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「石油製品-オクタン価,セタン価及びセタン指数の求め方」の JIS を国際
資料4 「石油製品-オクタン価,セタン価及びセタン指数の求め方」の JIS を国際規格に整合した規格体系で制定 平成 25 年 12 月 20 日 1.制定の目的及び背景 (1)オクタン価1)並びにセタン価及びセタン指数2)(以下、「オクタン価等」という)は、 自動車等のエンジン用燃料として用いられるガソリンや軽油などの特性を表す指標で す。 (2)これまで、オクタン価等の求め方は、JIS K 2280 に定めていました。この規格の中に は、オクタン価、セタン価などを求めるための複数の試験方法が規定されていました。 (3)一方、国際標準化機構(ISO)が定める国際規格では、オクタン価、セタン価など の項目別に、個々に試験方法規格が定められています。 (4)そこで、国際規格の制定や改正に対応した日本工業規格の整備を容易にするために、 従来の JIS K 2280 を試験方法ごとに分割し、5部編成の規格として改めて制定し直し ました。 (5)「揮発油等の品質の確保等に関する法律施行規則」においても、今回新たに制定した JISが引用される予定です。 注1)オクタン価は、火花点火式エンジン用燃料のアンチノック性を表す尺度です。アンチ ノック性とは、エンジン内部における空気と燃料との混合気が燃焼する際のノッキング (異常燃焼)を起こしにくい性質のことをいいます。 注2)セタン価は、ディーゼル燃料の着火性を表す尺度です。エンジン内部において燃料 の着火遅れによって発生するディーゼルノック(異常燃焼)の起こりにくさを示しま す。 セタン指数は、ディーゼル燃料の密度及び蒸留性状(留出温度)から計算又はグラ フによってセタン価と相関のある値を求める着火性の指標です。 (イラスト提供:石油連盟) 2.制定した JIS のポイント (1)JIS K2280 は、新たに次の5部編成となります。 第1部-リサーチ法オクタン価(JIS K 2280-1) 第2部-モータ法オクタン価(JIS K 2280-2) 第3部-過給法オクタン価(JIS K 2280-3) 第4部-セタン価(JIS K 2280-4) 第5部-セタン指数(JIS K 2280-5) (2)規格の概要は、それぞれの部について次の表のとおりです。 JIS と国際規格との対応及び規格の概要 日本工業規格 対応国際規格 規格の概要 JIS K 2280-1 ISO 5164:2005 ・リサーチ法オクタン価を求める方法について規定。専用 の試験用エンジン(CFR F-1)を用い、低速運転時(エン ジン回転数:600 回転)のオクタン価を求める方法であ る。 ・適用範囲は、オクタン価が 0~120 の火花点火式エンジン 用燃料及び質量分率 4.0 %以下の酸素を含む酸素化合 物混合燃料に適用する。これにより JIS K 2202(自動車 ガソリン)に規定する 1 号及び 2 号ガソリンのほか、エ タノールなどの混合によって酸素分を最大 3.7 %(質量 分率)までとした 1 号(E)及び 2 号(E)ガソリンにも 適用できる。 ・新たに、点検燃料を ISO 規格に整合させて規定した。 JIS K 2280-2 ISO 5163:2005 ・モータ法オクタン価を求める方法について規定。専用の 試験用エンジン(CFR F-2)を用いて高速運転時(エンジ ン回転数:900 回転)のオクタン価を求める方法である。 ・適用範囲、適用できるガソリンの種類、点検燃料につい て、JIS K 2280-1 と同様。 JIS K 2280-3 (なし) ・過給法オクタン価試験装置を用いて航空ガソリンの過給 法オクタン価を求める方法について規定。 ・航空ピストン発動機用ガソリンを規定する JIS K 2206 (航空ガソリン)では、航空法オクタン価及び過給法オ クタン価の数値によって製品を分類している。 ・航空法オクタン価は、JIS K 2280-2 に規定するモータ法 オクタン価から換算し、過給法オクタン価はこの規格 (JIS K 2280-3)によって求める。 JIS K 2280-4 ISO 5165:1998 ・ディーゼル燃料のセタン価を求める方法について規定。 ・適用範囲は、セタン価が 15~100 のディーゼル燃料及び 合成燃料、脂肪酸アルキルエステルを含む燃料に適用す る。これにより JIS K 2204(軽油)に規定する軽油のほ か、JIS K 2390[自動車燃料-混合用脂肪酸メチルエス テル(FAME)]に規定する脂肪酸メチルエステルにも適用 できる。 ・精度(室内併行精度及び室間再現精度)を対応する ISO 規格に整合させて規定した。 JIS K 2280-5 ISO 4264:2007 ・石油由来のディーゼル燃料油のセタン指数を 4 変数方程 式、又はノモグラフによって算出する方法について規定。 ・適用範囲は、JIS K 2204(軽油)に規定する軽油のほか、 タールサンド及びオイルシェールからの誘導物を含む燃 料油及び質量分率 5 %以下の脂肪酸メチルエステル (FAME)を含む軽油にも適用できる。 (3)従来の JIS K 2280 は、これら5部編成の規格の制定に伴い、廃止します。JIS K 2280 の廃止に伴い、「揮発油等の品質の確保等に関する法律施行規則」には、今回新たに制 定した JIS K 2280-4 及び JIS K 2280-5 が引用される予定です。 【担当】 産業技術環境局 産業基盤標準化推進室(直通:3501-9277、内線:3423~3425) (室長) 山本 健一 (担当)中村 明彦