12 年未満)
(12-15 年)
(16 年以上)
父教育年数
(12 年未満)
(12-15 年)
(16 年以上)
居住地
(浜松市外)
(浜松市内)
出生時体重
(2500g 未満)
(2500g 以上)
出生時在胎週数
(37 週未満)
(37 週以上)
産後 2 ケ月までの抑
うつ(あり)
(なし)
2 年間の継続が不能であった「脱落群」
②
1.45 (0.89 – 2.35)
1
0.92 (0.57 – 1.51)
1
3.28 (1.36 – 7.92)
2.44 (0.99 – 6.06)
2.20 (0.86 – 5.60)
2.52 (0.99 – 6.42)
1
あり、そのうちの半数以上が生後間もなく
の脱落であった。
③
脱落に寄与する要因として以下のもの
が統計学的に有意もしくはトレンドレベル
の関連が認められた。児側の要因として、
早産、母(父)側の要因として、低年収、
低教育歴、遠隔地居住。
世界の著名な出生コホート研究(たとえ
ば、住民の転居の多いブラジルの Pelotas
Cohort I であっても 13%/2 年[9])も、
脱落率を低く抑える「工夫」がなされてい
2.49 (0.96 – 6.43)
0.81 (0.42 – 1.55)
1
るが、浜松母と子の出生コホートも同水準
2.49 (0.96 – 6.43)
0.81 (0.42 – 1.55)
1
ある我が国であっても先行研究における脱
あるいはそれより低い 8%という水準にと
どまっていることからも、異なる文化圏で
落率を抑える「工夫」を踏襲する価値があ
ることを強く支持している。
5.10 (3.14 – 8.28)
一方、今回の結果から得られた新たな知
1
見は、2 年間の「脱落」のうち大多数が早
0.73 (0.31 – 1.72)
期(出生後 6 ケ月まで)に生じているとい
1
う点である。このことは、先行研究が支持
2.10 (0.78 – 5.67)
1
した「工夫」の効果が表れるのは出生後 6
カ月以上たってからであることを示唆して
いる。
0.79 (0.38 – 1.63)
また、8%という低い脱落率であっても
1
「脱落」が発達というアウトカム因子およ
び原家庭の低 SES (Socio-economic status)
D.考察
の影響を受けている。これは先行研究と一
(1)浜松母と子の出生コホートにおける
致している[10]。このことから、さまざま
追跡率向上の「工夫」と「脱落」との関連
な工夫をしても missing not at random の
浜松母と子の出生コホートから得られた
影響を完全に排除することは不可能である
結果(2)は以下のようにまとめられる。
①
ことを示唆している。
浜松母と子の出生コホートにおける 2
年間の脱落率は 8%である。
以上より、先行研究の「工夫」を踏襲す
る必要性とともに、出生後 6 カ月以内の脱
- 116 -
-116-
落の防止、および低 SES 群への特別な配慮
を挙げてそれを避ける努力をすべきである
の必要性が浮上した。
という主張である[3,4]。残念ながら後者の
(2)新しい出生コホート研究の運営にあ
主張を反映した明確な手法は提示されてい
たって考慮すべき「脱落」を防ぐための指
ないが、今回の結果はこの手法の不足を補
針について
うものであるかもしれない。なぜなら、も
まず指針に含めるべき内容は、先行する
し<低 SES>と<6 ケ月以内の早期の脱落
さまざまな取り組みを踏襲したものである
>という属性がオーバーラップしていると
ことはすでに述べた。具体的には、
「情報収
仮定してよいならば、6 ケ月以内の脱落を
集の方法」
「スタッフ」
「信頼」
「楽しさ」
「フ
防ぐ特段の「工夫」が「脱落」を防ぐ一助
ィードバック」
「インセンティブ」といった
となるかもしれないからである。そして、
コンセプトにまとめられており、その詳細
この仮定は、浜松母と子の出生コホートに
は Golding らの ALSPAC における「工夫」
おける「脱落」群においてあてはまってい
を概説したレビューに詳しい[5,6]。一方、
ると考えられる根拠が示されている。
ALSPAC のような大規模な研究チームを組
ここに、低 SES の家庭に生じやすい「育
織できない新規コホート研究チームでは、
児困難感」や「母の抑うつ」、「健康度の減
これらの「工夫」に加えて、小さなチーム
損」を、生後 6 ケ月間とくに重点的にサポ
であることを利するような取り組みも有用
ートしながら追跡を行うという新たな「工
であると考えられる。たとえば、Lynn らに
夫」の可能性が浮上する。あるいは、出生
よれば、参加者に触れるスタッフの顔ぶれ
コホート運営チームごとの「工夫」を講ず
が変わらないようにすると、参加者が安心
るのではなく、行政サービスとタイアップ
し、脱落を防ぎやすいという[7]。そうであ
しながらサポートを行うという「工夫」も
るがゆえに、小さな研究チームのメンバー
考えられる。この点で参考になるのは、行
の入れ替えが頻繁に生じないよう、スタッ
政サービスの役割の一部を担うほどの役割
フの動機づけを日頃から高めておくことも、
をもった出生コホートの存在である。
「工夫」すべき内容に加えてよいのではな
(Southampton Women’s Survey など)。
いかと考えられる。
行政丸抱えとなった出生コホート研究の手
さて、先行研究にも指摘されているよう
法をそのまま取り入れる価値があるのか否
に、低 SES の参加者は、研究への任意参加
か、今回のデータでは判断はできない。し
の意義が伝わりにくいという[6]。この一群
かし、行政と一体となってサービス提供と
の参加者が「脱落」しやすいという事実を
データ収集を行うことが、参加者にとって
踏まえて、大きく分けて 2 つのアプローチ
大きな安心感をもたらし、結果的に「脱落」
が提示されている。第一は、低 SES の参加
を低く抑えることにつながる可能性は大き
者の「脱落」は避けられないと考え、解析
い。
手法において工夫をすることも可能である
以上より、新しい出生コホート研究の運
という主張である[9]。第二は、いかに低
営にあたっては、先行する出生コホートの
SES の参加者が「脱落」しやすくとも全力
さまざまな「工夫」、浜松母と子の出生コホ
- 117 -
-117-
ートの「工夫」を踏襲することが望まれる
Study methodology. Paediatr Perinat
ほか、低 SES で早期に「脱落」しやすい一
Epidemiol 15: 74-87.
群の参加者への支援・サポーティブな関わ
6. Golding J, Birmingham K (2009)
りを念頭に置いた「工夫」の必要性が示唆
Enrollment and response rates in a
された。
longitudinal birth cohort. Paediatr
Perinat Epidemiol 23 Suppl 1: 73-85.
E.結論
7.
新しい出生コホート研究の運営を開始す
Lynn
P
(2009)
Longitudinal
るにあたり、2 年間の脱落率を 10%未満に
Methodology
Surveys.
of
Chichester:
John Wiley & Sons Ltd.
抑えることのできるさまざまな手法、ある
8. Tsuchiya KJ, Matsumoto K, Suda S,
いは「工夫」があることが示された。この
Miyachi T, Itoh H, et al. (2010)
脱落率をさらに下げるための「工夫」につ
Searching for very early precursors of
いても議論を深めることができた。
autism
and
1. Takimoto H, Yokoyama T, Yoshiike N,
H
(2005)
Increase
associated risk factors, 1980-2000. J
weight gain ranges for optimal fetal
Bias
of
cohort study. Int J Epidemiol 35:
237-242.
10. Howe LD, Tilling K, Galobardes B,
Lawlor DA (2013) Loss to follow-up in
cohort studies: bias in estimates of
Gynaecol Obstet 92: 272-278.
(1990)
Journal
profile: the 1982 Pelotas (Brazil) birth
growth in Japanese women. Int J
ES
(HBC).
9. Victora CG, Barros FC (2006) Cohort
2. Takimoto H, Sugiyama T, Fukuoka H,
Kato N, Yoshiike N (2006) Maternal
Children
Disease 1: 158-173.
Obstet Gynaecol Res 31: 314-322.
Johnson
the
Developmental Origins of Health and
in
low-birth-weight infants in Japan and
3.
disorders:
Hamamatsu Birth Cohort for Mothers
<参考文献>
Fukuoka
spectrum
socioeconomic
on
inequalities.
Epidemiology 24: 1-9.
withdrawing lost subjects from the
analysis at the time of loss, in cohort
mortality studies, and in follow-up
F.健康危機情報
methods. J Occup Med 32: 250-254.
なし
4. Kristman V, Manno M, Cote P (2004)
Loss to follow-up in cohort studies:
G.研究発表
how much is too much? Eur J
1.
5. Golding J, Pembrey M, Jones R (2001)
Avon
K,
Itoh
H,
Kobayashi-Kohmura Y, Murakami H,
Epidemiol 19: 751-760.
ALSPAC--the
Muramatsu-Kato
Longitudinal
Study of Parents and Children. I.
- 118 -
-118-
Uchida T, Suzuki K, Sugihara K,
Kanayama N, Tsuchiya KJ, Takei N;
Hamamatsu Birth Cohort (HBC)
Study Team. Comparison between
Takebayashi K, Yoshihara Y, Omata
placental
of
K, Matsumoto K, Tsuchiya KJ, Iwata
dehydrogenases
Y, Tsujii M, Sugiyama T, Mori N.
and infantile growth at 10 months of
Microglial activation in young adults
age.
with
gene
expression
11β-hydroxysteroid
Journal
Gynaecology
of
Obstetric
Research
and
40:465-72,
2014.
2.
disorder.
JAMA Psychiatry 70:49-58, 2013.
6.
Kamio Y, Inada N, Moriwaki A,
Kuroda M, Koyama T, Tsujii H,
Tsuchiya KJ, Ohno K, Matsuzaki H,
Kawakubo Y, Kuwabara H, Tsuchiya
Iwata K, Kameno Y, Takahashi T,
KJ,
Wakuda T, Nakamura K, Hashimoto
Quantitative
K,
the
ascertained in a national survey of 22
glutamate-glutamine cycle in the
529 Japanese schoolchildren. Acta
anterior
Psychiatr Scand 128: 45-53, 2013.
Mori
N.
Enzymes
cingulate
in
cortex
in
7.
Uno
Y,
Constantino
autistic
traits
Kameno Y, Iwata K, Matsuzaki H,
Miyachi T, Tsuchiya KJ, Matsumoto
Frasch K, Larsen JI, Cordes J,
K, Iwata Y, Suzuki K, Nakamura K,
Jacobsen B, Wallenstein Jensen SO,
Maekawa M, Tsujii M, Sugiyama T,
Lauber C, Nielsen JA, Tsuchiya KJ,
Mori N. Serum levels of soluble
Uwakwe
platelet endothelial cell adhesion
R,
Munk-Jørgensen
P,
Kilian R, Becker T. Physical illness
molecule-1
in
adhesion molecule-1 are decreased in
psychiatric
inpatients:
and
vascular
cell
Comparison of patients with and
subjects
without substance use disorders.
International Journal of Social
disorder. Molecular Autism 4:19,
2013.
8.
with
autism
spectrum
Asano R, Tsuchiya KJ, Takei N,
Larsen JI, Andersen UA, Becker T,
Harada T, Kugizaki Y, Nakahara R,
Bickel GG, Bork B, Cordes J, Frasch
Nakayasu C, Okumura A, Suzuki Y,
K, Jacobsen BA, Jensen SOW, Kilian
Takagai S, Mori N. Broader autism
R, Lauber C, Mogensen B, Nielsen
phenotype
JA, Rössler W, Tsuchiya KJ, Uwakwe
postpartum depression: Hamamatsu
R, Munk-Jørgensen P.
Cultural
Birth Cohort (HBC) Study. Research
diversity in physical diseases among
in Autism Spectrum Disorders 8
patients
(12):1672-1678, 2014.
with
mental
illness.
as
a
risk
factor
Australian and New Zealand Journal
of Psychiatry 47(3): 250-258, 2013.
5.
JN.
autism. Molecular Autism 4:6, 2013.
Psychiatry 59: 757-764, 2013.
4.
spectrum
Shimamura C, Suzuki K, Iwata Y,
postmortem brain of subjects with
3.
autism
H. 知的財産権の出願・登録状況
Suzuki K, Sugihara G, Ouchi Y,
Nakamura
K,
Futatsubashi
M,
- 119 -
-119-
なし
for
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
成育母子コホート研究における早産・低出生体重児の成長成熟予後・代謝栄養
要因調査の確立に関する研究
研究分担者
堀川
玲子(国立成育医療研究センター
内分泌代謝科)
研究要旨
生活習慣病をはじめとする成人期慢性疾患の発症基盤が、受胎時から胎児期、出生後の
環境と関連することが疫学研究や動物実験から推測されている。このメカニズムを明らか
にする目的で、国立成育医療研究センターでは平成 22 年より妊婦とその児を対象として 27
ヶ月間のリクルートを行い、妊娠期から(胎児期から)の母児の追跡調査(質問紙調査・
身体測定・面接等),および早産・SGA やハイリスク妊娠より出生した児をケースとしたネ
ステッド・ケースコントロール研究及びケースコホート研究(成育母子コホート研究:
Children and Mothers' cohort Study (CHAMS))を開始した。本研究では、CHAMS における
効率的調査方法の確立を目的とし、その検討を行った。
本研究初年度の時点で、CHAMS の月間参加同意取得率は前年度に比し平均 100.3%となり、
事務局におけるリクルート技術の進歩が認められた。1300 名が出産し、児の健診・母児質
問紙調査を実施、出生時コホート継続参加の二次同意取得率は 70%であったが、1 歳健診
時の追跡率は 92%と高率であった。
SGA 出生と母体要因の関連解析、妊婦及び臍帯血中
25OHD の低値等をまとめ、報告した。
2-3 年度は、CHAMS を進める上で重要な追跡率向上に資する因子を解析した。CHAMS では
最終的にセンター内全出産の 54.5%の参加同意を得、出産/出生後の父母子コホート研究の
再同意率は 87.6%と、研究開始年度よりも向上した。2014 組の父母子が追跡調査の対象と
なった。1 歳時の健診参加率は 67.9%であったが、質問紙のみの参加も含めると 75%の追
跡率となった。コホート研究の参加中止理由として、里帰り分娩と転居が最も多かったが、
煩雑な質問紙や心理面に関する質問紙のために参加中止やクレームを訴えるものがあり、
個々の研究の特性と、コホート研究全体としての参加追跡率向上のバランスが必要である
と思われた。追跡率向上には様々な方策があるが、参加者のコホート研究の意義の理解を
深め、社会貢献を実感してもらえるようなフィードバックを行うことで、モチベーション
を高め維持することが、長期コホート研究の成否を握るものと考えられた。
A.研究目的
生活習慣病をはじめとする成人期慢性疾
患の発症基盤が、受胎時から胎児期、出生
後の環境と関連することが疫学研究や動物
実験から推測されている(1,2)。胎児要因、ゲ
ノム要因、養育環境要因の小児期早期から
若年成人にいたる時期における神経発達代
謝予後に及ぼす影響を検証する目的で、国
- 120 -
-120-
立成育医療研究センターでは、平成 22 年よ
り妊婦とその児を対象として 27 ヶ月間の
リクルートを行い、妊娠期から(胎児期か
ら)の母児の追跡調査(質問紙調査・身体
測定・面接等),および早産・SGA やハイリ
スク妊娠より出生した児をケースとしたネ
ステッド・ケースコントロール研究及びケ
ー ス コ ホ ート 研 究 ( 成 育 母 子 コ ホー ト 研
究:CHAMS)を開始した。本研究では、CHAMS
における効率的調査方法の確立を目的とし、
リクルート率・追跡率を調査し、リクルート
率の向上と追跡率維持の要因を解析・検討
した。
B.方法
国立成育医療研究センターにおいて、
妊婦を対象として、妊娠期から(胎児期
から)の母児の追跡調査(質問紙調査・
身体測定・面接等)、および早産・SGA
やハイリスク妊娠より出生した児をケー
スとしたネステッド・ケースコントロー
ル研究及びケースコホート研究を実施し、
リクルート率、追跡率とそれに及ぼす要
因を解析した。
【対象】
当センターで妊娠・分娩管理を行う妊
婦(年間約 1600 例)に対し、平成 22 年
度 12 月より平成 25 年 3 月まで、27 ヶ月
間にコホート研究への参加同意取得を行
った。妊娠期の調査を第一期とし、分娩
に至った例では、分娩後の入院期間中に
6 歳までの第二期コホートの参加同意を
再取得した。平成 25 年 11 月までに全例
出産が完了し、平成 26 年 11 月までに全
例 1 歳に達した。
【方法】
以下の調査を施行した。調査時の参加
者数を調べ、コホート参加のリクルート
と継続の要因について解析し対策を検討
した。
調査辞退の連絡のあった参加者には、特
にその理由を口頭または e-メールにて調
査した。
【コホート調査項目】
【調査項目】
児の追跡調査・・・出生時、生後 1,3,
6,9 ヶ月、1,2,3 歳時に実施。随時、
ケースコホート研究で出生体重群間比較
及びネステッド・ケースコントロール研
究で出生体重以外の要因を探索する。
成長代謝追跡調査:
身体所見、質問紙調査(栄養)、唾液中ス
テロイド・IGF-I、血中総蛋白、アルブミ
ン、ヨード、25VD、葉酸、アミノ酸分析、
脂質、アディポサイトカイン測定(臍帯血,
1,3 歳時)
神経生理学的調査(抽出調査):
神経学的診察、睡眠覚醒リズムおよびそ
の構造、locomotion・共同注意発達過程
運動・認知発達調査(抽出調査):
運動機能評価:粗大運動能力、KIDS 乳幼
児発達スケール、基本動作能力
認知機能評価:PC やタッチパネル機によ
る評価
精神発達調査(抽出調査):
親子関係および子どもの行動調査
親子関係の観察による子どものアタッチ
メント行動の評価(1,2,3 歳時)
愛着チェックリスト(1,2,3 歳時)
M-CHAT(自閉症)
(2 歳時)、CBCL(子
どもの行動)(3 歳時)、PARS(自閉症)
(3 歳時)
アレルギー調査:
アレルギー疾患質問紙調査
アレルギー感作の有無(血中抗原特異的
IgE 抗体価測定)(1,3 歳時)
早産ゲノム調査:
早産・低出生体重児のゲノム要因調査の
ための DNA バンク(臍帯血より DNA 抽
出)・胎盤バンクを作成。
母の追跡調査
妊娠中の状態、妊娠結果、1,3 年後の
- 121 -
-121-
0.00-0.18)であった。
計測と母・その母親の健康状態質問紙調
査。抑うつや不安についてメンタルヘル
ス質問紙調査。
父の追跡調査
妊娠中及び出産後 3 年で質問紙調査を
実施。児との愛着形成を調査。
表1
各変数の基本的統計
喫煙
SGA 群
コントロール群
n=158
n=464
n
%
n
%
157
100
464
100
(倫理面への配慮)
なし
151
96.2
464
100
本研究は、機関内倫理委員会にて審査を
受け、承認を得、母に対するインフォーム
ドコンセントを行い、同意を得て行った。
詳細な疫学統計上の個人情報の取り扱いに
関して、個々の症例の情報を集積する場合
は「疫学研究に関する倫理指針」に準じて
研究遂行した。
遺伝情報解析については、倫理指針に則り
機関内倫理委員会にて審査・承認を得た。
あり
6
3.8
0
0
予定帝王切開
158
100
464
100
なし
108
68.4
396
85.3
あり
50
31.6
68
14.7
緊急帝王切開
158
100
464
100
なし
110
69.6
433
93.3
あり
48
30.4
31
6.7
158
100
464
100
なし
150
94.9
451
97.2
あり
8
5.1
13
2.8
158
100
464
100
なし
141
89.2
461
99.4
あり
17
10.8
3
0.6
158
100
464
100
37 週未満
86
54.4
0
0
37 週以上
72
45.6
464
100
156
100
463
100
男児
73
46.8
248
53.6
女児
83
53.2
215
46.4
157
100
457
100
中 / 側
124
79.0
420
91.9
辺縁 / 卵膜
33
21.0
37
8.1
C.結果
GDM
PIH
1. 初年度の状況
1-1.母子の代謝因子、成長との関連検討
のためのデータベース作成
対象の母体年齢は平均 35.8 歳(24〜46
歳)、児の在胎週数は中央値 39 週 0 日(23
週 6 日〜41 週 5 日)、出生体重の中央値は
2964g(596〜4332g)、出生身長の中央値
49cm(31〜56cm)、児の男女比はほぼ 1:
1 であった。
成育母子コホート参加者台帳より A 群
(SGA 児)158 名、B 群(コントロール)464
名を抽出し解析対象とした。使用した変数
は、妊娠期体重増加量、非妊娠時 BMI、喫
煙、予定帝王切開、緊急帝王切開、GDM、PIH、
在胎週数 37 週未満、性別、胎盤重量、臍帯
付着である(表1)。これらについて、ロジ
スティック回帰分析を行った。有意差がみ
られる変数は両モデルにおいて同じであり、
それぞれのオッズ比は、妊娠期体重増加量
1.11(95%CI 1.02-1.20)、非妊娠時 BMI1.23
(95%CI 1.08-1.39)、予定帝王切開 0.30
( 95%CI 0.17-0.55 )、 PIH0.03 ( 95%CI
在胎週数
性別
臍帯付着
1-2.妊娠母体と臍帯血ビタミン D
近年骨外作用が注目されているビタミン
D について、494 組の母子を対象として妊
娠母体および臍帯血中ビタミン D を測定し、
代謝指標との関連を検討した。
妊娠中期母体血の 25OHD 中央値は 18.9
mg/ml(8.3~39.8)で、そのうち 20 mg/dl
未満の症例が 275 例と半数以上を占めてい
た(図1)。また、臍帯血の 25OHD 中央値
は全体で 11.8 mg/ml(3.5~35.3)、満期産
- 122 -
-122-
では低値を示し、母体血と臍帯血の 25OHD
は、正の相関を認めた(r=0.41、p<0.001)。
2.成育母子コホート参加者
2010 年 12 月より 2013 年 3 月 31 日ま
でに 4217 名のリクルートを行った。
2011
年 2 月まではパイロット期間で、リクル
ートの修正を行い、2011 年 3 月から本格
的にリクルートを行った。上記 4217 名中
2401 名から同意を得、その後早期の同意
撤回があり最終的に 2298 名からコホー
ト参加の文書同意を得た(参加同意率
56.9%、最終 54.5%)。このリクルート率
は、初年度からほぼ一定の割合であった。
全例が出産し、出産後のコホート研究へ
の参加再同意を 2014 名の母から得た(再
同意率 87.6%)。児は双胎を含め、2018
名を追跡調査することとなった(表2)。
対象を早産・低出生体重児群(A 群)、
ペアドコントロール群(B 群)、ハイリス
ク妊娠群(基礎疾患、妊娠中薬剤曝露、
生殖補助医療妊娠、高齢出産等:C 群)、
それ以外の正常コントロール群(D 群)
に分類した。A 群 15.07%、うち C 群に
も相当する AC 群 5.05%、C 群 33.5%で
あった。(図2)
3.参加者の推移(2014 年 12 月現在)
(表
2)
胎盤、臍帯血は夜間休日出産時に 55 例か
ら回収できなかった以外は全例採取できた。
9 ヶ月までが現在固定されているデータで、
1 歳時の調査は中間データである。出生後
(出産後)追跡率は、児は 2018 名を分母に、
母は 2014 名を分母にそれぞれ計算した。
3、6、9、12 ヶ月健診は 69.7%、73.0%、
68.8%、67.9%が受診した。健診は原則とし
て毎月 2 回土曜日に行っているが、振り替
え希望者には平日の健診を行った。また、
一般受診が必要な対象では、受診日に併せ
てコホート健診を行った。
質問紙返却は健診受診時を原則とした。
健診不参加の場合、郵送での受付を行った
1 歳時の回収率は 70%弱であった。
現在さらに追跡率を上げるよう呼びかけ
ている。
4.出生後コホート・健診不参加理由と対
策
不参加理由
1) 出生後コホート不参加者の不参加理由

児の健康状態不良

転居(里帰り出産)

他の研究との競合

妊娠中の質問紙調査が煩雑だった

母の職場復帰のため時間が無い
2) 健診不参加理由

天候:雨、風、雪など

仕事、所用

健康状態(風邪など)、兄弟姉妹の健康
状態など
参加率向上のための対策
1. 健診日(土曜日)の平日への振り替え
2. 質問紙回収のためのアラートメール、
郵便発送、電話連絡
3. コホート参加者へのサービス

健診結果にコメントを付け返却

健診参加時シール、タオルを配布

子および母にバースデーカード送付
4. 啓発活動

ニューズレター送付(年 2 回)

公開市民講座開講 コホート参加者
優先参加
2014 年「コホート研究から見える子ど
もの発達」小枝達也(鳥取大学)
2013 年「放射線と甲状腺機能—福島か
らの報告」宮川めぐみ(虎の門病院)
D.考察
コホート研究を遂行する上で、参加人数
の確保と追跡率の向上はその研究の成否を
握っているとも言える。リサーチクエスチ
ョンから統計学的解析をするために必要な
- 123 -
-123-
対象者数を計算し、追跡率を考慮してはじ
とが最も重要で、参加者のモチベーション
めのリクルート人数を確保する必要がある。
を高める鍵となり、長期コホート研究の成
成育母子コホート研究では、1年間の追
跡率を 80%と想定した時に、6 年後の追跡
率 26%を最低の追跡率とし、解析に必要な
人数を各研究項目で計算してリクルート目
標を設定した。現在、リクルート目標人数
は達成している。一歳での追跡率は、里帰
り分娩が予想以上にあったため、健診参加
率が 67.9%と低下したが、質問紙調査の協
否を握るものと考えられた。
ハイリスク妊娠や合併症妊娠の母体、疾
患や先天異常を有する児の追跡調査には、
特に配慮が必要である。我々のコホート研
究では、これらの対象が中核となっている
ので、特に高い追跡率を目標としている。
さらに、長期の追跡体制の確立、研究財
源の確保は今後の重要課題である。
力は 75%であり、生後 3 ヶ月の健診からの
脱落は非常に少ない。この追跡率を 85%/
年で維持していくことが出来ればすべての
E.結論
コホート研究の参加中止理由で最も多か
早産・SGA 児を中心とし、コントロール
群とハイリスク妊娠児を含めた母子コホー
トを進めた。
施設内の出生前母子コホート研究におい
ったのは転居・母の職場復帰であり、約半
て、54.5%の参加同意を得、出産/出生後の
数以上を占めた。その他に多かった理由と
父母子コホート研究の再同意率は 87.6%で
して、質問紙の煩雑さを挙げるものが多く、
あり、2014 組の父母子が追跡調査の対象と
約 3 割の中止理由として挙げられていた。
なった。1 歳時の健診参加率は 67.9%であ
本研究では、心理状態を把握するための質
ったが、質問紙のみの参加も含めると 75%
問枝が多数あり、特に 3 際における父母に
の追跡率となった。コホート研究の参加中
対する愛着形成の質問は虐待に関する質問
止理由として、里帰り分娩と転居が最も多
を含み、質問内容の特性から気分が不快に
かったが、煩雑な質問紙や心理面に関する
なるという訴えのあるものもあった。研究
質問紙のために参加中止やクレームを訴え
上やむを得ないものではあるが、妊娠・乳
るものがあり、個々の研究の特性と、コホ
児の子育てといった精神的に不安定になり
ート研究全体としての参加追跡率向上のバ
やすい時期の質問については、対象の心理
ランスが必要であると思われた。
研究計画遂行に必要な人数を確保できるこ
とになる。
状態を配慮したものに限った方が追跡率は
向上すると考えられた。
追跡率向上には様々な方策があるが、や
はりコホート研究の意義の理解を深め、社
母と子の健康に関するフィードバックは
会貢献しているという意識を保つことが最
必須であり、それを期待しての参加者が多
も重要で、参加者のモチベーションを高め
かった。また、市民公開講座は参加希望者
る鍵となり、長期コホート研究の成否を握
が多く、参加者に対するサービスとしても
るものと考えられた。
健康/育児に関する啓発活動としても有意
F.健康危機情報
義であると考えられた。
追跡率向上には様々な方策があるが、や
なし
はりコホート研究の意義の理解を深めるこ
- 124 -
-124-
(文献)
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クティス フィジカルアセスメントと救
急対応 (及川郁子監修 西海真理・伊
藤龍子責任編集) 中山書店
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18. Izumi Y, Musha I, Suzuki E, Iso M,
Jinnno T, Horikawa R, Amemiya S, Ogata
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Hypogonadotropic hypogonadism in a
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25. 堀川玲子: さまざまな症状や検査異常
- 126 -
-126-
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(外性器異常) ビギナーのための小児
内分泌診療ガイド (有阪治編集) 中
山書店 (2014.3.31 pp140-149)
【学会発表】
1. 妊娠時母体が甲状腺機能異常を指摘さ
れた児の 6 歳時の予後 内木康博,宮下
健悟,山本晶子,西垣五月,水野裕介,
荒田尚子,堀川玲子 第 86 回日本内分
泌学会学術総会(仙台,2013 年 4 月 26
日)
2.
3.
4.
5.
6.
7.
Molecular and clinical studies in 138
Japanese patients with Silver-Russell
syndrome. Fuke T, Miuno S, Nagai T,
hasegawa T, Horikawa R, Miyoshi Y,
Muroya K, Kondoh T, Numakura C, Sato
S, Sano S, Matsubara K, Kagami M,
Yamazawa K, Ogata T. 9th Joint Meeting
of Paediatric Endocrinology (Milan
Italy, 2013.9.19)
Maternal thyroid function during
early pregnancy and
neurodevelopmental outcome at 6 years.
Naiki Y, Takahashi C, Miyashita K,
Nishigaki S, Mizuno Y, Horikawa R.
9th Joint Meeting of Paediatric
Endocrinology (Milan Italy,
2013.9.20)
Long-term metabolic effects of two
growth hormone (GH) doses in short
Japanese children born small for
gestational age (SGA). Horikawa R,
Yokoya S, Tanaka T, Ogawa Y, Kiyomi F,
Kappelgaard A.M. 9th Joint Meeting of
Paediatric Endocrinology (Milan Italy,
2013.9.19)
1 歳児の脂質代謝マーカーと体格・乳児
期の栄養法についての検討-母子コホー
ト研究から 高橋千恵,服部淳,内田登,
山本晶子,内木康博,堀川玲子 第 47
回日本小児内分泌学会学術集会(東京,
2013 年 10 月 10 日)
日本人 SGA 性低身長症における長期成長
ホルモン治療の代謝への影響 堀川玲
子,田中敏章,横谷進,小川憲久,清見
文明,Kappelgaard Anne-Marie 第 47
回日本小児内分泌学会学術集会(東京,
2013 年 10 月 11 日)
本邦乳児におけるビタミン D の充足状況
とその影響 山本晶子,服部淳,高橋千
恵,内田登,内木康博,堀川玲子 第 47
回日本小児内分泌学会学術集会(東京,
2013 年 10 月 11 日)
8.
SGA 性低身長症の成長ホルモン治療 堀
川玲子 第 85 回日本内分泌学会学術総
会(名古屋、2012 年 4 月 19 日)
9.
幼児期代謝指標と母体因子との関連 西
垣五月,野田雅裕,水野裕介,山本晶子,
宮下健悟,内木康博,荒田尚子,堀川玲
子 第 85 回日本内分泌学会学術総会(名
古屋、2012 年 4 月 19 日)
10. 血中 IGF-I と各種因子との相関 宮下健
悟,山本晶子,西垣五月,水野裕介,野
田雅裕,内木康博,堀川玲子 第 85 回
日本内分泌学会学術総会(名古屋、2012
年 4 月 19 日)
11. エコチル調査と小児内分泌・代謝疾患
堀川玲子 第 115 回日本小児科学会学術
集会(福岡、2012 年 4 月 21 日)
12. 成育コホートによる母体と 5 歳児の代謝
マーカーとの相関の検討 内木康博,野
田雅裕,水野裕介,西垣五月,宮下健悟,
山本晶子,荒田尚子,堀川玲子 第 115
回日本小児科学会学術集会(福岡、2012
年 4 月 21 日)
13. 小児期から成人期を通して使用可能な
Insulin-like growth factor-I(IGF-I)
の基準値の設定 磯島豪,島津章,横谷
進,田中敏章,立花克彦,勝又規行,堀
川玲子 第 46 回日本小児内分泌学会(大
阪,2012 年 9 月 27 日)
14. 周産期母体因子と出生児代謝指標の関連
西垣五月,水野裕介,山本晶子,宮下健
悟,内木康博,荒田尚子,堀川玲子 第
46 回日本小児内分泌学会(大阪,2012
年 9 月 29 日)
15. SGA 性低身長症に対する成長ホルモン投
与におけるΔ身長 SDS とΔIGF-I SDS
の相関 堀川玲子,田中敏章,横谷進,
清野佳紀,小川憲久,清見文明,
Anne-Marie Kappelgaard 第 46 回日本小
児内分泌学会(大阪,2012 年 9 月 29 日)
16. 本邦妊婦のビタミン D 充足状況と胎児発
育の前方視的検討 山本晶子,西垣五月,
水野裕介,宮下健悟,内木康博,堀川玲
子 第 46 回日本小児内分泌学会(大阪,
- 127 -
-127-
2012 年 9 月 29 日)
17. 妊娠時母体が甲状腺機能異常を指摘され
た児の 6 歳時の予後 内木康博,宮下健
悟,山本晶子,西垣五月,水野裕介,伊
藤裕司,中村知夫,荒田尚子,堀川玲子
第 46 回日本小児内分泌学会(大阪,2012
年 9 月 29 日)
18. 健常児と低出生体重児における臍帯血お
よび 1 歳児血中 IGF-I と成長 堀川玲子,
水野裕介,西垣五月,宮下健悟,山本晶
子,内木康博,荒田尚子,渡邊典芳,伊
藤裕司 第 46 回日本小児内分泌学会(大
阪,2012 年 9 月 29 日)
19. Association of fetal IGF-I, leptin,
and adiponectin with fetal and early
postnatal growth in NCCHD cohort study.
Miyashita K, Noda M, Mizuno Y,
Nishigaki S, Yamamoto A, Naiki Y,
Horikawa R., 52th ESPE meeting
(Leipzig, Germany, Set 20, 2012)
H. 知的財産権の出願・登録状況
図1
- 128 -
-128-
なし
表2
図2
- 129 -
-129-
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
出生前コホート研究で用いる質問票データベース開発
研究代表者
横山
徹爾(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
研究分担者
加藤
則子(国立保健医療科学院)
栗山
進一(東北大学災害科学国際研究所)
佐々木
研究協力者
敏(東京大学大学院医学系研究科)
佐藤
昌司(大分県立病院
瀧本
秀美(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
土屋
賢治(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター)
堀川
玲子(独立行政法人国立成育医療研究センター内分泌代謝科)
三宅
吉博(愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学)
宮坂
尚幸(東京医科歯科大学大学院小児・周産期地域医療学)
吉田
穂波(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
頼藤
貴志(岡山大学大学院環境生命科学研究科)
磯島
総合周産期母子医療センター)
豪(東京大学大学院医学系研究科)
石黒
真美(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
峯岸
直子(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
目時
弘仁(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
大久保公美(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
松田
義雄(国際医療福祉大学産婦人科)
中井
章人(日本医科大学多摩永山病院産婦人科)
NAY CHI HTUN (独立行政法人国立健康・栄養研究所栄養教育研究部)
田中
景子(愛媛大学大学院医学系研究科統合医科学)
佐藤
憲子(東京医科歯科大学難治疾患研究所分子疫学)
研究要旨
本研究は、出生前コホート研究で利用可能な多分野の質問票をデータベースとして提供
し、今後、出生前コホート研究を実施する際に活用できる環境を作ることを目的とする。
出生前コホート研究における曝露情報やアウトカム情報収集のための調査票データベース
を構築するために、世界各国の疫学研究等を元にした調査票データベース( PhenX
Toolkit: 英語版)のうち出生前コホート研究で必要な項目を研究班として抽出して翻訳し、
さらに翻訳の段階で明らかになった日本の制度や習慣等にそぐわない事項等を修正し、日
本語版があるものは差し替え、不足項目を追加したうえで、調査対象者の分類等を加えて
完成させた。データベースの解説および全文は、本研究班で作成した「これから始める出
生前コホート研究」の中に収載し、冊子および PDF ファイルとしてインターネット上で公
表した。今後のわが国における出生前コホート研究の推進に役立つと期待される。
- 130 -
-130-
となっている。そのため、これらの中には、
A.研究目的
本研究班の主目的の一つは、妊娠期から
出生前コホート研究で調査することが望ま
の母子保健の課題を明らかにし、さらに今
しいと考えられる事項と、全く関係ないで
後の妊婦及び乳幼児コホート研究における
あろう事項が混在しており、出生前コホー
仮説設定から曝露情報収集・追跡に至るま
ト研究で用いられる領域別に分類し直す必
での効率的な手法を開発し、将来の大規模
要がある。そこで、本研究では、この PhenX
コホート研究や、質の高い小規模研究のた
を参考に、出生前コホート研究の調査項目
めの基礎を確立することである。妊娠期か
の内容について以下のように議論した上で、
らの母子を対象としたコホート研究は比較
出生前コホート研究に必要な質問票の選定
的数が少なく、曝露情報収集のための調査
を行った。尚、本研究では PhenX Steering
票に関するノウハウが十分に蓄積されてい
Committee に連絡を取り、日本語訳と公開
ない。そこで、本研究では、出生前コホー
について許可を得た。
ト研究で利用可能な多分野の質問票をデー
まず、世界各国(主に欧州)の出生前コ
タベースとして提供し、今後、出生前コホ
ホート研究に関する情報を要約しているイ
ート研究を実施する際に活用できる環境を
ンターネット上の Birthcohorts.net という
作ることを目的とする。
プラットフォーム2)の 59 研究のデータを
用いて、研究目的(仮説)に応じて、どの
B.方法
時期に、どの方法で、何を調査しているか
1.元となる質問票データ
を整理した3)。その結果から、妊娠・授乳
米 国 ノ ー ス カ ロ ラ イ ナ 州 の RTI
(Research
Triangle
期、乳幼児期のそれぞれで、子ども、母親、
Institute)
父親に対して調査する事項は、①カルテ等
international では、1958 年より、多大学・
から得られる「既存情報」、②多くの出生前
多施設共同で科学的な研究を推進するため
コホート研究で調査することが想定される
のさまざまなアプローチをしており、その
一般的事項である「コア項目」、③研究仮説
一つとして、上手な調査票の用い方につい
によって異なる「追加項目」に分類され、
ての教育的成果をねらい、取得するデータ
また、①~③それぞれがエクスポージャー
項目の選定をし、臨床データを研究に資す
(曝露要因)とアウトカム(健康状態等)
るものに持ち上げるような項目決めのため
に分類されると考えられた。
の PhenX というサイトがある 。
2.調査対象別の重要度分類
1)
PhenX に掲載されている”PhenX toolkit”
次に PhenX Toolkit の質問票の内容を、
には、21 分野について質問票およびその出
調査対象者別(乳幼児、小中学生、母、父)
典となる疫学研究論文等が収載されている。
のそれぞれについて、コア項目、追加項目、
これらの質問項目は、出生前から乳幼児の
および既存情報(コア項目、追加項目いず
分野だけでなく、小児・成人から高齢者ま
れにもなり得る)に分類した。作業手順は
で多岐に渡っており、また、調査対象の世
以下の通りである。
代別の分類ではなく、がん、循環器疾患、
(1)PhenX Toolkit の 21 分野について、
身体活動、飲酒・喫煙など、領域別の分類
各研究分担者が自身の専門に近い分野を担
- 131 -
-131-
当して、乳幼児、小中学生、母親、父親の
問を修正する場合の注意点などを整理した。
それぞれについて、コア項目(◎コア質問)、
6.データベース活用の例示
出生前コホート研究の計画プロセスの中
追加項目(○仮説があれば聞く質問、△非
常に特殊な仮説があれば聞く質問)
、不要項
での質問票使用例を示した。
目(×不要質問)に仮に分類した(図1:
C.結果
対象)。
(2)研究分担者・研究協力者が3~4名
表2に示したように、21分野の計19
で議論しながらその仮分類を確認し、必要
6項目(うち本研究班独自追加31項目)
に応じて修正した。
について、質問票データベースが完成した。
(3)不要項目以外を翻訳した。
これらは本研究班で作成した「これから始
3.日本文化の考慮、日本語版の紹介等
める出生前コホート研究」
(総括研究報告書
翻訳過程で、日本では用いられない、あ
参照)の「第五章
出生前コホート研究に
るいは日本の制度や習慣等に合わせて追
有用な質問票データベース」に収載し、ま
加・修正すべき事項や用語等を確認した。
た電子データでもインターネット上に公開
追加にあたっては出生前コホート研究に取
して研究者が自由に利用できるようにした。
り組んでいる研究分担者のこれまでの調査
(http://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/
事項を参考にした。
birthcohort)
また、PhenX Toolkit に掲載されていな
いものでも当該分野でよく用いられる日本
D.考察
語版質問票について、訳者、特徴等の情報
本研究で参考にした Birthcohorts.net お
を整理し追加した。
(本研究班で追加した日
よび PhenX toolkit の元となった研究には、
本語版質問票には名称の横に「★研究班追
日本の疫学研究がほとんど含まれていない。
加★」と表記した。)(図1:①)
Birthcohorts.net は、米国での母子コホー
4.出生前コホート研究で用いられる領域
ト研究の数が比較的少ないこともあって欧
別分類
州中心であり、また、PhenX toolkit の出典
各質問票の内容を分類するために、表1
は基本的に英語で公表された資料である。
の領域別分類(Birthcohorts.net 等2,3)の
そのため、日本独特の生活習慣や保健医療
分類を参考)を示した。また、どの調査項
制度、単位等に馴染まない項目や、不足し
目を組み合わせるとどのようなアウトカム
ている事項もあり、研究分担者がコホート
を評価できるのかの分類も研究班にて議論
研究で用いている調査内容などを考慮して
を行ったうえで示した(図1:曝露、アウ
独自に追加する必要があった。特に、食習
トカム)。
慣や精神医学・心理社会的分野では独自追
5.質問票データベース活用にあたっての
加項目が多い。
また、疫学調査は様々な仮説に基づいて
留意点
出生前コホート研究で PhenX 質問票デ
行われるものであるから、本研究で作成し
ータベースを活用するにあたり、留意すべ
た質問票データベースを活用しつつも、仮
き事項について、質問票の使い方、原文の
説特異的な質問票を開発することももちろ
参照法、使用のメリットとデメリット、設
ん必要である。しかし、本研究で作成した
標準的な質問票をデータベース化しておく
- 132 -
-132-
ことで、調査票開発を省力化できるだけで
3) 田中平三.疫学入門演習―原理と方法
なく、将来、異なるコホート研究を統合し
(第3版).南山堂,1998
4) 平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金
た分析が可能になる可能性がある。
一方で、PhenX は出生前コホート研究に
(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事
特化した質問票ではなく、広く使われてい
業)「低出生体重児の予後及び保健的介
る標準的質問票であるため、妊婦に使用す
入並びに妊婦及び乳幼児の体格の疫学
る際は妊娠中の質問票ということを考えて
的調査手法に関する研究」・分担研究報
使用する必要がある。例えば、喫煙や飲酒
告書「母子コホート研究手法のデータベ
に関する質問では、妊娠前の状況や妊娠に
ース開発」,2013 年 3 月
よってやめたかを調べる質問を追加する必
要があるだろう。質問票の中の項目はセッ
F.健康危機情報
なし
トで使われるべきなのか、単独で使用して
もいいのか、熟考しておくべきである。ま
た、研究者が本データベースを使用するに
G.研究発表
なし
あたっては、原文を確認のうえ、研究目的、
対象に合わせ、設問の接頭語を適宜修正す
ることを推奨する。例えば、「妊娠する前」
H. 知的財産権の出願・登録状況
を、「今回の妊娠前」「直近の妊娠前」等と
修正するなどである。
E.結論
PhenX toolkit を参考に、日本の文化等を
考慮して独自項目を追加しつつ、出生前コ
ホート研究で有用な質問票を、乳幼児、小
中学生、母、父のそれぞれについて整理し、
質問票データベースとして完成・公表した。
今後のわが国における出生前コホート研究
の推進に役立つと期待される。
<参考文献>
1) RTI international. PhenX toolkit.
https://www.phenxtoolkit.org/
2) Birthcohorts.net.
http://www.birthcohorts.net/
- 133 -
-133-
なし
図 1.質問票データベース掲載例
①
②
④
③
番号の説明
①
②
本研究班で追加した日本語版質問票には名称の横に★研究班追加★と表
記した。
PhenX Toolkit に掲載されていないものでも当該分野でよく用いられる日本
語版質問票について、訳者、特徴等の情報を整理し追加した。
③
PhenX Toolkit に掲載されていない本研究班で追加した内容について、識
別し易くするために、両サイドにオレンジのラインを入れた。
④
平成 26 年 12 月 1 日現在有料の質問票について[平成 26 年 12 月 1 日現
在有料]と表記した。
表1.出生前コホート研究で用いられる領域別分類
1.原因となるもの(曝露要因)
Ⅰ.
その人の要因(宿主要因)
1. もともと持ち合わせている特徴:基本的特徴
A) 年齢、性
B) 人種、遺伝、家族歴
C) 既往歴、慢性疾患、合併症
D) 身体の状態
E) 人生における時期、ライフイベント
2. 身体の特徴:栄養状態(痩せ、低蛋白など)、形態学的特性(身長、体重、肥満度、
筋力等)
3. 精神的な特徴:性質、性格、知的能力など
4. 免疫的な特徴:液性免疫、細胞免疫、ワクチン接種歴など
- 134 -
-134-
(表1.続き)
Ⅱ.
周りの要因(環境要因)
1. 物理・化学的な特徴:温度、湿度、気流、紫外線、大気、薬剤摂取、電磁波など
2. 細菌などわれわれを取り巻く動植物
3. 社会や暮らしの環境:
A) 食生活、食習慣
B) 身体活動
C) 嗜好品
D) 人間関係、ストレスなど
E) 職業
F) 個人の要因:生活態度、宗教、結婚、性行動、文化的習慣、教育、収入、地域
など
G) 社会的要因:開発・発展レベル、教育、保健医療、交通、産業、一次予防を受
けられる
制度など
H) 国家の要因:経済状況、戦争、自然災害、人口密度、居住密度、人口移動など
2.影響を受けた結果、起こってくること(アウトカム)
I.
発育・成長
1. 身体の発育や成長
2. 精神的な発育
Ⅱ.
疾病
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
18.
19.
先天異常
分娩時の異常
がん
循環器疾患
糖代謝・内分泌
消化器
感染症
神経疾患
呼吸器
腎臓・泌尿器
精神疾患・心の状態
生殖器
眼科
皮膚
骨・筋肉疾患
耳鼻咽喉科
歯科・口腔外科
免疫
全般
*ほとんどの曝露要因はアウトカムにもなりうる
- 135 -
-135-
表2.「これから始める出⽣前コホート研究」およびPhenX Toolkitの質問票データベースの項⽬
これから始める出⽣前コホート研究
項⽬
質問票データベース質問項⽬
数
【分野01】アルコール、たばこ、その他嗜好品
【分野02】⾝体測定
うち
独⾃
追加
6
19
対応するPhenX Toolkit質問項⽬
0 Alcohol, Tobacco and Other Substances
0 Anthropometries
【分野03】がん
7
0 Cancer
【分野04】循環器
4
0 Cardiovascular
【分野05】⼈⼝統計学データ
9
0 Demographics
【分野06】糖尿病
15
0 Diabetes
【分野07】環境因⼦
14
0 Environmental Exposures
【分野08】消化器
10
0 Gastrointestinal
【分野09】感染症・免疫
12
0 Infectious Diseases and Immunity
【分野10】神経疾患
7
2 Neurology
【分野11】栄養及び⾷品サプリメント
8
7 Nutrition and Dietary Supplements
【分野12】眼科
【分野13】⼝腔衛⽣
5
13
【分野14】⾝体活動
3
【分野15】精神医学
17
【分野16】⼼理社会的
【分野17】⽣殖医療
【分野18】呼吸器
6
11
4
0 Ocular
0 Oral Health
0 Physical Activity and Physical Fitness
15 Psychiatric
6 Psychosocial
0 Reproductive Health
0 Respiratory
【分野19】⽪膚、⾻、筋⾁、関節
10
0 Skin, Bone, Muscle and Joint
【分野20】社会環境
10
0 Social Environments
6
1 Speech and hearing
【分野21】⾔語、聴⼒
計
196
- 136 -
-136-
31
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
追跡率向上のための手法を活用した新規母子コホート研究の開始
研究分担者
宮坂
尚幸(東京医科歯科大学大学院小児・周産期地域医療学講座)
研究協力者
佐藤 憲子 (東京医科歯科大学難治疾患研究所 分子疫学)
研究要旨
本研究班ワーキンググループで検討された、母子コホート研究追跡調査率向上のための
手法を適用しながら、東京医科歯科大学附属病院をフィールドとして新規母子コホート研
究の計画を立案した。本研究は母体環境因子および胎児・新生児エピゲノム変化と、その
後の乳児発育・発達を評価するコホート研究であり、退院後も定期的に研究参加者と接触
することで、追跡率が向上するよう計画を立てた。医学部倫理委員会、難治疾患研究所で
の承認が得られ、平成27年からリクルート開始予定である。
A.研究目的
エピゲノムに影響を及ぼすことが報告され
本研究班ワーキンググループで検討され
ており、これが DOHaD のメカニズムと深
た、出生前コホート研究追跡率向上のため
く関連している可能性が推測されている。
の手法を適用しながら、東京医科歯科大学
しかしながらヒトにおいては、どの時期の、
病院をフィールドとした新規母子コホート
研究の計画を立案すること、および同母子
コホート研究を開始することを目的とした。
どの様な環境要因が、どの部位のエピゲノ
ムに変化をもたらし、それが将来どの様な
表現型に結びつくかについては明らかにさ
れていない。
B.方法
本研究は上記の背景を踏まえて、ヒトを
研究計画書を作成し、本研究班で内容に
ついて検討を行った。東京医科歯科大学病
対象として、1)妊娠中の母胎環境が胎児
院をフィールドとした新規母子コホート研
のエピゲノム(DNA メチル化状態)に与え
究「周産期における母児エピゲノムの体系
る影響、2)出生コホートのエピゲノムス
的解析」の計画書の概要を以下に示す。
クリーニングに有用なサンプリングのタイ
【研究目的】
ミングの検討を行うこと、3)胎児期のエ
胎児期および新生児期の環境要因が、そ
ピゲノム変化が乳幼児期の発育、発達に及
の子の発育、発達さらには将来における成
ぼす影響を明らかにすることを目的として
人病発症と関連が深いことが多くの疫学調
いる。上記項目2)に関連して、出生直後
査から報告され、DOHaD(Developmental
の新生児環境が早期新生児のエピゲノムに
Origin of Health and Disease)仮説として
与える影響や乳児期の環境因子が乳児のエ
現在世界的に広く受け入れられている。ま
ピゲノムに与える影響も解析する。
た動物実験において母獣の低栄養が胎仔の
- 137 -
-137-
分娩:
【研究方法および手順】
分娩は通常通りの管理を行い、臍帯切断、
被験者のリクルート:
東京医科歯科大学附属病院周産・女性診
臍帯動脈血採取(通常臨床行為)の後、臍
療科で妊娠分娩管理を予定している母親を
帯静脈から本学疾患バイオリソースセンタ
対象に、本学疾患バイオリソースセンタ
ー・バイオバンク事業保管用の臍帯血(研
ー・バイオバンク事業の趣旨および本研究
究用)を採取し、臍帯を胎盤から切断し凍
の内容を十分に説明する。妊娠初期および
結保存する。
後期採血の本学疾患バイオリソースセンタ
生後 5 日目の新生児:
ー・バイオバンク事業の同意(2 回分)、分
マススクリーニングのヒールカット採血
娩時臍帯血の本学疾患バイオリソースセン
を実施する際に同時に濾紙血(研究用)を
ター・バイオバンク事業の代諾、本研究へ
採取する。
の参加の同意を取得する。年間約 120 例の
生後 1 か月後乳児健診:
生後 1 か月健診の臨床データを収集する。
参加を見込んでいる。
妊娠初期(妊娠 10-14 週):
また、1 歳児健診、2 歳児健診は、自宅近く
妊娠初期採血の際に本学疾患バイオリソ
の小児科クリニックで実施されるため、身
ースセンター・バイオバンク事業保管用の
体測定値(身長、体重、頭囲)を記載して
母体血①(研究用)を採取する。また「妊
郵送していただくためのハガキを渡す。
婦さんの生活に関するアンケート(参考資
母体産後健診:
料 1)」
「プレママ・ママのフードダイアリー
CES-D, EPDS を調査する。看護学科に
(参考資料 2)」に従って食事内容を記載して
て解析終了後アンケート用紙と解析結果を
もらい、匿名化の後、国立健康・栄養研究
回収し匿名のまま保管する。
所にて解析する。妊娠初期に ACE(Adverse
NICU 卒業児:
Childhood Experiences 逆境的小児期体験)、
当院フォローアップ外来を受診するため、
CES-D (The Center for Epidemiologic
生後 10 か月における健診および採血の際
Studies
に、児の唾液を採取する(研究用)
。
Depression
Scale) 、
EPDS
(Edinburgh Postnatal Depression Scale)
調査を実施し分析、解析終了後アンケート
【解析予定内容】
用紙と解析結果を回収し匿名のまま保管す
1.
臍帯血及び臍帯のエピゲノム解析を
る。
行い、妊娠中の環境要因(母体年齢、
妊娠後期(妊娠 34-36 週):
不妊治療、母体基礎疾患およびそれに
後期採血の際に本学疾患バイオリソース
伴う薬物治療、母体栄養、受動能動喫
センター・バイオバンク事業保管用の母体
煙、妊娠合併症、胎児発育、在胎週数、
血②(研究用)を採取する。また CES-D,
分娩方法などを含む周産期電子カル
EPDS 調査を再度実施し分析、解析終了後
テから得られる診療情報や生活習慣、
アンケート用紙と解析結果を回収し匿名の
メンタルヘルス状態などの調査結果)
まま保管する。
と胎児エピゲノム状態との関連性を
- 138 -
-138-
2.
明らかにする。
ス評価も加えるべきであると本研究班より
妊娠初期および後期母体血のエピゲ
助言が得られたため、ACE, CES-D, EPDS
ノムを比較検討し、妊娠経過に伴うエ
の調査票によるアンケートを付け加えた。
ピゲノムの変化と、妊娠糖尿病や妊娠
また CES-D および EDPS に関しては、比
高血圧症候群などの妊娠合併症•リス
ク因子がエピゲノム状態に及ぼす影
響を検討する。
3.
同一児個体の臍帯血、臍帯、生後 5 日
目のマススクリーニングで採取され
る新生児濾紙血、および生後 6~7か月
4.
較のために産前のデータも必要であるとの
指摘を受け、妊娠初期、後期、産後の 3 回
測定することとした。本研究は検体採取回
数、情報取得回数が多いため、いかにして
研究参加の同意率を高めるかが課題として
挙げられた。また都会の大学病院の特性と
して、健常児の生後1か月以降の乳児健診
ないし 9~10 か月健診時の唾液中に含
が近隣のクリニックで実施されることが大
まれるリンパ球のエピゲノム状態の
多数のため、フォローアップ中の児の体格
相関レベルを明らかにする。マススク
データの追跡率をいかにして向上するかも
リーニング濾紙血や唾液、臍帯のサン
課題として挙げられた。これらを踏まえて
プルのスクリーニングサンプルとし
作成した、研究目的および研究の流れにつ
ての有効性を検討する。
いてのパンフレットを示す(図 1~4)。
胎児期(臍帯血、臍帯)のエピゲノム
状態と生後 1 年および 2 年における乳
D.考察
本研究の特徴は、新生児のエピゲノム情
児の発達、発育との関連性を、母子健
康手帳記載項目を元に比較検討する。
また早産低出生児のため生後当院
NICU にて管理した児に関しては、生
後 10 か月における児の血液検査デー
タとも比較検討する。
5.
生後の環境とエピゲノムの詳細調査
としては、当院 NICU にて管理した児
報も加えた母子コホートを開始することで
ある。しかしながら、検体採取回数や情報
収集回数が多く、研究全体の流れが複雑で
あること、さらに収集された血液検体の保
存が、東京医科歯科大学疾患バイオリソー
スセンター・バイオバンク事業(包括同意
により検体収集事業)との共同研究となる
ため、医学部倫理審査委員会および難治疾
を対象に、生後 1 か月(可能であれば)
患研究所倫理審査委員会で承認を得るのに
および 10 か月頃の唾液中リンパ球の
長時間を要した。
エピゲノム状態の変化と、乳児期生育
また本研究班より、リクルート時の研究
環境(母乳保育期間、離乳食開始時期、
参加同意率を高めるために、研究目的およ
喫煙の有無など)との関連性を予備的
び研究の流れについてのわかりやすい説明
に検討する。
が必要であると指摘されためパンフレット
を作成した。さらに追跡率向上のために、
C.結果
研究参加を継続することのメリットを強調
母体環境因子として医学的合併症や栄養
することの重要性、また出産し退院後、大
調査だけでなく、メンタルヘルスやストレ
学病院との接触が途絶えると脱落者が増え
- 139 -
-139-
るとの指摘を受け、育児に関するニュース
レターおよびリマインダーを郵送する計画
F.健康危機情報
とした。
なし
E.結論
母子コホートを開始し、追跡率を向上す
るためには、適切な研究計画の立案と工夫
G.研究発表
なし
が重要である。研究班から指摘を受けた事
項を参考にしながら本研究を開始する予定
H. 知的財産権の出願・登録状況
である。
なし
図1.配布用パンフレット1(研究の意義・目的)
- 140 -
-140-
図2.配布用パンフレット2(研究の概要について)
- 141 -
-141-
図3.配布用パンフレット3(周産期における母児エピゲノムの体系的解析説明図①)
- 142 -
-142-
図4.配布用パンフレット4(周産期における母児エピゲノムの体系的解析説明図②)
参考資料1
妊婦さんの生活に関するアンケート
- 143 -
-143-
- 144 -
-144-
- 145 -
-145-
参考資料2
プレママ・ママのフードダイアリー
- 146 -
-146-
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(成育疾患克服等総合研究事業)総合研究報告書 研究分担者の報告書
適正出生体重のための栄養・食生活介入研究
研究分担者
瀧本
秀美(独立行政法人国立健康・栄養研究所
研究協力者
田尻下怜子、久保田俊郎(東京医科歯科大学大学院
金子均、仁平光彦(日産厚生会玉川病院
栄養疫学研究部)
生殖機能協関学)
産婦人科)
猿倉薫子、角倉知子、鈴木洋子(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究要旨
研究実施医療機関を妊娠 20 週までに受診し、出産予定の妊婦で初診時に糖尿病・高血圧・
腎疾患・甲状腺疾患などの治療を有する疾患を合併していない者 457 名を対象に、
「妊産婦
のための食生活指針」の中の「至適体重増加チャート」を用い、28 週前後で体重増加が不
足者と過剰者に対し、食事内容の聞き取り調査を行い、その結果をもとに「妊産婦のため
の食事バランスガイド」を用いた個別の栄養教育を実施する研究を開始した。研究実施医
療機関で出産した者 212 名について、退院時アンケートを行ったところ、回答者の 74.5%
が、妊娠中の食生活にほぼ満足していた。また、85.3%の者が妊娠中の食生活に気を配っ
ていたと回答した。本研究で実施した助産師による指導、配布したパンフレットのいずれ
も回答者からの評価は高かった。
研究実施医療機関での出産時のデータが得られた 282 名のうち、妊娠全期間での体重増
加量が前述の基準内であった者は 62.8%、不足と判定された者は 10.3%、過剰と判定された
者は 26.6%であり、平均体重の増加量は 10.5±2.7 ㎏であった。介入群(N=352)の 出生児
の平均在胎週数は 39.4±1.1 週、平均出生体重は 3065±338g、低出生体重児割合は 4.5%で
あった。対照群として、2010 年の出産データ(N=327)を用いて比較したところ、平均体重
増加量や在胎期間はほとんど差がなく、出生時体重は 3049±371g、低出生体重児割合は
5.5%であった。妊娠前体格が「やせ」の妊婦では、対照群と介入群で最終的な体重増加量
の分布に差がみられなかったが、
「ふつう」体型の妊婦では、体重増加「不足」者割合が 2010
年の 15%から介入群では 7.7%に減少していた。低出生体重児の出産リスクの高い「やせ」
妊婦では、妊娠期間中の介入だけでは出生体重増加や低出生体重児減少といったリスク低
減が困難であることが明らかとなった。
A.研究目的
ている(Baker
JL, et al. Epidemiology,
妊娠期の低栄養による胎児発育抑制は、
2008)。日本では他の先進諸国と異なり、妊
児の成人後の肥満・循環器疾患・2 型糖尿
娠可能年齢の女性における「やせ」の割合
病などの生活習慣病の発症リスクを高める
が「肥満」よりも高く(Takimoto H, et al.
可能性があることが先行研究より指摘され
Am J Pub Health, 2004)、低出生体重児割
- 147 -
-147-
合も増加傾向にある(Takimoto H, et al. J
を用い、表1に示した基準に従って、体重
Obstet Gynecol Res, 2006)ことから、妊
増加が不足している者と過剰な者(以下:
娠前~妊娠期を通じて低栄養のリスクにあ
個別介入対象者)に対し、食事内容の聞き
るものが多いと推察される。さらに、
「肥満」
取り調査を行い、その結果をもとに個別の
でない妊婦の約 3 割が医師や栄養士のアド
栄養教育を実施した。まず個別介入対象者
バイスに基づかず、自己判断による食事制
には「栄養教育を受けられる方へ」(別紙
限を実施していた(Takimoto H, et al. Asia
1)
・
「食事記録記入例」
(別紙 2)
・フードダ
Pac J Clin Nutr, 2011)。このような現状に
イアリー(別紙 3)を配布した。個別介入
あって、妊娠期の低栄養の予防は急務であ
対象者に対し、フードダイアリーに記録し
ると考えられる。そこで、本研究では産科
た 3 日間の食事記録のうち、直近の 1 日に
外来で実施される妊婦健診の機会を利用し、
ついて栄養士が詳細な聞き取りを行い、専
妊娠前の体格別に体重増加量をモニタリン
用解析ソフトである「独楽回師 ver3」を用
グしながら、栄養・食生活介入を行い、児
い、「結果の返却例」(別紙 7)にあるよう
の出生体重をはじめとした妊娠転帰への影
な個別的なアドバイスを含む結果を、外来
響と、産後 1 か月時の産婦並びに児の健康
で担当医師より返却した。聞き取り時には、
状態への影響を検証する目的で、本研究を
あらかじめ「結果の見方」を使って、バラ
企画した。
ンスガイドの解説を実施した。個別介入対
象者のうち希望者に対しては、栄養士によ
B.方法
る面談と個別アドバイスを提供した。
研究実施医療機関で出産予定の合併症の
個別介入期間中に妊娠高血圧症候群や妊
ない妊婦 457 名に対し、2006 年に厚生労働
娠糖尿病などの合併症や、胎児の発育異常
省から発表された「妊産婦のための食生活
を発症した場合は、これらの治療を優先し
指針」に基づいた体重増加の目安を示し、
介入を中止することとした。
体重増加量が不足あるいは過剰と判定され
妊娠転帰は、医療機関の分娩記録から収
た者に対してのみ、
「妊産婦のための食事バ
集することとした。収集する情報は、在胎
ランスガイド」を用いた栄養教育を実施し
期間・出生体重・児の性別・分娩方法・分
た。
娩時合併症の有無である。産後 1 か月時の
本研究は、研究実施医療機関ならびに独
産婦並びに児の健康状態の情報は、1 か月
立行政法人国立健康・栄養研究所の研究倫
健診時の記録から収集することとした。里
理審査委員会の承認を得て実施した。
帰り分娩の妊婦については、転院先には別
紙 4 の研究実施医療機関以外で分娩予定の
○対象者の選定方針及び選定基準
場合、該当医療機関への依頼文書を送付、
研究実施医療機関を妊娠 20 週までに受
本人には別紙 5 の研究実施医療機関以外で
診した出産予定の妊婦のうち、初診時に糖
分娩予定の場合、対象者本人への依頼文書
尿病・高血圧・腎疾患・甲状腺疾患などの
を渡し、情報の収集に努めた。
治療を有する疾患を合併していない者 457
研究実施医療機関で出産した対象者には、
名をリクルートした。
「妊産婦のための食生
別紙 6 の退院時アンケートの記入を求めた。
活指針」の中の「至適体重増加チャート」
- 148 -
-148-
表 1.妊娠 28 週時点での目安となる体重増
379 名、30 週まではフォローアップしたが
加量
他院で分娩した者が 38 名であった。研究参
非妊時 体 BMI値
妊娠全期 28 週頃 1 週間あたり
加者のうち、表 1 に示した体重増加量判定
格区分
間での体 の目安
基準により 49 名が体重増加過剰、59 名が
の体重増加量
重増加量
やせ
18.5
9-12 kg
体重増加不足と判定され、管理栄養士によ
5-9kg
0.3-0.5 kg
4-9 kg
0.3-0.5 kg
未満
普通
18.5 - 7-12 kg
25以上
*
5-9 kg
*
3-6 kg
*
0.2-0.3 kg
『妊産婦のための食生活指針』(2006 年厚
生労働省)を一部改変
*米国
者)。表 2 に解析対象者全体の状況を示した。
表 3 には、妊娠 28 週前後で体重増加不足ま
24.9
肥満
る個別食生活指導を受けた(個別介入対象
IOM の指針で BMI>30 の場合の目標
たは過剰と判定され、食生活指導の対象と
なった者の状況を示した。
表 2.解析対象者(n=417)の状況
平均値±標準偏差
または割合(%)
値を参考に算出した
分娩時年齢(歳)
C.結果
2012 年 7 月より本調査研究を開始し、
2014 年 1 月にリクルートを終了した。研究
参加者は 457 名に達した。最終的に以下の
者が解析から除外された。
初産割合
47.5%
身長(㎝)
158.9±5.2
妊娠前体重(㎏)
50.6±6.1
妊娠前 BMI
その内訳は
①妊娠中、あるいは妊娠経過によって対象
から除外された者:32 名
33.5±3.9
20.03±2.18
やせ
24.5%
肥満
2.6%
参加時妊娠週数
17.2±1.4
3名
→高血圧合併
児の在胎週数
39.4±1.1
1名
→呼吸器疾患で在宅酸素療法
出生体重
3065±338
低出生体重児(また
はSGA)
4.3% (4.1%)
18 名
→本人の都合で妊婦健診を 20-30 週
の間に受けなかった
8名
→合併症(前置胎盤や胎児発育遅延
など)のため 30 週より前に他院へ
表 3.妊娠 28 週前後での個別介入対象者の
身体状況
紹介転院
1名
→子宮内胎児死亡
1名
→研究参加同意を撤回
過剰
(N=49)
②分娩転帰により除外された者:8 名
不足
(N=59)
平均妊娠前 BMI
20.6±2.5
20.2±2.5
1名
→多発奇形
「やせ」<18.5
18.4%
30.5%
6名
→35 週までの早産
「ふつう」8.5-24.9
73.5%
66.1%
1名
→42 週以降の過期産
「肥満」≧25
8.2%
3.4%
判定時妊娠週数
(中央値)
22~34
(28)
25~31
(28)
そのため、検討の対象は 417 名となった。
このうち、研究実施医療機関 での分娩が
- 149 -
-149-
2015 年 1 月時点で、出産時のデータが整
研究実施医療機関で出産した者 212 名に
理できた研究実施医療機関での分娩者 352
ついて、退院時アンケートへの協力が得ら
名(介入群)のうち、表 1 の妊娠全期間で
れたので、回答結果を別表に示した。回答
の体重増加量が基準内であった者は 62.8%、
者の 158 名(74.5%)が、妊娠中の食生活
不足と判定された者は 10.3%、過剰と判定
にほぼ満足していた。また、190 名(89.6%)
された者は 26.6%であった。妊娠 28 週前後
が妊娠中の食生活に気を配っていたと回答
で、「不足」と判定され、出産に至った 36
した。「気を配っていた」と回答した 190
名中 19 名(52.8%)では、最終的な体重増
名中 156 名(82.1%)が、
「食事のバランス」
加量が基準内であった。一方、過剰と判定
に気を配ったと回答した。
「特定の栄養素を
されていた者は、42 名中 34 名(81.0%)
積 極 的 に と る 」 と 回 答 し た 者 は 97 名
で最終的な体重増加量が過剰で、基準内の
(51.0%)で、最も多かった栄養素は「鉄」
者は 7 名(16.7%)であった。
次に「葉酸」であった。サプリメント利用
2010 年に同じ医療機関で分娩した対照
経験者は、124 名であった。
「特定の食品の
群(n=327)と比較した結果を表 4 に示した。
摂取を控えている」と回答した者は 49 名で、
平均体重増加量や在胎期間はほとんど差が
そのうち最も多かった食品はカフェイン入
なかった。図 1 に示したように、妊娠前体
りのもの、次いで生ものであった。
格が「やせ」の妊婦では、対照群と介入群
体重増加量については、163 名(76.9%)
で最終的な体重増加量の分布に差がみられ
のものが「意識した」と回答し、142 名
なかったが、
「ふつう」体型の妊婦では、体
(67.0%)が自身の体重増加量に満足して
重増加「不足」者割合が 2010 年の 15%か
いた。自身の体重増加量に不満と回答した
ら介入群では 7.7%に減少していた。
者 80 名中 57 名(71.3%)が、
「体重が増え
すぎてしまった」と回答した。
表 4.対照群と介入群の分娩転帰の比較
本研究で実施した助産師による指導、配
母体年齢(歳)
対照群
(n=327)
32.7±4.3
介入群
(n=352)
33.4±3.8
初産婦(%)
55.0%
48.0%
妊娠前 BMI (kg/m2)
20.0±1.9
19.8±1.9
やせ (%)
22.6%
26.4%
喫煙者 (%)
3.4%
2.0%
28週までの体重増加
量 (kg)
全体重増加量 (kg)
6.7±2.4
6.5±2.3
10.3±3.0
10.5±2.7
児の在胎週数
39.3±1.2
39.4±1.1
帝王切開分娩 (%)
17.1%
16.2%
出生体重(g)
3049±371
3064±335
低出生体重児 (%)
5.5%
4.5%
巨大児 (%)
0.6%
0.3%
布したパンフレットのいずれも回答者から
の評価は高かった。一方、調査協力医療機
関で実施したマタニティクラスは、参加者
がわずか 212 名中 55 名(25.9%)であった。
参加者の評価は高かった。別紙 7 に示した
栄養士による栄養指導を受けたと回答した
者では、
「食事の内容が変わった」と回答し
た者がほとんどであった。
D.考察
健康な妊婦に対し、妊娠 20 週頃から出産
まで、産科外来を中心に全妊婦には妊産婦
のための食生活指針」に基づいた体重増加
量のモニタリング、28 週前後でスクリーニ
ングし体重増加量が不足あるいは過剰と判
- 150 -
-150-
Itoh H, Umegaki K. Prevalence of
inappropriate dietary supplement use
among pregnant women in Japan.
Asia Pac J Clin Nutr, 2013;22(1):
83-89.
定された者に対してのみ、個別的な栄養・
食生活介入を実施したところ、低出生体重
児出産リスクの高い「やせ」妊婦の多い集
団では、妊娠期間中の介入だけでは出生体
重増加や低出生体重児減少などのリスク低
減が困難であることが明らかとなった。
ただし、本介入によって極端な体重増加
3) 瀧本秀美、田尻下怜子.生活習慣病と母
乳 栄 養 . 小 児 科 臨 床 2014 ; 67 :
2449-2454
量の増大や帝王切開率の上昇などもまたみ
られなかった。可能であれば、介入群の児
2.学会発表
の健康状態に関するフォローアップ調査を
1)
瀧本秀美, 田尻下怜子,久保田俊郎,加
藤則子,横山徹爾:非肥満女性における
妊娠中の適正体重増加量区分について
の検討.第 64 回日本産科婦人学会術
講演会、 神戸、2012.4
2)
田尻下怜子, 瀧本秀美, 佐田文宏, 仁
平光彦, 下地祥隆, 金子均, 久保田俊
郎:妊娠中の体重増加量と出生体重に
関する検討.第 64 回日本産科婦人学
会術講演会、 神戸、2012.4
3)
瀧本秀美、加藤則子、横山徹爾、田尻
下怜子、久保田俊郎: 肥満妊婦におけ
る適正体重増加量についての検討.第
36 回日本産科婦人科・栄養代謝研究会、
鹿児島、2012.8
4)
田尻下怜子、瀧本秀美、横山徹爾、仁
平光彦、下地祥隆、金子均、久保田俊
郎:28 週での適正体重増加量について
の検討.第 36 回日本産科婦人科・栄養
代謝研究会、鹿児島、2012.8
5)
瀧本秀美: 妊娠中の栄養のありかた:
第 54 回 日 本 母 性 衛 生 学 会 総 会 :
2013.10.4: 大宮
6)
瀧本秀美:妊娠期・子育て期女性の栄養
摂取制限の課題: 第 2 回日本 DOHaD
研究会年会: 2013.6.7: 東京
7)
瀧本秀美:母乳育児に対する国の考え
方と基本施策: 第 28 回日本母乳哺乳学
会: 2013.9.14: 長野県
8)
瀧本秀美、田尻下怜子、猿倉薫子、加
藤則子、横山徹爾、久保田俊郎: 2004
~10 年出生児における出生体重に対
実施したいと考える。
参加者の出産後の評価は非常に高かった。
現代の妊婦は、日時の設定されたマタニテ
ィクラスなど集団指導よりも、妊婦健診時
に合わせた個別指導の方が適していると考
えられた。
E.結論
低出生体重児出産リスクの高い「やせ」
妊婦の多い集団では、妊娠期間中の介入だ
けでは出生体重増加や低出生体重児減少な
どのリスク低減が困難であるが、個別指導
を組み合わせた指導の満足度は高かった。
妊娠中の栄養教育介入の効果の妊娠転帰へ
の顕著な効果は期待できないが、食行動の
変容には効果が期待できると考えられた。
F.健康危機情報
なし
G.研究発表
1.論文発表
1) 瀧本秀美,米澤純子, 島田真理恵, 加藤
則子, 横山徹爾. 日本助産師会会員に
おける妊婦への食生活支援に関する調
査「妊産婦のための食生活指針」の活用
状 況 を 中 心に . 日 本 公衆 衛 生 雑 誌.
2013; 60(1): 37-46.
2) Sato Y, Nakanishi T, Chiba T,
Yokotani K, Ishinaga K, Takimoto H,
- 151 -
-151-
9)
する影響要因について: 第 65 回日本産
科婦人科学会学術講演会: 2013.5.10:
北海道
婦に対する食生活指導の効果について
の検討: 第 66 回日本産科婦人科学会学
術講演会: 2014.4.18: 東京
田尻下怜子、瀧本秀美、猿倉薫子、横
山徹爾、仁平光彦、金子均、久保田俊
郎:肥満女性の妊娠中の体重増加量に
ついての検討: 第 65 回日本産科婦人科
学会学術講演会: 2013.5.11: 北海道
12) 瀧 本 秀 美 : DOHaD (Developmental
Origins of Health and Disease) : 第
66 回日本産科婦人科学会学術講演会:
2014.4.19: 東京
10) 田尻下怜子、瀧本秀美、猿倉薫子、角
倉和子、鈴木洋子、横山徹爾、仁平光
彦、松原舞、金子均、久保田俊郎:妊婦
への食事調査および食生活指導につい
ての検討: 第 37 回日本産科婦人科栄
養・代謝研究会: 2013.8.29: 埼玉
13) 田尻下怜子、瀧本秀美、松原舞、仁平
光彦、金子均、久保田俊郎:やせ妊婦
に対する食生活指導についての検討:
第 38 回日本産科婦人科栄養・代謝研究
会: 2014.8.21: 広島
H. 知的財産権の出願・登録状況
11) 田尻下怜子、瀧本秀美、松原舞、仁平
光彦、金子均、久保田俊郎:非肥満妊
なし
図 1.妊娠前体格が「やせ」体型の妊婦と「ふつう」体型の妊婦における 28 週時点(WG28)
及び分娩時(WGtotal)の対照群と介入群の体重増加量分布の差(値は人数)
- 152 -
-152-
別紙1
栄養教育を受けられる方へ
- 153 -
-153-
別紙2
食事記録記入例
別紙3
フードダイアリー(抜粋)
- 154 -
-154-
別紙4
研究実施医療機関以外で分娩予定の場合、該当医療機関への依頼文書
当院では、国立健康・栄養研究所と共同で、妊婦への食生
活指導介入研究を行っております。貴院に紹介させていただ
いた患者様は研究対象者となっております。
お忙しいところ大変恐縮いたしますが、分娩および 1 か月
健診時のデータを以下に記入し、ご返送いただきますよう、
お願い申し上げます。
研究 ID
患者氏名
青字の部分はあてはまるものに○をつけてください
分娩データ
分娩方法:正常経腟 or 吸引・鉗子 or 帝王切開(予定・緊急)
(帝王切開の場合、その理由
)
週数:
週
日
性別:男児 or 女児
出生体重:
g
身長:
cm
Apgar Score:
分娩時出血量:
g
分娩時母体体重:
kg
(分娩時が不明な場合、最後の妊婦健診
kg)
分娩時合併症: なし or あり(
)
児の奇形:
なし or あり(
)
1 か月健診
母の体重:
kg
児への栄養:完母 or 混合 or ミルク
児の体重:
g
身長:
児の病気:なし or あり(
cm
)
ご協力よろしくお願い申し上げます
日産厚生会 玉川病院 産婦人科部長
国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部長
金子 均
瀧本 秀美
- 155 -
-155-
別紙5
研究実施医療機関以外で分娩予定の場合、対象者本人への依頼文書
「妊婦さまへの食生活指導に関する研究」へのご参加、誠にありが
とうございました。
出産データの収集にご協力いただけますようお願い申し上げます。
母子手帳を参考に以下にご記入し、返送いただけますと幸いです。
日産厚生会 玉川病院 産婦人科部長
国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部長
研究ID
金子 均
瀧本 秀美
氏名
さま
青字の部分はあてはまるものに○をつけてください
出産時データ
出産方法:経腟分娩 or 帝王切開分娩
出産日:
年
月
日
性別:男児 or 女児
赤ちゃんの出生時体重:
g 身長:
cm
出産時の妊婦さまの体重:
kg
(出産時が不明な場合、最後の妊婦健診
kg)
出産時に何か問題がありましたか?
なし or あり(
)
赤ちゃんに何か問題はありましたか?
なし or あり(
)
1 か月健診
お母様の体重:
kg
栄養:完全母乳 or 母乳とミルクを混合 or ミルクのみ
赤ちゃんの体重:
g
身長:
cm
1 か月健診までに赤ちゃんにご病気はありましたか?
なし or あり(
)
ご協力ありがとうございました
- 156 -
-156-
別紙 6 退院時アンケート
- 157 -
-157-
別紙7
食事診断結果
- 158 -
-158-
別表
(1) 妊娠期を通して、ご自身の食生活をどう思われますか?(1つに○)
回答
人 数
割 合
①とても満足
10
4.7%
②まあ満足
148
69.8%
③あまり満足していない
52
24.5%
④全く満足していない
2
0.9%
212
100.0%
総計
(2)妊娠中はお食事内容に気を配りましたか?
回答
(1つに○)
人 数
割 合
① よく気にしていた
49
23.2%
② 少し気にしていた
141
66.8%
③ あまり気にしなかった
20
9.5%
④ 全く気にしなかった
1
0.5%
211(無回答 1 名)
100.0%
総計
(2)で①②を選んだ方にお聞きします
(3)何に気を付けていましたか?(複数回答有)
回答
人 数
割 合
① 食事をバランスよくとること
156
26.8%
② 食事の量を控えめにすること
48
8.2%
③ 食事の量を多くすること
25
4.3%
④ 食事をとる時間
58
10%
⑤ 食事の回数
43
7.4%
⑥ ある特定の栄養素(例えば鉄分、葉酸)をとること
97
16.7%
⑦ ある特定の食品をとらないようにすること
49
8.4%
⑧ お菓子・嗜好飲料を控えめにすること
84
14.4%
⑨ その他
22
3.8%
(3)⑥ある特定の栄養素及び食品等の具体名
栄養素
人 数
割 合
鉄
53
35.3%
葉酸
52
34.7%
- 159 -
-159-
食品
カルシウム
24
16.0%
ビタミン
7
4.7%
食物繊維
2
1.3%
ミネラル
2
1.3%
ビタミンD
1
0.7%
カリウム
1
0.7%
αリノレン酸
1
0.7%
根菜類
1
0.7%
乳製品
1
0.7%
納豆
1
0.7%
ほうれん草
1
0.7%
ブロッコリー
1
0.7%
レバー
1
0.7%
野菜全般
1
0.7%
(3)⑦ある特定の食品
人 数
割 合
カフェイン
19
22.1%
生物
11
12.8%
生物(刺身)
3
3.5%
緑茶などカフェインの多い飲料
3
3.6%
生の魚
1
1.2%
生ハム
2
2.3 %
生肉
5
5.8%
アルコール
4
4.7%
マグロ、カジキなどの魚
3
3.5%
水銀を含む魚
3
3.5%
ビタミンA
3
3.5%
ファーストフード系
2
2.3 %
カビを伴うチーズ
2
2.3 %
コーヒー
2
2.3 %
もち類
2
2.3 %
炭水化物
1
1.2%
スモークサーモン
1
1.2%
レバー
1
1.2%
糖分
1
1.2%
- 160 -
-160-
カロリーの高い物
1
1.2%
しょっぱい物や甘い物
1
1.2%
スナック菓子
1
1.2%
お茶
1
1.2%
インスタント食品やコンビニの食事
1
1.2%
かつお
1
1.2%
牛乳
1
1.2%
パセリ
1
1.2%
カップめん
1
1.2%
油の多い食事(揚げ物など)
1
1.2%
生ガキ
1
1.2%
塩分
1
1.2%
魚介類
1
1.2%
カフェインを含むもの(コーヒー、お茶)
1
1.2%
ビタミン
1
1.2%
金目の煮付けなど
1
1.2%
鯛の刺身
1
1.2%
総計
86
100.0%
(4 )妊娠中に体重増加量について意識されましたか?(1つに○)
回答
人 数
割 合
① よく意識した
62
29.2%
② まあ意識した
101
47.6%
③ 外来で助産師と話す時には意識した
40
18.9%
④ 意識しなかった
9
4.2%
212
100.0%
総計
(5)妊娠してから出産までの体重増加量についてどう思いますか?(1つに○)
回答
人 数
割 合
①とても満足
30
14.2%
②まあ満足
112
52.9%
③あまり満足していない
57
26.9%
④全く満足していない
13
6.1%
総計
212
100.0%
- 161 -
-161-
(6)
(5)で③④を選んだ方にお聞きします。体重増加に満足していない理由(複数回答
有)
回答
人 数
割 合
①体重があまり増えなかった
6
7%
②体重が増えすぎてしまった
57
66.3%
③赤ちゃんの出生体重が小さかった
5
5.8%
④赤ちゃんの出生体重が大きかった
7
8.1%
⑤妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など合併症が起こった
5
5.8%
⑥その他
6
7%
総数
86
100%
(6)⑥の具体的な内容
人数
つわりで体重が減少したうえ、最後まで思った食事が出来なかった
1
妊娠後期から急激に体重が増加して食事を気をつけましたが増え
1
る一方で、出産間近になりむくみが減少したら体重も減り、正常に
なった。体重増加とむくみの対処に困った
後期そこまで食べていなかったのに急激に増加した。体のむくみも
1
キツかった
仕事で食事時間の調整が難しく中期までに思った以上に増えてし
1
まったから
出産前の3週、急激に体重がグングン増えてしまった
1
妊娠9ヶ月くらいまでは気にしなかったが、10ヶ月で体調を崩し
1
食事がほとんどとれなかったためやせてしまっていたことが不安
だった
(7)妊娠中の食事・体重管理について、以下の指導や情報は役に立ちましたか?
(それぞれ1つに○)
a.
妊婦健診での助産師の話
回答
人数
割合
①とても役立った
137
64.6%
②まあ役立った
69
32.5%
③あまり役立たない
4
1.9%
④全く役立たない
0
0%
⑤受けてない
2
0.9%
212
100.0%
読んでない
総計
- 162 -
-162-
b.
配布されたパンフレット
回答
人数
割合
①とても役立った
71
33.6%
②まあ役立った
118
55.9%
③あまり役立たない
14
6.6%
④全く役立たない
0
0%
⑤受けてない
8
3.8%
1
0.1%
212
100.0%
読んでない
(空白)
総計
c.
当院のマタニティクラス① (毎月第1月曜午後)
回答
人数
割合
①とても役立った
37
17.5%
②まあ役立った
18
8.5%
③あまり役立たない
0
0%
④全く役立たない
0
0%
148
69.8%
9
4.2%
212
100.0%
⑤受けてない
無回答
総計
(8)妊娠中に栄養士さんから食生活・栄養指導を受けましたか?(1つに○)
(体重が増えすぎる、あるいは、あまり増えていない方を対象として行いました)
回答
人数
割合
①受けた
57
30.3%
②受けていない
131
69.7%
188
100%
総数
(8)で①で受けた方にお聞きします
(9)栄養指導の後、食事内容や食事のとり方が変わりましたか?(1つに○)
回答
人数
割合
①とても変わった
16
19%
②少し変わった
63
75%
③あまり変わらなかった
5
6%
④全く変わらなかった
0
0%
総計
84
100%
- 163 -
-163-
-164-
Ⅲ.研究成果の刊行に関する一覧表
-165-
-166-
Ⅲ.研究成果の刊行に関する一覧表
H26 年度雑誌
発表者氏名
論文タイトル名
発表誌名
加藤則子
子どもの発育・発達と食に 小児科臨床
ついて.特集 子どもと食
2014.
加藤則子,瀧本秀美,吉田穂 成長曲線の作り方
チャイルドヘル
波,横山徹爾
ス
Okubo H, Miyake Y,
Maternal total caffeine
Nutr Res.
Tanaka K, Sasaki S, Hirota intake, mainly from
Y.
Japanese and Chinese
tea, during pregnancy
was associated with risk
of preterm birth: the
Osaka Maternal and
Child Health Study.
Takashi Yorifuji, Hiroo
Residential Proximity to Science of the
Naruse, Saori Kashima,
Major Roads and
Total
Takeshi Murakoshi,
Obstetrical
Environment
Hiroyuki Doi.
Complications.
Takashi Yorifuji, Saori
Outdoor Air Pollution
Environment
Kashima, Hiroyuki Doi.
and Term Low Birth
International
Weight in Japan.
Michiyo Yamakawa,
Breastfeeding and
Public Health
Takashi Yorifuji, Tsuguhiko Hospitalization for
Nutrition
Kato, Yoshitada Yamauchi, Asthma in Early
Hiroyuki Doi.
Childhood: A Nationwide
Longitudinal Survey in
Japan.
Katsuhiro Kobayashi,
Poor toddler-age sleep
Brain Dev.
schedules predict
Takashi Yorifuji, Michiyo
school-age behavioral
Yamakawa, Akiko
disorders in a
Tokinobu, Makio Oka,
longitudinal survey.
Sachiko Inoue, Harumi
Yoshinaga, Hiroyuki Doi.
Morikawa M, Yamada T,
Prospective risk of
JOGR
Cho K, Yamada T, Satoh S, abruption placentae.
Minakami H
Morikawa M, Cho K,
Do uterotonic drugs
Arch.Gynecol.
Yamada T, Yamada T,
increase risk of
Obstet
Satoh S, Minakami H
abruption placentae and
eclampsia?
- 167 -
-167-
巻号
ページ
出版年
(67)12
21-27
(23012307)
6-9
2014
(in
press)
2015
508
188192
2015
74
106111
2015
18(1)
2015
2014
(published
online)
2014
(published
online)
40
369374
2014
289
987991
2014
発表者氏名
論文タイトル名
Terada M, Matsuda Y,
Ogawa M, Matsui H, Satoh
S
Matsuda Y, Umezaki H,
Ogawa M, Ohwada M,
Satoh S, Nakai A
Asano R, Tsuchiya KJ,
Takei N, Harada T,
Kugizaki Y, Nakahara R,
Nakayasu C, Okumura A,
Suzuki Y, Takagai S, Mori
N
Enosawa S, Horikawa R,
Yamamoto A, Sakamoto S,
Shigeta T, Nosaka S,
Fujimoto J, Nakazawa A,
Tanoue A, Nakamura K,
Umezawa A, Matsubara Y,
Matsui A, Kasahara M.
Effects of maternal
factors on birth weight in
Japan.
Umbilical arterial pH in
patients with cerebral
palsy.
Broader autism
phenotype as a risk
factor for postpartum
depression: Hamamatsu
Birth Cohort (HBC)
Study.
Hepatocyte
transplantation using a
living donor reduced
graft in a baby with
ornithine
trancarbamylase
deficiency: a novel source
of hepatocytes.
Kasahara M, Sakamoto S,
Living donor liver
Horikawa R, Koji U,
transplantation for
Mizuta K, Shinkai M,
pediatric patients with
Takahito Y, Taguchi T,
metabolic disorders; the
Japanese multicenter
Inomata Y, Uemoto S,
registry.
Tatsuo K, Kato S.
Kato F, Hamajima T,
IMAGe syndrome:
Hasegawa T, Amano N,
clinical and genetic
Horikawa R, Nishimura G, implications based on
Nakashima S, Fuke T, Sano investigations in three
S, Fukami M, Ogata T
Japanese patients.
Kappelgaard AM, Kiyomi F, The impact of long-term
Horikawa R, Yokoya S,
growth hormone
Tanaka T.
treatment on metabolic
parameters in Japanese
patients with short
stature born small for
gestational age.
- 168 -
-168-
発表誌名
巻号
J.Preg.
172395
doi 10
Early Hum.
Dev., 90
131135
2014
Research in
Autism
Spectrum
Disorders
8 (12)
16721678
2014
391393
2014
Liver Transpl.
20(3)
ページ
出版年
2014
Pediatric
Transplantation
18(1)
6-15
2014
Clinical
Endocrinology
80(5)
706713
2014
Horm Res
Paediatr.
81(4)
272279
発表者氏名
論文タイトル名
Yoshizawa-Ogasawara A,
Katsumata N, Horikawa R,
Satoh M, Urakami T,
Tanaka T.
Third-generation
Aromatse Inhibitor
improved Adult Height
in a Japanese Boy with
Testotoxicosis.
堀川玲子,田中敏章,横谷進, SGA 性低身長症に対する
清野佳紀,小川憲久,清見文明, 成長ホルモン投与におけ
Anne-Marie kappelgaard.
る⊿身長 SDS 及び⊿
IGF-I SDS の相関関係
ホルモンと臨床 2013
Takenouchi T, Tsukahara Y, Four-Decade-Old
Horikawa R, Kosaki K,
Mummified Umbilical
Kosaki R.
Tissue Making
Retrospective Molecular
Diagnosis of Ornithine
Carbamoyltransferase
Deficiency.
Izumi Y, Musha I, Suzuki
Hypogonadotropic
E, Iso M, Jinnno T,
hypogonadism in a
Horikawa R, Amemiya S,
female patient
Ogata T, Fukami M,
previously diagnosed as
Ohtake A.
having waardernburg
syndrome due to a sox10
mutation.
Izumi Y, Suzuki E, Kanzaki Genome-wide copu
S, Yatsuga S, Kinjo S,
number analysis and
Igarasi M, Maruyama T,
systematic mutataion
Sano S, Horikawa R, Sato
screening in 58 patients
N, Nakabayashi K, Hata K, with hypogonadotropic
Umezawa A, Ogata T,
hypogonadism.
Yoshimura Y, Fukami M.
Hori T, Yamaguchi S,
Inborn errors of ketone
Shinkaku H, Horikawa R,
body utilization.
Shigematsu Y, Takayanagi
M, Fukao T.
Chida N, Kobayashi I,
Disease specificity of
Takezaki S, Ueki M,
anti-tryptophan
Yamazaki Y, Garelli S,
hydroxylase-1 and
Scarpa R, Horikawa R,
anti-AIE-75
Yamada M, Betterle C,
autoantibodies in
Notarangelo LD, Yawaka Y, APECED and IPEX
Ariga T.
syndrome.
- 169 -
-169-
発表誌名
巻号
ページ
出版年
Clin Pediatr
Endocrinol.
23(2)
53-58
2014
小児内分泌学の
進歩 2013
60(12)
10111014
2013
26792681
2014
American
Journal of
Medecal
Geneics partA.
Endocrine.
[Epub
ahead of
print]
Fertil Steril.
102(4)
Pediatr Int.
[Epub
ahead of
print]
Clin Immunol.
156(1)
2014
11301136
2014
2015
36-42
2015
発表者氏名
論文タイトル名
発表誌名
巻号
ページ
出版年
Sasaki K, Sakamoto S,
Uchida H, Shigeta T,
Matsunami M, Kanazawa
H, Fukuda A, Nakazawa A,
Sato M, Ito S, Horikawa R,
Yokoi T, Azuma N,
Kasahara M.
Two-step
transplantation for
primary hyperoxaluria:
A winning strategy to
prevent progression of
systemic oxalosis in
early onset renal
insufficiency cases.
性分化疾患診療ガイドラ
イン
低血糖・代謝異常を疑う子
どもの観察と評価 小児
看護ベストプラクティス
フィジカルアセスメント
と救急対応 (及川郁子監
修 西海真理・伊藤龍子責
任編集)
さまざまな症状や検査異
常への対応と診断、治療
非典型的外性器(外性器異
常) ビギナーのための小
児内分泌診療ガイド (有
阪治編集)
生活習慣病と母乳栄養.
Pediatr
Transplant.
19(1)
E1-6
2015
小児内科
46(7)
864872
86-87
2014
140149
2014
小児科臨床
67
24492454
2014
論文タイトル名
発表誌名
巻号
ページ
出版年
Acta
Paediatrica
DOI:10.1111/
apa.12587
103(6)
e251e261
2014
保健医療科学
(63)1
2-16
2014
堀川玲子
堀川玲子
堀川玲子
瀧本秀美、田尻下怜子.
中山書店
中山書店
2014
H25 年度雑誌
発表者氏名
Kato N, Takimoto H,
Yokoyama T, Yokoya S,
Tanaka T, Tada H.
Updated Japanese
growth references for
infants and preschool
children, based on
historical, ethnic and
environmental
characteristics.
吉田穂波,加藤則子,横山徹 人口動態統計からみた長
爾.
期的な出生時体重の変化
と要因について.
- 170 -
-170-
発表者氏名
論文タイトル名
加藤則子,瀧本秀美,吉田穂 乳幼児身体発育調査・学校
波,横山徹爾
保健統計調査.特集:母子
保健分野における調査統
計の活用と疫学研究の推
進.
吉田穂波,加藤則子,横山徹 わが国の母子コホートに
爾
おける近年の状況,および
母子保健研究から今後へ
の展望.特集:母子保健分
野における調査統計の活
用と疫学研究の推進.
加藤則子
特集 新しい母子健康手
帳とその活用.
発表誌名
巻号
ページ
出版年
保健医療科学
(63)1
17-26
2014
保健医療科学
(63)1
32-38
2014
(16)12
3(827) 2013
(16)12
10-13
(834-7)
2013
5
14-18
2013
43
12211225
2013
43
12351239
2013
32
39-42
2014
40
465-72
2014
チャイルドヘル
ス 診断と治療
社
加藤則子
新しい母子健康手帳の改 チャイルドヘル
正点.特集 新しい母子健 ス 診断と治療
康手帳とその活用.
社
佐藤昌司
周産期領域におけるデー Fetal &
タベースの構築:日本産科 Neonatal
婦人科学会周産期登録デ Medicine
ータベースの現状と問題
点
佐藤昌司
日本産科婦人科学会周産 周産期医
期登録データベース:現状
と問題点.
塩崎有宏、松田義雄、佐藤昌 データベース利用の実例 周産期医
司、斎藤滋
-妊娠高血圧症候群
吉田穂波
低出生体重児の増加の原
茨城県母性衛生
因と効果的な保健指導方
学雑誌
法を探る
Muramatsu-Kato K, Itoh
H, Kobayashi-Kohmura Y,
Murakami H, Uchida T,
Suzuki K, Sugihara K,
Kanayama N, Tsuchiya KJ,
Takei N.
Hamamatsu Birth
Cohort (HBC) Study
Team. Comparison
between placental gene
expression of
11β-hydroxysteroid
dehydrogenases and
infantile growth at 10
months of age.
- 171 -
-171-
Journal of
Obstetric and
Gynaecology
Research
発表者氏名
論文タイトル名
発表誌名
巻号
ページ
出版年
Shimamura C, Suzuki K,
Iwata Y, Tsuchiya KJ, Ohno
K, Matsuzaki H, Iwata K,
Kameno Y, Takahashi T,
Wakuda T, Nakamura K,
Hashimoto K, Mori N.
Frasch K, Larsen JI,
Cordes J, Jacobsen B,
Wallenstein Jensen SO,
Lauber C, Nielsen JA,
Tsuchiya KJ, Uwakwe R,
Munk-Jørgensen P, Kilian
R, Becker T.
Larsen JI, Andersen UA,
Becker T, Bickel GG, Bork
B, Cordes J, Frasch K,
Jacobsen BA, Jensen SOW,
Kilian R, Lauber C,
Mogensen B, Nielsen JA,
Rössler W, Tsuchiya KJ,
Uwakwe R,
Munk-Jørgensen P.
Suzuki K, Sugihara G,
Ouchi Y, Nakamura K,
Futatsubashi M,
Takebayashi K, Yoshihara
Y, Omata K, Matsumoto K,
Tsuchiya KJ, Iwata Y, Tsujii
M, Sugiyama T, Mori N.
Kamio Y, Inada N,
Moriwaki A, Kuroda M,
Koyama T, Tsujii H,
Kawakubo Y, Kuwabara H,
Tsuchiya KJ, Uno Y,
Constantino JN.
Enzymes in the
glutamate-glutamine
cycle in the anterior
cingulate cortex in
postmortem brain of
subjects with autism.
Physical illness in
psychiatric inpatients:
Comparison of patients
with and without
substance use disorders.
Molecular
Autism
4
6
2013
International
Journal of
Social
Psychiatry
59
757764
2013
Cultural diversity in
physical diseases among
patients with mental
illness.
Australian and
New Zealand
Journal of
Psychiatry
47(3)
250258
2013
Microglial activation in
young adults with
autism spectrum
disorder.
JAMA
Psychiatry
70
49-58
2013
Quantitative autistic
traits ascertained in a
national survey of 22 529
Japanese schoolchildren.
Acta Psychiatr
Scand
128
45-53
2013
- 172 -
-172-
発表者氏名
Kameno Y, Iwata K,
Matsuzaki H, Miyachi T,
Tsuchiya KJ, Matsumoto K,
Iwata Y, Suzuki K,
Nakamura K, Maekawa M,
Tsujii M, Sugiyama T, Mori
N.
Fuke T, Mizuno S, Nagai T,
Hasegawa T, Horikawa R,
Miyoshi Y, Muroya K,
Kondoh T, Numakura C,
Sato S, Nakabayashi K,
Tayama C, Hata K, Sano S,
Matsubara K, Kagami M,
Yamazawa K, Ogata T.
堀川玲子
Kappelgaard AM, Kiyomi F,
Horikawa R, Yokoya S,
Tanaka T.
Miyake Y, Tanaka K,
Okubo H, Sasaki S,
Arakawa M.
Tanaka K, Miyake Y.
Tsuguhiko Kato, Takashi
Yorifuji, Sachiko Inoue,
Hiroyuki Doi, Ichiro
Kawachi.
論文タイトル名
Serum levels of soluble
platelet endothelial cell
adhesion molecule-1 and
vascular cell adhesion
molecule-1 are decreased
in subjects with autism
spectrum disorder.
Molecular and clinical
studies in 138 Japanese
patients with
Silver-Russell syndrome.
発表誌名
Molecular
Autism
巻号
4
ページ
19
出版年
2013
PLoS One.
8(3)
e60105
2013
思春期の女性のやせ、摂食
障害
The Impact of
Long-Term Growth
Hormone Treatment on
Metabolic Parameters in
Japanese Patients with
Short Stature Born
Small for Gestational
Age.
Alcohol consumption
during pregnancy and
birth outcomes: the
Kyushu Okinawa
Maternal and Child
Health Study.
Low birth weight,
preterm birth or
small-for-gestational-age
are not associated with
dental caries in young
Japanese children.
Association of Birth
Length and Risk of
Hospitalization among
Full-term Babies in
Japan.
臨床婦人科産科
67(7)
2013
Horm Res
Paediatr.
2014
Feb 11
663670
Epub
ahead
of
print
BMC
Pregnancy
Childbirth.
14
79
2014
BMC Oral
Health.
14
38
2014
Paediatric and
Perinatal
Epidemiology
2013
27
361-70
2013
- 173 -
-173-
2014
発表者氏名
Tsuguhiko Kato, Takashi
Yorifuji, Sachiko Inoue,
Michiyo Yamakawa,
Hiroyuki Doi, Ichiro
Kawachi.
Michiyo Yamakawa,
Takashi Yorifuji, Sachiko
Inoue, Tsuguhiko Kato,
Hiroyuki Doi.
論文タイトル名
Associations of Preterm
Births with Child Health
and Development:
Japanese
Population-Based Study.
Breastfeeding and
Obesity among
Schoolchildren: A
Nationwide
Longitudinal Survey in
Japan.
Breastfeeding and
Behavioral
Development: A
Nationwide
Longitudinal Survey in
Japan.
発表誌名
The Journal of
Pediatrics
巻号
163(6)
ページ
15781584
出版年
2013
JAMA
Pediatrics
2013
167
919-25
2013
The Journal of
Pediatrics
(published
発表者氏名
佐藤昌司
論文タイトル名
日本産科婦人科学会周産
期登録データベースの現
状と問題点.
発表誌名
巻号
30
第 30 回周産期
学シンポジウム
Hayashi M, Nakai A,
Satoh S, Matsuda M.
Adverse obstetric and
Fertil.Steril.
98
perinatal outcomes of
singleton pregnancies
may be related to
maternal factors
associated with infertility
rather than the type of
assisted reproductive
technology procedure
used
Endocrine disease:
日本内科学会雑 101(4)
progress in diagnosis and 誌
treatment. Topics: I.
Progress in diagnosis; 5.
Gonad: clinical approach
to disorder of sex
development (DSD)
Takashi Yorifuji, Toshihide
Kubo, Michiyo Yamakawa,
Tsuguhiko Kato,
SachikoInoue, Akiko
Tokinobu, Hiroyuki Doi.
2013
online)
H24 年度雑誌
Horikawa R
- 174 -
-174-
ページ
23-28
出版年
2012
922928
2012
965-74
2012
発表者氏名
Isojima T, Shimatsu A,
Yokoya S, Chihara K,
Tanaka T, Hizuka N,
Teramoto A, Tatsumi KI,
Tachibana K, Katsumata
N, Horikawa R.
Kato N ,Sauvaget C, Kato
T.
Kawai M, Kusuda S, Cho
K, Horikawa R, Takizawa
F, Ono M, Hattori T,
Oshiro M.
Morikawa M, Cho K,
Yamada T, Yamada T,
Satoh S, Minakami H
Morikawa M, Yamada T,
Yamada T, Satoh S, Cho
K, Minakami H
Morikawa M, Yamada T,
Yamada T, Satoh S, Cho
K, Minakami H
Noriko Kato, Hidemi
Takimoto, Takashi Eto.
Sachiko Inoue, Hiroo
Naruse, Takashi Yorifuji,
Takeshi Murakoshi,
Hiroyuki Doi, Ichiro
Kawachi.
論文タイトル名
Standardized centile
curves and reference
intervals of serum
insulin-like growth
factor-I (IGF-I) levels in
a normal Japanese
population using the
LMS method.
Large summer Weight
gain in relatively
overweight preschool
Japanese children.
Nationwide surveillance
of circulatory collapse
associated with
levothyroxine
administration in
very-low-birthweight
infants in Japan.
Risk factors for
eclampsia in Japan
between 2005 and 2009.
Prevalence of
hyperglycemia during
pregnancy to maternal
age and pre-pregnancy
body mass index in
Japan, 2007-2009.
Prospective risk of
stillbirth: monochorionic
diamniotic twins vs.
dichorionic twins
発表誌名
Endocr J.
巻号
59(9)
ページ
771-80
出版年
2012
Pediatr Int.
54(4)
510-5
2012
Pediatr Int.
54(2)
177-81
2012
Int.J.Gynecol.
Obstet.
117
66-68
2012
Int.J.Gynecol.
Obstet.
118
198201
2012
J.Perinat.Med.
40
245249
2012
The regional difference
in children's physical
growth between
Yaeyama Islands of
Okinawa Prefecture and
national survey in
Japan.
Who is at risk of
inadequate weight gain
during pregnancy?
Analysis by occupational
status among 15,020
deliveries in a regional
hospital in Japan
Journal of the
National
Institute of
Public Health.
61(5)
448-53
2012
Maternal and
Child Health
Journal
17
18881897
2013
- 175 -
-175-
発表者氏名
Sato Y, Nakanishi T,
Chiba T, Yokotani K,
Ishinaga K, Takimoto H,
Itoh H, Umegaki K
Shiozaki A, Matsuda M,
Satoh S, Saito S
Takashi Yorifuji, Hiroo
Naruse, Saori Kashima,
Takeshi Murakoshi,
Tsuguhiko Kato, Sachiko
Inoue, Hiroyuki Doi, Ichiro
Kawachi.
Takashi Yorifuji, Hiroo
Naruse, Saori Kashima,
Soshi Takao, Takeshi
Murakoshi, Hiroyuki Doi,
Ichiro Kawachi.
Miyake Y, Tanaka K.
Miyake Y, Tanaka K,
Arakawa M.
加藤則子,横山徹爾
論文タイトル名
Prevalence of
inappropriate dietary
supplement use among
pregnant women in
Japan
Comparision of risk
factors for gestational
hypertension and
preeclampsia in
Japanese singleton
pregnancies
Trends of Preterm Birth
and Low Birth Weight in
Japan: A One
Hospital-Based Study.
発表誌名
Asia Pac J Clin
Nutr
巻号
22(1)
ページ
83-89
出版年
2013
JOGR
39(2)
492-9
2012
BMC
12
Pregnancy and
Childbirth
162
2012
Residential Proximity to
Major Roads and
Adverse Birth
Outcomes: A
Hospital-Based Study.
Lack of relationship
between birth conditions
and allergic disorders in
Japanese children aged
three years.
Active and passive
maternal smoking
during pregnancy and
birth outcomes: the
Kyushu Okinawa
Maternal and Child
Health Study.
次世代の健康づくりと環境
整備ー出世時の体重の低
下に関する要因を中心に
ー特集 健康日本 21(第 2
次)と社会環境の整備
Environmental
Health
12
34
2013
J Asthma.
50
555559
2013
BMC
Pregnancy
Childbirth.
13
157
2013
保健の科学
54(10)
678-83
2012
小児保健研究
71(5)
671-80
2012
加藤則子,瀧本秀美,横山徹 特別特集 平成 22 年乳幼
爾
児身体発育調査結果につ
いて
- 176 -
-176-
発表者氏名
論文タイトル名
吉田穂波,横山徹爾,加藤則 出生時体重の低下は何が
子
問題か 乳幼児身体発育
調査からみる要因と、効果
的な保健指導の方法を探
る 特集 親子保健・母子
保健の重点課題
吉田穂波,加藤則子
新生児栄養の変遷 Q&A
で学ぶお母さんと赤ちゃん
の栄養
山本晶子,西垣五月,水野裕 ビタミン D 欠乏症 12 例の
介,宮下健悟,野田雅裕,内 検討
木康博,堀川玲子
発表誌名
巻号
保健師ジャーナ 68(11)
ル
堀川玲子
小児思春期発症摂食障害
の現状と予後
やせに関連する疾患 鑑
別すべき疾患 小児科学レ
クチャー 介入すべきポイ
ントがわかる小児の肥満と
やせ Q&A (杉原茂孝編
集)
- 177 -
-177-
出版年
2012
周産期医学
(42) 増刊 606-10
号
2012
ホルモンと臨床
59
291294
2012
60(1)
37-46
2013
58( 特 集 1107小児内分 1110
泌学の進
歩 2010)
67(9)
20322039
10391047
2012
瀧本秀美,米澤純子, 島田真 日本助産師会会員におけ 日本公衆衛生雑
理恵, 加藤則子, 横山徹爾
る妊婦への食生活支援に 誌
関する調査「妊産婦のため
の食生活指針」の活用状況
を中心に
島田由紀子,堀川玲子,有阪 胎生期性ホルモンの空間 ホルモンと臨床
治
認知能への影響を粘土の
造形表現からみた検討
堀川玲子
ページ
942-55
最新医学
総合医学社
2012
2012
H26 年度学会発表
発表者氏名
加藤則子,吉田穂波,瀧本
秀美,横山徹爾
論文タイトル名
2005 年以降の我が国にお
ける出生体重減少鈍化の要
因に関する研究
Kato N, Noguchi-Yoshida Perinatal mortality risk
S, Yoshida H, Yokoyama T for dizygotic twins
remains consistent
through artificial
reproductive technology.
加藤則子,吉田(野口)都 異性双生児の周産期リスク
美,吉田穂波,横山徹爾. は同性双生児より低いがそ
の差は縮まっている
林昌子、桑原慶充、石川源、 日本産科婦人科学会の単一
関口敦子、松田義雄、佐藤 胚移植提唱が本邦の周産期
昌司、他
医療に与えた影響
発表学会名
第 73 回日本公衆衛生
学会総会
開催地
宇都宮
開催年月
2014.11
第 25 回日本疫学会学
術総会
名古屋
2015.1
第 29 回 日本双生児
研究学会学術集会
金沢
2015.1
第 66 回日本産科婦人
科学会学術講演会
東京都
2014.4
佐藤昌司
周産期における超音波画像
第 23 回福岡母性衛生
福岡市
2014.7
診断
学会学術集会
産科と新生児のデータリン
第 50 回日本周産期・
浦安市
2014.7
ケージによる分析の先行例
新生児医学会学術集会
福岡市
2014.7
産科医療補償制度と学会・
第 9 回医療の質・安全 千葉市
2014.7
医会の取り組み-再発防止
学会学術集会
佐藤昌司
について
佐藤昌司
産科ガイドライン 2014 に
平成 26 年度福岡県産
ついて-2011 版からの変更 婦人科医会臨時研修会
点を中心に
佐藤昌司
へ向けて
田尻下怜子、瀧本秀美、松
非肥満妊婦に対する食生活
第 66 回日本産科婦人
原舞、仁平光彦、金子均、
指導の効果についての検討
科学会学術講演会:
DOHaD (Developmental
第 66 回日本産科婦人
Origins of Health and
科学会学術講演会
東京
2014.4
東京
2014.4
広島
2014.8
久保田俊郎
瀧本秀美
Disease)
田尻下怜子、瀧本秀美、松
やせ妊婦に対する食生活指
第 38 回日本産科婦人
原舞、仁平光彦、金子均、
導についての検討
科栄養・代謝研究会
久保田俊郎
- 178 -
-178-
H25 年度学会発表
発表者氏名
加藤則子、吉田穂波、横山
徹爾、瀧本秀美、大木秀一
論文タイトル名
双胎児の出生体重、アディ
ポシティリバウンド及び 6
歳時BMIに関する単胎双
胎間の比較検討
双胎児の出生体重、アディ
ポシティリバウンド及び 6
歳時BMIに関する単胎双
胎間の比較検討
産科-小児科データベース
連結の試み(第1報)
:日産
婦周産期登録と新生児臨床
研究ネットワークデータ連
結.
産科-小児科データベース
連結の試み(第2報)
:極低
出生体重児の母体 MgSO4
投与と 3 歳時予後との関連.
発表学会名
第 60 回日本小児保健
協会学術集会
開催地
東京
開催年月
2013.9
第 72 回日本公衆衛生
学会学術集会
東京
2013.10
第 49 回日本周産期・
新生児医学会学術集会
横浜
2013.7
第 49 回日本周産期・
新生児医学会学術集会
横浜
2013.7
林昌子、松田義雄、佐藤昌
周産期登録データベースか
第 49 回日本周産期・
横浜
2013.7
司、中井章人
らみた生殖補助医療の現状
新生児医学会学術集会
大宮
2013.10
加藤則子、吉田穂波、横山
徹爾、瀧本秀美、大木秀一
佐藤昌司、吉富智幸、他
吉富智幸、佐藤昌司、他
とリスク.
瀧本秀美
妊娠中の栄養のありかた
第 54 回日本母性衛生
学会総会
瀧本秀美
妊娠期・子育て期女性の栄
第2回日本DOHaD 研 東京
養摂取制限の課題
究会年会
母乳育児に対する国の考え
第 28 回日本母乳哺乳
方と基本施策
学会
瀧本秀美、田尻下怜子、猿
2004~10 年出生児におけ
第 65 回日本産科婦人
倉薫子、加藤則子、横山徹
る出生体重に対する影響要
科学会学術講演会
爾、久保田俊郎
因について
田尻下怜子、瀧本秀美、猿
肥満女性の妊娠中の体重増
第 65 回日本産科婦人
倉薫子、横山徹爾、仁平光
加量についての検討
科学会学術講演会
田尻下怜子、瀧本秀美、猿
妊婦への食事調査および食
第 37 回日本産科婦人
倉薫子、角倉和子、鈴木洋
生活指導についての検討
科栄養・代謝研究会
瀧本秀美
2013.6
長野県
2013.9
北海道
2013.5
北海道
2013.5
埼玉
2013.8
彦、金子均、久保田俊郎
子、横山徹爾、仁平光彦、
松原舞、金子均、久保田俊
郎
- 179 -
-179-
発表者氏名
論文タイトル名
発表学会名
開催地
開催年月
内木康博,宮下健悟,山本
妊娠時母体が甲状腺機能異
第 86 回日本内分泌学
仙台
2013.4
2013.9
晶子,西垣五月,水野裕介, 常を指摘された児の 6 歳時
会学術総会
荒田尚子,堀川玲子
の予後
Fuke T, Miuno S, Nagai T,
Molecular and clinical
9th Joint Meeting of
Milan
hasegawa T, Horikawa R,
studies in 138 Japanese
Paediatric
Italy
Miyoshi Y, Muroya K,
patients with
Endocrinology
Kondoh T, Numakura C,
Silver-Russell syndrome.
Sato S, Sano S,
Matsubara K, Kagami M,
Yamazawa K, Ogata T.
Naiki Y, Takahashi C,
Maternal thyroid function
Joint Meeting of
Milan
Miyashita K, Nishigaki S,
during early pregnancy
Paediatric
Italy
Mizuno Y, Horikawa R.
and neurodevelopmental
Endocrinology
2013.9
outcome at 6 years.
Horikawa R, Yokoya S,
Long-term metabolic
9th Joint Meeting of
Milan
Italy
Tanaka T, Ogawa Y,
effects of two growth
Paediatric
Kiyomi F, Kappelgaard
hormone (GH) doses in
Endocrinology
A.M.
short Japanese children
2013.9
born small for gestational
age (SGA).
高橋千恵,服部淳,内田登, 1 歳児の脂質代謝マーカー
山本晶子,内木康博,堀川
と体格・乳児期の栄養法に
玲子
ついての検討-母子コホート
第 47 回日本小児内分
東京
2013.10
東京
2013.10
東京
2013.10
泌学会学術集会
研究から
堀川玲子,田中敏章,横谷
日本人 SGA 性低身長症に
第 47 回日本小児内分
進,小川憲久,清見文明,
おける長期成長ホルモン治
泌学会学術集会
Kappelgaard Anne-Marie
療の代謝への影響
山本晶子,服部淳,高橋千
本邦乳児におけるビタミン
第 47 回日本小児内分
恵,内田登,内木康博,堀
D の充足状況とその影響
泌学会学術集会
川玲子
- 180 -
-180-
H24 年度学会発表
発表者氏名
論文タイトル名
発表学会名
開催地
開催年月
Miyashita K, Noda M,
Association of fetal IGF-I,
52th ESPE meeting
Leipzig,
Sep 20,
Mizuno Y, Nishigaki S,
leptin, and adiponectin
Yamamoto A, Naiki Y,
with fetal and early
Horikawa R.
postnatal growth in
Germany 2012
NCCHD cohort study.
瀧本秀美, 田尻下怜子,久 非肥満女性における妊娠中 第 64 回日本産科婦 神戸
2012.4
保田俊郎,加藤則子,横山徹 の適正体重増加量区分につ 人学会術講演会
爾
いての検討
田尻下怜子, 瀧本秀美, 佐 妊娠中の体重増加量と出生 第 64 回日本産科婦 神戸
田文宏, 仁平光彦, 下地祥 体重に関する検討
2012.4
人学会術講演会
隆, 金子均, 久保田俊郎
堀川玲子
エコチル調査と小児内分泌・ 第115回日本小児科学 福岡
代謝疾患
2012.4
会学術集会
内木康博,野田雅裕,水野 成育コホートによる母体と 5 第115回日本小児科学 福岡
2012.4
裕介,西垣五月,宮下健 歳児の代謝マーカーとの相 会学術集会
悟,山本晶子,荒田尚子, 関の検討
堀川玲子
堀川玲子
SGA 性低身長症の成長ホ 第 85 回日本内分泌学 名古屋
ルモン治療
2012.4
会学術総会
宮下健悟,山本晶子,西垣 血中 IGF-I と各種因子との 第 85 回日本内分泌学 名古屋
五月,水野裕介,野田雅 相関
2012.4
会学術総会
裕,内木康博,堀川玲子
西垣五月,野田雅裕,水野 幼児期代謝指標と母体因子 第 85 回日本内分泌学 名古屋
裕介,山本晶子,宮下健 との関連
2012.4
会学術総会
悟,内木康博,荒田尚子,
堀川玲子
瀧本秀美、加藤則子、横山 肥満妊婦における適正体重 第 36 回日本産科婦人 鹿児島
徹爾、田尻下怜子、久保田 増加量についての検討
2012.8
科・栄養代謝研究会
俊郎
田尻下怜子、瀧本秀美、横 28 週での適正体重増加量 第 36 回日本産科婦人 鹿児島
山徹爾、仁平光彦、下地祥 についての検討
科・栄養代謝研究会
隆、金子均、久保田俊郎
- 181 -
-181-
2012.8
発表者氏名
論文タイトル名
発表学会名
開催地
堀川玲子,田中敏章,横谷 SGA 性低身長症に対する 第 46 回日本小児内分 大阪
開催年月
2012.9
進,清野佳紀,小川憲久, 成長ホルモン投与における 泌学会
清 見 文 明 , Anne-Marie Δ 身 長 SDS と Δ IGF-I
Kappelgaard
SDS の相関
堀川玲子,水野裕介,西垣 健常児と低出生体重児にお 第 46 回日本小児内分 大阪
2012.9
五月,宮下健悟,山本晶 ける臍帯血および 1 歳児血 泌学会
子,内木康博,荒田尚子, 中 IGF-I と成長
渡邊典芳,伊藤裕司
西垣五月,水野裕介,山本 周産期母体因子と出生児代 第 46 回日本小児内分 大阪
晶子,宮下健悟,内木康 謝指標の関連
2012.9
泌学会
博,荒田尚子,堀川玲子
磯島豪,島津章,横谷進, 小児期から成人期を通して 第 46 回日本小児内分 大阪
2012.9
田中敏章,立花克彦,勝又 使 用 可 能 な Insulin-like 泌学会
規行,堀川玲子
growth factor-I(IGF-I)の基
準値の設定
内木康博,宮下健悟,山本 妊娠時母体が甲状腺機能異 第 46 回日本小児内分 大阪
2012.9
晶子,西垣五月,水野裕 常を指摘された児の 6 歳時 泌学会
介,伊藤裕司,中村知夫, の予後
荒田尚子,堀川玲子
山本晶子,西垣五月,水野 本邦妊婦のビタミン D 充足 第 46 回日本小児内分 大阪
2012.9
裕介,宮下健悟,内木康 状況と胎児発育の前方視的 泌学会
博,堀川玲子
検討
衛藤隆,近藤洋子,松浦賢 幼児の保護者の心身の健康 第 59 回日本小児保健 岡山
2012.9
長,倉橋俊至,横井茂夫, と対児感情等に影響を及ぼ 協会学術集会
恒次欽也,加藤則子,川井 す要因に関する検討
尚,竹島春乃,堤ちはる,
高石昌弘,平山宗宏,横山
徹爾
加藤則子,瀧本秀美,横山 最近のわが国の乳幼児の身 第 71 回日本公衆衛生 山口
徹爾
体発育状況について
学会総会
- 182 -
-182-
2012.10
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