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一般市民からみた看護師の茶髪許容度

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一般市民からみた看護師の茶髪許容度
一般市民からみた看護師の茶髪許容度
山田眞佐美 (看護部 6 階南病棟)
要旨
一般市民と病院職員を対象に、茶髪に対する印象やどの程度までなら許容範囲であるかを調査した。茶髪の
印象は、「目立つ」が 72.1%,「清潔」「やさしい」「信頼できる」は 20%代,「まじめ」は 11.0%であった。病院職員と
一般市民の許容度には有意差が認められ、一般市民の 60 歳代以上の約 6 割は黒に近い茶髪がよいと回答した。
キーワード
茶髪 身だしなみ 許容度
緒言
色を中程度の茶髪,D・E の色を黄色に近い強い茶髪
筆者らが 2000 年に公立病院看護師 380 名を対象
(以下強い茶髪)とし,髪の色を変えないほうがよいから
に実施した調査(以下前回調査)では,茶髪は明るく
B の色までならよいと答えた者を茶髪否定派(以下否
陽気にみえるが,まじめ・信頼できるといったイメージ
定派),C までならよいと答えた者を茶髪中間派(以下
は低下し,対象者の年代が高くなるにつれ,茶髪を否
中間派),D・E までならよいと答えた者を茶髪肯定派
定的に見る傾向があることを報告した1).今や老若男
(以下肯定派)と分類し,職員と一般で比較した.検定
女問わず一般化したように見える茶髪であるが,現在
はχ2 検定を用いp<0.05 を有意差ありとした.調査は
も,医療従事者の茶髪は良くないという意見が施設に
2007 年 4 月~8 月の間に,職員に 7 日間,一般に 3
寄せられることもある.身だしなみを整えることは患者と
日間行った.
の信頼関係を築く基本である.病院職員への接遇教育
に活用するため Evidence に基づく指針を再度求める
ことにした。
結果
質問紙の回収数は,職員 537,一般 346,合計 883
であった.対象の属性は,職員は男性 130 名,女性
対象と方法
407 名,年代は 30 歳代が 174 名と最も多く,20 歳代は
R オートシェイプの書
前回調査で Microsoft Word○
160 名,40 歳代が 113 名,50 歳代が 69 名,60 歳代
式設定→塗りつぶしの色→その他の色→ユーザー設
以上が 18 名,不明 3 名であった.職種は看護師が最
定より色彩情報を調整して作成した茶髪の 5 段階色見
も多く 290 名,コ・メディカル 77 名,医師 70 名,事務職
本 (表1)を基に,理容美容専門学校の協力を得て,
員 54 名,その他の職種 46 名であった.一般は男性
同じ顔・髪型のマネキン人形 5 体を作成,髪色 A~E と
94 名,女性 252 名,年齢構成は 60 歳代以上が 189
した.
名と最も多く,40 歳代が 49 名,50 歳代が 48 名,30 歳
公立の健康診断施設を利用する職員と一般を対象
代 35 名,20 歳代以下 20 名,不明 5 名であった.茶髪
に,同施設に髪色 A~E を展示し,自由意志で同意を
ときいて思う色は D が 46.1%,E が 32.5%,C は 17.1%,
得られた者に,無記名自記式質問紙調査を実施した.
B は 1.3%,A は 1%未満であった.茶髪にしている人
質問内容は茶髪ときいて思う色,茶髪の印象,許容度
を見た時の印象は「目立つ」が 72.1%と最も多く,「清
などとした.
潔」「やさしい」「信頼できる」は 20%代で,「まじめ」は
茶髪許容度は髪色 A~E に「髪の色を変えないほうがよ
最も低く 11.0%だった.看護師への茶髪許容度は、職
い」を加えた 6 段階で尋ね,単一選択式の回答とした.
員では C の色までなら許容できるが 56.6%と最も多く,
A・B の色を黒髪に近い弱い茶髪(以下弱い茶髪),C の
D までが 17.5%、Bまでは 11.2%,変えないほうがよい
が 6.7%,E までは 4.7%,A までは 1.5%,不明 1.9%
ことをふまえ,自施設を利用する対象者の年代や時代
であった.一般では,C までが 36.7%,B までが 21.7%,
背景を考慮して,専門職業人としてふさわしい身だし
変えないほうがよいが 20.2%,A・D までは共に 8.1%,
なみを実践することを提案する.
E までは 5.2%であった.一般のほうが否定派の割合
が有意に高く 50%に上った.職員では,年代が上昇
謝辞
するにつれ否定派が有意に高くなり,60 歳代以上は
対象施設関係者の皆様,NPO 法人関西骨髄バンク
52.9%に上った.20 歳代~50 歳代は中間派が最も多
推進協会のスタッフの皆様,ヘアラルト阪神理容美容
かった.一般は 20 歳代以下の半数,60 歳代以上の半
専門学校理事長 半田まゆみ様・美容科科長 鈴木
数以上が否定派であったが、年代別の有意差は認め
良子様・美容科 06 期生の皆様,これらの皆様に多大
られなかった.職員と一般で同年代の許容度を比較
なご協力をいただきました.心より感謝申し上げます.
すると,40 歳代までは一般のほうが否定派の割合が有
意に高かった(p<0.05).50 歳代は職員・一般とも中
本研究結果の発表:山田眞佐美・米谷陽子他:一般
間派が最も多かった.
市民からみた看護師への茶髪許容度―,第 39 回日
本看護学会論文集,看護総合,p.230~232,2009.
考察
茶髪ときいて強い茶髪を思い浮かべる職員は,前回
山田眞佐美:ナースの茶髪,どこまで OK? 化粧文化,
№42,p.89-92,ポーラ文化研究所,2002.
調査の 59.5%から 80.0%に増加し,弱い茶髪を茶髪と
山田眞佐美・宮本ありさ他:看護学生の茶髪はどこま
思う職員は,10%から 1.7%に低下した.茶髪にしている
で許せるか?―看護職員へのイメージ調査より―,第
人を見た時の印象で,前回調査と肯定回答者の割合が
32 回日本看護学会論文集,看護教育,p.104~106,
ほぼ同じであったのは「目立つ」だけであり,前回調査で
2001.
は対象者の 82.5%が「明るい」と答えたのに対し,今回
の調査では「目立つ」が 72.1%と最も多く,「明るい」「清
文献
潔」「やさしい」「信頼できる」「まじめ」といった項目を肯
1)
山田眞佐美・宮本ありさ他:看護学生の茶髪はど
定する割合は低下した.茶髪の基準はより明るくなった
こまで許せるか?―看護職員へのイメージ調査よ
が,茶髪のイメージは低下してきたといえそうである.看
り―,第 32 回日本看護学会論文集,看護教育,
護師への茶髪許容度では,前回調査と同様,職員で
p106,2002.
は年代が高くなるにつれ,茶髪を否定的に見る傾向が
2) 駒井初香・佐藤とみ子:看護師の茶髪の印象と許
有意に高くなり,60 歳代以上は職員・一般の差はなく
容度-患者と職員の立場からの比較-, 第 34
否定派が半数以上を占めた.一方で 50 歳代は職員・
回日本看護学会論文集,看護総合,p71,2004.
一般ともに中間派が最も多く比較的ゆるやかな見方を
している.1990 年代に入り,ヘアマニュキュア,カラー
リンスなどのヘアケア製剤が普及し,白髪染め以前の
いわゆるおしゃれ染め世代が,自己表現の手段の一
つとして手軽に髪の色を変えるようになった.現在 50
歳代は,自分自身もおしゃれ染めを経験した世代であ
り,おしゃれ染め文化の有無が 60 歳代との意識の差
につながったのではないかと考える.今や茶髪は当た
り前の時代であるが,看護師の茶髪は一般市民,特に
60 歳代以上の高齢者は抵抗を覚える人が多いという
表1
茶髪の色見本
A
B
C
D
E
濃いこげ茶色
こげ茶色
茶色
薄い赤茶色
黄茶色
21
21
14
21
34
255
255
255
255
255
明るさ
33
51
77
100
128
赤
66
102
153
200
255
緑
33
51
51
100
204
青
0
0
0
0
0
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