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射出成形金型の全体構造・ 失敗事例とその改善

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射出成形金型の全体構造・ 失敗事例とその改善
新連載
プラスチック射出成形金型設計
第1回
失敗事例とその改善
射出成形金型の全体構造・
失敗事例とその改善
青 葉
堯
Takashi Aoba
青葉技術士事務所 所長 〒362−0075 埼玉県上尾市柏座 3−4−4 TEL : 048−771−6932
本連載では、実際にあった金型設計の失敗事例を示
現象:入れ子にバリが発生
す。失敗か成功かは量産してみての結果論である。金
型の本当の価値ないし問題点は、量産成形してみては
エアーベントをつくるために入れ子構造にした(図
じめてわかるからである。トライショットの段階で簡
1)
。エアーベントの効果は十分にあったが、入れ子構
単に問題がわかるようなもの、また、小規模の修正で
造にしたために金型全体の剛性が不足し、入れ子と本
解決するようなものは、今回の事例にしていない。
体の間に隙間が生じ、入れ子に縦バリが生じた。バリ
φ50
ロケートリング
ランナー
スプルーブシュ
スプルー
ゲート
入れ子
固定側
取付板
キャビティ
(めす型)
パーティングライン
冷却水孔
ブシュ
成形品
ガイドピン
コア
(おす型)
コア当て板
ノックアウト
ピン
スペーサ
ノックアウト
ピン保存板
リターンピン
ノックアウト
ピン当て板
移動側
取付板
サポート
図 1 失敗事例
解説
コールドランナーの 2 個取り金型(サイドゲート)
、成形材料は ABS(ガラス繊維強化)
、金型材料(型
部)は SCM 400(硬さ 40 HRC)
。
エアーベントは、パーティング部だけでは不十分と予想した。入れ子を大きくつくり、エアーベントを大
きくした。エアーベントは十分であったが、入れ子が大きかったので、キャビティの剛性が不足した。その
結果、入れ子に縦バリを生じた。金型内圧力を 40 MPa としたが、実際は、60 MPa 程度になった。
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