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滋賀腎・透析研究会 琵琶湖災害時透析ネットワーク
第31回 滋賀腎・透析研究会 プログラム・抄録集 日 時:平成22年9月5日(日曜日) 午前9時30分〜午後5時 会 場:ピアザ淡海 滋賀県立県民交流センター 〒520−0801 大津市におの浜1丁目1番20号 TEL 077−527−3315 会 長:丸橋 和弘 長浜赤十字病院 会場案内図 2階 第1会場 3階 第2会場 機器展示・書籍販売・ドリンクサービス 第31回 滋賀腎・透析研究会 進行表 9:0 0 9:3 0 9:3 5 9:5 5 1 0:2 5 1 0:5 5 血液浄化Ⅰ(1−2) 【座長】久郷 稔 血液浄化Ⅱ(3−5) 症例Ⅰ(22−24) 【座長】富田耕彬 【座長】岡田裕作 症例Ⅱ(25−27) 看護(6−8) 【座長】新井 豊 【座長】安田真知子 シャント(28−30) 栄養(9−11) 【座長】秋岡清一 【座長】杉本俊郎 1 1:5 0 1 3:4 5 1 3:5 5 機器展示 ・ 書籍展示 透析患者における皮膚瘙痒症の機序と治療 ・ だんの皮フ科 段野貴一郎 ドリンクサービス ランチョンセミナー 総会 滋賀県における慢性透析療法の現状 一色啓二 「琵琶湖災害時透析ネットワーク」について 有村徹朗 特別講演 【座長】丸橋 和弘 「透析患者の栄養管理∼ガイドラインのピッツフォール∼」 東京女子医科大学 東医療センター 佐中 孜 1 4:5 5 1 5:0 5 1 5:5 5 1 6:4 5 304/305 会議室 開会の辞 1 1:2 5 1 2:5 0 1 3:0 5 第2会場 (大会議室) 第1会場 (ピアザホール) プレナリーセッションⅠ(12−16) 【座長】西尾利二/八田 告 プレナリーセッションⅡ(17−21) 【座長】宇津 貴/磯野元秀 優秀演題表彰・閉会の辞 1 【座長】朴 勺 参加者と演者へのお知らせ 《発表について》 ・発表時間:7 分、追加討論 3 分以内、時間を厳守してください。 ・パソコン操作は演者ご自身でお願いします。 ・発表データ作成は WindowsXP 以前の OS でお願いします。 《抄録について》 ・抄録は、滋賀医学に掲載する予定ですので、発表演者に必ず医師を含めて下さい。 ・演題申込み時の発表要旨と抄録に変更がある場合は、当日抄録(USB フラッシュ メモリおよびプリントアウトしたもの一部)をご提出ください。ご提出がない場 合は、変更がないものとさせていただきます。 《研究会参加について》 ・受付:9 時より 2 階受付にて行います。 ・参加費:1,000 円 ・日本透析医学会員は、本研究会に参加することによって、認定医師制度 5 単位が 取得できます。 《世話人会》 ・午前 11:45 より 3 階特別会議室にて行います。 《表彰について》 ・プレナリーセッション 1 の演題から複数を優秀演題として表彰いたします。プレ ナリーセッションの発表者は、表彰式終了まで御参加下さい。 2 ■■■■■■■■■■■■ 第 1 会場(ピアザホール)■■■■■■■■■■■■ 血液浄化Ⅰ(9:35 〜 9:55) 【座長】久郷 稔(近江八幡市立総合医療センター) 1 .当院での透析装置の安全管理とその現状 ○北村直子 1),山口 舞 1),梅本裕子 1),廣畑直実 1),上野剛久 1),高谷季穂 2) (社会医療法人 誠光会 草津総合病院 臨床工学科 1),同 腎臓内科 2)) 2 .当院における RO 水清浄化対策の検討 ○舛本友子 1),清田ゆきこ 1),山本奈津子 1),中村明弘 1),寸田康雄 1),田中正義 2), 浜 幸美 2),永作大輔 3) (医療法人友仁会 友仁山崎病院 透析センター ME 科 1), 同 透析センター 2),同 内科 3)) 血液浄化Ⅱ(9:55 〜 10:25) 【座長】富田耕彬(富田クリニック) 3 .消化管穿孔術後に PMX-DHP 療法を施行した症例における予後規程因子の検討 ○青木佑司 1),松田安由 1),正圓浩史 1),吉川朋良 1),佐藤義則 1),安藤賢志 1), 西村和典 1),牧石徹也 2),前田咲弥子 2) (大津赤十字病院 臨床工学技術課 1),同 循環器科 2)) 4 .無酢酸透析液の多人数用透析液供給装置での使用経験 ○有田佳祐 1),服部亜紀子 2),山口裕子 2),大橋誠治 3) (おおはし腎透析クリニック 1),同 看護部 2),同 腎臓内科 3)) 5 .PS 膜が原因と考えられた透析困難症の一例 ○小川和俊,辻 裕,小川 愛,坂東哲朗 (はなの木下坂クリニック) 看護(10:25 〜 10:55) 【座長】安田真知子(富田クリニック) 6 .透析時の血圧低下にカフェイン投与が有用であった症例 ○三田 匠,古田ナツエ,本庄貴美,浅野 啓,鈴木美和子,山口美紀,坂口敦子, 澤井 文,和田富士乃,河崎貴美子,大谷陽子,安田和弘,朴 勺 (弘英会 琵琶湖大橋病院 透析センター) 7 .看護必要量と人員配置の検討 ○古川加生里,川端宮子,堤 周作,奥居ルミ子,中川佐由美,長谷行洋 (彦根市立病院 血液浄化センター) 8 .有床診療所における終末期透析患者の看取りを考える ○尾﨏博美 1),押谷菜見 1),林 映吏子 1),高田ゆかり 1),石田和歌子 1),荒木陽子 1), 池田友子 2),安田真知子 1),廣川隆一 1, 2),富田耕彬 2) (第二富田クリニック 1),富田クリニック 2)) 3 栄養(10:55 〜 11:25) 【座長】杉本俊郎(滋賀医科大学) 9 .血液透析患者の栄養指標 GNRI の有用性 ○中谷晋資 1),安田和弘 2),朴 勺 2),河村彰文 1),藤縄大志 1),西村崇志 1), 清水省三 1),浦岡真季 2),佐山晴美 2) (弘英会 琵琶湖大橋病院 臨床工学技術科 1),同 透析センター 2)) 10.維持透析患者の栄養状態の検討 ○村岡久美子,薗田桂子,伊藤隆子,井狩研治,荒川正夫 (荒川クリニック) 11.当腎臓センター透析患者の筋肉量について −運動に関する調査からの現状把握− ○吉川智子,堀 智子,井本千秋,西堀好恵,井狩美佐枝,八田 告,澤田克徳 (近江八幡市立総合医療センター 腎臓センター) 総会(13:05 〜 13:45) 滋賀県における慢性透析療法の現状 一色啓二(滋賀医科大学) 「琵琶湖災害時透析ネットワーク」について 有村徹朗(社会保険滋賀病院) 特別講演(13:55 〜 14:55) 【座長】丸橋和弘(長浜赤十字病院) 「透析患者の栄養管理〜ガイドラインのピッツフォール〜」 佐中 孜(東京女子医科大学 東医療センター) プレナリーセッションⅠ(15:05 〜 15:55) 【座長】西尾利二(瀬田クリニック),八田 告(近江八幡市立総合医療センター) 12.持続的血液浄化療法を施行した急性腎傷害の生命予後関連因子の検討 ○上田紘平 1),松下佳織 1),竹崎佐弥香 1),吉村規子 1),木村啓志 1),寺内 茂 1), 津田正子 1),森田善方 2),磯野元秀 2) (大津市民病院 臨床工学部 1),同 内科 血液浄化部 2)) 13.在宅血液透析(HHD)における看護師の役割 ○半田 誠 1),安田真知子 2),畠山岳士 2),中澤弘貴 1),氏福隆一 2),池田友子 1), 廣川隆一 2),富田耕彬 1) (富田クリニック 1),第二富田クリニック 2)) 14.減塩指導の取り組みによる,職務満足度と医業費用の変化〜患者のセルフケア能力の向上を目 指して〜 ○熊木貴子,川村路代,古澤美子,木下光江,横幕由喜子,有村徹朗 (社会保険滋賀病院 腎センター) 4 15.腹膜透析患者交流会・勉強会を開催して ○八田 梢 1),今福真弓 1, 2),竹中理恵 1),西岡信貴 1),早川眞利 1),西尾利樹 2), 田中裕紀 2) (済生会滋賀県病院 人工透析センター 1),同 腎臓内科 2)) 16.透析療法選択にむけた情報提供の実態調査 ○藤田有紀 1),藤居 紋 1),木村由美 1),三沢理恵 1),宇津 貴 2) (滋賀医科大学医学部附属病院 6C 病棟 1), 同 腎臓内科 2)) プレナリーセッションⅡ(15:55 〜 16:45) 【座長】宇津 貴(滋賀医科大学),磯野元秀(大津市民病院) 17.アニオンギャップ増大を伴う代謝性アシドーシス下では,血液ガス測定装置で得られる血漿 CL 濃度は実測値よりも高くでる可能性が高い ○山本伸也,牧石徹也,前田咲弥子,小西 孝,廣瀬邦彦 (大津赤十字病院 循環器科) 18.透析患者における網赤血球ヘモグロビン等量測定の臨床的有用性 ○有村徹朗,横幕由喜代 (社会保険滋賀病院 腎センター) 19.腎不全進行因子としての SAS の重要性 ○高木彩乃,八田 告,上野里紗,門 浩志,瀬川裕佳,澤田克徳 (近江八幡市立総合医療センター) 20.近江八幡市立総合医療センターでの腎移植,11 例についての報告 ○中村緑佐,秋岡清一,渡邊信之,奥川 郁,中野且敬,大坂芳夫,高橋 滋, 土屋邦之,迫 裕孝 (近江八幡市立総合医療センター 外科) 21.腎臓内科医による腹膜透析用カテーテル留置術施行の重要性 ○田中裕紀,西尾利樹 (社会福祉法人恩賜財団済生会滋賀県病院) 優秀演題表彰・閉会の辞 5 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 第 2 会 場( 大 会 議 室 ) ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 症例Ⅰ(9:55 〜 10:25) 【座長】岡田裕作(滋賀医科大学) 22.腎周囲膿瘍:透析患者の一例と,透析導入に至った一例 ○中澤 純,渋谷和之,清水真也,西村正孝 (市立長浜病院 内分泌代謝腎臓内科) 23.慢性腎不全の急性増悪で発症した,アロプリノールによる DIHS の 1 例 ○北原孝宏 1),山本伸也 1),牧石徹也 1),前田咲弥子 1),小西 孝 1),廣瀬邦彦 1), 遠藤雄一郎 2),吉川義顕 2) (大津赤十字病院 循環器科 1),同 皮膚科 2)) 24.PEA をきたし死亡した一症例 ○渡辺 裕,種子礼子,岡橋由里子,増田聖司 症例Ⅱ(10:25 〜 10:55) (わたなべ湖西クリニック) 【座長】新井 豊(草津総合病院) 25.浸透圧性脱髄症候群と横紋筋融解症を合併した著明な高 Na 血症の 1 例 ○桑形尚吾,加藤紀子,森田善方,磯野元秀 (大津市民病院 内科) 26.透析施行に苦慮したアミロイドーシスの一剖検例 ○森宗孝夫,山原康佑,出路奈緒子,金崎雅美,一色啓二,岩井 環,安田真子, 坂口正芳,荒木信一,杉本俊郎,宇津 貴 (滋賀医科大学 腎臓内科) 27.二次性副甲状腺機能亢進症に副甲状腺癌を合併した 1 例 ○北村直美,杉山朋大,金井俊平,長門 優,谷口正展,岡内 博,中村一郎, 中村誠昌,下松谷 匠,丸橋和弘 (長浜赤十字病院 外科) シャント(10:55 〜 11:25) 【座長】秋岡清一(近江八幡市立総合医療センター) 28.シャント管理におけるシャントエコーの有用性 ○水口泰智 1),安田和弘 2),朴 勺 2),下中克仁 1),古川 修 1),上田貴司 1), 浦岡真季 2),佐山晴美 2),清水省三 1),河村彰文 1),西村崇志 1) (医療法人弘英会 琵琶湖大橋病院 1),同 透析センター 2)) 29.シャント穿刺情報共有シート作成によりスタッフの穿刺への不安軽減への試み ○奥谷昌則,藤井翔太,吉田めぐみ,古川加生里,中川佐由美,長谷行洋 (彦根市立病院 血液浄化センター) 30.当施設におけるシャント管理について 〜シャント PTA 後のエコー検査を継続して〜 ○古川尚子 1),北川洋子 1),大林望美 1),水谷 稔 1),岩泉乃生子 1),辻 理恵子 1),佐川壱子 1), 田中正義 1),浜 幸美 1),作本仁志 2),永作大輔 2) (医療法人友仁会 友仁山崎病院 透析センター 1),同 内科 2)) ランチョンセミナー(11:50 〜 12:50) 【座長】朴 勺(琵琶湖大橋病院) 「透析患者における皮膚瘙痒症の機序と治療」 段野貴一郎(だんの皮フ科院長) 6 第 31 回 滋賀腎・透析研究会 抄 録 集 7 特別講演 透析患者の栄養管理~ガイドラインのピッツフォール~ 佐中 孜 東京女子医科大学東医療センター 透析療法の 30 年の歴史は,いかに尿毒症毒素の除去効率をあげるか,いかに生体適合性に優れたも のにするかという努力であったと述べても過言ではありません.とりわけ血液透析療法はそうでした. その結果,KT/V,除水性能を考えるまでもなく,ややもすれば機械的にスケデュールをこなすだけで, 患者の状態を良好に維持できているように感じていることが少なくないのではないでしょうか. これが実は錯覚であることは皆も薄々感づいていることだと思います.実際,透析患者の生命予後は 多くの長生き患者が居る反面,毎年 2 万人もなくなっているという事実とその背景には様々なことがあ りますが,意外にも忘れられているのが透析患者の栄養状態が必ずしも良好ではないということでない かと思います. 透析効率を求めれば求めるほど,栄養状態は本質的に悪化するというジレンマに気づいてないことが 多いように思います.日本腎臓学会食事療法ガイドラインでも,CKD ステージ 5D(透析療法中)では, 体重 kg 当たりの 1 日蛋白摂取量は,週 3 回の血液透析では 1.0~1.2g,腹膜透析では 1.0~1.3g が提案され, リン摂取量(mg)はたんぱく質 ( g ) × 15 以下と述べられ,この数値の設定根拠は示されていません. 今回の講演ではこれらの点について,私が日頃考えていることを述べてみたいと思います. 8 メ モ 9 ランチョンセミナー 透析患者における皮膚瘙痒症の機序と治療 段野貴一郎 だんの皮フ科 かゆみを伴う皮膚疾患・状態 かゆみを伴う皮膚疾患には湿疹・皮膚炎,蕁麻疹,痒疹など皮疹を伴うものと皮膚瘙痒症と統括され る皮疹を伴わない状態とがある.皮膚瘙痒症には全身性疾患に伴うもの(原発性胆汁性肝硬変,慢性腎 不全・腎透析,甲状腺機能異常など)と全身性疾患を伴わないもの(皮脂欠乏症または乾皮症,外陰部 皮膚瘙痒症)がある. かゆみのメカニズム かゆみは外的刺激と内的刺激によって起こる.外界からの物理的・化学的刺激は皮膚のかゆみ受容器 を直接刺激する.体内からのかゆみ刺激(アレルゲンなど)はマスト細胞や炎症細胞から遊離されるか ゆみメディエーターを介してかゆみ受容器を刺激する. かゆみのシグナルはC線維を伝って脳内に伝達されかゆみとして認識される.近年,オピオイドペプ チドとその受容体が中枢におけるかゆみ制御機構として注目されている. 透析患者のかゆみの原因 水分の不足しがちな透析患者の皮膚は角層のバリア機能が破綻し,自由神経終末が皮膚表層まで延長 し外界からのかゆみ刺激に敏感である.体内からのかゆみ刺激としては透析膜で除去できない中分子量 物質の蓄積,透析膜と血液との接触によって生じるアレルゲン,無機イオン,副甲状腺ホルモンなどが 想定されているが原因物質は明らかではない. 透析患者のかゆみの症状 過去の調査によると,かゆみの頻度は 65〜80% であり,そのうち半数の患者は1日中持続するかゆみ に悩まされている.最も頻度の高い皮膚症状は皮膚の乾燥(乾皮症または皮脂欠乏症)である.かゆみ と掻破の悪循環によって皮脂欠乏性湿疹,貨幣状湿疹,慢性湿疹,慢性痒疹・結節性痒疹が全身に生じる. 最近は,透析技術の進歩によって激烈なかゆみは少なくなってきている印象があるものの,かゆみは 依然として患者の QOL を低下させる症状である. かゆみのコントロール かゆみの薬物治療としては,外用薬(保湿剤,外用抗ヒスタミン薬,ステロイド軟膏),内服薬(抗ヒ スタミン薬,抗アレルギー薬),特殊療法(紫外線療法,オピオイド作動薬)がある.生活指導としては衣・ 食・住における注意,正しい入浴法の指導が重要である.もちろん全身性疾患の管理も欠かせない. このセミナーでは,かゆみの起こりに沿って治療法の位置づけを考えてみたい.外用薬によるコント ロールにおいては,スキンケアの技術が外用剤の効果を引き出すうえでもっとも大切なポイントとなる. そのほか,紫外線治療によるコントロール,オピオイド作動薬についても触れたい. 10 メ モ 11 1 .当院での透析装置の安全管理とその現状 ○北村直子 1),山口 舞 1),梅本裕子 1),廣畑直実 1),上野剛久 1),高谷季穂 2) 社会医療法人 誠光会 草津総合病院 臨床工学科 1),同 腎臓内科 2) 【目的】当院では透析関連装置に関し定期的に点検を行っている.今回,安全管理への取り組みとその現状を報告 する. 【対象・方法】当院の透析関連装置 56 台を対象とした.(期間 2007 年 1 月〜 2009 年 12 月)使用中異常発生群と 定期点検異常発見群とで分類した.また,院内で修理することで修理コストの削減出来ているか調査した. 【結果】使用中異常発生群は 21 例,定期点検異常発見群は 164 例で機器の故障,劣化,基盤の不具合が主な原因 であった.院内で修理することで修理コストを削減することができているのを確認した. 【結語】定期的な点検(オーバーホールを含め)を継続することで,装置異常を早期発見することが可能となった. また院内で修理することで機器修理費用を抑制することができた.今後も安全管理に対して更なる改善と充実に 努めたい. 2 .当院における RO 水清浄化対策の検討 ○舛本友子 1),清田ゆきこ 1),山本奈津子 1),中村明弘 1),寸田康雄 1),田中正義 2),浜 幸美 2),永作大輔 3) 医療法人友仁会 友仁山崎病院 透析センター ME 科 1),同 透析センター 2),同 内科 3) 【目的】水処理システムの新規導入に伴い,当院での RO 水清浄化対策を検討した. 【方法】RO 水配管の洗浄方法を極低濃度次亜封入システム(以下次亜封入)に変更し,シングルパスからループ 方式に変更した.システム変更前後の ET 値および生菌培養の比較を RO タンク後および個人機入口部で行った. 【結果】RO タンク後,個人機入口部での ET 値はシステム変更後上昇したが,その後低下した.RO タンク後の 生菌はシステム変更前後ともに検出されなかった.個人機入口部の生菌数はシステム変更後低下した. 【考察】水処理システムの RO タンクから RO 水配管の夜間次亜封入,および RO 水配管のループ方式への変更は RO 水の停滞による生菌の繁殖を抑制したため,RO 水の清浄化につながったと考えられる. 【結語】RO システムにおける次亜封入および RO 水配管のループ配管は有用であると示唆された. 12 メ モ 13 3 .消化管穿孔術後に PMX-DHP 療法を施行した症例における予後規程因子の検討 ○青木佑司 1),松田安由 1),正圓浩史 1),吉川朋良 1),佐藤義則 1),安藤賢志 1),西村和典 1),牧石徹也 2), 前田咲弥子 2) 大津赤十字病院 臨床工学技術課 1),同 循環器科 2) 【背景】近年の大規模臨床研究により消化管穿孔患者において術後のエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)併用 が予後を改善することが報告されたが,予後規程因子については未だ明らかでない.当院では以前より消化管穿 孔術後症例に対し積極的に PMX-DHP を施行しており過去 3 年間での施行例は 20 例に達する. 【目的】消化管穿孔術後に PMX-DHP を施行した症例における予後規程因子を明らかにする. 【方法】20 症例を生存群・死亡群に分けレトロスペクティブに検討した. 【結果】生存群は死亡群に比べ,PMX-DHP 開始 2 時間以内に血圧が上昇,APACHEIIscore が改善する傾向を認 めた.開始 2 時間以内に血圧および APACHEIIscore が改善したにもかかわらず死亡した 1 例では開始 2 時間で 乳酸値が上昇していた. 【考察】開始 2 時間以内の血圧,APACHEIIscore,そして乳酸値の動向が予後を予測する上で重要であることが 示唆された. 4 .無酢酸透析液の多人数用透析液供給装置での使用経験 ○有田佳祐 1),服部亜紀子 2),山口裕子 2),大橋誠治 3) おおはし腎透析クリニック 1),同 看護部 2),同 腎臓内科 3) [はじめに]無酢酸透析液は 1 .酢酸による循環動態への悪影響,慢性炎症などが解消されている.2 .重炭酸イオ ン濃度が高いため,代謝性アシドーシスの是正に優れる.などの臨床上の効果が認められている.当院では, H22 年 5 月の開院時より多人数用透析液供給装置に無酢酸透析液を採用した.しかし,無酢酸透析液 A 原液は pH が低く,特に金属部材の腐食や固着が起こりやすいことが知られている.そこで,当院における機器設置段 階から現在までの粉末溶解装置と配管およびメンテナンスについて報告する. [経過]1 .器械室の湿度を 60%以下に保つ.2 .透析終了後の粉出口の清掃. 3 .週 2 回の A 粉末溶解装置の分解 掃除.などのメンテナンスを行っている [結果]現時点では目視にて確認できる目立った錆や機器の不具合等はなく,引きつづいて観察していきたい. 5 .PS 膜が原因と考えられた透析困難症の一例 ○小川和俊,辻 裕,小川 愛,坂東哲朗 はなの木下坂クリニック 【はじめに】PS 膜などに使われている, 親水化剤 PVP(ポリビニルピロリドン)が原因で引き起こされる,アナフィ ラキシー様ショックは,改良も進み,出会う頻度は軽減している.今回我々は,PS 膜を半年間使用し,透析困難 症を引き起こした症例を経験したので,ここで報告する. 【経過】当院転院後,半年を過ぎた頃より,透析中血圧が下がるようになり,7 ヶ月目にはショック様症状を起こ すようになった為,PVP ショックを疑い,ダイアライザーを PS 膜から CTA 膜に変更した. 【結果】CTA 膜変更後からは,著しい血圧低下も認められず,DW を下げ,経過観察中である. 【まとめ】現在 PS 膜ダイアライザーが主流となっているが,PVP が原因かは定かではないとしても,極稀ではあ るが,PS 膜使用患者に,ショック様症状を引き起こすケースがあることを,我々は忘れてはいけない. 14 メ モ 15 6 .透析時の血圧低下にカフェイン投与が有用であった症例 ○三田 匠,古田ナツエ,本庄貴美,浅野 啓,鈴木美和子,山口美紀,坂口敦子,澤井 文,和田富士乃, 河崎貴美子,大谷陽子,安田和弘,朴 勺 弘英会 琵琶湖大橋病院 透析センター 【目的】透析時の血圧低下に対して,カフェインの内服が有用であった症例を報告する. 【症例】症例 1 は 87 歳女性.原疾患は糖尿病で透析歴は 18 カ月.リズミックとドプスを透析前に投与していたが 透析開始とともに血圧低下がみられ, 透析中断もしばしばあった.透析中血圧低下がみられる前にカフェイン 0.2g を投与したところ,血圧が維持されるようになり,カフェイン投与を継続している.症例 2 は 89 歳女性.原疾患 は糖尿病で透析歴は 20 カ月.透析開始直後から血圧が下降し,リズミックやドプスを透析前に投与していたが血 圧の低下は続いた.透析開始 1 時間後にカフェイン 0.2g を投与したところ血圧の低下は改善されたが開始直後か らの血圧低下は続いたため開始直後に投与したところ血圧も維持され,カフェイン投与を継続している. 【まとめ】透析中の血圧低下に対して,カフェイン投与は有用であると考えられた. 7 .看護必要量と人員配置の検討 ○古川加生里,川端宮子,堤 周作,奥居ルミ子,中川佐由美,長谷行洋 彦根市立病院 血液浄化センター 【はじめに】臨床工学技師(以後 CE と略す)の増員に伴い看護師の削減が行なわれた.限られた人員の中での現 状を分析するため「看護必要量」を用いて検討した. 【結果・考察】昨年と比較すると「総看護必要量」は曜日によりに変化がみられるが,スタッフ数を充実させたこ とで「スタッフ一人当たりの看護必要量」の増加はみられなかった.また S・D 分類の値により透析開始時間を 検討しベッドコントロールが効率的にできている.「看護必要量」は実際の看護の現状を反映しており,信憑性も 高い評価であるといえる. 【今後の課題】今後は当院の現状をより点数に反映させるため,独自の「看護必要量」の検討を行いたい.また, CE が増員になってもアフェレーシスは著しく増加している.両業務に携わる CE の業務増大は血液浄化センター 全体の業務に影響を与える.今後は CE 分野の「業務必要量」も導き出す必要がある. 8 .有床診療所における終末期透析患者の看取りを考える ○尾﨏博美 1),押谷菜見 1),林 映吏子 1),高田ゆかり 1),石田和歌子 1),荒木陽子 1),池田友子 2),安田真知子 1), 廣川隆一 1,2),富田耕彬 2) 第二富田クリニック 1),富田クリニック 2) 【はじめに】透析患者に「終末期を見据えた療養の場」を提供したいとの想いから病棟を開設し,今回初めて終末 期透析患者の看取りを経験した. 【症例】60 代女性,DM 性腎症,HD 歴 5 年,慢性関節リウマチ,胆嚢癌・肝転移. 【経過】摂食困難による衰弱,血糖コントロール不全による昏睡等で入退院を繰り返す中,重症感染症から昏睡状 態に陥り全身痙攣出現.家族の意向確認の上,HD 中止と苦痛除去を優先する看取りを決定.最終 HD4 日後,安 らかに永眠.後日,長男より「最期まで富田にいられてよかった」と言葉あり. 【考察】通い慣れた施設で最期の時を過ごす事は終末期透析患者・家族の安寧につながる.今回家族が当院を看取 りの場に望み HD 中止をスムーズに受容できたのは日頃から患者・家族の思いを尊重した関わりがあったためと 考える. 【結語】透析患者と家族に安心と満足を提供する有床透析診療所は終末期透析患者の療養の場として意義ある施設 である. 16 メ モ 17 9 .血液透析患者の栄養指標 GNRI の有用性 ○中谷晋資 1),安田和弘 2),朴 勺 2),河村彰文 1),藤縄大志 1),西村崇志 1),清水省三 1),浦岡真季 2), 佐山晴美 2) 弘英会 琵琶湖大橋病院 臨床工学技術科 1),同 透析センター 2) 【はじめに】栄養障害に陥っている血液透析患者の栄養指標として GNRI が注目されているので,その有用性につ いて検討した. 【対象と方法】維持血液透析患者 42 人を対象とした.血清 ALB 濃度を測定し BMI,GNRI,nPCR,% CGR, GNRI を算出した.なお GNRI は BMI=22 となる体重を理想体重として計算した. 【結果】血清 ALB 濃度と GNRI は r 値 0.70 で,BMI と GNR には相関がみられなかったが,BMI < 22 の群では r 値 0.63 と相関がみられた.% CGR と GNRI は r 値 0.42 と相関がみられた.nPCR と GNRI の間に相関関係は認 められなかった. 【考察】今回の評価では GNRI は血清 ALB 濃度と最も強い相関を認めた.また GNRI は筋肉量を反映する% CGR との相関を認め,GNRI は栄養状態の指標として有用であると思われた.BMI < 22 の患者では体格の要素を反映 する為,痩せ型の患者の栄養評価に有用と思われた. 【結語】GNRI は痩せ型の患者の栄養状態を反映する有用な指標であると思われた. 10.維持透析患者の栄養状態の検討 ○村岡久美子,薗田桂子,伊藤隆子,井狩研治,荒川正夫 荒川クリニック 【目的】透析患者では,栄養状態が予後に強い影響を与えることが知られている.そこで,栄養状態の現状を把握 し維持向上する取り組みにつなげたい. 【方法】1 年以上の維持透析患者 58 名を対象に GNRI を算出し各種パラメーターを検討した. 【結果】対象は 44〜84 歳(平均 66 歳)で,うち 41%が 70 歳以上である.また,透析暦 10 年以上は 33%(70 歳 以上は 9%)である.GNRI は,良好 31%・軽度障害 41%・中等度障害 26%・重度障害 2%であった.また 70 歳 以上の 67%が良好から軽度障害で元気に通院している. 【結語】今後も栄養状態を妨げる因子の早期発見,GNRI の定期フォローなど指導強化していきたい. 11.当腎臓センター透析患者の筋肉量について −運動に関する調査からの現状把握− ○吉川智子,堀 智子,井本千秋,西堀好恵,井狩美佐枝,八田 告,澤田克徳 近江八幡市立総合医療センター 腎臓センター 近年,透析患者の QOL に関する研究発表が数々なされている.それらの先行研究によると筋肉量を維持できる ことが生命予後の改善には重要と報告されている.しかし,実際,透析患者の身体活動量は低く,健常人と比較 すると下肢の筋肉量低下とそれに伴う筋力低下が顕著と報告されている.当腎臓センターの患者においても同様 の傾向にあると思われる.今年度より InBody(体成分分析装置)を導入し,透析患者の筋肉量を測定した.132 名の透析患者を解析したところ,標準筋肉量より低い傾向にあることがわかった.そこで筋肉量,臨床的背景, 普段の運動状況の関連性について調査したので報告する. 18 メ モ 19 12.持続的血液浄化療法を施行した急性腎傷害の生命予後関連因子の検討 ○上田紘平 1),松下佳織 1),竹崎佐弥香 1),吉村規子 1),木村啓志 1),寺内 茂 1),津田正子 1),森田善方 2), 磯野元秀 2) 大津市民病院 臨床工学部 1),同 内科 血液浄化部 2) 【目的】急性腎傷害(AKI)で持続的血液浄化療法(CRRT)を施行した患者の生命予後について検討した. 【対象】2009 年に ICU で AKI と診断され CRRT を施行した 28 例(敗血症 11 例,心不全 10 例,その他 7 例) . 【方法】対象を生存群(16 例)と死亡群(12 例)に分け,CRRT 開始時の循環動態,腎機能・肝機能・血液ガスデー タ,尿量を比較した.また,AKI の重症度(AKIN 分類)と院内死亡率との関係を検討した. 【結果】生存群に比し死亡群では,CRRT 開始時の pH・BE・血小板・AT3・尿量が低く,K は高かった.AKI 重症度が高いほど院内死亡率は増加した. 【考察】AKI 重症度,代謝性アシドーシスおよび DIC が AKI 患者の生命予後関連因子と考えられた. 13.在宅血液透析(HHD)における看護師の役割 ○半田 誠 1),安田真知子 2),畠山岳士 2),中澤弘貴 1),氏福隆一 2),池田友子 1),廣川隆一 2),富田耕彬 1) 富田クリニック 1),第二富田クリニック 2) 【はじめに】当院の HHD 患者は 15 名を数え,医師 2 名・看護師 2 名・臨床工学技士 3 名がその運営にあたって いる.今回は HHD における看護師の役割について述べる. 【HHD 看護の実際】看護師は,患者の基礎疾患・社会的背景・生活環境・性格等を理解し,導入指導を行う他, 導入後の患者・介助者の不安や身体の不調等に対しては,検査データや日々の HD 記録・メールの内容等から情 報収集し,生活指導・療養指導を行う.またストレスを抱える介助者の想いに寄り添い,医師や技士・業者への 情報提供を行って快適で安全な HHD 生活を支援している. 【考察】HHD 患者・介助者を多角的に捉え,患者のセルフケア行動を支持し,効果的な治療効果を上げるとともに, その人らしい生き方ができるよう生活全般を支援する看護師の調整役としての業務は,今後も更に拡大していく と考える. 【結語】患者・介助者が快適かつ安全な HHD 生活を送る上で,看護師の果たす役割は重要である. 14.減塩指導の取り組みによる,職務満足度と医業費用の変化 〜患者のセルフケア能力の向上を目指して〜 ○熊木貴子,川村路代,古澤美子,木下光江,横幕由喜子,有村徹朗 社会保険滋賀病院 腎センター 【目的】透析困難症は,患者にとって,不安と苦痛を伴う透析環境となり,看護師にとっては,昇圧剤与薬の機会 が増えその対応に追われる.患者の体重に対するセルフケア能力を支援・支持できるよう,看護師の減塩指導能 力を高めることで,透析環境はより安全・安楽となり,医業費用の削減にもつながる.看護師の職務満足度は向 上し,職場風土の変革をもたらす. 【方法】 腎センター看護師に目標管理面接の実施.減塩の学習会を開催し指導の標準化.職務満足度調査による前・ 後の比較検討. 【結果】患者の,月平均体重増加は低下.H22 年 5 月には− 57,723 円の医業費用の減額.看護師の職務満足度の 項目「やりがいのある職場」と,三つのカテゴリーが向上. 【結論】看護師が新しい変革に対する知識を得て自らの態度を変化させ,それが行動の変化を起こした.結果,患 者の減塩/体重増加に対するセルフケア能力向上と,医業費用の削減を成し得た. 20 15.腹膜透析患者交流会・勉強会を開催して ○八田 梢 1),今福真弓 1, 2),竹中理恵 1),西岡信貴 1),早川眞利 1),西尾利樹 2),田中裕紀 2) 済生会滋賀県病院 人工透析センター 1),同 腎臓内科 2) <目的>当院では年 2 回 PD 患者交流会と勉強会(以下勉強会)を開催している.PD は血液循環の変動が少な く残存腎機能が保持されやすいので長期に渡って続ける事が望ましい.PD を長く続けていく為には水分・塩分 の管理が重要となってくる.当院では PD 外来時に指導しているが管理が困難な患者もおり,今年開催した勉強 会では水分・塩分管理について指導を実施した.勉強会後にアンケート・聞き取り調査を実施し振り返りが出来 た為その結果を報告する. <研究方法>勉強会で水分・塩分について指導を行う.指導後,患者にアンケート・聞き取り調査を実施. <考察>アンケート・聞き取り調査では患者より「思っていた以上に塩分を摂取していた,食生活を見直したい. 」 等の意見が多く聞かれた.その結果,患者の視覚・味覚から管理の必要性を感じてもらえ今回の勉強会は効果的 であったと考えられる.今後も定期的に勉強会で水分・塩分管理の必要性を指導していく. 16.透析療法選択にむけた情報提供の実態調査 ○藤田有紀 1),藤居 紋 1),木村由美 1),三沢理恵 1),宇津 貴 2) 滋賀医科大学医学部附属病院 6C 病棟 1),同 腎臓内科 2) 末期腎不全で腎代替療法が必要な患者には,外来で医師により治療方法の説明がなされ,透析療法選択後,導入 を目的に入院する流れになっている.そのため病棟看護師が透析療法選択の意思決定に関わることがほぼなく, 患者が透析療法に対してどのような情報をもとに,どのような考え・思いで選択しているのか詳細に知ることが 難しい状況である.導入にあたり継続することへの困難の訴えを聞くこともあり,現実に治療が円滑に進まない 患者もいた.そのような葛藤を目の当たりにし,透析療法選択をする患者が,少しでも納得のいく,自己の生活 にあった透析療法を選択できるよう,病棟看護師として関わっていければという意識が高まっている.今回, 2009 年度透析導入した患者を対象に,情報提供の方法や選択への思いなどをアンケートで調査した.その結果を ここに報告する. メ モ 21 17.アニオンギャップ増大を伴う代謝性アシドーシス下では,血液ガス測定装置で得られる 血漿 CL 濃度は実測値よりも高くでる可能性が高い ○山本伸也,牧石徹也,前田咲弥子,小西 孝,廣瀬邦彦 大津赤十字病院 循環器科 【仮説】AG 上昇を伴う代謝性アシドーシス下では,血液ガス測定装置で得られる CL 濃度(pCL)は,同時に測 定した血清生化学検査で得られる CL 濃度(sCL)に比べ高値を示す. 【方法】pCL-sCL を dCL とし,これを血液ガス検査と血液化学検査が同一採血検体で提出された症例において各 病態下で比較検討した. 【結果】dCL は, pH ≧ 7.3 の群(n=47,0.91±1.8mEq/L)に対して,ケトアシドーシス群(n=6,8.8±4.6mEq/ L)で有意に高かった.pH < 7.2 群(n=22)における検討では,dCL 値は AG 値(sCL を使用)と有意な相関 を認めた. 【結論】AG 上昇を伴う病態では血液ガス測定装置で得られる CL 値は,実際の値よりの高く出る可能性が高く, AG を過小評価してしまう危険性があり,注意が必要である. 18.透析患者における網赤血球ヘモグロビン等量測定の臨床的有用性 ○有村徹朗,横幕由喜代 社会保険滋賀病院 腎センター 【目的】近年,網赤血球ヘモグロビン含有量(CHr)と同様に赤血球レベルでの鉄欠乏状態の把握に網赤血球ヘモ グロビン等量(RET-He)が注目されており,今回その臨床的有用性を評価した. 【対象および方法】維持透析患者 209 名(男性 83 名,女性 126 名)について RET-He,フェリチン,トランスフェ リン飽和率(TSAT) ,血算を同時測定した 2123 検体を対象とし RET-He との相関ならびに ROC 解析さらに日 本鉄バイオサイエンス学会指針から算出した総不足 Hb 鉄量との相関を検討した. 【結果】 1 )RET-He は TSAT,Ferritin,MCV と有意な正相関を認めたが,TSAT>20%,Ferritin>100ng/mL で傾斜は緩やかであった. 2 )ROC 解析では RET-He のカットオフ値は 29.8pg であり,感度 78%,特異度 65% であった. 3 )総不足 Hb 鉄量は TSAT と RET-He で有意な負の相関を認めた.(251 検体) 【結語】RET-He は普及した血球分析装置で測定が可能であり,リアルタイムな鉄欠乏状態把握に有用と思われた. 19.腎不全進行因子としての SAS の重要性 ○高木彩乃,八田 告,上野里紗,門 浩志,瀬川裕佳,澤田克徳 近江八幡市立総合医療センター 【背景】睡眠時無呼吸症候群(SAS)は心血管疾患などに高頻度に合併するが,腎不全患者でも SAS 有病率が高 いと報告されている. 【方法】当院で教育入院した 438 名のうち,SAS スクリーニングした連続 163 名の臨床的特徴,SAS 群における 腎不全進行速度,SAS と糖尿病との関係について解析した. 【結果】保存期腎不全患者の SAS 有病率は 62.6% で,SAS 群では BMI が高く,尿蛋白が多く,夜間高血圧であっ た.ESRD 移行率は SAS 群で高い傾向にあった.DM 群は非 DM 群と比較して蛋白尿が多く,夜間高血圧で SAS 合併率が高かった. 【考察】SAS による腎不全進行の機序として治療抵抗性の高血圧,低酸素血症と酸化ストレス,心不全増悪等が 考えられるが,大規模な研究報告は少ない. 【結語】SAS は腎不全悪化因子のひとつであることが検証された.今後,積極的に SAS スクリーニングを行い, 治療介入することで腎不全進行を予防できる可能性があると考えられる. 22 20.近江八幡市立総合医療センターでの腎移植,11 例についての報告 ○中村緑佐,秋岡清一,渡邊信之,奥川 郁,中野且敬,大坂芳夫,高橋 滋,土屋邦之,迫 裕孝 近江八幡市立総合医療センター 外科 2010 年 7 月現在,10 例の生体腎移植と 1 例の 屍体腎移植を実施した.レシピエントは,男性 4 人,女性 7 人, 移植時年齢は 23〜68 歳(平均 47.8 歳) ,原疾患はネフローゼ 1 例,糖尿病 4 例,慢性糸球体腎炎 6 例,術前の透 析期間 9〜242 ヶ月(平均 69.2 ヶ月) ,ドナーは,提供時年齢は 32〜67 歳(平均 51.5 歳),続柄は血縁者が 7 例, 非血縁者 4 例であった.献腎レシピエントは入院中であるが生体腎移植の全例は退院しその入院期間は 32−95 日 (平均 50.6 日)であった.術後の合併症は,耐糖能障害 2 例,ウイルス性腎症 1 例,CMV 感染症 4 例,急性拒絶 反応 1 例,創部し開 1 例,シャント閉塞 2 例,急性尿細管障害 1 例で,1 例に尿路系合併症に対して再手術行った. 退院後の術後の観察期間は 67−963 日(平均 480.1 日)で血清 Cr 値 0.73−1.49(平均 1.07)mg/dl,蛋白尿(−) と経過は良好であった. 21.腎臓内科医による腹膜透析用カテーテル留置術施行の重要性 ○田中裕紀,西尾利樹 社会福祉法人恩賜財団済生会滋賀県病院 当院では 2004 年の透析センター開設当初より,内シャントは腎臓内科で作製し,CAPD カテーテルは外科に留 置を頼んでいた.しかしカテーテルトラブルが頻発し,他院での再挿入術依頼が多く認められた.トラブルが繰 り返される事により患者の QOL は低下し,看護師のモチベーションも下がってしまった.このため,腹膜透析 導入は避けたい,あるいは他院で手術をしてもらいたい,との意見が出るようになった.これでは,腎不全患者 の経時的な診療および看護が出来ないと判断し,2008 年より腎臓内科にてカテーテル留置術も施行することとし た.以後,カテーテルトラブルはなく,看護師のモチベーションも上がりチーム医療の中の重要な地位を担うま でになっている.CAPD カテーテル留置に関して,腹膜透析を管理する医師による手術が,カテーテルトラブル を防ぎ,在院日数の短縮や患者の QOL を維持できると考えられたため,若干の文献的考察を加えて報告する. メ モ 23 22.腎周囲膿瘍:透析患者の一例と,透析導入に至った一例 ○中澤 純,渋谷和之,清水真也,西村正孝 市立長浜病院 内分泌代謝腎臓内科 【症例 1】64 歳,女性 【主訴】淡血性帯下,右側腹部痛 【現病歴】関節リウマチ加療中の透析患者.淡血性帯下にて婦人科受診し,卵巣腫瘍疑われ腹部 CT 施行.再診ま での間に右側腹部痛出現.同 CT にて右腎皮膜下・尿管・膀胱内に fluid 認め,導尿にて 300ml の排膿・血尿を 認めた.処置後の腹部 CT にて右後傍腎腔に fluid と air を認め,右腎皮膜下膿瘍の rupture と診断. 【経過】膀胱還流・右腎皮膜下ドレナージ,抗生剤投与にて軽快. 【症例 2】84 歳,女性 【主訴】発熱,食欲不振 【現病歴】頸椎症性脊髄症にて 25 年間寝たきり,6 年前より神経因性膀胱にて膀胱カテーテル留置中の糖尿病患者. 発熱・食欲不振にて受診した際,膿尿・腎機能悪化認め,腎盂腎炎と診断. 【経過】腎盂腎炎・敗血症と診断.抗生剤投与にても膿尿改善せず,腹部 CT にて腎周囲膿瘍認め,ドレナージ開 始.経過中に無尿となり,透析導入しつつ,治療継続中. 23.慢性腎不全の急性増悪で発症した,アロプリノールによる DIHS の 1 例 ○北原孝宏 1),山本伸也 1),牧石徹也 1),前田咲弥子 1),小西 孝 1),廣瀬邦彦 1),遠藤雄一郎 2),吉川義顕 2) 大津赤十字病院 循環器科 1),同 皮膚科 2) 【症例】90 歳女性 【現病歴】10 日間続く全身倦怠感,食思不振を主訴に近医を受診し,慢性腎不全の急性増悪のため当院に緊急入 院した.腎不全に加えて高熱,皮疹,低血圧,肝障害,好酸球著増も認められたが,いずれも原因は特定できず, 内服薬を中止し連日の血液透析を開始した.DIC を併発したためヘパリンと新鮮凍結血漿の投与も行った.発症 6 週間前に前医で投与開始されたアロプリノールによる薬剤性過敏症症候群(DIHS)を疑ったが,その後徐々に 各所見が改善に転じて血液透析も離脱できたため,ステロイド投与は行わず,入院 42 日目に退院した.後にペア 血清にて抗 HHV6 IgG 抗体価の著明な上昇が認められ,DIHS の診断基準を全て満たした. 【結語】慢性腎不全の急性増悪と多臓器障害で発症した,アロプリノールによる DIHS の 1 例を経験した. 24.PEA をきたし死亡した一症例 ○渡辺 裕,種子礼子,岡橋由里子,増田聖司 わたなべ湖西クリニック 【目的】透析終了後に突然 PEA をきたし死亡した症例を経験した. 【症例】77 才の男性,糖尿病の基礎疾患あり.約半年前から ECG 上 ST 低下が出現,狭心症様症状の訴えがあっ たが,発作時の ECG(含む Holter ECG)変化は確認されず.1 ヶ月程前から透析後の倦怠感の訴えが強かった. 検査結果に異常なし.平成 21 年○月○日透析前から 100/-mmHg 前後の血圧低下あり,検査で貧血の急速な進行 を認めていた.透析終了後抜針・止血中に突然意識消失,頚動脈触知せず.モニター上正常 QRS,ST 上昇は認 めず.心エコーで大動脈解離・心嚢液貯留は否定.諸治療に抵抗,徐々にモニター上の QRS 幅が広くなり死亡 にいたった. 【考察】透析終了後に心筋気絶状態となり死亡にいたったものと判断.原因として,不明の出血・過除水による血 圧低下が冠血流量低下を促し相対的心筋虚血を誘発,心筋気絶にいたったものと考えた. 24 メ モ 25 25.浸透圧性脱髄症候群と横紋筋融解症を合併した著明な高 Na 血症の 1 例 ○桑形尚吾,加藤紀子,森田善方,磯野元秀 大津市民病院 内科 【症例】80 歳,男性.口渇と体重減少のため近医を受診し,HbA1c 8.9%で糖尿病と診断された.その後,食欲 低下とふらつき,全身脱力が出現し,傾眠傾向となったため緊急入院となった.血液検査で血糖値 304mg/dl,血 清 Na186mEq/l と高値であり,CPK は 24200IU/l まで上昇した.頭部 MRI では両側中小脳脚と脳幹に T2 と拡 散強調画像で高信号が認められた.輸液とインスリン治療により,電解質補正と血糖コントロールを行ない,徐々 に神経症状は改善した. 【考察】急速な低 Na 血症の補正によって生じる橋中心脱髄性症候群は,その他のさまざまな病態にも関連してい ることから最近では浸透圧性脱髄症候群と総称されている.本例は糖尿病性昏睡に続発した著明な高 Na 血症に より発症した浸透圧性脱髄症候群で,さらに横紋筋融解症を合併した稀な症例と思われ文献的考察を加え報告す る. 26.透析施行に苦慮したアミロイドーシスの一剖検例 ○森宗孝夫,山原康佑,出路奈緒子,金崎雅美,一色啓二,岩井 環,安田真子,坂口正芳,荒木信一, 杉本俊郎,宇津 貴 滋賀医科大学 腎臓内科 【症例】67 歳の女性. 【現病歴】 50 歳時に関節リウマチと診断.65 歳時に小脳梗塞にて当院神経内科に入院.蛋白尿を呈し(蛋白尿 6.5g/ gCr,1.2g/day) ,経内視鏡的腸組織生検にてアミロイド沈着を認め,関節リウマチによる AA アミロイドーシス と診断された.蛋白尿の原因は腎臓へのアミロイド沈着によるものと考えられた.内服治療にて一旦退院,1 ヵ 月後に胸部苦悶訴え救急搬送,急性心筋梗塞の疑いあるも,本人・家人の意向により心臓カテーテル検査含む侵 襲的治療を施行せず, 対症的に加療するも腎機能低下し腎不全に至り血液透析開始した.透析開始 7 ヵ月後に死亡, 剖検を施行した. 【考察】循環動態が不安定であり,重複する感染症にて,透析施行に苦慮した症例であった.腎臓を主に各臓器に おけるアミロイドの沈着と臓器障害の程度を剖検組織の結果とあわせて報告する. 27.二次性副甲状腺機能亢進症に副甲状腺癌を合併した 1 例 ○北村直美,杉山朋大,金井俊平,長門 優,谷口正展,岡内 博,中村一郎,中村誠昌,下松谷 匠, 丸橋和弘 長浜赤十字病院 外科 症例は 60 歳代男性.昭和 50 年から慢性腎不全に対し当院で血液透析を導入.当院での夜間透析終了に伴い他院 で血液透析を施行されていた.以前より二次性副甲状腺機能亢進症を指摘され手術を勧められていたが拒否.内 服加療を行うも改善傾向なく平成 22 年 5 月手術目的で当院紹介受診となった.術前検査で副甲状腺右上腺と左上 腺は約 10mm 大右下腺は約 25mm 大に腫大していた.平成 22 年 7 月手術を施行.術中迅速病理検査の結果副甲 状腺右下腺は癌であるとの診断であったため副甲状腺右下腺腫瘍摘出術,副甲状腺右上腺,左上腺摘出術および 甲状腺右葉切除術を施行した.副甲状腺左下腺は腫大しておらず同定することができなかった.術後軽度嗄声を 認めたが他に合併症を認めず軽快退院となった.以後近医にて経過観察中である.二次性副甲状腺機能亢進症に 合併する副甲状腺癌は極めて稀な疾患であるので若干の文献的考察を加え報告する. 26 メ モ 27 28.シャント管理におけるシャントエコーの有用性 ○水口泰智 1),安田和弘 2),朴 勺 2),下中克仁 1),古川 修 1),上田貴司 1),浦岡真季 2),佐山晴美 2),清水省三 1), 河村彰文 1),西村崇志 1) 医療法人弘英会 琵琶湖大橋病院 1),同 透析センター 2) 【はじめに】シャント管理におけるシャントエコーの有用性を検討したので報告する. 【方法】2009 年 1 月〜 2010 年 6 月までの 18 ヵ月間にシャントエコーを行った透析患者の中で,シャント PTA に 移行した 51 症例を対象とし,シャント PTA 成功率,再狭窄率を算出し検討した. 【結果】シャント PTA40 名中,38 名が成功し,2 名に関しては開存せず再造設を行った.シャント PTA 後の再 狭窄についても 40 名中,再狭窄が 8 名,血栓閉塞が 1 名認められた. 【考察】シャントエコー検査により,シャントの狭窄が早期に発見でき,シャント PTA に移行しても成功率が 95.0%であった.定期的にシャントエコーを行うことによって PTA 成功率が上がり,シャント閉塞を防ぐと期待 でき,シャント再造設を回避することができると考える. 【結語】シャントエコーはシャント管理,シャント PTA 症例において有用な検査であると思われた. 29.シャント穿刺情報共有シート作成によりスタッフの穿刺への不安軽減への試み ○奥谷昌則,藤井翔太,吉田めぐみ,古川加生里,中川佐由美,長谷行洋 彦根市立病院 血液浄化センター 【目的】当院ではシャント血管に対する情報の共有は透析記録や患者ワークシートで行っている.しかし,記録の 点在化やスタッフが個々に持っている情報の共有不足のためシャント穿刺に対して不安要因となっている.そこ で,新たにシャント穿刺情報共有シート(以下穿刺シート)を作成しスタッフのシャント穿刺への不安軽減に繋 がるか検討した. 【方法】従来使用している患者ワークシートのほかに,シャントに関する情報を共有できるように穿刺シートの作 成を行い導入前後でスタッフにアンケート調査を行った. 【結果】アンケートの結果ほとんどのスタッフで以前に比べ不安が軽減またはやや軽減した.写真を採用したこと で,血管走行などシャントのイメージがしやすくなり,視覚的に訴えられた事や,他のスタッフの情報を共有す ることができ不安の軽減に繋がった. 【結語】シャント穿刺情報共有シートは穿刺時の不安の軽減に有用である 30.当施設におけるシャント管理について〜シャント PTA 後のエコー検査を継続して〜 ○古川尚子 1),北川洋子 1),大林望美 1),水谷 稔 1),岩泉乃生子 1),辻 理恵子 1),佐川壱子 1),田中正義 1), 浜 幸美 1),作本仁志 2),永作大輔 2) 医療法人友仁会 友仁山崎病院 透析センター 1),同 内科 2) 【目的】 シャント PTA 後のエコー検査は, シャント管理に対するフォローアップ検査として有用であるか検討する. 【方法】2006 年 9 月より 2009 年 8 月の期間でシャント PTA 施行歴のある当院維持透析者 35 名に対し,3 ヶ月前 後のエコー検査の結果,透析者の反応について調査. 【結果】エコー検査を実施することで再狭窄の早期発見,治療へと繋げることが出来た. 【考察】エコー検査は非侵襲的,簡便なため,透析者が受け入れやすく,スムーズに検査を施行し,狭窄や閉塞に 対するシャントトラブルの早期発見に繋げられたと考えられる.また,スタッフはエコー検査の画像を視覚,聴覚, 触覚の感覚と組み合わせることでより個々のシャントの理解が深められ注意深く観察できると思われた. 【結語】エコー検査は狭窄,閉塞の早期発見とシャント管理に対するフォローアップに有用であると示唆された. 28 メ モ 29 滋賀腎・透析研究会発足当時の回想 30 周年を迎えて 滋賀医科大学名誉教授 財団法人豊郷病院名誉院長 友吉 唯夫 31 新設医大の滋賀医大泌尿器科学講座に私が着任したのが 1978 年 4 月でしたが、 直ちに付属病院の開院に向けての準備が始まり、当時の中村恒男院長(副学長)か ら透析部の部長になるように求められました。ちょうど開院時に発令された病院講 師の1人細川進一君は、京大で澤西謙次先生の指導下に血液透析療法の研究と臨床 に従事していたので、滋賀医大着任後も透析部づくりに協力してくれました。 その透析療法への関心は並々ならぬものがあり、南カリフォルニア大学(San Diego)のヘンダーソン教授のところへ短期留学もしました。このヘンダーソン教 授はのちに滋賀腎・透析研究会に招いて特別講演をしてもらっています。 さてこの細川君が私に研究会をつくるよう熱心に奨めたのでありました。なんで も滋賀県内で透析療法に従事している先生がたからの強い要望と、滋賀医大への期 待が届いているということでした。それではひとつ始めてみましょうかということ になって、第 1 回の研究会を開催したのが 30 年前の 1980 年でした。 当時の滋賀県にはまだ適当な会場もなく、滋賀医大の臨床講堂でおこない、特別 講演は京大人工腎臓室の澤西謙次先生にお願いしました。この澤西先生からは透析 部開設にさいしていろいろと個人的にアドバイスをもらっていましたし、非常勤講 師もつとめていただきました。まさに人生を血液浄化学に捧げたような人で、日本 におけるパイオニア的存在でしたし、1984 年には日本透析学会会長をつとめられ ました。ことし 2010 年 2 月 16 日、肺がんのために 78 歳で他界されたのは惜し まれます。 研究会発足時に、名称をどうするかは悩みのひとつでした。たんに透析だけの 32 研究会というのでは魅力が乏しいし、人も集まらないであろうということで、腎臓学 (nephrology)を加えることにしました。腎と透析のあいだの点(・)は重要な役目をもっ ているのです。というのは学会でも認められていない「腎透析」という慣用語が存在し たからです。これは腎機能の代償としての透析療法を意味し、ほかの肝不全や中毒症に 対しておこなわれる血液浄化療法と区別することばだったのです。 そのご 30 年のあいだに当研究会は歴代会長先生のご尽力と関係の皆さまのご協力に より発展的に継続して今日を迎えたことは、研究会の創設にかかわった者の一人として、 感謝以外に何もありません。さらに次のふし目の 50 周年に向けて 1 年 1 年を着実に進 んでいただきたいと願っております。 33 第 1 回~31回 滋賀腎・透析研究会 会長 総会会場 年月日 参加人数 演題数 特 別 講 演 第1回 友吉唯夫 琵琶湖ホテル ’ 80. 7.27 132 17 澤西謙次 先生(京都大学) 演題:急性腎不全の透析 第2回 〃 さざなみ荘 ’ 81. 9. 6 127 12 細川進一 先生(滋賀医科大学) 演題:米国における透析療法の現況 第3回 〃 滋賀医科大 ’ 82.10.10 99 11 ヘンダーソン先生(カリフォルニア大学) 演題:Hemofiltration in the Control of Hypertension in Patients with End Stage Renal Disease 第4回 繁田幸男 滋賀会館 ’ 83. 9.11 115 12 武内重五郎 先生(東京医科歯科大学) 演題:腎臓の病気 第5回 〃 〃 ’ 84. 9. 9 114 12 阿部 裕 先生(国立大阪病院) 演題:慢性腎不全について 第6回 〃 大津市民会館 ’ 85. 8.25 90 11 杉野信博 先生(東京医科歯科大学) 演題:我が国における透析療法の推移と現況 第7回 西尾利二 〃 ’ 86. 9.14 120 14 繁田幸男 先生(滋賀医科大学) 演題:糖尿病性腎症をめぐって 第8回 〃 〃 ’ 87. 8.23 90 9 友吉唯夫 先生(滋賀医科大学) 演題:腎臓の癌について 第9回 〃 〃 ’ 88. 9.11 117 11 中根佳宏 先生(滋賀医科大学) 演題:腎移植の現況 第10回 原 慶文 ビワコツーリスト ホテル ’ 89. 9. 3 146 11 秋葉 隆 先生(東京医科歯科大学) 演題:CAPDと社会復帰 第11回 〃 打出浜会館 ’ 90. 9. 2 151 15 飯田喜俊 先生(大阪府立病院) 演題:透析導入時の病態及び患者管理 第12回 〃 大津市民会館 ’ 91. 9. 1 137 18+P1 前田憲二 先生(名古屋大学分院) 演題:よりよい透析に向けて 第13回 澤田克徳 滋賀県立 婦人センター ’ 92. 9. 6 164 15+P3 小野利彦 先生(桃仁会病院) 演題:質のよい透析とは 第14回 〃 〃 ’ 93. 9. 5 174 20+P2 栗山 学 先生(岐阜大学) 演題:CAPDとQOL 第15回 〃 〃 ’ 94. 9. 4 186 23+P3 吉川隆一 先生(滋賀医科大学) 演題:糖尿病性腎症 35 会長 総会会場 年月日 参加人数 演題数 特 別 講 演 第16回 澤田克徳 滋賀県立 婦人センター ’ 95. 9. 5 210 34+P1 第17回 朴 勺 〃 ’ 96. 9. 8 239 28 友吉唯夫 先生(滋賀医科大学) 演題:わかりやすい腎の嚢胞性疾患について 第18回 〃 滋賀県立 女性センター ’ 97. 8.31 259 28 段野貴一郎 先生(滋賀医科大学) 演題:透析患者の皮膚掻痒症について 第19回 吉川隆一 〃 ’ 98. 9. 6 262 30 川口良人 先生(東京慈恵医科大学) 演題:克服すべき透析合併症 第20回 〃 〃 ’ 99. 9. 5 262 18+P1 下条文武 先生(新潟大学) 演題:透析患者のアミロイド骨・関節病変と その対策 第21回 中根佳宏 〃 ’ 00. 9. 3 266 23+P3 吉村了勇 先生(京都府立医科大学) 演題:腎移植の現況と将来展望 第22回 〃 〃 ’ 01. 9. 2 278 30 斎藤 明 先生(東海大学) 演題:透析技術の現況と21世紀の展望 第23回 有村徹朗 草津市立 サンサンホール ’ 02. 9. 1 293 27 竹澤真吾 先生(鈴鹿医療科学大学) 演題:透析スタッフのための最新のHDF療法 第24回 〃 ピアザ淡海 ’ 03. 9. 7 343 31 原 茂子 先生(虎の門病院) 演題:長期透析例の合併症 -病態と管理- 第25回 〃 〃 ’ 04. 9. 5 363 31 羽田勝計 先生(旭川医科大学) 演題:糖尿病性腎症の現状と対策 -透析療法を回避するために- 第26回 岡田裕作 〃 ’ 05. 9. 4 345 26 東原英二 先生(杏林大学) 演題:多発性嚢胞腎 -最近の知見と治療展望- 第27回 〃 〃 ’ 06. 9. 3 303 22 古家大祐 先生(金沢医科大学) 演題:メタボリックシンドロームと血管合併症 第28回 宇津 貴 〃 ’ 07. 9. 2 309 26 平方秀樹 先生(福岡赤十字病院) 演題:透析患者における脳の問題 白井大禄 先生(大阪厚生年金病院) 演題:血液透析と水・電解質 第29回 〃 〃 ’ 08. 9. 7 306 29 春木繁一 先生(松江青葉クリニック) 演題:糖尿病性腎症の患者さんたちの心理 -ことに怒りや攻撃 第30回 丸橋和弘 〃 ’ 09. 9. 6 350 36 鈴木正司 先生(信楽園病院) 演題:腎性貧血をめぐる最近の話題 第31回 〃 〃 ’ 10. 9. 5 30 佐中 孜 先生(東京女子医科大学 東医療センター) 演題:透析患者の栄養管理 ~ガイドラインのピッツフォール~ 36