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別紙 研究開発計画(平成26年度)

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別紙 研究開発計画(平成26年度)
◯別紙 研究開発計画(平成26年度)
A 成長分野に関する基盤技術の研究開発
工業技術センターは,中小企業の製品開発・技術開発を支援するため,中小企業の共通的な課題の解決や,成長分野を支える基盤技術の研究開発を中心に行う。
成長分野に関する研究開発として,「次世代自動車」,「健康・医療機器」,「環境・新エネルギー」については「材料と加工技術」,「省エネ・小型軽量化技術」,「再資源化・再利用,評価技術」を,「食品」
については「食品の製造・評価技術」,「県特産物の商品化技術」を重点的に進める。
A 1.材料と加工技術
材料はその加工処理により本来持つ機能を高めることができる。しかしながら,世の中のグローバル化の進展とともに求められる機能も変化し,製品の長寿命化と高機能化が進む現在では,加工性や材料の軽量
化,表面改質,耐食性などの高機能化,容易なリサイクル性などが強く求められてきている。
このため,金属・プラスチック・繊維などの材料が発注企業の要望に沿った製品・部品に適したものとして提案できるように,強度や硬度,腐食性などの表面機能,材料の性質や性能など各種材料特性を把握
し,これらの機能を活かした加工技術を開発する。
1-(1)マグネシウムの腐食特性に関する研究【H22~24】
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了
軽量化に適した金属材料であるマグネシウムは腐食性に課題があるため,その対策が求められている。
このため,中性子(J-PARC)・電気化学的手法・X線回折を用いてマグネシウムの水素脆化および摩擦攪拌接合機(FSW)による接合部の腐食について,そのメカニズムの解明を行う。
代表的なマグネシウム合金であるAZ31,AZ61,AZ80,AM60等について,腐食原因物質,腐食反応過程,腐食生成物の解析を行い,耐食性の向上に必要な知見を得る。
【目標】
○中性子(J-PARC)・電気化学的手法・X線回折を用いてマグネシウムの水素脆化及び摩擦攪拌接合による接合部の腐食メカニズムを解明する。
1-(1)-1 環境負荷の少ない表面処理技術に関する試験研究【H25~27】
産業分野では地球環境保全への関心が高まっており,そのために環境負荷物質使用量の低減活動が求められている。その中でも6価クロムは細胞膜を透過しやすい物質であり,人体に接触すると皮膚炎,腎
障害,肝障害等も発症する。このため環境基本法などの国内法規制や欧州の各種指令において,使用の制限が定められている。
自動車や家電業界の部品に使用する材料では3価クロム化成処理への代替が進んでいるが,皮膜中の3価クロムの6価クロムへの酸化が懸念されているため,クロムフリー表面処理への移行が望まれてい
る。
このため,クロムを用いない環境負荷の少ない表面処理技術の研究を行う。なお,1年目はマグネシウム合金を基材とし,2年目からは冷間圧延鋼板など鉄への応用を図る。
【目標】
○環境負荷物質を0とし,クロメート表面処理方法による耐食性能を1とした場合,目標は1または1以上の性能をを実現するクロムを用いない表面処理技術を目指す。
1-(2)マグネシウム合金の接合と接合材の加工技術に関する調査研究【H23~24】
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構造部材のさらなる軽量化を目指すため,異種金属材料(マグネシウム,アルミニウム,鉄鋼等)をつなぎ合わせ構造材を成形するプレス加工技術(テーラードブランク)の研究開発は進んでおり,自動車
産業,電子機器産業では既に実用化されている。しかし,異種金属接合に有効である摩擦撹拌接合の接合条件や,接合部の疲労特性に関す系統的なデータの蓄積はほとんどない。
このため,各種材料(同種材料および異種材料)の摩擦撹拌接合条件及び接合部の疲労特性データに関する系統的なデータを蓄積し,テーラードブランク技術の開発に関する基礎的データに資する。
【目標】
○異種金属摩擦撹拌接合条件のデータを蓄積する。(Al合金+Mg合金)
○異種金属摩擦撹拌接合部の疲労特性のデータを蓄積する。(Al合金+Mg合金)
1-(2)-1 テーラードブランク材の加工技術に関する試験研究事業【H25~27】 (H24:マグネシウム合金接合材の成形性に関する調査研究を展開)
テーラードブランク材は,板厚や材質の異なる複数の板材をプレス成形前に接合し,1枚のブランクにしたものである。一般的な接合方法は溶融溶接(YAGレーザー,TIG等)であるが,融点の異なる異種金
属の接合は困難であり,また,接合強度は母材に対して70%と低く,接合後の熱ひずみも大きいため,接合後のプレス成形も難しい。
このため,固相接合である摩擦撹拌接合を用いて,軽金属材料(マグネシウム合金,アルミニウム合金)のテーラードブランク材を作製することにより,異種金属の接合が可能となり,熱ひずみが小さく,
接合強度の高いテーラードブランク材の開発が期待できる。
さらに,発泡系クラッド材を温間圧延機により作製することで,板厚方向にも異なる性質(防振,衝撃吸収性等)を有する三次元テーラードブランク材を作製することができる。
作製した三次元テーラードブランク材により,樹脂成形に用いるブロー成形加工技術を金属用に開発・設計して,三次元形状を有する成形加工品を実現する。
【目標】
○軽金属材料(マグネシウム合金,アルミニウム合金)のテーラードブランク材を作製する。(板厚及び合金系の異なる材料での継手効率80%以上)
○三次元テーラードブランク材及びその成形加工品の試作を行う。
1-(2)-2 難加工材料の高度切削技術に関する研究【H25~27】
機械加工業界は,海外との厳しいコスト競争にさらされており,医療関連部品に代表される高付加価値部品への対応が生き残りの鍵となっている。また,医療関連部品においては,生体適合性や感染症など
から加工時の切削油が問題となっており,その削減が望まれている。
このため本研究では,医療関係で多く使用される難加工材(チタン)について,切削油の代替えとして強アルカリ水で加工する高度切削技術の検討を行う。
強アルカリ水には,「洗浄が簡易」「切削液の腐敗が遅い」「切屑の再生が簡易」など多くの利点がある。しかし,切削加工において重要な「潤滑性」「冷却性」については未知な部分が多く,実用化に向
けこれらを解明する必要がある。
CAEを用いた切削現象解析と実機による加工試験を通じて解明し,医療関連部品をターゲットとした加工技術の開発を行う。
【目標】
○強アルカリ水を使用したオイルフリー加工を実現する。
○切削油を使用した場合と同等の加工精度(形状φ10mm L50mm,加工速度50m/min以上で,寸法精度50μm,表面粗さRa1.0μm,真直度50μm以下)を実現する。
○少ない強アルカリ水で加工するセミドライ法の確立する。
1-(3)オゾン・紫外光併用による洗浄技術に関する研究【H23~25】
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現在の半導体工程のうち,膜形成や回路形成などでのレジスト除去では,熱濃硫酸やフッ化水素酸などの特殊な薬剤の使用と危険な作業が伴う。そのため,工業技術センターにおいて,環境負荷が小さいオ
ゾン・紫外光併用による洗浄技術を開発したが,その洗浄速度が特殊な薬剤を使用した場合に比べ3倍の時間を要する。
これを改善するため,顕微鏡ステレオ画像観察や流動解析,残存膜厚,表面分析による検証を行い,洗浄工程の環境負荷低減技術を確立する。
【目標】
○流動解析,残存膜厚や表面分析による検証を行うことにより,半導体製造工程におけるレジスト除去速度を従来(除去速度0.04μm/min)速度の3倍以上(特殊な薬剤を使用した洗浄速度と同等)の高速化を
目指す。
1-(4)液相-気相熱分解縮合法を用いた無機前駆体ポリマー合成法および繊維化条件に関する試験研究【H24】
SiC系繊維材料は耐熱性,耐摩耗性などの優れた特性を持ち,前駆体ポリマーを繊維化することで製造され無機系複合材料の強化繊維としての用途が期待される。また,その生産の大部分を日本が占めてお
H り,日本が世界に誇る技術の一つである。
2 しかしながら現状では,SiC系繊維材料の製造は大企業に限られ価格も高価であるため,使用目的に見合った特性を持つ繊維材料の入手は困難である。
4 このため,気相-液相熱分解縮合法を用いて安価で紡糸性の良好な前駆体ポリマーを合成し繊維化条件を検討することで,使用目的に見合った特性を持つSiC系繊維材料の製造条件を取得する。
終
了 【目標】
○原料であるポリカルボシランの総炭素量を従来より1%以上低減した,安価で紡糸可能な前駆体ポリマーを合成する。併せて,液相-気相熱分解縮合法を導入することで合成収率70%以上,反応時間24時間
以内を達成する合成条件を取得する。
○上記で得られた前駆体ポリマーを用い,引張強度や弾性率等,現行製品と同等の物性を持つSiC系繊維材料を得る。
1-(5)繊維の高機能化に関する調査研究【H24】
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産業界のグローバル化に伴い,本県繊維産業も国際競争力を高める必要があり,優れた物性,抗菌性,導電性等を持った高性能繊維資材製品の開発と幅広い応用技術が求められている。
このため,高機能化加工の一法として,無電解メッキ技術(近年開発された繊維にメッキ処理を施す産総研の技術シーズ)を応用した繊維への高機能化技術を開発し,物性評価試験,処理効果測定を実施す
ることで,実用化の可能性を調査研究する。
【目標】
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○繊維への無電解めっき技術を用いて,ポリエステル繊維等への銅めっき加工試験を実施し,静菌活性値2.2以上の抗菌機能,表面抵抗率10 Ω/□以下の導電性の機能付与を目指す。
※H27以降の方向性
○国内生産の要請が強い衣料・医療用繊維素材や高機能フィルター等に対して,表面改質技術などの技術開発を目指す研究開発等を実施予定。
○1-(3)で得られた成果を,半導体以外,例えば衣料の洗浄等への展開を検討。
○1-(1),(2)を踏まえ,軽金属の加工技術の研究,及び実用化を検討。
A 2.省エネ・小型軽量化技術
エネルギー資源の枯渇化が叫ばれている中,近年では代替エネルギーの開発に加え,エネルギーを効率的に活用する技術開発が進められている。具体的には,再生可能な太陽光発電・風力発電技術,省エネに向
けた電気自動車,次世代照明分野等,低炭素化につながる新エネルギー関連や,電力消費の低減化技術開発,省エネ・小型軽量化に関連する技術開発が必要となっている。
このため,いち早く当該分野での技術開発を行うことにより,新製品開発・新事業の展開へつなげる。
2-(1)高効率・高出力コアレスモータに関する研究【H22~23】
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様々な製品への省エネニーズが高まり,自動車や医療機器などで利用されるモータについても小型・高効率化の要求が強まっている。このため,「小型で軽量」「回転が滑らか」「電気ノイズが小さい」な
どの特徴を持つコアレスモータ(各種医療機器等に使用)について,シミュレーションを活用して巻線がモータ特性に及ぼす影響のメカニズムを解明するとともに,試作モータによる特性確認試験を行い,シ
ミュレーション解析技術の精度向上及びこれを活用したモータ設計開発につなげる。
【目標】
○巻線がモータ特性に及ぼす影響のメカニズムを解明し,従来品の効率60~80%に対して,最大効率80%以上を目指す。
2-(2)スマートグリッド向け要素技術の調査研究 ~消費電力の見える化技術~ 【H23~24】
太陽光発電や風力発電のシステムを接続した電力系統における需給バランスの最適化を目指すスマートグリッドは,次世代エネルギーシステムとして幅広い産業への波及効果が期待でき,注目されている。
また,家庭や事業所など小規模な範囲においても太陽光発電や風力発電が拡大しており,これらが接続された電力系統を最適に運用する技術が求められているが,その要素として発電状況や電力使用状況な
H どの情報をリアルタイムに把握するための廉価なシステムが必要となることから,そのための技術として,特にセンサネットワーク技術を中心に調査研究を実施する。
2 調査研究の結果については,エネルギー管理システムの構築に携わる企業,センサネットワークシステムの他分野への応用を考えている企業,今後スマートグリッド分野への参入を考えている企業への情報
4 提供及び技術支援につなげる。
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了 【目標】
○スマートグリッドにおけるセンサネットワーク技術の市場調査及び要素技術の調査を行う。さらに,センサモジュールの試作及び簡易センサネットワークシステムの構築を行うことで,センサネットワーク
技術における課題の抽出を図る。
○試作したシステムを工業技術センター等の実際の建屋に導入して実証実験を行うことで,システムの高度化を図る。また,スマートグリッド関連の環境を工業技術センター内に整えることで,県内中小企業
との共同実験につなげていく。
2-(3)風力発電設備の外観検査に伴う画像処理技術に関する試験研究事業【H26~27】(特電産学官)
【概要】
風力発電設備は,日常点検において写真撮影による外観検査を,定期的に行っているが,屋外の離れた場所から望遠で撮影することが多いため,設備の状況把握に適した画像を正確に取得することが難しい。
そこで本研究では,画像を鮮明化するなどの光学的手法と,画像処理技術を組み合わせ,風力発電設備の外観のキズや欠陥を見やすくする鮮明化画像を正確に取得する方法を検討する。
【目標】
※工技セ担当分(H26~27)
・画像を鮮明化し取得する光学的手法により,太陽光の角度等により周辺環境が変化しても,
影響を受けずに安定して画像が撮影出来る技術を解明する。
・試作する画像取得装置を用いた実証試験をとおして,取得した画像に対して,その場でキズや
欠陥を検出・提示できる画像鮮明化技術を確立する。キズや欠陥と認識する認識率の目標は80%
※(有)アストロン担当分(H26~27)
・太陽光の角度等により周辺環境が変化しても安定した画像が撮影できる画像取得装置の試作開発。
・試作する画像取得装置を用い,工業技術センターと共同で,画像鮮明化技術の実証試験を行い,
キズ等の認識率向上を目指す。
※H27以降の方向性
○2-(2)の成果を受けて,センサーネットワーク技術を応用した診断技術及び遠隔監視等,情報の可視化技術に関する研究開発提案を検討。
A 3.再資源化・再利用,評価技術
新興国の発展に伴って石油をはじめとする鉱物資源などの需要拡大が進んでおり,それに付随して地球環境の悪化が懸念されている。今後,廃棄物を出さない社会の実現は喫緊の課題であり,レアメタルなど希
少価値な物質,プラスチックなどリサイクル性の高い物質の再資源化,再利用を促進することが求められている。
このように,石油やレアメタルをはじめとする有限である資源を有効活用することは時代の趨勢であることから,有用資源の活用を図るための新たな要素技術の開発を行い,リサイクル性の高い物質の再資源
化,再利用を促進するとともに,県内企業が新たな産業へ進出するための技術的支援を図る。
3-(1)めっき廃液からのレアメタル分離・濃縮に関する試験研究事業【H23~25】
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めっき処理には貴金属やレアメタル等が使用されているが,めっき後の水洗水等には貴金属やコバルト等のレアメタルを含む金属成分が沈降分離し,スラッジとして埋立処分されており,有効利用されてい
ない。
このため,従来の溶媒抽出法と比べて,高速・高倍率,且つ微小体積に金属を濃縮することが可能な均一液液抽出法を活用してめっき廃液のような実サンプルへの適用を図る。
研究開発にあたり,均一液液抽出特性に及ぼす錯形成試薬や相分離剤,pHなどの分離条件の影響を明らかにし,500倍濃縮を目標とする。
本研究により,めっき業界の廃液処理に対する負荷軽減につなげるとともに,廃液や廃棄物などの環境負荷低減と併せてレアメタルなどの有用資源を分離・回収するための技術開発・新事業への展開につな
げる。
【目標】
○均一液液抽出法を用いて従来の溶媒抽出法と比べて時間短縮(約1/10),且つ500倍濃縮で微小体積にレアメタルを抽出する。
○実際のめっき廃液に適用するための技術開発を行う。
3-(1)-1 金属めっき廃液からの高効率金属回収システムの開発に関する試験研究事業【H26~27】(特電産学官)
金属価値の高い貴金属を用いためっきは,装飾,電気・電子関連に使用する工業分野に不可欠な要素技術である。貴金属めっき廃液については,溶媒抽出や電解採取,蒸発濃縮等で貴金属回収が試みられて
おり,回収効率向上および作業環境改善が課題となっている。
本研究で用いる均一液液抽出法は,レアメタルを含んだ均一溶液に試薬を添加するのみで発生する微小液滴へレアメタルが濃縮される高効率な方法である。この優位性に基づき,平成23年度から平成25年度
においてめっき廃液からのレアメタル分離・濃縮を検討してきた。しかし,平成25年度までの研究では,めっき液処理量は最大1リットルであり,実用化を目指すには数十リットルまでスケールアップした状
態でも高回収率が実現できる条件の検討をはじめとした基礎的研究が必要となる。
【目標】
本研究の均一液液抽出法を中核としたシステムにより,高濃縮倍率(100倍~1000倍),高回収率(90%以上)で貴金属回収を行う。
※工技セ担当(H26~H27)
回収対象である貴金属に適した濃縮システムを選定する。均一液液抽出において重要な役割を果たす相分離剤をはじめとする実験条件の最適化を行う。
※茨城プレイティング工業担当(H26~H27)
貴金属めっき廃液を想定した溶液に対し,均一液液抽出を行い,高倍率・高回収率に貴金属を濃縮可能か検討する。廃液プラントへの適用に向け,数十リットル程度のめっき廃液からの実験を行う。
3-(2)プラスチック再利用における添加物と物性の研究【H23~24】
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プラスチック業界では材料の効率的活用のため,日常的に発生するスプルー,ランナー及び規格外製品の再利用が行われているが,成形時の機械的せん断と加熱による主成分樹脂材料の強度や耐候性の低
下,添加物の劣化に伴う成形不良,外観不良(ブリード:製品表面への浮き出し)が発生する問題がある。
この原因解明と対策方法開発のため,汎用材料のポリプロピレンと比較的高価で家電や自動車に広く使われているポリカーボネート,ポリブチレンテレフタレートについて以の研究を実施する。
①プラスチックの再生材比率と引張強度,衝撃強度,疲労強度,耐候性能の材料特性を示す。
②安定剤配合や成形条件の改善による強度向上技術を開発する。
【目標】
○家電等に使われる添加剤配合ポリプロピレンは,現状ではバージン材(約30MPa)の強度を90%以上保つため再生材は最大20%程度にとどまっているが,安定剤の配合や成形条件の改善により,30%の再生
材を添加しても90%の強度を維持できる再利用技術を目指す。
3-(2)-1 高次構造解析によるプラスチック再利用成形加工技術の高度化に関する試験研究事業【H26~28】
プラスチックの工場内端材の再使用について,成形品の高次構造の解析と品質評価・最適成形条件の関連性を導き出すためのデータ収集を行い,素材を劣化させない成形技術,素材の影響を受け難い成形技
術等を開発する。また,製品品質に係わる高次構造解析において,中性子等の新たな評価技術の導入を検討する。
【目標】
プラスチック製品の品質は,メルトフローなどの高分子一次構造に起因した特性のみで判断することは困難であり,より高次の構造まで含めた解析を行うことで,素材構造との関連性についての知見を得る
ことを試みる。それにより,高い品質を維持するための成形技術及び再利用と品質を両立させたプラスチック成形加工を実現するためのデータを蓄積する。
・対象樹脂 5種(PP,ABS,PET,PEEK,LCP)
※H27以降の方向性
○3-(1)の研究成果を普及し,企業での実用化促進を検討。
A 4.食品の製造・評価技術,県特産物の商品化技術
食品に対する安全・安心,健康の維持・増進などの消費者ニーズが近年非常に高まっている。食品の自給率の向上が叫ばれている中,県産農産物の活用は必要不可欠となっているが,景気低迷に伴う消費の落ち
込みと相まって他産地・他社との競争が激しくなっている。
このような状況の中で,県内食品産業の成長を促進するため,県農産物を活用しつつ,食品素材の持つ機能性成分を充分に活かす製造加工技術開発や特徴ある商品開発とともに,安全・安心を含む多様なニーズ
に応えられる食品開発を行う。
4-(1) 乳酸菌スターターを用いた漬物香気成分の評価・制御技術に関する試験研究【H24~26】 [食品の香気成分制御技術の研究開発]
食品はそれぞれ特有の香気を持ち,それが風味の形成に重要な因子となっている。わが国の食品の香気成分については,酒,味噌,醤油等の醸造食品で明治以降多数の研究事例があるが,同様に微生物の発
酵力が風味形成に重要な役割を果たしている漬物についてはあまり研究がされていない。漬物はその独特の風味が食欲をそそり,古来から重要な副食物となっている。
このため,風味の重要な因子である香気成分についてその生成条件を解明するとともに,香気の生成量の制御技術を検討し,品質改善を目指す。
【目標】
○漬物の発酵に伴う香りのうち,特に良い香り,悪い香りを一つずつ選抜し,その原因成分とその標準濃度を明らかにする。
○乳酸菌スターター使用による菌相の固定と発酵条件(温度,塩分)を組み合わせることにより上記の香りの制御技術を開発し,漬物の香りの品質管理,及び香りを売りにした商品開発を可能とする。
4-(2) 納豆菌ファージ感染防御やチロシン析出抑制に効果を発揮する納豆菌に関する試験研究【H24~27】 [納豆製造課題解決のための新規納豆菌開発]
納豆の製造法は確立されているが,ファージ汚染による品質劣化及びチロシンの結晶化に伴う日持ちの問題等,数多くの課題が存在する。
このため,納豆菌ファージに感染耐性を有する納豆菌及び納豆を15日保存してもチロシン結晶の起こらない納豆菌(通常納豆を10日程度保存するとチロシンが結晶化する)を開発し,薄れつつある納豆の茨
城ブランドを確立するとともに,食品業界の競争力向上につなげる。
【目標】
○上記の2種類の新たな納豆菌の菌株を最低各1種ずつ開発する。
4-(3) 県農産品の機能性成分の調査研究【H19~23】
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全国でも有数の県産農産物を使った付加価値の高い商品開発によるアグリビジネス振興が課題となってきている。
このため,希少性の高い魅力ある地域素材を使い,その機能性成分を活かした新たな加工食品開発に必要な加工技術を開発する。
福来ミカン,干し芋・サツマイモを対象農産物とし,地域食品加工の強みを活かした安心安全で魅力的な県産農産物の高付加価値利用を実現する。
【目標】
○希少性の高い魅力ある地域素材(福来みかん,干し芋・サツマイモ)の機能性成分を活かした新たな加工食品開発に必要な加工技術を開発する。
4-(4) 有色素大豆加工に適した納豆菌の開発【H19~23】
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納豆は本県の特産物であり,他地域との差別化・高付加価値化を狙い黒大豆を用いる業者も複数存在しているが,有色素大豆を加工する際,その厚い表皮により従来の納豆菌では発酵不十分となる問題点が
ある。
こうした問題点を解決するために,従来より表皮分解酵素活性が高く,十分な発酵力を有する納豆菌が求められているが,そうした特長を有する新規納豆菌を開発することで,特に黒大豆で多く見られる皮
がごそごそする,或いは必要以上に硬く感じるといった食感を改善するとともに,食味にも優れた最適加工条件を解明し,有色素大豆の納豆製法の確立及び納豆業界の競争力向上につなげる。
【目標】
○大豆を柔らかくする効果のある酵素活性が現在使用されている宮城野菌の2倍以上で,色素大豆の納豆製造に適した納豆菌の開発目標とする。
4-(5) 新形質米の機能性成分保持および高度利用技術の研究【H21~23】
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本県は全国有数の米生産県であるが,米価の低迷と米を原料とする食品業界の縮小傾向が現状である。
このため,有色素米の特徴ある色素の加工工程での流出や変色を防ぐ技術開発,発芽処理による機能性成分の増量技術およびその利用,低アミロース米等の混合を含む米加工品の食感向上技術の開発を行
い,健康志向の消費者向けの米を使った食品開発(有色素米清酒,米粉うどん,米粉パン等)及び食品業界の競争力向上につなげる。
【目標】
○有色素米の特徴ある色素の加工工程での流出防止や変色防止技術を開発する。
○発芽処理による機能性成分の増量技術を開発する。
○低アミロース米・小麦粉の混合による加工品の食感向上技術を開発する
4-(6) マイクロナノバブル水発生装置の開発【H22~26(H23~24中断)】 (主体:水産試験場/工業技術センターは装置開発担当でH22で完了)
マイクロバブル水は幅広い機能性を持っており,動植物の発育に有効であるという研究事例も報告されている。
このため,マイクロナノバブル発生装置の活用研究として,県特産物であるアワビ,ハマグリの生態的特徴に対応するとともに,発育段階(浮遊期・着底期,体の大きさ等)に合わせた発生装置を開発し,
貝類等の育苗手法を確立する。
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【目標】
○アワビ・ハマグリの生態的特徴に対応し,発育段階に合わせた発生装置を開発する。
※工業技術センター担当分(H22のみ)
二枚貝の育成試験を行うためのマイクロナノバブル水発生装置の設計開発及び装置の改良やトラブルへの対応
※水産試験場担当分
本県で漁獲される重要貝類のアワビ,ハマグリは資源減少が続き,漁業者から県に資源増殖の要望が高まっているが,要望に応えられていない。
このため,二枚貝の養殖に成長促進・生物の生理活性化等を高めると報告があるマイクロナノバブルを用いて発育段階に対応したバブル水飼育技術開発を実施し,従来手法による飼育と比較を行うととも
に,バブル水の生物に及ぼす生理活性効果(摂餌量,成長,生残等に与える効果)を明らかにしてハマグリ生産の安定化・効率化につなげる。
4-(7) おいしい小粒納豆を造るための品種選抜システムの開発に関する試験研究【H25~27/産学官】
納豆用大豆品種「納豆小粒」を原料とした納豆は,硬く色が暗いので,納豆加工メーカーからは柔らかく,色が明るく仕上がる納豆が求められている。そこで特徴のある県オリジナルの納豆用大豆品種を効
率的かつ確実に選抜できる仕組みを構築するために,茨城県納豆商工業協同組合及び,県農業総合センターと共同で,以下の研究や検証を通じて,子実の特性から納豆加工適性を推定する手法を利用した品種
選抜システムを開発する。
・納豆の硬さ等を推定する選抜システムの開発および納豆用大豆系統の育成を行う(農業総合センター担当)
・納豆の硬さ等を測定する手法を開発する(工業技術センター担当)
・納豆の硬さ等の官能評価による選抜システムの実証を行う。(茨城県納豆商工業協同組合担当)
【目標】
工業技術センターでは納豆の硬さ等を測定する手法を開発するために以下の研究を行う。
生豆と納豆の硬さ,色及び成分の分析から加工前後の相関評価を行い,生豆の段階で優良品種を選抜するのに検討が必要なパラメータと適正な範囲を明らかにする。
4-(8) フレーバーリリースプロファイリングと遺伝子解析を活用した肉の美味しさに向上に関する研究(主体:県肉用牛研究所/H23~)
本県の養豚は全国第3位の産出額を誇り,また肉用牛では常陸牛を6,000頭以上出荷するなど全国に誇る畜産県である。激しさを増す各県のブランドや産地間競争に打ち勝つため,ローズポークや常陸牛を核
としたさらなるブランド力向上への取り組みを行っている。近年では,消費者の嗜好は多様化しており,単なる霜降り肉というだけでなく,肉のおいしさを構成する要素である香りやジューシー感など新たな
付加価値の創出による高品質感や高級感・上質感の創出が必要とされている。
【目標】
※肉用牛研究所・養豚研究所担当分(H23~27)
肉のおいしさを左右すると言われている口に含んだ時の肉の香り「フレーバーリリース(鼻から抜ける香り)」を測定し,プロファイリングとマッピング等によって,香りの評価・分析手法を開発する。ま
た,肉の美味しさに影響を与えるというアラキドン酸生成に関わる遺伝子多型を解析し,おいしい肉を生産するための遺伝子に基づく和牛の能力評価法を確立する。
※工技セ担当分(H26~27)
家畜改良事業団が開発中の焼いたときに生成される甘い匂いの濃縮法を使用し,GC/MSによる黒毛和種牛肉の香気成分分析手法を確立する。また,肉の各県のブランド牛(5品種)の香り成分の差異を明らか
にする。
4-(9) 長期どりトマトの高軒高ハウス・炭酸ガス施用等を活用した先進的増収技術の開発に関する試験研究事業(主体:県園芸研究所/H26~)
【概要】
長期どりトマト栽培では,暖房用燃料代の高騰や販売単価の低下が進んでおり,収益性の向上が急務である。近年,高度環境制御技術が注目されており,高軒高ハウスの利用や炭酸ガス施用の増収効果が認め
られている。しかし,実用レベルにおいて効率的に炭酸ガス施用を行うためには不明な点が多く,効率的で実用性の高い炭酸ガス施用方法の確立が望まれている。一方,果実生産量は光合成により生産された
同化量に加えて,同化産物を果実に取り込む(シンク)量にも支配される。また,シンク量の増大は果実品質の向上効果も期待できる。そこで,効率的炭酸ガス施用技術を確立するとともに,果実シンク量を
高める栽培管理技術を開発することにより,高品質なトマトの生産性向上を図る。
【目標】
※園芸研究所担当分(H26~28)
・効率的に炭酸ガス濃度を制御するための指標となる環境要因解明し,ハウス内の動態を明らかにする。
・果実シンク量を増大する栽培管理技術を開発し,本栽培技術が,トマトの収量・品質に与える影響を明らかにする。
※工技セ担当分(H26~28)
・同時多点測定装置を用いて,ハウス内の炭酸ガス動態を見える化し,炭酸ガス施用制御指標の解明に役立てる。
※(株)ユードム担当分(H26~28)
・上記で解明した制御指標を活用した炭酸ガス施用装置を試作開発する。
※H27以降の方向性
○食品業界からの要望による機能性や新加工技術の研究開発を検討。
○県特産物を使用した食品開発を検討。
○4-(1)の研究成果をもとに,香気成分の制御方法・技術の普及を検討。
B 地場産業における工芸品の基礎技術
結城紬,笠間焼などの地場産業に対しては,消費者ニーズを反映した商品開発・技術開発を支援するための研究を行う。
地場産業の研究開発については,「工芸品の基礎技術」を進めることにより,地域資源を活用した技術開発・製品開発を目指す。
B
1 -(1)笠間地域の環境調和型陶磁器によるイノベート事業【H23~H24】 [笠間地域の環境調和型陶磁器の研究開発]
H
2 陶磁器製造においては,環境負荷低減やエコな陶磁器製品が求められており,少量生産が主体の笠間焼においてもリサイクルや省エネ技術への関心が高くなっている。
4 このため,廃陶磁器・廃ガラス等を活用して従来と同等の強度・吸水率などの機能を持つ低温焼成素地及び釉薬の開発を行う。
終
了 【目標】
○廃陶磁器・ガラスを混合して,現在の1250℃焼成から1150℃焼成を可能とすることにより,焼成コストを30%以上削減できる環境調和型陶磁器の製造技術を確立する。
※H27以降の方向性
○特徴のある地域資源を活用した研究開発を検討。
C 受託研究
中小企業では新技術や新製品の開発において,自社内で企画,設計,試験,分析及び評価など,全てのプロセスを完結させることが困難な場合がある。
このため,工業技術センターにおいて,企業からの依頼に応じて保有する技術などを活用して研究開発を行うことにより,中小企業の課題解決等の支援を行う。
【目標】
H23~H27の受託研究数:125件
【実績】
H23年度(37件),H24年度(56件),H25年度(70件)
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