Comments
Description
Transcript
当院での201TI 心筋 SPECT シンチにおける、収集エネルギーの検討
圃 当院での 2 0 1 T I心筋 SPECTシンチにおける、収集エネルギーの検討 松田 克彦J) 鈴 木 直 紀 3) 福居 書人 1) 宮 本 弘 志 3) 真員 原田 勝 1) 大 西 範 生 2) 城 野 良三 2) 貴史 3) 山 下 潤 司 3) 日 浅 芳一 3) 1)小松島赤十字病院 放 射線科部 2)小松島赤十字病院 放 射線科 3)小松島赤十字病院 循 環 器 科 要旨 現在、 2 0 1T l心筋 SPECTシンチにおいて、収集エネルギーは 71KeV: t1 0%のシングルウインドウ収集を使用してお り、臨床上支障のない SPECT画像を得ている 。 今回我々は新機種導入により、 二核種同時収集に生じる核種間でのクロスト ークの散乱線補正法である TEW法 ( t r i p l ee nergywi ndow法)を用いることができるようにな った[ ) 吋 。 これを利用して、 2 0 1T l核種内での放出 エネ ルギーによるクロスト ークを考慮 し、従来のシングルウイ ン ドウ収集法 と TEW収集法による物理的評価、及び両収集 画像による視覚的評価で比較 し、その有用性について検討した 。 法で得たSPECT 0 1T l、収集エネルギーウインドウ、 TEWi 去 キーワード :2 心臓 ファン トム :R H-2型 はじめに 方法 1 ( 物理的評価法) 2 0 1Tl核 種 内 で の 放 出 放 射線 及 び 放 出 エ ネ ル ギ 一、 放出率 を示す ( tabl e1。 ) 心筋シンチ画像に用いられ ingle収集 心臓 ファントムを使って TEW収集、 S る K 殻 X 線の他に、散乱線因子 となる 7線が放出さ e c t i o n画 像 正 面 像 心 筋 部 に を行う 。 得 られた proj れている 。 これら散乱線の影 響を軽減する TEW収集 ROI をとり、 threshol d 値 10~1 0 0% での cou n t / と、シングルウイン ドウ収集(以下 Sing l e収集と記 p i x e l値 を 、 ま た s ho r taxis midd le ス ラ イ ス の す)で得 たデータを比較してゆく 。 circumf r e quencycurveから contrastを求める 。 t abl e1 2 0 1T Iの放出放射線 ・放出エネルギー・放出率 なお、ファントムへの投与量 は、健常集積率者を想 h( 8 .0MBq)、 低 集 積 率 者 を 想 定 し た 定 し た Ric 放出放射線及びエネルギー 放出率 [%J [ KeVJ 7 7 7 K-Xray 3 2 1 3 5 1 6 7 69~83 9 .1 1 1 .8 2 9 9 4 【 引用文献】久田 欣一、利波紀久、久保敦司 -最新核医学 、 P6 95:1 9 9 9よ り 引用 Poor ( 3.6MBq)の 2種類を用意 した 。 方法 I ( 視覚的評価法) 0 1Tl心筋 SPECTシンチ後期像検査 時に、 当院での 2 従 来 の Single 収 集 直後、 10 人の患者さん (A ~ J) に了解を得 て TEW収集 を追加した 。評価に先立ち、 方 法 I同様に count/p i x e l値と contrastを求め 、 使用機器 その値によって A ~ J の各画像デ ー タを 4 群に振り分 9300A/DI ガンマカメラ装置 :GCA- けておく 。 両 収集 法 による SPECT画 像 の v e r t i c al 演算処理 システム :GMS-5500A/DI long像と shorta x i s像について 医師に一対評価して L.E. H.R.コ リメ ータ :RDC-301A いただき、評価の基 準をコメントとしていただいた。 VOL.5 NO . l MARCH 2 0 0 0 ぎl院での 2 0 1 T l心筋 SPECTシンチにおける、 収集エネルギーの検討 51 ③ 「 ある程度の contrastが欲しい 」 く 収集・処理条件〉 /p i x e l値の多い画像を好む ①、②のように、 count ようなコメントが 1番多かった。 4x6 4( 後に Resi z e) 収集マトリックス :6 収集モ ー ド contmuousモード (方法 1 6deg、 t a bl e3 各画像データによる c ou n t / p i x el 値と c o n t r a st 値 o t a t i o n 6times) 方法 n 3deg 2min/r A 収集ウインドウ :TEW..71KeV、 main24%、 sub 4% B C Si ngl e . ..71KeV、20% 再構成フィルタ ー :But t e rWorthorder8~ O .2 8 D 後処理フィルタ ー :Ramp E 吸収補正 :なし F G 結果 I H 方法 Iの結果を t a b l e2に示す。Rich、Poor共に J c o u n t l p i x e l 3 1 .3 5 3 1 .5 7 3 5 .3 6 2 8 . 1 1 2 3 . 7 1 2 9 .8 9 2 7 .5 3 4 1 .5 5 3 9 .9 5 2 8 .7 9 c o n t r a s t O .3 3 O .5 8 O . 3 3 O .1 5 O .2 7 O .2 9 O . 4 8 O . 2 0 O .2 8 0 . 4 5 TEW 収集を行うと、 Single収集よりも count/ t a bl e4 視覚的評価結果 pi x e l値が少なくなり、 一方 contrastは高くなった。 t a bl e2 物理的評価結果 Rich Poor TEW Singl e TEW Singl e c o u n t/ p i x el c o n t r a s t . o28 2 1 .5 8 2 8 . 4 7 0 . 2 1 9 .5 8 O .2 9 1 5 . 2 O . 2 1 E J l [ I V 結果 E 各画像デ ー タ (A~J) 3 0 c o u n t/ p i x e l以上 c o n t r a s tO . 3 以上 3 0 c o u n t/ p i x e l以上 c o n t r a s tO .3 未満 3 0 c ount / p i x e l未満 c o n t r a s tO .3 以上 3 0 c oun t/ p i x e l未 満 c o n t r a s t0 . 3未 満 S i n g l e 1 7% 6/3 6 2 1% 5/2 4 5 0% 1 2/2 4 4 2% 1 5/3 6 TEW 8 3% 3 0/3 6 7 9% 1 9/2 4 5 0% 1 2/2 4 5 8% 2 1/3 6 の count / p i x e l 値と contrast 値を tabl e3 に、また I~IV 群 l こ対する 医 師 の評価を tabl e4に示す。 coun t/p i x e l値の 多 い I 群 ・E群の画像は、 TEW収集 したものが多 く選ばれ たが、 count/pixel値の少ない旧群 ・町群の画像で は好みがほぼ半分に分かれた。 また、 contrastの高 i x e l値 低による好みの差 はほとんどなく、 count/p によって大きく影響 される結果となった。 i g .1に示 ここで、試料となった SPECT画像を f J は、医師が TEW収集を最も好んだ例で、 す。写真左{ J ! l f ig .1 両収集法による SPECT画像 (2例) 2回答中 4っと、最も TEW収集が好まれな 右側は 1 かった例である 。ちなみに、 TEW収集した画像は中 まとめ I 央の 4つである 。 さらに、医師よりいただいたコメン トを紹介する 。 ①「全体的に count数が少ない画像は読みにくし リ ②「ある程度辺縁が見える画像が読みやすい J 1 '1 心筋 SPECTシンチにおける、 5 2 当院での 201' 収集 エネルギ ーの検討 e収集 よりも count/pi x e l ① TEW収集では、 Singl 値が少なくなった。 ② TEW収集では、 Singl e収集よりも contrastが高 Komatushima Red C r o ssI I o s p i t a1M e d i c a lJ o u r n a l くなった。 ③全試料の約 70%の像に対して、 TEW収集の画像が ③以上 2つの傾向は、 RIの投与量 にかかわ らず確認 好まれたので、臨床上の使用を前向きに検討していき できた。 f こ し 、。 まとめ E おわりに ① count / pixel値の多い画像では、 TE W収集の方 良好な結果が得られたが、count数の少ない場合、 が好まれた。 またそ の対処法な ど ‘課題は残っ ている 。 これからも画 /p ixel値の少な い画像では、 両収集法 とも ② count 質の改善に取り組み、よ り良い画像を提供していきた 好みがほぼ半分に分かれた。 ③ contrastの高低による好みの 差 は特に見られな 今回の試み にご協力いただいた 当院循環器科の先生 方には、この場をお借りして深く感謝申し上げます。 かった。 /pixel値が少なく、かつ contrastが高い画 ④ count 文 献 像には、TEW収集が ほとんどの 医師に好まれな い例 があっ た。 1)市原 降、本 村 信 篤 考 察 ( TEW) 法に よる 散乱線補正法の開発 .日本放 射線技術学会誌 ① count / pixel値の多い場合には、 TEW収集の方 Tripleenergy window 2)三宮敏和 1 0:1 8 0 9-1 8 1 1、 1 9 9 3 :TEW法に よる 散乱線の除去 と臨床応 が医師は読影しやす いようである 。 TEW収集する こ 用.千葉核医学研究誌 ixel値は少なくなるが、 countの とにより count/p 3)相川良人、新井誉夫他 1 1-8 "1 9 94 2核種同時収集法におけ 多 い画像に関してはその影響 を受 けに くく 、その 分 る TEW法の有用性 .山梨核医学診療研究会記録 con t ra s tが高くなるので、多くの医師が好んだ と考 集 2 2:1-5、 1 9 9 5 4)久保敦司 、尾川浩一 :SPECT画像の定量解析を えられる 。 結果 Iの傾向より、 count / ② TEW収集にあ た って、 可能 とする散乱線除去の開発に関する研究 p i x e l値つまり信号量が少なくなり 、 contrastが高く Innervi sion (8.7)、pp53-5 4、医療科学社、 なる こと から 、心筋梗塞領域が過大評価される可能性 9 9 3 東京、 1 がある 。 Examinationo fEnergyAccumulationi n2 0 1 T I M y o c a r d i a l S c i n t i g r a p h ybγSPECTi nOurH o s p i t a l Katsuh i k oMATSUDA1 ),T o s h i h i t oFUKUI1 ¥Masa r uSHINGAI1 ¥N o r i oOHNI SH12¥ RyozouSHIRON02 ) 3¥Hiros hiMI YAMOT03 ),T a k a s h iHARADA3 ),Ju nj iYAMASHITA3 ),Yoshi k a zuHIASA3 ) NaokiSUZUKJ 1)D i v i si onofRadiol ogy,KomatsushimaRedCrossHospital 2) Di v i si o nofRadiology,Komatush imaRedCrossHospital 3) D i v i s i o no fCardiology,Komatus hi maRedCrossI I o s p i t al ,s i n gl e w indow accumu l a t i o no f7 1 KeV: t1 0% i s employed f o r energy accumu la t i o n At p r e s ent i n2 01 TI-myocar di als ci nt i graphybySPECTandSPECTi mageswi t h o u tc l i n i c a lhindranc ear eavai labl e. ,wh i c henab le dt heus eoft het r i p leenergywindowmethod(TEW Thistime,weintroducedanewmodel met h o d )c o r r e c t i n gc r o s st a l k so fs c a t t e r i n gr a d i a t i o no c c u r r i ng between n u c l i d e swhen twon u c l i de sa r e VOL. 5 NO . l MARCH 2000 当院での 2 0 1 Tl 心筋 SPEC Tシンチにおける、 収集エネルギ ーの検討 5 3 accumu l a t e dsimu l t a n e o u s l y . Weusedt h i smodelt ocomparet h ec o n v e n t i o n a ls i n g l ewindowaccumulationandTEWaccumulationby physical e v a l u a t i o n and v i s u a le v a l u a t i o n using t h e SPECT images obtained by t h e two methods and . examinedt h e i ru s e f u l n e s stakingc r o s st a l k so femissionenergywithin2 0 1TI Keywords:2 0 1TI,accumulationenergywindow,TEWmethod,S/N r a t i o 2 0 0 0 KomatushimaRedCrossHospitalMedicalJourna15:51-5 4, 5 4 当院での 2 0 1 ' 1 '1 心筋 SPECTシンチに お け る、 収集エネルギーの検討 Komat us hima Re dC r o s sH o s p i t a l Me d ic alJou r nal