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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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<資料・研究ノート>東海岸マレー農民における結婚と離
婚
坪内, 良博
東南アジア研究 (1972), 10(3): 390-408
1972-12
http://hdl.handle.net/2433/55707
Right
Type
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Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
東南 アジア研 究
1
0
巻 3号 1
9
72年 1
2
月
東海 岸 マ レー農民 にお け る結婚 と離 婚
坪
内
博*
良
Ma
r
r
i
a
geandDi
vo
r
c
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l
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nEe
l
ant
an,Ma
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a
by
Yo
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hi
r
oTsuBOUCHI
は
じ め に
本 稿 は1
97
0年 1
0月か ら1
9
71年 9月 に至 る 1年 間 西 マ レー シ ア東 海 岸 ク ラ ソタ ン州 に お い て筆
者 が行 な った農 村 調 査 の第
4報 で あ る 。 1)
調査地 は
Ke
l
ant
a
n川 の河 岸 段 丘上 の天 水 田
・ゴ
4
6世 帯 か らな るマ レー人 の集 落 で あ る。 この集 落 の概 況 , 土 地 の
ム園 の混 在 地 域 に位 置 す る 1
所 有 ・相 続 ・売 買 と居 住 を め ぐる諸 問 題 , 稲 作 に お け る諸 慣 行 , 新 た に導 入 され た タバ コ栽 培
が もた ら した社 会 ・経 済 的 影 響 な どにつ い て は , 既 に 別報 告 に お い て, 記 述 ・分 析 を行 な った
ので そ れ らを参 照 され た い 。2
) 本 稿 で は これ まで の筆 者 の 分 析 (と くに 「土 地 と居 住」 な ど)
を ふ まえ て, 家 族 ・親 族 結 合 の悪 意 性 お よび 不 安 定 性 に留 意 しな が ら, この地 域 の 家族 の特 徴
を 明 らか にす る こ とを 試 み る。
*京都大学東南アジア研究 センタ1
) この調査は京都大学東南 アジア研究センタ-とマラヤ大学経済経営学部に よるマ レーシア農村調査計
画の一部として行なわれた。 この調査計画はマ レ-シアの稲作農村の比較を 目的 として,社会科学系
と自然科学系の研究者の協力に よって行なわれ た総合的なもので,調査地 として,ケダー州, クラン
タン州 ,マラッカ州の農村が選ばれた。総合的な報告がいずれ発表 され る予定である。本稿の作成に
関 して,竜谷大学教授 口羽益生,京 都大学東南 アジア研究 センター助手前 田成文の両氏か ら,いろい
ろと貴重な助言をいただいた。記 して感謝の意を表す る次第であ る。
2) クランタン州に関す る筆者の既発表の報告 としては次のものがある。
「クランタンの-農村におけ るタバ コ耕作の導入 と社会 ・経済的変化」『東南アジア研究』 9巻 4号,
1
9
7
2
.
3; 「東海岸マ レ-農民におけ る土地 と居住」 『東南アジア研究』1
0
巻 1号,1
9
7
2.
6; 「マ レシア東海岸の天水田地域におけ る稲作 - カンポン ・ガ ロにおけ るケーススタデ ィー」『
東南アジア研
究』1
0
巻 2号,1
9
7
2
.
9
0
またマ レ-人の離婚については拙稿 「マ レー人の離婚一 統計的分析の試み-」 『
東南 アジア研究』
4巻 3号,
1
9
6
6,お よび 「双糸的親族構造をもつマ レ一系諸民族の離婚について」『東南 アジア研究』
6巻 4号,1
9
6
9をも参照 されたい。なお,ケダ-州におけ る結婚 と離婚については, 口羽益生 ・坪内
艮博 「マラヤ北西部の稲作農村一婚姻 ・離婚 ・家族の特質について-」『
東南アジア研究』 4巻 1号,
1
9
6
6
が既に報告 されてい る。
3
9
0
坪内 :東海岸マ レー農民における結婚 と離婚
Ⅰ
結
婚
(
1
) 結婚 の成立
まず最初に この地域におけ る結婚が いかに行 なわれ るかをニ ラボ レーシ ョンの度合 いが比較
的大 きい村 の上流 の階層を念頭において記述 しよ う。
配偶者 の選択 に際 しては,結婚適齢期 の息子を もつ側が能動的な役割 を演ず ることにな って
お り,親族 あ るいは知人が娘 の両親をたずね て意 向を問 うのが結婚-の動 きのは じ ま りで あ
る。 3)娘 の両親は娘 の意向をたずね る。 多 くの場合,娘は花婿候補者 の顔 を知 ってい るが, と
きには全 く知 らぬ こともあ る。娘 の家族か ら肯定的な返事が得 られ ると,使者 にた った者は結
納金 (
b
e
l
anj
a)g)
葡お よび婚約の贈答 (
me
mi
nang) の種類に関す る希望 をたずね, 少年側
の家族に伝 え る。 こ うして話が まとまると,少年 の親 と親族は,婚約の贈 りものを もって少女
の家をお とずれ る。 贈 りものは,金製 の首飾 り (
M$
8
04) 程度) または指輪 (
M$
5
0程度),布
地 3着分 (1着 につ き M$1
2程度),婦人靴 (M$
6程度),化粧 品,練乳,砂糖,バナナ な ど
か ら成 り立 ってい る。少女 の側か らはお返 しとして少年側が使 った金額 の約半分にあた る品物
をお くるのが通 例で,指輪 ,男子用 マ レー服,練乳,砂糖 な どがお くられ る。 この 日に婚礼の
口ど りが きめ られ る。
婚礼は稲の収穫 が終わ ってか ら行なわれ ることが多い.イス ラム暦上 の DZ
ul
hi
j
ah,R'
Au
J
al
な どの月 も好 まれ る。 Sa
fa
r,Ramdzan は婚礼には望 ま しくない月 と して さけ ることが通例
であ る。
5)
結婚 の儀式は二つ の部分か ら成 り立 ってい る。 宗教的 ・法律 的な意味 を も つ 婚 姻 契 約
(
ni
kah) と,社会的 ・慣 習的な意味を もつ婚礼 (
♪e
rai
o
r) とであ る。
婚姻契約式は原則 として花嫁側 の家で行なわれ る。 村 のイマムが よばれ て,親族が見守 る中
通常父親) との間に結婚契約を と りむ
で 2人 の証人 の立会いの下 に花婿 自身 と花嫁 の保護者 (
すぶ。 この ときに結納金 (
b
e
l
anj
a)が 支払われ る。 村 の上流 の家族 の場合その額は M $5
0
0
程度であ る。 こ0)
金は全 散通常花嫁 白身 の ものにな り, 親 あるいは他の親族は これを使 用す る
ことを しない. イ7ムには登 記料 等 としてM $
1
3が支払われ る. 6)
婚 礼は契約式 の翌 日花嫁 側 の家で行なわれ ることが多い。 目時 を記入 した招待状が前 もって
b
ae
wah,標 準 語 で は
人 々に配布 され てい る。 花嫁側では水牛 または 牛をほふ って 祝 宴 (
3)菅は相手の感情をきずつけないように,象徴的な言葉を用いて打診することがあったが,現在ではは
っきりと意向を問 うのが一般的である。
4)M$3ニ
トUS$1(調査当時)
5) このように結婚は農事暦,イスラム暦の双方を考慮して石なわれるため結婚数の変化を月別に調べる
と毎年少しずつ異なったパターンが現われる。
6)内訳は婚姻登記 M$7,t
a■
a
Z
i
kM$ 2,i
之
i
nM$2,u
,
a
k
i
lM$2,計M$13である040%がイマム自身
の収入となる。
3
91
東 南 アジア研 究
1
0
巻 3早
ke
nduri
,いずれ も共食を意味す る) の準備をす る。 近 い親戚や 隣人達は準備を助け るが, 同
,
0
0
0にのぼ
時に料理の上手な老 (女)が村か ら雇われ る。 盛大な祝宴 の場合その費用は M $1
る。 花嫁側 に経済力が あ り, しか もそ の社会的活動が盛んな場合には きわめて多 くの人 々が招
かれ, ときには千人を越 え ることが あ る。 これ らの人 々に食事を供す る部屋が不足 してい る場
合には, と くに男子の来客 のために屋外に天幕 をは る。 招かれた人 々は昼頃か ら三 々五 々や っ
て来 て,男女別に数人 の グル ープに まとめ られ,食事を しては帰 ってい く。 親 しい ものは,布
地, ガ ラス コップな どを祝 いに持 って来 るが, 通常 M$
1(
M $4- 5を もって くる者 もあ る)
あ るいは 1-2c
hupak7'の米を持参す るのが慣 例であ る。 か くして祝宴 の費用の70-80% ほ と
りもどす ことがで きる。 食事 の後,人 々は小 さなか ごに入れたゆで卵を 1個あ るいは ケーキ,
ビスケ ッ トな どを持 ち帰 る (
s
i
s
a)。
花婿 とそ の親族は午後 4時頃に行列を ととのえてや って来 る。玉座 の よ うに しっ らえたいす
または きれ いに飾 りたてたベ ッ ドに,花婿 と花嫁が並んで腰をお ろす のが儀礼の中心的な部分
であ り, これを Pe
rai
o
r (または b
e
rai
ur,標準語では be
r
s
andi
ng) とよぶ。花婿側か らは,
料理 された もち米 (
Pul
uis
e
mangai
),色をつけたゆで卵 (
t
e
l
o
rs
e
mangat
),マ レー風のケキ, バナナ,練乳 の缶,布地,婦人靴,化粧 品な どが しんち ゅ う製 の高抑 こ入れて運ばれて来
る。Pul
uts
e
mangaiと t
e
l
ors
e
mangatは二等分 して, 半分が花婿側に返 され る。 花婿 の親
族は 1, 2時間滞在 し,食事をす ませ,花婿を残 して帰途 につ く。
花婿は 花 嫁 の家に約 1カ月滞在 した後, 新婦を ともな って 自分 の 実 家 -い く。
表1
p
-ー
素
一
.豪 丁
盲 M P
初 婚 の場 合 の結 納 金*
読 妄{t
す【 二 表 蒜
1 l 1 3 1
9 1 5 4 1
2
2.
5
3
2
1
0
0
1
5
0
20
0
2
5
0
30
0
40
0
50
0
不 明
計
平
均
l
妄一
百二
二 =ノ
1
1
6
2
1
8
1
6
5
2
1
36
43
M$2
29
M$2
29
*最近10カ年に行なわれた結婚に関する数値。夫からのききとり
と妻からのききとりの数値が若干 くい違 うのは,この間に生 じ
た離婚,死別などのためである。
7)1c
hu
ba
k-1
/
4ga
nt
a
n
g,1ga
ni
a
n
g-1英 gal
l
on.
3
9
2
(
s
amb
ut
坪内 :東海岸 マ レー農民における結婚 と離婚
mcnant
u)。 この ときには花婿の両親が祝宴 をひ らいて親族や村 の人を招待す ると 同時に, 花
嫁側 の一行を接待す る。 花婿側におけ る祝宴 の規模はほぼ花嫁側 のそれに匹敵す る。
村 の住民の大多数を 占め るよ り貧 しい者 の間では結婚はず っと簡素 な方法で成立す る。 結納
0カ年に Ga
l
okで行なわれた結婚 について調べ てみ ると,M $2
0
0とい うケー
金 の額は,最近 1
スが最 も多 く,平均 M $
2
2
9とな ってい る (表 1参 照)。婚姻契約式は必ず行なわれ るが,続 い
て行 なわれ る祝宴では しば しば berat
or を欠 く場合があ る。 招待状 も用いず 口頭で伝達が行
なわれ る。 祝宴 用の肉 もまた 目方で購 入 され る場合があ る。 小規模な祝宴 の場合には,そ の費
0
0程度で, この うち5
0-6
0%は人 々か ら回収 され る ことにな る。
用はM $2
(
2
) 早婚傾 向 と結婚 の普遍性
Gal
ok におけ る結婚 の de
mo
gr
a
phi
cな特徴は, と くに女子 におけ る初婚年齢が低 い ことと,
男女 を通 して
一
生独身で過 ごす者 の割合が少ない ことであ る。 これ らの二 点につ いて若干の資
料 お よび事例を示 してお こ う。
男女 の初婚年齢を結婚経験者につ いて調べ ると表 2の ごと くとな る。 女子 の場合,平均初婚
:'
-
,
_
:
¶子 ¶
1
章二
∴
7
0
1
_
6 4
1 9
6 756 1 1
1
1 2
1
1 5 2 3 5
1 9 9
3 9 8 6 2 0 2 2
き く影響す る為,初婚年齢におけ るば らつ
きは女子 よ りも大 き くな るが,平均初婚年
齢は2
1
.
0才で,最頻値は2
0才であ る。 結婚
適齢期 に達す るとほ とん どすべ ての者が結
婚す る。 女子 の場 合 この傾 向はほ とん ど絶
対的であ って,2
5才を過 ぎて結婚経験 のな
い者は皆無であ る。 男子の場合には,比較
他 の社会においては結婚す ることが無理
な よ うな 精神薄弱者 (bodoh) で も, 1度
は結婚 した経験を もってい る場合があ る。
この よ うな例は数多 くはな く,広域 を見わ
1
平 I
E
J≡
少ない。男子の場合には経済的な理 由が大
的にはほ とん ど確実に結婚す る。
6
】
才を過 ぎては じめて結婚す る老は きわめて
的おそ くまで独身でい る者がい るが,最終
1
計
年齢は1
6
.
0才で,最頻値は1
5才であ る。2
0
た した場合 に発見 され るのであ るが,
1
21
1
51
Gal
okでは次 の よ うな例があ る。 それは4
0
2
1
.
0
才
1
6
.
0才
才 の男で知的能力が劣 ってい るため 自活で
*Galok に居住する結婚経験者に関する数値。
きず,現在 き ょうだい と同居 して生活 して
3
9
3
東南 アジア研 究
1
0
巻 3号
い るが,2
0才の ときに結婚 した ことがあ る。 結婚相手は隣 の集落に住む年上 の再婚 の女であ っ
たが,男の知能が劣 ってい ることにたえ られず,結婚後 6カ月で離婚を要求 した。彼女は この
結婚生活に よ り妊娠 し,離婚後生 まれた男の子は彼女が育ててい る。
基本的にはすべ ての者が結婚す るのであ るが, きわめてわずかな性倒錯老だけは独身生活を
続けてい る。 肉体的には男であ るに もかかわ らず,女性的な服装や生活を好む者がお り, これ
らは Pondan とよばれ る。Ga
l
ok には 2人 の Pondan がお り,いずれ も3
2才で, 1人は クア
ラル ソプ-ルで ダソサ -を していたが警察 の と りしま りが きび しくな ったので親 の ところ-帰
って商売を手伝 ってお り,他 の 1人は最初か ら村にいて仕立物 な どを して生活 してい る。 精神
gi
l
d) に も結婚 の可能性 は乏 し く, この集落 の場合, 2
3才の男が 1人 これに該当す
異常者 (
る。
(
3
) 通婚範 囲 と婚姻後 の居住
イスラムにおけ る親族間での結婚禁止 の範 囲は比較的狭 く,親子, き ょうだい, お じ ・おば
とおい ・めい,祖父母 と孫,継父母 と継子,養 父母 と養子であ る。 い とこ同士 あ るいはそれ よ
りも遠 い関係におけ る結婚は 自由であ る。 慣 習法の中に もこれ以外 の規制は存在 しない。
村人 の生活においてほ親族関係にあ るもの との接触は,他人 との接触 よ りも密であ るか ら,
このチ ャネルを通 して配偶者が求め られ る可能性は他 の場合 よ りも高 い。親族 同士 の結婚 の詳
表3
親
族
関
係
s
aPu
Pu
dua・
pu
pu
a
n
a
ks
apupu
あり
Paks
a・
pu
pu
その他の親族
結 婚 相 手 と の 親 族 関 係*
夫
の
結
婚
妻
の
結
婚
9\
1
0
7㌧
40
1
1
0と。1
1;⊆
なし
1
94
252
不明
7
1
計
*Galok 居住者が経験 したすべての結婚に関する数倍。
saPuPu),第 2い とこ (
dual
細は表 3に示す通 りであ る。 男子についてみ ると,第 1い とこ (
Pul
)
u),お よびい とこの子 (
anaksapupu)との結婚が主 な組合せであ るが,その他の親族 と
6
.
6%を 占めてい る。 女子については,第 1い とこ,第 2
の結婚を も含め ると,全結婚経験 の1
い とこ,お よび親のい とこ (Paksapupu) が主 な カテ ゴ リーを占め,その他の親族を含め る
3
.
9%が親族関係 にあ る者 との結婚であ る。 い とこ同士 の結婚は,交差 い とこ
と全結婚経 験 の1
であれ,平行 い とこであれ,特に好 まれ るとい うことはな く,親族 同士 のつ き合いがひんはん
394
坪内 :東海樺マ V -農民における結婚 と離婚
なために出現す る可能性が多い とい うだけに とどまる。後に述べ る離婚の頻繁 さを背景 として,
い とこ婿に対 しては賛否両論があ る。 すなわち,あ る者は夫婦 の仲が よ くな りやす い として こ
れを好み,他の者は離婚に至 る状況が生 じた場合 き ょうだいの関係が悪化す る可能性があ ると
してい とこ婚を嫌 う。
集落内婚は どち らか といえば好 まれ る傾 向があ る。 既に別の報告8
)で述べた よ うに,集落
(
kampo
ng)に関 しては, 明確な境界の意識 もなければ,また集落の内部的な 自治組織 も欠如
してい るので,集落内婿が好 まれ るとい うよ りほ,近 くの他集落を も含めて近距離婚が好 まれ
l
ok 居住者 同士 の婚姻はその一部分
るとい ったほ うが よ り正確であ る。 この意味において Ga
を構成す るに過 ぎない。 Gal
ok 居住者 同士の通婚は男子の経験 したすべ ての結婚につ いては
2
2
.
3
%(
6
1
/
2
4
1),女子の経験 したすべ ての結婚については2
2
.
5
%(
7
5
/
2
9
4
)であ る。 隣接集落
6
.
0
%(
1
3
5
/
2
4
1
)
,女子について 5
6
.
8
%(
1
6
7
/
2
9
4
)
との間の婚姻を含め ると,男子について 5
とな る。
結婚後 の居住については既に別稿においてかな り詳 しく分析 したので ここでは詳 しく述べな
い。9
)原則 として一
一線の夫婦は独立 した家を もつ ことを希望す るが,独立 までの期間はいずれ
かの両親の家に同居す る。 独立に際 しては,いずれかの親の土地に家を建 てることが多 いが,
t
umbang)す る。 夫婦が
ときには新 しい宅地を購入 した り,無料で他人か ら土地を借 りた り (
どち らの親族 の側に居住す ることにな るかについては何の きま りもな く,その結果,経済力の
あ るほ うを選ぶ傾 向が明 らかに見出 され る。 土地に余裕があればい く組かの子の家族が同 じ鼠
敷地 の中で生活す ることにな る。
Ⅱ
離
婚 ・再
婚
(
1
) Ga
l
ok におけ る離婚の意味
イスラムの教 えはその精神 としてほ離婚を好 まないが, コーランの中には離婚手続 きに関す
る規定があ り,離婚は制度上許 され る仕組みにな ってい る。 クランタンのイスラム教徒には次
の よ うな離婚方法が認め られてい る。
a)i
al
ak
夫は 自分の意思で妾に離婚を宣言す る特別の言葉 (
i
al
ak)を与えて離婚す ることがで きる。
夫は i
al
ak を与えた事実 をイマム (または kai
hi
)に報告 し, 夫妻に対 して証 明書が発行 さ
れ る。 この際 M$
1
2をイマムに支払わねばな らない。 この金紙はイスラム法廷-逮 られ,イマ
0
%が手数料 と して払い戻 され る。t
al
ak を与えた場合,待婚期間内な らば,双方
ムには後に4
の合意に よって元 の結婚生酒に戻 り,夫は先に与 えた t
al
akを取消す ことがで きる。 この手続
o
j
o
k とよび,M$
2を必要 とす る。 ただ し,ro
j
o
kが 可能なのは 2回めの i
al
ak までで
きを r
8)c
f
.「東海岸 マ レー農民におけ る土地 と居住」 『東南 アジア研究』 10巻 1号,1972.
.
9
)c
f 「東海岸 マ レー農民におけ る土地 と居住 」 『東南 アジア研究』 10巻 1号,1
97
2
0
3
9
5
東南 アジア研 究
1
0
巻 3号
あ って, 同一 の妾に対 して 3度めの t
al
akを与 え ると,妻が他人 と正式に結婚 し, さ らに離婚
した後にのみ元 の夫 との再婚が許 され る。 i
al
akを与 えた場合 の待婚期間は,年 とった女の場
合 3カ月1
0日,若 い女 の場合 3回の月経が終わ るまで,妊娠 中の場合は 出産 までであ るo
b)Pa
s
ah
イスラム法廷において, k
at
hiの権限に よって与 え られ る離婚であ る。 夫が行方不 明にな っ
た場合 な どに適用 され る。
C)i
e
b
usi
al
ak
字義通 りには妻が i
al
akを買い とることであ って,妻が離婚を望む場合に適用 され る方法で
あ る。 イス ラム法廷において k
at
hiに よって裁決 され る。 支払われ る金額は,夫 のほ うに非
があ る場合には,結納金 M $
5
0
0に対 して M $1
0
0-2
0
0程度であ るが,夫 に非がない場合には
受け取 った結納金 と同額, ときにはそれ以上が要求 され るo
d)t
a'
al
i
k
婚姻契約書 と同時に調 印 され るも う一枚 の書式に記載 された妻 の処遇に関す る条件に対 して
夫が達反 した場合, k
ai
hiは妻 の申 し出に よって夫に召換状を出 し,i
al
ak を与 え させ る。 通
常次 の条件が記載 され てい る。 第 1は夫が 3カ月あ るいは 4カ月以上留守を した場合,第 2に
夫が妻 を血 がで るほ ど打榔 した場合,第 3に夫 が妻を扶 養せぬ場合であ る。 いずれ の場合 も妻
は 2人 の証人を必要 とす る。
以上 の よ うに離婚 の形式はい くつか存在す るが,実際に適用 され るのは, t
al
ak に よる方法
が大部分であ り,離婚総数 の9
5%以上を 占めてい る。Gal
okにおいては,夫が行方不 明にな っ
たため与 え られた Pa
s
ah のケ-ス 2件
1
0'
のほかはすべ て t
al
ak の ケースであ って, i
e
b
us
i
al
ak,t
a'
al
i
k に よる離婚は皆無であ る。
既 に述べ た よ うに i
al
ak は少な くとも形式的には夫 に よる専権的離婚であ るが, Gal
ok に
おいては表 4に示す よ うに,妻が離婚を欲 した ケ-スの数が,夫が離婚 を欲 した ケースの数を
は るかに上廻 る。 妻が離婚を望 んだ場合,夫はあえてそれをお さえ ることをせず i
al
akを与え
表4
の
方 父明
双
妻
夫妻 不
計
1
=,
表土
∴
1∴
t
t 二㌦
5
7
1 9
4 2
夫妻
-∴_
.
1
9
3
8
l
l
1
31
26
1
0
0
11
7
二
1
0
)いずれも第 2次大戦中にビルマで日本軍の作業に従事し,そのまま行方不明になったものである。
3
9
6
坪内 :東海岸 マ レー農民における結婚 と離婚
るのが通例で,法手続 きは便宜上形式的に利用 され てい るに過 ぎない。
1
.
5% (
1
0/
24
1),
表 3と表 4か ら計算 され るよ うに,夫 の経験 したすべ ての結婚 の うち, 4
妻が経験 したすべ ての結婚の うち 3
9
.
8% (
1
1
7
/
2
9
4
, ただ L bas
ah を除 く)が離婚に終わ っ
てい る。 r
o
j
ok に よって取消 され た離婚は ここでは数 え られ ていない。 これに加えて現在継続
中の結婚 におけ る離婚 の可能性 を も考慮 に入れ るとき,離婚傾 向は きわめて高い といわねば な
らない。 この よ うな高い離婚傾 向は,上 に示 した ことか らも分か るよ うに, イスラムの性格 に
よって決定 され てい るものではな く,家族お よび夫婦 の結合に関す る土着 の考え方 と結びつい
てい る。 離婚原因を調べ ると,夫婦の性格 の相違,結婚後 の居住地に対す る意見の不一致,配
偶者側 の親族 との不和 な どが主な ものであ るが, いずれにせ よ,比較的軽度 の対立がそ のまま
離婚 に結びついてい る場合が多 い。
離婚に際 して,夫妻 の財産は,相続財はそ の まま所有者 の もの とな り,共 同で得た財産は等
分 され るのが原則であ る。 タバ コの植付け後に離婚が発生 し,植 え られた タバ コの権利を等分
した ケースや,一つ の家屋 を分・
割 して一 部分を運 び去 った ケ-スな どもあ る。
表5
男
齢
級
年
階
1
0203
04
05060-
表6
結婚経験者
離婚経験者
31
3
3
3
0
2
2
1
6
3
9
1
4
1
5
1
0
9.
7
27.
3
4
6.
7
68.
2
62.
5
11
40
3
4
3
8
23
1
9
1
8
1
3
1
9
1
2
8
9.
1
20.
0
38.
2
50.
0
5
2.
2
4
2.
1
1
3
2
51
3
8.
6
1
6
5
61
37.
0
子
4
5
6
明
1
1
3
2
3 1 2 2 4 2
0
1 3 1 1
8
0
29
9
6
3
1
3
1
Ga
l
okにおけ る離婚 の発生状況に関 して
子
女
%
l
ok におけ る離婚 の様態
(
2
) Ga
離婚回数別にみた結婚経験者数
1
2
3
子
%
】
0
計
女
離婚経験者
離 婚 回 数* l 男
不
子
結婚経験者
1
9
2
9
3
9
4
9
5
9
計
離 婚 経 験 者 数 とそ の割 合
やや詳 しく述べ よ う。 結婚経験者 の うち離
婚経験者 の占め る割合を調べ ると表 5の通
りであ る。 男子の場合3
8.
6%,女子 の場合
3
7
.
0%が離婚 を経験 してい る。 これ らの離
婚 は, 既に述べ た Pas
ah 2件を除けばす
al
ak に よるものであ る。 以下 i
al
ak
べて i
に よる離婚に関 して若干分析 を進め ること
1
6
5
*ただし fq
s
a
h のケース 2件は除 く。
にす る。
離婚経験を回数別にみ ると表 6の ごと く
3
9
7
東 南 アジア研究
1
0
巻 3号
であ る。 1回だけ の経験者 が最 も多数 を 占め る。 しか し, 2回以上 の離婚 を経験 した者 の合 計
は 1回だけ の離婚経験 を もつ者 の数 にせ まる程であ って,離婚を練返す者 の存在 は決 して無視
で きない。離婚経験 の最大値 は, 男子につ いては 6回の経験 を もつ者 が 3名お り,女子 の場合
5回の経 験 を もつ者 が 2名い る。
多 くの離婚 は結婚 後短期間 の うちに生ず る。 結婚継続期間別 に離婚数 を示す と表 7a
,bの ご
と くとな る。 男子に関 しては5
0% が約 1年 以 内 (含 約 1年) の離婚 で あ り, 5年 以 内 (含 約 5
年 )に離 婚 の8
5%が生 じてい る。 女子につ いては離婚 の4
0%が約 1年 以内 (含 約 1年 )に,79
% が 5年 以 内 (
含約 5年) に生 じてい る。 これ らの中には結婚直後 の もの も含 まれ てお り, 3
カ月未 満 で生 じた離婚 が, 男子で は1
4件 (1
4%)
, 女子で も1
4件 (1
2%)数 え られ る。 結婚後
1
0年 を経 験 してか らの 離 婚は きわめ て少 な い
)離婚 の早期発生は 離婚時 の 子供 の数 に も反
。11
映 してい る。 離婚時 に子が なか った者 の割 合は 男子では 5
8.
0% (
58
/1
0
0)
, 女子では 5
9.
8%
表 78 結婚継続期間および子の数別にみた離婚数
表 7b 結婚継続期間および子の数別にみた離婚数*
(
男子の離婚について)
(
女子の離婚について)
\\
、
、子の数
i
Z
g
期間
5+
計
1
7
17
5
l
1
8
1
9
1
l
1
4
7
1
3
6 ヵ月
12カ月未満
約
1 年
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
l
l
1
3
11
t
iJ
:J
r
H潤.
1
約
8
1
0
4
9
1
2
1
8
9
3
1
2
3
5
7
8
2
1
4
5
4
3
4
、‡
1
0
l l 1
3
21
2
1
i
Z
?
,
堰
5 6 1
3 1
0 4 2 4 7
1 年
11
1 1 1 4 7 5 5 1 1 1 1
約
0 1 3 9 7 3 1 1
6
6ヵ月未満
約 6カ月
12カ月未満
0
1
0
1
1
3
14
1
5+
l
不
3
12
l
明
計
. 3
1
4
:
1
5'
: 1
計
! 70 3
3 9
2
1
4
1 1
: 58 28 8 4
1
1 !1
00
4
0
1 !117
*pasah は含まないO
l
ll
) 男女における数値が異なるのほ以前の配偶者が現在 Gal
ok に居住 しているとは限 らないためである。
男女別に得 られたデ-タが比較的近い値を示すことはデ-タの信頼性をものがたっている0
398
坪内 :東海岸マレー農民における結婚 と離婚
(
7
0
/1
1
7)を 占めてい る。 しか し子供 が存在 しない ことは離婚 の条件では な く,子供 があ って
も離婚は発生す る。 離婚発生時におけ る子供 の数 は 2人以下 の場合が,子があ る場合 の 9割近
くを 占め る。 (男子 の場合 8
9
.
4
%,女子 の場合8
5.
7
%)
。 離婚時 の子 の数 の少な さに加えて,
後 に述べ るよ うな家族結 合の柔軟 さのために,離婚後の子の処理は非常に困難 ではない。
誰が子供 をひ きとったかを示す と表 8の よ うにな る。 離婚 した夫妻 の居住地 が異 な る場合が
表8
離 婚後 の子 のひ き と り
ひ き と った 老
夫の離婚について
妻
妻の離婚について
22
■■
夫
妻
の
母
夫 と妻 に 分 け る
夫
の
姉
妹
妻
の
姉
妹
双方をいった りきた り
子 が 既 に 成 長
10
4
3
F
計
4
2
存在す ることを考慮 して も,夫 の離婚 に関す る夫か らの ききと りと,妻 の離婚に関す る妻か ら
の ききと り結果 との間の不一致がやや 目立つ ので,必ず しも答 の信頼度が高い とはいえないが
全般的には次の よ うな傾 向が存在す る。 妾がひ きとった場合が,5
2
.
4% (夫 の離婚)ない し6
8
.
1
% (妻 の離婚)を占め,夫がひ きとった場合は4.
3
% (妻 の離婚)ない し2
3
.
8% (夫 の離婚)
に過 ぎない。 妻 の母がひ きとった ケースが 9
.
5% (夫 の離婚) ない し1
4
.
9% (妻 の離婚)存在
す る ことは注 目に値す る。 全体的にみ て裏方- の依存度 のほ うがず っと大 きい。
親族関係にあ る者 との結婚が離婚傾 向に影響 してい るか ど うかを検討す るために表 9を作成
した。結婚 ・離 婚比は親族間での結婚 と他人問での結婚 の場合 とでほ とん ど差が認め られず,
親族関係 の存在が離婚に影 響を及 ぼ してい るとは言 えない。い とこ婚だけを と り出 してみ ると,
夫 の場合 も妻 の場 合 も, 9件 の結婚中 6件が離婚に終わ ってお り,離婚傾 向はむ しろ高 い くら
いであ る。
表9
親族関係の有無と離婚との関係
子
男
全結婚
不
明
計
;
40
1
6
7
5
%
40,
0 1
全結婚
41
2 1 ,4
り 弓
婚
0
7・ 二 1
5・
あ
離
子
女
離
婚
%
1
7
1
0
0
41
.
5
3
9.
7
11
7
3
9.
8
3
9
9
東南 アジア研 究
1
0
巻 3号
コ ミュニテ ィ内婿が離婚発生に影 響を与 えてい るか ど うかを検討す るために衷1
0を作成 した。
既に述べ た よ うに, この地域 におけ る コ ミュニテ ィの意識 は必ず しも明確ではな く,集落 同士
全 結 婚
2
41
・
2
94
s i39・竺
1
ニ比 定
全 結 婚
_
_離
0 1 .1 2
L竺 _
一旦
一婚 ㌦0 8 .7 1
集 落 内婚 と離 婚 との 関 係*
表1
0
*ただし離婚には Pasah のケ-スを含まない。
は連続性 を もってい るのであ るが, ここでは Gal
ok の盾住老 同士 の結婚 と結婚総数 とを比較
した。Ga
l
ok 居住者 同士 の結婚 の場合,離婚傾 向がい く分低 くな ってい ることが認め られ るo
夫妻 の居住地決定に関す る利害 の対立が少ない ことが,離婚傾 向を相対的に低 くす ることに貢
献 してい ると考 え られ る。 実際,居住地 の選択 に関す る状況依存的な決定を背景 と して,夫 ま
たは妻が 百分 の村を離 れて相手方 の土地 に住む ことを嫌 って離婚が発生す るケースがかな り多
いのであ る。
(
3
) クラ ンク ソ州におけ る離婚 の動勢
ここで視野を広げて クラ ンタン州におけ る離婚 の動勢を統計的に観察 し,離婚傾 向のす う勢
を知 ると同時に Ga
l
o
kの含 まれ る Pas
i
rMas郡が,離婚 の頻度か らみて同州内で どの よ うな
ところに位置づけ られ るかを明 らかに しよ う。
1
94
8年か ら70年 に至 る23カ年 の クラ ンク ソ州におけ るイ スラム教徒 の結婚 と離婚 の数は図 1
1
9
48
40
0
49
50
5
1
5
2
5
3
54
5
5
56
57
58
59
60
61 62
63
6
4
65 66
6 7
68
69
7(
)
坪内:東海岸マレー農民における結婚と離婚
表1
1
年 壱 「
1
94
8
4
9
50
51
5
2
5
3
54
5
5
5
6
57
5
8
5
9
6
0
61
6
2
6
3
.
64
65
6
6
67
68
6
9
7
0
クランタン州における結婚と離婚 (1
94
8
-1
97
0)
結 婚
離 婚
r
o
j
o
k
1
2,
4
8
8
1
3
,
25
6
1
2,
3
2
6
1
3,
1
31
ll
,
3
91
l
l
,
0
9
2
1
0
,
0
0
3
l
l
,
63
9
1
3,
8
3
0
7
,
61
1
1
0
,
7
23
1
0
,
0
5
4
9,
81
0
7
,1
7
6
8,
3
9
9
7
,
987
8
,
2
6
4
8,
27
5
8,
1
7
7
6,
9
3
3
7
,
7
0
3
8,
6
68
8,
1
3
6
1
1
,
62
5
11
,
3
84
1
1
,1
6
3
1
0,
24
7
9,
2
9
8
8,
77
7
7,
54
9
7,
6
6
0
7,
84
6
4,
7
47
8,
5
3
0
6,
8
5
6
6,
3
63
5,
0
68
5,
4
6
3
5,
27
8
5,
2
7
0
5,
0
5
2
4,
3
9
5
4,
48
9
4,
4
2
3
4,
51
8
4,
3
5
2
683
1
,
00
7
76
8
923
80
5
657
681
70
2
7
4
9
467
64
4
73
8
668
51
4
51
7
1
,
44
7
584
51
9
81
0
45
8
41
9
54
6
58
3
結婚1
00に対する離婚
93
.
1
8
5.
9
90.
6
7
8.
0
81
.
6
7
9.
1
7
5
.
5
65.
8
5
6.
7
6
2.
4
8
0.
0
68.
2
64.
9
7
0
.
6
65.
0
6
6.
1
63.
8
61
.1
5
3.
8
64
.
8
57
.
4
5
2.
1
5
3.
5
資料 :1
94
8-1
9
5
7 Gor
don,S.(
∩.
d.
)
,Ma
r
r
i
a
ge
/
Di
vor
c
ei
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he
El
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e
s of Ma
l
aya a
nd Si
nga
por
e
.
Z
ni
i
s
a
r
i
,Vol
.2,N0.2による。
1
9
5
7-1
9
7
0 クランタソ州 Ma
hka
ma
hSha
r
i
a
h における
統計 (
未公表)
お よび表 1
1の ごと くで あ る。 この期間におけ る結婚 100に対す る離婚 の比 は73.1であ る。 ただ
jok の手続 きを とって取 り消 され てい る。 最近 の 5カ年間 (1966
し離婚 の うち10% 程度は ro
0であ って,離婚傾 向は以前 に比 してやや低下 してい る。
-70) におけ る結婚 ・離婚比 は56.
図 1か ら明 らかな よ うに, 結婚 お よび離婚 の絶対数 は この期問 に著 し く低下 の傾 向を示 して
い る。 初婚年齢 が徐 々に上昇 して来 た ことが結婚数 の減少 の一因 と考 え られ, これ が また離婚
の絶対数 の減少 に結 びついて い ると考 え られ る。 初婚年齢 の上昇 は 同時 に離 婚傾 向の低下 を も
ひ きお こした と考 え られ る。 結婚数 と離 婚数 の減少 お よび結婚 ・離婚比 の低下 を説 明す る も う
一つ の重要 な ことが らは, かつ ては離 婚 と再婚 とが 同一人 にお いて くり返 し行 なわれ る傾 向が
よ り高か ったが, この傾 向が 次第 に弱 まって来 た とい う事実であ る。
401
東南 アジア研 究
1
0
巻 3早
クラ ソタ ン州におけ るイス ラム教徒 の離婚 の地域的分布 は表 1
2お よび図 2の ごと くで あ る。
海岸 に近 い地域 で離婚 傾 向が低 く, 内陸部に入 るに従 って離婚傾 向が高 くな る。 離 婚傾 向が最
も高 い地域 であ る
Ul
uKe
l
a
nt
a
nについては次 の よ うな特徴が挙 げ られ る。(
1
)
人 口は主 として
表1
2
クラソタン州の各郡における結婚数 と離婚数*
結婚 10
0に
1
96
9
I
1
97
0
L
19
67
t
1
9
6
8
対す る 離婚
(
J
aJ
;
ahan) 結婚 離婚 r
o
j
o
ki
o
j
o
k 結婚 離婚 "j
o
k】結婚 離婚 r
o
j
o 4カ年平均)
I結婚 離婚
t
I結婚 離婚 r
o
j
o
k
廃
離婚 r
郡
Kot
aBhar
u
Pas
i
rMas
Pas
i
rPut
eh
Mac
ha
ng
Bac
hok
Tumpat
TanahMe
r
ah
Ul
uKe
l
ant
an
40
2
h
】
2莞
1
,
4
3……
865 569
578 38
3
797 548
682 397
,1
07
2,4491,224 1
55 2,3211
1
…; L:
::
5
0
:1,……三 1:≡ 1,464 603 63 1,311 620
53 1
,1
05 677 72 1
,050 631
,060 598 45 1
644 361
63
3 387 57
584 436 62
56
838 527
71
942 499 42t 894 408 45
805 263
83
9 386 32! 891 421 35
34
123
66
60
61
5
9
38
677 47
9 121
…喜; 3;≡ ;…日
喜喜 芸2
5
9
7
芸…】 7
4
4
8… 4
3
;7
1 ……
490 3
64
55
∼
(
54,
8
47.
5
60.
7
64.
3
57.1
45.
6
68.
8
71.
5
坪内 :東海岸 マ レー農民における結婚 と離婚
ゴム タ ッピ ングに従 事 して お り, 女 子 の 自活 力が大 きい 。(
2
)
交 通 が不 便 で あ りコ ミュニテ ィも
3
)
開墾 のため
小 さ く, 家 族 生 活 の重 要性 が 大 きい と同時 に 家族 内で の テ ンシ ョンが生 じ易 い 0(
4)
教育程
に入植 した者 が 多 く, 自分 の 出身地 の方 が現 住地 よ りも住 み 易 い と考 え る者 が 多 い 。(
度 は 低 く, いわ ゆ る近 代 化 が 最 も遅 れ て い る。
調 査 地 の含 まれ る Pa
s
i
rMas 郡 は離 婚 傾 向が や や 低 い地 域 に 属す るが, 調 査地 Gal
ok は
TanahMe
r
a
hにか な り近 く, Pas
i
rMa
s郡 と しては 内陸 的 な性 格 を や や強 く有 して い る とい
え る。
(
4
)再
婚
ひ ん は ん な離 婚 は 高 い再 婚 傾 向を と もな って い る。 離 別者 の年 齢 が比 較 的 若 い限 り, 再 婚 は
当 然 の こと と考 え られ てい る。 これ は 死 別者 につ い て も同様 で, 死 別 後 独身 を通 す ことは美 徳
とは考 え らj
tな い 。
12)
再 婚 の手 続 きは初 婚 に比 して よ り簡 単 で あ る。 男子 の場 合 , 離 死 別者
は いつ で も再 婚 可 能 で あ る。 女 子 の場 合 , 離 別 の場 合前 述 の待 婚 期 間 , 死 別 の場 合 には 4カ月
1
0日の待 婚 期 問 の後 に再 婚 可 能 で あ る。 結婚 相 手 の選 択 に際 しては本 人 の意 思 が初 婚 の場 合 よ
rai
o
rを と も
りも よ り重 要 な役 割 を果 たす 。 イ ス ラム法 に よる結 婚 契 約 式 は行 なわれ るが ,Pe
0年 間
な う大 きな祝 宴 は行 なわ れ な い。再 婚 の女 子 に対 してほ 結納 金 の額 も安 くな る。 最 近 の 1
1
2
5で あ った。 M$
1
0
0が 標 準的 な額 で あ る。
の再 婚 にお け る平 均 は M$
Gal
okにお け る再 婚 を量 的 に把捉 す る と以下 の ご と くで あ る。
す べ て の結 婚経 験 者 につ い て結 婚 回数 を調 べ る と表 1
3の よ うに な る。 結 婚経 験 者 の うち, 男
表1
3
男
1
80人
3
不
子
2
6
7
2
2
8
1′
/
1
上 の結 婚 を経 験 して い る ことが
はす べ て再 婚 を意 味す るが, 男
5
明
子
女
2回以
分 か る。 女 子 につ い ては これ ら
5
4
2 1
6 6
2
結婚経験回数 l
1
2
子3
8
.
6
%,女 子 4
1
.
2
%が
結婚経験者の結婚経験回数
(
38.
6%)
子 につ い ては再 婚 の他 に若 干 の
68
(
41.2%)
複 婚経 験 を も含 んで い る。
再 婚 年 齢 は表 1
4の ご と くで あ
る。 初 婚 の場 合 (表 2参 照 ) と
異 な り,年 齢 の ち らぼ りが大 き
1
1
.
5才,
いが, 平 均 年 齢 は 男子 3
6
.
6
才 で あ る。
女 子2
結 婚 回数 別 にみ た夫 妻 の組 合 せ は表 1
5aお よび表 1
5bの ごと くで あ る。初 婚 者 と初 婚 者 ,再
婚 者 と再 婚 者 とい うのが基 本 的 な組 合 せ で あ るが, 初 婚 者 と再 婚 者 とい う組 合せ も若 干存 在 す
1
2) ただ し子供が大 きくなるのを待 ってか ら再婚 したとい う例が まれにある。
40
3
東南 ア ジア研究
表1
4
年
齢 1男
丁
再
/
I
: 十
1
0
巻 3号
婚
る。
:
I ・
断.
L
・
.
i T
再婚経験者につ いて,離死別
か ら再婚 までの期間を調べ ると
表1
6の ごと くであ る。 平均は男
子 の場合 1
.
5年,女子の場合 1
.
8
年であ る。 離死別後 6カ月未 満
で再婚 した者が全体の 4分の 1
を 占め てい ることは注 目に値す
る。
再婚 は これを儀 礼 として眺め
ると初婚ほ ど重要ではないので
あ るがその社会的な意味は初婚
と同様 に大 きい。初婚が失敗に
終わ った場合,人 々は この失敗
を再婚において と り戻そ うとす
る。 この よ うな再婚 のあ る部分
は成功す るが,一部分は失敗 し
.
5才,女子2
6.
6才
平均再婚年齢 :男子 31
て さらに新 たな結婚を試み ることにな る。
表1
58 結婚回数別にみた夫妻 の組合せ
表1
5b 結婚回数別にみた夫妻 の組合せ
(
夫 の結婚について)
結
1
2 3 4
結
夫
回 数
計
妻
5・ 宗
i
Z
I
1
婚
回 数
計
2 3 4
5
・宗
1
3
9 :1
3 8 2
1 1
l ︻6
8
2 3
0 8 1
1
-8 -1 19 11 1 完
1 2 3
9 4 6 3
1 1
7 6 5
4
計
1
2 4 2
1
+ 川
2 3 4 5 不
2 8 6 7
2
1
1
結 婚 回 数
1
4
2
1
9 3 1 1 1
3 9 1
2
2
2 4 2 1 1
3 2 2
1
糊
9 4 2 4 1
- - 3
結 婚 回 数
11
3 :1
7 8 3
計
40
4
婚
(
妻 の結婚について)
坪内 :衆海岸マ レー農民における結婚 と離婚
表1
6
離別 または死別か ら再婚 までの期間
(
再婚者について)
男
子
離別後
死別後
の再婚
の再婚
3
期 間
6 ヵ 月 未
約
二千
半
満
18
2
年
二
∴
2
女
子
離別後
死別後
の再婚
の再婚
計
21
26
4
30
2
5
2
1
1
6
3
24
5
29
二_
:
≒
二三
15
1
16
3
4
3
;
1 6
4
20
13
2
1
5
3
3
6
5
1
1
7
8
.
1
1
1
1
1
1
1
;
1
l 1 3 9
1 t2
1
9
+
ll
計
84
1
4
Ⅲ 複
9
9
98
30
姑
イ ス ラム教 はす べ ての妻 に対す る平 等 な と り扱 いを条件 と して, 男が妻 を 4人 まで もつ こと
を許 容 す る。Gal
ok にお い て複婚 に関連 した 結婚 の数 は, 全 結婚 数 に対 して, 男子 に おい て
5.
4% (
1
3
/241),女 子 にお いて 7.
1
% (
21/294)を 占め る。 か くの ごと く複婚 は量 的 に い って
必ず しも結婚 におけ る重 要 な側 面で は な い。妻 の数 は 2人 までで, 3人 以上 の妾 を 同時 に もっ
ことは全 くない。
男 子におけ る複婚経験 者 は 6名であ るが,そ の うち 2名だけ が現在 も複婚 状 態 を保 ってい る。
この 2名 の うち,第 1の ケ ースは5
2才 の農夫 で,最 初 の結婚 が離婚 に終 った後 ,3
0才で再 婚 し
3
5才 の ときか ら複婚状態 に入 ってい る。 2人 の妻 は いず れ も再 婚者 でそれ ぞ れ 1回離婚 の経験
が あ る。 第 2妾 の万が若 く,第 1妻 との年齢差 は 5才で あ る。 2人 の妻 を 同 じ家屋 の違 う棟 に
住 まわせ てい るが, この よ うな居住 は この地域 にお け る複婚 の際 の居住形 態 と しては例 外 的で
9才 の小学校 教 員 で あ って, 本 人 は現在 Ul
uKel
ant
an の赴 任地 で 1
あ る。 第 2の ケ -スは 3
人 で間借 りを してお り, 2人 の妻がGal
okの別 々の家屋 に居住 してい る。 現在 の復婿 に先 行 し
て3
0才 の ときに別 の複婚 の経 験 が あ り, この場合 に は 1年 後 に第 2妻 を離婚 してい る。 現在 の
複婚 ほ3
2才 の と きか ら続 い て い る。 第 1妻 は初婚 で ,第 2妻 の方 は 4回 の離 婚経験 を もつ再 婚
者 で あ る。 2人 の妾 の年齢差 は 2才 で,第 2妻 の方 が若 い。上 述 の 2ケースにお いては複婚者
405
東南 アジア研 究
1
0
巻 3号
の妻 同士 の関係は比較的良好であ って,珍 しい ケースであ るといわれ てい る。
男子複婚経験者 の他 の 4名においては,第 1妻を離婚 したために,複婚状態が一時的に存在
したに過 ぎな い 。いずれ も第 1妻 が複婿 の状態 にたえ られず離婚を 申 し出てい る。 うち 1ケー
スは 5日間,他 の 1ケースは 1
0日間複婚状態が続 いたに過 ぎない。第 2妻 とな った女はいずれ
の場合において も第 1妻 よ り若 く, 2ケースは再婚者, 2ケースは初婚者であ った。
女子におけ る複婚状態の経験 は,第 1宴 の立場で経験 した もの 8例,第 2妻 の立場で経験 し
た もの1
3例であ る。 第 2妻 とな った者はすべ て再婚者であ る。 前者 の うち 6例は離婚に終わ り,
2例が前述 の男子 の妻 として現在継続 中であ る。 後者につ いては 9例が離婚 してお り, 2例が
第 1妻 の離婚 申 し出に よって複婚状態が解消 し,残 る 3例は現在 も複婚状態にあ る,,13)
以上 の よ うに複婚は再婚 と関連 して発生 し易 く, また しば しば離婚 を招 くことがあ る。 離婚
-の容易な接近を背景 として,複婚が永続的な形で存続 しに くい ことに注意す る必要があ る。
Ⅳ
家
族
構
成
同一 の屋 敷地 内におけ る親 ・き ょうだいを 中心 とす る親族近隣関係発生の ケ-スを多 く認め
つつ も,核家族が基本的な居住生計単位であ ることは既に別 の報告において述べ た 。1
4
)頻発す
る離婚現象 と表裏をな して, これ らの核家族 が必ず しも標準的な形態を とって現わj
lない とい
うことは, この地域 の理解に とって きわめて重要であ る。
既に示 した頻繁な離婚例か ら推測 され るよ うに,夫婦 の結合は脆弱であ る。 しか し,それに
もかかわ らず,家族結合 の中核 とな ってい るのほ夫婦 の結合であ る。 この ことは,再婚に よる
家族形成に際 して,前婚に よる子が新 しい家族か ら切 り離 され る場合があ ることか らも裏付け
られ る。 一単位 としての夫婦 (
s
e
ke
l
ami
n) の独立性は比較的高 く, 2組以上の夫婦が同一 世
帯 を形成す ることは少 ない。新婚夫婦は しば しば いずれか の親の もとで生活す るが, これはあ
くまで も一時的な含み を もってい て,はやかれ遅かれ独立す るのであ る。 両親の うち一方が欠
けた場合には じめて 1組 の子 の夫婦が老親 (母親であ る場合が多い) と同 じ家に住んで生計を
共 にす る可能性が増大す る。 この場 合にみ られ る家族形態 は,従来 の分類法か らす ると拡大家
族 に入 るが,それは拡大家族 の出現を要求す る家族構成の原理を通 して実現 され た ものではな
い。
一組 の夫婦 の結合は家族結 合の中核 ではあ るが,それは決 して他の関係が家族集団内に と り
入れ られ ることを こぼむ ものではない。 この点に関 してはむ しろ きわめて寛容であ って, 2組
以上 の夫婦 の共存 とい う組令せを生 じない限 りにおいて, ご く簡単に他の要素を同一世帯の中
に受け入れ るのであ る。
15)か
くして離婚 した娘 と そ の子 のセ ッ トが 親にひ きと られ ることは
1
3
) 2例は前述の男子の妻, 1例は夫が村外に盾住。
1
4)c
f.「東海岸マレ-農民における土地と居住」『
東南アジア研究』1
0
巻 1号,1
9
7
2
.
1
5)前田成文はこのような家族を拡大家族とよばず,包摂家族とよんでいるoc
f
.前田成文 「マラヤにお
『
東南アジア研究』 5巻 3号,1
9
6
7
.
1
2,p.
3
9
0
けるジャクソの家族構成の特質」
40
6
表1
7
家
族
の
形
未婚子に関す る+-
態
他 の 親 族 の 添 加
正常な ≡夫 または ・
家
族
i)
軍票喜
野
妻 の欠勘 (
嚢 芸芸Bl
連 れ 子 (
雷 きと言)・
.警 冨ひき ま警撃吉宗 芸 苦 言
雷 家 芸
雷系親芸
2
28
6
2
6
計
1
)若年単身,複婿,同一家屋内に 2組以上の独立世帯が居住す るケースを除 く0
2) 2項 目以上に該当す る家族は 2回以上数え られ てい る。
薫 丑 ︰瀬 前 苛 々 VI敵 抑 C
C計 耳 か詐藁 t葉巻
4
(
△)
東南 75
77研 究
1
0
巻 3号
簡単であ る し,娘 の再婚に際 しては連れ子を と もな うことも,孫を祖 父母の もとに残す ことも
容 易であ る。 この よ うな メカニズ ムは,再婚 の容易 さと共 に作用 して他の社会において離婚が
もた らす よ うな諸困難 を吸収 して しま う機能を果た してい る。
以上の よ うに この地域 の家族 は一組 の夫婦 を中心 としなが ら柔軟 な変形 を許容す る集 団 とし
て理解 され るべ き性質を強 く有 してい る。 表 1
7は この よ うな考 え方に沿 って,Gal
o
kにおけ る
家族形態 の分煩を試みた ものであ って,たての欄に基本 とな る夫妻 の ライ フサイ クルを,横 の
欄に欠損 あ るいは付加の要素を示 した。
'付加あ るいは欠損 の要素を含む家族 の 割合 が大 き
16
い ことが明 らか とな る。
お
わ
り に
Gal
o
kにおけ る家族生活は,一組 の夫婦を基本的な居住 ・生計 の単位 として営 まれてい る。
しか しこの ことは夫婦 の結合が強 固で排他的であ ることを必ず しも意味 しない。事実は この逆
であ って,結合は非常 に もろ く, また他 の要素 を も容 易に受け入れ る。 この よ うな意味で,夫
婦 の結合が きわめて顕著 な柔軟性を保持 しなが ら社会生活 の核 とな って機能 してい るのであ る。
既に別の報告で指摘 した相続法におけ る男女平等の傾 向,婚姻後の盾住地決定におけ る状況依
存性,親子 ・き ょうだいの近隣居住,女子の生活能力の高 さな どが この よ うな家族 のあ り方を
ささえてお り,ひんはんな離婚は双系的親族組織 の-分枝 として発現 した この よ うな社会構造
と密接に関連 してい る。
か くして, この社会においては離婚は欧米 の社会あ るいは現代の 日本の社会において予想 さ
れ るよ うな不適応現象 を必ず しももた らさない。東海岸 マ レー人社会は恒常的な離婚 を家族結
合 のあ り方 の中に折 り込んで存続 して来 た といえ る。 生活が比較的低い レベルにおいてではあ
るが安定 してお り, また生活の 目標がめ ったに現状か らの大 きな脱 出を意味 しなか った よ うな
社会においては,家族 におけ る不安定な要素 は社会に対 してほ とん ど逆機能的な意味を もたな
か ったであ ろ う。 しか しなが ら, この よ うな不 安定な家族は,財 の蓄積,家族の共 同 目標の設
定等に関 して弱い側面 を もってい ることは事実であ る。 この よ うな側面が近代化に ともない ど
の よ うな まさつを生ず るかは今後 の問題 として残 る。
本稿では夫婦結合だけに限 って資料を整理 してみ たが,他の家族関係をめ ぐって も夫婦関係
と同様 の根 を もつ結合 の性質が見出せ るよ うに思われ る。 これ らに関す る統合的な整理は また
別の機会に行ないたい。
1
6)付加の要素として 「
核家族」を含めることは従来の家族分類の方法から逸脱しているが,演 (
主とし
て年 とった母親)のほ うを付加の要素として扱えばこの問題はある程度解消する。実際,子の年齢の
上昇とともに世帯主は子-と移行してい くのである。
408
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