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【脳外】
【脳外】 1) 大きな未破裂動脈瘤の圧迫により眼瞼下垂、散瞳、すべての眼球運動の麻痺を来たすことがある。どの脳神経の 障害によるものか正しい組み合わせを選択せよ。 a:Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ b:Ⅲ、Ⅳ、Ⅵ c:Ⅱ、Ⅲ、Ⅵ d:Ⅲ、Ⅴ、Ⅵ e:Ⅱ、Ⅲ、Ⅴ 解答 b 解説: Ⅲの障害→内直筋・上直筋・下直筋・下斜筋×、上眼瞼挙筋×(→眼瞼下垂)、 瞳孔括約筋×→散瞳 Ⅳの障害→上斜筋× Ⅵの障害→外直筋× 2) 脳神経障害について正しいものを1つ選べ。 a:舌下神経麻痺では舌を突出させると健常側に曲がる b:外転神経麻痺では眼球は外転している c:三叉神経障害では運動麻痺は起こらない d:顔面神経麻痺では味覚の低下は起こらない e:舌咽神経、迷走神経麻痺ではカーテン徴候が生じる 解答 e 解説: a:舌筋の運動障害により、障害側に偏位する。 b:外直筋の運動障害により、内転する c:三叉神経は痛覚・触覚・温度覚のみ d:舌の神経支配は、前 2/3 の味覚は顔面神経、知覚は三叉神経。後 1/3 は味覚・知覚ともに舌咽神経。 e:舌咽神経、迷走神経は咽頭の運動を支配している。 3) Wallenberg 症候群(延髄外側症候群)で見られるもので謝っているものを1つ選べ。 a:同側顔面の温痛覚障害 b:対側の小脳症状 c:同側の Horner 症候群 d:対側頚部以下の温痛覚障害 e:嚥下障害 解答 b 解説: Wallenberg 症候群は椎骨動脈のうち延髄外側を潅流する枝が侵された場合に生じる。 同側 顔面温痛覚麻痺 ←三叉神経脊髄路核× 球麻痺 ←舌咽・迷走神経核× Horner 徴候 ←交感神経下行路× めまい ←前庭神経核× 小脳症状 ←下小脳脚× 対側 頚から下の温痛覚麻痺 ←脊髄視床路×(延髄の下方で交叉しているので対側に症状出現) 4) 動眼神経支配筋はどれか。 1) 下斜筋 2) 上斜筋 3) 外直筋 4) 下直筋 5) 上直筋 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 c 解説: 2)上斜筋は滑車神経支配 3)外直筋は外転神経支配。 5) 髄膜刺激症状として正しい組み合わせを1つ選べ。 1) 項部硬直 2) Kernig 徴候 3) Babinski 徴候 4) Wartenberg 徴候 5) Brudzinski 徴候 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 b 解説: 1)項部硬直:STEP(神経)P.155 2)Kernig 徴候:STEP(神経)P.155 3)Babinski 徴候:錐体路徴候。 4)Wartenberg 徴候:錐体路徴候。検者と被検者が4本の手指で引っ張り合うと、正常では母指はほとんど動か ないが、錐体路障害があると母指が著しく内転・屈曲する。 5)Brudzinski 徴候:髄膜刺激症状。仰臥位の患者の頭を受動的に屈曲させると、股関節と膝関節に自動的な屈 曲がおこる。小児に出やすい。 6) 記憶に関与する構造物で正しいものはどれか。 1) 海馬 2) 嗅皮質 3) 扁桃体 4) 前脳基底部 a:1)3)4)のみ b:1)2)のみ c:2)3)のみ d:4)のみ 解答 e 解説: 7) 次の失語のうち復唱が不良なものはどれか。 1) 全失語 2) 健忘失語 3) ブローカ失語 4) ウエルニッケ失語 a:1)3)4)のみ b:1)2)のみ c:2)3)のみ d:4)のみ e:1)~4)のすべて e:1)~4)のすべて 解答 a 解説: 2)失名性失語ともいい、換語困難を特徴とする。他の言語機能には異常を認めない。(STEP 神経 p.116) 8) 中脳に神経核が存在するのはどれか。正しい組み合わせを選べ。 1) 外転神経 2) 動眼神経 3) 滑車神経 4) 顔面神経 5) 前庭神経 a:1)2) b:1)5) c:2)3) d:3)4) e:4)5) 解答 c 解説: 脳幹における神経核の存在部位は、中脳・・・Ⅲ・Ⅳ、橋・・・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ、延髄・・・Ⅸ・Ⅹ・Ⅺ・Ⅻ 9) 脊髄病変と知覚障害の組み合わせが正しいものはどれか。 1) Brown-Sequard 症候群 ――同側の温痛覚低下 2) 髄内病変 ――sacral sparing 3) 脊髄空洞症 ――解離性知覚障害 4) 円錐・馬尾病変 ――saddle anesthesia(騎跨状知覚脱失) 5) 後根 ――位置覚障害 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 d 解説: 1)脊髄の片側が侵された状態。温痛覚の伝導路(外側脊髄視床路)は障害レベルよりも下方で交叉するので、 対側の温痛覚障害が出現する。(STEP 神経 p.83) 2)髄内病変の場合、進行しても仙髄領域は侵されにくい。これを仙髄回避 sacral sparing という。(ベッドサイドの神経の診かた p.198、 朝倉内科(神経)p.1940 図 15-13) 3)伝導路が中心管のすぐそばを通っている温痛覚が侵され、離れている深部感覚は侵されない。 4)円錐は L3~L5 と尾髄からなり、馬尾は L2 以下の神経根の集合である。また下肢筋の大半は第2仙髄以下か らは支配をうけない。よって肛門部周囲の感覚消失(saddle anesthesia)がおこる。 6) 後根の障害では全感覚の障害がおこる。位置覚の障害は後索の障害でおこる。 7) 10) 錐体路障害でみられる徴候の組み合わせはどれか。 1) Babinski 徴候陽性 2) クローヌス出現 3) 腹壁反射亢進 4) 振戦 5) 深部腱反射低下 a:1)2) b:1)5) c:2)3) d:3)4) e4)5) 解答 a 解説: 3)正常で出現。錐体路障害では消失する。 11) 頭蓋内圧亢進によって生じるものとして謝っているものを1つ選べ。 a:頭痛 b:頻脈 c:嘔吐 d:うっ血乳頭 e:血圧上昇 解答 b 解説: 頭蓋内圧亢進に伴い血圧上昇と除脈がみられる。(Cushing 現象) 12) 意識障害の評価法(3-3-9 度方式)について謝っているものを1つ選べ。 a:普通の呼びかけで容易に開眼するのは 20 である b:覚醒しているが自分の名前、生年月日が言えないのは 3 である c:痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼するのは 30 である d:刺激をしても覚醒しないが痛み刺激に対してはらいのける動作をするのは 100 である e:覚醒しているが見当 識障害を認めるのは 2 である 解答 a 解説: a:この文章は 10。20・・・大きな声または体を揺さぶることにより開眼する。 13) 法的脳死判定について、正しい組合わせはどれか。 1) 12 歳未満の小児は判定対象から除外する 2) 脳死判定には、2 名以上の医師で行い、6 時間後も同所見であることが必要である 3) 脊髄反射、脊髄自動反射は脳死でも認められる 4) 脳死の前提条件として、原疾患が確実に診断されていなければならない 5) 収縮期血圧は 90mmHg 以下の例が対象となる a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 d 14) 正しいものはどれか。 1) 失外套症候群は、脳幹部の障害で起こる 2) 無動性無言症では、意思の疎通はないが、注視、追視が保たれている 3) とじこめ症候群では、意識は保たれ、開閉眼で意思の疎通が可能である 4) 通過症候群では、自発性喪失、感情不安定等になるがいずれも可逆的である 5) 遷延性植物状態では、睡眠・覚醒サイクルは区別されない a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 d 解説:STEP 神経 p.96~98 1)広範な大脳皮質および白質の障害による。 4)意識混濁から回復する際に、臨床的には意識が清明になった後もしばらく意欲の低下した状態などが続くこ とがある。通常6週間以内に正常状態に回復する。 6) 失外套症候群と無動無言症を合わせて遷延性植物状態という。両者とも睡眠と覚醒の区別は保たれる。 15) 片頭痛について正しいものはどれか。 1) 男性に多い 2) 流涙、鼻汁を伴うことが多い 3) 頭痛の持続時間は数分である 4) 古典的片頭痛とは、“ジグザグ光が見える”等の前兆があるものをいう 5) 片側性、拍動性の頭痛である a:1)2) b:1)5) c:2)3) d:3)4) e:4)5) 解答 e 解説: 1)2)は群発頭痛の特徴 3)片頭痛の持続時間は数時間~半日。群発頭痛は 30 分~2時間 4)片頭痛は前兆のあるものとないものがあり、特に典型的な前兆(閃輝暗点)があるものを古典的片頭痛とい う。 16) 三叉神経痛について正しいものはどれか。 1) 典型的な三叉神経痛は、片側顔面の電撃痛である 2) 歯磨きや、洗顔で痛みが誘発される 3) ボツリヌス毒素の局注が有効である 4) 星状神経節ブロックが有効である 5) 痛みの発生機序として、第 7 神経の起始部での血管による圧迫があげられる a:1)2) b:1)5) c:2)3) d:3)4) e:4)5) 解答 a 解説: 1) 電撃痛は 1 分以内に消失する。三叉神経第 2・3 枝領域におこる。 2) Ⅴ2、Ⅴ3 の顔面への出口付近の圧迫、寒冷刺激、摂食時の下顎の運動などで誘発される。 17) 正常成人のおよその髄液産生量はどれか。 a:300ml/day b:500ml/day c:1000ml/day d:1500ml/day e:2000ml/day 解答 b 18) 頭部正面単純写真で見えるものはどれか。 1) 上眼窩裂 2) 内耳道 3) 正円孔 4) 卵円孔 5) 視神経管 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 a 19) 頭部単純 CT 像で適切な組み合わせはどれか。 1) 側脳室壁石灰化像・・・・von Recklinghausen 病 2) 鞍上部石灰化像・・・・・頭蓋咽頭腫 3) 松果体部石灰化像・・・・奇形腫 4) 小脳石灰化像・・・・・・胚芽腫 5) 内耳道拡大像・・・・・・星細胞腫 a:1)2) b:1)5) c:2)3) d:3)4) e:4)5) 解答 c 解説: 1) 脳室壁石灰化像は上衣腫にみられる。Von Recklinghausen 病のうち、NF-1 では視神経膠腫が、NF-2 では 聴神経鞘腫が好発する。 2) 頭蓋咽頭腫の特徴:皿上トルコ鞍(saucer-like sella)、鞍上部の石灰化 3) 奇形腫の好発部位は松果体と鞍上部。 4) 聴神経鞘腫でみられる。星細胞腫は単純 CT では低吸収域となる。 20) 以下の病変における単純 MRI 所見のうち正しいものはどれか。 1) 急性期脳梗塞・・・・T1 強調像で高信号 2) 髄膜腫・・・・T2 強調像で等信号 3) 神経膠腫・・・・T2 強調像で高信号 4) 下垂体卒中・・・・T1 強調像で高信号 5) 脂肪腫・・・・T1 強調像で低信号 a:1)2)3) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) b:1)2)5) 解答 d 解説: 1)発症後3時間くらいから T2 で高信号を呈する。24 時間くらい経過すると T1 で低信号を呈する。 21) 頭部造影 CT でリング状の増強効果を示すのどれか。 1) 下垂体腺腫 2) 膠芽腫 3) 転移性腫瘍 4) 脳膿瘍 5) 髄膜腫 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 d 22) 脳腫瘍で適切な組合せはどれか。正しい組合せを選べ。 1) 髄芽腫--------------------小脳失調 2) 鞍結節髄膜腫-----------尿崩症 3) 橋神経膠腫--------------視野狭窄 4) 松果体胚細胞腫--------上方注視障害 5) 神経鞘腫-----------------前庭機能障害 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 c 解説: 1) 大半が小児に発症する。ほとんどが小脳中部に発生し小脳半球と第4脳室に浸潤していく。 4) 中脳の四丘体を侵し、Parinaud 徴候を生じる。(STEP 脳外科 p.231) 5) 経鞘腫の大半は聴神経鞘腫が占め、わずかに三叉神経鞘腫があり、その他は極めて 稀である。 23) 次の脳腫瘍で放射線、化学療法感受性の高いものはどれか。 1) 膠芽腫 2) 悪性リンパ腫 3) 胚細胞腫 4) 髄芽腫 5) 髄膜腫 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 d 解説: 1) 治療は腫瘍摘出術。(しかし浸潤傾向が強いため、残存していることが多い) 5) 腫瘍摘出術を行う。(全摘出が可能) 24) 次の脳腫瘍のうち手術で全摘出すれば治癒するものはどれか。 1) 髄膜腫 2) 神経鞘腫 3) 血管芽腫 4) 悪性リンパ腫 5) 膠芽腫 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d:2)3)4) e:3)4)5) 解答 a 解説: 5) 浸潤傾向が極めて強いため、全摘出は不可能。 25) 成人の良性星細胞腫について正しいものはどれか。 1) 脳幹部に好発する 2) 画像所見で、造影効果は少ないことが多い 3) 痙攣で発症することが多い 4) 鬱血乳頭がみられることが多い 5) 放射線感受性が高い a:1)2) b:1)5) c:2)3) d:3)4) e:4)5) 解答 c 解説: 1) 大脳半球(特に前頭野)に好発する。 2) 病理学的に良性なので新生血管は豊富ではなく、造影効果は少ないことが多い。 3) 大脳半球に発育するため、局所症状で発症する。てんかん発作や片麻痺が多い。 4) しみ込むように発育し占拠性の特性はないので、頭蓋内圧亢進は軽度。 5) 治療は腫瘍摘出術。 26) 乏突起膠腫で正しいものはどれか。 1) 大脳に好発する 2) 小児に好発する 3) 頭蓋単純 X 線撮影で石灰をみることは稀である 4) 全摘出により治癒が期待できる 5) しばしばてんかんで発症する a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 27) 膠芽腫について正しいものはどれか。 1) 予後は不良で、5年生存率は 10%以下である 2) 成人の側頭葉に好発する 3) 浸潤性に発育する 4) しばしば全身転移をきたす 5) けいれんで発症することは稀である a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 28) 髄膜腫の説明に関し正しいものを選べ。 1) 骨膜の表層細胞から発生する 2) 頭部単純写真にて硬膜付着部の骨肥厚像あるいは破壊像がしばしば認められる 3) 血管撮影上の特徴的な所見として sun burst appearance がある 4) 頭部造影 CT では通常均一な造影効果を呈する 5) 髄内で発生、発育するため腫瘍と脳実質との境界面は MRI ではしばしば不明瞭である a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 29) 髄膜腫に関する説明のうち正しいものを選べ。 1) 良性髄膜腫の治療の第一選択は放射線照射である 2) 良性髄膜腫の再発率と Simpson grade は有意な相関を示す 3) 女性に多い腫瘍である 4) 髄膜腫の 90~98%は良性であり、WHO 分類の grade 1 に相当する 5) 悪性髄膜腫の5年生存率は 30%である a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 30) 松果体腫瘍における特徴的な眼症状について正しいものを選べ。 a: 動眼神経麻痺 b: 外転神経麻痺 c: 上方注視麻痺 d: 下方注視麻痺 e: 輻輳麻痺 31) 松果体部に好発する腫瘍について正しい組み合わせを選べ。 1) 胚細胞腫 2) 頭蓋咽頭腫 3) 髄膜腫 4) 髄芽腫 5) 奇形腫 a:1)2) b:1)5) c:2)3) d)3)4) e:4)5) 32) 血管芽腫に関する記載で正しいものはどれか。 1) 約 30%は von Hippel-Lindau 病に伴うものである 2) 大脳に生ずることは稀である 3) 血管に富む 4) 悪性腫瘍である 5) しばしば髄腔内播種をする a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 33) 転移性腫瘍に関する記載で正しいものを選べ。 1) 放射線療法は無効である 2) 頭蓋内圧亢進症状は通常呈さない 3) 肺癌からの転移が最も多い 4) 悪性黒色腫からの転移は高率に出血を起こす 5) 頭蓋内への多発性の転移が多い a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 34) 高血圧性脳内出血の好発部位として適切なものを選べ。 1) 被殻 2) 視床 3) 下垂体 4) 延髄 5) 小脳 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 35) 以下の脳内出血のうち、外科的治療の適応となるものはどれか。 1) 脳動静脈奇形による 50ml 以上の皮質下出血 2) 意識レベル JCS 30 の被殻出血 3) 両側瞳孔散大している視床出血 4) 神経症状が軽微な脳幹出血 5) 最大径 3.5cm の小脳出血 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 36) 脳梗塞患者において、臨床症状から疑われる閉塞血管として正しいものはどれか。 1) 顔面を含む片麻痺―前大脳動脈 2) めまい―前大脳動脈 3) 失語―中大脳動脈 4) ワレンベルグ症候群―椎骨動脈 5) 同名半盲―後大脳動脈 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 37) 脳梗塞治療に関連した治療法のうち、正しいものはどれか。 1) 非心原生脳梗塞の発症予防にはヘパリンが有用である 2) 心房細動を有する患者の脳梗塞発症予防にはワーファリンが有用である 3) 頚動脈狭窄症を有する患者の脳梗塞再発予防に、頚動脈内膜剥離術が行われる 4) 一側大脳半球梗塞で進行性の意識障害を認める場合、外減圧術を行う 5) 発症 24 時間以内の脳梗塞に対して、血栓溶解療法は有用である a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 38) 脳梗塞再発予防として正しいものはどれか。 1) 血圧コントロール 2) 禁煙 3) カルバマゼピン投与 4) 禁酒 5) アスピリン投与 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 39) 頚動脈狭窄症に対する内膜剥離術の術中に、視野で見えるものはどれか。 1) 迷走神経 2) 顔面神経 3) 浅側頭動脈 4) 上甲状腺動脈 5) 舌下神経 a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 40) 海綿状血管腫に関する説明のうち正しいものを選べ。 1) 家族性に見られることがある 2) 主な症状は出血と痙攣発作である 3) 盗血現象(steel phenomenon)を呈しやすい 4) 定位放射線治療が有効である 5) 無症候性海綿状血管腫に対しては保存的療法が勧められる a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 41) 脳挫傷について正しい記載はどれか。 1) CT 上は salt and pepper appearance を呈する 2) 切迫脳ヘルニアを呈していなければ脳圧降下剤等で保存的に加療する 3) 経過観察のための CT は 24 時間後にとればいい 4) 急性硬膜下血腫に伴って脳挫傷が出現することは少ない a:1)3)4)のみ b:1)2)のみ c:2)3)のみ d)4)のみ e:1)~4)のすべて 42) 急性硬膜下血腫についての記載で誤りはどれか。 1) 打撲部位と反対側に生じることが多い 2) 骨折を伴うことが多い 3) 約半数に意識清明期(lucid interval)をみる 4) 好発部位は小脳である 5) CT の典型像は凸レンズ型の低吸収域である a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 43) 慢性硬膜下血腫について正しい組み合わせを選べ。 1) 線状骨折を伴うことが多い 2) 高齢者では記銘力低下での発症が多い 3) 外傷後数ヶ月経ってから発症する 4) 痙攣発作で発症することが多い 5) 女性に多い a:1)2) b:1)5) c:2)3) d)3)4) e:4)5) 44) 男性。意識レベルは JCS-200 で瞳孔異常はなかった。受傷時の CT では異常所見は不明であった(明らかな出血 や浮腫がなかった)。後日撮影した MRI では脳梁に損傷を呈しており、び漫性軸索損傷が疑われた。この病態 を説明するものとして正しい組み合わせを選べ。 1) 受傷直後より高度の意識障害がみられる 2) 通常は 6 時間以内に意識は清明となる 3) 意識が戻れば、記憶障害を伴うことはない 4) 回転加速が加わったために発生したと考えられている 5) 頭蓋内圧亢進症状を呈することは少ない a:1)2)3) b:1)2)5) c:1)4)5) d)2)3)4) e:3)4)5) 45) 以下の記載のうちで誤っているものはどれか。 a: 前頭蓋底骨折では嗅神経が最も損傷されやすい b: 錐体骨横骨折では聴神経損傷を疑う c: バトル徴候がある場合は視神経管骨折を疑う d: 錐体骨縦骨折では顔面神経損傷は少ない e: 外傷性脳神経損傷にはステロイドが効果的である 46) 脳脊髄液について正しいものを一つ選べ。 a: 主にくも膜顆粒で産生される b: 正常髄液圧は 50-150mmHg である c: 髄液中の蛋白の正常値は 15-45mg/dl である d: 髄液中の細胞数の正常値は 100/mm3 以下である e: 髄液中の糖の正常値は 15-35mg/dl である 47) 水頭症について正しいものを一つ選べ a: 正常圧水頭症は非交通性である b: 乳幼児期では眼球が上転することが多い c: 髄液の循環は正常である d: 中脳水道閉塞症では第三脳室は縮小することが多い e: 髄液の産生は正常な場合が多い 48) 以下の腫瘍のうち、小児期に稀な腫瘍はどれか。 1) 上衣腫 2) 髄芽腫 3) 胚細胞性腫 4) 下垂体腺腫 5) 髄膜腫 a:1)2) b:1)5) c:2)3) d)3)4) e:4)5) 49) 髄芽腫について正しいものはどれか。 1) 大脳に好発する 2) 基本的に予後は良好である 3) 放射線療法は全脳全脊髄照射を行う 4) 髄液播種を来たしやすい 5) 女性に多い a:1)2) b:1)5) c:2)3) d)3)4) e:4)5) 50) 短頭蓋はどの頭蓋縫合の早期癒合によるものか。 a: 前頭縫合 b: 冠状縫合 c: 鱗状縫合 d: 矢状縫合 e: ラムダ縫合 26) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: c 乏突起細胞腫(稀突起細胞腫) 40~50 歳の成人の大脳白質、特に前頭葉に発生することが多い⇒○ 40~50 歳の成人⇒× 世界の坊主は正座が上手!⇒× 開頭術による腫瘍切除が原則⇒○ ○ 27) 解答: a 膠芽腫 1) 平均余命は術後1~2年と極めて悪い⇒○ 2) 40 歳以上の成人、特に 45~65 歳ごろに好発し、やや男性に多いが、年少者にはまれ。大脳半球、特に前頭 葉と側頭葉の白質内に好発する⇒○ 3) 腫瘍細胞の浸潤性は顕著である⇒○ 4) 転移は髄腔内播種⇒× 5) 頭痛で初発が多いが、けいれんもみられる⇒× 28) 解答: d 髄膜腫 1) 髄膜腫は髄膜から発生する腫瘍を包括するもの。くも膜細胞を母地とする腫瘍と、その他の間葉系細胞から 発生する腫瘍とに大別される⇒× 2) ○ 3) 髄膜腫は血管に富み、その大部分は外頚動脈から栄養されている。腫瘍付着部にみられる小血管の腫瘍内放 散像のこと⇒○ 4) ○ 5) 基本的に脳軟膜により脳実質と隔絶されている⇒× 29) 1) 2) 3) 4) 5) 30) 解答: d 髄膜腫 治療の原則は手術による全摘出である⇒× 5段階の手術摘出度のこと⇒○ 男女比は 1.0:2.7 と成人女性に多い。小児にはまれ⇒○ ○ × 解答: c 松果体腫瘍 上丘の圧迫による Parinaud’s sign 31) 解答: b 松果体部腫瘍 1) 松果体部、鞍上部に好発⇒○ 2) 胎生期の頭蓋咽頭管の遺残(ラトケ嚢)から発生。下垂体茎の隆起部付近が多い。トルコ鞍内、第 3 脳室内のこ ともある。⇒× 3) 頭蓋円蓋部、傍矢状洞部、蝶形骨縁、大脳鎌、小脳テント、脊髄髄膜など⇒× 4) 大脳半球、特に前頭葉と側頭葉の白質内に好発する⇒× 5) 松果体部、第 3 脳室など⇒○ 32) 1) 2) 3) 4) 5) 33) 1) 解答: a 血管芽腫 ○ 成人の小脳に好発する⇒○ ○ 全摘出により根治する⇒× 多発することはある⇒× 解答: e 転移性腫瘍 手術治療をおこなわない場合、放射線治療や、腫瘍径が 3cm 以下のものに対してはライナック(LINAC)ある いはガンマナイフによる放射線外科治療が考慮される⇒× 2) 3) 4) 5) 34) 当然頭蓋内占拠性病変となる⇒× ○ ○ 症例の約 30%は多発性⇒○ 解答: b 高血圧性脳出血 被殻、視床、橋、小脳、皮質下である。 35) 解答: b 脳内出血の治療 1) 皮質下出血は開頭手術⇒○ 2) 中等度血腫なので定位脳手術か内視鏡手術⇒○ 3) 脳幹部に達する大きな視床出血や橋出血で、昏睡以上の高度な意識障害がある場合は、たとえ血腫を除去し ても予後はきわめて不良であり、手術の適応外⇒× 4) 意識が清明で、頭蓋内圧亢進症状もない場合は、手術もおこなわずに経過観察でよい⇒× 5) 3cm以上なので適応⇒○ 36) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: e 脳梗塞症候 運動野は中大脳動脈支配⇒× 椎骨脳底動脈系による⇒× ○ ○ ○ 37) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: d 脳梗塞治療 脳血栓症ではアスピリンやチクロピジン、心原生ではワルファリンカリウムを用いる⇒× ○ ○ ○ 6時間以内!⇒× 38) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: b 脳梗塞再発予防 ○ ○ 複雑部分発作に効く⇒× × ○ 39) 解答: c 解剖 迷走神経、上甲状腺動脈、舌下神経を認める。 40) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: b 海綿状血管腫 家族性のものもある⇒○ ○ × 放射線やレーザーは無効⇒× ○ 41) 1) 2) 3) 4) 解答: b 脳挫傷 高吸収域と低吸収域が混在した不整像⇒○ ○ 6時間後にとる⇒× 急性硬膜下血腫は脳挫傷や広範性脳損傷などの重篤な一次性脳損傷を伴う⇒× 42) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: c 急性硬膜外血腫 受傷部位直下に生じる⇒○ × × 各頭蓋窩、上矢状洞部に好発する⇒○ ○ 43) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: c 慢性硬膜下血腫 外傷を受けていても1~2ヶ月前である⇒× 頭痛、認知症症状、精神症状など⇒○ ○ × 中高年の男性に圧倒的に多い⇒× 44) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: c びまん性軸索損傷 ○ 6時間以内は脳震盪⇒× 重篤な高次機能障害を残す⇒× ○ ○ 45) a: b: c: d: e: 解答: c 頭蓋骨骨折 ○ ○ 中頭蓋底骨折を疑う⇒× ○ ○ 46) a: b: c: d: e: 解答: c 髄液 脈絡叢で産生される⇒× 50-150mmH2O である⇒× ○ 5/mm3 以下である⇒× 髄液中の糖の正常値は 45-90mg/dl である⇒× 47) a: b: c: d: e: 解答: e 交通性である⇒× 下転する・・・落葉現象⇒× 非交通性水頭症って言うぐらいだし⇒× 拡大する⇒× ○ 48) 解答: e 1) × 2) × 3) × 4) 成人に多い⇒○ 5) 高齢者に多い⇒○ 49) 1) 2) 3) 4) 5) 解答: d 小脳虫部に発生し、浸潤傾向が強く、しばしば脳室壁やくも膜下腔へ播種する⇒× 5年生存率は 42%程度である⇒× 播種による再発防止のため、術後におこなう⇒○ ○ 男児に多い⇒× 50) 解答: b a: b: c: d: e: 三角頭蓋になる⇒× ○ × 舟状頭蓋になる⇒× 一側では斜頭蓋になる⇒× 51)水頭症を合併しやすい先天奇形はどれか。 1) Dandy-Walker 奇形 2) 脳梁欠損 3) 裂脳症 4) 透明中隔欠損 5) キアリ 2 型奇形 a: 1) 2) b: 1) 5) c: 2) 3) d: 3) 4) e: 4) 5) 解答: b 解説: 水頭症の原因は主に髄液の通過障害。 交通性水頭症…脳室全体が均一に拡大する。Ex.くも膜下出血や髄膜炎 非交通性水頭症…閉塞部位より中枢の脳室が拡大する。 Ex.腫瘍、血腫、先天奇形(キアリ 2 型奇形・Dandy-Walker 奇形・二分脊椎) 1) Dandy-Walker 奇形…第 4 脳室の嚢胞状拡大(水頭症)と小脳虫部の形成不全をきたす疾患。出生直後から 1 年以内に水頭症で発見され、後頭部突出、小脳失調、知能発達障害を伴う。予後不良。 2) 脳梁欠損…第三脳室が挙上する。臨床症状はほとんどない。合併する奇形が多い。 閉塞部位はなく、髄液の通過障害は起こらない。 3) 裂脳症…二分頭蓋のこと。神経管頭側の閉鎖不全による。頭蓋骨の一部が欠損し脳や髄膜が飛び出す=脳瘤。 70%が後頭部の正中線状に生じる。予後は悪くはない。脳瘤が小さい場合は無症状だが、大きい場合は閉 塞起点となり水頭症を合併し精神遅延を残すこともある。1)5)よりは水頭症を合併しやすいとは言えない。 4) 透明中隔欠損…2)と同様、閉塞部位はなく、髄液の通過障害は起こらない。 5) キアリ 2 型奇形…小脳扁桃・虫部、延髄、第 4 脳室が大孔から脊柱管内に落ち込む 先天性奇形疾患。出生直後に発見される。第 4 脳室が大孔で圧迫され非交通性水頭症を呈する。また脊髄 髄膜瘤を高率に合併する。延髄が圧迫され、舌咽迷走神経障害による喘鳴、無呼吸発作が生じる。 cf: キアリ1型奇形…小脳扁桃のみが大孔から脊柱管内に落ち込む先天性奇形疾患。後頚部や肩の疼痛で 成人時に発見。脊髄空洞症を高率に合併する。 「Arnold-」が付くと Chiari 奇形Ⅱ型のことを指す。 Chiari 奇形について Ⅰ型 Ⅱ型 発症年齢 成人 乳幼児 脱出部位 小脳扁桃 小脳虫部、 (延髄、第 4 脳室) 水頭症 たまに ほぼ全例 脊髄髄膜瘤 まれ ほぼ全例 脊髄空洞症 多い たまに 臨床症状 非特異的(後頚部や肩の疼痛) 無呼吸発作 52) 開放性二分脊椎(脊椎破裂)について正しいものはどれか。 1) 神経管の閉鎖は妊娠 8 週以降に起こる 2) キアリ 1 型奇形を伴うことが多い 3) 水頭症の合併は稀である 4) 生後早期に手術が必要である 5) 妊娠中の葉酸の摂取が予防に有効である a: 1) 2) b: 1) 5) c: 2) 3) d: 3) 4) e: 4) 5) e 脊椎破裂(この設問では脊髄髄膜瘤を指すみたい、広義では二分脊椎を指す) 神経管尾側の閉鎖不全による。生下時より腰仙部の正中に腫瘤が見られる。 解答: 解説: 1) 神経管の閉鎖は妊娠 27 日目(4週目)に起こる。 2) 3) キアリ2型奇形、ゆえに水頭症を伴うことが多い。 4) 皮膚欠損があり髄膜炎など感染の危険があるので、生後早期に手術が必要。生後 24 時間以内が手術の golden time である。脊髄を脊柱管内に環納後、硬膜を形成し閉鎖する。 5) 予防に妊娠中の葉酸の摂取(0.4mg/日 野菜 350g)が有効である。 脊髄髄膜瘤:他に症状として、病変部以下の下肢の運動麻痺・感覚障害、 膝関節や足の変形、直腸膀胱障害、皮膚に色素沈着が認められる 53) 頭蓋頚椎移行部について正しいものはどれか。 1) 横靭帯は、環椎の前弓と歯突起を固定し、C1の前方への脱臼を防いでいる 2) 環軸椎脱臼の診断では、歯突起前面と環椎前弓後面の距離が重要である 3) Down 症では、先天性環軸椎脱臼がしばしば合併する 4) 関節リウマチでは強直性脊椎炎は多いが、環軸椎脱臼はおこしにくい 5) Klippel-Feil 症候群の予後は不良である a: 1) 2) 3) b: 1) 2) 5) c: 1) 4) 5) d: 2) 3) 4) e: 3) 4) 5) 解答: a 解説: 1)2)3) ○ 4) 関節リウマチでは環軸椎脱臼をおこしやすく、致命的。 強直性脊椎炎の合併症には 虹彩毛様体炎、AR などがある。 5) Klippel-Feil 症候群…頚椎癒合症候群。短頚、脳幹や小脳の異常。予後は良好。 54) C6/7間の椎間板ヘルニアについて正しいものはどれか。 1) 脊髄を圧迫することはほとんどない 2) 障害を受ける神経根はC7神経根である 3) 知覚障害は第 3 指に出現する 4) 上腕三頭筋反射が低下する 5) 肩関節の挙上が困難になる a: 1) 2) 3) b: 1) 2) 5) c: 1) 4) 5) d: 2) 3) 4) e: 3) 4) 5) 解答: d 解説: 2) 頚椎間、腰椎間ではともに下位の脊椎の神経根が障害される。 3)4) C7 のデルマトームは第 3 指。上腕三頭筋の支配神経は橈骨神経(C6~C8 支配) 5) 肩関節の挙上には三角筋が関与する。三角筋の支配神経は腋窩神経(C5,6 支配) 55) L4/5 間の椎間板ヘルニアについて正しいものはどれか。 1) Lasegue 徴候は陽性である 2) 傍正中型で障害を受けるのはL5神経根である 3) 知覚障害は第1趾に出現する 4) 膝蓋腱反射が低下する 5) つま先立ちができなくなる a: 1) 2) 3) b: 1) 2) 5) c: 1) 4) 5) d: 2) 3) 4) e: 3) 4) 5) 解答: a 解説: 椎間板ヘルニアの中では腰椎間が多く(90%)、特にL4/5 間が最多。中年男性に多い。 1) Lasegue sign…仰臥位で下肢を伸展させたまま持ち上げると 70°以下でも下肢に疼痛を訴え、それ以上挙上で きない陽性とする。坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、後根疾患などで陽性となる。多くは一側性に認められる。 3) L5 のデルマトームは下腿外側~前足(拇指から第 4 趾背面)部 4) 膝蓋腱反射→大腿四頭筋の反射弓→大腿神経→高位:L2~4 アキレス腱反射→腓腹筋の反射弓→脛骨神経→高位:S1~2 5) つま先立ち困難:足関節、足趾の底屈→腓腹筋→脛骨神経支配→高位:S1~2 踵立ち困難(鶏歩、垂れ足):足関節、足趾の背屈→前脛骨筋→腓骨神経支配→L4~5 56) C6/7頚椎前方固定術で術中に見えるものはどれか。 1) 広頚筋 2) 多裂筋 3) 頚半棘筋 4) 黄色靭帯 5) 頚長筋 a: 1) 2) b: 1) 5) c: 2) 3) d: 3) 4) e: 4) 5) 解答: b 解説: 頸椎椎間板ヘルニアに対して行う手術。1~2 椎間で適応。 1) 広頚筋…浅頚筋の1つ。もう1つは胸鎖乳突筋。 2) 3) 横突棘筋には、多裂筋・半棘筋・回旋筋がある。背面にあるので見えない。 4) 黄色靭帯…上下の椎弓間にある靭帯。 5) 頚長筋…後頚筋の1つ。頚椎前面にある椎前筋群と側面にある斜角筋群に分けられる。頚長筋は椎前筋群の 1 つ。頚椎前面にあるので見える。 57) 頚椎の後方アプローチ(椎弓切除など)で術野に見えるものはどれか。 1) 頭板状筋 2) 頭半棘筋 3) 頚半棘筋 4) 頚長筋 5) 後縦靭帯 a: 1) 2) 3) b: 1) 2) 5) c: 1) 4) 5) d: 2) 3) 4) e: 3) 4) 5) 解答: a 解説: 頸椎椎間板ヘルニアに対して行う手術。多椎間で適応。 1) 頭板状筋…固有背筋のうち浅層にある(板状筋と脊柱起立筋)。背面にあるので見える。 2) 3) 4) 半棘筋・頚長筋 … 56) 2)3)5) 参照 前面にあるので見えない。 5) 後縦靭帯…椎体と椎間円板の後面に縦走する靭帯。 椎弓切除すると見える。 58) 乳児の脊髄髄膜瘤についての記載のうち正しいものはどれか。 1) 腰仙部の髄膜腫を伴うことが多い 2) 髄液の漏出があっても、神経組織の脱出がなければ手術は 1 歳以降まで待った方がよい 3) 排尿障害は稀である 4) 臀部の皮膚に異常を認めることが多い a: 1) 3) 4)のみ b: 1) 2)のみ c: 2) 3)のみ d: 4)のみ e: 1)~4)のすべて 解答: 解説: d 52) 解説参照 59) 1) 2) 3) 脊髄動静脈奇形についての記載について正しいものはどれか。 硬膜動静脈廔は頚髄部に好発する ガンマナイフが著効する くも膜下出血をきたすことがあるので、脳血管撮影で頭蓋内に出血源が同定できない 場合、脊髄動静脈奇形の存在も考慮するべきである 4) 男性に多い 5) 入浴、飲酒など末梢血管拡張時に神経症状が一過性に悪化する a: 1) 2) 3) b: 1) 2) 5) c: 1) 4) 5) d: 2) 3) 4) e: 3) 4) 5) 解答: e 解説: 1) 硬膜動静脈奇形の好発部位は横-S状静脈洞部、海綿静脈洞部。 2) ガンマナイフは脳動静脈奇形に対する手術法。AVM に対しては血管塞栓術後に nidus を摘出するなど。 3) 脊髄出血やくも膜下出血をきたすことがある 4)5) ○ 60) 片側顔面けいれんにていて、誤りはどれか。 1) けいれんがひどくなると、病側の眼は閉眼できなくなり開いたままとなる 2) 発症機序は顔面神経の橋からの起始部の、ミエリンの欠如した部分に血管があたることによる 3) 手術は微少血管減圧術が有効である 4) 原因血管は、内頚動脈であることが多い 5) 難聴を伴うことが多い a: 1) 2) 3) b: 1) 2) 5) c: 1) 4) 5) d: 2) 3) 4) e: 3) 4) 5) 解答: c 解説: 40 歳以上の女性に多い 突然の片側の下眼瞼痙攣 ストレスで増悪 感覚障害(-) 1) 痙攣で眼輪筋が収縮しすぎ、開眼できなくなる。 2)4) 前下小脳・椎骨動脈が異常に蛇行し、顔面神経根部を圧迫することで起こる → 3) 神経微少血管減圧術が有効。最近はボツリヌス毒素注射を行うこともある。 5) 内耳神経は無関係 61) てんかんで行われる検査はどれか。 1) 頭波脳波 2) ビデオモニタリング 3) MRI 4) FDG-PET a: 1) 3) 4)のみ b: 1) 2)のみ c: 2) 3)のみ d: 4)のみ e: 1)~4)のすべて 解答: e 解説: てんかんは、特発性てんかんと症候性てんかん(外傷・感染・腫瘍・血管障害・周産期異常など)とに 分類できる。特発性てんかんでは、脳波異常を伴う。 2) ビデオでてんかんの痙攣の様子を観察することも重要。 3) 4) MRI・FDG-PETでは症候性の鑑別をすることができる。 62) てんかんの外科的治療法について正しい組み合わせはどれか。 1) 側頭葉てんかん - 側頭葉切除術 2) ウェスト症候群 - 視床破壊術 3) 転倒発作 - 脳梁離断術 4) 運動野にてんかん焦点を持つ単純部分発作 - MST(multiple subpial transection) a: 1) 3) 4)のみ b: 1) 2)のみ c: 2) 3)のみ d: 4)のみ e: 1)~4)のすべて 解答: a 解説: 1)3) ○ てんかんに対する手術 2) 視床破壊術はジストニアに有効 4) MST …軟膜下皮質多切術 : 焦点付近の脳の軟膜下に横断線を加える方法 63) 1) 2) 3) パーキンソン病に対する手術で正しいものはどれか。 脳梁離断術が有効である 振戦が主症状の時のターゲットは黒質にすることが多い 定位脳手術で行う 4) Wearing off は手術のよい適応である 5) 海馬の切除を行うことが多い a: 1) 2) b: 1) 5) c: 2) 3) d: 3) 4) e: 4) 5) 解答: d 解説: 3)不随意運動に対しては定位脳手術を行う。現在、破壊術は行われなくなり、 脳深部刺激術(DBS)が普及している。 2) 振戦に対して → ターゲット:視床中間腹側核(Vim) 4 全般症状(固縮・振戦・無動・Wearing off) → ターゲット:視床下核(STN) 1) 脳梁離断術 5) 扁桃体海馬切除術 は てんかんに対して行われる手術。 64) 特発性頚動脈海綿静脈廔について正しいものはどれか。 1) 眼腱結膜充血を呈する 2) 拍動性眼球突出が特徴的である 3) 側方注視麻痺をしばしばきたす 4) 病側向きの眼振を呈する a: 1) 3) 4)のみ b: 1) 2)のみ c: 2) 3)のみ d: 4)のみ e: 1)~4)のすべて 解答: b 解説: 1) 2) 主症状は、眼腱結膜充血浮腫・拍動性眼球突出・眼窩部血管の拍動性雑音。 65) 脳膿瘍について正しいものはどれか。 1) 細菌の侵入は、血行性の方が隣接部位からの直接侵入より多い 2) CTではリング状の増強効果が見られる 3) 被膜が十分な厚みを持ち、巣症状があれば、ドレナージを行う 4) 抗生物質投与はCRP正常化した時点で中止する a: 1) 3) 4)のみ b: 1) 2)のみ c: 2) 3)のみ d: 4)のみ e: 1)~4)のすべて 解答: c 解説: 脳膿瘍とは細菌により脳実質内に膿が貯留する疾患 1) 頭蓋内の炎症の二次的波及(中耳炎や副鼻腔炎) > 血行性(右左シャントのチアノーゼ性心疾患や肺膿 瘍) 2) MRI(T1)では CT より早期にとらえられ、中心部(壊死)low 、辺縁(被膜)high の ring enhancement が見られ る。CT でも同様。 3) 病巣が小さければ、抗生物質を全身投与。病巣が大きいと壊死組織には血行がなく抗生物質が移行しないの で、定位穿刺排膿術(ドレナージ)を行う。 4) 治療効果の指標は、炎症反応の値(CRP,WBC,ESR,発熱)ではなく、臨床症状の変化を参考にする。 その他: 主症状は、頭蓋内圧亢進症状(頭痛、嘔吐、痙攣、意識障害)、局所性神経症状、感染徴候(軽度の発 熱) 原因菌は、連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、Bacteroides など 66) a: b: c: d: e: 運動野はどれか。 7 8 9 10 12 解答: 解説: 図 66)参照 c MRI T1 画像であり、3が中心溝。その前部(9)にあるのが運動野 67) 脳ヘルニアについて誤った記載はどれか。 図 67)参照 1) 図に示すCT像は、鈎ヘルニアである 2) 中心性経扁桃ヘルニアで両側頭頂葉の脳梗塞を生ずることがある 3) 小脳扁桃ヘルニアは小脳下部が大孔に陥入することによっておこる 4) 鈎ヘルニアの際は通常、反対側の麻痺と反対側の瞳孔拡大をみる 5) 帯状回ヘルニアでは通常重篤な臨床症状を呈する a: 1) 2) b: 1) 5) c: 2) 3) d: 3) 4) e: 4) 5) 解答: e 解説: 1) 図は、左側頭葉占拠性病変と、脳実質全体の浮腫、midline sift も認められる。 テント切痕から海馬や鈎が陥入する鈎ヘルニアの画像所見である。 2) 正中ヘルニアでは陥入した中脳が後大動脈を圧迫し、頭頂葉の虚血(梗塞)を生ずることがある 3) ○ 4) 鈎ヘルニアでは、中脳大脳脚の圧迫による反対側の片麻痺と、動眼神経麻痺による患側の散瞳が生じる。 5) 帯状回ヘルニアと蝶形骨縁ヘルニアでは重篤な臨床症状を呈さない。 68) 頭部 MRI を示す。正しいものはどれか。 図 68)参照 1) T1強調像である 2) 脳梁が認められる 3) 被殻が認められる 4) 第 4 脳室が認められる 5) 海綿静脈洞が認められる a: 1) 2) 3) b: 1) 2) 5) c: 1) 4) 5) d: 2) 3) 4) e: 3) 4) 5) 解答: a 解説: 1) 脳室が low intensity なので、T1強調像と判断できる。 2) 3) 脳梁・被殻が認められる 4) 第 4 脳室は小脳・橋・延髄に囲まれたスペース。図は側脳室のレベル 5) 海綿静脈洞は頭蓋底(下垂体や蝶形骨洞付近)のレベル。 69) a: b: c: d: e: 脳血管撮影を示す。正しいものはどれか。 図 69 参照 総頚動脈撮影である 内頚動脈撮影である 外頚動脈撮影である 椎骨動脈撮影である 脳底動脈撮影である a 側面像であり、前・中・後大脳動脈まで描出できているので、総頚動脈撮影である 解答: 解説: 70) a: b: c: d: e: 矢印の血管名はどれか。 図 70)参照 中大脳動脈 後大脳動脈 上小脳動脈 後交通動脈 前下小脳動脈 b 椎骨動脈撮影であり、左右の椎骨動脈から正中の脳底動脈に結合し、 左右の後大脳動脈へと分岐していく。 解答: 解説: 71) 次の円グラフは原発性脳腫瘍の組織型別の発生頻度を表している。1),2),3)はそれぞれど脳腫瘍を表しているか。 図 71)参照 a: 1) 髄膜腫 2)神経膠腫 3)下垂体腺腫 b: 1) 下垂体腺腫 2)神経鞘腫 3)髄膜腫 c: 1) 神経鞘腫 2)神経膠腫 3)下垂体腺腫 d: 1) 神経膠腫 2)髄膜腫 3)悪性リンパ腫 e: 1) 神経鞘腫 2)下垂体腺腫 3)神経膠腫 解答: 解説: 72) a: b: c: d: e: a 原発性脳腫瘍の頻度は 1) 髄膜腫 2)神経膠腫 3)下垂体腺腫 である。 小児の脳腫瘍の頻度は 1) 星状細胞腫 2)髄芽腫 3)胚細胞腫 である。 6 歳男児。頭痛、嘔吐を呈する。造影 MRI T1 強調像を示す。最も考えやすいものはどれか。 血管芽腫 髄芽腫 髄膜腫 星細胞腫 類皮腫 図 72 )参照 解答: d 解説: 図では、右の小脳半球に大部分が low(嚢胞)と一部 high(壁在結節)の領域が認められる。嚢胞形成傾向は、 小脳(毛様性)星細胞腫に特徴的。好発時期は学童期で、小児の脳腫瘍のうちで、星状細胞腫は第 1 位を 占める。進行速度や浸潤傾向も弱く、最も予後の良い(全摘可能な)脳腫瘍である。 b. 小児脳腫瘍の第 2 位の頻度の髄芽腫は、小脳虫部に多く(半球は稀)、単純 CT で high density を呈する。 図は小脳半球病変なので、また内部均一であるはずなので否定的。 a: 血管芽腫…成人男性、小脳半球→失調、cyst 形成、壁在結節(造影で enhance) c: 髄膜腫…中年女性、円蓋部や傍矢上部、血管豊富なので均一に造影 73) a: b: c: d: e: 37 歳女性。進行する右麻痺で発症した。MRI 画像(冠状断)を示す。最も考えられる診断はどれか。 図 73) 参照 髄膜腫 神経鞘腫 膠芽腫 血管芽腫 悪性リンパ腫 解答: c 解説: 図は左大脳半球から右に浸潤傾向を示す ring enhancement が認められる。 ring enhancement を呈する疾患は膠芽腫・転移性脳腫瘍・脳膿瘍 → c: 膠芽腫 膠芽腫は最も悪性(平均余命 1~2 年)の glioma。成人では大脳半球に好発し、血管豊富 なため造影 CT で ring enhancement、単純 CT で高低吸収域混在する病変が認められる。 やや高齢(30~60 歳)の男性に多い(設問と反する点だが…) a: 髄膜腫…単純 CT で high、造影 CT で均一に造影される。MRI では腫瘍一般と同じ像を示し、Gd 造影では均 一に著明に造影される。 b: 神経鞘腫…95%は聴神経腫瘍であり、小脳橋角部に発生しやすい。 蝸牛症状(耳鳴り・難聴)や健側に向かう水平性注視眼振 d: 血管芽腫…72) a) 参照 74) 63 歳男性。2 年前より右難聴を自覚していたが、最近になって歩行時のふらつきを覚え、外来を受診した。造 影 MRI を示す。適当と思われる治療方針を1つ選べ。 図 74)参照 a: 外科的摘出術を施行する b: ガンマナイフにて定位的放射線治療を行う c: カテーテルによる塞栓術を行う d: 抗癌剤を用いて化学療法を行う e: 何もせず経過観察とする 解答: a 解説: 図は、右小脳橋角部に境界鮮明な高吸収域を認め、さらに自覚症状として難聴などの聴神経障害を認め るため、聴神経鞘腫が疑われる。聴神経鞘腫は被膜のある境界明瞭、造影にて enhance される腫瘍なので手 術により全摘可能である。 b: ガンマナイフは 3cm 以下の腫瘍に適する。高齢者や全身麻酔にリスクの高い患者に適応。 75) 48 歳女性。左顔面のしびれ感と複視を主訴に来院。MRI を示す。本疾患に関し正しい組み合わせを選べ。 75)参照 1) 三叉神経原発の腫瘍である 2) 複視の原因は外転神経麻痺による 3) 眼腱下垂をきたすことが多い 4) 顔面神経麻痺を認めることが多い 5) 術後にドライアイをきたすことがある a: 1) 2) 3) b: 1) 2) 5) c: 1) 4) 5) d: 2) 3) 4) e: 3) 4) 5) 図 解答: b 解説: 図は MRI T1画像の橋レベルであり、右の橋腹側から側頭葉内側にかけて high intensity area が認めら れる。橋レベルに神経核が存在するのは、Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷである。また左顔面のしびれ感は三叉神経麻痺 による感覚障害と考えられ、画像所見と一致するので、三叉神経原発の腫瘍であるだろう。 2) 複視は外転神経麻痺(ex 脳圧亢進時) ・動眼神経麻痺・神経筋接合部疾患に認められるが、画像所見から最も 外転神経麻痺が考えられる。 3) 眼腱下垂は交感神経障害・動眼神経障害・神経筋接合部疾患による。 4)5) Ⅶまで障害されてはいないが、手術により障害され、涙分泌が低下する。 76-i)答え・・・b 画像を見ると、トルコ鞍を拡大させ、視交叉を下から圧迫している下垂体腺腫に気づく。交叉している視神経の内 側の繊維を侵されるため、視力障害とともに両耳側半盲という特徴的な視野狭窄をきたす。→(参照)STEP 眼 p71、 STEP 外①p214~ 2)複視は主に外眼筋の障害で起るので× 4)同名半盲は視神経交叉より中枢側の障害によって起るので× 76-ⅱ)答え・・・b 下垂体腺腫は良性腫瘍なので原則的には手術で摘出する。現在では比較的侵襲の小さい経蝶形骨洞到達法が第一選 択になっている。 a: 開頭線種摘出術は侵襲が大きいので第一選択にはならないが、症例によっては経蝶形骨洞到達法と併用するこ ともある c:腫瘍を外科的に取りきれなかった時に術後に放射線照射が行われることはある。 d:比較的小さい PRL 産生腫瘍などに対してはまずはブロモクリプチンを投与してみるという選択肢もあるが、こ のケースでは適さない。→(参照)STEP 外①p220 77)答え・・・d 造影 MRI では小脳半球にのう胞性病変及びのう胞壁の一部に強い造影効果を示す壁在結節が認められ、これが「ふ らつき」という小脳症状をきたしていたと分かる。多血症をきたしていることからも、エリスロポエチンを産生す るという特徴をもつ血管芽腫が最も考えられる。→(参照)STEP 内②p255、STEP 外①p234 a:典型的画像所見は STEP 外①p197~ b:典型的画像所見は STEP 外①p212~ c:典型的画像所見は STEP 外①p224~ 78)答え・・・a 傍鞍部に腫瘍をきたすものの頻度としては、下垂体腺腫 65%、頭蓋咽頭腫 25%と、この二つだけで 90%を占める。 (その他は髄膜腫 1.5%、若年者では胚細胞腫など・・・) 。画像を見ると、腫瘍の内部は低信号・壁は著明な造影 効果を示しているので、頭蓋咽頭腫が最も疑わしい。症状としては下垂体機能低下と視床下部障害としての尿崩症 を伴いやすい。 →(参照)STEP 外①p227~ 4)下垂体腺腫による GH 産生に伴いやすい 5)下垂体腺腫による PRL 産生に伴いやすい。 79-i・ⅱ)答え・・・d・b クモ膜下腔及び脳内への出血が認められる典型的な SAH 所見である。この脳血管造影像は左の内頚動脈造影像であ り、中大脳動脈領域に動脈瘤を認める。SAH の時は外科的処置以外にも、再出血防止のための血圧管理、痛みをと るための鎮静薬・鎮痛薬、脳圧低下させるための抗脳浮腫薬といった内科的処置も重要である。→(参照)STEP 外①p247~ ⅰ-2)脳室内出血は認められない ⅰ-3)重症度分類の gradeⅣは「思い意識障害があり、本格的な片麻痺があるもの」と定義されているので、本症 例には適さない。 ⅰ-4)本症例では画像で SAH と診断できているので、脳ヘルニアの危険を伴うこの状況で、敢えて腰椎穿刺を行 う必要は無い。 ⅱ-3)血栓溶解療法は、脳梗塞時に考慮される治療法である。再出血が怖いこのケースでは禁忌。 ⅱ-4)二週間も待っていたら、再出血や血管攣縮のリスクが高くなる。発症早期の外科的介入が必須。 80-i)答え・・・c クモ膜下腔に出血が認められ、SAH と診断できる。SAH は 40~69 歳に多い。再出血は 6 時間以内に多く、血管攣 縮は 4~14 日に多く、正常圧水頭症は一ヶ月後頃に多い。→(参照)授業プリント 4)SAH は基本的には局所症状を伴わないが、脳内血腫を作って錐体路に影響を及ぼすと片麻痺が出ることもある。 5)なぜこれが間違いのなのか僕にはよくわかりません。教えて下さい。 80-ⅱ)答え・・・b 内頚動脈造影(側面像)によって、AC 分岐部に動脈瘤が認められる。外科的開頭クリッピング術や、カテによる血 管内コイル塞栓術などが適応になる。 2)~4)は全て脳梗塞に対する治療及び予防の選択肢であるので×。 80-ⅲ)答え・・・b STEP 外①p249 の重傷度分類を参照すると grade2 は「意識清明で、強い頭痛は項部硬直を伴うもの」と定義され ており、このケースに最も合致する。 81)答え・・・b CT ではレンズ核(被核含む)に相当する部分の出血が認められる。高血圧性脳出血の責任動脈はだいたい決まって いて、被核出血の場合はレンズ核線条体動脈である。被核のすぐ隣を錐体路の一部である内包が通っているので、 片麻痺を起こす。また、もともと高血圧が持続していた上に脳出血によって交感神経が興奮するため、発症時には かなりの高血圧を呈しているのが普通である。 →(参照)STEP 内①p130~ 3)浮腫を示す低吸収域は認められないので×。 4)この所見は橋出血で認められるものなので×。 82)答え・・・d CT では、前大脳動脈及び中大脳動脈両方の領域に低吸収域が認められるため、この二つの動脈が分かれる前の内頚 動脈の時点で閉塞が起ったと考えられる。 a:前大脳動脈の閉塞だけでこのような顔面を含む片麻痺は表れないのが普通。画像所見も異なる。 b:やはりこれも画像所見と一致しない。 c:後大脳動脈の閉塞では視覚失認や皮質盲を来たす。画像所見も異なる。 →(参照)STEP 内①p140~、100%放射線 p32 83)答え・・・d 画像から、内頚動脈の狭窄が認められ、症状は TIA によるものだと考えられる。本症は高率に脳梗塞に至るので、 積極的な治療が必要である。アスピリンを始めとしたとした抗血小板療法を中心とし、脳梗塞への移行が切迫して いる場合にはワーファリンによる抗凝固療法も行われる。また、虚血性心疾患とリスクファクターが同じであるた め、心臓も精査する必要がある。現時点での脳の虚血状態を把握するためには脳血流シンチが有用である。 1):TIA は緊急手術の適応ではない。 2):再出血が特に怖いのは SAH である。 5):抗血小板療法は治療の中心である。 84-ⅰ)答え・・・e CT では左前頭葉に血腫が認められる。図 84-2 が動脈相、84-3 が静脈相であるが、動脈相では、既に二本の流出静 脈が見えている。また、主に前大脳動脈から流入動脈が出ているため、正常な前大脳動脈の造影が不良になってい る。静脈相では流出静脈がよりはっきり見えている。本症(AVM)の好発年齢は 30 歳であり、若年者で多い。→ (参照)STEP 外①p251~ 84-ⅱ)答え・・・d AVM の予後は脳動脈瘤に比べると良好だが、出血例では生じた血腫によって局所症状を来たす恐れがあるため、高 齢者や摘出困難な部位の AVM を除いて原則手術適応である。 a:ガンマナイフは 3 ㎝以下の AVM で、深部にあるものに適応である。 b:AVM が破裂する確率は年 2%なので、何らかの介入をすることが望ましい。 c:塞栓術だけでは AVM は消えないので、現在は既に予定されている摘出手術の前処置として行われることが多い。 85)答え・・・b 動脈相にも関わらず海綿静脈洞が造影されているため、頚動脈海綿静脈洞ろうと判断する。外傷性や、硬膜 AVM の 破裂に起因するものが多い。圧の高い動脈が流入してくることで本来海綿静脈洞に還流しているはずの上眼静脈が 還流できず、うっ滞し、眼球突出や結膜充血をきたす。他覚的には眼窩上で血管雑音が聴取される。 →(参照)STEP 外①p263~ 3)稀ではない 4)本症に対してはバルーンでろう孔部位を閉塞する血管内手術が第一選択である。 86)答え・・・b 脳血管造影で、前・中大脳動脈近位部の狭窄及びもやもや血管の発達が認められることから「もやもや病」と診断 できる。本症は特に日本人に多く、男女比は 2:3 で女性に多い。 3)小児では片麻痺、痙攣発作、脱力発作、意識消失などの脳虚血に基ずく症状で発症することが多い。 4)成人では脳出血で発症することが多い。 →(参照)STEP 外①p260~ 87)答え・・・c CT では coup injury の部位で高吸収域を認めるため、この部位に脳挫傷があると判断する。開放創からの感染に よる水膜炎予防が必要である。 4)ステロイドは創の修復を遅延させる。 5)頭蓋骨の欠損部位はゴアテックスなどで修復する。 88)答え・・・c 三日月形の高吸収域が認められ、時間経過からも急性硬膜下血腫と診断できる。本症は架橋静脈からの出血が多い と言われている。直ちに大きく開頭して手術する必要がある。 1)慢性ではない 4)多くは脳実質損傷も伴っている。 5)手術は開頭術が必要である。 89)答え・・・e 外耳道からの出血ということで、特に側頭骨錐体部に注目して CT を見ると、左側頭骨錐体部の長軸方向を横切る 骨折線が認められる。 1)頭蓋底骨折なので、髄液と鼻腔との交通が生じてしまい、髄液漏の合併の可能性は高い。 2)近くに内耳孔があるため、顔面神経麻痺を来たす可能性がある。 3)この位置の頭蓋底骨折では、出血が錐体部後方の側頭骨乳様突起に以降し、バトルサインを生じうる。 4)急性硬膜下・外血腫の合併や、開放性の骨折などがなければ緊急手術の適応は無い。髄液漏が止まらない場合に は開頭して穴を塞ぐこともある。 5)髄液と、不潔な中耳、鼻腔とが交通しているので、髄膜炎や脳炎を合併する可能性がある。 90)答え・・・e CT を見ると、陥没骨折が認められる。以下、陥没骨折に関する問題として選択肢を見ていく。 a)機能的に問題を来たしていなければ、陥没部位は自然に元に戻ることもあるので保存的に見ることもあるが、美 容上問題があれば、修復自体は容易なので、手術適応となる。 b,d)硬膜が破れ、頭蓋腔と交通した開放性骨折になると、脳炎の合併の率が高くなるので、緊急手術の適応となる。 c)頭蓋内血腫が大きい時は、緊急開頭血腫除去術の適応となる。 91)答え・・・e 左の小脳の濃度が左右対称じゃないような気もするのですが・・・一応有意な所見無しという画像だと のことです。 意識清明、神経学的異常なく、CT 上異常が無いため、経過観察とする。 92)MRI を見ると、脊髄を後方から圧迫する硬膜内髄外腫瘍と思われるものが認められる。硬膜内髄外腫瘍では、 神経鞘腫と髄膜腫の頻度が高いが、このケースでは、均一な造影効果を示す充実性腫瘍で、硬膜面に広く接し ているため、髄膜腫が最も疑わしい。 b)神経膠腫は、髄内腫瘍であるので× c)位置的にも、形態的にも、椎間板では無い。 d)位置的にまるで違う。 e)経過が慢性的で、MRI 上の病変がかなり限局的なことから、可能性は低い。 92-Ⅱ)答え・・・b 脊髄を後方から圧迫しているため、後索路の障害は必発。さらに歩行障害を来たしていることから、 圧迫の効果は、錐体路の外側を走行する S、L 領域にまで影響を及ぼし始めていることが分かる。 1)深部感覚は後索路を通るので○ 2)上位運動ニューロンの障害なので、痙性歩行になる。 3)髄内から外側に向かう病変などで見られる。 4)位置的に起らない。 93)・・・e MRI では、腫瘍やヘルニアの所見は無いが、flow よって、AVM の存在が疑われる。 void と思われる無信号領域が複数見られる。 94)・・・c 症状、MRI より、水頭症と診断できる。シャント術が適応である。他の選択肢は、いずれも適応が異 なる。