Comments
Description
Transcript
こうべ 人づくりメッセージ
~こうべ 人づくりメッセージ づくりメッセージ~ メッセージ~ 平 成 2 4 年 5 月 次世代のこどもを育む市民会議 1 目 次 Ⅰ.はじめに ~次世代のこどもを育む市民会議からの提言にあたって ···············1 Ⅱ.子どもを健やかに育むために ~子育て・教育の基本 1.子どもの現状とその社会的な背景 ···········································2 2.今日求められる大切な倫理 ·················································3 3.欠かせない躾(しつけ) ···················································3 4.豊かな体験が人を成長させる ···············································5 5.つながりの中で子どもは育まれる ~求められる共同体の回復 ·················6 Ⅲ.ともに実践・推進していくために ~推奨したい主な取り組みの提案 1.家庭で ···································································8 2.学校園等で ·······························································9 3.地域で ···································································10 4.企業・行政等で ~子育て・教育を支えるしくみ・環境づくり ·················11 Ⅳ.おわりに ~みんなで考え、行動しよう ·······································13 次世代のこどもを育む市民会議 委員名簿 ·········································14 2 Ⅰ.はじめに ~次世代のこどもを 次世代のこどもを育 のこどもを育む市民会議からの 市民会議からの提言 からの提言にあたって 提言にあたって 次代を担う子どもたちを健やかに育み、自立して社会に巣立たせることは、親から子へ、 時代を超えて引き継がれてきた人としての普遍的な営みです。さらには、周囲の人々の見守 りや支えによって、子どもたちは成長して大人になっていきます。 ところが近年、親が子の命を粗末に扱ったり、子が親の命を奪うといった人の命を軽視す る悲惨な事件が相次いで報じられています。また、児童虐待の増加や子ども自らが命を絶つ という悲しい現実に加えて、神戸市では中学生が大麻を所持・吸引するという事件もありま した。 これらの個々の出来事は、日々のくらしの中では、きわめて異例な出来事ですし、現代特 有のものではなく、同様のことは昔もあったかもしれません。しかしながら、明日の神戸を 担う子どもたちが、このような事件を起こしたり、巻き込まれたりすることなく健全に育っ ていくために、今、私たちは何をするべきか、何ができるのかを真剣に考え、それぞれがで きることから実践し、行動していくことが重要ではないでしょうか。 子育てや教育には、豊かな人間性や正義感を育むといった時代を超えて変えてはならない もの(不易)と、国際化や科学技術の進歩への対応など時代の変化とともに変えていく必要 のあるもの(流行)があります。しかし、流行の根底には不易の精神が流れていなければな りません。 そのような中、今日の子どもたちを取り巻く状況を考えると、 「命の大切さ」 「規範意識」 「思いやりの心」など、人として生きていく上で忘れてはならないことを、子どもたち一人 ひとりの心にしっかりと根付かせていくことが求められます。さらに、 「世のため、人のため」 という言葉がありますが、子どもたちが、大人になって、自分なりに人や社会の役に立つ人 間、すなわち社会の担い手になっていけるように育んでいくことが大切です。 そのため、保育所・園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校や特別支援学校等(以下「学 校園等」と略します。 )だけでなく、すべての子育て・教育の原点である家庭、そして地域や 企業等も含め、さらなる取り組みをどう進めていくべきか、その検討が欠かせないものと考 えます。 そうした様々な状況に鑑み、平成22年6月より、矢田神戸市長から委嘱された19名の 委員で構成する「次世代のこどもを育む市民会議」が開催され、市の計画等の基本的な考え 方や施策・事業の展開を踏まえながら、子育て・教育におけるいわゆる「知育・徳育・体育」 の考え方のうち、 「徳育」の推進を切り口にさらに深化・強調させるべき点等を横断的に検討 し、議論を重ねてきました。 また、 「子どもは社会を映す鏡、社会の宝」と言われるように子どもの問題は大人の問題で もあることから、大人としての生き方にも結びつく議論にもなりました。 この度、その結果を「次世代のこどもを育む市民会議からの提言 ~こうべ 人づくりメッ セージ~」としてまとめました。 子どもたちの輝かしい未来に向け、確かな実践につなげていくことを期待します。 次世代のこどもを育む市民会議 座長 1 野 尻 武 敏 Ⅱ.子どもを健 どもを健やかに育 やかに育むために むために ~子育て 子育て・教育の 教育の基本 1.子どもの現状 どもの現状とその 現状とその社会的 とその社会的な 社会的な背景 (1)子どもをめぐる気 どもをめぐる気になる現状 になる現状 子どもや若者に関わる殺人、自殺、非行の低年齢化、薬物乱用、いじめ、不登校・ひ きこもり、就労に結びつかない青年の問題、さらに児童虐待など看過できない様々な事 件や状況が発生しています。また、若者の自尊感情が低くなっているとの指摘もあり、 これらの事象との関連性も気になるところです。 (2)現状を 現状を招いた社会的 いた社会的な 社会的な背景 このような現実には、現代の社会的な背景が影響していると考えられます。 戦後、人権思想の普及とともに一人ひとりの個性や多様な価値観が尊重され、さらに 科学技術の格段の進歩や経済成長によって生活水準が急速に向上するなど、物的な生活 環境は大きく改善されました。その一方で、経済を中心とする内外の競争は激化し、家 族や地域等の共同体意識が希薄化するとともに、人々の孤立化や価値基準の相対化が進 み、自分さえ良ければそれでいいという考えも広がってきました。さらに、大衆消費社 会の到来、科学技術の発達等にあわせて、自然への畏敬の念や感謝の心など、いわゆる 「目に見えないものに襟を正す心」が次第に失われていくようになってしまったのでは ないでしょうか。 このような状況は子育て・教育にも影響を及ぼしており、例えば、核家族化や共同体 意識の希薄化は、生活の営みの中で親から子へ伝わっていた子育て・家庭教育を難しく するとともに、子どもにとっては、身近な地域の大人の目が行き届くところで遊び、叱 られながら学ぶといった機会も減少しています。 また、多様な価値観や一人ひとりの個性が尊重されると言われながら、何でも周囲と 同じものを求める横並び意識や依然として学歴のみを重視する傾向が続いています。 さらに、携帯電話・インターネット等、新しいメディア技術が便利さをもたらす一方 で、自然の中で友人たちと汗と泥にまみれて遊んだり、人の手助けや共同作業で学ぶと いった多様な実体験は減少し、ゲームやネット上の仮想世界に没入したり、無防備に有 害情報に接近したりすることも増えています。今は、物質的な生活水準が向上しても精 神的な豊かさや体力の向上につながらず、新しい形の「豊かさの中の貧しさ」が進み、 心豊かにたくましく「生きる力」が育まれにくくなっています。 私たちは今、長い歴史の中で先人たちが築き上げ、大切に守り伝えてきた、より良く 生き、真に幸せな社会をつくるための根幹をもう一度見直す必要があるのではないでし ょうか。 (3)求められる「 、 「躾(しつけ) 」 、 「体験 、そして められる「倫理」 倫理」 しつけ) 「体験」 体験」 、そして「 そして「つながり」 つながり」 このような中で、私たちは大人として子どもたちをどう育て、自立して社会に巣立た せるか。 改めて、子育て・教育の普遍的な基本とも言える、いわゆる「倫理」と「躾(しつけ) 」 、 豊かな「体験」 、そして欠かせない子育て・教育環境としての「つながり」 、すなわち「共 同体の回復」が求められるのではないでしょうか。 2 2.今日求められる 今日求められる大切 められる大切な 大切な倫理 (1)人を人にする倫理 にする倫理 吉田松陰の記した「士規七則」の第 1 則には「生マレテ人タラバ、宜シク人ノ禽獣ニ 異ナル所以(ゆえん)ヲ知ルベシ」とあります。つまり、人として生まれたからには、 鳥や獣とどこが違うのかということをはっきりと知ることが第一に重要なことだと言っ ているのです。これが倫理の基本であり、人が人になる第一歩です。 (2)倫理の 倫理の成立に 成立に欠かせない心 かせない心の育成 その倫理が成立するために欠かせない要件が少なくとも三つあります。 ① 目に見えないものにも襟を正す心 人が見ていようと見ていまいと、 「善いことは善い、悪いことは悪い」という心情が 大切です。昔から「どんなことをしてもお天道様が見ていますよ」 、 「神様はお見通し だよ」などと言われてきましたが、そういう思いを心の中に芽生えさせることが大切 です。 ② 善いことはやる、悪いことはしないという心構え 何が善くて何が悪いのか、それは時と所によって異なることもあり得ますが、誰も が「善いことはやる、悪いことはしない」という心構えを持つ必要があります。これ を仏教では「諸悪莫作、衆善奉行(しょあくまくさ、しゅぜんぶぎょう)」と言います。 ヨーロッパでは「善は為し、悪は避くべし」と言われてきました。 ③ 命の重さの自覚 価値観が多様化するとしても、価値基準までが多様化し、どれも正しいということ になれば善い悪いは言えず、倫理は成立しません。人間の倫理なのですから共通の価 値基準として人の命の重さの自覚が欠かせません。地球上に生命というものが始まっ て自分に至るまで生命は連鎖しており、そのどこが欠けても今の自分は存在しないの です。自分の命、他人の命、これから生まれてくる命、それぞれはかけがえのない命 であり、この命の重さを自覚しなければ倫理は成立しません。 【参考】 参考】 かけがえのない命 かけがえのない命 『養生訓』 (貝原益軒)には、人の命は「至りて貴とくおもくして、天下四海にもかへがたき物にあら ずや」とあります。人の命は「地球より重い」ということなのですが、それはなぜか。 「人の身は父母を 本とし、天地を初とす。天地父母のめぐみをうけて生れ、又養はれたるわが身なれば、わが私の物にあら ず。 」と出ています。つまり、天地がなければ自分はない。両親やそのまた両親がなければ自分はないと いうことです。天地と命の連鎖のどこが切れても今の自分はないことが強調されています。人の命はかけ がえのないものと同時に、自分の命といってもどうにでもなる私物と考えたら間違いだということです。 また、DNA解明の世界的権威である村上和雄筑波大学名誉教授は、 「われわれの遺伝子は 38 億年間1 回も切れていない。人間として生まれてきたということはすごいこと」 、 「自分には、必ず花が咲くところ があるということを前提にして、いろいろと考えていくことが大切」と話されています。 3.欠かせない躾 かせない躾(しつけ) しつけ) (1)基本となる 基本となる人間観 となる人間観 今日の人間学に中核的な思想の一つを提起したドイツのA.ゲーレンという学者は、 生命体としては人間は「欠陥生物」だと言っています。事実、人間は未完のまま生まれ、 3 最も長い養育期間を必要とします。人間生命を特徴づける精神の領域となると、どこま で行っても完成ということはありません。人間は未完のまま生まれ、未完のまま果てて いく生き物です。しかしこのことは、人間は生涯、人間として自らを形成し続けていく ように造られた自己形成的な生き物だということになります。そして独り立ちができる ようになるまでは、親や周囲の大人が躾という形で関わっていくことが欠かせないこと になります。人は躾を通して倫理を身につけ始め、人間として生きていく力が育まれて いくということが、今一度、見直されていいのではないでしょうか。 (2)自己形成と 自己形成と躾 人が人間として備えるべき特性には、自律性・社会性・超越性が挙げられますが、そ れらを養うための基本的な躾には、以下のことが考えられます。 ① 自律性を養う-(ⅰ)姿勢を正す、(ⅱ)自分のことは自分でする (ⅰ)背筋をしっかり伸ばすことは、健康だけでなく健全な精神にもつながります。こ れを日常的に心がけさせることが大事です。 (ⅱ)朝起きたら自分の寝床は自分で片付けることなどを習慣付けます。 ② 社会性を養う 社会生活に欠かせない協力・秩序・思いやりの心を養うためには、 (ⅰ)手伝い、 (ⅱ) 挨拶、 (ⅲ)体験の共有を慣習化することが必要です。 (ⅰ)親がやった方が簡単で早いことも多いですが、例えば、朝夕の新聞取りや掃除な ど、子どもにも何か役割を持たせることが大切です。 (ⅱ)「おはよう」 「いってらっしゃい」など、大人から率先して挨拶をすることが大事 です。 (ⅲ)家族そろっての夕ご飯で、その日あったことをみんなが話し合うなど心を通い合 わせます。また、うれしいにつけ悲しいにつけ、子どもを抱きしめてやることも 大切です。 ③ 超越性を養う 超越性とは、過去を通じて未来を想像するなど時空を超えて物事を考え、想像し、 思いやることができる人間だけに備えられている特性です。 私たちは魚や肉、野菜や穀物など動植物の命をもらいながら生きています。食事の 前に「いただきます」と手を合わせるのは、本来、それらの大切な命をいただくとい うことです。これを心から言えるようになれば、目に見えないものにも襟を正す心が 養われ、生かされていることへの感謝の心も芽生えるようになります。 (3)躾に際して気 して気をつけたいこ をつけたいこと ① 子どもに寄り添うことの大切さ 子どもには子どもの人格があり、思うようにはなりません。子どもの成長過程を通 じて、子どもの思いに気づき、気持ちをしっかりと聴き取って、心とともに体にも寄 り添いながら育て、また、大人が手本となりながら繰り返し言葉で真剣に伝えること を心がけることが大切です。 4 ② 躾の項目は少ないほどいい 様々な躾がありますが、本来、躾は少ないほど効果的です。例えば、 「履物を揃える」 ことには、 「他人が見ていようと見ていまいときちんとする」 、 「自分のことは自分です る」 、 「生活に秩序をつくる」 、 「人を思いやる」など、多くの要素が入っています。昔 から「挨拶」 、 「返事」 、 「履物を揃える」ことが躾の三原則と言われています。 ③ 手伝いなどの協力があったときには、必ず「ありがとう」を加える 「ありがとう」と子どもに感謝の気持ちを伝えることで、 「人のためにすることの喜 び」 、 「人の役に立ったという幸せな気持ち」 、 「人を思いやる気持ち」といった心が芽 生えてきます。 ④ 叱ること以上にほめることの大切さ 子どもたちには認められたいという欲求があります。悪い点を正すことも欠かせま せんが、それ以上に、ほめることは子どもの自己形成に大切です。それによって、子 どもたちは、 「自らに誇りをもち」 、 「やる気を起こし」 、 「夢を育む」ようにもなります。 ⑤ 人間として決定的要素となる「思いやり」と「誇り」 躾にあたっては、古来、人間の人格形成に決定的とされてきた2つの点も忘れては ならないでしょう。 第一に、 「思いやり」の大切さです。わが国では昔から、どんなに頭がよく、どんな に仕事ができても、それだけでは人として十分ではないと言われてきました。人間と して決定的なものは「思いやり」の有無なのです。 第二に、向上心を育む自らへの「誇り」の大切さです。 「自尊感情」とも言われます。 自分自身や自分の家族、地域あるいは国への誇りです。 【参考】 参考】 三つの言葉 つの言葉( 言葉(ありがとう、 ありがとう、すみません、 すみません、どうぞ) どうぞ) 神戸市において、半世紀前から「ありがとう、すみません、どうぞ」の三つの言葉を使うことで、気持 ちのよい住みやすいまちにしていこうという市民運動が全市的に展開されてきました。これらの言葉はす べて「相手の気持ち」を思いやった言葉、つまり「思いやり」を表現したものだと言えます。 「思いやり」 いやり」と「誇り」 「思いやり」のことをキリスト教では「愛」 、仏教では「慈悲」 、儒教では「恕」と言います。孔子はこ の「恕」を説明して、 「己ノ欲セザルトコロハ人ニ施スナカレ」と言っています。一方、欧米、キリスト教 の世界では、人間の「黄金律」として「人にしてもらいたいと思うことを、あなたがたは人にしなさい」 と言われてきました。孔子の「恕」の説明と同じことです。このように人として大切なことは古今東西共 通しています。 自らへの誇りについて、福沢諭吉は「独立自尊」の心の基本的な大切さを説いています。戦後、長い間 ドイツの復興に貢献した L.エアハルトが好んで引用した言葉を紹介します。 -「カネがなくても心配はいらない、やる気がなくなると大変だ、誇りがなくなれば全て終わり」- 4.豊かな体験が 体験が人を成長させる 成長させる (1)意識して 意識して子 して子どもたちに体験 どもたちに体験させる 体験させる 子どもたちが大人へと成長していく過程では、多くの人と出会いながら様々な体験を することによって人として磨かれ、自律性や社会性を身につけていきます。 豊かな時代にあって、食べ物、おもちゃやゲーム、テレビなど何でも欲しいものが手 に入り、与えられることに慣れてしまった今日、親や大人は、子どもたち一人ひとりの 5 心を掴みながら、 様々な体験をする機会を提供したり、 少しだけ背中を押してやるなど、 意識して体験させることが大切となってきています。子ども時代は一生に一度しかあり ません。心豊かで楽しい子ども時代の思い出を与えてやりましょう。 (2)求められる大切 められる大切な 大切な体験 ① 乗り越えるべき「山」をみつける スポーツや音楽・芸術など、子どもにとって夢中になって打ち込める、チャレンジ しがいのある山(夢や目標)をみつけてやることが大切です。自分で、あるいは仲間 とともに意欲をもって山を乗り越えることで、達成感を味わい、自分に自信を持つよ うになっていきます。 ② 心を揺さぶる「感動体験」を与える 子どもたちには、感動体験をさせることも重要です。国内外の歴史上の人物の研究 や読書、映像による感動をはじめ、優れた芸術や文化に触れたり、大自然に接したり するなど、本物に触れる様々な感動体験は豊かな人間性の育成につながります。例え ば「感動」をテーマにした国際映画祭の開催など、様々な場づくりが今後求められる ところです。 ③ 「感謝力」をアップさせる 自分が今ここに生きていることや自らがんばれることを感謝する力、これを「感謝 力」と言いますが、多様な人間関係や社会関係を体験することによって感謝力を身に 付け、それをアップさせることで、思いやりの気持ちも育まれ、さらなるチャレンジ へのやる気や困難を受け入れ、乗り切っていくための心の力にもなっていきます。 【参考】 参考】 発達心理学より 発達心理学より~ より~子どもの発達段階 どもの発達段階に 発達段階に応じた留意点 じた留意点 発達心理学によると、0~3歳は、守られているという安心感と身近な人に対する信頼感の形成が重要 であり、養育者の愛情のこもった関わり、親自身が心理的に安定していることが必要です。3歳~学童期 は、自我の発達と社会性の獲得の時期であり、遊びなどに没頭する体験、役割を果たす体験、友達や大人 など人との多様な関わりを経験させることが大切です。思春期~青年期は、自我の確立と社会で生きてい く力を獲得する時期であり、様々な困難や挫折を経験し、努力して乗り越える経験、がんばっている大人 など良きモデルとの出会いが大切です。また、様々な社会的活動を通じて人とつながる力をつけさせるこ とで公共心や道徳心も培われていきます。 体で実感することの 実感することの大切 することの大切さ 大切さ 子どもたちには、体を使って実感することが大切です。例えば、スポーツには、健康づくりや体力向上 だけでなく、ルールを守ること、礼儀を正すこと、チームワークを学ぶことといった人間形成に大切なも のを体得させていく効果があります。厳しい練習を乗り越えた自信、目標達成やライバルに勝利した感動 などは、スポーツをする者みんなが共有できるものです。 5.つながりの中 つながりの中で子どもは育 どもは育まれる ~求められる共同体 められる共同体の 共同体の回復 (1)現代における 現代における共同体意識 における共同体意識の 共同体意識の希薄化 かつては、親とともに祖父母や兄弟姉妹も含め家族全員で子育て・教育に携わってい ました。また、地域では、道路の補修、里山の手入れなどに総出で取り組むなどお互い 支え合い助け合って生活してきた時代がありました。 しかし、 個人主義の思潮が広がり、 暮らしが豊かになる中でライフスタイルも多様化してきた現在では、家族や地域の人々 6 相互が支え合い助け合う必要性が少なくなるに伴い、人と人の絆や地域のつながりも希 薄化し、これが子どもの成長、すなわち人間形成にも影響を及ぼしています。 (2)家族・ 家族・地域・ 地域・国民の 国民の共同体再生の 共同体再生の芽生え 芽生え ~大災害が 大災害が教えたこと しかしながら、阪神・淡路大震災や今般の東日本大震災では、かけがえのない多くの 命が失われた一方、家族や地域の人々がお互いに思いやり助け合うこと、いわゆる「絆」 や「つながり」 、 「献身」が、生きていくうえで大切であることが再確認されました。ま た、NPOや学生等多数のボランティアによる人的支援や物資による支援などが国民全 体へ拡がるなど、共同体再生の芽生えが見られます。そして、科学技術では克服しきれ ない地震や津波といった自然に対する心構えの必要性も再確認されてきました。 (3)つながりを子 つながりを子どもの健全育成 どもの健全育成に 健全育成に活かす ~つながりの新 つながりの新たな構築 たな構築 先祖から子孫へと続く命の「縦のつながり」 、そして、現にある人と人の「横のつなが り」 、自然の中で生きているという「自然とのつながり」 、これらつながりの中で人は生 かされ、子どもは育まれます。 今一度、こうした三つのつながりを意識し、今日的に回復して、次代を担う子どもた ちの健全育成を進めていくことが求められています。 【参考】 参考】 『逝きし世 (渡辺京二 きし世の面影』 面影』 (渡辺京二) 渡辺京二) 幕末から明治の初年ごろまでに日本にやってきた欧米人が、日本人や日本人の生活についての見聞 を記して本国へ送った手紙やエッセイ、論文や著書等を、邦訳し編纂した本です。当時の日本につい て、 「治安がよい」 「みな礼儀正しい」 「子どもの天国」などと賞賛しています。一例ですが、 「私は日 本が子供の天国であることをくりかえさざるを得ない。世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ、 そして子供のために深い注意が払われる国はない。 」 (モース)などと書かれています。 『江戸の (小泉吉永 江戸の子育て 子育て読本』 読本』 (小泉吉永) 小泉吉永) 学者・為政者から商人・百姓までが展開した「子育て」のコツを紹介した本です。地域の絆につい て、昔の子どもは何度も生死の危機をくぐり抜けなくてはならず、成人するまでが大変でした。だか らこそ、節目の通過儀礼が大切にされ、子どもの成長を親類や地域の人々で見守る子育てのネットワ ークが深められていったのです。 高齢者は 高齢者は社会の 社会の資産 2002 年にスペインのマドリードで開かれた第2回「高齢化に関する世界会議」の基調講演でアナ ン国際連合事務総長は、 「社会の高齢化は人類の勝利であり、高齢者は社会の重荷でなく資産である」 という考えを基調に「高齢者が一人亡くなると図書館が一つなくなる」と語り話題を呼びました。こ れは、高齢者の「経験」と「知識」がこれからの高齢化社会を維持する上で、必要不可欠になること を意味しています。 「絆」や「つながり」 つながり」と愛する気持 する気持ち 気持ち 「絆」や「つながり」を維持し、育んでいくためには、家族、友達、地域を愛する気持ちが何より 重要です。そして、今の自分との「つながり」に誇りを持つことで、自分も他者も敬い、尊ぶように なります。家族のルーツ、神戸というまちの成り立ちや優れている点などを子どもたちに伝えていく 取り組みが求められています。 7 Ⅲ.ともに実践 ともに実践・ 実践・推進していく 推進していくため していくために ために ~推奨したい 推奨したい主 したい主な取り組みの提案 みの提案 以上、普遍的な子育て・教育の基本とも言える、 「倫理」と「躾」 、動機付けとして豊かな 「体験」 、さらに子どもが育つための環境として「縦」 、 「横」 、並びに「自然」との三つのつ ながりが欠かせないこと、すなわち「共同体の回復」が求められることを見てきました。 これらを基本にしながら、子育て・教育に取り組む主体それぞれが、様々な観点から子ど もたちにアプローチし、生まれる前から乳幼児期、学童期、思春期、青年期に至るまで子ど もの発達段階にあわせて切れ目なく関わっていくうえで、推奨したい主な取り組みを提案し ます。 子育て・教育に関わるのは、まず家庭、そして学校園等や社会(地域、企業、行政)とな りますが、それらの関係は家庭を核とした同心円的な体系となるはずです。それぞれが特化 して取り組んでいくのではなく、家庭を核にしながら相互に密接に連携して進めていく必要 があります。 1.家庭で 家庭で ぐるみで応援 応援する する親 びと子育 子育て (1)総ぐるみで 応援 する 親の学びと 子育 て 親は、はじめは誰もが子育て・教育の初心者であることから、親になった人をはじめ、 これから親となる若い世代が子育て・教育のノウハウを学べるよう、さらに親の子育て が孤立化しないよう、身近な区の子育て支援の窓口、保育所・園や幼稚園、児童館等の 施設をはじめ、主任児童委員や地域子育て支援センターによる支援など、それぞれが連 携しながら親の学びの場づくりと親支援を一層進めていく。 (2)家族みんなが 家族みんなが居心地 みんなが居心地のいい 居心地のいい家庭 のいい家庭づくり 家庭づくり ① 家庭が躾の第一義的責任を持つものであり、家庭で子どもが愛され守られていると いう安心感があることが子どもの糧となるので、 できるだけ家族一緒に食事をしたり、 その日の出来事を話題に会話のキャッチボールをするなど、意識して夫婦や親子のコ ミュニケーションを図る(一家団らんの時間をつくる)ようにしていく。 ② 父親も母親も子どもに関心を持って向き合っている家庭は、子どもにとっても居心 地が良く、家を居心地がいいと思う子どもは規範意識の高い子どもに育つということ を、日頃から親として心がけていく。 (3)大切なことを 大切なことを親 なことを親として子 として子どもに教 どもに教える ① 子どもに、親や祖父母の貴重な人生経験や家族のルーツ、あるいは命名した意味を 伝えることで、先祖から続いてきた命の大切なつながりや子どもに対する親の思い等 を気付かせる。 ② 挨拶や言葉づかいなどの礼儀作法をはじめ、子どもが携帯電話やゲームをする時間 など家庭内でのルールづくり、食事や睡眠時間など規則正しい生活習慣の確立など、 親として家庭の方針を常々子どもにしっかりと伝えるとともに、親自身の生きる姿に よる感化が子どもへの最大の躾となることを忘れないようにする。 (4)子どもを どもを身近 身近な 自然に 身近 な自然 に返す 日頃から生活している中で、子どもが「モノ」と遊ぶのではなく、外に出て遊び、木 や草花、虫や鳥など身近な自然の中で命あるものに触れることで、心も体も健康になっ 8 ていくので、親として、時には子どもと一緒に体験するなど、日頃から子どもが自然と 親しめるような機会を意図的につくっていく。 2.学校園 学校園等で どもたちに命 大切さや さや感謝 感謝の える- 震災体験・ 教訓の (1)子どもたちに 命の大切 さや 感謝 の心を教える -震災体験 ・教訓 の継承 子どもたちが「命の大切さ」 、 「感謝の心の大切さ」や家族や地域といった「共同体の 大切さ」などを学び、力強く生きていくことができるように、市独自の副読本『しあわ せ はこぼう』や神戸市版『3.11 教材(東日本大震災) 』を活用し、震災体験や震災 から得た教訓を子どもたちにしっかりと伝えていく。 (2)子どもたちがともに どもたちがともに支 たちがともに支え、成長していく 成長していく神戸 していく神戸の 神戸の子育て 子育て・教育の 教育の推進 障がいの有無をはじめ、国籍の違い、社会的ハンディキャップの有無等に関係なく、 子どもたちがともに学び、支えあい、交流することで、異なる身体的な特徴、国籍や文 化、価値観など多様性を正しく理解し、お互い尊重できる子どもたちを育む神戸ならで はの子育て・教育を一層推進していく。 (3)自然体験学習の 自然体験学習の積極的活用 ① 学校園等で、地域の協力も得ながら、本格的に米や野菜づくりに取り組む農業体験 を一層充実させることにより、普段何気なく口にしている米や野菜をつくる大変さや 育てる喜びを子どもたちに体験させる。 ② 小・中・高等学校等において、それぞれに応じた形で「山村留学」や「農村留学」 を実施し、あるいはその期間を延長することで、子どもたちがテレビや携帯電話等か ら離れた集団生活や、自然の豊かさや厳しさ等を体験する中で、生きる力とともに、 友愛・協力・規律・責任などを学ばせる。 (4)次代の親づくり づくりの 支援と 縦割り 活動の 推進- 中等の 一層の の支援 と縦割 り活動 の推進 -保・幼と小・中等 の一層 の連携 ① 小学校高学年の子ども等を対象にした保育体験学習や中・高校生を対象としたプレ 親学習を一層充実させ、子どもたちが乳幼児のもつ「純粋さ」などに触れながら、命 の大切さや子どもが育つ環境としての家庭の役割などを学べるようにする。 ② 年少者に対する思いやりや協力することの大切さを学び、さらに年齢を超えた連帯 感等を育むため、学校園等において、例えば、動物の飼育や花壇づくりをはじめ、運 動会やクラブ活動などで年齢や学年を超えた縦割りの活動を一層取り入れていく。 (5)ネット犯罪 ネット犯罪や 犯罪や薬物から 薬物から子 から子どもたちを守 どもたちを守る ① 携帯電話やパソコンでのインターネット利用等により犯罪に巻き込まれる危険性や 技術的な仕組みなどについて、事例を明確に示して教え、子どもたちに情報モラルや メディアリテラシー(情報を評価・識別できる能力)を育て、保護者や地域とともに 子どもたちをネット犯罪等から守る。 ② 携帯電話から簡単にアクセスして薬物の入手につながる実態など、教職員が薬物に 関する知識をもち、 薬物が体や心にもたらす危険性など具体的事例を盛り込みながら、 地道にねばり強く子どもたちの薬物乱用防止を指導していく。 (6)不登校 不登校の どもたちへの への一層 一層の の子どもたち への 一層 の支援 統廃合予定の学校など既存の施設を活用して、不登校専門の私立中学校を誘致・設立 したり、習熟度に応じたプログラム展開や農業など生活体験を重視する教育に取り組む 9 ことで、不登校生が元気を取り戻せるよう、神戸ならではの多様な教育機会の提供を進 めていく。 3.地域で 地域で 社会性を うために- 身近な 手伝い から就労体験 就労体験、 社会奉仕活動へ (1)社会性 を培うために -身近 な手伝 いから 就労体験 、社会奉仕活動 へ ① 幼児・小学校低学年では、家庭や地域での身近な手伝いなどを取り入れ、役割を果 たす体験を一層進める。 ② 小学校高学年では、地域の職場など社会見学を実施して社会の様々な仕組みを学習 させる。 ③ 中学生・高校生では、トライやるウィークやインターンシップといった地域での就 労体験や職場実習、奉仕活動等を充実させる。 ④ 大学生においては、ボランティア活動に対する単位認定や顕彰制度のほか、企業の 協力を得て社会貢献活動の実績について就職へのインセンティブを与える。 (2)地域ぐるみで 地域ぐるみで子育 ぐるみで子育て 子育て・教育環境を 教育環境を整える ① 地域における「あいさつ運動」に加えて、 「愛のひと声運動」など、地域のコミュニ ケーションの向上と子ども一人ひとりへまなざしを注ぐ運動を推進する。 ② 夏祭りなどの地域行事で、子どもたちを企画や運営等に参画させるなど、責任感の 涵養や共同体意識を芽生えさせるしかけづくりをする。 ③ 駅前の駐輪禁止区域での放置自転車や赤信号を平気で渡るなど、大人の些細なルー ル違反が子どもたちに悪影響を与えるので、一人ひとりの自覚を促すなど効果的な取 り組みを進める。 (3)高齢者や 高齢者や経験者による 経験者による親支援 による親支援・ 親支援・子ども支援 ども支援- 支援-幼老共生社会の 幼老共生社会の再構築 ① 高齢者を「大切に」から「頼りにしている」存在として、親支援や子ども支援に一 層力を発揮してもらうよう、高齢者と子どもたちが共に過ごせる地域の空間づくり、 あるいは親子や地域で子育てや躾が楽しく学べるようなしかけづくりを検討する。 ② 親の親世代など子育て経験者に、必要に応じて主任児童委員や学識経験者等による 研修や養成講座を実施し、身近な地域における子育て・教育の良き助言者(Mentor) 等になっていただく。 (4) 「我が子のために」 のために」から「 から「地域の 地域の子どもたちのために」 どもたちのために」-子どもを育 どもを育む運動の 運動の推進 ① 子育て・教育の原点である親、学校園等やPTAによる各種取り組みとともに、子 どもの健全育成に欠かせない地域の「つながり」の推進母体である自治会・婦人会・ ふれあいのまちづくり協議会、青少年育成協議会、子ども会等の地域コミュニティを 活用した子どもを育む取り組みを一層推進していく。 ② 「地域の子どもを地域全体で育てる」という理念の下、子どもたちの学習補助や登 下校時の見守りなど地域ぐるみで子どもを育てる「神戸っ子応援団」を安定的・継続 的に実施できるよう推進体制をさらに拡充させ、PTA活動とも連携しながら学校と 地域の連携・交流を進めていく。 ③ 青少年の非行防止活動や有害環境の浄化運動など地域における青少年の健全育成に 取り組んでいる「青少年育成協議会」の活動を一層充実させるなど、市民総ぐるみで 次代を担う子どもを育む取り組みを推進していく。 10 ④ 子どもたちには農業・自然・社会体験を、若者には学生ボランティアとしてプレ親 体験や責任感の涵養を、親世代には教育問題の学びの場を与える活動をしている「P TA家庭教育アカデミー」の取り組みを充実していく。 4.企業・ 企業・行政等で 行政等で ~子育て 子育て・教育を 教育を支えるしくみ・ えるしくみ・環境づくり 環境づくり 行政の しいしくみづくり (1)行政 の新しい しくみづくり ① 関係部局の一本化や身近な子ども担当窓口の充実 子どもの発達段階に合わせて切れ目なく継続的にかかわれる仕組みや一体的に取り 組む組織をつくる。また、子育て等にかかる様々な相談に対応していくとともに、児 童虐待の未然防止や発達障害の子どもたちなどを支えるシステムも一層充実させる。 ② 市長と教育委員会の一層の連携 教育委員会をより開かれたものにする。また、市長と教育委員会が、次代を担う子 どもたちを健やかに育むための理念や施策について共通認識を持ちながら一層連携し て進めていくため、市長と教育委員による意見交換会を開催していく。 ③ 家庭教育への一層の支援 子どもたちの心に、人として生きていく上で欠かせない「倫理」を根付かせていく ため、親による子どもへの躾(しつけ)のあり方など家庭教育を一層支援していく新 しい取り組みやしくみを検討していく。 (2)子どものための教育環境 どものための教育環境づくり 教育環境づくり ① 危機管理・安全安心への対応、保護者対応などにより多忙化している教員が、授業 実践や子どもと向き合う時間をより確保できるよう、職場環境を整えていく。 ② 一般家庭で概ね普及している空調設備や洋式トイレなどが未設置・未整備の学校に ついて、子どもたちが落ち着いた学校生活を過ごせるよう、施設・設備の改善をさら に進めていく。 ③ 「子どもたちにとって最大の教育環境は教師である」という期待に的確に応えてい くために、専門教科だけでなく道徳教育や人権教育等にかかる研修を一層充実させる とともに、多様な手法を取り入れながら若手教員をはじめ教職員全般の資質の向上を 図っていく。 (3)総合的・ 総合的・一体的な 一体的な施策展開とわかりやすい 施策展開とわかりやすい情報提供 とわかりやすい情報提供 ① 子どもたちの放課後の居場所づくりなど類似の施策・事業をできるだけ総合的・一 体的に展開し、子どもたちの健全育成に向けて、より効果的に取り組んでいく。 ② 様々な施策・事業を一つのパッケージにまとめ、新聞やインターネットなど各種媒 体を用いて周知・PRすることで、市民にわかりやすい情報提供に努めるとともに、 公募した標語やフレーズ等も活用しながら子どもの健全育成の啓発を進めていく。 ③ 子どもの誕生を市民全員でお祝いし、見守っていくということを表すために、例え ば、市長からのお祝いメッセージを贈ることをはじめ、定期的に子育て・教育に関す る情報を提供するなど育児に対するフォローを行う。 ④ 子育て支援や子どもの健全育成に尽力されている方々やグループ・団体等を称え、 一層の励みとなるような取り組みを充実させる。 11 (4)ワーク・ ワーク・ライフ・ ライフ・バランスの バランスの推進と 推進と多世代での 多世代での子育 での子育て 子育て・教育の 教育の普及啓発 普及啓発 ① ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けて、男女共に働きや すい環境づくりや男性の子育て参加の促進など、企業・行政が各種の支援・取り組み を進めていく。 ② 親のみならず祖父母や隣近所の大人など、多世代での子育て・教育にかかる啓発・ 支援を進めていく。 (5)子どもを守 どもを守るための社会的養護 るための社会的養護の 社会的養護の基盤整備 保護者がいない子どもや児童虐待の恐れのある子どもなどを守るために、早期発見・ 早期対応等の取り組みを充実するとともに、里親制度や養子縁組などの家庭的なケアの 拡充、児童養護施設等の小規模化・地域分散化を進め、家庭的な環境での子どもの健や かな育ちを支援していく。 (6)トップアスリートによる トップアスリートによる子 による子ども青少年 ども青少年の 青少年の健全育成 子どもたちとトップアスリートが継続的に直接交流できる場やしくみをつくるなど、 企業・学校園等・地域・行政等が有機的な連携を図り、トップアスリートのノウハウを 子どもや青少年の健全育成につないでいく。 (7)子育て 子育て・教育分野における 教育分野における企業 における企業の 企業の社会的責任(CSR) 社会的責任(CSR)の (CSR)の発揮 ① 将来の日本を支える人材を育成するという観点から、企業の社会的責任(CSR) として子どもの健全育成に一層の役割を果たしていくよう働きかけていく。 ② 企業自らが学校に出向いて子どもたちに仕事の大切さを伝えたり、子どもたちを職 場に招いて大人や親の働く姿を見せるなど、勤労意欲や職業観を醸成する取り組みを 推進する。 ③ 子育て支援や青少年健全育成を実践する関係団体やNPO等、さらに学校園等が行 う各種行事に、企業として協力や参加を進めていく。また、企業自らも積極的に企画・ 運営に取り組んでいく。 ④ 採用に際して、社会貢献の有無やその頻度を自社の採用基準に加え、できればこれ を公表するなど若者のボランティア活動への参加を後押ししていく。 ⑤ 働きながら子育てする親の支援を実のあるものとし、子どもや青少年の健全育成に 貢献していくため、例えば、PTA活動への理解をはじめ、子どもが病気の際の配慮 や男性の子育て奨励など企業のバックアップ体制を構築し、子どもや家族、社員を大 切にする神戸の企業づくりを推進する。 (8)子どもたちに夢 どもたちに夢や希望を 希望を与える世界 える世界に 世界に発信できる 発信できる神戸 できる神戸づくり 神戸づくり 神戸医療産業都市や京速コンピュータ「京」 、スポーツや芸術・文化、ファッションや 洋菓子、国際港都としての神戸の歴史や街並みなど、子どもたちに夢や希望、憧れを与 え、将来の職業選択にもつながっていくような取り組みを一層進めていく。 また、このような神戸ならではの魅力を国内外に広く発信していくとともに、神戸の すばらしさを子どもたちに積極的に伝えることで、子どもたちが誇りを持って神戸で人 生を歩んでいけるようにしていく。 12 Ⅳ.おわりに ~みんなで考 みんなで考え、行動しよう 行動しよう この度の提言は、二年にわたって検討し、議論してきたことをまとめたものです。 明日の神戸を担う子どもたちに、 「倫理」 、 「道徳」 、 「規範意識」など人として大切なことを 根付かせるには、躾という形で親や周囲の大人が関わっていくこととともに、豊かな体験を させること、さらに欠かせない子育て・教育環境としての「つながり」 、すなわち「共同体の 回復」が求められます。 そのためには、家庭をはじめ、学校園等・地域・企業・行政といった各主体それぞれが、 できることに精一杯取り組みながら密接に連携していくことが必要です。 神戸には、子育て支援活動に取り組まれている様々なグループ、また、 「青少年育成協議会」 や各青少年団体など青少年の健全育成に取り組まれている様々な団体やグループがあります が、誰もが共感できる共通のテーマ等を掲げて、全市的に進めていくことが望まれます。 神戸の教育理念に「人は 人によって 人になる」とありますが、私たち一人ひとりが、あ らゆる場で、あらゆる機会を利用して、できることから始めていきましょう。 13 次世代のこどもを 次世代のこどもを育 のこどもを育む市民会議 あさ はら のぶ はる うち はし みき お おお ごし とし お かつ き よう こ きた だい たか ゆき きの した ふみ お た なか ひろ こ 朝 原 宣 治 内 橋 幹 夫 大 越 俊 夫 勝 木 洋 子 来 代 剛 行 木 下 文 夫 田 中 裕 子 たに むら まこと 谷 村 ちゅう ご 誠 かず こ 中 後 和 子 なん ぶ なん ぺい えい いち の ぐち けい じ ま ち こ 南 部 真知子 南 平 榮 一 野 口 啓 示 の じり たけ とし ◎野 尻 武 敏 ひら い ふく だ たか し 平 井 尊 士 ち づ こ 福 田 千津子 ふじ い かおる 藤 井 薫 ふじ い よう いち ふる いち ただ お 藤 井 洋 一 古 市 忠 夫 やす だ 保 田 かおる 薫 委員名簿( 委員名簿(22 年度) 年度) 神戸大使(北京五輪銅メダリスト) 神戸市PTA協議会 顧問 リバースアカデミー師友塾 塾長 神戸松蔭女子学院大学人間科学部教授 神戸市教職員組合 執行委員長 神戸市青少年育成協議会 兵庫地区会長 株式会社 夢工房 代表取締役 神戸市私立保育園連盟 常務理事 神戸市私立幼稚園連盟 特別研究委員 株式会社 神戸クルーザー・コンチェルト代表取締役社長 NPO法人 こうべユースネット 専務理事 社会福祉法人 神戸少年の町 施設長 神戸大学名誉教授 兵庫大学健康科学部准教授 元・神戸常盤短期大学教授 神戸市立小学校長会 会長 神戸新聞論説委員 神戸市立だいち小学校学校評議員(プロゴルファー) 元・尼崎市教育長 ※50 音順、敬称略、◎は座長 ※肩書きは、平成 23 年 3 月 31 日現在 14 次世代のこどもを 次世代のこどもを育 のこどもを育む市民会議 あさ はら のぶ はる うち はし みき お おお ごし とし お かつ き よう こ きた だい たか ゆき きの した ふみ お た なか ひろ こ 朝 原 宣 治 内 橋 幹 夫 大 越 俊 夫 勝 木 洋 子 来 代 剛 行 木 下 文 夫 田 中 裕 子 たに むら まこと 谷 村 ちゅう ご 誠 かず こ 中 後 和 子 なん ぶ なん ぺい えい いち の ぐち けい じ ま ち こ 南 部 真知子 南 平 榮 一 野 口 啓 示 の じり たけ とし ◎野 尻 武 敏 ひら い たか し ふく だ ふじ い よう いち ふる いち ただ お まる やま あき お 平 井 尊 士 ち づ こ 福 田 千津子 藤 井 洋 一 古 市 忠 夫 丸 山 明 夫 やす だ 保 田 かおる 薫 委員名簿( 委員名簿(23 年度) 神戸大使(北京五輪銅メダリスト) 神戸市PTA協議会 顧問 リバースアカデミー師友塾 塾長 神戸親和女子大学発達教育学部教授 神戸市教職員組合 執行委員長 神戸市青少年育成協議会 兵庫地区会長 株式会社 夢工房 代表取締役 神戸市私立保育園連盟 常務理事 神戸市私立幼稚園連盟 副理事長 株式会社 神戸クルーザー・コンチェルト代表取締役社長 NPO法人 こうべユースネット 理事長 社会福祉法人 神戸少年の町 施設長 神戸大学名誉教授 武庫川女子大学文学部准教授 元・神戸常盤短期大学教授 神戸新聞論説委員 神戸市立だいち小学校学校評議員(プロゴルファー) 神戸市立小学校長会 会長 元・尼崎市教育長 ※50 音順、敬称略、◎は座長 ※肩書きは、平成 24 年 3 月 31 日現在 15