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Title 高速測光法を利用した分光分析システム

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Title 高速測光法を利用した分光分析システム
Title
Author(s)
高速測光法を利用した分光分析システムに関する研究
荒木, 勉
Citation
Issue Date
Text Version ETD
URL
http://hdl.handle.net/11094/480
DOI
Rights
Osaka University
目
緒
次
論1
第1章
光 電 子 増 倍 管 ダ イ ノ ー
サ
ド制 御 法 を 用 い た
ン プ リ ン グ 型 高 速 時 間 分 解 分 光 測 光 装 置 の
性 能 向 上 に 関 す る 研 究
1.1.緒
言3
1・2・
光 電 子 増 倍 管 内 部 ゲ ー ト 法 の 概 要4
13・
高 精 度 タ イ ミ ン グ 制 御 装 置 の 試 作6
1.4・
1・5.偶
i.3.1.装
置 の 概 要 と構 成6
i.3.2.装
置 の詳 細9
発 光 ダ イ オ ー ド を 用 い た テ ス ト 用 パ ル ス 光 源 の 試 作13
i.4.1.ナ
ノ秒 パ ル ス 光 源14
1.4.2,二
色 パ ル ス光 源15
数 番 ダ イ ノー
正.5.1.光
ド遅 延 制 御 方 式 に よ る 分 解 時 間 の 短 縮
… …i6
電 子 増 倍 管 利 得 制 御 特 性i6
1・5・2・遅 延 制 御 ゲ ー ト回 路18
1・6・
1.7.結
1.5.3.制
御 特 性 の 評 価23
1.5.4.今
後 の 発 展28
バ ッ ク グ ラ ウ ン ド信 号 補 償 用 ボ ッ ク ス カ ー 積 分 器 の 試 作
i.6.1.動
作 原 理 と構 成29
1.6.2.装
置 の 詳 細31
1.6.3.バ
ヅク グ ラ ン ド信 号 の 補 償32
言33
i
… …29
第2章
多 チ ャネ ル統 計 的 サ ンプ リング型
ナ ノ 秒 測 光 装 置 の 試 作'
2.1.諸
言36
2。2.光
子 計 数 方 式 に よ る搾 間 分 解 測 光 装 置 の 概 要37
2.3.多
チ ャ ネ ル 同 時 検 出 方 式 ナ ノ 秒 測 光 装 置 の 試 作40
2.4.多
2.5.結
第3章
2.3.1.動
作 原 理 と構 成40
2.3.2.装
置 の 詳 細43
2.3.3.装
置 性 能 の評 価50
2.3.4.け
い 光 寿 命 測 定 へ の 応 用53
チ ャ ネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ ト ロ ン の 試 作54
2.4.1.動
作 原 理 と構 成
丶54
2.4.2.装
置 の 詳 細57
2.4.3.装
置 性 能 の 評 価65
2.4.4.時
間分 解 け い 光 ス ペ ク トル 測 定 へ の 応 用66
言70
高 速 パ ル ス 動 作 ホ ロ カ ソ ー
ドラ ン プ の
過 渡 発 光 特 性 の 測 定 と 解 析
5.1.緒
言72
5.2.原
子 吸 光 分 析73
3.3ホ
ロ カ ソー
ド ラ ン プ 駆 動 回 路76
-u一
3.4.測
定 系'78
3.4.1.測
光 光 学 系78
3.4,2.波
長 分 解 能79
3・4・3・ ア ナ ロ グ方 式 サ ン プ リン グ型 時 間 分 解 測 光 装 置80
3.4・4・ 光 子 計 数 方 式 サ ン プ リ ン グ型 時 間 分 解 測 光 装 置82
ろ.5.ホ
。カソー ドランプの過灘
3.5.1.パ
ル ス発 光 強 度 波 形86
3.5.2,安
定 時 間89
3,5.3.時
間分 解 ス ペ ク トル90
3.5.4.分
析 線 プ ロ フ ィル92
3.6.結
第4章
光鍵
專ゾ
芝
言98
高 速 パ ル ス 動 作t口
力 ソ ー
ド ラ ン プ の
原 子 吸 光 分 析 へ の 応 用(1)
(高
4.1.緒
4.2.時
4.b.分
言100
閤 勞 解 測 光 型 原 子 吸 光 分 析 装 置100
析 装 置 の 評 価lo3
4.3.Z.主
波長 シフ ト
4.3.2.分
析 線 プ ロ フ ィ ル と検 量 線105
4.3.3.SN比
4.3.4.近
4.4.結
輝 度 発 光 線 に よ るSN比
臼103
の 改 善106
接 線 の 抑 制109
言II2
-m一
の 改 善)
、6
第5章
高 速 パ ル ス 動 作 ホ ロ カ ソ ー ドラ ン プ の原 子 吸 光
分 析 へ の 応 用(II)
(時
5.1.緒
言113
5.2.バ
ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 の 補 正 法i14
5.5.時
間 分 解 測 光 型 二 波 長 原 子 吸 光 分 析 装 置 の 試 作ll7
5,3.1.動
作原 理117
5.3.2.装
置構 成 の概要118
5.3.3.装
置 の詳細120
5.4.二
波 長 の 選 択 と 分 離i23
5.5.バ
ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 の 補 正129
5.6.結
測 定
謝
間分 解 測 光 型二 波長 原 子 吸 光 分析 装 置 の 試 作
言133
・記 録 装 置 一 覧'135
辞136
関 連 発 表 論 文137
参 考 文 献138
-iiii一
♪
緒
論
従 来 よ り、 物 性 研 究 な どの 基 礎 分 野 か ら 定 性 ・定 量 分 析 な ど の 応 用 分 野 に 至 る ま で 分 光 測 光 技 術
は さ ま ざ ま な 形 で 用 い られ て き た が 、 そ の ほ と ん ど は 時 間 的 変 化 を 無 視 し た(測
定対 象が 時間 的に
不 変 か 、 あ る い は 変 動 す る も の で あ っ て も 時 間 的 に 平 均 化 さ れ た ス ペ ク トル を 対 象 と す る)い
る静 的 分 光 測 光 で あ っ た.し
わ ゆ
か し近 年 種 々 の緩 和 機 構 の究 明 、 化 学 反 応 の 追 跡 、 中 間 生 成 物 の 分 析
な ど、 時 間 的 に 変 化 す る 現 象 の 分 光 学 的 研 究 が 注 目 さ れ 、 そ の 観 測 手 段 と して 種 々 の 高 速 測 光 法 が
開発 さ れ 、 一 部 実 用 に 供 さ れ て い る.さ
らに最 近 のエ レ ク トロニ クスの発達 や 高速 検 出器 の 出現 に
よっ て 高 速 測 光 技 術 の 進 歩 が 著 し く助 長 さ れ た.そ
れ と呼応 して次 々 と新 し く測定 対象が 現 わ れ、
現 在 で は 高 速 分 光 研 究 は 、物 理 、
化 学 あ る い は生 物 の 分 野 は じ め 、 医 学 、薬 学 な ど の 各 分 野 に お い て
必 要 不 可 欠 の も の とな り つ つ あ る。
動 的 測 光 法 の歴 史}姑
く、 す で に1900年
技 法 が 試 み られ て い る.そ
にSh・
・t・
・Dに よっ て 流 し スペ ク ト・
レ写 真 の
れ か ら現 在 に 至 る ま で の 間 に 数 多 く の 高 速 測 光 法 が 開発 され て き た が 、
そ の 中で も 特 に 重 要 な 情 報 が 多 く得 られ 、 実 用 性 の 高 い測 光 法 は 時 々 刻 々 変 化 す る スペ ク トル の 過
渡 状 態を 時 間 的 に 分 離 して 測 光 で き る いわ ゆ る 時 間 分 解 測 光 法 と 呼 ば れ る 手 法 で あ る.こ
解 測 光 法 は 測 光 方 式 に よつ て 高 速 時 間 掃 引 法2)∼10)、
長走 査 法17)∼27)、
の時 間 分
短 時 間 間 欠 霧 出 法11)∼16)、
高速波
お よび サ ソ プ リ ソ グ法 に 分 類 され る が 、 こ の う ち 本 研 究 で 一 貫 して 取 り扱
わ れ て い る 方 式 は サ ン プ リソ グ法 で あ る.サ
ソ プ リ ソ グ法 は 検 出 器 と し て 光 電 検 出 器 を 用 い、 特 に
繰 り返 し再 現 さ れ る現 象 に っ い て の み 対 象 に で き る 方 式 で 、 繰 り返 し現 わ れ る 信 号 の 一 部 を 毎 回 サ
ン プ ル し、 そ の 出 力 を 帯 域 幅 の 狭 い 電 気 系 で 処 理 した 後 、 表 示 記 録 系 へ 導 く も の で あ る.こ
の よう
に サ ン プ リ ソ グ法 は単 発 現 象 に は応 用 で き な い、 信 号 利 用 率 が 非 常 に 悪 い な ど の 欠 点 を 持 っ に も か
か わ らず 、SN比
、 定 量 性 、 分 解 時 間 に す ぐれ 、 さ らに 時 間 分 野 ス ペ ク トル を ペ ン書 き レ コー ダ に
よっ て 高 精 度 に 記 録 で き る な ど、 そ の 利 用 価 値 は極 め て 高 い.
さ て 、 最 近 生 化 学 試 料 に 対 す る 分 光学 的 研 究 が とみ に 注 目 を 浴 び て きて い る が 、 そ の 場 合 当 然 の
こ とな が ら非 固 定 試 料 す なわ ち 生 きた 状 態 の 試 料 を 観 測 す る こ と に 関 心 が 集 ま る.し
か し、 生 物 発
光 は 極 め て 微 弱 で あ り、 また 、 吸 光 や け い 光 を 観 測 す る 場 合 、 照 射 エ ネ ル ギー に よ る 試 料 破 壊 や 変
質 を 防 ぐ た め 、 照 射 光 を 微 弱 化 す る措 置 を と る こ とが 多 く、 微 弱 光 に 対 処 し う る 高 感 度 測 光 装 置が
入 用 と な る.し
た が っ て 、 生 化 学 試 料 を 対 象 と した 高 速 分 光 研 究 を 遂 行 す る た め に,は、 時 間 分 解 測
光 装 置 に は 高 速 性 と高 感 度 性 の 両 立 が 必 要 で あ る こ と は 言 う ま で も な い.に
これ を 満 足 させ る も の は あ らわ れ て い な い の カ{実情 で あ る.こ
もか か わ ら ず 、 い ま だ
の よ う に 高 速 時 間 分 解 測 光 装 置 目体
未 確 立 で あ る た め 、 時 間 分 解 法 の 分 光 分 析 へ の 応 用 は ほ と ん どな さ れ て い な い.こ
の よ うな背 景か
ら著 者 は、 高速 測 光 法 を 利 用 した 分 光 分 析 シ ステ ム に 関 す る 研 究 を 行 な った 次 第 で あ る.
-1一
本 論 文 は5っ
の 章 か ら構 成 さ れ て い る.こ
の う ち 第i章
で は高 速微 弱光 を 対象 とした 光電子 増倍
管 内 部 ゲ占 ト方 式 に よ る サ ン プ リ ソ グ型 時 間 分 解 測 光 装 置 の 時 間 分 解 能 向 上 とSN比
研 究 結 果 を 中 心 に 述 ぺ る.こ
改 善に 関す る
こ で の 研 究 細 目 は サ ソ プ リ ン グ型 高 速 測 光 シ ス テ ム の 試 作 、 テ ス ト用
ナ ノ秒 パ ル ス光 源 の 試 作 、 偶 数 番 ダ イ ォー ド遅 延 餓 御 方 式 に よ る 分 解 時 間 の 短 縮 お よ びパ ッ ク グ ラ
ウ ソ ド信 号 補 償 用 ボ ッ ク ス カー 積 分 器 の 試 作 で あ る.な お 、 こ の ボ ッ ク ス カー 積 分 器 は第3章
、第
4章 で 言 及 す る 研 究 で も 応 用 さ れ て い る.
第2章
で は 目 的 を 極 微 弱 光 に 対 す る 高 能 率 高 速 測 光 に 置 き、 シ ン グ ル チ ャ ネ ル で あ る た め 信 号
利 用 率 が 極 め て 悪 か っ た 遅 延 一 致 装 置 の 多 チ ャ ネ ル 化 と、 コ ン ピ ュー タ援 用 に よ る 測 定 の 自 動 化
に 関 す る研 究 結 果 を 中 心 に 述 べ る.上
記の 目 的 を 達 成 す る た め 、 単 一 線 路 ク ロ ノ ト ロ ンと バー ニ ア
ク ロ ノ トロ ンを そ れ ぞ れ 原 形 と し た2種
の 多 チ ャ ネ ル 光 子 計 数 装 置 を 試 作 し、ま た こ の よ う に 高
能 率 化 され た 装 置 に よっ て 今 ま で 困 難 と さ れ て い た ナ ノ秒 極 微 弱 け い 光 の 時 間 分 解 ス ベ ク トル の 測
定 を 行 な っ た.
以 上 は 主 眼 を 高 速 測 光 装 置 の 性 能 向 上 に 置 い た も の で あ る が 、 そ れ に 対 し て 第3章
以 降で は サ ン
プ リ ン グ型 高 速 測 光 法 の 分 光 分 析 へ の 積 極 的 な 応 用 と い う こ と に 重 点 を 置 き、 パ ル ス 動 作 ホ ロ カ ソ
ー ドラ ソ プ に よ る原 子 吸 光 分 光 分 析 の 性 能 向 上 に 関 す る一 連 の 研 究 成 果 を 中 心 に 記 述 す る.
こ の う ち 第3章
で は 原 子 吸 光 分 光 分 析 用 光 源 で あ る ホ ロ カ ソー ドラ ン プ を 高 速 大 電 流 パ ル スで 駆 動
した 時 に 得 られ る 高 輝 度 過 渡 発 光 線 の 強 度 変 化 や 線 プ ロ フ ィル の 推 移 な ど動 的 な特 性 を 時 間分 解 分
光 測 光 装 置 に よ っ て 詳 細 に 測 定 した 結 果 と そ の 解 析 に っ い て 述 べ る.
第4章
SN比
で は、 第3章
で 得 た 基 礎 的 デー タ を も と に パ ル ス 動 作 ホ ロ カ ソー ドラ ン プ使 用 時 に お け る
お よ び測 定 感 度 向 上 に っ いて 言 及 す る.そ
こで は 実 際 に 時 間 分 解 測 光 型 原 子 吸 光 分 析 装 置 に
,/
よって吸光 分析 を遂 行 し、実用 面 か らの評 価 を行 っ て いる。
第5章 で は高 感度 原 子 吸光 分析 にお いて 非常 に大 きな問 題 とな るパ ック グ ラウ ソ ド吸収 の影 響 を
補 正 し、高 精度 の分析が 遂行 で きる時 間分 解測 光型 二 波長 原子 吸光 分析 装 置の 試作 に 関 して詳 述す
る.従 来 の静 的 な分光 法 の概念 で は二 波長 の分 離 は光学 的 な分 散素 子に 依 らね ば実現 し得 なか った
が、 こ こで は、 時 間分 解法 に よ って 二 波長 分離 を 行な って いる.こ の方 式 は高 速測 光法 の 応用 面で
の一 っ の方 向を示 した もの とい え よう.
な お、巻 末 に は本 実験 を行 な うに あた り使 用 した測 定器 の一 覧を 示 した.こ こに示 した 以外 の測
定 器や 光学 部 品 な どにっ いて は使 用の っ ど本 文 中に型 式名 を記 載 した.
-2一
第1章
1.1.緒
光
雷
子
増
倍
い
た
サ
ン
プ
光
測
光
装
置
管
ダ
イ
ノ
ー
リ ン
グ
型
高
速
能
向
上
に
の
性
ド 制
御
法
を
用
時
間
分
解
分
関
す
る
研
究
言
一 般 に 高 速 発 光 現 象 の 観 測 で は 過 度 光 を光 電 検 出 器 で検 知 し
、 そ の 出 力 を 高 速 オ シ ロ ス コー プ上
に 表 示 す る と い う方 法 が よ く用 い られ る。 こ の 方式 に 訟 け る電 気 信 号 伝 達 系 は 検 出器 とそ の 出 力 回
路 、 伝 送 ケ ーブル 、広 帯 域 増 幅 器 、 ブ ラ ウン 管fzど
か ら な る が 、 系 全 体 の 総 合 特 性 は 検 出 器 自体 の 利
得 、 周 波 数 特 性 、 雑 音、 波 長 特 性 を は じ め 検 出 器 出 力 回 路 な ら び に 増 幅 系 の 周 波 数 特 性 、 イ ン ピー
ダ ンス 整 合 状 態 、 そ れ に ブ ラ ウ ン管 の 特 性 左 ど の 集 積 と し て あ らわ さ れ る。 した が って 、 現 象 が 高
速 に な れ ば そ れ に 応 じて 測 定 系 の 周 波 数 帯 域 幅 を広 くす る必 要 が あ る こ とは も ち ろ ん の こ と で あ る
が 、 そ れ と 同時 に 測 定 系 各 部 の 結 合 部 に つ い て も細 心 の 注 意 を 払 わ ねば な ら左 し
∼
し か し な が ら 現 象 自体 が 一 定 周 期 で 繰 り返 し 再 現 さ れ る 場 合 に は サ ン プt)ン グ測 光 法 を 採 用 す る
こ と に よ り、 比 較 的 容 易 に高 速 測 光 が 遂 行 で き る28)。
こ の 方 式 は 現 象 の 各 周期 毎 に 信 号 波 形 上 の
一 点 を サ ン プ リ ン グ し、 そ の サ ン プ ル 点 の 位 相 を順 次 移 動 さ せ る こ とに よ り、 波 形 自体 を狭 い 帯 域
幅 を もつ 測 定 系 を 介 し て 再 現 し よ うと い う もの で あ る。 した が っ て、 測 定 系 固 有 の 雑 音 の み な らず
パ ル ス 放 電 な ど に と もな う高 周 波 雑 音 の 混 入 す る要 素 が 少 な く左 り、 ま た 測 定 系 各部 の 結 合 が容 易
に な る な どSN比
の 点 で 、 微 弱 光 の 測 定 に は 極 め て 有 利 で あ るcま
た 上 記 の ほ か 、 表 示 ・記mペ
ン書 き レ コ ー ダ を 使 用 で き る た め 波 形 解 析 が 容 易 に な る点 、 あ るい は サ ン プ リン グ パ ル ス の 位相 を
固 定 し て 波 長 走 査 を 行 な う こ と に よ り時 間 分 解 ス ペ ク トル の 記 録 で き る 点 な ど大 き左 特 長 が あ る。
し か し 欠 点 と し て は 対 象 が繰 り返 し現 象 に限 られ る こ と、 検 出 器 内 部 ゲ ー ト方 式 を 用 い る場 合 に測
定 波 長域 が 可 視 、 紫 外 に 限 られ る こ と、 澄 よ び 信 号 利 用 率 が 分 解 時 間 の 短 縮 と と もに 非 常 に 悪 くな
る こ とな ど で あ る。
サ ン プ リ ン グ 法 は サ ン プ リン グ を 測 定 系 の ど の部 分 で 行 な うか に よ り、 さ ら に 分 類 す る こ と が で
き る。 原 理 か ら 考 え て サ ン プ リ ン グ動 作 は で き る だ け 系 の 入 力 側 で行 な う こ と が 望 ま しい が 、 光 束
自 体 を電 気 光 学 素 子 な ど の 高 速 シ ヤ ・タ ー で サ ン プ ル す る 方 法 は装 置 が 複 雑 化 す る こ とに 問 題 が あ
る 。 そ の 点 、 最 も よ く使 わ れ るの は サ ン プ リン グ オ シ ロス コ ー プ に よ り光 電 検 出 器 出 力 を サ ン プ リ
ン グ す る方 法 と、 検 出器 と して 光 電 子 増 倍 管 を 用 い て そ れ 自体 に ゲ ー ト作 用 を持 た せ る 光 電 子 増 倍
管 内部 ゲ ー ト方 式 で あ る。 前 者 は す べ て を市 販 品 で 構 成 で き る の で 便 利 で あ る が 、 サ ン プ リン グ へ
ッ ド自体 の 分 解 能 は サ ブ ナ ノ秒 ・
ま で 可 能 で あ る に もか か わ らず シス テ ム全 体 と し て み た 場 合 、 分 解
時 間 は 検 出 器 の 応 答 性 あ る い は迷 容 量 に よ っ て 制 限 を受 け る 点 、 ま た 検 出 器 か ら サ ン プ リ ン グ オ シ
ロ ス コ ー プ ま で の 信 号 送 信 中 に高 周 波 雑 音 の 混 入 を 受 け や す い 点 友 ど に 注 意 を要 す る 。 そ れ に 対 し
一3一
一
て後 老で は今 の と ころ高 分解 の もの は市 販 され てお らず 、 目的に応 じて 製作 す る必 要 が あ るが、前
者 に 比 べ てサ ン プ リング動作 を よ り系 の入 力側 で行 左 ってい るた め、 高 周波 雑音 混 入 が少 左 く、 ま
た光 電子 増倍 管 の出 力負 荷抵 抗 を大 き くとれ るの で、微 弱 光 の測 定 には極 めて 有利 とな る。 しかし
分 解時 間 が光電 子 増倍 管の2次 電 子 走 行時 間 広 炉 りの領 域 に近 づ くと利得 の激減 や観 測 波 形歪 な ど
を生 じや す く、 この 点 の 克服 が切 望 さ れて い た。 それ と同 時 に装 置 の特性 を評価 す る ため の手軽 な
テ ス ト用 ナ ノ秒 パ ルス光 源 の 出現 が待 たれ てい た。
著 者 は この よ うな背景 か ら、 一 連 のサ ン プ リング型 時間 分 解 分光測 光 シス テ ムの性 能 向上 に関 し
て 、 特 に光電 子 増 倍管 内部 ゲ ー ト法 の時 間 分 解 能向上 とSN比
者 が醗
した新 し就
電 子騰
行 電 子 同 期 法3°)31)碓
1.8nsecま
管 ゲー ・法 は、従 来 よ りあ る騰
能 を合 わせ て持 つ偶数 翻
の改 善 を中心 に研 究 を行 左 った。著
翻
イ・一 洞 時 制御 法29)と 走
イ ノ ー ド遅 延 制 御 方 式 で あ り、 極 く騨
に
で の 時 間 分 解 が 高 利 得 、 無 歪 で 達 成 で き、 し か も分 解 時 間 は 可 変 で あ る こ と が主 な 特
長 で あ る。 ま た サ ン プ リン グ の 繰 り返 し 周 波 数 に 関 して 従 来 の 内 部 ゲー ト回 路 で は 、 パ ル ス 発 生 器
の 制 約 か ら高 分 解 測 光 時 に は 数10kHz以
上 の 動 作 が 困 難 で あ っ た が、 試 作 回 路 で はjoOkHz
を 起 こ え もな お 安 定 に 動 作 す る。 さ らに 本 方 式 は じ め 、 部 分 ダ イ ノ ー ド制 御 方 式 の 共 通 し た 問 題 で
あ った ゲ ー トオ フ時 の 光 電 流 リー ク に 対 して は 、 そ の 補 償 を 目 的 と し た専 用 の ダ ブ ル ボ ック ス カー
積 分 器 を試 作 し 、 ゲ ー テ ィン グ光 電 子 増 倍 管 シ ス テ ム と 併 用 す る こ と に よ って 、 光 電 流 リー ク を含
め た バ ック グ ラ ウ ン ドの完 全 左 る 除 去 を行 な って い る。 し た が っ てバ ックグ ラ ウン ド混 入 の た め 、 高
時 間 分 解 測 光 時 に と か くSN比
が 悪 化 し が ち で あ っ た 時 間 分 解 ス ペ ク トル の 測 定 が 極 め て 高精 度 に
遂 行 で き る よ うに な った 。 ま た 以 上 の 特 性 を 評 価 す る た め の テ ス ト用 光 源 と し て 発 光 ダ イオ ー ドを
用 い た ナ ノ 秒 パ ル ス 光 源 を 試 作 した 。 こ の 光 源 の 発 光 時 間 幅 は1.4nsecで
の 纔 り返 し 動 作 が可 能 で 、 し か も小 型 、 か つ250V程
あ り、100kHz以
上
度 の 比 較 的 低 供 給 電 圧 で作 動 可 能 で あ る と
い う数 々 の 特 長 を も つ 。
本 章 で は は じ め に 光 電 子 増 倍 管 内 部 ゲ ー ト法 の 概 要 に 触 れ ・ 続 い て 実 際 の装 置 に つ い て 述 べ て ゆ
く。
1.2.光
電 子 増 倍 管 内 部 ゲ ー ト法 の 概 要
光 電 子 増 倍 管 内 部 ゲ ー ト方 式 の 特 長 は 次 の5点
で あ,る。
(1、 検 出 器 出 力 側 の 浮 遊 容 量 、 浮 遊 イ ン ダ ク タ ンス の 影 響 や イ ン ピー ダ ンス 整 合 の 制 限 左 ど に わ
ず らわ さ れ る こ と な く、 検 出 器 出 力 を 高 負 荷 抵 抗 を 介 し て 能 率 よ く取 り 出 し得 る。
(2)サ
ン プ リ ン グ 部 が 検 出 器 内部 で あ る た め 、 そ の 出 力 は 直 接 狭 帯 域 測 定 系 に接 続 で き る。 した
が って 高 周 波 の 内部 雑 音 あ るい は 誘 導 雑 音 を 著 し く軽 減 で き る。
(3、 検 出器 出 力 を 直接 広 帯 域 増 幅 器 に結 合 す る場 合 、 過 渡 現 象 終 了 近 くの 出 力 の 測 定 に 際 し・ 前
一4一
に あ らわ れ た信 号 で 増 幅 器 が 飽 和 し て不 感 時 間 を生 じ る こ と が あ る が 、 これ を避 け る こ と が で
き る。
(4、 検 出 器 の 動 作 時 間 が 短 か い の で 暗 電 流 の 影響 を軽 減 で き、 さ らに 過 電 圧 状 態 で 用 い て 感 度 増
加 が 可 能 で あ る。
(51増
倍 管 の2次
電 子 走 行 時 間 の 広 が りを 制 御 しな が ら ゲ ー ト動 作 を行 な え ぱ 分 簸 時 間 の 短 縮 が
可 能 で あ る。
光 電 子 増 倍 管 内 部 ゲー ト方 式 は 制 御 方 法 に ょって 、
全 ダ イ ノー ド同 時 制 御 法32)、部 分 ダ イ ノー ド同
時 制 御 法29)・3$),36)、
制御 列
。 ドを持 つ 糲
子増儲
を用 い 砺
法37)∼39)、
の ・つに大
別 さ れ る 。 こ の うち 全 ダ イ ノー ド同 時 制 御 方 式 は 、 各 電 極 を 結 合 す る 電 圧供 給 用 分 圧 抵 抗 群 全 体 に
幅 の 狭 い 高 圧 パ ル ス を 加 え、 ゲー ト動 作 を行 な わ せ る も の で あ る。 こ の 方 式 で は 過 電 圧 状 態 で 増 倍
管 を 動 作 させ る こ と に よ り利 得 向 上 を 図 る こ とが で き る が 、 印 加 パ ルス 電 圧 に よ って 大 幅 に利 得 が
変 動 す る 点 、 ま た 幅 の狭 い 高 圧 パ ル ス を 発生 さ せ る こ と が 困 難 で あ る点 が 実 用 化 を 阻 ん で い る。 こ
れ に対 し て 部 分 ダ イ ノー ド同 時 制 御 法 は1個
も し くは 数 個 の ダ イ ノ ー ドに バ イア ス を 加 え て 増 倍 管
を カ ・ トオ フ状 態 に し て 澄 き、 そ れ に比 較 的 低 圧 の 制 御 パ ル ス を 印 加 す る方 式 で あ る。 こ の 方 式 を
通 常 の サ イ ドウ イ ン ドウ タ イ プ の 光 電 子 増 倍 管 に適 用 す る場 合 、 偶 数 番 目 の ダ イ ノー ドを 同 時 に 制
御 す れ ば 良 好 な 結 果 が得 られ る と の 報 告 が な さ れ てX36)。
部 分 ダ イ ノー ド同 時 制 御 法 で は パ ル
ス 発 生 器 の 製 作 が 比 較 的 容 易 で あ り、 ま た 印 加 パ ル ス 高 の 変 動 が 測 定 値 に 大 き く は 影 響 し な い と い
う利 点 が あ るが 、 増 倍 管 を完 全 に は カ ッ トオ フ で きな い た め 、 ゲ ー1トオ フ時 で あ って も入 射 光 に 対
し て わ ず か に 漏 れ 信 号 電 流 が 出 力 さ れ る。 しか し、 これ は 後 述 の ボ ・ク ス カ ー 積 分 器 に ょ り完 全 に
補 償 で き る の で 重 大 な欠 陥 と は な らな い 。 制 御 グ リ ッ ドを持 つ 光 電 子 増 倍 管 を使 用 す る 方 法 で は、
増 倍 管 自体 ゲ ー ト動 作 の 目的 に か な う よ うに 設 計 さ れ て お り、 数Vか
ら十 数Vの
制御 パ ルス に よ っ
て 動 作 す るの で 使 用 は容 易 で あ る が、 光 電 子 増 倍 管 が 非 常 に 高 価 で あ るの が難 点 で あ る。
'以
上3つ
の 方 式 いずれ の場 合 も
、分 解 時 間 は光 電 子 増 倍 管 内 の2次
電 子 走 行 時 間 の 広 が り に よ って
制 限 を受 け る。 し た が っ て 通 常 の サ イ ドウ イ ン ドウ タ イ ブ の もの を 使 用 し た場 合 、 最 小 分 解 時 間 は
3nsec前
後 となるが、 こ れ よ り分 解 時 間 を短 縮 す る に は 電 子 走 行 時 聞 の補 正 を し た 走 行 電 子 同 期 法
に よ らね ば な らな い 。 走 行 電 子 醐
法 はR.GB。
。n。tt37)に
よ り〃
チ レ_タ
ーの けい光 測 光
用 に 初 め て 用 い ら れ た もの で 、 増 倍 管 内電 子 走 行 と 同 期 して 順 次 ダ イ ノ ー ドを 制 御 す る 方 法 で あ る。
原 回 略 で は ダ イ ノー ト
群 を遅 延 ケ ー ブ ル で 結 合 す る こ と に よ り、 印 加 パ ル ス 伝 送 時 間 と2次 電 子 走
行 と を 同 期 さ せ 、1nsec前
後 の 分 解 時 間 を 達 成 して い る。 た だ 問 題 は、 遅 延 時 間 の 調 整 が 困 難 を
極 め る と ころ に あ る。 し か し こ の 点 は、 内 田 らX31)に よっ て 遅 延 時 間 の調 整 の 比 較 的 容 易PLC遅
延 回 路 が 用 い られ る に 至 り解 決 さ れ た 。
著 者 の 考 案 し た 偶 数 番 ダ イ ノー ド遅 延 制 御 方 式 は 、 偶 数 番 ダ イ ノ ー ドに 走 行2次
一 馳5一
電 子 と同 期 し た
ゲ ー トパ ル ス を 印 加 す る もの で ・ 部 分 ダ イ ノ ー ド同時 制 御 方 式 と走 行 電 子 同 期 方 式 を 折 中 さ せ た 方
式 で あ る と い え る。 した が ってmと
し て も、 前 老 の 製 作 の 容 易 さ 、 お よ び 後 者 の 高 時 間 分 解 特 性
を 兼 ね備 え て い る。 た だ し原 理 の 一 端 は 部 分 ダ イ ノー ド制 御 方 式 が 担 って い る た め 、 ケー トオ フ時
に 漏 れ 電 流 を生 じ る 欠 点 が あ る。 しか し こ の 点 は ボ ック ス カ ー 積 分 器 に よ る補 償 を 講 ず る こ と に よ
り解 決 が な さ れ るの で 大 き左 問 題 とは な ら左 い 。
1.3.高
精 度 タ イ ミ ン グ 制 御 装 置 の 試 作
1.3:L装
置 の概 要 と構 成
サ ン プ1】ン グ 測 光 法 は 本 論 文 中一 貫 して 用 い られ る技 法 で あ り、 そ の 原 理 は 簡 潔 左 が ら、 こ れ に
よ って も た ら さ れ る 利 点 は 前 述 の よ う に非 常 に 大 き く、 ま た 応 用 面 も多 岐 に わ た る。 こ こ で は 、 は
じ め に サ ン プ リン グ 法 の 原 理 に つ い て 簡 単 に 説 明 す る 。
図1.1サ
図1.1は
ン プ リン グ法 の原 理
原 理 を示 し た もの で 、 繰 り返 して 再 現 さ れ る信 号 波 形 上 の一 点 をdt時
間 サ ン プル して
そ の 出 力 を狭 帯 域 信 号 処 理 系 へ 送 り込 み 、 チ ャー ト レ コー ダ 上 へ 記 録 させ て い る。 サ ン プ リン グ 時
刻tdを
図 の よ うにto,t亘
・
… …tnと
逐 次 移 動 さ せ て 行 く と同 時 に 、 チ ャー トレ コー ダ のX軸
送 りを こ れ と 同 期 さ せ る ζ、 過 渡 光 の 時 間 変 化 が 正 確 に記 録 さ れ る。 ま た 分 光 器 を挿 入 し て・td
を 固 定 した ま ー
ま で 波 長 走 査 を行 な う と・ 時 刻tdに
雜 け る時 間 分 解 ス ペ ク トル が 得 ら れ る。 サ ン プ
リン グ法 で は こ の 図 か ら もわ か る よ う に、 高 速 現 象 の 観 測 分 解 時 間 は4tそ
の もめ と な り、1回
現 象 毎 に 」t時 間 の 情 報 の み を取 り出 す だ け で あ る た め 、 そ の 情 報 利 用 率 は 極 め て 低 い 瓜
一6一
の
繰 り返
し積 算 す れ ば 良 好 なSN比
図1.2け
図1.2は
∼
が 得 ら れ る。
い 光 観 測 用 サ ン プ リン グ 型 時 間 分 解 測 光 シス テ ム
、 け い 光 減 衰 波 形 観測 用 に 構 成 さ れ た試 作 時 間 分 解 測 光 シス テ ム の ブ ロ ック 図 で あ る。
一 殻 に サ ン プ リン グ 方式 を用 い た 高 速 分 光 測 光 装 置 の 電 気 系 は 大 別 し て、 タ イ ミ ン グ 系 、 サ ン プ リ
ン グ系 、 澄 よ び 記 録 表 示 系 の3系
統 に 分 け ら れ る が、 この 中 で 最 も重 要 で 装 置 の{生能 を 決 定 づ け る
部 分 は 光 電 子 増 倍 管 を用 い た サ ン プ リン グ 系 で あ る。 ま た タ イ ミン グ系 は 光源 トリ ガ パ ル ス と サ ン
プ リン グ パ ル ス の 時 間 関 係 を 正 確 に決 定 し、 さ らに 前 者 に 対 す る後 老 の パ ル ス 発 生 時 刻 を外 部 ま 之
は 内 部 制 御 に よ って 精 度 よ く 自 由 に遅 延 さ せ る機 能 を 持 つ 系 で あ・
り、 そ の 精 度 は 直 接 分 解 時 間 に 影
響 を 与 え る。
光 電 子 増 倍 管 内 部 ゲ ー ト方 式 を 用 い た ナ ノ 秒 サ ン プ リ ン グ系Vcつ い て の 詳 細 は(1.4)節
で述 べ
る こ と に して 、 こ こ で は サ ン プ リン グ 系 の 能 力 を 十 分 に 引 き出 す べ く試作 さ れ た タ イ ミン グ制 御 装
置 に つ い て の 説 明 を 行 な う。
本 タ イ,ン
グ制雛
置 は 以 前 内 田 ら29)に
よ 。て 製 作 さ れ た もの を 原 形 と し て 、 こ れ を さ ら跡
型 、 か つ 高 精 度 化 し た もの で あ り、 ナ ノ 秒 か らマ イ ク ロ秒 領 域 に わ た る さ ま ざ ま な 過 渡 現 象 の測 定
に 適 用 で き、 加 うる に コ ン ピ ュー タ に よ る制 御 も可 能 な よ うに 設 計 さ れ て い る。
は じ め に装 置 の 諸 特 性 を表L1に
示 し て 診 く。
-7一
表Uタ
Operation
Light
.
1,
Frequency
Source
Trig.
Operation
Signal
Mode
1.6,
max.
Out.
max.
5 kHz
rise
time
2Ons)k
1 psec
50,
0.5,
100,
300 nsec,
1, 2, 3, 10,
tHIGH(height
TTL(height
1,
min
20
60V,
min.
5V, width
5,
width
1ps)
30
psec
15ns,
rise
time
3ns)k
0 -,-5V
transient
time
waveform
delay
measurement
: auto
scanning)
resolved
spectral
measurement
(time
delay
: manual)
computer
(time
図1.3は
3,
315V,
width
300ns,
5V, width
1ps)
(time
ー
2,
1 psec
tHIGH(height
TTL(height
PM Sampling
Channel
Fixed
time
delay
Variable
time
delay
scanning
delay
range
auto
scanning
time
Output
pulse
Delay
1.2,
Channel
Fixed time delay
Output
pulse
Time
イ ミン グ制御 装置 の性 能
controlled
delay
:
measurement
computer)
試 作 装 置 の タ イ ム図 を 示 し た もの で あ る。 装 置 全 体 の 繰 り返 し 周 波 数 を決 定 す る 主 パ
ル ス 発 生 器 も し くは 外 部 パ ル ス 発 生 器 か らの 出 力 パ ル ス は2つ
に 分 岐 され 、 光 源 ト リガ 用 の 固定
遅 延 回 路 と サ ン プi)ン グ パ ル ス 発 生 用 の 連 続 可 変 遅 延 回 路 に 同 時 に 入 る。 こ こで 固 定 遅 延 回 路 の
遅 延 時 間 は ポ テ ン シ ョ メー タ の 回 転 に 比 例 す る形 で 一
与 え られ ・ 手動 で1μsecま
で の 値に 固定 で
ノ
き る。 一 方 、 可 変 遅 延 回路 は時 間 遅 延 操 作 を行 な う可 変 遅 延 部 と 固 定 遅 延 部 の2つ の 部 分 か ら成
'
h立 っ て い る。 この う ち可 変 遅 延 部 で は先 ほ ど の 固 定 遅 延 回 路 と 同 様 、 遅 延 時 間 が 手 動 で 連 続 的
に 可 変 で あ る ほ か、 別 に 設 け た パ ル
ス 発 生 器 か ら の パ ル ス 列 をD/A変
換 器 に よ り連 続 的 に 上 昇 す る電 圧信
号 に 変 換 し 、この 電 圧 信 号 に 比 例 す る
形 で自動 的 に走 査 で きる。なお 、 この部
分 で の 可 変 遅延 時 間 域 お よ び走 査 時
間 は表1.1に
示 す よ うに6段
階 に切
り換 え られ る よ うに な っ て い る。 時
間遅延 走 査部 の 出力 パ ルス は さ らに
固 定 遅 延 部 に 入 力 さ れ こ こで1μsec
図1・3タ
イ ミ ン グ制 御 装 置 各 部 の タ イム 図
-8一
ま で の 時 間 達 延 が 手 動 で 与 え られ る。
本 装 置 で は この よ うに、 光 源 ト リガ チ ャ ネル 、 サ ン プ リン グ チ ャ ネ ル に そ れ ぞ れ 独 立 の 固 定 遅 延
回 路 が 取 り付 け ら れ て い る た め 、 サ ン プ リン グパ 々 ス 発 生 時 刻 を光 源 ト リ ガパ ル ス 発 生 の 前 後 に
広 範 囲 に わ た って 自由 に 移 動 可 能 とな り、 現 象 の あ ら わ れ る 前 後 の 状 態 あ るい は 現 象 発 生 中 の特
定 の時 間 域 の 状 態 を 詳 細 に測 定 す る こ とが で き る。
光 源 トリ ガ チ ャネ ル の 最 終 段 に は、 ザ イ ラ トロ ン制 御 方 式 の け い光 励 起 用 パ ル ス 光 源 を ト リガ
す る 目 的 で、 立 ち上 り時 間20nsec、
波 高315Vの
正 パ ル ス を発 生 さ せ る 回 路 が 設 け ら れ て
V・ る。 ま た 、 サ ン プ リ ン グ チ ャネ ル め 最 終 段 に は 偶 数 番 ダ イ ノー ド制 御 用 の パ ル ス 発 生 回路 が付
属 して お り、509負
荷 に 対 し、 立 ち上 り時 間 、 立 ち 下 り時 間 と も3nsec,波
高60Vの
正パ
ル ス を 発 生 さ せ て い る。 こ の パ ル ス を 偶 数 番 ダ イ ノー ド同 時 制御 回 路 へ 印 加 し た場 合 、 分 解 時 間
と して は 約3nsecが
時 は509の
祷 られ る(図1.21(B)を
参 照)。
こ れ よhも 長 い 分 解 時 間 が 必 要 な
同 軸 ケ ー ブ ル を外 蔀 コ ネ ク タ に 接 続 す る こ とに よ り制 御 パ ル ス 幅 を 伸 長 し、 目的 を
達 成 し て い る。
さ ら に 本 装 置 の 特 長 は 遅 延 時 間 の 走 査 を外 部 コ ン ピ ュ ー タ か らの 命 令 で 制 御 で き る こ と に あ る。
コ ン ピ ュー タ 制 御 寺に は 可 変 遅 延 時 間 域 を あ らか じめ 指 定 し た ス テ ップ 数 で デ ィ ジタ ル 的 に 走 査
さ せ る 方 式 が と られ る。 こ こ で 各 ス テ ップ を あ らか じめ コ ン ピ ュmメ
き、 各 番 地 の メモ リにA/D変
モ リ番 地 に 対 応 さ せ て お
換 さ れ た光 電 出 力 信 号 を逐 次 記 憶 さ せ な が ら遅 延 時 間 走 査 を行 な
え ぱ、 過 渡 発 光 波 形 の 時 間 変 化 が オ ン ラ イ ン で コ ン ピ ュー タ.に記 憶 さ れ る。 そ の うえ で必 要 な処
理 を 施 した 波 形 を 出 力 す れ ば、 極 め て 高 精 度 高 能 率 の 測 光 が 遂 行 で き る。
L32.装
置 の詳 細
㈲
主 パル ス発生 器
図1.4に
主 パ ル ス 発 生 器 の詳 細 を
示 す 。 本 装 置 の 繰 り返 し 周 波 数 は サ
イ ラ トロ ンの駆 動 を 考慮 し て1kHz
か ら2kHzの
間 を 特 に細 か く分 割
してい る。
(B)時
雕
延 回路
、
可 変 遅 延 、 固 定 遅 延 と も時 閻 遅 延
の原 理 は 同 じで あ り、 図1 。5に 示 し
た 模 式 図 に よ って 動 作 が 説 明 さ れ る。
ま た実 際 の 回 路 も図1.6(A1,(B】 に 示
図1.4主
一9一
パ ルス パル ス発生 器
す よ うに そ の 基 本 構 成 に お い て は 何 等 か わ る と こ ろ は な い 。
遅 延 回 路 で は 主 パ ル ス も し くは 外 部 ト リ
ガパ ル ス に ょ って ミ ラー 積 分 回 路 を駆 動 し
直 線 性 の す ぐれ た 鋸 歯 状 波 を 発 生 さ せ て い
イ ナ ス 入 力 に 加 え る。 一 方 、 プ ラス 入 力 に
は 、 あ らか じめ 定 め られ た参 照 電 圧 を 印 加
ナ る。 この よ うに し た 場 合 、 鋸 歯 状 波 レペ
ル が 参 照 電 圧 よ り高 くな っ た 時 点 で コ ンパ
レ ー タ か ら出 力 が あ らわ れ 、 主 パ ル ス ト リ
ガ か ら コ ンパ レm出
力 パ ル ス 発 生 ま で時
図1.5時
間 遅延 の原 理
間 が 遅 延 さ れ る。 こ こ で 鋸 歯 状 波 が 正 確 な 直 線 で あ れ ば 遅 延 時 間 は 参 照 電 圧 に 比 例 す る こ と に
な る。 し た が って 参 照 電 圧 を 低 速 で 自 動 的 に上 昇 さ せ 、 こ れ をXYレ
ぱ 、X軸
コー ダ のX軸
へ入 力す れ
は 正 確 に遅 延 時 間 に 対 応 して チ ャー ト上 に は 現 象 の 時 間 変 化 が 記 録 さ れ る こ と に な る 。
ま た 所 定 の 遅 延 時 聞 と な る よ う参 照 電 圧 を 固定 し、 モ ノク ロ メー タ の 波 長 送 り を レ コー ダ と 同
期 さ せ れ ば そ の 時 刻 に 澄 け る時 間 分 解 ス ペ ク トル が チ ャー ト紙 上 に 記 録 さ れ る 。 攻 澄、 可 変 遅
延 部 の 最 大 遅 延 時 間 は 鋸 歯状 波 の 勾 配 を 変 化 さ せ る こ と に よ り表1.1に
るo
図1・6遅
延 回路 ・ω
固定 遅延
一io一
示 す 値 に切 り換 え て い
図L6⑧
図1.7参
可 変
遅 延
照 電 圧 発 生 回 路
一11一
◎
参 照電 圧 発生 器
前 述 の よ うに 、 連 続 的 に 遅 延 す るサ ン プ リ ン グパ ル ス を 発生 さ せ る た め に は 低 速 で し か も時
間 的 に一 定 の 割 合 で 上 昇 す る 参 照 電 圧 が必 要 と な るc本 装 置 で は 特 に コ ン ピ ュー タ に ょ る制 御 、
上 昇 率 設 定 の 容 易 さ 、 精 度 左 ど を 考 慮 し て 図1.71/示
変 換 器(テ
(D)光
レダ イ ン4023型)を
す よ うな カ ウ ンmと10ビ
ッ トD,/A
中 心 に 構 成 した デ ィ ジ タ ル 参 照 電 圧 発 生 器 を 試 作 し た 。
源 ト リ ガノくル ス 発 生 回 路 お よび サ ン プ リ ン グパ1Lス 発 生 回 路
け い 光 励 起 用 ナ ノ秒 パ ル ス 光 源 の ス イ ッチ ン グ 素 子 で あ る サ イ ラ ト ロン(東 芝1G35P)
を 直 接 ト リ ガす るた め 、 図1.8に
示 す パ ル ス 発 生 器 か ら波 高315Vの
た だ し、 こ こで 使 用 した 高 圧 ス イ ッチ ン グ ト ラ ン ジス タ(東
あ り、 そ の ま ま で は 出 力 電 圧 が 不 足 す る の で3段
正 パ ル ス を 出 力 し て い る。
芝2SA510)の
耐 圧 は150Vで
直 列 接 続 す る こ と に よ り必 要 な パ ル ス 高 を得
て い る。 一 方 、 光 電 子 増 倍 管 偶 数 番 ダ イ ノー ド同 時 制 御 用 サ ン プ リツ グパ ル ス は 図1.9に
た よ うに、アバ ランシ ェ トラン ジスタ(日
立2SC479H)ス
イ ッチ ン グ 方 式 の 伝 送 線 路 充 放 電
型 超 高 速 パ ル ス発 生 器 か ら得 て い る。
図L8光
一 般 に 出 力 パ ル ス 幅Tw(nsec)と
源hリ
ガ パ ル ス発 生 回 路
充 放 電 線 長L(m)の
Tw=10L(1.1)
-is一
示 し
間に は
の 関 係 が あ る。 本 装 置 で は15nsecの
放 電 線(509同
パ ル ス 幅 を得 る た め に 、 この 関 係 に従 って1 .5mの
軸 ケ ー ブ ル3D2V)を
充
内 蔵 して い る。 も し、 そ れ 以 上 の 幅 が 必 要 な 場 合 は
さ ら に ケ ー ブ ル 長 を 延 長 す る こ と に よ り 目的 を 達 成 で き る よ うに な っ て い る。 出 力 パ ル ス の 立
ち上 り特 性 や 再 現性 をは じめ と す る諸 特 性 は ア バ ラ ン シ ェ ト ラ ン ジス タ に よ っ て 決 定 され る と
言 って も過 言 で は な い。 ア バ ラ ン シ ェ トラ ン ジス タ は 一 般 に 高 価 で あ り、 ま た入 手 も困 難 で あ
る こ と が 多'C著
者 は 市 販 の 高速 ス イ ッチ ン グ トラ ン ジス タ 中、 ア バ ラ ン シ ェス ィ ッチ ン グ 動
作 特 性 を 示 す もの が い く種 か 存 在 す る こ と に注 目 し、 そ の 選 出 を行 左 った 結 果 、 日立2SC
479H涛
よびNatTonalSemiconductor2N3725で
は90%以
上 の割合 で アバ
ラ ン シ ェ特 性 を示 す こ と を 見 出 し た 。 こ こに 述 べ た パ ル ス 発 生 器 は じ め、 こ の後 説 明 す る諸 回
路 に お い て は ・ そ の 中 で も特 に ア バ ラ ン シ ェブ レー ク ダ ウ ン 電 圧 が150V以
上 の もの を 選 別
して 使 用 して い る。
図L9ダ
1・.4.発
発撫
光 ダ イオ ー
イ ノー ド制 御 パ ル ス発 生 回 路
ド を 用 い た テ ス ト用 パ ル ス 光 源 の 試 作
翫(・WHM)の
光灘
対 す 。測定 半 値幅 を 、M、 す 鳳,、
tは 次 式 で近 似 で き る。
・=tM-ti(・
.・)
-13一
、
光 シス テ 。の分 解時 間
た だ し、 そ れ ぞ れ の 波 形 は す べ て ガ ウス 波 形 と仮 定 す る。tを
精 度 よ く推 定 す る た め に は 光 源 発 光
持 続 時 間 は で き る 限 り短 か い こ と が 望 ま し く、 少 左 く と も測 光 シス テ ム の分 解 時 間 以 下 で あ る こ と
腰
求 さ れ る.。
放 電 管43)が
の 要 求 を み た す 光 源 と し て は ピ ・秒.・ル ス レー ザ ー4°)∼42)や
サ ブ ナ.秒
繖
あ るが 、 い ず れ も取 り扱 い の煩 雑 な 点 と、 繰 り返 し 周 波 数 を大 き く と れ な い とい う点
で 真 に 実 用 的 で あ る とは 言 い 難 い 。 そ こ で 本 研 究 に 齢 い て は 製 作 の 容 易 さ、 取 り扱 い の 簡 便 さ、 ま
た 経 済 性 お よ び 良 好 な 繰 り返 し動 作 特 性 な ど を考 慮 し て 発 光 ダ イ オ ー ド(LED)を
用 い た ナ ノ秒
パ ル ス 光 源 を 試 作 し 、 測 光 装 置 の 諸 性 能 の測 定 に 使 用 し た 。
さ ら に 、 ボ ック ス カm分
時 間50nsecの
1.4.1.ナ
器 の パ ッ ク グ ラ ウ ン ド信 号 除 去 能 力 を評 価 す る た め の 光 源 と し て 発 光
赤 色 光 に 発 光 時 間4Rsecの
緑 色 光 を 重 畳 さ せ た二 色 パ ル ス 光 源 を試 作 した 。
ノ秒パ ル・
ス光 源
ナ ノ 秒LED.・
、
レス 光 源 は す で 榔
くつ 醗
表 ω
ず れ も同 じで 、 ア バ ラ ン シ ェ トラ ン ジス タ でLEDを
∼46)さ
れ て い る.こ
れ ら囑
作原 醗
い
高 速 駆 動 す る方 式 を 採 って い る。 こ こ で新
た に 試 作 した 光 源 も駆 動 原 理 は 今 ま で の もの と 同 じ で あ る が、LEDを
吟 味 し、 ま た ア バ ラ ン シ
ェ トラ ン ジス タ の 直 列 接 続 使 用 を 行 な っ た り逆 バ イ ア ス印 加 回 路 な どに 工 夫 を 加 え た 結 果 、極 め
て簡 素 な 回 路 で あhな
が ら こ れ まで 発 表 さ れ た もの よ り も短 時 間 発 光 に成 功 し た 。
図1.10発
図L10は
試 作 し たLEDパ
光 ダ イオ ー ド
ナ ノ秒 パ ル ス 光 源
ルス 光 源 の 詳 細 で あ る。LEDは2段
直 列 に接 続 さ れた アバ ラン
シ ェ トラ ン ジス タ に ょ っ て 駆 動 さ れ る。 こ こ で イ ン ダ ク タ ン スLはLEDの
再 結 合 彳 ヤqア
を強
制 的 に 分 離 し、 光 消 滅 時 間 を短 縮 す るた め の 過 渡 逆 バ イ ア ス 電 圧 発 生 用 の も の で あ り・ ま た ダ イ
オ ー ドD1∼D3は
逆 バ イ アス の 過 電 圧 か らLEDを
発 光 強 度 と発 光 時 間 は 充 電 用 コ ンデ ン サCお
保 護す るため の もので あ る。
一14一
よ び そ の 充 電 電 圧 に よ っ て 調 整 で き る が、 そ の つ
ど逆 バ イア ス 発 生 用 コ イル の ピ ッチ を変 化 さ せ て 、 寄 生 発 振 に 起 因 す る 発 光 波 形 歪 が 最 小 に 左 る
よ う イ ンダ ク タ ンス を再 調 整 す る 必 要 が あ る。
LEDと
し て はGaAsPタ
イ プ(赤
色 、 中心 波 長6550べ)の
もの が 高 速 応 答 性 の 点 で 他 の も
の よ り優 れ て い る こ と は周 知 さ れ て い る。 本 研 究 で は こ の 中 で も特 に 短 時 間 発 光 に適 して い る と
思 わ れ る小 型LED数
種 に つ い て 上 記 駆 動 回 路 で 発 光 さ せ 、 そ の 発 光 特 性 を 高 速 ス ト1,一 ク カ メ
ラ(TRWlD型)で
測 定 を行 左 い 、 最 終 的 にLitronixRL-50を
採 用 し た 。図1.10
に示 し た 回 路 定 数 の も とで の発 光 時 間(FWHM)は1.4nsecで
作 は100kHz程
XP-23な
あ り、 そ の時 の 発 光 繰 り返 し動
度 ま で 安 定 で あ る。 これ よ り さ ら に 短 時 間 発 光 が 必 要 な場 合 に はFeranti
ど の 逆 バ イ ア ス型LEDを
しか し、 逆 バ イ ア ス 型LEDは
使 用 す れ ば1nsec以
下 の 発 光 が 実 現 で き る46)。
発 光 強 度 が小 さい こ とが 欠 点 で あh.SN比
に 関 して問題 が生 じ
る点 、 注 意 す る必 要 が あ る。
1.4.2.二
色 パルス 光 源
こ の 光 源 は バ ック グラ ウン ド光 補 正 用 ボ ・ク ス カ ー 積 分 器 の 性 能 をテ ス トす る た め に 試作 し た も
の で あ り、 発 光 時 間50nsecの
発光 時 間4μsecの
図1,11に
赤 色 光(中
緑 色 光(中
心波長
心 波 長6550λ)に
バ ックグ ラ ウン ドパ ル ス 光 と して
゜5550A)を
重 畳 させ て い る。
二 色 光 源 の詳 細 を 示 す 。 赤 色 光 は 先 ほ ど と 同 じ くLitronixIRL-50型LED
十200V
。
1丶
nix・
(655°A)
PG8(555°A)
Tτ1:2N3725(NS)SELECTEDFORゑVALANCHESW工1CHING
Tr2Tr5:2SC373(Toshiba)
DIND3:151588(Toshiba)
図1.11二
色 パ ル ス 光 源
一15一
o
を ア バ ラ ン シ ェ トラ ン ジス タ で 駆 動 す る こ とに よ り得 て い るが 、 発 光 時 間 は50nsecで
ょい た
め 逆 バ イア ズ 印 加 回路 は 省 略 し た 。 一 方 、 緑 色 光 は シ ャー プGL-30PG8型LED(GaP
タ イ プ)を
ス イ ッチ ン グ トラ ン ジス タ で駆 動 す る こ と に よ って 得 て い るρ 二 色 の 相 対 発光 強 度 の
調 整 は 緑 色 光 側 に と り つ け られ た 可 変 抵 抗(5k9)に
な お 、 本 光 源 で は2つ
のLEDは
を 望 む 場 合 は 二 色LED(シ
接 着 さ れ 、 一 体 化 して 使 用 し て い るが 、 よ り完 全 左 る一 体 化
ャ ー プGL-40RGな
か し現 在 の.とこ ろ 二 色LEDは
ょ って な さ れ る。
全 てGaPタ
ど)を 使 用 す る の も一 つ の 方 策 で あ る。 し
イ プ で あ る た め 高 速 応 答 性 に 劣 う 難 点 が あ る。 左お
両 テ ス ト用 光 源 の 発 光 特 性 につ い て は 後 ほ ど詳 述 す る 。
1.5.偶
数 番 ダ イ ノー
ド遅 延 制 御 方 式 に よ る 分 解 時 間 の 短 縮
光 電 子 増 倍 管 ダ イ ノー ドゲ ー ト方 式 に よ るサ ン プ リン グ 測 光 に 澄 い て は 、 製 作 の 容 易 さ と安 定 性
の 点 か ら偶 数 番 ダ イ ノー ド同 時 制 御 方 式 が よ く利 用 さ れ て い る が 、 そ の反 面 、カ ソー ドか らア ノー ド
に 至 る2次 電 子 走 行 時 間 の広 が りに よ り分 解 時 間 が 制 限 さ れ る と い う こ と は 前 述 し た 。1P21,
R106な
ど の サ イ ドウイン ドウタ イ プ光 電 子 増 倍 管 を使 用 した場 合 、この 方式 では2.5nsec以
下 の分解
時 間 を 得 るこ とが で き風 ∼ その うえ 、制 御 電 極 間 の 浮 遊 容 量 や 浮 遊 イ ン ダ ク タ ン ス の 影 響 で 制 御 パ ル
ス 上 に オ ー バ ー シ ュ ー トや ア ン ダ ー シ ュー トな どの 寄 生 発 振 を生 じ、 そ の た め に 高 分 解 時 に お け る
出 力 波 形 に 歪 を 伴 友 い や す い 。 波 形 歪 を排 除 す る 最 善 の 策 は こ の よ う左 寄 生 発 振 を 抑 制 す る こ とで
あ る が、 そ れ に は 制 御 パ ル ス の 立 ち上 り特 性 と立 ち下 り特 性 を あ る程 度 犠 牲 に す る必 要 が あ り・ 分
解 時 間 特 性 の 劣 化 を 避 け 得 な い とい う矛 盾 が 生 じ る。 そ こで この 矛 盾 を断 ち、 高 分 解 で 歪 の な い 波
形 を 高 利 得 で 得 る こ とを 目 的 と し、 偶 数 番 ダ イ ノ ー ドに2次
電 子 走 行 と同 期 し た 遅 延 ゲ ー トパ ル ス
を 印 加 す る偶 数 番 ダ イ ノー ド遅 延 制 御 方 式 を考 案 した 次 第 で あ る。
1、5.1.光
電子 増 倍管 利得 制御特 性
本 研 究 で は 遅 延 制 御 方 式 を3種
を 把 握 で き る よ う、 そ の3種
、
の光 電 子 増 倍 管 に 対 し て 適 用 し た 。
の外 形 写 真 を 図1.12に
ドゥ イ ン ドウ タ イ プ のHTV-R843、
は じめ に電極 形体 の概要
示 して 齢 く。 こ こで は左 か ら 順 に 小 型 サ イ
汎 用 サ イ ドウ イ ン ドウ タ イ プ のHTV-R106(以
上 浜 松 テ レ ビ)、 訟 よ びEMI-9594Bが
配 列 さ れ て い る(比
較 の た め・ 長 さ 約14伽
の万
年 筆 が 置 か れ て い る)。
光 電 子 増 倍 管 の ダ イ ノ ー ドに 負 バ イ ア ス 電 圧 を与 え る と利 得 が 減 少 ・
し、 増 倍 管 は カ ッ トオ フ状
態瞰
るが、 その 際、 特m数
の偶y,?_'イ
ノー ド鯛
29)_.
し て も 良 好 な カ 。 トオ フ 特 性 が 得 られ る っ 表1.2は'一
一16一
時喇
鮒
れ眦
鮒
浅 い ・ミイ アス に対
゜r'Tし た 増 倍 管 の 偶 数 番 タ イ ノ ー
ドに 同 時 に
負 バ イア ス 電 圧 を 加 え た 時 の 静 的 左 諸 特 性 を ま と め た も の で あ る。
こ こで、 負 バ イアス 電 圧は 各増
倍 管 に対 す る 最 適 値 が あ り、 ま た
同 一 機 種 で あ って も製 品 に よ って
最 適電 圧に多少 の偏 差 があ るが、
続 いて 述 べ る制御 パル ス 発生 回路
の 出 力 パ ル ス 電 圧 を考 慮 し て 、 こ
こ ではい ずれ の光電 子 増倍 管 に対
し て も一50Vの
バ イ ア ス を与 え
た 時 の 特 性 を 測 定 し た 。 カ ・ トオ
フ特 性 の 良 否 を 表 わ す もの と し て
本表 で は バ ヅ クグ ラウン ド電 流 比 が
IiTV-R843HTV-RlO6EMI曙9594B用
い ら奴
い る。 こ 娵,・
イア ス
印 加 時 の 利 得 と、 正 規 電 圧 時 の 利
図1.12光
電 子増 倍管外 観
得 の 比 で 定 義 さ れ る 量 で あ り、 こ
れ が 小 さい ほ ど良 好 左 カ ッ トオ フ 特 性 が 得 られ て い る こ とに な る。 カ ッ トオ フ時 に お・
け る暗 電 流
「
は 測 定 のSN比
に 直 接 影 響 を与 え る の で 、 光 電 子 増 倍 管 の 選 定 に は 十 分 注 意 す る必 要 が あ る。
測 定 し た3種
の 光 電 子 増 倍 管 の うち で は 、4個
らず 、HTV-R843の
の ダ イ ノ ー ドを 同 時 に 制 御 して い る に もか か わ
カ ッ トオ フ特 性 は 余 り良 好 とは い え な い よ うで あ る。 しか し こ れ は ボ
。クス カ ー 積 分 器 で 補 償 で き る た め 重 大 な 欠 点 とは な ら な い 。 特 に こ の 増 倍 管 は 小 型 で あ る た め
装 置 全 体 を コ ンパ ク トに 構 成 す る こ と が で き る う え、 電 極 が きわ め て 小 さ い た め 、 浮 遊 容 量 や浮
遊 イ ン ダ ク タ ンス に 起 因 す る制 御 パ ル ス 波 形 歪 が 少 な くな る とい う点 で 、 大 型 の もの よ り も装 置
制 作 に 関 して 有 利 とな る。EMI-9594Bは
表L2光
P.M.
こ れ と は 反 対 に 電 極 の 形 状 か 大 き く、 し か も電 極
電 子 増 倍 管 ダ イ ノ ー ド制 御 特 性(静
PHOTOCATHODE
OVERALL
GAIN
APPLY
NORMAL
VOLTAGE
OPERATION
under
DC
HTV-R106
S
19
-1000
V
3x
HTV-R843
S
5
-1000
V
2 „e 10 6
EMI-9594B
S
11
-2000
V
106
108
-17一
CONTROLLED
DYNODE
NUMBER
特 性)
BACKGROUND
RATIO
(bias,
-50V)
2,4,6
3.0
x
10-4
2,4,6,8
1.4
x 103
6,8,10
1.1
x 10-4
DARK
CURRENT
under
CUT-OFF
300
30
1800
STATE
pA
pA
pA
と ソ ケ ッ ト端 子 間 の り一 ド線 が 長 い た め 、 伝 送 ケ ー ブ ル と 制 御 電 極 と の イ ン ピー ダ ンス 整 合 が 困
難 で あ り、 波 形 歪 に 関 して は 著 し く不 利 と な る 。
1.5.2.遅
延 制 御 ゲ ー ト回 路
図1・13診
よ び 図1・14は
示 し た もの で あh.こ
従 来 か ら あ る偶 数 番 ダ イ ノ ー ド同 時 制 御 回 路 と走 行 電 子 同 期 回 路 を.
の う ち 前 者 の 特 徴 は す で に 述 べ た 。 後 者 は 確 か に 時 間 分 解 特 性 は 向上 す る
OU丁
'
IN
・1
-1000V
図1.13偶
数 番 ダ イ ノ ー ド同 時 制 御 方 式 光 電 子 増 倍 管 ゲ ー ト回 路
もの の 、 内 部 電 極 の 構 造 や 電 界 の 違 い
が あ る た め 遅 延 時 間 の 正 確 な調 整 が 困
難 で あ り、 ま た 遅 延 回 路 群 伝 播 中 に パ
ル ス 傾 斜 角 の 変 化 を きた す こ と左 ど か
謬灘 鱗 蒜 騨 も
こ れ に 対 して 偶 数 番 ダ イ ノ ー ド遅 延
制 御 方 式 で は 製 作 調 整 が 平 易化 さ れ、
ま た 分 解 時 間 が 可 変 に な って い る。
図1・14走
行電子 同期制 御方式
図1 .15は
本 方 式 の 原 理 図 で あ る。
光 電 子 増 倍 管 ゲ ー ト回 路
各電 極 間の電 圧 は偶数 番 ダ イノー ト
伺
時 制 御 方 式 と同 様 で あ り、 こ こで は
No.2、4、6各
ダ イ ノ ー ドに 一50Vの
ー ドに は 目的 と す る時 刻 に 波 高50V程
逆 バ イア ス 電 圧 が 与 え ら れ て い る 。 こ れ ら の ダ イノ
度 の サ ン プ リ ン グ パ ル ス が 印 加 さ れ る わ け で あ るが
、そ
の 時 走 行 電 子 と印 加 パ ル ス の 位 相 が 一 致 す る よ うに 遅 延 ケ 三 ブ ル で 印 加 パ ル ス を順 次 遅 延 させ て
一18一
い る。 こ の よ うな 措 置 を講 ず る こ と に よ り、 位 相 の 揃 っ た2次
電 子の み が増倍 され、 電子 走 行時
間 広 が りが 抑 え ら れ るCこ の 方式
は 図1.13あ
る い は 図1.14に
示
し た走 行 電 子 方 式 と異 な り、 制御
ダ イ ノー ドに接 続 され る遅 延 線 は
1本 で あ る た め 、 両者 の イ ン ピー
ダ ンス 整 合 と遅 延 時 間 の 調 整 が 容
易 で あ る。
さて 、 遅 延 制 御 方 式 を適 用 す る
に は 制 御 ダ イ ノー ド間 の 電 子 走 行
時 間 を知 る必 要 が あ る が、 こ れ は
近 似 的 に は 管 内 の 電子 伝 播 時 間 を
図1.15遅
電 極 数 で 除 し て 求 め る こ とが で き る。 た と え ば 、1P21な
を1000Vの
延制 御方 式 の原理
ど の サ イ ドウ イ ン ドゥ タ イ プ の もの
供 給 電 圧 で使 用一
し た場 合 の カ ソ ー ド∼ ア ノー ド間 の電 子 伝 播 時 間 は 約16nsecで
あ る ゆ え、 ダ ィ ノー ド2段 当 りの 走 行 時 間 は 約3.2nsecと
計 算 さ れ る。 し か し本 研 究 にお い て
は さ らに 高 精 度 を 期 す る た め に、 以 下 に 述 べ る要 領 で 走 行 時 間 の 測 定 を行 な った 。
ま ずNo.2ダ
イ ノー ドの み に 逆 バ イ ア ス 電 圧 を 加 え 、 光 電 子 増 倍 管 を カ ッ トオ フ 状 態 に す る。
こ の 状 態 で 先 ほ どのLEDパ
ル ス 光 を 照 射 し 、 幅2nsec程
度 の サ ン ブ1)ン グ パ ル ス をNo
.2ダ
イ ノー ドに 印 加 し 宏 が ら光 源 と サ ン プ リン グ パ ル ス の タ イ ミ ング を 走 査 し て 発 光 波 形 の記 録 を行
な う。 次 にNo.2ダ
イ ノー ドに か え てNo.4ダ
イ ノ ー ドを制 御 し、 同 様 に 発 光 波 形 を 記 録 す る。
こ うし て 記 録 され た 波 形 の ピ ー ク は 図1.16に
示 す よ うに そ れ ぞ れ 制 御 ダ イ ノー ド間 の2次
電子
走 行 時 間 分 だ け 分 離 し て い る。 こ め よ うに 分 離 記 録 さ れ た 波 形 の ピ ー ク 間 隔 か らHTV-R106の
ダ イ ノー ドNo.2∼No.4間
の 電 子 走 行 時 間 が3.3nsec、
で あ る と い う結 果 を得 た 。 他 の2種
ー ド間 の 電 子 走 行 時 間 を求 め た
ま たNo
.4 ̄No.6間
の 光 電 子 増 倍 管 に つ い て も同 様 な測 定 を行 な い 、 制 御 ダ イノ
。 そ れ らの 結 果 を ま と め て 表1.3に
示 すC表
中 に は 遅 延 時 間 に相
当 す る 同 軸 ケ ー ブ ル 長 を も同 時 に 記 入 して あ る が、 こ の値 は 同 軸 ケ ー ブ ル(75ρ
m当 た りの 遅 延 時 間 を5nsecと
が3.6nsec
、50ρ)1
し て 換 算 した もの で あ る。 な 澄 、 以 上 の 測 定 は 、 管 供 給 電 圧 を
表1・2に 示 す 値 と し・ 逆 バ イア ス 電 圧 を 一50V、
サ ン ブ リ ン グ パ ル ス 高 を50Vに
統 一 して行
な った 。
上 記 の 検 討 を 踏 ま え た う え でHTV-R106に
1.17に
対 して最 終的 に 決定 した遅延制 御 回路 を図
示 す。
-19一
、
s
前 述 し た よ うに 、No.2.4,6
の3づ
の ダ イ ノ ー ドに は 正 規 電 圧 に
対 し50Vの
註
誘
z
wト
z
負 バ イ ア ス が か け られ
て い る。 こ の 電 圧 分 布 で は光 電 子 増
倍 管の利 得 は正 規 電圧 状 態 に比べ て
3×10-a倍
に 低 下 した カ 。 トォ
フ状 態 に あ る。 こ の 状 態 か らオ ン状
態 へ 短 時 間 だ け 復 帰 さ せ るべ く、 制
OlO20TIME(nsec)
御 パ ル ス が3段
図1.16電
バ ラ ン シ ェ ト ラ ン ジス タ か ら発 せ ら
子 走行 時 間 の測 定
(HTV-R106)
れ る が・ こ こで 制 御 パ ル ス 幅 はTR
-1の
表1.3
コ レク タ に 接 続 さ れ た 充 放 電
制 御 ダ ィ ノー ド間 の電 子走 行 時間 と
ケ ー ブ ル(RG-58/U、502)
相 当す る同軸 ケー ブル長
の 長 さ に よ って 、 ま た パ ルス 高 は そ
ELECTRON
P.M.
に直列 接 続 され たア
and
between
Tlh1E
TRAVEL
CORRESPONDING
CON凹ROLLED
CABLE
DYNODE
の 充 電 電 圧 に よ って 調 節 す る こ とが
LENGTH
で き る。 図 中 の定 数 で は259負
D4
D2
荷
3.6ns
3.3ns
HTV
R106
D6
に 対 し、 パ ル ス 幅(FWHM)は2
720mm
670mm
齒
HTV
R843
EMI
9594B
D4
D6
5.3ns
Ens
1060mm
パ ル ス 高 は50Vと
な る。
こ の制 御 パ ル ス は3本
の759同
軸
S.lns
D8
D6
1200mm
nsec、
D8
2SOmm
SOOmm
360mm
D4
1.4ns
2.Sns
1.8ns
D2
D10
ケ ー ブ ル(RG-59B/U)に
分
1020mm
岐 さ れ 、 制 御 ダ イ ノ ー ドに伝 送 さ れ
図1・17遅
延 制 御 方 式 光 電 子 増 倍 管 ゲ ー ト回 路
一20一
る 。 そ の 際 、 ダ イ ノー ド上 で2次 電 子 到 来 と制 御 パ ル ス 到 着 の タ イ ミン グ が一 致 す る よ う、 相 隣
り合 う伝 送 ケ ー ブ ル は 表1.3に
ー ドとNo
.6ダ
示 し た 値 だ け 長 さ に 差 を持 た せ て あ る 。 図1.18はNo.4ダ
イノ
イ ノー ドに 印加 さ れ る遅 延 制 御 パ ルス の オ シ ロ ス コー プ写 真 で あ り、 高速 制 御 パ
ル ス の 波 形 と そ れ が 遅 延 され て 印
加 さ れ る様 子 が わ か る。
管 内 電 子 走 行 時 間 は ダ イ ノー ド
電 圧 に よ って 変 化 す る うえ 、 同 じ
タ イプ の機 種 で あ って も製 品 間 で
わず か な相違 があ る。 したが って
厳 密 には、 回路 製作毎 に供給 電 圧
分 圧 用 抵 抗 の誤 差 と増 倍 管 個 々 の
特 性 を 考 慮 して ケ ー ブ ル 長 を 適 宜
調 整必 要 が あ る が 、J級(誤
5%)の
図1.18}ITV-R106のNo.4,作
No・6ダ
抵 抗 を使 用 し て 回 路 を製
した 場 合 、R106以
イ ノ ー ド印 加 用 遅 延 制 御 パ ル ス 波 形
差±
外 の 同一
形 状 の 増 倍 管(1P21
、931A)
な ど)に 対 して 何 等 の 定 数 変 更 を
施 さ ず と も実 用 上 問 題 な く使 用 で きる こ とが 確 認 さ れ た 。
本 試 作 回路 の 動 作 繰 り返 し上 限 周 波 数 は パ ル ス 幅 と の 関 連 に お い て 、 最 下 段 の ア パ ラ ン シ ェ ト
ラ ン ジス タ の コ レ ク タ 損 失 特 性 で 決 ま る。 図1.17の
り、 そ の 時 のh返
し動 作lrk100kHzを
定 数 にお い て は 、 パ ル ス 幅 は2nsecで
あ
越 え て も安 定 で あ っ た。 こ れ は比 較 的 大 き な パ ル ス幅
を 要 し た従 来 の 同時 制 御 方 式 に 比 べ、 数 倍 の 上 限 値 で あ る と い え る。
試 作 回 路 で は3つ
の ダ イ ノー ドを制 御 し た た め、 バ ック グラ ウン ド電 流 比 と して は3×10'a
を 得 た が、 これ よ り も小 さ 方 バ ヅク グラ ウン ド電 流 比 を 実 現 す る た め に は3つ
てNo.8ダ
イ ノー ド も遅 延 制 御 す れ ば 目的 が 達 成 で き る。 そ う し た場 合19ρ(75ρ/4)負
荷 に 対 し50Vの
700V程
の ダ イ ノ ー ドに 加 え
パ ルス を 発 生 さ せ る関 係 上 、 ア パ ラ ン シ ェ ト ラ ン ジス タ は4段
直列 で使 用 し、
度 の 電 圧 を 供 給 す る必 要 が あ る。!」・
型 サ イ ドウ イン ドウ タ イ プ のHTV-R843に
対 す る遅 延 制 御 回 路 で は上 記 の 方 針 に した が って4つ
成 は 今 述 べ た 点 を除 い てHTV-RlO6と
ドオ ン タ イブ のEMI-9594BUC対
2次 電 子 走 行 時 間 は 表1.3に
の ダ イ ノ ー ドを制 御 し て い る が、 回 路 の 構
同 じ で あ るた め 説 明 な ど は省 略 し、 高速 高 利 得 へ ・
す る説 明 に 移 る。EMI-9594Bの
示 し た よ うに 約5nsecで
御 す る 場 合 、 ケ ー ブ ル 長 は3mを
あ る。 し た が って4つ
制 御 ダ イ ノー ド間 の
の ダ イ ノー ドを制
越 し、 そ の 際 の 伝 播 パ ル ス の 減 衰 が 無 視 で きな い 。 そ こ で 試 作
一21一
回 路 で は この よ うな 減 衰 を 避 け る た め 、 各 ダ イ ノー ド専 用 の パ ル ス 発 生 器 を独 立 に 設 け 、 そ れ ら
の ト リ ガタ イ ミン グ を 同 軸 ケ ー ブ ル で 必要 な だ け 遅 延 さ せ る方 式 を採 用 し たcそ
の 結果 、個 々の
ダ イ ノー ドに対 す る 制 御 パ ル ス 幅 お よ び波 高 の調 整 が 可 能 と な り、 制 御 パ ル ス と し て の 最 適 条 件
を 見..し
や す く 左 っ た ほ か 、 パ ル ス 発 生 器1つ
当 た り の 負 担 が 小 さ くな る た め、 ア バ ラ ン シ ェ
ト ラ ン ジス タ 直列 使 用 の 必 要 が な く宏 り、 安 定 性 が 向 上 し た 。 そ れ と と もに 繰 り返 し動 作 の 上 限
も大 き くな っ た。
図1.19EMI-9594Bダ
図1.彡OEMI-9594B用
イ ノ ー ド分 旺 回路
遅 延 制 御 パ ル ス 発生 回路
瑠
一22一
図1。19お
・よび 図1.20はEMI9594BUL対
す る ダ イ ノ ー ド分 圧 回 路 と ・ こ れ を制 御 す る
遅 延 制 御 パ ル ス 発 生 回 路 で あ る。No.4、6、8.10に
抵 抗 に よ り0∼-50Vの
対 し て 与 え られ る バ イ ア ス 電 圧 は 可 変
範 囲 に 変 化 で き、 こ れ ら4つ
の ダ イ ノー ドの うち 任 意 の 組 み 合 わ せ に
よ る制 御 が可 能 で あ る。 本 実 験 で は 最 終 的ucs,8,10の
組 み 合 わ せ で 制 御 を 行 な った が そ の
理 由 に つ い て は 後 ほ ど触 れ る。 ま た こ の よ う 左可 変 バ イ ア ス 回 路 を 持 って い るた め 、4つ
全 てを
零 バ イ ア ス と す れ ば 増 倍 管 は正 規 電 圧状 態 と な り、 定 常 光 に対 す る測 定 が 遂 行 で き る。 そ の 際 に
バ イ ア ス を 零 か らわ ず か に 移 動 さ せ る こ とに よ り、 利 得 に 対 す る最 適 点 を 見 い 出 し う る。 な お丶
フ 矛一 カ ス 電 極(F)とNo.2ダ
イ ノー ドの電 位 が 可 変 に 左 って い るが 、 こ れ は光 電 面 照 射 位 置
の 違 い に ょ る2次 電 子 飛 行 軌 跡 を修 正 す る た め の 措 置 で あ る。
遅延 制御 パ ルー
ス は 次 の よ うに して 発 生 さ れ る。TTLレ
ベ ル の 正 パ ル ス で ま ずTr1が
チ ン グ し、 立 ち上 りの 急 峻 な正 パ ル ス を 発 生 す る。 こ の パ ル ス に ょ っ てTr2∼Tr5が
ス イ 。
再び ト
リガ さ れ る わ け で あ る が 、 そ の 際 ダ イ ノー ド間 の 電 子 走 行 時 間 に 相 当 し た 遅 延 時 間 を持 つ511
同 軸 ケ ー ブ ル(RG-1.74U)を
さ れ る制 御 パ ルス は2次
介 して ト リ ガパ ル ス が 印 加 さ れ る。 し た が っ て 最 終 的 に 出 力
電 子 と同 期 す る よ う順 次 遅 延 し た も の と な っ て い る。 こ こ で、 そ れ ぞ れ
の パ ル ス 幅 左 らび にパ ル ス 高 は 充 電 用 可 変 コ ンデ ンサ(最
変 抵 抗(50k9)に
1.5.3.制
大30pF)お
よ び充 電 電 圧 調 整 用 可
よ って 変 化 さ せ る こ と が で き る よ うに 友 っ て い る。
御 特 性 の 評価
ダ イ ノー ド遅 延 制 御 法 の 繃 卸特 性 を 評 価 す る た め に 、 試 作 し た3種
の 光 電 子 増 倍 管 ゲ ー ト回 路
に つ い て ゲ ー トパ ルス 幅 に 対 す る分 解 時 間 と利 得 の関 係 を 求 め た 。 こ の 測 定 に 際 し て は、 前 述 の
LEDナ
ノ 秒 パ ル ス 光 源 か らの 光 を光 電 面 中 央 に 集 光 し、 カ ソ ー ドとNo.1ダ
イ ノ ー ドとの 間 で
診 こ る 光 電 子 飛 行 時 間 の 広 が り を 極 力 小 さ くし て い る。 な お 、 分 解 時 間 は(1.2)式
を用い て算
出 した 。
まず は じ め にHTV-Rlo6に
対 して 考 察 を行 な う。 図1.21は
分 解 時 間 と利 得 の 変 化 を示
し た も の で、 こ の う ち(A)は新 し く開 発 した 遅 延 制 御 方 式 、 ⑧ は従 来 よ りあ る同 時 制 御 方 式 の 分 解 、
利 得 特 性 で あ る。 なお 、 こ の図 の 利 得 の ス ケ ー ル は 増 倍 管 が 正 規 電 圧 状 態 に あ る時 の 利 得 を1と
し て い る。 こ の 結 果 か ら明 らか な よ うに、 従 来 の 方 式 の 最 小 分 解 時 間 は2.7nsecで
し、 遅 延 方 式 で は1.8nsecに
あ る の に対
ま で 短 縮 さ れ て 齢 り、 分 解 時 間 の 短 縮 に 遅 延 制 御 方 式 が極 め て 有
効 で あ る こ と が こ こ た 実 証 さ れ た。 ま た 利 得 に つ い て も遅 延 制御 方式 の 優 位 性 が 立 証 さ れ た。 な
診 、 遅 延 指1脚方 式 で は3nsec以
上 の ゲーFパ
ル ス 幅 に対 し て 利 得 が1を
越 え ごい る が、 これ は
制 御 ダ イ ノー ドが 極 くわ ず か だ け 過 電 圧状 態 に な っ て い るた や で あ る と思 わ れ る 。
ζ の よ う に 遅 延 制 御 方 式 に よ り、 従 来 の 方 式 に対 して 時 間 分 解 特 性 、 利 得 特 性 と も格 段 の 向上
一23一
図1.21ダ
イノ ー ド制 御 パ ル ス 幅 に対 す る 分 解 時 間 と 利 得 の 関 係 。 ㈹ 遅 延 制 御 方 式 、
(B洞 時 制 御 方 式 、 光 電 子 増 倍 管:HTV-R106
図1.22LEDパ
ル ス 光 源 に 対 す る 遅 延 制 御 光 電 子 増 倍 管(HTV-R106、
パ ル ス 幅2nsec)の
増 倍 管(HTV-R106、
ゲー ト
応 答 と制 御 パ ル ス 上 に 寄 生 発 振 を生 じ た 同 時 制 御 光 電 子
ゲ ー トパ ル ス 幅14nsec)の
一24一
応答
が 左 さ れ た わ け で あ る が、 本方 式 の 実 用 性 を 確 か め る うえ か らさ らに 観 測 波 形 歪 に 関 し て の 評 価
を行 左 う必 要 が あ る。 ゲ ー トパ ル ス 幅 の 短 縮 に した が っ て 立 ち上 が り部 あ るい は 減 衰 部 に 歪 を伴
左 い 左 が ら半 値 幅 自 体 は縮 小 し て い くよ うな 観 測 波 形 が得 られ た 場 合 、 見 か け 上 分 解 時 間 は 短 縮
され た と し て も真 に高 分 解 特 性 が 達 成 さ れ た とは 言 い 難 い。 し か し こ の よ う左 現 象 は 高 時 間 分 解
測 光 時 に は よ く見 られ、 従 来 の 走 行 電 子 同 期 方式 で は 減 衰 部 の 歪 が、 ま た 偶 数 番 ダ イ ノー ド同時
制脚 方 式 で は 立 ち 上 が り部 の 歪 が問 題 と 左 っ て い た。 この 点 を 明 確 に す る た め に 、遅 延 制 御 方 式
に よ っ て求 め たLED光
源 に 対 す る観 測 波 形 の一 例 を 図1.22(A}に
、 ま た 比 較 の た め に従 来 の同
時 制 御 方式 に よ って 得 ら れ た 歪 を 伴 左 う観 測 波形 の例 を 同 図B)に 示 す 。
こ の 例 か ら明 らか な よ うに 、 遅 延 制 御 方 式 で は 高 時 間 分 解 測 光 時 に お い て 波 形 歪 が ほ と ん ど 左
く、 実 用 的 な 見 地 か ら極 め て 有 効 で あ る こ と が確 認 され た 。
HTV-R843の
分 解 、 利 得 、 歪 に 関 す る諸 特 性 はHTV-R106と
全 く同 様 で あ っ た の
で こ こ で は 説 明 を省 略 す る。
し か し、EMI-9594Bは
前2者
とは 異 な った 特 性 を 示 す 。
ン ピーダ ンー
ス不 整 合 に 起 因 して
い る。 こ の 増 倍 管 は 形 状 が 大 き
く、 か つ ヘ ッ ドオ ン タ イプ で あ
る た め 、 必 然 的 に 電 極 か ら ソケ
ッ ト端 子 ま で の 距 離 が 長 く、 浮
な りや す く、 図1.23(C1に
図1・23EMI'9594B闢
す る ゲー トパ ・
レス
㈹ ⑧
パ ル ス発 生 器 出 力 波 形
◎ ◎
ダ イ ノ ー ドへ 印 加 後 の波 形
よ う嘆
イ ノr.上
示す
形 制 御 パ ルス は缶、1緲
で大 き旙
生発 振 を
起 こ し、 顕 著 な オ ー パ ー シ ュー
トを生 ず る。 そ の 度 合 は ソ ケ ッ ト端 子 か ら離 れ た 若 い 番 号 の ダ イ ノー ドほ ど大 きい 。 こ の よ うな
状 態 で は 歪 の 左い 観 測 波 形 を 得 る こ と は 不 可 能 に 近 い 。 し か し こ こ で 注 目 す べ き こ とは 制 御 パ ル
ス 幅 を2nsec程
度 に ま で 短 縮 し た 場 合 、 図 中(以(D)1/L示 さ れ る よ う に、 グ イ ノ ー ド上 の 制 御 パ
ー25一
ル ス は も と の 波 形 に比 べ て 著 し く歪 ん で は い る もの の 、 有 害 な サ ブ ピー ク は 消 滅 す る こ とで あ る。
し た が って 観 測 波 形 の 歪 は 減 少 す る。 この こ と を 明 確 に す る た め に 、 幅2nsecの
制 御パ ルス を
ダ ・ ・一 ・に 印 ・・し た 時 のLEDパ
ル ス 光 源 に対 す る 応 答 波 形 を 図L24
に 示 す 。 た だ し こ こ で 、(A)はNo.4,
6,8,・0ダ
イ ノー ドを制 御 した
時 、(B1はNo.s,8,10グ
イノー
ドを制 御 し た 時 、(C)は 増 倍 管 を正 規
電 圧状態 に してサ ンプ リングオ シロ
ス コ ー プ に よ って 観 測 した 時 の 波 形
で あ る。 欧
は 比 較 的 ソ ケ ッ ト端 子
か ら離 れ たNo.4ダ
イ ノー ドを も制
御 し て い る た め 、 イ ン ピー ダ ンス 不
整 合 の 影 響 が 強 くあ ら わ れ 、 応 答 波
形 減 衰 部 に 歪 を 生 じ て い る。 し か し、
N・ ・4ダ イ ノ ーrを
制 御 か ら外 した
(B)では 顕 著 左 歪 は あ らわ れ て む らず 、
ま た 波 形 の 半 値 幅 も(A、
と か わ ら左 い 。
纛 藩 二;蠶蠶
実 に物 語 って い る。(B)の 場 合 の 分 解
K→ →5nsec時
間 は(1・2)式
か ら1・9nsecと
推 定 で き る。 な お 、(B、(Clと も減 衰
部 に わ ず か に テ イ リン グ を生 じ て い
幽
る力丶正糲 圧状態で単魂 電弼
ル ス に 対 す る 応 答 を 観 測 し て も同様
に テ イ ・ ン グ ・生 ず …
■1て
、 本輝
■1・
と櫞
■1次
図1・24LEDパ
ル ス 光 源 に 対 す るEMI9594Bを
子 増骼
う か ・み
固 有 のmで
・
・ れ ・。
に 。。.、,、,、
。ダ,.一,
制 御 した 場 合 に 詮 け る制 御 パ ル ス
の応 答
㈹No.4,6,8,10ダ
(B)No.6.8,10ダ
◎
正 規 電EE使 用(サ
イ ノー ドを 遅 延 制 御
イ ノー ドを遅 延 制 御
ン プllン グ オ シ ロス コー プ で 観 測)
-26一
幅 と分 解時 間 及 び 利 得 の 関 係 に つ い
て 調 べ た 。 そ の 結 果 パ ル ス 幅1.6∼2.5nsecの
範 囲 では利得 の変動 は あ るものの応 答 波形 の形
状 そ の も6)は 変 化 せ ず 、 分 解 時 商 は1.9nsecに
保 た れ る こ と、 し か し 制御 パ ル ス 幅 が3nsec
を 越 え る と徐 々 に 観 測 波 形 歪 が 生 じ て く る こ とが わ か った 。 利 得 は 制 御 パ ル ス 幅2nsecの
正 規 電 旺 状 態 に比 べて6倍
場合
とな るが 、 こ れ は 寄 生 発 振 の た め、 設 定 電 圧 以 上 の パ ル ス が ダ イ ノ ー
ドに 印 加 さ れ 、 ゲ ー トオ ン時 の 鰰 御 ダ イ ノ ー ド電 圧 が 過 電 圧 状 態 に な る た め で あ る。 こ の よ うに
EMI-9594Bの
分 解 時 間 は 先 ほ ど の サ イ ドウ イ ン ドウ タ イ プ の よ うに 自 由 に は 設 定 で きず 、
そ の 点 で の 融 通 性 に は 欠 け る もの の 、HTV-R106に
比 べ て 約100倍
の高利 得 で、 し か も
同 等 の 分 解 時 間 が 達 成 で き る こ と は 極 め て 大 き 攻 魅 力 で あ る と い え る。 今 後 こ の 増 倍 管 に対 し て'
課 せ ら れ た 問 題 は イン ピ レ ダ ンス 整 合 法 で あ り、 こ れ が 解 決 さ れ れ ば 飛 躍 的 な性 能 向 上 が な さ れ
る こ と に な る。
最 後 に光 電 面 照 射 条 件 と分 解 時 間 の 関 係 に つ い て 測 定 を行 左 っ た 結 果 に つ い て 詳 述 す る。 光 電
子 増 倍 管 の イ ンパ ルス 光 に 対 す る応 答 時 間 広 が りの 原 因 と し て は 、 光 電 面 か ら初 段 ダ イ ノー ドへ
飛 行 す る光 電 子 の 軌 跡 の偏 差 が 大 きな 比 重 を 占 めて い る。 し た が って 高 速 測 光 を行 な うに は こ の
部 分 に 診 け る 時 間 偏 差 を 極 力 小 さ くす る た め 、 飛 行 軌 跡 を 揃 え る 目的 で 、 光 電 面 上 の 一 点 に の み
皺 測 定 光 を 照 射 す る必 要 が あ る。 事 実 、 こ れ ま で の 測 定 は す べ て 光 電 面 の 中心 を点 照 射 し て行 な
っ た。 し か し こ う し た 場 合 、 光 電 面 上 の 照 射 エ ネ ル ギ ー 密 度 が 大 き く左 る た め米 電 子 放 出 が飽 和
し やす く、 測 定 光 量 の ダ イナ ミ ック レ ン ジを 大 き くで き な い とい う問 題 が 生 じた 。 ま た光 電 面 上
の 感 度 分 布 の 違 い に よ り、 光 照 射 位 置 の わ ず か な変 位 に対 して も利 得 が 大 き く変 動 し、 再 現 性 の
面 で も と か く問 題 とな った ・ 図1・25は
サ イ ドウ イ ン ドウ タ イ プ光 電 子 増 倍 管(RCA-1P2$)
を 例 に と り、 光 電 面 光 照 射 位 置 と利 得 の 関 係 を 調 べ た 結 果 を 示 した も の で あ る が 、 光 電 面 短 軸 方
向 に 沿 っ て 大 きな 感 度 偏 差 を もつ こ と が わ か る。 こ の 結 果 か らわ か る よ うに 、 強 度 に 対 す る定 量
性 を向 上 さ せ るた め に は 光 電 面 の 短 軸 牽 カ バ ー す る よ うな 光 束 を 照 射 す れ ば よ い や け で あ るが 、
そ の 際 の 照 射 条 件 と分 解 時 間 の 関 係 を 明 確 に し て お く必 要 が あ る 。 そ こ で ダ イ ノ ー ド遅 延 制 御 さ
れ たHTV-R106型
光 電 子 増 倍 管 を用 い て 種 々 の 光 電 面 照 射 条 件 の も とに お け るLEDパ
ス 光 に 対 す る応 答 波 形 を 測 定 し た。 結 果 を ま と め て 図1 。26に
ル
示 す 。 こ の 図 か らは 、 縦 線 照 射 〔C)
が ダ イ ナ ミ ック レ ン ジ と分 解 時 間 の 兼 ね 合 い の うえ で 一 番 妥 当 で あ る と判 定 で き る。 しか も実 用
上 か ら 考 え て も・ モ ノ ク ロ メー タ の ス リ ヅr形 状 と適 合 す る た め 好 都 合 で あ る。 しか し光 電 面 の
感 度 分 布 に よ る 影 響 の 問 題 は 、 こ の 照 射 法 に よ って は 解 決 さ れ て 澄 らず、 分 解 とダ イナ ミ ック レ
ン ジ澄 よ び感 度 分 布 の 問 題 を 同 時 に 満 足 さ せ る こ と は 今 の と ころ 不 可 能 で あ る と い う結 論 を 下 さ
ざ るを 得 な い 。
一=27一
一
1.5.4.a後
の発 展
以 上 述 べ た 試 作 ダ イ ノー ド制 御
鬻 璽謄殿購
時 間 を短 縮 す るた め の 考 察 を以 下
に 行 な う。
(1)高
速 制御 パ ル ス を安定 に発生
させ る た め に は ア バ ラ ン シ ェ ト
ラ ン ジス タ の 直 刻 使 用 は 回 避 す
べ き で あ る。 そ れ に は試 作 回 路
'
で 使 用 し た もの よ り も低 内 部抵
抗 で、 か つ ア バ ラ ン シ ェ ブv一
図1.25サ
イ ド ウ イ ン ドウ タ イ プ光 電 子 増 倍 管
あ 光 電 面 感 度 分 布 の一例(RCA-1P21)ク
ダ ウン電 圧の 高 い アバ ランシ
ェ トラ ン ジス タ の 使 用 が 望 ま し
い 。 こ の 目的 に 叶 う もの と して
Motorola2N-5271な
どが あ り、 こ れ ら を 使 用 し た場
合1個
で25ρ
ま た は199負
荷 に対 し50V以
七の 超 高速 パ
:蠶 譱繍 鷹
る。
(2)も
し 遅 延 ケ ー プ ル 長 が数m以
上 に な る場 合 、 上 記 の よ うに し
て 発 生 さ せ た制 御 パ ルス を遅 延
伝 送 す る た め の 同 軸 ケー ブ ル と
して は 、 特 に 高 周 波 特 性 の す ぐ
.れ
たRG-11/U㍉RG-13/U
な ど が 望 ま しい 。
(3、 ダ イ ノー ドデ カ ッブ リン グ コ
ンデ ン サ に は 良 好 左 高 周 波 特 性
図 ・.26光
電面 照射条 件の 勸
廟
する
を もつ 貫 鯉
応 答 波 形の変 化
(HTV-R106遅
延 制 御 ゲ ー ト)
-28一
を使 用 す べ きで あ
るa
(41光
電 面 と初 段 ダ イ ノー ド間 の 電 子 飛 行 時 間 の 偏 差 を 小 さ くす る た め に こ の 間 の 電 圧 を さ らに
増 大 さ せ る こ と が 望'まし い 。
1.6.バ
ッ ク グ ラ ウ ン ド信 号 補 償 用 ボ ッ ク ス カ ー 積 分 器 の 試 作
ダ イ ノ ー ド遅 延 制 御 方 式 で はバ ックグ ラウン ド電 流比 が10-310°5で
状 態 で あ って も信 号 電 流 が ゲ ー トオ ン 時 の10-3∼10-5程
をCRフ
あ るた め 、 カ ッ トオ フ
度 あ らわ れ る。 し た が っ て 出 力 光 電 流
ィル タ を 介 し て 直 流 増 幅 す る 場 合 、 系 疏 的誤 差 が 生 ず る こ と は 避 け 得 左 い 。 こ の誤 差 は 時
間 分 解 ス ペ ク トル の 測 定 時 に は ゴ ー ス トス ペ ク トル の形 に な っ て あ らわ れ る。 特 に 被 測 定 光 の 持 続
時 間 に 対 す る 分 解 時 間 の 比 が バ ックグ ラ ウン ド電 流 比 よ り大 きNと
き、 誤 差 成 分 の 方 が 信 号 成 分 よ り
大 き く友 る うえ 、 発 光 が 微 弱 な 場 合 、 そ の 発 光 に も と ず くバ ックグ ラ ウン ド信 号 成 分 の み 左 らず 暗 電
流 の 変 動 に と も な うべ 一 ス ラ イ ン変 動 の 影 響 を も受 け る。 こ の 影 響 は 分 解 時 間 が 短 か く左 るほ ど大
き くな る た め 、 高 時 間 分 解 測 光 時 に は と か くSN比
が 劣 下 し が ち で あ った 。 そ こ で 本 研 究 に 澄 い て
は 、毎 回 の 測 定 値 か ら誤 差 成 分 を 差 し 引 き積 算 す る こ と に よ り測 定 精 度 とSN比
の 向上 を 図 った ドリ
フ ト補 償 型 ダ プ ル ポ 。ク ス カ 門 積 分 器 を試 作 し 、 そ の性 能 を テ ス ト光 源 に ょ っ て 評 価 した 。 試 作 ボ
ック ー
ス カ ー 積 分 器 の 設 計 方 針 と し て は 特 に ダ イ ノ ー ド遅 延 制 御 光 電 子 増 倍 管 シ ス テ ム と併 用 し て 、
2nsec以
下 の 分 解 で時 間 分 解 ス ペ ク トル を収 得 で き る と とを 目的 と し て い る。
な お 第3章
澄 よ び第4章
に お い て 述 べ るダ ブ ル ボ ・ク ス カ ー 積 分 器 は こ れ を原 形 と し て マ イ ク ロ
秒 領 域 の 測 光 に 供 す る よ う改 作 し た もの で あ る。
1.6.1.動
作 原 理 と構 成
は じめ に 本 ボ ック ス カ ー 積 分 器 を使 用 し た ナ ノ 秒 測 光 シス テ ム の ブ ロ ック 図 を図1.27に
装 置 全 体 は1MHzの
aOkHzに
示 す。
水 晶 発 振 器 で 制 御 さ れ て い る。 こ の 発 振 は プ ロ グ ラム カ ゥ ン タ で0 .5k∼
ま で 分 周 さ れ 、 騨 光 装 置 の全 体 の 繰 り返 し動 作 を つ か さ ど る 主 パ ル ス と して 用 い ら
れ る。 光 源 は主 パ ル ス と 同 一 の 周 波 数 で 繰 り返 し発 光 す る が 、 こ れ に対 して 光 電 子 増 倍 管 に よ る
芽 ン プ リングは光 源の 発光 中 と発 光 開始以 前 の交互 に行 な わ れ る。 前老 は 発光信 号 収得 用 で あ り、
後老 は バ ヅクグ ラウン ド信 号 補 正 に 用 い られ る。 し た が って 信 号 利 用 率 ほ 今 ま で の 半 分 に 左 る が、
し か しSN比
図L28は
の改 善 度 は そ れ を補 って も余 りあ る。
一
一
ボ ック ス カ ー 積 分 器 各 部 の 動 作 の タ イ ミ ン グ を 示 し た も の で あ り、 こ の 図 に 従 って
本 シス テ ム の動 作 を説 明 す る。
まず 光 電 子 増 倍 管 ゲ ー トに よ っ て信 号 光 が サ ン プ リ ン グ さ れ 、 そ の 光 電 出 力 電 流 は 時 定 数20
μsecのCR回
路 に よ っ て 充 放 電 さ れ る 。 こ の 充 放 電 電 圧 は ア ナ ロ グ ス イ ッチAとCR積
一29一
分回路
図1.27ボ
ックス カ ー 積 分 器 を併 用 し た 時 間 分 解 分 光 測 光 シ ス テ ム
か らな る ボ ック ス カ ー 積 分 器 に よ
って200μsecの
間 積 分 さ れ る。
言 うま で も左 く こ こ で の 積 分 値 は
〔信 号+漏
れ 電 流+暗
電 流 〕に 比
例 し た 値 とな る。 引 き続 き次 の 回
では光 電子 増倍 管 のサ ソプ リ ング
パ ル ス を 乖 源 発 光 開 始 以 前2μsec
に発 生 させ、 同時 に ア ナ ログス イ
ッチBを
図1.28ボ
ッ クス カ ー積 分 器 各 部 の タ イ ミン グ 図
動 作 さ せ てC漏
れ 電 流+
暗 電 流 〕を 取 得 す る。 そ うし て こ
れ を 前 回 の 値 か ら 差 し 引 き積 分 し、
そ の 出 力 を サ ン プ ル ホ ー ル ドす る。 最 後 に こ の ホ ー ル ド信 号 を フ ィル タ で 平 滑 化 し、 最 終 的 な 出
力 信 号 とす れ ば 雑 音 の 除 去 さ れ た 巌 測 定 光 の信 号 成 分 の み が 取 り出 さ れ る。 こ こ で ア ナ ロ グ ス イ
ッチA,Bの
ゲ ー ト時 間 の 差 は 雑 音 除 去 能 率 に 直 接 影 響 す る た め 、 こ れ を 正 確 に 零 と し な け れ ぱ
な ら左 い 。 この 点 、 試 作 装 置 で は1MHzの
制 御 し て い る の で 温mど
水 晶 発 振 周 波 数 を 分 周 す る こ とに よ り ゲ ー ト回 路 を
に よ る影 響 を受 け る こ と な く高 精 度 の 測 定 を行 攻 う こ とが で き る。
-30一
1.6:2.装
置 の詳 細
図1.29に
ボ ックス カー 積 分 器 の 回 路 図 を示 す 。 た だ し こ の 図 で は デ ィ ジ タ ル コ ン ト ロー ル 部
は 模 式 化 さ れ て い る。
ダ イ ノー ド遅 延 制 御 光 電 子 増 倍 管 の ア ノー ドには ダイ ノー ド制 御 パル ス に ょ る立 ち上 りの 鋭 い 波.
高10V程
度 の 誘 導 パ ルス が あ らわ れ る。 こ の誘 導 パ ルス に よ る増 幅 器 飽 科 を 防 ぐた め 、 ボ ック
ス カー 積 分 器 入 力 端 子 に は カ ッ トオ フ 周 波 数 約2MHzのLCフ
去 し て い る。 ま た こ のLCフ
ィル タ を 設 け 、 高 周 波 成 分 を除
ィル タ は 同 時 に信 号 光 電 流 パ ル ス を積 分 し、 増 幅 に か 左 うパ ル ス 幅
ま で に 伸 長 さ せ る 左 ど、 そ の 役 割 は 大 きい 。 こ う して 必 要 な 電 圧 に ま で 増 幅 さ れ た 信 号 は 前 述 の
よ うに 交 互 に 開 閉 す る ア ナ ロ グー
ス イ ッチ に よ り雑 音 除 去 処 理 を受 け 、出力 され る。 本 方 式 で は 原 理
的 にア ナ ログー
ス イ 。チ 以 前 の 信 号 増 幅 系 に お い て 発 生 す る ド リフ トや雑 音 成 分 は 増 倍 管 か らの 雑
音 成 分 と も ど も完 全 に 除 去 さ れ るた め 、 そ の 意 味 で は 単 チ ャネ ル ポ 。ク ス カ ー 積 分 器 よ り も増 幅
系 の 製 作 は 容 易 で あ る と い え る。
DRIFTCOPIPEPISA丁EDDOUSIEBOXCARINTEGRATOR
図L29ダ
ブ ル ボ ヅ ク ス カ ー積 分 器
一31一
1.62.eッ
ク グ ラ ウ ン ド信 号 の補 償
試 作 し た ボ ック ス カ ー 積 分 器 の性 能 を 評 価 す る た め 、 テ ス ト用 二 色 光 源 の 時 間 分 解 ス ペ ク トル
の 測 定 を 行 左 った 。 は じ め に(1,4.2)節
で 述 べ た テ ス ト用 二 色 光 源 の パ ル ス 発 光 波 形 を 図1.30
に 示 し て お く。 こ の 光 源 の 発 光 開 始 後40nsecと2800nsecに
澄 け る時 間 分 解 ス ペ ク トル を
従 来 の直流 信号 処 理法 で記録 した結
果 、 ゲー トオ フ 時 に 鉛 け る漏 れ電 流'
の だ め、 図1.31に
示 す よ う に顕 著
な 緑 色 ゴ ー ス トス ペ ク トル が あ ら わ
れ た 。 な お 、 こ の 測 定 はHTVR106型
光電子 増 倍 管 に ょるダ イ
ノ ー ド遅 延 卸御 方 式 測 光 装 置 に ょ っ
て行 な って 齢 り、 サ ン プ リン グパ ル
ス 印 加 時 と非 印 加 時 の ス ペ ク ト・
ルが
同 時 に 記 録 さ れ て い る。 本 ボ ック ス
カー 積分 器 を併用 した場 合、 近似 的
に は この サ ン プ リン グパ ル ス 印 加 時
図 ・.3・
二 色光 源 のパ ルス 発光 波形
と彡黝
。時 の 差 成 分(鏘
で 示 した
部 分)を
出 力 す る こ と に 友 る。 図
1.32は
こ うし て ボ ッ ク ス カ ー 積 分
灘 郷1惚 鷺
1.30に
示 された赤 色、 緑色 の過渡
発 光 の 推 移 と正 確 に 対 応 して い る こ
と が わ か る。 以 上 の よ うに し て 性 能
評 価 を行 ・ ・ 騾
ゲ ー ・糒
の 漏 れ 電 流 の 補 償 と い う 当初 の 目的
が十分 に達 成 され て い る こ とが確認
で きた・
図1.3i二
色 光 源 の 時 間 分 解 ス ペ ク トル
(ボ ック ス カ ー 積 分 器 未 使 用)
-32一
図1.32二
色 光 源 の 時 間 分 解 ス ペ ク トル
(ボ ック ス カ ー 積 分 器 併 用)
1.7.結
言
光 電 子 増倍 管 ゲー ト方 式 サ シ プ リン グ型 高速 測 光 シス テ ム の 分 解 時 間 の 短 縮 を 主 目的 と レ て 偶 数
番 ダ イ ノー ド遅 延 融 卸 回 路 を 考 案 試 作 し、 そ の 性 能 を 評 価 し た。
タ イ ミン グ 制 御 装 置 に つ い て
ω
繰 り返 し 現 象 に 対 す るサ ン プ リ γ グ の 身 イ ミン グ を 決 定 す る も の で あ る。
(2)可
変 遅 延 時 間 域 を50nsec∼30μsec'ま
で6段
に 切 り換 え られ 、 さ ま ざ ま な 繰 り返 し現 象
に対 処 し得 る。
③
可 変 遅 延 回路 は 手 動 、 自動 に 加 え て コ ン ピ ュー タ に よ る 制 御 が 可 能 で あ り、 オ ン ラ ィ ンデ ー タ
収 集 が 実 現 で き る。'
(4)光
源 ト リガ チ ャネ ル 、 サ ン プ リ ン グ チ ャネ ル に は そ れ ぞ れ 最 大1μsec'ま
延 回 略 が 設 け られ て い る た め1現
(5)サ
イ7ト
で遅延 で きる固定遅
象 の 開 始 部 な ど特 定 の時 間領 域 を も詳 細 に観 測 で き る。
ロ ン ト リガ 用 パ ル ス 発 生 器 お よび 偶 数 番 ダ イ ノ ー ド同 時 制 御 用 パ ル ス 罪 生 器 を 内 蔵 し .
て い るo
-33一
発 光 ダ イ オ ー ドパ ル ス 元 源 に つ い て
(1)最
小 発 光 時 間 はi..4nsec.発
光 繰 り返 し 周 波 数 は100kHz以
上 が 可 能 であ る。
ま た発 光 時
間 は 可 変 で あ る。
(2)駆
③
動 が 非 常 に 簡 単 で 、 駆 動 回 路 を含 め た 光 源 全 体 の 形 状 を 小 型 化 で き る。
単 色 点 光 源 で あ る う え 、 直 流 点 灯 に 随 時 切 り換 え られ るの で 光 軸 の調 整 が 容 易 で あ る 左 ど、 テ
ス,ト用 光 源 と し て の 用 途 が 広 い 。
(4、 目的 に 応 じ て 数 種 のLEDを
結 合 し、 多 色 光 源 を 製 作 で き る。
光 電 子 増 倍 管 ダ イ ノ ー ド遅 延 制 御 方 式 に つ い て
(1)偶
(2)3種
数 番 ダ イ ノー ド同 時 制 御 法 と走 行 電 子 同 期 法 を 折 中 さ せ た もの で あ る。
の光 電 子 増 倍 管(HTV-R106、HTV-R843、EMI・9594B)に
果 、 皐 小 分 解 時 間 は い ず れ も1.8∼1.9nsecで
適 用 した結
あ った 。 こ れ は 部 分 ダ イ ノ ー ド制 御 法 と し て は
最 小 の もの で あ る 。
(3)HTV-R106とHTV-R843は
ほ ぼ 同 一 の ゲ ー テ ィ ン グ特 性 を 示 した 。 両 者 に つ い て
は 分 解 時 間 は 可 変 で あ る。 ま た 最 小 分 解 時 間 に 澄 け る利 得 は 正 規 使 用 時 の0.5倍
(4)EMI-9594Bに
用 時 の6倍
(5)い
対 す る 制 御 パ ル ス 幅 は2nsec程
で あ る。
度 が 最 適 で あ り、 そ の 時 の 利 得 は 正 規 使
で あ った 。
ず れ も100kHz以
上 の 繰 り返 し動 作 が 可 能 で あ る。
ボ ック ス カ ー積 分 器 につ い て
(1、 部 分 ダ イ ノ ー ド制 御 光 電 子 増 倍 管 の バ ック グラ ウン ド電 流 を 補 償 し、 ド リフ トや ゴ ー ス トス ペ ク
トル の 除 去 を 行 左 う もの で あ る 。
(2)回
路 は 水 晶 発 振 器 か ら の パ ル ス を もと に 制 御 さ れ て い る た め 、 極 め て 安 定 で あ り、 信 頼 性 が 高
いo
(3)二
色 光 源 を 用 い て性 能 測 定 を行 な っ た 結 果 ・ 緑 色 ゴー ス トス ペ ク トル が 完 全 に 除 去 さ れ、 所 期
の 目 的 を 十 分 に 達 し得 る こ と を 確 認 し た 。
問 題 点 と今 後 の 目標
(1)分
解 時 間 の さ ら 左 る短 縮 方 法 に つ い て は 前 述 し た。
(21時
間 芬 解 特 性 と ダ イナ ミ ・ク レ ン ジ澄 よ び光 電 面 感度 分 布 の 影 響 の 問 題 を解 決 す ぺ く努 力 を重
ね て ゆ きた い 。
(3)EM1-9594Bの
分 解 時 間 を ぜ ひ と も可 変 に で き る よ うに し た い 。
-34一
(41上
記 の よ うに し て改 良 さ れ た 時 間 分 解 測 光 シ ス テ ム を分 光 分 析 へ 積 極 的 に 導 入 し て ゆ き た い
一35一
。
第2章
2。1.緒
多
チ
ャ ネ
ル
統
計
的
サ
ン
プ
グ
型
ナ
ノ 秒
測
光
装
置
の
試
リ
ン
作
言
高 速 発 光 現 象 の 過 渡 的 観 測 を行 な う場 合 、 そ の 現 象 が 繰 り返 し再 現 さ れ る な ら ば 、 前 章 で 述 べ た
サ ン プ リ ン グ 測 光 法 に よ って 精 度 よ く実 行 す る こ と が で き る。 し か し測 定対 象 が 極 め て 微 弱 な 時、
ア ナ ロ グ 的 な 光 電 流 測 光 に よ る方 法 で は もは や 必 要ESN比
を確 保 す る こ とが で きな い 。 この よ う
左 極 微 弱 光 に 対 し て は 現 在 の と こ ろ光 子 計 数 法 に よ る 方 式 が 、SN比
、 感度 、分 解 時 間の点 で最 も
ナ ぐれ た 測 光 法 で あ る とさ れ て い る 。 し か し従 来 の 測 光 方 式 は 測 定 精 度 の 面 で は 十 分 満 足 の ゆ く も
の が 開 発 さ れ て い る も の の 、 本 質 的 に信 号 利 用 率 が 悪 く、 測 定 に 長 時 間 を要 す る ζ と が 最 大 の 欠 点
と な って い る。 そ れ に も か か わ ら ず 、 信 号 利 用 率 の 向 上 に よ る測 定 の 高 能 率 化 を 目指 し た装 置 の 開
発 は 余 り成 さ れ て い な い の が 現 状 で あ る。 こ の よ う な 背 景 か ら、 本 研 究 で は 光 子 計 数 型 高速 測 光装
置 の 高 能 率 化 を 目的 と し て 多 チ ャネ ル 化 の 方 式 を 考 案 し、 装 置 の 試 作 を 行 左 った 。
光 子 計 数 法 を 用 い た 高 速 測 光 方式 の 中 で は 特 に 統 計 的 サ ン プ リン グ法 と呼 ば カ る 原 理 に もと ず く
もの が 分 解 時 間 の 点 で 最 も優 れ て 澄 り、 測 光 装 置 も現 在'まで に さ ま ざ ま 左 もの が 開 発 さ れ て い る。
そ の 代 表 的 な もの は 、 す でに 布 販 も され 、 各 方 面 で 盛 ん に使 用 さ れ て い る時 間 振 幅変 換 器(TAC)
を用 い た艇
一 致 装 置47)で
あ る.こ
のmで
は毎 回 の働
返 レ測 定 でTAC縞
・1個
の光 電子
パ ル ス の 遅 延 時 間 しか 測 定 す る能 力 を持 た な い た め 、 信 号 利 用 率 が 極 め て 悪 い 。 遅 延 時 間 を測 定 す
る方 法 と し て はTACの
他 に ク ロ ノ トロ ン を 用 い る方 法 が あ る。
バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン は は じめ 核 物 理 計 測 を 目的 と し て1959年12H.W.LefevreとJ.T.
R。 。、e1褓
。繝
発48)さ
嫉
一 ニ ァ ク ロ ノ トロ ン が 試 作49)さ
ト ロ ンは 元 来 、2個
が 、 そ の 後i965年lrcW.R.B。
。n。ttら
に よ 。 て 同 期 式 ・・
れ 、 高 速 発 光 現 象 の 過 渡 的 な測 定 へ 応 用 さ れ た 。 バ ー ニア ク ロ ノ
の パ ル ス の時 間 間 隔 の 測 定 を 目的 と し て 考 案 さ れ た もの で あh.TACと
く遅 延 一 致 装 置 に 応 用 す る こ と が で き る 。 しか し 、 信 号 利 用 率 の 点 では や は りTAC方
同 じ
式 に よ る遅
延 一 致 法 と 同 じ欠 点 を もっ もの で あ った 。 さ ら に 近 年 、 目覚 しい 進 歩 を とげ た エ レ ク トロ ニ ク ス 技
術 の 普 及 に よ り比 較 的 簡 単 に 高 精 度 のTACが
製 作 さ れ る に及 ん で 、 ク ロ ノ トロ ン に つ い て の そ の
後 の 研 究 は 余 りな さ れ 左 く宏 った 。 そ れ ゆ え 、 現 在 で は 遅 延 一 致 型 光子 計数 装 置 と い え ぱ 一 般 に は
TAC方
式 を 指 す の が 普 通 に な っ て い る 。 本 論 文 で も以 下 こ の慣 例 に した が う。
生 化 学 試 料 に対 す る 高 速 分 光 学 的 研 究 の 中 で も、 パ ル ス 光 励 起 に よ る け い 光 測 光 は 特 に有 益 な 情
報 を 与 え る も の で あ る が 、 励 起 光 強 度 が 大 き い と試 料 破 壊 を 招 く こ と が あ る。 特 に 目 の 色 覚 細 胞 な
どは照 射光 の 醸
に よ 。て分光雛
が著 し く変 イけ る5°).こ
の働
研究燃
鰍
弱 光 に靴 て検
出能力 の あ る光子 計 数装 置が必 要 な のは言 う・
まで もな い が・ 試料 自体 の経時 変化 が一般 の固体 試料
一36一
左 ど に 比 べ て 激 し く、 ま た 変 化 し た 試 料 を新 しい もの に 取 り換 え る に し て も試 料 抽 出 が 困 難 で あ る
場 合 が 多 い た め、 測 光 装 置 に は 短 時 間 に 精 度 よ く測 定 を 完 了 さ せ る能 力 が 要 求 さ れ る。 ま た 発 光 現
象 の 過 渡的 振 舞 だ け で 左 くそ の ス ペ ク トル を測 定 す る こ と も非 常 に 重 要 と 左 るが 、 測 定 能 率 の悪 い
遅 延 一 致 装 置 で は 膨 大 左測 定 時 間 を 要 す る た め 、 測 定 中 に試 料 の特 性 の 変 化 や 光 源 の 発 光 特 性 の 劣
下 な どを 招 き、 高 精 度 の測 定 を行 な う こ とが 非 常 に 困 難 で あ った 。 事 実 、 光 子 計 数 法 に ょ って ナ ノ
秒 領 域 の時 間 分解 ス ペ ク トル を 能 率 よ く測 定 し た 例 は 余 り見 当 らな い 。
今 回 試 作 し た 光 子 計 数 装 置 は、 光 電 パ ル ス 遅 延 素子 と して シ ョ ッ トキ ーICゲ
ー トを 利 用 した 同
時 検 出装 置 と、 同 軸 ケ ー ブ ル を遅 延 素 子 と し て 利 用 し た バー ニ ア ク ロ ノ ト ロ ン の2つ
で あ る。 こ の
う ち 、 前 老 は 単 一 線 路 の ク ロ ノ トロ ン を、 ま た後 者 は 言 うま で も な くバ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン を そ れ
ぞ れ 原 形 と し て 、 これ を 多 チ ャ ネ ル 化 す う こ と に よ り信 号 利 用 率 の 大 幅 な 改善 を 行 な って い る。 さ
らに 科学 計 測 装 置 の 制 御 や デ ー タ 収 集 な ど に 常 識 化 しつ つ あ る ミニ コ ン ピ ュー タ を オ ン ラ イ ン で結
合 す る こ と に よ って 測 定 の 自動 化 を行 左 って 雜 り、 光 子 計 数 法 に よ る微 弱 光 の時 間 分 解 ス ペ ク トル
を極 め て 能 率 よ く取 得 す る こ と が で き る よ うに な った 。
2.2.光
子 計 数 方 式 に よ る 時 間 分 解 測 光 装 置 の 概 要
光 子 計 数 方 式 は、 光 電 子 パ ル ス の 個 数 が 入 射 光 強 度 に 比 例 す る とい う性 質 を利 用 し て光 電 子 パ ル
ス の 発 生 個 数 を デ ィ ジ タ ル 的 に 計 数 し、 入 射 光 の強 度 情 報 を得 る もの で あ る 。
光 電 子 パ ル ス は 入 射 光 量 に 比 例 し た数 の 信 号 パ ル ス と、 入 射 光 強 度 に 無 関 係 な 暗 雑 音 パ ル ス とに
分 け られ る。 光 電子 増 倍 管 の暗 雑 音 パ ル ス を発 生 原 因 に よ っ て 分 け る と 次 の4つ
(1}陰
に な る。
極 光 電 面 か らの 熱 電 子 放 出
(2、 印 加 電 圧 に よ る ダ イ ノー ド面 か らの 電 子 放 出
(3、 イオ ン フ ィー ドバ ック
(41宇
宙 線 、 放 射 線 に よ る シ ン チ レー シ ョ ン
こ の う ち(1)が も っ と も支 配 的 で あ る。 ま た、 光 電 子 パ ル ス は ダ イ ノー ド面 で の2次
電 子 増 倍機 構
の ラ ンダ ム 性 に よ らて か な り広 が った 振 幅 分 布 を持 ち 、 しか も信 号 パ ル ス と 暗雑 音 パ ル ス では 一 般
に 異 な っ た振 幅 分 布 を 持 っ51)。
こ の 振 幅 分 布 は光 電 子 増 倍 管 に よ っ て 異 な った 様 子 を 示 す が 、 一
般 に 信 号 パルス の波 高 は暗 雑 音 パル スの波 高 より も大 き くな る。
い て 暗 雑 音 パ ル ス を 除 去 し、SN比
し た が って ・ パ ル ス 波 高 弁 別 器 を用
を向 上 さ せ る こ と が 可 能 と な る。 波 高 弁 別 器 に よ るSN比
善 に つ い て は 、 定 常 光 の 場 合 に は 多 くの 報 告52)が
あ る が 、 高 速 測 光 の:場合 に つ い て の こ の種 の報
告 は 余 りな さ れ て は い な い 。
以 上 、 光 子 計 数 法 の特 徴 を要 約 す る と次 の6点
(11入
の改
に な る。
射 光 強 度 が小 さい 場 合 に 、 高 感 度 で し か もSN比
-37一
の大 き な測 光 が 可 能 で あ る。
(2、 光 電 子 増 倍 管 の 印 加 電 圧 の 変 動 や 増 幅 器 の 利 得 変 動 に 対 し、 直 流 測光 の場 合 に 比 べ て 影 響 を受
け に く.く・ 測 光 系 全 体 の 利 得 を 長 時 間 一 定 に 保 つ こ と が で き る。
(3)光
④
電 子 増 倍 管 の 暗 電 流 ド リフ トの 影 響 を ほ と ん ど受 け な い 。
積 算 に よ るSN比
改 善 に お い て 、 デ ィ ジタ ル 量 で あ るた め に 測 定 回 路 の ド リフ トが な く、 積 算
時 間 を無 限 に 長 く と る こ と が で き る。
(5)光
電 子 パ ル ス の 発 生 時 刻 の み が 測 定 量 で あ る よ う左 測 光 方 式(統
計 的 サ ン プ リン グ 法 に よ る高
速 測 光 方 式 左 ど)の 場 合 、 光 電 子 増 倍 管 の 帯 域 を越 え る高 速 現 象 を も観 測 す る こ と が で き る 。
(6)測
定 量 が デ ィ ジタ ル 量 で あ る た め 、 コ ン ピ ュー タ に よ る装 置 の 制 御 、 デ ー タ処 理 攻 ど を容 易 に
行 な う こ とが で き る。
光 子 計 数 法 を用 い た 高速 測 光 方 式 は デ ィ ジタ ル サ ン プ リン グ 法 と統 計 的 サ ン プ リン グ 法 とに 大 別
す る こ と が で き る。
デ ィ ジタ ル サ ン プ リン グ方 式 は 、 前 章 で 述 べ た 光 電 流 測 定 に よ る サ ン プ リ ン グ型 時 間 分 解 測 光 方
式 と 同 様 に 考 え る こ と が で き る。 これ は、 現 象 の 持 続 時 間 に比 べ て 十 分 短 い幅 の ゲ ー トパ ルス に ょ
って 光 子 計 数 器 を動 作 さ せ 、 光 電 子 パ ル ス を計 数 す る一 方 、 ゲ ー トパ ルス を 現 象 に 対 して 時 間 的 に
移 動 さ せ る 方式 で あ り、 現 象 に 対 す る ゲ ー トパ ル ス の 移 動 方 法 の 違 い に よ つて シ ン グ ル チ ャネ ル デ
ィ ジ タ ル サ ン ブ リン グ 法 とマ ル チ チ ャネ ル デ ィ ジ タ ル サ ン プ リ ン グ法 に 分 け ら れ る 。 シ ン グ ル チ ャ
ネ ル サ ン プ リ ン グ法 は 現 象 の 繰 り返 し に応 じて ゲー トパ ル ス を 移 動 させ る もの で、1回
い て1個
の 現 象 につ
の ゲー トパ ル ス を対 応 させ て い る た め 信 号 利 用 率 は 悪 い 。 ま た、 マ ルチ チ ャネ ル 法 は 現 象
の 過 渡 的 変 化 を 追 従 す る よ う に、 対 応 す る ゲー トを 順 次開 い て ゆ く方式 で あ り、1回
の 現 象 に つい
て の 信 号 利 用 率 が 高 い 。 両 者 と も繰 り返 し 現 象 に 対 し て 用 い ら れ る が ・ 余 り高速 左 現 象 に 対 し て は
検 出 能 力 が な く、 数 十nsecの
分 解 が 限 度 で あ る。
シ ン グ ル チ ャ ネ ル サ ン プ リン グ法 の 具体 例 に つ い て は第3章
リン グ 法 の 例 と し て はJ.A.W.B,。
ら53)の
行 な 。妨
で 詳 述 す る。 マ ル チ チ ャネ ル サ ン プ
式 が あ る.こ
れは 〃
グ・
レチbネ
マ ル チ チ ャネ ル 法 の組 み 合 わ せ と考 え る こ と が で き る。 現 象 を カ パ ー す る た め に は100チ
の 低 速 メモ リ(コ
ア メ モ リ)を 用 い 、 別 に 光 電 子 パ ル ス を 計 数 す る た め の10チ
フ ァ メモ リが 用 い られ て い る。 この バ ッフ ァ メ モ リはECLゲ
して は10nsecを
ル法と
ャネ ル
ャ・
ネ ル の 高速 バ 。
ー トを用 い て お り、 最 小 分 解 時 間 と
達 成 して い る。
デ ィ ジ タ ル サ ン プ リン グ法 と統 計 的 サ ン プ リン グ法 の最 も異 な る 点 は そ の測 定 量 で あ り、 前 者 は
光 電 子 パ ル ス の 発 生 個 数 を測 定 す る の に対 し、 後 者 は 光 電 子 パ ル ス の 発 生 時 刻 を測 定 す る。 図2.1
は 現 象 の 開 始 時 をt=oと
した時 、 光電子 パ ル・
ス の 発 生 時 刻t1,t2を
測 定 す る こ と に よ り過 渡
的 波 形 を ヒ ス トグ ラ ム と し て 求 め る こ とを 示 し た 図 で あ る。 こ の 楊 合 、1個
値 が1回
の 現 象 で 高 々1個
の メモ リに加 算 さ れ る
で あ る こ と もデ ィ ジ タ ル サ ン プ リン グ 法 と本 質 的 に 異 な る点 で あ る 。 ま
一38一
図2・1統
計 的 サ ン プ リン グ 法 の原 理
図2.2TACを
用 い た遅延 一 致法
た 、 発生 時 刻 だ け を問 題 と し て い るた め、 光 電 子 パ ル ス が 光 電 子 増 倍 管 の 帯 域 幅 に ょ って 制 限 を受
け て い る場 合 で あ って もそ れ と は 無 関 係 に 、 よ り高速 現 象 の 過 渡 的 観 測 を 行 な う こ と が 可 能 で あ る。
以 下 具 体 例 を示 す 。
ωTAC方
式 遅 延 一 致 装 置(遅
代表的雛
h,Ortec社
延 一 致 装 置)
置 構 成 の ブ ・ 。ク 図54)を
図 、.、に 示 す.。
の方 灘
現在 最 砿
く用 い られ て お
は じめ 数 社 か ら市 販 も さ れ て い る。 パ ル ー
ス発 生時刻 の測 定 は時 間振 幅 変換器
(TAC)と
多 チ ャネ ル パ ル ス 波 高 分 析 器(MCPHA)に
ょ っ て 行 な わ れ る。 パ ル ス 光 は モ
ノ ク ロ メー タ に よ っ て適 当 な励 起 波 長 が 選 択 さ れ 、 試 料 を励 起 す る。 発 光 開 始 信 号 は 光 電 子 増
倍 管(1P28)に
よ っ て 検 出 さ れ 、 波 高弁 別 器 通 過 後TACが
い 光 に も とつ く光 電 子 パ ルス が 高 速 光 電 子 増 倍 管(56UVP)か
ってTACが
動 作 を完 了 す る。TACは
ら出 力 さ れ る が、 こ れ に ょ
動 作 開 始 か ら完 了 ま で の 時 間 を電 圧 信 号 に 変 換 す る。
こ の 変 換 さ れ た 電 圧 は 直 ち にMCPHAに
(PDP-10)に
動 作 状 態 に さ れ る。一 方 、 け
よ って 波 高 分 析 が 行 な わ れ 、 ミニ コ ン ピ ュ ー タ
導 か れ る。 ミニ コ ン ピ ュー タ は 光 電 子 パ ル ス 数 の ヒス トグ ラ ム を 作 成 す る
ほ か 、 必 要 な 処 理 を行 な い、 結 果 を タ イ プ ア ウ トす る。
TAC方
合 ・2個
式 遅 延 一 致 法 の最 大 の 欠 点 は2個
ま た は そ れ 以 上 の 光 電 子 パ ルス の 発 生 が あ っ た場
目以 降 の パ ル ス は 計 数 損 失 さ れ て し ま う こ と で あ る。 計 数 損 失 は 観 測 波 形 を歪 曲 化 さ
せ る の で 、 実 際 の測 定 で は光 電 子 増 倍 管 へ の 入 射 光 量 を適 当 に 減 少 さ せ 、1回
光 電 子 パ ル ス の 発 生 確 率 を1%以
下 に 抑 制 し て い る。
-39一
の 現 象 に対す る
⑧
ク ロ ノ トロ ン方 式 遅 延 一 致 装 置
TAC方
式 が 遅 延 時 間 を ア ナ ロ グ的 に処 理 し た の に 対 し、 この 方式 で は遅 延 時 闇 を ケ ー ブ ル
内 の 伝 播 距 離 の 差 に 置 きか え て デ ィ ジ タ ル 的 に 検 出 す る も の で あ る。 前述 の よ う に バ ー ニ ァ ク
ロ ノ トロ ン は2個
の パ ル ス 間 隔 を 測 定 す る装 置 で あ り、 構 成 は 図2.3に
示 す よ う に ル ー プ状 の
2個 の リン グ発 振 器 ㈹ ⑧ 、 一 致 回 路 、 ス ケ ー ラか ら成 り立 って い る。 ま ず リン グ 発 振 器(勘,⑧
に そ れ ぞ れd.tだ
時 間 差dτ
け 離 れ た ス タ ー トな ら び に ス ト ッ プ パ ル ス を 加 え る。 こ の 時 、(B1の ル ー プ は
に 相 当 す る だ け ω よ り短 か くし て あ る の で 、(βレレー プ を ス ト ッ プパ ル ス が1周
こ とに ω ル ー プ 内 の ス タ ー トパ ル スticdτ ず つ 追 い つ き、n(霜4t/dτ)周
か ら出 力 と して 取 り出 さ れ る。 ス ト ッ プパ ル ス が 周 回 し た 回数nを
す る
目に 一 致 回 路
ス ケ ー ラ で 計 数 し て メ モ リ・
内 の番 地 指 定 を 行 な い ・ そ の 番 地 の 内 容 に1を 加 え て ヒス ト グ ラム を作 成 す る。 こ の 方 法 は 安
定 性 が よ い が、 信 号 利 用 率 と い う点 で は 先 ほ どの 遅 延 一 致 法 と同 じ く極 め て 不 利 で あ る。
図2.3パ
ー ニア ク ロノ トロンの原理
2・3.多
チ ャ ネ ル 同 時 検 出 方 式 ナ ノ 秒 測 光 装 置 の 試 作
2.3,1.動
作 原 理 と構 成
こ の装 置 は 、 従 来 信 号 遅 延 素 子 と し て 同 軸 ケ ー ブ ル が 使 用 さ れ て い た クAノ
の 遅 延 部 をIC化
原 理 は、1現
トロ ン に 対 し、 そ
す る と と もに 多 チ ャ ネ ル 化 し て信 号 利 用 率 の 向 上 を 図 った もの で あ る。
象 当 りい くつ か の 光 電 子 パ ル ス が 出 力 さ れ る時 、 そ れ ら を遅 延 回路 に 導 い て そ の
中に記憶 伝 播 させ、 各 パル ス発 生時刻 情 報 を遅延 回路上 の位 置 情報 に置 き換 え た後 、外 部 か らホ
ー ル ドパ ル ス を与 え て 固 定 す る 動 作 を基 本 と し て い る。 続 い て 固 定 さ れ た 情 報 をい くつ か の メモ
リ番 地 に対 応 さ せ 、 そ の番 地 の 内 容 に1を
加 算 す る こ と に よ って ヒ ス トグ ラ ム作 成 を行 な う。
mO一
図2,4は
この 方 式 の 原 理 図 で あ るが 、 簡 単 の た め8チ
ャ ネ ル か ら成 る遅 延 回路 を用 い た も の を 示
し て あ る。
図2.4多
チ ャネ ル 同 時 検 出 装 置 の原 理
左 か ら入 った 光 電 子 パ ル ス 列 が 逐 次 遅 延 回 路 中 を 伝 播 す る が、 現 象 発 生 か ら丁 度 全 遅 延 時 間 を
経 過 し た 時 刻 に 各 チ ャネ ル に 併 設 され た 一 致 回 路 へ 同 時 に ゲ ー トパ ル ス を加 え る。 こ の ゲ ー トパ
ル ス の 幅 は 各 チ ャ ネ ル の 遅 延 時 間 に 等 し く、 ま売 、 そ の
発 生 の タ イ ミン グは 零 時 刻 パ ル ス を遅
延 させ る こ と に よ っ て 制御 し て い る。 各 チ ャネ ル 中 に 存 在 す る 光 電 子 パ ル ス は ゲ ー トパ ルス 印加
に ょ って 固 定 さ れ る。 そ の 位 置 を外 部 か ら セ ンス して 、 各 チ ャネ ル に相 当 す る メ モ リ番 地 の 内 容
に1を
加 え る。 実 際 に は 、 セ ンス 左 らび に デm収
集 動 作 は オ ン ラ イ ン ミニ コ ン ピ ュ ー タ を 用 い
て 行 友 う。
F.M,CH
-19CH-18
APE
図2.5け
い光寿 命 測定 用 同時検 出 システム
ー41一
-OCH
図2,5は
こ4)方 式 を 用 い た け い 光 寿 命 測 光 シ ス テ ム の ブ ロ ッ ク 図 で あ る。 パ ル ス 光 源 に よ る試
料 励 起 後 の け い 光 に も ζず い て 逐 次 発 生 す る光 電 子 パ ル ス 列 は、 波 高 弁 別 器 通 過 後20チ
ャネ ル
の 遅 延 回 路 へ 導 か れ る。 通 常 の ク ロ ノ トロ ンで は 遅 延 素 子 と し て 同 軸 ケ ー ブ ル 左 どの 受 動 的 左 も
の を 使 用 して い た の に 対 し、 本 装 置 で は シ3ッ
トキ ーTTLゲ
ー トで 構 成 し た 遅 延 回 路 を 用 い て
.い る の が 大 き 左 特 長 で あ る。 こ の 遅 延 素 子 は 高速 ゲ ー トの 固 有 伝 播 遅 延 時 間 とパ ル ス 整 形 作 用 と
を 巧 み に 利 用 し た もの で 、1段
ー
『
ち 分 解 時 間 は6.2nsec、20チ
当 り6.2nsecの
遅延 時間 を持 つ。 した が ってチ ャネル 幅す なわ
ャネ ル に よ って124nsecの
時 間 範 囲 を カ バ ー す る。 この よ
う な 能 動 的 な 遅延 素子 を 使 用 し た た め 、 伝 播 に よ る波 形 の 歪 を 順 次 補 正 し な が ら パ ル ス を伝 送 で
き、 チ ャネ ル を 無 限 に 増 設 す る こ と が 可 能 と な った 。
し か し、 測 定 時 間 域 の拡 大 は チ ャ ネ ル 増 設 と い う方 法 に 依 らず と も、20チ
nsec)を
ャネ ル(124
ブ ロ ック と して ゲ ー トパ ル ス 発 生 時 刻 を ミニ コ ン ピ ュー タ の メモ リ番 地 指 定 順 位 と連
動 し て 切 り換 え る ご と に よ り、 現 行 の チ ャネ ル 数 の ま ま で 実 行 で き る。 た とえ ば 、 は じめ の 励 起
で は 正 規 モ ー ドで 測 定 を行 な う。 こ の モ ー ドで は 零 時 刻 か ら124nsec後
致 回 路 へ 印 加 し、 得 ら れ た デ ー タ を0∼19番
刻 か ら248nsec後
に ゲ ー トパ ル ス を一
地 の メ モ!〕に 格 納 す る。 続 く回 の 励 起 で は 、 零 時
に ゲ ー トパ ルス を 印 加 し、 得 ら れ た デ ー タ を20∼39番
張 モ ー ドで 測 定 を行 な う。 これ を順 次 繰 り返 す こ と に よ り0∼29番
地 に 格 納 す る拡
地 の メモ リに は248nsec
の 時 間 域 の ヒス トグ ラ ム が 作 成 さ れ る。 ま た ゲ ー トパ ル ー
ス の 印 加 時 刻 を正 規 モ ー ドに 対 し3.1
nsecだ
け 遅 延 さ せ 、 零時 刻 か ら127.1nsec後
に 印 加 す れ ば 拡 張 モ ー ドと 同 じ 原 理 で 内挿 が実
行 で き る。 こ の 場 合 、 チ ャ ネ ル 当 りの 分 解 時 間 は6.2nsecで
見 か け上3.lnsecの
あ る が 、 チ ャネ ル 間 の 内 挿 の た め
分 解 が 得 ら れ 、 正 規 モ ー ドに比 べ て よ り高 密度 の ヒス トグ ラ ム を 作 成 す る
こ と が で き る。 こ の よ うに 時 間 域 の操 作 が 自 由 に 行 な え る こ と が 本 装 置 の 大 き な特 長 で あ る 。
さ て 遅 延 回 路 を伝 播 した パ ル ス は 波 形 整 形 回 路 を 通 過後 一 致 回 路 へ 導 か れ る が 、 こ の 整 形 回 路
は 遅 延 園 路 と同 じ く シ ョ ッ トキ ーTTLゲ
ー トか ら構 成 さ れ て 齢 り、 波 形 整 形 と 同 時 に 遅 延 回 路
と一 致 回 路 との 間 の イ ンタ ー フ ェ イス の役 目 を果 し てNる
。 一 致 回路 と し て は 特 に 高 速 性 が 要 求
され る た め、 トン ネ ル ダ イ オ ー ド単 安 定 マ ル チ バ イ ブ レー タ を使 用 し た超 高 速 型 を採 用 し た 。 こ
れ は 基 本 的 に は 後 述 の 前 縁 型 波 高 弁 別 器 と 同 じ も の で あ る。
一方
,,
、 励 起 用 パ ル ス 光 源 の 放 電 電 流 パ ル ス を 零 時 刻 決 定信 号 と し て 検 出 後 、 正 規 モ ー ドで は 、
124nsecの
時 点 で 幅6nsecの
一 致 回 路へ導 かれ
矩 形 ゲー トパ ルス が発 生 し、 同 時 に20チ
ャネ ル 分 に 分 岐後
、 こ こ で光 電 子 パ ル ス と の一 致 が と られ る。 一 致 回 路 の 出 力 パ ル ス 幅 は1μsec
に'まで 伸 長 され て い る。 こ の 一 致 情 報 は プリヅプ
フ ロ ップ か ら成 る バ ッフ ァ レ ジス タ に 蓄 わ え ら
れ 、 コ ン ピ ュ ー タ の 対 応 メモ リ番 地 に 転 送 さ れ る。 以 上 の 動 作 が 完 了 す る と、 終 了 パ ル ヌ が コ ン
ピ ュ ー タ か ら発 生 し て バ ・ フ ァvジ ス タ を リセット
-42一
し、 続 く回 の 測 定 に備 え る。
測 定 の繰h返
し 積 算 回数 は 測 定 者 が初 期 パ ラ メー タ と し て指 定 す る よ う に な っ て い る・ 本 実 験
で は 、 い ず カ か の 番 地 の 内 容 が10000に
な った 時 点 で 自 動 的 に 全 チ ャネ ル の 計 数 値 を タ イ プ ア
ウ トさ せ て い る0
2.3.2.装
岬
置 の詳 細
で は前 述 の鯉
晦
ずい て試 作 した多 チ ャネ ル 購
検畷
置 につ いて の細部 にわ焔
説明
を行 左 う。
は じめ に試 作 装 置 の諸 性 能 を表2.1に
Measurement
Channel
Time
Time
示す。
124
Range
Sensitivity
sensitivity
time
of timing
time
of delay
dead
time
nsec/channel
-5 mV(p -p)
disc.
circuit
5
18
nsec
7551
.ド
18
nsec
discriminator
',
delayed
coincidence
gate
pulse
interface
Mini-Computer
Rate
of
•
HITAC-10(16
Operation
lower
bit,
400
interpolation
(time
range
Mode
(time
circuit
generating
circuit
for
mini-computer
than
expansion
(A)測
at
nsec
timing
Constitution
Measurement
時 検出装 置 の性能
nsec
6.2
Resolution
Repetition
.1同
20
Number
Counting
max.
dead
dead
total
表2
4k
word)
Hz
mode
124ns,
・
3.1ns/channel)
mode
range
normal
mode
(time
range
248ns,
6.2ns/channel)
124ns,
6.2ns/channel)
光光学系
こ こ で は 特 に け い 光 寿 命 測 定 用 に 構 成 し た シス テ ム に もと ず い て 説 明 を行 な う。 光 学 系 の 配
置 は け い 光 寿 命 測 定 用 と し て は 基 本 的 な 様 式 で あ り、 先 ほ ど 図2.5に
示 し た よ うに 励 起 用 ナ ノ
秒 パ ル ス 光 源 、 試 料 ス ペ ー ス 、 黔 よ び 高 速 光 電 子 増 倍 管(EMI-9594B)か
ら成 り立 っ
て い る。 励 起 波 長 とけ い光 波 長 の 分 離 選 択 に は モ ノ ク ロ メー タ の使 用 が一 般 的 で あ るが 、 本 装
置 の 大 き な特 徴 で あ る光 電 子 パ ル ス 同 時 検 出 に ょ る 広 ダ イ ナ ミック レ ン ジの測 定 を 遂 行 す るた
め に 、 光 量 利 用 率 の 点 で 有 利 な ガ ラス フ ィル タ を使 用 し て い る。 使 用 し た フ ィル タ は 励 起 側 で
は バ ン ドパ ス フ ィ ル タ(東
芝UV-D25)、
け い 光 側 で は ロー パ ス フ ィル タ(東
芝UV-39)
で あ る。'また 必 要 に 応 じて 偏 光 子 、 検 光 子 を 配 置 す る こ と に よ り、 分 子 偏 光 構 造 に も と ず く偏
光 け い 光 の 測 定 も行 な うこ とが で き る よ うに な って い る 。
励起 用 パ ル ・
ス光 源 とし て は 電 極 間 隔3醐
の 水 素 封 入 型(150Torr)ラ
ー43一
ンプを金属 シール
ド中 に 同 軸 型 に マ ウ ン トし た もの を 用 い て い る。 この 放
電 管 の 動 作 モ ー ドは 弛 緩 自走 放 電 型 で あ る 。 図2.6に
源 回 路 を示 す 。 ま た 図2.7は
光
パルー
ス光 源 の 発 光 特 性 を示
し た もの で あ る。 こ こ で 、 発 光 ス ペ ク トル は 島 津MAF
-1型
分 光 器(1200本/鱈
回 折 格 子 、 ブ レー ズ 波 長
3000A)と
光 電 子 増 倍 管HTV-R106(分
光感度
S-19)を
使 用 し て 直 流 測 光 で 得 ら れ た 時 間 的 に平 均
化 さ れ た もの で あ る。 ス ペ ク トル ス リッN幅 は17入
で
使 用 した 。 ま た 発 光 波 形 は光 電 子 増 倍 管 の 出 力 を 直接 サ
ン ブ リン グオシ ロス コー プで観 測 した もので、
は 約13nsecと
約2kVで
図2.6自
走 放電型 げい 光励起
(2.1)式
左 っ て い る。 ラ ン プ の放 電 開 始 電 圧 は
あ り、 そ れ 以 上 の 電 圧 を 印 加 す る こ と に よ っ
て ラ ン プ は 自走 放 電 す る。 そ の繰 り返 し周 波 数 は5kV
用パ ルス 光源
っ た。 放 電1回
測定半 値幅
に 対 し500
当 り放 射 さ れ る光 子 数Nは
pps、6kVに
あ
電 気 エ ネル ギーが全 て光 に変 換 され る と仮定 すれば
で あ らわ さ せ る。
図z.z励
対 して300ppsで
起 用 パルス 光源 の 発光特 性
ω
発 光 ス ペ ク トル
⑧
発 光 波 形 と放 電 電 流 波 形
一44一
N=!CV2/hYC2.1)
2
た だ し、Cは
充 電 容 量 、Vは
平 均 放 射 波 長 を3000λ
、 。13と
放 電 開 始 電 圧 、hは
プ ラ ンク 定 数 、vは
と 仮 定 す る時 、C=10pF.V=2kVを
放 射 光 の 振 動 数 で あ る。
代 入 す る とN=2×
計 算 さ れ る。 し か し、 一 般 に ナ ノ秒 ・・ル ス 光 源 の 放 射 効 率 は 極 め て 低 く、1「5
の オ_ダ_で
あ る56)0し
た が って 毎 回 の 放 電 に よ る発 生 光 子 数 は108程
度 で あ る と推 定 で
き るが 、 こ の 点 に 関 して は 光 量 子 計 に よ る確 認 が 必 要 で あ る。
高 利 得 高 速 光 電 子 増 倍 管EMI-9594B(特
性 は 第1章
で 紹 介)は
励起 光 束 と直角 に配置
さ れ 、 け い 光 を検 出 し て い る が、 特 に 高 速 姓 を期 す た め に け い 光 光 束 を光 電 面 中 央 に 集 光 させ
て い る。
(B)高
速 前 縁 タ イ ミ ン グ型 時 間 弁 別 回 路
、
波高 弁別 器 は光 電子 増倍管 の暗雑 音 パルー
ス を除 去 し・ かつ 信 号 パ ル ス の 波 形 整 形 を行 左 う も
の で、 光 子 計 数 装 置 に は 不可 欠 の も ∂)であ る。 時 間 分 解 測 光 装 置 では この 部 分 で光 子 発 隼 の タ
イ ミン グ を も決 定 し て い るた め 特 に 高 速 性 が 要 求 さ れ、 ま た 不 感 時 間 も可 能 な 限 り短 か くす る
必 要 が あ るaし か し 市 販 品 に は こ れ らの 要 求 を満 足 す る もの は 見 あ た ら な い 。 そ こ で、 本 研 究
に 於 い て は トンネ ル ダ イオ ー ド(NEClS2199)を
用 い て 不 感 時 間 の 短 縮 を 図 っ た 高速
前 縁 型 の も の を試 作 し た 。
光 電 子 増 倍 管 か ら取 り出 さ れ る光 電 子 パ ル ス の平 均 波 高 値 は 、759負
9594Bで
V)で
数 百mV(供
あh,後
給 電 圧 一2000V)、HTV-R106で
荷 に 対 しEMI-
十 数mV(供
給 電 圧 一1000
者 で は トン ネ ル ダ イオ ー ドを 精 度 よ く駆 動 す る に は 電 圧 が若 干 不 足 で あ る。 そ
の た め 試 作 装 置 で は 帯 域300MHz、
利 得8倍
の 広 帯 域 前 置 増 幅 器 を内 蔵 し 、 光 電 子 増 倍 管
に 応 じ て適 宜 使 用 し て い る。 高 速 前 縁 タ イ ミン グ 型 時 間 弁 別 回 路 は 高 速 前 置 増 幅 器 と前 縁 型 波
高 弁 別 器 澄 よ び、 トン ネ ル ダ イオ ー ド出力 レベ ル をTTLレ
ベ ル に ま で増 幅 す る部 分 か ら成 り
立 って い る。 は じめ に試 作 し た時 間 弁 別 器 の性 能 を 表2.2に
、 ま た詳 細 な 回 路 図 を 図2.8に
示
す。
波 高 弁 別 レベ ル は10回
転 へ1,ポ
ッ ト(5009)に
前 置 増 幅 器 を 使 用 し た 場 合 一5∼-22mVP'Pで
よ つて 設 定 す る・
が ・ そ の 可 変 範 囲 は・
あ る。 本 回路 は 前 縁 型 を 使 用 しで い るた
め 、 入 力 振 幅 の 差 に よ っ て タ イ ミン グ誤 差 を生 じ る。 そ の 値 は 入 力 パ ル ー
ス 波 高 値 を 一50mV.
か ら一200mVま
で 変 化 さ せ た 場 合 、 約1。6nsecで
テ ム に 使 用 す る 限 りに 澄 い て は 何 等 問 題 は な い 。 図2.9は
一45一
あ り、 分 解 時 間6.2nsecの
ピ ー ク 間 隔5nsecの
本 測 光 シス
連 続 パ ル スを
表22時
間弁 別 回路 の性 能
Inputエmpedance
75Ω.
AdjastableDisc.Level
一5mV-..-22mVp-p(input1)
(P-P)
一`QmVti-220mVp-p(input2)
OutputImpedance
tenskR(currentsource)
OutputPulse
height-1.6V(50」}10ad)
width2.Snsec
DeadTime
5nsec
TimingError
1.6nsec(inputpulseheight50∼200mV)
+15V
PUT
・N・UT
エNPUT
-15vTr
-3
「 「Tr
,Tr-425C987
-52SC387A
図2.8前
縁 タ イ ミン グ型 時 間 弁 別 回路
慰 纛蹴
る。
図2.9連
続 パ ルス に対 す る弁別 回路 の応 答
一46一
(C1多
チ ヤ ネ ル 同時 検 出 回 路
図2.10同
時 検
多 チ ャ ネ ル 同 時 検 出 回路 の 詳 細 を 図2.10に
TTL、
シ ョ ッ トキ ーTTL左
出 回 路
示 す 。 遅 延ICゲ
ー ト素子 と し て はECL、
どが 考 え られ るが 、 伝 播 時 間 の 温 度 ド1】フ ト、 高 速 性 澄 よび 消
費 電 力 を 考 慮 して シ ・ ・ トキ ーNANDゲ
ー トSN74SOON(伝
ゲー ト)を 採 用 した 。 パ ル ス を 非 反 転 伝 送 す る た め 、 直 列2素
播 遅 延 時 間3.1nsec/
子 で1段
の 遅 延 チ ャネ ル ブ ロ ッ
ク と し て い る 。 こ の よ う な 能 動 的 な 素 子 を利 用 し た こ と に よ り、 波 高 を減 衰 さ せ る こ と な く光
電 子 パ ル ス を 一 方 向 に 逐 次 伝 送 させ る こ と が で き る うえ 、 回 路 自体 を極 め て コ ンパ ク トに構 成
で きた 。 遅 延 回 路 と一 致 回 路 の インmフ
NANDゲ
図2.11は
ル ス が1チ
ェ イス は 波 形 整 形 回 路 を も兼 ね て 、 シ ョ ッ トキ ー
ー トと不 飽 和 型 トラ ン ジス タ イ ン パ ー タ で構 成 し た 。
互 い に 隣 り合 った チ ャネ ル の イ ン バ ー タ 出 力 の オ シ ロ ス コニ プ写 真 で あ るが 、 パ
ャネ ル 当 り6.2nsec遅
延 さ れ て い る こ と が わ か る。
波 形 整 形 さ れ た 光 電 子 パ ル ス は次 に 一 致 回 路 へ 導 か れ 、 こ こ で ゲ ー トパ ル ス と の一 致 が と ら
れ る。 こ の 一 致 回 路 は 前 述 の波 高弁 別 器 と 同 じ く超 高 速 の トン ネ ル ダ イオ ー ド(NEClS
2200)を
用 い た単 安 定 マ ル チ バ イブ レー タ で構 成 さ れ て い る た め、 極 め て精 度 よ く一 致 動 作
が遂 行 で き る。
さ て、 一 致 情 報 は 一 旦TTLバ
ッ フ ァ レ ジス タ に 記 憶 き れ る わ け で あ る が、 トン ネ ル ダ イオ
ー47一
一 ド単安 定 回 路 の 出 力 パ ル ス(波
0.4V.幅100nsec)で
高
は 直接
レ ジス タ を駆 動 で きた い た め 、 図z.
10に
TTL単
示 す よ うに トラ ン ジス タ と、
安 定 マ ル チ バ イ ブ レー タ に
よ るパ ル ス 増 幅 回 路 を一 致 回 路 と レ
ジス タ の 間 に 設 け て あ る 。
⑪錨 備 蠶 ㌻
パ ル ス 発 生 器 の2つ
、
か ら構 成 さ れ て
い る。 こ の うち前 者 は ゲー トパ ル ス
発生 の タ イ ミン グ を 制 御 し、 正 規 、
内 挿 、 拡 張 の3つ
の モ ー ドの 操 作 を行 な う も の で あ り、 ま た 後 者 は 幅6nsecの
トパ ル ー
ス を作 り出 し、 そ れ を20チ
矩 形 状 の ゲー
ャ ネ ル 分 に分 岐 し、 各 チ ャネ ル の 一 致 回 路 へ 同 位 相 で か つ
歪 み な く伝 送 さ せ る もの で あ る 。 ま ず は じ め に、 時 間 制 御 回 路 の タ イ ミン グ図 を 図2・12に
ド ー
amp
Disc。 。.,e-F-20ns_____」
GateTrig.
Gate
一一3'3ms-→iL
一_一..八
一
H(・24…(・2ns3.lns(in124ns(ex・erpolatansion)'一}
_5・・L∫
一
L亅
一rL
Readysus
ase
示 」
_」 一
-lms
図2.12時
ミニ コ ン ピ ュ ー タ(HITAC-10)で
ム 作 成 を行 な うた め に要 す る1サ
一
一一
一 一一L」
Ph
間 制御 回路 タ イ ミング図
パ ・フ ァ レ ジ ス タ の 内 容 を セ ン ス し、 ヒ ス トグ ラ
イク ル の 実 行 時 間 は 約2.5msecで
あ る 。 測 定 の 繰 り返 し周
波 数 の上 限 は コ ン ピ ュー タ の 実 行 時 間 に よ って 決 定 さ れ 、 本 装 置 で は400Hzの
測 定 可 能 で あ る が 、 少 し余 裕 を 持 た せ て300Hz(3.3msec)で
全 測 定 を行 な っ た。 シス
テ ム 全 体 の 主 ト!」ガに は 自走 型 励 起 用 光 源 の放 電 電 流 パ ル ー
ス(パ
を 利 用 して い る。 正 規 モ ー ドで は 零 時 刻 か ら124nsec後
こ で い う零 時 刻 と は 現 象 の 観 測 開 始 時 点 で あhこ
,;
繰 り返 しで
ル ス 高5V、
幅20nsec)
に ゲ ー トパ ル ス が 発 生 す る が・ こ
の 時 刻 は 光 源 発 光 開 始 時 に 対 し光 電 子 増 倍
管 の2次
電 子 走 行 時 間 分(EMI-9594Bで
は 約40nsec)牟
け 遅 延 し て い る。 し た が っ
ロ
も
て 電 子 走 行 時 間 の 補 償 を 考 慮 し て ゲー トパ ル ス の 発 生 時 刻 は 、 主 トi)ガ パ ル ス 発 生 後130∼
200nsecの
範 囲 で 可 変 に し て い る。 内 挿 モ ー ドで は ゲよ トパ ル ス が 蓉 時 刻 か ら124nsec
後 と127.lnsec後
の交 互 に 発 生 し、 ま た 拡 張 モ ー ドで は124nsec後
と248nsec後
に
交 互 に 発 生 す る。 そ の 際 、 交 互 ゲ ー トパ ル ス の 判 別 を行 左 うた め に コ ン ピ ュー タ は フ エ ィ ズ 信
号 を セ ン ス し、 コ ン ピ ュー タ 内 の40チ.ヤ
に 、 あ るい は 前 後20チ
ガ か ら5μsec翫
ネ ル 分 の メモ リ番 地 を偶 数 チ ャネ ル と奇 数 チ ャ ネ ル
ーb7)Lず つに 振 り分 け る 動 作 を行 って い る。 コ ソ ピ ュー タ は ・ 主 トリ
時 点 で 発 生 す る許 可 信 号(R耳ADY信
号)を
セ ンス す る 頃
フ ェ イ ズ を 判 別 し 左 参 らデ ー タ収 集 を行 な うわ け で あ る が、HITAC-10は1語16ビ
bで あ る た め20ヂ
ャネ ル 分 の デmを10チ
回 路 の 詳 細 は 図2.13に
ャネ ル ず つ2回
示 す 通 り で あ る。.民
図a..13時
図2,14ゲ
間 制 御 回路
ー トパ ル ス 発 生 器
一49一
ちに前 記 の
ッ
に 分 け 転 送 を 行 な う。 時 間 制 御
5nsec
H
ゲ ー トパ ル ス 発 生 器 は 図2.14に
示
す よ うに ア パ ラ ン シ ェ トラ ン ジス タ
⊥
(日 立2SC497H)を
o.2v
グ素子 とし
ス イ ッチ ン
て 利 用 し た充 放 電 線 路 型 と
7「
。て 鰄
。れ て紘
時間 制御 部 か 、
の ト リガ パ ル ス に よ って50ρ
負荷 に
対 し幅6nsec,波
矩形 パ
高20Vの
ル ス を 発 生 す る。 こ の ゲ ー トパ ル ス は
さ ら に20チ
ャネ ル 分 に 分 岐 、 減 衰 さ
れ、 個 々 の一 致 回 路 へ と 導 か れ る。 図
■ ■■ ■■■ ■ ■■ 匿■ ■■■ 』 ■■215に
分岐後のゲーhパルス波形を
示 し て お・く。
図2.1520チ
2.3.3。
㈹
ャネ ル に 分 岐 さ れ た ゲー トパ ルス 波 形
装 置性 能 の評 価
装 置 の測 定 能率
試 作 した 多 チ ャネ ル光 子 計 数 装 置 は 原 理 的 に は 最 高20個
の光電 子パ ルス の発 生時 刻 の同時
測 定 が 可 能 で あ る。 し か し現 実 に は 試 作 装 置 の 検 出 系 は18nsecの
同 時 検 出可 能 左 パ ルー
スの 最 小 時 間 間 隔 は 不 感 時 間 に 等 し く18nsecと
不 感 時 間 を 持 って お り、
な る。 こ の 不 感 時 間 は
遅 延 素 子 の 特 性 に よ って 決 ま る 性 質 の もの で あ る た め 、 シ ョ ッ トキ ーTTLゲ
SOON)を
使 用 す る限 り に お い て は18nsec以
ー ト(SN74
下 の 不 感 時 間 は 達 成 で きな い 。 一 方 、 従 来
の 遅 延 一 致 装 置 で は零 時 刻 に 光 電 子 パ ルス を 検 出 し た と仮 定 す る と、 続 くパ ル ス は もは や 検 出
不 能 で あ る た め 、 測 定 時 間 域 を124nsecと
な わ ちi24nsecで
し た 場 含、 不 感 時 間 は 測 定 時 間 域 そ の もの 、 す
あ る と考 え る こ と が で き る。 そ こ で、 光 子 の 発 生 が ボ ア ソ ン分 布 で あ る
と仮 定 して 試 作 装 置 と従 来 の もの との 測 定 能 率 の 比 較 を試 み る。
光 子 の発 生 が ボ ア ソ ン分 布 に従 う と 仮 定 し た場 合 、 そ の よ う な光 に よ っ て 光 電 子 増 倍 管 か ら
発 生 す る光 電 子 パ ル ス もボ ア ソ ン分 布 に 従 い 、 光 電 子 パ ルス を 波 高 弁 別 し た 後 の 出 力 パ ルス も
ま た ボ ア ソ ン 分 布 に 従 う。 し た が って 光 子 そ の もの の か わ りに 弁 別 器 の 出 力 光 電 子 パ ル ス を 用
い て 評 価 を行 左 って も何 等 差 しつ か え な い 。T時
T)と
聞 内 にn個
の パ ル ス が 発 生 す る 確 率 をP(n,
す る と、
P(・
・T)e°
(Tk)n。-Tk・
。1(2.・)
-50一
と な る ・ ここ でK・
騨
位 時 問 内 に 発 生 す る ノくル ス の 平 鯛
検 出 系 に ラ ン ダ ム な パ ル ス が 入 力 し た 時 の 計 数 損 失Plossを
数 で あ る・ 次 に 不 麟
間Tを
持つ
次 の よ う に定 義 す る。
P(nZ2,T)
pl
ossp(
こ の 式 に(2.2)式
nZ1,T)
を 綬 入 す る と(2.4)式
を得 る。
・-rP(0,T)・P(1,TD1-(1+Tk。),-Tk・
02.loss1‐P(0
,T)1‐e‐Tk(4)
今 、 計 数 損 失 に よ る誤 差 を1%と
す る 時 、Tkoは0.02と
は め る と、 不 感 時 間(18nsec)内
時 間 域(124nsec)内
な る。 こ の 値 を試 作 装 置 に あ て
に 発 生 す る パ ル ス の 平 均個 数 が0.02と
左 るので、 測定
に 発 生 す るパ ル ス の平 均 個 数kは
k=D.14(counts/124nsec)(2.5)
と 左 る 。 一 方 、 従 来 の単 一 光 子 遅 延 一 致 法 で は不 感 時 間 は124nsecで
あh,
keO。02(counts/124nsec)(2.6)
と 左 る。 す な わ ち 試 作 装 置 で は従 来 の もの に 比 べ て7倍
の 入 射 光 強 度 で あ って も同 じ計 数 損 失
で測 定 す う こ とが 可 能 と な る。 上 記 の 考 察 か ら もわ か る よ う に検 出 能 率 は 不 感 時 間 に 反 比 例 し
て い る 。 し 準 が っ て 能 率 を比 較 す る場 合 、 不 感 時 間 の 比 較 に 置 きか え て こ れ を論 じ て も よレ・
。
(B)チ
ャネ ル間 の一様 性
試 作 装 置 の 不 感 時 間 は18nsecで
あ り、 チ ヤ ネ ル 間 の 時 間 遅延 は6.2nsecで
ゲ ー トパ ルス 印 加 時 に光 電 子 パ ル ス が2つ
あ る た め、
の チ ヤ ネ ル の 中間 に 存 在 し な い 限 り、 隣 り合 っ た2
つ のチ ヤネ ル か ら 同 時 に 一 致 信 号 が 出 力 され る こ と は 左 い 。 も し両 チ ャネ ル か ら出 力 さ れ た場
合 、 本 装 置 で は番 号 の若 い チ ャネ ル を、 一 致 と み な し、 後 の チ ャ ネnを
不一 致 と みな して計数
してい る。
ラ ン ダ ム パ ル ス に 対 す る各 チ ャ ネ ル の 計 数 率 の一 様 性 を調 べ る た め に 、 微 弱 定 常 光 を照 射 し
一51一
た 光 電 子 増 倍 管 か ら の 出 力 パ ル ス の 計 数 を 試 作 装 置 に よ って 行 な った 。 そ の 結 果 、 ±5%の
範
囲 内 に 計 数 偏 差 が 納 ま って い る こ と が 確 認 さ れ た 。 相 対 標 準 偏 差 に 換 算 す る と34%(18720
±634counts/channel)と
左 る。 な 齢、 こ の 測 定 に お け る1回
当 りの 平 均 光 電 子 パ ル
ス 検 出 数 は α5個 で あ っ た 。
⑥
パ イ ル ア 。 ブ効 果56)に
不 感 時 間 内 に2つ
よ る 翻1跛
形 歪
また はそれ 以 上の 光電 子 パルー
ス が 到 来 し、 計 数 損 失 を 引 き起 こ す こ と を パ
イル ア ッ プ効 果 と言 い、 高 速 発 光現 象 の 過 渡 的 観 測 で は こ の パ イル ア ・ プ効 果 は 観 測 波 形 の 歪
と左 っ て 現 わ れ る。 こ こ で は試 作 装 置 に よ って 強 度 の 異 な る 発 光 現 象 を 実 際 に 測 定 し、 計 数 損
失 と波 形 歪 の 関 係 に つ い て 調 査 した 結 果 に つ い て述 べ る。
水 素 放 電 管 の 発 光 波 形 測 定 に お い て 、 図2.16は
推 移 を 示 し た もの で あ り、 ま た 図2.17は
入 射 光 強 度 を 変 化 さ せ た場 合 の 観 測 波 形 の
全 計 数 値 を繰 り返 し発 光 回 数 で 割 っ た 値 を計 数 率 と
定 義 し、 そ れ と入 射 光 強 度 との 関 係 を示 した もの で あ る 。 た だ し直 線 ㈲ は 相 対 入 射 光 強 度 が
1の 場 合 を一 応 理 想 的 な 波 形 で あ る と し て 作 成 した もの で あ る。 相 対 入 射 光 強 度 が10程
で の 計 数 率 は 入 射 光 強 度 とほ ぼ 比 例 関 係 に あ り波 形 の 歪 も少 な い が》 強 度 が15を
度ま
越 え る と急
激 に 計 数 損 失 が 増 大 し、
難 篶灘1
ッ プ 効果 が顕 著 に な つた
獺1蠶 ご1
た発光 持 続時 間の半 値幅
も小 さ く左 る傾 向 が ある
騨轍
図2.16水
素 放電 管 の 発 光 波 形 観 測 時 に 澄 け る波 形 歪
(内 挿 モ ー ドに よ る測 定)
-52一
図217
入 射 光 強 度 と計 数 率 の 関 係
2.3.4.け
い 光 寿 命 測 定 へ の応 用
試 作 シス テ ム の実 用 分 析 へ の 応 用 と して 、 永 素 放 電 管 パ ル ヌ 光 励 起 に よ る け い 光 寿 命 測 定 を行
な った。 被 測 定 試 料 は1ppmの
4.9×1-2Mア
図2.5に
図2.18励
硫 酸 彳 ニ ー ネ(0,1N硫
ニ:1ン 混 合(ノ
酸 溶 液)お
ー マ ル ヘ キ サ ン溶 液)の2つ
よ び1-5Mピ
レン ・
で あ る。 左 お、 光 学 系 の 配 置 は
示 す 通 りで あ る。
起 元 波 形 と硫 酸 彳 ニ ー ネ .図2.19励
け い光 減 衰 波 形
起 光 波 形 と ピ レ ン ゜ア ニ リ ン
混 合 け い光 減 衰 波 形
(対 数 プ ロ ッ ト、 丙揮 毛 一 ド)(対
数 プ ロ ・ ト、 拡 張 モー ド)
-53一
はpめ
に硫 酸 彳 ニ ー ネ に 対 す る洲 定 を 内 挿 モ ー ドで行 な った 結 果 を 図2.18に
示 す。 ここでは
け い 光 減 衰 波 形 と光 源 発 光 波 形 の 強 度 を 対 数 表 示 し て あ る。 硫 酸 キ ニ ー ネ溶 液 は け い 光 寿 命 測 定
装 置 の 性 能 を 評 価 す るた め 一 般 に よ く用 い られ る試 料 で あ り、 濃 度10-5M(0.1N硫
に 対 す る 寿 命 と し てlrkCfi。nら
3nsecと
な?て
のP57)で
は1S
.。nsec.Z,。g。,ら
酸 溶 液)
の 黠5叫
は23±
い る。 ま た 著 老 ら が試 作 し た ダ イ ノ ー ドゲ ー ト方 式 時 間 分 解 測 光 装 置 で 求 め た
濃 度1PPm(0.1N硫
酸 溶 液)の
試 料 の 寿 命 は20.8nsecで
あ っ た 。 寿 命 は 濃 度 に よ って 変
化 す る ほ か、 温 度 に よ って も影 響 を受 け る。 本 試 作 光 子 計 数 装 置 で 測 定 し た 寿 命 は 図2.18に
示 し た よ うに21.7nsecで
も
あ り、 こ れ は 測 定 時 の 温 度 の 影 響 を 考 慮 した 場 合 、 極 め て 妥 当 左 値
で あ る とい え る。
次 に ピ レ ン ・ア ニit.ン混 合 溶 液 の け い 光 減 衰 波 形 に つ い て 述 べ る。 ピ レン 単 体 の 場 合 、 け い 光
寿 命 は 約450nsecで
あ るが、共 存 の アニ 【
】ン に よ っ て 静的 に ク エ ン チ ン グ さ れ 、50nsec
前 後 に 寿 命 が 短 縮 さ れ る。 図2.19は
、 動 作 を 拡 張 モ ー ドに 切 り換 え て248nsecの
測 定 し た 結 果 を 示 し た もの で あ る が 、51.6nsecの
寿 命 が得 られてい るこ とがわ か る。
前 述 の 解 析 に 診 い て試 作 装 置 の 検 出能 率 は従 来 の 遅 延 一 致 装 置 に 比 べ て7倍
果 が得 ら れ た 。 硫 酸 キ ニ ー ネ の 測 定 に お い て1現
時 間域 で
向 上 す る とい う結
象 当 りの 平 均 検 出光 電 子 パ ル ス数 は0.2で
あり
こ の 程 度 の検 出 数 で は 十 分 の 測 定 精 度 が得 られ る こ と が け い 光 寿 命 の うえ か ら実 証 さ れ た 。 一 方 、
測 定 所 要 時 間 に つ い て 考 え た 場 合 、 試 作 装 置 で は コ ン ピ ュー タ の 実 行 速 度 に よ る制 限 か ら、 測 定
の 繰 り返 し は 毎 秒300回
20分
と な り 、 あ まり能 率 が よい とはいえ ず 、 硫 酸 キ ニー ネ の 測 定 に お い て は
を 要 し て い る。 し か し こ れ に つ い て は、 バ ッ フ ァvジ ス タ を計 数 能 力 の あ る カ ウ ン タ に置
き換 え 、 こ の 部 分 を バ ッフ ァカ ウ ン タ と す る こ と に よ り所 要 時 間 を一 挙 に 数 十 分 の 一 に ー
まで短 縮
す る こ と が で き る。
2・4・
多 チ ャ ネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ ト ロ ン の 試 作
グ ー ト用ICを
遅 延 素子 と し た 同時 検 出 装 置 は 素 子 自体 の 持 つ 伝 播 遅 延 時 間 と不 感 時 間 に よ って
分 解 時 闘 と計 数 率 に制 限 を受 け た 。 そ こ で さ らに 分 解 時 間 と能 率 の 向 上 を 図 る 目 的 で 、 同 軸 ケ ー ブ
ル を遅 延 素 子 と し た 多 チ ャネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン を試 作 し、 時 間 分 解 け い 光 ス ペ ク トル 測 定 へ
応 用 し た。
2.4.1.動
作 原理 と構 成
(2.2)節
に お い セ 説 明 し た バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン が2つ
の パ ルス 間 の 時 間 間 隔 を測 定 す る の
に 対 し て 、 新 し く開 発 し た 多 チ ャネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン で は 、 パ ル ス 循 環 用 同 軸 ケ ー ブ ル に
一 連 の光 電 子パ ルス 列 を記憶 循 環 させ なが ら
、 そ れ ら個 々 の パ ル ス と零 時 刻 パ ルス 間 の 時 間 間 隔
一54一
を1回
で 測 定 し て し ま う もの で あ る。 時 間 測 定 の 原 理 自体 は 通 常 の バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン と 同 じ
で あ る が 、 循 環 数 を記 録 す るス ケ ー ラ の 代 わ りに1周
毎 にiビ
。 トず つ シ フ トさ れ る 高 速 シ フ ト
レ ジス タ を バ ッフ ァ メモ リ と し て 採 用 し 、 多 チ ャネ ル 化 を 図 った 点 が 特 徴 で あ る。
図2.20は
こ の 基 本 構 成(a、と 動
作 原 理(b】を示 した も のZあ
る・ 励
起 光 源 も し くは 現 象 と同 期 し て 得
鵜黙三
繼ll 、
プ(B耽 加 え 、 循 環 さ せ て 両 者 の 一
致 を検 出 す る。 前 述 し た よ うに 、
dτ で1チ
ャネ ル 当 りの 時 間 幅 、
す なわ ち分解時 間が、 一
ま た(B)の 同
驚簟
響
騨欝鸞 館1
プ を1周
す る毎 に4τ
ず つ零時 刻
パ ル ス を 追 って ゆ き 、 追 い つ い た
時、 一 致 回 路 か らパ ル ス が 出 力 さ
れ る。 こ の 出 力 は 直 ち に シス ト レ
ジス タ に 転 送 記 録 さ れ る が 、 こ こ
で レ ジス タ の 内 容 は 光 電 子 パ ル ス
列 が(B)ルー プ を 一 巡 す る毎 に ク ロ
齒
ック パ ル ス に よ っ て1ビ ッ ト分 だ
け シ フ トさ れ る よ う に な って い る。
こ の 動 作 を 最 大N=T/dτ
回繰
織5男1脅
雛 高論
;羮
瀦 鞴謙 禦 鶯
図2.20多
チ ャネ ル イく一 ニ ア ク ロ ノ トロ ン の 構 成(a),dτ
と動 作 原 理b、
で記 録 さ れ る。 こ の よ う に し
て 得 られ た 情 報 は 、 各 ビ 。 晦
対 応 す る ミニ コ ン ピ ュmの
ー55一
に
メモ
リ番 地 に 加 算 記 録 さ れ て ヒ ス トグ ラム の 作 成 が行 左 わ れ る。 図2.21は
命 測 定 系 の プ ロ ・ク 図 で あ り、 ま た 図2.22は
'
・図2 .21多
この 方 式 に よ る け い 光 寿
装 置 各 部 の タ イ ミン グ図 で あ る。
チ ャネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン を 用 い た
けい光 寿命 測 定 システ ム
図2.22バ
ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン 各 部 の タ イ ミ ン グ図
一56-一
遅 延 ル ー プ(A1,(B)と し て は 、 ケ ー ブ ル の 減 衰 特 性 を 考 慮 し て30mの
(特 性 イ ン ピー ダ ンス509)をdτ
ー タ の 語 長(16ビ
が2.5nsecに
ッ ト)を 考 慮 して48ビ
て い る。 し た が って チ ャネ ル 数 は48ζ
同 軸 ケ ー ブ ル3D2V
な る よ う設 定 して あ る。 ま た ミニ コ ン ピ ュ
ッrの
シ フ ト レ ジス タ を バ ッフ ァ メモ リと し て用 い
な り、 現 象 観 測 時 間 域 は120nsecと
倍 管 か らの 信 号 パ ル ス 列 は 広 帯 域 増 幅 器 を 経 て 時 間 弁 別 器 に 入h、
な る。 光 電 子 増
そ の 後 ル ー プ(Blrc加 え られ る。
ル ー プ(Al,(Bllzそ れ ぞ れ挿 入 され て い る1¥ル ス 再 生 増 幅 器 は トソ ネ ル ダ イオ ー ド単 安 定 マ ル チ バ
イ ブ レ ー タ を 中心 に構 成 さ れ て お り.、減 衰 し た パ ル ス を逐 次 波 形 整 形 し 左 が ら循 環 さ せ る 動 作 を
行 な う。 一 致 回 路 の 出 力 は1周
に つ き1回 の 割 合 で シ フ トvジ ス タ に 記 録 さ れ 、48周
に ヒス トグ ラ ム作 成 の た め コiピ
ュ7タ に 取 り込 ま れ る。 そ れ と 同 時 に}次
後 自動 的
の測 定 に備 えて ルー
プ 内 パ ル ス は す べ て ク リア さ れ る。 ミニ コ ン ピ ュー タ は ク ロ ノ トロ ン 制 御 、 ヒス トグ ラ ム 計 算 、
最 小 二 乗 法 適 合 に よ る け い 光 寿 命 の計 算 、 チ ャー ト レ コ ー ダ あ るい は テ レ タ イ プ 上 へ の 出 力 友 ど
を遂 行 す る の み 左 らず 、48チ
ャネ ル を ブ ロ ッ ク と し た 時 間 軸 の拡 大 、 モ ノ ク ロ メー タ の波 長 走
査 制御 な ど を実 行 す る。 測 定 用 の プ ロ グ ラ ム の 作 成 に 当 って は シ ス テ ム の 不 感 時 間 を最 小 に し、
測 定 周 期 の 短 縮 を図 る よ う留 意 す べ き で あ る。 本装 置 の 場 合 、48チ
ャネ ル の ヒス トグ ラム 計 算
に 費 や さ れ る計 算 時 間 は1現
し 周 波 数 は400Hz以
象 当 り2 .6msecで
あ り・ 現 象 のh返
に 制 限 さ れ る。 この 点 で の 能 率 は 先 に 試 作 し た 同 時 検 出 装 置 と同 じ で あ る が 、 電 気 系(高
ス 回 路 〉の 不 感 時 間 を7.5nsecに
い う点 で 妹 先 の 装 置 の2倍
に 向 上 して い る 。 ま た分 解 時 間 も6・2nsecか
ら2.5nsecへ
と短 縮
置 の詳 細
は じめ に 試 作 装 置 の 特 性 の 一 覧 を表2.3に
表2.3多
Measurement
Channel
Time
示 し て 於 く。
チ ャ ネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ シ の性 能
Time
120 nsec
Range
Number
max.
dead
1
48
2.5
Resolution
Counting
nsec/channel
Characteristics
sensitivity
time
of
timing
-16 my (p-p)
7.5 nsec
circuit
Constitution
timing
at 5011
oscillators
coincidence
high
48
circuit
speed
bit
gate
shiftregister
control
circuit
interface
Measurement
for
HITAC -10
Minicomputer
Rate
of
Operation
max.
Mode
385
time
Hz
bit,
(48
4k
resolved
or
word
eh)
waveform
channel
measurement
一57一
mini-computer
(16
transient
(48
尸
discriminator
ring
PepetitiOn
速パル
ま で 減 少 さ せ る こ と が で き た た め、 検 出 能 率(計 数 能 率)と
さ れ て い る。-
24.a装
下
measurement
96
spectral
channel)
)
ω
光
学
系
けい光 寿命 測 定 用 の光 学 系 は前述 の同時 検 出装 置 の もの と同 じであ る ので説 明 を省 略 す る。
ま た時 間分 解ス ペ ク トル測 定用 の光学 系 につ いて は 後 節で詳 述 す る。
(B1高 速 前縁 タ イ ミング型 時 間 弁別 回 路
ここ で使用 した時 間弁 別器 の構成 は基 本 的 には前 作 の もの と同 じであ るが・ さ らに高精 康化
を 期 す る た め に、 波 高
表24時
弁 別 を行 な った後再 び
閭弁 翔 回路 の性 能
トン ネ ル ダ イ オ ー ドで
Input
介 さず に 直接 出力 して
い る点 が 特 徴 で あ る。
表2.4に
50
impedance
min
Level
波 形 整 形 し、 増 幅 器 を
時間 弁別 器 の
Amplifier
gain
Bandwidth
Output
impedance
Pulse
height
Pulse
width
7.5
Dead
7
0
-16
300
-
mVp-p
MHz
10
time
Timing
.
150
-
1.6
nsec
1.6
error
170
mVp-p
(FWHM)
nsec
nsec
height
at input
pulse
of
50 up to 200
mVp-p
特 性 を 、 ま た 図2.23
には 回路 の詳 細 を示 す。
図2.23前
◎
縁 タ イ ミ ン グ型 時 間 弁 別 回 路
リン グ 発 振 器
バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン の 最 も大 き左 特 徴 で あ る1】ン グ 発 振 器 は 、 同 軸 遅 延 線 と リフ レ ッ シ ュ
ア ン プ に ょ っ て構 成 さ れ て い る。 使 用 した 同 軸 ケ ー ブ ル 長 は、 ル ー プ 囚 で30m.ル
30.5mで
は 約60%に
あ るが 、 これ ら を伝 播 した パ ル ス(波
、 半 値 幅 は2倍
高150mV、
に 変 化 し て し ま うた め 、pン
一58一
半 値 幅i.6nsec)の
ー プ(Bだ
波 高値
グ発 振 器 を接 続 さ せ る に は1回
の循
環 毎 に リ フ レ ッ シ ュア ン プに よ っ て増 幅'波
図2・24に
形 整 形 を行 な う必 要 が あ る。
・ こ の た め に 試 作 し た ル ー プ(A】
の リ ン グ 発 振 器 の 詳 細 を 示 す 。 本 回 路 は2個
の入
力 端 子 を も ちそ れ ぞ れ ア イ ソ レー タ を 介 して 増 幅 部 と 結 合 され て い る、 光 電 子 パ ル ス 列 は、 は
じめSIGNALINPUTか
ら遅 延 ケー ブ ル 中 へ 注 入 さ れ 循 環 が 始 ま る。 循 環 中 の パ ル ス 列 は 逐
次SIGNALOUTPUTか
ら一 致 回 路 へ 出 力 さ れ て い る。 パ ル ス 列 が48回
目の 循 環 を完 了 し、
所 定 の 測 定 を完 了 し た時 点 で 、 制 御 部 の 発 す る ク リア パ ル ス がCLEARPULSEINPUTUc
加 え ら れ、 リ ン グ 内 の循 環 が 終 了 す る。
し た時 の パ ル ス 循 環 の様 子 を 図2,25
に示 す。
ル ー プ(Bb)qン
グ発 振 器 の 構 造 は原
50
干
理 的 に は ω と 同 じ で あ る が、 入 力 パ ル
ス が1個
で あ る た め 不 感 時 間 を考 慮 す
る必 要 は な く、 回 路 構 成 は 図2.26に
示 す よ う畷
分簡 単 嫉
・て い る・
図 ・25
一59一
ル ー プω の 櫞
パ ルス 波 形
図2.26ル
ー プ⑬ リン グ発 振 器 回 路 図
ル ー プ ⑧ の 遅 延 同 軸 ケ ー プ ル 長 は 、 分 解 時 間drに
ってh.本
実 験 で はdr=2
時 間 は5nsec/mで
(D)ゲ
,5nsecと
相 当 す る 分 だ け ル ー プ(Alの もの よ り長 くな
して い る。 一 方 、 同 軸 ケ ー ブ ル(3D2V)の
あ る の で 結 局 、(A)を30mと
し た 時 、(B}は30,5mと
遅延
な る。
ー ト回 路
ゲ ー ト回 路 は 所 定 の 時 間 内 に 発 生 し た 光 電 子 パ ル ス 列 の み を リ ン グ発 振 器 に 送 り込 む 働 き を
す る 。 半 値 幅1.6nsecの
弁 別 器 出 力 パ ル ス の 列 を 乱 す こ と な く通 過 さ せ る に は こ の 部 分 で の
不 感 時 間 が 短 か い こ とが 必 要 で あ るが 、 試 作 回 路 で は7.5nSecに
制 限 さ れ た。 こ れ は 、 弁 別
器 を始 め 信 号 パ ル ス に対 す る タ イ ミ ン グ 回 路 の 不 感 時 間 中一 番 大 き い 値 で あ り、 し た が って 試
作 装 置 の 不 感 時 間 は ゲ ー ト回 路 の 不 感 時 間 と同 じ く7。5nsecと
ゲ ー ト回 路 の 構 成 は 図2.27に
な る。
示 す 通 り、 トン ネ ル ダ イオ ー ド単 安 定 マ ル チ バ イ ブ レー タ と
パ ルス バ イア ス 回 路 か ら成 り立 って い る。 トン ネ ル ダ イオ ー ドの バ イ ア ス は 単 に 光 電 子 パ ル ス
信 号 が加 わ っ た の み で は 単 安 定 マ ル チ バ イ ブ レ ー タ が ト リ ガ さ れ な い が、 こ れ に さ らに ゲ ー ト
パ ル ス に ょ る過 渡 的 な バ イ ア ス が 重 畳 し た 時 に は ト リ ガさ れ る よ うに な っ て い る。 し た が って
連 続 し た光 電 子 パ ル ス 列 の うち 、 ゲ ー トパ ル ス 発 生 と時 間 的 に 一 致 した 部 分 の み が 選 択 的 に 出
一60一
力 され 、 ル ー プω の リン グ発 振 器 へ と導 か れ る こ と に な る。
⑧欝
ング畑 跏
致 回路 に 導 か れeケ
一
ー ブル 内 を
循 環 し 左 が ら逐 次 一 致 が と ら れ
る 。 こ の 一 致 回 路 は ゲ ー ト回 路
と 同 じ く ト ン ネ ル ダ イ オ ー ド単
ξ
灘 嫐 灘二
慧
劉
繕;鰌露
二
島
纖
う に 調 整 さ れ て い る。 図2.28
は この 一 致 回 路 の 詳 し い 回路 図 で
図227ゲ
ー
ト 回 路
で あ る。 トン ネ ル ダ ィ ォ ー ド単
安 定 回 路 の 出 力 パ ル ス(波
っ て 幅50nsec,波
高Q4V)は
高4Vの
ビデ オ 増 幅 器 とTTL単
安 定 マ ル チ バ イブ レー タ に ょ
パ ル ス に 波 形 整 形 さ れ て 出 力 さ れ る。
図2.28一
致 回 路
一si一
(F、 髄 卸 部 お よ び 制 御 用 ソ フ トウ エ ア
試 作 装 置 の 制 御 部 は 図2.29に
示 す よ うな 各 ブ ロ ック よ り構 成 され て い る。
卜
℃DE図a29制
御 部 の構 成
そ れ ぞ れ の ブ ロ ック の 働 ら きは 次 に 説 明 す る 通 りで あ る。
(A)48ビ
ッ トシ フ ト レ ジー
ス タ(バ
ッ フ ァ メモq)
パ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン の 一 致 回 路 の 出 力 を ク ロ ック パ ル ス(ス
タ ー トパ ル ス)と
同 期 して
記 憶 す る。
(B1ス
ケー ラ
バー ニ ア ク ロ ノ トロ ン の ク ロ ッ クパ ル ス を 計 数 す る48進
メモ リ が48ビ
ッ ト分 の デm収
カ ウ ンタで あ る
集 を 終 え た 後 、 デ ー タ フ ラ グ をw1鬯
。 上 記 バ ッフ ァ
にす るeそ
れ と同時
に リン グ発 振 器 内 の 循 環 パ ル ス を ク,iア す る。
(◎
ゲ ー ト トラ ン ス ミ ッタ
デ コ ー ダ か らの 読 み 出 し命 令 に ょ って48ビ
ッ トシ フ トレ ジス タの 下 位16ビ
ッ トの 内容 を
ミニ コ ン ピ ュー タ に 転 送 す る。
(D116ビ
16ビ
位16ビ
ッ トシ フ トパ ル ス 発 生 器
ッ トの デ ー タ を 転 送 し た 後 、16個
ッ トに 次 の16ビ
の シ フ トパ ル ス を 発 生 し 、 シ フ トレ ジス タ の下
ッ トの デ ー タ を セ 。 トす る。
(E、 デ コ ー ダ
ミニ コ ン ピ ュ ー タ か らの 命 令 を 解 読 し、 デ ー タ転 送 、 モ ノ ク ロ メー タ 波 長 走 査 用 の パ ル ス
モmの
制御 を行 な わ せ る ほ か、 測 定 モ ー ドの 選 択 な どを 行 な う。
-62一
(Flパ
ル ス モ ー タ フ ラ グ コ ン トロ ー ラ
デ コ ー ダ か ら のパ ル ス キ ー タ 回 転 信 号 に よ って パ ル ス モmフ
パ ル ス モ ー タ フ ラ グは 内 部 の タ イ マ ー に よ って 約0.4sec後
HITAC-10の
語 長 は16ビ
で 説 明 した よ うに16ビ
・ トで あ るた め 、48ビ
・ トず つ3回
グ図 と制 御 部 の詳 細 回 路 図 は 図2.30お
コ ン ピ ュmへ
ラ グ を"1flに
す る。 な澄
に ク1】ア さ れ る。
ッ ト分 の デ ー タ 収 集 は 上 記 ◎,(n)
に 分 け て行 左 っ て い る。 な お 、 こ れ らの 制 御 の タ イ ミン
よび 図2.31に
の デ ー タ 転 送 は 、HITAC-10の
示 す 通 り で あ る。
メ モ リ容 量(4k語)の
関 係か ら低速
モ ー ドで 行 左 って い る。 さ て 、 コ ン ピ ュ ー タ へ の デ ー タ 転 送 完 了 後 、 直 ち に ヒス トグ ラ ム 計 算
.が
行 な わ れ るわ け て あ る が 、 こ こ で の 計 算 実 行 時 間 短 縮 を 図 る た め、 そ の プ ロ グ ラ ム に は 特 に
工 夫 を 施 し た 結 果 、1サ
イ ク ル の所 要 時 間Irk2.6msecと
周 波 数 は 最 高385Haと
な った 。 し た が っ て 測 定 の 繰 り返 し
な る。 試 作 装 置 の た め に 作 成 し た プ ロ グ ラ ム は 以 上 述 べ た ク ロ ノ ト
ロ ン制 御 ル ー チ ン の ほ か 、 タ イ プ ア ゥ トル ー チ ン、 最 小 二 乗 法 に よ る け い 光 寿 命 計 算 の ル ー チ
ン か ら構 成 さ れ て い る。 タ イ プ ア ゥ トル ー チ ンは 所 定 の 測 定 終 了 後 、 図2.32の
よ うな 形 式 で
チ ャネ ル 毎 の 計 数 値 と対 数 変 換 した 観 測 波 形 をデ ー タ タ イ プ ラ イ タ上 に 印 字 す る。 観 測 波 形 の
印 字 は フ ルス ケ ー ル を52点
で 印字 す る もの で、 測 定 終 了 後 直 ち に観 測 波 形 の 概 略 を 知 る こ と
が で き る 。 け い光 寿 命 計 算 ル ー チ ン で は 対数 変 換 法 に よ っ て け い 光 寿 命 の 計 算 を行 って い る。
観 測 さ れ る け い 光 波 形 は真 の けい 光 球 衰 波 形 と装 置 関 数(励
起 光 源 の 観 測 波 形)と
の コン ボ リ
ュー シ ョ ン に な って い る が 、 げ い 光 寿 命 が 励 起 光 源 の 発 光 時 間 半 値 幅 に 比 べ て 十 分 大 き い 時 、
光 源 発 光 波 形 の影 響 をほ と ん ど受 け 左 い 時 間 領 域 で は け い 光 減 衰 波 形 は 指 数 関 数 と な る。 試 作
プ ロ グ ラム は 特 に 観 測 け い 光 減 衰 波 形 が 単 一 の 指 数 関 数 で表 わ さ れ る領 域 に 齢 い て 適 用 で きる
図2.30基
本 動 作 時 に 澄 け る制 御 部 の タ イ ミン グ 図
一63一
図2.31制
図3.32硫
御 回路 の回 路 図
酸 彳 ニ ー ネ け い 光 減 衰 波 形 タ イ プ ア ウ ト形 式
一64一
も の で 、 け い 光 寿 命 の 計 算 式 は(2.7)式
と な る。
n(n‐i)(n十2)/12
r‐dr(2.7)
n一且n-1
〔(・-1)/2〕ECi-E(iCi)
id}i=o
た だ し τは け い 光 寿 命 、nは
計 算 に 使 用 す る デm点
数 、Ciは
対 数 変 換 さ れ た 計 数 値 、dr
は チ ャネ ル 幅 で あ る 。
2.4.3.装
置性 能 の 評価
(A1分
解 時 間 と不 感 時 間
多 チ ャ ネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン は 原 理 的 に は 最 高48個
可 能 で あ る。 し か し ゲーr回
数 は16個
路 の 不 感 時 間(7.5nsec)に
の パ ルス の 発 生 時 刻 の 同 時 測 定 が
よ る影 響 で 同 時 計 数 可 能 な パ ル ス
に 制 限 さ れ る。 こ こ で は 装 置 全 体 の 不 感 時 間 を 測 定 し、 あ わ せ て 分 解 時 間 の 測 定 を
も行 な う 目的 で 、 時 間 間 隔 の異 な る対 パ ル ス を疑 似 光 電 子 パ ル ス 信 号 と し て 試 作 装 置 へ 入 力 し・
実 際 に そ の 時 間 間 隔 を 測 定 し た。 図2,33は
『
得 られ た 結 果 で あ る 。 こ の 図 に お け る 直 線 の 傾 き
か ら求 め た 分 解 時 間 は2.5"nnsec/channelで
れ と等 し く7.5nsecで
あ った 。 ま た 、 不 感 時 間 は ゲ ー ト回 路 の そ
あ っ た。 分 解 時 間 は2個
ル の 長 さ を 変 え る こ とに よ つて 調 節 可 能 で あh,以
のi]ン グ発 振 器 の 周 期 の 差 を 外 部 接 続 ケ ー ブ
後 の 測 定 に お い て ケ ー ブ ル 長 を 変 え る時 に
は 同 様 の測 定 を行 友 い 、 チ ャ ネル 当 わ の 時 間 幅 を 較 正 して い る。
図2.33入
力 パ ル ス の 時 間 聞 隔 とそ れ に
図2.34ラ
対 応 す る チ ャネ ル 間 隔 の 関 係
ング ムパ ルス に対 す る
チ ャネノル 間 の 一 様 性
ー65一
(B、 チ ャネ ル 間 の 一 様 性
前 作 の 同 時 検 出 装 置 と 同様 、 光 電 子 増 倍 管EMI-9594Bか
らの ラ ン ダ ム 光 電 子 パ ル ス 列
を入 力 し て 試 作 装 置 の チ ャネ ル 間 の 一 様 性 を測 定 し た。 結 果 を 図2.34に
ヵ}ら47チ
ャネル
ャ ネ ル ま で の 計 数 値 の相 対 標 準 偏 差 は1.4%(8827±126counts/channel)
に 押 え られ 、 同 時 検 出 方 式 の そ れ(3.4%)よ
ネ ル か ら4チ
ャネ ル ま で のm性
ー タ は 通 常5チ
り も優 れ て い る こ と が わ か る。 し か し、0チ
ャ
は 劣 る 。 こ の原 因 とし て は ゲ ー トパ ル ス 立 ち上 り部 の オ ー バ
ー シ ュー トな どの 寄 生 発 振 が 考 え ら れ る が
(C)パ
示 す が 、5チ
、 い ず れ に せ よ、 け い 光 減 衰 波 形 の測 定 に 必 要 なデ
ャネ ル 以 降 に く る こ と が 多 い の で 重 大 左 欠 陥 と は 考 え られ 左 い
。
イ ル ア ・ プ効 果 に よ る波 形 歪
パ イ ル ア ッ プ効 果 に よ る観 測 波 形 歪 を 定 量 的 に 考 察 す る た め に、 入 射 光 強 度 に 対 す る け い 光
寿 命 の 測 定 値 の 関 係 を 調 べ た 。 け い 光 試 料 と して は10-5Mピ
t)ン 混 合(pヘ
キ サ ン溶 液)を
レ ン ・4.9×10-2Mア
ニ
用 い、 試 料 と光 電 子 増 倍 管 の 間 に 光 学 ア ッテ ネ ー タ を挿 入 して
光 量 を変化 さ せ た。
表2.5お
よ び 図2.35は
入 射 光量 に 対す るけい光 減 衰波 形観 測 のデ ータ で あ る。光 量 が最小
で あ る デ ー タ(A?では パ イ ル ア ッ プ効 果 が 無 視 で き、 け い 光 減 衰 波 形 は無 歪 で あ る と仮 定 し て こ
の 時 の 寿 命(49.2nsec)を
真 値 と み な す 。 こ うし た 時 、(B),(Cl,(D1の
差 で真 値 と一 致 す る。 す な わ ち、 こ の よ うな け い 光 減 衰 波 形 測 定 で は1現
ル ス 発 生 個 数 が1程
POWER
NUMBER
1.0
1.56
3.06
9.02
20.8
2.4,4,時
RATIO
内の誤
象 当 り平 均 光 電 子 パ
度 まで十 分 の精度 で測定 可 能 で あ る ことを意 味 す る。
表25け
INCIDENT
寿 命 は5%以
い光 減衰 波形 測定 デ ータ
of
EXCITATION
(NE)
TOTAL
COUNTS
(rc )
1,488,000
916,500
447,800
175,500
105,600
COUNT
RATE
DATA
(TC) / (NE)
208,648
0.14
A
205,137
0.22
B
204,105
0.46
1.20
2.05
C
211,015
216,192
D
間 分 解 け い 光 ス ペ ク トル 測 定 へ の応 用
定 常 光 に よ っ て 得 られ る け い 光 ス ペ ク トル が 分 子 、 原 子 の 励 起 状 態 に 関 す る 定 常 的 な 情 報 を提
供 す るの に対 し、パ ル・
ス光 励 起 に よ っ て得 ら れ る時 間 分 解 ス ペ ク トル は励 起 状 態 の 過 渡 的 な 振 舞
一66一
を 直 接 示 す も の で あ る。 け い 光 測 定 に
お い て 特 に 時 間 分 解 ス ペ ク トル が重 要
視 さ れ る例 と し て、 エ ク サ イ マ と エ ク
サ イ 彳 レ ック ス の生 成 過 程 の 研 究 が あ
る。 これ らは 励 起 状 態 に あ る分 子 と基
底 状 態 に あ る 分 子 との 相 互 作 用 に よ っ
て 生 成 さ れ る不 安 定 中 間 体 で あ るが 、
時 間 分 解 ス ペ ク トル は こ の よ うな 不 安
定 中 間 体 の 生 成 過 程 は じめ 、 分 子 内 、
分 子 間 の エネ ル ギー移動 に関 す る知見
を 直 接 与 え る も の で あ る。
光 子 計 数 法 に よ って 微 弱 光 の時 間分
解 分 光 測 光 を行 左 う場 合 、 時 間 と 波 長
を パ ラ メmと
し た 大 量 の デ ー タ を必
要 とす る関 係 上 、 低 能 率 の 従 来 の シ ン
グ ル チ ャネ ル 法 で は 測 定 時 間 が膨 大 と
左 る こ と が避 け られ ず 、 実 用 上 大 きな
図2・35入
射 光 強 度 とけ い光 寿 命 測 定 値 との 関 係
障 害 が あ っ た。 これ に対 し 、 オ ン ラ イ
ン ミ三 コ ン ピ ュ ー タ 援 用 型 の本 シス テ で は 原 理 的 に 最 高48個
の時 間 パ ラ メー タ を 同 時 に 設 定 す
る こ と が で き、 微 弱 光 の時 間 分 解 ス ペ ク トル を 極 め て 能 率 よ く測 定 す る こ と が で き る。 図2.36
一
図2.36試
作 しだ時 間分 解分 光 測光 シス テム
の 測 定原 理(4チ
ャネ ル の 場 合)
-67一
図2.37時
間 分 解分 光測 光 シス テ ムの構成
に試 作 し た 時 間 分 解 測 光 シス テ ム の測 定 原 理 を、 ま た 図2,37に
は シ ス テ ム 構 成 の プ ロ ・ク 図 を
示 す。
け い 光 の 分 光 測 光 を行 友 う場 合 、 本mら
ば 励 起 側 に もモ ノク ロ メー タ を配 置 し て 単 色 光 励 起
とす べ き で あ る が、 光 量 利 用 率 を 考 慮 し て、 試 作 した シ ス テ ム で は 励 起 側 に は モ ノ ク ロ メー タ は
使 用 せ ず バ ン ドパ ス フ ィル タ(UV-D25)を
使 用 し て い る 。 さ らに 高 次 光 除 去 の た め 、 け い
光 ス ペ ク トル は ロ ー パ ス フ ィル タ(UV-39)を
(日 本 分 光CT-25型)の
通 し て 測 定 さ れ る。 ・
また 、 モ ノ ク ロ メ ー タ
光 量 利 用 率 を も大 き くす る 目的 で 入 ・出 射 スu・
ク トル ス リ ッ ト幅100A)に
ト幅 を3mm(ス
ペ
拡 大 し て い る。.
測 定 は 次 の よ う左 手 順 で行 な う。 ま ず モ ノ ク ロ メー タ の 波 長 を λ 畳に セ ッ トし 、 あ ら か じめ 設
定 し た 回 数 だ け ク ロ ノ トロ ン を動 作 さ せ て 過 渡 測 定 を 行 な う。 λ1で の 測 定 終 了 後 、 パ ルス モ ー
タ(日
本 パ ル ス モ ー タPF7-48C型
モ ー タ とP-53B型
駆 動 ユ ニ ッ ト)に よ っ てd2へ
波 長 を 送 り同 様 の 測 定 を行 な う。 こ う し て 順 次 λ3,λ4で
の 測 定 を 行 な うわ け で あ る
が 以 上 の 動 作 は す べ て ミニ コ ン ピ ュー タ に よ る 制 御 で オ ン ラ イ ン で 行 って い る。 そ の 際 、 走 査 波
長 域 お よ び そ の 領 域 内 の ス テ ッ プ数 の 指 定 は テ レ タ イ プ上 か らの 操 作 に よ っ て行 な う。 全 測 定 が
終 了 し た 後 、 ミ ニ コ ン ピ ュ ー タ はXYレ
図2.38に
コ ン ピ ュー タ 内 の メ モqマ
コー ダ上 に 時 間 分 解 ス ペ ク トル を出 力 す る。
ッ プ を示 す 。 プ ロ グ ラム は 指i御ルー チ ン とデ ー タ エ リァ
か ら成 り立 っ て 澄 り、 制 御 ル ー チ ンに 約1k語
を要 し、 デ ー タ エ リア と して は2400語
を用 意 し
た。
表26チ
ャ ネ ル数 を 限 定 した場 合
の測 定 繰 り返 し上 限 周 波 数 齟
QiANNELIR.R.MEASUREMENT
NUMBER(max)
1i4.38KHz
413.07
612.56
912
1511.47
2411
4810.57
図2.38時
間 分 解 ス ペ ク トル 測 定 用
プ ロ グ ラ ム の メモ,iマ
ップ
.:
し た が って 時 間 分 解 ス ペ ク トル の 測 定 を行 左 う場 合 、 チ ャネ ル 数48の
ル 点 は 最 大50ま
で と れ る。 ま た チ ャネ ル数 を6と
し た時 、400ま
時 、 波長 軸上 のサ ンプ
で の サ ン プル 点 の 蓄 積 が 可
能 と な る 。 前 述 の よ うに本 シス テ ム と)測定 繰 り返 し 周 波 数 の 制 限 は 大 部 分 ヒス トグ ラム 計 算 時 間
に よ って 受 け て い る た め 、 チ ャネ ル数 を 限 定 す れ ば そ れ だ け 繰 り返 し 周 波 数 は 高 く と れ る こ と に
な る。HITAC-10の
サ イク ル タ イ ム(1.4Rsec)を
考 慮 して ・ チ ャネ ル 数 を限 定 し た場
合 の 測 定 の 最 高 繰 り返 し 周 波 数 を計 算 し た 結 果 が 表2.6で
あ る。
へ 試 作 し た シ ス テ ム を 用 い て ピ レ ン の時 間 分 解 け い 光 ス ペ ク トル の 測 定 を行 左 った 。 試 料 は 】O
Mピ
合(メ
レ ン(〃
。ヘ キ サ ン溶 液)純
び1・-5Mピ
チ ル シ ク ロヘ キ サ ン溶 液)の2つ
ル を 図2.39お
よび 図2.40に
レン ・2× ・ ・_3Mデ
・エ ≠ ・
・ア ざン混
を用 意 し た。 そ れ ぞ れ の 試 料 の 時 間 分 解 け い 光 ス ペ ク ト
示 す。 こ れ ら に は バ ック グ ラ ウ ン ドを 調 べ る 目的 で試 料 を溶 媒 に
置 き換 え て 同 一 条 件 で 測 定 し た 結 果 も同 時 に 示 して あ る。 図2・39に
おい ては モ ノマー け い光
ロ
(°3900A)が
励 起 後 約15nsecで
完 全 に 消 滅 した 後 、 エ ク サ イ マ け い 光(4800A)が
時間
む
と と もに 成 長 す る過 程 が、 ま た 図2.40に
お い て は エ クサ イ プ レ ック ス け い 光(4400A)が
長 し て く る状 態 が よ くあ ら わ れ て い る。 左 お 、 この 測 定 に お け るチ ャネ ル 数 は4と
波 数 は 約2.8kHzと
し繰 り返 し 周
して ク ロ ノ トロ ン を動 作 さ せ た 。 測 定 に 要 し た 時 間 は ・ 各 波 長 当 り20万
3.39ピ
レ ン の 時 間 分 解 け い 光 ス ペ ク トル
ー69一
成
図3.40ピ
回 の 積 算 を行 な った 図2.39の
レ ン ・デ ィエ チ ル ア ミン の 時 間 分解 け い 光 ス ペ ク トル
場 合 約2時
間 、80万
回 の 積 算 を行 左 った 図2.40の
場 合 では約
6時 間 で あ った 。 こ の こ と を み て も、 従 来 の 単 一 光 子 遅 延 一 致 法 に よ る 同 様 左 測 定 で は 数 日 を要
し て い た の に 比 べ格 段 の進 歩 で あ る とい え る 。
2.5.結
言
高速 極 微 弱 発 光 現 象 の 高 感 度 測 定 に供 す る2種 類 の 多 チ ャネ ル 統 計 的 サ ン プitン グ型 光 子 計 数 測
光 装 置 の試 作 を行 左 っ た 。
同 時 検 出型 測 光 装 置 に つ い て
(1)元
来 、 単 一 パ ル.スし か 検 出 で き な か っ た ク ロ ノ ト ロ ン に対 し・ 複 数 個 の パ ル ス を も 同 時 検 出 可
能 と 左 る よ9多 チ ャネ ル 化 を 図 っ た も の で あ る 。
(2).チ
ャネ ル数 は20.チ
ャネ ル 幅(分
解 時 間)は
し た が っ て 原 理 的 に は1発 光 現 象 当 り最 大20痼
(3)光
歩2nsec、
測 定 時 間 域 は124nsecで
の 光 電 子 パ ルx同
電 子 パ ル ス 遅 延 素子 と し て シ ョ ッ トキ ーTTLICを
一70一
あ る。
時 検 出 が 可 能 で あ る。
使 用 し た。 した が っ て チ ャネ ル の 増
設 には 制 限 が 左 い 。
(4)コ
ン ピ ュ ー タ(ミ
ニ コ ン ピ ュ ー タ)制
御 に よ る測 定 の 自 動 化 が 図 ら れ て い る 。 測 定 の 際 に は 内
挿 モ ー ド、 拡 張 モ ー ドの 選 択 に よ り、 測 定 時 間 域 の 操 作 が 自在 に 行 な え る。
(5)時
間 弁 別 回 路 の 不 感 時 間 は5nsecで
遅 延 回 路 の 不 感 時 間 は18nsecで
あ る。 これ は 前 縁 型 と し て は 最 小 の もの で あ る。 一 方 、
あ り、 これ に よ っ て 同 時 検 出 光 電 子 パ ル ス 数 は 最 高7個
限 さ れ る。 ま た 測 定 の 繰 り返 し 周 波数 は ミニ コ ン ピ ュmの
に制
演 算 時 間 に よ って 最 高400Hzに
制 限 を受 け る。 した が って 同 一 繰 り返 し周 波 数 に よ る 測 定 で は 従 来 の装 置 に 比 べ て 測 定 所 要 時 間
は1/7に
短 縮 さ れ る。
(6、 硫 酸 キ ニ ー ネ 澄 よ び ピvン
・ア ニ リン の け い 光 寿 命 の測 定 を 行 左 い 、 本 測 光 シ ス テ ム の 動 作 を
確 認 し た。
多 チ ャネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン に つ い て
(1)シ
ン グル チ ャネ ル バー ニ ア ク ロ ノ トロ ン を 多 チ ャ ネ ル化 した もの で あ る。
(2)最
大 チ ャネ ル 数 は48、
理 的 に は1発
最 小 チ ャネ ル 幅 は2.5nsec,測
光 現 象 当 り最 大48個
定 時 間 域 は120nsecで
の 光 電 子 パ ル ス 同 時 検 出 が 可 能 で あ る。
あh.原
・
、〔3)ミ ニ コ ン ピ ュー タ 制 御 に よ る時 間 分 解 ス ペ ク トル の 自 動 測 定 が実 行 で き る 。'
(4)遅
延 素 子 と し て は 同 軸 ケ ー ブ ル を使 用 し て 澄 り、 ケ ー ブ ル 長 に よ り、 分 解 時 間 お よ び 測 定 時 間
域 を 自 由 に 設 定 で きる。
(5)装
置 の 不 感 時 間lrk7.5nsecで
あ る。 し た が っ て従 来 ゐ もの に比 べ 測 定 所 要 時 間 は1/10以
下
で 済 む。
(6、 ピ レ ン知 よ び ピ レ ン ゜デ ィエ チ ル ア ミン の 時 間 分 解 け い 光 ス ペ ク トル の測 定 を行 攻 い 、 本 シ ス
テ ム の 動 作 を 確 認 し た。
問 題 点 と今 後 の 目標
(1}シ
ョ ッ トキ ーIC(SN74SOON)を
使 用 す る 限 り、 伝 播 遅 延 時 間 と不 感 時 間 の 制 限 か ら
同 時 検 出装 置 の 性 能 を こ れ 以 上 向 上 さ せ る こ とは 困 難 で あ り、 新 た な る 能 動 遅 延 素 子 の 出 現 が 望
ま れ る。
(2)多
、,
チ ャネ ル バ ー ニ ア ク ロ ノ トロ ン の 分 解 時 間 と不 感 時 間 は、 主 に時 間 弁 別 回 路 と そ れ に 類 似 す
るパ ルス 回路 に よ っ て 制 限 を受 け るた め 、 この 部 分 の 性 能 改 善 が 装 置 全 体 の性 能 向 上 を持 た らす。
(3)両
方 式 と も、 計 数 能 力 を 持 つ バ ッフ ァ メモ リを 採 用 す る こ と に よh,さ
ら に 高 い 繰 り返 し動 作
で 測 定 を 遂 行 し らる。 測 定 時 問 の 短 縮 を 図 る 客 め 、 ぜ び ともバ ッ ファメモ リ部 を 改 良 す る必 要 が あ る。
(41け
い 光 励 起 用 パ ル ス 放 電 管 に 関 す る研 究 も並 行 して 進 め て ゆ き た い。
-71一
第3章
高 速 パ ル ス 動 作
の 過 渡 発
3.1.緒
光 特
ホ
ロ カ ソ 厂
性 の 測
定
と 解
ド ラ ン プ
析
言
・955年 財
一 ス ・ラitア のA,W。1。h5咲
よ 。て 提 唱 さ嫉
肝
吸光分 光 分析 は 金 属元 素の
微 量 定 量 分 析 法 と して は 精 度 が 高 く、 し か も取 り扱 い が 比 較 的 簡 単 友 た め 、 わ ず か の 間 に 急 速 に普
及 し 、 特 に 公 害 分 析 の 方 面 で は 今 や 必 要 欠 くべ か らざ る 存 在 と 左 って い る。 こ の 分 析 法 の 感 度 、 精
度 は そ れ に 用 い る分 析 用 光 源 に よ って 大 き く左 右 さ れ る 。
一 般 に は 光 源 と して 被 測 定 元 素 の 共 鳴 線 を発 光 す る ホ ロ カ ソー ドラ ン プ が 用 い られ て い る が
、必
ず し も 発 光 強 度 が 十 分 で あ る とは い え ず、 高 精 度 微 量 分 析 に 困 難 を 来 た す こ と が 多 い 。 吸 収 に 関 係
の な い ス ペ ク トル 線 が 分 析 線 に 近 接 し て 存 在 す る場 合 、 モ ノ ク ロ メー タ に よ って これ を 除 去 す る必
要 が あ る が、 狭 い ス リ ッ ト幅 で の モ ノ ク ロ メー タ の使 用 は 検 知 器 へ の 入 射 光 量 を 減 じSN比
の低下
を 招 く。 一 方 、 測 定 感 度 は分 析 線 の 形 状 に よ って 大 き く影 響 を 受 け る。 し た が って 十 分ESN比
を
保 ち 、 かつ 高 感 度 の 測 定 を行 な うた め に は 高 輝 度 で 線 幅 の 狭 い共 鳴 線 を 発 光 し、 し か も近 接 線 が 少
な い うえ に そ れ ら の 強 度 が小 さ い ホ ロ カ ソ ー ドラ ン プ が必 要 と な る 。 しか しmと
線 幅 とは互 い に
相 反 す る要 素 を持 つ た め 、 単 に ラ ン プ の 直 流 放 電 電 流 を 増 加 さ せ て発 光 強 度 を増 し た と して も線 幅
が 広 がh.か
え っ て 測 定 感 度 を 低 下 さ せ る ば か り か ラ ン プ の 寿 命 短 縮 を 招 く こ と に もな り好 結 果 は
期 待 で き左 い 。
比 較 的 高 い 輝 度 の 分 析 用 光 源 と し て は 、 高 輝 度 ホ ロカ ソー ド ラ ン プ60)や
ン プ61)が
あ るが、 吋
れ も特 別 備
助 装 置 を必 要 とす る の で 余 り一 般 瞰
水 冷 式 ホ ロ カ ソー ドラ
甑Lて
い 左 い.発
光
強 度 を 増 大 さ せ る も う一 つ の 有 効 左 手 法 と し て 、 市 販 の ホ ロ カ ソ ー ドラ ン プ を 高 速 大電 流 パ ル ス で
h返 し黼
的瞰
れ る う え、 黼
電 さ せ る 高速 ・・ル ス 駆 動 法62)が
あ る.こ
電 力 もわ ず か で あ る 点 が 注 目 さ れ 、 分 櫞
力
の方 法 齲
フ,ル
輝麟
の過巌
光 線 が騨
略
ら
化 測 定 の 報 告63)が
一部 の元素 に ついて す で に左 され てい る
。 し か し さ ら に 一 歩 進 ん で こ の 過 渡 発 光 特 性 を積 極 的 に 原
子 吸 光 分 析 へ 取 り入 れ 分 析 性 能 の 向 上 を 図 る に は 、 分 析 線 プ ロ フ ィル の み な らず 近 接 線 スペ ク トル
を 含 め た パ ル ス 鄲 動 ホ ロ カ ソー ドラ ン プ の 詳 細 な 時 間 的 発 光 特 性 を 把 握 し て お く必 要 が あ る・ この
よ うな 観 点 か ら著 者 は 市 販 の ホ ロ カ ソー ドラ ン プ を パ ル ス駆 動 し、 そ の 過 渡 発 光 線 の 時 間 分 解 ス ペ
ク トル をア ナ ロ グ 方 式 サ ン プ リン グ 型 時 間 分 解 測 光 装 置 に よ つて詳 し く測 定 す る と と もに 、 さ らに
フ ァブ リペ ロ干 渉 計 と光 子 計 数 方 式 サ ン プ リン グ型 時 間 分 解 測 光 装 置 と を併 用 して 分 析 線 プ ロ フ ィ
ル の 過 渡 変 化 の測 定 を 行 な っ た。
'そ
の結 果
、 パ ル ス 放 電 開 始 後 中 期 の 時 間 領 域 に お い て 分 析 線 は 線 幅 の広 が りが 小 さ くし 発 光 強 度
は 直 流 点 灯 時 の数 十 か ら数 百 倍 に 達 す る こ と、 さ ら に 、 分 析 線 に 比 べ て 近 接 線 発 光 強 度 の 著 し く抑
一72一
制 さ れ た 時 間 領 域 が 存 在 す る こ と が 明 らか と な った 。 し た が って 実 際 に原 子 吸 光 分 光 分 析 へ 高 速 パ
ルス 駆 動 ホ ロ カ ソー ドラ ン プ と時 間 分 解 測 光 の 手 法 を 導 入 した 場 合 、SN比
の 改善 を は じ め分 析 性
能 の 向 上 が 実 現 で き る もの と 思 わ れ る。
第3章
か ら 第5章
に か け て 記 述 し た 一 連 の研 究 は 、 高 速 パ ル ス 動 作 ホ ロ カ ソ ー ドラ ン プ と原 子 吸
光 分 光 分 析 へ の 応 用 に 関 す る も の で あ る。 この う ち本 章 に お い て は 特 に ホ ロ カ ソー ドラン プ の パ ル
ス 発 光 特 性 に つ い て 詳 述 す る。 ま た、 第4章
で は主 にSN比
改 善 の試 み ・ さ らに 第5章
で は二 波長
分 析 へ の 応 用 に つ い て 述 べ る。
3.2.原
子 吸 光 分 析
本 論 に 入 る前 に 原 子 吸 光 分 光 分 析(以
下 、 原 子 吸 光 分 析 と略 す)に
つ い て 簡 単 に 触 れ る。
今 、 金 属 塩 溶 液 を霧 状 に して フレ ー ム に導 入 す る と金 属 元 素 は 熱 解 離 に ょ って 原 子 状 に 左 る が 、
そ の ほ と ん どは 基 底 状 態 に あ り、 極 く一 部 が 励 起 状 態 に あ る。 原 子 吸 光 分 析 は 基 底 状 態 に ょ る 光 量
子 吸 収 を 測 定 す る も の で あ る 。 す な わ ち図s.iに
示 す よ うに、 金 属 塩 溶 液 を 噴 霧 し た フ レー ム にそ
の金 属 の 発 光 線 を 出 す 光 源 か らの光 を 通 し、 吸 収 さ れ る エ ネ ル ギ ー を 測 定 す る。
図31原
強 度Ioの
子 吸光 分析 の原 理
白 色 光 が 単 原 子 蒸 気 を 通 過 す る と一 部 の 光 が 吸 収 さ れ 、 透 過 光 強 度1(v)は
の よ うな振 動 数 分 布 を示 す 。YOは
分 布 波 形 の 中 心 振 動 数 で あh.相
、
図32吸
光 線㈹ と吸 光 係数⑧
一73一
図3,2(A)
当す る波長 を中心 波長 あ るい
は 主 波 長 と 呼 ぶ 。 こ の 場 合 に原 子 蒸 気 は 振 動 数 レoで 吸 光 線 を持 つ と い うが 、 こ こ で 吸 光 層 の 厚 さ
り(の原 子 蒸 気 の 吸 光 係 数K(Y)を
次式 の よ うに 定 義 す る 。
ICY)°loe-K(Y)x(3.1)
吸 光 線 の 形 状 は 電 子 遷 移 の種 類 に よ っ て 決 ま る ほ か 、 温 度 、 圧 力 な ど に よ って か わ る。 図3.2(B、
に 示 す よ うな 吸 光 係 数 の ピ ー ク 値Koを
極 大 吸 光 係 数 と呼 ぶ 。 フ レー ム 中 で の 吸 光 線 の 半 値 幅dY
は 波 長 に 換 算 し て 数 十 鵬 λ 程 度 で あ る。 吸 光 係 数 と 原 子 濃 度 と の 間 に は(3.2)式
の 関 係 が あ る。
πe2
K(・)dY-、
・Nf(3.2)
me
た だ し、eは
電 子 の電 荷 、mは
電 子 の質 量 、cは
fは 振 動 子 強 度 で あ る。(3.2)式
光 速 、Nは
単 位体積 中の 吸光 に関 与 す る原子数 、
の 左 辺 は 積 分 吸 光 係 数 と呼 ば れ 、 こ れ を求 め る と定 量 分 析 が で
き る。 し か し、 そ の た め に は 分 散 系 の 波 長 分 解 を 少 な く と もmAの
桁 で分 融 で きな け れ ば な ら ず非
常 に 困 難 で あ る た め 、 通 常 は 極 大 吸 光 係 数 を 求 め て 定 量 を行 左 う。 吸 光 線 幅 の 広 が りに ドプ ラー 広
が り の み が 関与 して い る と仮 定 す れ ば 、 極 大 吸 光 係 数 と 原 子 濃 度 と の 関 係 は(3.3)式
で あ らわさ
れ る。
・。-1
。!辱
÷
…(3.・)
分 析 条 件 が 一 定 で あ れ ば 試 料 中 の 分 析 元 素 の濃 度 と原 子 濃 度 は 比 例 す る の で 、Koが
度 を 決 定 す る こ と が で き る。Koは
、 中 心 波 長 が 吸 光 線 と一 致 し、 かつ 吸 光 線 幅 よ り も十 分狭 い輝
線 ス ペ ク トル'を用 い て 測 定 す る こ と が で き る。 ホ ロカ ソ ー ド ラン プ(以 下HCLと
うな 被 測 定 元 素 特 有 の 波 長 の 、 鋭 い 発 光 線 を放 射 す る光 源 で あ り、 通 常 図3.3の
略 す)は
SHIELD
そ の もの で 作 る か 、 あ る い は そ
の 元 素 を 含 有 す る合 金 で 作 ら れ
て お り、 陰 極 物 質 の ス ペ ク トル
低 温度
光 源 で あ り、 ま た 内 部 ガス 圧 も
小 さ い た め 、 吸光 線 に比 べ て ド.
プ ラ ー 広 がh.ロ
ー レ ン ヅ広 が
図3.3ホ
一74一
そのよ
よ う左 形 状 を して
い る 。 陰 極 の 内面 は被 測 定 元 素
線 を 放 射 す る 。HCLは
わ か れ は濃
ロ カ ソー ド ラ ン プ の構 造
りと もノ
亅
丶さ い 。
測 定 元素 の ゴペ ク ・
トル 線 の う ち、 分 析 線 と し て 用 い ら れ る輝 線 は共 鳴 線 の 中 で も特 に 吸光 感 度 が
高 く(振 動 子 強 度 が 大 き く)、 か つ そ の付 近 に は 吸 収 に 関 係 の 左 い ス ペ ク トル 線(近
接 線)が 存 在
して い 左 い もの が 選 ば れ る。
原 子 吸光 分 光 光 度 計 で は 、 フ レー ム 透 過 光 の 強 度 を全 波 長 に つ い て 積 分 し た 積 分 吸 光 量 を 測 定 し
て い る た め 、 分 析 線 幅 が 広 が った り、 あ るい は 近 接 線 が 混 入 し た場 合 、 検 量 線 の勾 配 は 小 さ くな る 。
な お・
、 以 後 、 分 析 性 能 評 価 の た め に測 定 感 度 と い う用 語 を 用 い る が 、 こ れ は 検 量 線 の 勾 配 に 相 当 す
る もの で あ る こ とを 明記 して お く。
測 定 感 度 は ま た 、 吸光 線 の 中 心 波 長 の 不 一 致 に よ って も影 響 を受 け る。 こ の 中 心 波 長 の 不 一 致 は
主 に 。-vン
。効 果 に もと つ く吸 光 鰰
心 波長 の長波 闘
へ の移 動
源 因 して い る64).纏
が り と中 心 波 長 の 不 一 致 が測 定 感 度 に お よぼ す 影 響 に つ い て の 実 験 的 な 考 察 は 第4章
ってい るが、
の広
にお いて行 な
こ こ で は は じ め に理 論 的 な 考 察 を加 え る。.一
吸 光 係 数K(〃)の
形 状 は 、 本 来 は ガ ウ ス 波 形 と ロ ー レ ン ヅ 波 形 の 重 畳 し たVoigt波
示 す が 、 取 り扱 い を 簡 単 に す る た め 、 図.3.4に 示 す よ うに 中 心 周 波 数0・
半 値 幅dYの
形を
三 角 波形 と
仮 定 す る。 一 方 、 分 析 線 は 自 己 吸 収 に よ っ て 尖 端 が 平 担 に な る こ と が 多 い た め 、 強 度Io,幅
a〃(a〈1)の
矩 形 と 仮 定 し た。 ま た 両 者 の 中心 波 長 の 不 一 致 を あ ら わ す パ ラ メー タ と して 分 割 比
p(0≦p≦1)を
導 入 す る。 こ の 時 、 フ レー ム の 吸 光 係 数K(レ)、
へ の 入 射 光 量S。
・ フ レ ー ム透 過 後 の光 量Sは
レ
分 析 線 強 度 波 形1(y)、
そ れ ぞ れ(3・4)∼(3・7)式
で あ ら わ さ れ る・
・(Y>={K°
0(1--dv):1:1;::(34)
1-{:°::∵1∴
.(35)
So=1padY
(3.6)
・-II(y)・-K(Y)dv(3.・)
-75一
フ レー ム
た だ し 、 計 算 の 都 合 上 、 フ レ ー ム の 吸 光 層 の 厚 さ は1と
(3.8)式
し た 。 し た が っ て フ レ ー ム の 吸 光 度Aは
と な る。
A=1・Sog
S=0.43430。
こr_.でpを
。-1。(・paK°+e!l-・)・Kし
・)〕(38)
aKp
変 数 と し た 揚 合 、 吸 光 度 が 最 大 と な る のgyp=05の
時 で あ る。 こ の こ と は 、 吸 光 線
と 分 析 線 の 中心 波 長 の ず れ が 大 き くな る に し た が っ て 測 定 感 度 が 低 下 す る こ と を 意 味 す る。 次 に、
1.5を(3.8)式
に 代 入 し 、(adYKo/2)に
関 し て テ ー ラ ー 展 開 を 行 な う と(3.9)式
を得
る。
、(・dYK・)、(a"K°)2
A=0.3434〔Ko‐ln(・+
、1+、1+…
この 式 か ら分 析 線 幅adYが
・・う 〕(3.・)
零 の 時 、 吸 光 度 と極 大 吸 光 係 数Koが
比 例 し、 検 量 線 は 良好 な 直 線
霧
簾 麓戳 騾
が 大 き くな る に従 って 、 検 量 線 は
に(3.9)式
は 示 して い る 。 この
よ うに 分 析 線 幅 が 広 がh,か
つ吸
光 線 中 心 波 長 との ず れ が 大 き い ほ
ど湾 曲 の 度 合 が 大 き く左 る と い う
結 果 が得 られた 。
図a4吸
3.3.ホ
HCLパ
光 線 と分 析 線
ロ カ ソ ー ドラ ン プ 駆 動 回 路
ルス 駆 動 法 は 、 繰 り返 し 周 波 数1kHz、
に よ っ てHCLを
幅20μsec、
瞬 間 的 に 放 電 さ せ るガ 式 で あ る 。 図3.5に
尖 頭 値 数 百mAの
パ ルス 電流
ラ ン プ駆 動 回 路 を 示 す 。
こ こ で は パ ル ス 放 電 用 ス イ ッチ ン グ素 子 と し て ビー ム 出 力 管6DQ5を
使 用 し て い る。 パ ル ス 放
電 は ラ ィ プ の ア ノ ー ド ・カ ソ ー ド間 に放 電 開 始 電 圧 以 上 の高 い パ ル ス 電 圧 を加 えて 行 左 う こ とが で
き る が 、 放 電 の 過 渡 特 性 、 発 光 の ジタ ー 、 齢 よ び安 定 性 を考 慮 して 、 あ らか じめ2mA程
ア ス 電 流 で 放 電 さ せ て 診 き、 そ れ に パ ル ス 電 流 を重 畳 さ せ る 方 式 を採 用 し た。
-76一
度 のバ イ
バ イ アス 電 流 は、
図3.5ホ
6DQ5の
ロカ ソー ドラ ン プ駆 動 回 路
グ リ ・ ドバ イア ス 電 圧VGを
制 御 す る こ と に よ り最 大20糀Aま
で 連 続 的 に変 化 さ せる
こ.とが で き る。 し た が って 、 パ ル ス 電 圧 を 加 え 友 け れ ば 通 常 の 直 流 点 灯 用 電 源 と な る。 放 電 中 の ラ
ン プ の平 均 電 流 は ラ ン プ と 直 列 に 接 続 さ れ た 電 流 計 で 読 み 取 れ る よ うに な っ て い る。 一 方 パ ル ス 電
流 の 尖 頭 値 は 入 力 可 変 減 衰 器(2k9可
パ ル ス 電 流 値 はHCLの
変 抵 抗)に
よ って 最 大200mA一
ア ノー ドに 直 列 に 接 続 さ れ た109の
まで 任 意 に 設 定 で き るC
固定 抵抗 の 両端 の電 圧波形 をオ シ ロ
ス コ ー プ上 に表 示 し て 、 そ の 振 幅 か ら計 算 した 。
HCL駆
常 のHCLの
動 パ ル ス 電 流 の最 大 値 、aお
よ び繰 り返 し周 波 数 は 次 の 条 件 を考 慮 し て 決 定 し た 。 通
最 大 定 格 直 流 電 流 値 お よ び 実 用 電 流 値 は そ れ ぞ れ20mAお
こで ま ず 最 初 に 、 最 大 パ ル ス 電 流 は 最 大 定 格 直 流 値 の10倍
ラン プ に200mAの
μsecで
よ び10mAで
、 す な わ ち200mAと
あ る。 そ
定め た。 また
ス テ ・プ 電 流 を加 え た 時 の分 析 線 発 光 強 度 波 形 の 立 ち上 り時 間 が5∼15
あ る こ とか ら、 パ ル ス 幅 を20μsecと
繰 り返 しパ ルス 電 流 に2吼Aの
した 。 最 後 に幅20/sec.尖
頭 値200㎜Aの
バ イ ア ス 電 流 を 重 畳 さ せ た 時 の 平 均 電 流 が 実 用 電 流 値(10mA)
以 下 に な る よ う、 繰 り返 し周 波 数 は1kHzと
した。 この 条 件 の も とで は 平 均 電 流 は 高h6mAと
な る。 した が っ て 、 ラ ン プの 寿 命 が 積 算 消 費 電 力 に の み 関 係 す る と考 え る な ら ば 大 電 流 パ ルス 駆 動
を 行 な って も ラ ン プ の 寿 命 を損 左 うこ と に は 左 らな い と思 わ れ る が ・ 十 分 な 結 論 は ま だ 得 られ て い
ない 。
-77一
3.4.測
HCLは
定 系
繰 り返 し周 波 数1kHzで
パ ル ス 放 電 さ れ る の で 、 そ の 過 渡 的 発 光 特 性 の 測 定 に はSN
比 の 優 れ た サ ン プ リン グ測 光 の 手 法 を用 い る こ と が で き る。 パ ル ス 駆 動 さ れ たHCLの
パ ル ス発 光
強 度 波 形 左 ら び に ス ペ ク トル の 時 間 変 化 の 測 定 に は ア ナ ロ グ ス イ ・チ を 用 い た ア ナ ロ グ方 式 の サ ン
プ リ ン ク型 時 間 分 解 測 光 装 置 を 、 ま た フ ァブ リペ ロ 干 渉 計 に よ る分 析 線 プ ロ フ ィ ル の 測 定 で は 検 知
器 へ の 入 射 光 量 が 激 減 す る た め 、 光 子 計 数 方 式 の サ ン プ リ ン グ型 時 間 分 解 測 光 装 置 を 用 い た 。
3。4。1.測 光 光 学 系
モ ノ ク ロ メmと
し て は1200本/翩
1型 な ら び に1440本/翩
はHCLの
の 回 折 格 子 を持 つ 逆 線 分 散16.6/髪/砌
の 回折 格 子 を持 つ 逆 線 分 散20べ/砌
の 日立139型
の 島 津MAFを用 い た。 前老
発 光 ス ペ ク トル 測 定 用 と し て ア ナ ロ グ 方 式 の 測 光 装 置 と結 合 し て0.25嫁
のス ペク ト
ル ス リ ッ ト幅 で 用 い 、 ま た 後 老 は フ ァ ブt)ペ ロ 干 渉 計 の前 置 分 散 用 モ ノ ク ロ メー タ と し て 使 用 し
て い る。 図3.6に
図 を 、 ま た 図3.7に
光 子 計 数 方 式 の 測 光 装 置 と組 み 合 わ せ た フ ァ ブ リペ ロ 干 渉 計 の 光 学 系 ブ ロ ッ ク
は フ ァ ブ リペ ロ干 渉 計 の 光 学 系 配 置 の 写 真 を示 す 。
図3・6フ
ァブ リペ ロ干 渉 計 と結 合 した 光子 計 数 方式
時 間分 解 分光 測 光 装置 の構成
一78一
・C・M°N°CHRMATOR°
一
↓
工F.P.NTERFER。METERPINHOLEp・M・
壷
図3.7フ
壷
母
ァブ リペ ロ 干 渉 計 光 学 系
フ ァブ リペ ロ干 渉 計 は 、 エ タ ロ ン有 効 径40㎜
-100型
、 面 間 隔9mm、
気 圧 走 査 方 式 、の 日本 光 学FIP
で あ る。 干 渉 計 内 の 気 圧 は ロ ー タ リー ポ ン プ(日 立4VP℃3型)で
ま で 排 気 し た 後、 り一 ク バ ル ブ に よ って 大 気 圧 ま で 約15分
圧 力 変 換 器(共
和 電 業PG'2KU型)に
ダ のX軸
へ 入 力 して い る。 図3.8に
900㎜
、 長 さ3mの
よ って 電 圧 に変 換 し、 波 長 走 査 信 号 と してXYレ
圧 力 ・電 圧 変 換 回 路 を 示 す 。 な お 、 光 学 系 全 体 は300呶
み ぞ 型 鋼 材 の上 に 固 定 した 重 さ 約200kgの
長分 解能
る高波 長 分解 測光 装置 の波
は フ ィネ スFを
65)
い て評 価 す るこ とがで きる
。
Fは フ ァ ブ9ペ
ロ干 渉 計 の
自 由 ス ペ ク トル域dλ
と最
小 分 解半 値 波長 幅 δλとを
用 い て(3.10)式
で定義
さ れ る量 で あ る。
図3・8圧
一?9一
コー
×
光 学 ベ ン チ に配 列 し、 外 部
フ ア ブ リペ ロ干 渉 計 に よ
長 分鯱
ほ ぼo.1Torr
間 で復 圧 さ せてい るが、 この気 圧 を
の 振 動 に よ る 悪 影 響 か ら回 避 し て い る。
3.4.2.波
ジ
力 ・電 圧 変 換 回 路
F-4λ/δ
こ の う ちdλ
λ(310)
は エ タ ロ ン の 面 間 隔tEと
入 射 波 長 λ に よ って(3・11)式
の 関 係 の も とに 一 意
的 に 決 定 さ れ る。
・ え 一
λ2/・
・E
した が って 測 定 シス テ ム と し て はFが
い てFは
.(3.・
・)
大 きい ほ ど高 波 長 分 解 で あ る とい え る 。 実 際 の 測 光 に 診
、 鏡 面 の 反 射 率 、 鏡 面 の 平 行 平 面 度 、 出 ロ ピ ン ホ ー ル径 に よ って 制 限 を 受 け る。 こ の う
ち測 定 者 寮 操 作 で きる 量 は平 行 度 と ピン ホ ー ル 径 の2つ
で あ る が 、 特 に 前 者 の調 整 の 良 否 は 分 解
能 に 多 大 の 影 響 を 与 え る の で 細 心 の 注 意 を要 す る。 ま た ピ ン ホ ー ル径 の 大 小 は 光 束 利 用 率 に 関 わ
る の で、SN比
を 考 慮 した 上 で 決 定 し左 け れ ば な ら な い 。 このFIP-100型
渉 計 のHe-Neレ
ー ザ ー 光 波 長(6328且)に
フ ァブqペ
ロ干
対 す る 自 由 ス ペ ク トル 域 は220mλ(Q56
じ
c糀一1)で
あh.出
口 直 径 を10㎜
ロ ピ ン ホ ー ル 直径 を3㎜
に した 場 合 の フ ィネ ス は11と
程 度 に しぼ る こ と に よ り ま た ピ ン ホ ー ル径 を2伽
左 る が、 干 渉 計 の 開
に ま で 縮 小 す る こ と に よ り、 フ
ィネ ス を こ れ よ り もさ らに 大 き くす る こ とが で き る。 上 記 方 策 を実 施 した 時 に起 る 検 知 器 へ の 入
射光 量減少 の問題 は、 光子 計 数 方式 を
驚1羨1驚畿
1ここ
瓣 謙 繍 謙:
る 制 限 か ら達 成 困 難 で あ る と思 わ れ る。
3.4.3.ア
ナ ロ グ方 式 サ ン フ リン ク型 時
煮三1鰈1飜
第1章
で 詳 述 し た ダ イ ノ ー ド制 御 法 が
右 効 で あ る。 し か しパ ル ス 駆 動HCL
に 関 して は ・ 発 光 持 続 時 間 が20,LCsec図3.爭He刷Neレ
ーザ ー 光 に 対 す る
干渉 波 形
一80一
と比 較 的 長 く、 ま た 立 ち 上 り時 間 もそ れ ほ ど 急峻 で左 い の で 分.m間
は1μsec程
お よ び 回 路 を 左 るべ く簡 単 に す る こ と な どを 考 慮 し て 、 こ こ で は 市 販 のMOSア
(ア ナ ロ グ デ バ イスAD7510J型)を
図3.10ア
サ ン プ1,ン グ 素子 と して 用 い た2チ
度 で よい こ と、
ナ ロ グス イ ッチ
ャネ ル の ダ ブ ル ボ ッ
ナ ロ グ方 式 サ ン プ リン グ型 時 間 分 解 測 光 装 置
ク ス カ ー 積 分 器 を 試 作 し た。 図
3。10が
測 光 系 全 体 の ブ ロ ック
図 で あ り、 ま た 図3.11は
測光
系 各 部 の タ イ ミ ン グ図 で あ る。
さて、 電 気 系の主 要部 分 は基本
的 に は タ イ ミン グ 制 御 回路 とボ
ック ス カ ー 積 分 器 で あ る が 、 こ
の う ち タ イ,ン
グ禰
回路 朧
図3・1塒
間1:n測
光 装 置 の タ イ ミン グ 図
i章 で 述 べ た もの を そ の ま ま 使
用 し た。 一 方 、 光 電 流 信 号 処 理
鵯曩二
羅∵坡
カ ー 積 分 器 の 前 置 増 幅 器 と して
は 、 帯 域20MHzの
増 幅 器(テ
を利 得20倍
高速 演算
レダ イ ン1322型)
で 使 用 し て い る。
図3.12ダ
一81一
ブ ル ボ ッ クス カ ー 積 分 器
本 装 置 の ボ 。ク ス カ ー 積 分 器 は ド リフ ト補 償 型 の ダ ブ ル ボ ・ク ス カ ー 積 分 器 と して 構 成 さ れ て
い る が 、 この 方 式 は 光 電 子 増 倍 管 の 暗 電 流 や シ ョ ッ ト雑 音 電 流 に と もな う雑 音 成 分 な らび に 増 幅
器 ドリ フ ト成 分 左 ど を 除 去 し、 高 いSN比
が 得 られ る と こ ろ に 特 長 が あ る。 した が っ て 前 置 増 幅
器 の オ フ セ 憂 ト調 整 な ど も簡 略 化 で き る 。 こ の 目的 の た め ア ナ ロ グス イ ッチ は 、HCL発
周 期 中2回
動 作 す る。 ま ずHCLの
ア ナ ロ グ ス イ 。チ がts時
し、 次 の 同鯲
一2が 同 様 にt
発 光 と 同 期 し て サ ン ブ ル ホ ー ル ド回 路C1〕(S/H-1)の
間(1μsec)だ
で ホ ー ル ドす る.さ
け 閉 じ、 雑 音 成 分 を 含 む 過 渡 信 号 光 電 流 を サ ン プ ル
らに ・ ン プ放 電 休 止 中 の 時 刻T〆2(5・
・μ・ec)にS畑
s時 間 だ け 動 作 し て 雑 音 成 分 をサ ン プ ル し、 次 の 周 期 ま で ホ ー ル ドす る。 こ れ ら
の サ ン プ ル ホ ー ル ド回 路 出 力 信 号 はCR積
型)に
光 の1
分 回路 通 過 後 、 次 段 の 差 動 増 幅 器(東
亜 電 波PM-18
加 え られ 信 号 成 分 の み が 出 力 さ れ る。 さ ら に こ の 出 力 信 号 は 後 続 の フ ィル タ で平 均 化 さ れ、
レ コ ー ダ のY軸
HCLの
に 入 力 さ れ る。
パ ル ス 発 光 強 度 波 形 は 、XYレ
コ ー ダ のX軸
ヘ サ ン プ0ン
グ パ ル ス(1)の 遅 延 時 間tに
比 例 し た 電 圧 信 号 を加 え る こ と に よ って 記 録 さ れ る。 一 方 、 遅 延 時 間 を 特 定 の時 刻 に 固定 し、 モ
ノ ク ロ メ ー タ の波 長 走 査 を レ コ ー ダ のX軸 走 査 と同 期 さ 巷 れ ば 時 間 分 解 ス ペ ク トル が ヂ ャ ー ト紙
上 に 記 録 で き る。 な お 、 以 下 特 に こ だ わ り の な い 限h、
前 縁 に 対 す る サ ン プUン
a4.4.光
サ ン プqン
グ時 刻 丁 は ラ ン プ駆 動 パ ル ス
グ パ ル ス 発 生 時 刻 を 指 す もの で あ る こ と を 明記 し てお く。
子 計 数 方 式 サ ン プ リ ン グ型 時 間 分 解 測 光 装 置
フ ァブ リペ ロ 干 渉 計 に よ る輝 線 プ ロ フ ィル の 時 間 変 化 の 測 定 に お い て は 信 号 光 量 が 極 め て少 な
くな り、 ア ナ ロ グ 的 な 測 定 が 困 難 とな る。 そ こ で本 実 験 で は光 子 計 数 を 基 本 と した サ ン プ リ ン グ
型 時 間 分 解 測 光 装 置 を 試 作 して 使 用 し た 。 華 置 自体 は 、 信 号 の 検 出 処 理 が デ ィ ジ タ ル 的 に な さ れ
る点 を除 い て は 原 理 的 に前 記 の ア ナ ロ グ 方 式 と異 な る と こ ろ は な い 。 第2章
で触 れ た 分 類 法 に 従
え ぱ 、 シ ン グ ル チ ャネ ル ・デ ィ ジタ ル サ ン ブ リン グ 方 式 で あ る とい え る 。
㈹
装 置 の 概要
装 置 構 成 の ブ ロ ック 図 は す で に 図3.6に
示 し た 。 光 電 子 増 倍 管 か ら の 出 力 信 号 パ ルス 列 は 前
置 増 幅 器 で 増 幅 後 、 前 縁 型 波 高 弁 別 器 に 導 か れ る。 こ こ で 暗 雑 音 パ ル ス が 除 去 さ れ る と 同 時 に
光 電 子 パ ル ス が 幅8nsecの
矩 形パ ルー
ス に 波 形 整 形 さ れ る。 整 形 さ れ た パ ル ス 列 は 加 減 算 計 数
回 路 で計 数 さ れ る が 、 加 算 、 減 算 の切 り換 え は こ の 計 数 回 路 自体 が デ ィ ジ タ ル ダ ブ ル ボ ・ク ス
カ ー 積 分 器 と し て 動 作 す る よ うに 行 な わ れ る。 す な わ ち、HCLの
ブ リン グ ゲーhパ
ル ス に よ って 加 算 ゲ ー ト(UPゲ
サ ン
ー ト)を 開 き、 ま ず 〔光 電 子 パ ル ス 十 雑 音
パ ル ス 〕を 計 数 す る。 次 に ラ ン プ の 点 灯 休止 中 に 同 じ く幅2μsecの
一82一
点 灯 中、 幅2Rsecの
ゲ ー トパ ル ス に ょ って 減
算 ゲー ト(DOWNゲ
ー ト)を 開 き、 雑 音 パ ル ス を 加 算 計 数 値 か ら減 算 計 数 す る。 こ の 差計 数
値 は 直 ち にD/A変
換 さ れ、 さ らに 能 動 フ ィル タ を 介 し て レ コ ー ダ に 入 力 さ れ る。 こ の よ うな
加 減 算 ゲー ト方 式 に よ り、 背 景 光 や あ る い は弁 別 器 で除 去 し きれ ず に残 留 し た 暗 雑 音 パ ル ス な
どの 雑 音 成 分 が 効 果 的 に 除 去 さ れ る の で、 特 殊 な光 子 計 数 用 の 光 電 子 増 倍 管 の 使 用 や 光 電 子 増
倍 管 の 冷 却 は 必 ず し も必 要 と しな い 。
一 般 に 光 子 計 数 装 置 で は 入 射 光 量 が あ る 程 度 増 大 す る と光 電 子 パ イル ア ッ プ効 果 に ょ って 測
定 値 に誤 差 を 生 じ る の で、 本 実 験 で は 光 量 に 応 じて ス イ ッチ で 前 述 の ア ナ ロ グ方 式 ボ 。ク ス カ
ー 積 分 器 に 随 時 切 り換 え られ る よ うに して あ る。 こ の 場 合 、 光 電 子 増 倍 管(1P28)は
その
ま ま で 、 信 号 処 理 系 の み が切 り換 え られ る 。 ま た定 常 光 を 測 定 す る 場 合 、 光 束 チ ョ ッパ と同 期
して 加 瀕
ゲ ー 、を 開 閉 す れ ばSSPC斌66)(同
騨
畦
電 子 計3'式)に
よ る測 光 が 実
現 で き る こ と も本 装 置 の 特 長 の 一 つ で あ る。
⑧
装 置 の詳細
波 高 弁 別 回路 は 基 本的 には 第2章
で 述 べ た もの と同 じ で あ る が・ 測 定 対 象 が マ イ ク ロ秒 の オ
ー ダ ー で あ り、 そ れ ほ ど高 速 性 は 要 求 さ れ な い た め 、 トン ネ ル ダ イオ ー ド単 安 定 出 力 パ ル ス 幅
を8nsecと
し た 。 ま た 前 置 増 幅 器 に は 帯 域40MHz、
サ スSN7510L型)を
あ る。 波 高
示 さ れ た タイ ミン グ に し た が い 、可 逆 カ ウ ン タ(テ
キサス
して 示 さ れて い る。 これ ら の 図 か ら もわ か る よ うに 本 装 置 で はSWI・
切 り換 え に よ って 加 算
計 数 方 式 、 加 減 算 計 数 方 式(以
上 パ ル ス 幽発
光嗣
し て)あ
るい
は 直 流 光 測 光 モ ー ドな ど を選 択
で き る よ うに な っ て い る。
さて、 本測 光装 置 にお いて は
計数可 能 な光電子 パル ス列 の最
小 時 間 間 隔 は 波 高 弁 別 器 の 不 感時 間 に 等 し く20nsecで
あ る。
試 作 装 置 で は 加 減 算 ゲー ト幅 を
2μsecと
キ
よ って 加 減 算 計 数 さ れ る 。 こ の 計 数 部 本 体 の 構 成 お よび 回 路 の詳 細 は そ れ ぞ
れ 図3.14,図3.15と
SW.2の
の ビデ オ 増 帳 器(テ
使 用 して い る。 左 詮 こ の 弁 別 器 の 不 感 時 間 は20nsecで
弁 別 さ れ た信 号 パ ル ス は 図3.13に
SN74193)に
利 得100倍
し て い る た め 、1現
象 当 り の 最 大 計 数 値 は ・ μseca・a光
子誘
一83一
蠅
の ゲ ー ト タイ ミv7図
図3.14光
図3.15光
子 計 数 装 置 ゲー ト 部 の ブ ロ ック 図
子 計 数 装 置 ゲー ト部 の 詳 細
一84一
/20nsec(=iOO)と
持 た せ て8ビ
な り、 カ ゥ ン タ と し て は7ビ
ッ ト(256)を
ッ トあ れ ば よ い が、 こ こ で は 余 裕 を
用 い た 。 ゲ ー ト幅 を4μsecよ
応 じて ビ ッ ト数 を 増 や せ ば よ い。 カ ゥ ン タ の 計 数 値 は1サ
り も大 き くす る場 合 は 、 そ れ に
イ ク ル 終 了 毎 に レ ジス タ に格 納 さ れ
る が、 こ の よ うに して 格 納 さ れ た 計 数 値 は 直 ち に10ビ
。 トのD/A変
換 器(ア
スDAC10Z型)に
らm定
の フ ィ ル タ に よ る平 滑
よ って ア ナ ロ グ 量 に 変 換 さ れ.さ
数4秒
ナ ロ グデ バ ィ
化 処 理 を 受 け た後 、 最 終 的 に レ コー ダ に 導 か れ る。
(C1装
置 の性 能
図3.16に
本装 置 の入 射 光 量 に 対 す る 直 線 性 を 示 す 。 これ は 検 知 器 へ の 入 射 光 量 が光 源 と検
知 器 と の 間 の 距 離 の 自乗 に 反 比 例 す る こ と を利 用 して 測 定 し た 結 果 で あ る。 光 源 と し て は 小 型
タ ン グ ス テ ン電 球 を用 い 、 装 置 は 加 算 グ ー トに ょ る動 作 を さ せ た。 入 射 光 量 が 大 き くな る と 直
線 性 か ら の ず れ が大 き くな る が、 これ は パ イ ル ア ップ効 果 が 顕 著 に 表 って くる た め で あ る。
図3.16光
子計 数 装置 の直 線性
図3.17加
一85一
減 算 方式 に よる雑音 の除 去
加 減 算 計 数 方 式 に よ る雑 音 除 去 を 評 価 す る た め に 、 パ ル ス 駆 動 さ れ たNaHCLの5890
X発 光 線 プ ロ フ ィル の測 定 を微 弱 な 背 景 光 が 存 在 す る状 態 の もと で行 左 った
.O
。 図3.17が
その
結 果 で あ る が 、 こ の 測 定 結 果 か ら、 加 減 算 計 数 方 式 が 単 左 る加 算 計 数 方 式 に 比 べ てSN比
の点
で 極 め て 有 利 とな る こ とが 実 証 さ れ た 。
3,5.ホ
ロ カ ソ ー ドラ ン プ の 過 渡 発 光 分 光 特 性
HCLの
分 析 線 発 光 強 度 を1、
ラ ン プ放 電 電 流 をiと
す れ ば 両 者 の 関 係 は 次 式 で 近 似 され る67)
1=A(in十C)(3.12)
た だ し、Aお
よ びCは 正 の 定 数 、nは
整 数 で あ る。 通 常nは2以
上 の値 を とるが
組 成 元 素 や カ ソー ド形 状 で 決 ま る 臨 界電 流 値 以 上 で は 自 己吸 収 の た めnは
HCLの
大 電 流 パ ル ス 駆 動 に 齢 い て は、 実 用 電 流 値 の10倍
、 ホ ロカ ソー ド
これ よ り小 さ くな る。
以 上 の 電 流 で 瞬 間 的 に 放 電 させ る の で
大 幅 な輝 度 増 大 が 期 待 さ れ る反 面 、 線 幅 の 広 が り が懸 念 さ れ る。 ま た近 接 線 増 大 の 程 度 も問 題 と 友
る・ こ の 点 を 明 確 に す る た め ・ パ ル ス 駆 動HCLの
発 光 ス ペ ク トル お よ び 分 析 線 プ ロ フ ィル 過 渡 特
性 の 詳 細 な 測 定 を行 左 った 。
3.5.1.パ
ルス 発光 強度 波形
測 定 に 用 い た ラ ン プ の 種 類 と動 作 条 件 な ら び に測 牢 結 果 の 一 部 を ま と め て 表3 .1に 示 す 。 ラ ン
プ は い ず れ も 日立HLA-3型
表81ホ
お よ びHLA-4型(Na(1)の
み)で
あ る。
ロカ ソ ー ドラ ン プの 一 覧 とパ ル ス発 光 強 度 特 性
INTENSITY
FILLER
HCL
GAS
MAX
DC CURRENT
MAX
PULSE
(mA)
Na (1)
Na(2)
Al-Ca-Mg
Ba -Cu
Fe-Ni-Cu
3
(mA)
Ar
15
100
Ar
50
500
Ne
Ne
Ne
20
20
20
CURRENT
150
150
200
OBSERVED
LINE
(A)
-86一
RATIO
(PULSE)/(DC
10mA)
20
Na
5890.0
Al
3961.5
50
Ca
4226.7
30
Mg
2852.1
10
Ba
5535.6
on
Cu
3247.5
150
Fe
3719.9
200
4
Fe 2483.3 1
Ni
*Largecapacityしype
ENHANCE
2320.0
140
55
。
パ ル ス 電 流 値 上 限 の 決 定 方 法 は 前 述 し た が、 ここ に 示 し た上 限 値 は さ らに 安 定 性 を も考 慮 した
も の で あhNa(ll,A1-Ca-Mg,Ba-Cuの
倍 か ら50mAを
各HCLに
減 じ た値 を パ ル ス 電 流 の上 限 値 と し た 。NaHCL(2、
対 して は 最 大 定 格 電 流 値 の10
に つ い て は 、 図3.5に
し た 回 路 で は 電 流 容 量 が 不 足 す るの で専 用 の駆 動 回 路 を別 に用 い 、 バ イ ア ス 電 流 を10mAと
示
て 、 繰 り返 し周 波数500Hz,幅60/sec.最
パ ル ス 駆 動HCLの
大 値500mAの
パ ル ス 電 流 を 重 畳 させ た 。
発 光 波 形 と放 電 電 流 波 形 の代 表 例 と してNa(1)とCaに
を そ れ ぞ れ 図3。18お
図3.18NaHCLの
よ び 図3.19dz示
ついて の測定結 果
す。
パ ルス 発 光 強 度 波 形(A1と放 電 電 流 波 形(B)。 い)の点 線 レベ ル は10mA
で 同 じ ラ ン プ を 直 流 点 灯 し た 時 の 分 析 線 発 光 強 度 を あ らわ すC
図3.19A1-Ca-MgHCLのCa分
mAで
析 線 発 光 強 度 波 形 脚 と 放 電 電 流 波 形 ⑧ 。(A)の点 線 は10
同 じ ラ ン プ を 直 流 点 灯 した時 のCa分
-87一
し
析 線 発光 強 度 をあ らわす 。
両 老 と もω は パ ル ス 電 流 値 を 変 え た時 の 発 光 強 度 波 形 で あ り、 図 中 の 縦 軸 強 度 目盛 は 同一 の
HCLを10mAの
直 流 電 流 で 点 灯 した 時 の 分 析 線 発 光 強 度 に 対 す る比 を あ らわ し て い る。 ま た
(B)は上 限 パ ル ス 電 流 値 に お け る 放 電 電 流 波 形 で あ る が 、 こ こ で い う パ ル ス 電 流 値 とは 過 渡 電 流 波
形 の 平 坦 部 の 波 高 値 の こ と で あ る。 放 電 開 始 部 に は い ず れ も管 内 の 希 ガス 放 電 に よ る もの と思 わ
れ る電 流 ピー ク が 生 じ て い る 。 パ ル ス 電 流 値 を100mAと
Na分
析 線 は 放 電 開 始 後7μsecで
す る。 こ れ に 対 してCa分
し た場 合 、 図 か ら 明 ら か 左 よ うに、
強 度 が ピー ク に 達 し、 そ の 後10μsec付
近 か ら強 度 が 減少
析 線 の 強度 は 時 間 的 に 単 調 に 増 加 す る。 他 のHCLに
測 定 を行 左 った 結 果 、 表3.1に
状 に な り、NaHCL(2、
示 した 上 限 電 流 で 放 電 さ せ た 場 合 、Mg分
知 よ びBa分
析 線 はNa(11と
つ い て も同 様 の
析 線 の 強度 波形 は台形
同 じ傾 向 を、 ま た そ れ 以 外 の 分 析 線 はCa
と 同 様 の 傾 向 を 示 す こ と が わ か っ た。
この よ う に、 同 一 の ラ ン プ で あ って も分 析 線 相 互 間 で パ ル ス 発 光 波 形 が 異 友 っ て い る。 表3 .1
中 の最 右 欄 に そ れ ぞ れ 、 ラ ン プ の 上 限 電 流 で パ ル ス 駆 動 し た時 の 各 分 析 線 の ピ ー ク 発 光 強 度 を10
・mA(実
用 電 流)で
直 流 点 灯 し た 時 の 発 光 強 度 との 比 で示 した 。 た だ し、 大 容 量 型 のNaHCL
(2)に つ い て は 直 流 放 電 電 流30mAの
式 の 係 数nは1以
時 と 比 較 した 。 こ の 表 か らNa(2)とMgt関
下 、 他 の 分 析 線 では1以
し て は(3,12)
上 の 値 を と る こ とが わ か る 。 しか しい ず れ も2を 越 え
る こ と が な い の は、 臨 界 電 流 を 越 え て 自 己 吸収 の 影 響 が 大 き くあ ら わ れ て い る た め と 思 わ れ る。
図3.20NaHCL(1め
パ ルス 発光 強度
波 形 。 図3.18に
ス 電 流 が2倍
図3.2iNaHCL(2)の
対 して バ イ ア
パ ルス 発 光 強度 波 形
のバ イ アス電 流依 存性
に な っ て い る。
-88一
次 に 発 光 強 度 の バ イ ア ス電 流 に対 す る依 存 性 に つ い て 測 定 し た。 図3・20はNaHCL(1)に
し て 、 先 ほ ど の 発 光 波 形 測 定 の 際 の バ イ ア ス 電 流(2mA)を2倍(4.mA)に
定 した 発 光 波 形 で あ る。 ま た 図3.21に
はNaHCL(2、
対
増 加 して 測
の バ イ ア ス 電 流 を0か
ら15mA'ま
で4
段 階 に 変 化 さ せ た 場 合 の 過 渡 発 光 波 形 が 示 さ れ て い る。
以上 の 測 定 結 果 か らわ か る よ うに、NaHCL(1、
は ほ と ん ど変 化 し な い の に 対 し、Na(2、
い る。 通 常 の 容 量 のHCLに
で は バ イア ス 電 流 に ょ っ τ 強 度 な らび に 波 形
で は バ イ ア ス 電 流 の 変 化 に 対 して 敏 感 に 強 度 が 反 応 し て
対 す る同 様 な 測 定 の 鯖 果 、 傾 向 は い ず れ もNaHCL(11と
同 じであ
る こ とが わ か っ た 。 し た が って バ イア ス 電 流 に対 す る 発 光 強 度 の 大 きな 依 存 特 性 は 大 容 量 型 の
NaHCL(2、
特 有 の 性 質 で あ る と思 わ れ る 。 そ れ ゆ え 一 般 に は バ イ ア ス 電 流 値 に 関 して は 数mA
程 度 の 範 囲 で 適 当 な 値 を選 ん で も さ しつ か え な いb
3.5.2.安
定時間
分 析 線 強 度 が ラ ン プ 点 灯 開 始 の 時 点 よ り安 定 す る ま で の変 位 を ド リフ ト、 そ の 時 間 を 安 定 時 間r
と い う。 安 定 時 間 は 陰 極 内 面 か らの 発 生 原 子 数(し
た が って 電 流 密 度)と
陰 極 空 間体 積 に南係す
る 。 中空 陰 極 内径 の 小 さ な もの ほ ど発 生 原 子 数 が 多 く、 空 間 体 積 が 小 さ い の で 、 ド リ フ トは 小 さ
くま た 安 定 時 間 は 短 か くな る。 π 般 に は 安 定 時 間 に 数 十 分 を要 す る が 、 低 融 点 金 属 の 場 合 は ジ ュ
ー ル熱 に よ っ て 発 生 す る 蒸 気 原 子 が重 畳 す る の で安 定 時 間 は 高 融 点 の もの よ り長Y'C安
少 しで も短 縮 す る た め、 市 販 の 原 子 吸 光 分 析 装 置 で は 分 析 開 始 のm間
定時 間 を
程 度 以 前 か ら数mAの
電
流 で ラ ン プ を予 備 放 電 さ せ て い る。 複 光 東 方 式 を 採 用 す れ ば 、 見 か け 上 ラン プ 発 光 強 度 は 速 や か
に安 定 す るが 、 実 際 に は 分 析 線 プ ロ フ ィ ル が時 間 的 に 変 化 して お り、 測 定 感 度 が 安 定 す る ま で の
時 間 は や は リ ラ ン プ の 安 定 時 間 に等 し く左 る。
図3.22直
流 点 灯HCLと
パ ル ス 駆 動HCLの
:・
安 定時間
パ ル ス 駆 動HCLで
は瞬 間 的 な電 流密度 が高 く
、 ま た ジ ュー ル 熱 の 発 生 も少 な い の で安 定 時 間
は 短 か く な る もの と推 察 さ れ る。 そ こで 実 際 にAl-Ca-MgHCLのCa分
析 線 を対 象に
直 流 点 灯 時 とパ ル ス 駆 動 時 に診 け る ド リ フ トの 比 較 を 行 な った 。 図3 .22が
放雷 開 始 時 か らの両
方 式 に 対 す る 発 光 強 度 の 時 間 変 化 の 記 録 で あ り、 こ の 図 か ら安 定 時 間 に 関 して 明 らか に パ ル ス 方
式 が優 れ て い る こ とが わ か る。
他 の ラ ン プ に 対 して も同m測
定 し た 結 果 、 パ ル ス 駆 動 方 式 で は い ず れ も10分
程 度 で安 定 状
態 に達 し、 この 点 で も 分 析 能 率 が 大 い に 改 善 さ れ る こ とが わ か っ た 。
3.5.3.時
間 分 解 ス ペ ク トル
パ ル ス 駆 動HCL¢
略 分 析線 のパ ルス発 光 波形 間 に 差が あ るの と同様
、同 一元 素 の 発光 線で あ
っ て も分 析 線 と そ れ 以 外 の ス ペ ク トル 線 の パ ル ス 発 光 波形 は 異 左 る
。 した が っ て 発 光 線相 互 の 強
度 関 係 は 瞬 間 的 に 変 化 し、 直 流 点 灯 時 と は 異 な った 様 子 を 示 す 。 そ の 例 と し て こ こ で は 発 光 線 の
ス ペ ク トル が 複 雑 なFe-Ni-Cu多
232α0λ
元 素HCLのFe分
析 線248a3盡
近 傍 の 時 間 分 解 ス ペ ク トル を そ れ ぞ れ 図3.23お
縦 軸 の 強 度 目盛 は 直 流 電 流10mAで
よび 図3 .24に
近 傍 とNi分
示 す。 な お、 図 中の
点 灯 し た時 の 分 析 線 強 度 に対 す る比 で あ ら わ し て あ る。
0
図3.23Fe分
析 線
析 線2483.3A付
ー9 .0一
近 の 時 間 分 解 ス ペ ク トル
図3.24Ni分
図325直
析 線232α0盡
流 点 灯 時 とパ ル ス 駆 動(サ
時 刻5μsec)時
のFe分
付 近 の 時 間 分 解 ス ペ ク トル
ン プ リン グ
析 線248a3べ
付近の
発 光 ス ペ ク トル の比 較
図3.`23か
ら は、Fe分
図3.26直
流 点 灯 時 と パ ル ス 駆 動(サ
リ ング 時 刻5μsec)時
のNi分
ンプ
析線
゜232QOA付
近 の 発 光 ス ペ ク トル の比 較
析 線 に比 べFe中
り時 間 が 大 き く、 放 電 開 始 後5μsecの
性 線2484.2嫁
とFeイ
オ ン線24864双
の立 ち上
時 点 で は 、 ま だ こ れ ら の 近 接 線 が ほ と ん ど 成 長 して い な
一91一
い こ と が わ か る。 ま たNiに
原 子 線232L4孟
つ い て も同 様 で 、5μsecの
時 点 で はNiイ
オ ン線231GOA,Ni
は ほ と ん ど増 大 し て い な い こ と が 時 間 分 解 ス ペ ク トル 上 か らわ か る。
次 に 直 流 点 灯 の場 合 の ス ペ ク トル との 比 較 を行 な っ た 。 図3.25は
た 場 合 と パ ル ス 放 電 開 始 後5μsecの
た も の で あ る。 ま た 図3.26は
時 点 に お け るFe分
同 じ くNi分
直 流 電 流10mAで
点灯 し
析 線 近 傍 の 詳 細 な ス ペ ク トル を比 較 し
析 線 近 傍 の ス ペ ク トル の 比 較 で あ る。 こ れ らの 図 か
ら もパ ル ス 駆 動 に ょ っ て 近 接 線 が 著 し く抑 制 さ れ て い る こ と が は っ き り とわ か る。 し た が って 、
原 子 吸 光 分 析 時 に 低 分 解 状 態 で モ ノ ク ロ メー タ が 使 用 で き る こ とに な り、 分 析 装 置 の簡 素 化 が は
か れ る う え、 ス ペ ク トル ス リ 。 ト幅 の 拡 大 に と も左 う光 束 利 用 率 の 増 大 に よ ってSN比
導 かれ る な ど・HCLパ
の向上 が
ルス 駆 動 法 に よ っ て も た らさ れ る効 果 は 極 め て 大 きい と い え るC
の
次 に封 入 ガス 発 光 線 が 分 析 線 に 近 接 し て 現 わ れ る 場 合 に つ い て 述 べ るcた
3719.9べ
に 対 して2本
のNe発
光 線3713.3盡,3727.3が
と え ばFe分
近 接 して い る。Ne発
析線
光 線 とFe
分 析 線 の 発 光 強 度 の 電 流 依 存 性 をみ た場 合 、 前 者 は 中 空 陰 極 空 間 の 気 体 原 子 密 度 が 常 に ほ ぼ 一 定
で あ る の で 、 発 光 強 度 が 放 電 電 流 に関 して 比 例 関 係 に あ る の に 対 し て、 後 老 は 前 述 の よ うに(3.
12)式
に 齢 け る係 数nが1以
μsecに
齢 け るス ペ ク トル を図3.27に
'大
してい る のに対 し
、Ne発
上 に な る 。 直 流 電 流10mAで
点 灯 し た 時 とパ ル ス 放 電 開 始 後20
示 す が 、 パ ル ス 駆 動 に よ りFe発
光 強 度 が200倍
に増
光 強 度 は 大 き くは 増 大 して お らず 、 相 対 的 に抑 制 され てい る こ とが
わ か る。
こ の よ うに 封 入 ガス 発 光 線 が
相対 的 に抑 制 さ れ るので発 光ス
ペ ク トル 間 の 干 渉 が な く宏h.
篤蛸欝濃駿
る を 得 な か っ た い ζ つ か の ラン
し
三
窯灘 蝉
3.5.4.分
析 線 プ ロ フ ィル
す で に 触 れ た よ うに ・ 大 電 流
図3 .27直
流 点 灯 時 とパ ル ス 駆 動(サ
パ ル ス 駆 動 に よ って 分 析 線 の 発
グ 時 刻20μsec)時
光 強 度 を 著 し く増 大 さ せ
37199べ
て もそ
一92一
のFe分
ン プ リン
析線
付 近 の発光 一
ス ペ ク トル の 比 較
の た め に 線 幅 が 広 が った リ ピー ク 波 長 が 移 動 し た の で は 必 ず し も感 度 向 上 に つ 攻 が らな い 。 原 子
吸 光 分 析 の 性 能 はHGLの
分 析 線 プ ロ フ ィル で 決 定 さ れ る と 言 って も過 言 で は な い 。
そ こ で こ の 点 を 明 ら か に す る た め分 析 線 プ ロ フ ィ ル の時 間 変 化 を 光 子 計 数 方 式 時 間 分 解 測 光 装
置 と フ ァ ブ リペ ロ干 渉 計 に よ っ て 詳 細 に 測 定 し た 。 干 渉 計 の 反 射 フ ィネ ネ を考 慮 し た 場 合 、 測 定
対 象は 比 較 的 長 波 長 の も の が 望 ま し い 。 そ こ で 本 実 験 で は 被 測 定 分 析 線 と し て 、Na:'IEA,
Ba553敦6埋,C・a42267Aの3つ
を 選 出 し た 。 この うちNaとCaは
特 に 自 己 吸収 が生 じ
や す い と さ れ て い る 元 素 の 代 表 的 な もの で あ る 。 玄ず は じ め に 図a28にNaHCL(1)の
解 プ ロ フ ィル ム、 於 よび そ の比 較 の た め に 直 流10mA点
時 間分
灯 時 の プ ロ フ ィル を 同 時 に 示 す 。 な 変
図 中 に示 した 線 幅 は 記 録 波 形 か ら求 め た測 定 値 で あ る。
図3.28NaHCL(1)の
時 間 分 解 分 析 線 プ ロ フ ィ ル と 直 流 点 灯 時 の プ ロ フ ィル
線 幅 が 最 小 と な る の は 放 電 開 始 後5.∼10μsecで
あ る が 、 こ れ は 図3.18に
ー ク に 達 す る時 刻 と一 致 し てい る 。 過 渡 発 光 強 度 波 形(図3.18)を
おい て強度 が ピ
み る と時 間 の 経 過 と と もに
強 度 が 減 少 す る が 、 こ の 原 因 が 自 己 吸 収 に よ る もの で あ る こ と は15μsec以
降顕 著 に あ らわ れ
る 自 己 反 転 現 象 に よ っ七 立 証 さ れ る。 も う少 し詳 し くプ ロ フ ィル を 比 較 す る た め に大 容 量 型 の
NaHCL(2、
に つ い て 様 々 な 放 電 電 流 に 対 す る プ ロ フ ィル を測 定 し た。 最 初 に 直 流 点 灯 時 の プA
フ ィル を図3.29に
示 す。
噛
一93一
こ こ で は10mAと20
mAの
もの に 対 し て は 縦 軸
ス ケ ー ル を3倍
に 拡 大 して
『
記 録 して あ る゜ こ の図 力:ら
鑽讖;籌
分 解 プ ロ フ ィル を 図3.30
に 示 す が、 こ こ で は パ ルス
電 流 を500mAと
■し、
バ
イ アス 電 流 を5mAと10
鵬Aに
設 定 した 時 の 結 果 が
繋灘
に 示 し、 そ の 時 の 発 光 強 度
灘 盞1;1鸞
野
の 結 果 か らはNa'HCL(1、
の よ うな 動 的 左 プ ロ フ ィル
の 変 化 は み られ な い 。
Naと
同 様 に 測 定 し たBa
二ll灘
諜愚
ロ フ イル を 図3.31お
図3.32に
・
よび
示 す が、 こ れ ら
の 元 素 の プ ロ フ ィル の 動 的
変 化 はNa(2め
場 合 よ りも
さ ら に少 な く、 直 流 点 灯 時 に 比 べ て わ ず か に 線 幅 が 広 が る の み で・ 自 己 反 転 の 兆 候 な どは 全 く見
られない 。
以 上 か ら パ ル ス 駆 動 に よ り若 干 の 線 幅 の 増 大 を み る もの の 、 自 己 反 転 の な い 良好 な 形 状 の 高 輝
一94山
図3.31Ba分
析 線 の時 間 分 解 プ ロ フ ィル と直 流 点 灯 時 の プ ロ フ ィル
度 分 析 線 が 得 られ る こ と が わ か った 。 線 幅 に 関 し て 以 上 の測 定 結 果 を'まとめ る と表3.2の
な るCた
よ うに
だ し真 の 線幅 を 求 め る に は 表 中 の 値 に 対 し て装 置 関 数 の 補 正 を要 す る。
パ ル ス 駆 動HCLに
対 して は パ ル ス 電 界 に よ る シ ュ タル ク シ フ ト と過 渡 的 に 発 生 す る 金 属 蒸 気
に よ る ロ ー レ ン ツシ フ トが 生 ず る 可能 性 が あ り、 実 用 性 を考 え る 場 合、 こ の 点 塗 明 確 に す る必 要
が あ ・・ そ ・圃
定対 象 として ・ ・とC・ 腿
び・ パ ・
・ス騒
一95一
時㈱
略
発光 中'心漲
シフ トの
—
表a2各
元 素 の分 析 線 幅(測
定 値)。
の 線 幅 を 記 入 。 た だ しNa(2)で
OBSERVED
パ ル ス 駆 動 に対 し て は放 電 開 始 後10
は20,usecの
LINE
WIDTH
,C4sec
線 幅 を記入
AND
DRIVE
CURRENT
ANALYTE
WIDTH
--
DC
(CURliENF)-
51mR
Na(1)
5890
0
. OA
(10mA)
Na(2)
5890.0R
(30mA)
26mR
(15mA)
Ba
Ca
69mR
(100mA)
60mR
5535.6A
4
0
WIDTH
(CURRENT)
PULSED
-
226.7A
60mA
(500mA)
--
18A
(15mA)
32mA
(150mA)
26mY1
(150mA)
・
零sa町)lingtime:20etcsec
測 定 を行 左 っ た 。 こ こ でNaとCaを
選 ん だ 理 由 は、NaHCL(1】
に顕 著 な 自 己 反 転 が 生 ず る と
こ ろ か ら 見 て 多 量 の 金属 蒸 気 が 発 生 して 澄 り、 そ の た め ロー レ ン ツ シ フ トが 起 り や す く、Na
HCL(2、
に 対 し て は 大 電 流 放 電 の た め シ ュタ ル ク シ フ トが生 じや す い ζ予 想 さ れ た か ら で あ る。
ま たCaは
パ ル ス 駆 動 に よ る 線 幅 の 増 大 率 が 一 番 大 き か った か らで あ る。
波 長 シ フ ト測 定 の た め 、HCLか
らの 測 定 光 と同 時 にHe-Neレ
ー ザ ー 光(6328且)を
フ
ァブ リペ ロ干 渉 計 へ 入 射 し・ レー サ ー 光 に よ る 干 渉 ピー ク を 波 長 マ ー カ ー と し て 用 い た 。 そ の 際 、
ダ ブ ル ボ ック ス カ ー 積 分 方 式 あ るい は 加 減 算 ゲー ト方 式 で は レー ザ ー 光 に よ る 直 流 信 号 成 分 が 消
去 さ れ る の で ・ サ ン ブ ル ホ ー ル ド回 路 〔1〕
行 な った 。 図3.33は10mAで
の み 、 あ るい は 加 算 ゲ ー トの み を 動 作 さ せ て 測 定 を
直 流 点 灯 し たNaHCL(11の
る が 、 気 圧 走 査 を行 左 うに つ れ てNa発
分 析 線 プ ロ フ ィル の記 録 波 形 で あ
光 線 の 干 渉 波 形 と レー サ ー 光 に よ る 干 渉 波 形 と が 次 第 に
分 離 さ れ て ゆ く過 程 が わ か る。 こ の よ うな 方 法 を と る ζ と に よh.常
ら れ 、 高 精 度 の 測 定 の遂 行 が可 能 とな る。 左詮 、 本 測 定 で は 図3.33中
番 目 のNaピ
NaHCL(1、
して10mAの
に正 確 左 相 対 波 長 基 準 が 得
に も表 示 し た よ う に、8
ー ク の 両 側 に あ ら わ れ る レ ー サ ー 干 渉 ピー ク を波 長 マ ー カ ー と し て 使 用 し た 。
に対 す る 波 長 シ フ ト測 定 の 結 果 を ま と め て 図3.34に
示す。 ここで は波長 基準 と
直 流 点 灯 時 の もの を採 用 し て い るが 、 パ ル ス 駆 動 時 に18μsecの
一96一
時 点 でわ ずか
図3.33レ
に6語
ー ザ ー 光 とNa光
の 干 渉 ピー ク の 分 離 過 程
の 長 波 長 側 への シフ トが翻1
灘釁㍍鰤驚鸞
HCL(2、
とCaに
つ い て も同 様 に測
定 を行 な っ た が 、 こ れ らに は パ ル ス
駆 動 に お け る 中心 波 長 シ フ トは い か
な る時 点 に お い て も 見 い だ さ れ 左 か
った 。
以 上 パ ル ス 動 作HCLの
過 渡発 光
特 性 につ いて 測定 結果 を中心 に述 べ
て きた。 パ ル ス 法 特 有 の 高 輝 度 特 性
は 、 原子 吸光 分 析 に 際 し、SN比
の
改 善 な ど の 性 能 向上 の 期 待 を 十 分 に
抱 だ か せ る に足 る も の と思 わ れ る。
なお、 パ ルー
ス 動 作 に よ る ラ ン プの 寿
命 に つ い て は 実 用 上 大 い に 関 心 の持
た れ る と こ ろ で あ る。 本 章 か ら第5
章 に か け て述 べ られ て い る一 連 の 実
験 で は、 い ず れ の,ガ
図3・34NaHCL(1)に
に 対 して も
あ
のら
測わ
定す
・ 破繍
。
-97一
対 す る中心 波 長 シ フ ト
波 形 ω の 中心li・ を
延べ 数百 時 間の パルー
ス 使 用 が 左 さ れ た が 何 等 特 性 の 劣 下 は生 じ な か っ た。 し か し 今 後 こ の 問 題 に
関 し て は さ ら に 定 量 的 左検 討 が 必 要 で あ る。
3.6.結
言
原 子 吸光 分 析 へ の 応 用 性 を考 慮 し て 、 パ ル ス 動 作 ホ ロ カ ソ ー ドラ ン プ の 過 渡 発 光 特 性 を詳 細 に 測
定 した 。
ホ ロカ ソー ドラ ン プ の パ ル ス 駆 動 方 法 に つ い て
(1、 高 速 大 電 流 パ ル ス でh返
(21駆
し放 電 さ せ る こ と に よ り輝 度 増 大 を 図 る 方 式 で あ る。
動 電 流 は 、 繰 り返 し 周 波 数1kHz、
2mAの
幅20,[lseq尖
頭 値200mA程
度 のパルス 電 流 に
バ イ ア ス 電 流 を重 畳 さ せ た もの で あ る。 し た が って 平 均 電 流 は 高 々6mAと
な り、 一 般
的左 使用 方 法 に比 べ 消費電 力は少 ない。
測光装 置 につい て
(1)ア
ナ ロ グ方 式 の 測 光 装 置 の 分 解 時 間 は1μsecで
あ る。 本 装 置 は ダ ブ ル ボ ック ス カ ー 積 分 方 式
を採 用 す る こ と に ょ り背 景 光 や 検 出 器 雑 音 を 能 率 よ く除 去 し て い る。
(2)フ
ァ ブ リペ ロ千 渉 計 と加 減 算 ゲ ー ト方 式 光 子 計 数 装 置 を結 合 し た 極 微 弱 光 用 の 高 波 長 分 解 時 間
分 解 測 光 装 置 を試 作 し た。 本 装 置 の 波 長 分 解 能 は0.04(翅
一璽
、 時 間 分 解 能 は2μsecで
あ る。
ホ ロ カ ソー ドラ ン プ の 過 渡 発 光 特 性 に つ い て
(1)パ
ル ス 駆 動 に よ っ て 直 流 点 灯 時 に比 べ 最 高200倍
の 分 析 線 発 光 強 度 が 得 ら れ る。
(21発
光 強 度 が 安 定 す る'まで に 要 す る 時 間 は 高 々10兮
で あh,直
流 点灯 方式 に比 べて非 常 に短 か
いo'
(3、 放 電 開 始 後5μsecの
し20μsec付
時 点 で は 共 鳴 線 以 外 の 金 属 元 素 近 接 線 は ほ と ん ど成 長 し て い な い 。 しか
近 で は 近 接 線 強 度 は 著 し く増 大 す る。
(4)放
電 開 始 後20μsec付
近 で は 封 入 ガス 発 光 線 強 度 は 分 析 線 強 度 に 比 べ て 相 対 的 に 抑 制 さ れ る。
(51放
電 開 始 後10μsecま
で の 時 点 で は 線 幅 の 広 が りは 顕 著 でな い 。18μsecの
HCL(1、
(sl主
時 点 で はNa
の 自 己 反転 が 著 し く左 る 。
波 長 シ フ トに 関 して は 、NaHCL(1)に
対 し て18μsecの
時 点 で6視1羣 の 長 波 長 シ フ トが
観 測 さ れ た 以 外 、 他 の ラ ン プ につ い て シ フ トは 認 め ら れ な か っ た 。
⑦
以 上 の 結 果 か らみ て 、 原 子 吸 光 分 析 に パ ル ス 動 作HCLを
る もの と思 わ れ る。
..
応用 す れ ば分 析性 能 の向上 が な され
問 題 点 と 今 後 の 目標
(iさ
らに 様 々 な パ ル ス 駆 動 条 件 の も と で の 過 渡 発光 特 性 の詳 細 な測 定 を行 な い た い 。
(2、 本 研 究 で は ホ ロ カ ソ ー ド内 の 場 所 的 に 平 均 化 さ れ た 発 光 特 性 を測 定 し た が 、 実 際 は カ ソ ー ド中
の 各 部 分 に よ っ て 発 光 特 性 は 異 な って い る もの と推 察 さ れ る。 した が って ホ ロ カ ソ ー ド中 を 局 所
的 に測 定 し、 場 所 的 に 詳 し く過 渡 発 光 特 性 を 把 握 す る必 要 性 を 感 じ る。
..
第4章
高 速
パ ル ス 動 作
の 原 子
(高
4.1.緒
吸 光
ホ ロ カ ソ ー ド ラ ン プ
分 析
へ
の 応 用(1)
輝 度 発 光 線 に よ るSN比
の 改 善)
言
ホ ロカソー ドランプ(HCL)を
高速大電流パルスで繰 り返 し瞬間放電 させることによって もたら
され る大岬 な 瞬間 発光 強度 の増 大や 近接線 の抑制 作 用、 あ るいは分 析線 プ ロフ ィル な どの過渡 発光特
性 の 詳 細 に つ い て は 第3章
で 詳 し く述 ぺ た 。 次 の 段 階 と して 著 者 は 、 こ の 過 渡 的 な 発 光 線 の 特 徴 を 積
極 的 に 原 子 吸 光 分 析 へ 取 り入 れ 、 パ ル ス 駆 動 法 の 特 色 を 活 か し て分 析 性 能 の 向 上 を 図 る た め 、 パ ル ス
駆 動HCLと
サ ン プ リ ン グ型 測 光 装 置 を 結 合 した 新 しい 時 間 分 解 測 光 型 の 原 子 吸 光 分 析 装 置 を試 作 し
性 能 の評 価 を行 なつ た。
今 まで に も 高 速 ・・ル ス 動 作 …
硼
・・て 原 子 吸 光 蜥
絎
な 。た 報 告62)・68)、 。あ るが 、 。れ ら
は い ず れ もパ ル ス 発 光 現 象 全 体 を 検 出す る 方 式 で あ った 。 こ れ に 対 して 本 試 作 装 置 の 信 号 処 理 系 で は
パ ル ス 発 光 現 象 の うち 時 間 的 に特 定 の 領 域 の み を選 択 的 に 検 出 す る 方 式 を 採 っ て い る
。 した が って 、
分 析 男 光 源 と し て特 に好 ま しい 部 分 だ け を 利 用 す る こ とが で き る 点 で 装 置 と し て の 機 能 が 従 来 の もの
よ り も大 き く向 上 し て い る。
こ の試 作 装 置 の 性 能 を 評 価 す る た め 、 測 定 感 度 やSN比
を 行 な っ た。 そ の 結 果 、SN比
に つ い て 通 常 の 直 流 点 灯 方 式 の もの と比 較
に 関 して 大 幅 な 改 善 が な さ れ る こ とが 理 論 的 に も実 験 的 に も確 か め ら
れ た 。 また 測 定 感 度 に 関 して は 直 流 点 灯 の も の と同 程 度 で あ るが 、 近 接 線 の 存 在 が 感 度 に 関 与 す る場
合 はら
パ ル ス 法 に よ る近 接 線 抑 制 効 果 が 活 か され 、 感 度 が 大 き く向 上 す る こ とが 明 ら か と な った 。 感 度
SN比
ば か りで は な く、 さ ら に 測 定 能 率 に 関 して も 光 源 が 速 や か に安 定 状 態 に 達 す る う え
,
、広 い ス リ
ッ ト幅 で モ ノク ロ メ ー タ が 使 用 で き るた め 測 定 中 に度 々 モ ノ ク ロメ ー タ の 波 長 調 整 を 行 な う必 要 が な
くな るな ど の 点 で も 大 き く改 善 さ れ て い る。 本 章 で は こ の よ うに良 好 な 分 析 性 能 の 得 ら れ る時 間 分 解
測 光型 原子 吸光 兮析 装置 につい ては じめ に その構成 を述べ 、次K試 料吸 光線 と光 源 発光線 のプ ロフ ィ
ル の関 わ りが 測定 感度 に お よぼ す影響 につ いて考 察 し、 さ らにSN比
と測定 感度 お よび 測定能 率 の改
善 に つい て考察 を進 める。
4.2.時
図4.1お
間分 解 測 光型 原子 吸 光分 析鞐 置
よび 図4.2は
時 間 分 解 測 光 型 原 子 吸 光 分 析 装 置 の ブ ロ ック 図 と各 部 の タ イ ミン グ 図 で あ る。
本 装 置 の 特 徴 は サ ン プ リ ン グ型 時 間 分 解 測 光 法 の 手 法 を原 子 吸 光 分析 に取 り入 れ た と こ ろ に あ る 。 し
た が り てHCL駆
動 回 路 お よ び 信 号 処 理 回 路 は 通 常 の 原 子 吸 光 分 析 装 置 と著 し く異 な っ て い る。 す な
わ ち 、 従 来 の 装 置 で はHCLは
直 流 点 灯 さ れ る か 、 も し くは デ ュー テ ィ比(現
‐ioo‐
象 持 続 時 間/繰
り返 し
図4.1時
間 分解 測光 型原 子吸光 分析 装置 の 構成
図4.2試
周 期)0.5の
作 装 置 各 部 の タ イ ミン グ 図
パ ル ス で駆 動 さ れ て い た の に 対 し、 本 方 式 で は デ ュー テ ィ比o.02程
度 の パ ル ス で駆 動
さ れ る。 信 号 処 理 回 路 は パ ル ス 光 の うち 、 原 子 吸 光 分 析 用 光 源 と し て 最 適 の時 間 領 域 の み を 選 択 し て
検 知 す る よ うに 制 御 され る。 装 置 の 電 気 系 は 基 本 的 に は 第3章
で 述 べ た も の と同 一 で あ る の で 、 こ こ
で は 簡 単 な説 明 に と ど め て お く。
HCLは
ラ γ プ 駆 動 回 路 に ょ っ て 繰 り返 し周 波 数1kHz、
ル ス 電 流 で駆 動 さ れ るが 、 安 定 性 を 考 慮 し て2mAの
幅20μsec,尖
頭 値200mAの
パ ー,
バ イア ス 電 流 を重 畳 さ せ て あ る。 過 渡 発 光 を 時
間 的 に 選 択検 出 す る 信 号 処 理 系 は 、 ダ ブ ル ボ ック ス カー 積 分 器 お よび そ の 動 作 時 刻 を 決 定 す る タ イ ミ
ン グ 制 御 回 路 で 構 成 さ れ て い る。 ダ ブ ル ボ ック ス カ ー 積 分 方 式 に よ る 測 定 で は 、 ラ ン プ 発 光 中 の 指定
の 時 刻 と ラ ン プ 放 電 休 止 中 に 交 互 に 動 作 す る サ ン プ ル ホ ー ル ド回 路 の 働 き に よ っ て 、 フ レー ム 発光 成
分 や 、 検 出器 雑 音 成 分 な ど が 能 率 よ く除 去 さ れ る。 ゆ え に単 チ ャネ ル ボ ック ス カー 積 分 器 に よ る 測 定
に 比 ぺ 、SN比
は 向 上 し、 得 ら れ た 分 析 結 果 の 信 頼 性 も高 くな る。
本 装 置 の ラ ン プ駆 動 回 路 お よ び ダ ブ ル ボ ック ス カ ー 積 分 器 は 第3章
が 、 タ イ ミン グ制 御 回 路 は 専 用 の もの を試 作 した 。 図4.3に
す 。 ま た 表4.1は
制 御 回 路 の 性 能 表 で あ る。
-101一
で 述 べ た もの を そ の ま ま用 い た
試 作 した タ イ ミ ン グ制 御 回 路 の詳 細 を 示
図4.3タ
イ ミン グ 制 御 回 路
表4.1タ
試 作 装 置 は 構 造 上 シ ン グ ル ビー ム 単 波 長 方
式 で あ るの で 高精 度 の 分 析 を行 な うた め に は、
ア トマ イザ ー と して は バ ック グ ラ ウ ン ド吸 収
が 生 じ に く く、 か つ 再 現 性 の 優 れ た も の を 使
用 す る必 要 が あ る 。 こ の 点 を 考 慮 し て 本 実 験
で は 予 混 型 バ ー ナ ー(日
立207型)を
空気
イ ミン グ 制 御 回 路 の 性 能
REPETITION
FREQ.
of HCL DISCHARGE
HCL
DISCHARGE
SAMPLING
(1)
and
200,
2k,
WIDTH
PULSE
(2)
WITDH
2psec
0
TIME
0
VOLTAGE
lk
Hz
20psec
TIME DELAY of
SAMPLING PULSE(1)
DELAY
500,
5k,
40psec
—
5V
・テ セ チ レ ン フ レー ム で 用 い た 。 な お 予 混 型
,バー ナ ー澄 よ び バ ックグ ラウン ド吸 収 に つ い て は 第5章
少 な い 島 津D-40型
で 詳 述 す る。 また モ ノ ク ロ メ ー タ には 迷 光 の
を 、 光 電 子 増 倍 管 に は 浜 松 テ レ ビR106型
を使 用 した 。 時 間 分 解 測 光 型 原
子 吸 光 分 析 装 置 の 評価 は 通 常 の装 置 と の 比 較 に お い て な さ れ るが 、 本 装 置 を 通 常 の 方 式 で 用 い る場
合 に は 、 ア トマ イ ザ ー や モ ノ ク ロメ ー タ な どの 光 学 系 の 配 置 は そ の ま ま に し てHCLを
10Hzの
直 流 点 灯 し、
回 転 光 束 チ ョ ヅパ で 光 束 を変 調 した 。 そ の 信 号 の検 出処 理 に は ロ ック イ ン増 幅 器(NF
回 路 設 計LI-572B型)を
あて た。
-102一
4.3.分
析 装 置の評 価
パ ルス駆 動HCLの
最 大 の特 色 は その 大 きな発光 強度 にあ る。 この特 色 を活 か し、 分析 性能 の 向
上 を 図 るべ く新 たに試作 した 時間 分解 型 原子 吸光分 析装 置 によっ て 実 際 に試料 を分析 し、 従来 の装
置 に よる分析 結果 と比 較 しなが ら性 能の 評価 を行 なった。
4.3.1.主
波長 シ フ ト
原 子 の 吸光 分析 におい て検 量線 の勾 配 と直線 性 の良否 、 すなわ ち 測定 感度 の比 較は分析 装 置 の基
本 的 な性 能 を評価 す る上 で非 常 に重 要 であ る。 す で に前章 で も触 れ た よ うに、HCLの
分析 線 と試
料 吸 光線 の形 状 、お よび 両者 の主 波長 の不一 掌は 測定 感度 に直接 影響 をお よぼす 。特 に主 波長 の不
む
一 致 は 検 量 線 の 勾 配 に大 き く関 係 して くる。 そ こ で こ の 関 係 を 明 確 に す る た めNa(i11)を
例 に と り、 分 析 線 と吸 光 線 の 中 心 波 長 の 差 を 測 定 し、 次 に 分 析 線 の 試 料 透 過 後 の プ ロ フ ィル の 測 定
を 行 な っ た。
Naの
吸 光 線 を 求 め る た め には フ ァ ブ リペ ロ干 渉 計(日
の 自 由ス ペ ク トル 域(0.56伽
一1)内
本 光 学FIP-100型
気 圧 走 査 方 式)
に 納 ま り、 しか も 吸 光 線 の 波 長 域 全 体 に わ た り一 様 の 強 度
を も つ 光 源 が 必 要 と な る が 、 これ を 白 色 光 源 か ら 分 光 して 得 る こ とは 光 量 の 利 用 率 や 波 長 精 度 の 点
か ら 考 え て 余 り得 策 とは い え な い 。 そ こで こ こ では フ レー ム 中 のNa試
プ ロ フ ィ ル と 一 致 す る と見 な して 、10ppmのNa試
料 発光 線 プ ロ フ ィル が 吸 光
料 水 溶 液 を 噴 霧 した 時 の 共 鳴 線 の 発 光 を 、
フ ァ ブ リペ ロ干 渉 計 で 測 定 記 録 し た 。 そ の 際 、 波 長 マ ー カー と して 図4.4に
示 す よ う にHe=Ne
む
レー ザ ー 光(6528A)を
被 測 定 光 と同 時 に 干 渉 計 へ 入 射 して い る 。
図4,4フ
波 長 シ フ ト測 定 結 果 を 図4.5に
ァ ブ リペ ロ 干 渉 計 光 学 系
示 す 。 な お 、Na水
溶 液 と し て は 原 子 吸 光 分 析 用 標 準 試 料(和
光
純 薬 工 業 製1000ppm標
準 液)を 脱 イオ ン水 で 稀 釈 した もの を 使 用 した 。 以 下 、 本 章 お よび 第5
章 に お い て特 に こ とわhの
な い 限 り、 分析 試 料 は 上 記 製 の 標 準 試 料 液 を脱 イオ ン水 で 所 定 の 濃 度 に
ま で 稀 釈 した もの で あ る。Na共
鳴 線 の 主 波 長 基 準 と し て はNaHCLl2)(日
一103一
立HLA-3型)を
20mAで
直 流 点 灯 し た 時 の 中 心 波 長 を採 用 し た 。 また 、
ラ ン プ の 発 光 波 長 シ フ トの 有 無 も観 測 す る た め に 、 最 大 定 格
電 流(50mA)で
点 灯 した 時 の プ ロ フ ィ ル が 同 時 に 示 さ れ
て い る・ こ こ で ㈹ ・蹴
50mAで
そ れ ぞ れ ラ ン プ を2
直 流 点 灯 した 時 のNa分
◎ は バ ー ナ ー 上 面10mmの
総
蠶
よび
位 置 よ り放 射 さ れ る試 料 発 光 プ ロ
フ ィル で あ る。 ま た 各 々 のNaプ
レ燕
.OmAお
析 線 プ ロ フ ィル で あ り、
ロ フ ィル の 両 側 の ピ ー ク は
瓢
対、約,。.-r・.-P,
へ 移 動 し て い るが 、 これ は フ レー ム 中 で の 原 子 衝 突 に起 因 す
る ロー レ ン ツ シ フ トに よ る も の と考 え ら れ る69)。50mAで
ラ
謂竃
農纛甑 繋警羃 曇
畫
灘諜
比 べ て 小 さ い の で 主 波 長 シ フ トは 顕 著 で は な い 。 次 に フ レー
ム の 高 さ 方 向 の シ フ トの 変 化 を 調 べ る た め 、 バ ー ナ ー 上 面5図4
翩 お よび25㎜
の位 置 か らの 放 射 に つ い て も同 様 に 測 定 を 行
.5試
料 吸光 線 の主 波長 シフ
ト。 破 線 は プ ロ フ ィノ
咽
の 中心 波長 を あ らわす。
なつ た が 変 化 は 見 い だ さ れ ず 、 い ず れ も シ フ ト量 は20m且
であ つた。
こ の よ うな吸 光 線 の'ロー レ ン ッ シ フ トの た め 分 析 線 は 当 然 長 波 長 側 に 強 く吸 収 を 受 け る もの と 予 想
され る。 自 己反 転 分 析 線 を 利 用 して こ の こ とを 確 認 した 結 果 を 図4.6に
示 す が 、 吸 光 量 が 大 き くな る
に つ れ 左 右 の 対 称 性 が 損 な わ れ て ゆ く こ とが わ か る 。 な お 、 こ こ で は 波形 を 比 較 し て 見 や す くす る た
め 、 ピー ク 値 が ほ ぼ 等 し く な る よ うス ケ ー ル を 変 化 させ て あ る。
図4.6自
己 反 転 を 生 じ た 分 析 線 の7レ
ー ム透過後 の プ ロ フィル。
縦 軸 の 数 値 は ピー ク パ ー セ ン ト透 過 率 を あ ら わ す 。
-104一
4.3.2.分
析 線 プ ロ フ ィル と検 量 線
原 子 吸 光 分 光 光 度 計 で は 原 理 的 に、 積 分 吸 光 量 を 測 定 して 分 析 値 を得 て い る 。 した が っ て 第3章
に
お い て す で に 解 析 し た よ うK、 分析 線 と吸 光 線 の 中心 波 長 が ず れ て 、 吸 収 が 分 析 線 中 心 波長 に 関 して
非 対 称 に な っ たh、
あ る い は 自 己吸 収 に ょ っ て 分 析 線 自 身 の 幅 が 広 が っ た り した場 合 、 分 析 線 の 非 吸
収 領 域 が 大 き くな る た め に検 量 線 が 湾 曲 し、 勾 配 も小 さ くな る。 そ の度 合 は 先 ほ ど 求 め た 吸 光 主 波 長
の シ フ トと 分 析 線 の プ ロ フ ィ ル に 大 き く依 存 す る 。 こ の こ と を 明確 に し 、 か つHCLパ
実 用 性 を 評価 す る た めeは
じ め に パ ルス 駆 動 時 と 直 流 点 灯 時 に お け るNaHCL②
ル ス駆 動 法 の
の分析 線 プ ロフ ィ
ル を 測 定 し、 次 に そ れ ら の プ ロ フ ィ ル に 対 応 す る 検 量 線 を求 め て 測 定 感 度 の 比 較 を 行 な っ た 。 そ の 結
果 を ま とめ て 図4.7に
示す。
こ こ で は 、 実 用 電 流(30mA)お
㈹,⑧
よび 最 大 定 格 値(50mA)で
と し、 ま た パ ル ス 駆 動 に 際 して は 、 尖 頭 電 流 を500mAに
開 始 後20μsecお
よび60μsecに
の 直 流 放 電使 用 に 対 す る 結 果 を
固定 して サ ン プ リ ン グ 時 刻 を 放 電
設 定 して そ れ ら に対 す る結 果 を ◎,◎
と して 示 して あ る。
さ ら に 発光 強 度 が 比 較 で き る よ う プ ロ フ ィ ル 縦 軸 目 盛 は ㈲ の ピー ク 強度 を 基 準 に して 記 入 して あ る。
な お 検 量 線 作 成 に あ た って は 、 再 現 性 を 期 す る た め に バ ー ナ ー を 横 方 向(短
純 物 に対 す る感 度 を 低 下 さ せ 、SN比
の 向 上 を 図 った こ と を 付 記す る。
-105一
光 路)で
使 用 し てNa不
図47に
お い て 分 析 線 プ ロ フ ィ ル ω と◎ ま、 ほ ぼ 同 一 の 形 状 を し て い る。 こ の こ とは 検 量 線 に も 反
映 さ れ て お り、 事 実 、 検 量 線 ㈹,◎
間 に ほ とん ど 差 は 見 ら れ な い。 ま た⑪ の よ うに 自 己 吸 収 が 進 み 、
さ ら に 自 己 反 転 を 生 じ て ⑧ の よ うな 形 状Kな
る と、 そ れ に 応 じ て検 量 線 も非 直線 化 して 勾 配 が 小 さ く
な っ て ゆ く過 程 が よ くわ か る。 そ の場 合 分 析 線 自身 の 波 長 シ フ トが 問 題 とな る が 、 上 記 い ず れ の場 合
も基 準 波 長 ,(20mAで
直 流 点 灯 した 時 の 中心 波 長)に
対 して シ フ トは 認 め ら れ な か っ た 。 以 上 の 結
果 か ら、 分 析 線 の 形 状 と検 量 線 と の 関 係 が 明 瞭 化 さ れ た と同 時 に、 パ ル ス駆 動 法 を 導 入 した 場 合 、 た
と え 自 己吸 収 が 起 こ りや す い 元 素 で あ っ て も時 間 分 解 型 の 原 子 吸 光 分 析 装 置 を用 い て 適 切 な 時 刻 に サ
・
ン ブ リ ン グ を行 な うこ と に よ り
、 直流点灯 に よる従 来の 方式 の もの と同等 の測定 感度 が 得 ら れ るこ と
が 確 認 さ れ た。
4.3.3.SN比
の改善
こ れ ま で 主 に 測定 感 度 に つ い て 考 察 して き た が 、 本 節 で は 次 の 段 階 と して 、 高輝 度 発 光 特 性 が も た
ら すSN比
の 改 善 効 果 に つ い て考 察 を 進 め る。
そ こで ま ず は じ あ に 従 来 の 方 式 と パ ル ス 駆 動 方式 とのSN比
波 形 を 比 較 す る。 直 流 点 灯HCLの
発 光 を光 電 子 増 倍 管(PM)と
の 比 較 計 算 を 行 な い 、 次 に実 測 の吸 光
直 流 増 幅 器 で図4 .8㈲
出 し た 時 の 信 号 や 雑 音 を 次 の よ う に定 義 す る。
Is:HCL発
光 に よ るPM有
is:PMシ
ョ ッ ト雑 音 電 流
id:PM暗
雑 音電 流
if:フ
dfdc:直
A:定
効 信号 光電 流
レー ム 発 光 お よ び 背景 光 に も とず く雑 音 電 流
流 測 光 装 置 の 等 価 雑 音 帯域 幅
数
図4.8直
流 信 号 処 理 法 ㈹ と ボ ック ス ガ ー 積 分 器 法 ⑬
一106一
の よ うに 検
こ の 時 、SN比
は(4.1)式
で 与 え ら れ る。
__Is_
A(
今 、HCLパ
Yi2+Jla+働
ルス駆 動法Kよ って直流 点灯 時のN倍 の 発光強 度が得 られ た とす る と、PM有
流 はN倍 にな り、 シ 。ッ 囃 音 は 厨
黻
刷
再
∫・・xの ボ ・ク ・ か
倍 にな る.し か し他 囃
積艦(図4.・(B)〉
式 で 与 え ら れ る 。 た だ し 、(4.1),(4.2)式
効信 号 電
音は 変化 しない。 したが ・て 等価 儲
に よ・て 蹴
を 行 な う駘
のSN比1熄
子)
と も、 ラ ン プ 発 光 強 度 の ゆ ら ぎ 、 お よび 増 幅 器 の 雑
音は 考慮 され ていな い。
(-
A(厩+紫
甲
瓦(4.2)
さ て 、 こ こで 両 者 の 等 価 雑 音 帯 域 幅 を 求 め る 。 直 流 測 光 方 式 で は ∠右cと
C)と
の 関 係 は(4.3)式
積 分 回 路 の 時 定 数(R・
で あ ら わ され る。
`Fdf
・・1/YR.c.(4.3)
一方
、 ボ ック ス カー 積 分 器 につ い て 考 え る と、 積 分 回 路 の 時 定 数(r・c)が
し周 期 よ り も十 分 大 き い と仮 定 す る と4∫boxは(4.4)式
ング 繰 り返 し周 期 、tsは
サ ン プ リン グ 繰 り返
で 与 え ら れ る 。 た だ し、Tdは
サ ンプ リ
サ ン プ リン グ時 間 幅 で あ る。
1
吻
∫・・xフ
_(4.、)式
・ ・ …,/・
右 辺 の分母 は,.Cな
・(44)
る観 瀕、
黼
内驫
間をあ、わ拾
雑音
成 分 の うち 、 シ ョ ッ ト雑 音 の 支 配 が 他 に比 ぺ て小 さ く∴ か つ 、 両 方 式 の 時 定 数 が 等 しい(R・C=r・c)、
すな わ獺
測 時 間が 乳
い と仮 定 してSNPを
比鞠
れ ば(4.5)式
が 得 ら れ る・
(S/N)pulse
(S/N)dc‐Nts/Td(4.5)
こ の 式 は 、 サ ン プ リン グ 時 間幅 を 拡 げ 、 か つ 、 放 電 繰 り返 し周 波 数 を 大 き くす れ ば そ れ だ けSN比
一107一
が
改 善 され る こ と を 明 示 して い る 。 しか し、 時 間 分 解 方 式 の 特 徴 で あ る 特 定 時 間 領 域 の 選 択 的 な サ ン プ
リ ン グ を 考 え る 時 、 サ ン プ リ ン グ パ ル ス 幅 の 拡 大 に は 自ず と 限 度 が あ り 、 ま た ラ ン プ の 寿 命 を 考 慮 し
た 場 合 、 そ の 繰 り返 し周 波 数 に も制 限 が あ る。 試 作 装 置 で は 以 上 を 考 え 合 わ せ て 、 繰 り返 し周 期
(Td)を1msec、
サ ン プ リ ング 幅(is)を2μsecと
し て あ る 。 した が っ て こ れ を(4,・ 毒5式
へ 代入 す る と
(S/N)pulse
.N
(S/N)dc午22(46)
と な る。 す な わ ち 指 定 サ ン プ リ ン グ 時 刻 に お け る 発 光 強 度 増 大 率Nが22倍
式 よ りもSN比
が 良 くな る こ と に な る。
パ ル ス 駆 動 に よ る 各 分 析 線 の 発 光 強 度 増 大 率 は す で に 表3 .1(第3章)に
一 部 を 残 い た ほ と ん ど の も の に つ い て20倍
てSN比
以上 にな る時、従来 の 方
示 さ れ て い る。 そ こで は、
以 上 の 強 度 増 大 が 達 成 され て お り
、 パルス 駆動 法 に よ っ
の 改 善 が な され る も の と 予 想 され る。
実 際 の 分 析 に お い て は ロ ック イ ン増 幅 器 や ダ ブ ル ボ ック ス カー 積 分 器 で 雑 音 の 軽 減 を は か っ て い る。
特 に 、 ロ ック イ ン増 幅 器 と光 束 チ ョ ッパ と を 併 用 す る 場 合 に は 利 用 光 量 が 半 分 に な る 。 ま た ボ ック ス
カ ー 積 分 器 で は 真 の 時 定 数 に比 べ て 見 か け 上 の時 定 数 が 大 き くな る 点 に も 注 意 を 要 す る 。 そ こ で実 用
む
に即 して上 記 考 察 結 果 を吟 味 す る 目的 で 、Fe2483.3A分
析 線 を 例 に と り実 測 の 吸 光 波 形 の 比 較 を
ひ
行 な っ た 。・試 料 は0.3ppmFe水
溶 液 で あ る 。 モ ノ ク ロ メ ー タ の ス ペ ク トル ス リ ッ ト幅(SBW)は
む
2A,ま
た 測 定 系 の 時 定 数 は 両 者 と も5secと
し たが 、 これ は ス テ ッ プ 入 力 信 号 を用 い て 実 測 した 測
光 系 全 体 の 時 定 数 である。こ の 状 況 の も とで の 吸 光 記 録 波 形 を 図4.9に
示 す 。 こ こ で上 段 は 直 流 点 灯 の
0
Fe2483.3A,CFe/
S.B.W.2AO
図4.9直
流 点 灯HCLと
パ ルス動 作
ll蹣 鏃 分
析鞭
1'
.3ppm
HCL(放
電 電 流10mA)と
パ ル ス 電 流200mA)と
ロ ッ ク イ ン 増 幅 器 に よ る も の 、 下段 は パ ル ス 動 作HCL(バ
ボ ック ス カ ー 積 分 器(サ
ン プ リン グ 時 刻15μsec)に
イ ァ ス2mA,
よ る も の で あ り、
い ず れ も再 現 性 を 調 べ る た め 試 料 溶 液 の 噴 霧 は2回
ず つ 行 な った 。 パ ル ス 駆 動 時 の 分 析 線 瞬 間 発光 強
度 は 直 流 点 灯 時 の130倍
へ 代 入 す れ ば 約6倍
事 実 、 図4.9か
あ り、 これ を(4.6)式
ら 明 ら か な よ うに 、 パ ル ス 駆 動 方 式 に よるSN比
のSN比
改 善 が 予 想 さ れ る。
の 改 善 度 が 著 しい 。 こ の よ うな 高S
N比 が も た ら され た 結 果 、 よ りい っ そ うの低 濃 度 試 料 に対 す る 高 精 度 定 量 の 実 現 が 時 間 分 解 測 光 型 原
子 吸 光 分 析 装 置 に よ っ て約 束 さ れ る。
4.3.4.近
接線 の抑制
こ れ まで は 分 析 線 と吸 光 線 の 関 わ りか ら測 定 感 度 に 対 す る考 察 を 行 な っ て き た が 、 本 節 で は さ ら に
近 接 線 が 関 与 す る場 合 に つ い て 考 え 、 パ ル ス駆 動 法 の 特 色 で あ る近 接 線 抑 制 作 用 が 分 析 性 能 に お よ ぼ
す効 果 につ い て考察 す る。
市 販 の 原 子 吸 光 分 光 光 度 計 には 近 接 線 を 除 去 す る 目的 で モ ノク ロ メmが
付 属 して い るが 、 分 解 能
の 制 限 か ら複 雑 な 近 接 線 ス ペ ク トル を 持 つ もの に 対 して は 分 析 線 と近 接 線 の 完 全 な 分 離 が 困 難 な 場 合
が 多 い 。 ま た 光 量 利 用 率 に 関 して 考xた
場 合 、HCLの
光 放 射 部 分 は 直 径 数 ㎜ の 円 形 開 口 で あ る た め、
これ をい か に 能 率 よ くモ ノク ロ メー タ の 入 射 ス リ ッ ト上 に集 光 した と して も結 像 直 径 が ス リ ッ ト幅 よ
り大 き くな り、 全 光 束 を 利 用 す る こ とが で き な い 。 そ の うえ さ ら に悪 い こ と に は 分 解 を 増 す 目的 で ス
リ ッ ト幅 を 狭 め る と 、 当 然 の こ と な が ら そ れ に 従 っ て 光 束 利 用 率 も減 少 し、 著 し くSN比
く。 この よ うに 、 近 接 線 の 混 入 を 防 ぐとSN比
が 悪 化 し、 反 対 に 高SN比
の 劣 下 を招
を得 る た め ス リ ッ ト幅 を拡
げ る と近 接 線 混 入 の た め 測 定 感 度 が 低 下 す る と い う矛 盾 が 生 じ 、 こ れ を 断 ち 切 らね ば 分 析 性 能 の 大 幅
な 向 上 は 望 み 得 な い 。 しか しHCLパ
ル ス 駆 動 法 を 採 用 す る こ と に よ り近 接 線 が 効 果 的 に 抑 制 で き る
の で 、 こ の 矛 盾 は 解 消 さ れ 、 広 い ス リ ッ ト幅 の も と で も 良 好 な 感 度 の 分析 が 遂 行 で き る 。 そ の こ とを
明 ら か にす る た め 、Ni分
析 線 を 対 象 に して 近 接 線 抑 制 に よ る効 果 を 評 価 した 。
む
パ ルス 駆 動 さ れ たFe‐Ni‐CuHCLのNi分
析 線(2320.OA)付
お よ び 直 流 点 灯 時 の ス ペ ク トル と の 比 較 は す で に第3章(図3.24,図3.26)で
め て 図4.10に
直 流 点 灯 時 と パ ル ス 駆 動 時(5μsecの
-109一
時 点)の
近 の 時 間 分 解 ス ペ ク トル
行 な われ たが、改
発 光 ス ペ ク トル を 示 す 。
\
ロ
図4.10直
流 点灯 鯨
と パ ル ス駆 動 ⑧(サ
のFe‐Ni-CuHCLの2320且
ン プ リ ン グ 時 刻5μsec)
付 近 の 発 光 ス ペ ク トル
む
こ の 測 定 に お い て 、 モ ノク ロ メ ー タ の ス ペ ク トル ス リ ッ ト幅 はo.z5Aで
使 用 さ れ た が 、 こ れは 原
む
子 吸 光 分 光 光 度 計 付 属 モ ノ ク ロ メ ー タ で は 限 度 に 近 い 分 解 で あ る。 こ の 場 合Niイ
オ ン線2319.8A
む
をNi分 析 線2320.OAか
ら分 離 す る には 分 解 が 不 足 し て お り、 両 者 の 区 別 が つ か な い 。 しか しパ ノ
し
久
む
動 作HCLで
は 他 の イオ ン線(2321.4Aな
察 され る 。 一 般 に 多 元 素HCLの
ど)同
様 、 発 光 強 度 が 相 対 的 に 抑 制 さ れ て い る も の と推
分 析 線 発 光 強 度 は 単 元 素 の もの よ り も小 さ く、 モ ノ ク ロメ ー タ の ス
リ ッ ト幅 を 狭 く して 使 用 す る こと はSN比
の 点 で 極 め て不 利 と な る。 そ れ ゆ え通 常 の 直 流 点 灯 方 式 で
む
は 、 ス ペ ク トル ス リ ッ ト幅(SBW)を
アA程 度 に まで 拡 げ て必 要 なSN比
を 確保 してい るのが実 情
で あ る。 当 然 の こ とな が ら 測 定 感 度 は 低 下 す るが 止 む を 得 な い 。 しか し前 述 の よ うに パ ル ス 駆 動HC
Lで は近 接 線 強 度 が 相 対 的 に 減 少 す る の で 感度 の 低 下 が 防 げ る。 こ の こ と を 検 量 線 の うえ か ら確 か め
た 結 果 が 図4.11で
あ る。 こ こで は 図4.10に
◎ と し て パ ル ス 駆 動HCLを20μsecの
示 し た ス ペ ク トル に 対 応 す る検 量 線 ㈲,⑬
の 他 に、
時 点 で サ ン プ リ ン グ した 時 の 検 量 線 も求 め て あ る。 この 場
合 ◎ は 近 接 線 増 大 の た め 測 定 感 度 が 著 し く低 下 して い る。 しか し他 方 こ の こ とは 、 ラ ン プ 放 電 条 件 や
光 学 系 あ る い は ア トマ イ ザ ー に は 何 等 の変 更 も加 え る こ と な く、 サ ン プ リン グ時 刻 を た だ 操 作 す る だ
け で 高 濃 度 試 料 を も稀 釈 す る こ と な く迅 速 に定 量 で き る こ とを 意味 し て い る 。 こ の 点 で も時 間分 解 法
に よ つ て 測 定 能 率 の 向 上 が な さ れ て い る こ と が わ か る。 再 度SN比
に つ い て 考 え る。 パ ル ス 放 電 開 始
後5μsecに
で あ る 。 一 方 、 図4.11の
お け るNi分
析 線 の 発 光 強 度 は 直 流 点 灯 時 の18倍
一llO一
検量 線
L
O
図4.11ス
ペ ク トル ス リ ッ ト幅7Aの
も とで のNiの
検 量線
㈹
直 流 点灯HCL
⑧
パ ル ス 動 作HCL(サ
ンプ
リ ング 時 刻5μsec)
◎
パ ル ス 動 作HCL(サ
ンプ
リ ン グ 時 刻20usec)
0
⑧ と同 等 の 勾 配 の 検 量 線 を 直 流 点 灯HCLを
用 い て 得 る に は 、 ス ペ ク トル ス リ ッ ト幅 を2A以
下にす
る必 要 が あ る。 した が っ て ス リ ッ ト幅 の 違 い に よ る 光 量 利用 率 の 差 を 考 慮 す れ ば 、 パ ル ス駆 動 に よ っ
て 実 質 的 に60倍
比 は 約3倍
以 上 の 発光 強 度 増 大 が 達 成 さ れ た こ と にな り、 こ れ を(4.6)式
に 代 入 す る とSN
向 上 す る とい う結 果 が 得 ら れ る 。
近 接 線 抑 制 に よ っ て こ の よ うに 広 い ス リ ッ ト幅 で モ ノク ロ メー タ が 使 用 で き る た め 光 量 の 利 用 率 が
向 上 し、SN比
の 改 善 が な さ れ る わけ で あ るが 、 広 い ス リ ッ ト幅 で 使 用 で き る こ との 利 点 は 他 に も い
くつ か あ る。 一 つ に は モ ノク ロメ ー タ 自体 が 簡 素 化 で き る こ とで あ り、 比 較 的 低 分 解 能 の モ ノ ク ロ メ
ー タ で も 十 分 使 用 に 耐 え うる。 原 子 吸 光 分 析 で は 特 に バ ー ナ ー 部 か ら の 熱 輻 射 の た め モ ノ ク ロメー タ
の透 過 中 心 波 長 が ド リフ トを 起 こ し、 測 定 中 しば し ば 波 長 調 整 を 行 な う必 要 が あ っ た が 、 モ ノ ク ロメ
ー タ を低 分 解 状 態 で 使 用 す る 場 合 に は 透 過 中心 波 長 の わ ず か な変 化 に対 し て は 透 過 光 量 が ほ とん ど 影
響 を 受 け な い た め 、 波 長 調整 を頻 繁 に 行 な う必 要 が な い 。 これ な ど も一 つ の 利 点 で あ ろ う。 また 、 近
接線 が 抑 制 さ れ る た め 、 発 光 ス ペ クhル
が 簡 単 に な り'、今 まで と か く面 倒 で あ った 分 析 線 の 拾 い 出 し
作 業 が 試 作 装 置 で は 極 め て 容 易 にな る こ と も大 き な 収 穫 で あ る。 以 上 の よ うに 、SN比
の 改 善 とい う
だ け で な く、 測 定 の 能 率 の 向 上 とい う点 で もパ ル ス 駆 動 方 式 は 大 きな 効 果 を もた ら した と い え る。
-111一
4.4.結
言
パ ル ス 動 作 ホ ロ カ ソー ド ラン プ と時 間 分 解 測 光 技 術 を 原 子 吸 光 分 析 へ 導 入 し
、 分 析 性 能 の向 上 、 特
にSN比
の改 善 を試 みた。
時間 分解 測光 型 原子 吸光 分析 装置 につい て
(1}パ
ル ス 動 作 ホ ロカ ソ ー ド ラ ン プ よ り放 射 さ れ る過 渡 発 光 線 の うち 、 分 析 線 と し て適 当 な 時 間 領
域 の 部 分 だ け を 選 択 的 に サ ン プ リ ン グ し、 原 子 吸 光 分 析 に使 用 し て い る 。
②
ダ ブル ボ ッ ク ス カー 積 分 方 式 に よ っ て フ レー ム 発 光 成 分 や 検 出 器 雑 音 な ど を 除 去 して い る
(3}原
。
子 化 部 には 予 混 型 フ レー ム ア トマ イザ ー を使 用 し て い る。
分析 性 能 に つ い て
(1)測
定 感 度 は 従 来 の もの と同 等 で あ る。
12)ホ
動
ソー ド ラ ン プ ・・ル ス 飄
論 上SN比
(3)Feの
に よ ・て 醸
萠
時 の2・
倍 以 上 の 発 光 強 度 が 得 られ る時
、理
は 改 善 され る。
吸 光 波 形 の 比 較 で は 著 し くSN比
が 改 善 さ れ る こ とが 実 証 され 、 所 期 の 目的 が 十 分 達 し
う る こ とが 確 認 で き た 。
(4}時
間 分 解 測 光 型 で は 近 接 線 抑 制 効 果 の た め モ ノ ク ロメ ー タの ス ペ ク トル ス リッ ト幅 を 拡 大 し た
時 、 測 定 感 度 の低 下 は ほ とん ど起 こらない。 した が っ て低 分 解 能 の モ ノ ク ロメ ー タ で あ って も実 用
に 供 す る。
問 題 点 と今 後 の 目標
(1}サ
ン プ リ ン グ 時 間 幅 を 発 光 持 続 時 間 の1/10に
した が ってSN比
設 定 して い る た め に 、 光 電 流 の 利 用 率 が低 い。
を さ ら に 改 善 す る に は 、 測 定 感 度 が 低 下 しな い 範 囲 で サ ン プ リン グ時 間 幅 を 大
き くす る必 要 が あ る 。
t2)HCLパ
ル ス 駆 動 回 路 の 立 ち上 り特 性 を 改 善 す る こ と に よ り分 析 線 発 光 の 立 ち 上 りを早 く し
、
イオ ン線 発 光 強 度 の 相 対 的 な 抑 制 を 一 層 強 化 す る こ とが 望 まれ る。
㈲
原 子 け い 光 へ も 、 パ ル ス動 作HCLを
応 用 してゆ きたい。
-112一
第5章
高速 パ ル ス動 作 ホ ロカ ソー ドラン プの
原子 吸 光分 析 法 へ の応 用(II)
(時 間 分解 測光型 二波 長 原 子吸光 分 析 装置 の 試作)
5.1.緒
言
光源 の安定 性 や信号 処理技 術 が発達 し、 さ らにパ ルス駆動技 術 を導入 す るに及 ん で原子吸 光分 析
装 置 の性 能 は著 し く向上 したが 、一方 では感 度が 向上 す るにつれ て散乱 や分子吸 収 な どに よる測 定
誤 差 が大 き な問 題 と 宏 つ て きた 。分 子 吸 収 は 炭 素 化 合物 の ラ ジ カ ル やoxラ
で あh、
ジ カ ル に 原 因 す る もの
光 散 乱 は煙 霧 化 さ れ た 粒 子 が 原 因 す るが 、 分 子 吸 収 と光 散 乱 と を 区 別 す る こ とは 困 難 で あ
る の で 、 両 者 に よ る干 渉 の こ とを バ ヅ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 と呼 ぶ 。 フ レ ー ム 中 に 澄 け る原 子 吸 光 線 幅
む
が数 十mA程
む
度 で あ る の に対 し、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ト
吸 収 は そ れ よhは
るか に広 い100A以
上 の波
長 域 に わ た っ て起 こ る の が普 通 で あ る。 光 散 乱 は 全 消 費 バ ー ナ ー に よ る乱 流 炎 に は よ く見 られ る現
象 で あ る。 しか しな が ら、 一 般 に よ く用 い られ 、 ま た本 実 験 で も使 用 した 予 混 型 バ ー ナ ー に よ る層
流 炎 の場 合 に は 、 大 きな液 滴 は 噴 霧 室(予
混 室)内
で取h除
か れ 、極 く細 か な霧 粒 子 のみ が 炎 中 に
導 入 さ れ るた め に光 散 乱 は ほ とん ど見 られ ず 、 バ ッ クグ ラ ウ ン ド吸 収 の主 因 は 分 子 吸収 だ け に な る。
こ の バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 は フ レ ー ム発 光 な ど と違 い 、 光 源 を 変 調 したhあ
るい は ダ ブ ル ボ ッ クス
カ ー積 分 器 を用 い て も除 去 し きれ ぬ性 質 の も の で あ る 。
従 来 バ ック グ ラ ウ ン ド吸 収 が 他 の干 渉 現 象 に比 べ て表 面 に 出 る こ とが 多 くなか った のは・そ れ が 問
題 と な る以 前 に 共 存 物 に よ る化 学 干 渉 な どが あ ら わ れ 、 こ れ を避 け る方 策 を講 ず る こ とは バ ッ クグ
ラ ウ ン ド吸 収 を避 け る こ と に も な って い た た め と考 え られ る。 す な わ ち 、 化 学 干 渉 が 比 較 的 少 ない
と され て い る予 混 型 バ ーナ ー の使 用 は 、 一 方 で は 前 述 の よ うに光 散 乱 を も避 け てい る こ と に な っ て
い る 。 ま た 、 化 学 干 渉 を 避 け るた め に有 機 溶 媒 抽 出 に よ る共 存 物 の除 去 が しば しば行 な わ れ る が 、
これ に よ っ て バ ッ クグ ラ ウ ン ド吸 収 も軽 減 さ れ て い る わ け で あ るQし
原 子 化 部 と して 、 グ ラ 。 。 イ トア ト。 イ ザ ー69)、
ボ ニ ト.71)、 デ ル ブ ス 。 。 プ72)、
。,ラ
メ ・rア
あ る いは ・ り 。 ド ミ 。 ク琺73)な
か し近 年 高 感 度 を 得 るた め の
トマ イ ザ ー7°)、 サ ・ プ リ〃
どが 考 案 され 実 用 化 さ れ る
に 輸 よん で 、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸収 の 問 題 が 大 き く ク ロ ー ズ ア ッ プ さ れ は じめ た 。 とい うの は 、 こ
れ ら の原 子 化 法 で は フ レー ム法 に 比 べ て 原 理 的 に 原 子 蒸 気 密 度 が 高 く、 そ れ ゆ え 共 存 物 質 の 蒸 気 密,
度 も高 くな る た め で あ る。 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 に よ る測 定 誤 差 を な くす に は そ の 原 因 と な っ てい'
る物 質 を除 くか 、 あ る い は 光 学 的 に 何 等 か の補 正 を行 な う必 要 が あ る。 二 波 長 測 光 方 式 は 後 者 の う
む
ち の一方式 で あh、 分 析 線 の波長 か ら十A程 度離 れ た波長 を選 び、 この波 長 での吸 収 を測 定 して バ
ッ クグ ラ ウン ド吸収 を補 正 す る方法 で あ る。通 常 、補正波 長 で の吸収 測定 には重 水素 ラ ンプな どの
連続 光源 が用 い られ 為。
-113一
著 者は第3章 澄 よび第4章 に 診い ては高 速 パ ルス動作 ホ ロカ ソー ドラン プの 過度 発光 特 性 の測定
と解析 、さ らに原子 吸光 分析 へ の応 用 に つい て詳 述 した が 、 ここでは パル ス動作 ホ ロカ ソー ドラン
㌧
の新 た な る応 用 と して、時 間艪
a
,fロ
カ ソ ー ド ラ ン プ(HCL)か
測 光型 の原子 吸光 分析装 置 を勵
上げ る。 この 鑓
では 、本 の
ら時 間 的 に わ ず か な が ら分 離 して 放 射 され る分 析 線 と非 共 鳴 線 と
を 、 本 論 文 を 通 じて の 一 貫 した 手 法 で あ る高 速 サ ン プ リ ン グ型 時 間 分 解 測 光 法 に よh検
出 処 理 して
澄 り 、高 速 測 光 の技 法 を最 大 限 に 活 用 した もの とい え よ う。 また 、 シ ン グ ル ビ ー ム方 式 の 原 子 吸 光
分 光 光 度 計 に 対 し、単 に 電 気 回 路 を 付 加 す るの み で 簡 単 に二 波 長 方 式 に改 造 で き る こ と も大 き な利
点で あ る。
本 章 で は、 は じめ に バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 補 正 の い く つ か の 手 法 に つ い て 触 れ、 次 に 試 作 装 置 の
原 理 、 構 成 を 述 べ 、 最 後 に 実 用 に即 して 試 作 装 置 の 評 価 を行 な う。
5.2.バ
ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 の 補 正 法74)
バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 の 影 響 を避 け る に は
、 そ の 原 因 と な っ て い る物 質 を取h除
く こ とが まず 考
え られ る 。 原 子 化 を フ レ ー ム に よ っ て行 な う場 合 、 予 混 型 バ ー ナ ー の 使 用 が 有 効 で あ る こ とは す で
に述 べ た 。 グ ラ フ ァ イ トア トマ イ ザ ー に よ る原 子 化 法 で は 、被 分 析 元 素 を 原 子 化 す る前 段 階 と して
原 子 化 温 度 よh低
い 温 度 で乾 燥 あ るい は 灰 化 を行 な うが 、 そ の 前 段 階 を適 当 に 選 ぶ こ とに よっ て あ
る程 度 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 を軽 減 す る こ とが で き る。 ま た 、 測 定 時 間 の 都 合 上 あ るい は ア トマ イ
ザ ー の構 造 上 、1段
階 で加 熱 分 解 を 行 な う場 合 に は分 離 生 成 ガ ス を 高 温 炭 素 中 に 通 し
、 こ こ で遊 離
炭 素 や炭 化 水 素 の ラ ジ カ ル を分 解 した 後 測 定 す れ ば バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 が 取h除
75)が あ ・
。 しか しい ず れ に して も、 完 全@ぺ
て の 波 長mわ
け た とい う報 告
た レ ・。 ク グ ラ ウ 。,吸 収 が 取 り
除 け る わ け で は な く、 以 下 に 述 べ る光 学 的 な 方 法 に依 る必 要 が あ る。
光 学 的 な 補 正 は 次 の よ うに行 な う。 分 析 線 波 長 か ら10∼
°20Aれた波 長 に 澄 け る吸 光 度 を
、
重 水 素 ラ ン プ あ る い は 目的 元 素 以 外 の ラ ン プで 測 定 す る。 こ の波 長 に 澄 け る光 散 乱 や 分 子 吸 収 は 、
分 析 線 の 波 長 に 器 け る光 散 乱 や 分 子 吸 収k近
似 的 に 等 しい と仮 定 して 、 目 的 元 素 の 吸 光 度 か ら差 し
引 き して 補 正 を行 な う。 これ が 二 波 長 測 光 方 式 と呼 ばれ る も の で あh、 原 理 は 既 に1951年
Chance76)に
・ ・ て ミ ト・ ン ド リア の呼 吸 を 研 究 す 。 目的 で 開 発 さ奴
へ 導 入 され た の は1960年
目立 つ.他
に入 っ て か らで あh、 実 際
の ・つ の 方 法 は 驃
鞦77)と
い るが
.の分 析 へ の 応 用 は1973年
呼 ば れ る方 法 で 、.れ
、B .
、原子 吸 光分析
以 降 に 多 い ことが
も二 波 長 方 式 の 噸
で は あ るが
バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 の み な ら ず ガ ス 圧 の 変 動 に よ る噴 霧 量 の変 化 や フ レー ム の原 子 密 度 分 布 の変
化 を も補 正 し よ う とす る もの で あ る 。
-114一
、
バ ッ ク グ ラ ウ ン ドを 補 正 す る二 波 長 方 式 は 、補 正 用 に 用 い る光 源 に よ っ て 次 の4つ
(A)非
(A)非
吸収 近 接 線 に よ る方 法
(B)連
続 ス ペ ク トル光 源 に よ る方 法
(C)ゼ
ー マ ン ス ペ ク トル に よ る方 法
(D)共
鳴 線 の 自己 反 転 に よ る方 法
に 分 け ら れ る。
吸 収 近 接 雛78)・79)
HCLか
らは 分 析 線 の ほ か そ れ に近 接 して、 目的 元 素 の吸 収 に関 与 し な い ス ペ ク ドル 線(非
吸 収 近 接 線)が
放 射 さ れ て い るが 、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 に対 し ては 分 析 線 、近 接 線 と も同 量
の吸 収 を受 け る と見 な せ るの で 、 近 接 線 を補 正 用 参 照 線 と して 使 用 す る こ とが で き る 。 こ の 方
法 は 、 シ ン グ ル ビー ム方 式 の分 光 光 度 計 で は2つ
の 波長 を 順 次 測 定 す る こ とに な り測 定 時 間 が
長 くか か る 。 した が っ て グ ラ フ ァ イ トア トマ ィザ ー の よ うに 短 時 間 の うち に 吸収 が変 化 す る よ
う な原 子 化 部 を 用 い た分 析 装 置 で は 、 そ の ま ま近 接 線 法 を適 用 す る こ とは で き な い 。 また 、非
吸 収 近 接 線 法 は 特 別 の 光 源 を必 要 と しな い と い う簡 便 さ は あ るが 、 必 ず しも適 当 な非 共 鳴 線 が
あ る とは 限 ら な い。
本 章 で 述 べ ら れ て い る時 間分 解 型 二 波 長 方 式 は 、 原 理 的 には この 非 吸 収 近 接 線 法 に も とず いて
い る。 しか し な が ら二 波 長 同 時 測 定 が 行 な え る ので 順 次 測 定 とい う煩 雑 さが 解 消 さ れ 、測 定 能
率 が 大 き く向 上 す る 。 した が っ て バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 が 大 き く、 か つ反 応 の急 な グ ラ フ ァ イ
rア トマ イ ザ ー に対 し て も十 分 適 用 し得 る。
so>,si)(B)連
続 ス ペ ク トル光 源 法
市 販 の 二 波 長 原 子 吸 光 分 光 光 度 計 で は 、 バ ッ ク グ ラウ ン ド補 正 用 光 源 と して通 常 、重 水 素 ラ
ッ プや 水 素 ラ ン プが 用 い られ る 。 こ の 方 式 で は バ ッ クグ ラ ウ ン ド吸 収 の 測 定 を共 鳴 線 か らわ ず
か に離 れ た 波 長 で行 な う場 合 と、 同 一 の 波 長 で行 な う場 合 とが あ る。 前 者 の場 合 は(A)の
非
吸 収 近 接 線 法 と 同 じ考 え 方 で あ るが 、後 者 で は 原 子 吸 収 が 重 畳 す る こ と に な る。 しか しモ ノ ク
ロ メ ー タ の ス ペ クrル ス リ ッ ト幅 は 目的 元 素 の 共 鳴 吸 収 幅 よhも は る か に 広 い た め 、 事 実 上 こ
れ に よ っ て測 定 さ れ る の は ス ペ ク トル幅 の 広 い バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 だ け と見 なす こ とが で き
る。
(C)ゼ
ー マ ン ス ペ ク トル法
光畔
嬲
を か け る とゼ ー マ ン効 果 に よ つ て ス ペ ・ ト・
櫞 が喊
分 とσ±成分 畍
裂 すると
い う性 質 を 利 用 し、 π成 分 に よ っ て 目的 元 素 の 原 子 吸収 を 測 定 し、 また σ ± 成 分 に よっ て バ ッ
ー115一
・グラ ウン ト
汲 収 を測 定 す る方 式 で あ る 。 そ の 測 定 原 理 の例82)を
図5ユ
図5.・ に示 す 。
ゼ ー マ ン ス ペ ク トル方 式 に よ るバ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 補 正 の原 理
こ の例 で は 水 銀 ラ ン プ に 数 千 ガ ウス の磁 場Hを
かけ る こ とに よっ て 、Hg分
析線
゜2537A
む
を も と の波 長 と同 一波 長 の π成 分 と 、 こ れ よh数 十mAれ
た σ+誇 よび6成
分 に 分 裂 させ
て い る 。 こ こで σ ± 成 分 と π成 分 とは 互 い に 直 交 した偏 光 特 性 を持 つ た め 、 光 路 中 に 置 い た 偏
光子 を 回 転 す れ ば π 成 分 と σ± 成 分 を交 互 に 取h出
す こ とが で き る。 こ の 力 式 の 付 随 的 な 利 点
は 、分 析 線 と補 正 線 の ソ ー ス が 同 一 の発 光 線 で あ るた め に 、 光 源 強 度 の 変 動 を も同 時 に補 正 で
き る こ と で あ る。
な お ゼ ーマ ン ス ペ クhル 法 で は 、 光1=u`".を
か け る方 式 の 他 に 、原 子 化 部 に 磁 場 を 印 加 し
て吸 収 線 の ほ うを 分 裂 さ せ る方 式 も試 み られ て い る83)
(D)共
。
鳴 線 自己反転 法
水 銀 ラン プ で は 管 内 圧 力 を 高 くす る と圧 力 広 が りに よ って 容 易 に共 鳴 線 幅 が 広 が る が 、水 銀
蒸 気 中 に この 光 束 を 通 過 さ せ る と 自 己反 転 した ス ペ ク トルが 得 られ る 。 自己 反 転 した スペ ク ト
ル は もは や 水 銀 原 子 化 試 料 に ょ っ て 吸 収 を受 け な い た め 、 こ れ を バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 補 正 用
と し て用 い る こ と が で きる84).一
方 、.分析 用 光 灘
は 、脈
纐
の狭 砿
銀 ラ 。 プ を あ て る。
以 上 、 代 表 的 な バ ッ ク グ ラウ ン ド吸 収 の補 正 法 に つ い て略 述 した が 、 い ず れ も一 長 一 短 を 持 ち 、
い ま だ に決 定 的 と も い え る もの は あ ら わ れ て い な い の が現 状 で あ る。
-116一
5.3.時
間 分 解 測 光 型 二 波 長 原 子 吸 光 分 析 装 置 の 試 作
丘81.動
HCLを
作 原 理
高 速 パ ル ス駆 動 した場 合 の過 渡 発 光 特 性 に つ い て は 第3章
に 訟 い て論 じた が 、 さ ら に
詳 し く動 的 な発 光 を追 跡 して ゆ く
と 、通 常 は 過 渡 光 放 射 が終 結 し て
い る と思 われ る パ ル ス放 電 終 了 後
数10μ,secの
時 点 に 訟 い て も金
属 元 素 の イ オ ン線 は まだ 放 射 さ れ
鱗纛 懲 纂
れ たFe診
よびNiの
発 光 線(分
析 線 と近 接 イ オ ン線)ρ
パ ル ス発
光 強 度 波 形 を 見 れ ば 明 ら かで あ る。
こ こ で 図5.4は
そ の 時 の パ ル ス放
電電 流 波 形 で あh、 放 電 自 体 は 急
速 に終 了 す る特 性 を示 す 。 な 診 、
測 定 に用 い た ラ ン プはFe…NiCuHCL(日
立HLA-3型
・で
あ る。 こ の よ う な現 象 はAI‐Ca
--MgHCLのMg発
HCLのCd発
図5.3Fe-Ni-CuHCLのNi共
鳴 線 とNiイ
線 の パルス発光波 形
オ ンHLA-3型HCL)に
れ
光線 やCd
光 線(い ず れ も日立
対 し て もみ ら
、必 ず し もFeとNiだ
け の特 有
の性 質 の もの で は ない こ とが 確 認、
され た 。
:[
50m
ト 爿5usec
図5.4Fe-Ni-℃uHCLの
パ ル ス放 電 電 流 波 形
一117一
a
、HCLの
分 析 線 と隣 接 す る イ オ ン
線 の 波 長 を そ れ ぞ れ λ1(分
析 線),λ2
(イ オ ン線)と
す る と 、 そ の パ ル ス発 光
波 形 は 図5.5に
示 す よ う な形 状 を 示 す も
の と推 察 され る。 こ こ で 、Alと
ノ2と
梦二 ゜
ト幅 が λ1とd2を
同 時 に通 過 さ せ るに
十 分 な ほ ど広 くと られ て い る と仮 定 す る
時 、検 出 器 の 過 渡 光 電 流 出 力 波 形 は 図5.
5の 点 線 で描 か れ た よ う な2成
分 の重畳
波 形 と な る。 この 光 電 出 力 を サ ン プル ホ
ー ル ド回 路1(S/H-1)に
よ っ て 時 刻T1で
サ ン プ リ ン グす れ ば
ず く信 号 が 得 られ る こ と は 明 らか で あ る。 同 様 に 、時 刻T2で
、 重 畳 波 形 の うち λ1に も と
サ ン ブル ホ ー ル ド回 路2を
動作さ
せ れ ば 減2成 分 が 得 られ る 。
こ こ で 、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 に対 して ば λ1と
S/H-1の
出 力信 号 をS/H-zの
ノ2は 同 量 の 吸 光 を受 け る と見 な せ る の で 、
出 力 信 号 で 割 り算 す れ ば バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸収 が 補 正 され る こ
とにな る。
こ の よ うに同 一 光 源 か ら分 析 線 と参 照 線(イ
オ ン線)を
時 間 的 に 分 離 して取h出
す こ とが で き
る の で 、 シ ン グ ル ビー ムの 分 光 光 度 計 を そ の ま ま利 用 で き る うえ 、機 械 的 な光 束 チ ョ ッパ を必 要
と し ない 。 さ ら に 、 モ ノ ク ロ メ ー タ の スペ ク トル ス リ ッ ト幅 を広 く と る の で 結 果 的 に 高 分 解 の も
の は 必 要 と さ れ な い 、 な ど本 方 式 に よ る利 点 は数 多 くあ げ られ る。 しか し、本 方 式 を 実 現 す るた
め に は 適 切 な非 吸 収 近 接 線 が 存 在 す る こ とが 必 要 で あh、 実 用 性 に 関 して こ の点 が 問 題 と な る と
こ ろ で あ る。 な 黔 、応 用 可 能 と思 わ れ る発 光 線 に つ い て は(5.4)節
5.3.2.装
で ま とめて示 す 。
置 構 成 の概 要
は じめ に試 作 した 時 間 分 解 測 光 型 二 波 長 原 子 吸 光 分 光 光度 計 の ブ ロ ッ ク鹵 と
グ 図 を図5.6齢
よ び図5.7に
示 す 。装 置 は 大 き く分 け て 、 ラ ン フ駆 動 部 、 タ ブ ミ ン グ制 御 部 、信
号 検 出 処 理 部 澄 よび 原 子 化 部 を含 む光 学 系 の4つ
化 部)は
第4章
各部 の タ イ ミン グ
冷 ら構 成 され て 夢 り、 こ ¢!うち 、 光 学 系(原
子
で 述 べ た もの と同 一 で あ る 。 ま た 、 信 号 検 出 処 理 部 の 中 心 を なす ・2チャ ネ ル ボ ッ
クス カ ー積 分 器 は 、第3章
で述 ぺ た ダ ブ ル ボ ッ クズ ヵ 一積 分 器 か ら差 動 増 幅 器 を省 略 した も の を
そ の ま ま使 用 して い る。
-iis一
図5.6時
間 分解 二 波 長 原 子 吸 光 分 光 光 度 計 の 構 成
図5.7分
試 作 装 置 で は 、 先 ほ ど図5.5で
光 光 度 計 各 部 の タ イ ミ ン グ図
、㌧
説 明 した サ ン プ リ ン グ の タ イ ミ ン グ とは 異 な り、 パ ル ス放 電 を
分 析 線 取 得 用 と参 照 線 取 得 用 の2つ に 分 け 、交 互 に 異 な った 電 流 で ラ ン プを 放 電 さ せ て い る。 そ
れ と同 期 し て サ ン プ リン グ を毎 回 の放 電 に つ き1回 だ け 行 な っ て い る が 、 これ は 、 比 較 的 接 近 し
た 時 刻 に サ ン プ リ ン グ を続 け て2回
行 な う とサ ン プ ル ホ ー ル ド回 路 間 に 有 害 な干 渉 の起 る可 能 性
が あ る こ と、 ま た 分析 用 と参 照 用 の2つ
に パ ル ス 放 電 を分 け る こ とに よ リ ラン プ駆 動 条 件 の 自 由
度 が 増 し、最 適 の 条 件 を 選 ぶ こ とが 可 能 と な る、 な どの 点 を考 慮 した た め で あ る。
主 パ ル ス は500オsecの
間 隔 で装 置 全 体 の ト リ ガ パ ル ス を発 生 す る。 こ れ と同 翠 して ラ ン プ
が パ ル ス放 電 す る わ け そ あ るが 、 上 記 の理 由 に よh、 放 電 は2種
の駆 動 パ ル 孑 で交 互 に な さ れ る。
こ の よ うな交 互 の 放 電 と同 期.した サ ン プ リ ン グパ ル ス(1)と(2)で2チ
器 を 動 作 さ せ 、 分 析 線 とバ ッ クグ ラ ウ ン ド補 正 線(参
作 を 遂 行 す るた め 、 タ イ ミン グ制 御 部 は2チ
ャ ネ ル の ボ ッ クス カ ー積 分
照 線)を 取 得 して い る 。以 上 の サ ン プル 動
ャ ネ ル の可 変 遅 延 回 路 を 有 し、2つ
ー119一
の サ ン プ リン グ
パ ル ス の発 生 時 刻 は ラ ン プ発 光 開 始 時 点 か ら50μsecま
で の 間 を そ れ ぞ れ独 立 に 設 定 で き る
よ うに な っ て い る 。 イ オ ン線 を参 照 線 と して 利 用 す る場 合 、分 析 線 は 過 渡 発 光 現 象 の 立 ち上 り部
を サ ン プ リン グす る こ とに よ り得 られ る 。 した が って 、 ラ ン プ放 電 持 続 時 間 幅 は 短 か くて よい
しか し、 参 照 線 と してNeな
ど封 入 ガス の発 光 線 を利 用 す る場 合 に は 第3章(図3
た よ うに 、放 電 開 始 か ら20/tsec以
述べ
降 に サ ン プ リン グ時 刻 を設 定 す れ ば 良 好 な分析 線 が 得 ら
れ る 。 そ の点 を考 慮 して 分 析 線 取 得 の た め の ラン プ放 電 持 続 時 間 は40オsecと
参 照 線 取 得 の た め の放 電 持 続 時 間 は 消 費 電 力 を考 慮 し て 数オsecと
20オsecに
.27)で
。
した
。 一方、
した 。 しか し必 要 に 応 じて
ま で拡 大 で き る 。 ま た 、 バ イ ア ス電 流 は 、 こ れ を ラ ン プに 印加 しな い場 合 で も発
光 の ジ タ ー は増 大 しな か っ た の で通 常 は 零 と して い る。
2チ ャ ネ ル の ボ ッ クス カ ー積 分 器 出 力 は2台
る。 こ こ で 、第1チ
の チ ャ ー トレ コ ー ダ に導 か れ
、 吸 光 波 形 を記 録 す
ャネル には原 子 吸収 とバ ックグラ ウン ト
吸 収 の 重 畳 吸 収 が 、 ま た 、 第2チ
ャ
ネ ル に は バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 が 記 録 さ れ る 。 本 来 は 両 チ ャネ ル 出 力信 号 の 比 を と って 補 正 後 の
信 号 を レ コー ダ に 記 録 す べ きで あ る が 、 本 実 験 で は バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 自体 を 記 録 す る 目 的 で
こ り よ う な措 置 を とっ た 。
5.3.3.装
(A)ラ
置 の 詳 細
ン プ駆 動 回 路
HCL駆
動 回路 は ①DCブ
て い る。 こ の う ちDCブ
ロッ ク、② 分 析 ブ ロ ッ ク、 ③ 参 照 ブロ ッ クの3つ
か ら構 成 さ れ
ロ ッ クは ラ ン プに 直 流 電 流 を供 給 す る働 き を す る。 した が っ て、 直 流
点 灯 時 に こ の ブ ロ ッ クが 使 用 さ れ るほ か 、 パ ル ス駆 動 時 に 澄 い て もバ イ ア ス電 流 供 給 用 と して
1使
用 され る 。 パ ル ス駆 動 時 に 澄 いて 中 心 と な る働 きを す る の は 分 析,参
照 の 両 ブ ロ ッ クで あ る 。
そ の名 の示 す と誇 り前者 は分 析 線 取 得 用 の 、 ま た 後 者 は 参 照 線 取 得 用 の駆 動 パ ル ス を 発 生 させ
る部 分 で あh、 放 電 電 流 を表5.1に
示 した値 ま で 自 由 に 設 定 で き る。 一 方 、駆 動 パ ルス 幅 は タ
イ ミン グ制 御 回路 に よ っ て決 定 され る 。
表51ラ
ン プ駆 動 回 路 各 部 の 定 格
4 pc
MAX.
CURRENT
PULSE
WIDTH
50mA
_.--------
‐iao‐
CI ANAL.
0 REF.
200mA
300mA
40usec
3 —20usec
一
図5.8HCL駆
図5,8は
動 回 路
ラ ン プ駆 動 回 路 の詳 細 を 示 した もの で あ る 。 こ の 回路 全体 は 半 導 体 素 子 で 構 成 され
て 澄 り、 第3章
澄 よび 第4章
で 述 べ た 実 験 に使 用 され た 管 球 式 の もの に 比 べ 高 速 化 さ れ て い る
と同 時 に 小 型 化 され て い る の が特 徴 で あ る 。DCブ
ベ ー ス 電 流 を100kSZの
-、m△
ロ ッ クで は 、 トラ ン ジ ス タ1(TR-1)の
可 変 抵 抗 で 変 化 さ せ る こ と に よhラ
ン プの 直 流 放 電 電 流 を0∼50
の 範 囲 で 任 意 に 設 定 で き る。 さ て 、 分 析 線 を得 る た め に は 過 渡 発 光 線 の 立 ち 上 り部 を サ ン
プ リン グす る 関 係 上 、.立ち 上h時
間 の短 か い駆 動 パ ル ス が 必 要 と な るが 、 こ の 目 的 の た め 分 析
ブ ロ ッ クで は ス イ ッ チ ン グ モ ー ドで トラ ン ジ ス タを 使 用 し、 良 好 な立 ち上 り特 性 を得 て い る。
そ の際 、 パ ル ス電 流 値 の 調 整 は供 給 電 圧(+・HV)を300∼500Vの
間 で 変 化 させ る こ と に
よ っ て行 な っ て い る 。 一 方 、 参 照 線 を 取 得 す る た め に過 渡 発 光 の減 衰 部 を サ ンプ リン グす るが 、
分 析 線 成 分 を 混 入 さ せ な い た め に は 放 電 電 流 を で き るだ け 急 速 に カ ッ トオ フ状 態 に さ せ る必 要
一121一
が あ る 。 この た め参 照 ブ ロ ッ ク で は 全 段 不 飽 和 モ ー ドで トラ ン ジ ス タ を 動 作 さ せ て電 荷 蓄 積 効
果 を軽 滅 し、 良好 な 立 ち 下 り特 性 を得 て い る。 こ の 参 照 ブ ロ ッ ク に お け る放 電 電 流 の設 定 は
10k.SZの
以 上3つ
入 力 可 変 抵 抗 に よh、0∼300mAの
範 囲 で 任 意 の値 が 選 べ る。
の ブ ロ ッ クの 出 力 段 は 互 い に並 列 に 接 続 さ れ 、 そ れ ぞ れ の出 力電 流 の 加 算 電 流 に よ
っ て ラ ン プ が 駆 動 され る。 そ の 時 の放 電 電 流 の 平 均 値 は 付 属 の 直 流 電 流 計(10mA用
用 に 切h換
え 可)に
と50mA
よ っ て読 み取 っ て い る。 ま た 、 パ ル ス電 流 値 は モ ニ タ端 子 に オ シ ロ ス コ ー
プ を 接 続 し、10SZの 固 定 抵 抗 両 端 の 電 圧 波 形 か ら計 算 して い る。
(B)タ
イ ミン グ制 御 回 路
図5.9は
タ イ ミ ン グ制 御 回 路 の ブ ロ ッ ク図 で あ る。 構 成 は第1章
制 御 部 をそ の 蚕 ま2チ
秒 領 域 で あh、
に 澄 い て述 べ た タ イ ミ ン グ
ャ ネ ル に拡 張 し た もの とな っ て い るが 、 回 路 自体 は 測 定 対 象 が マ イ ク ロ
そ れ ほ ど高 速 性 は要 求 さ れ な い こ と もあ り 、 図5.10に
示 した よ うに 多 分 に簡
素 化 さ れ た もの と な っ た 。
.BLOCK
]
一
2
図5.9タ
イ ミ ン グ制 御 回 路 の 構 成
一122一
・
図5.10タ
イ ミン グ制 御 回路 の詳 細
遅 延 時 間 と参 照 光 用 トリ ガ パ ル ス幅 は ヘ リポ ッ ト1∼3(VR1∼3)に
そ の 可 変 幅 は6倍(最
小 設 定 値 を5オsecと
す れ ば5∼30;tcsecが
よ っ て可 変 で あ る 。
可 変 域 と な る)で あ るた
め、 そ れ 以 外 の値 が 必 要 な場 合 には 目的 に応 じて最 小 設 定 値 を再 決 定 す る必 要 が あ る。
(C)信
号 検 出 処 理 回 路 訟 よび 光 学 系
信 号 検 出 処 理 回 路 に つNて
は す で に述 べ た の で説 明 を省 略 す る。 ま た 光 学 系 は 第4章
に黔い
て 述 べ た も の と同 一 で あ る た め 、 こ こで は各 部 品 型 式 名 の み を記 す 。原 子 化 部 は 日立207型
予 混 フ レ ー ム ア トマ イ ザ ー(空 気 一 ア セ チvン
光 電 子 増 倍 管 は 浜 松R106型
5.4.二
フ レ ー ム)、 モ ノ ク ロ メmは
島 津D-40型,
で あ る。
波 長 の 選 択 と分 離
前 に も触 れ た よ うに、 時 間分 解 測 光 型 二 波 長法 で は 分 析 線 に近 接 す る適 切 な非 共 鳴 線 の 存 在 が 必
要 で あ る 。 利 用 可 能 な近 接 線 と しては 、 封 入 ガ ス発 光線 、分 析 元 素 の イ オ ン線 、 分 析 元 素以 外 の イ
オ ン線 の3つ
が考 え られ る 。 こ れ らの例 と して 本 実 験 で は表5.2に
一123一
示 す 各 発 光 線 を 利 用 して 二 波 長
測 光 を行 な っ た 。「
表 ほ2試
作 装 置 で 使 用 し た分 析 線 と近 接 線
HCL
REFERENCE
(R)
(1)
Fe -Ni -Cu
Fe(I)
3719.9
Ne(jl)
3713.
3
(2)
Al-Ca-Mg
Mg(I)
2852.1
2802.
Mg(11) 2798.
1
Cd
(3)
表 中Cd分
ANALYSIS(R)
Cd(I)
2288.0
析 線 に対 す る参 照 線 と してFeとCuの
の 組 成 元 素 で あ る。CuやFeあ
るい はNiの
7
2795.
5
Fe (E)
2294.
6
Cu(E)
2294.
4
イ オ ン 線 を あ げ た が 、 これ らは ホ ロ カ ソー ド
ス ペ ク トル線 は 非 常 に複 雑 で あh、
広 い波長域 にわ
た っ て分 布 して い る 。 した が っ て封 入 ガ ス発 光 線 あ る い は 分 析 元 素 の イ オ ン線 な どが 近 接 して い な
い 場 合 で も、 カ ソ ー ド合 金 にCu,Fe,Niな
どが 含 まれ てい る時 に は こ れ らの 元 素 の イオ ン線
を 参 照 線 と しで 利 用 で きる 。
表5.3に
一
時 間 分 解 二 波 長 方 式 に 応 用 で き る と思 わ れ る分 析 線 と非 共 鳴 線 の組 み 合 わ せ を 示 して 診
く。 た だ しこ の 表 に 澄 け る 金 属 元 素 の 非 共 鳴 線 は いず れ も イ オ ン線 で あ る。
表53試
作 装 置 に適 用 可 能 な発 光 線 の組 み 合 わ せ
0
(A)
ANALYSIS
IV,
0
REFELENCE
J
(A)
0
ANALYSIS
(A)
0
REFERENCE
(A)
Ag
3280
.7
Ag
2938
.6
Na
3302
.3
Ne
3369
8
Ba
5535
.6
Ne
5562
.8
Ni
2320
.0
Ni
2319
0
Ca
4226
.7
Ne
4304
.0
Pd
2476
.4
Pd
2477
0
Co
2407
.2
Co
2414
.0
Sr
4607
.3
Ne
4537
8
Cr
3578
.7
Ne
3520
.5
Ti
3642
.6
Ne
3520
5
Fe
2483
.3
Fe
2486
.3
T1
2767
.9
Ne
2775
0
Li
6707
.8
Ne
6717
.0
V
3183
.4
V
3199
8
Na
5890
.0
Ne
5852
.5
Zn11.38..6
Zn
2102
2
図5.11は
幅3オsecの
駆 動 パ ル スでFe-Ni-CuHCLを
3719.9AとNe発
放 電 さ せ た場 合 のFe分
ー
一
一 --rr
析線
くコ
光 線3713.3Aの
パ ル ス 発 光 強 度 波 形 、黔 よび 放 電 電 流 波 形 で あ る 。Fe共
卩
一124一
鳴
図5.11Fe分
析 線 とNe発
ISCHARGECURRENTパ
光線 の
ルス発光波形 ・ 絃
び・ 放
ω
匚
_
O
而
〉一
窪
畧
三
。
3A
1020(usec)
線 はNeの
ス パ ッ タ リン グに よ っ て生 成 され る た め 発 光 がNeよ
に は ピ ー クが2つ
り遅 れ る 。 さ ら にNeの
発 光波形
で き 、 か つ放 電 が 終 了 した に もか か わ らず な 訟 発 光 が持 続 して い る。 この よ う な
現 象 は イ ン パ ル ス に近 い 高 速 大 電 流 パ ル ス でHCLを
駆 動 した 場 合 、 ス パ ッ タ リン グ進 行 途 中 で放
電 が 打 ち切 ら れ る う え 、 放 電 の 動 作 領 域 が 異 常 グ ロー域 か らア ー ク 領 域 に また が るた め に引 き起 こ
さ れ た 過 渡 的 な も ので あh、 そ の解 析 は まだ な さ れ て い な い 。
Neの
発 光 成 分 の み を 得 る に は 、 こ の 図 に む い て15オsecの
時 点 で 光 電 流 を サ ン プ リン グす れ
ば よ い 。 一 方 、 分 析 線 発 光 強 度 は ス パ ッ タ リ ン グが 十 分 に行 な わ れ て 診 れ ば 、 放 電 電 流 の2乗 以 上
の累 乗 に比 例 し て増 大 す る の に対 し、 封 入 ガ ス ス ペ ク トル線 強 度 は 放 電 電 流 に 比 例 す る 。 した が っ
て 、 パ ル ス放 電 持 続 時 間 を40オsec程
度 に ま で 伸 長 さ せ 、 ス パ ッ タ リ ン グを あ る程 度 進 行 さ せ た
状 態 で 光電 流 を サ ン プ リ シ グ す れ ば 、Neに
図5.12は
比 べ て著 し く強 度 の 勝 ったFe分
析 線 が 得 られ る。
上 記 の方 法 に よっ て 分 離 さ れ た スペ ク トル を 示 した もの で あ る 。 こ の測 定 で は 試 作 二 波
む
長 分 光 光 度 計 の モ ノ クロ メ ー タ の ス ペ ク トル ス リ ッ ト幅 を0.5Aに
に示 した2台
の レ コ ー ダ 上 に ス ペ ク トル 寉 同m記
の よ う に な る。 時 間 分解 方 式 に よ っ てFeとNeの
し て波 長 走 査 を行 な い 、図5.6
録 した。 そ の時 の ラ ン プ放 電 電 流 波 形 は 図5.13
発 光 線 が 分 離 し得 る こ とが この 結 果 か ら も確 認
む
さ れ た 。 し た が っ て モ ノ ク ロ メ ー タ の 透 過 中 心 波 長 をFe3719.9AとNe3713.3Aの
む
(3715A)に
む
中間
む
定 め 、 か つ スペ ク トル ス リ ッ ト幅 を15A程
度 に 設 定 す れ ば 、1本
の ラ ン プか ら分
析 線 と参 照 線 が 独 立 に 得 られ 、 バ ソ クグ ラ ウ ン ド吸 収 の補 正 が 十 分 に遂 行 で き る もの と予 想 さ れ る。
-125一
図5.12Fe分
析 線 とNe発
光 線 の分 離
図5 .13Fe-Ni--CuHCLの
パ ル ス放 電 電 流 波 形
DISC
図5.14M・
次 に2齟
の分 析 線 と・ オン線 の パ・
レス 発 光 波 険
の難
してMg発
たA1《 ⊃・覗 ・HCLのM・
形 の騨
材
び放 騙
黻
光練
蜥
つ い て述 ぺ る。鮪
線2852
・・醍
計 を図5 .・4に 示 す.触
、び 放 驪
畑
形
ど と同 じく幅 ・μ,e,の
㎏ 材
・線2795
.・肋
パ ル スで鵬
し
パル ス発光強 麒
どの ・・の例 と同 じ く、M、 分析 線 発光皴
波形 瞰 驪 黻 形 と廠 棚 であるのに対 し・イオ・勧 瀕 輔 腓 常 脹 い..の 、うな減
鯵
齟
こ こ綱
示 した イ 〃
して ⑫
ては 焔
・ したが ・ て ・ 放 翻
線 だ け で な く・他 のMSイ
オ ・線 、
始 後2・ ∼4・オ・ecの
一izs一
°2798.1A,・8。°2.7Al2対
間 で サ ・ プ リ ・ グ を行 な う こ とた
よ
h、 分 析 線 成 分 の 混 入 の 少 な い 、 イ オ ン線 を 中心 と した ス ペ ク トル が得 られ る こ とに な る。
最 後 の 例 と してCdHCLに
つ い て考 察 す る。 直 流 点 灯 したCdHCLの
発 光 ス ペ ク トル を分 解
む
波 長0.25Aの
モ ノ ク ロ メ ー タ(島
津MAF-1型
む
Cd分
析 線2288.OAの
カ ソ ー ドはCd単
上1本
を ス リ ッ ト幅15オmで
使 用)で 測 定 した 結 果 、
くラ
近 接 線 と して2294A付
体 で 形 成 せ ず 、FeやCuの
近 に1本
の 輝 線 が 観 測 され た 。CdHCLで
は
合 金 と して形 成 さ れ て い る点 を考 慮 す れ ば 、 み か け
む
む
の 輝 線 と し て 観 測 さ れ た も の は 実 はFe(旺)2294.6A,Fe(1)2294.4A,Cu(耳)
む
くユ
く む
2294.4A>Cd2294.3A,Fe2293.8A,Cu(1)2293.8Aな
ど の ス ペ ク トル 線 が 複
雑 に 重 畳 し た も の で あ る と 推 察 で き る 。 図5.15にCd分
析 線 と近 接 線 の 過 渡 発 光 波 形 を 示 す が 、
OISCHARGECURREN丁
3
'
a
X1
ζ
N
≡
(りsec)
図5.15Cd分
析 線 と近 接 線 の パル ス 発 光 強 度 波 形 と放 電 電 流 波 形
こ の図 に お い て近 接 線 発 光 波 形 が複 雑 な形 状 を して い る理 由 と し て 、減 衰 特 性 の異 な った数 本 の 輝
む
線 の重 畳 を 考 え れ ば 納 得 で き る 。 な 澄 、 図 中 に は 近 接 線 の 代 表 と してCd2294.3Aを
あ る。
-127一
記 載 しで
試 作 装 置 の2波
長 分 離 能 力 を評 価
す るた め に 先 ほ どのFe,Ne発
線 と同 様 、M9とCdに
光
つ い て もモ
ノ ク ロ メ ー タ の波 長 走 査(波
は
゜0.5Aに
設 定)を
長 分解
行 な い 、時 間 分
解 スペ ク トル を求 め た 。 そ の結 果 を
図5.16澄
よび 図5.17に
尓すが、
分 析 線 と補 正 線 が は っ さhと
分離 し
得 る こ とが 確 認 さ れ た 。 な澄 、 以 土
の測 定 に 誇 け るパ ル ス 電 流 値 や サ ン
プ リン グ時 刻 な どの 条 件 は表5.4VC
記 され た 通hで
あ る。
図5.16M9分
ANALYSISPARTREFERENCEPART
図517Cd分
析 線 と近 接 線 の分 離
‐ias‐
析 線 と イ オ ン線 の分 離
5.5.バ
ッ ク グ ラ ゥ ン ド吸 収 の 補 正
プレ弘
ア トマ ィ ザ_を
使 用 した 場 合 、 全 消 費型 バ ー ナ ー で は共 存 物 質 と し て高 皴
のN・Cl
が 試 料 中 に 含 まれ て い る時 に バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 の 影 響 が強 くあ らわ れ る 。 こ れ はNaCIの
度 が 高 く、 完 全 に原 子 化 さ れ な い た め に 起 こ る光 散 乱 が 原 因 で あh、
濃
た とえ予 混 型 バ ー ナ ー で も こ
の 影 響 を 無 祝 す る こ とは で き な い 。NaC1粒
・
子 に よ る光 散 乱 が 影 響 を 澄 よぼ す 波 長 域 は ・図5.18
む
に示 す よ うに 糊 域 鈴3…Aま
で で あ る・ と こ ろで ・m汚
染 な どで 問題 と な つ て い るCdや
H9な
ど の重 金 属 を 含 あ て 主 要 な 金 属 の 多 くは この 波 長 域 に 分 析 波 長 を持 つ た め 、海 水 中 や 体 液 中
の 金 属 の 芬 析 に澄 い て は バ ッ グ グ ラ ウ ン ド吸収 に 対 して 十 分 な 注 意 を 払 う必 要 が あ るQ
図5.18NaCIに
よるバ ッ クグ ラウ
ン ド吸 収85)(長
光路 バ ーナ ー
を使 用)
む
本 実 験 の場 合 につ い て考 え る と 、Feの
分 析 波 長 が3720Aで
あh、
こ の 波 長 で はNaCIの
散
乱 の影 響 は ほ と ん ど あ らわ れ な い 。 試 作 装 置 の バ ッ ク グ ラ ウ ン ド補 正 能 力 を評 価 す るた め に は,
む
2000Aか
む
ら4000Aに
が \ 上 記 の理 由 でNaCIは
わ た る波 長 域 で 強 い バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 を 引 き起 こす 物 質 が必 要 とな る
適 当 で あ る とは い え ない 。 一方 、試 料 溶 液 と し て有 機 溶 媒 が 用 い られ
る時 には フ レ ー ム中 に 多 量 の炭 素 粒 子 が 発 生 し、 こ の た め 分 析 光 は 散 乱 さ れ 、強 い バ ソ ク グ ラ ウ ン
ド吸 収 が 起 こ るこ とが 多 い 。zの
よ うな 光 散 乱 に よ っ て 影 響 を受 け る波 長 域 は 紫 外 か ら可 視 に 致 る
広 範 囲 に わ た る。 以 上 の 点 を考 慮 して 、
『パ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 を 増 大 さ せ る 目的 で試 料 溶 媒 と して
エ タ ノ ー ル(試 薬1級)を
使 用 した 。 ま た測 定 中 、試 料 吸 入 時 以 外 は 常 に 純 水(脱
イ オ ン 水)を
フ
レ ー ム 中 に噴 霧 させ 、 水 溶 液試 料 に対 して は バ ッ ク グラ ウ ン ド吸 収 を等 価 的 に 零 とみ な せ る状 態 に
し て い る。3種
の元 素(Fe,M9,Cd)に
つ い て の 二 波 長 原 子 吸 光 分 析 を遂 行 した 際 の ラン プ駆,
動 条 件 な らび に 光 学 系 の波 長 の 設 雉 お よび サ ン プ リン グ時 刻 な ど を ま とめ て 表5.4に
-129一
示 し て お く。
表54試
ANALYTE
作装 置 の動作 条件
I
H C L
MONO CHRO MATOR
Mg
Fe
Fe -Ni -Cu
Central
Wavelength
2290 R
601,,
40R
Anal.
Fe(I)3719.9
Mg(I)2852,1
Cd(I)2288.0
Ref.
Ne (It) 3713.3
Mg(Ji
Fe(11)2294.6
Cu(1)2294.4
DRIVING
PULSE
CURRENT
Anal.
DRIVING
TRIGGER
PULSE
WIDTH
Anal.
Ref.
250
2802.7
2798.1
2795.5
150
mA
320
mA
mA
40
Ref.
35
usec
Ref.
15
usec
5 usec
30
150
usec
40
1
光 線 に よ る参 照 部 、 下 段 はFe共
usec
3
。 図5.19はFeの
吸 光記 録波
鳴 線 に よ る分 析 部 で あ る
ー ル燃 焼 に よ っ て 発 生 す る バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 に 対 し て は 分 析 部
る こ とが ま ず 確 認 され た 。Feを
mA
usec
関 して バ ッ ク グ ラ ウ ン ド補 正 能 力 の評 価 を 行 な う
形 で あ る 。 こ こ で 土 段 はNe発
250
usec
3
Anal.
INTENSITY
INCREASED RATIO
of ANAL. LINE
(Pulsed 1
DC 10mAfat shown
sampling
time
は じめ にFeに
Cd
2830 A
15A
USED
LINES
SAMPLING
TIME
Al-Ca-Mg
3715 R
S B W
Cd
。エタノ
、参 照 部 と も同 量 の 吸 収 を受 け
含 有 した エ タ ノ ー ル に 対 し ては 同 じFe濃
度 の 水 溶 液 試 料 に比 べ
て吸 光 量 が 大 き くな るが 、 しか しそ れ は パ ソ ク グ ラ ウン ド吸 収 が 関 与 す るた め で あ る こ と も は っ き
hと 記 録 さ れ て い る。 した が っ て以 上 の 事 実 か ら、 参 照 部 の信 号 に よ っ て 分 析 部 の 信 号 を補 正 す れ
ば 、 真 の 原 子 吸 光 が 求 ま るこ とが 明 らか と な る。 と こ ろ で 、Feの
水 溶 液 試 料 に対 し て は 参 照 部 に
吸 収 が あ ら わ れ な い のが 理 想 的 で あ るが 、 先 ほ ど も(図5.12)示
した よ うに 、 参 照 部 に わ ず か だ
け分 析 線 成 分 が 混 入 して い る た め 参 照 部 に 少 し吸収 が 生 ず る。 しか しな が ら 、 こ の 吸 収 は 極 く微 量
で あ り実 用 上 無 視 して も差 しつ か え な い。
-130一
図5.20試
作 装 置 と通 常 の 直 流 点 灯HCL
に よ る姫
(ス ペ クrル
図5.19Feに
と の検 量 線 の
0
ス リ ッ ト幅15A)
対 す る 二波 長 吸 光 記 録 波 形
次 に試 作 装 置 に よ るFeの
検 量 線 を 求 め た 。 ま た 、 参 考 の た め光 学 系 は そ の ま ま に し、HCLを
直 流 点 灯 して 通 常 の 方 式 に よ っ て も検 量 線 を 求 め た 。 そ の 際 、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 が 大 きい と 、
補 正 能 力 の な い 単 一 波 長 方 式 と の比 較 が 不 可 能 で あ るた め 、 試 料 は 水 溶 液 と した 。 図5.20に
検量
む
線 の 一 部 を 示 す 。15Aと
直 流 点 灯HCLで
い う広 い スペ ク トル ス リ ッ ト幅 で モ ノ ク ロ メー タ を使 用 し た場 合 に は 、
は 近 接 線 が除 去 さ れ ず に 透 過 し て し ま うが 、 パ ル ス 駆 動HCLで
は 原 理 的 に分 析
部 へ の 近 接 線 混 入 が ほ とん ど な く、 感 度 の 低 下 は起 こ ら な い 。 単 一 波 長 方 式 で は 当然 の こ とな が ら
ス リ ッ ト幅 を狭 め て ゆ く と二 波 長 方 式 と同 等 の 感 度 と な る。
M9とCdVc対
澄 よび 図5.22に
し て もFeと
示 す 。M9とCdで
同 様 、エ タ ノ ー ル溶 液 試 料 の 吸 光 波 形 を 求 め た 。 こ の 結 果 を 図5.21
はFeの
場 合 と異 な り、 分 析 線 を 得 る た め に 過 渡 光 電 流 の 立
ち 上 り部 を サ ン プ リ ン グ し て い る 。 し た が っ て 、 近 接 線 の混 入 率 は サ ン プ リン グ 時 刻 の設 定 の 如 何
に よ っ て異 な る。 す な わ ち 、 放 電 開始 直 後 に サ ン プ リ ン グ を行 な っ た場 合 、 近 接 線 が ま だ 成 長 して
い な い た め に 低 混 入 率 が 達 成 で き、 測 定 感 度 が 高 くな る が 、 そ の 反 面 、 取 得 光 電 流 が 少 な い た め 、
SN比
に 関 して 問 題 が 生 ず る。 本 実 験 で は い ず れ も通 常 の 方 式 と同 程 度 の 感 度 と な る よ う に サ ン プ
リン ク時 刻 を設 定 して あ るが 、 吸 光 記 録 波 形 を 見 る限ESN比
-131一
に 関 して何 等 問 題 は 生 じて い な い 。
図5.21Mgに
対 す る二 波 長 吸 光 記 録 波 形
図5.22Cdに
対 す る二 波 長 吸 光 記 録 波 形
な お 、 サ ン プ リン ク時 点 に 澄 け る各 分 析 線 の 発 光 強 度 と直 流 点 灯10mA時
比 を表5.4に
の分 析 線 発 光 強 度 との
示 して あ る 。
本 方 式 は モ ノ クロ メ ー タ を低 分 解 状 態 で 使 用 して い る た め 、光 量 利 用率 が 向 上 す る反 面 、 フ レ ー
ム発 光 の混 入 が 大 き くな る恐 れ が あ る。Fe,Mg,Cdの3元
素 に対 しては そ の影 響 は ほ とん ど認
め られ な か っ た が フ シ
ー ム中 で の 発 光 が著 し
い元 素 、 た と え ばNa,
Caな
どで は 測 定 誤 差
が 大 き く な る。 そ こ で
最 後 に 今 後 の改 良 点 と
し て 、 よ り完 全 に 種k
の誤 差 を補 正 で き る時
間分 解測 光型 二波 長原
層
図5.23ド
リ フ ト補 償 型 二波 長 分析 装置 の 信 号 処 理 部
一132一
子 吸 光 分 柝 装 置 の構 成 を 示 す 。 図5.23が
試 案 した 分 析 装 置 の信 号 処 理 部 の ブ ロ ッ ク図 で あ る。 こ
こで は,ド リ フ ト補 償 型 の ダ ブ ル ボ ッ クヌ カ ー積 分 器 を2台
一に よhフ
並 列 に 使 用 し、 そ の 出 力 の 比 を と る こ と
レ ー ム発 光 や 暗 電 流 雑 音 成 分 、 な らび に バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 を 同 時 に補 正 で き る よ うに
な つ て い る。
以 上 、 時 間 分 解 方 弐 に よ る二 波 長 原 子 吸 光 分 析 装 置 の 原 理 、 構 成 な らび に実 用性 に 関 して述 べ て
きた 。 従 来 、 光 源 を パ ル ス駆 動 す る 主 目 的 は 高 強 度 を得 る こ と と 消 費 電 力 の 低 滅 に あ っ た 。 第4章
で述 べた 研 究 の 一部 は こ の考 え に 沿 っ た もの で あ る。 そ れ に 対 し 、本研 究 の 特 徴 は 、 時 間 分 解 測 光
法 に よ っ て波 長 の 分 離 を行 な っ た こ と に あ る。 今 ま で の 静的 な 分 光 の概 念 で は 輝 線 の 分 離 は モ ノ ク
ロ メ ー タ な どの 分 光 素 子 に依 らね ば 成 し得 ぬ こ とで あ つ た。 しか し、 こ の よ うに 高 速 測 光 法 に よ っ
て分 離 で き る とい うて とは 、 パ ル ス駆 動 法 あ るい は 高 速 分 光 測 光 法 の新 た な方 向 を示 した も の とい
え よ う。 本 研 究 で は 時 間 分 解 法 を 特 に 原 子 吸 光 分 析 に 応 用 した が 、 こ の技 法 は 発 光 分 析 や け い 光 分
析 な どに も広 く応用 で き る も の と思 わ れ る。
5.6.結
言
時 間 分 解 測 光 型 二 波 長 原子 吸 光 分 析 装 置 を 試 作 し、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 の補 正 を行 な っ た 。
時 間分解 測光 型二 波長 原子 吸光分 析 装置 に っ いて
(1)パ
一
ル ス動 作 ホ ロ カ ソ ー ドラ ン プか ら放 射 され る 過 渡 発 光 線 の 時 間 分 解 ス ペ ク トル を利 用 し
て バ ッ ク グ ラ ウ ン ド補 正 を行 な う方 式 で あ る。 し た が っ て 、 モ ノ ク ロ メー タは 波 長 分離 の た
め で は な く、 バ ン ドパ ス フ ィル タ と して 用 い られ る。
(2)補
正 線 と して は ホ ロカ ソー ド組 成 元 素 の イ オ ン線 あ るい は 封 入 ガ ス 発 光 線 な どの近 接 線 を
利 用 す る。
(3)光
学 系 とし ては 従 来 の シ ン グ ル ビ ー ム の もの が そ の ま ま使 用 で き る。
バ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 の 補 正 に つ い て
(1)バ
ッ ク グ ラ ウン ド吸 収 を増 大 させ るた め 、試 料 溶 媒 と して エ タ ノ ー ル を 使 用 した 。
(2)Fe,M9,Cdの
分 析 に 対 してパ ッ ク グ ラ ウ ン ド吸 収 補 正 能 力 の評 価 を行 な った 結 果 、 十
分 に 実 用 に供 し得 る との 確 証 を得 た 。
問 題 と今 後 の 目標
く1)イ
オ ン線 発 光 に 見 られ る テ ィ リン グ現 象 の原 因 究 明 に向 っ て努 力 して ゆ き た い 。
(2)信
号 利 用 率 に 関 して は 第4章
の結 言 で 述 べ た 事 項 と同 様 、 こ れ を ぜ ひ と も改 善 す る必 要 が
一133一
あ る。
(3)高
精 度 分 析 を遂 行 す る に は フ レ ー ム発 光 の影 響 を 補 償 す る必 要 が あ るが 、 そ の た め の 方 策
は す で に(5.5)節
で述べ た 。
一134一
測 定 ・記 録 装 置 一 覧
オ シ ロ ス コー プ:岩
崎SS-4100G、
帯 域IOMHz
日 立V-1000、
帯 域80MHz
サ ソ プ リ ソ グ オ シ ロ ス コー プ:岩
XYレ
コー ダ:理
崎SAS-5009B、
帯 域1.8GHz
研 電 子F-3C
チ ャ ー ト レ コ ー ダ:日
周 波 数 カ ウ ソ タ:竹
立
『QPD-53
田 理 研TR-5735
デ ィ ジ タ ル ボ ル ト メー タ:横
河2802
デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ:岩
崎VOAC-707
光 電 子 増 倍 管 高 圧 電 源:PowerDesignsPacific2K-10
μ μAメ
ー タ(直
流 増 幅 器):東
亜 電 波PM-18・
入 力 イ ソ ピー
-135一
ダ ソ ス10MB
謝
辞
本研 究は 大阪大 学 工学 部応 用物 理学 教 室藤 田研 究室 に お いて1972年10月
11月
よ り1976年
まで の期間 にわ た って 行 な った もの で あ る.終 りに 臨み、 終 始 懇切 な る御 指 導 を賜 った 大阪
大 学 工学 部藤 田茂 教授 、 な らびに 研究 の細 部 にわ た り貴重 な御 教示 と御 討論 を頂 い た 同工学 部南 茂
ゆ
夫 助 教授、 実 験に 際 し有益 な御 助 言 を頂 いた 同工学 部 助手 内 田照雄博 士 に心 か ら感 謝 の意を あ らわ
す 次 第で あ る.ま た実 験 の遂 行に 当 り、 装 置 の試作、 プロ グラム の開 発 な どに御 協 力 頂いた 元本 工
学 部 大学 院生 石川 典 夫氏 、戎 富雄 氏、 木本 輝代 志氏、 な らびに 図表作 成 にあた り御 尽 力 下 さった本
学 事 務官鶴 谷 美幸 氏 は じめ 研 究室 の皆様 に厚 く御 礼 申 し上 げる.な お、 けい光測 定 に 使 用 した 各種
試料 の作成 、 実験 結果 の解 釈 な どにっ いて は大阪 大学 基 礎工学 部 又賀 舞 教授 の御 援 助 を得 た こ とを
付 記す る.
-136一
関 連 発 表 論 疹文
〔第 璋
〕T,Ar・ki,T,U・hid・
・and
.S,Mi・ami
'ASimplePhotomultipiierGatingCircuit
fortheNanosecondRegion"
Japan,J.appl,Phys,,」5,2421C1976),
〔第2章
〕S.Minami,T.Arak『iT,Uchidaand『K・Kimoto"
'HighSpeedSpectroscopicMeasurementofVeryWeak
RadiationwithMultichannelCoincidenceTechnique"
Japan,J,app1,Phys,,Supp1,14‐x,39(1975),
〔第3章
〕
荒 木 勉,内
田 照 雄,南
茂夫
「 マ イ ク ロ 秒 領 域 に お け る パ ル ス 動 作 ホ ロ カ ソー
ドラ ン プの 過 渡 発 光 特 性 」
分 光 研 究26巻1号(1977).
〔第5章
〕T.ArakiT,Uch{daandS.Minami
"ADual
‐WavelengthAtomicAbsorption
SpectrophotometerusingaPulsedHollowCathode
I_amp"
ApPl.Spectrosc6py誌
嚥
31洛
-137一
ユ雪 ω η 冫
.
参
考
文
献
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一
岨
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場 文 男:分
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