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ムーンライト・セレナーデ - So-net

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ムーンライト・セレナーデ - So-net
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
第81号
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
2009年9月9日(水)発行
ムーンライト・セレナーデ
最近,ずいぶん秋らしくなってきて,空気はからっとして日ざしは強いが,青空が高く白い秋の雲が美しく映
える。そんな青空に白い月が浮かんでいる。
「そうか,もうすぐ『月見』だな。」
忘れていた。そう。今からは月が美しい季節なのだ。
月見は「十五夜(旧暦8月15日)」に行うのが普通だ。満月を鑑賞するわけだが,旧暦8月15日を「中秋」と呼
ぶためその満月を「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」ともいう。旧暦8月(今の暦(グレゴリオ暦)では9月ご
ろ)は,北半球では太陽と月の角度が月を見るのに最も良い時期である。この夜は,月が見える場所などに,す
すきを飾って月見団子・里芋・枝豆・栗などを盛り,御酒を供えて月を眺めるのが正式な「お月見」だ。
中国や日本では,月を愛(め)でるという習慣は古くからあり,日本では何と縄文時代ごろからあるといわれ
る。平安時代ごろに中国から月見の祭事が伝わってくると貴族などの間では,「観月の宴」や「舟遊び(直接月
を見るのではなく船などにのったりして水面に揺れる月を楽しむ)」など歌を詠んで宴を催した。月を直接見るこ
とをせず,杯(さかずき)や池にそれを映して楽しんだ平安貴族たちの美的センスはなかなか素晴らしい。
中秋の名月とは限らないが,「月夜」をイメージする音楽もいろいろある。
真っ先にドビュッシーのピアノ曲「月の光」。ほとんどピアニッシモで演奏されるノクターン(夜想曲)で,優しく
切ない雰囲気で有名。また,同じくドビュッシーには「月の光が降り注ぐテラス」というタイトルの曲もあり,近代フ
ランスの印象派の作品にはセンスが光るタイトルが多い。
ドビュッシーを聴きながら,ブランデー片手に窓から降り注ぐ月明かりを浴びながら秋の夜長を過ごすのもお
つなものかな。平安貴族のように白ワインが入ったワイングラスに月を映し出してみるのもいいかも。
同じピアノ曲でもベートーヴェンの「月光」はずいぶん趣(おもむき)が異なる。嬰ハ短調のこの曲はとてもの
んきな月見の雰囲気ではない。暗く沈み込むような深刻さが漂っている。ところでこの「月光」はベートーヴェン
本人が名付けたわけではない。ベートーヴェンの死後に第1楽章を聴いたレルシェタープという人物が「ルツェ
ルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」とコメントしたことで「月光」という通称が付いた。この曲はちょっと月見の
BGMにはなるまい。ちなみに,東洋とは異なり,昔のヨーロッパでは満月は人の心をかき乱し,狂わせるもので
あるといわれていた。月の女神が死を暗示したり,狼男が月を見て変身するというのはその典型的な例で,とて
も月を眺めて楽しむという気分にはなれなかったようだ。「月光」はそういう感じの曲だといえる。
そういえば,「竹取物語(かぐや姫のお話)」は,日本最古とされる物語である。成立年,作者ともに不明。光り
輝く竹の中から現れて竹取の翁(おきな)の夫婦に育てられたかぐや姫の物語。月を眺めるかぐや姫をお婆さ
んが注意する場面があるので,中国から月に関する祭事が日本に伝達してくる前は,日本もヨーロッパと同じ感
覚だったのかも知れない。
さて,話は戻って,月の光の音楽について。
ジャズの名曲に「ムーンライト・セレナーデ」がある。グレン・ミラーにより作曲されたスウィング・ジャズの代表曲
の一つであり,グレン・ミラー楽団のバンドテーマとなっている曲だ。(以前,楽団でも練習でやってみたことがあ
りましたね。本番ではやってないから,いつかやってもいいかもね。)こちらは,カクテルやウィスキーを飲みなが
ら,上機嫌に月夜を楽しむにはぴったりだ。
今年の十五夜(中秋の名月)は10月3日。早い年は9月中旬だったりするから今年は遅い方だ。まだ少し先
の10月3日の十五夜が待ち遠しい。(楽団で「月見会」でもしたいなあ!)
聴いたことのない人はぜひ,「月の光」,「月光」とも聴いてみて下さいね。心に浸みますよ。
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第82号
2009年9月13日(日)発行
メイン曲候補
メイン候補曲について少し。
まず,組曲『展覧会の絵』は,ロシア国民楽派を代表する作曲家ムソルグスキーによって作曲されたピアノ組
曲で,ラヴェルが管弦楽版に編曲したものが有名。
『展覧会の絵』はムソルグスキーが実際に見た絵の印象を音楽にしたものでさまざまな国の風物が描かれて
いる。また,『プロムナード』という短い前奏曲あるいは間奏曲が何度も挿入されるのが特徴的で,このプロムナ
ードはムソルグスキー自身の歩く姿を表現しているともいわれている。
曲目は『プロムナード』『小人』『ビドロ』『卵の殻をつけたヒナの踊り』『カタコンベ(墓)』『キエフの大門』など,
印象的なメロディーと変化に富んだ曲目構成になっていて,一つ一つも短く,親しみやすい。
次に,『歌劇「カルメン」より』だ。
歌劇「カルメン」はビゼー作曲のオペラで,全曲を演奏すれば2時間以上だろうが,抜粋されて組曲として演
奏される機会が多く,オケの演奏会のプログラムとしてもよく取り上げられる。オペラだから本来は歌で構成され
ているわけだが,組曲版では純粋に器楽曲として楽しむことができる。
一般には『カルメン』第1組曲と『カルメン』第2組曲があり,今練習している吹奏楽編曲ではその両方から適
宜抜粋されたものだ。フルートの旋律の美しい「第3幕への間奏曲」,オーボエの活躍する「第4幕への間奏
曲」,温かみを感じる「花の歌」,そして有名な「闘牛士の歌」。やはり,聴いていて親しみやすい。
最後に,A.リードの「オセロ」だ。
世界的文豪シェイクスピアの悲劇「オセロ」を題材にした音楽で,アルメニアンダンスを作曲したA.リードの
作品。クラシックの大作曲家ヴェルディもロッシーニもこの「オセロ」で音楽を書いている。
ヴェニスの貴族であるオセロが,旗手にだまされ,妻デズデモーナの浮気を疑い,妻を殺害してしまう。あと
で真実を知ったオセロはそのことを嘆き,自殺する。という話。
本当は,5つの楽章∼1・前奏曲,2・朝の音楽,3・オセロとデズデモーナ,4・延臣達の入場,5・デズデモー
ナの死・終曲なのだが,コンクール等では第4楽章で派手に終わることが多く,この曲は4楽章構成だと思って
いる人もいるかも知れない。第5楽章までやってこそ作品としての意味があるのだが,ちょっと残念だ。
さて,やってみて決める。と技術委員会で決まったが,あまり遊んでいても仕方がない。
例のごとく,団員が全員集合して合奏することはなかなかないので,現実的には,あるとき数人で決めてしま
うことになる。なるべく練習に参加してほしい。できれば多くの人の意見で決まるのがいい。
この3つの候補以外にもメイン曲としてふさわしいものややりたいものがあれば意見がほしい。
俺自身はやりたい曲はたくさんある。一生かけてもできないくらいあるかもしれない。
技術委員会でも一切個人的な意見は言わなかったが,それは,俺が「これがやりたい」と言ってしまえば,そ
うなってしまって,団員の意見は反映されず,委員会で話し合う意味がないからだ。
この団は若い。
だから,一人一人が「アマチュア音楽愛好家」,「一般の吹奏楽団の団員」としての自覚もまだまだ薄い。だか
ら,これから数年かけてそういうことを少しずつやっていく中で,団体としても個人としても成長していくのだと思
う。
みんなが音楽に対する意見や思いを対等に言い合える。
なるべくなら,高い意識レヴェルで言い合えたらより楽しい。
さあ,メイン曲。どれにする?
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第83号
2009年9月16日(水)発行
金・銀
もうすぐ「シルバーウィーク」だ。
初めてこの言葉を聞いたとき「なんじゃそら」と思ったが,春のゴールデンウィーク(GW)を意識しての秋の大
型連休の俗称だ。今年の9月19日∼23日の5連休がその「シルバーウィーク(SW)」となる。
そもそも「ゴールデンウィーク」という呼称も,20年前くらいまでは「飛び石連休」と呼んでいた。
4月29日の「(昭和)天皇誕生日」(平成になってからは,「みどりの日」。2007年からは「昭和の日」),5月3
日の「憲法記念日」,5月5日の「こどもの日」と祝日が続き,間に日曜日が入ったり,振り替え休日が入ったりと,
「飛び石」のように休日になることからそう呼ばれていた。
1985年改正の「祝日法」により,日祝日と日祝日に挟まれた日を「国民の休日」として祝日にすることになり,
また,週休2日制という世の中の流れもあり,飛び石連休は一気に大型連休に変化した。さらに,2005年に祝
日法はさらに改正され,憲法記念日やみどりの日が日曜日と重なった場合、こどもの日の翌日が振替休日にな
り、その分ゴールデンウィークがさらに延びることとなった。本当に「ゴールデンウィーク(黄金週間)」だ。
また,ハッピーマンデー制度により,それまでの1月15日の「成人の日」,7月20日の「海の日」,9月15日の
「敬老の日」,10月10日の「体育の日」はすべて「月曜日」に移されることになり,連休を生み出すことになって
いる。
そんなこんなで,「シルバーウィーク」も誕生した。
しかし,次にシルバーウィークで「5連休」がやってくるのは7年後。2015年である。その次はさらに11年後の
2026年だそうだ。
ところで,いろいろ調べていたら,10月末から11月初旬に「大型連休」を生み出そうとしている動きがあること
を知った。それは,「体育の日」を11月1日に,「勤労感謝の日」を11月5日に移動させることによって,11月3
日の「文化の日」と合わせて,大型連休を作るという構想だ。2007年5月に自民党と公明党との間で検討され
たらしい。
これが実現すると,2010年,来年の秋のカレンダーはこうなる。
10月30日(土),10月31日(日),11月1日(月・体育の日),11月2日(火・国民の休日),11月3日(水・文
化の日),11月4日(木・国民の休日),11月5日(金・勤労感謝の日),11月6日(土),11月7日(日)の9連休
が生まれることになる!
しかし,景気対策が狙いのこの構想に対して,「勤労感謝の日」が宮中祭祀において最重要とされる「新嘗
祭」に由来するものであることなどから,自民党内では保守派を中心に「祝日の『本来の意味』が失われる」と移
動案に反対論が多いようだ。2007年の調査では国民の約63%がこの構想を「取り入れない方が良い」という
結論を出したそうだ。みんなはどう思う?
とにかく,もうすぐ「シルバーウィーク」。
「敬老の日」にちなんで(「お年寄り」=シルバー世代)「シルバーウィーク」と呼ぶという説もある。
そう言えば昔,きんさん,ぎんさんという百歳の双子のおばあちゃんが愛知県に住んでいて,全国中の話題
になった。天から授かった命の長さにおこがましくも注文を付けることはできないが,なるべくなら長生きがいい
に決まっている。
身近なお年寄りに何かできるといいですね。
(ちなみに俺のシルバーウィークは,21日がマーチング大会,23日が室内アンサンブルの本番で,あいだは
その練習。音楽三昧かな?そうそう,メイン候補の楽譜借りられましたよ。)
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第84号
2009年9月20日(日)発行
ダイヤモンド
11月の吹奏楽フェスティバルに参加する。
栄のオアシス21で演奏させてもらえるそうだが,人数の少ない我が団の特色が出せるといいなと思いながら,
運営委員会で検討をした結果,曲目は「ジャパグラⅥ∼日本レコード大賞」,「Diamonds」「世界に一つだけの
花」の3曲となった。栄の街を歩く幅広い年代層を対象に,誰もが聴いたことのあるポップスをというコンセプト
で,なかなか良い。
ジャパグラⅥについては,6月の第1回定期演奏会で演奏したし,それに向けて曲目の解説もしたので他の
2曲について話したいと思う。
まず,「Diamonds<ダイヤモンド>」。
プリンセス・プリンセスという女性5人によるロックバンドが80年代から90年代に存在していた。「プリプリ」とい
う愛称で親しまれ,様々なヒット曲を出し,成功を収めた数少ないガールズバンドだ。
7番目のシングル「Diamonds(ダイアモンド)」は1989年4月にリリースされ,オリコンチャート1位を獲得。ミリ
オンセラーを記録した。プリプリはこの曲の大ヒットとともに一躍トップアーティストの仲間入りを果たし,人気は頂
点に達する。この曲は第22回日本有線大賞も受賞し,紅白歌合戦からも「Diamonds」での出演のオファーが
あったがスケジュール上の都合で辞退した。このブレイクをきっかけに「Diamonds」発売以前にリリースされて
いた曲も注目されるようになった。
20年前に中高生だった世代(いや,20年前に20代だった世代もか)は特に,このプリプリを聴くと甘くて酸っ
ぱいその青春時代を思い出すはずだ。
1996年5月の日本武道館ライブをもってプリンセス・プリンセスはその活動に終止符を打つ。つまり,解散
だ。
バンド活動は13年間にわたり,ライブの観客動員数は190万人を記録。13年間で発表されたシングルは21
枚,アルバムは15枚(ベスト盤含む)。オリジナルソングは120曲にのぼった。
この頃のテレビ番組『とんねるずのハンマープライス』で「プリンセス・プリンセスのメンバーの一人になれる権」
がオークションにかけられ,ファン2人によるマッチレースの末,当時番組史上最高額453万円で落札された。
Diamonds<ダイヤモンド>
その歌詞を紹介する。
冷たい泉に 素足をひたして 見上げるスカイスクレイバー 好きな服を着てるだけ 悪いことしてないよ
金のハンドルで 街を飛びまわれ 楽しむことにくぎづけ ブラウン管じゃわからない 景色が見たい
針がおりる瞬間の 胸の鼓動を焼きつけろ それは素敵なコレクション もっともっと並べたい
眠たくっても 嫌われても 年をとっても やめられない
ダイアモンドだね AH AH いくつかの場面
AH AH うまく言えないけれど 宝物だよ
あの時感じた AH AH 予感は本物
AH 今 私を動かしてる そんな気持ち
いくつも恋して 順序も覚えて KISSも上手くなったけど はじめて電話するときには いつも震える
プレゼントの山 埋もれもがいてもまだ死ぬわけにいかない 欲張りなのは生まれつきパーティーはこれから
耳で溶けて流れ込む 媚薬たちを閉じこめろ コインなんかじゃ売れない 愛をくれてもあげない
ベルトをしめて プロペラまわし 大地を蹴って とびあがるぞ
ダイアモンドだね AH AH いくつかの場面 AH AH うまく言えないけれど 宝物だよ
あの時感じた AH AH 予感は本物 AH 今 私を動かしてる そんな気持ち
何も知らない AH AH 子供に戻って AH AH やり直したい夜も たまにあるけど
あの時感じた AH AH 気持ちは本物 AH 今 私を動かすのは ダイアモンド
あらためて読んでみて思う。
「スカイスクレーパー」(「摩天楼」つまり超高層ビルのこと),「金のハンドル」,「泉」,「楽しむこと」,「コレクショ
ン」,「プレゼントの山」,「欲張り」,「パーティー」,「媚薬」,「コイン」,「ダイアモンド」といった日本の『バブル経
済時代全盛期』を思わせるような言葉がたくさん出てくる。
ヒット曲というものはそのときの時代にマッチしたものであるはずだし,そうでなければヒットするはずもない。一
人「なるほどな∼」と感心した。しかし,多くの人の心を捉えるものには,何かしら「普遍性」も兼ね備わっているも
のだ。
青春時代。寝る時間を惜しんででも人に出会い,新しいことを経験していくときのワクワク感。この曲のサビの
部分の歌詞に誰もが体験する普遍的な気持ち−きらきらと輝くいろんな場面,そして予感がストレートに表現さ
れている。やはりこの曲は名曲なのだ。
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第85号
2009年9月23日(水)発行
ONLY ONE
さて,今回は「世界に一つだけの花」。
「世界に一つだけの花」は,SMAPの代表曲の一つ。作詞・作曲・編曲は槇原敬之。アルバムからのシング
ルカットされた曲では,オリコン歴代1位というメガヒット曲で,現時点でSMAPにとって最大のヒット曲となってい
る。
作詞作曲の槇原敬之が1991年に3枚目のシングル「どんなときも。」を発売し,映画の主題歌やCMソング
に選ばれるなど話題となり,ミリオンセラーとなった。これらの活躍により,紅白歌合戦に初出場を果たし,翌年
の春の選抜高校野球入場行進曲にも選ばれた。
しかし,槇原は1999年8月に覚醒剤所持の現行犯で逮捕される。本人は300万円の保釈金によって保釈,
その後に執行猶予3年懲役1年6ヶ月の有罪判決を受けた。
その後は,芸能活動を謹慎したが,その謹慎中に槇原が住職との対話したことが,この「世界に一つだけの
花」の主題である「競争で一番になるよりも,それぞれのもつ個性が大切だ」につながっている。「仏説阿弥陀
経」の「青色青光,黄色黄光,赤色赤光,白色白光」という一節が元になっているそうだ。すなわち浄土にはさま
ざまな色の蓮華が咲き乱れているが,そこではそれぞれが,それぞれの個性に最高の尊厳を認め合いながら
存在しているという内容。
もう一つは,「星の王子さま」の話。いくら他にたくさんのバラがあろうとも,自分が美しいと思い,精一杯の世
話をしたバラはやはりいとおしく,自分にとって一番のバラなのだと悟る話も,この「世界に一つだけの花」の主
題につながっているそうだ。
さて,歌詞を紹介。
花屋の店先に並んだ いろんな花を見ていた ひとそれぞれ好みはあるけど どれもみんなきれいだね
この中で誰が一番だなんて 争うこともしないで バケツの中誇らしげに しゃんと胸を張っている
それなのに僕ら人間は どうしてこうも比べたがる? 一人一人違うのにその中で 一番になりたがる?
そうさ 僕らは 世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ
その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい
困ったように笑いながら ずっと迷ってる人がいる 頑張って咲いた花はどれも きれいだから仕方ないね
やっと店から出てきた その人が抱えていた 色とりどりの花束と うれしそうな横顔
名前も知らなかったけれど あの日僕に笑顔をくれた 誰も気づかないような場所で 咲いてた花のように
そうさ 僕らも 世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ
その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい
小さい花や大きな花 一つとして同じものはないから
NO.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one
「競争自体を否定する歌ではない」と槇原自身も語っているようだが,一人一人の輝きが大切だと歌うこの歌
はやはり「生きることの意味」につながる深くていつの時代も変わらない視点をもっている。
平成の名曲である。
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第86号
2009年9月27日(日)発行
次の本番に向けて
5連休最後の日に自分自身がフルートを吹く室内アンサンブルの本番があった。
木管五重奏プラスピアノという六重奏団なのだが,今回は20世紀の作曲家の作品でプログラムを組んだの
で,演奏する方もだが,聴く方も疲れたのではないか。
楽団からも副団長「あ」さん,トレーナーの「お」くんと前回ホルンのトラで定演に出てくれた「お」くんが,わざ
わざ聴きに来てくれた。ありがとうございます。
なかなか練習時間が取れないのがアマチュアの苦しいところだが,この六重奏団には三重県や京都府のメン
バーもいて,さらに練習が困難だ。しかし,言い訳はできない。お客さんを相手にしているのだ。がんばらね
ば!と奮闘した。
楽団では指導・指揮をさせてもらっている。(あまりに人数が少ない練習の時,たまには一緒に演奏することも
あるけど・・・)ある人に「(自分で演奏するのと,指揮をするのと)どっちが好き?」と聞かれたことがあるが,俺の
中では,それに対して「こっち」と答えを出すことはできない。演奏することも指揮をすることも,演奏を聴くこと
も,楽譜を書くことも,その他もろもろ含めて,すべて「音楽活動」なのだ。
だから,ひょっとすると,死ぬまでこのまぜこぜ状態の音楽活動になるかも知れない。
吹奏楽もやりマーチングもやり,オーケストラもやり,室内楽アンサンブルもやっている今の状態が,何か一つ
に絞るよりも欲張りで楽しく,性(しょう)に合っているのだろうか。
いきなりだが,俺は「音楽」が大好きだ。
だから,やっている。
俺の大好きなこのミナトを中心に,音楽の大好きな人たちが集まって,いつまでも音楽を楽しめたらいいなと
いう夢を持っている。少しずつこの夢が実現に向かっていると思うのだが,まだまだこれからだ。
団員みんなで力を合わせて,この楽団を盛り上げていってほしい。
まずは団員を増やし,そして,団費を安くし,練習回数や時間,場所についても,もっともっと団員がたくさん
集まるように変えていきたい。
9月に入ってから,練習に顔を出すことができなかったことが数回あり,申し訳ないと思っています。
わずか週に2回,1回2時間の練習時間だからこそ,もっと大切しなければと思っています。
とりあえず,第2回定演の曲を早く決めて楽譜を準備しなくては。それと,11月の吹フェスの練習だね!
そうそう,知らない人がいるといけないので事務連絡。
12月13日(日)に昨年度同様に「稲永学区フェスティバル『心のつどい』」に出演させてもらえます。団員の
皆様,都合付けておいて下さい。よろしく!
それから,1月9日(土)10日(日)に合宿(強化練習)を行う予定です。これもよろしく。本番は1月31日(日)
ですので念のため。(あ,前日は本番会場でホール練習です。)
いよいよ次に向けて本格始動開始ですね。がんばろう!
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第87号
2009年9月30日(水)発行
メリット?
平成22年3月6日(土)・7日(日)に「東海地区市民バンド・クリニック」というイベントがある。
愛知県のみならず,東海ブロックの一般バンド向けのクリニックで,1泊2日で行われる勉強会(研修会)だ。
俺自身は,毎年5月に静岡県浜松市で2泊3日行われる日本吹奏楽指導者クリニック(JBC)に,もう10年以上
参加している。11月下旬の愛知県吹奏楽セミナーにも15年くらい参加している。また,JBCでは2006年に港
南中吹奏楽部がモデルバンドとして出演もさせてもらったし,愛知県吹奏楽セミナーには昨年,講師として参加
させてもらった。さらに,今年3月にはJWECC(日本管楽合奏指揮者会議)にも宿泊して参加した。
こういうクリニックやセミナーに参加してみていつも「ああ,ためになったな」と思う。
いろいろな悩みや問題を抱えながら,吹奏楽の活動(特に,運営面や練習方法など)をしているので,一つ
でも何か解決のヒントになるようなことがあれば,それはもう「やった!もうかった!」の世界である。
我ら「港南吹奏楽団」からも特に,運営や練習のキーマン(鍵を握る人)や積極的に一般バンドライフを楽し
みたい人など,この「東海地区市民バンド・クリニック」に参加してみてはどうだろうか?幸い開催場所は愛知県
津島市の津島アイプラザ(今度,合宿するところです!)で行われるので,負担は少ない。どこの一般バンドもき
っと似たような悩みを抱えているだろうし,友好の輪が広がることも期待したい。講師は吹奏楽界では超有名な
作編曲家で吹奏楽指導者でもある後藤洋先生の予定だそうだ。
前回のこの一般バンドクリニックの資料を見せてもらった。
最も俺の目を引いたのは,『団員が団員であることのメリット』という言葉である。
『団員が団員であることのメリット』とは何か?これについて話し合いが行われたようだが,俺なりに考えてみ
た。
「団員であることのメリット」か。
お金を払い,時間を割き,練習に参加し・・・。損得勘定でみんなは音楽をやっているのだろうか?
音楽を愛し,楽器を演奏することが好きで,みんなと一緒に本番(演奏会)をやり,拍手をもらい,ノミカイ(打
ち上げ)に参加して自画自賛し,・・・そういうことが好きだから団員になっているのではないのか?
「好きなことをやる」ことが最大のメリットなのではないかと思う。しかし,当然,団員であるということは,そこに
は「団体の一員」としての義務が発生し,個人の自由を100%通すことはできず,「好きなことを,好きなときに,
好きなだけやる」ではすまないことも出てくる。そのマイナス感情部分を引き算したときに,合計がマイナスにな
るともう「団員ではいられなくなる」のだと思う。
だから,合計がマイナスにならないためには,「楽しい」「大好き」という気持ちがうんと大きくないといけない。
この気持ちの量は個人個人で差があって当然だが,団の運営や練習,本番,親睦会など,団が団員に対して
積極的に楽しいことを企画する,そういう努力をすることが運営サイドには必要だと考える。
いろいろな一般バンドがあって,「あそこに入って全国大会に出場」を最大のメリットにしているバンドもあれ
ば,託児システムが整っていて,子どもを預けて自分が演奏を楽しめることをメリットとしているバンドもあるだろ
う。
じゃあ,港南吹奏楽団の団員であることのメリットは?
俺はこれに対して,多くの答えをもっているが,それを書くにはスペースが足りない。残りの字数で言えること
を一つ。それは,音楽と港南が大好きだということ。ここで良い音楽をしたい。感謝。
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第88号
2009年10月4日(日)発行
月見
以前に潮風でも紹介したが,昨日は「十五夜」だった。夜空を見上げるとやはり,月がきれいでしばし見とれ
てしまった。いつまでも真夏の格好をしている俺(ハーフパンツにTシャツ)だが,知らない間に朝夕は肌寒く感
じる時期になった。昨日の夜もそうだ。月の美しさに我を忘れていたが,寒くなって我に返った。
ところで,月齢では今日が満月。今日の月の方がまん丸だ。ぜひ,日頃眺めることのない月を見てほしい。
十五夜の翌日は「十六夜(いざよい)の月」。地方によっては「月待ち」という習慣があり,十五夜の月見の日
から,翌日も,その翌日も,月が昇ってくるのを今か今かと楽しみに待つ習慣だが,月は毎日約50分ずつ遅れ
て出てくるので,十七夜を「立待月(たてまちづき)」,十八夜を「居待月(いまちづき)」,十九夜を「寝待月(ねま
ちづき)」,二十夜を「更待月」という。
つまり,十七日目には月が出てくるのを今か今かと立って待つ(立ち待ち)。十八日目はなかなか出てこない
月を(前日より50分も遅れて出てくるから)座って待つ(居待ち)。十九日目は横になって待つ(寝待ち,臥し(ふ
し)待ち)。二十日目はさらに夜更けまで待つ(更け待ち)。という意味だが,二十三夜までは月待ちを行う地方
が多かったそうだ。中には,月の光に阿弥陀仏・観音・勢至の三尊が現れるという口実を付けて,二十六夜まで
遊興にふけった地方もあったが,明治以降この風習はなくなっていったそうだ。
ちなみに,今日の十六夜の「月の出」の時刻は,名古屋では17時12分。明日,立待月(十七夜)の月の出は
17時43分。居待月が18時18分。寝待月が18時59分。更待月が19時48分。昨日の十五夜は16時44分だ
ったから。3時間以上月が出てくるのを待つことになり,確かに「立ち待ち」,「居待ち」,「寝待ち」,「更け待ち」と
はうまく表現されていて面白い。(ちなみに,二十六夜の月の出は深夜1時19分!)
月が出てくるのを3時間も待つ生活というものは現代社会ではあり得ないほどゆったりとしたおおらかな時間
の使い方だ。社会人,学生はもちろん,小学生でも幼稚園の子どもにもこんなヒマはない。(そう思うと,無性(む
しょう)に月見したくなってきた!芋煮会でもするか?)
ところで「月見」いえば,料理を思い浮かべる人もいるだろう。「月見うどん」といえば,うどんに群雲(むらくも)
に見立てた海苔を敷いてから,生卵を割り入れたものだが,月見の風情をどんぶりの中に見立てたものである。
本来は海苔なしの場合は月見ではなく「玉(ぎょく)」といっていたが,現代では海苔なしでも卵さえ入っていれ
ば「月見」といってしまうことが多い。鍋焼きうどんや味噌煮込みうどんにも卵を割り入れることが多いが,火が通
った白身で包まれて黄身(月)が見えにくくなるためか,「月見」とは呼ばれない。(なるほど,納得!)
また,マクドナルドでは秋限定メニューとして目玉焼きの入った「月見バーガー」を発売している。卵は秋が旬
というわけでもなく,ファーストフードという年中いつでもどこでもが売りの季節感のない食べ物に,季節感を演
出するとはなかなかの戦略だなあと感じる。(なんだかお腹がすいてきた。)
突然ですが,港南中吹奏楽部の情報。
昨日,部活で手打ちうどんを作って食べました。1年生9人,2年10人,3年13人でマーチング東海大会や
呉竹幼稚園訪問演奏に向けて頑張っていました。この人数でこの頑張りは本当にすごい。
12月の稲永フェスティバルではまた,打楽器をお借りします。定期演奏会の練習等,今後もいろいろとお世
話になる港南中吹奏楽部を地域の楽団として応援しよう!(特に卒業生!現役生たちをいろいろ助けてあげて
下さいね。)第12回定期演奏会は3月28日(日)名古屋市教育センターです!!!
ちなみに10月11日(日)に汐路中吹奏楽部が中部日本吹奏楽コンクール本大会(小編成の部)(岐阜県・羽
島市文化センター)に参加します。いま俺も頑張っています!応援よろしくお願いします!
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第89号
2009年10月7日(水)発行
嵐と音楽
台風が近づいている。
久々の名古屋直撃コースで,どうも暴風警報で学校が休校になりそうだ。子どものころから,台風や雷が好き
で(不謹慎だが),わくわくして胸が躍った。今回もなぜかわくわくしている。
そう言えば大学生のころに(平成2年の9月)上陸した「台風19号」は鮮烈に覚えている。プレハブのオーケス
トラの部室で台風の暴風雨が吹き荒れる真夜中に大音響で音楽を聴いていた。その直後,扉が枠ごと部屋の
中に倒れ込み,そのとたん急激な部屋の中の気圧の変化で天井が抜け落ち,プレハブが一瞬にして半壊状態
になった。さすがに身の危険を感じた俺と親友「じ」と留年していた先輩「む」は部室を脱出。先輩の車に乗り込
み,近くの下宿まで車を走らせた。そのときの道路は完全に川になっており,信号機はすべてわけのわからな
い方向を向き(しかも,停電している),サークルKのどでかい看板が空中を舞っていた。あの光景は忘れられな
い。翌朝,台風が通り過ぎた後,大学まわりの巨木は何本も根こそぎ倒れて道路を塞いでいた。
あらためてデカイ台風だったんだなと思い,少し調べてみた。
最低気圧なんと890hPa(上陸時は945hPa)!伊勢湾台風でも895hPaなので,やはり威力があったんだ
な。死者42名,行方不明者2名,負傷者197名で,こちらは伊勢湾台風とは比べものにならない(死者4697
名,行方不明者401名,負傷者38921名)が,大勢の死者が出た台風だったのだ。
台風という呼び方は,太平洋や南シナ海で発生する熱帯低気圧に対するもので,同じ気象現象でも大西洋
やインド洋ではハリケーンやサイクロンと呼び名はいろいろだ。しかし,ヨーロッパにはハリケーン(台風)は来な
い。だから,クラシック音楽にハリケーンつまり台風を描いたのもはない。ただ,「嵐」の様子を描いたものはあ
る。「嵐」というのは,まあ要は,強い風や雷をともなう強い雨のことだ。嵐の様子を描いた音楽はいろいろある。
すぐに思い出す音楽としては,ベートーヴェンの交響曲第6番ヘ短調「田園」の第4楽章だ。「雷雨,嵐」と名
付けられたこの楽章だけにはピッコロとティンパニが加えられ,楽しい村人の集いを突然襲う昼下がりの激しい
雷雨の様子が見事に描かれている。コントラバスが遠雷を,ヴァイオリンや木管が怪しい風音,閃光と雨足を,
そして金管とティンパニが激しい雷鳴と大地の鳴動を表現し,最終部では雨足が遠のき雷雲が去って,雨が上
がり,晴れ間が差した清々しい麗らかな田舎の情景が見えてくる。本当に見事な表現で,音楽って素晴らしいと
思う。
次に思い出すのは,リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲だ。登頂し,下山を始めてしばらくしてからやっ
てくる「嵐の前の静けさ」。遠くから雷(バスドラムとサスペンデッドシンバル)が聞こえてきて,だんだん暗くなって
くる。ぽつぽつと降り出した雨(ヴァイオリン・フルート・オーボエ)は,次第に激しくなり,風が吹き出してくる(ウィ
ンドマシーン)。 その後,一気に「雷雨と嵐」の描写へ。オルガンの和音とウィンドマシーンによる風の吹く中,ピ
ッコロや木管,シンバルが閃光を低音楽器,バスドラム,ティンパニが激しい雷鳴をこれまたものの見事に表現
している。嵐の最も激しい部分ではサンダーマシーンがオーケストラ全体に素晴らしい強烈な落雷の効果音を
もたらす。登山者は激しい雨の中を急いで下山するが,雨風が徐々に静まって,真っ暗な雷雲は遠ざかってい
く。やがて嵐はおさまり,雲間から何とも感動的に美しい夕焼けの太陽が顔を出すのだ。この瞬間も本当に感動
的で音楽はやはり素晴らしい。
他にも,ヴィヴァルディの「四季」の夏にも,弦楽合奏によって嵐が描写されているし,ベルリオーズの幻想交
響曲では遠くで怪しく轟く遠雷の響きが4人のティンパニ奏者によって演奏される。
自然界の雷の音を聞くと本当に,誰か上等なバスドラムかコントラバスでも弾いているのかと思うほどいい音
がする。(あ,不謹慎発言。)いや,自然界の音を聞いてそれを楽器で描写した作曲家たちの感性が素晴らしい
のか。
Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第90号
2009年10月11日(日)発行
中日新聞
中部日本吹奏楽コンクール本大会小編成の部に名古屋市代表として汐路中が出場する。
港南中でも,この「中日コンクール」にはたくさんの思い出がある。順番に思い出してみた。
平成9年に「荒れた学校」というタイトルで3ヶ月もの間,中日新聞に新聞連載されていた港南中に,俺が赴
任したのはその翌年。部活どころではない状況の中,子どもたちと音楽をやり始めた。
赴任2年目の平成11年。港南中に不名誉な汚名を着せた(確かにひどい状況だったが)中日新聞が主催す
る大会で,名古屋市大会で優勝し,初めての本大会出場を決めた。中日新聞が憎かった俺はとても気分が良
かった。自由曲は大栗裕作曲「大阪俗謡による幻想曲」。初めての遠征で,浜松に宿泊した。行きのサービス
エリアでは早くもお土産を買いまくっていたり,結構いいホテルに泊まり,室内用のスリッパでロビーをうろうろす
る姿が見られたりと子どもたちも大はしゃぎだった。俺も本当にうれしかった。他の先生たちが正門に「東海大会
出場おめでとう!吹奏楽部」と立て看板を作って立ててくれた。
平成14年。本大会出場。自由曲はハチャトゥリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」。長野県松本市の旅館に泊ま
り,第3位だったが,当時は1位に文部科学大臣奨励賞,2位に神納杯が受賞され,現在のように3位に中日新
聞社賞,4位に審査員特別賞などなく,本当に残念だった。このときに課題曲だったのが「アルセナール」で,こ
れ以来,アルセナールは港南中のテーマソングになる。
平成15年。当時萩山中が全盛期で,アメリカ演奏旅行帰り直後の名古屋市大会。勝てないだろうと思ってい
た萩山中の演奏を上回り,2年連続の本大会出場。自由曲はJ.S.バッハ作曲「無伴奏ヴァイオリンパルティー
タ第2番より『シャコンヌ』」だ。本大会では10人の3年生が心震えるいい演奏を創り上げてくれた。結果は「神納
杯」。当時のバンドジャーナルにも港南中の演奏は「深い感動を巻き起こした」と記事にされた。
平成16年。2年連続で本大会に出たため,名古屋市大会で招待演奏。愛知県勤労会館でヒットパレードを
やり,コンクール会場でポップスを演出付きで演奏するという贅沢を味わった。
そして,平成17年ダントツの好成績で名古屋市大会で1位でありながら,課題曲のマーチ「ツェッペリン伯
爵」の使用楽譜,出版社が違うということで,なんと「失格」。死んでお詫びしても足りないぐらいにショックだっ
た。
平成18年。石川県金沢市でやった本大会。東港中の「み」先生が夫婦でトラックで楽器を運んでくれた。自
由曲はレハール作曲「微笑みの国」。素晴らしく美しいサウンドで演奏できたが,惜しくも4位。30数人で大編成
に出場することの不利さを感じた。
平成19年。たった9人の3年生と挑んだ小編成。自由曲はラヴェルのバレエ音楽「マ・メール・ロワ」だ。大好
きなこの曲を柔らかく心をこめて演奏できた。場所は豊田市民文化会館。3年生たちがくれた「世界一の指揮者
賞」の手作りの賞状は今でも大切に保管してある。俺も子どもたちに文部科学大臣奨励賞の代わりに「玉谷賞」
の賞状を渡したのだ。
「中日の大会」というと,名古屋の学校の認識は「マイナーな大会」である。しかし,メジャーだろうが,マイナ
ーだろうが関係なく,そこに参加する子どもたち(もちろん,顧問も,親も,みんな)にはドラマが存在する。
汐路中で顧問となり,参加する初めての「中部日本吹奏楽コンクール本大会」。結果も大事だが,1位でもド
ベでも関係なく,満足できる演奏を目指したい。
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