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酵素サーミスター

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酵素サーミスター
ー酵素サーミスターKlaus Mosbach・佐藤生男
熱 測 定 装 置 と して サ ー ミス タ ー (thermistor) を トラ ンス デ ュー サ ー と した 酵 素 セ ンサ ー
は, 酵 素 サ ー ミス タ ー (enzyme
thermistor) と呼 ぼ れ る。 あ らゆ る酵 素 反 応 に は 熱 の 出入
り (エ ン タル ピー 変 化) が 伴 うので, 酵 素 サ ー ミス タ ーは 原 理 上, 最 も普 遍 性 に富 ん だ セ
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ンサ ー とい え る。 わ ず か 一 種 類 の装 置 だ け で, ほ とん どの 酵 素 反 応 の種 類, 数 に対 応 した
基 質 の定 量 分 析 が 可 能 と され るか らで あ る。 こ こで は 酵 素 サ ー ミス タ ー の開 発 の 背 景, 測
定 原 理, 構 成 面 の特 徴 お よび セ ンサ ー と して の特 性 の概 要 を 述 べ,
さ らに 各種 の 生 化 学 分
析 へ の適 用 例 を 紹 介 し, 今 後 の課 題 につ い て も触 れ る こ と とす る。
は じめ に
生物 化学 とエ レ ク トロ ニ ク スの境 界 領 域 の
が 考 え られ る。
間 に酵 素 セ ンサ ー を は じ
これ に 対 して 電 気 化 学 装 置 を 用 いた 酵 素 セ ンサ ー は 安
め, 各 種 のバ イ オセ ンサ ー (biosensor) が 開 発 され た 。
価 で, 既 存 の 実験 室 の設 備 を 用 い て容 易 に, しか も短 期
す なわ ち 酵 素 を 含 め た 生 体 機能 物 質 の固 定 化 技 術 に お け
間 で製 作 され た 。 一 方, 熱 測 定 型 の場 合 に は 次 の よ うな
る著 しい進 歩 と, 電 気 化 学 装 置, 半 導 体 装 置 な ど高 感 度
問 題 点 が あ った 。 まず 第1に,
トラ ン系 デ ューサ ー の実 用 化, 普及 化 が あずかっ た 。
う際, 設 定 温 度 の ドリ フ トを 小 さ く (で きれば ±10^<-3>℃
発 展 を 背 景 と して, この20年
酵 素 セ ンサ ー の特 徴 は 分 子 や イ オ ンな ど特 定 の化 学 種
を選 択 的 に識 別 す る受 容 体 と して の酵 素 と, 酵 素 反 応 に
伴 う生 成 物 や 基 質 の増減 量 を 測 定 す る トラ ンス デ ュ ーサ
ー とを空 間 的 に近 接 させ た 構 成 に あ る。
酵 素 反 応 を定 温下 で 行 な
程 度 に ま で) し, さ ら に 短 時 間 内 に 所 定 の 温 度 で 定 常
化, 維 持 させ る のが 困難 とさ れ た 。 第2に,
サ ー ミス タ
ー の よ うな トラ ンス デ ュー サ ー は わ ず か な 条 件 の変 化 に
鋭 敏 で あ るた め,
ド リフ トや ノイ ズを 伴 い, 再 現 性 の よ
この よ うな構 成 を とる こ とに よっ て, 迅速 な応 答 が 得
い高 精 度 な信 号 を 得 に くか った 。 した が って, セ ンサ ー
られ, しか も反 応 系 物 質 の微 少 な濃 度変 化 を 感 度 よ く測
シス テ ム 全体 の構 成, 操 作, 保 守 な どが 必 ず しも容 易 で
定 す る こ とが 可 能 に な った。
な か った 。
熱 測 定 型 の酵 素 セ ンサ ー で も同様 の 構 成 が と られ, し
と ころ が こ こ数 年 間 に, 微 少 な温 度 変 化 を高 感度 (検
か も原 理 的 に は 普 遍 性 に 富 む とい う点 で ユ ニ ー クな セ ン
出 可 能 な 温 度 差 が 最 高 で10^<-5>℃の 精 度) に 検 出 し, 高
サ ー と考 え られ る。 しか しな が らセ ンサ ー と して の実 用
精 度 の 温 度 制 御 能 を 具 備 した 恒 温 槽 か ら構 成 され た セ ン
化 は電 極 型 に比 べ て 遅 れ た 。 この 原 因 と して, 熱 測 定 機
サ ー シ ス テ ムが 開 発 され た^<1)>。
また 操 作 性, 耐 薬 品 性 も
器 が 従 来 比 較 的 高 価 で, ル ーチ ン分 析 機 器 と して 普 及 し
著 し く改 良 され る に及 び, 表1に 示 す よ うに 多 様 な 種 類
に く く, また 準 断 熱 型 の簡 易 測 定 機 の開 発 が 遅 れ た こ と
の物 質 が 測 定 され, 応 用 範 囲 も多 岐 にわ た る こ とが 明 ら
Klaus
Mosbach,
Pure
and
Applied
Biochemistry,
Chemical
Center,
University
of Lund,
P. O. Box 124,
S-22100
Lund,
Sweden
Ikuo
Satoh,
幾 徳工 業大 学工 業 化 学 工 学科
Chemistry,
The Enzyme
Ikutoku
Technical
(〒243-02
University,
神 奈 川 県 厚 木 市 下 荻 野
Shimo-Ogino,
Atsugi-shi,
1030)
[Department
Kanagawa
243-02,
of Industrial
and
Engineering
Japan]
Thermistor
Key【酵
word
素 サ ー ミ ス ター 】 【微 少 熱 量 測 定 法 】 【固定 化 酵 素 】 【サ ー ミス ター 】 【バ イ オ セ ンサ ー 】
285
4
286
酵 素 サ ー
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表1.
[Mosbach,
K.,
Danielsson,
B.:
Anal.
Chem.,
53,
83 A
(1981)
10 ‚æ‚è‰ü•Ï]
ミ ス タ ー の 各 種 測 定 例
I
酵
素
サ
ー
ミ
か に され た 。 酵 素 サ ー ミス タ ーは, す で に 一 部 実 用 化 さ
ス
タ
ー
43
変 化 量 (⊿H) が あ らか じめ わ か って い れば, こ のエ ンタ
れ, 臨 床 化 学 分 析 に お い て, また 発 酵 プ ロ セ ス の検 出
ル ピー変 化 量 に モ ル 数 (n_p) を 乗 ず る こ とでQの
器^<2)>と
して も利 用 で き る こ とが 報 告 され て い る。
予 測 され る (Q=-n_p×⊿H)。
こ こ で は酵 素 サ ー ミス タ ー につ い て, そ の原 理, 構 成
お よび セ ンサ ー と して の特 性 とい う基 礎 的 側 面 か らの実
度 変 化⊿Tを
値が
した が っ て, 反 応 系の 温
測 定 す れ ば 容 易 に特 定 成 分 の濃 度 を 求 め る
こ とが で き るわ け で あ る (⊿T=-n_p×⊿H/C_s)。
た とえ ば グル コ ー ス酸 化 酵 素 の関 与 す る反 応 系 の エ ン
際 の 適用 例 に つ い て述 べ る こ とにす る。
タル ピ ー変 化 は 表2に
よれ ば, -80kJ/molで
な お酵 素 サ ー ミス ター も含 め て 熱 測 定 型 バ イ オ セ ンサ
ーに 関 し, 総 説, 成 書 が 最 近, 相 次 い で 発 表 され て い
1mmol/lの
る^<1,3∼6)>。
程 度 の温 度 変 化 が 生 ず る と推定 で き る。
グル コ ー ス液 を1ml用
あ る の で,
い る と, 約10^<-2>℃
表2に 示 す よ うに, 酵 素反 応 の 種 類 に よ って, そ れ ぞ
.
酵 素 サ ー ミス タ ー の基 礎
れ エ ンタ ル ピー変 化 量 は 異 な り, この 値 が 酵 素 サ ー ミス
タ ー の セ ンサ ー と して の 感 度 に 直 接 反 映 され る。 また 一
1.
測定原理
般 に は酸 化 還 元反 応 系 に お い て, 加 水 分 解 系 よ りも比 較
酵 素反 応 は通 常, 定 温, 定 圧 下 で行 なわ れ, そ の大 部
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分 は発 熱 変 化 を 伴 う (エ ン タル ピー変 化)。 こ の 熱 変 化
を 簡 易 な 測 定 シス テ ムで 検 出 で きれ ば, 容 易 に反 応 系物
的 大 きな エ ン タル ピ ー変 化 が 伴 い, よ り高 感 度 な測 定 が
可 能 とな る。
Brown
は酵 素 触 媒 反 応 系 の エ ンタ ル ピー 変 化 に つ い
質 を 定 量 で き る こ とに な る。 多 成 分 系 で あ って も, 酵 素
て そ の 数 値 を ま とめ て い る^<7)>が,
デ ー タが い くぶ ん 古 く,
を 受 容 体 と して 用 い る こ とで, 特 定 の 分 子 や イオ ンを選
必 ず し も酵 素 サ ー ミス タ ー で 求 め た 値 と一 致 しな い 。 こ
択 的 に識 別 で き る。 受 容 体 と して, 酵 素 以 外 に も抗 原,
の 分 野 に お け る熱 力 学 的 基礎 デ ー タの 集 積 が 望 まれ る も
抗 体 か ら オ ル ガ ネ ラ, 細 胞 まで 適 用 す る こ とが 可 能 で あ
の で あ る。
る。
受 容 体 に よ り識 別 され た 物 質 は, 触 媒 作 用 に よ り熱 変
化 を伴 い, こ の変 化 が サ ー ミス タ ーを 介 して電 気 信 号 に
変 換 され る。 こ の様 子 を 図1に 模 式 的 に表 わ した。
反 応 系 に お け る 熱 変化 量 をQと
熱 容 量 (C_s) と温 度 変 化 (⊿T)
す れ ばQは
そ の系 の
との積 で与 え られ る (Q
=C_s×⊿T)。 また そ の系 の1モ ル 当た りの エ ンタ ル ピー
2.
特
徴
トラ ンス デ ュー サ ー と して 熱 測 定 装 置 を あ る い は電 気
化 学 装 置 の い ずれ を 用 い て も, 酵 素 セ ンサ ー と して は共
通 の 特性 が もた ら され る。 す な わ ち 固定 化 酵 素 (immo
bilizedenzyme)
を 分 子 識 別 素 子 と して用 い て い る 点 に
関 して 等 価 で あ り, しか も トラ ンス デ ュー サ ー と して も
図1.
酵 素 サ ー ミス タ ー の 測 定 原 理
* 形態 :粒状
, 膜 状, チ ュー ブ状
287
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44
288
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 30
No. 4
(1985)
表
酵
表3.
素
サ
ー
ミ
ス
酵 素 サ ー ミス タ ー の セン サ ー特 性
タ
ー
45
ぐれ た ユ ニ ー クな セ ンサ ー とい え る。
た だ し後 述 す る よ うに, 反 応 系 の わ ず か な 条 件 変 化 で
も サ ー ミス タ ー は鋭 敏 に 応 答 し, 酵 素 に よ る触 媒 反 応 以
外 の要 因 に よる非 特 異 的 な 熱 変 化 を 検 知 して しま う欠 点
が あ る。 こ の 点 につ い て は, 熱 測 定 にお け る温 度 変 化 の
検知 方 法 を 改善 す る こ とで, 解 決 され 得 る こ とが示 され
た。
この よ うな 特性 は, 多 成 分 か ら な る試 料 液 の注 目成 分
の 直 接 測 定 に 好都 合 で あ る。 した が っ て, 臨 床 化 学 分 析
に お け る体 液 の 分 析 に 適 用 して各 種 疾 患 の診 断 に, ま た
食 品 工 業 や発 酵 工 業 に お け る プロ セ ス計 測 へ の応 用 な
ど, 広 範 な 利 用 が 期 待 され るわ け で あ る。
3.
構
成
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酵 素 サ ー ミス タ7は,
共 通 の利 点 を併 せ もつ 。 これ らを 表3に
ま とめ て 示 す 。
表3に 見 られ る よ うに, 酵 素 サ ー ミス タ ー の最 も際 立
った特 徴 は, 通 常 第 一 段 階 の酵 素 反 応 だ け で十 分 に定 量
固 定 化 酵 素 とサ ー ミス タ ー とを
空 間 的 に きわ め て 近 接 させ た 配 置 の セ ンサ ーで あ る。 そ
の組 合 せ 法 に よっ て, 表4の
よ うに, 密 着 型 と分 離 型 に
大 別 され る。
分 析 で き る 点 に あ る。 た とえば 吸 光 光 度 法 に基 づ くセ ン
ど の方 式 にお い て も 長 所, 短 所 が あ り, 一 概 に は評 価
サ ー に お い て は, 特 定 の補 酵 素 も し くは 色 原 体 な ど の試
で き な い。 む しろ利 用 目的 に よ って 選 択 す る こ とが 望 ま
薬 が必 要 とされ る場 合 が しぼ しば あ り, そ のた め第2,
しい。 け れ ど も汎 用 性 とい う観 点 か ら と らえ れ ば, カ ラ
第3の 逐 次 反 応 系 が定 量 に必 須 とされ る こ とが 多 い。 同
ム分 離 方 式 が最 も実 用 的 と言 え よ う。 な ぜ な ら固 定 化 酵
様 に電 気 化 学 的 方 法 に お い ては, 反 応 系 に電 極 活 性 物 質
素 を充 填 した カ ラム を 迅 速 に 交 換 す る こ とが で き, 操 作
の 存在 が必 要 で あ り, 第1段 階 の反 応 だ け で は直 接 定 量
性, 保 守 性 にす ぐれ,
で きな い場 合 もあ る。 また 電 極 活 性 種 の 種 類 に よっ て
それ ゆ え, こ の型 の酵 素 サ ー ミス タ ー の研 究 例が 最 近 で
は, 異 種 の 電気 化 学装 置 の選 択, 使 い分 け をせ ねば な ら
は 多 く報 告 され る よ うに な っ て い る^<3)>。
な い。
A.
酵 素 サ ー ミス タ ー で は 以上 の よ うな ほか の セ ンサ ー に
お け る難 点 が ま っ た くな く, した が っ て最 も汎 用 性 にす
表4.
酵 素 サ ー
〓 : 固定
化酵 素 〓
シ ス テ ム化 しや す いか らで あ る。
固 定 化酵 素
分 子識 別 用 素 子 と して 固 定 化 酵 素 を用 い る と, 表3に
列 挙 した よ うな セ ンサ ー特 性 が得 られ る。 固 定 化 酵 素 の
ミ ス タ ー の 構 成
と 特 性
サ ー ミスター
289
46
蛋 白 質
核 酸
酵 素
No. 4
(1985)
担 体 と して 要 求 さ れ る条 件 を よ く満 た して い る材 料 に 多
3)
抵 抗 値 が 大 き い の で, 大 き い 出 力電 圧 を得 や す い。
孔 性 ガ ラ ス (controlled-pore
4)
経 済 性 が 高 く, 取 扱 いが 比 較 的 容 易 で あ る。
が あ る。CPGは
500∼650℃
glass, 以 後CPGと
略す)
未 分 相 の ホ ウケ イ 酸 ソー ダ ガ ラス を
サ ー ミス タ ー の抵 抗 値 の変 化 を 測 定 す る こ とで, 温 度
で熱 処 理 して 分 相 ガ ラス と した の ち, 70℃
変 化 の測 定 が な され る。 そ のた め に は チ ョ ッパ ー増 幅 回
に お い て 約5%の
鉱 酸 で処 理 して製 造 さ れ る。 そ れ ゆ え
路 を備 えた ホ イ ー トス トンブ リ ッジが 用 い られ, 温 度 の
SiO_2の 純 度 が きわ め て 高 い ガ ラス で あ り, 無 数 の 連 続
変 化 は不 平 衡 電 位 と して記 録 型 に 出 力 され る。 サ ー ミス
した 細 孔 を 有 す^<8)>。
ター の温 度 特 性 は非 線 形 で, 測 定 で き る温 度 範 囲が ほ か
この よ うに して 作 られ るCPGは
以 下 の よ うな諸 特 性
を 具 備 して い る。
1)
変 化 に 対 し, 細 孔径 が変 わ らず, 膨 潤, 収 縮
を 伴 わ な い。
2)
りす る こ と で, 十 分 に実 用 に耐 え得 る測 定 シ ス テ ムが 開
発 され た^<1)>。Danielssonらに よ り設 計 され た ブ リ ッジを
用 い る と, 記 録 紙 上 で フ ル ス ケ ー ル を100mVと
単 位 重 量 当 た りの 表 面 積 が 大 き く (20∼200m^2/
機 械 的 に強 固 で耐 圧性 に富 み, フ ロー システ ム用
の担体に適す。
合, 10^<-3>℃に相 当す る 出 力 が 得 られ, そ の精 度 は 最 高
度 の試 料 で も測 定 が可 能 とな る。
C.
4)
細 菌, カ ビな どに対 し安 定 で あ る。
5)
平 均 孔 径 が50∼4,000Å
温 度変 化 の検 知 方 法
酵 素 反 応 に伴 っ て生 じる熱 変 化, す なわ ち温 度 変 化 の
の範 囲 の, しか も細 孔 径
分 布 の狭 い ガ ラスが 得 られ る の で, 基 質 の分 子 径 に
検 知 方 法は,
図2に 示 した よ うに3つ の方 法 に大 別 され
(a) シングル法
応 じた 選 択 が で き る。
した が って, 酵 素 サ ー ミス タ ー用 の固 定 化 担 体 と して
き わ め て 有 用 で あ る 。 た だ し, ガ ラス の製 法上, 製 品 の
価 格 が 割 合 に 高 い とい う難 点 も あ る。
酵 素 をCPG上
に 固 定 化 す るに は, Weetall
ら に よっ
て 開発 さ れ た 共 有 結 合 法 が よ く用 い られ る^<9)>。
す なわ ち
酸 性液 中 で ア ル キ ル ア ミノ化 した の ち, 中性 域 で グ ル タ
ル ア ル デ ヒ ド化 し, ガ ラス上 の ア ル デ ヒ ド基 と酵 素 分 子
中 の主 と して ア ミ ノ基 との間 で シ ップ塩 基 を生 成 せ しめ
る方 法 で あ る。
CPG以
外 に も, 多 糖 類 ゲル
(セ フ ァ ロー スや ア ル ギ
ン酸 塩 な ど) あ る い は ナ イ ロ ンな ど の プ ラス チ ッ ク類 を
利 用 す る こ とが で き る^<10)>。
B.
サ ー ミス タ ー
半 導 体 の 一 種 で あ る サ ー ミス タ ー (thermally
tiveresistor,
略 して Thermistor)
sensi
は 温 度 の変 化 に鋭 敏
に応 答 して 抵 抗 値 が著 し く変 わ る とい う特 性 を有 す 。 酵
素 サ ー ミス タ ー に 用 い られ る の は 直 径 が約1mm前
後
の ビ ー ド状 の製 品 で, 金 属 酸 化 物 の粉 末 を成 形, 焼 結 し
た の ち, ガ ラ ス で被 覆 した も の で あ る。 こ の サ ー ミス タ
ー に は 次 の よ うな 特微 が あ る。
1)
温 度 係 数 (-4.5%/℃)
が 金 属 と比 較 して10倍
も大 き く高 感 度 で あ る。
2)
微 小 で あ るた め 応 答 の遅 れ が 少 な く, 熱 容 量 も小
さ い。
290
した 場
10^<-5>℃とな る。 そ れ ゆ え, 10^<-5>∼10^<-6>mol/lと
い う低 濃
g), 微 小 な 空 間 に大 量 の酵 素 を 固 定 化 で き る。
3)
の熱 測 定 装 置 と比 べ て狭 い とい う性 質 も あ る。 しか し,
酵 素 反 応 に伴 う熱 変 化 は大 き くな く, 互 換 性 を もた せ た
温 度 のみ な らず, 溶 液 中 に お け る 溶 媒 の種 類,
pHの
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Vol. 30
図2.
温 度変化検 知方法
酵
素
サ
ー
ミ
ス
タ
ー
47
異 に よって も起 こ る。 こ の よ うな熱 変 化 が 無視 され 得 な
い 系 に 対 して は, ス プ リ ッ トフ ロー方 式 の 構成 を とる こ
と で, そ の影 響 が 補 償, 回避 され 得 る。
こ の方 式 で は2個
の カ ラ ムが 必 要 と され, そ れ ぞ れ の
カ ラ ム の 出 口 にサ ー ミス タ ーが 接 合 され る。 カ ラ ムの 片
方 は酵 素 活 性 を 保 持 して い る も の で あ り, も う片 方 は 変
性 に よ り触 媒 活 性 を 失 った 参 照 カ ラ ムで あ る。 非 特 異 的
な熱 変 化 が 活 性 カ ラ ム お よび参 照 カ ラ ム のい ず れ で も同
じ よ うに生 ず る な らば,
2個 の サ ー ミス タ ーか ら得 られ
る信 号 は, ち ょ うど触 媒 活 性 に の み 由来 す る正 味 の熱 変
化 のみ を呈 示 す る こ とに な る。
一方
, ス プ リ ッ トフ ロー方 式 で は シ ス テ ム の構 成 の複
雑 さ を増 し, さ らに両 カ ラ ムを通 過 す る キ ャ リア溶 液 の
速 度 を ほ ぼ等 し く制 御 せ ね ば な らず, 多 少 操 作 性 に欠 け
る き らい が あ る。
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図3.
トリオ レイン に対 す る酵 素 サ ー ミス タ ー の
D.
測定システムと操作
応 答 曲線
矢 印 は トリオ レイン の注 入 時 点 を 示 す 。
[Anal. Chim. Acta,
131, 255 (1981)
酵 素 サ ー ミス ター の フ ロ ー型 測 定 シ ス テ ムを 図4に 示
よ り改 変]
す 。 温 度計 測 デ バ イ ス部 を 除 け ば, シ ス テ ム の構 成 に は
通 常 の 液体 ク ロマ トグ ラ フ ィ ー用 の部 品 を そ の ま ま適 用
る。
a.
で き る。
シ ング ル 法
こ こで は, サ ー ミス タ ー が 固 定 化酵 素 の充 填 さ れ た カ
a.
予備操作
ラ ム の出 口に 近 接 して 装着 さ れ て い る 。構 成 が 簡 素 で あ
恒 温 槽 を 設 定 温 度 に 制 御 した の ち, シス テ ム全 体 に キ
るた め, セ ンサ ー シ ステ ムの 製 作 が 容 易 で あ る。 そ の 反
ャ リア溶 液 を通 液 す る。 キ ャ リア溶 液 に は 固 定化 酵 素 の
面, 測 定 上 か らは反 応 系 に お け る設 定 温 度 の 制 御 能 に 依
活 性発 現 に 最 適 の 緩衝 液 を 用 い る。 通 液 に は脈 流 の少 な
存 して,
い チ ュ ー ブ式 ロ ー ラー 微 量 定 量 ポ ンプ が適 用 さ れ, 流 量
ド リフ トが大 きい 欠 点 が あ る。 した が って, 微
少 な温 度 変 化 を 精 度 よ く測 定 す るの は 必 ず し も容 易 で な
制 御 能 (通 常, ±1%以
い。 また 非 特 異 的 相 互 作 用 に 起 因 す る熱 変 化 の影 響 を 受
い る こ とが 要 求 され る。 フ ロー シ ス テ ムに お け る圧 損 失
けや す く, 応 答 曲線 上 に, 正 も し くは 負の 誤 差 を 伴 い,
が 高 く, 脈 流 を 解 消 しに くい 場 合 に は, ポ ン プの 次 に 脈
しか も図3に 示 す ピ ー クに テ ー リ ング現 象 を 生 ぜ しむ る
流 緩 衝 器 (ダ ンパ ー) を 接 続 して補 償 す る。
b.
こ とが あ る。
b.
内 に お さ ま る こ と) がす ぐれ て
試料の導入
ベ ー ス ラ イ ン の ドリフ トが 認 め られ な くな った のち ,
デ ィフ ァ レン シ ャル 法
こ の方 式 にお いて は 一 対 の温 度 特 性 の等 しいサ ー ミス
3方 向 また は ル ー プ式 も し くは セ プ タ ム式 のバ ル ブを 通
タ ー が固 定 化 酵 素 カ ラ ム の両 端 に設 置 され, 両 者 間 の温
じて, 測 定 試 料 を フ ロー系 に導 入 す る。 キ ャ リア溶 液 の
度 差 が検 出 され る。 した が って, シ ング ル方 式 と比 べ,
通 液 速 度 が 比 較 的 遅 ければ,
ベ ー ス ライ ンの ドリフ トは か な り改 善 され, よ り高 感 度
あ る結 果 が 得 られ る。 そ の上, 導 入 量 を 連 続 的 に, 簡 易
な測 定 が な され 得 る。 また フ ロ ー シ ス テ ムに お い て は,
に変 え る こ とが で き, 融 通 性 に 富 む 。
3方 向 バ ル ブ で も再 現 性 の
ポ ンプ の蠕 (ぜん) 動 的 送 液 法 に起 因 す る脈 流 が 原 因 と
これ に 対 す るに, ル ー プ式 バ ル ブは 比 較 的 高 い 通 液 速
な っ て, ベ ー ス ラ イ ン上 に ひ げ 状 の ノ イ ズが 観 察 され る
度 で フ ロー系 を 用 い る際 に有 用 で, さ らに 再 現 性 のす ぐ
こ とが あ るが, 本 方 式 に お い て は解 消 さ れ る 利 点 も あ
れ た 結 果 が 得 られ や す い。 ま た 同 じ条 件 下 で微 少 量 の試
る。
料 を 注 入 す る に は セ プ タ ム方 式 のバ ル ブを 利 用 す る と よ
い 。 こ の よ うに 測 定 試 料 の導 入 は 連 続 的 に も間 欠 的 に も
c. ス プ リ ッ トフ ロー 法
非 特 異 的 な熱 変 化 は 試 料 液 中 に含 まれ る成 分 と固 定 化
酵 素 間 の非 触 媒 的 相 互 作 用 に よ り生 じる。 また キ ャ リア
溶 液 にお け る イ オ ン強 度 やpH,
粘度 な どのわ ず か な 差
な され 得 る。
c. 恒 温 槽 と温 度 測定
試 料 は キ ャ リア溶 液 と と もに 恒 温 槽 に送 られ, 熱 交 換
291
蛋 白 質
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48
図4.
核 酸
酵 素
Vol. 30
No. 4
(1985)
酵 素 サ ー ミス タ ー の フ ロー型 測 定 シス テ ム
器 を 経 て 酵 素 カ ラム に到 達 し, カ ラ ムを 通 過 す る際 に触
トス トン ブ リッ ジ とを組 み 合 わ せ る こ とに よ り, ル ー チ
媒 作 用 を 受 け, 熱 変 化 が生 じる。 こ の熱 変 化 は キ ャ リア
ン分 析 用 の準 断熱 型 プ ロー熱 測 定 計 と して, 非 常 に実 用
溶 液 に 伝 達 され, サ ー ミス タ ー接 合 部 に お い て, 温 度 変
性 の高 い も の とな った 。
化 と して 検 出 され る。
熱 測 定 型 の酵 素 セ ンサ ー研 究が 緒 につ いた こ ろ は, 恒
4.
セ ンサ ー特 性
温 槽 の熱 媒 体 と して水 が 使 わ れ た 。 した が って, フ ロー
A.
応 答 と 測定 範 囲
系 か ら の キ ャ リア溶 液 の漏 れ な ど保 守, 点 検 にお け る操
a.
応答 特 性
作 性 に劣 り, しか も ベ ー ス ラ イ ンが 定 状 状 態 に達 し, ド
酵 素 サ ー ミス タ ーを 用 い る と, 図3に 示 した よ うな 応
リフ トが 僅 少 に な る ま で数 時 間 も要 す る こ とが まれ で は
答 曲線 が 得 られ る^<11)>。
導 入 さ れ る試 料 液 の 容量 は0.5ml
な か った 。
以 下 で, 十 分 な感 度 が 得 られ る。応 答 曲 線 の 形 態 は 主 と
Danielsson
ら は空 気 を 熱 媒 体 とす る 円筒 状 の ア ル ミ
して キ ャ リア溶 液 の通 液 速 度 に 依 存 し, 高 速 に な るほ ど
製 の恒 温 槽 を設 計 す る こ とで, これ らの問 題 点 を解 決 し
鋭 い ピー クが 得 られ る。 また 多 成 分 を 含 ん だ 試 料 液 を 適
た 。また, こ の恒 温 槽の 温 度 制 御 に は パ ワー トラ ンジ ス タ
用 した 場 合 に は, 酵 素 触 媒 反 応 以 外 の要 因 に よ り生 ず る
ーが 使 用 され , さ ら に高 感 度 の増 幅 器 を 接 続 した ホ イ ー
非 特 異 的 熱 変 化 のた め, テ ー リン グ現 象 が 認 め られ る こ
292
酵
素
サ
ー
と もあ る。
ス
タ
ー
さ) は6m℃
試 料 液 の注 入 量 を 増 加 させ る と, ピ ー クの高 さは 次 第
49
か ら120m℃
ま で 直 線 的 に 増 大 す る^<12)>。
検 出 下 限 濃度 に つ い て は 重 金 属 イ オ ン (Hg^<2+>,Cu^<2+>)
に大 き くな り, つ いに は プ ラ トーを 示 す よ うに な る 。 こ
の 場 合, 10^<-9>mol/lまで高 感 度 に 測 定 で き る と報 告 され
の プ ラ トーは 酵 素 カ ラ ムに お け る基 質 の転 換 速 度 が 一 定
て い る^<13)>。
とな り, 熱 的 に定 常 状 態 (反 応 系 に お け る発 熱 量が 見 掛
け 上, 時 間 変 化 に 依 存 しな くな る状 態) に あ る こ とを示
してい る。
また 検 量 線 の 傾 きは, さ きに 述 べ た1),
2) の要 因 の
影 響 が 大 き く, グル コ ー ス の測 定 例 で は1mmol/l当
り約10m℃
着 目 した 酵 素反 応 の エ ン タル ピー変 化 が比 較 的 小 さ い
た
と な り, トリ グ リセ リ ド (ト リオ レイ ン)
の測 定 と比べ, 約10倍
高 い感 度 を 示 して い る。
場 合か, 酵 素 カ ラ ムの 活性 が低 い場 合, あ る い は また 基
c.
質 農 度 が 低 くて, 微 少量 の測 定 液 で は温 度 変 化 の検 出が
酵 素 反 応 の熱 変 化 が 少 な く, 十 分 な 温 度 変 化 を 検 出 で
感 度 の増 幅
む ず か しい よ うな場 合 に, プ ラ トー値 の測 定 は有 用 で あ
き な い場 合, 比 較 的 熱 変 化 量 の大 き い酵 素反 応 と組 み 合
り, 約2∼5倍
わ す こ と に よ って, あ る いは 緩 衝 液 を 適 切 に 選 択 す る こ
の感 度 (ピ ー ク高 さ) が 得 られ る。 た だ
し, 測 定 液 の大 量 の消 費 と1回 の測 定 に要 す る時 間 が 長
くな る の は避 け られ な い。
とに よ り, 検 出可 能 な濃 度 範 囲を 拡 大 で き る。
前 者 の例 と して, グ ル コ ー ス の測 定 に グル コ ー ス酸 化
これ に対 して微 少 量 の試 料 (10μl) で も十 分 な 応 答 が
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ミ
得 られ る場 合 に は, 通 液 速 度 が1ml/minの
と き1回 の
測 定 は2分 間以 内 に終 了 して しま う。
とこ ろ で応 答 に要 す る時 間 は, 温 度 変 化 の測 定 法 で 行
な う と, ピー クの立 上 りか ら ピ ー クを 経 て 元 の ベ ー ス ラ
イ ンに戻 る ま で の時 間 に 等 しい 。 も し, よ り速 い応 答 が
必 要 とされ る場 合 に は, ピ ー クの 上 昇 勾 配 を測 定 す れば
酵 素 を 単 独 で 用 い た 場 合 と, カ タ ラ ー ゼ を さ らに 共 存 さ
せ て 用 い た 場 合 との 比 較 を あげ られ る。 こ こで は 検 出 上
限 濃 度 が0.4mmol/lか
ら0.7mmol/lと
の 検 量 線の 傾 き も約2倍
に増 加 した 。 な お カタ ラー ゼ を
介 在 させ る こ とで, 次 式 の よ うに 最 初 の反 応 で 消 費 され
D-グル コ ー ス+O_2
→^<
グルー ス酸化酵素>
よ く (た とえば 微 分 回 路 を 用 い た 信 号 処理 を 行 な う),
測 定時 間 は 半 減 され る。Danielsson
な り, また そ
D-グ ル コ ノ-δ-ラ ク トン+H_2O_2
H_2O_→^<カ
タラーゼ>H_2O+1/2O_2
らは グルコ ー ス濃
度 の測 定 に お い て, ピー クの 高 さ, ピー ク面積, 上 昇 勾
た酸 素量 の50%を
配 の三 者 間 の濃 度 依 存 性 を 検 討 し, 互 い に 直線 的 関係 が
る。 した が っ て, 酸 素 分 子 の拡 散 律 速 に 起 因 す る影 響 を
成 り立 つ こ とを 例 証 して い る^<1)>。
補 償 し, 直 線 範 囲 の拡 大 に 寄 与 して い る効 果 も考 え られ
b.
検 量 線
る。
酵 素 セ ンサ ー と して重 要 な 特性 の1つ は, 測 定 可 能 な
濃 度 範 囲 (検 出 限 界濃 度 の上 限 と下 限) で あ り, 検 量 線
の 傾 きは 感度 の指 標 とな る。 これ らは 次 の よ うな要 因 に
よ って支 配 さ れ る。
1)
グル コー ス の 酸 化 反 応 に 供 給 し得
一方
, 後 者 の例 と して, カ ル ボ ン酸 エ ス テ ルや リ ン酸
エ ス テ ル の加 水 分 解 の反 応 熱 は き わ め て 小 さい の で, 直
接 こ の反 応 の温 度 変 化 を 測 定 す る こ とは 困 難 で あ る。 こ
うした 場 合, プロ トン化 可 能 な トリスー塩 酸緩 衝 液 を キ
酵 素 反 応 の種 類 に よ っ て, エ ンタル ピ ー変 化 量 が
異 な る (表2参 照)。
ャリ ア溶 液 と して 用 い る。 エ ス テ ル の 加 水 分解 反 応 で 生
成 され た 酸 の キ ャ リア溶 液 へ の プ ロ トン化 熱 を 検 出 す る
2)
酵 素 カ ラ ム の触 媒 活 性 。
こ とで,
3)
基 質 自体 あ るい は 生 成 物 に よ る酵 素反 応 の 阻 害。
ス ヒ ドロキ シ メチ ル ア ミノ メ タ ン-塩酸 系 に お け る プ ロ
4)
酸 化 酵 素 系 の反 応 の よ うに 基 質 が2分 子 以 上 関 与
す る場 合,
基 質間 の 相 対 的 存 在 比 の 影 響 を 受 け る
(た とえ ば 溶 存 酸 素 の 拡 散 が 律速 因 子 とな る)。
測 定 濃 度 範 囲 の 比 較 的広 い 例 と して は, 尿 素 につ い て
0.02∼500mmol/l,
ペ ニ シ リンGに つ い て0.01∼500m
mol/l, セ フ ァ ロ スポ リンで0.005∼10mmol/lと
い う例
が あ げ られ る。 さ らに最 も広 い測 定 範 囲が 得 られ て い る
の は シ ョ糖 の場 合 で あ る。 シ ョ糖 濃 度 が0.05mmol/lか
ら100mmol/lに
変 化 す る 間 に, 温 度 変 化 (ピ ー クの高
ト リグ リセ リ ドの測 定 が な さ れ た^<11)>。
なお トリ
トン化 熱 は-47.48kJ/molで
液^<15)>と
比 べ 約10倍
B.
あ り^<14)>,
リン酸塩緩衝
大 きい 。
キ ャ リア 溶 液 の 通 液 速 度 の 影 響
サ ー ミス ター は キ ャ リア溶 液 の通 液 速 度 が 変 わ る と鋭
敏 に応 答 し, 記 録 紙 上 で ベ ー ス ライ ンが ドリフ トす る。
む しろ, ベ ー ス ラ イ ンの ドリ フ トか ら通 液 速 度 の微 小 な
変 化 を認 め られ る ほ どで あ る。
通 液 速 度 は セ ンサ ー の応 答 性 お よび 操 作 性 に, 長 短 両
様 の影 響 を 及 ぼす 。 ま ず通 液速 度 が 増 加 す る と, 酵 素カ
293
50
蛋 白 質
核 酸
酵 素 Vol. 30 No. 4 (1985)
ラ ム内 で 生 じた 熱 変 化 が カ ラ ム の周 囲 に拡 散, 移 動 す る
間 連 続 して測 定 し, そ の 平 均 に つ い て は2%の
前 に た だ ち に サ ー ミス タ ー接 合 部 へ 伝 え られ る。 した が
り, きわ め て 再 現 性 の よい 結 果 が 報 告 され て い る^<18)>。
って 伝 導 効 率 が よ く, 検 出感 度 が 向上 す る。 また 迅 速 性
E.
が 増 す の で鋭 い ピー クを示 す 応 答 曲線 が得 られ, 短 時 間
酵 素 セ ンサ ーの 特 徴 の1つ に, 試 料 を と くに前 処 理 し
内 に多 数 の測 定 試 料 を 分 析 で きる。
妨害成分の影響
な くて も直 接, 適 用 で き る点 が あ る。酵 素 サ ー ミス タ ー
そ の反 面, 酵 素 カ ラム の 活 性 が 比較 的低 い場 合 に は,
反 応 の転 換 率 が 減 少 す る た め, 十 分 な 熱 変 化 を 得 が た
く, 感 度 が低 下 す る。 操 作 上 の 問 題 点 か ら見 れば,
につ い て も, 回 収 率 や 従 来 の 測 定 法 と の相 関 性 を 検討 す
る こ とで^<19)>,
この利 点が 明 らか に さ れ て い る。
カラ
す なわ ち共 存 成 分 の影 響 を 比 較 的 受 け に く く, また 吸
ム 内 に お け る 固 定 化物 間 の 摩 耗 や 圧 縮 が 生 じ や す く な
着, 溶 媒 和, 粘 度, 稀 釈 な ど に よ り生 じる非 特 異 的 熱 変
り, ま た フ ロー ラ イ ンの 接 合 部 に お け る漏 液 対 策 を 厳 密
化 は温 度 変 化 め検 知 方 式 を ス プ リ ッ トフ ロー法 に す る こ
に 行 な う必 要 性 が あげ られ る。
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偏 差 とな
とで, これ らの影 響 を 回避 で き る。 実 際 の測 定 に際 して
さ て通 液 速 度 と温 度 変 化 の応 答 性 と の関 係 に つ い て
む しろ 注 意 す べ きこ とは, 固定 化 前 の酵 素 標 品 中 に共 存
は, 酵 素 カ ラ ム の触 媒 活 性 の高 低 に よ り, 異 な った プ ロ
す る ほ か の 微量 酵 素 で あ る。 この夾 雑 酵 素 が 固 定 化 物 中
フ ィル が 得 られ る。 活 性 が 十 分 に高 い 場 合 に は, 生 じる
に 存在 す る と, ノイ ズの原 因 とな り, しか も測 定 の原 理
熱 変 化 とそ の検 知 効 率 との兼 ね 合 い か ら最 適 通 液 速 度 の
上 そ の 影 響 を 除 きに くい の で, 十 分 に 注意 す る必 要 が あ
存 在 が 認 め られ る^<11,16)>。
これ に対 して 活 性 が 低 い場 合,
る。 た とえば 市 販 品 の ク レア チ ニ ンイ ミノ ヒ ドラ ー ゼ に
通 液 速 度 の増 加 に伴 い, 応 答 ピー クは単 調 に低 くな る傾
は 微量 の ウ レア ーゼ が 混 入 して い る た め, 血 清 中 の ク レ
向 が あ る。
アチ ニ ン 量を 測 定 し よ うと して も, 尿 素 の 加水 分 解 熱 が
C.
関 与 して し まい, 正 確 な 測 定 を 妨 げ て い る。
安 定 性
セ ンサ ー の 出 力 の経 時 的変 化 は酵 素 カ ラム の活 性 変 化
に よる とこ ろが 大 きい。 これ に は固 定 化 酵 素 自体 の活 性
II.
酵 素 サ ー ミズ タ ー の 応 用
変 化 に よる も の と, 測 定 試 料 や キ ャ リア溶 液 中 に混 入 す
る夾 雑 物 に 由来 す る も の とが あ る。
1.ク ロ マ トグ ラ フ ィー へ の 応 用
酵 素 が 固 定 化 さ れ る と, 化 学 的 に も物 理 的 に も よ り安
生 体 物 質 よ り各 種 成 分 を 相 互 に分 離, 精 製 す る手段 と
定 に な る の は周 知 の こ とで あ る 。 カ タ ラー ゼ や グル コー
して, イ オ ン交 換, ゲ ル濾 過 な ど の カ ラ ム クロマ トグ ラ
ス酸 化 酵 素 あ る い は ウ レア ー ゼ の 固 定 化物 を酵 素 サ ー ミ
フ ィーが 広 く行 なわ れ て い る。 と くに補 酵 素 や 基質 の ア
ス タ ー に適 用 した 例 で は, 2∼3カ
ナ ロ グを リガ ン ドと して用 い た ア フ ィニ テ ィ クロマ トグ
月 間 に わ た って 活性
の 低下, つ ま り出 力 の 低 下 は ほ とん どみ られ な い^<1)
>。
ま た酵 素 の 比 活 性 が 低 い か, あ るい は 安 定 性 に 劣 る よ
ラフ ィー の進 展 に は著 しい も の が あ る。
こ の よ うな ア フ ィニ テ ィ ク ロマ トグラ フ ィーに お い て
うな場 合 に は, 担 体 当 た りの 酵 素 の固 定 化 量 を 増 す こ と
は, 担 体 に 吸着 され た酵 素 を溶 離 させ るた め, 展 開 液 こ
(た とえば 数 百IU/ml)
で, あ らか じめ 活 性 低 下 を補 償
補 酵 素 が添 加 され る こ とが 多 い。 た とえ ば, ニ コ チ ン ア
して お く こ とが 可 能 で あ る。 また 可 逆 的 固 定 化 法 を 採 用
ミ ドア デ ニ ン系 の補 酵 素 が脱 水 素酵 素 の溶 出 に用 い られ
して カ ラ ムを 再 生 使 用 す る方 法 も考 案 され てい る^<17)>。
る。 この補 酵 素 は紫 外部 に強 い 吸収 を示 し, 溶 出 され た
一 方 , 試 料 中 の夾 雑 不 溶 性 成 分 に よる カ ラ ム の 目詰 ま
画 分 中 に も混 入 す る の で, カ ラム よ り溶 離 され た 酵 素 蛋
りに つ い ては, ラ イ ンフ ィル タ ーを シ ス テ ム に接 続 す る
白質 を 吸 光 光 度 法 で 選択 的 に 測 定 す る の は 困難 で あ る。
こ とで, ほ とん ど検 出感 度 の低 下 を招 くこ とな く解 決 さ
こ うした 場 合, 検 出 原理 の 異 な る酵 素 サ ー ミス タ ー を
れ る。
D.
用 い る と, 酵 素 活 性 を 示 す 画 分 の み を, 連 続 的 に測 定 し
得 る こ とが 報 告 され, 酵 素 セ ンサ ー と して の ユ ニ ー クな
再 現 性
測 定 試 料 の容 量 の注 入精 度 は セ ンサ ー の 出 力 の再 現 性
特 性 が 明 らか に され た^<20)>。
図5に そ の 測 定 シス テ ム を示
に 大 き く影 響 す る こ とが 多 い 。 ル ー プ 式 イ ンジ ェ クタ ー
す 。 分 離 カ ラ ムか らの 溶 出 液 は 分 岐 路 を経 由 して フ ラ ク
ミル ブ (た とえば Rheodyne
ど) を 用 い,
1日10回
社 の5020型
注入バ ルブな
トリ グ リセ リ ドの分 析 に使 用 した とこ ろ,
の測 定 で ±4%以
内 の 偏 差 で お さま った 。ま
た 血 清 中 の 尿 素 の 測 定 で は, 同一 日の 測定 で1%,
数日
シ ョ ンコ レ クタ ーに 大 部 分 が 回 収 され, また一 部 は酵 素
サ ー ミス タ ー系 に 送 られ る。 溶 離 液 中 の酵 素 を検 出 す る
た め に は, 図5のよ
うに各 酵 素 に対 応 した 基 質 液 と合 流
させ る必 要 が あ る。 サ ー ミス タ ー部 へ 到 達 す る まで の フ
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酵
図5.
素
サ
ー
ミ
ス
タ
ー
51
酵 素 の精 製 プ ロ セス へ の酵 素 サ ー ミス タ ー の適 用
[Anal. Biochem.,
117,
84 (1981)
よ り改 変]
ロ ー ライ ン の容量 を通 液 速 度 で割 った 値 が 酵 素 反 応 時 間
の 尿 素 濃 度 は3∼100mmol/lで
に 該 当 す る。 こ こで は, サ ー ミス タ ー の手 前 の カ ラ ムは
ミス タ ー の検 量 線 の範 囲 は0.01∼200mmol/lで
あ るの に 対 し, 酵 素 サ ー
あ り,
基 質 液 と溶 離 酵 素 液 との完 全 混 合 を行 なわ せ る も の で あ
十 分 に 対 応 で き る。 また1時 間 当 た り20∼30検
り, 非 特 異 的 相 互 作用 を ま っ た く行 なわ な い充 填剤 が適
定 が可 能 で あ り, 標 準 試 料 に つ い て く り返 し測 定 を 行 な
用 され る。
っ た結 果, 変 動係 数 は1%と
この方 法 で 乳酸 脱 水 素 酵 素, ア ル コー ル脱 水 素 酵 素,
な り, 高 精 度 で あ る。 しか
も こ の 固定 化 酵 素 は きわ め て安 定 で あ り, 数 百 回 の使 用
グル コ ー ス-6-リ ン酸 脱 水 素 酵 素 お よび ヘ キ ソキ ナ ー ゼ
に耐 え 得 る。 こ の ほ か, 尿酸,
の 各 種 酵 素 に 対 し, 分 離 を 試 み た 結 果, 酵 素 活 性 の測 定
も試 み られ て い る。
感 度 は お お む ね0.11U/mlの
桁 で あ った 。
体 の測
B.
ク レ アチ ニ ンな ど の測 定
グルコース
血 糖 量 (血 清 中 の グル コ ー ス濃 度) の測 定 は, 糖 尿 病
2.
臨 床 化 学 分 析へ の応 用
患 者 の 昨 今 の 著 しい 増 加 に 伴 い, 重 要 な 検 査 項 目 と して
血 清 あ る い は尿 な ど の体 液 中に 存 在 す る代 謝 物 質 の定
比 重 を 増 しつ つ あ る。 電極 方 式 の グル コ ー ス ア ナ ライ ザ
量 分 析 は各 種 疾 病 の診 断 に 有 力 な 知 見 を 提 供 す る。 最 近
ーが す で に市 販 され て お り, サ ー ミス タ ー式 に つ い て も
で は検 査 対 象 が多 様 化 し, 迅 速 な 測 定 が 要 求 され る よ う
数 例 の報 告 が な さ れ て い る。 触 媒 と して ヘ キ ソキ ナ ー
に な り, バ イ オ セ ンサ ー の適 用, 実 用 化 が 注 目を 浴 び る
ゼ^<23,24)>あ
るい は グ ル コ ー ス酸 化 酵 素^<19,25,26)>の
いずれかが
よ うに な っ た。 酵 素 サ ー ミス タ ー につ い て も, 一 部 の病
用 い られ て い る。 前 者 はATPを
院 で試 験 的 に使 用 され, そ の結 果, 従 来 測 定 法 に よ り得 ら
(約-30kJ/mol)
れ た デ ー タ ときわ め て よい 相 関 性 が 認 め られ, また 緊 急
範 囲 は3桁 に及 ぶ 。 一 方,
検 査 用 の簡 易 測 定 機 器 と して す ぐれ た 特 性 が 示 され た 。
mol)
A.
窒 素 代謝 物
多 くの報 告 例 が あ る代 謝 物 と して, 固 定 ウ レア ーゼ を
用 い て リン酸 化 反 応
を 行 な わ せ しむ る も の で, 検 量 線 の濃 度
後 者 は酸 化 反 応 (約-80kJ/
を 利 用 す る も ので, 微 量 の試 料 (5∼20μl) しか 必
要 とせ ず, 再 現 性 に富 み (変動 係 数1%),
臨床 検 査 向 き
で あ る。
用 い た 血 清 中 の尿 素 の測 定 が あ げ られ る^<18,21,22)>。
血清 中
295
52
C.
蛋 白 質
脂
核 酸
酵 素 Vol. 30 No. 4 (1985)
で, 従 来 の 酵 素 免 疫 測 定 法 と比 べ, 非 常 に 迅速 な 超 微 量
質
血 清 中 の ト リグ リセ リ ドや リン脂 質, コ レステ ロ ール
測 定 法 が 可 能 に な った 。
の分 析 値 は 心臓 や 肝 臓 の疾 患 あ るい は 動 脈 硬 化 な ど の診
断 に重 要 な 知 見 を 与 え る と され て い る。
3.
これ ら脂 質 類 は 血 清 中 で は リポ蛋 白質 とい う巨 大 分 子
食 品 工 業 や発 酵 工 業 な どに お け る 生物 化 学 プ ロセ スの
の 形 で 分 散, 可 溶 化 され て い る。 した が って, 検 査 に 固
計 測 は, プ ロセ スの 最 適 化 お よび 制 御 を 実 現 す る上 で 必
定 化酵 素 を 用 い る と, 固 定 化 物 表 面 へ の リポ蛋 白質 の
須 の も ので あ る。 セ ンサ ー の 出 力 が 電 気 信 号 と して 取 り
拡 散 が 反 応 を 律 速 す る。 筆 者 らは 平 均 細 孔 径 の 異 な る
出 せ る酵 素 セ ンサ ーを用 いれば, 試 料 を 直 接 測 定 す る こ
CPG上
とが で き, しか もオ ン ライ ン計 測 化 が 容 易 に な る。
に リポ蛋 白質 リパ ーゼ を 固 定 化 し,
ト リグ リセ
リ ド測 定 用 の酵 素 サ ー ミス タ ー の 特 性 に つ い て 検 討 し
た 。 そ の結 果, 2,000Å
の標 品 を 用 い る と, 比 較 的 効 率
よ く測 定 で き る こ とを 明 らか にす る こ とが で きた^<11)>。
また 代 表 的 な リ ン脂 質 で あ る ホ ス フ ァチ ジ ル コ リ ンに
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工 業 プ ロセ ス へ の 応 用
酵 素 サ ー ミス タ ーを プロ セ ス 計 測 に 適 用 す る と, トラ
ンス デ ュ ーサ ーは た だ 一 種 類 な の で, 基 質, 中 間 体, 生
成 物 な ど多 様 な 成 分 の経 時 変 化 を 簡 易 な シ ステ ムで 測 定
す る こ とが 可 能 で あ る。
対 して は, ホ ス ホ リパ ー ゼDで あ らか じめ 加 水 分 解 した
化 石 燃 料 に 代 わ る新 た な エ ネ ル ギ ー資 源 お よび 化 学 工
の ち, コ リ ン酸 化 酵 素 とカ タ ラ ー ゼ とを 同時 に固 定 化 し
業 原 料 と して, 近 年 バ イオ マ スに 関 す る研 究 が 注 目 され
たCPGを
て い る。 これ らバ イオ マ ス の製 造 の モ デ ル研 究 と して,
用 い て 測 定 され 得 る こ とが 最 近, 報 告 され て
い る^<27)>。
こ の複 合 酵 素 を固 定 化 した カ ラ ム を用 い る と,
約2カ 月 間 にわ た り50%以
上 も の セ ンサ ー 出力 を保 持
して い る こ とが示 され た。
D.
セ ロ ビオ ー ス^<29)>,
乳 糖^<30)>,
シ ョ糖^<31)>な
ど糖 類 の 測 定 が 行
なわ れ た 。 また ペ ニ シ リ ン^<2,32)>や
固定化微生物を充填 し
た バ イ オ リア クタ ーを 用 い た ア ル コー ル^<33)>な
ど の 測定
蛋 白 質
お よび 自動 制 御 も検 討 され て い る。
イ ンス リ ンや アル ブ ミン, グ ロブ リンな どの 熱 的 測 定
発 酵 液 中 に は基 質 を は じめ, 固 定 化 微 生 物 に至 る ま で
は分 子 識 別 用 に 抗 原-抗 体反 応 を利 用 し, 標 識 化 物 と し
種 々 の大 き さ の懸 濁 粒 子 が 存 在 す る。 これ ら の不 溶 性 物
て の酵 素 を増 幅手 段 に 活用 す る とい う, いわ ゆ る酵 素 免
質 が測 定 ライ ンに混 入 す る と, 応 答 性, 操 作 性 に障 害 を
疫 測定 法 (enzyme
の 原 理 を 導 入 して 行
発 生せ しめ る。 そ こ で フ ロー ラ イ ン系 に透 析 器 を組 み 込
なわ れ た。 そ こ で, この測 定 法 は酵 素 免疫 サ ー ミス タ ー
む こ とに よっ て, あ る いは チ ュ ー ブ状 の固 定 化 酵 素 を用
(thermometric
い る こ とで何 ら支 障 な く測 定 で き る こ とが 明 らか に され
immunoassay)
enzyme-linked
略 してTELISA)
immunosorbent
assay,
と呼 ば れ る^<28)>。
た。
反 応 カ ラ ムに は 固 定 化 酵 素 の か わ り に Sepharose
CL-4Bの
よ うな 担 体 に 固 定 化 され た 抗 体 が 充 填 さ れ
な お, これ らの発 酵 プ ロセ ス の 自動 制 御 は主 と して,
バ イ オ リア クタ ーへ の発 酵 原 料 の供 給 速 度 を調 節 す る こ
る。 ま ず, 測 定 用 の 抗 原 を 含 ん だ 試 料 液 に酵 素 で 標 識 化
とで 行 なわ れ た。 す なわ ち, 経 時 的 に基 質 も し くは 生成
され た 抗 原 液 を 一 定 の割 合 で 添 加 す る。 この 混 合 液 を カ
物 の 濃 度 を 測 定 し, そ の結 果 が 制 御 器 と発 振 器 を経 由 し
ラ ムに 導 入 す る と,
て 供 給 ポ ンプ ヘ フ ィー ドバ ッ クす る とい う調節 法 が と ら
カ ラ ム中 で 抗 原-抗 体 反 応 が 生 じ,
混 合 液 中 の 非 標 識 化 抗 原 お よび 標 識 化 抗 原 の 存 在 比 に対
れ た 。 ま た 測 定 時 点 か らポ ンプ の速 度 を 制 御 す る ま で の
応 して, 担 体 上 に 抗 原 と抗 体 と の複 合 体 が 形 成 され る。
応 答 の遅 れ は, この よ うな オ ン ライ ン計 測 で は 非 常 に 重
そ れ ゆ え, 非 標 識 化 抗 原 の存 在 比 が 小 さい ほ ど, カ ラ
要 で あ り, コ ン ピ ュ ー タの 導 入 に よ り問題 の解 決 が 計 ら
ム中 に は よ り多 くの標 識 化 抗 原 と抗 体 と の複 合 体 が 形 成
され る。 次 に カ ラ ム 中 の未 反 応 物 を 洗 浄,
ち, 酵 素 の基 質 液 を通 じる。 こ の と き得 られ る応 答 は複
合 体 中 の標 識 化 抗 原 の残 存 量 に比 例 し, す なわ ち 非 標 識
化 抗 原 量 に は 反 比 例 す る。
こ の よ うに して ヒ ト血 清 ア ル ブ ミ ン量 を最 高 感 度 (検
下),
れ た 。 また1回
く り返 し100回
4.
環境分析への応用
工 場 排 水 や 土 壌 中 に 見 い だ され る重 金 属 イ オ ンや シ ア
ン化 物, 残 留 農 薬 の 測 定 に 酵 素 サ ー ミス タ ーが 適 用 され
出下 限 濃 度) で10^<-13>mol/lまで 再 現 性 よ く (変動 係 数
1∼2%以
れ て い る^<31)>。
除去 した の
も測 定 で き る こ とが 示 さ
の測 定 に要 す る時 間 は わ ず か12分
間
得 る こ とが 示 され て い る。
これ ら環 境 汚 染 物 質 を測 定 す る た め, 直 接 法 と間 接 法
とが 考 案 され た 。 前 者 で は, 測 定 対 象 物 質 が 酵 素反 応 の
基 質 とな り得 る場 合 で あ り, 次 式 に 示 す 反 応 に 着 目 し
酵
て,
シ ア ン化 物 イ オ ン の 定 量
素
サー
(検 出 限 界10^<-5>mol/l)
ミ
ス
が
6)
7)
して抑 制 され る現 象 を利 用 す る も の で あ り, 測 定 の た び
に酵 素 カ ラム の再 生操 作 が 必 要 と され る。 ウ レア ー ゼ や
ア セ チ ル コ リンエ ス テ ル分 解 酵 素 を用 い, そ れ ぞ れ 重 金
53
東京
Danielsson,
7,
^<ロダナーゼ (EC2.8.10.)>SO_3^<2->+SCN^これ に対 し, 間 接 法 は酵 素 反 応 が阻 害 剤 の濃 度 に依 存
ー
オ ー ラ ム,
5)
行 な わ れ た^<34)>。
タ
127
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属 イ ォ ン^<35)>
(Cu^<2+>,Hg^<2+>,Ag^+, 最 高 感 度 : 0.2ppb
Mosbach,
Hg^<2+>)や パ ラ チ オ ン^<36)>の
微 量 測 定 が 報 告 され て い る。
New
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11)
お わ りに
フ ロー型 セ ンサ ー と して の酵 素 サ ー ミス タ
ー につ い て , ス ウ ェ ー デ ングル ー プに よ る研 究 結 果 を 中
心 に して, 基 礎 か ら応 用 面 まで 概 観 して きた 。 開 発 過 程
12)
13)
Database Center for Life Science Online Service
に お い て, 非 特 異 的 熱 変 化 に 基 づ く ノ イ ズめ 除 去 な らび
に サ ー ミス タ ー と酵 素 カ ラ ムの カ ー ト リッ ジ化 に よ る操
14)
作 面 の 簡 易 化 が ル ーチン 分析 機 と して普 及す る た め に課
題 と され て い た 。Danielsson
らに よっ て設 計 さ れ た最
近 の 機種 は これ らの 問題 点 を容 易 に解 決 して お り, 温 度
15)
16)
制 御 と検 知 シス テ ム とを一 体 化 した装 置 を購 入す る こ と
17)
が 可 能 な段 階 に 至 って い る。
紙 数 の 関 係 で 省略 した が, 電 極 型 の酵 素セ ンサ ー との
18)
比較 も行 な わ れ て い る^<36)>。
原 理 面 で は微 弱 な相 互 作 用 に
着 目 した 測 定 (た とえば ア ロス テ リ ッ ク変 化 や 金 属 酵 素
の金 属 イ オ ンに よる活 性 化 な ど) も開 発 され る余 地 が あ
19)
20)
り, 筆 者 ら は こ の方 面 につ い て検 討 を 進 め て い る。
今 後 の課 題 と して は, エ レ ク トロニ クス め技 術 を 駆 使
した 微 小 化, 多 機能, 高 機 能 化 が あ げ られ る。 大 型 コ ン
21)
ピ ュー タ な み の機 能 を備 えた パ ー ソナ ル コ ン ピ ュー タ の
開発 が実 現 して い る現 在, 酵 素 サ ー ミス タ ーは ユ ニ ー ク
な性 能 を 有 した 総 合 分 析 機 と して の普 及, 発 展 が 期 待 さ
れ る もの で あ る。
22)
23)
文
24)
献
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