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ノンポイント汚濁源からの降雨時負荷流出に関する調査および考察
ノンポイント汚濁源からの降雨時負荷流出に関する調査および考察 パシフィックコンサルタンツ(株)○上原 浩、湯浅 農林水産省 合屋 千葉県 千代 慎一、東條 孝夫、長峰 岳史 善之 史恵 The Field Investigation of Pollutant Loads from Nonpoint Source during Rain Events, by Hiroshi UEHARA, Takashi YUASA(PACIFIC CONSULTANTS CO.,LTD.), Yoshiyuki GOYA(The Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries of Japan), Shinichi CHIYO, Takao TOJO, Fumie NAGAMINE(Chiba Pref.Govt.) ※市街地化率(%) :不浸透域の指標として算出 市街地面積+住宅地面積×0.5+道路面積 = ×100 集水面積 住宅の建ぺい率を50%と設定 図-1 調査流域 2 3 1.5 比流量(m /s/km ) 2 ①市街地 2003年1月23日 総降雨量14mm 時間最大4mm/hr ④住宅地 ⑨山林 ⑪緑地・公園 4 8 1 12 0.5 16 0 6:00 降雨量(mm/hr) 0 2.5 20 8:00 10:00 12:00 14:00 16:00 18:00 20:00 比COD負荷量(g/s/km ) 図-2(a) 比流量の変化(各土地利用につき代表 1 地点を示す) 2 30 25 20 15 10 5 0 6:00 8:00 10:00 12:00 14:00 16:00 18:00 20:00 図-2(b) COD 比負荷量の変化(各土地利用につき代表 1 地点を示す) 500 COD 20 max4930 T-P max285 max180 400 15 300 g/ha/日 g/ha/日 1. はじめに 本研究では、正確に見積もることが困難であるノンポイ ントソースからの汚濁負荷の流出の特性を把握し、また定 量的に見積もるため、千葉県北部に位置し、水質汚濁の進 んでいる印旛沼の流域を対象として、降雨時にノンポイン トソースから流出する流出量および流出負荷量の現地調査 を実施した。 2. 現地調査 調査の対象とする土地利用を市街地、住宅地、山林、緑 地・公園とし、調査流域はなるべく土地利用が一様で、数 ヘクタール程度の広さをもつ流域を計 11 地点選定した (図 -1) 。調査は、同じ降雨で 11 地点同時に実施し、各流域の 末端の水路内で実施した。調査項目は、流量および COD、 T-N、T-P とした。 3. 結果および考察 3.1 降雨時の負荷流出特性 図-2(a)、(b)に比流量・比負荷量の変化を示す。降雨に対 して市街地、住宅地では流量のピークは現れるが、山林、 緑地・公園では明確なピークが現れていない。また、ピー ク時の比流量の大きさは市街地で最も大きく、以下順に、 住宅地、緑地・公園、山林となっている。また、COD 比負 荷量の変化についても、 比流量と同様の傾向を示している。 このことから、市街地や住宅地のように不浸透域が多いと 表面流出が多くなり、これに伴って負荷量も大きくなる。 逆に、山林、緑地・公園のように浸透域が多いと表面流出 が少ないため、負荷量も少なくなることが考えられる。 3.2 既往原単位との比較 本調査結果から得られる調査流域ごとの原単位と、既往 の知見や検討等で用いられている原単位との比較を図-3 に 示す。 なお、 市街地等には本調査の土地利用のうち市街地、 住宅地、緑地・公園が含まれる。本調査での原単位は、既 往の原単位の範囲内にあるが、山林や住宅地では、同一の 土地利用であるにも関わらずばらつきが大きい。 また、 本調査の原単位と既存の湖沼水質保全計画 (以下、 湖沼計画)策定時に使用された原単位を比較すると、山林 では 3 地点のうち最小であった調査流域と同程度の値とな っている。また、湖沼計画での市街地等の原単位は本調査 での住宅地とほぼ同じであったが、本調査での市街地では、 約 3 倍大きい値となった。 4. おわりに 本研究は、冬季の 1 降雨での調査結果をまとめたものであ る。このため、季節の違い、降雨強度の違いを考慮すること 200 凡 例 ●▲× :本調査での原単位 市街地等での記号 ●:市街地 ▲:住宅地 ×:緑地・公園 10 □ 5 100 0 0 山林 市街地等 山林 :印旛沼第4 期湖沼水質保 全計画での原単位 :既往の知見・文献での原 単位(最大、最小、平均) 市街地等 図-3 原単位の比較 ができていないため、今後調査データを蓄積し、さらに検討 を進める必要がある。 謝辞 本研究をまとめるにあたり、小林節子氏(イーハトーブの会)なら びに松丸恒夫氏(千葉県農業総合研究センター)にご助言をいただ いた。ここに記し、深く感謝いたします。